【統合化推進プログラム】ChIP-Atlasを活用して薬剤の作用機序の中心となる転写因子の同定に成功しました

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2022年2月2日

統合化推進プログラムの研究開発課題の一環として開発・運用されているデータベースを活用した論文が発表されました。

京都大学 沖真弥特定准教授らの研究グループは、九州工業大学 山西芳裕教授らとの共同研究で、「ChIP-Atlas」を活用し、薬剤の作用機序(MoA)で中心的な役割を担っている転写因子の同定に成功しました。
本研究の成果は、2022年1月25日(英国時間)、科学雑誌「BMC Bioinformatics」に論文掲載されました。

薬剤投与により多くの遺伝子の発現が変化しますが、その分子機序の多くは謎に包まれています。
今回、ChIP-Atlasを使った解析により、(1) シスプラチンはTP53ファミリーメンバーの抗腫瘍活性を促進するがMYCによる癌誘発を抑制すること、(2)RELAとE2F1の阻害はレフルノミドが抗増殖活性を示す上できわめて重要であること、(3)CHD8はバルプロ酸誘発性自閉症に関与していることが予測されました。

転写因子を中心とした薬剤の作用機序を解明することにより、疾患の新たな治療法の開発や新規創薬標的分子の発見、既存薬の新たな適用や副作用リスクの仮説構築などにつながることが期待されます。本研究を通じ、ChIP-Atlasがデータ駆動型研究におけるエピジェネティックな観点からの仮説立案に有用なツールであることが示されました。

ChIP-Atlasは、統合化推進プログラムの研究開発課題「エピゲノミクス統合データベースの開発と機能拡充」の一環として開発・運用されています。公共データベースから公開されているほぼ全てのChIP-seq、ATAC-seq、DNase-seq、Bisulfite-seqのデータをそれぞれ統一プロトコルで再解析し、抗原別・生物種別・細胞種別に整理して収載したエピゲノミクスの統合データベースです。

ChIP-Atlas収載データ(2022年1月25日現在)

  • ChIP-seq 140,959件
  • ATAC-seq 52,135件
  • DNase-seq 2,869件
  • Bisulfite-seq 28,696件

合計 224,659件

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