植物共発現データベース「ATTED-II」を開発している東北大学の大林武教授がPCP Top Cited Paper Awardsを受賞しました
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2025年11月6日、東北大学 大学院情報科学研究科の大林 武 教授が、植物の遺伝子共発現データベース「ATTED-II」の原著論文"ATTED-II v11: A Plant Gene Coexpression Database Using a Sample Balancing Technique by Subagging of Principal Components"で、日本植物生理学会の2026年度 のPCP Top Cited Paper Awardsを受賞しました。
「PCP Top Cited Paper Awards」は、一般社団法人 日本植物生理学会が出版する学術誌 「Plant and Cell Physiology」に掲載された論文のうち、植物科学の進歩に寄与する独創的で国際的にも優れた論文を発表した著者に授与される賞です。対象となった当該論文の引用回数は、2025年11月時点で105回(Google Scholar)となっています。
「ATTED-II」は植物遺伝子の共発現データベースで、現在、コムギ、オオムギを含む11植物種の遺伝子の共発現のデータを収載しています。ATTED-IIでは、任意の遺伝子と発現が相関あるいは逆相関する遺伝子や、2つの遺伝子が共発現する環境や条件、それら共発現遺伝子が担っている生理的機能や制御関係を調べることができます。
近年、次世代シーケンサーの低コスト化とともに、実用植物を含むさまざまな非モデル植物の遺伝子解析が行われるようになりました。ところが、非モデル植物はまだ研究の歴史が浅く、多くの機能未知の遺伝子が存在することが課題となっています。
似たような環境や同じ条件での発現が協調的に制御されている遺伝子は、生合成経路やシグナル伝達経路など一連の関連した機能を担っている遺伝子群であることが多いことが知られています。そのため、ATTED-IIは、研究が進んでいるモデル植物で明らかにされた知見を、多くの遺伝子の機能がまだ解明されていない非モデル植物の解析に橋渡しするための情報基盤の一つとなることが期待されています。現在、大林教授らは、共発現情報を比較する機能を高度化し、異なる植物種間の共発現遺伝子の機能を解析するツールの開発にも取り組んでいます。
ATTED-IIは、JST統合化推進プログラムの研究開発課題「非モデル植物のための遺伝子ネットワーク情報活用基盤」(研究代表者 大林 武 東北大学 大学院情報科学研究科 教授)の一環で開発・提供されています。