Shin-MassBankの取り組みがメタボロームデータベースMassBankの論文で紹介されました
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2025年11月11日、メタボロームデータベース 「MassBank」の論文が、科学雑誌「Nucleic Acids Research」のDatabase Issue (データベース特集号) に掲載されました。この論文の中で、本論文の共著者でもある大阪大学の松田 史生 教授らが取り組んでいる、Shin-MassBankプロジェクトについても触れられています。
NBDCの前身事業であるBIRDの支援によって構築されたMassBankは、オープンソースかつオープンアクセスの質量スペクトルライブラリとして2006年に日本で誕生し、その後、日本質量分析学会(MSSJ)の支援を受けて運営されてきました。2011年には、ドイツのNORMAN協会の支援を受けて欧州にMassBank専用サーバーが稼働し、環境関連化合物のスペクトルなども追加されて、現在、世界中の研究者から登録された18,529化合物のスペクトル、計119,845件の質量スペクトルデータが提供されています。MassBankは、MassBank of North America、Global Natural Product Social Molecular Networking、PubChem、米国EPA CompTox Dashboard、NORMAN Database System、RforMassSpectrometryなど、複数のリソースとも相互に連携し、国際的なメタボローム質量スペクトルライブラリとして、世界中の研究者から広く使われています。 本論文では、MassBankの20年間の歴史と、収載されているメタボローム質量スペクトルデータについて述べられています。またこの中で、現在、松田教授らがMassBankのさらなるデータ拡充を目指して取り組んでいるShin-MassBankプロジェクトについても触れられています。
Shin-MassBankプロジェクトは、生データリポジトリMB-POST、ヒトメタボロームデータセットから得られたプロダクトイオン(MS2)スペクトルのライブラリMassBank Human、インシリコデータを用いた代謝物アノテーション機能を提供するMassBank in silicoから構成されており、生体サンプルから取得されたMS2スペクトルをMassBankに蓄積していくための革新的なデータ処理パイプラインの開発を目指しています。 Shin-MassBankプロジェクトは、MassBankコンソーシアムのメンバーであり、日本質量分析学会スペクトルデータ部会と連携して活動しています。
Shin-MassBankプロジェクトは、統合化推進プログラムの研究開発課題「次世代低分子マススペクトルデータベース シン・マスバンクの構築」(研究代表者 松田 史生 大阪大学 教授)の中で実施されています。
(図1)MassBankコンソーシアム