メタボロミクス研究のための質量分析データリポジトリ「MB-POST」が公開

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2025年11月11日

2025年10月8日、新潟大学の奥田 修二郎教授らは、メタボロミクス研究のための質量分析データリポジトリ「MB-POST」を公開しました。

MB-POSTは、メタボロミクス研究で生成された質量分析データを保存するためのデータリポジトリです。質量分析データは非常にファイルサイズが大きく、リポジトリへのデータ登録に非常に時間がかかることが問題とされていました。MB-POSTは、奥田教授らが開発した高速ファイルアップロード機能を備え、柔軟なファイル管理システム、そして使いやすいインターフェースを実装しています。ユーザーはMB-POSTにデータを登録することで、論文発表用の固有識別番号を付与して「生データ/処理済みデータ」を公開することができるほか、論文が発表されるまでデータを非公開(または「公開保留」)にすることも可能です。ユーザーのコンピューターからリポジトリサーバーへのファイル転送ではウェブブラウザのみを使用するため、追加のソフトウェアをインストールする必要はありません。

<MB-POSTの収載データ数>(2025年10月30日現在)

  • データ登録数:107プロジェクト 11,691ファイル(1.6 TB)
  • 公開データ数: 40プロジェクト

MB-POSTは、2024年12月24日に試験公開し、データの受入を開始すると共にシステムの修正が続けられていましたが、大きな問題はなくなったと判断されたため、2025年10月8日に正式に公開されました。この公開は、2025年10月16日、第19回メタボロームシンポジウムにおいて奥田教授により発表されました。

MB-POSTは、統合化推進プログラムの研究開発課題「次世代低分子マススペクトルデータベース シン・マスバンクの構築」(研究代表者 松田 史生 大阪大学 教授)の一環として開発され、Shin-MassBankのポータルページから提供されています。

Shin-MassBankプロジェクトは、生体サンプルから取得したプロダクトイオン(MS2)スペクトルを蓄積するための革新的なデータ処理パイプラインの開発を目指しています。ユーザーフレンドリーな生データリポジトリMB-POST、ヒトメタボロームデータセットから得られたMS2スペクトルのライブラリMassBank Human、インシリコデータを用いた代謝物アノテーション機能を提供するMassBank in silicoから構成されています。現在、MassBank Human とMassBank in silico はβ版が公開中ですが、MB-POSTが一足先に正式公開となりました。Shin-MassBankプロジェクトはMassBankコンソーシアムのメンバーであり、日本質量分析学会スペクトルデータ部会と連携して活動しています。

(図1)MB-POSTのトップページ

(図2)MB-POSTの高速ファイル転送システムの仕組み

(図3) MB-POSTでのデータ登録の流れ

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