ChIP-Atlasに係る論文がNucleic Acids Researchに掲載 新たに高度な解析機能を備えた世界最大規模のデータ数を誇るエピゲノム情報インフラに

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2024年5月17日

2024年5月16日、熊本大学 生命資源研究・支援センターの沖 真弥 教授らによるChIP-Atlasのメジャーアップデートについての論文が、科学雑誌「Nucleic Acids Research」のウェブサーバー特集号に掲載されました。あわせて、熊本大学と千葉大学は、同日、プレスリリースをおこないました。

ChIP-Atlasは、エピゲノミクスの統合データベースです。収録データには、ヒトと5つのモデル生物(マウス、ラット、ショウジョウバエ、線虫、出芽酵母)のゲノム-タンパク質相互作用(ChIP-seq)、オープンクロマチン情報(DNase-seq, ATAC-seq)、メチローム情報(Bisulfite-seq)が含まれます。本論文で取り上げているメジャーアップデート (ChIP-Atlas 3.0) は2023年10月に実装されたものです。ゲノムの三次元構造(Hi-C)や疾患感受性ゲノム変異などの注釈づけ情報を統合するとともに、遺伝子発現制御に関わるエピゲノム状態の変容を検出する比較解析ツールDiff Analysisが追加されました。

プレスリリースによれば、ChIP-Atlasは、2018年に公開されてからこれまでの約6年間で、生命科学分野や医科学系分野を中心に1,000報に迫る論文に引用されています。今回のメジャーアップデートにより、ChIP-Atlasは高度な解析機能を備えた世界最大規模のデータ数を誇るエピゲノム情報インフラへと進化し、遺伝性疾患の発症メカニズムや薬物作用機序の解明、細胞分化転換の研究の効率化などへのさらなる貢献が期待されると述べられています。

統合化推進プログラムの研究開発課題「統合的な転写制御データ基盤の構築」(研究代表者:粕川 雄也 理化学研究所 生命医科学研究センター チームリーダー)では、転写制御データ基盤「INTRARED」の一環として、ChIP-Atlasを開発・運用しています。

詳細は、論文ならびにプレスリリースをご覧ください。

ChIP-Atlas収載データ (ChIP-Atlas 3.0)

  • ChIP-seq (ゲノム-タンパク質相互作用) 228,495件
  • ATAC-seq (オープンクロマチン情報) 84,615件
  • DNase-seq (オープンクロマチン情報) 6,386件
  • Bisulfite-seq (メチローム情報) 56,668件
  • 合計 376,164件

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