Plant GARDENの論文がBMC Plant Biologyに掲載されました

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2023年9月1日

かずさDNA研究所 田畑 哲之 所長らのグループが開発する、多種多様な植物のゲノム・遺伝資源のポータルサイト「Plant GARDEN」の論文が、2023年8月12日、BMC Plant Biologyに掲載されました。

本論文は、Plant GARDENの初の論文です。Plant GARDEN の目的や実装に用いた技術、収録データの種類や収集・処理方法、画面上の機能などが述べられています。
次世代シーケンサー (NGS) 技術の進展により、世界中で植物ゲノム情報の解析が加速しています。Plant GARDEN には、さまざまな植物のリファレンスゲノム、遺伝子配列、PCRベースのDNAマーカー、遺伝学的研究で同定された形質連鎖DNAマーカー、SNP(一塩基多型)、遺伝子の構造変異 (in/del) などのデータが収載されています。機能アノテーションツールHayai-Annotationを使って統一的な機能情報を全遺伝子に付加したことにより、生物種をまたいだキーワード検索や遺伝子間のオルソログ関係の比較が可能となっていると、本論文内で述べられています。
PlantGARDENでは、基礎研究者のみならず、植物に関連するさまざまな産業の研究者や教育現場などにおいても幅広く利用できるよう、インターフェースが工夫されています。著者らは論文内で、実用植物を含む多岐にわたる植物のゲノムレベルでの比較が容易になることで、ゲノムや遺伝子レベルでの植物の進化や多様性の理解が促進されるとともに、食糧生産や園芸植物の育種、グリーンエネルギーにかかわる産業にも大きく貢献することが期待されると述べています。

詳細は、論文 「Plant GARDEN: a portal website for cross-searching between different types of genomic and genetic resources in a wide variety of plant species」をご覧ください。

Plant GARDENは、2017年4月~2022年3月の間、研究開発課題「個体ゲノム時代に向けた植物ゲノム情報解析基盤の構築」の一環として、「統合化推進プログラム」の支援を受けていました。

PlantGARDENのトップ画面。ロゴ、メニューボタン、検索欄が写っている。

Plant GARDEN収載データ(2023年3月時点)

  • アセンブル済みのゲノム配列: 304件
  • 遺伝子配列: 11,331,614件
  • DNAマーカー: 419,132件
  • QTL: 8,225件
  • SNPリスト: 5,934件

補足説明

  • DNAマーカー: 形質や品種などの違いを識別できるゲノム上の配列の違いを目印としたもの。
  • SNP(Single Nucleotide Polymorphism): 一塩基多型。ゲノムDNAが1塩基だけ別の塩基に置き換わること。SNPの場所や種類によって遺伝子の機能が影響を受け、形質が変化する場合がある。
  • in/del (insertion/deletion): ゲノムDNAの領域の挿入や欠失あるいはそれらが起きること。in/delの場所や種類によって遺伝子の機能が影響を受け、形質が変化する場合がある。
  • QTL(Quantitative trait locus): 量的形質遺伝子座。大きさや形、色、味など、量的な形質に影響を与えるゲノム上のDNA領域のこと。
  • オルソログ: 共通の祖先遺伝子から派生した遺伝子群のうち、異なる生物種に存在する同じ機能を持った遺伝子群のこと。遺伝子機能をゲノム進化に基づいて推定する上で重要な手掛かりとなる。

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