国立研究開発法人 科学技術振興機構

2020バイオインフォマティクス学会に参加しました

2020年10月27日
井手 隆広

NBDC研究員の井手です。

2020年9月1日~3日まで、2020年日本バイオインフォマティックス学会年会(IIBMP2020)に参加しました。

コロナ禍の影響で残念ながら北九州での開催がオンラインに変更になりました。私自身にとって初めてのバイオインフォ系学会への参加でしたが、充実した時間を過ごせました。

全体を通して

オンラインでの学会参加も初めてでしたが快適に参加できました。

口頭発表は自室から参加できたので、広い会場の後ろの方で聴くよりも良い環境でした。チャットによる質問など普段の学会でも利用したら便利そうだなという点もいくつかありましたが、誰が一緒に聞いているかが分からないのは意外と寂しいものでした。

また、現地開催なら廊下や休憩スペースでばったりと昔の知り合いと遭遇なんてこともあるのですが、今回はそのような機会が無くなってしまったのは残念でした。

ポスター発表は各々が1つのzoom会議室を割り当てられる形式で試行錯誤されているようでしたが、個人的には短い口頭発表の形が最もしっくり来たので、自分が発表するときには参考にしたいと思いました。加えて、通常の学会のように空いた時間にブラブラ閲覧できるような仕組みが欲しいなと感じました。

キャリアパスセッションでは発表も行ったのですが、登壇者側だと参加者の名前や所属が見えるので、顔を知らなくても誰が聞いているか分かるのが新しい体験でした。一方、会場の雰囲気がほとんど伝わらないので、その場でアンケートを取って表示できたりすると臨場感が出て面白かったのでは、と感じました。

発表や内容について

初参加の学会ということで、いろいろなものが目新しく映りました。つい半年前までマウスの胚を扱っていたので、マウス胚の3次元遺伝子発現のモデル化など、今までとは異なる切り口の発表を多く聞けたのはよかったです。

特に興味を持ったものは、基調講演で九州大学の中山先生が発表された質量分析のiMPAQT法で、パスウェイを構成するタンパク質にそれぞれ「存在量」という概念を持ち込み、細胞で起きている現象をより正確に記述する方法に関する発表でした。「量」の概念を加えることで、制御ポイントや、どのパスウェイが主要なのかが一目瞭然となり、タンパク質の関係を図にするときに感じていたモヤモヤを解消させてくれるアプローチと感じました。

キャリアパスセッションでの発表

今回、これから就職される学生さんや若手研究者のために各企業の研究者や採用担当の方などが会社の概要や経歴、普段の生活について紹介するキャリアパスセッションにて、発表の機会をいただきました。

まだ着任して半年ほどですので、自身の経歴と共にウェット研究者のバイオインフォやデータベースに対する捉え方を紹介させていただきました。

私は、繊毛の構築や制御に関する研究を変異体や組換えタンパク質を用いて、いわゆる"ウェット"なアプローチで研究を行ってきました。その中では、文献検索や配列情報以外で積極的にデータベースを使うことはありませんでした。しかし、最近では画像解析や質量分析など、いろんな手法・データを組み合わせた新しいアプローチが生まれています。今後はデータを使った解析を広く使えるようにと考えていることを、参加者の皆さんに伝えさせていただきました。

著者紹介

井手 隆広

もともと微生物やマウスを使って「鞭毛・繊毛」の研究をしていた、いわゆるウェット研究者。でも、パソコンや自転車の組み立てなど、機械ものが好き。

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©2020 井手 隆広(国立研究開発法人科学技術振興機構バイオサイエンスデータベースセンター)

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