遺伝子の転写制御に関わるゲノム領域、シスエレメントの情報を収載したデータベース「fanta.bio」が公開されました

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2024年2月29日

2024年2月26日、遺伝子の転写制御に関わるゲノム領域「シスエレメント」(cis-regulatory element, CRE)を収載したデータベース、「fanta.bio」が正式に公開されました。

シスエレメントとはゲノム中に存在する転写制御に関わる領域のことで、代表的なものにエンハンサーやプロモーターなどがあります。fanta.bio には、(1) ヒトとマウスのゲノム中で同定されたシスエレメントの場所、(2) 細胞株や細胞種・組織ごとのシスエレメントの活性、(3) シスエレメント領域内に存在するゲノム変異などの情報が収載されています。

fanta.bioを使うことで、対象とする任意のゲノム領域や遺伝子周辺に存在するシスエレメントを探索し、細胞等における活性情報(そのシスエレメントはその細胞等において制御活性を持つか)やそのシスエレメント領域に結合する転写因子、その領域に含まれるゲノム多型情報等を取得することができます。検索結果はWebサイトにて提供されるインタフェースで閲覧できる他、UCSC Genome Browser を用いてゲノム上の位置を確認することが可能です。さらに、fanta.bioで作成したデータファイルのダウンロードも可能です。これらを活用することで、例えば、利用者がもつ疾患に関連するゲノム変異情報などのデータと統合解析し、シスエレメントと疾患との関連を調べたりすることも可能です。

fanta.bio の構築に際し、転写因子結合領域の情報についてはエピゲノミクス統合データベース ChIP-Atlasとの、マウスのゲノム多型情報については系統ごとのゲノム変異を収集している MoG+との連携により実現しています。ヒトのゲノム多型情報については、DBCLSが開発・運用している TogoVarが活用されています。

今後、シングルセル遺伝子発現情報等を用いた、より多様な細胞種における活性情報や、関連する様々なゲノム機能情報を充実させることで、転写制御領域に関する情報をまとめて取得可能になります。また、fanta.bio と ChIP-Atlas との連携をさらに強化し、転写制御に関わる統合的な基盤、INTRAREDの充実が予定されています。

<fanta.bio (ver.1.0.0)の収載データ数>

  • ヒト (447,315 CRE領域, 1,912サンプルのシスエレメント活性)
  • マウス(201,420 CRE領域, 1,052サンプルのシスエレメント活性)

fanta.bioは、ChIP-Atlasとともに、JST統合化推進プログラムの研究開発課題「統合的な転写制御データ基盤の構築(研究代表者 粕川 雄也 理化学研究所 チームリーダー)」の一環で開発・提供しています。

Fanta.bioの検索画面

ヒト シスエレメント(GATA1遺伝子のプロモーター、エンハンサー領域)

マウス シスエレメント (Gata1遺伝子のプロモーター領域)

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