複合糖質リポジトリ「GlyComb」の論文がJournal of Biological Chemistryに掲載されました
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2023年秋に公開された複合糖質データレポジトリ「GlyComb」の論文が掲載されました。
糖鎖が結合した糖ペプチド、糖タンパク質、糖脂質、グリコシドなどを複合糖質と呼びます。例えば、 糖鎖の結合によるタンパク質の修飾は、タンパク質分子の構造や機能に大きな影響を与え、ウイルス感染症やがん等の多くの疾患において重要な役割を果たすことが知られています。したがって、これらの複合糖質を詳細に研究することは、さまざまな生物学的プロセスや疾患の分子メカニズムを理解する上で重要と考えられています。ところが、複合糖質を構成する糖鎖には極めて多くの種類が存在する一方で、これらの情報が散在し、 一つ一つの複合糖質を識別するための統一された識別子(ID)がなかったことが、これらを横断的に研究する上で一つの障壁となっていました。
GlyCombに寄託された糖ペプチドや糖タンパク質のデータには、GlyComb上で固有のIDが割り当てられ、構成する糖鎖に糖鎖構造データベースGlyTouCanのIDが紐付けられるとともに、ペプチドのアミノ酸配列やタンパク質のUniProt ID、糖鎖付加部位の情報が付加されます。
GlyCombはセマンティックウェブ技術の上に構築されているため、SPARQL言語を使って指定した糖鎖の関連情報を簡単に収集することができるほか、他のオミクスデータとも容易に連携させることができます。領域横断的・効率的なデータ活用が可能になることによって、複合糖質が関わる疾患メカニズムの解明や新規創薬ターゲットの発見等への貢献が期待されます。
詳細は、論文「GlyComb: a novel glycoconjugate data repository that bridges glycomics and proteomics」をご覧ください。
本研究は、統合化推進プログラムの研究開発課題「異分野融合を志向した糖鎖科学ポータルのデータ拡充と品質向上」(研究代表者 木下聖子)の一環として実施されています。