jPOSTにおけるリポジトリとデータジャーナルの連携によるデータ再利用促進についてプレスリリースされました

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2024年12月17日

新潟大学と京都大学は、2024年12月13日 、プロテオームデータの統合データベース「Japan Proteome Standard Repository/Database (jPOST) 」が、プロテオームデータの再解析を促進する体制を構築したことをプレスリリース しました。本プレスリリースでは、データ再解析に必要となる詳細なメタデータ(サンプルの由来情報、前処理や測定条件など)を収集するためのデータジャーナルを創刊したことと、再解析において重要となる実験データの品質評価指標を独自に開発したことを紹介し、これらの取り組みを通じて、jPOSTがプロテオームデータの再解析研究およびFAIR原則(※)に則ったオープンサイエンスの促進に寄与することに期待を寄せています。本内容については、2024年11月11日に科学雑誌「Nucleic Acids Research」のDatabase Issue (データベース特集号) に掲載された論文 において詳細が述べられています。

jPOSTは、1) プロテオーム質量分析データのリポジトリの「jPOSTrepo 」、2) 標準化したプロトコルに基づくプロテオーム生データの再解析システム、および3)再解析データを統合したデータベースの「jPOSTdb」 から構成されます。

近年、質量分析法の進歩によって精緻なプロテオームデータの取得が容易になり、さまざまな研究分野でプロテオミクス研究が広く行われ、たくさんの研究データが公共データベースを通じて公開されるようになりました。一方で、サンプルの前処理や測定条件などが揃ったデータでないと比較解析できないという質量分析特有の技術的事情があるのに対し、再解析に必要な十分なメタデータが登録されていないことが多く、また再解析を行う上で重要となる実験データの適切な品質評価指標がないことが、プロテオームの実験データの再利用がなかなか進まない理由のひとつであるとプレスリリースで述べています。

上記の課題を解決するため、jPOSTでは、日本プロテオミクス学会と連携してデータの再解析で必要となる正確で詳細なメタデータ(サンプルの由来情報、前処理や測定条件など)を詳述するためのデータジャーナル「Journal of Proteome Data and Methods (JPDM) 」を2019年に創刊しました。また、実験データごとに品質を評価する独自の指標「UniScore」を開発しました。なお、UniScoreについては、2024年10月、BioRxivにプレプリント論文 が掲載されています。jPOSTでは、現在、jPOSTrepoの登録データの品質をUniScore を用いて評価したうえでJPDM掲載論文内のメタデータに基づいて再解析し、その結果をjPOSTdb から公開しています。2024年12月現在 、jPOSTrepoには3,077件が登録され、そのうち2,318件が公開されており、jPOSTdbでは847件の再解析データが公開されています。

詳細は、新潟大学と京都大学からのプレスリリース、および掲載論文「jPOST environment accelerates the reuse and reanalysis of public proteome mass spectrometry data 」をご覧ください。

jPOST はJST統合化推進プログラムの研究開発課題「jPOST prime:コミュニティ連携を基盤とするプロテオームデータベース環境の実現 」(研究代表者 石濱 泰 京都大学 大学院薬学研究科 教授)の一環として開発・運営されています。

FAIR原則 :データを「見つけやすく(Findable)」「アクセスしやすく(Accessible)」「相互運用しやすく(Interoperable)」「再利用しやすく(Reusable)」するための原則をまとめたガイドライン。

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