国立研究開発法人 科学技術振興機構

NANDOと Mondoの国際連携 難病情報の国際共有を実現

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2024年8月9日

2024年7月29日、ライフサイエンスデータベースセンター(DBCLS)は、難病名語彙集「NANDO」(Nanbyo Disease Ontology)(「なんど」と読みます)が、国際的な疾患名語彙集Mondo(Mondo Disease Ontology)(「もんど」と読みます) の相互参照データベースの一つとして追加されたと発表しました。

NANDO は、難病制度の対象疾患における疾患どうしの関係性を構造した語彙集で、DBCLSが開発・提供しています。2021年7月に初めての正式版を公開したあと、複数のアップデートを重ね、2023年11月に現行バージョンを公開しています。このバージョンには、指定難病338件および小児慢性特定疾病814件が収録されています。初期バージョンからMondo への参照が実装されており、日本の難病と海外における希少・遺伝性疾患を疾患レベルで比較することができました。

Mondo は、国際的に多くのデータベースおよびシステムで活用されている疾患情報の語彙集です。Mondoでは、多数存在している疾患の定義とデータ・モデルのリソース間の重複関係などが明確にされ、疾患の統一的な語彙の情報が提供されています。

今回、2024年7月2日に行われたMondoの更新では、データ項目のひとつ「相互参照データベース」(database_cross_reference) に NANDO が加えられました。この項目には、ほかに、米国ジョンズ・ホプキンス大学が提供する遺伝性疾患データベース「OMIM」、米国NIHが提供する「MeSH」などが含まれています。Mondoのデータは、欧州EBIが提供する「Ontology Search」(OLS) 等で閲覧・ダウンロードできます。今回の更新により、OLSのMondoの各疾患情報ページでも、NANDOのIDを確認できるようになりました。

なお、上記のNANDO IDには、「NanbyoData」のMondoに対応する疾患ページへのリンクが貼られています。NanbyoDataは、NANDO を利用して難病情報を集積・一元的に提供するウェブサービスで、DBCLSが開発しています。難病に関する国外の遺伝情報や表現型情報など、国内外の様々なデータベースから自動的に集約された情報を閲覧することができます。

DBCLSは、今回のMondoとNANDOとの国際協力によって、日本の難病情報の国際共有を促進することが期待されているとニュースリリースしました。

図1:欧州EBIが提供する「Ontology Search」 (OLS) における、Mondoの個別エントリページの例。NANDO IDが記載され、Nanbyo Dataへのリンクが追加されている (赤枠部分)。
出典:https://www.ebi.ac.uk/ols4/ontologies/mondo/classes/http%3A%2F%2Fpurl.obolibrary.org%2Fobo%2FMONDO_0007739

図2:「NabyoData」の個別エントリページ例。図1で示したMondoのページからのリンク先。NanbyoDataでは、指定難病の説明、疾患原因遺伝子、診療用遺伝学的検査情報、臨床的特徴、難病特異的バイオリソース (マウス・細胞・遺伝子)、バリアント情報を閲覧できる。
出典:https://nanbyodata.jp/disease/NANDO:1200012

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