糖鎖インフォマティクスとケモンフォマティクスの橋渡し:GlyCosmosとPubChemにおけるデータ連携への取り組み

  • その他
  • ファンディング
  • 統合化推進プログラム
2023年5月25日

創価大学の木下 聖子 教授らは、2023年5月2日、GlyCosmos Glycoscience Portalの糖鎖関連情報とPubChemの化合物関連情報を連携させたことを報告する論文を、アメリカの科学雑誌 「Glycobiology」 に掲載しました。

GlyCosmos Glycoscience Portalは糖鎖科学のポータルサイトです。糖鎖関連のリポジトリのほか、糖鎖に関連する糖鎖遺伝子(糖鎖を合成・分解する遺伝子)、糖タンパク質、糖脂質、糖鎖・糖鎖遺伝子関連疾患、パスウェイ、レクチンなどの情報を提供しています。
一方、PubChem は化合物の主要なポータルサイトで、米国の National Center for Biotechnology Information (NCBI) が運営しています。化合物の情報のほか、化合物に関連する遺伝子、タンパク質、パスウェイ、特許、バイオアッセイなどの情報を提供しています。

この論文では、GlyCosmos Glycoscience PortalとPubChemが互いのさまざまな収録情報を統合し、それぞれのウェブサイトから辿れるようになったと報告しています。その結果、GlyCosmos Glycoscience Portalを利用する糖鎖研究者がPubChem内の多様な糖鎖関連オミクス情報を参照できるようになり、月間数百万人に及ぶPubChemの多様な利用者がGlyCosmos Glycoscience Portalの糖鎖科学のデータに容易にアクセスできるようになります。論文内では、一例として、GlyCosmos Glycoscience Portalの糖鎖代謝経路やグライコーム情報とPubChemの糖鎖とその糖鎖結合体の化学構造に関する詳細情報とを簡単に連携させて解析できるようになったことを取り上げています。また、論文内では、連携をさらに強化する予定であること、連携によって糖鎖インフォマティクスとケモインフォマティクスを統合的に利用した疾患や創薬の研究が、ますます促進されることが期待されると述べています。

GlyCosmos Glycoscience Portalは、「統合化推進プログラム」の研究開発課題「異分野融合を志向した糖鎖科学ポータルのデータ拡充と品質向上」(研究代表者:木下 聖子)の一環として開発されています。

詳細は、原著論文をご覧ください。

    NBDCメルマガ

    「NBDCメルマガ」NBDCの講習会・研究費公募・成果情報などを月1回お届けします。