国立研究開発法人 科学技術振興機構

プロテオームの解析手法で検出されたデータの識別子の標準化

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2021年7月6日

プロテオームの解析手法で検出されたデータのIDの国際規格となるUniversal Spectrum Identifier(USI)の策定に関する論文が、2021年6月25日、Nature Methodsに掲載されました。

プロテオーム研究分野では、国際的な枠組みであるProteomeXchangeコンソーシアムのもとで実験データ・リポジトリが各国で運営されています。各研究者は、論文内の主張に対応するプロテオーム研究データを、このリポジトリから公開することが義務づけられています。しかし、現状では、リポジトリ間でデータベースの仕組みが異なっており、論文内の主張とデータとの対応を検証することは容易ではありません。このため、標準的な仕組みを策定・実装することが喫緊の課題となっていました。

そこで、国際ヒトプロテオーム機構(HUPO)内に設置されたプロテオミクス標準イニシアチブにおいて、USIの策定に関する議論が長期間にわたって進められました。USIの仕様や今後の更新などについての情報は、プロテオミクス標準イニシアチブのウェブサイトに掲載されています。

USIは、プロテオーム研究データにおけるFAIR原則を実現するために重要な仕組みです。研究の透明性を高めるとともに、ソフトウェアを通じた機械的なアクセスを容易にすることによって、データの広い再利用につながります。

ProteomeXchangeコンソーシアムの加盟リポジトリとして、日本では、京都大学 大学院薬学研究科の石濱 泰教授らを中心とするグループによってjPOSTが開発・運営されています。
本論文の共著者の富山国際大学の河野 信 准教授はjPOSTを開発・運営するグループの一員で、プロテオミクス標準イニシアチブにおけるUSIの議論の中心メンバーのひとりとして、大きなコミットメントを果たしました。

本成果の詳細は、原著論文およびjPOSTのお知らせをご覧ください。
なお、本論文のプレプリント版がBioRxivから公開されています。

jPOSTは、「統合化推進プログラム」の研究開発課題「プロテオームデータベースの機能深化と連携基盤強化」の一環として開発・運営されています。

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