国立研究開発法人 科学技術振興機構

ポスター発表

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番号 タイトル・代表発表者
1 第1部 SSBD: グローバルなバイオイメージングデータ共有基盤
糸賀裕弥(理研)
2 第2部 OME-ZarrとRO-Crateによる国際的なバイオイメージングデータ共有基盤の構築と空間オミクスデータ公共リポジトリへの展開
京田耕司(理研)
3 第3部 国際的なバイオイメージングデータの相互運用性向上に向けたSSBDオントロジー開発
山縣友紀(理研)
4 第1部 研究データ管理の理解を促進させるポータルサイトの構築
大波純一(理研)
5 第2部 遺伝子材料リソースの情報発見性向上のためのカタログ環境整備
岸川昭太郎(理研BRC)
6 第3部 国際協調に基づく3つの質量分析データリポジトリー ―メタデータ標準化とバリデーションに基づく統合を目指す
高橋悠志(新潟大)
7 第1部 HUPO-PSI標準小分子質量分析定量結果報告用データフォーマット mzTab-M のAIを活用したデータ拡充とその利用
西田孝三(理研)
8 第2部 多様な糖鎖データをつなぐ標準化とデータベース統合への取り組み
松原正陽(野口研)
9 第3部 プロテオミクスデータにおけるlog2FC空間の構造的特徴
西崎愛花(北里大)
10 第3部 UniScoreを用いるjPOST-PTM再解析への展開
石濱泰(京都大)
11 第2部 実運用に基づくプロテオームデータ管理システムのメタデータ設計と外部リポジトリ連携
小池仁美(理研)
12 第3部 タンパク質末端特化型データベース「EdgeProt」の開発
松本雅記(新潟大)
13 第1部 蛋白質構造データバンクのデータ駆動型研究基盤への拡張
栗栖源嗣(大阪大)
14 第2部 蛋白質構造データベースPDBjにおけるOneDepおよびデータインの最新動向
于健(大阪大)
15 第3部 アレルゲン性予測データベースの構築に向けたタンパク質言語モデルの開発と予測根拠の可視化
近藤一成(昭和女子大/NIHS)
16 第1部 DNA塩基配列関連メタデータ検索システムDDBJ Searchの刷新
藤澤貴智(遺伝研)
17 第2部 大規模言語モデルを用いた BioSample データベースメタデータの品質向上
池田秀也(DBCLS)
18 第3部 MassBank In silico: 低分子化合物の構造アノテーションツール
鳥越大平(大阪大)
19 第1部 ノンターゲットメタボローム解析データの利活用に向けたMassBank Humanの開発
早坂亮祐(慶應大)
20 第2部 次世代低分子マススペクトルデータベース シン・マスバンクの構築
松田史生(大阪大)
21 第3部 MassBankのRDF化による知識グラフ構築とスペクトルデータ解釈支援
津川裕司(京都大)
22 第1部 integMET:公共メタボロミクスデータの統合的再解析基盤の構築
早川英介(九工大)
23 第2部 中分子創薬を支援する相互作用データベースMIIDB-AIの構築:立体構造注釈とAI予測の統合
池田和由(理研)
24 第3部 TogoTV feat. TogoVar
森岡勝樹(DBCLS)
25 第1部 沿岸プランクトン群集の長期観測を支える長鎖メタエピゲノミクスデータベースPlanDyO
大林武(東北大)
26 第2部 植物の遺伝子共発現データベースATTED-II v13における共発現条件の解釈支援と植物種間比較
大林武(東北大)
27 第3部 日仏コムギ遺伝資源の活用を加速する共通語彙の構築
竹﨑あかね(農研機構)
28 第1部 MDDB-AI Hub: MDデータの共有と再利用を支えるデータ・モデル基盤の構築
松永康佑(埼玉大)
29 第2部 CGBack: Recovering protein atomistic detail using diffusion models
UGARTE LA TORRE Diego(東京大)
30 第3部 MDDB日本ノード構築に向けたHPCI環境での展開と課題
小林千草(理研)
31 第1部 LLMを用いた生物医学文献アブストラクトからの細胞摂動影響の自動抽出
蓮見正成(理研/筑波大)
32 第2部 細胞レベルの機能・表現型と遺伝子発現を関連付ける「Cell IO」データベースの開発
尾崎遼(理研/筑波大)
33 第3部 微生物のMAGデータの統合データベースMicrobiome Datahub
森宙史(遺伝研)
34 第1部 Human-in-the-Loop型LLMによる都市環境メタデータの品質診断と修正支援:日本国内データでの検証
加藤空(早稲田大)
35 第2部 微生物比較ゲノムデータベースMBGDの大規模ゲノム・メタゲノム解析への適用
内山郁夫(基生研)
36 第3部 ThermusQ: 高度好熱菌丸ごと細胞シミュレーションを目指した知識ベース
土方敦司(東薬大)
37 第1部 CO2を原料とする微生物によるバイオものづくりのプロジェクトにおける情報の統合
仲里猛留(NITE)
38 第2部 特性から微生物種を検索可能とする「微生物選定支援ツール」の公開
大塚梨沙(NITE)
39 第3部 PHi-D: 4Dゲノム状態の理解と可視化を支援するデータベース
新海創也(理研BDR)
40 第1部 JoGo:機能階層を表す470万型のACTGハプロタイプ辞書とJoGo-Nextへの展開
長﨑正朗(九州大)
41 第2部 ロングリードシーケンスを用いたRCCX領域のゲノム構造解析
黒木陽子(NCCHD)
42 第3部 ロングリードアセンブリによる個別化参照ゲノムを用いたがんゲノム解析パイプラインPRCGAPの開発
坂本祥駿(NCC)
43 第1部 利活用クラウド C-CAT CALICO
岡田愛(C-CAT)
44 第2部 JGAデータ加工とTogoImputation
山本謙太郎(GAJ)
45 第3部 TogoVarの拡充:構造多型・JGA寄託データ由来バリアント・スプライスサイト生成バリアント
三橋信孝(DBCLS)
46 第1部 CLAVI:LLM エージェントを用いた意義不明バリアントの文脈的解釈フレームワーク
矢野由絹(NCC)
48 第3部 CaseSharing:GA4GH国際標準に基づく希少疾患症例共有・マッチング基盤
藤原豊史(DBCLS)
49 第1部 NanbyoData:難病情報の継続的更新と機能拡張による難病情報統合基盤
細田正恵(DBCLS)
50 第2部 生成AIによる情報統合型希少疾患診断支援システム「ZebraSeek」の開発と予備評価
吉桑実弥(東京大/DBCLS)
51 第3部 RLMによる症例報告テキストの自動反復アノテーションと品質制御の試み
土肥栄祐(NCNP)
52 第1部 RNA標的創薬のための統合データベースの構築
曽超(早稲田大)
53 第2部 fanta.bio: 転写活性に関わるヒト・マウスゲノム中のシスエレメント領域についてのデータベース
粕川雄也(理研IMS)
54 第3部 ChIP-Atlas: エピゲノミクス統合データベース
沖真弥(熊本大)
55 第1部 TogoSeek: テキストエンベディングを活用した意味検索システム
千葉啓和(DBCLS)
56 第2部 SPARQL検索・LLM解釈による候補集合との照合に基づくKGEマウスモデル候補の後段評価―LLM統合候補評価レイヤーによる確認優先度付け―
櫛田達矢(理研BRC)
57 第3部 RDF Portalの刷新と機能拡張:多様なアクセス手段とAIによる生命科学RDF活用
川島秀一(DBCLS)
58 第1部 TogoMCPがつなぐ生命科学の知識、真のトーゴーへ
山本泰智(DBCLS)
59 第2部 知識統合から知識探索へ ― TogoIDとTogoDX
守屋勇樹(DBCLS)
60 第3部 AIとの対話のかたちを、あなたに合わせる — モデルも分岐もMCPも自由な対話プラットフォーム、AIbranch
金進東(DBCLS)
61 第1部 情報資源運用基盤構築のための圏論的アプローチ
岡愛子(名城大)

※代表発表者は氏名の前に「○」が付きます。

1SSBD: グローバルなバイオイメージングデータ共有基盤

第1部

○糸賀裕弥(理研)、京田耕司(理研)、山縣友紀(理研)、藤澤絵美(理研)、呉宇筝(理研)、山本春菜(理研)、中村智宏(理研)、WEN Chentao(理研)、菅原皓(理研)、大浪修一(理研)

SSBDは、バイオイメージングデータの公開・共有・再利用を支えるデータ基盤として2013年より継続的に運用されてきた。現在は、論文投稿時のデータ公開を支援するSSBD:repositoryと、キュレーションを経て再利用性を高めたデータを提供するSSBD:databaseの2つのサービスを運用している。近年は、画像メタデータの拡充、次世代画像フォーマットへの対応、データ配布基盤、REST APIなどを整備してきた。グローバルな取り組みの成果であるGIDE Searchでは、SSBDと欧州のIDRやBIAなどのバイオイメージングデータベースのメタデータを集約することで、複数のデータベースを横断したデータ検索・発見とともに、それぞれのデータベースにおける画像リソースへのアクセスを実現している。本発表では、SSBDの概要と現在提供している機能を紹介するとともに、海外のデータベースプロジェクトとの協働によるデータ共有基盤の発展と、今後の展望について紹介する。

#バイオイメージ、#データ共有、#メタデータ、#国際連携

2OME-ZarrとRO-Crateによる国際的なバイオイメージングデータ共有基盤の構築と空間オミクスデータ公共リポジトリへの展開

第2部

○京田耕司(理研)、糸賀裕弥(理研)、山縣友紀(理研)、藤澤絵美(理研)、呉宇筝(理研)、中村智宏(理研)、山本春菜(理研)、菅原皓(理研)、大浪修一(理研)

生命科学研究で生み出される画像データは大規模化・多次元化しており、国やリポジトリを越えたデータの発見、アクセス、再利用を可能にする共有基盤の整備が求められている。SSBDでは、日米欧のバイオイメージングデータリポジトリとの連携に向け、画像データ形式にOME-Zarr、メタデータ記述形式にRO-Crateを採用したデータ共有基盤の構築を進めている。OME-Zarrにより大規模画像データの効率的な転送、可視化、解析を可能にし、RO-Crateによりデータ、試料、計測条件、解析結果、論文等の情報を機械可読な形で関連付ける。これらを通じて、複数のリポジトリを横断した検索や、AIを含む計算機によるデータ利用の促進を目指す。さらに、イメージングベースの空間トランスクリプトームを中心とする空間オミクスデータについて、一次データを受け入れ、共有・公開する公共リポジトリの構築に着手した。データ登録、標準形式への変換、高速かつ柔軟な可視化、再解析を支援する機能を整備し、空間オミクスデータの持続的な共有と再利用を目指す。

#SSBD、#OME-Zarr、#RO-Crate、#バイオイメージングデータ、#空間オミクスデータ

3国際的なバイオイメージングデータの相互運用性向上に向けたSSBDオントロジー開発

第3部

○山縣友紀(理研)、京田耕司(理研)、糸賀裕弥(理研)、藤澤絵美(理研)、呉宇筝(理研)、大浪修一(理研)

バイオイメージングデータの国際的な共有と再利用を推進するには、各データベースにおける用語や記述の差異や共通性を把握した上で、画像に付随する生物学的背景やイメージング手法を一貫して解釈できる基盤が不可欠である。我々は、SSBDのメタデータを記述するための参照オントロジーとしてSSBDオントロジーを開発してきた。本オントロジーは、イメージング手法、バイオサンプル、書誌情報をOWL形式で構造化するコア層と、実データセットをRDFで表現するインスタンス層から構成されており、GO、CLO、UBERONといった既存のオントロジーを再利用している。本発表では、SSBDオントロジーの概要を紹介するとともに、foundingGIDEプロジェクトを通じた国際的なデータ相互運用性向上の取り組みから得られた知見を共有する。さらに、オープンサイエンス時代のデータハーモナイゼーションにおけるオントロジーの果たす役割について議論する。

#SSBD、#オントロジー、#国際連携、#相互運用性

4研究データ管理の理解を促進させるポータルサイトの構築

第1部

○大波純一(理研)、南山泰之(東京大)、塩谷昌之(東京大)、増井誠生(NII)、長岡千香子(NII)、古川雅子(NII)

研究データ管理(Research Data Management; RDM)は、研究活動から得られたデータを保存、処理、アクセスするための方法を定義し、実施する一連の活動である。近年、この概念は研究データを社会とどのように共有するべきかという観点から盛んに議論され、欧州ではRDMkitやFAIRcookbookと呼ばれるWebサイトで生命科学分野における具体的な実践方法が共有されている。欧州最大の研究助成プロジェクトであるHorizon EuropeでもRDMkitはガイドラインとして採用されており、適切な研究管理の基準として国際的に認められつつある。この状況を鑑み、本プロジェクトでは日本版RDMkitである「RDMkit-jp」を2023年に公開した。このサイトでは、生命科学分野向けのみならず学術分野全体で利用可能なツールやリポジトリの情報を提供している。加えて、近年はRDM情報の発見性向上とAI可読性向上を目指し、関連文書の収集やRDM固有語彙の分類に着手している。また、学術分野ごとのRDMのベストプラクティスや需要を調査するため、現場の研究者へのヒアリングを行っており、調査結果について共有していく予定である。

#RDM、#オープンサイエンス、#FAIR原則

5遺伝子材料リソースの情報発見性向上のためのカタログ環境整備

第2部

○岸川昭太郎(理研BRC)、大波純一(理研BRC)、笹沼俊一(理研BRC)、野﨑晋五(理研BRC)、中島謙一(理研BRC)、久次米夕佳里(理研BRC)、村田武英(理研BRC)、三輪佳宏(理研BRC)

理化学研究所バイオリソース研究センター(BRC)では、文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクト (NBRP) の中核機関としてリソースの提供事業を行っている。この中の遺伝子材料開発室(DNA Bank)では、各種生物のゲノムライブラリや可視化レポーターとして利用可能な発現ベクター、ゲノム編集及び遺伝子導入用プラスミドクローン等をDNAリソースとして提供している。提供中の数万件のリソース情報はカタログとして整理され、Webデータベースから検索可能である一方、メタデータ語彙やリソース分類の階層関係が統一されておらず、情報の発見性が課題となっていた。そこで近年、カタログ表示の見直しを進め、環状DNAの遺伝子構造を示すGeneMap画像の付与や、検索用辞書データの搭載を実施し、DNAリソースを使う実験研究者が探しやすいよう更新を行っている。さらに精製済みで実験に利用しやすい「Ready to Use Maxi」と呼ばれる高品質・大容量プラスミドの提供も開始し、現場に寄り添うリソース開発と配布を実施している。

#バイオリソース、#遺伝子材料、#カタログデータベース、#Ready to Use Maxi

6国際協調に基づく3つの質量分析データリポジトリー ―メタデータ標準化とバリデーションに基づく統合を目指す

第3部

○高橋悠志(新潟大)、吉沢明康(新潟大)、松田史生(大阪大)、木下聖子(創価大)、石濱泰(京都大)、奥田修二郎(新潟大)

近年、大規模言語モデル(LLM)をはじめとするAI技術の急速な発展に伴い、生命科学においても公開データを活用した大規模統合解析やAIによる知識発見への期待が高まっている。このようなデータ駆動型研究を支えるためには、実験データそのものだけでなく、その取得条件や解析条件を記述した高品質なメタデータを含めてFAIR原則に従って共有することが不可欠である。
我々はこれまで、プロテオミクスのjPOST、グライコミクスのGlycoPOST、メタボロミクスのMB-POSTという3種類の質量分析データリポジトリを開発・運用してきた。jPOST、GlycoPOSTが公開後国際展開する中、3 つ目の国際リポジトリとして開発されたMB-POSTは一般公開後、研究コミュニティから継続的にデータ登録を受け付けており、3リポジトリはそれぞれの分野における研究データ共有基盤として機能し始めている。
一方、公開データの再解析を進める中で、実験メタデータの記述品質が解析効率や再利用性を大きく左右することが明らかになってきた。この課題に対応するため、我々はJPDM(Journal of Proteome Data and Methods)のデータ記述仕様を国際標準SDRFへ対応させたjeSDRFの整備を進めるとともに、その記述内容を自動検証するバリデーションシステムを開発している。これにより、投稿時点でメタデータ品質を保証し、リポジトリ間の相互運用性や大規模自動再解析を促進することを目指している。
本発表では、3つの質量分析データリポジトリの最近の運用状況を紹介するとともに、メタデータ標準化、バリデーション、さらにAI時代のデータ駆動型生命科学を支える情報基盤としての今後の展望について紹介する。

#データリポジトリ、#質量分析、#メタデータ

7HUPO-PSI標準小分子質量分析定量結果報告用データフォーマット mzTab-M のAIを活用したデータ拡充とその利用

第1部

○西田孝三(理研)、TOMÈ Gabriele(Eurac Research)、RAINER Johannes(Eurac Research)、YUREKTEN Ozgur(EMBL-EBI)、福島敦史(京都府立大)、津川裕司(京都大)、早川英介(九工大)、LOUAIL Philippine(Eurac Research)、HOFFMANN Nils(Forschungszentrum Jülich GmbH)

mzTab-M は、HUPO-PSI が策定した小分子(メタボローム)質量分析の定量結果を報告するための標準データフォーマットである。メタデータ(MTD)、要約定量値(SML)、フィーチャー(SMF)、同定根拠(SME)の各セクションをタブ区切りの単一ファイルに収め、定量値とその同定根拠、実験デザインを機械可読な形で一体的に記述できる点に特徴がある。しかし公共リポジトリに登録される代謝物データの多くは依然として装置やソフトウェア固有の形式であり、再解析やスタディ横断のメタ解析には多大な前処理を要する。mzTab-M はこの障壁を取り除き、データの再利用性と相互運用性を高める鍵となる標準である。
筆者は HUPO-PSI mzTab ワーキンググループの一員として、mzTab-M 形式のデータそのものを増やすことと、その活用事例を世に広めることに取り組んでいる。具体的には、MetaboLights に登録された公開データや理化学研究所内の非 mzTab-M データを対象に、R パッケージ RmzTabM (https://github.com/rformassspectrometry/RmzTabM) と AI コーディングエージェントを併用した変換を進めるとともに、標準化されたデータを前提とするアプリケーションの開発を行っている。
本ポスターでは、この変換の手順と実務上の留意点を紹介する。さらに応用例として、(1) 異なるリポジトリの異なるスタディ間で発現変動傾向の類似性ネットワークを構築し、そのグラフエンベディングを解析する試み、(2) 代謝パスウェイ情報との統合と Cytoscape を用いた可視化パイプライン、の二つを示す。mzTab-M を共通基盤とすることで、個別スタディに閉じない横断的な解析が現実的になることを示したい。

#糖標準化、#メタボロミクス、#質量分析、#データベース

8多様な糖鎖データをつなぐ標準化とデータベース統合への取り組み

第2部

○松原正陽(野口研)、山田一作(野口研)

糖鎖に関する情報は、化学構造、組成、質量分析、立体構造、生物学的機能など多岐にわたり、それぞれ異なる分野のデータベースや解析環境に蓄積されている。これらを横断的に利用するためには、糖鎖構造を一貫して表現・識別するための標準化と、異なるデータ資源間で情報を対応付ける仕組みが必要である。私たちは、糖鎖構造表記WURCSを基盤として、糖鎖データベース間の連携、化学構造データベースとの対応付け、構造情報の変換を進めてきた。また、化学構造から変換したWURCSの妥当性を確認し、データベース間で対応付け可能な構造を選別するため、構文検証、変換前後の構造比較、糖鎖らしさに基づくフィルタリングなどの解析手法とツールを開発している。本発表では、これらの取り組みを例に、多様な糖鎖データを接続する際に生じる構造表現の差異、曖昧性、データ品質、対象範囲の定義といった課題を整理する。さらに、標準形式や共通識別子を介した連携が、既存データの再利用、データ品質の向上、異分野の解析結果の統合にどのように寄与し得るかを紹介し、今後の糖鎖情報基盤の方向性について議論する。

#糖鎖情報科学、#WURCS、#データ標準化、#データベース統合、#相互運用性

9プロテオミクスデータにおけるlog2FC空間の構造的特徴

第3部

○西崎愛花(北里大)、荒木令江(熊本大)、河野信(北里大)

近年、質量分析を用いたプロテオミクスでは、Tandem Mass Tag(TMT)による多重化定量データが広く利用されている。これらは参照サンプルに対する相対値である log2 fold change(log2FC)として扱われることが多いが、参照サンプルの変動や欠損構造の影響を受け、分布シフトや外れ値、符号不一致などの特徴的なアーティファクトが生じる可能性がある。一方、従来の品質管理(QC)は主としてタンパク質方向の評価に依存しており、実験条件単位の品質を体系的に評価する手法は十分ではない。本研究では、log2FCデータを対象とした実験条件単位の多指標QCスコアリング手法を開発した。タンパク質方向の品質フィルタリング後、欠損率、逆符号頻度、外れ値頻度、順位構造の一貫性、中央値シフトなど複数の指標を算出し、ロバスト標準化により0~20の連続QCスコアへ統合した。さらに、合成データおよびCPTAC公開プロテオミクスデータへの適用を通じて、本手法が実験条件ごとの品質特性を多面的に評価できることを確認した。以上より、本手法はlog2FCデータに特有の構造的異常を検出するQC手法として、公開プロテオミクスデータの品質評価に有用であると考えられる。

#プロテオミクス、#Tandem Mass Tag(TMT)、#品質管理(QC)、#log2 fold change(log2FC)

10UniScoreを用いるjPOST-PTM再解析への展開

第3部

○石濱泰(京都大)、小形公亮(京都大)、西田紘士(京都大)、榮川理子(京都大)、藤田雄一郎(京都大)、田畑剛(MassSoft)

jPOST再解析でのUniScoreを用いたPTM解析、特に修飾サイトの局在位置同定法について報告する。リン酸化修飾では、b、yイオンで修飾サイトを確実に挟み込むことで同定の信頼性を大幅に向上させた。また、N-末端アセチル化修飾において特徴的に出現するb1イオンに着目し、これまで同定が困難であった非典型タンパク質の同定精度を高める手法を確立した。本手法による高信頼度翻訳後修飾解析について概説する。

#プロテオミクス、#翻訳後修飾、#修飾部位局在位置同定

11実運用に基づくプロテオームデータ管理システムのメタデータ設計と外部リポジトリ連携

第2部

○小池仁美(理研)、東裕介(理研)、前田真秀(理研)、小松輝久(理研)、鈴木健裕(理研)、大月香(理研)、中川れい子(理研)、堂前直(理研)、宮坂信彦(理研)、清水義宏(理研)、俣賀宣子(理研)、高橋悠志(新潟大)、吉沢明康(新潟大)、奥田修二郎(新潟大)、大浪修一(理研)

プロテオミクスデータの再利用や統合解析を促進するためには、測定データだけでなく、試料情報や解析条件を標準化されたメタデータとして管理することが重要である。一方で、多様な試料や解析手法に対応しながら入力負担を抑え、将来的なデータ連携にも対応可能なメタデータ設計が求められている。本研究では、複数のファシリティで運用しているデータ管理システムを対象に、実運用を通じて得られた知見をもとにメタデータ設計の改善を進めた。計測機器や解析ソフトウェアから取得可能な情報を活用し、入力支援やメタデータの半自動取得により入力負担の軽減とデータ品質の向上を図るとともに、多様な試料や解析データに対応可能なメタデータ設計およびシステムの改良を進めている。また、認証・アクセス制御やバックアップ環境を整備し、複数拠点での継続的な運用基盤を構築した。さらに、本年度は、jPOSTチームが整備したセキュアなデータ転送環境および専用のプロジェクト管理コマンドを用いた通信テストを実施した。また、連携に向けたメタデータ変換の基本方針および運用方法について整理を進めた。今後は、実データを用いた検証および運用ルールの策定を進め、システムへの実装につなげる予定である。本発表では、実運用から得られたメタデータ設計の知見と、外部リポジトリとの相互運用性向上に向けた取り組みについて報告する。

#DX、#メタデータ、#研究データ管理、#データ共有、#プロテオミクス

12タンパク質末端特化型データベース「EdgeProt」の開発

第3部

○松本雅記(新潟大)、高見知代(新潟大)、幡野敦(新潟大)、奥田悠世(北里大)、小林大樹(新潟大)、高橋悠志(新潟大)、吉沢明康(新潟大)、守屋勇樹(DBCLS)、田畑剛(京都大)、岩崎未央(京都大)、杉山直幸(国循)、田中聡(Trans-IT)、荒木令江(熊本大)、五斗進(DBCLS)、河野信(北里大)、奥田修二郎(新潟大)、小寺義男(北里大)、石濱泰(京都大)

タンパク質のN末端およびC末端領域は、細胞内局在、安定性制御、タンパク質成熟化などに重要な役割を担う。しかし既存のデータベースは標準的な翻訳産物を前提としており、非AUG開始コドン、上流オープンリーディングフレーム(uORF)、翻訳後プロセシングなどに起因する末端多様性を体系的に扱うものは少ない。本研究では、これらの情報を包括的に収録するタンパク質末端特化型データベース「EdgeProt」を開発した。EdgeProtはEnsemblアノテーションを基盤とし、N末端・C末端プロテオーム解析データ、RiboSeq解析データ、Signal peptide / Transit peptide / Propeptide情報、Kozak配列スコアなどを統合して収録した。これにより、翻訳開始点候補、翻訳産物の存在、タンパク質末端形成に関する情報を関連付け、統合的に検索・参照できる環境を構築した。本データベースは、非典型翻訳産物の同定、成熟タンパク質N末端形成機構の解析、新規ORFの機能解析を支援する基盤として活用できる。さらに今後は、蓄積したN末端・C末端プロテオーム解析データを活用した機械学習により、翻訳開始点の妥当性を予測するスコアリング機能を開発し、データベースの予測性能および有用性の向上を図る予定である。

#terminal of proteins、#non-AUG start codons、#uORF、#processing

13蛋白質構造データバンクのデータ駆動型研究基盤への拡張

第1部

○栗栖源嗣(大阪大)、BEKKER Gert-Jan(大阪大)、長尾知生子(金沢大)、工藤高裕(PRF)、山下鈴子(大阪大)、横地政志(大阪大)

蛋白質構造データバンク(Protein Data Bank:PDB)は蛋白質や核酸、糖鎖などの生体高分子の原子分解能の構造情報を集めた世界で唯一のデータアーカイブであり、2026年8月時点で25万件を超える構造データを提供している。これらの構造情報は、生命科学分野における生命現象の理解のみならず、医学・薬学、農学分野におけるイノベーションにも大きく貢献している。PDBjは、国際的組織であるwwPDBの一員として、共通した品質管理によるデータ登録とダウンロードサイトの運営を担うとともに、データベースへの登録と利用促進を目的とした独自のサービスやツールの開発・公開を行なっている。
本発表では、公開を完了したUniProtおよびPubChemをベースとした統合利用ポータルについて紹介する。本ポータルでは、構造情報を他のデータベースと統合的に利用できるほか、PDBデータの品質管理のための検証レポートを利用した独自の構造ランキングや選抜データセットのダウンロード機能なども提供している。このサービスは、構造生物学に限らず他分野の研究者による構造情報の活用を促進し、あわせて深層学習などのデータ駆動型研究への応用を推進する。

#蛋白質構造情報、#NMR実験情報、#検証レポート、#統合ポータル、#選抜データセット

14蛋白質構造データベースPDBjにおけるOneDepおよびデータインの最新動向

第2部

○于健(大阪大)、BEKKER Gert-Jan(大阪大)、横地政志(大阪大)、岩田武史(大阪大)、丹羽智美(大阪大)、池川恭代(大阪大)、多久和綾子(大阪大)、栗栖源嗣(大阪大)

日本蛋白質構造データバンク(PDBj)は、2000年より大阪大学蛋白質研究所において蛋白質立体構造データの登録事業を開始し、現在はwwPDBメンバーの一員として主にアジア地域からの登録を担当しています。正確なデータキュレーションおよび構造情報の品質評価を実施し、2026年8月までにwwPDB全体で25万件を超えるエントリを収録し、高品質なデータアーカイブの構築と構造情報を利用する研究・産業分野への貢献を進めています。
PDBjでは、X線回折、クライオ電子顕微鏡、NMRデータについて、それぞれXRDA、EMPIAR-PDBj、BMRbigなどのサービスを通じて関連データの収集・公開を推進しています。最近の更新として、構造登録システムOneDepおよびPDBjデータインでは、検証レポートに新たな構造評価指標が導入され、構造情報の品質評価機能が強化されています。NMR構造登録に必要な実験データの標準化と登録の円滑化を目的としたNMRデータ変換サービスを構築しました。この変換サービスは、PDBおよびBMRBにおける登録・アノテーション作業の効率化に今後広く活用される見込みです。また、PDBjではオンラインで利用可能なmmCIF Editorを提供しています。さらに、将来的な拡張PDB IDへの移行に向けてPDBベータアーカイブが提供されており、拡張性およびスケーラビリティを考慮した構成のもと、すべてのファイルは拡張PDB IDに基づいて再編成されています。本発表では、PDBjの活動概要とOneDepおよびPDBjデータインにおける最新の取り組みについて報告します。

#蛋白質立体構造、#PDBj、#OneDep、#データイン、#拡張PDB ID

15アレルゲン性予測データベースの構築に向けたタンパク質言語モデルの開発と予測根拠の可視化

第3部

○近藤一成(昭和女子大/NIHS)、橋本莉奈(昭和女子大)、白石萠花(昭和女子大)、立石ゆう(昭和女子大)、永渕優菜(昭和女子大)、成田桜(昭和女子大)、春山しおり(昭和女子大)

ゲノム編集食品等バイオテクノロジーの進展に伴い、新規タンパク質のアレルゲン性評価の重要性が高まっている。現在、2001年のFAO/WHO専門家会議で提案された、既知アレルゲンとの80残基中35%以上の配列同一性が指標として用いられているが、次世代評価法の確立が求められている。近年、ESM-2などのタンパク質言語モデルで高い予測性能が報告される一方、多くはランダムK-fold分割で評価され、類似配列によるデータリーケージと未知タンパク質への汎化性が課題である。そこで我々は、Allergen Online等から収集したアレルゲン配列について、重複除去、UniProtおよびSignalPを用いたN末端シグナル配列の除去、4~20残基の短い部分配列の除外を行い、生物学的妥当性を考慮した独自データセットを構築した。さらに、ProtT5とESM-2を融合した予測モデルを作成し、生物種カテゴリー単位のLeave-One-Category-Out Cross-Validationにより汎化性能を検証した。また、Integrated Gradients法およびin silico mutagenesis法により、予測に寄与する残基や配列領域の可視化を試みた。本発表では、データセット構築、評価設計、予測根拠の可視化に関する検討を紹介する。今後は、従来から運用しているアレルゲンデータベースADFSの知見も活用し、新たな予測システムとWebデータベースの構築を目指す。

#タンパク質言語モデル、#アレルゲン予測、#可視化、#機械学習の説明性

16DNA塩基配列関連メタデータ検索システムDDBJ Searchの刷新

第1部

○藤澤貴智(遺伝研)、荒武(遺伝研)、児玉悠一(遺伝研)、末竹裕貴(Sator)、小野田智(Yohak)、大石直哉(dogrun)、有田正規(遺伝研)

DDBJが参画する国際塩基配列データベース連携(INSDC)は、生命医科学研究をより深くサポートするために、配列データに関連する様々なメタデータを種別ごとに維持・管理するインフラや標準づくりに注力してきた。それらメタデータは、大規模な塩基配列データを分類・選別してゲノム医療やバイオものづくりに役立てるのに必要なだけでなく、来歴や地理情報をたどって環境モニタリングや生物資源の保全に活かすなど、様々な二次データベースの基盤となっている。
DDBJの提供する検索システム(Search)は、これまで INSDCが管理するBioProject、BioSampleなどのメタデータ、次世代シークエンス配列(SRA)の付随情報を対象としてきた。しかし近年はマルチオミックスの研究が急増し、ヒト個人ゲノム情報データベース(JGA)の関連情報、DNAチップやRNA-Seqなどによる遺伝子発現量(GEA)、メタボロミクス情報(MetaboBank)を含めた統合検索が必要とされている。そこで、検索システム全体を刷新し、データ自体も整備して、より高度なサービスを提供できるSearchを公開した。具体的には、バックエンド処理の効率化によるデータ更新速度の改善、APIの改良による検索機能の拡充、画面構成の整理と再構築による表示機能の改善を実現したので紹介する。

#BioProject、#BioSample、#JGA、#GEA、#MetaboBank

17大規模言語モデルを用いた BioSample データベースメタデータの品質向上

第2部

○池田秀也(DBCLS)、末竹裕貴(Sator)、大田達郎(千葉大/DBCLS)

BioSample は、実験に用いられた生物学的サンプルに関するメタデータを蓄積する公共データベースである。メタデータの記述方法の多くは投稿者の裁量に委ねられているため、同一の実験条件であっても投稿者によって異なる表現が用いられることが多く、データの再利用性を低下させる要因となっている。我々はこの問題に対処するため、ローカル環境で動作する大規模言語モデル (LLM) を用いてメタデータを解釈し、細胞株、疾患、ノックアウト遺伝子などの概念を表す文字列を抽出し、対応するオントロジータームへマッピングするシステムを開発した。マッピングの正確性の評価は、細胞株サンプルを対象としたマッピングを定義した正解データセットを作成して行った。さらに、マッピングの正誤判定や誤答の分類についても LLM を使用する手法の検討も進めている。これにより、マッピング対象の概念を拡大した場合の正解セット作成の手間を軽減しつつ、誤りを減らすことを目指している。
実行条件を最適化した結果、現在では NVIDIA H200 GPU を 8 基用いることで、1週間当たり 100 万件を超えるサンプルを処理可能となった。今後は、マッピング結果を検索可能なインターフェースを通じて公開する予定である。また、マッピング結果を活用したサンプル統計情報の可視化システムについても開発を進めている。

#LLM、#メタデータ、#キュレーション、#可視化

18MassBank In silico: 低分子化合物の構造アノテーションツール

第3部

○鳥越大平(大阪大)、早坂亮祐(慶應大)、髙橋政友(大阪大)、廣瀬泰樹(京都大/農工大)、秦康祐(大阪大)、津川裕司(京都大/農工大)、平山明由(慶應大)、松田史生(大阪大)、和泉自泰(大阪大)

近年,LC/MSを基盤としたメタボロミクスの発展により,数千種類の代謝特性が観測できるようになった.しかし,検出された代謝特性の80–90%は未同定のままである.この問題に対処するため,我々は複数の構造アノテーションツールを統合したアンサンブル型アノテーションパイプラインを開発した.当該パイプラインは,先行研究のツールMetFrag,MS-FINDERおよびSIRIUS (Ver. 6) を用いて,多数決で構造アノテーションする.解析環境はWSL2上のUbuntuに構築し,Python 3.11.5を用いて実装した.現在,本パイプラインを用いてヒト由来試料から検出された未知分子イオンピークに構造情報を付与し,その結果をMassBank HumanとしてWeb上で公開している.さらに,先行研究のアノテーションツールの利点を統合した新たな構造アノテーションフレームワークとして,MassBank in silicoを開発した.MassBank in silicoは,以下の3つのスコアに基づいて未知分子イオンピークに対し,構造アノテーションする.1. 実測したMS/MSスペクトルから検出されたニュートラルロスの情報と構造候補の部分構造の照合.2. 構造候補のSMILESから算出したフラグメンテーションパターンとMS/MSスペクトルの結合乖離エネルギーや質量許容誤差などに基づく照合.3. 実測したMS/MSスペクトルへのin silico fragment割り当て率.現在,MassBank in silicoは,web appとして公開されている.現在,先行研究の構造アノテーション方法とMassBank in silicoの性能を比較するベンチマーク試験を進めている.

#MassBank、#Structural annotation、#In silico MS/MS prediction

19ノンターゲットメタボローム解析データの利活用に向けたMassBank Humanの開発

第1部

○早坂亮祐(慶應大)、鳥越大平(大阪大)、髙橋政友(大阪大)、和泉自泰(大阪大)、平山明由(慶應大)、松田史生(大阪大)

あらかじめ標的代謝物質を決めないノンターゲットメタボローム解析を実施する際、MassBank (https://massbank.jp/) などの標準化合物を用いて測定されたマススペクトルライブラリーと照合し、代謝物質の同定を行う。MassBankは、20,000種類以上の標準化合物から取得されたマススペクトルデータが掲載されているものの、ノンターゲット解析にてヒットする代謝物質は1割程度に限られ、残念ながら多くは未知ピークとして扱われる。未知ピークのアノテーションを行うにあたり、過去の検出例があれば、同定につながる可能性がある。そこで、我々は、生体サンプルにおける過去の検出例がわかるマススペクトルライブラリー (MassBank Human) の構築及びMassBankレコードの拡充を進めている。MB-POST (https://repository.massbank.jp/) をはじめとする公共のメタボロームデータリポジトリより、ヒトを中心とした生体サンプル由来のLC-MSのデータ依存型取得 (DDA) データを取得し、平均化することで高品質かつ高精度なマススペクトルを作成した。そのマススペクトルに対し、MassBank in silicoを用いてアノテーションを行った。本研究で作成されたアノテーション済みレコードは、MassBank HumanのHP (https://human.massbank.jp/) 及びGitHub (https://github.com/Shin-MassBank/MassBank-Human) にて公開しており、MS-DIALやMS-FINDERをはじめとするMassBank フォーマットに対応したソフトウェアで解析可能である。本発表では、その進捗状況や活用例を報告したい。本研究は、JST統合化推進プログラム、シン・マスバンクプロジェクト (https://shin.massbank.jp/) の一環として実施した。

#メタボローム解析、#スペクトルライブラリー、#アノテーション

20次世代低分子マススペクトルデータベース シン・マスバンクの構築

第2部

○松田史生(大阪大)、奥田修二郎(新潟大)、津川裕司(京都大)、平山明由(慶應大)、和泉自泰(大阪大)

MassBankに生体由来スペクトルを集積していくための解析パイプライン、Shin-MassBankを構築する。生データリポジトリのMB-POST、ヒトおよびマウス由来の高品質なマススペクトルを収載したMassBank Human、予測マススペクトルを収載したMassBank in silicoをMassBank RDFとともに新たに構築し、高品質な実測マススペクトルをMassBankに蓄積していく体制を構築している。ユーザー主導の開発体制で、生命科学研究者などのユーザーニーズを満たす次世代データベースを構築していく。

#メタボロミクス、#データベース、#スペクトル

21MassBankのRDF化による知識グラフ構築とスペクトルデータ解釈支援

第3部

○津川裕司(京都大)、岡昂輝(農工大)、小川誠寛(農工大)、亀谷優歩(京都大)、松沢佑紀(京都大)

質量分析を用いたメタボロミクス研究では、未知代謝物の構造推定と生物学的解釈が依然として大きな課題である。本研究では、低分子化合物のマススペクトルデータベースMassBankをRDF化し、複数の生命科学データベースと意味的に連携可能な知識グラフ基盤を構築した。これにより、未知MS/MSスペクトルから共通フラグメントパターンを抽出し、MassBank RDFを用いて候補化合物を検索するとともに、InChIKeyを介して化合物構造、生物種、生理活性、毒性などの関連メタデータを取得することが可能となった。さらに、これらの情報と分析条件、試料情報、発現変動を大規模言語モデルに入力し、候補化合物の再順位付け、スペクトルの生物学的解釈、次の検証実験の提示を行う枠組みを設計した。植物メタボロームの分子ネットワークに適用した結果、84クラスター中61クラスターへメタデータを付与でき、未知クラスターについても共通フラグメントと既知化合物情報に基づく解釈が可能となった。本基盤は、スペクトルデータの再利用価値を高め、未知代謝物解析を支援するデータエコシステムとして有用である。

#MassBank、#RDF、#LLM

22integMET:公共メタボロミクスデータの統合的再解析基盤の構築

第1部

○早川英介(九工大)、西田孝三(理研)、高橋みき子(理研)、古賀優将(九工大)、松田りら(HMT)、山本博之(HMT)、河野信(北里大)

公共リポジトリには膨大なメタボロミクスデータが蓄積されている一方、研究ごとにデータ形式や比較条件が異なるため、横断的な再利用は十分に進んでいない。integMETでは、公開研究の分析データを群間比較単位で整理し、「どの生物学的変化において、どの代謝物が増減したか」を示すDifferential Profileへ変換・統合した。これにより、個々の代謝物が疾患、発生、薬剤応答、環境変化など多様な現象でどのように変動するかを研究横断的に探索できる。また、Differential Profile間の類似性比較やネットワーク可視化を通じて、異なる研究に共通する代謝応答や、リポジトリ全体に潜在する変動傾向を発見できる情報基盤を構築した。さらに、各研究の生物種、疾患、処理条件、分析手法などの多様な背景情報を構造化し、公開データの横断的な再解析や新たな生物学的知見の発見に活用できる基盤とした。

#メタボロミクス、#代謝物、#データ統合

23中分子創薬を支援する相互作用データベースMIIDB-AIの構築:立体構造注釈とAI予測の統合

第2部

○池田和由(理研)、永江翼(産総研)、清水祐吾(理研)、富井健太郎(産総研)

中分子創薬は、低分子薬と抗体薬の中間を埋める重要な創薬モダリティであり、タンパク質間相互作用など、従来は創薬が困難であった標的への展開が期待されている。一方、活性、標的、立体構造および相互作用に関する情報は不足し、複数の情報リソースに分散しているため、統合的な検索・解析が困難であった。本研究では、中分子–標的相互作用を統合する情報基盤「MIIDB-AI」を開発し、検索、詳細表示、3D可視化機能を整備した。また、立体構造情報に基づいて中分子と近傍ポケット残基を抽出し、UniProt等の外部データベースとの対応情報を含む構造ベースのポケット注釈を付与した。
また、実験複合体構造が存在しない中分子–標的ペアについては、AIを用いて複合体構造と親和性を予測し、実測情報と区別した上で評価情報を付与し、採用基準を満たす結果をデータベースへ段階的に統合する方針とした。実測情報、立体構造情報およびAI予測情報を一体的に提供することで、実験構造の範囲を超えた網羅的なデータ利用を可能とし、データ駆動型中分子創薬を支援する基盤を構築した。

#中分子創薬、#相互作用データベース、#立体構造情報、#構造予測、#親和性予測

24TogoTV feat. TogoVar

第3部

○森岡勝樹(DBCLS)、三橋信孝(DBCLS)、佐久間桂子(DBCLS)、箕輪真理(DBCLS)

TogoTV ではこれまで 2,000 を超える動画を公開し、延べ1万人を超えるチャンネル登録者数を維持してきた。本発表では我々のフラッグシップサービスの一つである TogoVar のユースケース動画を制作する現場の情報を共有し、多くのDB、アプリケーション開発者の方にTogoTVで動画を公開するためのきっかけを提供する。

#データベース開発、#プロモーション、#サイエンスコミュニケーション、#YouTube

25沿岸プランクトン群集の長期観測を支える長鎖メタエピゲノミクスデータベースPlanDyO

第1部

○大林武(東北大)、藤井豊展(東北大)、北村茜(東北大)、青木裕一(東北大)、熊野岳(東北大)、池田実(東北大)

沿岸海洋生態系が環境変化にどのように応答するかを理解するには、生物群集の構成変化だけでなく、群集を構成する生物の機能や生理状態が環境条件に応じてどのように変化するかを捉える必要がある。我々は、沿岸海洋生態系のプランクトン群集を対象に、長鎖メタエピゲノミクスによる定期観測を2024年に開始した。これまでに女川湾、石巻湾、陸奥湾の約100サンプルを解析し、その結果をPlanDyOデータベースとしてWPI-AIMEC内に公開している。PlanDyOでは、長鎖リードのアセンブリ、分類群組成、推定遺伝子機能、DNAメチル化パターンに加え、CTD観測値、細胞数を含むフローサイトメトリーデータ、顕微鏡画像を試料ごとに対応付けて閲覧できる。これらの異質な情報を統合することで、群集組成、推定機能、DNAメチル化パターン、細胞数と環境条件との関係を横断的に検討できる研究基盤を構築している。現在、一般公開に向けて解析結果の精度検証を進めている。

#沿岸生態系、#プランクトン、#メタゲノム、#エピゲノム

26植物の遺伝子共発現データベースATTED-II v13における共発現条件の解釈支援と植物種間比較

第2部

○大林武(東北大)

植物の遺伝子共発現データベースATTED-II [atted.jp] は、公共の遺伝子発現データから遺伝子間の共発現関係を導出し、遺伝子機能の推定や候補遺伝子の絞り込みを支援する。公共データを用いた共発現解析では、サンプルとなる組織や環境条件の偏りが共発現関係に影響するため、その背景にある条件を把握することが、共発現関係の解釈や種間比較に重要となる。version 13では、共発現情報を提供する植物を19種20系統に拡張するとともに、共発現関係を生物学的な条件と結び付けて解釈する機能を強化した。具体的には、RNA-seqサンプル条件を主成分分析に基づいて可視化するCoexViewerおよびPC Viewを高度化し、各主成分に関連する遺伝子群のKEGG濃縮解析結果と代表的なサンプルのメタデータを大規模言語モデルで統合的に要約することで、共発現関係がどのような組織や環境条件に対応するかを把握しやすくした。一方、全遺伝子のマップだけでは、局所的な共発現構造を種間で比較しにくい。さらに、全遺伝子を対象とするCoexMapに加えて、細胞内局在ごとの共発現マップを導入し、遠縁の植物種間でも機能モジュール単位で共発現構造を比較できるようにした。これらの機能により、モデル植物で蓄積された遺伝子ネットワーク情報を、主要作物や非モデル植物の遺伝子機能解析に活用するための基盤を提供する。

#遺伝子共発現、#非モデル植物、#トランスクリプトーム、#パスウェイ

27日仏コムギ遺伝資源の活用を加速する共通語彙の構築

第3部

○竹﨑あかね(農研機構)、鐘ヶ江弘美(農研機構)、MICHOTEY Celia(INRAE)、POMMIER Cyril(INRAE)

気候変動によるコムギ生産の不安定化を背景に、未利用遺伝資源を活用した、環境適応性の高い品種育成が急務となっている。各々1.6万点以上のコムギ遺伝資源を保有する日本とフランスにおいても、気候変動下での安定生産に向けて、相互の遺伝資源を活用した育種の強化が求められている。両国が保有する遺伝資源の重複は少なく、連携によって、育種に利用可能な遺伝的多様性が大幅に拡大することが期待できる。一方、日仏の遺伝資源データは独自のデータ形式で管理されてきたため、双方の遺伝資源を横断的に探索し、有用な育種素材を効率的に選定することが困難であった。そこで、農研機構とINRAEは2024年より共同研究を開始し、まず、遺伝資源データにおけるコムギ形質項目の標準化に取り組んできた。これまでに、形質項目を統制するための共通語彙を開発し公開した。また、並行して、語彙の翻訳や形質項目の対応付けにより共通語彙の構築を支援するツールのプロトタイプを開発した。本ポスターでは、共同研究の成果と開発状況を紹介する。

#共通語彙、#コムギ形質、#遺伝資源、#育種

28MDDB-AI Hub: MDデータの共有と再利用を支えるデータ・モデル基盤の構築

第1部

○松永康佑(埼玉大)、小林千草(理研)、杉田有治(東京大)

分子動力学(MD)シミュレーションは、生体分子の「動き」を原子レベルで捉え、静的構造だけでは見えない機能理解や創薬標的探索に役立つ。一方、大規模なMDデータは研究室ごとに個別管理され、標準的な登録・共有・再利用の基盤が十分に整っていない。また、MDを高速に代替するサロゲートモデルの開発には、ML-Readyな訓練データと、性能を公平に比較するベンチマークが必要である。そこで本課題では、欧州のMolecular Dynamics Data Bank(MDDB)と連携し、日本・アジア太平洋地域の拠点となるMDDB-AI Hubの構築を進めている。本基盤は、実験研究者にはWeb上での動態閲覧・解析を、計算科学者にはMDデータの標準的な登録・公開を、AI研究者には訓練データ、学習済みモデルと評価基盤を提供する。これまでに、MDDBのローカルテストベッドを構築し、Docker環境でのデータ登録・閲覧、新たなトラジェクトリ可視化機能を検証した。さらに、HPCI共用ストレージへの試験展開と、MDサロゲートモデルの評価指標・暫定リーダーボードの設計を進めている。本発表では、研究構想、基盤設計、現在の進捗と今後の展望を報告する。

#分子動力学シミュレーション、#MDデータベース、#MDDB-AI Hub、#MDサロゲートモデル、#訓練用データセット

29CGBack: Recovering protein atomistic detail using diffusion models

第2部

○UGARTE LA TORRE Diego(東京大)、杉田有治(東京大)

粗視化分子動力学 (CG MD) は、原子レベルの自由度を削減することで、大規模な生体分子系を長時間にわたり効率的に計算できる。一方、粗視化に伴って側鎖配置や局所的な立体化学などの原子情報が失われるため、詳細な構造解析や全原子分子動力学 (AA MD) への接続には、CG構造からAA構造を復元するバックマッピングが必要となる。CGBack は、拡散確率モデルとグラフニューラルネットワークを組み合わせた生成型バックマッピング手法であり、単一タンパク質から高密度な多分子凝集体まで、多様で大規模なCG系を対象とする。生成後には、結合長・結合角、立体衝突、環の貫通、キラリティーなどを検査・修正する統合リファインメントを行い、物理的に妥当なAA構造を構築する。既存手法との比較では、構造精度と大規模系への適用性の両面で良好な性能を示した。CGBack をMDDB-AI HUBに導入することで、登録されたCG MDデータをAA表現へ変換し、詳細解析、AA MDによる精密化、再重み付け、自由エネルギー解析などへ展開できる。

#粗視化分子動力学、#バックマッピング、#拡散モデル、#MDDB-AI HUB

30MDDB日本ノード構築に向けたHPCI環境での展開と課題

第3部

○小林千草(理研)、金山秀智(理研)、原田浩(理研)、甲斐俊彦(理研)、杉田有治(東京大/理研)、松永康佑(埼玉大/理研)

分子動力学(Molecular Dynamics: MD)は、ニュートンの運動方程式に基づいて原子・分子の運動を計算する手法であり、生命科学分野では生体分子の構造や機能の解析に広く利用されている。一方、シミュレーションデータは各研究室で個別に管理されることが多く、共有・再利用の基盤は十分に整備されてなかった。
Molecular Dynamics Data Bank(MDDB)は、欧州を中心に開発が進められているMDシミュレーションデータ共有基盤である。本研究では、日本・アジア地域におけるMDDBノードの構築を目指し、HPCI(High Performance Computing Infrastructure)共用ストレージを活用した展開を進めている。
これまでに、MDDBのローカルテストベッド環境を構築し、Dockerコンテナ群の展開やデータ登録・閲覧機能などを検証した。さらに、HPCI環境への試験展開を進める中で、管理権限の制約、仮想マシンの運用体制、グローバルネットワークとの接続など、技術面に加えて制度・運用面の課題も明らかとなった。本発表では、日本ノード構築の現状と今後の課題を報告する。

#Molecular Dynamics(MD)、#Molecular Dynamics Data Bank(MDDB)、#MDDB-AI HUB、#HPCI(High Performance Computing Infrastructure)共用ストレージ

31LLMを用いた生物医学文献アブストラクトからの細胞摂動影響の自動抽出

第1部

○蓮見正成(理研/筑波大)、松澤亮輔(理研/筑波大)、井尻遥士(理研/筑波大)、尾崎遼(理研/筑波大)

ヒトには400種類以上の細胞型が存在し、それぞれが適切な数に維持されることで身体機能が保たれている。刺激、薬剤、疾患などの摂動によって特定の細胞型の数が変化するという知識は、細胞型の機能解明や病態理解に重要である。しかし、このような知識は膨大な生命医科学論文に散在しているほか、摂動や細胞型には多様な表記揺れや言い換えが存在するため、ルールベース手法による体系的な抽出は困難である。そこで本研究では、GPT-4oを用いた大規模言語モデル(LLM)により、論文アブストラクトから摂動と細胞数変化の関係を自動抽出し、データベース構築のための情報抽出システムを開発した。本システムは、対象論文を判定する関連判定モジュールと、摂動、細胞名、影響、影響カテゴリ、個体レベル、解剖学的部位レベル、実験環境を抽出する情報抽出モジュールから構成される。性能評価のため、免疫学関連PubMedアブストラクト177件を対象にベンチマークデータセットを構築した。関連判定モジュールはPrecision 0.79、Recall 0.82、F1スコア0.81を達成し、情報抽出モジュールでは各項目で0.41~0.67のAccuracyを示した。さらに、本システムを171,758件の免疫学関連アブストラクトへ適用した結果、51,067件の関連論文から95,767件の関係を抽出した。発表では、本システムの有用性および構築したデータベースの活用可能性について議論する。

#文献、#摂動、#細胞、#オントロジー、#LLM

32細胞レベルの機能・表現型と遺伝子発現を関連付ける「Cell IO」データベースの開発

第2部

○尾崎遼(理研/筑波大)、仮屋山博文(理研)、井尻遥士(理研/筑波大)、山田涼太(Science Aid)、田原(新井)悠也(理研/筑波大)、松澤亮輔(理研/筑波大)

細胞の機能・表現型と遺伝子発現を関連付けるデータベース「Cell IO」を構築する。ヒトやマウスの単一細胞トランスクリプトームデータに対応する細胞の機能・表現型および摂動情報を文献から収集・整理し、細胞由来、生物種、摂動条件などの情報を体系化する。検索やデータ統合を容易にし、遺伝子発現データの機能・表現型レベルでの解釈を可能にすることを目指す。

#細胞、#細胞機能、#文献、#遺伝子発現

33微生物のMAGデータの統合データベースMicrobiome Datahub

第3部

○森宙史(遺伝研)、藤澤貴智(遺伝研)、東光一(ROIS・ALIS)、谷澤靖洋(遺伝研)、中川善一(東京科学大)、西出浩世(基生研)、中村保一(遺伝研)、山田拓司(東京科学大)、松井求(京都大)、内山郁夫(基生研)

微生物群集をメタゲノム解析等で培養することなく解析するマイクロバイオーム研究は、爆発的な勢いで研究が行われている。特に、メタゲノム配列から個別菌のドラフトゲノム配列を再構築するMetagenome Assembled Genome(MAG)解析手法が洗練され普及し、微生物ゲノムの多様性の記述が著しく進展している。我々はこれらMAGデータを収集・整理し、マイクロバイオーム研究に特化したデータベースMicrobiome Datahub (https://mdatahub.org) を開発し公開している。 Microbiome Datahubでは数十万以上のMAGを環境情報や系統情報等で検索可能である。本発表では、Microbiome DatahubおよびPZLAST-MAG等の関連ツール、今年度予定しているデータ更新について紹介する。

#メタゲノム、#MAG、#微生物

34Human-in-the-Loop型LLMによる都市環境メタデータの品質診断と修正支援:日本国内データでの検証

第1部

○加藤空(早稲田大)、小霜和志(早稲田大)、西村昭治(早稲田大)、鈴木治夫(慶應大)

高密度な都市環境において、人工環境表面はヒトと微生物が絶えず接触する主要なインターフェースである。国際コンソーシアムMetaSUB等により都市間比較基盤が構築されてきたが、環境・人口統計学的要因が都市マイクロバイオームに与える影響は十分に解明されていない。現在国内では、Urban microbiomes in Japanプロジェクトにおいてメタデータの蓄積が進められているが、データの欠損や表記ゆれといった課題があり、国際的なデータ統合分析の障壁となっている。そこで本研究では、先行研究とMIxS等の標準を基に環境微生物学上重要な項目を定義し、同プロジェクトの国内メタデータを対象に、LLMと人間の検証を組み合わせたHuman-in-the-Loop型パイプラインで品質を向上させ、MetaSUB連携データや人口密度などの公共統計データとの統合分析の可能性を検討した。本発表では、データ品質向上の評価結果とともに、地域層別化を通じた都市間比較への展開可能性を議論する。

#LLM、#Human-In-The-Loop、#都市微生物学、#メタデータ

35微生物比較ゲノムデータベースMBGDの大規模ゲノム・メタゲノム解析への適用

第2部

○内山郁夫(基生研)、西出浩世(基生研)、河合幹彦(基生研)、三原基広(ダイナコム)、千葉啓和(DBCLS)、高柳正彦(ウェブブレイン)、森宙史(遺伝研)

微生物比較ゲノムデータベースMBGDは、公開された微生物ゲノムデータをオーソログ解析に基づいて整理したデータベースで、現在34,079の微生物完全ゲノム配列に対するオーソログ分類結果が収録されている。このデータをMicrobiome Datahubに収録された21万MAGに適用して、それらのオーソログ分類を行った。MBGDでは、KEGG Moduleの有無を評価するGenomaple解析によってゲノムの機能ポテンシャルを評価しており、MAGデータも同様に評価した。Microbiome Datahub では、MAGに対する環境メタデータとしてMEOを用いたアノテーションを行っており、これらを用いて環境とゲノムの機能ポテンシャルの関係を評価するツールを作成している。また、既存のオーソロググループとヒットしなかったMAGについては、それらを集めてMBGDと同様の方法を用いて新規のオーソログ分類を作成し、それらの特徴づけを行っている。一方、公開されたゲノムデータは依然として指数関数的な増大を続けており、オーソロググループを構築することが困難になってきている。そこで、確立された相同ドメインデータベースであるPfamを用いて、差分的にドメイン単位のオーソロググループを構築する手法を開発しており、併せて紹介する。

#オーソログ、#微生物ゲノム、#メタゲノム解析、#比較ゲノム解析

36ThermusQ: 高度好熱菌丸ごと細胞シミュレーションを目指した知識ベース

第3部

○土方敦司(東薬大)、大島泰郎(東薬大)、由良敬(お茶大)、別所義隆(早稲田大)

生命の起源と初期進化の解明は、生命科学における根源的課題の一つである。原始地球の生命は単純で高温環境に適応していたと考えられることから、高度好熱菌Thermus thermophilusは最終普遍共通祖先の生命像を考察する上で重要なモデル生物である。日本ではゲノム情報や立体構造情報に基づく遺伝学的・生化学的研究が進められてきたが、関連データは文献やウェブ上に分散しており、統合的な利用が困難であった。そこで我々は、Thermus属細菌の分子情報を集約する公開ウェブ知識ベースThermusQ(https://thermusq.net/)を構築した。ThermusQには、T. thermophilusおよびT. oshimai計28株と既知のThermusファージのゲノム配列を収録し、遺伝子情報をゲノム上で閲覧できる対話型ビューアや、各種配列検索機能を提供している。さらに、糖代謝、細胞表層形成、遺伝情報処理、アミノ酸代謝、ヌクレオチド代謝、補酵素・ビタミン代謝、細胞周期の7分類からなる経路マップを整備した。これらの統合により株特異的特徴の把握や不足データの発見が可能となり、将来的な細胞全体の生化学シミュレーションを支える基盤になると期待される。

#高度好熱菌、#ゲノム、#タンパク質、#代謝物、#分子パスウェイ

37CO2を原料とする微生物によるバイオものづくりのプロジェクトにおける情報の統合

第1部

○仲里猛留(NITE)、大塚梨沙(NITE)、中谷諒介(NITE)、宮澤せいは(NITE)、金澤彩葉(NITE)、横田彩乃(NITE)、八塚茂(NITE)、福田青郎(NITE)、森浩二(NITE)、市川夏子(NITE)

NITEはバイオリソースセンターとして20年以上にわたり微生物の保存と提供を行っており、現在、約9.8万株の微生物を保有している。NEDO グリーンイノベーション(GI)基金プロジェクトにおいて開発中の「CO2固定微生物利活用プラットフォーム(POMIC)」では、NITEが保有する、及び新たに単離したCO2固定微生物(化学合成独立栄養微生物)の分類情報、培地・培養情報、炭素源やエネルギー獲得様式等の特性情報等を提供している。加えて、約2,000報の文献調査を通じて、CO2利用の報告がある微生物の情報も登録しており、現時点でPOMICに収載された微生物は600種、1,100株を超える。今年度はCO2固定微生物のゲノム詳細情報の提供を開始した。プロジェクトで解読したゲノムとすでに公開されているゲノムデータを合わせ791株のゲノムデータを収載している。NCBI Genomeに登録されたゲノムデータは、由来が同じ株でも何回かゲノム解読がなされ、複数のゲノムが登録されている場合がしばしばある。こういった同一由来株はカルチャーコレクションごとに別の管理番号がつけられており、株の入手先により記載された解析株名が異なっている。そのため、解析株名の対応づけを行った上で、ゲノムの品質も加味して同一由来株ごとに1ゲノムを選定し、ゲノム詳細情報画面を作成した。この画面では、ゲノムのサイズや品質、CDS数を表示している。また、遺伝研らとともに開発したAutoFixMarkによりCO2固定パスウェイのゲノムからの保有予測データも提供している。
謝辞:この成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) の委託業務の結果得られたものです。

#微生物ゲノム、#バイオものづくり、#バイオリソース

38特性から微生物種を検索可能とする「微生物選定支援ツール」の公開

第2部

○大塚梨沙(NITE)、青栁太智(NITE)、阿部純平(NITE)、八塚茂(NITE)、市川夏子(NITE)

微生物の培養には温度、pH、酸素要求性など多岐にわたる条件設定が必要である。しかし、これらの情報は論文や複数のデータベースに分散しており、既存微生物の培養条件を体系的に調査・比較することは容易ではない。そこで我々は、微生物株の培養条件や表現型に関する特性データを種ごとに整理・統合し、横断的に検索可能とするAPIとして「traitAPI」を開発した。traitAPIは日本のカルチャーコレクションであるNBRCおよびJCMの公開データに加え、JGI GOLDを含む複数の国際データベースから収集した約6.7万件の菌株情報を統合している。これらのデータから増殖温度、pH、酸素要求性などの主要特性を抽出し、種で整理するとともに、属など上位分類群での集約情報も保持し、APIとしてデータを取得可能としている。さらに、このAPIを基盤としてブラウザ上で利用可能な「微生物選定支援ツール」を開発し、2026年4月に公開した。本ツールにより、特性条件の組み合わせから適切な微生物種の検索や、特定種の培養条件の容易な参照が可能となり、新規微生物の培養条件推定や未検討条件の発見が期待される。本ポスターでは追加予定機能についても紹介し、今後の機能・データ拡張に向けた議論を行う。
謝辞:本ツールは、NEDO「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」プロジェクトの支援を受けて開発した。

#微生物、#データベース、#特性情報、#API、#データ統合

39PHi-D: 4Dゲノム状態の理解と可視化を支援するデータベース

第3部

○新海創也(理研BDR)、石田輝郎(理研BDR)、中島広樹(理研BDR)、萩原蒼也(理研BDR)、糸賀裕弥(理研BDR)、大浪修一(理研BDR)

Hi-C法の発展により、細胞状態に応じた3次元(3D)ゲノム構造の理解が進む一方、Hi-Cは化学固定を前提とするため、生細胞内でのクロマチン動態をどの程度反映するかは不明である。我々は、Hi-Cコンタクトマップを高精度に再現する高分子物理モデル推定法「PHi-C(ファイシー)」を開発し、Hi-Cデータを動的な3D構造や各ゲノム領域の物性情報へと変換可能とした。われわれは、これらを通じて解釈される「4Dゲノム状態」の理解と可視化を支援するデータベース「PHi-D(ファイディー)」を構築している。GPUによる高速大規模PHi-C解析基盤を整備し、公開Hi-Cデータに対して染色体単位でPHi-C解析を網羅的に実施する体制を確立、得られた3D動態シミュレーションと4Dゲノム情報を統合的に可視化するWebインターフェースを開発した。本データベースは本年6月にベータ版を公開しており、本トーゴーの日にあわせて正式版をリリースする予定である。本ポスターでは、正式版で実装した新機能や統合的可視化基盤の詳細を紹介するとともに、既存ゲノムデータベースとの統合や対話型AIを活用したインターフェースの拡張など今後の展開についても議論し、4Dゲノム情報を活用した新たな仮説創出や知識発見への応用可能性を広く共有したい。

#Hi-C、#3Dゲノム、#PHi-C、#4Dゲノム

40JoGo:機能階層を表す470万型のACTGハプロタイプ辞書とJoGo-Nextへの展開

第1部

○長﨑正朗(九州大)、河合洋介(遺伝研)、黒木陽子(NCCHD)、片山俊明(DBCLS)、守屋勇樹(DBCLS)、関谷弥生(九州大)、川島秀一(DBCLS)、寺岡凌(九州大)、町田宗聡(九州大)、松原太一(九州大)、橋本洋希(九州大)、浅倉章宏(九州大)、大平正貴(東京大)、山下理宇(NCC)、高田豊行(理研BRC)、三橋信孝(DBCLS)、鎌田真由美(北里大)、大川恭行(九州大)、徳永勝士(JIHS)、Variant Information Standardization Collegium

従来、ハプロタイプの体系的な命名・データベース化は、免疫系のHLAや薬剤代謝に関わるCYPなど、一部の遺伝子群に限られてきた。JoGo 1.0では、A(アミノ酸配列)、C(コード配列)、T(転写産物領域)、G(遺伝子全領域)で型を定義し、タンパク質機能に近い層から遺伝子全体までを階層的な共通IDで表すACTG階層ハプロタイプ命名法を提案した。高精度HiFi長鎖シークエンスに基づき、5大陸258人の約2万のタンパク質コード遺伝子について約470万型を収載し、JoGo 1.0(https://jogo.csml.org)で公開した。さらに、3研究、計1,280検体におけるACTG型と遺伝子発現量の関連をACTG-haplotype QTLとして公開した。世界初の全ゲノム規模・長鎖シークエンスベースのヒトハプロタイプデータベースとして、Nucleic Acids Research誌のBreakthrough Articleに選定された。JoGo-Nextでは、対象人数の拡大により型と頻度情報を充実させるとともに、非コード遺伝子や制御領域へ対象を広げる。これらの継続的な取り組みにより、持続可能なヒトハプロタイプ辞書を構築し、de facto standardを目指す。

#ハプロタイプ、#ヒトデータベース、#JoGo、#構造多型、#制御領域

41ロングリードシーケンスを用いたRCCX領域のゲノム構造解析

第2部

○黒木陽子(NCCHD)、宮迫さおり(NCCHD)、佐藤伴(NCCHD)、ZARZOSO-LACOSTE Adrian(NCCHD)、河合洋介(遺伝研)、長﨑正朗(九州大)

ヒトゲノムの難解読領域であるRCCX領域には、21-水酸化酵素欠損症(21-OHD)の原因遺伝子 CYP21A2 をはじめ、複数の先天性疾患の責任遺伝子が存在する。本領域は4つの遺伝子を含むRCCXモジュールがタンデムに重複して配置されており、高頻度に欠失や重複が生じるゲノム構造多型(CNV)のホットスポットとして知られる。特に CYP21A2 は、近傍に存在する偽遺伝子 CYP21A1P とのシーケンス相同性が極めて高いため、欠失・重複変化が頻繁に起こり、一般集団においても一定頻度で両者のキメラ遺伝子(CYP21A1P/CYP21A2)が観察される。
21-OHDは常染色体潜性遺伝形式を示すため、両アリルに構造異常(変異)が生じない限り発症しない。しかし、一般集団における本領域のゲノム構造を正確に決定することは、事前にリスクアリルの存在を把握することや発症予防、さらには適切な遺伝カウンセリングを行う上で極めて重要である。
従来の手法では正確な構造決定が困難であったRCCX領域に対し、我々はターゲットロングリードシーケンス法を用いたゲノム構造解析手法の開発を進めている。本発表では、RCCX領域における疾患ゲノム解析の知見、ならびに一般集団におけるリスクアリル解析の現状について報告する。

#RCCX、#Long-read sequencing、#Adaptive sampling、#構造多型、#21水酸化欠損症

42ロングリードアセンブリによる個別化参照ゲノムを用いたがんゲノム解析パイプラインPRCGAPの開発

第3部

○坂本祥駿(NCC)、越智陽太郎(京都大)、木暮泰寛(NCC)、加登翔太(東京大)、佐藤亜以子(東京大)、須川正啓(NCC/東京大)、田中庸介(NCC)、辻村太郎(京都大)、三上貴司(CCII)、永江玄太(東京大)、千葉健一(NCC)、岡田愛(NCC)、伊藤佑(NCC)、鈴木創(NCC)、山本拓也(CiRA/理研AIP)、油谷浩幸(東京大)、古賀友紀(九州大/KCC)、加藤格(京都大)、滝田順子(京都大)、間野博行(NCC)、小川誠司(京都大/近畿大)、片岡圭亮(NCC/慶應大)、加藤元博(東京大)、白石友一(NCC)

がんゲノム解析はGRCh38やT2T-CHM13といった標準参照ゲノムに依存しており、セントロメアやテロメア、セグメント重複などの反復領域では体細胞変異の検出が困難である。我々は、正常検体のロングリードデータ(HiFi・ONT-UL)からde novoアセンブリした個別化二倍体参照ゲノム上で解析を行うパイプラインPRCGAPを開発した。PRCGAPは、ハプロタイプ特異的な21-merマーカーを用いて腫瘍・正常のリードをハプロタイプを区別してマッピングする。その上で体細胞点変異・構造変異の検出、ハプロタイプ分解コピー数解析、DNAメチル化解析を一つの枠組みで実行し、各変異に由来ハプロタイプとゲノム特徴の注釈を付与したうえで、GRCh38およびT2T-CHM13座標へのリフトオーバー可否を判定する。SMaHTやGIAB等の公共データを含むがん細胞株8組と小児急性リンパ性白血病の臨床検体3例に適用した結果、標準参照ゲノムに基づく手法で得られる変異の86.7〜96.4%を再現しつつ、SNVの23.4%、SVの32.6%を新たに検出した。新規検出変異はセントロメア等の反復領域に濃縮し、ショートリードによる直交検証でも高い妥当性を示した。

#ロングリードシークエンス、#de novoアセンブリ、#個別化参照ゲノム、#ハプロタイプ別解析、#がんゲノム解析パイプライン

43利活用クラウド C-CAT CALICO

第1部

○岡田愛(C-CAT)、千葉健一(C-CAT)、玉井郁夫(C-CAT)、河野隆志(C-CAT)、温川恭至(C-CAT)、白石友一(C-CAT)

がんゲノム医療の推進に伴い、全国のがんゲノム医療中核拠点病院等から集積されるがん遺伝子パネル検査データは膨大な規模に達しています。がんゲノム情報管理センター(C-CAT)は、これらの臨床・ゲノム情報を集約・管理し、研究開発への二次利活用を支える基盤の整備を進めています。本発表では、C-CAT がアカデミアや企業向けに提供する仮想デスクトップ環境「C-CAT CALICO (CALculation & Investigation ClOud)」を紹介します。C-CAT CALICO はがん遺伝子パネル検査のゲノム元情報(FASTQ、CRAM)に基づいて、多種多様な解析を行うための仮想デスクトップ環境です。仮想デスクトップ環境内にゲノム元情報や変異情報をダウンロードし、C-CATが準備した解析ツールを使って解析を行うことができます。利用者自身が準備したテキストデータや解析ツールを持ち込んで解析する仕組みも用意しています。

#C-CAT CALICO、#がんゲノム医療、#データ二次利活用、#クラウド解析基盤

44JGAデータ加工とTogoImputation

第2部

○山本謙太郎(GAJ)、石井学(GAJ)、八谷剛史(GAJ)、藤澤貴智(DDBJ)、三橋信孝(DBCLS)、川嶋実苗(DBCLS)

日本人集団の全ゲノムシークエンス(WGS)データはJapanese Genotype-phenotype Archive(JGA)に蓄積されているが、多くはFASTQやBAM形式であり、利用者は各自でバリアント検出等の加工を要する。本発表ではJGAデータ加工と、その成果を活用するTogoImputationの更新を報告する。JGAデータ加工では、国立遺伝学研究所スーパーコンピュータ上で、我々が開発・公開しているGATK best practiceに準拠したCWLワークフロー(jga-analysis)を用い、アライメントから品質管理、joint call、VQSRまで行い、aggregate VCFを得た。これはJGAに登録され、フィルタリングを経てTogoImputationの参照パネルとして整備される。
SNPアレイデータの解析を支援するTogoImputationでは、従来は利用者ごとに仮想マシンを構築していたが、単一のWebアプリケーションを複数利用者で共有できる構成へ刷新し、計算資源の効率的な利用を可能とした。Genotype Imputationでは公開参照パネルと、利用申請を要するJGA由来パネルを選択できる。さらに、HLA ImputationではHKimp.net由来および公開データ由来のモデルを利用でき、polygenic score(PGS)の計算にも対応した。

#JGA(Japanese Genotype-phenotype Archive)、#全ゲノムシークエンス(WGS)、#データ加工ワークフロー、#TogoImputation、#インピュテーション参照パネル

45TogoVarの拡充:構造多型・JGA寄託データ由来バリアント・スプライスサイト生成バリアント

第3部

○三橋信孝(DBCLS)、守屋勇樹(DBCLS)、川嶋実苗(DBCLS)、細田正恵(DBCLS)、川島秀一(DBCLS)、片山俊明(DBCLS)

TogoVarは、Japanese Genotype-phenotype Archive(JGA)や東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)などから日本人集団のアレル頻度を統合するデータベースである。日本人祖先集団の情報が乏しい国際データベースを補完し、ヒト遺伝学研究の基盤となる。gnomADの集団別頻度、VEPの機能注釈、ClinVar・MGeNDの臨床的意義、LitVar・PubTatorの文献情報も収載する。
本発表では、構造多型、JGA寄託データ由来バリアント、スプライスサイト生成バリアント(SSCVs)の追加を報告する。51 bp以上の構造多型として、Joint Open Genome and Omics Platform(JoGo)v1由来377,965件(258サンプル)およびToMMoの日本人構造多型参照パネルJSV1由来72,342件(111トリオ・333人を解析し、頻度は非血縁222人で算出)を追加した。
JGA由来バリアントについては、JGAD000867・JGAD000868のaggregate VCFを用い、バイオバンク・ジャパンの1,026人および1,964人の全ゲノムシーケンス(WGS)に基づくアレル頻度とジェノタイプ数を整備した。SSCV DB v1.1の48,569件をTogoVarと照合し、一致するバリアントにSSCV注釈を付与した。

#TogoVar(日本人ゲノム多様性統合データベース)、#Japanese Genotype-phenotype Archive(JGA)、#アレル頻度、#構造多型、#スプライスサイト生成バリアント

46CLAVI:LLM エージェントを用いた意義不明バリアントの文脈的解釈フレームワーク

第1部

○矢野由絹(NCC)、岡田愛(NCC)、飯田直子(NCC)、千葉健一(NCC)、白石友一(NCC)

近年、遺伝性疾患が疑われる患者へのゲノムシークエンスの普及に伴い、スプライシングへの影響が疑われるものを含む多数の意義不明バリアント(VUS)が同定されている。膨大な数のVUSの中から機能検証に進める病原性変異候補を選定するには適切な優先順位付けが必要であるが、多くのVUSでは直接的な臨床的・機能的エビデンスが乏しい。SpliceAIやCADDなどの予測スコアは有用であるものの、配列情報に基づく推定に留まるため、より正確な病原性判断には機能的エビデンスを含む多面的な評価が求められる。同一遺伝子・ドメインに存在し、同様の分子学的影響を持つ類似バリアントの情報は、対象VUSの機能的影響を推測するうえで文脈的な支持情報となり得る。そこで我々は、文献およびバリアントデータベースから、ヒト症例報告や機能実験によって支持された類似バリアントのエビデンスを収集・統合し、VUS の機能的影響と疾患関連性に関する仮説生成を支援する LLM エージェント型フレームワーク CLAVI を開発した。反復実行による評価では、実行間変動を認めたものの、CLAVIは良好な再現率と適合率を示し、解釈可能なエビデンス要約を生成した。さらに、SRA由来データから抽出した約1,000件のスプライシングVUSにCLAVIを適用し、類似バリアントの収集・解釈ならびに各VUSの機能的影響と疾患関連性の推定を行った。

#意義不明バリアント(VUS)、#バリアント解釈、#LLMエージェント

48CaseSharing:GA4GH国際標準に基づく希少疾患症例共有・マッチング基盤

第3部

○藤原豊史(DBCLS)、申在紋(DBCLS)、土肥栄祐(NCNP)、山本泰智(DBCLS)、山口敦子(東京都市大)、菊池敦生(東北大)、河合洋介(遺伝研)

希少・未診断疾患では、一つの医療機関や国内だけでは類似症例が見つからないことが多く、国際的な枠組みに基づいて症例を検索し、研究者や医療者をつなぐことが重要である。そこで私たちは、PubCaseFinder上で利用できる症例管理・マッチング基盤CaseSharingを開発した。詳細な臨床情報は利用者のブラウザ内で管理する。一方、疾患名、候補遺伝子、表現型など、症例マッチングに必要な、個人を直接特定しない情報は、CaseSharingのサーバー上に一元的に登録・管理し、これらに基づいて類似症例を検索する。マッチが成立した場合には双方の登録者に相手の連絡先を通知し、その後は当事者間で直接連絡を取り合い、詳細な症例情報の共有や共同解析、新規疾患概念の検討を進める。さらに、症例情報は、Global Alliance for Genomics and Health(GA4GH)が策定するPhenopacketsに対応した構造化データとして表現することも可能である。今後は、GA4GHが推進するMatchmaker Exchangeへの接続を進め、国内で登録された症例を国際的な症例マッチングの仕組みから発見可能にすることを目指す。本発表では、国際標準に沿った症例データの構造化と共有を通じて、国境を越えた希少疾患研究・診療を促進するための取り組みを紹介する。

#希少・未診断疾患、#GA4GH、#Matchmaker Exchange、#Phenopackets、#症例マッチング

49NanbyoData:難病情報の継続的更新と機能拡張による難病情報統合基盤

第1部

○細田正恵(DBCLS)、申在紋(DBCLS)、三橋信孝(DBCLS)、菊池敦生(東北大)、藤原豊史(DBCLS)

NanbyoDataは、ライフサイエンス統合データベース部門(DBCLS)が公開する、日本の難病制度対象疾患に関する情報を統合したウェブポータルである。Nanbyo Disease Ontology(NANDO)を基盤として、指定難病および小児慢性特定疾病の病型分類や定義を整理し、Mondo Disease Ontologyを介してOMIMやOrphanetなどの国際的な疾患データベースと連携することで、国内外の難病情報を統合している。今年度は、厚生労働省の制度改正に対応した疾患データの更新を行うとともに、遺伝子、臨床的特徴、診療用遺伝学的検査、顔貌特徴、ヒトゲノムデータなどのデータを拡充した。また疾患ごとの閲覧に加え、遺伝子や症状などのリストページから関連疾患を横断的に閲覧できる機能や統計情報を追加し、利用者の目的に応じた探索性を向上させた。本発表では、NanbyoDataの最新のデータ更新および機能改良の内容を紹介するとともに、NANDOを基盤とした継続的なデータ更新、アプリケーション開発、国際的なデータベースとの相互運用を通じて発展する難病情報基盤について報告する。

#難病、#希少疾患、#オントロジー

50生成AIによる情報統合型希少疾患診断支援システム「ZebraSeek」の開発と予備評価

第2部

○吉桑実弥(東京大/DBCLS)、高月照江(DBCLS)、岡崎鉄平(東京都市大)、BUSKE Orion(PhenoTips)、土肥栄祐(NCNP)、三嶋博之(長崎大)、山口敦子(東京都市大)、HSIEH Tzung-Chien(ボン大学病院)、千葉啓和(DBCLS)、藤原豊史(DBCLS)、五斗進(東京大/DBCLS)

希少疾患の診断では、症例数の少なさや医学情報の分散により、診断確定まで長期間を要するDiagnostic Odysseyが課題となっている。既存の表現型解析、文献検索、顔貌解析等の診断支援ツールは有用である一方、入力形式や対象疾患に制約がある。また、生成AIを単独で用いる場合には、医学的精度の不足やハルシネーションが問題となる。そこで本研究では、複数の診断支援プログラム、医学データベース及び検索エンジンから得られた情報を段階的に処理し、大規模言語モデルで統合して診断候補とその根拠を提示する希少疾患診断支援システム「ZebraSeek」を開発した。症例報告を基に作成した現時点の評価データでは、正解疾患が第1候補に含まれる割合は67.6%、上位5候補以内に含まれる割合は79.7%であり、比較した診断支援手法の中で最も高く、ZebraSeekは上位1~5候補の各評価で良好な成績を示した。今後は異なる症例群やデータセットを用いて追加評価を行い、性能の再現性、適用範囲及び診断根拠の妥当性を検証する。本システムにより、分散した医学情報の整理と鑑別疾患の検討を効率化し、希少疾患の早期診断と臨床医の負担軽減に寄与することが期待される。

#希少疾患、#生成AI、#大規模言語モデル、#診断支援システム、#表現型解析

51RLMによる症例報告テキストの自動反復アノテーションと品質制御の試み

第3部

○土肥栄祐(NCNP)、金進東(DBCLS)、早川格(NCCHD)、松原知康(徳島大)、高月照江(DBCLS)、建石由佳(NBDC)、藤原豊史(DBCLS)、山本泰智(DBCLS)

症例報告テキストに対する自動アノテーションでは、大規模言語モデル(LLM)による単回の処理だけでは、情報の取りこぼしやアノテーション密度の不足が生じる場合がある。一方、補完的なアノテーションを追加することで、未抽出情報が補われ、品質が向上することが期待される。
そこで、アノテーション後に結果を検証し、定めた基準を満たさない場合には追加のアノテーションを行う反復処理が有効であると考え、Recursive Language Models(RLM)的アプローチを試みた。具体的には、プロンプトエンジニアリングを施したLLMによるアノテーションと、定義した基準に基づく検証を組み合わせ、自動的に反復するワークフローを設計・実装した。
その結果、反復処理によって、単回の処理のみでは困難であったアノテーション性能の向上が認められ、小規模なモデルであっても反復によって性能を補完できる可能性が示唆された。さらに、RLM的アプローチを他の処理工程にも適用することで、品質を維持しながら処理全体を自動化でき、ローカル環境での実装や医療データ処理の省力化にも寄与すると考えられる。
本発表では、症例報告テキストを対象としたRLM的アプローチの設計・実装経験を示すとともに、その適用可能性について報告する。また、併せて抽出された用語と、その用語に対するLLMを用いたカテゴリー付与処理についても報告する。

#RLM、#LLM、#症例情報、#コーパス

52RNA標的創薬のための統合データベースの構築

第1部

○曽超(早稲田大)、浜田道昭(早稲田大)

近年、RNAは新たな創薬標的として注目を集めている。RNA分子は構造的・機能的多様性に富み、従来のタンパク質標的では対応が困難であった疾患に対する新規の治療機会を提供しうる。しかし、RNA標的薬の開発はRNAの複雑な構造や相互作用の解析に依存する一方、これらの情報を統合したデータ基盤は限られており、データの分散や形式の非標準化が研究の効率を妨げている。
そこで我々は、ヒト疾患関連RNAを網羅的にアノテーションした統合データベースの構築を進めている。遺伝子アノテーション、発現、RNA構造、RNA–RNA・RNA–タンパク質・RNA–リガンド相互作用、RNA修飾、細胞内局在など多様な公共データを収集・統合し、一元的に検索・解析できる環境を整備している。
今後は、統合データからRNA制御に関わる機能エレメントを同定するとともに、機械学習モデルを組み込み、RNA–低分子間の結合予測や標的部位の優先順位づけを行うAI駆動型プラットフォームへと発展させ、RNA標的創薬の加速に貢献したい。

#RNA標的創薬、#統合データベース、#RNAオミクス、#AI創薬

53fanta.bio: 転写活性に関わるヒト・マウスゲノム中のシスエレメント領域についてのデータベース

第2部

○粕川雄也(理研IMS)、WALKER Scott(理研IMS)、長谷川哲(理研IMS)、THALHATH Nishad(理研IMS)、信定知江(理研IMS)、AGRAWAL Saumya(理研IMS)高田豊行(理研BRC)、桝屋啓志(理研BRC)、川路英哉(都医学研)

シスエレメント(CRE)はゲノム中に存在する転写制御に関わる領域のことで、プロモーター・エンハンサーなどが含まれる。我々は、活性のあるCRE領域から転写するRNAの情報を用いて、CRE領域の同定とその活性の定量化を行い、様々なアノテーションを付与したデータベースfanta.bio (https://fanta.bio/)を公開した。ユーザはキーワード・ゲノム座標・GWAS SNPなどからCRE領域を探索したり、細胞種・細胞株・組織を指定して活性量を参照したりすることができ、転写制御領域の理解・解析に用いることができるようになっている。また本データベースの構築には転写制御に関わる統合的なデータ基盤の構築を目指したINTRARED (https://www.intrared.org/)の活動を通して行われており、転写因子結合領域やエピゲノム情報に関するChIP-Atlas (https://chip-atlas.org/)、様々なマウス系統のゲノム変異に関するMoG+ (https://molossinus.brc.riken.jp/mogplus/)、ヒトのゲノム変異を統合したTogoVar (https://togovar.org/)などのデータベースが連携されている。本発表ではfanta.bioデータベースおよびINTRAREDの現状について紹介する。

#シスエレメント、#哺乳類ゲノム、#転写制御、#遺伝子発現、#ゲノム変異

54ChIP-Atlas: エピゲノミクス統合データベース

第3部

○沖真弥(熊本大)

ChIP-Atlasは、公開エピゲノムデータを統合的に解析・可視化するウェブ基盤として2015年に公開され、2025年に10周年を迎えた。現在ではヒトやマウスを含む6生物種、約50万件に及ぶChIP-seq、ATAC-seq、Bisulfite-seqデータを収録し、世界最大級のエピゲノム統合データベースへと発展している。本発表では、新たに実装した2つの機能を紹介する。第一に、各実験データのリード数・ピーク数分布や類似実験との相関を可視化し、データ信頼性を直感的かつ体系的に評価できる品質管理フレームワークを導入した。第二に、RNA-seqカウントデータを直接入力として利用し、遺伝子発現変動を駆動する上流転写因子を網羅的に推定する新規エンリッチメント解析モジュールを実装した。これらに加えて、10年もの間、ChIP-Atlasを継続できたノウハウや工夫などについても紹介したい。

#ATAC-seq、#Bisulfite-seq、#エピゲノムデータ

55TogoSeek: テキストエンベディングを活用した意味検索システム

第1部

○千葉啓和(DBCLS)、藤原豊史(DBCLS)、守屋勇樹(DBCLS)、池田秀也(DBCLS)、申在紋(DBCLS)、TogoSeek開発チーム

近年の大規模言語モデルの発展にともない、非構造化テキストの意味を効果的に扱う手法として、テキストエンベディング技術の実用性が高まってきた。生命科学分野のデータベースには、構造化された情報だけでなく、非構造化テキストも多く含まれている。本発表では、多様な生命科学データベースのエントリーにテキストエンベディングを適用することで、大規模かつ高速な意味検索を実現するTogoSeekを紹介する。我々はこれまでに蓄積してきた生命科学データから非構造化テキストを抽出し、エントリーごとの埋め込み表現を生成してベクトルストアに格納する仕組みを構築した。ユーザーからの質問も同様に埋め込み表現に変換したうえでベクトル検索を行うことにより、意味的類似性の高いエントリーを取得することができる。検索結果をLLMによって整理・要約することで、ユーザーへの回答を生成することもできる。このように、多様な生命科学データベースのエントリーを同じベクトル空間に埋め込むことにより、データベース横断的な意味検索を行うことが可能になっている。

#テキストエンベディング、#LLM、#横断検索

56SPARQL検索・LLM解釈による候補集合との照合に基づくKGEマウスモデル候補の後段評価―LLM統合候補評価レイヤーによる確認優先度付け―

第2部

○櫛田達矢(理研BRC)、臼田大輝(理研BRC)、高田豊行(理研BRC)、桝屋啓志(理研BRC)

疾患に適したマウスモデルを知識グラフから探索する際、知識グラフ埋め込み(KGE)は、疾患・遺伝子・表現型・マウス系統の関係を数値化し、明示的な検索条件では捉えにくい関連も含めて候補を順位付けできる。本研究では、KGEがどのようなつながりを候補順位に反映し、どのようなマウスを上位化するのかを調べる。「LLM統合候補評価レイヤー」は、SPARQL検索結果をLLMで解釈・整理して作成した比較候補集合とKGE候補を照合し、疾患関連遺伝子、表現型、既知モデル根拠、BRCカタログ記載を統合して、候補ごとの根拠と確認優先度を提示する後段評価部である。2型糖尿病を中心とする複数疾患について、Node2Vec、TransE、RotatEの上位50候補を比較候補集合と照合した。Node2Vecはグラフ全体での近接性を反映し、既存根拠候補の再発見に強かった。TransEは疾患・関係・候補マウスの組に対するスコアに基づき、既存候補を別軸で順位付けし、一部の追加確認候補を上位化した。一方、RotatEは比較候補集合および他手法との重複が少なく、上位候補の性質が大きく異なった。各手法に固有の候補について、候補スコア、接続経路、既存根拠を比較して上位化の特徴を検討する。さらに、KGE上位候補を疾患関連遺伝子、表現型、既知モデル根拠、BRCカタログ記載との対応に基づいて層別化し、確認優先度を付与する方法を示す。

#知識グラフ埋め込み、#マウスモデル探索、#大規模言語モデル、#SPARQL

57RDF Portalの刷新と機能拡張:多様なアクセス手段とAIによる生命科学RDF活用

第3部

○川島秀一(DBCLS)

RDF Portalは、生命科学分野のRDFデータセットを収集し、統一的に検索・利用できる環境を提供するデータ統合基盤である。2025年度末にウェブサイトを大幅に刷新し、データセットの概要、統計情報、来歴、更新履歴、サンプルSPARQL、RDF-configから自動生成したスキーマ図などを一つのページから参照できるようにした。さらに、従来のSPARQLエンドポイントとデータダウンロードに加え、SPARQL Composer、GraphQL API、LLMチャットインターフェース、TogoMCPを介したAIからのアクセスなど、利用者の技術レベルや目的に応じた複数のアクセス方法を整備した。TogoMCPについては関連発表で詳細が紹介されるため、本発表ではRDF Portal全体における位置付けを簡潔に示す。また、大規模RDFを高速に検索するためのQLeverトリプルストアによる運用試験と、新規データセットの継続的な追加について報告する。これらの機能拡張を通じて、RDFやSPARQLに詳しい研究者だけでなく、初学者やAIエージェントも生命科学データを発見し、理解し、横断的に活用できる基盤を目指している。

#知識グラフ、#RDF、#データ統合、#SPARQL、#AI支援型データアクセス

58TogoMCPがつなぐ生命科学の知識、真のトーゴーへ

第1部

○山本泰智(DBCLS)、金城玲(アニマ・マキナ)、藤澤貴智(遺伝研)

生命科学では、遺伝子、タンパク質、疾患、化合物などに関する膨大な知識が、多数のデータベースや知識グラフに蓄積されている。しかし、それらを使いこなすには、データベースごとの検索方法や識別子、SPARQLなどの専門的な検索言語を知る必要がある。TogoMCPは、ChatGPTやClaudeなど、大規模言語モデル(LLM)を用いるAIエージェントを、利用者にとって有能な「生命科学知識グラフのコンシェルジュ」に仕立てるシステムである。利用者が自然な言葉で質問すると、AIエージェントはTogoMCPを通じて、利用可能な知識グラフ、その構造や検索方法、識別子の対応関係などの情報を得て、質問に応じた適切なデータを検索できる。この連携には、AIと外部のデータや機能を共通の方法で接続するModel Context Protocol(MCP)を利用している。23種類の生命科学知識ベースを対象とした評価では、TogoMCPを利用することで回答性能が大きく向上した。本発表では、その仕組みと具体的な利用例を紹介し、分散して存在する生命科学の知識をAIから横断的に利用し、一体的に活用するための新しい方法を示す。

#知識グラフ、#MCP、#SPARQL、#LLM、#NLQ

59知識統合から知識探索へ ― TogoIDとTogoDX

第2部

○守屋勇樹(DBCLS)、池田秀也(DBCLS)、片山俊明(DBCLS)、TogoID/TogoDX開発チーム

DBCLSでは、生命科学データ統合基盤としてTogoIDとTogoDXを開発している。TogoIDは異なるデータベース間の識別子対応関係を統合し、遺伝子・タンパク質・疾患・化合物などを横断的に接続する。一方、TogoDXは各エンティティに付随する属性情報を統合し、発現、機能、疾患関連性などの多面的な探索を可能にする。本発表では両システムの概要と、開発の近況を紹介する。

#データ統合、#ID変換、#MCP、#LLM

60AIとの対話のかたちを、あなたに合わせる — モデルも分岐もMCPも自由な対話プラットフォーム、AIbranch

第3部

○金進東(DBCLS)

主流の LLM チャットツールは単一の線形対話を基本パラダイムとしているが、現実のユーザは複数モデルの比較、タスクに応じたモデル切り替え、過去発話からの分岐探索など、本質的に「木構造的」な使い方をしている。AIbranch はこの構造的ミスマッチを解消する対話プラットフォームであり、分岐可能な会話木、複数プロバイダ間のモデルハンドオフ、MCP 等を介した独自ツール統合によるカスタマイズに対応する。

#AI chat interface、#MCP

61情報資源運用基盤構築のための圏論的アプローチ

第1部

○岡愛子(名城大)、水野隆文(名城大)

近年の人工知能(AI)は大量のデータを収集して学習を進め、システムを習熟させる仕組みを持っている。また、AIシステムを利用することにより、大量のデータを活用することが可能になった。本研究では、知識の多くがAIシステムとシームレスにやり取りされることを想定し、知識を数理的に統合する方法を探求している。知識の多くは、ラベル付き有向グラフとして表現できる。さまざまな場所に散在するデータを矛盾のない範囲で統合する単一化や、共通する情報のみを取り出す一般化をこのグラフに対する演算として表現する。自然言語処理分野では、このような単一化が研究されていたが、その多くが循環や再入の無いグラフ(DAG)を対象としていた。本研究では、循環のあるグラフについても単一化や一般化のアルゴリズムを提案し、従来の制限を克服し、より汎用な知識を扱うことが可能となった。また、グラフとグラフの関係、関係と関係のメタ的な関係を記述し分析するために、圏論という新しいアプローチを採用し、知識表現の数理モデル化についても研究を進めている。

#知識表現、#一般化、#単一化、#圏論

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トーゴーの日シンポジウム2026「AIが研究する時代のデータベース」

トーゴーの日シンポジウム2026「AIが研究する時代のデータベース」。
2026年10月5日(月) 品川ザ・グランドホールにて開催。一般参加登録受付中。