【40】原核生物の免疫記憶を利用した新規ウィルスゲノム同定と包括的ウィルスゲノムデータベースの構築
発表者
○杉本竜太(遺伝研)、西村瑠佳(遺伝研、総研大)、井ノ上逸朗(遺伝研)
※氏名の前の「○」は、代表発表者であることを表します。
DOI
概要
細菌は常にウィルスとの死闘を繰り広げ進化している。細菌はウィルスの脅威に対抗するため、独自の免疫システムを作り上げた。それがCRISPR-Casシステムである。細菌は細胞内に侵入してきたウィルスの遺伝物質を切断し、その断片を細菌自身のゲノムに埋め込む。細菌ゲノムのウィルスゲノム情報が埋め込まれた領域をCRISPRと呼ぶ。すなわちCRISPRは細菌における免疫記憶である。
メタゲノムシーケンシングデータから、未知のウィルスゲノムが大量に見つかっている。しかし新規ウィルスゲノム検出のために参照しているゲノム配列は、既知のウィルスゲノムを基にしている。そのため、既知のウィルスゲノムに近いものしか検出できず、極めて多様なウィルス集団を網羅的に検出するには不十分である。我々の方法は既知のウィルスゲノム情報に依存しない。実際、CRISPRを利用した検出方法で公開済みのメタゲノムから、既存の方法では検出できなかった新規ウィルスゲノムを多数検出することに成功した。
本研究ではこの方法を大規模に実施し、あらゆる環境のメタゲノムから広範な種類のウィルスゲノムを収集し、ウィルスゲノムの包括的データベースを構築する。さらにウィルスゲノムから遺伝子領域を抽出し、ウィルスタンパクのデータベースを構築する。タンパクの配列から分子系統樹を導き、ウィルスゲノムの研究基盤を提供する。
発表資料
- 原核生物の免疫記憶を利用した新規ウィルスゲノム同定と包括的ウィルスゲノムデータベースの構築(PDF:2.95MB)
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