生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_クロストリジウム・ディフィシル関連疾患を治療するための化合物
出願番号:2015090826
年次:2015
IPC分類:C07D 401/14,A61K 31/4164,A61K 31/4365,A61K 31/4439,A61P 31/04,A61P 43/00,C07D 405/14,C07D 409/14,C07D 471/04,C07D 495/04


特許情報キャッシュ

ジョンソン, ピーター, デビッド ヴィッカーズ, リチャード ウィルソン, フランシス, ザビエル ドーガン, コリン, リチャード スドロー, ローレン, ジェイン レン, スティーブン, ポール ヴァン ウェル, レナーテ JP 2015214541 公開特許公報(A) 20151203 2015090826 20150427 クロストリジウム・ディフィシル関連疾患を治療するための化合物 サミット コーポレイション ピーエルシー 510222361 SUMMIT CORPORATION PLC 池田 成人 100107456 山口 和弘 100148596 野田 雅一 100123995 ジョンソン, ピーター, デビッド ヴィッカーズ, リチャード ウィルソン, フランシス, ザビエル ドーガン, コリン, リチャード スドロー, ローレン, ジェイン レン, スティーブン, ポール ヴァン ウェル, レナーテ GB 1106981.2 20110427 GB 1009097.5 20100601 C07D 401/14 20060101AFI20151106BHJP A61K 31/4164 20060101ALI20151106BHJP A61K 31/4365 20060101ALI20151106BHJP A61K 31/4439 20060101ALI20151106BHJP A61P 31/04 20060101ALI20151106BHJP A61P 43/00 20060101ALI20151106BHJP C07D 405/14 20060101ALI20151106BHJP C07D 409/14 20060101ALI20151106BHJP C07D 471/04 20060101ALI20151106BHJP C07D 495/04 20060101ALI20151106BHJP JPC07D401/14A61K31/4164A61K31/4365A61K31/4439A61P31/04A61P43/00 121A61P43/00 123C07D405/14C07D409/14C07D471/04 108QC07D495/04 105A 11 2013512984 20110601 OL 48 4C063 4C065 4C071 4C086 4C063AA05 4C063BB01 4C063CC26 4C063CC76 4C063CC81 4C063CC94 4C063DD06 4C063DD12 4C063DD26 4C063EE01 4C065AA03 4C065BB06 4C065CC01 4C065DD02 4C065EE02 4C065HH06 4C065JJ01 4C065KK01 4C065LL01 4C065PP08 4C065PP09 4C071AA01 4C071BB01 4C071CC01 4C071CC21 4C071DD12 4C071EE13 4C071FF06 4C071GG05 4C071JJ05 4C071LL01 4C086AA02 4C086AA03 4C086CB26 4C086MA01 4C086MA02 4C086MA04 4C086NA05 4C086NA14 4C086NA15 4C086ZB35 4C086ZC75発明の分野 本発明は、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染及びこの細菌によって引き起こされる疾患の治療において有用である化合物、こうした化合物を含有する組成物、並びにこうした化合物を使用してクロストリジウム・ディフィシル関連疾患(CDAD)を治療する方法に関する。発明の背景抗菌薬とクロストリジウム・ディフィシル: 抗菌薬の開発は、20世紀の最も重要な医学の進歩の一つである。以前に治療不能であった疾患は、今日では容易にコントロールできたはずであり、多くの疾患が、そうした素晴らしい新薬によって根絶されたかに感じられた。治療におけるそうした著しい進歩にもかかわらず、感染症は、米国において3番目に多い死亡原因であり(Clin.Infect.Dis.,2004, 38, 1279〜1286)、依然として最も重大な世界的保健医療問題の一つである。主要な病原性細菌のすべてにおいて耐性率は劇的に増大し、特に懸念されるのは、院内感染の件数及び深刻さが増していることである(Infectious Disease Society of America,2004,Bad Bugs,No Drugs)。多剤耐性病原体の出現によって、現況の最先端の薬物の多くが、多くの疾患のコントロールにおいて完全に無効になってしまった。 懸念される細菌病原体の特定の亜集団は、芽胞形成細菌として分類されるものである。細菌芽胞(エンドスポア)は、細菌が環境ストレスに反応して形成する、休眠状態の非増殖性構造である。環境条件が一度好都合になると、芽胞が発芽し、細菌が増殖する。病原性細菌の場合、ヒト宿主における発芽が疾患につながることもある。 細菌芽胞は、多くの薬剤、並びに放射線、乾燥、温度、飢餓、及び化学薬品を始めとする環境条件に対して非常に耐性がある。化学薬品に対するこの自然の耐性により、芽胞は、病院、他の保健医療センター、食品製造施設などの重要な環境において何か月も存続することが可能になり、その場合、標準的な洗浄剤、殺菌剤及び滅菌法では細菌を根絶することができない。食品製造の場合、芽胞の存在は、単純な食品の腐敗から、食品由来の病原体の蔓延及び食中毒にまで及ぶ重大な結果を伴いかねない。より最近では、炭疽の原因因子である炭疽菌(Bacillus anthracis)の芽胞に関連したリスクに注目が集まっている。芽胞は、多数の方法によってばらまくことができ、生物テロ剤として使用可能な乾燥粉末として容易に調製することができる。炭疽は、唯一最も憂慮される生物テロ剤とみなされている(CDC Emerg.Infect.Dis.,2004, 5(4),552〜555)。このことは、2001年の米国における郵便炭疽攻撃をもって強調することができる。22件の感染が確認され、5人が死亡する結果となり、攻撃後の洗浄及び汚染除去の費用は10億ドルと推定された。 重要な芽胞形成細菌は、バチルス属及びクロストリジウム属のグラム陽性エンドスポア形成細菌である。ヒトの健康上懸念されるバチルス属としては、例えば、炭疽菌(B.anthracis)及びB.セレウス(B.cereus)が挙げられる。炭疽菌は、炭疽の原因因子として特に懸念される。炭疽感染は、炭疽菌芽胞の摂取、吸入、又は皮膚接触によって起こる場合があり、その結果、3通りの異なる臨床形態をもたらす。皮膚感染は、全感染の約95%を占め、適切な抗生物質の使用によって一般に十分にコントロールされる。皮膚炭疽の未治療症例の20%程度が死に至る。腸感染は腸管の急性炎症を特徴とし、悪心、食欲低下、嘔吐、発熱、腹痛、吐血、及び重症の下痢を起こす。腸炭疽は、症例の25%〜60%において死に至る。最も重症の疾患形態は、積極的かつ適時に抗生物質を投与しても多くの場合致命的である肺炭疽である。炭疽芽胞を空気中に広範囲に容易に分散させて肺炭疽を引き起こすことが可能であることから、炭疽は主要な生物テロ剤となる。 クロストリジウム属のメンバーはグラム陽性の芽胞形成性真性嫌気性菌である。ヒト疾患を引き起こす種としては、例えば、ウェルシュ菌(C.perfringens)、破傷風菌(C.tetani)、ボツリヌス菌(C.botulinium)、C.ソルデリ(C.sordellii)、及びC.ディフィシルが挙げられる。クロストリジウム属の種は、破傷風、ガス壊疽、ボツリヌス中毒、及び偽膜性大腸炎を含む多様なヒト疾患と関連しており、食中毒の原因因子となり得る。 特に懸念されるのは、クロストリジウム・ディフィシルによって引き起こされる疾患である。クロストリジウム・ディフィシルは、クロストリジウム・ディフィシル関連疾患(CDAD)を引き起こし、この10年で症例数は10倍に増加しており、病毒力が高く、薬物耐性の菌株が現在地域流行性になっている。最近のHPAの図では、2006年のイングランドにおいて65才以上の患者のC.ディフィシル感染が55681症例あったことが示された(前年に対して8%上昇)。おそらく最も憂慮されるのは、現在報告されている、原因となる抗生物質使用のないCDADの症例である。 クロストリジウム・ディフィシルは腸内共生細菌であり、そのレベルは、正常な腸管内菌叢によって抑制される。しかし、この細菌は、C.ディフィシル関連疾患(CDAD)の原因因子であり、CDADの最も重篤な症状発現である偽膜性大腸炎の主要原因であると確認されている。CDADは、軽度の下痢から、偽膜性大腸炎、中毒性巨大結腸症、及び死にまで及ぶ広範な症状を伴う。CDAD発症の主な危険因子は、正常な腸内細菌叢を崩壊させてクロストリジウム・ディフィシルの過増殖を引き起こす、抗生物質の使用である。クリンダマイシンはCDADに関連する主要な抗生物質ではあるが、この疾患は現在、フルオロキノロン、セファロスポリン、マクロライド、β−ラクタム及び他の多くのクラスのものを含むほぼすべての抗生物質と関連付けられている。 CDADは、主として病院内で懸念され、また死亡率が特に高い高齢患者において特に懸念される。報告されるCDADの比率は近年劇的に増加しており、英国では2006年に55000を越える症例が報告されている(Health Protection Agency Surveillance of Healthcare Associated Infections Report 2007)。 米国における死亡率は、1999年の人口100万人当たり5.7人から、2004年の100万人当たり23.7人に上昇している。一般人口におけるC.ディフィシルの保菌率は3%以下であるが、入院によって保菌率は25%までに劇的に増大する。特に懸念されるのは新たな地域流行性菌株の出現である。特に該当する例は、毒素A及びB産生の増大に加えて、追加の新規二成分毒素の産生を示す、(リボタイプ027としても知られる)高病毒性BI/NAP1菌株である。 クロストリジウム属の種に関連する肝要な要素は、病院環境に存在する高い比率の細菌芽胞である。使用されている標準的な病院用洗浄剤の多くは、その環境ではクロストリジウム属の芽胞を根絶するのに有効でなく、その結果疾患コントロールが無効になることが、最近になって示されている(Infect Cont.Hosp.Epidemiol.,2007, 28, 920〜5)。BI/NAP1などの菌株の高芽胞形成特性は大いにこの問題の一因となる。 CDADに関連する主な危険因子は、原因となる抗生物質の使用及び年齢であるが(CMAJ,2008, 179(8),767〜772;J.Antimicrob.Chem.,2003, 51, 1339〜1350)、例えば、プロトンポンプ阻害剤の使用、H2受容体拮抗薬の使用、利尿剤の使用、入院期間、栄養チューブの使用、人工呼吸器の使用、及び併存する基礎疾患を含めて、他の関連因子も数多く存在する。 胃液酸性度は、摂取された病原体に対する自然の防御機構の一部である。胃の酸性度が少しでも低下すると、通常は無菌である上位胃腸管に細菌定着が起こることがあり、その結果、正常な腸内ミクロフローラが乱されることがある。そのため、プロトンポンプ阻害剤(PPI)やヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2Ra)などの胃酸抑制剤の使用は、C.ディフィシルが定着し、引き続いてCDADを発症するリスクの増大と関連付けられる。PPI及びH2Raの使用は、以前より、旅行者下痢、サルモネラ症、コレラなどの他の腸内感染症と関連付けられている。Dialらは、地域社会(JAMA,2005, 294(23),2989〜2995)及び病院内(CMAJ,2004, 171(1),33〜38)のいずれにおいても、胃酸抑制剤の使用に伴ってCDADのリスクが増大することを報告している。 PPIとしては、例えば、オメプラゾール(ロセック(Losec)、プリロセック(Prilosec)、ゼゲリッド(Zegerid))、ランソプラゾール(プレバシッド(Prevacid)、ゾトン(Zoton)、インヒビトール(Inhibitol))、エソメプラゾール(ネキシウム(Nexium))、パントプラゾール(プロトニックス(Protonix)、ソマック(Somac)、パントロック(Pantoloc)、パントゾール(Pantozol)、ズーカル(Zurcal)、パン(Pan))、ラベプラゾール(ラベシッド(Rabecid)、アシフェックス(Aciphex)、パリエット(Pariet)、ラベロック(Rabeloc))が挙げられる。 H2Raとしては、例えば、シメチジン(タガメット(Tagamet))、ラニチジン(ジネタック(Zinetac)、ザンタック(Zantac))、ファモチジン(ペプシジン(Pepcidine)、ペプシッド(Pepcid))、ロキサチジン(ロキシット(Roxit))、ニザチジン(タザック(Tazac)、アキシッド(Axid))が挙げられる。 PPI又はH2Raと共に2種の抗生物質の組合せを用いるトリプル療法は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染を根絶するための、認知度のある治療である(Aliment.Pharmacol.Ther.,2001, 15(5),613−624;Helicobacter.,2005, 10(3),157〜171)。しかし、このトリプル治療レジメンはCDAD副作用を招きかねないという報告がいくつか存在する(Am.J.Gastroenterol.,1998, 93(7),1175〜1176;J.Int.Med.,1998, 243(3),251〜253;Aliment.Pharm.Ther.,2001, 15(9),1445〜1452;Med.Sci.Monit.,2001, 7(4),751〜754)。ヘリコバクター・ピロリ感染の治療に使用される典型的な抗菌剤は、例えば、メトロニダゾール、アモキシシリン、レボフロキサシン、及びクラリスロマイシンから選択される薬剤の組合せであり、これらの薬剤の多くはCDADの発症と密接に関連付けられる。現行の療法は、特に、ほぼすべての抗生物質類がこの疾患を引き起こすことに関連するという事実を考慮すると、非常に限定されている。メトロニダゾールも大々的に使用されているが、CDADの治療に関してFDAに認可されている唯一の薬物はバンコマイシンである。CDAD治療のための広範にわたるバンコマイシンの使用は、この薬剤がクロストリジウム属に対して静菌作用を有すること、費用が比較的高いこと、及び耐性C.ディフィシル菌株及び他の細菌(特に腸球菌属の種(Enterococcus spp.))の選別の可能性があることから懸念される。メトロニダゾール及びバンコマイシンの重要な問題は高い再発率であり、患者の少なくとも20%が少なくとも1回の反復エピソードを経験している。再発は、治療の間にクロストリジウム芽胞を根絶することができない結果、引き続いて病原性状態への発芽後成長が遂げられるために起こることが提唱されている。このように芽胞形成をコントロールできないと、病院環境が絶えず汚染される可能性が生じる。したがって、栄養細胞を根絶し、エンドスポアをコントロールすることのできる薬剤であれば、大いに有利となる。 CDAD治療の第一治療選択肢は、現行のいかなる抗微生物剤治療も中止した後、バンコマイシン又はメトロニダゾールを適切に使用するものである。いずれの薬剤も通常は経口投与されるが、メトロニダゾールは静脈内投与することもでき、重症の症例では、バンコマイシンも、経鼻胃管を通じての又はバンコマイシン保持浣腸としての腸内投与を含む他の数多くの経路によって投与することができる。CDADの治療における使用が報告されている追加の抗生物質剤として、フシジン酸、リファマイシン及びその類似体、テイコプラニン、及びバシトラシンが挙げられるが、バンコマイシン又はメトロニダゾールに優る特段の有効性を示すものはない。有害な抗菌剤治療を中止すべきであるだけでなく、嬬動抑制薬、オピエート、又はロペラミドの使用も、これらの薬剤がC.ディフィシル毒素のクリアランスを低下させ、毒素に媒介される腸傷害を増悪させることがあるため避けるべきである。このような薬剤はまた、腸閉塞を引き起こし、腸の毒性拡大の原因となる場合もある(J.Med.Microbiol.,2005, 54, 101〜111;JAMA,1993, 269, 71〜5;Postgrad.Med.J.,1990,66(777),582)。 標準的な単独薬剤として、又は抗菌剤と併せて使用される代替療法は、本来の腸管微生物個体群を樹立し直すことを試みる、C.ディフィシル毒素のレベルを低下させる、又は免疫系を刺激することを目標とする(総説については、Antibiotic Treatment for Clostridium difficile−Associated Diarrhea in Adults,Cochrane Database of Systematic Reviews 2007,第3号,論文番号:CD004610;Clin.Inf.Dis.,2008, 46(S1),S32〜S42;Clin.Inf.Dis.,2007, 45(S2),S122〜S128;J.Med.Microbiol.,2005, 54, 101〜111、及び含まれる参照文献を参照されたい)。すなわち、代替CDAD療法には、抗生物質と併せた、サッカロマイセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の提供、便移植、及び、他のすべての治療選択肢が作用しなくなった重症の症例では手術が含まれる。腸切除術の比率は低い(症例の3%未満)が、高い死亡率(60%未満)と関連付けられる。 したがって、芽胞形成細菌に関連する疾患、詳細にはクロストリジウム属及びバチルス属のメンバーによって引き起こされる疾患、特にクロストリジウム・ディフィシル感染に関連する疾患を治療するための新たな有効な薬剤が火急に求められている。この必要は、多くの広域スペクトル抗生物質(β−ラクタム及びキノロン抗生物質を含む。)に対するクロストリジウム・ディフィシルの不応性、及び耐性が出現する頻度を考慮すると、とりわけ喫緊である(Antimicrob.Agents Chemother.,1985, 28(6),842〜844)。先行技術: 国際公開第2007056330号、国際公開第2003105846号、及び国際公開第2002060879号には、種々の2−アミノベンゾイミダゾールが抗菌剤として開示されている。 国際公開第2007148093号には、種々の2−アミノベンゾチアゾールが抗菌剤として開示されている。 国際公開第2006076009号、国際公開第2004041209号、及びBowserら(Bioorg.Med.Chem.Lett.,2007, 17, 5652〜5655)には、微生物の耐性、病毒性又は増殖を低減する抗感染症薬として有用な種々の置換ベンゾイミダゾール化合物が開示されている。それらの化合物はin vitroでは固有の抗微生物活性を示さないことが記載されている。 米国特許第5,824,698号には、種々のジベンゾイミダゾールが広域スペクトル抗生物質として開示されており、ブドウ球菌属の種(Staphylococcus spp.)及び腸球菌属の種(Enterococcus spp.)を含むグラム陰性菌及びグラム陽性菌の両方に対する活性が開示されている。しかし、この文献には、嫌気性芽胞形成細菌に対する活性は開示されておらず、特に、いかなるクロストリジウム属の種(Clostridium spp.)(C.ディフィシルを含む。)に対する活性も開示されていない。 米国特許出願公開第2007/0112048A1号には、種々のビ及びトリ−アリールイミダゾリジン並びにビ及びトリ−アリールアミジンが広域スペクトル抗生物質として開示されており、ブドウ球菌属の種、腸球菌属の種及びクロストリジウム属の種を含むグラム陰性菌及びグラム陽性菌の両方に対する活性が開示されている。しかし、この文献には、本明細書に記載の一般式(I)の化合物は開示されていない。 Chaudhuriら(J.Org.Chem.,2007, 72, 1912〜1923)には、種々のビス−2−(ピリジル)−1H−ベンゾイミダゾール(本明細書に記載の式Iの化合物を含む。)がDNA結合剤として開示されている。この文献には、潜在的な抗菌活性については記載がない。 したがって、本発明の第一の態様では、一般式(I):[R1は、任意選択により置換されているアリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、及びヘテロシクリル基から選択され、任意選択による置換は、ハロ、CN、NO2、R3、OR3、N(R3)2、COR3、CO2R3、C(=O)SR3、SR3、S(=O)R3、SO2R3、NR4C(=O)R3、NR4CO2R3、OC(=O)NR3R4、NR4SO2R3、C(=NR4)NR3R4、C(=S)NR3R4、NR4C(=NR4)NR3R4、NR4C(=S)NR3R4、NR4C(=O)NR3R4、CONR3R4、及びSO2NR3R4から選択される1個又は複数の置換基でなされ、 R2は、任意選択により置換されている8〜14員の二環式又は三環式縮合芳香環系であり、炭素原子の1個又は複数は、N、O、S、SO又はSO2で置き換えられていてもよく、任意選択による置換は、ハロ、CN、NO2、R3、OR3、N(R3)2、COR3、CO2R3、C(=O)SR3、SR3、S(=O)R3、SO2R3、NR4C(=O)R3、NR4CO2R3、OC(=O)NR3R4、NR4SO2R3、C(=NR4)NR3R4、C(=S)NR3R4、NR4C(=NR4)NR3R4、NR4C(=S)NR3R4、NR4C(=O)NR3R4、CONR3R4、及びSO2NR3R4から選択される1個又は複数の置換基でなされ、 R3は、H、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、C3〜C7カルボシクリル、C4〜C7ヘテロシクリル、及び5員又は6員アリール又はヘテロアリールから選択され、これらはいずれも、ハロ、CN、NO2、R4、OR4、N(R4)2、COR4、CO2R4、C(=O)SR4、SR4、S(=O)R4、SO2R4、NR4C(=O)R4、NR4CO2R4、OC(=O)NR4)2、NR4SO2R4、C(=NR4)N(R4)2、C(=S)N(R4)2、NR4C(=NR4)N(R4)2、NR4C(=S)N(R4)2、NR4C(=O)N(R4)2、CON(R4)2、及びSO2N(R4)2から選択される1個又は複数の置換基で任意選択により置換されていてもよく、 R4は、水素、1個又は複数のハロ原子で任意選択により置換されているC1〜C6アルキル及びC3〜C7カルボシクリルから選択される。]の化合物、又はその薬学的に許容されるN−オキシド、塩、水和物、溶媒和物、複合体、生物学的等価体(bioisostere)、代謝産物若しくはプロドラッグが、クロストリジウム・ディフィシル関連疾患(CDAD)治療のために提供される。 一般式(I)の化合物のいくつかは新規のものである。したがって、本発明によれば、新規の一般式(I)の化合物と共に、そのような化合物の調製方法、そのような化合物を含有する組成物、及びそのような化合物の医薬としての使用が提供される。 したがって、別の態様では、一般式(I):[R1は、任意選択により置換されているアリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、及びヘテロシクリル基から選択され、任意選択による置換は、ハロ、CN、NO2、R3、OR3、N(R3)2、COR3、CO2R3、C(=O)SR3、SR3、S(=O)R3、SO2R3、NR4C(=O)R3、NR4CO2R3、OC(=O)NR3R4、NR4SO2R3、C(=NR4)NR3R4、C(=S)NR3R4、NR4C(=NR4)NR3R4、NR4C(=S)NR3R4、NR4C(=O)NR3R4、CONR3R4、及びSO2NR3R4から選択される1個又は複数の置換基でなされ、 R2は、任意選択により置換されている8〜14員の二環式又は三環式縮合芳香環系であり、炭素原子の1個又は複数は、N、O、S、SO又はSO2で置き換えられていてもよく、任意選択による置換は、ハロ、CN、NO2、R3、OR3、N(R3)2、COR3、CO2R3、C(=O)SR3、SR3、S(=O)R3、SO2R3、NR4C(=O)R3、NR4CO2R3、OC(=O)NR3R4、NR4SO2R3、C(=NR4)NR3R4、C(=S)NR3R4、NR4C(=NR4)NR3R4、NR4C(=S)NR3R4、NR4C(=O)NR3R4、CONR3R4、及びSO2NR3R4から選択される1個又は複数の置換基でなされ、 R3は、H、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、C3〜C7カルボシクリル、C4〜C7ヘテロシクリル、及び5員又は6員アリール又はヘテロアリールから選択され、これらはいずれも、ハロ、CN、NO2、R4、OR4、N(R4)2、COR4、CO2R4、C(=O)SR4、SR4、S(=O)R4、SO2R4、NR4C(=O)R4、NR4CO2R4、OC(=O)NR4)2、NR4SO2R4、C(=NR4)N(R4)2、C(=S)N(R4)2、NR4C(=NR4)N(R4)2、NR4C(=S)N(R4)2、NR4C(=O)N(R4)2、CON(R4)2、及びSO2N(R4)2から選択される1個又は複数の置換基で任意選択により置換されていてもよく、 R4は、水素、1個又は複数のハロ原子で任意選択により置換されているC1〜C6アルキル及びC3〜C7カルボシクリルから選択される。]の化合物、又はその薬学的に許容されるN−オキシド、塩、水和物、溶媒和物、複合体、生物学的等価体、代謝産物若しくはプロドラッグが提供される。 上で規定した化合物は、治療又は予防、例えば、細菌性感染症又は疾患の治療(例えば、CDADの治療)において使用するためのものであってもよい。 別の態様では、対象において細菌性感染症又は細菌性疾患(例えばCDAD)を治療する方法であって、前記対象に、上で規定した化合物を有効量投与することを含む方法が提供される。 別の態様では、細菌を死滅させ、又はその増殖を阻害、低減若しくは防止する方法であって、前記細菌を、上で規定した化合物と接触させることを含む方法が提供される。このような実施形態では、細菌はクロストリジウム・ディフィシルであることが好ましい。 また、上で規定した本発明の化合物を、以下で規定する種々の補助薬剤と共に含む組合せも提供される。 本発明のさらに別の態様は添付の特許請求の範囲において規定される。発明の詳細な説明 すべての刊行物、特許、特許出願、及び本明細書で言及する他の参照文献は、個々の刊行物、特許、又は特許出願についてそれぞれ、参照により援用され、その中身が全部列挙されることを詳細かつ個別に示したかのように、すべての目的でその全体が参照により本明細書に援用される。定義及び一般的な好適形態: 本明細書において、特に断らない限り、以下の用語は、その用語が当業界で有する可能性のあるより広い(又はより狭い)任意の意味に加えて、以下の意味を有するものとする。 文脈上別意に解すべき場合でない限り、本明細書における単数形の使用は、複数形を含むと解釈され、逆もまたそうである。ある存在物について使用する用語「a」又は「an」は、その存在物の1つ又は複数を指すと解釈される。したがって、用語「a」(又は「an」)、「1つ又は複数」及び「少なくとも1つ」は、本明細書では区別なく使用する。 本明細書において、用語「comprise(含む)」、又は「comprises(含む)」や「comprising(含む)」などのその変型は、列挙された任意の完全体(例えば、特色、要素、特性、性質、方法/工程ステップ、若しくは限定事項)又は完全体集団(例えば、複数の特色、要素、特性、性質、方法/工程ステップ、若しくは限定事項)の包含を示すが、他の任意の完全体又は完全体集団の除外を示さないと解釈される。したがって、本明細書では、用語「comprising」は、包含的又は無制限であり、追加の、列挙されない完全体又は方法/工程ステップを除外しない。 語句「consisting essentially of …(本質的に〜からなる)」は、本明細書では、指定の完全体若しくはステップ、及び特許請求発明の特徴若しくは機能に実質的に影響を及ぼさないものを要求するのに使用する。 本明細書では、用語「consisting(からなる)」は、列挙された完全体(例えば、特色、要素、特性、性質、方法/工程ステップ、若しくは限定事項)又は完全体集団(例えば、複数の特色、要素、特性、性質、方法/工程ステップ、若しくは限定事項)の存在をそれだけで示すのに使用する。 本明細書では、用語「疾患」は、生理機能を損ない、特定の症状を伴う任意の異常な状態を定めるのに使用する。この用語は、病因の性質(又は実際に疾患の病原学的根拠が確立しているかどうか)に関係なく、広く使用されて、生理機能が損なわれる任意の障害、疾病、異常、病態、病気、状態、又は症候群を包含する。したがって、この用語は、外傷、傷害、手術、放射線アブレーション、被毒、又は栄養欠乏症から生じる状態も包含する。 本明細書において、用語「細菌性疾患」とは、対象の身体及び/又は細胞において定住及び/又は複製する細菌が関与する(例えば、それによって引き起こされ、増悪し、それと関連し、又はその存在を特徴とする)任意の疾患を指す。したがって、この用語は、細菌毒素によって引き起こされ、又は増悪する(本明細書では「細菌性中毒」と呼ぶこともある)疾患を包含する。より具体的な用語「クロストリジウム・ディフィシル疾患」はそれに従って解釈される。 本明細書において、用語クロストリジウム・ディフィシル関連疾患(CDAD)は、対象の身体において定住及び/又は複製するクロストリジウム・ディフィシルが関与する(例えば、それによって引き起こされ、増悪し、それと関連し、又はその存在を特徴とする)任意の疾患を定めるのに使用する。したがって、この用語は、クロストリジウム・ディフィシル種の細菌が病原因子として働く、又はクロストリジウム・ディフィシルの1又は複数の菌株の感染が関係し、検出され、又は関与する任意の疾患、障害、病態、症状、臨床状態、又は症候群をカバーする。したがって、この用語は、種々の形態の大腸炎、偽膜性大腸炎、下痢、及び抗生物質関連疾患を包含する。 本明細書において、用語「クロストリジウム・ディフィシル選択的薬剤」は、C.ディフィシルの1又は複数の菌株に対して静菌及び/又は殺菌活性を示すが、(a)大腸菌属の種(Escherichia spp.)(例えば大腸菌(Escherichia coli))、(b)バクテロイデス属の種(Bacteroides spp.)(例えばB.フラジリス(B.fragilis))、(c)フソバクテリウム属の種(Fusobacterium spp.)、(d)ユーバクテリウム属の種(Eubacterium spp.)、(e)ルミノコッカス属の種(Ruminococcus spp.)、(f)ペプトコッカス属の種(Peptococcus spp.)、(g)ペプトストレプトコッカス属の種(Peptostreptococcus spp.)、(h)ビフィドバクテリウム属の種(Bifidobacterium spp.)、(i)ラクトバチルス属の種(Lactobacillus spp.)、(j)腸球菌属の種(例えばE.フェシウム(E.faecium))、(k)C.ディフィシル以外のクロストリジウム属の種(例えばウェルシュ菌)、(l)エンテロバクター属の種(Enterobacter spp.)、(m)セラチア属の種(Serratia spp.)、(n)クレブシエラ属の種(Klebsiella spp.)、(o)プロテウス属の種(Proteus spp.)、(p)シュードモナス属の種(Pseudomonas spp.)、及び(q)ベイヨネラ属の種(Veillonella spp.)から選択される、正常な腸管内菌叢の1又は複数の代表菌に対しては静菌及び/又は殺菌活性を示さない化合物を定めるのに本明細書において使用する。 好ましいクロストリジウム・ディフィシル選択的薬剤は、C.ディフィシルの1又は複数の菌株に対して静菌及び/又は殺菌活性を示すが、(a)大腸菌、又は(b)B.フラジリスに対しては静菌及び/又は殺菌活性を示さない。 すなわち、本発明のある種の好ましいクロストリジウム・ディフィシル選択的薬剤は、C.ディフィシルの1又は複数の菌株に対して静菌及び/又は殺菌活性を示すが、B.フラジリスに対しては静菌及び/又は殺菌活性を示さない。 本明細書において、用語「細菌性感染症」は、対象が細菌に感染した状態を定めるのに使用する。感染は症候性であっても無症候性であってもよい。後者の場合、例えば、生化学検査、血清検査、微生物学的培養、及び/又は顕微鏡検査を含む種々の検査に基づき、対象が感染していると断定することができる。 静菌及び殺菌という用語は、それぞれ、細菌増殖を防ぐ(又はその速度を低減する)能力、及び細菌細胞の細胞破壊を(直接又は間接的に)媒介する能力を定めるのに使用する専門用語である。これら用語は、相互排他的ではなく、多くの薬剤は、静菌と殺菌の両方の効果を(場合により用量依存的又はターゲット特異的に)発揮する。一般に、殺菌剤の方が良好な治療成果をもたらし、好ましい。 本明細書において、用語「広域スペクトル抗生物質」は、グラム陽性及びグラム陰性両方の細菌を含む範囲の細菌に関して殺菌性及び/又は静菌性のある薬剤と定める。 「多剤耐性」(MDR)は、本明細書において細菌に適用される場合、例えば、ペニシリン、メチシリン、キノロン、マクロライド、及び/又はバンコマイシンから選択される抗生物質を含む抗生物質の2クラス以上のものに耐性である細菌と定める。 本明細書において、用語「treatment(治療)」又は「treating(治療する)」とは、疾患の症状を治癒させ、寛解させ、若しくは軽減し、又はその原因(例えば原因細菌)を除去する(若しくはその影響を軽減する)介入(例えば、対象への薬剤の投与)を指す。この場合、この用語は、用語「therapy(療法、治療)」と同義に使用する。したがって、本発明による感染の治療は、本発明の化合物の(直接又は間接的な)静菌及び/又は殺菌作用を特徴とするものであってもよい。 加えて、用語「treatment」又は「treating」は、疾患の発症若しくは進行を防ぎ若しくは遅延させ、又は治療した集団内のその発病率を低減(若しくは根絶する)介入(例えば、対象への薬剤の投与)も指す。この場合、用語treatmentは、用語「prophylaxis(予防)」と同義に使用する。 用語「対象」(文脈上可能な場合、「個体」、「動物」、「患者」、又は「哺乳動物」を含むと解釈される。)は、治療が必要である任意の対象、特に哺乳動物対象と定める。哺乳動物対象としては、例えば、ヒト、霊長類、飼養動物、家畜、愛玩動物、及びマウス、ラット、ハムスター、モルモットなどのげっ歯動物が挙げられる。好ましい実施形態において、対象はヒトである。 グラム陽性細菌という用語は、ある一定の細胞壁染色特性を根拠に一まとめにされる特定のクラスの細菌を定める専門用語である。 低GC含量グラム陽性細菌という用語は、DNAにおける塩基の組成を根拠に、グラム陽性菌内の、進化的に関係のある細菌の特定の下位クラスを定める専門用語である。この下位クラスには、連鎖球菌属の種(Streptococcus spp.)、ブドウ球菌属の種、リステリア属の種(Listeria spp.)、バチルス属の種(Bacillus spp.)、クロストリジウム属の種、腸球菌属の種、及びラクトバチルス属の種が含まれる。 用語「最小阻害濃度」又は「MIC」は、in vitroで細菌分離株の増殖を阻害するのに必要となる、試験化合物の最低濃度と定める。抗生物質のMICを求める一般的な方法は、試験化合物の段階希釈物を含有する数本の試験管を準備し、次いでそれに問題の細菌分離株を接種することである。適切な雰囲気及び温度においてインキュベートした後、混濁を示さない最低濃度の試験管から、抗生物質のMICを求めることができる。 本明細書において、用語「combination(組合せ)」は、2種以上の化合物及び/又は薬剤(本明細書では成分とも呼ぶ)に適用される場合、2種以上の化合物/薬剤が関連している材料と定めるものとする。この文脈における用語「combined(組み合わせた)」及び「combining(組み合わせる)」はそれに従って解釈される。 組合せにおける2種以上の化合物/薬剤の関連は物理的なものであっても非物理的なものであってもよい。物理的に関連している組み合わされた化合物/薬剤の例としては以下のものが挙げられる。 ・(例えば同じ単位用量内に)2種以上の化合物/薬剤を混合物として含む組成物(例えば一体型製剤) ・2種以上の化合物/薬剤が(例えば、架橋、分子の凝集、又は共通ビヒクル部分への結合によって)化学的/物理化学的に結合している材料を含む組成物 ・2種以上の化合物/薬剤が化学的/物理化学的に共包装されている(例えば、脂質ベシクル、粒子(例えば、マイクロ粒子若しくはナノ粒子)、又はエマルション液滴上又は内に配置されている)材料を含む組成物 ・2種以上の化合物/薬剤が(一揃いの単位用量の一部として)共包装又は共提示されている医薬キット、医薬パック又は患者用パック 非物理的に関連している組み合わされた化合物/薬剤の例としては、以下のものが挙げられる。 ・2種以上の化合物/薬剤の少なくとも1種を、その少なくとも1種の化合物/薬剤を即時に関連させて2種以上の化合物/薬剤の物理的関連を成立させることについての説明書と共に含む材料(例えば非一体型製剤) ・2種以上の化合物/薬剤の少なくとも1種を、その2種以上の化合物/薬剤による併用療法についての説明書と共に含む材料(例えば非一体型製剤) ・2種以上の化合物/薬剤の少なくとも1種を、その2種以上の化合物/薬剤の他のものの投与を受けたことがある(又は受けている)患者集団に投与することについての説明書と共に含む材料 ・2種以上の化合物/薬剤の少なくとも1種を、その2種以上の化合物/薬剤の他のものと組み合わせて使用するように特別に構成された量又は形態で含む材料 本明細書において、用語「併用療法」は、(上で定義した)2種以上の化合物/薬剤の組合せの使用を含む療法と定めるものとする。したがって、本出願における「併用療法」、「組合せ」、及び化合物/薬剤の「組合せでの」使用への言及は、化合物/薬剤が同一の全体的治療レジメンの一環として投与されることを指し得る。そのため、2種以上の化合物/薬剤それぞれの薬量学は異なる場合がある。すなわち、それぞれが同じ時期に投与されることもあり、又は異なる時期に投与されることもある。したがって、組合せの化合物/薬剤は、順次(例えば、後若しくは前に)投与することも、又は同じ医薬製剤(すなわち一緒に)若しくは異なる医薬製剤(すなわち別々に)にして同時に投与することもできると理解される。「同じ製剤にして同時」とは、一体型製剤としてであるのに対し、「異なる医薬製剤にして同時」は非一体型である。併用療法における2種以上の化合物/薬剤それぞれの薬量学は投与経路に関しても異なる場合がある。 本明細書において、用語「医薬キット」は、場合によりすべてが共通の外部包装内に収容されている、並べて配置された1又は複数の単位用量の医薬組成物、並びに服用手段(例えば計量装置)及び/又は送達手段(例えば、吸入器又はシリンジ)と定める。2種以上の化合物/薬剤の組合せを含む医薬キットでは、個々の化合物/薬剤は一体型製剤であっても非一体型製剤であってもよい。単位用量はブリスターパックに収容されることもある。医薬キットは場合により使用説明書をさらに含んでもよい。 本明細書において、用語「医薬パック」は、場合により共通の外部包装に収容されている、1又は複数の単位用量の医薬組成物が並べて配置されたものと定める。2種以上の化合物/薬剤の組合せを含む医薬パックでは、個々の化合物/薬剤は一体型製剤であっても非一体型製剤であってもよい。単位用量はブリスターパックに収容されることもある。医薬パックは場合により使用説明書をさらに含んでもよい。 本明細書において、用語「患者用パック」は、治療の全過程にわたる医薬組成物を収容する、患者に処方される包装品と定める。患者用パックは、1又は複数のブリスターパックを収容するのが通常である。患者用パックは、患者用パックに収められた、患者処方箋には通常は入らない添付文書に常に患者の手が届くという点で、薬剤師が大量の供給品から患者に供給する医薬を分配する伝統的な処方箋より有利である。添付文書が添えられると、患者による医師の指示の遵守が改善されることが示されている。 本発明の組合せは、個々の化合物/薬剤を別々に投与した場合の治療効果より治療有効性のある効果をもたらし得る。 本明細書において、化合物の有効量又は治療有効量は、妥当な利益/リスク比に応じた、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症なしに対象に投与することができる量でありながらも、所望の効果、例えば、対象の状態の永久的又は一時的な改善によって明らかになる治療又は予防をもたらすのに十分である量と定める。この量は、個体の年齢及び全身状態、投与方式、及び他の要素に応じて、対象によって異なる。したがって、正確な有効量を指定することは可能でないが、当業者なら、常套の実験及び基礎的な一般知識を駆使して、個々のいかなる症例においても適切な「有効」量を決定することができよう。これに関連して、治療成果としては、症状の根絶又は軽減、疼痛又は不快感の軽減、生存の延長、移動性(mobility)の向上、及び他の臨床的改善マーカーが挙げられる。治療成果は完全な治癒である必要はない。 本明細書において、「予防有効量」とは、必要な投与量及び期間で所望の予防成果を得るのに有効な量を指す。通常、予防的用量は、対象において疾患より前に又は疾患の初期段階で使用されるので、予防有効量は治療有効量より少なくなる。 用語「有効性のある」は、相加性、相乗性、副作用の低減、毒性の低減、性能又は活性の向上などの有利な効果を包含する。有利なことに、有効性のある効果により、成分のいずれか又はそれぞれをより少ない用量で患者に投与することが可能になり、それによって、毒性を低減しながらも、同じ治療効果を産出及び/又は維持することができる。この意味合いでの相乗効果は、組合せによって産出される治療効果が、組合せの成分の、個々に示される治療効果の合計より大きいことをいう。この意味合いでの相加効果は、組合せによって産出される治療効果が、個々に示される、組合せの構成要素のいずれかの治療効果より大きいことをいう。 本明細書で使用する用語「副化合物」(又は「副薬剤」)は、本発明の化合物と組み合わせると(本明細書で定める)有効性のある組合せをもたらす任意の化合物と定めるものとする。したがって、副化合物は、本発明の化合物の補助薬剤として働くものであってもよいし、又は(例えば、相乗若しくは相加効果を産出する、又は本発明の化合物の活性を増強することにより)組合せの有効性に別な形で寄与するものであってもよい。 用語「補助」は、治療又は予防における本発明の化合物及び組合せの使用に適用される場合、材料が、他の1種又は複数の薬物、介入、レジメン、又は治療(手術及び/又は照射など)と共に投与される使用と定める。そのような補助療法は、本発明の材料と他の治療の並行、個別、又は順次の投与/適用を含み得る。したがって、一部の実施形態では、本発明の材料の補助的使用は、本発明の医薬組成物の製剤において反映される。例えば、補助的使用は、特定の単位投与量において、又は本発明の化合物が、補助的に共に使用する他の薬物との混合物として存在する(若しくは、そうでなく単一の単位用量内で他の薬物と物理的に関連している)製剤において反映させることができる。別の実施形態では、本発明の化合物又は組成物の補助的使用は、本発明の化合物が、補助的に共に使用する他の薬物と(一揃いの単位用量の一部として)共包装されている、本発明の医薬キットの組成物において反映させることもできる。さらに別の実施形態では、本発明の化合物の補助的使用は、化合物と共包装される、製剤及び/又は薬量学に関する情報及び/又は説明書の内容において反映させることもできる。 薬学的に許容される誘導体という用語は、本発明の化合物に適用される場合、本発明の親化合物の化学的誘導体化によって得た(又は得ることが可能な)化合物と定める。したがって、薬学的に許容される誘導体は、不相応な毒性、刺激、又はアレルギー反応なしに、哺乳動物の組織に投与し、又はそれと接触させて使用するのに適する(すなわち、妥当な利益/リスク比に応じた)ものである。好ましい誘導体は、本発明の親化合物のアルキル化、エステル化、又はアシル化によって得られた(又は取得可能な)誘導体である。誘導体は、それ自体活性を有してもよいし、又はin vivoで処理されるまで不活性であってもよい。後者の場合、本発明の誘導体はプロドラッグとして働く。特に好ましいプロドラッグは、遊離ヒドロキシルの1つ又は複数においてエステル化されており、in vivoで加水分解により活性化される、エステル誘導体である。他の好ましいプロドラッグは、in vivoで共有結合が切断された後、一般式(I)による活性親薬物を遊離させる、共有結合した化合物である。 薬学的に許容される本発明の誘導体は親化合物の活性の一部又は全部を保持する。場合によっては、誘導体化により活性が増大する。誘導体化により化合物の他の生物学的活性(例えば生物学的利用能)が高まる場合もある。 薬学的に許容される塩という用語は、本発明の化合物に適用される場合、不相応な毒性、刺激、アレルギー反応なしに、哺乳動物の組織と接触させて使用するのに適し、妥当な利益/リスク比に応じた、遊離塩基化合物の非毒性の任意の有機酸又は無機酸付加塩と定める。適切な薬学的に許容される塩は、当業界でよく知られている。例は、無機酸(例えば、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸)、有機カルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、ジヒドロキシマレイン酸、安息香酸、フェニル酢酸、4−アミノ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、アントラニル酸、ケイ皮酸、サリチル酸、2−フェノキシ安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、マンデル酸)、及び有機スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸)との塩である。本発明の化合物は、アルカリ金属ハロゲン化物(例えば、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、又はヨウ化リチウム)と反応させて塩に変換することもできる。本発明の化合物は、アセトンなどの溶媒の存在下で化学量論量の塩化ナトリウムと反応させて、その塩に変換することが好ましい。 これらの塩及び遊離塩基化合物は、水和した形態又は実質的に無水の形態のいずれかで存在し得る。結晶形態の本発明の化合物も想定されており、一般に、本発明の化合物の酸付加塩は、水及び種々の親水性有機溶媒に可溶性であり、またその遊離塩基形態と比べてより高い融点及び溶解性の増大を示す結晶性の物質である。 薬学的に許容される溶媒和物という用語は、本発明の化合物に適用される場合、指定した化合物の任意の薬学的に許容される溶媒和物形態で、その化合物の生物学的有効度を保持するものと定める。溶媒和物の例として、本発明の化合物を、水(水和物)、イソプロパノール、エタノール、メタノール、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、酢酸、エタノールアミン、又はアセトンと組み合わせたものが挙げられる。本発明の化合物をアセトンとエタノールの混合物と組み合わせたものなどの、溶媒和物混合物の混和性配合物も挙げられる。好ましい実施形態では、溶媒和物として、約20%のエタノールと約80%のアセトンとを組み合わせた本発明の化合物が挙げられる。したがって、構造式は、表示された構造を有する化合物を、水和形態及び非水和形態を含めて包含する。 薬学的に許容されるプロドラッグという用語は、本発明の化合物に適用される場合、生理的条件下で、又は加溶媒分解によって、指定の化合物、そうした化合物の薬学的に許容される塩、又は指定の化合物の抗菌活性の少なくとも一部を分担する(例えば、クロストリジウム・ディフィシルに対する活性を示す)化合物へと変換され得る、任意の薬学的に許容される化合物と定める。 薬学的に許容される代謝産物という用語は、本発明の化合物に適用される場合、身体における、指定の化合物又はその塩の代謝によって生成した、薬理活性のある生成物と定める。 本発明の化合物のプロドラッグ及び活性代謝産物は、当業界で知られている通常の方法で確認することができる(例えば、Bertoliniら,J.Med.Chem.,1997, 40, 2011〜2016を参照されたい)。 薬学的に許容される複合体という用語は、本発明の化合物に適用される場合、本発明の化合物が構成部分を形成している化合物又は組成物と定める。すなわち、本発明の複合体は、本発明の化合物が、別の1又は複数の部分に(例えば、共有結合又は非共有結合によって)物理的に関連している誘導体を包含する。したがって、この用語は、多量体形態の本発明の化合物を包含する。そのような多量体は、本発明の化合物の複数のコピーを、(例えば、足場部分又はキャリア部分を介して)極めて近接して互いに連結又は配置することにより生成できる。 生物学的等価体(又は単に等価体)という用語は、1個又は複数の原子(又は原子群)が、置き換えられる原子と類似した立体的及び/又は電子的特色を有する置き換え原子(又は原子群)で置換されている薬物類似体を定めるのに使用される専門用語である。水素原子又はヒドロキシル基のフッ素原子での置換は、一般的に使用される生物学的に等価な置き換えである。シラ置換(C/Si交換)は、等価体生成のための比較的最近の技術である。この手法は、化合物中の特定の1個又は複数の炭素原子をケイ素で置き換えるものである(総説については、Tacke及びZilch(1986),Endeavour,New Series 10, 191〜197を参照されたい)。シラ置換等価体(ケイ素等価体)は、薬理特性の改善を示すことがあり、また、例えば、忍容性がより良好となり、半減期がより長くなり、又は効力の増大を示し得る(例えば、Englebienne(2005),Med.Chem.,1(3),215〜226を参照されたい)。同様に、原子をその同位体の1つで、例えば、水素をジュウテリウムで置き換えても、薬理特性の改善につながることがあり、例えば、半減期がより長くなることがある(例えば、Kushnerら(1999),Can J Physiol Pharmacol.,77(2),79〜88を参照されたい)。その最も広い態様において、本発明には、本発明の化合物のすべての生物学的等価体(具体的には、すべての生物学的ケイ素等価体)が包含される。 その最も広い態様において、本発明では、本明細書に記載の化合物のすべての光学異性体、ラセミ形態及びジアステレオ異性体が包含される。当業者なら、本発明の化合物中に、非対称的に置換された炭素原子が存在するために、化合物が光学活性形態及びラセミ形態として生成される場合もあることは理解されよう。キラル中心又は別の形態の異性体中心が本発明の化合物中に存在する場合、鏡像異性体及びジアステレオ異性体を含む、1又は複数のそのような異性体のすべての形態が、本明細書においてカバーされるものとする。キラル中心(又は複数のキラル中心)を含む本発明の化合物は、ラセミ混合物、鏡像異性体富化された混合物として使用することもでき、又はよく知られた技術を使用してラセミ混合物を分離することもでき、個々の鏡像異性体を単独で使用することができる。すなわち、本発明の化合物への言及は、ジアステレオ異性体の混合物、個々のジアステレオ異性体、鏡像異性体の混合物としての生成物、及び個々の鏡像異性体の形の生成物を包含する。 したがって、本発明は、本発明の化合物のすべての光学異性体及びそのラセミ形態を包含し、(例えば、ダッシュ−楔の構造式を用いて)特に示されない限り、本明細書で示す化合物は、そのように表記された化合物のすべてのあり得る光学異性体を包含するものとする。化合物の立体化学形態が薬学的有用性にとって重要である場合は、単離されたユートマー(eutomer)の使用が想定される。 本明細書では、用語「アルキル」は、直線状又は分枝状の飽和炭化水素鎖と定める。用語「C1〜C6アルキル」とは、1個〜6個の炭素原子を有する直線状又は分枝状の飽和炭化水素鎖を指す。例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−ヘキシルが挙げられる。用語「C1〜C9アルキル」とは、1個〜9個の炭素原子を有する直線状又は分枝状の飽和炭化水素鎖を指す。用語「C1〜C15アルキル」とは、1個〜15個の炭素原子を有する直線状又は分枝状の飽和炭化水素鎖を指す。本発明のアルキル基は、1個又は複数のハロゲン原子で任意選択により置換されていてもよい。 「C1〜C4アルキル」は、1個〜4個の炭素原子を含むこと以外は同様の意味を有する。 「C2〜C6アルケニル」とは、2個〜6個の炭素原子を有し、少なくとも1箇所の炭素−炭素二重結合を含む直線状又は分枝状の炭化水素鎖を指す。例として、エテニル、2−プロペニル、及び3−ヘキセニルが挙げられる。 用語「C1〜C6ハロアルキル」とは、1個又は複数のハロゲン原子で置換されている、上で定義したC1〜6アルキル基を指す。 本明細書では、用語「アルケニル」は、少なくとも1箇所の炭素−炭素二重結合を含む直線状又は分枝状の炭化水素鎖と定める。用語「C1〜C6アルケニル」とは、1個〜6個の炭素原子を有する直線状又は分枝状の不飽和炭化水素鎖を指す。用語「C1〜C9アルケニル」とは、1個〜9個の炭素原子を有する直線状又は分枝状の不飽和炭化水素鎖を指す。用語「C1〜C15アルケニル」とは、1個〜15個の炭素原子を有する直線状又は分枝状の不飽和炭化水素鎖を指す。好ましいのはC1〜C6アルケニルである。例としては、エテニル、2−プロペニル、及び3−ヘキセニルが挙げられる。本発明のアルケニル基は、1個又は複数のハロゲン原子で任意選択により置換されていてもよい。 本明細書では、用語「アルキニル」は、少なくとも1箇所の炭素−炭素三重結合を含む直線状又は分枝状の炭化水素鎖と定める。用語「C1〜C6アルキニル」とは、1個〜6個の炭素原子を有する直線状又は分枝状の不飽和炭化水素鎖を指す。用語「C1〜C9アルキニル」とは、1個〜9個の炭素原子を有する直線状又は分枝状の不飽和炭化水素鎖を指す。用語「C1〜C15アルキニル」とは、1個〜15個の炭素原子を有する直線状又は分枝状の不飽和炭化水素鎖を指す。好ましいのはC1〜C6アルキニルである。例としては、エチニル、2−プロピニル、及び3−ヘキシニルが挙げられる。本発明のアルキニル基は、1個又は複数のハロゲン原子で任意選択により置換されていてもよい。 用語「ヘテロシクリル」は、炭素原子の少なくとも1個がN、O、S、SO又はSO2で置き換えられていること以外はシクロアルキルと同様の、飽和又は部分的飽和の3〜14員環系(別の数の環原子を指定する場合を除く)と定める。例として、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロフラン、及びピロリジンが挙げられる。 本明細書において、用語「カルボシクリル」は、3個以上(例えば、3〜14、3〜10、又は3〜8個)の炭素原子を含む単環式又は多環式残基を意味する。本発明のカルボシクリル残基は、1個又は複数のハロゲン原子で任意選択により置換されていてもよい。単環式及び二環式のカルボシクリル残基が好ましい。カルボシクリル残基は飽和であっても部分的不飽和であってもよく、二環式又は三環式の縮合系を包含する。このような基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、さらにはノルボルニルやアダマンチルなどの架橋系が挙げられる。 飽和カルボシクリル残基が好ましく、これを本明細書では「シクロアルキル」と呼び、用語「シクロアルキル」は、本明細書では、二環式又は三環式の縮合系を含む3〜14員の飽和炭素環を定めるのに使用する。このような基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、さらにはノルボルニルやアダマンチルなどの架橋系が挙げられる。本発明のシクロアルキル残基は、1個又は複数のハロゲン原子で任意選択により置換されていてもよい。 本明細書では、用語「アリール」は、その少なくとも1つの環が芳香族である、5〜14(例えば5〜10)員の単環式、二環式、又は三環式芳香族基と定める。すなわち、二環式アリール基は、芳香環を1つだけ含むものであってもよい。芳香族部分の例は、ベンゼン、ナフタレン、イミダゾール、及びピリジンである。この用語は、環の1つ又は複数が芳香族の特徴を有する二環式又は三環式の系も包含する。インダンはこのタイプの系の一例である。 本明細書において、用語「ヘテロアリール」とは、ヘテロ原子(例えば、窒素、硫黄、及び/又は酸素)を含む、上で定義したアリール部分である。この用語は、芳香族の特徴を有する環が、飽和又は部分的飽和の環に縮合している系も包含する。例として、ピリジン、ピリミジン、フラン、チオフェン、インドール、イソインドール、インドリン、ベンゾフラン、ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾリン、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、キナゾリン、チアゾール、ベンズチアゾール、ベンゾオキサゾール、インダゾール、及びイミダゾール環系が挙げられる。特に断らない限り、用語「アリール」は、上で定義したヘテロアリール基を包含すると解釈される。 本発明のアリール及びヘテロアリール基は、1個又は複数のハロゲン原子で任意選択により置換されていてもよい。 本明細書では、「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを指す。 本発明の一般式では(特に、以下に記載する一般式(I)では)、芳香族性を満足し、反芳香族性を抑止し、局在化による互変異性形態を安定化するための特定の要件を、種々のあり得るヘテロ原子が示唆する場合、指定の環の結合次数は種々となり得る。そのような場合、本明細書では、本発明の構造式における環構造の適切な結合次数が想定される。 用語「対称」は、式(I)の化合物に適用される場合、置換基R1及びR2が同じである化合物と定めることができる。 用語「非対称」は、式(I)の化合物に適用される場合、置換基R1及びR2が異なる化合物と定めることができる。(2)本発明の化合物(2)構造上の検討事項 特に好ましい一般式(I)の化合物を下の表1に列挙する。 各場合において、本発明には、列挙した化合物それぞれの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、複合体、生物学的等価体、代謝産物又はプロドラッグが包含される。 本明細書において特定の化合物番号に言及される場合、表1中の番号を指す。 一般式(I)の化合物のいくつかは新規のものである。したがって、本発明には、それ自体が化合物として新規である一般式(I)の化合物と共に、そのような化合物の調製方法、そのような化合物を含有する組成物、及びそのような化合物の医薬としての使用が包含される。 したがって、本発明は、 2−(2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)チエノ[2,3−b]ピリジン、 2−(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(ベンゾフラン−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 6−(2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)ベンゾ[d]イミダゾール、 2−(ベンゾ[b]チオフェン−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(1H−インドール−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(ベンゾフラン−2−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−[5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール]−2−イル)チエノ[2,3−c]ピリジン、 2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル)−2’−(ピリジン−3−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、若しくは 2−(2’−(ピリジン−3−イル)−1H,1’H−[5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール]−2−イル)チエノ[2,3−b]ピリジン、又は その薬学的に許容されるN−オキシド、塩、水和物、溶媒和物、複合体、生物学的等価体、代謝産物若しくはプロドラッグから選択される化合物、及び該化合物を含む組成物(例えば医薬組成物)を包含する。(b)機能上の検討事項(i)クロストリジウム・ディフィシルの菌株に対する効果及び選択性 好ましい本発明の化合物は、上で定義したクロストリジウム・ディフィシル選択的薬剤とすることができる。 特に好ましいクロストリジウム・ディフィシル選択的薬剤は、C.ディフィシルの1又は複数の菌株に対して静菌及び/又は殺菌活性を示すが、B.フラジリスATCC25285に対しては静菌及び/又は殺菌活性を示さない(MIC>64μg/mL)。 さらに特に好ましいクロストリジウム・ディフィシル選択的薬剤は、C.ディフィシルの1又は複数の菌株に対して静菌及び/又は殺菌活性を示すが、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)ATCC25285及び大腸菌ATCC25922の両方に対して静菌及び/又は殺菌活性を示さない(MIC>64μg/mL)。 したがって、クロストリジウム・ディフィシル選択的薬剤である好ましい本発明の化合物を使用すると、既存の腸管内菌叢を破壊することなく、臨床上有意な程度にCDADを治療することができる。すなわち、このような化合物は、(本明細書で定義する)抗生物質関連疾患及び/又は腸管病原体の抗生物質耐性菌株の蔓延を引き起こすことなく、抗微生物剤として使用することができる。 クロストリジウム・ディフィシル選択的薬剤として作用する本発明の化合物は、クロストリジウム・ディフィシル及び正常な腸管内菌叢を代表する1種又は複数の指標生物に関する化合物の相対抗菌活性を求めて特定することができる。この目的に適する指標生物としては、(a)大腸菌属の種(例えば大腸菌)、(b)バクテロイデス属の種(例えばB.フラジリス)、(c)フソバクテリウム属の種、(d)ユーバクテリウム属の種、(e)ルミノコッカス属の種、(f)ペプトコッカス属の種、(g)ペプトストレプトコッカス属の種、(h)ビフィドバクテリウム属の種、(i)ラクトバチルス属の種、(j)腸球菌属の種(例えばE.フェシウム)、(k)C.ディフィシル以外のクロストリジウム属の種(例えばウェルシュ菌)、(l)エンテロバクター属の種、(m)セラチア属の種、(n)クレブシエラ属の種、(o)プロテウス属の種、(p)シュードモナス属の種、及び(q)ベイヨネラ属の種が挙げられる。 あるいは、又はさらに、クロストリジウム・ディフィシル選択的薬剤として作用する本発明の化合物は、試験化合物を服用した対象から採取した連続的な大便サンプルについて定量的な大便培養を実施して特定することもできる。この手法のin vitro変法は、試験化合物を、希釈及び濾過した便サンプルと共にin vitroでインキュベートした場合に大幅な叢の変化が生じるどうかを判定することによるものである。この場合、叢の変化は、(a)大腸菌属の種(例えば大腸菌)、(b)バクテロイデス属の種(例えばB.フラジリス)、(c)フソバクテリウム属の種、(d)ユーバクテリウム属の種、(e)ルミノコッカス属の種、(f)ペプトコッカス属の種、(g)ペプトストレプトコッカス属の種、(h)ビフィドバクテリウム属の種、(i)ラクトバチルス属の種、(j)腸球菌属の種(例えばE.フェシウム)、(k)C.ディフィシル以外のクロストリジウム属の種(例えばウェルシュ菌)、(l)エンテロバクター属の種、(m)セラチア属の種、(n)クレブシエラ属の種、(o)プロテウス属の種、(p)シュードモナス属の種、及び(q)ベイヨネラ属の種のうちの2以上の属を代表する細菌の相対数に対する試験化合物の効果を判定することにより検出できる。 したがって、本発明は、 2−(2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)チエノ[2,3−b]ピリジン、 2−(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(ベンゾフラン−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 6−(2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)ベンゾ[d]イミダゾール、 2−(ベンゾ[b]チオフェン−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(1H−インドール−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(ベンゾフラン−2−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−[5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール]−2−イル)チエノ[2,3−c]ピリジン、 2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル)−2’−(ピリジン−3−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、若しくは 2−(2’−(ピリジン−3−イル)−1H,1’H−[5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール]−2−イル)チエノ[2,3−b]ピリジン、又は その薬学的に許容されるN−オキシド、塩、水和物、溶媒和物、複合体、生物学的等価体、代謝産物若しくはプロドラッグから選択されるクロストリジウム・ディフィシル選択的薬剤を包含する。(ii)芽胞発芽に対する効果 本発明の化合物は芽胞発芽を阻害又は防止することができる。 芽胞発芽を阻害する化合物は、エンドスポアの屈折性、熱抵抗性、及び染色の変調をin vitroで検出することにより特定できる。すなわち、発芽しているエンドスポアは、暗い色相になり、熱の影響を受けやすくなり、特定の染料で染色可能になる。(iii)芽胞発芽後成長に対する効果 本発明の化合物は芽胞発芽後成長を阻害又は防止することができる。 芽胞発芽後成長を阻害する化合物は、in vitroで発芽促進物質に曝した芽胞の顕微鏡検査によって特定することができる。(iv)殺菌及び/又は静菌効果 本発明の化合物は殺菌性及び/又は静菌性となり得る。 好ましいのは上で定義した殺菌性化合物である。そのような殺菌性化合物は(例えば、ターゲット細菌及び濃度に応じて)静菌性になる場合もある。III.医学応用(a)C.ディフィシル感染の治療 本発明の化合物は、クロストリジウム・ディフィシル感染又は疾患の治療において適用できる。 特に好ましいのは、C.ディフィシル感染及び/又は中毒と関連する一群の症状及び疾患と定める、クロストリジウム・ディフィシル関連疾患(CDAD)の治療である。CDADには、下痢、腫脹、流感様症状、発熱、食欲低下、腹痛、悪心、脱水、及び腸炎(大腸炎)が含まれる。CDADの最も重症の症状発現は、組織学的には粘膜プラークを伴う大腸炎として現れ、臨床的には重症の下痢、けいれん性腹痛、及び全身毒性として現れる、偽膜性大腸炎(PMC)である。 本発明の化合物は、下痢、鼓腸、流感様症状、発熱、食欲低下、腹痛、悪心、脱水、大腸炎、及び偽膜性大腸炎を含む、すべての形態のCDADの治療において適用できる。 本発明は、クロストリジウム・ディフィシル毒素A(TcdA)、毒素B(TcdB)、及び/又は二成分毒素CDTを含む、クロストリジウム属の外毒素による中毒の治療にも応用できる。したがって、本発明の化合物は、クロストリジウム・ディフィシル毒素A(TcdA)、B(TcdB)、及び/又は二成分毒素CDTの存在によって引き起こされる(又は増悪する)疾患の治療において適用できる。(b)抗生物質関連疾患の治療 抗生物質関連疾患は、正常な腸管内菌叢を構成する微生物の相対量が、抗生物質投与による叢の(部分的な)消失によって変化するために生じる状態と定める。このような疾患は、抗生物質(特に広域スペクトル抗生物質)が投与されて、(正常な腸管内菌叢により通常は抑制される、内在集団からの過増殖によって、又は抗生物質により正常な腸管内菌叢が除去された部位への日和見性の定着によって)病原性生物の増殖が可能になった場合に生じる。 抗生物質関連疾患は、下痢(及び随伴する脱水)、けいれん性腹痛、しぶり及び発熱として通常は現れる。この疾患は、偽膜性大腸炎(PMC)を含む種々の形態の大腸炎をもたらすこともある。すなわち、抗生物質関連疾患は、抗生物質関連下痢(AAD)及び抗生物質関連大腸炎(AAC)を包含する。 抗生物質関連疾患は、多くの場合、クロストリジウム・ディフィシル、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を含む)及びウェルシュ菌(Clostridium perfringens)の毒素産生菌株によって引き起こされる。クロストリジウム・ディフィシルは院内AADの最も一般的な原因であり、AACの大多数の症例はこの細菌により引き起こされる。この細菌は、広域スペクトル抗生物質を投与された患者又はがん化学療法を受けた患者の腸において増殖する。 したがって、本発明の化合物は、AAD及びAACを含む抗生物質関連疾患の治療において適用できる。このような用途での使用には、正常な腸管内菌叢が実質的に温存されることから、選択的(上で定義したとおり)である本発明の化合物が特に好ましい。 本発明の化合物は、AAD及びAACを含む抗生物質関連疾患の予防において特に適用できる。このような用途では、本発明の化合物は、正常な腸管内菌叢を構成する微生物の相対量の変化を誘発し得る他の抗生物質又は治療と共投与することができる。 したがって、本発明の化合物は、広域スペクトル抗生物質による治療を受けた(又は治療を受けている)対象の治療に使用することができる。(c)大腸炎、偽膜性大腸炎、及び下痢の治療 上で説明したように、クロストリジウム・ディフィシル、黄色ブドウ球菌、及びウェルシュ菌から選択される細菌は、大腸炎、偽膜性大腸炎(PMC)及び下痢に関係している。 したがって、本発明の化合物は、大腸炎、偽膜性大腸炎(PMC)又は下痢の治療において適用できる。 特に好ましいのは偽膜性大腸炎の治療である。IV.本発明の組合せにおいて使用する補助薬剤(a)一般的事項 本発明の化合物に加えて、本発明は、以下の補助薬剤の1種又は複数を本発明の別の構成要素として使用することも包含する。 したがって、本発明は、本発明の化合物を、以下に記載するものから選択される1種又は複数の補助薬剤と組み合わせて含む組成物を提供する。(b)抗ウイルス補助薬剤 組合せは、1種又は複数の補助抗ウイルス剤をさらに含むことが好ましい。そのような補助抗ウイルス剤は、以下の1種又は複数から選択することができる。(a)ウイルス酵素阻害剤(例えば、(i)プロテアーゼ阻害剤、(ii)ヘリカーゼ阻害剤、及び(iii)ポリメラーゼ阻害剤から選択されるもの)、(b)ヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、(c)非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、(d)インテグラーゼ阻害剤、(e)成熟阻害剤、(f)サイトカイン又はサイトカイン刺激因子、(g)ウイルス侵入阻害剤、例えば、(i)付着阻害剤、(ii)共受容体結合阻害剤、及び(iii)膜融合阻害剤から選択されるもの。(c)抗菌補助薬剤 本発明の化合物は、例えば、以下のものから選択される1種又は複数の抗生物質を含む種々の抗菌剤と組み合わせて使用することができる。 ・アミノグリコシド(例えば、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、及びパロモマイシン) ・アンサマイシン(例えば、ゲルダナマイシン及びハービマイシン) ・カルバセフェム(例えばロラカルベフ) ・カルバペネム(例えば、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチン、及びメロペネム) ・セファロスポリン(第1世代)(例えば、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン/セファロシン(cefalothin)、及びセファレキシン) ・セファロスポリン(第2世代)(例えば、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、及びセフロキシム) ・セファロスポリン(第3世代)(例えば、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、及びセフジニル) ・セファロスポリン(第4世代)(例えばセフェピム) ・グリコペプチド(例えば、バンコマイシン及びテイコプラニン) ・マクロライド(例えば、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、及びスペクチノマイシン) ・モノバクタム(例えばアズトレオナム) ・ペニシリン(例えば、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、ナフシリン、ペニシリン、ピペラシリン、及びチカルシリン) ・ポリペプチド(例えば、バシトラシン、ポリミキシンB、及びコリスチン) ・キノロン(例えば、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、及びトロバフロキサシン) ・スルホンアミド(例えば、マフェニド、プロントシル(prontosil)、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファニルイミド(sulfanilimide)、スルファサラジン、スルフイソキサゾール、トリメトプリム、トリメトプリム−スルファメトキサゾール(コトリモキサゾール、TMP−SMX)) ・テトラサイクリン(例えば、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、及びテトラサイクリン) ・アミノクマリン(例えば、ノボビオシン、アルバマイシン(albamycin)、クーママイシン、及びクロロビオシン) ・オキサゾリジノン(例えば、リネゾリド及びAZD2563) ・リポペプチド(例えばダプトマイシン) ・ストレプトグラミン(例えば、キヌプリスチン/ダルホプリスチン) ・グリシルサイクリン(例えばチゲサイクリン) ・ランチビオティクス(例えば、A型ランチビオティクス(ナイシン、スブチリン、エピデルミン、ミュータシンII、ミュータシンI及びIIIなど)及びB型ランチビオティクス(メルサシジン(mersacidin)、アクタガルジン(actagardine)、シンナマイシン(cinnamycin)など)) 補助薬剤として有用な他の適切な抗生物質として、アルスフェナミン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リンコアマイシン(lincoamycin)、エタンブトール、ホスホマイシン、フシジン酸、フラゾリドン、イソニアジド、リネゾリド、メトロニダゾール、ムピロシン、ニトロフラントイン、プラテンシマイシン(platensimycin)、ピラジナミド、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、リファンピン/リファンピシン、及びチニダゾールから選択される1種又は複数の抗生物質が挙げられる。 したがって、本発明の化合物は、ペニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、バカンピシリン、カプレオマイシン、サイクロセリン、アズロシリン、カルベニシリン、メズロシリン、ピペラシリン、チカルシリン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、リンコマイシン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、エタンブトール、エチオナミド、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、キノロン、シノキサシン、ナリジクス酸、フルオロキノロン(例えば、レボフロキサシン、モキサフロキサシン(moxafloxacin)及びガチフロキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、グレパフロキサシン)、カナマイシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、p−アミノサリチル酸、スパルフロキサシン、トロバフロキサシン、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB、スルホンアミド、トリメトプリム−スルファメトキサゾール、コアモキシクラブ(co−amoxyclav)、セファロチン、セフロキシム、セフトリアキソン、バンコマイシン、ゲンタマイシン、アミカシン、メトロニダゾール、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、ニトロフラントイン、コトリモキサゾール、リファマイシン及びその誘導体(例えば、リファンピシン、リファブチン、及びリファペンチン)、イソニアジド、ピラジナミド、キロマイシン、チオストレプトン、ミクロコクシン、フシジン酸、チオラクトマイシン、及びホスミドマイシンから選択される1種又は複数の抗生物質と組み合わせて使用することができる。 他の適切な抗菌補助薬剤は、下の表に列挙するものから選択することができる。(d)抗真菌補助薬剤 本発明の化合物は、種々の抗真菌剤(抗糸状菌剤)と組み合わせて使用することができ。(e)抗原虫補助薬剤 本発明の化合物は、例えば、クロロキン、ドキシサイクリン、メフロキン、メトロニダゾール、エプロルニチン(eplornithine)、フラゾリドン、ヒドロキシクロロキン、ヨードキノール、ペンタミジン、メベンダゾール、ピペラジン、ハロファントリン、プリマキン、ピリメタミン、スルファドキシン、ドキシサイクリン、クリンダマイシン、硫酸キニーネ、グルコン酸キニジン、二塩酸キニーネ、硫酸ヒドロキシクロロキン、プログアニル、キニーネ、クリンダマイシン、アトバコン、アジスロマイシン、スラミン、メラルソプロール、エフロルニチン、ニフルチモックス、アムホテリシンB、スチボグルコン酸ナトリウム、イセチオン酸ペンタミジン、トリメトプリム−スルファメトキサゾール、ピリメタミン及びスルファジアジンを含む種々の抗原虫剤と組み合わせて使用することができる。(f)他の補助薬剤 本発明の化合物は、抗感染症治療に起因し、及び/又は感染の続発症として現れる副作用を治療又は予防する他の種々の同時治療薬と共投与することができる。このタイプの補助薬剤は、抗感染症活性を備えるものであっても備えないものであってもよく、例えば(上述した)PPI及びH2RAがこれに含まれる。 したがって、本発明の化合物は、補助的に、例えば、オメプラゾール(ロセック、プリロセック、ゼゲリッド)、ランソプラゾール(プレバシッド、ゾトン、インヒビトール)、エソメプラゾール(ネキシウム)、パントプラゾール(プロトニックス、ソマック、パントロック、パントゾール、ズーカル、パン)及びラベプラゾール(ラベシッド、アシフェックス、パリエット、ラベロック)を含むPPIと共に使用することができる。 本発明の化合物はまた、補助的に、例えば、シメチジン(タガメット)、ラニチジン(ジネタック、ザンタック)、ファモチジン(ペプシジン、ペプシッド)、ロキサチジン(ロキシット)及びニザチジン(タザック、アキシッド)を含むH2RAと共に使用することもできる。 本発明の化合物は、補助的に、PPI又はH2RAと共に、2種の抗生物質(例えば、メトロニダゾール、アモキシシリン、レボフロキサシン、及びクラリスロマイシンから選択される抗生物質が挙げられる。)の組合せを用いるトリプル療法と併せて使用することができる。 例えば、サッカロマイセス・ブラウディ又はラクトバチルス・アシドフィルス細胞を含む種々のプロバイオティクスを補助薬剤として使用することもできる。プロバイオティクスは、CDADを引き起こした有害な抗菌剤によって、又はCDAD治療に使用された薬剤によってさえ破壊されてしまった患者の本来の腸管内ミクロフローラを樹立し直すのを助けることが提唱されている、生きた微生物の単一又は混合培養物である。加えて、このような微生物は、患者の免疫系を刺激し、C.ディフィシルに随伴する毒素を分解する酵素の産生を惹起する働きをすることもある。重要な特定の微生物は、例えば、サッカロマイセス属の種(Saccharomyces spp.)(例えば、サッカロマイセス・ブラウディ及びサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))及びラクトバチルス属の種(例えば、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ブルガリス(Lactobacillus bulgaris)、及びラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum))である。ヒトの腸管の正常な構成員である他の一般的ないかなるプロバイオティック組成物又は微生物も考慮に入れることができる。 腸の叢の成長を刺激することを目的とした手段であるプレバイオティクスも、補助薬剤として使用することができる。例えば、オリゴフルクトースを使用すると、ビフィドバクテリウム属の種のレベルが増大し、患者におけるその後の再発率が低下することが示されている。そのため、クロストリジウム属細菌種を標的とした、活性スペクトルの狭い抗菌剤であれば、正常な腸内微生物集団を樹立し直すことを目的とした治療と組み合わせて投与した場合にかなり有益となる。 正常な腸内叢を樹立し直すことを目的とした他の手法として、腸管の正常な微生物を含んでいる健康な個体の便から調製された糞便生物療法及び糞便浣腸が挙げられる。したがって、糞便細菌療法も、本発明の化合物と共に補助的に使用することができる。 C.ディフィシルによって産生された毒素を封鎖するために、種々の異なる種類の細菌毒素を結合し、封鎖する吸収剤を補助薬剤として使用することができる。胆汁酸捕捉剤のコレスチラミンやコレスチポールなどのイオン交換樹脂は、C.ディフィシル細胞毒に結合し、したがって腸管への毒素負荷の程度が低減へと向けられる。しかし、イオン交換樹脂は、バンコマイシンなどの薬剤に結合することが知られており、それ故、感染部位において抗菌剤のレベルを最適以下にしてしまう可能性がある。本発明の化合物と共に補助的に使用することのできる他の吸収剤として、シンソルブ90(Synsorb 90)及びトレバマー(Tolevamer)などのポリマーが挙げられる。 プロバイオティック療法は、CDAD患者において免疫系反応を向上させることが示唆されているが、例えば、静脈内免疫グロブリン(J.Antimicrob.Chem.,2004, 53, 882〜884)も、CDAD患者、特に、別のいかなる抗微生物治療によっても腸管内菌叢の破壊がさらに増悪するであろう再発性の症例の治療に使用することができる。すなわち、本発明の化合物は、補助的に種々の免疫グロブリンと共に使用することができる。 下痢を軽減することを目的とした薬剤の使用はCDAD患者では一般に避けられるが、ある特定の場合、そのような薬剤を抗菌剤と共に使用することは、感染部位における抗微生物剤のレベルを増大させようとする場合、及び/又は抗菌剤が腸内の病原体と接触する時間を延ばそうとする場合に有益となり得ることが予想される。そのような薬剤としては、例えば、ロペラミド(ロペックス(Lopex)、イモジウム(Imodium)、ディモール(Dimor)、ペプト(Pepto))、ジフェノキシラート(ロモティル(Lomotil)、コフェノトロープ(Co−phenotrope))、ジフェノキシン(モトフェン(Motofen))、及びラセカドトリルが挙げられる。したがって、本発明の化合物は、補助的に、上で挙げたもののいずれかを含む種々の下痢止め薬と共に使用することができる。 次の副作用のいずれかを治療又は予防する同時治療薬は、本発明の化合物と同じ治療レジメンの一貫として使用することができる。(a)脂肪異栄養及び消耗、(b)顔面脂肪組織萎縮、(c)高脂血症、(d)疲労、(e)貧血、(f)末梢神経障害、(g)悪心、(h)下痢、(i)肝毒性、(j)骨減少症、(k)脱水、及び(l)骨粗鬆症。 治療又は予防は、本明細書で規定する化合物を、以下の治療又は介入の1つ又は複数の補助として投与することを含むものであってもよい。 (a)がん治療 (b)AIDS治療 (c)免疫抑制介入 (d)移植後の移植片/移植組織管理 (e)爪糸状菌症の爪手術又は壊死組織切除 (f)局所の抗真菌治療(例えば、アゾール、アリルアミン(例えばテルビナフィン)、又はモルホリン(例えばアモロルフィン)から選択される抗糸状菌剤を用いるもの) (g)全身の抗糸状菌治療 (h)抗菌治療 (i)抗ウイルス治療 (j)抗炎症治療(例えば、ステロイドを用いるもの) (k)鎮痛薬投与 (l)鎮痒薬投与 (m)プロバイオティック投与 (n)便細菌療法 (o)皮膚移植 したがって、本発明は、治療又は介入(a)〜(o)の1つ又は複数が実施されている(又は実施されたことがある)患者集団の治療又は予防を含む場合もある。(g)補助的治療 治療又は予防は、本明細書で規定する化合物を、以下の治療又は介入の1つ又は複数の補助として投与することを含むものであってもよい。 1.がん治療 2.免疫抑制介入 3.免疫刺激介入 4.移植後の移植片/移植組織管理 5.爪糸状菌症の爪手術又は壊死組織切除 6.抗炎症治療(例えば、ステロイドを用いるもの) 7.鎮痛薬投与 8.鎮痒薬投与 9.手術 10.細胞又は組織切除 11.放射線療法 12.寒冷療法 13.便移植療法(便細菌療法) 14.プロバイオティック療法 15.皮膚移植 したがって、本発明は、治療又は介入(1)〜(15)の1つ又は複数が実施されている(又は実施されたことがある)患者集団の治療又は予防を含む場合もある。(V)薬量学 本発明の化合物は、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、経皮、気道(エアロゾル)、直腸、膣内及び(頬側及び舌下を含む)局所投与を含む、経口又は非経口経路で投与することができる。 化合物の投与量は、使用される特定の投与単位、治療期間、治療を受ける患者の年齢及び性別、治療する障害の性質及び程度、並びに選択した特定の化合物に応じて大きく異なり得る。 一般に、投与する化合物の有効量は、通常は1日約0.01mg/kg〜10000mg/kgとなる。単位投与量は0.05〜500mgの化合物を含有することができ、1日1回又は複数回使用することができる。化合物は、以下で記載するように、従来の投与量単位形態を使用して、医薬担体と共に経口、非経口又は局所投与することができる。 好ましい投与経路は経口投与である。一般に、適切な用量は、レシピエントの体重1キログラム当たり1日0.01〜500mg、好ましくは体重1キログラム当たり1日0.1〜1000mg、最も好ましくは体重1キログラム当たり1日1〜5mgになる。 所望の用量は、毎日の投与について一用量としての提供することが好ましい。しかし、その日の間に適切な間隔で投与する2回、3回、4回、5回、又は6回以上の下位用量を使用してもよい。こうした下位用量は、例えば、1単位剤形当たり0.001〜100mg、好ましくは0.01〜10mg、最も好ましくは0.5〜1.0mgの活性成分を含有する単位剤形にして投与することができる。 有効量又は用量を決定する際、例えば、使用する化合物の効力及び作用持続時間、治療する疾病の性質及び重症度、並びに治療を受ける患者の性別、年齢、体重、全般的健康状態、及び個々の反応性、また関係のある他の状況を含めて、いくつかの要素について担当医が検討する。当業者なら、Goodman & Goldman, The Pharmacological Basis of Therapeutics,第9版(1996),補遺II, 1707〜1711ページの手引きによって投与量を決定してもよいことは理解されよう。 単一剤形を生成するために担体材料と組み合わせることのできる化合物の量は、治療される対象及び特定の投与方式に応じて異なる。例えば、ヒトへの経口投与を目的とする製剤は、全組成物の約5パーセントから約95パーセントまで種々であり得る好適な量の担体材料を場合により混ぜ合わせた約0.5mg〜約7gの活性薬剤を含有することができる。本発明の化合物のための投与量単位形態は、約1mg〜約500mg、例えば、5mg、10mg、20mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg、又は1000mgの活性成分を一般に含有する。 本発明の化合物の特定の投与量の有効度は、所与の投与量が疾患の進行及びその予防に与える効果をモニターして判定することができる。(VI)製剤 本発明の化合物はいかなる形態を取ってもよい。本発明の化合物は合成したものであってもよいし、技術文献に記載の方法で天然の供給源から精製又は単離したものであってもよい。 薬学的に許容される塩としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、ステアリン酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルゲン酸(algenic acid)、b−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸、及びガラクツロン酸から調製されるものが挙げられる。 薬学的に許容される適切な塩基付加塩には、金属イオン塩及び有機イオン塩が含まれる。金属イオン塩としては、例えば、適切なアルカリ金属(Ia族)塩、アルカリ土類金属(IIa族)塩、及び生理的に許容される他の金属イオンが挙げられる。このような塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛のイオンから生成することができる。有機塩は、一部分においてトリメチルアミン、ジエチルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、及びプロカインを含めて、第三級アミン及び第四級アンモニウム塩から生成することができる。上記の塩はすべて、当業者の手で、対応する化合物から従来の手段によって調製することができる。 医薬組成物は、安定剤、抗酸化剤、着色剤及び賦形剤を含む場合がある。薬学的に許容される担体及び添加物は、医薬化合物からの副作用が最小限に抑えられ、治療が無効になる程には化合物の性能が損なわれないように選択する。 医薬組成物は、経腸的に及び/又は非経口的に投与することができる。経口(胃内)が典型的な投与経路である。薬学的に許容される担体は、コーティングやシェル(例えば、腸溶コーティングや当業界でよく知られている他のもの)付きで調製可能な固体剤形(例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤)にすることができる。経口投与用の液体剤形としては、薬学的に許容される乳剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤及びエリキシル剤が挙げられる。 非経口投与には、皮下、筋肉内、皮内、静脈内、及び当業界で知られている他の経路が含まれる。経腸投与には、溶液剤、錠剤、持効性カプセル剤、腸溶性カプセル剤、シロップ剤が含まれる。 投与する際、医薬組成物は体温又は体温に近い温度とすることができる。 経口の使用を目的とした組成物は、当業界で知られているいかなる医薬組成物製造方法に従って調製してもよく、そのような組成物は、薬剤として洗練され、口当たりのよい調製物にするために、甘味剤、着香剤、着色剤及び保存剤からなる群から選択される1種又は複数の薬剤を含有してもよい。錠剤は、錠剤の製造に適する薬学的に許容される非毒性の添加剤が混合された活性成分を含有する。そうした添加剤は、例えば、不活性賦形剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム)、造粒及び崩壊剤(例えば、トウモロコシデンプン又はアルギン酸)、結合剤(例えば、デンプン、ゼラチン、又はアカシア)、及び滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルク)とすることができる。錠剤は、コーティングされなくてもよいし、又は、例えば、胃腸管における崩壊及び吸収を遅らせ、それによってより長い期間にわたり持続性作用を提供するために、既知の技術によってコーティングすることもできる。例えば、モノステアリン酸グリセリルやジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を使用することができる。 経口使用のための製剤は、活性成分が不活性固体賦形剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリン)と混合される硬ゼラチンカプセル剤、又は活性成分がそれ自体として存在し、又は水若しくは油媒質(例えば、ラッカセイ油、流動パラフィン、オリーブ油)と混合される軟ゼラチンカプセル剤にすることもできる。 活性材料を含有する水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適する添加剤との混合物にして生成することができる。そのような添加剤としては、懸濁化剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、アカシアゴムが挙げられ、分散又は湿潤剤としては、例えば、自然発生するホスファチド(例えばレシチン)、又はアルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物(例えばポリオキシエチレンステアレート)、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合生成物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、又はエチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトールから導かれる部分エステルと、の縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレイン酸エステル)、又はエチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトール無水物から導かれる部分エステルと、の縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル)が挙げられる。 水性懸濁液は、1種若しくは複数の保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチル又はn−プロピル)、1種若しくは複数の着色剤、1種若しくは複数の着香剤、又は1種若しくは複数の甘味剤(例えば、スクロース、サッカリン)を含有してもよい。 油性懸濁液は、ω−3脂肪酸、植物油、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油若しくはヤシ油、又は流動パラフィンなどの鉱油に、活性成分を懸濁させることにより製剤できる。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜蝋、固形パラフィン、セチルアルコールを含有してもよい。 甘味剤(例えば上述のもの)及び着香剤を加えて経口調製物の口当たりをよくすることができる。アスコルビン酸などの抗酸化剤を加えることによってそのような組成物を保存することができる。 水を加えて水性懸濁液を調製するのに適する分散性粉末及び顆粒は、分散又は湿潤剤、懸濁化剤、及び1種又は複数の保存剤が混合された活性成分を用意したものである。適切な分散又は湿潤剤及び懸濁化剤は、上ですでに言及したものによって例示される。追加の添加剤、例えば、甘味剤、着香剤及び着色剤が存在してもよい。 本発明の化合物を含有するシロップ及びエリキシルは、甘味剤、例えば、グリセロール、ソルビトール、又はスクロースを加えて製剤化することができる。このような製剤は、粘滑剤、保存剤、及び着香・着色剤を含有してもよい。 本発明の化合物は、注射可能な水性又は油性の滅菌懸濁液の形で、非経口的に(例えば、皮下、静脈内若しくは筋肉内に、又は点滴によって)投与することができる。そのような懸濁液は、上で言及したものや許容される他の薬剤などの適切な分散又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用して、既知の技術に従って製剤化することができる。注射用の滅菌調製物は、例えば、非経口的に許容される非毒性の賦形剤又は溶媒中の注射可能な滅菌溶液又は懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオールの溶液)である。許容されるビヒクル及び溶媒の中でも、水、リンガー液、及び等張性塩化ナトリウム溶液を使用することができる。加えて、滅菌固定油も溶媒又は懸濁媒として従来より使用されている。この目的では、合成モノグリセリド又はジグリセリドなど、いかなる無刺激固定油を使用してもよい。加えて、ω−3多価不飽和脂肪酸も注射剤の調製において使用可能な場合がある。 投与は、ネブライザー用のエアロゾル又は溶液の形で、吸入によって行うものであってもよいし、又は、常温では固体であるが直腸温度では液体であり、そのため直腸で融解して薬物を放出することになる非刺激性の適切な添加剤と薬物を混合することにより調製された坐剤の形で直腸に行うものであってもよい。そのような材料は、カカオ脂及びポリエチレングリコールである。 本発明には、本明細書に記載の化合物を含むロゼンジ剤、パステル剤、又は咀嚼ガムの形での投与を含む、頬側及び舌下投与も含まれる。化合物は、味付けされた基剤、通常はスクロース、及びアカシア又はトラガカントに付着させることができる。 本発明の化合物の他の投与方法として、医薬を対象の皮膚内に及び/又は皮膚を通じて直接放出する皮膚パッチが挙げられる。 局所送達系も本発明に含まれ、軟膏、粉末、スプレー、クリーム、ゼリー、洗眼剤、溶液、又は懸濁液が挙げられる。 本発明の組成物は、例えば、粘度強化剤、保存剤、界面活性剤、浸透性改善剤などの追加の薬剤を場合により補足してもよい。粘度増強剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、又は当業者に知られている他の薬剤が挙げられる。このような薬剤は、通常、医薬組成物の約0.01重量%〜約2重量%のレベルで使用される。 保存剤は、使用前又は使用中の微生物の増殖を防ぐために場合により使用される。適切な保存剤としては、ポリクアテルニウム−1、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム、ソルビン酸、又は当業者に知られている他の薬剤が挙げられる。このような保存剤は、通常、医薬組成物の約0.001重量%〜約1.0重量%のレベルで使用される。 本組成物の成分の溶解性は、組成物中の界面活性剤又は他の適切な共溶媒によって向上させることができる。そのような共溶媒として、ポリソルベート20、60及び80、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン界面活性剤(例えば、プルロニックF−68(Pluronic F−68)、F−84及びP−103)、シクロデキストリン、又は当業者に知られている他の薬剤が挙げられる。このような共溶媒は、通常、医薬組成物の約0.01重量%〜約2重量%のレベルで使用される。 薬学的に許容される添加剤及び担体は、前述のものなどをすべて包含する。有効な製剤及び投与手順に関する上記検討事項は、当業界でよく知られており、標準的な教本に記載されている。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,第20版(Lippincott,Williams and Wilkins),2000;Liebermanら編,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,ニューヨーク州ニューヨーク(1980);及びKibbeら編,Handbook of Pharmaceutical Excipients(第3版),アメリカ薬学会,ワシントン(1999)を参照されたい。 したがって、本発明の化合物を薬学的に許容される添加剤と共に製剤化する実施形態では、例えば、不活性賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、甘味剤、着香剤、着色剤及び保存剤を含めて、適切ないかなる添加剤を使用してもよい。適切な不活性賦形剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム及びラクトースが挙げられ、コーンスターチ及びアルギン酸は適切な崩壊剤である。結合剤としては、デンプン及びゼラチンを挙げることができ、滑沢剤は、存在する場合、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクになるのが一般的である。医薬組成物は、適切ないかなる形態をとってもよく、例えば、錠剤、エリキシル、カプセル剤、溶液、懸濁液、粉末、顆粒、ネイルラッカー、ネイルワニス、ネイルコート(nail veneer)、皮膚パッチ及びエアロゾルが挙げられる。 医薬組成物は、本発明の組成物を、使用説明書及び/又は単位剤形にされた複数の異なる成分と共に含むことのできる、パーツキットの形をとってもよい。 経口投与では、本発明の化合物は、カプセル剤、丸剤、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、溶解錠(melt)、散剤、顆粒剤、溶液剤、懸濁剤、分散剤、乳剤などの固体又は液体調製物へと製剤化することができる(溶液剤、懸濁剤、分散剤、又は乳剤は水性であっても非水性であってもよい)。固体単位剤形は、例えば、界面活性剤、滑沢剤、及びラクトース、スクロース、リン酸カルシウム、コーンスターチなどの不活性充填剤を含有するカプセル剤(通常のハード又はソフトシェルゼラチン型のものでよい)にすることができる。経口使用のための錠剤は、本発明の化合物を単独で含んでもよいし、又は不活性賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、甘味剤、着香剤、着色剤、保存剤などの薬学的に許容される添加剤と共に含んでもよい。適切な不活性賦形剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、及びラクトースが挙げられ、コーンスターチ及びアルギン酸は、適切な崩壊剤である。結合剤としては、デンプン及びゼラチンを挙げることができ、滑沢剤は、存在する場合、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクになるのが一般的である。所望されるなら、胃腸管での吸収を遅らせるために、錠剤をモノステアリン酸グリセリルやジステアリン酸グリセリルなどの材料でコーティングしてもよい。経口使用のためのカプセル剤には、本発明の化合物が固体賦形剤と混合される硬ゼラチンカプセル剤、及び活性成分が水又は油(例えば、ラッカセイ油、流動パラフィン、オリーブ油)と混合される軟ゼラチンカプセル剤が含まれる。 直腸投与用の製剤は、例えばカカオ脂又はサリチル酸エステル(salicylate)を含む適切な基剤を用いて坐剤にすることができる。膣内投与に適する製剤は、活性成分に加えて、当業界で適切であることが知られている担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレー製剤にすることができる。 筋肉内、腹腔内、皮下及び静脈内の使用では、本発明の化合物は、緩衝剤処理して適切なpH及び等張性にした水性の滅菌溶液又は懸濁液にして提供されるのが一般的である。 適切な水性ビヒクルとしては、リンガー液及び等張性塩化ナトリウムが挙げられる。本発明による水性懸濁液は、セルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムなどの懸濁化剤、及びレシチンなどの湿潤剤を含んでもよい。水性懸濁液に適する保存剤としては、p−ヒドロキシ安息香酸エチル及びn−プロピルが挙げられる。 本発明の化合物はリポソーム製剤にすることもできる。 別の実施形態では、本発明の化合物は、結合剤(例えば、アカシア、コーンスターチ、ゼラチン)、投与後の錠剤の崩壊及び溶解を助けるためのものである崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン、アルギン酸、トウモロコシデンプン、グアーガム)、錠剤造粒物の流動を改善し、錠剤材料が錠剤ダイス及びパンチの表面に付着するのを防ぐための滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸、又はステアリン酸マグネシウム、カルシウム若しくは亜鉛)、錠剤の審美的品質を向上させ、錠剤を患者により受け入れられるものにするための染料、着色剤及び着香剤と組み合わせて、従来の錠剤基剤(例えば、ラクトース、スクロース、コーンスターチ)と共に錠剤化される。 経口液体剤形に使用するのに適する添加剤には、水、アルコール、例えばエタノール、ベンジルアルコール、ポリエチレンアルコールなどの賦形剤に、薬学的に許容される界面活性剤、懸濁化剤又は乳化剤を加えたもの又は加えていないものが含まれる。 本発明の化合物は、非経口的に、すなわち、皮下、静脈内、筋肉内又は腹膜内に投与することもできる。そのような実施形態では、化合物は、生理的に許容される賦形剤及び医薬担体(無菌の液体又は液体混合物であり得る。)中の注射可能な用量として提供される。適切な液体として、水、食塩水、デキストロース水溶液及び関連した化合物溶液、アルコール(エタノール、イソプロパノール、ヘキサデシルアルコールなど)、グリコール(プロピレングリコールやポリエチレングリコールなど)、グリセロールケタール(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノールなど)、エーテル(ポリ(エチレン−グリコール)400)、油、脂肪酸、脂肪酸エステル若しくはグリセリド、又はアセチル化脂肪酸グリセリドに、薬学的に許容される界面活性剤(石けんや洗剤など)、懸濁化剤(ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)又は乳化剤及び他の医薬佐剤を加えたもの又は加えないものが挙げられる。本発明の非経口製剤に使用可能な適切な油は、石油、動物、植物、又は合成起源の油、例えば、ラッカセイ油、大豆油、ゴマ油、綿実油、コーン油、オリーブ油、ワセリン、及び鉱油である。 適切な脂肪酸としては、オレイン酸、ステアリン酸、及びイソステアリン酸が挙げられる。適切な脂肪酸エステルは、例えば、オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルである。適切な石けんとしては、脂肪酸のアルカリ金属、アンモニウム、及びトリエタノールアミン塩が挙げられ、適切な洗剤としては、カチオン性洗剤、例えば、ハロゲン化ジメチルジアルキルアンモニウム、ハロゲン化アルキルピリジニウム、及びアルキルアミン酢酸塩;アニオン性洗剤、例えば、アルキル、アリール、及びオレフィンスルホネート、アルキル、オレフィン、エーテル、及びモノグリセリドスルフェート、並びにスルホサクシネート;非イオン性洗剤、例えば、脂肪族アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、及びポリオキシエチレンポリプロピレンコポリマー;及び両性洗剤、例えば、アルキル−β−アミノプロピオネート及び2−アルキルイミダゾリン第四級アンモニウム塩、並びに混合物が挙げられる。 本発明の非経口組成物は、溶液中に約0.5〜約25重量%の本発明の化合物を含有するのが典型的である。保存剤及び緩衝剤が使用されることもある。こうした組成物は、注射部位での刺激を最小限に抑え、又は無くすために、親水−親油平衡(HLB)が約12〜約17である非イオン性界面活性剤を含有してもよい。このような製剤中の界面活性剤の量は、約5〜約15重量%である。界面活性剤は、上記HLBを有する単一の成分であってもよいし、又は所望のHLBを有する2種以上の成分の混合物であってもよい。非経口製剤に使用する界面活性剤の例は、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステルのクラスのもの(例えばモノオレイン酸ソルビタン)、及びエチレンオキシドに、プロピレンオキシドをプロピレングリコールと縮合させて形成される疎水性塩基を付加させた高分子量付加物である。 本発明の化合物は局所投与されてもよく、そのようにする場合、担体は、適切には溶液、軟膏又はゲル基剤を含み得る。基剤は、例えば、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜蝋、鉱油、水やアルコールなどの賦形剤、乳化剤、及び安定剤の1種又は複数を含んでもよい。局所製剤は、約0.1〜約10%w/v(単位体積当たりの重量)の濃度の化合物を含有することができる。 補助的な使用を行う場合、本発明の化合物は、他の1種又は複数の薬物との使用向けに製剤化することができる。特に、本発明の化合物は、鎮痛薬、抗炎症薬(例えばステロイド)、免疫調節剤、及び鎮痙薬と組み合わせて使用することができる。 したがって、補助的使用は、他の薬物と適合する(又は相乗作用を示す)ように設計された特定の単位投与量において、又は化合物に1種又は複数の抗炎症薬、サイトカイン若しくは免疫抑制薬が混合されている(あるいはそうでなかったら、単一単位用量内で他の薬物と物理的に関連している)製剤において反映させることができる。補助的使用は、本発明の化合物が抗微生物剤及び/又は抗炎症薬と(例えば、一揃いの単位用量の一部として)共包装される、本発明の医薬キットの組成物において反映させることもできる。補助的使用は、化合物を抗微生物剤及び/又は抗炎症薬と共投与することに関する情報及び/又は説明書においても反映させることができる。(VII)例示 以下、具体的な実施例を参照して本発明を説明する。実施例は、単なる説明目的の例示的なものであり、請求される独占権の範囲又は記載される発明を限定するものではない。これらの実施例は、本発明の実施について現在考えられる最良の形態をなす。 HPLC−UV−MSは、ギルソン(Gilson)170 DADによって検出が行われるGilson 321 HPLC、及びエレクトロスプレーイオン化モードで作動させたフィニガン(Finnigan)AQA質量分析計において実施した。使用したHPLCカラムは、フェノメネクスジェミニ(Phenomenex Gemini)C18 150×4.6mm又はPhenomenex Gemini C18 50×4.6mm 3μである。分取HPLCは、Gilson 170 DADによって検出が行われるGilson 321において実施した。画分は、Gilson 215画分収集装置を用いて集めた。使用した分取HPLCカラムはPhenomenex Gemini C18 150×10mmであり、移動相はアセトニトリル/水である。 1H NMRスペクトルは、300MHzで作動させたブルカー(Bruker)計器で記録した。NMRスペクトルは、クロロホルム(7.26ppm)、メタノール(3.35ppm)又はDMSO−d6(2.50ppm)を標準として使用して、CDCl3、CD3OD又はDMSO−d6溶液として得た(ppmで報告する)。ピーク多重性を報告する際、以下の略語を使用する。s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、m(多重線)、br(ブロードあり)、dd(二重線の二重線)、dt(三重線の二重線)、td(二重線の三重線)、obsc.(不明瞭)、app.(明白)。結合定数を示す際はヘルツ(Hz)で報告する。 カラムクロマトグラフィーは、フラッシュクロマトグラフィー(40〜65μmシリカゲル)によって、又は自動式精製システム(バイオタージ(Biotage)(登録商標)のSP1(商標)精製システム又はISCOのコンビフラッシュコンパニオン(CombiFlash Companion))を使用して実施した。マイクロ波中での反応は、イニシエーター(Initiator)8(商標)(Biotage)又はエクスプローラー(Explorer)48(CEM)において実施した。 使用する略語は、DMSO(ジメチルスルホキシド)、DMF(ジメチルホルムアミド)、IMS(工業用メタノール変性アルコール(industrial methylated spirits))、IPA(イソプロピルアルコール)、TLC(薄層クロマトグラフィー)、Boc(tert−ブチルオキシカルボニル)、RT(保持時間)、DCM(ジクロロメタン)、TFA(トリフルオロ酢酸)、LCMS(液体クロマトグラフィー−質量分析)、NMR(核磁気共鳴)、DME(1,2−ジメトキシエタン)である。 MICデータは、Methods for Antimicrobial Susceptibility Testing of Anaerobic Bacteria;Approved Standard−第7版[M11−A7,第27巻,No2, 2007年1月]及びMethods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobically;Approved Standard−第7版[M7−A7,第26巻,No2, 2006年1月]に記載されているCLSIプロトコールに従い、ブロス微量希釈によって求めた。[実施例1:一般式(I)の化合物の調製]方法1:4−(2−(ピリジン−4−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−イル)ベンゼン−1,2−ジアミン(中間体A): 3,3’−ジアミノベンジジン(3.857g,18mmol)及び4−ピリジンカルボキサルデヒド(1.41mL,15mmol)をIPA(22.5mL)及びH2O(7.5mL)に溶かした撹拌した溶液に、メタ重亜硫酸ナトリウム(2.852g,15mmol)を加えた。懸濁液を16時間加熱還流した。得られる黄色の懸濁液を水(200mL)中に注ぎ、沈殿を濾過によって回収した。黄色の固体を熱メタノールで摩砕し、濾過して、中間体Aを不溶性の沈殿(1.672g,5.5mmol,37%)として得た。 LCMS RT=1.05分,MH+ 302.1;1H NMR(d6−DMSO):13.17(1H,br s),8.76(2H,d,J 6.0),8.09(2H,d,J 6.0),7.64(2H,br s),7.42(1H,d,J 8.4),6.91(1H,d,J 1.9),6.77(1H,dd,J 8.0, 1.9),6.60(1H,d,J 8.0),4.58(4H,br s).4−(2−(ピリジン−3−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−イル)ベンゼン−1,2−ジアミン(中間体B): 3,3’−ジアミノベンジジン(5.00g,23.36mmol)及び3−ピリジンカルボキサルデヒド(1.98mL,21.02mmol)をIPA(16mL)及びH2O(16mL)に溶かした撹拌した溶液に、メタ重亜硫酸ナトリウム(4.44g,23.36mmol)を加えた。懸濁液をCEMマイクロ波装置において15分間160℃に加熱し、次いで室温に冷却した。得られる黄色の懸濁液を水(150mL)中に注ぎ、沈殿を濾過によって回収し、乾燥させた。固体を、未希釈EtOAc〜9:1(EtOAc−MeOH)を溶離液とするシリカカラムクロマトグラフィーによって精製して、中間体Bを黄色の固体(3.92g,13.03mmol,62%)として得た。 LCMS RT=1.44分,MH+ 302.3;1H NMR(d6−DMSO):13.05(1H,br s),9.37(1H,d,J 2.0),8.69(1H,dd,J 4.7, 1.5),8.51(1H,dt,J 8.1, 1.9),7.70−7.58(3H,m),7.41(1H,dd,J 8.5, 1.5),6.93(1H,d,J 2.0),6.79(1H,dd,J 8.0, 2.0),6.62(1H,d,J 8.0),4.58(4H,br s).2−(2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)チエノ[2,3−b]ピリジン(化合物1): 4−(2−(ピリジン−4−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−イル)ベンゼン−1,2−ジアミン(中間体A)(50mg,0.17mmol)、チエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルバルデヒド(33mg,0.20mmol)、及びNa2S2O5(38mg,0.20mmol)をIPA−H2O(3:1, 8mL)に混ぜた混合物を、マイクロ波照射のもとで10分間170℃に加熱した。混合物をシリカに吸着させ、(95:5のEtOAc−MeOH〜85:15のEtOAc−MeOH)を溶離液とするカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を黄色の固体(30mg,0.07mmol,40%)として得た。 LCMS RT=1.38分,MH+ 445.1;1H NMR(MeOD):8.74(2H,dd,J 4.7, 1.6),8.58(1H,dd,J 4.7, 1.6),8.31(1H,dd,J 8.1, 1.6),8.10(2H,dd,J 4.7, 1.6),7.78(1H,s),7.90−7.62(6H,m),7.48(1H,dd,J 8.1, 4.7). 以下の化合物は、該当する中間体を使用し、必要な場合は結晶化又はカラムクロマトグラフィーによって精製して、同様にして調製した。2−(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール(化合物2): LCMS RT=1.51分,MH+ 444.2;1H NMR(MeOD):8.64(2H,m),8.01(2H,m),7.93(1H,m),7.79−7.89(3H,m),7.51−7.78(5H,m),7.34(2H,m).2−(ベンゾフラン−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール(化合物3): LCMS RT=1.23分,MH+ 428.1;1H NMR(MeOD):8.76(2H,dd,J 4.7, 1.6),8.40(1H,d,J 1.6),8.15−8.08(3H,m),8.00−7.60(8H,m),7.02(1H,dd,J 2.2, 0.9).6−(2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)ベンゾ[d]イミダゾール(化合物4): LCMS RT=1.09分,MH+ 428.5;1H NMR(MeOD):8.75(2H,dd,J 4.6, 1.7),8.42(1H,bs),8.32(1H,s),8.12(2H,dd,J 4.6, 1.7),8.07−7.71(7H,m),7.62(1H,dd,J 8.4, 1.7).2−(ベンゾ[b]チオフェン−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール(化合物5): LCMS RT=1.26分,MH+ 444.2;1H NMR(MeOD):8.65(2H,dd,J 4.6, 1.7),8.49(1H,t,J 1.1),8.01−7.99(4H,m),7.78−7.51(7H,m),7.43(1H,d,J 5.5).2−(1H−インドール−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール(化合物6): LCMS RT=1.16分,MH+ 427.3;1H NMR(MeOD):8.64(2H,dd,J 4.6, 1.7),8.25(1H,d,J 1.1),8.01(2H,dd,J 4.6, 1.7),7.83−7.43(6H,m),7.50−7.43(2H,m)7.25(1H,d,J 3.2),6.51(1H,dd,J 3.2, 0.8).2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール(化合物7): LCMS RT=1.21分,MH+ 430.1;1H NMR(d6−DMSO):8.76(2H,dd,J 4.6, 1.6),8.09(2H,dd,J 4.6, 1.6),8.03(1H,s),7.92(2H,dd,J 8.2, 1.8),7.84−7.52(5H,m),6.93(1H,d,J 8.3),4.62(2H,t,J 8.7),3.28(2H,t,J 8.8).2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール(化合物8): LCMS RT= 1.11分、428.1 MH+;1H NMR(MeOD):9.18(1H,s),8.76(2H,dd,J 4.6, 1.6),8.12(2H,dd,J 4.6, 1.6),8.04(1H,s),8.00(1H,dd,J 9.4, 1.7),7.95−7.64(8H,m).2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール(化合物9): LCMS RT=1.23分,MH+ 431.8;1H NMR(MeOD):8.76(2H,dd,J 4.7, 1.6),8.13(2H,dd,J 4.6, 1.6),7.93−7.61(8H,m),7.02(1H,d,J 8.1),6.09(2H,s).2−(ベンゾフラン−2−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール(化合物10): LCMS RT=1.48分,MH+ 428.5;1H NMR(MeOD):8.64(2H,dd,J 4.6, 1.7),8.00(2H,dd,J 4.6, 1.7),7.79(2H,m),7.65−7.52(6H,m),7.49(1H,d,J 0.9)7.33(1H,dt,J 7.3, 1.3),7.23(1H,dt,J 7.5, 1.0).2−(2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−[5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール]−2−イル)チエノ[2,3−c]ピリジン(化合物11): LCMS RT=1.36分,MH+ 445.2;1H NMR(MeOD):9.14(1H,s),8.70(2H,d,J 5.4),8.41(1H,d,J 5.5),8.05(2H,d,J 5.5),7.98(1H,s),7.91−7.55(7H,m).2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル)−2’−(ピリジン−3−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール(化合物12): LCMS RT=1.80分,MH+ 428.7;1H NMR(d6−DMSO):13.26(2H,br s),9.52(1H,s),9.45(1H,d,J 2.0),8.76(1H,dd,J 4.8, 1.5),8.60(1H,dt,J 8.0, 1.8),8.20(1H,s),8.07(1H,dd,J 9.4, 1.7),7.95(2H,d,J 7.0),7.85−7.73(4H,m),7.70−7.63(3H,m).2−(2’−(ピリジン−3−イル)−1H,1’H−[5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール]−2−イル)チエノ[2,3−b]ピリジン(化合物13): LCMS RT=2.33分,MH+ 446.1;1H NMR(d6−DMSO):13.33(2H,br s),9.39(1H,d,J 2.2),8.70(1H,dd,J 4.8, 1.6),8.63(1H,dd,J 4.6, 3.0),8.54(1H,dt,J 8.0, 2.0),8.41(1H,dd,J 8.0, 1.6),8.17(1H,s),8.07−7.69(4H,m),7.69−7.58(3H,m),7.52(1H,dd,J 8.0, 4.6).[実施例2:本発明の化合物の活性] 好ましい一般式(I)の化合物、並びにクロストリジウム・ディフィシルATCC700057及び一団の腸管内菌叢指標細菌に対するその最小阻害濃度(MIC)の一覧を下の表2にまとめて示す。 上の表において、MIC値の表示に使用した記号: MIC≦1μg/ml = ++++ MIC≦4μg/ml = +++ MIC≦32μg/ml = ++ MIC≧64μg/ml = + 使用した細菌菌株: バクテロイデス・フラジリスATCC25285 大腸菌ATCC25922 ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)Z1 83 ビフィドバクテリウム・デンティウム(Bifidobacterium dentium)NCTC11816 B.アドレッセンティス(B.adolescentis)MWR144 黄色ブドウ球菌ATCC29213 エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)ATCC29212 指標菌株は正常な腸管内菌叢を代表するものであり、したがって微生物の腸管内菌叢の代用物として働く。すなわち、データは、本発明の化合物が、C.ディフィシルに対して静菌及び/又は殺菌活性を示すが、正常な腸管内菌叢は温存する、(上で定義された)クロストリジウム・ディフィシル選択的薬剤であることを示している。したがって、本発明の化合物は、正常な腸管内菌叢を病的に乱すことなくCDADの治療において有用となる。(VIII)均等物 以上は、現段階で好ましい本発明の実施形態を詳述したものである。これらの記載を踏まえて、当業者にはその実施における数多くの変更形態及び変型形態が思い浮かぶであろう。それらの変更形態及び変型形態は添付の特許請求の範囲内に含まれるものとする。 クロストリジウム・ディフィシル関連疾患(CDAD)を治療する方法において使用するための、式(I):[R1は、任意選択により置換されているアリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、及びヘテロシクリル基から選択され、任意選択による置換は、ハロ、CN、NO2、R3、OR3、N(R3)2、COR3、CO2R3、C(=O)SR3、SR3、S(=O)R3、SO2R3、NR4C(=O)R3、NR4CO2R3、OC(=O)NR3R4、NR4SO2R3、C(=NR4)NR3R4、C(=S)NR3R4、NR4C(=NR4)NR3R4、NR4C(=S)NR3R4、NR4C(=O)NR3R4、CONR3R4、及びSO2NR3R4から選択される1個又は複数の置換基でなされ、 R2は、任意選択により置換されている8〜14員の二環式又は三環式縮合芳香環系であり、炭素原子の1個又は複数は、N、O、S、SO又はSO2で置き換えられていてもよく、任意選択による置換は、ハロ、CN、NO2、R3、OR3、N(R3)2、COR3、CO2R3、C(=O)SR3、SR3、S(=O)R3、SO2R3、NR4C(=O)R3、NR4CO2R3、OC(=O)NR3R4、NR4SO2R3、C(=NR4)NR3R4、C(=S)NR3R4、NR4C(=NR4)NR3R4、NR4C(=S)NR3R4、NR4C(=O)NR3R4、CONR3R4、及びSO2NR3R4から選択される1個又は複数の置換基でなされ、 R3は、H、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、C3〜C7カルボシクリル、C4〜C7ヘテロシクリル、及び5員又は6員アリール又はヘテロアリールから選択され、これらはいずれも、ハロ、CN、NO2、R4、OR4、N(R4)2、COR4、CO2R4、C(=O)SR4、SR4、S(=O)R4、SO2R4、NR4C(=O)R4、NR4CO2R4、OC(=O)NR4)2、NR4SO2R4、C(=NR4)N(R4)2、C(=S)N(R4)2、NR4C(=NR4)N(R4)2、NR4C(=S)N(R4)2、NR4C(=O)N(R4)2、CON(R4)2、及びSO2N(R4)2から選択される1個又は複数の置換基で任意選択により置換されていてもよく、 R4は、水素、1個又は複数のハロ原子で任意選択により置換されているC1〜C6アルキル及びC3〜C7カルボシクリルから選択される。]の化合物、又はその薬学的に許容されるN−オキシド、塩、水和物、溶媒和物、複合体、生物学的等価体、代謝産物若しくはプロドラッグ。 R1が(a)ピリジル基又は(b)チアゾール基である、請求項1に記載の化合物。 R2が、任意選択により置換されている8〜10員の二環式縮合芳香環系であり、炭素原子の1個又は複数は、N、O、S、SO又はSO2で置き換えられていてもよく、任意選択による置換は、ハロ、CN、NO2、R3、OR3、N(R3)2、COR3、CO2R3、C(=O)SR3、SR3、S(=O)R3、SO2R3、NR4C(=O)R3、NR4CO2R3、OC(=O)NR3R4、NR4SO2R3、C(=NR4)NR3R4、C(=S)NR3R4、NR4C(=NR4)NR3R4、NR4C(=S)NR3R4、NR4C(=O)NR3R4、CONR3R4、及びSO2NR3R4から選択される1個又は複数の置換基でなされる、請求項1又は2に記載の化合物。 R2が、任意選択により置換されている9員二環式芳香環系であり、炭素原子の1個又は複数は、N、O、S、SO又はSO2で置き換えられていてもよく、任意選択による置換は、ハロ、CN、NO2、R3、OR3、N(R3)2、COR3、CO2R3、C(=O)SR3、SR3、S(=O)R3、SO2R3、NR4C(=O)R3、NR4CO2R3、OC(=O)NR3R4、NR4SO2R3、C(=NR4)NR3R4、C(=S)NR3R4、NR4C(=NR4)NR3R4、NR4C(=S)NR3R4、NR4C(=O)NR3R4、CONR3R4、及びSO2NR3R4から選択される1個又は複数の置換基でなされる、請求項3に記載の化合物。 R2が、任意選択により置換されている5員及び6員二環式縮合芳香環系である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。 R2が、(a)チエノピリジル基、又は(b)ベンゾチオフェン基、又は(c)ベンゾフラン基、又は(d)ピリジルイミダゾール基、又は(e)ベンゾジオキソール基、又は(f)インドール基である、請求項5に記載の化合物。 R2が、任意選択により置換されている6員及び6員二環式縮合芳香環系である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。 R2が、(a)イソキノロン基、又は(b)キノキサリン基、又は(c)イソキノリン基、又は(d)キノリン基、又は(e)ナフチリジン基である、請求項7に記載の化合物。 対称性である、例えば、R1とR2が同じである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。 非対称性である、例えば、R1とR2が異なっている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。 本明細書において表1に列挙する化合物1〜13から選択される、請求項1に記載の化合物。 場合により、治療又は予防において、例えば、細菌性感染症又は疾患を治療する方法において使用するための、式(I):[R1は、任意選択により置換されているアリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、及びヘテロシクリル基から選択され、任意選択による置換は、ハロ、CN、NO2、R3、OR3、N(R3)2、COR3、CO2R3、C(=O)SR3、SR3、S(=O)R3、SO2R3、NR4C(=O)R3、NR4CO2R3、OC(=O)NR3R4、NR4SO2R3、C(=NR4)NR3R4、C(=S)NR3R4、NR4C(=NR4)NR3R4、NR4C(=S)NR3R4、NR4C(=O)NR3R4、CONR3R4、及びSO2NR3R4から選択される1個又は複数の置換基でなされ、 R2は、任意選択により置換されている8〜14員の二環式又は三環式縮合芳香環系であり、炭素原子の1個又は複数は、N、O、S、SO又はSO2で置き換えられていてもよく、任意選択による置換は、ハロ、CN、NO2、R3、OR3、N(R3)2、COR3、CO2R3、C(=O)SR3、SR3、S(=O)R3、SO2R3、NR4C(=O)R3、NR4CO2R3、OC(=O)NR3R4、NR4SO2R3、C(=NR4)NR3R4、C(=S)NR3R4、NR4C(=NR4)NR3R4、NR4C(=S)NR3R4、NR4C(=O)NR3R4、CONR3R4、及びSO2NR3R4から選択される1個又は複数の置換基でなされ、 R3は、H、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、C3〜C7カルボシクリル、C4〜C7ヘテロシクリル、及び5員又は6員アリール又はヘテロアリールから選択され、これらはいずれも、ハロ、CN、NO2、R4、OR4、N(R4)2、COR4、CO2R4、C(=O)SR4、SR4、S(=O)R4、SO2R4、NR4C(=O)R4、NR4CO2R4、OC(=O)NR4)2、NR4SO2R4、C(=NR4)N(R4)2、C(=S)N(R4)2、NR4C(=NR4)N(R4)2、NR4C(=S)N(R4)2、NR4C(=O)N(R4)2、CON(R4)2、及びSO2N(R4)2から選択される1個又は複数の置換基で任意選択により置換されていてもよく、 R4は、水素、1個又は複数のハロ原子で任意選択により置換されているC1〜C6アルキル及びC3〜C7カルボシクリルから選択される。]の化合物、又はその薬学的に許容されるN−オキシド、塩、水和物、溶媒和物、複合体、生物学的等価体、代謝産物若しくはプロドラッグ。 請求項2〜11のいずれか一項で規定されている、請求項12に記載の化合物。 2−(2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)チエノ[2,3−b]ピリジン、 2−(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(ベンゾフラン−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 6−(2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)ベンゾ[d]イミダゾール、 2−(ベンゾ[b]チオフェン−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(1H−インドール−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(ベンゾフラン−2−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−[5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール]−2−イル)チエノ[2,3−c]ピリジン、 2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル)−2’−(ピリジン−3−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、若しくは 2−(2’−(ピリジン−3−イル)−1H,1’H−[5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール]−2−イル)チエノ[2,3−b]ピリジン、又は その薬学的に許容されるN−オキシド、塩、水和物、溶媒和物、複合体、生物学的等価体、代謝産物若しくはプロドラッグから選択される、請求項12に記載の化合物。 クロストリジウム・ディフィシル選択的薬剤であり、例えば、 2−(2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)チエノ[2,3−b]ピリジン、 2−(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(ベンゾフラン−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 6−(2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)ベンゾ[d]イミダゾール、 2−(ベンゾ[b]チオフェン−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(1H−インドール−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(ベンゾフラン−2−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−[5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール]−2−イル)チエノ[2,3−c]ピリジン、 2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル)−2’−(ピリジン−3−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、若しくは 2−(2’−(ピリジン−3−イル)−1H,1’H−[5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール]−2−イル)チエノ[2,3−b]ピリジン、又は その薬学的に許容されるN−オキシド、塩、水和物、溶媒和物、複合体、生物学的等価体、代謝産物若しくはプロドラッグから選択される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物。 請求項1〜15のいずれか一項で規定されている化合物と、本明細書に記載のものから選択される補助薬剤と、を含む組合せ。 請求項1〜16のいずれか一項で規定されている化合物と、(a)バンコマイシン、(b)メトロニダゾール、(c)プロバイオティクス、(d)プレバイオティクス、(e)細菌毒素捕捉剤(例えばイオン交換樹脂)、(f)静脈内免疫グロブリン、及び(g)下痢止め薬から選択される補助薬剤と、を含む、請求項16に記載の組合せ。 請求項1〜17のいずれか一項で規定されている化合物と、サッカロマイセス属の種及び/又はラクトバチルス属の種から選択されるプロバイオティクスと、を含む、請求項16又は請求項17に記載の組合せ。 請求項1〜18のいずれか一項で規定されている化合物及び補助薬剤が物理的又は非物理的に関連している、請求項16〜18のいずれか一項に記載の組合せ。 対象においてクロストリジウム・ディフィシル感染症又はクロストリジウム・ディフィシル疾患を治療する方法であって、前記対象に、請求項1〜15のいずれか一項で規定されている化合物又は請求項16〜19のいずれか一項で規定されている組合せを有効量投与するステップを含む方法。 クロストリジウム・ディフィシルを死滅させ、又はその増殖を阻害、低減若しくは防止する方法であって、前記細菌を、請求項1〜15のいずれか一項で規定されている化合物又は請求項16〜19のいずれか一項で規定されている組合せと接触させるステップを含む方法。 請求項1〜15のいずれか一項で規定されている化合物又は請求項16〜19のいずれか一項で規定されている組合せを含む医薬組成物。 正常な腸管内菌叢を温存しながらCDADを治療する方法において使用するための、請求項1〜22のいずれか一項に記載の発明。 CDADが、(a)大腸炎、(b)偽膜性大腸炎、(c)下痢、及び(d)抗生物質関連疾患から選択される、請求項1〜23のいずれか一項に記載の発明。 (a)プロトンポンプ阻害剤による治療を受けた又は受けている対象、(b)H2受容体拮抗薬による治療を受けた又は受けている対象、(c)利尿剤による治療を受けた又は受けている対象、(d)入院している対象、(e)留置栄養チューブを付けている対象、(f)人工呼吸器を使用中の対象、(g)プロバイオティクスによる治療を受けた又は受けている対象、及び(g)バンコマイシン及び/又はメトロニダゾールによる治療を受けた又は受けている対象から選択される患者亜群の治療において使用するための、請求項24に記載の発明であって、 抗生物質関連疾患が(a)抗生物質関連下痢及び(b)抗生物質関連大腸炎から選択される、発明。 【課題】クロストリジウム・ディフィシル感染及び前記細菌によって引き起こされる疾患の治療のための医薬品の提供。【解決手段】式(I)で表されるビス−(2)−(ピリジル)1H−ベンゾイミダゾール誘導体、又はその薬学的に許容されるN−オキシド、塩、水和物、溶媒和物、複合体、生物学的等価体、代謝産物若しくはプロドラッグ。(R1は置換基を有するアリール、ヘテロアリール、カルボシクリル又はヘテロシクリル;R2は置換基を有する8〜14員の二環又三環式縮合複素芳香環を有する基)【選択図】なし20150526A16333全文3 式(I):[R1は、任意選択により置換されているアリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、及びヘテロシクリル基から選択され、任意選択による置換は、ハロ、CN、NO2、R3、OR3、N(R3)2、COR3、CO2R3、C(=O)SR3、SR3、S(=O)R3、SO2R3、NR4C(=O)R3、NR4CO2R3、OC(=O)NR3R4、NR4SO2R3、C(=NR4)NR3R4、C(=S)NR3R4、NR4C(=NR4)NR3R4、NR4C(=S)NR3R4、NR4C(=O)NR3R4、CONR3R4、及びSO2NR3R4から選択される1個又は複数の置換基でなされ、 R2は、任意選択により置換されている8〜14員の二環式又は三環式縮合芳香環系であり、炭素原子の1個又は複数は、N、O、S、SO又はSO2で置き換えられていてもよく、任意選択による置換は、ハロ、CN、NO2、R3、OR3、N(R3)2、COR3、CO2R3、C(=O)SR3、SR3、S(=O)R3、SO2R3、NR4C(=O)R3、NR4CO2R3、OC(=O)NR3R4、NR4SO2R3、C(=NR4)NR3R4、C(=S)NR3R4、NR4C(=NR4)NR3R4、NR4C(=S)NR3R4、NR4C(=O)NR3R4、CONR3R4、及びSO2NR3R4から選択される1個又は複数の置換基でなされ、 R3は、H、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、C3〜C7カルボシクリル、C4〜C7ヘテロシクリル、及び5員又は6員アリール又はヘテロアリールから選択され、これらはいずれも、ハロ、CN、NO2、R4、OR4、N(R4)2、COR4、CO2R4、C(=O)SR4、SR4、S(=O)R4、SO2R4、NR4C(=O)R4、NR4CO2R4、OC(=O)NR4)2、NR4SO2R4、C(=NR4)N(R4)2、C(=S)N(R4)2、NR4C(=NR4)N(R4)2、NR4C(=S)N(R4)2、NR4C(=O)N(R4)2、CON(R4)2、及びSO2N(R4)2から選択される1個又は複数の置換基で任意選択により置換されていてもよく、 R4は、水素、1個又は複数のハロ原子で任意選択により置換されているC1〜C6アルキル及びC3〜C7カルボシクリルから選択される。]の化合物、又はその薬学的に許容されるN−オキシド、塩、水和物、溶媒和物、複合体、生物学的等価体、代謝産物若しくはプロドラッグ。 R1が(a)ピリジル基又は(b)チアゾール基である、請求項1に記載の化合物。 R2が、任意選択により置換されている8〜10員の二環式縮合芳香環系であり、炭素原子の1個又は複数は、N、O、S、SO又はSO2で置き換えられていてもよく、任意選択による置換は、ハロ、CN、NO2、R3、OR3、N(R3)2、COR3、CO2R3、C(=O)SR3、SR3、S(=O)R3、SO2R3、NR4C(=O)R3、NR4CO2R3、OC(=O)NR3R4、NR4SO2R3、C(=NR4)NR3R4、C(=S)NR3R4、NR4C(=NR4)NR3R4、NR4C(=S)NR3R4、NR4C(=O)NR3R4、CONR3R4、及びSO2NR3R4から選択される1個又は複数の置換基でなされる、請求項1又は2に記載の化合物。 R2が、任意選択により置換されている9員二環式芳香環系であり、炭素原子の1個又は複数は、N、O、S、SO又はSO2で置き換えられていてもよく、任意選択による置換は、ハロ、CN、NO2、R3、OR3、N(R3)2、COR3、CO2R3、C(=O)SR3、SR3、S(=O)R3、SO2R3、NR4C(=O)R3、NR4CO2R3、OC(=O)NR3R4、NR4SO2R3、C(=NR4)NR3R4、C(=S)NR3R4、NR4C(=NR4)NR3R4、NR4C(=S)NR3R4、NR4C(=O)NR3R4、CONR3R4、及びSO2NR3R4から選択される1個又は複数の置換基でなされる、請求項3に記載の化合物。 R2が、任意選択により置換されている5員及び6員二環式縮合芳香環系である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。 R2が、(a)チエノピリジル基、又は(b)ベンゾチオフェン基、又は(c)ベンゾフラン基、又は(d)ピリジルイミダゾール基、又は(e)ベンゾジオキソール基、又は(f)インドール基である、請求項5に記載の化合物。 R2が、任意選択により置換されている6員及び6員二環式縮合芳香環系である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。 R2が、(a)イソキノロン基、又は(b)キノキサリン基、又は(c)イソキノリン基、又は(d)キノリン基、又は(e)ナフチリジン基である、請求項7に記載の化合物。 対称性である、例えば、R1とR2が同じである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。 非対称性である、例えば、R1とR2が異なっている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。 2−(2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)チエノ[2,3−b]ピリジン、 2−(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(ベンゾフラン−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 6−(2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)ベンゾ[d]イミダゾール、 2−(ベンゾ[b]チオフェン−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(1H−インドール−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,3’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(ベンゾフラン−2−イル)−2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、 2−(2’−(ピリジン−4−イル)−1H,1’H−[5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール]−2−イル)チエノ[2,3−c]ピリジン、 2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル)−2’−(ピリジン−3−イル)−1H,1’H−5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール、若しくは 2−(2’−(ピリジン−3−イル)−1H,1’H−[5,5’−ビベンゾ[d]イミダゾール]−2−イル)チエノ[2,3−b]ピリジン、又は その薬学的に許容されるN−オキシド、塩、水和物、溶媒和物、複合体、生物学的等価体、代謝産物若しくはプロドラッグから選択される、請求項1に記載の化合物。


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