生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_眼底疾患治療剤
出願番号:2014040041
年次:2014
IPC分類:A61K 31/496,A61P 27/02


特許情報キャッシュ

石橋 達朗 中尾 新太郎 有田 量一 水野 憲 土浦 暁史 JP 2014224090 公開特許公報(A) 20141204 2014040041 20140303 眼底疾患治療剤 国立大学法人九州大学 504145342 興和株式会社 000163006 佐伯 憲生 100102668 中村 正展 100182486 佐伯 裕子 100147289 牛山 直子 100158872 石橋 達朗 中尾 新太郎 有田 量一 水野 憲 土浦 暁史 JP 2013090851 20130424 5557408 20140723 A61K 31/496 20060101AFI20141107BHJP A61P 27/02 20060101ALI20141107BHJP JPA61K31/496A61P27/02 12 OL 22 4C086 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC50 4C086GA07 4C086GA12 4C086MA01 4C086MA02 4C086MA04 4C086MA05 4C086MA17 4C086MA58 4C086NA14 4C086ZA33 本発明は、眼底疾患、特に糖尿病網膜症又は加齢黄斑変性の予防又は治療のための薬剤に関する。 糖尿病網膜症(Diabetic Retinopathy:DR、糖尿病性網膜症ともいう)は、糖尿病腎症・神経症とともに糖尿病の3大合併症のひとつで、日本では緑内障に次いで成人の失明原因の第2位となっている。血糖の高い状態が続くと、網膜の細い血管は少しずつ損傷を受け、変形したり詰まったりするいわゆる高血糖による微小血管障害の結果、網膜の隅々まで酸素が行き渡らなくなり、網膜が酸欠状態に陥る。その結果として新しい血管(新生血管)を生やして酸素不足を補おうとするが、新生血管はもろいために容易に出血を起こし、網膜にかさぶたのような膜(増殖組織)が張ってきて、これが原因で網膜剥離を起こすことがある(増殖糖尿病網膜症)。 糖尿病網膜症は、進行の程度により単純糖尿病網膜症、前増殖糖尿病網膜症及び増殖糖尿病網膜症の大きく三段階に分類されるが、単純糖尿病網膜症の段階でも、主に血管透過性亢進に起因する黄斑浮腫や硬性白斑等を伴う黄斑症が発現し得るので(糖尿病黄斑浮腫、糖尿病黄斑症)、いずれにせよ眼底所見による診断が重要となる。 ここで、糖尿病黄斑浮腫は、糖尿病網膜症の病期に関わらず発症することが知られている。その病態は血管透過性亢進によって網膜血管から漏出した血漿成分の黄斑部への貯留であり、歪視や視力低下などの自覚症状が生じる。 糖尿病網膜症の治療は、単純糖尿病網膜症では血糖値のコントロールにより改善することもあるが、前増殖糖尿病網膜症では多くの場合網膜光凝固術を行う必要があるとされ、増殖糖尿病網膜症に至り網膜剥離や硝子体出血が起こった場合、目の中の出血や増殖組織を取り除いたり、剥離した網膜を元に戻したりする目的で硝子体手術が行われる。しかし、未だ必ずしも良好な視機能を維持するには至っていないのが現状である。 また、加齢黄斑変性(Age-related Macular Degeneration:AMD)は、加齢により網膜色素上皮の下に老廃物が蓄積し、それにより直接あるいは間接的に黄斑部が障害される病気であり、欧米では成人の失明原因の第1位となっている。加齢黄斑変性には大きく分けると萎縮型(dry type)と滲出型(wet type)の2つの種類があるが、萎縮型は網膜色素上皮が徐々に萎縮していき、網膜が障害され視力が徐々に低下していく病気であり、現在のところ有効な治療方法は知られていない。一方の滲出型は、異常な血管(脈絡膜新生血管)が脈絡膜から網膜色素上皮の下あるいは網膜と網膜色素上皮の間に侵入して網膜が障害される病気である。脈絡膜新生血管においては血液成分を漏出させて網膜下に液体を貯留させたり(網膜下液)、血管が破れて網膜に出血する(網膜出血)ことによって網膜を障害し、網膜が正しく働かなくなり視力が低下する。 滲出型の加齢黄斑変性に対してはいくつかの治療法が知られているが、いずれも治療の目的は脈絡膜新生血管の拡大を抑え退縮させ、視力を維持あるいは改善することである。滲出型の加齢黄斑変性に対する治療法としては、光線力学的療法(photodynamic therapy:PDT)、薬物治療、レーザー凝固、手術等が知られており、このうち薬物治療では、脈絡膜新生血管の発生に大きく関係していると考えられている血管内皮増殖因子(VEGF)阻害を作用機作とする薬剤(VEGF阻害薬)を硝子体に注射することで、脈絡膜新生血管を退縮させる治療法である。しかしながら、糖尿病網膜症の治療と同様に、未だ必ずしも良好な視機能を維持するには至っていない。また、薬物治療の場合、硝子体内に頻回投与を行う必要がある。 これら糖尿病網膜症あるいは加齢黄斑変性では、それぞれ網膜血管新生あるいは脈絡膜血管新生が病態に大きく関与しているため、血管新生抑制又は阻害を目的とした治療が試みられている。加齢黄斑変性に対しては上述のVEGF阻害薬の硝子体内注射が、既に日本において保険適用されており、また、糖尿病網膜症に対してもVEGF阻害薬の臨床試験が進んでいる。 また、VEGFとは異なる標的分子として、Rhoキナーゼ(Rho-associated protein kinase : ROCK)が最近注目されており(非特許文献1)、ROCK阻害剤として知られているファスジル(fasudil)やY-27632は、VEGF誘発性の血管新生に対する阻害作用を有することが知られている(非特許文献2、3)。モデル動物への効果としては、糖尿病モデルラットにおける網膜微小血管障害に対して、硝子体内へ投与したファスジルが、血管内皮への好中球の接着抑制や内皮細胞における一酸化窒素合成亢進を介して内皮細胞保護効果を示すことにより、糖尿病網膜症発症早期における新しい治療戦略となる可能性が示唆されている(非特許文献4、5)。Y-27632についても、高酸素誘発網膜症モデルマウスに対して、硝子体内投与により網膜血管新生抑制効果が示されている(非特許文献6)。この他、いくつかの特許文献に開示されている新規ROCK阻害剤の用途として、網膜症、糖尿病性網膜症、黄斑変性等が触れられているが、当該文献中ではこれら疾患に対する具体的な効果は示されていない(特許文献1〜3)。 以上概観したように、糖尿病網膜症や加齢黄斑変性に対する、網脈絡膜血管新生抑制を目的とした薬物治療の投与経路としては、主に硝子体内注射が適用されているものの、人眼に複数回の注射を行うことは感染の危険性とともに、患者に多大な肉体的精神的経済的苦痛を伴うため、点眼薬による治療の開発が望まれている。 また、4−フルオロ−5−環状アミノスルホニルイソキノリン誘導体に関しては、喘息治療剤、サブスタンスP拮抗剤、ロイコトリエンD4拮抗剤、Rhoキナーゼ阻害剤などの作用(特許文献3)や、脳血管障害治療剤(特許文献4)としての作用があることが知られているが、局所投与による選択的な作用については報告されていない。国際公開WO98/06433号パンフレット国際公開WO02/083175号パンフレット特開平11−349482号公報国際公開WO99/20620号パンフレットあたらしい眼科, 29(臨増), 60-67(2012)Mol. Cancer Ther., 6(5), 1517-1525(2007)FASEB J., 24, 3186-3195(2010)Diabetes, 58, 215-226(2009)日眼会誌, 115, 985-997(2011)Current Eye Research, 36(11), 1028-1036(2011) 本発明は、眼底疾患、特に糖尿病網膜症又は加齢黄斑変性の予防又は治療のための新たな薬剤を提供することに関する。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、全く意外にも(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン(以下、化合物1と表記することがある。)若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を点眼投与することにより、眼底において強力な血管新生抑制作用が発揮され、該化合物が眼底疾患、特に糖尿病網膜症又は加齢黄斑変性の予防又は治療に有用であることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明は以下の発明に係るものである。 1)(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする眼底疾患の予防又は治療剤。 2)眼底疾患が糖尿病網膜症である上記1)の予防又は治療剤。 3)眼底疾患が糖尿病黄斑浮腫である上記1)の予防又は治療剤。 4)眼底疾患が加齢黄斑変性である上記1)の予防又は治療剤。 5)点眼剤である上記1)〜4)の予防又は治療剤。 6)(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物並びに薬学的に許容される担体を含有してなる眼底疾患予防又は治療のための医薬組成物。 7)眼底疾患が糖尿病網膜症である上記6)の医薬組成物。 8)眼底疾患が糖尿病黄斑浮腫である上記6)の医薬組成物。 9)眼底疾患が加齢黄斑変性である上記6)の医薬組成物。 10)点眼剤である上記6)〜9)の医薬組成物。 11)(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の有効量を投与することを特徴とする眼底疾患の予防又は治療方法。 12)投与が、点眼による投与である、上記の11)に記載の方法。 13)眼底疾患が糖尿病網膜症である、上記の11)又は12)に記載の予防又は治療方法。 14)眼底疾患が糖尿病黄斑浮腫である、上記の11)又は12)に記載の予防又は治療方法。 15)眼底疾患が加齢黄斑変性である、上記の11)又は12)に記載の予防又は治療方法。 16)(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、及び点眼薬に許容される担体を含有してなる点眼薬。 17)眼底疾患の予防又は治療剤を製造するための、(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の使用。 18)眼底疾患の予防又は治療剤に使用するための、(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物。 19)眼底疾患の予防又は治療剤が、点眼薬である、上記の17)又は18)に記載の使用、又は化合物。 20)眼底疾患が糖尿病網膜症である、上記の17)又は18)に記載の使用、又は化合物。 21)眼底疾患が糖尿病黄斑浮腫である、上記の17)又は18)に記載の使用、又は化合物。 22)眼底疾患が加齢黄斑変性である、上記17)又は18)に記載の使用、又は化合物。 本発明によれば、眼底疾患、特に糖尿病網膜症又は加齢黄斑変性の予防又は治療のための薬剤を提供することができる。 本発明の医薬組成物は、特に点眼薬は、少量の点眼投与においても有効性を有しており、有効性だけでなく、患者に多大な肉体的かつ精神的な苦痛を与えることなく投与することが可能であり、非侵襲的投与が可能であり、老人や子供に対しても簡便に投与することができる眼底疾患の治療剤及び/又は予防剤として極めて有用である。フラットマウントによる生理食塩水点眼群(対照)、化合物1の0.4%溶液点眼群及び化合物1の0.8%溶液点眼群の代表的な撮影画像である。フラットマウントによる各点眼群の網膜虚血領域(無灌流領域)を定量化した結果である。縦軸は生理食塩水点眼群を100%とした無灌流領域の割合を示す。数値は平均値±標準偏差で表し、**はp値が0.01未満であることを示す。フラットマウントによる各点眼群の新生血管領域を定量化した結果である。縦軸は生理食塩水点眼群を100%とした新生血管領域の割合を示す。数値は平均値±標準偏差で表し、**はp値が0.01未満であることを示し、N.C.は有意差の無いことを示す。フラットマウントによる生理食塩水点眼群(対照)及びファスジルの0.4%溶液点眼群の代表的な撮影画像である。フラットマウントによる生理食塩水点眼群(対照)及びファスジルの0.4%溶液点眼群の網膜虚血領域(無灌流領域)を定量化した結果である。縦軸は生理食塩水点眼群を100%とした無灌流領域の割合を示す。数値は平均値±標準偏差で表し、N.C.は有意差の無いことを示す。フラットマウントによる生理食塩水点眼群(対照)及びファスジルの0.4%溶液点眼群の新生血管領域を定量化した結果である。縦軸は生理食塩水点眼群を100%とした新生血管領域の割合を示す。数値は平均値±標準偏差で表し、N.C.は有意差の無いことを示す。蛍光眼底造影による生理食塩水点眼群(対照)、化合物1の0.8%溶液点眼群の代表的な撮影画像である。蛍光眼底造影による各点眼群の新生血管領域を定量化した結果である。縦軸は生理食塩水点眼群を100%とした新生血管領域の割合を示す。数値は平均値±標準誤差で表し、*はp値が0.05未満であることを示す。蛍光眼底造影による各点眼群の脈絡膜血管新生を定量化した結果である。縦軸は脈絡膜血管新生体積(μm3)を示す。数値は平均値±標準誤差を示す。蛍光眼底造影並びに光干渉断層計による正常マウス(参考)、生理食塩水点眼群(対照)、化合物1の0.8%溶液点眼群の代表的な撮影画像である。光干渉断層計により測定した各点眼群の最大網膜厚(平均値±標準誤差、単位はμm)である。*はp値が0.05未満であることを示す。VEGF刺激又はIL-6刺激によるClaudin-5発現に対する化合物1の効果を示す免疫染色画像である。VEGF刺激又はIL-6刺激によるF-Actin重合に対する化合物1の効果を示す免疫染色画像である。 本発明に用いる(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジンは、脳血管治療剤や、サブスタンスP拮抗作用、ロイコトリエンD4拮抗作用及びRhoキナーゼ阻害作用を有する化合物であり、公知の方法、例えば、国際特許公開第99/20620号パンフレット(特許文献4)に記載の方法により製造することができる。 (S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジンの塩としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、臭化水素酸等の無機酸の塩、又は酢酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、カンファースルホン酸等の有機酸との塩が挙げられ、特に塩酸塩が好ましい。 (S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩は、未溶媒和型のみならず水和物又は溶媒和物としても存在することができる。水和物が好ましいが、本発明においては、全ての結晶型及び水和若しくは溶媒和物を含むものである。 (S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を用いた場合、後記実施例に示すように、強力な血管新生抑制作用を示すため、眼底疾患、特に糖尿病網膜症又は加齢黄斑変性の予防又は治療剤として有用である。ここで、眼底疾患とは、主として網膜及び/又は脈絡膜に発現する病変のことをいう。 眼底疾患としては、例えば、高血圧と動脈硬化による眼底変化、網膜中心動脈閉塞症、網膜中心静脈閉塞症(central retinal vein occlusion)や網膜静脈分枝閉塞症(branch retinal vein occlusion)等の網膜静脈閉塞症、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、糖尿病黄斑症、イールズ病(Eales disease)、コーツ病(Coats disease)等の網膜血管先天異常、ヒッペル病(von Hippel disease)、脈なし病(pulseless disease)、黄斑疾患(中心性網脈絡膜症(central serous chorioretinopathy)、嚢胞様黄斑浮腫(cystoid macular edema)、加齢黄斑変性(age-related macular degeneration)、黄斑円孔(macular hole)、近視性黄斑萎縮(myopic macular degeneration)、網膜硝子体界面黄斑変性症、薬物毒性黄斑変性症、遺伝性黄斑変性等)、(裂孔原性、牽引性、滲出性等の)網膜剥離、網膜色素変性症、未熟児網膜症、等が挙げられる。 (S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を製剤化する場合は、公知の方法に準じて製剤を調製することができる。例えば、(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の製剤は、例えば、国際公開特許公報(WO00/09162号、WO97/23222号など)に記載の製剤例を参考にして調製することができる。 (S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の製剤を調製する場合も、公知の方法に準じて調製することができる。例えば点眼剤は、等張化剤、緩衝剤、界面活性剤、防腐剤などを必要に応じて使用して、調製することができる。pHは眼科製剤に許容される範囲内にあればよく、pH4〜8の範囲が好ましい。 本発明の製剤は、眼科用製剤、特に点眼用として用いるのが好ましく、斯かる点眼剤は、水性点眼剤、非水性点眼剤、懸濁性点眼剤、乳濁性点眼剤、眼軟膏等のいずれでもよい。このような製剤は、投与形態に適した組成物として、必要に応じて薬学的に許容される担体、特に点眼薬に許容される担体、例えば等張化剤、キレート剤、安定化剤、pH調節剤、防腐剤、抗酸化剤、溶解補助剤、粘稠化剤等を配合し、当業者に公知の(製剤)方法により製造できる。 本発明の有効成分は、少量の点眼投与においても有効性を有しており、点眼薬とすることができる。本発明の点眼薬は、本発明の有効成分である(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、及び点眼薬に許容される担体を含有するものである。 点眼剤を調製する場合、例えば、所望な上記成分を滅菌精製水、生理食塩水等の水性溶剤、又は綿実油、大豆油、ゴマ油、落花生油等の植物油等の非水性溶剤に溶解又は懸濁させ、所定の浸透圧に調整し、濾過滅菌等の滅菌処理を施すことにより行うことができる。なお、眼軟膏剤を調製する場合は、前記各種の成分の他に、軟膏基剤を含むことができる。前記軟膏基剤としては、特に限定されないが、ワセリン、流動パラフィン、ポリエチレン等の油性基剤; 油相と水相とを界面活性剤等により乳化させた乳剤性基剤; ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール等からなる水溶性基剤等が好ましく挙げられる。 (S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を眼底疾患、特に糖尿病網膜症又は加齢黄斑変性の予防又は治療のために用いる場合、その投与量は、患者の体重、年齢、性別、症状、投与形態及び投与回数等によって異なるが、通常は成人に対して、(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物として、1日0.025〜10000μg、好ましくは0.025〜2000μg、より好ましくは0.1〜2000μg、さらに0.025〜200μg、0.025〜100μgの範囲が挙げられる。 また、投与回数は、特に限定されないが、1回又は数回に分けて投与するのが好ましく、液体点眼剤の場合は、1回に1〜数滴点眼すればよい。 以下、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1高酸素誘発網膜症モデルマウス(Mice OIR(oxygen-induced retinopathy) Model)に対する効果 糖尿病網膜症などの虚血性網膜症モデルとして汎用されているMice OIR Modelにおける(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン(化合物1)の有効性を調べるため、以下の方法に従って検討した。1.被験化合物溶液の調製 A.化合物1溶液の調製 所定量の(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン一塩酸塩・二水和物、グリセリンを精製水に溶解した後、リン酸二水素ナトリウム、水酸化ナトリウムを加えて溶液をpH6.0とし、所望の濃度の化合物1溶液を調製した。 B.ファスジル溶液の調製 上記A.化合物1溶液の調製において、(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン一塩酸塩・二水和物の代わりに所定量のファスジル2塩酸塩(LC Laboratories)を用いて、所望の濃度のファスジル溶液を調製した。2.試験方法 A.試験に使用した薬剤及び動物 化合物1溶液:0.4%溶液、0.8%溶液(点眼量:20μl) ファスジル溶液:0.4%溶液(点眼量:20μl) 実験動物: C57BL/6JJclマウス(性別:雄性、一群8〜14匹) B.OIRモデルの作成、薬物投与方法及び評価方法 同一日に出生したC57BL/6JJclマウスを、生後7日目から75%酸素環境で飼育し、生後12日目で通常の室内環境に移し、点眼を開始した。群構成は、生理食塩水点眼群(対照)、化合物1の0.4%溶液点眼群、化合物1の0.8%溶液点眼群、ファスジルの0.4%溶液点眼群であり、点眼は1日3回行った。生後17日目にフラットマウント又は蛍光眼底造影検査により網膜虚血領域(無灌流領域)及び新生血管領域を定量化して評価した。すなわち、ペントバルビタール(ネンブタール)1g/kgを腹腔内に投与し、過麻酔により安楽死後、両眼球を摘出し、4%パラホルムアルデヒド(Paraformaldehyde:PFA)に37℃で1時間固定した後、角膜輪部を円周状に切開し、眼球より角膜、虹彩を除去した。続いて4%PFAに37℃で1時間固定した後、水晶体、及び強膜・脈絡膜を除去し、網膜をeye cupで単離した。さらに網膜を4%PFAに37℃で3時間固定した後、PBSにて3回洗浄(各15分、37℃)、脱水(メタノール50%→100%各10分、37℃)、PBSにて3回洗浄(各15分、37℃)し、Blocking Buffer(1%BSA、0.5%Triton-X in PBS)にて60分(37℃)ブロッキングを行った。次いで一次抗体処置(0.7% FITC-conjugates Anti-lectin Ab in PBS、4℃、over night)し、PBSにて3回洗浄(各15分、37℃)後、eye cupに4−6カ所放射状切開を加え、フラットマウント状網膜にクリスタルマウントでカバーした。その後蛍光顕微鏡(BZ-9000, KEYENCE Corp, Osaka, Japan)で撮影し、NIH image J softwareにて網膜全体に対する無灌流領域及び新生血管領域を次式により算出した。得られた数値は生理食塩水点眼群(対照)を100%として換算し、統計解析はWilcoxon検定にて行った。 無灌流領域=無血管領域面積/網膜全体面積 新生血管領域=新生血管領域面積/網膜全体面積 また、蛍光眼底造影検査では、動物をまずトロピカミド点眼して瞳孔を散瞳させ、次いでケタラール100mg/kgとセラクタール10mg/kgの腹腔内投与により麻酔し、腹腔内にフルオレセイン蛍光眼底造影剤12μl/gを注入後、optos200TX(OPTOS PLC)で蛍光眼底造影写真を撮影し、NIH image J softwareにて新生血管領域を前述の式により算出した。得られた数値は生理食塩水点眼群(対照)を100%として換算し、統計解析はWilcoxon検定にて行った。3.結果及び考察 フラットマウントによる化合物1点眼の結果を図1〜図3に、ファスジル点眼の結果を図4〜図6に示す。図1はそれぞれ生理食塩水点眼群(対照)、化合物1の0.4%溶液点眼群及び化合物1の0.8%溶液点眼群の代表的な撮影画像であるが、生理食塩水点眼群では網膜虚血領域(無灌流領域)及び新生血管領域が顕著に認められるのに対し、化合物1の0.4%及び0.8%溶液点眼群では、それぞれ抑制されていることが判る。図2及び図3は、網膜虚血領域(無灌流領域)及び新生血管領域を定量化した結果である。図2から、生理食塩水点眼群(N=14)の100%に対し、化合物1の0.4%溶液点眼群(N=12)及び化合物1の0.8%溶液点眼群(N=11)では77.0%及び58.1%と、無灌流領域が用量依存的且つ有意に抑制されたことが判明した。さらに図3から、生理食塩水点眼群の100%に対し、化合物1の0.4%溶液点眼群及び化合物1の0.8%溶液点眼群では58.2%及び52.7%と、新生血管領域が有意に抑制されたことが判明した。 一方、図4はそれぞれ生理食塩水点眼群(対照)及びファスジルの0.4%溶液点眼群の代表的な撮影画像であるが、双方共に網膜虚血領域(無灌流領域)及び新生血管領域が顕著に認められていることが判る。図5及び図6は、網膜虚血領域(無灌流領域)及び新生血管領域を定量化した結果である。図5から、生理食塩水点眼群(N=14)の100%に対し、ファスジルの0.4%溶液点眼群(N=13)では107.7%と、無灌流領域に変化が無かったことが判明した。また図6から、生理食塩水点眼群の100%に対し、ファスジルの0.4%溶液点眼群では102.2%と、新生血管領域においても変化の無いことが判明した。非特許文献5では、ファスジルを硝子体に注入したときの効果が開示されているが、点眼による効果は確認できなかった。 蛍光眼底造影の結果を図7及び図8に示す。図7はそれぞれ生理食塩水点眼群(対照)及び化合物1の0.8%溶液点眼群の代表的な撮影画像であるが、生理食塩水点眼群では新生血管領域が顕著に認められるのに対し、化合物1の0.8%溶液点眼群では抑制されていることが判る。図8は、新生血管領域を定量化した結果である。図8から、生理食塩水点眼群(N=8)の100%に対し、化合物1の0.8%溶液点眼群(N=8)では41.6%と、顕著且つ有意に抑制されたことが判明した。 以上、図1〜図3、図7及び図8の結果から、OIRモデルにおける虚血領域、新生血管領域の発現が化合物1の点眼により顕著に抑制されることが示された。また、図4〜図6の結果から、化合物1に見られた効果がファスジルでは認められないことが示された。実施例2脈絡膜血管新生モデルマウス(Mice CNV(choroidal neovascularization) Model)に対する効果 加齢黄斑変性等のモデルとして知られているMice CNV Modelにおける化合物1の有効性を調べるため、以下の方法に従って検討した。1.試験方法 A.試験に使用した薬剤及び動物 実施例1と同様に調整した化合物1溶液:0.4%溶液、0.8%溶液(点眼量:20μl) 実験動物: C57BL/6JJclマウス(6−10週齢、雄性、一群11〜12匹) B.CNVモデルの作成、薬物投与方法及び評価方法 CNVモデルの作成・評価は、文献(J. Leukoc. Biol. 2003;74:25-32、又はAm. J. Pathol. 1998;153:1641-1646、等)を参考に行った。すなわち、トロピカミド点眼にてマウスの瞳孔を散瞳した後、ケタラール100mg/Kgとセラクタール10mg/Kgを腹腔内投与し麻酔し、1眼につき4spotsの光凝固を行った。光凝固は、コンタクトレンズとしてカバーグラスを用いたスリットランプデリバリーシステムにより、クリプトンレーザー照射(75-μm spot size, 0.1 seconds duration, 200 mW)にて行った。群構成は、生理食塩水点眼群(対照)、化合物1の0.4%溶液点眼群及び化合物1の0.8%溶液点眼群であり、点眼は1日3回行った。光凝固処置当日をday 0とし、day 0からday 7まで点眼し、day 7にフラットマウントを作成、血管をFITC-レクチンで染色し評価した。具体的には、まず、出血や組織破壊の見られるspotは除外例とし、各採用例spotのCNV volumeをNIS-Elements AR Version 4.13にて計算後、一眼あたりの平均値(μm3)を算出した。2.結果及び考察 結果を図9に示す。対照群(Control)のCNV volumeが109177±26399μm3であるのに対し、化合物1の0.4%及び0.8%溶液点眼群では、それぞれ56408±9007μm3、88387±33678μm3と、脈絡膜血管新生が抑制されたことが判明した。実施例3Kimbaマウスに対する効果 網膜血管新生を発症するVEGF遺伝子導入マウスとして知られているKimba(trVEGF029)マウスにおける化合物1の有効性を調べるため、以下の方法に従って検討した。1.試験方法 A.試験に使用した薬剤及び動物 実施例1と同様に調整した化合物1溶液:0.8%溶液(点眼量:20μl) 実験動物: Kimbaマウス(Lions Eye Institute Ltd.より購入、一群6匹) B.薬物投与方法及び評価方法 同一日に出生したKimbaマウスに対し、生後1か月から生理食塩水(対照)又は化合物1の0.8%溶液を一日3回点眼し、2週間の点眼後、麻酔下にて蛍光眼底造影検査と光干渉断層計で評価した。具体的には、まず蛍光眼底造影検査では、トロピカミド点眼にてマウスの瞳孔を散瞳した後、ケタラール100mg/Kg及びセラクタール10mg/Kgの腹腔内投与にて麻酔し、次いで腹腔内にフルオレセイン蛍光眼底造影剤6μl/gを注入後、Heidelberg Retina Angiograph (HRA, Heidelberg, Germany)にて蛍光眼底造影検査を行った。また、光干渉断層計の評価では、トロピカミド点眼にてマウスの瞳孔を散瞳後、ケタラール100mg/Kg及びセラクタール10mg/Kgの腹腔内投与にて麻酔し、5Line 6mm lengthでX軸とY軸方向をThe Cirrus HD-OCT(Carl Zeiss Meditec, Dublin, CA)で撮影し、平均化最大網膜厚を計測(統計解析はStudent’s t検定)した。2.結果及び考察 結果を図10及び図11に示す。図10の上段は蛍光眼底造影、下段は光干渉断層計による各群の代表的な撮影画像である。なお、参考例として正常マウスの画像(左側、この例の最大網膜厚は276μm)を併せて示す。生理食塩水点眼では浮腫が認められ、網膜が肥厚しているのに対し、化合物1の0.8%溶液点眼では浮腫が抑制され、網膜厚も正常マウス程度であることが判る。図11は網膜厚の数値をグラフ化したものであるが、生理食塩水点眼群(対照)の平均化最大網膜厚が361.8±36.1μmであるのに対し、化合物1の0.8%溶液点眼群では、256.7±35.7μmと、網膜の肥厚が有意に抑制されたことが判明した。実施例4タイトジャンクションに対する効果 細胞間バリアーに対する化合物1の有効性を調べるため、以下の方法に従って検討した。1.試験方法 常法に従い、マウス脳微小血管内皮細胞であるb-END3(bEND.3:ATCC CRL-2299(登録商標))を3.5cm Dishにて継代培養し(9×105cells/dish)、継代して6日目から試験を開始した。薬物処置条件は、無処置例(図中controlと表記する)、VEGF刺激例(25ng/ml、24時間:図中VEGF(25ng/ml 24hours) stimulationと表記する)、化合物1(3μM又は30μM)前処置(3時間)後VEGF刺激例(25ng/ml、24時間:図中VEGF + Compound 1(3μM 3hours) pretreatment又はVEGF + Compound 1(30μM 3hours) pretreatmentと表記する)、IL-6刺激例(10ng/ml、24時間:図中IL-6(10ng/ml 24hours) stimulationと表記する)及び化合物1(30μM)前処置(3時間)後IL-6刺激例(10ng/ml、24時間:図中IL-6 + Compound 1(30μM 3hours) pretreatmentと表記する)の計5例又は6例である。 試験後の細胞を、以下の手順により免疫染色し、クローディン−5(Claudin-5)又はFアクチン(F-Actin)の発現を評価した。すなわち、試験後の細胞を、常温で100%メタノールで5分処理し、さらに50%メタノールで5分処理して、PBSで洗浄(5分×2回)した。次いで、綿棒でカバーガラス大にトリミングし、Dakoペンで回りを囲み、10%正常ヤギ血清(10% normal goat serum ready-to-use(Invitrogen))にてブロッキング(30分、常温)して、4℃で、一夜放置した。ウサギ抗クローディン−5抗体(Rabbit anti-Claudin-5 (Invitrogen 34-1600))又はウサギ抗F−アクチン抗体(Rabbit anti-F-actin (Biossusa bs-1571R))の25倍希釈液を50〜70μLを滴下した後、PBSで洗浄(10分×3回)して1次処理した。これを、常温で、遮光して60分静置して、Alexa Fluo488(登録商標)で標識した抗ウサギIgG FITC(Alexa Fluo488 anti-Rabbit IgG FITC)の200倍希釈で2次抗体処理した後、PBSで洗浄(10分×3回)した。DAPIで核を染色して、次いでクリスタルマウントでカバーガラスして、顕微鏡(×400倍)で撮影した。クローディング−5についての結果を図12に示し、F-アクチンについての結果を図13に示す。2.結果及び考察 Claudin-5の免疫染色結果を図12に、F-Actinの免疫染色結果を図13に示す。図12から明らかなように、VEGF又はIL-6刺激により低下するClaudin-5の発現が、化合物1の前処置により改善していることがわかる。また、図13から明らかなように、VEGF又はIL-6刺激により生じるF-Actinの重合が、化合物1の前処置により抑制されていることがわかる。従って、化合物1は細胞間バリアーの破綻に対する抑止効果が期待できることが判明した。 本発明の(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、優れた血管新生抑制作用を有しており、眼底疾患、特に糖尿病網膜症又は加齢黄斑変性の予防又は治療のための医薬として有用である。 (S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする眼底疾患の予防又は治療剤。 眼底疾患が糖尿病網膜症である請求項1の予防又は治療剤。 眼底疾患が糖尿病黄斑浮腫である請求項1の予防又は治療剤。 眼底疾患が加齢黄斑変性である請求項1の予防又は治療剤。 点眼剤である請求項1〜4の予防又は治療剤。 (S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物並びに薬学的に許容される担体を含有してなる眼底疾患予防又は治療のための医薬組成物。 眼底疾患が糖尿病網膜症である請求項6の医薬組成物。 眼底疾患が糖尿病黄斑浮腫である請求項6の医薬組成物。 眼底疾患が加齢黄斑変性である請求項6の医薬組成物。 点眼剤である請求項6〜9の医薬組成物。 (S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、及び点眼薬に許容される担体を含有してなる点眼薬。 (S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の有効量を投与することを特徴とする眼底疾患の予防又は治療方法。 投与が、点眼による投与である、請求項12に記載の方法。 眼底疾患の予防又は治療剤を製造するための、(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の使用。 眼底疾患の予防又は治療剤が、点眼薬である、請求項14に記載の使用。 【課題】眼底疾患、特に糖尿病網膜症又は加齢黄斑変性の予防又は治療のための薬剤の提供。【解決手段】(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする眼底疾患の予防又は治療剤。【選択図】なし20140507A16333全文3 (S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする眼底疾患の予防又は治療剤。 眼底疾患が糖尿病網膜症である請求項1の予防又は治療剤。 眼底疾患が糖尿病黄斑浮腫である請求項1の予防又は治療剤。 眼底疾患が加齢黄斑変性である請求項1の予防又は治療剤。 点眼剤である請求項1〜4いずれか一項に記載の予防又は治療剤。 (S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物並びに薬学的に許容される担体を含有してなる眼底疾患予防又は治療のための医薬組成物。 眼底疾患が糖尿病網膜症である請求項6の医薬組成物。 眼底疾患が糖尿病黄斑浮腫である請求項6の医薬組成物。 眼底疾患が加齢黄斑変性である請求項6の医薬組成物。 点眼剤である請求項6〜9いずれか一項に記載の医薬組成物。 眼底疾患の予防又は治療剤を製造するための、(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の使用。 眼底疾患の予防又は治療剤が、点眼薬である、請求項11に記載の使用。


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特許公報(B1)_眼底疾患治療剤

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B1)_眼底疾患治療剤
出願番号:2014040041
年次:2014
IPC分類:A61K 31/496,A61P 27/02


特許情報キャッシュ

石橋 達朗 中尾 新太郎 有田 量一 水野 憲 土浦 暁史 JP 5557408 特許公報(B1) 20140613 2014040041 20140303 眼底疾患治療剤 国立大学法人九州大学 504145342 興和株式会社 000163006 佐伯 憲生 100102668 中村 正展 100182486 佐伯 裕子 100147289 牛山 直子 100158872 石橋 達朗 中尾 新太郎 有田 量一 水野 憲 土浦 暁史 JP 2013090851 20130424 20140723 A61K 31/496 20060101AFI20140703BHJP A61P 27/02 20060101ALI20140703BHJP JPA61K31/496A61P27/02 A61K31/00−33/44 A61P27/02 CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) PubMed Science Direct WPI CiNii 特開2006−290827(JP,A) 特開2007−182438(JP,A) 特開平11−349482(JP,A) 特表2001−509780(JP,A) 特開2013−129604(JP,A) 国際公開第2006/057397(WO,A1) 国際公開第2006/090783(WO,A1) 国際公開第2010/146881(WO,A1) 国際公開第2011/149012(WO,A1) Modern Physician,2012年,Vol.32, No.8,pp.983-989 日眼会誌,2013年11月10日,Vol.115, No.11,pp.985-997 12 20 20140311 横山 敏志 本発明は、眼底疾患、特に糖尿病網膜症又は加齢黄斑変性の予防又は治療のための薬剤に関する。 糖尿病網膜症(Diabetic Retinopathy:DR、糖尿病性網膜症ともいう)は、糖尿病腎症・神経症とともに糖尿病の3大合併症のひとつで、日本では緑内障に次いで成人の失明原因の第2位となっている。血糖の高い状態が続くと、網膜の細い血管は少しずつ損傷を受け、変形したり詰まったりするいわゆる高血糖による微小血管障害の結果、網膜の隅々まで酸素が行き渡らなくなり、網膜が酸欠状態に陥る。その結果として新しい血管(新生血管)を生やして酸素不足を補おうとするが、新生血管はもろいために容易に出血を起こし、網膜にかさぶたのような膜(増殖組織)が張ってきて、これが原因で網膜剥離を起こすことがある(増殖糖尿病網膜症)。 糖尿病網膜症は、進行の程度により単純糖尿病網膜症、前増殖糖尿病網膜症及び増殖糖尿病網膜症の大きく三段階に分類されるが、単純糖尿病網膜症の段階でも、主に血管透過性亢進に起因する黄斑浮腫や硬性白斑等を伴う黄斑症が発現し得るので(糖尿病黄斑浮腫、糖尿病黄斑症)、いずれにせよ眼底所見による診断が重要となる。 ここで、糖尿病黄斑浮腫は、糖尿病網膜症の病期に関わらず発症することが知られている。その病態は血管透過性亢進によって網膜血管から漏出した血漿成分の黄斑部への貯留であり、歪視や視力低下などの自覚症状が生じる。 糖尿病網膜症の治療は、単純糖尿病網膜症では血糖値のコントロールにより改善することもあるが、前増殖糖尿病網膜症では多くの場合網膜光凝固術を行う必要があるとされ、増殖糖尿病網膜症に至り網膜剥離や硝子体出血が起こった場合、目の中の出血や増殖組織を取り除いたり、剥離した網膜を元に戻したりする目的で硝子体手術が行われる。しかし、未だ必ずしも良好な視機能を維持するには至っていないのが現状である。 また、加齢黄斑変性(Age-related Macular Degeneration:AMD)は、加齢により網膜色素上皮の下に老廃物が蓄積し、それにより直接あるいは間接的に黄斑部が障害される病気であり、欧米では成人の失明原因の第1位となっている。加齢黄斑変性には大きく分けると萎縮型(dry type)と滲出型(wet type)の2つの種類があるが、萎縮型は網膜色素上皮が徐々に萎縮していき、網膜が障害され視力が徐々に低下していく病気であり、現在のところ有効な治療方法は知られていない。一方の滲出型は、異常な血管(脈絡膜新生血管)が脈絡膜から網膜色素上皮の下あるいは網膜と網膜色素上皮の間に侵入して網膜が障害される病気である。脈絡膜新生血管においては血液成分を漏出させて網膜下に液体を貯留させたり(網膜下液)、血管が破れて網膜に出血する(網膜出血)ことによって網膜を障害し、網膜が正しく働かなくなり視力が低下する。 滲出型の加齢黄斑変性に対してはいくつかの治療法が知られているが、いずれも治療の目的は脈絡膜新生血管の拡大を抑え退縮させ、視力を維持あるいは改善することである。滲出型の加齢黄斑変性に対する治療法としては、光線力学的療法(photodynamic therapy:PDT)、薬物治療、レーザー凝固、手術等が知られており、このうち薬物治療では、脈絡膜新生血管の発生に大きく関係していると考えられている血管内皮増殖因子(VEGF)阻害を作用機作とする薬剤(VEGF阻害薬)を硝子体に注射することで、脈絡膜新生血管を退縮させる治療法である。しかしながら、糖尿病網膜症の治療と同様に、未だ必ずしも良好な視機能を維持するには至っていない。また、薬物治療の場合、硝子体内に頻回投与を行う必要がある。 これら糖尿病網膜症あるいは加齢黄斑変性では、それぞれ網膜血管新生あるいは脈絡膜血管新生が病態に大きく関与しているため、血管新生抑制又は阻害を目的とした治療が試みられている。加齢黄斑変性に対しては上述のVEGF阻害薬の硝子体内注射が、既に日本において保険適用されており、また、糖尿病網膜症に対してもVEGF阻害薬の臨床試験が進んでいる。 また、VEGFとは異なる標的分子として、Rhoキナーゼ(Rho-associated protein kinase : ROCK)が最近注目されており(非特許文献1)、ROCK阻害剤として知られているファスジル(fasudil)やY-27632は、VEGF誘発性の血管新生に対する阻害作用を有することが知られている(非特許文献2、3)。モデル動物への効果としては、糖尿病モデルラットにおける網膜微小血管障害に対して、硝子体内へ投与したファスジルが、血管内皮への好中球の接着抑制や内皮細胞における一酸化窒素合成亢進を介して内皮細胞保護効果を示すことにより、糖尿病網膜症発症早期における新しい治療戦略となる可能性が示唆されている(非特許文献4、5)。Y-27632についても、高酸素誘発網膜症モデルマウスに対して、硝子体内投与により網膜血管新生抑制効果が示されている(非特許文献6)。この他、いくつかの特許文献に開示されている新規ROCK阻害剤の用途として、網膜症、糖尿病性網膜症、黄斑変性等が触れられているが、当該文献中ではこれら疾患に対する具体的な効果は示されていない(特許文献1〜3)。 以上概観したように、糖尿病網膜症や加齢黄斑変性に対する、網脈絡膜血管新生抑制を目的とした薬物治療の投与経路としては、主に硝子体内注射が適用されているものの、人眼に複数回の注射を行うことは感染の危険性とともに、患者に多大な肉体的精神的経済的苦痛を伴うため、点眼薬による治療の開発が望まれている。 また、4−フルオロ−5−環状アミノスルホニルイソキノリン誘導体に関しては、喘息治療剤、サブスタンスP拮抗剤、ロイコトリエンD4拮抗剤、Rhoキナーゼ阻害剤などの作用(特許文献3)や、脳血管障害治療剤(特許文献4)としての作用があることが知られているが、局所投与による選択的な作用については報告されていない。国際公開WO98/06433号パンフレット国際公開WO02/083175号パンフレット特開平11−349482号公報国際公開WO99/20620号パンフレットあたらしい眼科, 29(臨増), 60-67(2012)Mol. Cancer Ther., 6(5), 1517-1525(2007)FASEB J., 24, 3186-3195(2010)Diabetes, 58, 215-226(2009)日眼会誌, 115, 985-997(2011)Current Eye Research, 36(11), 1028-1036(2011) 本発明は、眼底疾患、特に糖尿病網膜症又は加齢黄斑変性の予防又は治療のための新たな薬剤を提供することに関する。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、全く意外にも(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン(以下、化合物1と表記することがある。)若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を点眼投与することにより、眼底において強力な血管新生抑制作用が発揮され、該化合物が眼底疾患、特に糖尿病網膜症又は加齢黄斑変性の予防又は治療に有用であることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明は以下の発明に係るものである。 1)(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする眼底疾患の予防又は治療剤。 2)眼底疾患が糖尿病網膜症である上記1)の予防又は治療剤。 3)眼底疾患が糖尿病黄斑浮腫である上記1)の予防又は治療剤。 4)眼底疾患が加齢黄斑変性である上記1)の予防又は治療剤。 5)点眼剤である上記1)〜4)の予防又は治療剤。 6)(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物並びに薬学的に許容される担体を含有してなる眼底疾患予防又は治療のための医薬組成物。 7)眼底疾患が糖尿病網膜症である上記6)の医薬組成物。 8)眼底疾患が糖尿病黄斑浮腫である上記6)の医薬組成物。 9)眼底疾患が加齢黄斑変性である上記6)の医薬組成物。 10)点眼剤である上記6)〜9)の医薬組成物。 11)(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の有効量を投与することを特徴とする眼底疾患の予防又は治療方法。 12)投与が、点眼による投与である、上記の11)に記載の方法。 13)眼底疾患が糖尿病網膜症である、上記の11)又は12)に記載の予防又は治療方法。 14)眼底疾患が糖尿病黄斑浮腫である、上記の11)又は12)に記載の予防又は治療方法。 15)眼底疾患が加齢黄斑変性である、上記の11)又は12)に記載の予防又は治療方法。 16)(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、及び点眼薬に許容される担体を含有してなる点眼薬。 17)眼底疾患の予防又は治療剤を製造するための、(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の使用。 18)眼底疾患の予防又は治療剤に使用するための、(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物。 19)眼底疾患の予防又は治療剤が、点眼薬である、上記の17)又は18)に記載の使用、又は化合物。 20)眼底疾患が糖尿病網膜症である、上記の17)又は18)に記載の使用、又は化合物。 21)眼底疾患が糖尿病黄斑浮腫である、上記の17)又は18)に記載の使用、又は化合物。 22)眼底疾患が加齢黄斑変性である、上記17)又は18)に記載の使用、又は化合物。 本発明によれば、眼底疾患、特に糖尿病網膜症又は加齢黄斑変性の予防又は治療のための薬剤を提供することができる。 本発明の医薬組成物は、特に点眼薬は、少量の点眼投与においても有効性を有しており、有効性だけでなく、患者に多大な肉体的かつ精神的な苦痛を与えることなく投与することが可能であり、非侵襲的投与が可能であり、老人や子供に対しても簡便に投与することができる眼底疾患の治療剤及び/又は予防剤として極めて有用である。フラットマウントによる生理食塩水点眼群(対照)、化合物1の0.4%溶液点眼群及び化合物1の0.8%溶液点眼群の代表的な撮影画像である。フラットマウントによる各点眼群の網膜虚血領域(無灌流領域)を定量化した結果である。縦軸は生理食塩水点眼群を100%とした無灌流領域の割合を示す。数値は平均値±標準偏差で表し、**はp値が0.01未満であることを示す。フラットマウントによる各点眼群の新生血管領域を定量化した結果である。縦軸は生理食塩水点眼群を100%とした新生血管領域の割合を示す。数値は平均値±標準偏差で表し、**はp値が0.01未満であることを示し、N.C.は有意差の無いことを示す。フラットマウントによる生理食塩水点眼群(対照)及びファスジルの0.4%溶液点眼群の代表的な撮影画像である。フラットマウントによる生理食塩水点眼群(対照)及びファスジルの0.4%溶液点眼群の網膜虚血領域(無灌流領域)を定量化した結果である。縦軸は生理食塩水点眼群を100%とした無灌流領域の割合を示す。数値は平均値±標準偏差で表し、N.C.は有意差の無いことを示す。フラットマウントによる生理食塩水点眼群(対照)及びファスジルの0.4%溶液点眼群の新生血管領域を定量化した結果である。縦軸は生理食塩水点眼群を100%とした新生血管領域の割合を示す。数値は平均値±標準偏差で表し、N.C.は有意差の無いことを示す。蛍光眼底造影による生理食塩水点眼群(対照)、化合物1の0.8%溶液点眼群の代表的な撮影画像である。蛍光眼底造影による各点眼群の新生血管領域を定量化した結果である。縦軸は生理食塩水点眼群を100%とした新生血管領域の割合を示す。数値は平均値±標準誤差で表し、*はp値が0.05未満であることを示す。蛍光眼底造影による各点眼群の脈絡膜血管新生を定量化した結果である。縦軸は脈絡膜血管新生体積(μm3)を示す。数値は平均値±標準誤差を示す。蛍光眼底造影並びに光干渉断層計による正常マウス(参考)、生理食塩水点眼群(対照)、化合物1の0.8%溶液点眼群の代表的な撮影画像である。光干渉断層計により測定した各点眼群の最大網膜厚(平均値±標準誤差、単位はμm)である。*はp値が0.05未満であることを示す。VEGF刺激又はIL-6刺激によるClaudin-5発現に対する化合物1の効果を示す免疫染色画像である。VEGF刺激又はIL-6刺激によるF-Actin重合に対する化合物1の効果を示す免疫染色画像である。 本発明に用いる(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジンは、脳血管治療剤や、サブスタンスP拮抗作用、ロイコトリエンD4拮抗作用及びRhoキナーゼ阻害作用を有する化合物であり、公知の方法、例えば、国際特許公開第99/20620号パンフレット(特許文献4)に記載の方法により製造することができる。 (S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジンの塩としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、臭化水素酸等の無機酸の塩、又は酢酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、カンファースルホン酸等の有機酸との塩が挙げられ、特に塩酸塩が好ましい。 (S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩は、未溶媒和型のみならず水和物又は溶媒和物としても存在することができる。水和物が好ましいが、本発明においては、全ての結晶型及び水和若しくは溶媒和物を含むものである。 (S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を用いた場合、後記実施例に示すように、強力な血管新生抑制作用を示すため、眼底疾患、特に糖尿病網膜症又は加齢黄斑変性の予防又は治療剤として有用である。ここで、眼底疾患とは、主として網膜及び/又は脈絡膜に発現する病変のことをいう。 眼底疾患としては、例えば、高血圧と動脈硬化による眼底変化、網膜中心動脈閉塞症、網膜中心静脈閉塞症(central retinal vein occlusion)や網膜静脈分枝閉塞症(branch retinal vein occlusion)等の網膜静脈閉塞症、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、糖尿病黄斑症、イールズ病(Eales disease)、コーツ病(Coats disease)等の網膜血管先天異常、ヒッペル病(von Hippel disease)、脈なし病(pulseless disease)、黄斑疾患(中心性網脈絡膜症(central serous chorioretinopathy)、嚢胞様黄斑浮腫(cystoid macular edema)、加齢黄斑変性(age-related macular degeneration)、黄斑円孔(macular hole)、近視性黄斑萎縮(myopic macular degeneration)、網膜硝子体界面黄斑変性症、薬物毒性黄斑変性症、遺伝性黄斑変性等)、(裂孔原性、牽引性、滲出性等の)網膜剥離、網膜色素変性症、未熟児網膜症、等が挙げられる。 (S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を製剤化する場合は、公知の方法に準じて製剤を調製することができる。例えば、(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の製剤は、例えば、国際公開特許公報(WO00/09162号、WO97/23222号など)に記載の製剤例を参考にして調製することができる。 (S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の製剤を調製する場合も、公知の方法に準じて調製することができる。例えば点眼剤は、等張化剤、緩衝剤、界面活性剤、防腐剤などを必要に応じて使用して、調製することができる。pHは眼科製剤に許容される範囲内にあればよく、pH4〜8の範囲が好ましい。 本発明の製剤は、眼科用製剤、特に点眼用として用いるのが好ましく、斯かる点眼剤は、水性点眼剤、非水性点眼剤、懸濁性点眼剤、乳濁性点眼剤、眼軟膏等のいずれでもよい。このような製剤は、投与形態に適した組成物として、必要に応じて薬学的に許容される担体、特に点眼薬に許容される担体、例えば等張化剤、キレート剤、安定化剤、pH調節剤、防腐剤、抗酸化剤、溶解補助剤、粘稠化剤等を配合し、当業者に公知の(製剤)方法により製造できる。 本発明の有効成分は、少量の点眼投与においても有効性を有しており、点眼薬とすることができる。本発明の点眼薬は、本発明の有効成分である(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、及び点眼薬に許容される担体を含有するものである。 点眼剤を調製する場合、例えば、所望な上記成分を滅菌精製水、生理食塩水等の水性溶剤、又は綿実油、大豆油、ゴマ油、落花生油等の植物油等の非水性溶剤に溶解又は懸濁させ、所定の浸透圧に調整し、濾過滅菌等の滅菌処理を施すことにより行うことができる。なお、眼軟膏剤を調製する場合は、前記各種の成分の他に、軟膏基剤を含むことができる。前記軟膏基剤としては、特に限定されないが、ワセリン、流動パラフィン、ポリエチレン等の油性基剤; 油相と水相とを界面活性剤等により乳化させた乳剤性基剤; ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール等からなる水溶性基剤等が好ましく挙げられる。 (S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を眼底疾患、特に糖尿病網膜症又は加齢黄斑変性の予防又は治療のために用いる場合、その投与量は、患者の体重、年齢、性別、症状、投与形態及び投与回数等によって異なるが、通常は成人に対して、(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物として、1日0.025〜10000μg、好ましくは0.025〜2000μg、より好ましくは0.1〜2000μg、さらに0.025〜200μg、0.025〜100μgの範囲が挙げられる。 また、投与回数は、特に限定されないが、1回又は数回に分けて投与するのが好ましく、液体点眼剤の場合は、1回に1〜数滴点眼すればよい。 以下、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1高酸素誘発網膜症モデルマウス(Mice OIR(oxygen-induced retinopathy) Model)に対する効果 糖尿病網膜症などの虚血性網膜症モデルとして汎用されているMice OIR Modelにおける(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン(化合物1)の有効性を調べるため、以下の方法に従って検討した。1.被験化合物溶液の調製 A.化合物1溶液の調製 所定量の(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン一塩酸塩・二水和物、グリセリンを精製水に溶解した後、リン酸二水素ナトリウム、水酸化ナトリウムを加えて溶液をpH6.0とし、所望の濃度の化合物1溶液を調製した。 B.ファスジル溶液の調製 上記A.化合物1溶液の調製において、(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン一塩酸塩・二水和物の代わりに所定量のファスジル2塩酸塩(LC Laboratories)を用いて、所望の濃度のファスジル溶液を調製した。2.試験方法 A.試験に使用した薬剤及び動物 化合物1溶液:0.4%溶液、0.8%溶液(点眼量:20μl) ファスジル溶液:0.4%溶液(点眼量:20μl) 実験動物: C57BL/6JJclマウス(性別:雄性、一群8〜14匹) B.OIRモデルの作成、薬物投与方法及び評価方法 同一日に出生したC57BL/6JJclマウスを、生後7日目から75%酸素環境で飼育し、生後12日目で通常の室内環境に移し、点眼を開始した。群構成は、生理食塩水点眼群(対照)、化合物1の0.4%溶液点眼群、化合物1の0.8%溶液点眼群、ファスジルの0.4%溶液点眼群であり、点眼は1日3回行った。生後17日目にフラットマウント又は蛍光眼底造影検査により網膜虚血領域(無灌流領域)及び新生血管領域を定量化して評価した。すなわち、ペントバルビタール(ネンブタール)1g/kgを腹腔内に投与し、過麻酔により安楽死後、両眼球を摘出し、4%パラホルムアルデヒド(Paraformaldehyde:PFA)に37℃で1時間固定した後、角膜輪部を円周状に切開し、眼球より角膜、虹彩を除去した。続いて4%PFAに37℃で1時間固定した後、水晶体、及び強膜・脈絡膜を除去し、網膜をeye cupで単離した。さらに網膜を4%PFAに37℃で3時間固定した後、PBSにて3回洗浄(各15分、37℃)、脱水(メタノール50%→100%各10分、37℃)、PBSにて3回洗浄(各15分、37℃)し、Blocking Buffer(1%BSA、0.5%Triton-X in PBS)にて60分(37℃)ブロッキングを行った。次いで一次抗体処置(0.7% FITC-conjugates Anti-lectin Ab in PBS、4℃、over night)し、PBSにて3回洗浄(各15分、37℃)後、eye cupに4−6カ所放射状切開を加え、フラットマウント状網膜にクリスタルマウントでカバーした。その後蛍光顕微鏡(BZ-9000, KEYENCE Corp, Osaka, Japan)で撮影し、NIH image J softwareにて網膜全体に対する無灌流領域及び新生血管領域を次式により算出した。得られた数値は生理食塩水点眼群(対照)を100%として換算し、統計解析はWilcoxon検定にて行った。 無灌流領域=無血管領域面積/網膜全体面積 新生血管領域=新生血管領域面積/網膜全体面積 また、蛍光眼底造影検査では、動物をまずトロピカミド点眼して瞳孔を散瞳させ、次いでケタラール100mg/kgとセラクタール10mg/kgの腹腔内投与により麻酔し、腹腔内にフルオレセイン蛍光眼底造影剤12μl/gを注入後、optos200TX(OPTOS PLC)で蛍光眼底造影写真を撮影し、NIH image J softwareにて新生血管領域を前述の式により算出した。得られた数値は生理食塩水点眼群(対照)を100%として換算し、統計解析はWilcoxon検定にて行った。3.結果及び考察 フラットマウントによる化合物1点眼の結果を図1〜図3に、ファスジル点眼の結果を図4〜図6に示す。図1はそれぞれ生理食塩水点眼群(対照)、化合物1の0.4%溶液点眼群及び化合物1の0.8%溶液点眼群の代表的な撮影画像であるが、生理食塩水点眼群では網膜虚血領域(無灌流領域)及び新生血管領域が顕著に認められるのに対し、化合物1の0.4%及び0.8%溶液点眼群では、それぞれ抑制されていることが判る。図2及び図3は、網膜虚血領域(無灌流領域)及び新生血管領域を定量化した結果である。図2から、生理食塩水点眼群(N=14)の100%に対し、化合物1の0.4%溶液点眼群(N=12)及び化合物1の0.8%溶液点眼群(N=11)では77.0%及び58.1%と、無灌流領域が用量依存的且つ有意に抑制されたことが判明した。さらに図3から、生理食塩水点眼群の100%に対し、化合物1の0.4%溶液点眼群及び化合物1の0.8%溶液点眼群では58.2%及び52.7%と、新生血管領域が有意に抑制されたことが判明した。 一方、図4はそれぞれ生理食塩水点眼群(対照)及びファスジルの0.4%溶液点眼群の代表的な撮影画像であるが、双方共に網膜虚血領域(無灌流領域)及び新生血管領域が顕著に認められていることが判る。図5及び図6は、網膜虚血領域(無灌流領域)及び新生血管領域を定量化した結果である。図5から、生理食塩水点眼群(N=14)の100%に対し、ファスジルの0.4%溶液点眼群(N=13)では107.7%と、無灌流領域に変化が無かったことが判明した。また図6から、生理食塩水点眼群の100%に対し、ファスジルの0.4%溶液点眼群では102.2%と、新生血管領域においても変化の無いことが判明した。非特許文献5では、ファスジルを硝子体に注入したときの効果が開示されているが、点眼による効果は確認できなかった。 蛍光眼底造影の結果を図7及び図8に示す。図7はそれぞれ生理食塩水点眼群(対照)及び化合物1の0.8%溶液点眼群の代表的な撮影画像であるが、生理食塩水点眼群では新生血管領域が顕著に認められるのに対し、化合物1の0.8%溶液点眼群では抑制されていることが判る。図8は、新生血管領域を定量化した結果である。図8から、生理食塩水点眼群(N=8)の100%に対し、化合物1の0.8%溶液点眼群(N=8)では41.6%と、顕著且つ有意に抑制されたことが判明した。 以上、図1〜図3、図7及び図8の結果から、OIRモデルにおける虚血領域、新生血管領域の発現が化合物1の点眼により顕著に抑制されることが示された。また、図4〜図6の結果から、化合物1に見られた効果がファスジルでは認められないことが示された。実施例2脈絡膜血管新生モデルマウス(Mice CNV(choroidal neovascularization) Model)に対する効果 加齢黄斑変性等のモデルとして知られているMice CNV Modelにおける化合物1の有効性を調べるため、以下の方法に従って検討した。1.試験方法 A.試験に使用した薬剤及び動物 実施例1と同様に調整した化合物1溶液:0.4%溶液、0.8%溶液(点眼量:20μl) 実験動物: C57BL/6JJclマウス(6−10週齢、雄性、一群11〜12匹) B.CNVモデルの作成、薬物投与方法及び評価方法 CNVモデルの作成・評価は、文献(J. Leukoc. Biol. 2003;74:25-32、又はAm. J. Pathol. 1998;153:1641-1646、等)を参考に行った。すなわち、トロピカミド点眼にてマウスの瞳孔を散瞳した後、ケタラール100mg/Kgとセラクタール10mg/Kgを腹腔内投与し麻酔し、1眼につき4spotsの光凝固を行った。光凝固は、コンタクトレンズとしてカバーグラスを用いたスリットランプデリバリーシステムにより、クリプトンレーザー照射(75-μm spot size, 0.1 seconds duration, 200 mW)にて行った。群構成は、生理食塩水点眼群(対照)、化合物1の0.4%溶液点眼群及び化合物1の0.8%溶液点眼群であり、点眼は1日3回行った。光凝固処置当日をday 0とし、day 0からday 7まで点眼し、day 7にフラットマウントを作成、血管をFITC-レクチンで染色し評価した。具体的には、まず、出血や組織破壊の見られるspotは除外例とし、各採用例spotのCNV volumeをNIS-Elements AR Version 4.13にて計算後、一眼あたりの平均値(μm3)を算出した。2.結果及び考察 結果を図9に示す。対照群(Control)のCNV volumeが109177±26399μm3であるのに対し、化合物1の0.4%及び0.8%溶液点眼群では、それぞれ56408±9007μm3、88387±33678μm3と、脈絡膜血管新生が抑制されたことが判明した。実施例3Kimbaマウスに対する効果 網膜血管新生を発症するVEGF遺伝子導入マウスとして知られているKimba(trVEGF029)マウスにおける化合物1の有効性を調べるため、以下の方法に従って検討した。1.試験方法 A.試験に使用した薬剤及び動物 実施例1と同様に調整した化合物1溶液:0.8%溶液(点眼量:20μl) 実験動物: Kimbaマウス(Lions Eye Institute Ltd.より購入、一群6匹) B.薬物投与方法及び評価方法 同一日に出生したKimbaマウスに対し、生後1か月から生理食塩水(対照)又は化合物1の0.8%溶液を一日3回点眼し、2週間の点眼後、麻酔下にて蛍光眼底造影検査と光干渉断層計で評価した。具体的には、まず蛍光眼底造影検査では、トロピカミド点眼にてマウスの瞳孔を散瞳した後、ケタラール100mg/Kg及びセラクタール10mg/Kgの腹腔内投与にて麻酔し、次いで腹腔内にフルオレセイン蛍光眼底造影剤6μl/gを注入後、Heidelberg Retina Angiograph (HRA, Heidelberg, Germany)にて蛍光眼底造影検査を行った。また、光干渉断層計の評価では、トロピカミド点眼にてマウスの瞳孔を散瞳後、ケタラール100mg/Kg及びセラクタール10mg/Kgの腹腔内投与にて麻酔し、5Line 6mm lengthでX軸とY軸方向をThe Cirrus HD-OCT(Carl Zeiss Meditec, Dublin, CA)で撮影し、平均化最大網膜厚を計測(統計解析はStudent’s t検定)した。2.結果及び考察 結果を図10及び図11に示す。図10の上段は蛍光眼底造影、下段は光干渉断層計による各群の代表的な撮影画像である。なお、参考例として正常マウスの画像(左側、この例の最大網膜厚は276μm)を併せて示す。生理食塩水点眼では浮腫が認められ、網膜が肥厚しているのに対し、化合物1の0.8%溶液点眼では浮腫が抑制され、網膜厚も正常マウス程度であることが判る。図11は網膜厚の数値をグラフ化したものであるが、生理食塩水点眼群(対照)の平均化最大網膜厚が361.8±36.1μmであるのに対し、化合物1の0.8%溶液点眼群では、256.7±35.7μmと、網膜の肥厚が有意に抑制されたことが判明した。実施例4タイトジャンクションに対する効果 細胞間バリアーに対する化合物1の有効性を調べるため、以下の方法に従って検討した。1.試験方法 常法に従い、マウス脳微小血管内皮細胞であるb-END3(bEND.3:ATCC CRL-2299(登録商標))を3.5cm Dishにて継代培養し(9×105cells/dish)、継代して6日目から試験を開始した。薬物処置条件は、無処置例(図中controlと表記する)、VEGF刺激例(25ng/ml、24時間:図中VEGF(25ng/ml 24hours) stimulationと表記する)、化合物1(3μM又は30μM)前処置(3時間)後VEGF刺激例(25ng/ml、24時間:図中VEGF + Compound 1(3μM 3hours) pretreatment又はVEGF + Compound 1(30μM 3hours) pretreatmentと表記する)、IL-6刺激例(10ng/ml、24時間:図中IL-6(10ng/ml 24hours) stimulationと表記する)及び化合物1(30μM)前処置(3時間)後IL-6刺激例(10ng/ml、24時間:図中IL-6 + Compound 1(30μM 3hours) pretreatmentと表記する)の計5例又は6例である。 試験後の細胞を、以下の手順により免疫染色し、クローディン−5(Claudin-5)又はFアクチン(F-Actin)の発現を評価した。すなわち、試験後の細胞を、常温で100%メタノールで5分処理し、さらに50%メタノールで5分処理して、PBSで洗浄(5分×2回)した。次いで、綿棒でカバーガラス大にトリミングし、Dakoペンで回りを囲み、10%正常ヤギ血清(10% normal goat serum ready-to-use(Invitrogen))にてブロッキング(30分、常温)して、4℃で、一夜放置した。ウサギ抗クローディン−5抗体(Rabbit anti-Claudin-5 (Invitrogen 34-1600))又はウサギ抗F−アクチン抗体(Rabbit anti-F-actin (Biossusa bs-1571R))の25倍希釈液を50〜70μLを滴下した後、PBSで洗浄(10分×3回)して1次処理した。これを、常温で、遮光して60分静置して、Alexa Fluo488(登録商標)で標識した抗ウサギIgG FITC(Alexa Fluo488 anti-Rabbit IgG FITC)の200倍希釈で2次抗体処理した後、PBSで洗浄(10分×3回)した。DAPIで核を染色して、次いでクリスタルマウントでカバーガラスして、顕微鏡(×400倍)で撮影した。クローディング−5についての結果を図12に示し、F-アクチンについての結果を図13に示す。2.結果及び考察 Claudin-5の免疫染色結果を図12に、F-Actinの免疫染色結果を図13に示す。図12から明らかなように、VEGF又はIL-6刺激により低下するClaudin-5の発現が、化合物1の前処置により改善していることがわかる。また、図13から明らかなように、VEGF又はIL-6刺激により生じるF-Actinの重合が、化合物1の前処置により抑制されていることがわかる。従って、化合物1は細胞間バリアーの破綻に対する抑止効果が期待できることが判明した。 本発明の(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、優れた血管新生抑制作用を有しており、眼底疾患、特に糖尿病網膜症又は加齢黄斑変性の予防又は治療のための医薬として有用である。 (S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする眼底疾患の予防又は治療剤。 眼底疾患が糖尿病網膜症である請求項1の予防又は治療剤。 眼底疾患が糖尿病黄斑浮腫である請求項1の予防又は治療剤。 眼底疾患が加齢黄斑変性である請求項1の予防又は治療剤。 点眼剤である請求項1〜4いずれか一項に記載の予防又は治療剤。 (S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物並びに薬学的に許容される担体を含有してなる眼底疾患予防又は治療のための医薬組成物。 眼底疾患が糖尿病網膜症である請求項6の医薬組成物。 眼底疾患が糖尿病黄斑浮腫である請求項6の医薬組成物。 眼底疾患が加齢黄斑変性である請求項6の医薬組成物。 点眼剤である請求項6〜9いずれか一項に記載の医薬組成物。 眼底疾患の予防又は治療剤を製造するための、(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の使用。 眼底疾患の予防又は治療剤が、点眼薬である、請求項11に記載の使用。【課題】眼底疾患、特に糖尿病網膜症又は加齢黄斑変性の予防又は治療のための薬剤の提供。【解決手段】(S)−(−)−1−(4−フルオロ−5−イソキノリンスルホニル)−2−メチル−1,4−ホモピペラジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする眼底疾患の予防又は治療剤。【選択図】なし


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