生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_TFEBリン酸化阻害剤およびその使用
出願番号:2013557085
年次:2014
IPC分類:A61K 45/00,A61P 43/00,A61P 25/00,A61P 21/00,A61P 1/16,A61P 3/00,A61P 19/00,A61P 3/06,A61P 25/28,A61P 25/16,A61P 25/14,C12N 15/09


特許情報キャッシュ

カルミネ・セッテンブレ アンドレア・バッラービオ ディエゴ・ルイス・メディナ・サナブリア JP 2014511391 公表特許公報(A) 20140515 2013557085 20120307 TFEBリン酸化阻害剤およびその使用 フォンダッツィオーネ・テレソン 511197958 村山 靖彦 100108453 志賀 正武 100064908 渡邊 隆 100089037 実広 信哉 100110364 カルミネ・セッテンブレ アンドレア・バッラービオ ディエゴ・ルイス・メディナ・サナブリア US 61/449,751 20110307 US 61/579,793 20111223 US 61/596,485 20120208 A61K 45/00 20060101AFI20140418BHJP A61P 43/00 20060101ALI20140418BHJP A61P 25/00 20060101ALI20140418BHJP A61P 21/00 20060101ALI20140418BHJP A61P 1/16 20060101ALI20140418BHJP A61P 3/00 20060101ALI20140418BHJP A61P 19/00 20060101ALI20140418BHJP A61P 3/06 20060101ALI20140418BHJP A61P 25/28 20060101ALI20140418BHJP A61P 25/16 20060101ALI20140418BHJP A61P 25/14 20060101ALI20140418BHJP C12N 15/09 20060101ALN20140418BHJP JPA61K45/00A61P43/00 111A61P43/00 105A61P25/00A61P21/00A61P1/16A61P3/00A61P19/00A61P3/06A61P25/28A61P25/16A61P25/14A61P25/00 101C12N15/00 A AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN EP2012053928 20120307 WO2012120048 20120913 82 20130918 4B024 4C084 4B024AA01 4B024CA04 4B024CA11 4B024DA02 4B024EA04 4B024GA11 4C084AA17 4C084NA14 4C084ZA012 4C084ZA022 4C084ZA162 4C084ZA752 4C084ZA942 4C084ZA962 4C084ZB212 4C084ZC202 4C084ZC212 4C084ZC332 4C084ZC412 本発明は、TFEBリン酸化阻害剤に関する。そのような分子は、リソソーム蓄積症、神経変性疾患、肝疾患、筋疾患、および代謝疾患などの細胞自己貪食/リソソーム系の誘導を必要とする全ての障害に治療的適用性を有する。 自己貪食は、2つの別個の型の細胞小器官であるオートファゴソームとリソソームの協同作用に依存する異化作用過程である(1)。飢餓中、細胞は、両方のコンパートメントを拡張して、分解過程と再利用過程を増強する。 リソソームは、細胞恒常性を維持し、細胞クリアランス、脂質恒常性、エネルギー代謝、形質膜修復、骨リモデリング、および病原体防御を含む様々な生理的過程を媒介する。全てのこれらの過程は、環境要因へのリソソームの適応的かつ動的応答を必要とする。実際、加齢および食事などの生理的要因、ならびにリソソーム蓄積症(LSD)、神経変性疾患、傷害、および感染を含む病的状態は、リソソームの適応応答を生じ得る(34、35、36)。 リソソーム機能および根底にあるリソソーム適応を制御する機構の理解は、まだ初期段階である。リソソーム生合成の制御における主要なプレーヤーは、塩基性ヘリックス・ループ・ヘリックス(bHLH)ロイシンジッパー転写因子、TFEBである(2)。同定されたTFEB転写標的の中には、基質分解に関与するリソソームヒドロラーゼ、リソソームと他の細胞構造との相互作用を媒介するリソソーム膜タンパク質、およびリソソーム酸性化に関わる液胞型プロトンATPアーゼ(vATPアーゼ)複合体の構成要素である(37、2)。 WO2010/092112は、いわゆるCLEARエレメントへ作用する細胞分解経路を増強することができる分子に言及し、それらの中に、TFEBが挙げられている。 WO2010/044885は、mTORモジュレーターに言及している。WO2010/092112WO2010/044885Fraldiら、Hum Mol Gen 2007MC Mendozaら、The Ras-ERK and PI3K-mTOR pathways: cross-talk and compensation. (2011) Trends in Biochemical Sciences 36(6):320頁GL Johnson (2011) Defining MAPK Interactomes. ACS Chemical Biology 6(1):18頁G VaderおよびSMA Lens (2008) The Aurora kinase family in cell division and cancer. Biochimica et Biophysica Acta 1786:60頁MA LemmonおよびJ Schlessinger (2010) Cell Signaling by Receptor Tyrosine Kinases. Cell 141:1117頁F Eckerdt (2005) Polo-like kinases and oncogenesis. Oncogene 24:267頁SN Constantinescu (2007) Mining for JAK-STAT mutations in cancer. Trends in Biochemical Sciences 33(3): 122頁Ali Sら、Cancer Res. 2009年8月1日;69(15):6208〜15頁J HuelskenおよびJ Behrens (2002) The Wnt signalling pathway. J Cell Sci 115:3977頁SM ThomasおよびJS Brugge (1997) Cellular functions regulated by Src family kinases Annu. Rev. Cell Dev. Biol 13:513頁H MELLORIおよびPJ PARKER (1998) The extended protein kinase C superfamily. Biochem. J. 332:281頁 本出願人らは、飢餓中、細胞が、オートファゴソーム形成、オートファゴソーム-リソソーム融合、および基質分解を含む自己貪食経路の主要な段階を調節する転写プログラムを活性化することを示した。以前同定されたリソソーム生合成についてのマスター遺伝子である転写因子EB(TFEB)(2)は、自己貪食遺伝子とリソソーム遺伝子の両方の発現を作動させることにより、このプログラムを調和させる。TFEBは、飢餓に対する転写応答における主要なプレーヤーであり、インビトロとインビボの両方で、オートファゴソーム形成およびオートファゴソーム-リソソーム融合を正に制御することによって自己貪食を調節する。 本出願人らは、TFEBの核局在および活性が、特異的なセリンリン酸化によって制御されることを見出した。飢餓と同様に、特異的なリン酸化の薬理学的阻害または遺伝子突然変異に基づいた阻害は、TFEBを活性化することによって自己貪食を誘導する。これらのデータは、2つの協同する細胞小器官の生合成および協力を調節することによる、リソソーム-自己貪食経路の制御に関与する新規なキナーゼ依存性機構を明らかにしている。 本出願人らは、TFEBリン酸化の薬理学的阻害を、細胞のリソソーム系および自己貪食系を活性化するためにインビボで用い得ることを見出し、そして、それは種々の病的状態を処置するためのツールを意味している。 TFEB活性およびそれの核移行は、それのリン酸化状態と相関する。特に、栄養分が存在する場合、TFEBのmTORC1によるリン酸化は、TFEB活性を阻害する。逆に、mTORC1の薬理学的阻害、加えて、飢餓およびリソソーム破壊は、TFEBの核移行を促進することによってTFEBを活性化する。さらに、リソソーム機能障害またはmTORC1の薬理学的阻害のいずれかに対するリソソーム遺伝子および自己貪食遺伝子の転写応答が、TFEB-/-細胞において抑制される。 これは、mTORがTFEBをリン酸化できることを見出したが、TFEBのmTOR媒介性リン酸化が、核移行を促進し、結果として、mTORを阻害することが、TFEB活性の阻害を生じることを示す反対の結論に達したPena-Lopisら(38)を考えれば、さらにいっそう驚きである。 最後に、本出願人らは、TFEB制御ネットワークの薬理学的活性化が、リソソーム蓄積症および一般的な神経変性疾患などの毒性分子の蓄積による障害において細胞クリアランスを促進するために利用し得ることを示した。 したがって、医療用のTFEBリン酸化阻害剤が本発明の目的である。好ましくは、本発明によるTFEBリン酸化阻害剤は、TFEBリン酸化の経路のキナーゼに作用し、より好ましくは、キナーゼは、mTORおよび/またはPI3Kである。そのような阻害剤の例は、Table 4パラグラフ1(表1)のPI3K-mTOR経路に列挙された化合物群に属するものである。 代替の実施形態において、阻害剤は、TFEB分子を直接リン酸化するキナーゼ、好ましくは、セリン特異的細胞外制御キナーゼ(ERK)、より好ましくはERK2キナーゼを阻害するように作用する。そのような阻害剤の例は、Table 4パラグラフ2(表2)のRas-ERK経路に列挙された化合物群に属するものである。 代替の実施形態において、阻害剤は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼを阻害するように作用する。そのような阻害剤の例は、Table 4パラグラフ3(表3)のマイトジェン活性化プロテインキナーゼに列挙された化合物群に属するものである。 代替の実施形態において、阻害剤は、オーロラキナーゼを阻害するように作用する。そのような阻害剤の例は、Table 4パラグラフ4(表4)のオーロラキナーゼに列挙された化合物群に属するものである。 代替の実施形態において、阻害剤は、受容体型チロシンキナーゼを阻害するように作用する。そのような阻害剤の例は、Table 4パラグラフ5(表5)の受容体型チロシンキナーゼに列挙された化合物群に属するものである。 代替の実施形態において、阻害剤は、ポロ様キナーゼを阻害するように作用する。そのような阻害剤の例は、Table 4パラグラフ6(表6)のポロ様キナーゼに列挙された化合物群に属するものである。 代替の実施形態において、阻害剤は、JAK-STAT経路に属するキナーゼを阻害するように作用する。そのような阻害剤の例は、Table 4パラグラフ7(表7)のJAK-STAT経路に列挙された化合物群に属するものである。 代替の実施形態において、阻害剤は、サイクリン依存性キナーゼを阻害するように作用する。そのような阻害剤の例は、Table 4パラグラフ8(表8)のサイクリン依存性キナーゼに列挙された化合物群に属するものである。 代替の実施形態において、阻害剤は、Wntシグナル伝達経路に属するキナーゼを阻害するように作用する。そのような阻害剤の例は、Table 4パラグラフ9(表9)のWntシグナル伝達経路に列挙された化合物群に属するものである。 代替の実施形態において、阻害剤は、Srcファミリーキナーゼを阻害するように作用する。そのような阻害剤の例は、Table 4パラグラフ10(表10)のSrcファミリーキナーゼに列挙された化合物群に属するものである。 代替の実施形態において、阻害剤は、プロテインキナーゼCファミリーに属するキナーゼを阻害するように作用する。そのような阻害剤の例は、Table 4パラグラフ11(表11)のプロテインキナーゼCファミリーに列挙された化合物群に属するものである。 上記で開示されているようなTFEBリン酸化阻害剤は、有利には、細胞自己貪食/リソソーム系の誘導を必要とする障害の処置に用いられ、好ましくは、リソソーム蓄積症、神経変性疾患、肝疾患、筋疾患、および代謝疾患のいずれかの処置に用いられる。 リソソーム蓄積症の例は、アクチベーター欠損症/GM2ガングリオシドーシス、α-マンノシドーシス、アスパルチルグルコサミン尿症、コレステロールエステル蓄積症、慢性ヘキソサミニダーゼA欠損症、シスチン症、ダノン病、ファブリー病、ファーバー病、フコシドーシス、ガラクトシアリドーシス、ゴーシェ病(I型、II型、およびIII型を含む)、GM1ガングリオシドーシス(乳児性、遅発乳児性/若年性、成人性/慢性を含む)、I細胞病/ムコリピドーシスII、乳児性遊離シアル酸蓄積症/ISSD、若年性ヘキソサミニダーゼA欠損症、クラッベ病(乳児発症性、遅発性を含む)、異染性白質ジストロフィー、偽性ハーラー・ポリジストロフィー/ムコリピドーシスIIIA、MPS Iハーラー症候群、MPS Iシャイエ症候群、MPS Iハーラー・シャイエ症候群、MPS IIハンター症候群、サンフィリッポ症候群A型/MPS IIIA、サンフィリッポ症候群B型/MPS IIIB、モルキオA型/MPS IVA、モルキオB型/MPS IVB、MPS IXヒアルロニダーゼ欠損症、ニーマン・ピック病(A型、B型、およびC型を含む)、神経セロイドリポフスチン症(CLN6疾患、非定型遅発乳児性、遅発性異型、早期若年性バッテン・シュピールマイアー・フォークト/若年性NCL/CLN3疾患、フィンランド異型遅発乳児性CLN5、ヤンスキー・ビールショウスキー病/遅発乳児性CLN2/TPP1疾患、クッフス/成人発症性NCL/CLN4疾患、北部てんかん(northern epilepsy)/異型遅発乳児性CLN8、およびサンタブオリ・ハルチア(Santavuori-Haltia)/乳児性CLN1/PPT疾患を含む)、β-マンノシドーシス、ポンペ病/糖原病II型、濃化異骨症、サンドホフ病/成人発症/GM2ガングリオシドーシス、サンドホフ病/GM2ガングリオシドーシス乳児型、サンドホフ病/GM2ガングリオシドーシス若年型、シンドラー病、サラ病/シアル酸蓄積症、テイ・サックス/GM2ガングリオシドーシス、ウォルマン病、多種スルファターゼ欠損症である。 肝疾患の例は、α1アンチトリプシン欠損症および脂肪肝疾患である。 筋疾患の例は、自己貪食空胞性ミオパチーおよび過剰自己貪食を伴うX連鎖性ミオパチーである。 代謝疾患の例は、高コレステロール血症および脂肪肝疾患である。 神経変性疾患の例は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、および脊髄小脳失調症である。 内因性または組換えリソソーム酵素を産生する細胞の生産性を増加させるための、上記で開示されたTFEBリン酸化阻害剤の使用は、本発明のさらなる目的である。 リソソーム内因性または組換え酵素を産生する方法であって、上記で開示されているようなTFEBリン酸化阻害剤を細胞内で自己貪食/リソソーム系と接触させる工程、(2)前記自己貪食/リソソーム系を誘導する工程、および(3)前記リソソーム酵素の産生を増加させる工程を含む方法は、本発明のさらなる目的である。 上記で開示されているようなTFEBリン酸化阻害剤の治療的有効量を対象に投与することにより障害を処置する方法は、本発明のさらなる目的である。好ましくは、障害は、細胞自己貪食/リソソーム系の誘導により軽減される。より好ましくは、障害は、リソソーム蓄積症、神経変性疾患、肝疾患、筋疾患、および代謝疾患を含む群から選択される。そのような障害の例は上記に提供されている。 好ましい実施形態において、本発明による障害を処置する方法は、(1)上記で開示されているような阻害剤を投与する工程、(2)細胞内で自己貪食/リソソーム系を誘導する工程、および(3)細胞クリアランスを増加させる工程を含む。 本発明を、実験的かつ非限定的例において記載する。TFEBが自己貪食を誘導することを示す図である。(A)TFEBを安定的に過剰発現するHeLa細胞に、GFP-LC3プラスミドをトランスフェクションし、示されているように処理した。各実験について3連で、約100個の細胞を分析した。グラフは、GFP陽性小胞の定量化を示す。(B〜F)(B)TFEB-3×flag安定的過剰発現細胞(+)および対照細胞(-)におけるLC3のウェスタンブロット分析。グラフは、3つの独立したブロットからの(アクチンに対する)LC3II発現のimageJソフトウェア分析を用いた定量化を示す。(C)示された時間(h=時間)の間、血清およびアミノ酸飢餓であった(飢餓)、TFEB安定的過剰発現細胞。(D〜F)(D)正常培地、(E)飢餓培地、または(F)バフィロマイシン(4時間、400nM)を追加した飢餓培地で培養された、TFEB-RNAi細胞およびスクランブルされたRNAiで処理された対照細胞(対照)から単離された細胞溶解物。グラフは、3つの独立したブロットからの(アクチンに対する)LC3II発現の定量化を表し、バンド強度を、ImageJソフトウェア分析を用いて定量化した。(G)TFEBを標的にする3つの異なるsiRNAオリゴ(オリゴ#1、#2、#3)、またはスクランブルされたsiRNAオリゴ(対照)をトランスフェクションした細胞から調製されたcDNAを用いるqPCRによってTFEB mRNAレベルを分析した。(H)空ベクター(対照)またはTFEBベクターをトランスフェクションした、GFP-mRFP-LC3を安定的に発現する固定HeLa細胞の代表的な共焦点画像。最低限2000個の細胞が数えられ、値は、3つの独立した実験から得られた、小胞の平均数(対照に対する、%)を表す。AL(オートリソソーム)=mRFP陽性/GFP陰性小胞、全部:mRFP陽性小胞。(全てのエラーバーは、標準偏差を表す。T検定(対応なし)p値(*)<0.05、(**)<0.01)飢餓がTFEB核移行および活性を制御することを示す図である。(A)異なる条件で培養されたHeLa細胞における51個の自己貪食関連遺伝子の相対発現レベルの倍数変化差の対数値を示す散布図。X軸=対照群。Y軸=処理群。丸は、増加(赤色)または減少(緑色)の倍数変化を示した遺伝子を表す。比較は示された通りであった。(B)クロマチン免疫沈降(ChIP)分析。ヒストグラムは、qPCRアッセイによって検出された場合の免疫沈降したDNAの量を示す。値は、投入量に対して標準化され、偽の対照に対する相対的強化としてプロットされた。実験は、3連で実施された。(C)正常細胞、飢餓細胞、およびTFEB-siRNA飢餓細胞におけるTFEB標的遺伝子発現のqPCR分析。GAPDHおよびHPRTはハウスキーピング遺伝子を表し、ATG10、ATG9A、およびATG4Dは、対照遺伝子(非TFEB標的遺伝子)を表す。(D〜F)TFEBを安定的に過剰発現するHeLa細胞を、未処理のままにしておく、または4時間栄養飢餓にした。(D)TFEB核局在について、それぞれにつき50〜100個の細胞を含有する5つのフィールドを分析した。P値(*)=<0.01。(E)細胞を、核/サイトゾル分画に供し、Flag抗体でブロットした。H3およびチューブリンを、それぞれ、核マーカーおよびサイトゾルマーカーとして用いた。(F)核画分を、Flag抗体およびH3抗体(負荷対照)でブロットした。(G)正常細胞、飢餓細胞、および飢餓/1時間(正常)、または培地刺激の1時間前にAP-2(AKT阻害剤)、ラパマイシン(mTOR阻害剤)、およびU0126 (MEK阻害剤)で前処理して、正常培地で刺激された細胞から調製された核抽出物におけるFlag、チューブリン、およびH3のウェスタンブロット分析。全抽出物を阻害剤の効力を検証するために用いた。(H)恒常的活性MEK(caMEK)プラスミドかまたは空ベクターかのいずれかをトランスフェクションしたTEFB siRNA細胞またはTFEBスクランブル化対照細胞におけるリソソーム遺伝子および自己貪食遺伝子のqPCR分析。飢餓については、示されている場合、実施した。(全てのエラーバーは、標準偏差を表す。T検定(対応なし)p値(*)<0.05、(**)<0.01)セリンリン酸化がTFEB活性化を制御することを示す図である。(A)Flag抗体で免疫染色された、TFEB-3×Flagの突然変異型を発現するHeLa細胞におけるTFEB細胞内局在。それぞれ、50〜100個の細胞を含有する、3つの独立した実験からの5つのフィールドを分析した。(B)空プラスミド、正常TFEBプラスミド、および突然変異体TFEBプラスミドでのトランスフェクションから24時間後のTFEB標的遺伝子発現のqPCR分析。(C、D)等量の空ベクター(pCDNA)、TFEB-3×Flagベクター、またはTFEBS142A-3×FlagベクターをトランスフェクションしたHeLa細胞からのタンパク質抽出物におけるLC3II(C)およびLamp1(D)のウェスタンブロット分析。示されている場合、バフィロマイシンを加えた。実験を3連で行い、タンパク質レベルの定量化をアクチンレベルに対して標準化した。(E)GFP-mRFP-LC3を安定的に発現し、かつpcDNA、Tfeb、またはSer-TfebのいずれかをトランスフェクションしたHeLa細胞における24時間のオートリソソーム(AL=RFP陽性/GFP陰性)の分析。図1Hに報告されているように定量化。(F)HA-Erk2および/またはTFEB-3×Flagをトランスフェクションされ、完全な血清飢餓または栄養飢餓状態に4時間維持され、抗Flag抗体で免疫沈降された、HeLa細胞上の抗Erk抗体を用いるウェスタンブロット分析。溶解物を抗FLAGで免疫沈降させ、抗Erk抗体でブロットした。(G)インビトロキナーゼアッセイ。組換えキナーゼを、ATP-γ32Pの存在下で、TFEBタンパク質のアミノ酸120から170までわたるペプチド(TFEB-S-142)と、またはセリン142がアラニンと置換された類似したペプチド(TFEB-A-142)とインキュベートした。リン酸化効率(「リン酸化感受性」)を、ペプチドにより取り込まれた放射活性の量として測定した。(H)TFEBを過剰発現するHeLa安定的クローンに、ERK1/2に特異的なsiRNAオリゴ、または対照siRNAをトランスフェクションした。48時間後、細胞を、未処理のままにしておき、4時間血清飢餓または血清とアミノ酸(a.a.)飢餓にし、収集し、核単離およびFlagイムノブロッティングに供した。全溶解物を、ERK抗体で試験した。全てのエラーバーは標準偏差を表す。p値(*)=<0.05。自己貪食のTFEB媒介性誘導のインビボ分析を示す図である。(A)給餌マウス、16時間絶食マウス、および24時間絶食マウスにおけるGFP陽性小胞の免疫蛍光分析。小胞の定量化がグラフに示されている。(B) 給餌動物および絶食動物由来の肝臓試料におけるTFEB標的遺伝子発現のqPCR分析(n=3、エラーバーは標準偏差を表す。p値(*)<0.05)。GapdhおよびHprtを参照遺伝子として用いた。(C、D)AAV2/9Tcfeb-HAに感染し、かつ屠殺の16時間前に絶食した、月齢2カ月の野生型マウスにおけるTFEB細胞内局在の分析。(C)HA-免疫蛍光分析。グラフは、核HAシグナルの定量化を示す。各肝臓について、100個の形質導入された細胞をカウントした。n=3マウス/群。*=<0.001。(D)核分画に供した肝臓検体におけるHA、チューブリン、およびH3のウェスタンブロット分析。給餌動物と絶食動物の間で比較できる導入遺伝子発現を検証するために、全肝臓溶解物を、HA抗体で試験した。(E) AAV2/9Tcfeb-HAを注射されたマウスからの肝臓抽出物におけるLC3、アクチン、p-ERK1/2、およびERK1/2のウェスタンブロット分析。(F)AAV-Tcfeb-HAかまたは生理食塩水(対照群)のいずれかを注射し、自由給餌された、または屠殺前24時間絶食させた、月齢2カ月のGFP-LC3トランスジェニックマウス由来の凍結保存された肝臓切片におけるGFPのウェスタンブロット分析およびDAPI染色。GFP陽性小胞の定量化はグラフに示されている。(G)導入遺伝子発現が肝臓特異的CREリコンビナーゼ(すなわち、アルブミン-CRE)によって作動される、コンディショナルTcfeb-3×FLAGトランスジェニックマウス(Tcfeb-3×flag;AlbCRE)から単離された肝臓試料における自己貪食およびリソソームの両方のTFEB標的遺伝子発現のqPCR分析。(H)Alb-CREマウス、Tcfeb-3×Flagマウス、およびTcfeb-3×Flag;Alb-CREマウスからの肝臓タンパク質抽出物におけるLC3およびアクチンのウェスタンブロット分析。TFEB一過性過剰発現が自己貪食を誘導することを示す図である。(A)HeLa細胞に、flagタグ化TFEBタンパク質をコードするプラスミドを一過性にトランスフェクションした。トランスフェクションから48時間後、細胞を収集し、溶解し、10mgのタンパク質試料をLC3、Flag、およびアクチン免疫反応性について分析した。実験を3連で行い、バンド強度を、imageJソフトウェア分析を用いて定量化した(エラーバーは標準偏差を表す。p値(*)<0.05)。(B)COS-7細胞に、空ベクター、またはTFEB-3×Flagベクターを一過性にトランスフェクションした。24時間後、細胞を、リソソーム阻害剤(ペプスタチン/E64、10μg/ml、SIGMA)で4時間処理した。10μgの細胞溶解物を、LC3およびアクチンのイムノブロッティングに供した。TcFEB過剰発現MEFにおける自己貪食の誘導を示す図である。(A、B)TcFEBを発現するレンチウイルスに感染したMEFおよび対照細胞の電子顕微鏡写真。(a)TcFEB発現により、オートファゴソーム(AV)およびオートリソソーム(AL)を含む自己貪食構造が観察された。(B)初期オートファゴソームの形成。高電子密度の細胞質物質を囲む隔離膜(矢印)。(C)自己貪食構造(AVおよびAL)の数、および(D)初期オートファゴソームの数の定量化。少なくとも30細胞/群を分析した。エラーバーはSEMを表す; p値(*)<0.05;(***)<0.0001。TFEBはオートファゴソーム形成を促進することを示す図である。(A)対照細胞および安定的TFEB過剰発現細胞を、バフィロマイシンで処理し(baf;12時間、400nM)、収集し、LC3II、Flag、およびアクチンのイムノブロッティングに供した。(B)対照細胞およびTFEB過剰発現細胞を、未処理のままにしておき、または10μg/mlのリソソーム阻害剤ペプスタチン/E64で4時間処理し、溶解し、LC3、Flag、およびアクチンのイムノブロッティングに供した。実験を3連で行い、バンド強度を、imageJソフトウェア分析を用いて定量化した(エラーバーは標準偏差を表す。p値(*)<0.05)。TFEBは自己貪食タンパク質溶解を増加させることを示す図である。正常状態かまたは飢餓状態のいずれかにおけるTFEB過剰発現細胞、TFEB除去細胞、および対照細胞における長寿命タンパク質分解の速度。示されている場合、3-メチルアデニン(3MA)を加えた(エラーバーは標準偏差を表す。p値(*)<0.05)。自己貪食遺伝子のサブセットのプロモーター領域におけるTFEB推定結合エレメントの分布を示す図である。数字は、転写開始部位(TSS)からの結合エレメントの距離を示す。飢餓がTFEB活性を増強することを示す図である。TFEB結合部位の4タンデム型コピーを有する構築物を用いるルシフェラーゼレポートアッセイ。正常細胞およびTFEB過剰発現HeLa細胞の両方に、TFEB結合部位を有する人工プロモーターをトランスフェクションした。どちらの細胞型も、飢餓状態で培養された場合、トランス活性化能の増加を示した。(エラーバーは標準偏差を表す。p(*)<0.05)飢餓がMAPKを通してTFEB核移行を誘導することを示す図である。(A)飢餓は、サイトゾルTFEB移動度シフトおよび核移行を誘導する。正常培地;飢餓培地(4時間);飢餓+正常は、細胞を飢餓培地(4時間)中で培養し、収集の1時間前に正常培地を追加したことを示す。サイトゾル画分および核画分をFlagイムノブロッティングに供した。(B)図2Gに示されているように処理されたHeLa細胞における免疫蛍光によるTFEB細胞局在の分析。グラフは、TFEB核局在を示す細胞のパーセンテージを示す。エラーバーは標準偏差を表す。P値(*)<0.05。TFEB核移行はS142リン酸化に依存することを示す図である。(A)TFEB-3×Flagタンパク質、S142A-3×Flagタンパク質、S332-3×Flagタンパク質、またはS423-3×Flagタンパク質を発現するHeLa細胞を、核タンパク質単離に供した。等量の核タンパク質を、ポンソー染色によって検証した。(B)TFEB-3×Flagタンパク質、S142A-3×Flagタンパク質、およびS142D-3×Flagタンパク質を発現するHeLa細胞を、正常状態および飢餓状態において核タンパク質単離に供した。(C)正常培地において、S142AはWT TFEBと比較してより低い分子量バンドとして移動するが、このシフトは飢餓状態においてはもはや明らかではないことを示す、TFEB-3×FlagおよびTFEB-S142A-3×Flagを発現するHeLa細胞から単離されたサイトゾルタンパク質のFlagイムノブロッティング。(D)TFEB-S142Dのシフトの低下を示す、TFEB-3×Flag、S142A-3×Flag、およびS142D-3×Flagを発現する飢餓HeLa細胞から単離されたサイトゾルタンパク質のFlagイムノブロッティング。S142A TFEB突然変異体は増強した活性を示すことを示す図である。GFP-LC3を安定的に過剰発現するHeLa細胞に、等量の空プラスミド、TFEB-3×Flagプラスミド、またはS142A-TFEB-3×Flagプラスミドをトランスフェクションし、オートファゴソームの数を定量化した。各点について、少なくとも10個の(4〜10細胞を含有する)フィールドを分析した。実験を3連で行った。エラーバーは標準偏差を表す。p値(*)<0.05。TFEBパラログ、MITF、および関係するTFEB関連ファミリーメンバーに関するTFEBヒトS142リン酸化部位の複数配列アラインメントを示す図である。TFEB_ヒト相同体を、ExPASyプロテオミクスサーバーにおけるUniProtKBデータベースに対するBLAST (2.2.17)検索によって同定した。本出願人らは、「推定」、「推定されない」、および「cDNA」のキーワードを有するヒット、および遺伝子名がないヒットを除去した。次に、本出願人らは、残りの相同体をClustalW(1.82)でアラインメントした。複数の配列アラインメントを、Seaviewによって作成した。図は、TFEB、MITF、TCFEB、TFE3、およびTCFE3ファミリー由来の他のタンパク質とアラインメントされたTFEB_HUMAN配列の20アミノ酸長セグメントのみを示す。「sp」は、SwissProtエントリーを表し、「tr」はTrembleエントリーを示す。P19484はUniProKBアクセションコードである。TFEB_HUMANはそれぞれ、遺伝子名および種名を示す。インビボTcFEB過剰発現についてのストラテジーを示す図である。(A)(ウイルス形質導入効率を検証するために)抗HA抗体で免疫染色された凍結保存肝臓切片の代表的な画像。(B)Tcfeb-HA注射マウスおよび対照マウスから抽出された肝臓タンパク質を、HA抗体およびアクチン抗体でイムノブロットした。(C)TcFEBコンディショナル過剰発現についてのトランスジェニックマウス系統の作製。CREリコンビナーゼの前および後の導入遺伝子ベクターのマップが上部に示されている。同腹仔の代表的な遺伝子型は左側に示され、マウスn4における対応する肝臓特異的TFEB過剰発現が右側に示されている。TFEB過剰発現がMEF細胞、NSC細胞、HeLa細胞、およびCOS-7細胞の培地におけるリソソーム酵素の放出を増加させることを示す図である。リソソーム酵素である、酸性ホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、およびβ-ヘキソサミニダーゼの活性を、培地において、および空ベクターまたはTFEB発現ベクターのいずれかをトランスフェクションした細胞において、決定した。HeLa細胞、Cos7細胞、ならびにMLIV(S7)、MPSIIIA(S7)、およびMSDのマウスモデル由来のマウス胚線維芽細胞を、PolyFectトランスフェクション試薬(Qiagen)またはLipofectamine 2000試薬(Invitrogen)を用い、製造会社のプロトコールに従ってトランスフェクションした。TFEB-3×FLAG HeLa安定的細胞系(CF7)は以前に記載された(2)。図は、全活性と比較した、放出された酵素活性のパーセンテージを示す。TFEBがリソソーム開口分泌へ正の調節を発揮することを示す図である。MPSIIIA MEF細胞を、10%FBSおよびペニシリン/ストレプトマイシンを追加したDMEM中で維持した(正常培地)。コンフルエント未満の細胞を、Lipofectamin(商標)2000(Invitrogen)を用い、製造会社のプロトコールに従って、トランスフェクションした。MPS-IIIA MEFに、タグ化スルファミダーゼ(SGSH3×Flag)をコードするプラスミドと、空プラスミドかまたはTFEBをコードするプラスミドのいずれかを同時トランスフェクションした。トランスフェクションから1日後、培地をDMEM 0.5%FBSと交換した。トランスフェクションから2日後、条件培地およびペレットを、スルファミダーゼ活性測定のために収集し、培地中に放出された酵素のパーセンテージを計算した。リソソームストレスがTFEB核移行を誘導することを示す図である。クロロキン(CQ)またはサリシリハラミドA(SalA)で処理され、核/サイトゾル分画に供され、TFEBを検出するためにFLAGに対する抗体でブロットされた、TFEB-3×Flagを発現するHeLa細胞から抽出されたタンパク質のイムノブロッティング。ヒストン3(H3)およびチューブリンを、それぞれ、核マーカーおよびサイトゾルマーカーとして用いた。ブロットは、3連の実験を代表する。mTORC1はTFEBを制御することを示す図である。(A)リソソームストレスは、mTORシグナル伝達を阻害する。示されているように、一晩処理されたHeLa細胞から単離されたタンパク質抽出物のイムノブロッティング。ERK活性およびmTORC1活性を測定するためにp-T202/Y204-ERK1/2、ERK1/2、p-T389-S6K、およびS6Kについての抗体で膜を試験した。(B)Torin 1は、TFEB脱リン酸および核移行を誘導する。アミノ酸を含まない培地中で培養され、その後、示されているように少なくとも3時間刺激された、TFEB-3×FLAG HeLa細胞から単離されたサイトゾル画分および核画分のFLAGイムノブロッティング。正しい細胞内分画を、H3抗体およびチューブリン抗体で検証した。(C、D)ERK阻害剤およびmTOR阻害剤のTFEB核移行への効果および用量反応曲線。TFEB-GFP HeLa細胞を384ウェルプレート内に蒔き、12時間インキュベートし、2.54nMから50μMまでの範囲の10個の異なる濃度のERK阻害剤U0126またはmTOR阻害剤ラパマイシン、Torin 1、およびTorin 2で処理した。化合物のそれぞれの1つを含有するRPMI培地中、37℃で3時間後、細胞を洗浄し、固定し、DAPIで染色し、共焦点自動顕微鏡法(Opera high content system、Perkin Elmer)を用いることにより写真撮影した。(C)各化合物についての試験濃度のための代表的な画像。スケールバーは30μmを表す。(D)グラフは、各化合物の10個の異なる濃度(濃度の対数における)での核移行のパーセンテージを示す。各化合物についてのEC50を、Prismソフトウェアを用いて計算した(詳細については材料および方法を参照)。(E)アミノ酸はTFEB分子量シフトを誘導する。TFEB-3×FLAGベクターまたは空ベクターのいずれかをトランスフェクションし、栄養飢餓とし、アミノ酸(a.a.)で50分間刺激したHEK-293T細胞から単離されたタンパク質抽出物のイムノブロッティング。用いられた抗体は、p-T389-S6K、S6K、およびFLAGであった。(F)Ragノックダウンは、TFEB核移行を誘導する。TFEB-3×Flagを安定的に発現するHeLa細胞を、ルシフェラーゼmRNA(対照)またはRagC mRNAおよびRagD mRNAを標的にする低分子ヘアピン型(Sh-)RNAをコードするレンチウイルスに感染させた。全てにおいて、感染から96時間後、細胞を、4時間未処理のままにしておき(N=正常培地)、飢餓にさせ(S=飢餓培地)、またはTorin 1で処理し(T=Torin 1)、その後、核/サイトゾル分画に供した。TFEB局在を、FLAG抗体で検出し、チューブリンおよびH3を、それぞれ、サイトゾル画分および核画分についての対照として用いた。S6Kリン酸化のレベルを、RagCおよびRagDノックダウン効率を試験するために用いた。(G)mTORC2は、TFEBリン酸化に影響を及ぼさない。Sin1-/-胚または対照胚(E14.5)から単離されたマウス胚線維芽細胞(MEF)を、TFEB-3×FLAGをコードするレトロウイルスに感染させた。感染から48時間後、示されている場合、細胞を、Torin 1(T)で4時間処理し、核/サイトゾル分画に供し、FLAG、チューブリン、およびH3についてイムノブロットした。mTORC1がTFEBをセリン142(S142)においてリン酸化することを示す図である。(A)Torin 1はS142脱リン酸を誘導する。示されているように、HeLa細胞を処理し、全抽出物および核抽出物を、TFEB p-S142リン酸化抗体および抗FLAG抗体で試験した。(B)推定mTORC1リン酸化部位を有するTFEBタンパク質構造の概略図および脊椎動物の間でのそれらの保存。ナンバリングはヒトアイソフォーム1による。(C)リン酸化部位の配列保存スコア、およびmTORコンセンサスモチーフとTFEBのリン酸化部位の周囲の配列の間の定量的一致。(D)S142およびS211は、TFEB局在を制御する。TFEB-3×Flagのセリンからアラニンへの突然変異型を発現するHeLa細胞におけるTFEB細胞内局在のFlag免疫染色。核をDAPIで染色した。値は、少なくとも50個のトランスフェクション化細胞を含有する5つのフィールドの平均である。スチューデントt検定(対応のない)***P<0.001。スケールバーは30μmを表す。リソソームがTFEBによる遺伝子発現を制御することを示す図である。(A)クロロキン処理は、初代培養肝細胞においてmTORC1活性を阻害する。月齢2カ月のTcfebflox/flox(対照)マウスおよびTcfebflox/flox;Alb-Cre(Tcfeb-/-)マウスから単離された初代培養肝細胞を、未処理のままにしておく、またはTorin 1、U0126、またはクロロキンで一晩、処理した。その後、細胞を溶解し、タンパク質抽出物を、示された抗体でイムノブロットした。(B、C)TFEBは、クロロキンおよびTorin 1に対する転写応答を媒介する。対照(flox/flox)マウスおよびTcfeb-/- (flox/flox; alb-Cre)マウス由来の初代培養肝細胞におけるTFEB標的遺伝子の定量的PCR(qPCR)。細胞を、クロロキン(左)およびTorin 1(右)で処理した。発現レベルは、対応する未処理試料に対して処理試料の発現の%増加として示されている。値は、3つの独立した肝細胞調製物(3匹のマウス/遺伝子型)の平均±s.d.を表す。スチューデントt検定(両側)*P値≦0.05。Torin 1およびその類似体Torin 2での処理が、多種スルファターゼ欠損症マウスモデル(MSD)由来の神経幹細胞(NSC)におけるグリコサミノグリカン(GAG)蓄積を低下させることを示す図である。MSDマウスから単離された分化型神経幹細胞(NSC)を、DMSO、10nMのTorin 1、または10nMのTorin 2で処理した。24時間後、GAG含有量を、アルシアンブルー(AB)染色によって決定した。どちらのTorinも、DMSO処理細胞と比較して、MSD処理細胞においてGAG染色を低下させることができた。WT NSCにおけるGAG染色の代表的な画像は、一番下のパネルに示されている。Torin 2での処理が、MSD細胞において空胞化を低下させることを示す図である。分化型NSCをグルタルアルデヒドで固定し、標準電子顕微鏡法のために加工した。Torin 2がMSDマウスの肝臓においてGAG蓄積を低下させることを示す図である。MSDマウスを、10日間、プラセボ(MSD_750)またはTorin 2(MSD_727)で処理した(経口投与;50%PEG400中0.3mg Torin 2/日/マウス)。処理後、肝臓組織を採取し、GAG蓄積を、アルシアンブルー染色(黒色スポット)によって決定した。Torin 2処理マウスは、肝臓組織においてGAG蓄積の低下を示した(n=3)。アルシアンブルーで染色されたWT肝臓の代表的な画像が示されている(WT_739)。 材料および方法 細胞培養および培地および薬物および細胞処理 HeLa細胞およびCOS細胞およびHEK-293T細胞を、ATCCから購入した。細胞を以下の培地中で培養した:(正常)10%FBSを追加したDMEM高グルコース;(飢餓)10mM HEPESを追加したCaおよびMgを含むHBSS培地;(血清)20%FBSを追加したEBSS;(アミノ酸培地)グルコースおよび血清を含まないDMEM;薬物処理:ラパマイシン(2.5mg/ml、SIGMA)2〜4時間、そうでなければ指示されている;バフィロマイシン(400nM、SIGMA)2〜4時間;インスリン(100ng/ml SIGMA)2時間;EGF、FGF(BD biosciences);LIF(100ng/ml;ESGRO、Millipore)2時間;PMA(1μg/ml)2時間。U0126(MEKi)を25mMで用い(Cell Signaling)、API2(AKT阻害剤)を1mMで用いた。リソソーム阻害剤はペプスタチンおよびE64(10mg/ml 4時間 SIGMA)であった。以下の薬物を図18〜21の実験に用いた:SIGMA社製のラパマイシン(2.5μM、そうでなければ指示されている);TOCRIS社製のTorin 1(250nM、そうでなければ指示されている);Cell Signaling technology社製のU0126(50μM);SIGMA社製のクロロキン(100μM);サリシリハラミドA(2μM)はJeff De Brabander(UT Southwestern)の好意により提供を受けた。 初代培養肝細胞を以下の通りに作製した:月齢2カ月のマウスをAvertin(240mg/kg)で深く麻酔をかけ、最初に、10mM HEPESおよび0.5mM EGTAを追加した25mlのHBSS(Sigma H6648)で、その後、100U/mlのコラゲナーゼ(Wako)および0.05mg/mlのトリプシン阻害剤(Sigma)を含有する同様の溶液で灌流した。肝臓をペトリディッシュ内で解離し、細胞ペレットをHBSS中で洗浄し、5×105細胞/35mmディッシュの密度で蒔き、10%FBS、2mMグルタミン、0.1mMインスリン、0.1mMデキサメタゾン、およびペニシリン/ストレプトマイシンを追加したウィリアム培地E中で培養した。次の日、細胞をテキストに記載されているように処理した。以前に記載されているように(53)、Sin 1-/-および対照MEFを作製し、10%FBS、グルタミン、およびペニシリン/ストレプトマイシンを追加したDMEM中で維持した。 Tcfebfloxマウス系統の作製 本出願人らは、Tcfebがエクソン4および5における相同組換えによって標的にされる、公的に入手可能な胚性幹(ES)細胞クローン(http://www.eucomm.org/)を用いた。組換えES細胞クローンを胚盤胞へ注入し、それを用いて、操作された対立遺伝子を有するマウス系統を作製した。Jackson laboratoryから入手されたアルブミンプロモーター下のCRE (ALB-CRE)を発現するトランスジェニック系統とFlox/Floxマウスを交雑させて肝臓特異的KOを作製した。マウスに関わる全ての手順は、Institutional Animal Care and Use Committee of the Baylor College of Medicineによって承認された。 トランスフェクション、プラスミド、およびsiRNA プラスミドおよびsiRNAの両方を、逆トランスフェクションプロトコールを用いて、Lipofectamine LTX(Invitrogen)でトランスフェクションした。48時間または72時間後、siRNAトランスフェクション化細胞を収集した。siRNA TFEBを50nMで用い(Dharmacon)、siRNA ERK1/2を100nMで用いた(Cell Signaling)。 DNAプラスミドpRK5-mycPAT1、pCEP4-TFEB-his、pC1G2-TFEB、およびp3×FLAG-CMVTFEBを、製造会社からのプロトコールに従って、Lipofectamine 2000またはLTX(Invitrogen)を用いて、細胞に一過性にトランスフェクションした。部位特異的突然変異誘発を、製造会社使用説明書(Stratagene)に従って行い、シークエンシングによって正しい突然変異誘発を検証した。 ウェスタンブロッティング 細胞または組織を、プロテアーゼ阻害剤(ROCHE)およびホスファターゼ阻害剤(SIGMA)を追加したRIPA緩衝液中に可溶化した。10マイクログラムから30マイクログラムまでを、4〜12%Bis-Trisゲル(NUPAGE、Invitrogen)上に負荷し、PVDF膜に転写し、ECL方法(Pierce)を用いるウェスタンブロットによって分析した。以下の抗体を用いた:LC3(Novus Biological)、FLAG、b-アクチン、チューブリン(SIGMA)、HA(Covance)、H3、ERK1/2、p-ERK1/2、p-AKT、p-70S6K(Cell Signaling)、ERK2(Santa Cruz)。タンパク質レベルを、ImageJソフトウェア分析を用いることによって定量化した。 核/細胞質分画 細胞を、6ウェルディッシュ内に50%のコンフルエンスで蒔き、一晩(ON)、血清飢餓にした。次の日、DMSOまたはキナーゼ阻害剤のいずれかの存在下で正常培地を加えた。細胞成分分画を、以前に報告されているように行った。簡単に述べれば、細胞を、0.5 Triton X-100溶解緩衝液(50mM Tris-HCl、0.5%トリトン、137.5mM NaCl、10%グリセロール、新鮮なプロテアーゼ阻害剤およびホスファターゼ阻害剤を追加した5mM EDTA)中に溶解した。上清はサイトゾル画分を表し、一方、核ペレットを2回洗浄し、0.5 Triton X-100緩衝液、0.5%SDS内に溶解し、超音波処理した。 長寿命タンパク質の分解 サブコンフルエントの細胞を、L-U14C-セリンと20時間インキュベートし、コールド培地で、1時間追跡し、短寿命タンパク質を分解した。その後、細胞を正常培地かまたは飢餓培地(最終的には、3-MAの存在下で)のいずれかと4時間インキュベートした。長寿命タンパク質分解の速度を、培地中の可溶性放射活性の、酸沈殿可能な細胞ペレット中の不溶性の放射活性に対する比率から計算した。 RNA抽出、逆転写、ChIP、および定量的PCR 全RNAを、TRIzol(Invitrogen)を用いて組織から、またはRNAesyカラム(Qiagen)を用いて細胞から抽出した。TaqMan逆転写試薬(Applied Biosystems)を用いて逆転写を行った。リソソーム遺伝子および自己貪食遺伝子に特異的なプライマーは、以前に報告された2。自己貪食遺伝子プライマーおよびマウスプライマーをSABiosciencesから購入した。DDCt方法を用いるSABiosciencesのオンラインデータ解析ウェブサイト(http://www.sabiosciences.com/pcr/arrayanalysis.php)を用いて、倍数変化計算を計算した。簡単に述べれば、最も安定なハウスキーピング遺伝子(GAPDH、ACTB、B2M、RPL13A、HPRT、およびシクロフィリン)の平均を、DCt値を計算するための「標準化(normalizer)」遺伝子として用いた。次に、DDCt値が、「対照」群と「実験」群の間で計算される。最後に、2(-DDCt)を用いて倍数変化が計算される。倍数変化値を計算できるように、生物学的複製物(biological replicates)をグループ化した。対応のないT検定を用いて、統計的有意性を計算した。グラフ内のアステリスクは、P値が<0.05であったことを示す。 プロテインキナーゼ予測 本出願人らは、初期設定パラメータを用いてCrPhos0.8、GPS-2.1、PhosphoMotifFinder、Networkin、およびPHOSIDA (15〜19)を含む5つの方法を用いた。本出願人らは、CrPhos0.8およびGPS-2.1予測を、それらの信頼スコアに従ってさらに選別した。前者について、我々は、30%以下の偽陽性率(FPR)をもつ予測を考慮に入れた。本出願人らは、後者について、5以上のスコアを有する予測を考慮した。GPS-2.1スコアは、実際のスコアと閾値の間の差として計算された。我々は、他の3つの方法からの全ての予測を採用した。Networkinの場合、我々は、NetworkinおよびNetworkin 2の両方からの予測を合わせた。各方法は、S142部位によって関連づけられたキナーゼを異なるキナーゼ分類において記載し、その分類は、単純に4つの階層的レベル:キナーゼ群、キナーゼファミリー、キナーゼサブファミリー、およびキナーゼ自体を含む。各階層的レベルにおいて一般的なコンセンサスを得るために、我々は、各予測を、その予測がその様式でまだ分類されていない場合には、これらの4つの階層的レベルにおいて分類した。本出願人らは、欠けている分類について脊椎動物クレイドおよびヒト種におけるhttp://kinase.org/kinbaseデータベースで検索した。各分類におけるコンセンサスは、各分類における多数決に従って見出される。 インビトロキナーゼアッセイ TFEB-S-142:配列番号2の117〜166のアミノ酸: PPPAASPGVRAGHVLSSSAGNSAPNSPMAMLHIGSNPERELDDVIDNIMR、およびTFEB-A-142: Ser142がAla(太字)と置換された配列番号2の117〜166のアミノ酸に対応する、配列番号4: PPPAASPGVRAGHVLSSSAGNSAPNAPMAMLHIGSNPERELDDVIDNIMRを、GENESCRIPT corpによって合成された。試験ペプチドTFEB-A-142およびTFEB-S-142を、50mM HEPES pH7中1mMまで作製した。溶解に関する問題はないように思われた。キナーゼアッセイを、Milliporeの標準放射測定アッセイを用いて200μM ATPおよび100μMの各ペプチドで40分間、室温で実施した。全てのプロテインキナーゼを、それらの標準KinaseProfiler(商標)アッセイ濃度で用いた。インキュベーション後、全てのアッセイを、酸の添加によって停止し、アリコートをP30およびFiltermat A上にスポットして産物を分離した。全ての試験を、3連で行い、各プロテインキナーゼについての通常の基質を対照として含めた。 インビボ遺伝子送達 マウスをBaylor College of Medicine(Houston、TX、USA)のトランスジェニックマウス施設において飼育した。GFP-LC3トランスジェニックマウスは、N. Mizushimaの好意により提供された。他に規定がない限り、C57B6雌マウス(週齡4週間)を用いた。AAVベクターは、TIGEM AAV Vector Core Facilityによって作製された。簡単に述べれば、マウスTFEB(TcFEB)コード配列を、pAAV2.1-CMV-GFPプラスミドへ、GFP配列を置き換え、かつHAタグとインフレームで融合することによって、クローン化した。その後、生じたpAAV2.1-CMV-TcFEB-HAを、pAd-Helperプラスミドおよびpack2/9パッケージングプラスミドと共にサブコンフルエントの293細胞内に3重トランスフェクションした。組換えAAV2/9ベクターを、2ラウンドのCsClによって精製した。ゲノムコピーとして表されるベクター力価(GC/mL)を、TaqMan(Perkin-Elmer、Life and Analytical Sciences、Waltham、MA)を用いるPCR定量化およびドットブロット分析の両方により評価した。各マウスに、1.25×1011個のウイルス粒子を眼窩後に注射し、3週間後に屠殺した。遺伝子発現について分析する場合、飢餓マウスを、16時間絶食させ、またはGFP-LC3ドット数について分析する場合、24時間絶食させた。 組織学的検査および免疫蛍光 肝臓試料を採取し、PBS中4%パラホルムアルデヒド内で一晩、固定した。PBS中10%ショ糖および30%ショ糖内での凍結保護後、検体をOCT(Sakura Finetech、Torrance、CA)内に凍結し、30μm厚さの切片にした。Axioplan2 (Zeiss、Thorwood、NY)において画像を撮った。免疫蛍光について、切片をPBS+0.1%Triton X-100中2.5%BSA内、室温で2時間ブロッキングした。ブロッキング後、検体を、一次抗体と20時間インキュベートし、PBS+0.05%TX-100中での3回の洗浄後、Alexafluor 488またはAlexafluor 555(Invitrogen)のいずれかとコンジュゲートされた二次抗体と3時間インキュベートした。HAの免疫組織化学分析については、アビジン-ビオチン複合体(ABC)方法を用いた(Vectastain Elite ABCキット)。抗GFPはAbcam製であった(希釈1:500)。 電子顕微鏡法 対照細胞およびTFEB過剰発現細胞をPBSで洗浄し、0.2M Hepes緩衝液(pH7.4)中に溶解した1%グルタルアルデヒド内、室温で30分間固定した。その後、細胞を、OsO4内で2時間後固定した。一連の段階的濃度のエタノール中での脱水後、細胞をEpon 812(Fluka)内に包埋し、60℃で72時間重合させた。簿切片を、Leica EM UC6で切断し、酢酸ウラニルおよびクエン酸鉛で対比染色した。ULTRA VIEW CCDデジタルカメラを装着したPhilips Tecnai-12電子顕微鏡(Philips、Eindhoven、The Netherlands)を用いて簿切片からEM画像を取得した。AnalySISソフトウェア(Soft Imaging Systems GmbH、Munster、Germany)を用いて、空胞化の定量化を実施した。定量化のための細胞の選択は、立体解析学的分析へのそれらの適合性に基づいており、すなわち、細胞の(ゴルジ膜の存在に基づいて検出される)中央部を通って切断された細胞のみを分析した。 動物モデル マウスに関わる全ての手順は、Institutional Animal Care and Use Committee of the Baylor College of Medicineによって承認された。GFP-LC3トランスジェニック系統は以前に記載された。Tcfebの組織特異的過剰発現を以下の通りに生じさせた:Tcfeb-3×Flag cDNAをCAGCATカセット(ニワトリアクチンプロモーター(CAG)、続いて2つのloxP部位に隣接したクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT) cDNAがある)の後に挿入し、それを用いて、トランスジェニックマウスを作製した(Baylor College of Medicine transgenic core)。その後、マウスをAlbumin-CRE(Jackson laboratoryから入手した)系統と交雑させた。48飢餓プロトコールについて、マウスを22時間絶食させ、その後、2時間餌を与え、屠殺前の24時間再び絶食させた。 酵素活性 リソソーム酵素の酸性ホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、およびβ-ヘキソサミニダーゼ活性を、適切な蛍光定量的基質または比色定量的基質を用いて測定した。SGSH活性を、Fraldiら、Hum Mol Gen 2007 (33)に記載されたプロトコールに従って測定した。 イムノブロッティングおよび抗体 マウス抗TFEBモノクローナル抗体を、My BiosourceカタログNo. MBS120432から購入した。抗pS142特異的抗体を作製するために、ウサギを、KLHに連結した以下のペプチド:AGNSAPN{pSer}PMAMLHICで免疫した。4回目の免疫後、ウサギを屠殺し、血清を採取した。非リン酸化抗原を含有するカラムを通した循環によって、非リン酸化部位特異的抗体を血清から除去した。その後、リン酸化部位特異的抗体を、リン酸化ペプチドを含有するカラムを用いて精製した。プロテアーゼ阻害剤およびホスファターゼ阻害剤(Sigma)を含有するM-PER緩衝液(Thermo)で細胞を溶解した。核/サイトゾル画分を上記のように単離した。SDS-PAGE(Invitrogen;還元型NuPAGE 4〜12%Bis-trisゲル、MES SDS緩衝液)によってタンパク質を分離した。必要なら、ゲルを、20ml Imperial Protein Stain(Thermo Fisher)を用いて、室温で1時間染色し、水で脱染した。I-Blot(Invitrogen)を用いてタンパク質をニトロセルロース膜上へ転写することにより、イムノブロッティング分析を行った。膜を、TBS-T緩衝液(0.05%Tween-20を含有するTBS)中5%脱脂乳でブロッキングし、一次抗体の抗FLAGおよび抗チューブリン(Sigma、1:2000)、抗H3(Cell Signaling、1:10000)と室温で2時間インキュベートし、一方、5%BSA中、以下の抗体:抗TFEB(My Biosource、1:1000)、抗P TFEB(1:1000)、抗ERK1/2、抗p-ERK1/2、抗p-P70S6K、抗P70S6K(Cell Signaling、1:1000)をインキュベートした。膜を、TBS-T緩衝液で3回洗浄し、アルカリホスファターゼコンジュゲート型IgG(Promega、0.2mg/ml)と室温で1時間インキュベートした。膜をTBS緩衝液で3回洗浄し、発現したタンパク質を、10ml Western Blue Stabilized Substrate(Promega)を加えることによって可視化した。 ハイコンテンツな核移行アッセイ TFEB-GFP細胞を384ウェルプレートに蒔き、12時間インキュベートし、10個の異なる濃度(50000nM、16666,66nM、5555,55nM、1851,85nM、617,28nM、205,76nM、68,58nM、22,86nM、22,86nM、7,62nM、および2,54nM)のERK阻害剤U0126(Sigma- Aldrich)またはmTOR阻害剤ラパマイシン(Sigma-Aldrich)、Torin 1、およびTorin 2で処理した。RPMI培地中、37℃で3時間後、細胞を洗浄し、固定し、DAPIで染色した。画像を取得するために、384ウェルプレートの各ウェルあたり10枚の写真を、共焦点自動顕微鏡法(Operaハイコンテンツシステム、Perkin Elmer)を用いることにより撮影した。異なる画像上のTFEB局在の分析を行うために、専用スクリプトを開発した(Acapellaソフトウェア、Perkin Elmer)。スクリプトは、TFEB-GFP蛍光のサイトゾル強度の平均で割った、核TFEB-GFP蛍光の平均強度から生じた比率値を計算する。結果を、同じプレート内の陰性対照試料(RPMI培地)および陽性対照試料(HBSS飢餓)を用いて標準化した。データは、Prismソフトウェア(GraphPadソフトウェア)を用いて各化合物の異なる濃度における核移行のパーセンテージにより表されている。各化合物についてのEC50を、非線形回帰フィッティング(Prism software)を用いて計算した。同じ方法を用いて、145個のキナーゼ阻害剤のライブラリーをスクリーニングした。 リソソーム蓄積症の細胞モデル実験およびマウスモデル実験についての方法 細胞培養 神経組織解離キットを用いる組織ホモジナイゼーションおよび幹細胞マーカープロミニン-1を発現する細胞の磁気ソーティング(Miltenyi Biotec Srl)を用いる分離によって、WT仔およびMSD仔(P0)の皮質から神経前駆細胞を単離した。EGFおよびFGF2の増殖因子(Prepotech)の存在下、ESGRO完全培地(Hyclone)中で神経前駆細胞を維持した。示されている場合、増殖因子を除去することによって、神経幹細胞(NSC)を分化させ、2%の血清を含有するESGRO培地中で少なくとも48時間インキュベートした。 マウス処理 多種スルファターゼ欠損症(MSD)マウスを、プラセボ(n=3)またはTorin 2(n=3)で10日間の間、処理した(強制経口投与、50%PEG400中0.3mg Torin 2/日/マウス)。処理期間にわたって、処理されたマウスをモニターし、体重を測定し(処理後、体重差は観察されなかった)、処理された全てのマウスが生存した。処理後、肝臓組織を採取し、GAG蓄積をアルシアンブルー染色によって決定した。 NSCのアルシアンブルー染色 神経前駆細胞を、標準プロトコールを用いることにより、WT仔およびMSD仔(P0)の皮質から単離した。神経前駆細胞(NSC)をメタカン(60%メタノール、10%酢酸、30%クロロホルム)中、室温で15分間固定した。洗浄後、細胞を、1%アルシアンブルーpH2.5中で3時間染色し、0.3%酢酸中および水中ですすぎ、可視化100%で標本にした。 組織試料のアルシアンブルー染色 パラフィン包埋肝臓組織の切片を、1%アルシアンブルー(Sigma-Aldrich)で染色し、Nuclear-Fast red(Sigma-Aldrich)で対比染色した。 電子顕微鏡法 細胞をPBSで洗浄し、0.05%グルタルアルデヒド中で固定し、0.2M Hepes緩衝液(pH7.4)中、室温で30分間溶解した。その後、細胞をOsO4中で2時間後固定した。一連の段階的濃度のエタノール中での脱水後、細胞をEpon 812(Fluka)内に包埋し、60℃で72時間重合させた。簿切片を、Leica EM UC6で切断し、酢酸ウラニルおよびクエン酸鉛で対比染色した。 結果 TFEBは自己貪食を誘導する (マクロ)自己貪食は、細胞質内物質をリソソームへ導き、それにより、栄養飢餓中、エネルギー供給を提供する、進化的保存された機構である(3)。飢餓中の自己貪食活性化は、mTORによって制御され、そのmTOR活性は、細胞のエネルギー需要に依存する。 自己貪食は、オートファゴソームとリソソームの密接な協力の結果であるため(1)、本出願人らは、リソソーム生合成を調節する転写因子であるTFEBが、自己貪食を制御するかどうかを試験した。TFEBは、リソソーム生合成および機能へ(2)、ならびにリソソーム開口分泌へ(図16および17)、正の調節を発揮するため、TFEB過剰発現が、リソソームによるオートファゴソームの分解の増加により、オートファゴソームの数を減少させるはずであると予想するであろう。驚くべきことに、HeLa細胞中の安定なTFEB過剰発現は、(オートファゴソームと特異的に付随している(4〜7))LC3マーカーを用いることによって決定された場合、オートファゴソームの数を有意に増加させた(図1a、b)。同様のデータが、HeLa細胞およびCos細胞中のTFEBの一過性過剰発現によって得られた。オートファゴソームの数の増加はまた、TFEBを過剰発現するレンチウイルスに感染したマウス胚線維芽細胞(MEF)における電子顕微鏡法によっても検出された(図6)。この増加は、オートファゴソーム/LC3II分解のリソソーム阻害剤バフィロマイシンおよびペプスタチン/E64で処理された細胞において持続し(8)、TFEBがオートファゴソームの形成を活性化することを示している(図1aおよび7)。栄養飢餓は、TFEB過剰発現細胞においてオートファゴソームの数をさらには増加させず(図1a、c)、TFEB過剰発現の自己貪食への飽和効果を示唆し、TFEBが、飢餓誘導性自己貪食の重要な媒介物であるという可能性を提起した。 これらの所見と一致して、HeLa細胞におけるTFEBのRNA干渉(RNAi)が、バフィロマイシンの存在下または非存在下のいずれでも、正常状態および飢餓状態の両方において、LC3IIのレベルの減少を生じた(図1d〜f)。顕著には、LC3IIの減少は、異なるRNAiオリゴによって達成されるTFEB下方制御のレベルと相関し、アッセイの特異性を示した(図1g)。これらの機能獲得および機能喪失のデータは、オートファゴソームおよびリソソームの生合成がTFEBによって同時制御されることを示唆している。本出願人らは、次に、RFP-GFPタンデムタグ付けLC3タンパク質(9)(そのLC3タンパク質は、GFPシグナル(mRFPではなく)が酸性コンパートメント内では消光されるため、初期自己貪食小器官(GFP陽性/mRFP陽性)を酸性化オートリソソーム(GFP陰性/mRFP陽性)から識別する(9))を用いて、オートファゴソームのリソソームへの送達速度を測定した。本出願人らは、オートファゴリソソームの数が、TFEB過剰発現細胞において対照細胞と比較してより多いことを見出し、TFEBがオートファゴソーム-リソソーム融合を促進し、それに従って、自己貪食の流れを増強することを示している(図1h)。自己貪食の制御におけるTFEBの役割の機能的証拠は、長寿命タンパク質の分解が、TFEB過剰発現によって増強され、かつTFEBノックダウンによって低減されたという観察からもたらされた。この増強は、自己貪食阻害剤の3-メチルアデニン(3-MA)(10)によって消失した(図8)。 TFEBが自己貪食遺伝子の発現を制御するかどうかを試験するために、本出願人らは、自己貪食経路のいくつかの段階に関与することが報告された51個の遺伝子の一群のmRNAレベルを分析した(1、12、13)。本出願人らは、TFEBを過剰発現する細胞における自己貪食遺伝子の発現レベルの増強が、飢餓中に得られたもの(EBSS培地中4時間のHeLa細胞)と非常に類似しているが(ピアソン相関:r値=0.42、p値=0.001)、それらはTFEBサイレンシング後、下方制御されたことを観察した(図2a、およびTable 1(表12)、Table 2(表13))。とりわけ、UVRAG、WIPI、MAPLC3B、SQSTM1、VPS11、VPS18、およびATG9Bの発現が、TFEB過剰発現によって最も有意に影響された(Table 1(表12)、Table 2(表13))。これらの遺伝子は、自己貪食の異なる段階で役割を果たすことが知られており、それらが、それらのプロモーター内に少なくとも1つのCLEAR部位(2)を有するため(図9)、TFEBの直接的な標的であると思われた。さらに、これらの遺伝子のうちの4つにおいて、我々は、定量的クロマチン免疫沈降アッセイ(QChip)によってTFEBの標的配列への結合を確証した(図2b)。興味深いことに、VPS11、VPS18、およびUVRAGは、オートファゴソームのリソソームへの送達に役割を果たし(14)、TFEBを過剰発現する細胞におけるリソソーム-オートファゴソーム融合の有意な増強の観察と一致している。 これらのデータは、TFEBが、飢餓誘導性自己貪食の転写制御に関与することを示している。この結論は、以下の観察によって強く支持されている。第1に、QChIPにより測定された場合、栄養飢餓は、リソソーム遺伝子および自己貪食遺伝子の両方のプロモーターへのTFEBの結合の増加を誘導した(図2b)。第2に、ルシフェラーゼレポーターアッセイ(2)は、飢餓が、TFEBの標的遺伝子転写への効果を増強することを示した(図10)。第3に、TFEBの直接的な標的の発現が、飢餓細胞において上方制御され、この上方制御がTFEBサイレンシングによって阻害された(図2a、c)。 飢餓はTFEBの核移行および活性を制御する TFEBの飢餓誘導性活性化の機構を同定するために、本出願人らは、飢餓細胞におけるそれの細胞内局在および翻訳後修飾を分析した。正常状態において、TFEBは細胞質に局在している(2)。本出願人らは、栄養飢餓(EBSS培地)がTFEB核移行を迅速に誘導すること(図2d、e)、およびウェスタンブロット分析によって明らかにされているように(図11a)、飢餓細胞由来のサイトゾルTFEBが、正常に栄養を与えられた細胞のそれと比較して、より低い分子量を有するように思われることを観察した。この分子量シフトは、迅速に、しかし一過性に生じ、飢餓細胞への正常培地の再添加後の1時間以内に、核TFEBの減少と同時に、消失した(図11a)。血清、アミノ酸、または増殖因子(すなわち、インスリンまたはEGF)のいずれかをEBSS培地に追加することにより、本出願人らは、飢餓培地単独と比較して、TFEB核移行の有意な阻害を観察した(図2f)。EBSSがサイトカイン(すなわち、INFまたはLIF)を追加された場合、効果はほとんど観察されず(図2f)、TFEBの活性化が、栄養および増殖因子に感受性があるシグナル伝達機構によって制御される過程であることを示唆した。本出願人らは、mTORキナーゼを阻害する薬物(ラパマイシン)、PI3K-AKTキナーゼを阻害する薬物(トリシリビン)、およびMEKキナーゼを阻害する薬物(U0126)を追加した正常培地で飢餓細胞を刺激した。MEK阻害は、飢餓と類似したレベルでのTFEB核局在を生じ、一方、AKT阻害およびmTOR阻害は効果を生じなかった(図2gおよび図11b)。これらのデータは、TFEB活性がMAPキナーゼによって制御されることを示唆し、飢餓誘導性自己貪食の制御におけるこのシグナル伝達経路の予想外の役割を明らかにしている。さらに、HeLa細胞における恒常的活性型MEK(caMEK)の発現が、飢餓中TFEB標的遺伝子発現の下方制御を生じ、したがって、TFEBノックダウンの効果を模倣したが(図2h)、TFEB除去細胞におけるcaMEK過剰発現は、TFEB標的遺伝子の発現に効果を生じなかった(図2h)。 セリンリン酸化はTFEB活性化を制御する MAPKシグナル伝達とTFEBの間の関係をより詳細に分析するために、本出願人らは、質量分析を実施し、栄養リッチな培地においてリン酸化されるが、飢餓培地においてはリン酸化されない少なくとも3つのセリン(すなわち、S142、S332、およびS402)を同定した。本出願人らは、リン酸化を無効にするために、これらの3つのセリンのそれぞれをアラニンへ突然変異させた。突然変異体TFEBタンパク質を、HeLa細胞へ個々に発現させ、TFEB核移行を分析した。TFEB(S142A)突然変異体は、TFEB(WT)、TFEB(S332A)、およびTFEB(S402A)と比較して核移行の有意な増加を示した(図3aおよび図12a)。逆に、リン酸模倣突然変異体(TFEB S142D)は、栄養飢餓の際、核へ移行することができなかった(図12b)。S142A TFEB突然変異体は、正常培地において、より低い分子量で移動するが、飢餓培地においては移動せず、一方、S142D突然変異体は、WT TFEBと比較して飢餓中、シフトの低下を示し(図12c、d)、S142が正常培地においてリン酸化されるが、飢餓培地においてはリン酸化されないことをさらに実証した。TFEB(S142A)の発現は、TFEB(WT)、TFEB(S332A)、およびTFEB(S402A)と比較して、TFEB標的遺伝子の発現レベルの増加を生じた(図3b)。一貫して、TFEB(S142A)は、オートファゴソーム(図3cおよび図13)、リソソーム(図3d)、およびオートファゴリソソーム(図3e)の数の増加によって実証されているように、wt TFEBと比較して、自己貪食/リソソーム系のより強い誘導を引き起こした。このように、TFEB核移行および活性化は、セリン142のリン酸化によって制御される。 セリン142のリン酸化を担う特異的キナーゼを同定するために、本出願人らは、実験的に確証された1セットのリン酸化部位(15〜19)を踏まえて構築された計算的モデルに基づいている方法を用いて、バイオインフォマティクス分析を行った(詳細について方法を参照)。前の結果と一致して、本出願人らは、セリン142のリン酸化についての最有力候補としてセリン特異的細胞外制御キナーゼ(Extracellular Regulated Kinase)(ERK)を同定した(Table 3(表14))。興味深いことに、セリン142は、小眼球症転写因子(MITF)(ERK2によってリン酸化されることが見出された(20))などのHLH-ロイシンジッパー遺伝子ファミリーの他のメンバーにおいて高く保存されている(図14)。ERK2媒介性TFEBリン酸化のさらなる証拠は、正常培地においてERK2-TFEB免疫共沈降があるが、飢餓培地においては免疫共沈降がないことからもたらされた(図3f)。さらに、ERK1/2タンパク質のsiRNA媒介性ノックダウンは、栄養飢餓と類似した程度でのTFEB核移行を誘導した(図3h)。 自己貪食のTFEB媒介性誘導のインビボ分析 本出願人らは、GFP-LC3トランスジェニックマウスにおいてインビボで、リソソーム/自己貪食経路のTFEB媒介性調節の生理的関連を分析した(11)。本出願人らは、栄養枯渇の際の肝臓における自己貪食応答の観察が報告されているため、研究の焦点を肝臓においた。肝臓において、GFP陽性小胞の数は、24時間の絶食後増加し始め、48時間目でピークに達し(48時間飢餓プロトコールについては、材料および方法を参照)(図4a)、一方、自己貪食TFEB標的遺伝子およびリソソームTFEB標的遺伝子の両方の転写誘導は、16時間の絶食後、明らかになった(図4b)。したがって、転写活性化は、インビボで、オートファゴソーム形成に先行する。重要なことには、16時間の絶食時点において、TFEBの細胞内局在は完全に核であり(図4c、d)、ERKリン酸化のレベルは、給餌動物と比較して低下し(図4e)、培養細胞において観察されたことと同様に、インビボで、飢餓がTFEB活性を制御することを示した。 本出願人らは、ウイルス媒介性および導入遺伝子媒介性TFEB過剰発現を用いて、TFEBが自己貪食を誘導するのに十分であるかどうかを評価した。GFP-LC3トランスジェニックマウス(11)に、HAエピトープでタグ付けされたマウスTcfebcDNAを含有するアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(AAV 2/9-Tcfeb-HA)を全身性に注射した(図15a、b)。Tcfeb注射された動物由来の肝臓検体は、GFP陽性小胞の数の有意な増加を示し、この増加は、飢餓によってさらに増強された(図4e、f)。加えて、コンディショナルTcfeb-3xFLAGトランスジェニックマウス(導入遺伝子は肝臓特異的CREリコンビナーゼ(すなわち、アルブミン-CRE)によって作動される(図15c))由来の肝臓試料は、対照同腹仔と比較して、リソソーム遺伝子および自己貪食遺伝子の発現の有意な増加、ならびにオートファゴソームの数の有意な増加を示した(図4g、h)。合わせて考えると、これらのデータは、飢餓誘導性自己貪食の転写制御におけるTFEBの重要な役割を指摘している。 TORC1はTFEB細胞内局在を制御する その後、TFEB-3xFLAGプラスミドで一過性にトランスフェクションされ、リソソーム機能の阻害剤で一晩処理されたHeLa細胞およびHEK-293T細胞において、TFEB細胞内局在を分析した。これらの処理は、リソソームpH勾配の阻害剤である、クロロキン、およびv-ATPアーゼの選択的阻害剤である、サリシリハラミドA(SalA)の使用を含んだ(39)。核/細胞質分画後に実施されたイムノブロッティングにより、リソソームストレスもまた、外因的に発現したTFEBの核移行を誘導すること、および、この場合もやはり、TFEB核蓄積がTFEB-3×FLAGのより低い分子量へのシフトと関連していることが明らかにされ、リソソームストレスがTFEBリン酸化状態に影響し得ることを示唆した(図18)。 mTORC1がリソソーム膜上に存在し、その活性は栄養分とリソソーム機能の両方に依存するという観察に基づいて(40、41)、本出願人らは、リソソームストレスのTFEB核移行への効果がmTORC1によって媒介され得ると仮定した。この考えと一致して、公知のmTORC1基質である、p-P70S6Kのレベルによって測定した場合、クロロキンまたはSalAは、mTORC1活性を阻害した(図19A、41)。mTORの関与は、公知のmTOR阻害剤であるラパマイシンが、TFEB活性に影響しなかったという我々の前の観察と対照的であるように思われる。しかしながら、最近のデータより、ラパマイシンの存在下でいくつかの基質がなお効率的にリン酸化されるため、ラパマイシンがmTORの部分的阻害剤であることが示されている(42)。したがって、本出願人らは、mTOR触媒部位を標的にする新規なクラスの分子に属する、キナーゼ阻害剤Torin 1およびTorin 2を用い、それにより、mTOR活性を完全に阻害した(42、46、47)。 本出願人らは、TFEBが脱リン酸されて、核に局在している飢餓細胞を、Torin 1(250nM)、ラパマイシン(2.5μΜ)、またはERK阻害剤U0126 (50μΜ)を追加されたアミノ酸リッチな培地で飢餓細胞を刺激した。飢餓細胞の栄養分単独での刺激は、有意なTFEB分子量シフトおよび細胞質への再局在を誘導した(図19B)。50μMの濃度のERK阻害剤U0126の存在下での栄養刺激は、部分的TFEB分子量シフトのみを誘導し、ERKによるリン酸化がTFEB細胞質局在へ部分的に寄与することを示唆した。2.5μMラパマイシンでの処理もまた、部分的分子量シフトを生じたが、TFEB細胞内局在に影響を及ぼさなかった(図19B)。しかしながら、Torin 1(250nM)処理は、栄養分によって誘導される分子量シフトを全体的に阻止し、次に、大量のTFEB核蓄積を生じた。 Torin 1は、mTORC1複合体およびmTORC2複合体の両方を阻害するため、本出願人らは、次に、各複合体のTFEB制御への寄与を評価した。以下の3つの主要な観察により、TFEBがmTORC1によって主に制御されることが示唆されている:(1)mTORC1を活性化するが、mTORC2を活性化しない、アミノ酸での飢餓細胞の刺激は、大規模なTFEB分子量シフト(リン酸化事象を大いに示唆する)を誘導した(図19E)、(2)mTORC1へのアミノ酸シグナルを媒介するRagCおよびRagDのノックダウンは、完全栄養培地で維持された細胞においてさえもTFEB核蓄積を引き起こした(図19F)、(3)mTORC2シグナル伝達が破壊された細胞(Sin1-/-マウス胚線維芽細胞(MEF))(52〜54)において、TFEBは、Torin 1処理により、対照細胞と類似した、分子量シフトおよび核移行を起こした(図19G)。 mTORC1はS142のリン酸化を介してTFEB細胞内局在を調節する mTORC1がTFEBをS142でリン酸化するかどうかを試験するために、本出願人らは、S142でリン酸化された場合のみTFEBを認識するリン酸化部位特異的抗体を作製した。この抗体を用いて、本出願人らは、TFEB-3×FLAGを安定的に過剰発現し、かつ栄養枯渇培地中で培養されたHeLa細胞において、TFEBはもはやS142でリン酸化されないことを観察し、それは、上記で報告された本出願人らの結果と一致した(図20A)。 その後、本出願人らは、Torin 1またはラパマイシンのいずれかを含む、またはいずれも含まない正常培地を追加した飢餓細胞におけるS142リン酸化のレベルを分析した。Torin 1は明らかに、栄養誘導性S142リン酸化を鈍化させたが、ラパマイシンは鈍化させず、S142が、ラパマイシン抵抗性mTORC1部位を表すことを示唆した(図20A)。これらの結果は明らかに、TFEBがmTOR基質であること、およびS142がmTORによるTFEBのリン酸化にとっての重要な残基であることを実証している。 最近の所見により、mTORC1がそれの標的タンパク質を複数部位でリン酸化することが示唆されている(43、44、45)。mTORによりリン酸化され得る追加のセリン残基を同定するために、本出願人らは、TFEBのコード配列におけるmTORC1についてのコンセンサスリン酸受容体モチーフ(43)を試験した(図20BおよびC)。本出願人らは、推定のmTORC1標的である全てのTFEBアミノ酸残基をアラニンへ突然変異させた。その後、本出願人らは、これらの突然変異のそれぞれのTFEB細胞内局在への効果を試験し、S142Aと同様に、位置211におけるセリンからアラニンへの突然変異(S211A)が、TFEBの恒常的核局在を生じた(図20D)。その他のセリン残基の突然変異は、野生型TFEBと類似した挙動を示した(図20D)。 合わせて考えると、これらのデータは、S142以外にS211もまた、TFEB細胞内局在において役割を果たすことを示しており、S211がmTORC1の追加の標的部位を表すことを示唆している。 リソソームはTFEBにおける遺伝子発現を制御する TFEBとmTORC1の相互作用はTFEB核移行を調節するため、本出願人らは、遺伝子発現を制御するTFEBの能力もまたこの相互作用によって影響されるかどうかを試験した。TFEBの標的であることが示されたいくつかのリソソーム/自己貪食遺伝子の発現(37)を、TFEBが肝臓において除去されたコンディショナルノックアウトマウス系統(Tcfebflox/flox;alb-CRE)由来の初代培養肝細胞において、および対照マウス系統(Tcfebflox/flox)において、試験した。細胞をクロロキンもしくはTorin 1のいずれかで処理し、または未処理のままにした。p-S6Kのレベルによって測定されるように、これらの処理は、mTORを阻害したが、p-ERKのレベルは影響されなかった(図21A)。定型培地中で培養されたTFEBコンディショナルノックアウトマウスから単離された初代培養肝細胞は、対照肝細胞と比較して、いくつかのTFEB標的遺伝子の発現レベルにおいて有意な差を示さなかった。しかしながら、TFEB標的遺伝子の発現が、クロロキンでの処理後、対照マウス由来の肝細胞において上方制御されたが、この上方制御は、TFEBコンディショナルノックアウトマウス由来の肝細胞において有意に鈍かった(図21B)。同様に、Torin 1処理による転写応答は、TFEBコンディショナルノックアウトマウス由来肝細胞において有意に低下した(図21C)。合わせて考えると、これらの結果は、TFEBが、mTORを介してリソソームにより誘導される転写応答において重要な役割を果たすことを示している。 サイトゾルTFEBの核への動員を誘導する追加のキナーゼ阻害剤の同定 TFEBのサイトゾルから核への移行を誘導することができる追加の小分子を見出すために、本出願人らは、緑色蛍光タンパク質に融合したTFEB(TFEB-GFP)を過剰発現する安定HeLa細胞を用いる細胞に基づいたハイコンテンツなアッセイを開発した。アッセイにおいて、処理された細胞の画像化は、自動共焦点顕微鏡(OPERA system)によって得られ、それらの画像のAcapella画像ソフトウェアでの分析は、細胞のサイトゾルと核の間のTFEB-GFPの蛍光強度の平均の比を計算する(詳細については材料および方法を参照)。アッセイを確証するために、本出願人らは、ERK阻害剤U0126、ならびにmTOR阻害剤ラパマイシン、Torin 1、およびTorin 2を試験した(図19C)。本出願人らは、各阻害剤について10個の濃度を試験した。TFEB核移行を活性化する最も強力な化合物は、Torin 1(EC50、147.9nM)、加えてそれの類似体Torin 2(EC50、1666nM)であった。部分的mTOR阻害剤ラパマイシンおよびERK阻害剤U016は、それぞれ、104.3μMおよび80.4μMのEC50を示した(図19D)。本出願人らは、145個の化合物のキナーゼ阻害剤ライブラリー(SelleckChem)のスクリーニングを行うために参照化合物としてTorin 1を用いた。TFEB-GFP細胞を384ウェルプレートに蒔き、12時間インキュベートし、50μMから2.54nMまでの範囲である各化合物の10個の異なる濃度で処理した。その化合物のそれぞれの1つを含有するRPMI培地中の37℃での3時間後、細胞を洗浄し、固定し、DAPIで染色し、共焦点自動顕微鏡法を用いることにより写真撮影した。各化合物についてのEC50を、4つの異なる実行の結果としてPrismソフトウェアを用いて用量反応曲線から計算した。活性化合物はTable 4(表1〜11)にグループ化されている。結果は明らかに、活性化合物の最も豊富なカテゴリーは、PI3K-mTOR経路(Table 1(表12)、太字)の阻害剤であることを示し、この経路が、TFEBのサイトゾルから核への動員の制御における主要なプレーヤーを表すことを示唆した。このカテゴリーに加えて、本出願人らは、タンパク質チロシンキナーゼ受容体(EGFR、VEGFR、PDGFR、Met、IGFR、ALK)の阻害剤、および細胞分裂に関与するキナーゼ(CDK、オーロラキナーゼ、およびポロ様キナーゼ)の阻害剤に属するヒットを見出した。他の代表されるカテゴリーは、p38キナーゼJAK2、JNK、GSK3、PKC、およびMAPK阻害剤であった(Table 4(表1〜11))。以下のTable 4(表1〜11)において「A」は、化合物が7000nM以下のEC50を有することを意味する。「B」は、化合物が7000より大きいが15000以下のEC50を有することを意味する。「C」は、化合物が15000より大きいEC50を有することを意味する。Table 4 サイトゾルTFEBの核への動員を誘導するキナーゼ阻害剤1. PI3K-mTOR経路MC Mendozaら、The Ras-ERK and PI3K-mTOR pathways: cross-talk and compensation. (2011) Trends in Biochemical Sciences 36(6):320頁2. Ras-ERK経路MC Mendozaら、The Ras-ERK and PI3K-mTOR pathways: cross-talk and compensation. (2011) Trends in Biochemical Sciences 36(6):320頁3. 他のマイトジェン活性化プロテインキナーゼGL Johnson (2011) Defining MAPK Interactomes. ACS Chemical Biology 6(1):18頁4) オーロラキナーゼファミリーG VaderおよびSMA Lens (2008) The Aurora kinase family in cell division and cancer. Biochimica et Biophysica Acta 1786:60頁5) 受容体型チロシンキナーゼMA LemmonおよびJ Schlessinger (2010) Cell Signaling by Receptor Tyrosine Kinases. Cell 141:1117頁6) ポロ様キナーゼF Eckerdt (2005) Polo-like kinases and oncogenesis. Oncogene 24:267頁7) JAK-STAT経路SN Constantinescu (2007) Mining for JAK-STAT mutations in cancer. Trends in Biochemical Sciences 33(3): 122頁8) サイクリン依存性キナーゼAli Sら、Cancer Res. 2009年8月1日;69(15):6208〜15頁9) Wntシグナル伝達経路J HuelskenおよびJ Behrens (2002) The Wnt signalling pathway. J Cell Sci 115:3977頁10) SrcファミリーキナーゼSM ThomasおよびJS Brugge (1997) Cellular functions regulated by Src family kinases Annu. Rev. Cell Dev. Biol 13:513頁11) プロテインキナーゼCファミリーH MELLORIおよびPJ PARKER (1998) The extended protein kinase C superfamily. Biochem. J. 332:281頁 TFEBリン酸化阻害剤は、リソソーム蓄積症の細胞モデルおよびマウスモデルにおいて細胞クリアランスを促進する 本出願人らは、TFEBリン酸化阻害剤が、有糸分裂後のニューロンおよびグリア細胞におけるグリコサミノグリカン(GAG)の進行性蓄積により重篤な神経変性の転帰となるリソソーム蓄積症である、多種スルファターゼ欠損症(MSD)(49〜51)において細胞クリアランスを誘導するのに利用することができるかどうかを試験した。 本出願人らは、グリア分化型NSCにおけるGAGのクリアランスへのTorin 1およびその類似体Torin 2の効果を評価し、アルシアンブルー染色GAGの顕著な低下を観察した(図22)。際立ったことには、電子顕微鏡法分析により、MSD NSCにおけるGAGのTFEBリン酸化阻害剤媒介性クリアランスが、細胞空胞化の完全救出に関連しており、正常な細胞形態を生じることが明らかにされた(図23)。さらに、MSDマウスのTorin 2処理は、アルシアンブルー染色によって検出されているように、肝臓においてもまたGAG染色の有意な低下を生じた(図24)。 データは、TFEB制御ネットワークの薬理学的活性化が、リソソーム蓄積症および一般的な神経変性疾患などの毒性分子の蓄積による障害において細胞クリアランスを促進するのに利用できることを示している。 自己貪食を制御する転写依存性機構(24、25)および転写非依存性機構の両方が記載されている(26、27)。その研究は、オートファゴソーム形成、オートファゴソーム-リソソーム融合、およびオートファゴソーム内容物のリソソーム媒介性分解などの自己貪食経路の複数の重大な段階を調節する新規なキナーゼ依存性制御回路を同定している。興味深いことに、本出願人らは、自己貪食/リソソーム遺伝子の転写誘導がオートファゴソーム形成に先行することを観察した。そのような転写依存性機構は、自己貪食のより長期性かつより持続性の活性化を保証するとみなすことができる。 自己貪食機能障害は、いくつかの遺伝性障害に関連づけられており(28〜30)、以前の研究により、自己貪食の増強が、神経変性疾患および肝線維症の動物モデルにおいて治療効果を生じることが示された(29、31、32)。 リソソーム-自己貪食経路を転写レベルで調節する新規な機構の発見は、これらの疾患において細胞クリアランスを調整する新規なアプローチを示唆している。さらに、それは、リソソーム酵素に基づいた治療的アプローチについての副次的効果を提供し、内因性または組換えリソソーム酵素を産生する細胞系の生産性を増加させるための新しいストラテジーを示唆する(図16および17)。さらに、TFEB過剰発現は、基質クリアランスを促進することができ、LSDにおける細胞空胞化を救出することができた(図22、23、24)(48)。したがって、TFEB活性を制御するリン酸化媒介性機構は、健康な状態および疾患において細胞クリアランスを促進する新しいツールを提供する。(参考文献) 医療用のTFEBリン酸化阻害剤。 TEFBリン酸化経路のキナーゼに作用する、請求項1に記載のTFEBリン酸化阻害剤。 キナーゼがmTORおよび/またはPI3Kである、請求項2に記載の阻害剤。 Table 4パラグラフ1(表1)のPI3K-mTOR経路に列挙された化合物群に属する、請求項3に記載の阻害剤。 TFEB分子を直接リン酸化するキナーゼに作用する、請求項1または2に記載の阻害剤。 セリン特異的細胞外制御キナーゼ(ERK)を阻害する、請求項5に記載の阻害剤。 ERKキナーゼがERK2キナーゼである、請求項6に記載の阻害剤。 Table 4パラグラフ2(表2)のRas-ERK経路に列挙された化合物群に属する、請求項2に記載の阻害剤。 キナーゼがマイトジェン活性化プロテインキナーゼである、請求項2に記載の阻害剤。 マイトジェン活性化プロテインキナーゼのTable 4パラグラフ3(表3)に列挙されたである化合物群に属する、請求項9に記載の阻害剤。 キナーゼがオーロラキナーゼである、請求項2に記載の阻害剤。 Table 4パラグラフ4(表4)のオーロラキナーゼに列挙された化合物群に属する、請求項11に記載の阻害剤。 キナーゼが受容体型チロシンキナーゼである、請求項2に記載の阻害剤。 Table 4パラグラフ5(表5)の受容体型チロシンキナーゼに列挙された化合物群に属する、請求項13に記載の阻害剤。 キナーゼがポロ様キナーゼである、請求項2に記載の阻害剤。 Table 4パラグラフ6(表6)のポロ様キナーゼに列挙された化合物群に属する、請求項15に記載の阻害剤。 キナーゼがJAK-STAT経路に属する、請求項2に記載の阻害剤。 Table 4パラグラフ7(表7)のJAK-STAT経路に列挙された化合物群に属する、請求項17に記載の阻害剤。 キナーゼがサイクリン依存性キナーゼである、請求項2に記載の阻害剤。 Table 4パラグラフ8(表8)のサイクリン依存性キナーゼに列挙された化合物群に属する、請求項19に記載の阻害剤。 キナーゼがWntシグナル伝達経路に属する、請求項2に記載の阻害剤。 Table 4パラグラフ9(表9)のWntシグナル伝達経路に列挙された化合物群に属する、請求項21に記載の阻害剤。 キナーゼがSrcファミリーキナーゼである、請求項2に記載の阻害剤。 Table 4パラグラフ10(表10)のSrcファミリーキナーゼに列挙された化合物群に属する、請求項23に記載の阻害剤。 キナーゼがプロテインキナーゼCファミリーに属する、請求項2に記載の阻害剤。 Table 4パラグラフ11(表11)のプロテインキナーゼCファミリーに列挙された化合物群に属する、請求項25に記載の阻害剤。 細胞自己貪食/リソソーム系の誘導を必要とする障害の処置に用いる、請求項1から26のいずれかに記載の阻害剤。 リソソーム蓄積症、神経変性疾患、肝疾患、筋疾患、および代謝疾患のいずれかの処置に用いる、請求項27に記載の阻害剤。 リソソーム蓄積症が、アクチベーター欠損症/GM2ガングリオシドーシス、α-マンノシドーシス、アスパルチルグルコサミン尿症、コレステロールエステル蓄積症、慢性ヘキソサミニダーゼA欠損症、シスチン症、ダノン病、ファブリー病、ファーバー病、フコシドーシス、ガラクトシアリドーシス、ゴーシェ病(I型、II型、およびIII型を含む)、GM1ガングリオシドーシス(乳児性、遅発乳児性/若年性、成人性/慢性を含む)、I細胞病/ムコリピドーシスII、乳児性遊離シアル酸蓄積症/ISSD、若年性ヘキソサミニダーゼA欠損症、クラッベ病(乳児発症性、遅発性を含む)、異染性白質ジストロフィー、偽性ハーラー・ポリジストロフィー/ムコリピドーシスIIIA、MPS Iハーラー症候群、MPS Iシャイエ症候群、MPS Iハーラー・シャイエ症候群、MPS IIハンター症候群、サンフィリッポ症候群A型/MPS IIIA、サンフィリッポ症候群B型/MPS IIIB、モルキオA型/MPS IVA、モルキオB型/MPS IVB、MPS IXヒアルロニダーゼ欠損症、ニーマン・ピック病(A型、B型、およびC型を含む)、神経セロイドリポフスチン症(CLN6疾患、非定型遅発乳児性、遅発性異型、早期若年性バッテン・シュピールマイアー・フォークト/若年性NCL/CLN3疾患、フィンランド異型遅発乳児性CLN5、ヤンスキー・ビールショウスキー病/遅発乳児性CLN2/TPP1疾患、クッフス/成人発症性NCL/CLN4疾患、北部てんかん(northern epilepsy)/異型遅発乳児性CLN8、およびサンタブオリ・ハルチア(Santavuori-Haltia)/乳児性CLN1/PPT疾患を含む)、β-マンノシドーシス、ポンペ病/糖原病II型、濃化異骨症、サンドホフ病/成人発症/GM2ガングリオシドーシス、サンドホフ病/GM2ガングリオシドーシス乳児型、サンドホフ病/GM2ガングリオシドーシス若年型、シンドラー病、サラ病/シアル酸蓄積症、テイ・サックス/GM2ガングリオシドーシス、ウォルマン病、多種スルファターゼ欠損症の群に属する、請求項28に記載の阻害剤。 肝疾患がα1アンチトリプシン欠損症および脂肪肝疾患の群に属する、請求項28に記載の阻害剤。 筋疾患が自己貪食空胞性ミオパチーおよび過剰自己貪食を伴うX連鎖性ミオパチーの群に属する、請求項28に記載の阻害剤。 代謝疾患が高コレステロール血症および脂肪肝疾患の群に属する、請求項28に記載の阻害剤。 神経変性疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、および脊髄小脳失調症の群に属する、請求項28に記載の阻害剤。 内因性または組換えリソソーム酵素を産生する細胞の生産性を増加させるための請求項1から26のいずれかに記載の阻害剤の使用。 リソソーム内因性または組換え酵素を産生する方法であって、請求項1から26のいずれかに記載の阻害剤を細胞内で自己貪食/リソソーム系と接触させる工程、(2)前記自己貪食/リソソーム系を誘導する工程、および(3)前記リソソーム酵素の産生を増加させる工程を含む方法。 請求項1から26のいずれかに記載の阻害剤の治療的有効量を対象に投与することにより、障害を処置する方法。 障害が細胞自己貪食/リソソーム系の誘導によって軽減される、請求項36に記載の方法。 障害が、リソソーム蓄積症、神経変性疾患、肝疾患、筋疾患、および代謝疾患を含む群から選択される、請求項37に記載の方法。 障害が代謝疾患であって、前記代謝疾患が高コレステロール血症または脂肪肝疾患である、請求項38に記載の方法。 障害が神経変性疾患であり、前記神経変性疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、または脊髄小脳失調症である、請求項38に記載の方法。 障害がリソソーム蓄積症であり、前記リソソーム蓄積症が、アクチベーター欠損症/GM2ガングリオシドーシス、α-マンノシドーシス、アスパルチルグルコサミン尿症、コレステロールエステル蓄積症、慢性ヘキソサミニダーゼA欠損症、シスチン症、ダノン病、ファブリー病、ファーバー病、フコシドーシス、ガラクトシアリドーシス、ゴーシェ病(I型、II型、およびIII型を含む)、GM1ガングリオシドーシス(乳児性、遅発乳児性/若年性、成人性/慢性を含む)、I細胞病/ムコリピドーシスII、乳児性遊離シアル酸蓄積症/ISSD、若年性ヘキソサミニダーゼA欠損症、クラッベ病(乳児発症性、遅発性を含む)、異染性白質ジストロフィー、偽性ハーラー・ポリジストロフィー/ムコリピドーシスIIIA、MPS Iハーラー症候群、MPS Iシャイエ症候群、MPS Iハーラー・シャイエ症候群、MPS IIハンター症候群、サンフィリッポ症候群A型/MPS IIIA、サンフィリッポ症候群B型/MPS IIIB、モルキオA型/MPS IVA、モルキオB型/MPS IVB、MPS IXヒアルロニダーゼ欠損症、ニーマン・ピック病(A型、B型、およびC型を含む)、神経セロイドリポフスチン症(CLN6疾患、非定型遅発乳児性、遅発性異型、早期若年性バッテン・シュピールマイアー・フォークト/若年性NCL/CLN3疾患、フィンランド異型遅発乳児性CLN5、ヤンスキー・ビールショウスキー病/遅発乳児性CLN2/TPP1疾患、クッフス/成人発症性NCL/CLN4疾患、北部てんかん(northern epilepsy)/異型遅発乳児性CLN8、およびサンタブオリ・ハルチア(Santavuori-Haltia)/乳児性CLN1/PPT疾患を含む)、β-マンノシドーシス、ポンペ病/糖原病II型、濃化異骨症、サンドホフ病/成人発症/GM2ガングリオシドーシス、サンドホフ病/GM2ガングリオシドーシス乳児型、サンドホフ病/GM2ガングリオシドーシス若年型、シンドラー病、サラ病/シアル酸蓄積症、テイ・サックス/GM2ガングリオシドーシス、ウォルマン病、多種スルファターゼ欠損症である、請求項38に記載の方法。 障害が肝疾患であり、前記肝疾患がα1アンチトリプシン欠損症または脂肪肝疾患である、請求項38に記載の方法。 障害が筋疾患であり、前記筋疾患が、自己貪食空胞性ミオパチーまたは過剰自己貪食を伴うX連鎖性ミオパチーである、請求項38に記載の方法。 (1)請求項1から26のいずれかに記載の阻害剤を投与する工程、(2)細胞内で自己貪食/リソソーム系を誘導する工程、および(3)細胞クリアランスを増加させる工程を含む、障害を処置する方法。 本発明は、TFEBリン酸化阻害剤に関する。そのような分子は、リソソーム蓄積症、神経変性疾患、肝疾患、筋疾患、および代謝疾患などの細胞自己貪食/リソソーム系の誘導を必要とする全ての障害において治療適用性を有する。 配列表


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