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タイトル:再公表特許(A1)_乳酸菌を含むインターフェロン産生誘導剤
出願番号:2011080359
年次:2014
IPC分類:A61K 35/74,A61P 43/00,A61P 37/04,A61P 31/12


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藤原 大介 城内 健太 杉村 哲 JP WO2012091081 20120705 JP2011080359 20111228 乳酸菌を含むインターフェロン産生誘導剤 キリンホールディングス株式会社 000253503 小岩井乳業株式会社 594197388 平木 祐輔 100091096 藤田 節 100118773 田中 夏夫 100111741 藤原 大介 城内 健太 杉村 哲 JP 2010293810 20101228 A61K 35/74 20060101AFI20140509BHJP A61P 43/00 20060101ALI20140509BHJP A61P 37/04 20060101ALI20140509BHJP A61P 31/12 20060101ALI20140509BHJP JPA61K35/74 AA61P43/00 107A61P43/00 117A61P37/04A61P31/12 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN 再公表特許(A1) 20140605 2012551033 38 4C087 4C087AA01 4C087AA02 4C087BC56 4C087CA09 4C087CA10 4C087CA11 4C087MA16 4C087MA34 4C087MA52 4C087NA14 4C087ZB33 本発明は、乳酸菌を含むインターフェロン産生誘導剤、該インターフェロン産生誘導剤を含む医薬及び飲食品に関する。 乳酸菌を含む細菌は自然免疫系と呼ばれる一群の免疫細胞によって認識・貪食され、サイトカインやケモカイン産生・遺伝子発現変化・エピジェネティックな遺伝子修飾などの生理的反応を引き起こす。自然免疫系の細胞は、マクロファージ・ナチュラルキラー(NK)細胞・樹状細胞に大別することができ、自然免疫系の反応は獲得免疫系の長期に渡る抗原特異的な反応とは対照的な短期かつ抗原非特異的な包括反応である。自然免疫系は主として細菌やウイルス感染におけるプライマリーレスポンスを担い、中でも樹状細胞は強力かつ重要な構成細胞である。樹状細胞は可塑性の高い細胞であり、極めて多くの亜種が存在するが、ミエロイド系樹状細胞(myeloid dendritic cell=mDC)とCD8+樹状細胞(CD8+dendritic cell=CD8+DC)及びプラズマサイトイド樹状細胞(形質細胞様樹状細胞、plasmacytoid dendritic cell=pDC)に大別することができる。mDCは細菌感染によって主としてインターロイキン-12(IL-12)・腫瘍壊死因子-α(TNF-α)などの炎症性サイトカインを放出し、ヘルパーT細胞(CD4+ T cell)の活性化を誘導する。CD8+DCはIL-12の強力な産生細胞であり、主としてウイルス感染やガン抗原のクロスプライミングによるキラーT細胞(cytotoxic T lymphocyte=CTL)の誘導を担っている。pDCはウイルスに対して増殖阻害活性を示すI型インターフェロン(type I interferon(IFN))の体内における主要な産生細胞であり、抗ウイルス生体防御において極めて重要な役割を持っている。Type I interferonには代表的なものとしてIFN-α/IFN-βがあり、それらを誘導するためにはToll様受容体(Toll-like receptor=TLR)のうちTLR3/TLR7/TLR9といったエンドソーム内TLRの刺激が必要である。一般的にTLR3リガンドとしてはウイルス由来二重鎖RNAが、TLR7リガンドとしてはウイルス由来一本鎖RNAや抗ウイルス剤であるイミダゾキノリンが、TLR9リガンドとしてはシトシンとグアニンがホスホジエステル結合で連結した非メチル化CpG DNAが知られている。このようにType I interferon産生誘導には細菌やウイルスの核酸がリガンドとなることが知られている。IFN-αはB型及びC型肝炎・慢性骨髄性白血病・多発性骨髄腫・腎ガンなどの治療薬として、IFN-βはB型及びC型肝炎に加えて多発性硬化症の治療薬として実用化されている。以上のことから、生体防御、特に抗ウイルス感染防御の観点からpDCは最も重要な細胞であると考えられる。IFN-γはtype II interferonに分類されるサイトカインであり、主としてNK細胞やTh1細胞によって産生されるが、抗ウイルス効果は弱く、IFN-αやIFN-βの抗ウイルス効果を増強する役割が主とされている。さらに最も最近発見されたIFN-λはtype IIIに分類され、最近抗ウイルス効果があることが証明され脚光を浴びているサイトカインであり、こちらもI型IFN同様に生体における主要な産生細胞はpDCである。 ところでウイルス以外にも細菌によりpDCの活性化あるいはIFN-α産生が起こることが知られている。pDCを活性化することが証明されている細菌としては、黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureusが報告されており、血中でのIFN-α産生を上昇させる細菌としてはクラミジア・サルモネラ・マイコバクテリア・リステリアなどの病原性細菌が知られている。また一部の乳酸菌でIFN-α産生を上昇させることも報告されているが(非特許文献1及び2を参照)、pDCとの関連は不明であるし、IFN-α産生能あるいはpDC活性化能を指標にスクリーニングが行われたこともない。また、同様に乳酸菌がIFN-β産生を上昇させることが報告され(特許文献1及び2、並びに非特許文献3を参照)、IFN-γ産生を上昇させること(特許文献3を参照)が報告されているが、これらとpDCの関連は不明である。IFN-λが抗ウイルス作用を持つこと(非特許文献4及び5を参照)、IFN-λの主要な産生細胞がpDCであること(非特許文献6)は報告されているが、乳酸菌との関連は不明である。再表2009‐005123号公報再表2009‐005124号公報特開2006-028047号公報特開2001-46020号公報特開2000-262247号公報福井雄一郎、矢島信浩:2006年度 日本食品免疫学会(2006.10.23-24)要旨「食品と開発 Vol.42, NO.5」2007年、p.85-87川島忠巨、西村都子:2010年度 日本乳酸菌学会(2010.07.26-27)要旨Nature Immunology, 4: 69-77 (2002)Gastroenterology,131:1887-1898 (2006)Blood, 115:4185-90(2010)The Journal of Immunology, 186:1685-1693 (2011)Journal of Leukocyte Biology 83:296-304 (2008) 本発明は、乳酸菌を有効成分として含むIFN産生を誘導し得るIFN誘導剤、該誘導剤を含む免疫増強剤あるいはウイルス感染防御剤、該誘導剤を含むIFN誘導活性、免疫増強活性若しくはウイルス感染防御活性を有する飲食品の提供を目的とする。 本発明者は、pDCを活性化させることを指標として、アッセイ系を構築し、摂取することによりウイルス感染防御を増強する乳酸菌を選抜した。 その結果、一部の乳酸球菌がpDCを活性化させ、該pDCからのインターフェロン産生を誘導することを見出した、さらに、一部の乳酸菌は経口投与しても生体内で効果を発揮し得ることを見出した。本発明者は、前記乳酸菌をIFN産生誘導剤として、さらに生体の免疫賦活作用によりウイルス感染成防御等に用い得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。 すなわち、本発明は以下のとおりである。[1] プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を活性化し、IFN産生を誘導し得る乳酸菌又はその培養物を有効成分として含むIFN産生誘導剤。[2] 乳酸菌の処理物が核酸を含む画分である、[1]のIFN産生誘導剤。[3] IFNがI型IFN又はIII型IFNである、[1]又は[2]のIFN産生誘導剤。[4] IFNがIFN-α、IFN-β及びIFN-λからなる群から選択されるIFNの1種以上である、[1]〜[3]のいずれかのIFN産生誘導剤。[5] プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を活性化し、IFN産生を誘導し得る乳酸菌株が経口投与した場合に、胃液や腸液に対する耐性が高く生存したまま腸管に到達し得る、[1]〜[4]のいずれかのIFN産生誘導剤。[6] プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を活性化し、IFN産生を誘導し得る乳酸菌株がLactococcus lactis subsp.lactis JCM5805である、[5]のIFN産生誘導剤。[7] [1]〜[6]のいずれかのIFN産生誘導剤を含む、免疫賦活剤。[8] [1]〜[6]のいずれかのIFN産生誘導剤を含む、ウイルス感染症の予防又は治療剤。[9] 経口投与剤である、[7]の免疫賦活剤。[10] 経口投与剤である、[8]のウイルス感染症の予防又は治療剤。[11] [1]〜[6]のいずれかのIFN産生誘導剤を含む、飲食品。[12] チーズ又はヨーグルトである、[11]の飲食品。[13] 乳酸菌株を骨髄細胞と共に培養し、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)が活性化され、IFN産生が誘導されたか否かを測定することを含む、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を活性化し、IFN産生を誘導し得る乳酸菌株のスクリーニング方法であって、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)が活性化され、IFN産生が誘導された場合に、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を活性化し、IFN産生を誘導し得る乳酸菌株と決定する方法。[14] [1]〜[6]のいずれかのIFN産生誘導剤を含む、組み換えワクチンのホスト。 本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2010-293810号の明細書及び/又は図面に記載される内容を包含する。 本願実施例に示すように、本願の特定の乳酸菌株を有効成分として含むIFN産生誘導剤は、in vitro及びin vivoにおいてpDCを活性化し、INF-α等のインターフェロンの産生を誘導し得る。生体内でインターフェロン産生を誘導する結果、生体の免疫を賦活し、ウイルス等の感染を防御し、ウイルス感染症を治療し得る。上記の乳酸菌を有効成分として含むIFN誘導剤は、免疫を賦活し、ウイルス感染症の予防又は治療に用い得る医薬として用いることができ、さらに免疫を賦活し、ウイルス感染の予防に有用な飲食品の成分として用いることができる。検討を行った乳酸菌株のリストを示す図である(その1)。検討を行った乳酸菌株のリストを示す図である(その2)。検討を行った乳酸菌株のリストを示す図である(その3)。IFN-αを50pg/ml以上産生した菌株数を桿菌、球菌毎に示す図である。IFN-αを100pg/ml以上産生した菌株数を桿菌、球菌毎に示す図である。Lactococcus lactis JCM5805(図3A)、JCM20101(図3B)の電子顕微鏡写真を示す図である。pDCの乳酸菌認識(取り込み)の違いを示す図である。図4A、B及びCは、それぞれ、Lactococcus lactis JCM5805、JCM21101及びLactobacillus rhamnosus ATCC53103を示す。IFN-α産生誘導能を有する乳酸菌のIFN-α産生能を示す図である。IFN-α産生誘導能を有する乳酸菌のIFN-β産生能を示す図である。IFN-α産生誘導能を有する乳酸菌のIFN-γ産生能を示す図である。IFN-α産生誘導能を有する乳酸菌のIFN-λ産生能を示す図である。IFN-α産生誘導能を有する乳酸菌のpDC活性化能を示す図であり、MHCII、CD40、CD80及びCD86の発現量を示す図である。IFN-α産生誘導能を有する乳酸菌のpDC活性化能を示す図であり、OX40L、PDL-1及びICOS-Lの発現量を示す図である。pDC・mDC共存下あるいは単独存在下における乳酸菌のIFN-α産生刺激能を示す図である。Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101、Lactobacillus rhamnosus ATCC53103をpDC単独培養系に添加した際のpDC形態写真を示す図である。図8Aはコントロール(乳酸菌無添加)の結果、図8BはLactococcus lactis JCM5805を添加したときのpDC、図8CはLactococcus lactis JCM20101を添加したときのpDC、図8DはLactobacillus rhamnosus ATCC53103を添加したときのpDCを示す。TLR2及びTLR4のノックアウトマウス由来のpDC/mDCの細胞にLactococcus lactis JCM5805、JCM20101及びLactobacillus rhamnosus ATCC53103を添加した場合のIFN-αの産生量を示す図である。TLR7、TLR9及びMyD88のノックアウトマウス由来のpDC/mDCの細胞にLactococcus lactis JCM5805、JCM20101及びLactobacillus rhamnosus ATCC53103を添加した場合のIFN-αの産生量を示す図である。Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101のDNA及びRNAのIFN-α活性化能を示す図である。健常マウスにおけるLactococcus lactis JCM5805摂取の効果の検討方法の概要を示す図である。Lactococcus lactis JCM5805摂取健常マウスにおける血中IFN-αの変動を示す図である。Lactococcus lactis JCM5805摂取健常マウスの脾臓におけるpDCでのMHC classIIの変動を示す図である。Lactococcus lactis JCM5805摂取健常マウスの腸間膜リンパ節におけるpDCでのMHC classIIの変動を示す図である。Lactococcus lactis JCM5805摂取健常マウスの脾臓におけるpDCでのCD86の変動を示す図である。Lactococcus lactis JCM5805摂取健常マウスの腸間膜リンパ節におけるpDCでのCD86の変動を示す図である。免疫抑制モデルを用いたLactococcus lactis JCM5805の評価法の概要を示す図である。免疫抑制モデルにおけるLactococcus lactis JCM5805株摂取の効果を示す図であり、マウスモデルの体重の変化量を示す図である。免疫抑制モデルにおけるLactococcus lactis JCM5805株摂取の効果を示す図であり、マウスモデルの血中IFN-α濃度の変動を示す図である。Lactococcus lactis JCM5805株を摂取した免疫抑制マウスモデルにおけるpDCでのMHC classIIの変動を示す図である。Lactococcus lactis JCM5805株を摂取した免疫抑制マウスモデルにおけるpDCでのCD86の変動を示す図である。Lactococcus lactis JCM5805株を摂取した免疫抑制マウスモデルにおけるpDCの割合を示す図である。Lactococcus lactis JCM5805株を摂取した免疫抑制マウスモデルのリンパ球を用いたフローサイトメーターでの測定結果を示す図である。Lactococcus lactis JCM5805株及び該株と同等の株(該株に由来する株及び該株が由来する株)を示す図である。Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101及びLactobacillus rhamnosus ATCC53103の生菌でのIFN-α活性化能を示す図である。MACS法にて分離したヒトpDCの純度をフローサイトメーターで解析したpDCの割合を示す図である。MACS法にて分離したヒトpDCにLactococcus lactis JCM5805株を添加した場合のELISA法で検出したIFN-αの産生量を示す図である。MACS法にて分離したヒトpDCにLactococcus lactis JCM5805株を添加した場合のRT-PCR法で検出したIFN-α1、β、λ1、およびGAPDHの遺伝子発現を示す図である。Lactococcus lactis JCM5805株ヨーグルト摂取グループとプラセボ摂取グループのpDCでのMHC classII活性の変化率を比較した図である。MHC classII活性が高値の被験者においてLactococcus lactis JCM5805株ヨーグルト摂取グループとプラセボ摂取グループのpDCでのMHC classII活性の変化率を比較した図である。MHC classII活性が低値の被験者においてLactococcus lactis JCM5805株ヨーグルト摂取グループとプラセボ摂取グループのpDCでのMHC classII活性の変化率を比較した図である。Lactococcus lactis JCM5805株ヨーグルト摂取グループとプラセボ摂取グループのpDCでのCD86活性の変化率を比較した図である。MHC classII活性が高値の被験者においてLactococcus lactis JCM5805株ヨーグルト摂取グループとプラセボ摂取グループのpDCでのCD86活性の変化率を比較した図である。MHC classII活性が低値の被験者においてLactococcus lactis JCM5805株ヨーグルト摂取グループとプラセボ摂取グループのpDCでのCD86活性の変化率を比較した図である。MHC classII活性が低値の被験者においてLactococcus lactis JCM5805株ヨーグルト摂取グループとプラセボ摂取グループの0週検査時と4週検査時のPBMCでのIFN-α1遺伝子の転写量を比較した図である。MHC classII活性が低値の被験者においてLactococcus lactis JCM5805株ヨーグルト摂取グループとプラセボ摂取グループの0週検査時と4週検査時のPBMCでのCpG刺激によるIFN-α産生量を比較した図である。試験食品摂取期間中の風邪症状の有無をLactococcus lactis JCM5805株ヨーグルト摂取グループとプラセボ摂取グループで1週間ごとに比較した表である。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明は乳酸菌を有効成分として含むIFN産生誘導剤である。IFN産生誘導とは、in vitro及びin vivoでIFNの産生を誘導することをいう。 本発明でIFN産生誘導剤として用い得る乳酸菌は、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC: plasmacytoid dendrtic cell)を活性化し、pDCのIFN産生を促進し得る乳酸菌である。さらに、本発明のIFN産生誘導剤として用い得る乳酸菌は、pDCにおいて、CD80、CD86、MHC classII等の活性化マーカーの発現を促進し得る。候補乳酸菌がこのような性質を有しているかどうかは、例えば、候補乳酸菌をマウス等の哺乳類の骨髄細胞の共存下で培養した場合に、pDCが活性化されて、IFNα、IFNβ等のIFNの産生が誘導されるかどうかを測定すればよい。IFNの測定は、例えば、培養液中のIFN濃度をELISA等により測定すればよい。本発明でIFN誘導剤として用い得る乳酸菌は、例えば、赤血球除去したマウス骨髄細胞を10%FCS、2μM β-メルカプトエタノールを含有するRPMI培地(SIGMA社製)に、5×105個/mLになるように縣濁し、得られた細胞懸濁液に、pDC誘導サイトカインとしてFlt-3Lを終濃度100ng/mlで添加し、CO2インキュベータ内で37℃、5%CO2にて培養し、7日後に乳酸菌株を10μg/mlで添加し、48時間後に培養上清を回収して、培養上清中のIFN-αをIFN-α測定キット(PBL社製)を用いてELISA法にて測定したときのIFN-α濃度が好ましくは50pg/ml以上、好ましくは100pg/ml以上である乳酸菌株である。 プラズマサイトイド樹状細胞(pDC: plasmacytoid dendrtic cell))を活性化し、pDCのIFN産生を促進し得る乳酸菌として、好ましくは乳酸球菌が挙げられ、さらに好ましくは、Lactococcus(ラクトコッカス)属、Leuconostoc(ロイコノストック)属、Pediococcus(ぺディオコッカス)属、Streptococcus(ストレプトコッカス)属に属する乳酸球菌が挙げられる。特に、Lactococcus garvieae(ラクトコッカス・ガルビエアエ)、Lactococcus lactis subsp.cremoris(ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス)、Lactococcus lactis subsp.lactis(ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・ラクティス)、Lactococcus lactis subsp.hordniae (ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・ホールドニアエ)、Leuconostoc lactis(ロイコノストック・ラクティス)、Pediococcus damnosus(ぺディオコッカス・ダムノーサス)、Streptococcus thermophilus(ストレプトコッカス・サーモフィラス)が好ましい。 このような、乳酸菌株として具体的には、Lactococcus garvieae NBRC100934、Lactococcus lactis subsp.cremoris JCM16167、Lactococcus lactis subsp.cremoris NBRC100676、Lactococcus lactis subsp.hordniae JCM1180、Lactococcus lactis subsp.hordniae JCM11040、Lactococcus lactis subsp.lactis NBRC12007、Lactococcus lactis subsp.lactis NRIC1150、Lactococcus lactis subsp.lactis JCM5805、Lactococcus lactis subsp.lactis JCM20101、Leuconostoc lactis NBRC12455、Leuconostoc lactis NRIC1540、Pediococcus damnosus JCM5886、Streptococcus thermophilus TA-45が挙げられ、この中でも特にIFN-α産生誘導能が高いLactococcus lactis subsp.lactis JCM5805及びLactococcus lactis subsp.lactis JCM20101、特にLactococcus lactis JCM5805を好適に用いることができる。 さらに、本発明のIFN産生誘導剤として用い得る乳酸菌として、経口摂取した場合にも、生体に対してIFN誘導作用を有する乳酸菌が好ましい。そのような乳酸菌は、胃液や腸液に対する耐性が高く、例えば、強い酸耐性を有しており、生存したまま腸管に到達し得る乳酸菌である。上記のLactococcus lactis JCM5805は経口摂取した場合にも、生体に対して大きなINF産生誘導作用を発揮し得る。 上記の乳酸菌株は、理化学研究所 バイオリソースセンター(日本国 茨城県つくば市高野台3丁目1番地の1)、独立行政法人製品評価技術基盤機構生物遺伝資源部門(http://www.nbrc.nite.go.jp)東京農業大学菌株保存室(http://nodaiweb.university.jp/nric/)、DANISCO社から入手することができる。また、Lactococcus garvieae NBRC100934、Lactococcus lactis subsp.cremoris JCM16167、Lactococcus lactis subsp.cremoris NBRC100676、Lactococcus lactis subsp.hordniae JCM1180、Lactococcus lactis subsp.hordniae JCM11040、Lactococcus lactis subsp.lactis NBRC12007、Lactococcus lactis subsp.lactis NRIC1150、Lactococcus lactis subsp.lactis JCM5805、Lactococcus lactis subsp.lactis JCM20101、Leuconostoc lactis NBRC12455、Leuconostoc lactis NRIC1540、Pediococcus damnosus JCM5886、Streptococcus thermophilus TA-45と同等の菌株を用いることができる。ここで、同等の菌株とは、上記の菌株から由来している菌株又は上記の菌株が由来する菌株若しくはその菌株の子孫菌株をいう。同等の菌株は他の菌株保存機関に保存されている場合もある。図17に、Lactococcus lactis JCM5805に由来する菌株及びLactococcus lactis JCM5805が由来する菌株を示す。図17に記載のLactococcus lactis JCM5805の同等の菌株も本発明のIFN産生誘導剤の有効成分として用いることができ、本発明でLactococcus lactis JCM5805という場合、これらの同等の菌株も含む。他の本発明のIFN産生誘導剤として用い得る乳酸菌株は、理化学研究所 バイオリソースセンター、American type culture collection (米国)、財団法人発酵研究所(日本国 大阪府大阪市淀川区十三本町2丁目17番85号)、東京農業大学・菌株保存室(日本国 東京都世田谷区桜丘1丁目1番1号)等から入手することができる。 本発明のIFN産生誘導剤により、Type I IFN(I型インターフェロン)、Type II IFN(II型インターフェロン)、Type III IFN(III型インターフェロン)のいずれのIFNも誘導され得る。Type I IFNはウイルス感染に有効とされるサイトカインをいい、IFN-α(1、2、4、5、6、7、8、10、13、14、16、17、21)、IFN-β等が含まれる。Type II IFNにはIFN-γが含まれ、Type III IFNにはIFN-λが含まれる。本発明のIFN産生誘導剤は、この中でも特にType I IFNの産生誘導活性を有する。本発明のIFN産生誘導剤は、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC: plasmacytoid dendrtic cell)を活性化する。プラズマサイトイド樹状細胞が活性化されると、活性化樹状細胞の特徴である細胞突起が出現し、Type I IFN及びType III IFNを産生する。この際、本発明のIFN産生誘導剤の有効成分である乳酸菌がpDCに取り込まれる。本発明のIFN産生誘導剤は、特に、Type I IFN及び Type III IFNの産生誘導能、その中でもとりわけType I IFNであるIFN-αの産生誘導能が大きい。また、本発明のIFN産生誘導剤によりNK細胞やTh1細胞からのIFN-γ等のType II IFNの産生も誘導され得る。IFN産生を誘導することにより生体の免疫活性が上昇する。その一方で、本発明のIFN産生誘導剤の有効成分である乳酸菌は、PDL-1の発現も誘導し得る。PDL-1はPD-1(programmed death-1)のリガンドであり、PD-1と結合し、制御性T細胞を誘導することにより、免疫系の過剰な活性化を抑制し、自己免疫反応等が起こるのを抑制し得る。すなわち、本発明のIFN産生誘導剤は、IFN産生を誘導し、生体免疫機能を活性化すると共に、過剰な免疫反応を抑制し、生体内での免疫反応のバランスを保つことができる。 また、本発明のIFNの産生誘導剤は、Type I IFN、Type III IFNの産生を同時に誘導することができ、すなわち、IFN-α、IFN-β及びIFN-λの産生を同時に誘導することができる。 また、本発明のIFN産生誘導剤は、pDCにおいてCD80、CD86、MHC classIIの発現を促進する。IFN産生誘導は、TLR9がレセプターとして関与する。 本発明のIFN産生誘導剤は、上記の乳酸菌の培養物を含む。培養物とは、生菌体、死菌体、生菌体又は死菌体の破砕物、生菌体又は死菌体の凍結乾燥物、該凍結乾燥物の破砕物、培養液、培養液抽出物等をいい、乳酸菌の一部や乳酸菌の処理物も含む。ここで、乳酸菌の処理物には、例えば乳酸菌を酵素処理、熱処理等によって処理したもの、あるいは該処理したものをエタノール沈殿させ回収したものが含まれる。さらに、上記乳酸菌のDNA又はRNAも乳酸菌の培養物に含まれる。上記乳酸菌のDNA又はRNAはpDCを活性化し、IFN産生を誘導し得ると考えられる。 乳酸菌の培養は、公知の培地を用いた公知の方法で行うことができる。培地としては、MRS培地、GAM培地、LM17培地を用いることができ、適宜無機塩類、ビタミン、アミノ酸、抗生物質、血清等を添加して用いればよい。培養は、25〜40℃で数時間〜数日行えばよい。 培養後、乳酸菌菌体を遠心分離やろ過により集菌する。死菌として用いる場合、オートクレーブ等により殺菌不活化して用いてもよい。 本発明のIFN産生誘導剤の有効成分として用い得る乳酸菌のIFN産生誘導活性は、候補菌株を培養し、その培養物の存在下でIFN産生細胞を培養し、IFN産生細胞のIFN産生量が上昇するかどうかを検定することにより、測定することができる。典型的には菌体を凍結乾燥したものを用いる。凍結乾燥物を菌体重量が0.1〜5mg/mLになるように調製し、例えば、骨髄細胞と培養する。骨髄細胞の由来は問わないが、ヒト由来骨髄細胞、マウス等の非ヒト動物由来の骨髄細胞を用いることができる。用いた骨髄細胞において、pDCが活性化され、IFN産生が誘導された場合に、用いた乳酸菌株は本発明のIFN産生誘導剤の有効成分として用いることができると決定することができる。pDCの活性化は、例えばpDCの活性化マーカーを測定すればよく、活性化マーカーとして、CD80、CD86、MHC class IIが挙げられる。これらの活性化マーカーはこれらのマーカーに対する抗体を用いて細胞染色やフローサイトメーターを用いて測定することができる。また、IFNとしては、IFN-α、IFN-β等のType I IFN、IFN-γ等のType II IFN、IFN-λ等のType III IFNが挙げられるが、この中でもType I IFN、 Type III IFNが望ましく、さらにType I IFNが望ましく、特にIFN-αが望ましい。IFNの産生誘導は、上記培養系において培地中のIFN量を例えばELISAにより測定すればよい。 本発明は、IFN産生誘導活性を有し、本発明のIFN産生誘導剤の有効成分として用い得る乳酸菌株のスクリーニング方法も包含する。 本発明のIFN産生誘導剤はIFNの産生を誘導し、生体の免疫活性を高める医薬として用いることができる。すなわち、該IFN産生誘導剤は、免疫増強剤、免疫賦活化剤として用いることができる。該医薬は、既にType I IFNの適応疾患と知られている、腎癌・多発性骨髄腫・慢性骨髄性白血病・ヘアリー細胞白血病・膠芽腫・髄芽腫・星細胞腫・悪性黒色腫・菌状息肉症・成人T細胞性白血病などを含むガン、亜急性硬化性全脳炎・HTLV-1脊髄症・B型肝炎・C型肝炎などを含むウイルス感染症、クラミジア(性病)・マイコバクテリウム(結核)・リステリア(敗血症など)・スタフィロコッカス(食中毒)・ヘリコバクター(胃炎)等の細菌による感染症、多発性硬化症などを含む自己免疫疾患の予防あるいは治療薬として用いることができる。特に前記医薬はウイルス感染防御及びウイルス感染治療剤として有用である。また、Type I IFNの活性として骨芽細胞から破骨細胞への分化抑制機能が知られていることから、骨そしょう症の予防あるいは治療薬としても用いることができる。 さらに、本発明のIFN誘導剤である乳酸球菌株中に特定の疾患に対応する抗原を遺伝子工学的手法を用いて発現させることにより、ワクチンとして用いることができる。特に乳酸菌の細胞壁は胃酸から抗原を守る働きがあるため、このような異種抗原発現菌株は経口ワクチンのホストとして好適である。一般的にワクチンには生ワクチン、全粒子不活化ワクチン及びスプリットワクチンがあるが、生ワクチンにはウイルス強毒化の危険性があり、全粒子不活化ワクチンでは不純物による副作用懸念があり、最も安全性の高いスプリットワクチンでは有効性に問題がある。このような問題を克服するために目的の抗原のみを発現する組み換えワクチンの開発が進められているが、本発明のIFN誘導効果のある乳酸球菌に発現させればアジュバント効果も合わせて得られることとなり、極めて有用性が高い。 本発明のIFN産生誘導剤の形態は特に限定されない。例えば、粉末、顆粒、錠剤、シロップ、注射剤、点滴剤、散剤、座剤、懸濁剤、軟膏剤などが挙げられる。本発明の医薬組成物は、経口で投与してもよく、また静注、筋注、皮下投与、直腸投与、経皮投与等の非経口で投与してもよいが、経口投与が好ましい。前記IFN産生誘導剤は、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着色剤等を含んでいても良い。賦形剤としてはブドウ糖、乳糖、コーンスターチ、ソルビット等が、崩壊剤としてはデンプン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン末、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、デキストリン等が、結合剤としてはジメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等が、滑沢剤としてはタルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、硬化植物油等がそれぞれ挙げられる。投与量は、投与する患者の年齢、体重、性別、疾患の相違、症状の程度により適宜決定することができ、1日1回又は数回に分けて投与すればよく、1回菌数にして1×109〜1×1012細胞に相当する量の培養物を投与すればよい。あるいは、乳酸菌体の重量換算で1回1〜1000mgを投与すればよい。 さらに、本発明のIFN産生誘導剤は、飲食品に含ませて用いることもでき、飲食物に含ませることによってその飲食品をIFN産生誘導用飲食品、免疫増強用飲食品、免疫賦活用飲食品、ウイルス感染防御用飲食品等として用いることができる。対象となる飲食品の種類は、これらのIFN産生誘導のための活性成分が阻害されないものであれば特に限定されない。例えば、乳・乳製品;飲料;調味料;酒類;農産・林産加工食品;菓子・パン類;穀粉・麺類;水産加工品;畜産加工品;油脂・油脂加工品;調理冷凍食品;レトルト食品;インスタント食品;食品素材などが挙げられる。この中でも、ヨーグルト、チーズ等の発酵乳製品や乳酸菌飲料に用いることができる。発酵飲食品として用いる場合、IFN産生誘導活性を有する乳酸菌を発酵飲食品に死菌として所要量添加するほか、乳酸菌スターターとして用いて発酵飲食品を製造することもできる。 本発明の乳酸菌の核酸を豊富に含んだ画分についても、IFN産生誘導剤として用いることができる。核酸はDNA又はRNAであり、これらの混合物であっても良いが、好ましくはDNAである。この画分は、例えば酵素処理および熱処理によって(特許文献4)、あるいはエタノールによる沈殿を回収することによって(特許文献5)製造することができる。本発明において、該画分を乳酸菌の処理物という。該画分によって活性物質が濃縮されたより効果の高い健康飲食品を提供することができる。 本発明の飲食品は、健康飲食品、特定保健用飲食品、栄養機能飲食品、健康補助飲食品等を含む。ここで、特定保健用飲食品とは、食生活において特定の保健の目的で摂取をし、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする飲食品をいう。これらの飲食品には、例えば、体の免疫機能を増強する、体の免疫機能を賦活する、風邪をひきにくくする、インフルエンザウイルス、ノロウイルスあるいはロタウイルス等のウイルスに感染しにくくする、発がん予防に効果を有する等の表示が付されていてもよい。 本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。[実施例1]試験乳酸菌株の調製<実験方法> 図1A及び図1B、図1Cに記載された乳酸菌株の加熱死菌体を調製した。まず国内外の微生物ライブラリーから、当該乳酸菌株を購入した。入手先は、理化学研究所・バイオリソースセンターのJapan Collection of Microorganisms(JCM)株、財団法人発酵研究所のInstitute of Fermentation, Osaka(IFO)株、東京農業大学・菌株保存室のNODAI Culture Collection Center(NRIC)株、及び米国・American Type Culture Collection(ATCC)株、 DANISCO社株である。内訳は31菌種125株となった。乳酸菌株はMRS培地もしくはGAM培地もしくはLM17培地で30℃もしくは37℃で24〜48時間、静置培養した。集菌後、滅菌水で3回洗浄し、100℃・30分オートクレーブすることにより、殺菌した。その後、菌体を凍結乾燥し、1mg/mlになるようにPBS(TAKARA BIO社製)で濃度を調整した。[実施例2]IFN-α産生誘導能を有する乳酸菌株のスクリーニング 実施例1で調製した乳酸菌株のpDC活性化によるIFN-α産生誘導能を評価した。<実験方法> C57BL/6マウス骨髄細胞を大腿骨から常法に従って回収し、赤血球除去処理を行った。次に得られた骨髄細胞を、10%FCS、2μM β-メルカプトエタノールを含有するRPMI培地(SIGMA社製)に、5×105個/mLになるように縣濁した。得られた細胞懸濁液に、pDC誘導サイトカインとしてFlt-3L(R&D systems社製)を終濃度100ng/mlで添加し、CO2インキュベータ内で37℃、5%CO2にて培養した。7日後に各種乳酸菌株を10μg/mlで添加し、48時間後に培養上清を回収した。培養上清は、IFN-α測定キット(PBL社製)を用いてELISA法にて測定した。<結果> ELISAでの確実なIFN-α産生があると見なすことのできる50pg/ml以上の誘導があった株を図2に示す。調べ125株のうち、わずか13株 (Lactococcus garvieae NBRC100934、Lactococcus lactis subsp.cremoris JCM16167、Lactococcus lactis subsp.cremoris NBRC100676、Lactococcus lactis subsp.hordniae JCM1180、Lactococcus lactis subsp.hordniae JCM11040、Lactococcus lactis subsp.lactis NBRC12007、Lactococcus lactis subsp.lactis NRIC1150、Lactococcus lactis subsp.lactis JCM5805、Lactococcus lactis subsp.lactis JCM20101、Leuconostoc lactis NBRC12455、Leuconostoc lactis NRIC1540、Pediococcus damnosus JCM5886、Streptococcus thermophilus TA-45)にしか活性は認められなかった。100pg/mlをクリアする株に至っては3株( Lactococcus lactis subsp.lactis NRIC1150、Lactococcus lactis subsp.lactis JCM5805、Lactococcus lactis subsp.lactis JCM20101 )しか存在しなかった。pDCに対するIFN-α産生誘導能は大半の菌株には存在せず、乳酸菌普遍的な活性ではないことが示された。 また、選択された高産生誘導株(=100pg/ml以上)3株中3株がLactococcus lactis subsp.lactis に分類される球菌であった。さらに図2Aに示すように乳酸桿菌のヒット率0.00%に対し、球菌のそれは34.29%と格段に高く、図2Bの高産生誘導株では桿菌のヒット率0.00%に対し、球菌のそれは8.57%とやはり高いことから、pDCを刺激してIFN-α産生誘導を行う活性は乳酸球菌に特徴的な性質であることが示唆された。pDCに対する直接的な刺激活性については、黄色ブドウ球菌において報告があるが、無害でヒトが摂取できる細菌のpDC活性化能はこれが初めての発見である。 また、以後の解析では特にIFN-α産生誘導能が顕著であったLactococcus lactis JCM5805、JCM20101及びネガティブコントロールとして桿菌であるLactobacillus rhamnosus ATCC53103の3株について行っていくこととした。 なお、Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101の電子顕微鏡写真を図3に示す。図3AがJCM5805を示し、図3BがJCM20101を示す。どちらも短径0.5μm、長径1μm程度の楕円型球菌であった。一般的な桿菌の大きさが短径1μm、長径3μm程度であることを考えると、かなり小さいといえる。[実施例3]pDCの乳酸菌認識(取り込み)の違い 実施例2で明らかとなったpDC活性化乳酸菌Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101及びネガティブコントロールであるLactobacillus rhamnosus ATCC53103を用いて活性の有る無しがpDCによる認識、すなわち取り込みの有る無しに帰結するのではないかと考え実験を行った。<実験方法> 実施例2で骨髄細胞を培養する際に、マイクロカバーガラス(松浪ガラス社製)を敷いて培養した。そこへFITC(SIGMA社製)標識したLactococcus lactis JCM5805、JCM20101、Lactobacillus rhamnosus ATCC53103を添加し3時間、CO2インキュベータ内で37℃、5%CO2にて培養した。3時間後マイクロカバーガラスを回収し、抗B220-PE-Cy5.5(eBiosciencs社製)で染色し、スライドガラス(松浪ガラス社製)に接着させ、蛍光顕微鏡(オリンパス社製)で観察した。<結果> 結果を図4に示す。図4A、B及びCは、それぞれ、Lactococcus lactis JCM5805、JCM21101及びLactobacillus rhamnosus ATCC53103を示す。B220陽性の赤い細胞がpDCである。Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101株では、緑色に染まった乳酸菌が細胞内に取り込まれているのが観察されるが、Lactobacillus rhamnosus ATCC53103では細胞内に入っていない。従って、活性の有無はpDCによる認識の有無に帰結すると考えられる。[実施例4]IFN産生誘導能における乳酸菌の活性 IFN-α産生誘導能を有する乳酸菌の他のサイトカイン産生能についても検討を行った。<実験方法> Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101及びLactobacillus rhamnosus ATCC53103死菌凍結乾燥菌体を10μg/ml、ポジティブコントロールとして既知TLRLであるPam3CSK4(=TLR2L:InvivoGen社製, 1μg/ml)、LPS(=TLR4L:SIGMA-ALDRICH社製, 5ng/ml)、CpG DNA(=TLR9L:InvivoGen社製, 0.1μM)を実施例2に記載のpDC/mDC培養系に添加し、48時間後の培養上清を回収した。培養上清は、IFN-α測定キット(PBL社製)、IFN-β測定キット(PBL社製)、IFN-γ測定キット(BD Pharmingen社製)、IL-28/IFN-λ測定キット(eBiosciencs社製)を用いてELISA法にて測定した。<結果> 結果を図5A〜Dに示す。図5A、B、C及びDは、それぞれIFN-α、IFN-β、IFN-γ及びIFN-λの結果を示す。実施例2に記載の通り、IFN-α産生能はLactococcus lactis JCM5805、JCM20101で見られ、その力価はTLR9LであるCpG DNA (ODN 1585) 0.1μMと同程度であった。同じType I IFNであるIFN-βについてはLactococcus lactis JCM5805、JCM20101でのみ見られた。Type II IFNであるIFN-γについてはどの菌株でも程度の多少こそあれ産生誘導能が見られた。Type III IFNであるIFN-λについてはLactococcus lactis JCM5805、JCM20101でのみ誘導が起こった。 IFN-λはIFN-αやIFN-βと比べてIFN誘導遺伝子群(ISG)の誘導は弱いことが知られているが、IFN-αと協調して働くことで抗ウイルス効果が増強されることが知られている(非特許文献5)。Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101はType I II III IFNのすべての産生を誘導できるため、非常に強い抗ウイルス作用を有することが考えられる。[実施例5]pDC活性化における乳酸菌の活性 IFN-α産生誘導能を有する乳酸菌のpDC活性化能についても検討を行った。<実験方法> 実施例3で培養した細胞についてpDCゲート用に抗CD11b-APC-Cy7(BD Pharmingen社製)、抗B220-PerCP(BD Pharmingen社製)、抗CD11c-PE-Cy7(eBiosciencs社製)、活性化指標として抗MHC classII-FITC(eBiosciencs社製)、抗CD40-FITC(eBiosciencs社製)、抗CD80-APC(eBiosciencs社製)、抗CD86-APC(eBiosciencs社製)、抑制性マーカーとして抗OX40L-PE(eBiosciencs社製)、抗PDL-1-PE(eBiosciencs社製)、抗ICOS-L-PE(eBiosciencs社製)の各抗体を用いて30分間、4℃にて染色し、細胞を洗浄し、FACS CantoII(BD社製)を用いて解析した。<結果> 結果を図6A及びBに示す。図6AはMHCII、CD40、CD80及びCD86の発現量を示し、図6BはOX40L、PDL-1及びICOS-Lの発現量を示す。無添加時のMedian Fluorescent Intensity(MFI)の数値を上段に、乳酸菌添加時のMFI値を下段に記載した。活性化マーカーにおいては、どの乳酸菌株添加によっても上昇が認められたが、Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101とIFN-α産生誘導能の無いLactobacillus rhamnosus ATCC53103の最大の差異は、T細胞上の活性制御分子であるCD28及びCTLA-4のリガンドであるCD80及びCD86において見られ、Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101では強く発現が活性化した。一方、抑制性マーカーではやはり乳酸菌添加によって発現量増大が認められたが、特にPDL-1ではLactococcus lactis JCM5805、JCM20101では強く発現が活性化した。 前述のように、Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101で刺激されたpDCはIFN-αを産生することで免疫力の底上げを行う。しかしながら、免疫力を上昇させる副作用として、自己免疫疾患になる可能性は否めない。本試験において、Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101刺激によって産生誘導が確認されたPDL-1はT細胞のPD-1と結合し、制御性T細胞を誘導することが知られている因子である。すなわち、Lactococcus lactis JCM5805, JCM20101はIFN-α産生を通じて免疫力の底上げを行うだけではなく、PDL-1の発現を介して、免疫系が過剰に活性化しないようにバランスを取ることができると考えられる。[実施例6]pDC・mDC共存下あるいは単独存在下における乳酸菌のIFN-α産生刺激能 実施例2によってIFN-α産生誘導活性によりLactococcus lactis JCM5805、JCM20101が選抜された。一方、アッセイ系に使用した培養系ではpDC以外にミエロイド系樹状細胞(myeloid dendritic cell=mDC)が生成してくる、言わばpDC/mDCの混合培養系である。生体においてはpDCとmDCの相互作用が重要と考えられており、例えばウイルス感染時にはpDCがmDCにコンバートされる現象も報告されている。そこで、pDC、mDC単一細胞培養系あるいは混合培養系、さらには混合培養で2つの細胞を物理的に遮断する系における乳酸菌添加の効果を検討した。<実験方法> 実施例2と同様にFlt-3Lによって骨髄細胞から誘導したpDC及びmDCの混合培養を行い、FACS Aria(BD社製)にてpDCとmDCを分離した。次に各細胞1×105 cells/mlで(1)pDC及びmDCを分離した単一培養系(データ内の表記:pDCあるいはmDC)。(2)pDCとmDCが物理的に接触する混合培養系(pDC:mDC-1:1)。(3)pDCとmDCの共培養だが、半透膜により物理的接触を遮断した培養系(pDC/mDCあるいはmDC/pDC、半透膜上に培養し乳酸菌と接触する細胞を左側に記載)。半透膜にはトランスウェル(CORNING社製)を使用し、乳酸菌添加量は10μg/mlとした。2日間培養後、培養上清中のIFN-α量を測定した。なお、ポジティブコントロールとしてpDC活性化能が知られているCpG DNA(ODN1585)を0.1μMで使用した。また、分離したpDCをサイトスピン(Thermo社製)を用いてスライドガラス(松浪ガラス工業社製)に付着させ、ディフクイック(シスメックス社製)を用いて染色し、顕微鏡(オリンパス社製)観察した。<結果> 結果を図7に示す。Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101共に同様のレスポンスを示した。すなわち、mDC単独培養系ではIFN-α産生は起こらず、pDC単独培養系において少量のIFN-αを誘導し、pDC・mDC混合培養系で顕著な産生が起こった。また、Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101、Lactobacillus rhamnosus ATCC53103をpDC単独培養系に添加した際のpDC形態写真を図8に示す。図8Aはコントロール(乳酸菌無添加)の結果、図8BはJCM5805を添加したときのpDC、図8CはJCM20101を添加したときのpDC、図8DはATCC53103を添加したときのpDCを示す。Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101添加時と無添加時のpDCを比較すると、Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101添加時に、活性化した樹状細胞に特徴的に認められる突起が明らかに観察された。一方Lactobacillus rhamnosus ATCC53103添加時にはLactococcus lactis JCM5805、JCM20101添加時に観察されたような突起は観察されなかった。さらに興味深いことに、半透膜でpDCとmDCの物理的接触を遮断するとpDC単独培養レベルにまでIFN-α産生が激減した。これらのことから、乳酸菌はpDCをプライマリーターゲットとするがその活性化によるIFN-α産生をフルに誘導するためにはmDCの共存を要求し、さらにpDCとmDCのクロストークを媒介するものは液性因子ではなく、細胞同士の接触であることが判明した。ほぼ同じ現象がCpG DNA添加によっても観察されており、このようなpDCの活性化現象におけるmDCの役割は、乳酸菌という素材に限定されない普遍的なメカニズムであることが証明された。ヒト生体においては、pDCとmDCは共存しており、このメカニズムはヒトへの応用を考える上で重要な証拠となる。[実施例7]関与レセプターの同定 Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101のIFN-α産生における必須シグナルについて一連のTLRノックアウトマウスを用いて検討した。<実験方法> TLR2、TLR4、TLR7、TLR9及びMyD88のノックアウトマウス(8〜10週齢・雄)及びwild typeであるC57BL/6(8〜10週齢・雄)をチャールズリバー社から購入した。それぞれの骨髄細胞から実施例2と同様な方法によってpDC/mDCの細胞を誘導し、Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101及びLactobacillus rhamnosus ATCC53103を添加した。ポジティブコントロールとして実施例3に記載の3つのTLRLに加えて、TLR7LであるssRNA40(InvivoGen社製, 5μg/ml)を使用した。48時間後の培養上清を回収し、培養上清中IFN-α産生量をELISAにて測定した。<結果> 結果を図9A及び図9Bに示す。図9AはTLR2ノックアウトマウス及びTLR4ノックアウトマウスの結果を示し、図9BはTLR7ノックアウトマウス、TLR9ノックアウトマウス及びMyD88ノックアウトマウスの結果を示す。図中、WTは野生型マウスの結果を示す。Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101によるIFN-α産生能はTLR2あるいはTLR4ノックアウトマウスで変化は見られず、それらの関与は否定された。TLR9及びMyD88ノックアウトマウスでは、Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101どちらの添加においてTLR9及びMyD88ノックアウトによって完全にIFN-αが消失した。従ってLactococcus lactis JCM5805、JCM20101のIFN-α産生を担うレセプターはTLR9であることが証明された。[実施例8]活性本体の同定 実施例5によってLactococcus lactis JCM5805、JCM20101の認識レセプターがTLR9であることが判明した。それらのリガンドの同定について試みた。TLR9のリガンドとしてはCpG DNAに代表されるDNAが知られており、同じ核酸であるRNAについてもRNAウイルスに代表されるssRNAがTLR7Lとして、dsRNAがTLR3Lとして知られている。従って、リガンドとしてDNAあるいはRNAが想定されたため、両株からDNA/RNAを抽出して活性を調べた。<実験方法>・乳酸菌からのDNA調製 実施例1に従ってLactococcus lactis JCM5805、JCM20101及びLactobacillus rhamnosus ATCC53103を静置培養した。集菌後、滅菌水で3回洗浄した菌に50mM Tris-HCl,5mM EDTA,6.7%Sucrose(PH8.0)に調製した溶液を添加する。次にN-アセチルムラミディス(生化学工業社製, 2.5mg/ml)、リゾチーム(生化学工業社製, 50mg/ml)を添加し、37℃、45分静置した。そこへ50mM Tris-HCl,250mM EDTA(PH8.0),10%SDSを添加し、37℃、10分静置した。5.0M NaClを添加し、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(和光純薬社製)を添加し遠心分離した。上清のみを回収し、上清の2倍量のエタノールを加え遠心分離した。上清を除去し、沈殿物に70%エタノールを添加し遠心分離した。上清を除去しRNase(QIAGEN社製)を添加し、37℃、60分静置した。そこに5.0M NaClを添加しフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(和光純薬社製)を添加し遠心分離した。上清のみを回収し、上清の2倍量のエタノールを加え遠心分離した。上清を除去し、沈殿物に70%エタノールを添加し遠心分離した。上清を除去した沈殿物にNuclease Free Water(QIAGEN社製)を添加した。以上によって調製されたLactococcus lactis JCM5805、JCM20101及びLactobacillus rhamnosus ATCC53103のDNAをそれぞれ0.1、1、10μg/mlでpDC/mDCの培養系に添加した。48時間後の培養上清を回収し、培養上清中IFN-α産生量をELISAにて測定した。また、菌体そのものもコントロールとして使用した。・乳酸菌からのtotal RNA調製 実施例1に従ってLactococcus lactis JCM5805、JCM20101及びLactobacillus rhamnosus ATCC53103を静置培養した。集菌後、滅菌水で3回洗浄した菌にRNAprotect Bacteria Reagent(QIAGEN社製)を添加し37℃、5分静置し、遠心分離した。上清を除去し、リゾチーム(生化学工業社製, 5mg/ml)を添加し、37℃、10分静置した。その後DNase(QIAGEN社製)処理、RNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いてLactococcus lactis JCM5805、JCM20101及びLactobacillus rhamnosus ATCC53103のtotal RNAを調製した。Total RNAをそれぞれ0.1、1、10μg/mlで実施例3に従って培養した細胞培養系に添加した。48時間後の培養上清を回収し、培養上清中IFN-α産生量をELISAにて測定した。また、菌体そのものもコントロールとして使用した。<結果> 結果を図10に示す。Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101 DNAは予想通り、強いIFN-α誘導活性を有しており、Lactococcus lactis JCM5805では1μg/mlで、Lactococcus lactis JCM20101では10μg/ml添加で活性が明らかに検出された。また、菌体自体では活性が検出されないLactobacillus rhamnosus ATCC53103においてもDNAはLactococcus lactis JCM20101と同程度の活性が見られた。さらに、驚くべきことにLactococcus lactis JCM20101ではtotal RNA添加によって活性が検出され、1μg/ml以上でIFN-α産生が誘導された。 これらのことから、(1)IFN-α産生誘導活性の活性本体はDNAであり、菌体として活性の無い株のDNAにも活性はある。(2)Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101に代表されるpDC活性化・IFN-α産生誘導乳酸菌は菌体としてpDCに認識されるために、DNA抽出を行わないでも活性が検出されるが、Lactobacillus rhamnosus ATCC53103のような株に活性が無い理由はpDCに認識されないことである。(3)まれにDNA以外に乳酸菌RNAが活性を持つことがあり、TLRLとして機能する。ことが明らかとなった。今回のLactococcus lactis JCM20101 RNAは前実施例と合わせて考えると、DNAがリガンドとして知られているTLR9に対する初めてのRNAリガンドということになる。[実施例9]健常マウスにおけるLactococcus lactis JCM5805摂取の効果 これまでの実施例からin vitroにおいて乳酸菌の一部にpDC活性化・IFN-α産生誘導能があることが見出された。そこで代表としてLactococcus lactis JCM5805を取り上げ、in vivoにおける経口投与での免疫賦活効果を検討した。<実験方法> C57BL/6マウス(7週齢・雌)を1群5匹で、標準食群(AIN93G:オリエンタル酵母工業社製)・Lactococcus lactis JCM5805混餌投与群・Lactobacillus rhamnosus ATCC53103混餌投与群の3群を設定した。乳酸菌の投与量は1日1匹あたり10mgに設定した。採血はday0、3、7(解剖時)に行い、血中IFN-α産生量をELISAにて測定した。また、解剖時の脾臓及び腸間膜リンパ節を摘出し、樹状細胞が濃縮される低密度細胞画分を以下の方法で調製した。(常法に従い脾臓リンパ球及び腸間膜リンパ節リンパ球を調製し、20mM HEPES(GIBCO社製)を含有するHBSS(GIBCO社製)に懸濁し、終濃度が15%となるようにHistodenz(SIGMA-ALDRICH社製)を溶解させた10%FCSを含有するRPMI培地(SIGMA社製)の上に細胞液を重層する。遠心分離の後、中間層の細胞(低密度細胞画分)を回収する。)低密度細胞画分は、pDCゲート用に抗CD11b-APC-Cy7(BD Pharmingen社製)、抗mPDCA-1-APC(Milteny Biotec社製)、抗CD11c-PE-Cy7(eBiosciencs社製)、活性化指標として抗MHC classII-FITC(eBiosciencs社製)、抗CD86-PE(eBiosciencs社製)抗体で染色し、フローサイトメーターでin vivoにおけるpDCゲート(CD11cintCD11b-mPDCA-1+)を設定し、pDC上の活性化マーカーであるMHC classII及びCD86の発現量を測定した。健常マウスにおけるLactococcus lactis JCM5805摂取の効果の検討方法の概要を図11に示す。<結果> 図12に血中IFN-αの測定結果を図13A〜DにpDCの活性化の結果を示す。図13A及び図13Bがそれぞれ脾臓及び腸間膜リンパ節におけるpDCでのMHC classIIの変動を示し、図13C及び図13Dはそれぞれ脾臓及び腸間膜リンパ節におけるpDCでのCD86の変動を示す。血中IFN-αについては、Lactobacillus rhamnosus ATCC53103投与群においては標準食群同様全く増加が起こらなかった。一方、Lactococcus lactis JCM5805投与群においてはday3及びday7でIFN-α上昇傾向が観察された(図12)。また、pDCの活性化状態については、MHC classII及びCD86の変動はLactobacillus rhamnosus ATCC53103投与群では脾臓・腸間膜リンパ節いずれの組織のリンパ球でも観察されなかった。Lactococcus lactis JCM5805投与群では、脾臓でのpDC活性化は起こらなかったが、腸間膜リンパ節では有意な活性化がMHC classII、CD86共に観察された。 以上の結果から、Lactococcus lactis JCM5805はin vitro同様in vivoにおいてもpDCを刺激し、IFN-α産生を誘導しうることが示唆された。[実施例10]免疫抑制モデルにおけるJCM5805株摂取の効果 本発明で規定される乳酸菌は健常人はもとより、特に免疫の低下している人あるいは老人への投与が想定されるため、免疫抑制モデルでのLactococcus lactis JCM5805摂取効果を検討した。<実験方法> C57BL/6マウス(7週齢・雌)を1群5匹で、標準食群(AIN93G:オリエンタル酵母工業社製)・Lactococcus lactis JCM5805混餌投与群の2群に分けた。Lactococcus lactis JCM5805投与期間は2週間で、Lactococcus lactis JCM5805投与開始時をday-7とし、day0に免疫抑制剤であるシクロホスファミド(SIGMA-ALDRICH社製)を200mg/kgの用量で腹腔内投与した。採血はday -7、-1、3、7(解剖時)に行い、前実施例同様に血中IFN-αの量を測定した。最後に解剖を行い、脾臓中のpDC活性化度を前実施例と同様に測定した。また、採血と同時に体重測定も行った。図14に免疫抑制モデルを用いたJCM5805の評価法の概要を示す。<結果> 図15Aに免疫抑制マウスモデルの体重の変化を示し、図15Bに血中IFN-α濃度の変動を示す。図16AにpDCでのMHC classIIの変動を示し、図16BにpDCでのCD86の変動を示す。また、図16CにpDCの割合を示し、図16Dにフローサイトメーターでの測定結果を示す。体重変化については、標準食群ではシクロホスファミド投与後に大きな減少が起こったが、Lactococcus lactis JCM5805投与群では減少が抑制傾向となった。血中IFN-αについては標準食群では最終的に検出されなくなったが、Lactococcus lactis JCM5805投与群では解剖時においても産生が維持されていた。脾臓中のpDC活性化度合い比較では、Lactococcus lactis JCM5805投与群においてMHC classII及びCD86共に標準食群に比べて有意な上昇を認めた。さらに、興味深いことに脾臓中のpDCの比率がLactococcus lactis JCM5805投与群では有意に増加していた。これらの結果から、Lactococcus lactis JCM5805は摂取することにより、ストレスや老化などの原因により日常生活で生じる免疫抑制現象に対して拮抗的に働き、免疫低下に伴って起こる感染症予防に大きく寄与することが示唆された。[実施例11]乳製品製造適正化確認 本発明で規定される乳酸菌を用いて、発酵乳(ハードタイプ、ソフトタイプヨーグルト)、ナチュラルチーズの作成を検討した。 ここで言うハードタイプヨーグルトとは、別名セット型ヨーグルト、静置型ヨーグルトと呼ばれているカップ充填後に発酵するヨーグルトである。 ここで言うソフトタイプヨーグルトとは、別名前発酵ヨーグルト、攪拌型ヨーグルトと呼ばれているカップ充填前に発酵させるタイプをいう。<実験方法>1.ハードタイプヨーグルト (Lactobacillus bulgaricus、Streptococcus thermophilus との混合培養)(1) 原材料として、乳原料(牛乳、脱脂粉乳等)、高度分岐環状デキストリン(日本食品化工株式会社製“クラスターデキストリン”(商品名))、乳ペプチド(汎用品)、ヨーグルトフレーバー(長谷川香料)を使用した。(2) 上記原材料を混合分散し、70℃付近まで加熱し、均質圧(15〜17MPa)でホモジナイザーにかける。95℃10分ほど加熱殺菌し、35℃付近まで冷却し、乳酸菌を添加し(菌種:L.bulgaricus、St.thermophilus、Lc.lactis JCM5805株)、カップに充填し蓋を装着後32℃で6〜7時間程度で発酵させた。乳酸酸度が0.70に達した時点で10℃まで冷却保管した。結果:(1) 香味 良好(2) 乳酸菌数 (Lc.lactis JCM5805株) 107/g以上2.ハードタイプヨーグルト(1) 原材料として、乳原料(牛乳、脱脂粉乳等)、高度分岐環状デキストリン(日本食品化工株式会社製“クラスターデキストリン”(商品名))、乳ペプチド(汎用品)、ヨーグルトフレーバー(長谷川香料)を使用した。(2) 上記原材料を混合分散し、70℃付近まで加熱し、均質圧(15〜17MPa)でホモジナイザーにかける。95℃10分ほど加熱殺菌し、35℃付近まで冷却し、乳酸菌を添加し(菌種:Lc.lactis JCM5805株)、カップに充填し蓋を装着後32℃で16時間程度で発酵させた。乳酸酸度が0.70に達した時点で10℃まで冷却保管した。結果:(1) 香味 良好(2) 乳酸菌数 (Lc.lactis JCM5805株) 107/g以上3.ソフトタイプヨーグルト(1) 原材料として、乳原料(牛乳、脱脂粉乳等)、高度分岐環状デキストリン(日本食品化工株式会社製“クラスターデキストリン”(商品名))、乳ペプチド(汎用品)、ヨーグルトフレーバー(長谷川香料)を使用した。 上記原材料を混合分散し、70℃付近まで加熱し、均質圧(15〜17MPa)でホモジナイザーにかける。125℃まで加熱殺菌し、35℃付近まで冷却し、乳酸菌を添加し(菌種: Lc.lactis JCM5805 株)、32℃で16時間程度で発酵させた。pH4.6で発酵終了とし、20℃程度に冷却し、攪拌充填する。10℃以下で冷却保管した。結果:(1) 香味 良好(2) 乳酸菌数 (Lc.lactis JCM5805株) 107/g以上4.ドリンクタイプヨーグルト(1) 原材料として、乳原料(牛乳、脱脂粉乳等)、高度分岐環状デキストリン(日本食品化工株式会社製“クラスターデキストリン”(商品名))、乳ペプチド(汎用品)、ヨーグルトフレーバー(長谷川香料)を使用した。(2) 上記原材料を混合分散し、70℃付近まで加熱し、均質圧(15〜17MPa)でホモジナイザーにかける。125℃まで加熱殺菌し、35℃付近まで冷却し、乳酸菌を添加し(菌種: Lc.lactis JCM5805 株)、32℃で16時間程度で発酵させた。pH4.6で発酵終了とし、10℃程度に冷却し、均質化(無圧)を行い。10℃以下で冷却保管した。結果:(1) 香味 良好(2) 乳酸菌数 (Lc.lactis JCM5805株) 107/g以上5. ナチュラルチーズ(1) 原材料として、乳原料(牛乳)、レンネット(クリスチャンハンセン社 Standard Plus290)、塩化カルシウム(汎用品)を使用した。(2) 生乳を75℃15秒加熱殺菌し、30℃付近まで冷却し、乳酸菌を添加し(菌種: Lc.lactis JCM5805 株)、30℃で1時間程度で発酵させた。pH6.4、酸度0.13程度目安で発酵終了とし、塩化カルシウム、レンネット(クリスチャンハンセン社 Standard Plus290)を添加し3分程度攪拌し30分後にカード形成を確認。カードサイズ1〜2cm角程度でカッティングを行う。ホエイを除去し固詰め(モルディング)、反転を数回行い12時間静置。 モールドに入れてカード重量に対して10倍程度の重量をかけて加圧し水分調整を行った。結果:(1) 香味 良好(2) 乳酸菌数 (Lc.lactis JCM5805株) 107/g以上[実施例12]Lactococcus lactis JCM5805、20101及びLactobacillus rhamnosus ATCC53103の生菌での効果 これまでの実施例より加熱死菌体での活性はわかっているが、生菌においてpDCに作用し得るか明らかではなかった。そこで、pDC/mDCの培養系を用いて、マウスpDCに対するLactococcus lactis JCM5805、20101及びLactobacillus rhamnosus ATCC53103の生菌での効果を調べた。<実験方法>生菌乳酸菌株の調製 実施例1に従ってLactococcus lactis JCM5805、JCM20101及びLactobacillus rhamnosus ATCC53103を静置培養した。集菌後、滅菌水で3回洗浄した菌をPBSに懸濁し、粒度分布測定装置 CDA-1000X(sysmex社製)を用いて乳酸菌数を測定し、1×106、1×107、1×108cellsとなるようにpDC/mDCの培養系に添加し、48時間 CO2インキュベータで培養した。その後、培養上清を回収し、培養上清中IFN-α産生量をELISA法にて測定した。<結果> 結果を図18に示す。Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101の生菌は細菌数依存的にIFN-α産生誘導が見られた。一方で、Lactobacillus rhamnosus ATCC53103の生菌ではIFN-α産生産生誘導は全く見られなかった。Lactococcus lactis JCM5805、JCM20101は加熱死菌体・生菌であることを問わず、pDCに作用し強力なIFN-α産生誘導を引き起こしていることが明らかとなった。[実施例13]Lactococcus lactis JCM5805のヒトpDCに対する作用 これまでの実施例よりマウスpDCに作用し得る乳酸菌株を発見した。一方で、ヒトpDCに作用し得るかについてはわかっていなかったため、ヒトPBMCからpDCをMACS法にて分離し、代表としてJCM5805を取り上げ、ヒトpDCに対する作用を調べた。<実験方法>・PBMCについて LONZA社より購入した。・MACS法によるpDCの分離・純度確認 Plasmacytoid Dendritic Cell Isolation Kit(Miltenyi Biotec社製)のプロトコルに従い、MACS法にてヒトpDCを分離した(純度97%)。ヒトpDCは5×104cellsを96well平底プレート(CORNING社製)で培養した。分離したヒトpDCにはsurvival factorとしてIL-3(R&D SYSTEMS社製)を10ng/mlで添加した。ヒトpDCの純度確認にヒトpDCゲート用に抗CD123-FITC(AC145)、抗BDCA4-APC(AD-17F6) (Miltenyi Biotec社製)の各抗体を用いて染色し、FACS CantoII(BD社製)を用いて解析した。・リガンド添加・細胞培養・ELISA法 Lactococcus lactis JCM5805の最終濃度が10μg/mlとなるように添加し、24時間CO2インキュベータで培養した。ヒトIFN-αはHuman IFN-α ELISA Kit(PBL BIOMEDICAL LABORATORIES社製)を用いて測定した。・RT-PCR法によるIFNs遺伝子発現の解析 培養後の細胞を回収し、RNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いてtotal RNAを抽出した。iScript cDNA Synthesis Kit(BIO-RAD社製)を用いてtotal RNA 200ngからcDNAを合成し、これを鋳型にして、IFN-α1、IFN-β、IFN-λ1、及びGAPDH遺伝子について、PCR法による増幅を行った。PCR反応は、TaKaRa Ex Taq(TaKaRa社製)及び非特許文献7に記載のプライマーを用い、一般的な反応組成に従って、94℃で1分間、続いて、94℃で30秒間、各遺伝子49,45,49,45℃で30秒間、72℃で15秒間を35サイクル、最後に72℃で3分間反応させた。PCR反応液を一般的な方法で電気泳動し、増幅断片の有無及び濃淡を確認した。<結果> 結果を図19に示す。図19A、B及びCは、それぞれ、MACS法にて分離されたヒトpDCの純度、ELISA法でタンパク質レベルで検出されたIFN-α産生量、RT-PCR法にて検出されたIFN-α1、β、λ、及びGAPDHの遺伝子発現を示す。Lactococcus lactis JCM5805の添加によって、タンパク質レベルでIFN-α産生誘導が見られた。また、IFN-α1、β、λ1の遺伝子発現が誘導されることも確認した。これらの結果から、Lactococcus lactis JCM5805はヒトpDCに対しても作用することが明らかとなった。[実施例14]Lactococcus lactis JCM5805ヨーグルトのヒトにおける抗ウイルス活性に及ぼす影響の検討試験 これまでの実施例よりLactococcus lactis JCM5805のマウス及びヒトの細胞に対するin vitroでの効果、またマウスに摂食させた際の効果を確認できており、これらの結果をふまえてヒトに摂取させた際の効果の検証を行った。<試験概要>・試験食品 試験食品として以下の2種類を用いた。(1)被験食品:Lactococcus lactis JCM5805ヨーグルト飲料(2)プラセボ:乳酸菌非含有ヨーグルト様飲料・目的 本試験は、健康な勤労者成人男女にLactococcus lactis JCM5805ヨーグルト飲料を約4週間連続摂取させた際の、抗ウイルス活性に関する血液バイオマーカー、及び体調アンケートによる主観的評価に及ぼす影響について、プラセボである乳酸菌非含有ヨーグルト様飲料を対照として検討することを目的として行った。・試験対象 試験対象は、重篤な持病や乳アレルギー等が無く、所定のウイルス検査で問題の無い被験者、試験食品摂取期間中のヨーグルト及びチーズの摂取を制限できる被験者、及びステロイド系の薬品を服用(内服・外用)されていない被験者であった。・被験者数 38名(各グループ19名ずつ)の被験者を用いた。・試験デザイン ランダム化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験を行った。・関与成分の一日の摂取量 Lactococcus lactis JCM5805株を目安として約1×1011cfuを1日の摂取量とした。・摂取方法 試験食品の摂取量は1日1本(100ml)とし、食前食後問わず午前中に摂取した。・試験スケジュール 試験食品摂取期間は約4週間とした。採血は、グループ分けのための事前検査(摂取開始1ヶ月前)、0週検査(摂取開始前日)、4週検査(摂取終了翌日)の3度実施した。被験者は体調アンケートに摂取期間中毎日記載した。・評価項目 血中pDC活性(pDC表面マーカー:MHC classII、CD86)、血中IFN-α遺伝子発現、末梢血単核球(PBMC)をCpG DNA刺激した際のIFN-α産生能を測定し、体調アンケートによる風邪症状の主観的評価を行った。<実験方法> 血液バイオマーカーの解析において、0週検査と4週検査で採取した血液よりPBMCを分離し、検査に供した。 1×106 cellsのPBMCを抗CD123-FITC(AC145)(Miltenyi Biotec社製)、抗BDCA4-APC(AD-17F6)(Miltenyi Biotec社製)、抗CD86-PE(B7.2) (eBioscience社製)、及び抗HLA-DR-PerCP(L243)(BD Biosciences社製)を用いて定法に従って染色し、FACS CantoII(BD社製)を用いてCD123+BDCA4+で検出される細胞集団のHLA-DR(MHC classII)とCD86の蛍光強度を測定し、これをpDC活性の指標とした。 血中IFN-α遺伝子発現について、1×106 cellsのPBMCからRNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いてtotal RNAを抽出した。iScript cDNA Synthesis Kit(BIO-RAD社製)を用いてtotal RNA 100ngからcDNAを合成し、これを鋳型にして、IFN-α1遺伝子(リファレンスとしてGAPDH遺伝子)についてReal-time PCR解析を行った。Real-time PCR解析は、SYBR Premix Ex Taq(TaKaRa社製)及び非特許文献7に記載のプライマーを用い、一般的な反応組成に従って、95℃で10秒間、続いて、95℃で10秒間、49で5秒間、72℃で10秒間を50サイクル反応させた。 血中pDCをCpG DNA刺激した際のIFN-α産生能について、5×105 cellsのPBMCを24 well平底プレート(CORNING社製)に播き、CpG-ODN2216(CpG-A)(InvivoGen社製)を最終濃度0.5μM/mLとなるように添加した。また、全ての被験者サンプルにおいてCpG DNA添加しないコントロールを設定した。37℃のCO2インキュベータで24時間培養し、上清を回収してHuman IFN-α Matched Antibody Pairs for ELISA(eBioscience社製)を用いてIFN-α産生量を測定した。 なお、in vitroにおいてヒトpDCに化膿レンサ球菌やインフルエンザウイルスを作用させるとMHC classIIはレスポンス良く発現上昇するがCD86には有意な上昇が見られないことが報告されているため(非特許文献8)、MHC classIIを主要な活性化マーカーとし、全てのバイオマーカーの解析において解析対象はMHC classII活性平均値±2SDの36サンプル(各グループ18サンプル)とした。また、全ての解析において、0週検査時のMHC classII活性平均値より高い方(以下pDC活性高値)と低い方(以下pDC活性低値)を分けて解析を実施した。 体調アンケートについて、風邪の主な症状(鼻水、鼻づまり、くしゃみ、のどの痛み・いがいが感、咳、頭痛、熱っぽさ)7項目について5段階(1:症状なし<5:重症)の評価を毎日行い、7項目の平均値を風邪の症状の程度を表す指標とした。<結果> 血中pDC活性の結果を図20に示す。図20A,DはpDCにおけるMHC classII及びCD86活性の0週検査から4週検査にかけての変化率を示す。MHC classII及びCD86活性の変化率は、いずれもLactococcus lactis JCM5805ヨーグルト飲料摂取グループ(以下JCM5805グループ)において乳酸菌非含有ヨーグルト様飲料摂取グループ(以下プラセボグループ)に対して有意に高かった。また、pDC活性高値とpDC活性低値で分けて解析を行った結果を、MHC classII活性変化率についてそれぞれ図20Bと図20Cに、CD86活性変化率についてそれぞれ図20Eと図20Fに示した。MHC classII活性の変化率について、pDC活性高値ではJCM5805グループとプラセボグループの間で有意な差はないが、pDC活性低値ではJCM5805グループがプラセボグループに対して有意に高かった。また、CD86活性変化率についてはpDC活性高値・低値いずれにおいてもプラセボグループとJCM5805グループに有意な差は認められなかった。これは非特許文献8に記載のように、CD86がpDC活性を反映しにくいことに起因しているものと考えられた。以上の結果より、Lactococcus lactis JCM5805を摂取することによりpDC活性が上昇すること、特にpDC活性が低く免疫力が弱い方において効果を発揮することが示された。 pDC活性低値における血中IFN-α遺伝子発現解析の結果を図21に示す。pDC活性低値において、プラセボグループでは0週検査から4週検査にかけて有意な変化はないが、JCM5805グループでは0週検査から4週検査にかけて有意な発現上昇が認められた。なお、pDC活性高値においてはプラセボグループとJCM5805グループともに0週検査から4週検査にかけて有意な変化は認められなかった(data not shown)。以上の結果より、Lactococcus lactis JCM5805を摂取することにより、ヒト血中IFN-α遺伝子の転写量が上昇することが示された。 pDC活性低値における血中pDCにCpG DNA刺激を与えた際のIFN-α産生能の結果を図22に示す。pDC活性低値において、プラセボグループでは0週検査から4週検査にかけて有意な変化はないが、JCM5805グループでは0週検査から4週検査にかけて有意に上昇した。なお、pDC高値においてはJCM5805グループで0週検査から4週検査にかけて有意な変化は認められなかった(data not shown)。認められなかった(data not shown)。CpG DNAはTLR9をターゲットとする核酸リガンドであり、pDCのウイルス認識機構は、ウイルスDNAあるいはRNAをTLR9あるいはTLR7/8によって感知することによることから、CpG DNAという核酸リガンド刺激によって擬似的にウイルス認識機構を刺激したものである。すなわち、本試験の結果より、CpG DNA刺激によって誘発されるpDC活性化がLactococcuslactis JCM5805株摂取グループで強化されることは、ウイルス感染時のレスポンスが向上することが示唆された。 体調アンケートの結果を図23に示す。JCM5805グループとプラセボグループにおいて、風邪の症状が出た延べ日数と風邪の症状が出なかった延べ日数を1週間ごとに出し、Χ二乗検定を行ったところ、4週目においてJCM5805グループはプラセボグループ対して有意に風邪症状の出た延べ日数が少なく、風邪症状の出なかった延べ日数が多かった。すなわち、Lactococcus lactis JCM5805を4週間連続で摂取したことにより被験者が風邪をひきにくくなったことが示された。 以上の結果、Lactococcus lactis JCM5805をヒトにおいて摂取することで血中pDCが活性化されIFN-α産生能が上昇し、ウイルス罹患時の反応性が向上し、その結果風邪をひきにくくなることが示唆された。特に、これらの効果は抗ウイルス感染に関わる免疫力(pDC活性)が低く風邪をひくリスクが高い方において、顕著に認められた。 本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。 pDCを活性化し、IFN産生を誘導し得る乳酸菌株は、IFN産生誘導剤として、免疫を賦活化するための医薬や飲食品に用いることができる。 プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を活性化し、IFN産生を誘導し得る乳酸菌又はその培養物若しくは処理物を有効成分として含むIFN産生誘導剤。乳酸菌の処理物が核酸を含む画分である、請求項1記載のIFN産生誘導剤。 IFNがI型IFN又はIII型IFNである、請求項1又は2に記載のIFN産生誘導剤。 IFNがIFN-α、IFN-β及びIFN-λからなる群から選択されるIFNの1種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のIFN産生誘導剤。 プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を活性化し、IFN産生を誘導し得る乳酸菌株が経口投与した場合に、胃液や腸液に対する耐性が高く生存したまま腸管に到達し得る、請求項1〜4のいずれか1項に記載のIFN産生誘導剤。 プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を活性化し、IFN産生を誘導し得る乳酸菌株がLactococcus lactis JCM5805である、請求項5記載のIFN産生誘導剤。 請求項1〜6のいずれか1項に記載のIFN産生誘導剤を含む、免疫賦活剤。 請求項1〜6のいずれか1項に記載のIFN産生誘導剤を含む、ウイルス感染症の予防又は治療剤。 経口投与剤である、請求項7記載の免疫賦活剤。 経口投与剤である、請求項8記載のウイルス感染症の予防又は治療剤。 請求項1〜6のいずれか1項に記載のIFN産生誘導剤を含む、飲食品。 飲食品がチーズ又はヨーグルトを含む乳製品のいずれかである、請求項11記載の飲食品。 乳酸菌株を骨髄細胞と共に培養し、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)が活性化され、IFN産生が誘導されたか否かを測定することを含む、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を活性化し、IFN産生を誘導し得る乳酸菌株のスクリーニング方法であって、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)が活性化され、IFN産生が誘導された場合に、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を活性化し、IFN産生を誘導し得る乳酸菌株と決定する方法。 請求項1〜6のいずれか1項に記載のIFN産生誘導剤を含む、組み換えワクチンのホスト。 乳酸菌を有効成分として含むIFN産生を誘導し得るIFN誘導剤、該誘導剤を含む免疫増強剤あるいはウイルス感染防御剤、該誘導剤を含むIFN誘導活性、免疫増強活性若しくはウイルス感染防御活性を有する飲食品の提供。 プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を活性化し、IFN産生を誘導し得る乳酸菌株であるLactococcus garvieae NBRC100934、Lactococcus lactis subsp.cremoris JCM16167、Lactococcus lactis subsp.cremoris NBRC100676、Lactococcus lactis subsp.hordniae JCM1180、Lactococcus lactis subsp.hordniae JCM11040、Lactococcus lactis subsp.lactis NBRC12007、Lactococcus lactis subsp.lactis NRIC1150、Lactococcus lactis subsp.lactis JCM5805、Lactococcus lactis subsp.lactis JCM20101、Leuconostoc lactis NBRC12455、Leuconostoc lactis NRIC1540、Pediococcus damnosus JCM5886、Stretococcus thermophilus TA−45を有効成分として含むIFN産生誘導剤。


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