生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_有効成分としてガロカテキンガレートを含有する保湿用皮膚外用剤組成物
出願番号:2008531009
年次:2009
IPC分類:A61K 8/49,A61Q 19/00


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シン ヒュン ジュン キム ジョン キ キム ス ナム リー サン ミン リ ビョン ゴン チャン リ セオ JP 2009508850 公表特許公報(A) 20090305 2008531009 20060908 有効成分としてガロカテキンガレートを含有する保湿用皮膚外用剤組成物 株式會社アモーレパシフィック 503327691 成瀬 勝夫 100082739 中村 智廣 100087343 佐々木 一也 100132230 シン ヒュン ジュン キム ジョン キ キム ス ナム リー サン ミン リ ビョン ゴン チャン リ セオ KR 10-2005-0086821 20050916 A61K 8/49 20060101AFI20090206BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20090206BHJP JPA61K8/49A61Q19/00 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW KR2006003579 20060908 WO2007032624 20070322 17 20080312 4C083 4C083AA122 4C083AC072 4C083AC092 4C083AC122 4C083AC242 4C083AC352 4C083AC402 4C083AC422 4C083AC482 4C083AC532 4C083AC542 4C083AC841 4C083AC842 4C083AC851 4C083AC852 4C083AD092 4C083AD112 4C083AD172 4C083AD202 4C083CC02 4C083CC04 4C083EE12 本発明は、有効成分としてガロカテキンガレート(gallocatechin gallate)を含有する保湿用皮膚外用剤組成物に関する。より詳細には、本発明の皮膚外用剤組成物は、有効成分としてガロカテキンガレートを含有し、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体亜型アルファ(PPAR-α)を活性化させ、皮膚保湿因子であるフィラグリン(filaggrin)及びインボルクリン(involucrin)の発現を促進させて、優秀な皮膚乾燥防止及び皮膚保湿効果を示す。特に、本発明の皮膚外用剤組成物は、ガロカテキンガレートにテオブロミン(theobromine)及びケルセチン(quercetin)を最適の割合で含有することによって、上記効果をさらに極大化させることができる。 皮膚は、外部から順に表皮、真皮、皮下組職の3つの層で大きく区分され、体内の諸器官を気温及び湿度変化、紫外線、その他の物理的、化学的な外部環境の刺激から保護する機能を有する。特に、表皮では、人体内部の水分蒸発を防止する重要な役目をする。 上記表皮は、外部から順に角質層(stratum corneum)、顆粒層(stratum granulosum)、有棘層(stratum spino)、基底層(stratum basale)に区分され、そして、角質層の細胞(keratinocytes)は煙瓦(bricks)のような役目をし、また、角質細胞間の細胞間脂質(intercellular lipids)はモルタル(mortar)のような役目をし、それによって皮膚障壁を構成している〔J. Invest. Dermatol. 80(Suppl.), 44-49. 1983〕。また、元気な人の角質細胞には、高濃度の自然保湿因子(Natural Moisturing Factor、NMF)が存在し、皮膚の水分保有を助け、例えば、アミノ酸のような物質は、水溶性なので、効果的に水分と結合し、皮膚で水分が乾燥することを抑制する(J. Invest. Dermatol. 54, 24-31, 1970)。 しかし、最近、環境の変化や生活パターンの変化による冷/暖房の人為的な温度調節、社会生活で発生する各種ストレスと環境汚染による皮膚ストレス、化粧習慣による頻繁な洗顔及び年齢増加による自然的な皮膚老化などの様々な原因に起因して、角質層の水分が減少し、皮膚が乾燥しやすくなり、表面が荒くなり、皮膚がばさばさになり、湿っぽいを失って生気がなくなるなどの現象が発生するので、皮膚保湿剤の必要が増加している。 従来、このために保湿剤として水分を吸収する性質があるヒューメクタント(humectant)や水分蒸発を防止する閉鎖保湿剤(Occlusive Moisturizer)を使用して角質層での水分保有を増加させる方式が行われて来た。上記ヒューメクタントとしては、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、2-ピロリドン-5-カルボン酸ナトリウムなどの物質が挙げられるが、皮膚への塗布時、べたつきが激しいか、粘り強い感じがする短所がある。また、閉鎖保湿剤としては、セラマイドなどの脂質成分や必須脂肪酸及び脂質複合体などが使用されたが(J. Invest. Dermatol. (5), 731-740, 1994)、乳化剤型の安定度を維持するのに難点があり、透明なゼル状の製品を製造するに適しない短所がある。 一方、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)は、多様な組職分布の3種の亜型α、β/δ、γを有する核ホルモン受容体の公知された部類である。ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体亜型α(以下、「PPAR-α」という)は、初めにフィブリン酸の誘導体のようなペルオキシソーム増殖因子と反応して脂肪酸酸化酵素を暗号化する遺伝子に対する調節に基づいて同定された(Issemann and Green, Nature, 1990, 347:645-650)。また、文献(Leone et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1999, 96:7473-7478)には、PPAR−αによって行われる組職での脂肪酸の重要な役目が立証されている。PPAR−αの脂質活性化剤、例えばリノール酸などは当業界に公に知られている。これらは、試験管内皮膚上皮障壁形成を促進するものとして証明された(Hanley et. Al., J. Clin. Inv., 1977, 100:705-712)。しかし、皮膚においてPPAR活性調節を利用した効果は、老化防止治療を提供するための美容組成物(WO 01/008653)以外には当業界に教示または提案されたところがない。WO 01/008653J. Invest. Dermatol. 80(Suppl.), 44-49. 1983J. Invest. Dermatol. 54, 24-31, 1970J. Invest. Dermatol. (5), 731-740, 1994Issemann and Green, Nature, 1990, 347:645-650Leone et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1999, 96:7473-7478Hanley et. Al., J. Clin. Inv., 1977, 100:705-712 これより、本発明者らは、皮膚保湿と保護に影響を及ぼす様々な要因のうちペルオキシソーム増殖剤活性化受容体亜型アルファ(PPAR-α)の活性調節を通じた皮膚保湿効果を示すことができる成分を研究した結果、皮膚外用剤組成物に有効成分として緑茶の構成成分のうちガロカテキンガレートを含有する場合、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体亜型アルファ(PPAR-α)を活性化させ、皮膚保湿因子であるフィラグリン及びインボルクリンの発現を促進させて、優秀な皮膚保湿及び皮膚乾燥防止効果を示すことを知見した。特に、上記組成物にガロカテキンガレート以外にテオブロミン及びケルセチンを最適の割合でさらに含有する場合、上記効果を最大化することができることを知見し、本発明を完成した。 したがって、本発明の目的は、有効成分としてガロカテキンガレートを含有する保湿用皮膚外用剤組成物を提供することにある。 また、本発明の他の目的は、上記組成物にテオブロミン及びケルセチンを最適の割合でさらに含有する保湿用皮膚外用剤組成物を提供することにある。 上記目的を達成するために、本発明の保湿用皮膚外用剤組成物は、有効成分としてガロカテキンガレートを含有することを特徴とする。また、上記皮膚外用剤組成物は、テオブロミン及びケルセチンを最適の割合でさらに含有することを特徴とする。 本発明の保湿用皮膚外用剤組成物は、PPAR−α活性調節を目的にして緑茶成分であるガロカテキンガレートを含有し、これにテオブロミン及びケルセチンを最適の割合でさらに含有することによって、皮膚の乾燥防止及び保湿強化効果を付与することができる。 以下、本発明をより詳しく説明する。 本発明の保湿用皮膚外用剤組成物は、有効成分としてガロカテキンガレートを含有することによって、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体亜型アルファ(PPAR-α)の活性を活性化させて、優秀な皮膚保湿及び皮膚乾燥防止効果を示す。 また、本発明による保湿用皮膚外用剤組成物は、有効成分としてガロカテキンガレート以外に緑茶の構成成分のうちテオブロミン及びケルセチンをさらに含有することができる。 本発明による保湿用皮膚外用剤組成物において上記有効成分は、組成物の全体重量に対して各々0.001〜30重量%の量で含有することを特徴とする。 PPAR−αの活性化効果を確認することができる広く知られた方法は、レポーター遺伝子分析(reporter gene assay)である(Kliewer et. Al., Nature, 1992, 358:771-774)。上記レポーター遺伝子分析は、関心あるプロモーター(promoter)とレポーター遺伝子(reporter gene)を含む塩基配列をクローニング(cloning)し、真核細胞(eukaryotic cell)に注入、転写(transcription)を活性化し、タンパク質(protein)の発現を調節する分析法である。この場合、プロモーターが活性化されるほどタンパク質の発現が増加する。最初に利用されたレポーター遺伝子は、CAT(chloramphenicol acetyltransferase)遺伝子であり、最近には、ルシフェラーゼ遺伝子(luciferase gene)を最も多く利用する。本発明では、Promega社で提供したDual-Luciferase Reporter Assay System Kitを利用した。 一方、本発明による保湿用皮膚外用剤組成物は、有効成分としてガロカテキンガレート以外に緑茶の構成成分のうちテオブロミン及びケルセチンを最適の割合でさらに含有する場合、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体亜型アルファ(PPAR-α)の活性を活性化させて、皮膚保湿効果にさらに優れている。 上記本発明の皮膚外用剤組成物に含有されるガロカテキンガレート、テオブロミン及びケルセチンの最適の割合は、モル濃度でガロカテキンガレート(GCG)が0.7モル以下である時、テオブロミンが少なくとも0.4モルであって、ケルセチンが少なくとも0.4モルであり、また、ガロカテキンガレート(GCG)が0.7〜1.4モルである時、テオブロミンが少なくとも0.3モルであって、ケルセチンが少なくとも0.3モルであり、更に、ガロカテキンガレート(GCG)が1.4モル以上である時、テオブロミンが少なくとも0.2モルであって、ケルセチンが少なくとも0.2モルである。 緑茶の多様な成分間の役目を分析するにあたって、与えられた費用と時間及び予算下で最大の情報を得るために、総合的な実験方法と分析方法が必要であり、このために実験計画法(Design of Experiments、DOE)を利用した。DOEは、科学研究を体系的に計画、実行及び統計的に分析する方法論であり、特定工程の出力値変化の原因を明らかにするために、統制可能な入力因子の水準値を変化させて行く一連の実験過程を計画し実施する方法論である。これにより、実験の目的を満足させ、適切な成果物を得るために、最も多い情報を最も効率的に得ることができる一連の実験条件を決定する実験戦略を立てることができる。実験計画法を利用すれば、検定にシステム的に接近が可能であり、プロセスと結果測定値との関係定義及び評価が可能であり、変動の少数重要因子(vital few)の源泉の把握が可能であり、反応変数に対する少数重要因子の効果の測定値を提供し、一度に1つの要因だけを検定することより、効果的な測定値と高品質のデータを提供し、不確実性の測定が可能であり、施行すべき回数の最小化が可能であり、雑音変数(nuisance variables)の管理が可能になるなどの多様な効果を得ることができる。このような実験計画法としては、部分要因配置法(fractional factorial designs)、完全要因配置法(full factorial designs)、反応表面分析法(responsive surface methodology)、混合物実験法(mixture designs)、タグチ実験法(Taguchi design)などが挙げられる。 本発明による皮膚外用剤組成物は、その剤型において特に限定されるものではなく、例えば、ローション、柔軟化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、パック、ゼル、エッセンスなど多様な皮膚粘着タイプ化粧料の剤型であることができ、ローション、軟膏、ゲル、クリーム、パッチまたは噴霧剤のような経皮投与型剤型であることができる。また、各剤型の皮膚外用剤組成物において、上記成分以外の他の成分は、その他の外用剤の剤型または使用目的などによって当業者が困難性なしに適宜選定して配合することができる。 以下、実施例及び試験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明がこれらの例に限定されるわけではない。[試験例1]一因子一回実験法(OFAT)を通じたPPAR−αの活性化能力測定 PPAR−α活性化能力測定実験は、次のように進行された。 猿の腎臓上皮細胞株であるCV−1細胞(ATCC CCL 70)をチャコール(charcoal)/デキストリン処理された10%牛胎児血清を含むDMEM培地に継代培養し、フェノールレッド(phenol red)のエストロゲンによる効果を除去するために、フェノールレッド無処理培地を使用した。プラスミドは、一般的な培養条件でも発現されるユニバーサルプローモーター(universal promoter)後方にPPAR−(遺伝子を有するものとリガンド結合型のPPAR-)が結合して活性化されるPPRE(PPARs Response Element)をプローモーターとして有し、後にレポーターとして役目をするホタル(firefly)ルシフェラーゼ遺伝子を有するもの、及び参照として使用されるレニラルシフェラーゼ(Renilla luciferase)遺伝子が結合されたプラスミドが使用された。 CV−1細胞を5×104の濃度で24ウェル型プレートに敷設した後、24時間培養した後、上記3種類のプラスミド遺伝子をPromega社のTransFast Kitを利用して、一時的形質転換(transient transfection)を実施した。次に、24時間培養した後、1xPBS(Phosphate Buffered Saline)で1回洗浄した後、候補物質を適当な濃度別に処理し、さらに24時間培養した後、1xPBSで2回反復洗浄した。次に、1xPLB(passive lysis buffer, Promega)で細胞を壊した後、Dual-Luciferase Reporter Assay System Kit (Promega)を利用して試料と参照のルシフェラーゼ活性を測定した。本実験で、陽性対照群は、PPAR−αのリガンドのうち最も強力なものとして知られたWy14643を使用し、陰性対照群は、試料を溶解する時に使用したDMSOと無処理群にした。計算値は、陰性対照群との割合で示し、3回反復実験に対する結果を下記表1(PPAR-α活性化分析結果)に示した。 上記表1から分かるように、多様な緑茶の構成成分のうちガロカテキンガレート((-)GCG)、テオブロミン、及びケルセチンの場合に、有意な程度のPPAR−α活性化傾向が示された。[試験例2]反応表面分析法(RSM)を通じたPPAR−αの活性化能力測定 上記試験例1で確認された緑茶の構成成分のうちガロカテキンガレート、テオブロミン、及びケルセチンのPPAR−α活性化能力を最適化させるために、反応表面分析法(responsive surface method、RSM)を利用した。これを利用すれば、独立変数のどの値で反応値が最適化されるかを把握することができ、独立変数と従属変数間の関数関係をデータから推正し、独立変数が反応変数にどんな影響を及ぼすかを予測することができ、変数間の最適の実験条件を捜し出すことができる。本発明では、MiniTab 14を利用して反応表面分析法のうち中心合成計画法(central composite designs)を行い、その結果を表2(中心合成計画法による設計とその測定値)に示した。 上記表2の実験計画によって実験を行い、実験測定値を利用してS/W上で次の表3に示すように分析を実施した。 その結果を図1〜図2、及び下記表4(PPAR-α活性化のための最適濃度の割合)に示した。 上記S/W上の分析(software analysis)結果、R2=80.7%であり、R2(adj)=71.8%であって、比較的高い程度の相関関係を示すことが分かり、回帰模型式も有意であることが分かった。また、図1の反応値調節器(response optimizer)を用いて望大特性(larger-the-better)において最大値を有する最適条件を有する濃度、すなわちガロカテキンガレート135μM、テオブロミン100μM、ケルセチン100μMを最適条件として確認することができ、図2の重ね合わせ等高線プロット(overlaid contour plot)を通じて最適の濃度範囲を類推することができた。その結果を上記表4に記載している。[試験例3]RT−PCR分析を通じたフィラグリンの発現測定 実験に使用した細胞株は、ドイツ癌研究センターのDr. Fuseningから分譲された HaCaT細胞株(Human kerationocyte HaCaT cell line)であって、上記細胞を60mmディッシュに1×105個に分株し、1日間培養した後、各々の試験物質を処理した後、24時間培養した。上記試験物質は、陰性対照群(lane 1, 5)、ガロカテキンガレート:テオブロミン:ケルセチンの130μM:100μM:100μMの混合物(lane 2, 6)、ガロカテキンガレート:テオブロミン:ケルセチンの65μM:50μM:50μMの混合物(lane 3, 7)である。細胞培養のために10%の牛胎児血清(fetal bovine serum, FBS)が含有されたDMEM(Dulbecos modified eagles medium, GibcoBRL, Life Technology)培地で37℃、5%CO2条件で培養した。陰性対照群は、上記と同一の培地で試験物質を添加しない状態で培養したものを利用した。 上記の方法で培養及び試験した細胞からトリゾール(Trizol, Gibco Laboratories, USA)を利用してtotal RNAを抽出した後、one step RNA PCR kit(AMV)(Takara Bio Inc., Japan)で提供される方法に準してRT−PCR(reverse transcriptional polymerase chain reaction)分析を施行した。この時、プライマー(primer)としては、フィラグリンに対するプライマー(バイオニア社、韓国)を使用し、internal controlとしては、β−アクチン(actin)を利用して発現量を比較した。その結果を図3に示した。 図3から分かるように、ガロカテキンガレート、テオブロミン、ケルセチンの130μM:100μM:100μM混合物(lane 2)と65μM:50μM:50μM混合物(lane 3)は、陰性対照群である無処理群(lane 1)と比較してフィラグリンの発現を約1.8〜2.0倍増加させる効能があることを確認し(lane 1乃至3は、フィラグリンの発現量であり、lane 5乃至7は、β−アクチンの発現量であり、lane 4は、マーカー(marker)である100bp ladderである)。したがって、このような混合物を含有する皮膚外用剤は、皮膚保護及び保湿作用を示すものと予想し、下記試験例4を行った。[試験例4]人体での皮膚保湿力増加測定 下記表5の組成で製造した実施例1〜5及び比較例1の化粧水の皮膚保湿力改善効果を測定した。 皮膚乾燥症を示す50〜80代の成人男女50名を5個グループに分け、各グループに下記比較例1及び実施例1〜5の化粧水を毎日2回ずつ4週間顔面に塗布した。塗布開始前と塗布後1週、2週、4週経過した時点、そして塗布を中止してから2週経過(全体6週経過)後に恒温、恒湿条件(24℃、相対湿度40%)でコニオメータを用いて皮膚水分量を測定した。 その結果を下記表6(水分増加率測定)に示した。表6の結果は、試験開始直前に測定したコニオメータ値を基準にして一定期間処置した後の測定値の増加分を百分率で表示したものである。上記コニオメータは、表皮の電気伝導度の値を測定し、皮膚に存在する水分量を測定する皮膚水分測定器である。 これとは別に、試験を終了した時点に試験対象者にとってアンケート紙を作成するようにして、器機的な評価と同時に主観的な効能評価をも実施した。その結果を下記表7(アンケート調査評価結果)に示した。 上記表6から明らかなように、ガロカテキンガレート、テオブロミン、ケルセチンが含有された実施例1〜5の物質を塗布した群が、比較例1を塗布した群に比べて、皮膚水分量が増加し、その程度は、濃度依存的であった。また、試験物質の最初塗布日から6週経過(試験物質4週塗布後に2週経過)後の皮膚水分を測定した数値が、1週〜2周経過後の数値と類似に現れ、試験物質を塗布しなくても、ある程度は上記物質によって皮膚水分が持続的に維持されることが分かった。 上記表7から明らかなように、アンケート調査を通じた調査結果でも、上記混合物が含有された実施例1〜5の化粧水を塗布する場合、皮膚乾燥症が改善されることを確認することができた。[試験例5]動物試験を通じた皮膚障壁改善効果試験 本発明者らは、上記組成物が長期間の皮膚損傷による皮膚障壁(skin barrier)の回復に及ぶ効果を評価するための試験を実施した。生後8乃至10週が経過した若い無毛マウスの背中にアセトンを1日2回ずつ5日間周期的に塗布し、実験動物の背中皮膚の障壁機能を損傷させた後、蒸発計(evaporimeter)で経皮水分損失量(TEWL;transepidermal waterloss)を測定し、40g/m2/hr以上の経皮水分損失を示す皮膚を有する実験動物だけを対象にしてビヒクル(vehicle)(プロピレングリコール:エタノール=7:3)と下記表8の実施例6〜7及び比較例2〜3を含有する試験物質を皮膚面積5cm2当たり200μlの用量で1日2回ずつ3日間連続塗布しながら、一定時間毎にTEWLを測定し、下記数学式1によって障壁回復率を求め、その結果を表8(障壁回復率(%))に示した。[数式1] 障壁回復率(%)=(TEWL0−TEWLX)/(TEWL0−TEWLbasal)×100 TEWL0:皮膚損傷直後のTEWL測定値 TEWLX:皮膚障壁損傷後、一定時間経過後のTEWL測定値 TEWLbasal:初期TEWL測定値 上記表8から明らかなように、ガロカテキンガレート(実施例6)またはガロカテキンガレート:テオブロミン:ケルセチン混合物(実施例7)を塗布した処理群が対照群(比較例2及び比較例3)に比べてさらに速く障壁損傷が回復され、正常皮膚に戻ることを確認し、このような障壁損傷回復とともに、皮膚水分量も増加し、皮膚保湿改善に優れていることを確認した。 また、上記実験で得られた実験動物の皮膚組職を切り出して、パラフィンに固定し、インボルクリン(INV)抗体を利用して皮膚組職の免疫組職化学染色を行い、皮膚表皮層の変化を観察し、その結果を図4に示した。インボルクリンは、茶色の染色部分を示す。 図4から明らかなように、ガロカテキンガレート(実施例6)またはガロカテキンガレート:テオブロミン:ケルセチン混合物(実施例7)を塗布した処理群が対照群(比較例2)よりインボルクリンの発現がさらに多いことが分かり、これは、損傷された皮膚障壁がさらに速く改善されていることを示す。 本発明の保湿用皮膚外用剤組成物は、PPAR−α活性調節を目的にして緑茶成分であるガロカテキンガレートを含有し、これにテオブロミン及びケルセチンを最適の割合でさらに含有することによって、皮膚の乾燥防止及び保湿強化効果を付与することができる。図1は、反応値調節器(Response optimizer)による最適条件の濃度を選定したグラフである。図2は、重ね合わせ等高線プロット(Overlaid contour plot)による最適条件の濃度範囲を選定したグラフである。図3は、RT−PCR分析を通じたフィラグリン発現測定結果である。図4は、インボルクリン抗体を利用した皮膚組職の免疫組職化学染色を行って皮膚表皮層を観察した図である。 有効成分としてガロカテキンガレート(gallocatechin gallate: GCG)を含有することを特徴とする保湿用皮膚外用剤組成物。 前記組成物は、有効成分としてテオブロミン(theobromine)及びケルセチン(quercetin)をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤組成物。 前記有効成分は、各々モル濃度として、ガロカテキンガレート(GCG)が0.7モル以下である時、テオブロミンが少なくとも0.4モルであって、ケルセチンが少なくとも0.4モルであることを特徴とする請求項2に記載の皮膚外用剤組成物。 前記有効成分は、各々モル濃度として、ガロカテキンガレート(GCG)が0.7〜1.4モルである時、テオブロミンが少なくとも0.3モルであって、ケルセチンが少なくとも0.3モルであることを特徴とする請求項2に記載の皮膚外用剤組成物。 前記有効成分は、各々モル濃度として、ガロカテキンガレート(GCG)が1.4モル以上である時、テオブロミンが少なくとも0.2モルであって、ケルセチンが少なくとも0.2モルであることを特徴とする請求項2に記載の皮膚外用剤組成物。 前記有効成分は、組成物の全体重量に対して各々0.001〜30.0重量%の量で含有されることを特徴とする請求項1又は2に記載の皮膚外用剤組成物。 前記組成物は、PPAR−αの活性化用であることを特徴とする請求項1又は2に記載の皮膚外用剤組成物。 前記組成物は、皮膚のフィラグリン(filaggrin)の発現促進用であることを特徴とする請求項1又は2に記載の皮膚外用剤組成物。 前記組成物は、皮膚のインボルクリン(involucrin)の発現促進用であることを特徴とする請求項1又は2に記載の皮膚外用剤組成物。 本発明は、有効成分としてガロカテキンガレートを含有する保湿用皮膚外用剤組成物に関する。より詳細には、本発明の皮膚外用剤組成物は、有効成分としてガロカテキンガレートを含有し、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(Peroxisome Proliferator-Activated Receptor)亜型アルファ(PPAR-α)を活性化させ、皮膚保湿因子であるフィラグリン及びインボルクリンの発現を促進させて、優秀な皮膚乾燥防止及び皮膚保湿効果を示す。特に、本発明の皮膚外用剤組成物は、ガロカテキンガレートにデオブロミン及びケルセチンを最適の割合で含有することによつて、前記効果をさらに極大化させることができる。


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特許公報(B2)_有効成分としてガロカテキンガレートを含有する保湿用皮膚外用剤組成物

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タイトル:特許公報(B2)_有効成分としてガロカテキンガレートを含有する保湿用皮膚外用剤組成物
出願番号:2008531009
年次:2014
IPC分類:A61K 8/49,A61Q 19/00


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シン ヒュン ジュン キム ジョン キ キム ス ナム リー サン ミン リ ビョン ゴン チャン リ セオ JP 5524483 特許公報(B2) 20140418 2008531009 20060908 有効成分としてガロカテキンガレートを含有する保湿用皮膚外用剤組成物 株式会社アモーレパシフィック 506213681 AMOREPACIFIC CORPORATION 成瀬 勝夫 100082739 中村 智廣 100087343 佐々木 一也 100132230 シン ヒュン ジュン キム ジョン キ キム ス ナム リー サン ミン リ ビョン ゴン チャン リ セオ KR 10-2005-0086821 20050916 20140618 A61K 8/49 20060101AFI20140529BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20140529BHJP JPA61K8/49A61Q19/00 A61K 8/49 A61Q 19/00 CAplus/REGISTRY(STN) 特表平09−509677(JP,A) 特開2002−080362(JP,A) 特開2005−247854(JP,A) 特開2001−097968(JP,A) 特開2002−069496(JP,A) 特開平07−258066(JP,A) 特表2004−537575(JP,A) 特表2001−502685(JP,A) FRAGRANCE JOURNAL,日本,フレグランスジャーナル社,2000年 4月15日,Vol.28,No.4,第66−73頁 5 KR2006003579 20060908 WO2007032624 20070322 2009508850 20090305 15 20090907 八次 大二朗 本発明は、有効成分としてガロカテキンガレート(gallocatechin gallate)を含有する保湿用皮膚外用剤組成物に関する。より詳細には、本発明の皮膚外用剤組成物は、有効成分としてガロカテキンガレートを含有し、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体亜型アルファ(PPAR-α)を活性化させ、皮膚保湿因子であるフィラグリン(filaggrin)及びインボルクリン(involucrin)の発現を促進させて、優秀な皮膚乾燥防止及び皮膚保湿効果を示す。特に、本発明の皮膚外用剤組成物は、ガロカテキンガレートにテオブロミン(theobromine)及びケルセチン(quercetin)を最適の割合で含有することによって、上記効果をさらに極大化させることができる。 皮膚は、外部から順に表皮、真皮、皮下組職の3つの層で大きく区分され、体内の諸器官を気温及び湿度変化、紫外線、その他の物理的、化学的な外部環境の刺激から保護する機能を有する。特に、表皮では、人体内部の水分蒸発を防止する重要な役目をする。 上記表皮は、外部から順に角質層(stratum corneum)、顆粒層(stratum granulosum)、有棘層(stratum spino)、基底層(stratum basale)に区分され、そして、角質層の細胞(keratinocytes)は煙瓦(bricks)のような役目をし、また、角質細胞間の細胞間脂質(intercellular lipids)はモルタル(mortar)のような役目をし、それによって皮膚障壁を構成している〔J. Invest. Dermatol. 80(Suppl.), 44-49. 1983〕。また、元気な人の角質細胞には、高濃度の自然保湿因子(Natural Moisturing Factor、NMF)が存在し、皮膚の水分保有を助け、例えば、アミノ酸のような物質は、水溶性なので、効果的に水分と結合し、皮膚で水分が乾燥することを抑制する(J. Invest. Dermatol. 54, 24-31, 1970)。 しかし、最近、環境の変化や生活パターンの変化による冷/暖房の人為的な温度調節、社会生活で発生する各種ストレスと環境汚染による皮膚ストレス、化粧習慣による頻繁な洗顔及び年齢増加による自然的な皮膚老化などの様々な原因に起因して、角質層の水分が減少し、皮膚が乾燥しやすくなり、表面が荒くなり、皮膚がばさばさになり、湿っぽいを失って生気がなくなるなどの現象が発生するので、皮膚保湿剤の必要が増加している。 従来、このために保湿剤として水分を吸収する性質があるヒューメクタント(humectant)や水分蒸発を防止する閉鎖保湿剤(Occlusive Moisturizer)を使用して角質層での水分保有を増加させる方式が行われて来た。上記ヒューメクタントとしては、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、2-ピロリドン-5-カルボン酸ナトリウムなどの物質が挙げられるが、皮膚への塗布時、べたつきが激しいか、粘り強い感じがする短所がある。また、閉鎖保湿剤としては、セラマイドなどの脂質成分や必須脂肪酸及び脂質複合体などが使用されたが(J. Invest. Dermatol. (5), 731-740, 1994)、乳化剤型の安定度を維持するのに難点があり、透明なゼル状の製品を製造するに適しない短所がある。 一方、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)は、多様な組職分布の3種の亜型α、β/δ、γを有する核ホルモン受容体の公知された部類である。ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体亜型α(以下、「PPAR-α」という)は、初めにフィブリン酸の誘導体のようなペルオキシソーム増殖因子と反応して脂肪酸酸化酵素を暗号化する遺伝子に対する調節に基づいて同定された(Issemann and Green, Nature, 1990, 347:645-650)。また、文献(Leone et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1999, 96:7473-7478)には、PPAR−αによって行われる組職での脂肪酸の重要な役目が立証されている。PPAR−αの脂質活性化剤、例えばリノール酸などは当業界に公に知られている。これらは、試験管内皮膚上皮障壁形成を促進するものとして証明された(Hanley et. Al., J. Clin. Inv., 1977, 100:705-712)。しかし、皮膚においてPPAR活性調節を利用した効果は、老化防止治療を提供するための美容組成物(WO 01/008653)以外には当業界に教示または提案されたところがない。WO 01/008653J. Invest. Dermatol. 80(Suppl.), 44-49. 1983J. Invest. Dermatol. 54, 24-31, 1970J. Invest. Dermatol. (5), 731-740, 1994Issemann and Green, Nature, 1990, 347:645-650Leone et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1999, 96:7473-7478Hanley et. Al., J. Clin. Inv., 1977, 100:705-712 これより、本発明者らは、皮膚保湿と保護に影響を及ぼす様々な要因のうちペルオキシソーム増殖剤活性化受容体亜型アルファ(PPAR-α)の活性調節を通じた皮膚保湿効果を示すことができる成分を研究した結果、皮膚外用剤組成物に有効成分として緑茶の構成成分のうちガロカテキンガレートを含有する場合、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体亜型アルファ(PPAR-α)を活性化させ、皮膚保湿因子であるフィラグリン及びインボルクリンの発現を促進させて、優秀な皮膚保湿及び皮膚乾燥防止効果を示すことを知見した。特に、上記組成物にガロカテキンガレート以外にテオブロミン及びケルセチンを最適の割合でさらに含有する場合、上記効果を最大化することができることを知見し、本発明を完成した。 したがって、本発明の目的は、有効成分としてガロカテキンガレートを含有する保湿用皮膚外用剤組成物を提供することにある。 また、本発明の他の目的は、上記組成物にテオブロミン及びケルセチンを最適の割合でさらに含有する保湿用皮膚外用剤組成物を提供することにある。 上記目的を達成するために、本発明の保湿用皮膚外用剤組成物は、有効成分としてガロカテキンガレートを含有し、前記ガロカテキンガレートは組成物の全体重量に対して0.001〜30.0重量%の量であることを特徴とする。また、上記皮膚外用剤組成物は、テオブロミン及びケルセチンを最適の割合でさらに含有することを特徴とする。 本発明の保湿用皮膚外用剤組成物は、PPAR−α活性調節を目的にして緑茶成分であるガロカテキンガレートを含有し、これにテオブロミン及びケルセチンを最適の割合でさらに含有することによって、皮膚の乾燥防止及び保湿強化効果を付与することができる。 以下、本発明をより詳しく説明する。 本発明の保湿用皮膚外用剤組成物は、有効成分としてガロカテキンガレートを含有することによって、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体亜型アルファ(PPAR-α)の活性を活性化させて、優秀な皮膚保湿及び皮膚乾燥防止効果を示す。 また、本発明による保湿用皮膚外用剤組成物は、有効成分としてガロカテキンガレート以外に緑茶の構成成分のうちテオブロミン及びケルセチンをさらに含有することができる。 本発明による保湿用皮膚外用剤組成物において上記有効成分は、組成物の全体重量に対して各々0.001〜30重量%の量で含有することを特徴とする。 PPAR−αの活性化効果を確認することができる広く知られた方法は、レポーター遺伝子分析(reporter gene assay)である(Kliewer et. Al., Nature, 1992, 358:771-774)。上記レポーター遺伝子分析は、関心あるプロモーター(promoter)とレポーター遺伝子(reporter gene)を含む塩基配列をクローニング(cloning)し、真核細胞(eukaryotic cell)に注入、転写(transcription)を活性化し、タンパク質(protein)の発現を調節する分析法である。この場合、プロモーターが活性化されるほどタンパク質の発現が増加する。最初に利用されたレポーター遺伝子は、CAT(chloramphenicol acetyltransferase)遺伝子であり、最近には、ルシフェラーゼ遺伝子(luciferase gene)を最も多く利用する。本発明では、Promega社で提供したDual-Luciferase Reporter Assay System Kitを利用した。 一方、本発明による保湿用皮膚外用剤組成物は、有効成分としてガロカテキンガレート以外に緑茶の構成成分のうちテオブロミン及びケルセチンを最適の割合でさらに含有する場合、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体亜型アルファ(PPAR-α)の活性を活性化させて、皮膚保湿効果にさらに優れている。 上記本発明の皮膚外用剤組成物に含有されるガロカテキンガレート、テオブロミン及びケルセチンの最適の割合は、モル濃度でガロカテキンガレート(GCG)が0.7モル以下である時、テオブロミンが少なくとも0.4モルであって、ケルセチンが少なくとも0.4モルであり、また、ガロカテキンガレート(GCG)が0.7〜1.4モルである時、テオブロミンが少なくとも0.3モルであって、ケルセチンが少なくとも0.3モルであり、更に、ガロカテキンガレート(GCG)が1.4モル以上である時、テオブロミンが少なくとも0.2モルであって、ケルセチンが少なくとも0.2モルである。 緑茶の多様な成分間の役目を分析するにあたって、与えられた費用と時間及び予算下で最大の情報を得るために、総合的な実験方法と分析方法が必要であり、このために実験計画法(Design of Experiments、DOE)を利用した。DOEは、科学研究を体系的に計画、実行及び統計的に分析する方法論であり、特定工程の出力値変化の原因を明らかにするために、統制可能な入力因子の水準値を変化させて行く一連の実験過程を計画し実施する方法論である。これにより、実験の目的を満足させ、適切な成果物を得るために、最も多い情報を最も効率的に得ることができる一連の実験条件を決定する実験戦略を立てることができる。実験計画法を利用すれば、検定にシステム的に接近が可能であり、プロセスと結果測定値との関係定義及び評価が可能であり、変動の少数重要因子(vital few)の源泉の把握が可能であり、反応変数に対する少数重要因子の効果の測定値を提供し、一度に1つの要因だけを検定することより、効果的な測定値と高品質のデータを提供し、不確実性の測定が可能であり、施行すべき回数の最小化が可能であり、雑音変数(nuisance variables)の管理が可能になるなどの多様な効果を得ることができる。このような実験計画法としては、部分要因配置法(fractional factorial designs)、完全要因配置法(full factorial designs)、反応表面分析法(responsive surface methodology)、混合物実験法(mixture designs)、タグチ実験法(Taguchi design)などが挙げられる。 本発明による皮膚外用剤組成物は、その剤型において特に限定されるものではなく、例えば、ローション、柔軟化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、パック、ゼル、エッセンスなど多様な皮膚粘着タイプ化粧料の剤型であることができ、ローション、軟膏、ゲル、クリーム、パッチまたは噴霧剤のような経皮投与型剤型であることができる。また、各剤型の皮膚外用剤組成物において、上記成分以外の他の成分は、その他の外用剤の剤型または使用目的などによって当業者が困難性なしに適宜選定して配合することができる。 以下、実施例及び試験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明がこれらの例に限定されるわけではない。[試験例1]一因子一回実験法(OFAT)を通じたPPAR−αの活性化能力測定 PPAR−α活性化能力測定実験は、次のように進行された。 猿の腎臓上皮細胞株であるCV−1細胞(ATCC CCL 70)をチャコール(charcoal)/デキストリン処理された10%牛胎児血清を含むDMEM培地に継代培養し、フェノールレッド(phenol red)のエストロゲンによる効果を除去するために、フェノールレッド無処理培地を使用した。プラスミドは、一般的な培養条件でも発現されるユニバーサルプローモーター(universal promoter)後方にPPAR−(遺伝子を有するものとリガンド結合型のPPAR-)が結合して活性化されるPPRE(PPARs Response Element)をプローモーターとして有し、後にレポーターとして役目をするホタル(firefly)ルシフェラーゼ遺伝子を有するもの、及び参照として使用されるレニラルシフェラーゼ(Renilla luciferase)遺伝子が結合されたプラスミドが使用された。 CV−1細胞を5×104の濃度で24ウェル型プレートに敷設した後、24時間培養した後、上記3種類のプラスミド遺伝子をPromega社のTransFast Kitを利用して、一時的形質転換(transient transfection)を実施した。次に、24時間培養した後、1xPBS(Phosphate Buffered Saline)で1回洗浄した後、候補物質を適当な濃度別に処理し、さらに24時間培養した後、1xPBSで2回反復洗浄した。次に、1xPLB(passive lysis buffer, Promega)で細胞を壊した後、Dual-Luciferase Reporter Assay System Kit (Promega)を利用して試料と参照のルシフェラーゼ活性を測定した。本実験で、陽性対照群は、PPAR−αのリガンドのうち最も強力なものとして知られたWy14643を使用し、陰性対照群は、試料を溶解する時に使用したDMSOと無処理群にした。計算値は、陰性対照群との割合で示し、3回反復実験に対する結果を下記表1(PPAR-α活性化分析結果)に示した。 上記表1から分かるように、多様な緑茶の構成成分のうちガロカテキンガレート((-)GCG)、テオブロミン、及びケルセチンの場合に、有意な程度のPPAR−α活性化傾向が示された。[試験例2]反応表面分析法(RSM)を通じたPPAR−αの活性化能力測定 上記試験例1で確認された緑茶の構成成分のうちガロカテキンガレート、テオブロミン、及びケルセチンのPPAR−α活性化能力を最適化させるために、反応表面分析法(responsive surface method、RSM)を利用した。これを利用すれば、独立変数のどの値で反応値が最適化されるかを把握することができ、独立変数と従属変数間の関数関係をデータから推正し、独立変数が反応変数にどんな影響を及ぼすかを予測することができ、変数間の最適の実験条件を捜し出すことができる。本発明では、MiniTab 14を利用して反応表面分析法のうち中心合成計画法(central composite designs)を行い、その結果を表2(中心合成計画法による設計とその測定値)に示した。 上記表2の実験計画によって実験を行い、実験測定値を利用してS/W上で次の表3に示すように分析を実施した。 その結果を図1〜図2、及び下記表4(PPAR-α活性化のための最適濃度の割合)に示した。 上記S/W上の分析(software analysis)結果、R2=80.7%であり、R2(adj)=71.8%であって、比較的高い程度の相関関係を示すことが分かり、回帰模型式も有意であることが分かった。また、図1の反応値調節器(response optimizer)を用いて望大特性(larger-the-better)において最大値を有する最適条件を有する濃度、すなわちガロカテキンガレート135μM、テオブロミン100μM、ケルセチン100μMを最適条件として確認することができ、図2の重ね合わせ等高線プロット(overlaid contour plot)を通じて最適の濃度範囲を類推することができた。その結果を上記表4に記載している。[試験例3]RT−PCR分析を通じたフィラグリンの発現測定 実験に使用した細胞株は、ドイツ癌研究センターのDr. Fuseningから分譲された HaCaT細胞株(Human kerationocyte HaCaT cell line)であって、上記細胞を60mmディッシュに1×105個に分株し、1日間培養した後、各々の試験物質を処理した後、24時間培養した。上記試験物質は、陰性対照群(lane 1, 5)、ガロカテキンガレート:テオブロミン:ケルセチンの130μM:100μM:100μMの混合物(lane 2, 6)、ガロカテキンガレート:テオブロミン:ケルセチンの65μM:50μM:50μMの混合物(lane 3, 7)である。細胞培養のために10%の牛胎児血清(fetal bovine serum, FBS)が含有されたDMEM(Dulbecos modified eagles medium, GibcoBRL, Life Technology)培地で37℃、5%CO2条件で培養した。陰性対照群は、上記と同一の培地で試験物質を添加しない状態で培養したものを利用した。 上記の方法で培養及び試験した細胞からトリゾール(Trizol, Gibco Laboratories, USA)を利用してtotal RNAを抽出した後、one step RNA PCR kit(AMV)(Takara Bio Inc., Japan)で提供される方法に準してRT−PCR(reverse transcriptional polymerase chain reaction)分析を施行した。この時、プライマー(primer)としては、フィラグリンに対するプライマー(バイオニア社、韓国)を使用し、internal controlとしては、β−アクチン(actin)を利用して発現量を比較した。その結果を図3に示した。 図3から分かるように、ガロカテキンガレート、テオブロミン、ケルセチンの130μM:100μM:100μM混合物(lane 2)と65μM:50μM:50μM混合物(lane 3)は、陰性対照群である無処理群(lane 1)と比較してフィラグリンの発現を約1.8〜2.0倍増加させる効能があることを確認し(lane 1乃至3は、フィラグリンの発現量であり、lane 5乃至7は、β−アクチンの発現量であり、lane 4は、マーカー(marker)である100bp ladderである)。したがって、このような混合物を含有する皮膚外用剤は、皮膚保護及び保湿作用を示すものと予想し、下記試験例4を行った。[試験例4]人体での皮膚保湿力増加測定 下記表5の組成で製造した参考例1、実施例2〜5及び比較例1の化粧水の皮膚保湿力改善効果を測定した。 皮膚乾燥症を示す50〜80代の成人男女50名を5個グループに分け、各グループに下記比較例1、参考例1及び実施例2〜5の化粧水を毎日2回ずつ4週間顔面に塗布した。塗布開始前と塗布後1週、2週、4週経過した時点、そして塗布を中止してから2週経過(全体6週経過)後に恒温、恒湿条件(24℃、相対湿度40%)でコニオメータを用いて皮膚水分量を測定した。 その結果を下記表6(水分増加率測定)に示した。表6の結果は、試験開始直前に測定したコニオメータ値を基準にして一定期間処置した後の測定値の増加分を百分率で表示したものである。上記コニオメータは、表皮の電気伝導度の値を測定し、皮膚に存在する水分量を測定する皮膚水分測定器である。 これとは別に、試験を終了した時点に試験対象者にとってアンケート紙を作成するようにして、器機的な評価と同時に主観的な効能評価をも実施した。その結果を下記表7(アンケート調査評価結果)に示した。 上記表6から明らかなように、ガロカテキンガレート、テオブロミン、ケルセチンが含有された参考例1及び実施例2〜5の物質を塗布した群が、比較例1を塗布した群に比べて、皮膚水分量が増加し、その程度は、濃度依存的であった。また、試験物質の最初塗布日から6週経過(試験物質4週塗布後に2週経過)後の皮膚水分を測定した数値が、1週〜2周経過後の数値と類似に現れ、試験物質を塗布しなくても、ある程度は上記物質によって皮膚水分が持続的に維持されることが分かった。 上記表7から明らかなように、アンケート調査を通じた調査結果でも、上記混合物が含有された参考例1及び実施例2〜5の化粧水を塗布する場合、皮膚乾燥症が改善されることを確認することができた。[試験例5]動物試験を通じた皮膚障壁改善効果試験 本発明者らは、上記組成物が長期間の皮膚損傷による皮膚障壁(skin barrier)の回復に及ぶ効果を評価するための試験を実施した。生後8乃至10週が経過した若い無毛マウスの背中にアセトンを1日2回ずつ5日間周期的に塗布し、実験動物の背中皮膚の障壁機能を損傷させた後、蒸発計(evaporimeter)で経皮水分損失量(TEWL;transepidermal waterloss)を測定し、40g/m2/hr以上の経皮水分損失を示す皮膚を有する実験動物だけを対象にしてビヒクル(vehicle)(プロピレングリコール:エタノール=7:3)と下記表8の参考例6、実施例7及び比較例2〜3を含有する試験物質を皮膚面積5cm2当たり200μlの用量で1日2回ずつ3日間連続塗布しながら、一定時間毎にTEWLを測定し、下記数学式1によって障壁回復率を求め、その結果を表8(障壁回復率(%))に示した。[数式1] 障壁回復率(%)=(TEWL0−TEWLX)/(TEWL0−TEWLbasal)×100 TEWL0:皮膚損傷直後のTEWL測定値 TEWLX:皮膚障壁損傷後、一定時間経過後のTEWL測定値 TEWLbasal:初期TEWL測定値 上記表8から明らかなように、ガロカテキンガレート(参考例6)またはガロカテキンガレート:テオブロミン:ケルセチン混合物(実施例7)を塗布した処理群が対照群(比較例2及び比較例3)に比べてさらに速く障壁損傷が回復され、正常皮膚に戻ることを確認し、このような障壁損傷回復とともに、皮膚水分量も増加し、皮膚保湿改善に優れていることを確認した。 また、上記実験で得られた実験動物の皮膚組職を切り出して、パラフィンに固定し、インボルクリン(INV)抗体を利用して皮膚組職の免疫組職化学染色を行い、皮膚表皮層の変化を観察し、その結果を図4に示した。インボルクリンは、茶色の染色部分を示す。 図4から明らかなように、ガロカテキンガレート(参考例6)またはガロカテキンガレート:テオブロミン:ケルセチン混合物(実施例7)を塗布した処理群が対照群(比較例2)よりインボルクリンの発現がさらに多いことが分かり、これは、損傷された皮膚障壁がさらに速く改善されていることを示す。 本発明の保湿用皮膚外用剤組成物は、PPAR−α活性調節を目的にして緑茶成分であるガロカテキンガレートを含有し、これにテオブロミン及びケルセチンを最適の割合でさらに含有することによって、皮膚の乾燥防止及び保湿強化効果を付与することができる。図1は、反応値調節器(Response optimizer)による最適条件の濃度を選定したグラフである。図2は、重ね合わせ等高線プロット(Overlaid contour plot)による最適条件の濃度範囲を選定したグラフである。図3は、RT−PCR分析を通じたフィラグリン発現測定結果である。図4は、インボルクリン抗体を利用した皮膚組職の免疫組職化学染色を行って皮膚表皮層を観察した図である。 有効成分としてガロカテキンガレート(gallocatechin gallate: GCG)、テオブロミン(theobromine)及びケルセチン(quercetin)を含有した保湿用皮膚外用剤組成物であって、 前記ガロカテキンガレートは組成物の全体重量に対して0.001〜30.0重量%の量で含有され、 前記有効成分は、各々モル濃度として、(i)ガロカテキンガレートが0.7モル以下である時、テオブロミンが少なくとも0.4モルであって、ケルセチンが少なくとも0.4モルであり、(ii)ガロカテキンガレートが0.7〜1.4モルである時、テオブロミンが少なくとも0.3モルであって、ケルセチンが少なくとも0.3モルであり、(iii)ガロカテキンガレートが1.4モル以上である時、テオブロミンが少なくとも0.2モルであって、ケルセチンが少なくとも0.2モルであることを特徴とする皮膚外用剤組成物。 前記有効成分は、組成物の全体重量に対して各々0.001〜30.0重量%の量で含有されることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤組成物。 前記組成物は、PPAR−αの活性化用であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤組成物。 前記組成物は、皮膚のフィラグリン(filaggrin)の発現促進用であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤組成物。 前記組成物は、皮膚のインボルクリン(involucrin)の発現促進用であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤組成物。


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