生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_腎臓障害の予防または処置のための可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化剤および刺激剤の新規使用
出願番号:2008521837
年次:2009
IPC分類:A61K 31/197,C07D 471/04,A61K 31/5377,A61K 31/506,A61P 9/12,A61P 13/12,A61P 43/00,C07D 413/12,C07D 333/34


特許情報キャッシュ

トーマス・クラーン ヨハネス−ペーター・シュタッシュ ゲリット・ヴァイマン ヴォルフガング・ティーレマン マティアス・リンケ JP 2009501739 公表特許公報(A) 20090122 2008521837 20060706 腎臓障害の予防または処置のための可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化剤および刺激剤の新規使用 バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト 503412148 Bayer HealthCare AG 田中 光雄 100081422 山田 卓二 100101454 岩崎 光隆 100067035 青山 葆 100062144 柴田 康夫 100083356 トーマス・クラーン ヨハネス−ペーター・シュタッシュ ゲリット・ヴァイマン ヴォルフガング・ティーレマン マティアス・リンケ EP 05015522.5 20050718 A61K 31/197 20060101AFI20081219BHJP C07D 471/04 20060101ALI20081219BHJP A61K 31/5377 20060101ALI20081219BHJP A61K 31/506 20060101ALI20081219BHJP A61P 9/12 20060101ALI20081219BHJP A61P 13/12 20060101ALI20081219BHJP A61P 43/00 20060101ALI20081219BHJP C07D 413/12 20060101ALN20081219BHJP C07D 333/34 20060101ALN20081219BHJP JPA61K31/197C07D471/04 106CA61K31/5377A61K31/506A61P9/12A61P13/12A61P43/00 111C07D413/12C07D333/34 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW EP2006006601 20060706 WO2007009607 20070125 15 20080314 4C063 4C065 4C086 4C206 4C063AA01 4C063BB07 4C063CC54 4C063DD51 4C063EE01 4C065AA04 4C065BB05 4C065DD03 4C065EE02 4C065HH01 4C065KK06 4C065KK09 4C065PP03 4C065PP12 4C065PP14 4C065PP16 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC73 4C086CB05 4C086GA04 4C086GA09 4C086GA12 4C086MA01 4C086MA04 4C086MA52 4C086NA14 4C086ZA42 4C086ZA81 4C086ZC02 4C206AA01 4C206AA02 4C206FA44 4C206MA01 4C206MA04 4C206NA14 4C206ZA42 4C206ZA81 4C206ZC02発明の分野 本発明は、腎不全または腎性高血圧の処置用の医薬の製造、より詳しくは、可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化剤またはグアニル酸シクラーゼの刺激剤を用いる処置により急性腎不全または腎性高血圧からの回復を改善するための医薬の製造に関する。発明の背景 哺乳動物の腎臓系は、血流からの異化による老廃物の除去において、そして、体内の体液および電解質の平衡の維持において、主要な役割を果たす。従って、腎不全は、異化産物または他の毒素の蓄積、および/または、電解質または体液における有意な不均衡の発生が、他の主要な器官系の不全および死を導き得る、生命を脅かす状態である。一般的事項として、腎不全は、「急性」または「慢性」と分類される。詳しくは後述する通り、慢性腎不全は、衰弱させ、生命を脅かす疾患であり、それには適切な処置が存在しない。 腎不全は、機能性のネフロンの数の減少を特徴とする状態であり、それは、窒素性代謝産物の排出の減少をもたらし、最終的には生物学的環境におけるホメオスタシスの維持の失敗を引き起こす。特に、これは、血液尿素窒素およびクレアチニンレベルが持続的に増加する状態と言うことができる。腎不全は、2つの主要なタイプに分類される:急性腎不全、および、ゆっくりと進行するが不可逆である慢性腎不全である。 急性腎不全は、主に、以下の2つのタイプに分類される:水、電解質および酸塩基の不均衡と頻繁に合併し、乏尿または無尿として顕在化する乏尿性急性腎不全;および、尿量の減少が見られない非乏尿性急性腎不全である。 急性腎不全は、また、その原因によって以下の3つのタイプに分類される:1)腎血流の減少が、全腎性脱水状態およびショックなどの全身的血行動態的変化により起こり、糸球体濾過率の低下を引き起こす、前腎性急性腎不全。2)急性腎尿細管壊死などの糸球体および尿細管の障害により誘導される腎性急性腎不全;および、3)例えば結石などによる尿路の閉塞に起因する腎後性急性腎不全。 臨床的症候に従い、乏尿期、利尿期および回復期に分類することもできる。急性腎不全の処置において、その原因を突き止め、患者の全身的制御を十分に実施することが重要である。そのような処置には、2つの主要な形態、即ち、保存的処置および透析的処置が含まれる。保存的処置によると、乏尿期で、過剰な飲水を避け、タンパク質摂取量を制限し、同時に十分量のカロリーを供給する。乏尿期では、または、心不全が起こるときには、ナトリウム摂取が制限される。対照的に、利尿期では、カリウム摂取を増やす。 慢性腎不全は、慢性的に進行する腎臓病のために腎機能の漸進的低下が起こる状態であり、腎機能の低下は、正常な腎臓が担う全機能の機能不全として顕在化する。慢性腎不全の原因疾患は、原発性腎臓病、先天性腎臓病、腎感染、腎毒性物質に誘導される腎症、閉塞性泌尿器疾患を含む、全ての腎障害である。慢性腎不全の処置に透析が導入された患者の臨床的背景に見られる通り、慢性腎不全の一次的な原因疾患には、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、慢性腎盂腎炎、腎硬化症および嚢胞腎が含まれ得る。なかでも、慢性糸球体腎炎および糖尿病性腎症は、多くの割合を占める。しかしながら、全症例中の原因疾患としての糖尿病性腎症の割合は、近年糖尿病の患者数が急速に増加するにつれ、顕著に増加している。 上述の通り、腎不全は、様々な疾患に起因し得る。しかしながら、全タイプの腎不全は、それらの原因疾患に関係なく、尿量の減少に伴う高血圧、肺鬱血および鬱血性心不全;尿毒症の進行に伴う神経的または精神的愁訴;腎臓におけるエリスロポエチン産生の減少に起因する貧血;低ナトリウム血症および高カリウム血症などの電解質平衡異常;胃腸管系の合併症;骨代謝の欠陥;および、炭水化物代謝の欠陥などの、特定の共通する臨床的症状を有する。 初期段階の慢性腎不全における適用は、糸球体濾過率または他の腎機能パラメーターの完全な回復には成功しておらず、実際に、残っているネフロンを高い喪失のリスクに曝す。 保存的段階における慢性腎不全の処置のために、低タンパク質、高カロリーの食事を含む食事療法が基本的に用いられる。この場合、塩化ナトリウムの摂取および水の摂取を制限すること、および、腎不全の悪化のリスク因子であり得る高血圧を制御するための降圧剤を使用することが求められる。しかしながら、上述のような食事療法および降圧剤による処置は、不満足な結果をもたらす。従って、血液透析を必然的に受ける患者の数は、腎機能の障害の進行に起因する尿毒症的症状の顕在化のために、年々増加し続けている。透析に入った腎不全患者において、近年の血液透析治療の改善に起因して、寿命の延長率の顕著な改善が達成された。しかしながら、患者が週に2、3回の通院を避けられず、赤血球の産生または成熟の欠陥が発生し得る点で、依然として問題が残っている。 本発明の目的は、既存の薬物または物質が不満足な結果を示す腎不全および/または腎性高血圧の治療剤を提供することである。発明の説明 ヘテロ二量体の血液タンパク質である可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)は、一酸化炭素(NO)の主な細胞内受容体として作用し、二次メッセンジャーの環状グアノシン−3',5'−一リン酸(cGMP)の形成を助長し、今度はそれが、特定のキナーゼ、イオンチャネルおよびホスホジエステラーゼとの相互作用を介して、多様な細胞機能を統治する。このシグナル伝達経路は、NOに起因する生理的作用の大部分の根底にあり、心血管、胃腸管、泌尿生殖器、神経および免疫系の調節において重要である。結果として、異常なsGC依存性シグナル伝達は、幅広く多様な病態の原因の根本であり得る;従って、酵素活性を選択的に調節できる物質は、かなりの治療的潜在能力を有するに違いない。 狭心症および心不全などの症状の処置のための有機硝酸塩(例えば、三硝酸グリセリン、GTN;二硝酸イソソルビド)の使用は、1世紀にわたり提唱されてきたが、そのような化合物の作用メカニズムは、1970年代の後期まで解明されず、NOへの代謝的変換およびその後のsGCの活性化を伴うと見出された。恐らく驚くべきことに、治療的に多大な関心があるであろう選択的sGC調節化合物、特に酵素活性化剤の同定に、あまり注意が向けられてこなかった。これは、sGCの機能不全は病因に対して不適切なNO産生と等価の影響を有すると見込まれ、そして、sGCアイソフォームの組織特異的分布は、薬物治療を標的化する手段を提供し得るにも拘わらずである。 医師は、内因性のリガンドNOを放出してsGCを活性化する有機硝酸塩(および他のNO−供与体または「ニトロ血管拡張剤」の薬物)を自由に使えるが、そのような化合物の使用には問題がある。第1に、NO−供与化合物、特に有機硝酸塩は、長期の投与の後に耐性が発生するという欠点がある。この急速耐性の基礎をなすメカニズムは不明のままであるが、これらの化合物の代謝的活性化の低下、過剰のスーパーオキシド、エンドセリンまたはアンジオテンシンIIレベル、または、NO受容体、sGCの感受性/活性の低下と関連付け得る。第2に、インビボでのNO−供与体の使用は、NOの他の生物学的分子との非特異的相互作用;ニトロ血管拡張剤からのNOの自然放出および生物学的系におけるその自由拡散のために制御困難である反応、のために、困難な可能性がある。現在の定説は、NOの有利な(生理的)作用は、sGCの活性化(即ち、cGMP−依存的)により主に媒介され、そして、NOの有害な(病理的)作用は、タンパク質(例えば、ニトロソ化、ニトロ化)、脂質(例えば、過酸化)および核酸(例えば、DNA鎖の破壊)の直接的(即ち、cGMP−非依存的)修飾を介して主に発揮されることを示唆している。従って、NOをベースとする治療剤の使用者は、常に諸刃の剣を意味するであろう。これらの副作用を最小化するように用量を定めても、大部分は容易に可逆ではなく、時間とともに蓄積し、長期的問題を顕在化させる可能性がある。さらに、NOによる酸化的リン酸化の持続的阻害は、アポトーシスおよび細胞死を引き起こし得る。これらの短所に照らして、sGCをNOに依存しない方法で活性化でき、急性耐性の欠点のない化合物は、従って、心腎疾患の現行治療に対してかなりの利点を与える。 近年、いくつかのNO−非依存性可溶性グアニル酸シクラーゼ活性化剤が同定された。それらの特徴に基づき、これらの化合物は、2つのグループに分類でき、第1は、式(I)ないし(III)の化合物などのNO−非依存性であるがヘム−依存性の可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤であり、そして、第2は、式(IV)ないし(VI)の化合物に代表されるNO−およびヘム−非依存性の可溶性グアニル酸シクラーゼ活性化剤である。第1の群は、NOと組み合わせると強い相乗作用を示し、補欠分子団の可溶性グアニル酸シクラーゼのヘム部分の除去後に効果の喪失を示す。対照的に、式(IV)の化合物による可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化は、この化合物への高親和性結合部位がアポ酵素のヘムポケット内を含むので、ヘムグループの除去により強化される。式(IV)の化合物によるヘムグループの置換は、酵素へのヘム結合の不安定化をもたらすヘム部分の酸化により強力に助長できる。 言及し得る可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激剤の例は、以下の式:に従う化合物(I)ないし(III)およびこれらの化合物の薬学的に許容し得る塩である。 言及し得る可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化剤の例は、以下の式:に従う化合物(IV)ないし(VI)およびこれらの化合物の薬学的に許容し得る塩である。 本発明の方法は、ヒトを含む哺乳動物における腎不全または腎性高血圧の症状を低減、阻害または予防するのに有効なsGC刺激剤またはsGC活性化剤の量を対象に投与することに関する。投与は、経腸的、例えば、経口または直腸;非経腸的、例えば静脈内;または経皮的であり得る。 本明細書で使用するとき、用語「腎不全」は、腎臓の組織がそれらの通常の機能を果たせない、病状または状態を意味する。腎不全には、慢性および急性腎不全または機能不全が含まれる。 急性腎不全は、体内の窒素性老廃物の蓄積に至るに十分な、腎機能の急速な悪化として広く定義される。そのような悪化の原因には、腎低灌流、閉塞性尿路疾患および急性糸球体腎炎などの内因性腎臓病が含まれる。 慢性腎不全は、通常、しばしばネフロン塊の進行的破壊に至る、より持続的な性質の腎臓の損傷に起因する。糸球体腎炎、尿細管間質性疾患、糖尿病性腎症および腎硬化症は、最も一般的な慢性腎不全の原因に挙げられる。慢性腎不全は、ネフロンの有意かつ継続的な喪失に起因する、進行的、永続的かつ重大な糸球体濾過率の低下と定義できる。腎機能の根深い喪失に由来する臨床的症候群は、尿毒症と呼ばれる。 腎不全の診断的徴候には、正常より低いクレアチニンクリアランス;正常より低い自由水クリアランス;正常より高い血中尿素および/または窒素および/またはカリウムおよび/またはクレアチニンレベル;ガンマグルタミルシンセターゼなどの腎臓酵素の活性の変化;尿の容積モル浸透圧濃度または体積の変化;ミクロアルブミン尿またはマクロアルブミン尿のレベルの上昇;糸球体および細動脈の病変;尿細管の拡張;高リン血症;または透析の必要性が含まれる。 腎不全の阻害は、哺乳動物において、当業者に周知の方法により、例えば、クレアチニンクリアランスの測定により、これらのパラメーターを測定することにより評価できる。 腎不全は、穏やかな形態から始まり、中程度および重篤な形態が続き、いわゆる末期の腎臓病に進行する、いくつかの病期に分けられる。これらの病期は、常套の方法で、例えば、十分に定められた範囲が腎不全の異なる病期に割り当てられているクレアチニンクリアランス値を決定することにより、同定できる。 対象に投与すべきsGC活性化剤またはsGC刺激剤の有効量は、処置しようとする症状、投与経路、年齢、体重および患者の状態によって決まる。一般に、sGC刺激剤またはsGC活性化剤は、ヒトに、約0.1ないし400mg、好ましくは0.2ないし100mg、より好ましくは0.5ないし20mgの1日用量で経口投与され、年齢、体重および患者の状態に応じて、1日1回与えられるか、または1日に数回の投与に分割される。 sGC刺激剤またはsGC活性化剤は、典型的には約0.01ないし10μg/kg/分、より典型的には、約0.02ないし5μg/kg/分の注入速度を使用する静脈内注入により投与できる。腎不全の静脈内処置のために、10−200μg/kgの静脈内ボーラス、続いて0.2−3μg/kg/分の注入が必要とされ得る。 sGC刺激剤またはsGC活性化剤は、当分野で知られている原理を使用して、腎不全および/または腎性高血圧の処置に適する投与形に製剤化される。それは、そのまま、または、好ましくは適する医薬的補助剤と組み合わせて、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、坐剤、乳剤、懸濁剤または液剤の形態で患者に与えられ、ここで、製剤中の活性化合物の含有量は、約0.5ないし100重量%である。その組成物に適する成分を選択することは、当業者にとって日常的である。適する担体、溶媒、ゲル形成成分、分散剤形成成分、抗酸化剤、着色料、甘味料、湿潤化合物、放出制御成分およびこの技術分野で通常使用される他の成分も使用し得ることが明らかである。 sGC刺激剤またはsGC活性化剤の塩は、医薬的に許容し得る塩として、知られている方法により製造し得る。実験方法1.L−NAME処置レニン遺伝子組換えラット(TGR(mRen2)27) NOは、内皮細胞でL−アルギニンからNOシンターゼにより合成され、それは、L−NAMEなどのL−アルギニンアナログにより阻害できる。NOシンターゼの急性および慢性阻害の両方とも、様々なラットの系統および他の実験動物において、虚血性腎機能不全を悪化させ、血圧の上昇を誘導する。ヒトでは、アセチルコリンおよびブラジキニンによる血管拡張は、NOシンターゼ阻害剤の注入により弱めることができる。sGC刺激剤およびsGC活性化剤の心血管的意義は、高レニン、低NOのラットの高血圧モデルにおいて、血行動態およびホルモン的パラメーターに対する化合物の長期的効果を決定することにより評価された。本研究では、我々は、付加的レニン遺伝子を有する遺伝子組換えラット(TGR(mRen2)27)を使用した。これは、NO/sGC系と相互作用する化合物の心血管的効果の非常に敏感なモデルである。収縮期血圧は、飲料水中のNOシンターゼ阻害剤L−NAMEを受容している高齢のレニン遺伝子組換えラット(TGR(mRen2)27)において上昇するが、L−NAMEおよびsGC刺激剤またはsGC活性化剤の両方で処置された動物では、この血圧上昇は、観察期間の間、防止できる。研究終了時に、血清におけるレニン活性、アルドステロン、尿素およびクレアチニンを使用して、sGC刺激剤またはsGC活性化剤の腎臓保護効果を示すことができた。この治療的に意味のある動物モデルにおけるsGC刺激剤またはsGC活性化剤の有利な効果は、死亡率の低下によっても示すことができる。2.5/6腎摘出ラット 十分に確立された腎臓機能の悪化のモデルは、5/6腎摘出のラットである。これらのラットは、糸球体の過剰濾過、末期の腎臓病に至る進行性腎不全の発症並びに高血圧に誘導される左心室の肥大および心線維症を特徴とする。4群を分析する:偽手術対照群、5/6腎摘出群、sGC刺激剤で処置した5/6腎摘出群、sGC活性化剤で処置した5/6腎摘出群。ラットを約12週間処置する。薬物を胃管栄養法により経口で与える。5/6腎摘出により腎不全を誘導する。この操作には、右腎臓の完全な除去、続いて、二週間後の残っている腎臓の上部および下部3分の1の結紮が含まれる。2回目の手術後、ラットは、タンパク尿および高血圧を伴う進行性腎不全を発症する(GFRは低下する)。心臓は、尿毒症性高血圧心臓病を特徴とする。処置なしのラットは、16ないし26週で、末期の腎臓病または高血圧に誘導される末端器官の損傷のために死亡する。 ラットを尿採集のために24時間にわたり代謝ケージに入れた。ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン酸塩およびタンパク質を測定する。グルコース、CrP(血清のみ)、ALAT(血清のみ)、ASAT(血清のみ)、カリウム、ナトリウム、カルシウム、リン酸塩、尿素およびクレアチニンの血清濃度を、適切なキットを使用して自動分析機で測定した。尿および血清中のタンパク質濃度を、ピロガロールレッド−モリブデン酸錯体試薬を用いて、Hitachi 717 自動分析機で測定した。内因性クレアチニンクリアランスにより、糸球体濾過率を算出した。テイルカフ(tail-cuff)プレチスモグラフィーにより、意識のある、軽く拘束されたラットにおいて、収縮期血圧および心拍数を測定した。体重を毎週測定した。 血清レニン活性および尿中アルドステロンを購入できる放射性免疫測定法により分析した。 研究終了時に全てのラットを殺した。日常的な臨床化学(グルコース、クレアチニン、尿素、肝臓酵素、C反応性ペプチド、ナトリウム、血清タンパク質)および血漿レニン活性の測定用に、血液を採取した。体重、心臓重量および腎臓重量を測定した。 sGC刺激剤およびsGC活性化剤の心腎保護効果の評価のために、心臓および腎臓の組織学的評価を実施した。 有効量の式(I)ないし(VI)の化合物を含む、腎不全または腎性高血圧の予防および/または処置用の医薬を製造するための使用。 急性腎不全または腎性高血圧からの回復を改善するための、請求項1に記載の医薬の製造のための使用。 医薬が経口使用のためのものである、請求項1および請求項2のいずれかに記載の使用。 医薬が予防的使用のためのものである、請求項1に記載の使用。 少なくとも1種の請求項1に記載の式(I)ないし(VI)の化合物を含む、腎不全または腎性高血圧の処置用の医薬組成物。 本発明は、腎不全または腎性高血圧の処置用の医薬の製造、より詳しくは、可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化剤またはグアニル酸シクラーゼの刺激剤を用いる処置により急性腎不全または腎性高血圧からの回復を改善するための医薬の製造に関する。


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