生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_モラクセラ・カタラーリスのUSPA1及びUSPA2抗原
出願番号:2008308878
年次:2009
IPC分類:C12N 15/09,C07K 14/195,C12Q 1/68,G01N 33/569,A61K 39/00,A61K 39/39,A61K 39/02,A61K 39/385,A61K 39/395,A61P 31/04,A61P 37/04,A61K 39/095


特許情報キャッシュ

ハンセン、エリック・ジェイ エービ、クリストフ コープ、レスリー・ディー マカイヴァー、イゾベル フィスク、マイケル・ジェイ フリーデンバーグ、ロス JP 2009142276 公開特許公報(A) 20090702 2008308878 20081203 モラクセラ・カタラーリスのUSPA1及びUSPA2抗原 ボード オブ リージェンツ, ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム 591217403 BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM 奥山 尚一 100099623 有原 幸一 100096769 松島 鉄男 100107319 ハンセン、エリック・ジェイ エービ、クリストフ コープ、レスリー・ディー マカイヴァー、イゾベル フィスク、マイケル・ジェイ フリーデンバーグ、ロス US 60/033,598 19961220 C12N 15/09 20060101AFI20090605BHJP C07K 14/195 20060101ALI20090605BHJP C12Q 1/68 20060101ALI20090605BHJP G01N 33/569 20060101ALI20090605BHJP A61K 39/00 20060101ALI20090605BHJP A61K 39/39 20060101ALI20090605BHJP A61K 39/02 20060101ALI20090605BHJP A61K 39/385 20060101ALI20090605BHJP A61K 39/395 20060101ALI20090605BHJP A61P 31/04 20060101ALI20090605BHJP A61P 37/04 20060101ALI20090605BHJP A61K 39/095 20060101ALN20090605BHJP JPC12N15/00 AC07K14/195C12Q1/68 AG01N33/569 FA61K39/00 HA61K39/39A61K39/02A61K39/385A61K39/395 RA61P31/04A61P37/04A61K39/095 68 1998529075 19971219 OL 113 4B024 4B063 4C085 4H045 4B024AA01 4B024AA13 4B024BA31 4B024CA01 4B024HA12 4B063QA01 4B063QA18 4B063QA19 4B063QQ06 4B063QQ42 4B063QR08 4B063QR32 4B063QR42 4B063QR50 4B063QR55 4B063QR62 4B063QR75 4B063QS03 4B063QS25 4B063QS28 4B063QS36 4B063QX02 4C085AA03 4C085AA14 4C085AA38 4C085BA15 4C085BA16 4C085BB11 4C085BB17 4C085BB24 4C085CC02 4C085CC07 4C085CC21 4C085CC23 4C085CC24 4C085CC32 4C085DD62 4C085DD86 4C085DD88 4C085EE01 4C085EE03 4C085EE06 4C085EE07 4C085FF13 4C085FF14 4C085FF24 4C085GG02 4C085GG03 4C085GG04 4C085GG08 4H045AA10 4H045AA11 4H045AA30 4H045BA09 4H045BA14 4H045BA15 4H045CA11 4H045DA86 4H045EA20 4H045EA52 4H045FA74 本発明は、一般に微生物学及び臨床細菌学の分野に関する。本発明は、より詳細にはどちらもモノクローナル抗体(MAb)17C7に反応するエピトープ(抗原決定基)をコードし、免疫学的診断法及び免疫学的予防法のために有用なエピトープを提供するタンパク質UspA1及びUspA2を各々コードするuspA1及びuspA2遺伝子の配列順序に関する。 以前にはBranhamella catarrhalis(ブランハメラ・カタラーリス)又はNeisseria catarrhalis(カタル球菌)として知られていたMoraxella catarrhalis(モラクセラ・カタラーリス)は、以前は上気道の無害の腐生菌であると考えられていた(Catlin, 1990; Berk, 1990)。しかし、最近10年間にこの微生物が重要なヒト病原体であることが確定されている。実際に、このグラム陰性双球菌は数多くのヒト感染症の原因である(Murphy, 1989)。M. Catarrhalisは、1989年版コンセンサス報告書によれば幼児及び小児がそのために医療を受ける最も一般的な疾患である急性及び慢性両方の中耳炎の、3番目に一般的な原因菌であることが現在では分かっている(Catlin, 1990; Fadenら, 1990; 1991; Marchant, 1990)。この微生物はさらに、急性上顎洞炎、下気道の広汎性感染(Murphy and Loeb, 1989)も惹起し、基礎慢性肺疾患を有する患者における気管支肺感染症及びこれほど頻回ではないが免疫低下患者における全身性感染症の重要な原因でもある(Melendez and Johnson, 1990; Sarubbiら, 1990; Schonheyder and Ejlertsen, 1989; Wright and Wallace, 1989)。 1989年版コンセンサス報告書はさらに、中耳炎が乳児及び小児、並びに全年齢群の一定集団のどちらでも発生するので、その予防は重要な医療上の目標であると結論した。事実上、中耳炎に対する総財政負担は少なくとも年間25億ドルになると推定されている。ワクチンは、数多くの理由からこの疾患を予防するための最も望ましいアプローチであると確認されている。例えば、ワクチンによって中耳炎の発生率を30%減少させることができれば、年間医療費節減額は少なくとも4億ドルになるであろう。しかし、中耳炎の一般的な病原体3種中2種のStreptococcus pneumoniae(肺炎連鎖球菌)及びHaemophilus influenzae(インフルエンザ菌)におけるワクチン開発はある程度進歩してきているが、M. Catarrhalisに関して同様の進歩が見られたとの徴候はない。これは現在M. Catarrhalisが全中耳炎感染の約17〜20%の原因となっている点から見て特に厄介である(Murphy, 1989)。さらに、M. Catarrhalisは小児における副鼻腔炎(van Cauwenbergeら, 1993)及び持続的な咳(Gottfarb and Brauner, 1994)の重要な原因でもある。高齢者においては、この細菌は慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような素因状態及びその他の慢性心肺状態を持つ患者に感染する(Boyleら, 1991; Davies and Maesen, 1988; Hagerら, 1987)。ビルレンス(毒性)の可能性が認識されているにもかかわらず、疾患産生においてM. Catarrhalisにより使用される機序又はこの病原体に対する免疫を支配する宿主因子についてはほとんど分かっていない。M. Catarrhalis誘発性中耳炎に対する抗体反応は、抗原として全M. Catarrhalis細胞を使用し、抗体源として急性期及び回復期血清又は中耳液を使用するELISA(エリザ法:酵素結合免疫吸着検定法)システムによって証拠付けられている(Leinonenら, 1981)。成人におけるM. Catarrhalis感染症中の血清中殺菌抗体の発達は補体活性化古典経路に依存することが証明されている(Chapmanら, 1985)。さらにより近年では、M. Catarrhalis誘発性中耳炎に罹患した幼児は中耳では抗体反応を発生するが、一様な方法で全身性抗体反応を発生することはできないことが報告されている(Fadenら, 1992)。 以前に、感染症に対するヒト免疫反応の重要な標的として役立つ可能性があるM. Catarrhalis抗原を同定する及び特徴付けるための試みが行われた(Murphy, 1989; Goldblattら, 1990; Murphyら, 1990)。一般的に、M. Catarrhalisの表面は外膜タンパク質(OMPs)、リポオリゴ糖(LOS)及び繊毛から構成されている。M. Catarrhalisは、細胞エンベロープの界面活性剤分画を用いてこの微生物の外膜を単離するための試みを行ったときにその方法が一貫した成績を生じさず、一般的に不成功に終わることが証明されたと言う点で、他のグラム陰性細菌とは幾らか相違していると思われる(Murphy, 1989; Murphy and Loeb, 1989)。さらに、標本が細胞質膜で汚染されていることが発見されたが、これはM. Catarrhalis細胞エンベロープの特徴が普通ではないことを示唆していた。 M. Catarrhalis菌株O35Eの外膜小胞に対して立てられたポリクローナル抗血清を用いた受動免疫もまた、異種M. Catarrhalis菌株TTA24による肺抗原投与に対して防御することが発見された。さらに、M. Catarrhalis外膜小胞を用いた能動免疫は抗原投与後にこの微生物の肺からの除去促進を生じさせた。肺クリアランスにおける免疫のプラスの作用は、この病原体からの免疫防御において抗体が重要な役割を果たすことを示している。さらに、異種M. Catarrhalis菌株を用いた肺抗原投与に対して観察された防御は、1以上の保存された表面抗原が肺からのM. Catarrhalisの除去を促進するように機能する抗体にとっての標的であることを証明している。 外膜タンパク質(OMPs)はこの非被包性微生物の主要抗原決定因子を構成しており(Bartos and Murphy, 1988)、種々の菌株が顕著に類似のOMPプロフィールを共有している(Bartos and Murphy, 1988; Murphy and Bartos, 1989)。M. Catarrhalis菌株間で少なくとも3種の表面露出外膜抗原が良好に保存されていることが証明されている。これらには81kDa CopB OMP(Helminenら, 1993)、熱修飾性CD OMP(Murphyら, 1993)及び高分子量UspA抗原(Helminenら, 1994)が含まれている。これら3種の抗原中、CopBタンパク質及びUspA抗原はどちらも動物モデルにおいてM. Catarrhalisに対して生物学的活性を発揮する抗体に結合することが証明されている(Helminenら, 1994; Murphyら, 1993)。 17C7という名称のMAbは、少なくとも250 kDaの明白な分子量(SDS-PAGEで測定)をもって移動する超高分子量タンパク質であるUspAに結合すると報告された(Helmineら, 1994; Klingman and Murphy, 1994)。MAb 17C7は、受動免疫試験で使用された場合はマウス肺からのM. Catarrhalisの肺からの除去を促進し、コロニーブロット・ラジオイムノアッセイ(放射標識免疫定量測定)分析では試験されたM. Catarrhalisの各分離菌に結合した。この同一MAbはさらに、米国特許第5,552,146号(参照してここに組み込まれる)に記載されているように、これほど強度ではなかったが、およそ100kDaの別の抗原バンドと反応した。MAb 17C7に結合したタンパク質産物を発現したM. Catarrhalis染色体DNAの断片を含有している組換えバクテリオファージも又同定され、M. Catarrhalisからの天然UspA抗原の組換えバクテリオファージと類似する又は区別できない速度で移動した(Helminenら, 1994)。 気道感染症におけるこの病原体の重要性が上昇してくるに伴って、ビルレンス発現及び免疫に関係するこの細菌の表面成分はますます重要になりつつある。現在までに、M. Catarrhalisに対する防御的抗体を誘発する、あらゆるその他のOMP、LOS又は繊毛に対するワクチンは入手できていない。従って、免疫学的予防薬の調製において使用できる有用な抗原類を同定及び特徴付ける必要が残っていることは明白である。さらに、そうした抗原又は抗原類が同定されれば、予防プロトコルにおける広範な規模でそれらの使用を可能にする量でワクチン類の調製を可能にするであろう方法及び合成物を提供する必要が存在する。 そこで本発明の目的は、新規のUspA1及びUspA2タンパク質及びそれらをコードする遺伝子を提供することである。さらに又、例えばM. Catarrhalis感染症を治療及び抑制するための薬剤の調製においてこれらの新規タンパク質を使用する方法を提供することも本発明の目的である。さらに、抗体療法及び免疫学的予防法のような他の技術の使用を通してM. Catarrhalis感染症を抑制できる又は予防さえできることも予想されている。 これらの目標を達成するために、抗原反応を誘発するアミノ酸数7、10、20、30、40、50若しくは60もの長さのペプチド及び製剤学的に容認できる緩衝液又は希釈液を含有する治療用若しくは予防用合成物又はワクチンを調製するための基剤として役立つことができるUspA1及びUspA2のエピトープのコア配列が提供される。これらのペプチドは、M. Catarrhalisへの有効な抗原反応が維持される又は強化さえされるように担体、補助剤、他のペプチド又は他の分子と結合させることができる。或いは又、これらのペプチドはM. Catarrhalis又は他の病原体への抗原反応を誘発する他のペプチド若しくは他の分子と結合させられたときにそれら自体が担体として作用することもできる。例えば、UspA2はオリゴ糖のための担体として役立つことができる。 ある実施の形態では、UspA1及びUspA2のエピトープのコア配列はアミノ酸配列AQQQDQH(SEQ ID NO:17)を有するアミノ酸数7、10、20、30、40、50若しくは60もの長さの1個以上の単離ペプチドを含有する。 別の実施の形態では、各々UspA1及びUspA2抗原、並びにM. Catarrhalis分離菌O35E、TTA24、TTA37、及びO46EのUspA1及びUspA2抗原のアミノ酸配列をコードする核酸uspA1及びuspA2、が提供される。遺伝子uspA1及びuspA2の核酸セグメント及び断片並びにUspA1及びUspA2抗原はM. Catarrhalis感染症を治療、抑制する又は予防をもするための治療用若しくは予防用合成物又はワクチンの調製及び使用において重要であろうと考えられる。 また、別の実施の形態では、同定されたエピトープのコア配列及び製剤学的に容認できる緩衝液又は希釈液を含有するアミノ酸数約20〜約60の単離ペプチドを含有する抗原性合成物を哺乳類に提供するステップを含む、哺乳類において免疫反応を誘発するための方法が提供される。さらに別の実施の形態では、UspA1又はUspA2抗原のエピトープのコア配列の残基に相当するM. Catarrhalisアミノ酸配列順序がサンプル中に存在することを判定するステップを含んでいる、M. Catarrhalis感染症を診断するための方法が提供される。本方法は、ヌクレオチド配列或いはUspA1若しくはUspA2抗原のどちらかに対する抗体の免疫学的反応性のPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)TM検出を含むことがある。さらに別の実施の形態では、UspA1又はUspA2のエピトープのコア配列として同定されたアミノ酸配列の少なくとも連続10個の残基を含むアミノ酸数約20〜約60の単離ペプチドを個人に提供することを含むM. Catarrhalis感染症に罹患した個人を治療するための方法が提供される。さらになお別の実施の形態では、M. CatarrhalisのUspA1又はUspA2のどちらかのエピトープの同定されたコア領域と免疫学的に反応する抗体を被験者に提供することを含むM. Catarrhalis感染症を予防又は制限するための方法が提供される。別の実施の形態では、ペプチドを提供し、そのペプチドを抗体と接触させ、その後ペプチドへの抗体の結合を判定するステップを含むUspA1、UspA2又はその両方に免疫学的に結合する抗体との反応性についてペプチドをスクリーニングするための方法が提供される。本方法は、ウェスタンブロット法、ELISA、RIA又は免疫親和性分離のようなイムノアッセイ(免疫定量測定法)を含むことがある。 さらに別の実施の形態では、ペプチドを提供し、それを適切な形で実験動物に投与し、その動物にM. Catarrhalisを用いて抗原投与を行い、その後動物におけるM. Catarrhalis感染症についてのアッセイを行うことによってM. Catarrhalisに対する防御免疫反応を誘発する能力についてUspA1又はUspA2ペプチドをスクリーニングする方法が提供される。使用される動物は、M. Catarrhalisへ肺暴露させることによって抗原投与されるマウスであり、そのアッセイがマウスによる肺クリアランスの程度を評価することを含むことが想像される。 本発明のその他の目的、特徴及び長所は下記の詳細な説明から明白となるであろう。しかし、詳細な説明から本発明の精神及び範囲内で様々な変更及び修飾は当業者に明白となるであろうから、詳細な説明及び本発明の好ましい実施の形態を示している特異的実施例は例示する目的でのみ記載されていると理解されなければならない。 下記の図面は本発明の一部をなしており、本発明の一定の態様をさらに詳細に示すために含まれている。本発明は本書に含まれている特別な実施の形態の詳細な説明と組み合わせてこれらの図面の1図以上を参照することによってより明確に理解できるであろう。本発明は、エム・カタルハリス(M.catarrhalis)に対する強力なワクチンを開発するのに有用なエピトープの同定に関する。初期の研究は、UspA抗原の分子特性を測定する時に指示され、そしてMAb17C7によって認識されるエピトープを特徴付けた。当初の研究は、MAb17C7が、単独の抗原性エピトープを認識することを示し、そしてこのエピトープが単独の遺伝子にコードされたと思われた。しかし、そのエピトープを含有するタンパク質の単離は、予測できない結果を生じた。MAb17C7は、単独のエピトープを認識したが、そのエピトープに結合したタンパク質の特徴は、1つではなく2つの別々のタンパク質の存在を示唆した。さらに注意深い分析は、驚くべき知見に至った。UspA抗原の単独のエピトープは、MAb17C7によって認識されるが、しかしこのエピトープは、2つの異なる遺伝子、それぞれUspA1およびUspA2によってコードされる2つの異なるタンパク質、UspA1およびUspA2に存在し、そして互いに43%同一性を示すのみである。本発明は、遺伝子UspA1およびUspA2のヌクレオチド配列、それらの予測タンパク質産物、UspA1およびUspA2、およびMAb17C7によって認識される共有エピトープを提供する。さらに、本発明は、そのタンパク質を含有するUspA1およびUspA2タンパク質の配列の分析に基づいたUspAタンパク質の抗原性構造を見抜く洞察結果を提供する。MAb17C7によって標的にされる分子のエピトープ領域の特徴付けは、エム・カタルハリス(M.catarrhalis)感染に対して保護する上で、例えば予防薬を製造する上で有用である薬剤の開発を可能にする。具体的な実施の形態は、UspA1およびUspA2タンパク質に対応するアミノ酸および核酸、それらから由来するペプチドおよび抗原性組成物、およびエム・カタルハリス(M.catarrhalis)病の診断および治療方法に関する。先に述べたしたとおり、エム・カタルハリス(M.catarrhalis)感染は、特に青少年に重篤な健康上の問題を引き起こす。したがって、この疾患の治療および診断の助けとなる組成物および方法を開発するのは明らかな必要性がある。エム・カタルハリス(M.catarrhalis)のUspA抗原の構造に関する新たな情報による本発明、および2つの新規なそして際立ったタンパク質UspA1およびUspA2の知見は、このような改善された組成物および方法を提供する。受動免疫化で供される時に、肺動脈クリアランスモデルで測定する際に、MAb17C7が、実験動物を保護することが示されてきたので、UspA1およびUspA2は、 重要な抗原決定基を表す。第一の実施の形態で、本発明は、エム・カタルハリス(M.catarrhalis)株O35Eから得られるタンパク質UspA1およびUspA2の同定を行っている。UspA1タンパク質は、約831アミノ酸残基を含有し、そして約88,271ダルトンの検出マス(配列番号:1)を示す。UspA2タンパク質は、約576残基を含み、そして約62,483ダルトンの検出マス(配列番号:3)を示す。UspA2は、UspA1の先を切ったまたは加工された形態ではない。第二の実施の形態で、本発明は、MAb17C7が結合した特定のエピトープを同定した。エム・カタルハリス(M.catarrhalis)株O35EのUspA1タンパク質のアミノ酸残基480−502および582−604(配列番号:1)およびUspA2タンパク質の残基355−377(配列番号:3)の間に見られる、「3Q」ペプチドとして示される共通のペプチド配列は、MAb17C7によって認識される領域を包含する。(アミノ酸残基の番号付けは、(配列番号:3)で供されるとおり株O35Eに基づいていることに注意されたい。)この領域は、病原体の生物学的原理において重要な役割を果たし、そしてこの情報から、MAb17C7抗体結合で重要であるアミノ酸残基を推論することできると考えられる。この情報に基づいて、MAb17C7または他の抗体に高いかまたは低いアフィニティーのいずれかを示すエピトープ領域を設計することができるものと考えられる。本発明の別の実施の形態は、以下に説明される。別の好ましい実施の形態では、本発明は、少なくとも1つの単離遺伝子を包含するDNAセグメントベクターおよび同等物、エム・カタルハリス(M.catarrhalis)UspA1またはUspA2タンパク質、ポリペプチド、ドメイン、ペプチドまたはそのあらゆる融合タンパク質をコードするDNAセグメントまたはコーディング領域を提供する。ここで、少なくとも単離遺伝子、株O35Eの約2493塩基対(bp)(配列番号:2)、株O46Eの約3381bp(配列番号:6)、株TTA24の約3538bp(配列番号:10)、または株TTA37の約3292bp(配列番号:14)を含むエム・カタルハリス(M.catarrhalis)UspA1をコードするDNAセグメントまたはコーディング領域が提供される。さらに、少なくとも1つの単離遺伝子、株O35Eの約1728bp(配列番号:4)、株O46Eの約3295bp(配列番号:8)、株TTA37の約2673bp(配列番号:12)または約4228bp(配列番号:16)を含むエム・カタルハリス(M.catarrhalis)UspA2をコードするDNAセグメントまたはコーディング領域が提供される。uspA1およびuspA2遺伝子は、タンパク質、抗体の製造、エム・カタルハリス(M.catarrhalis)感染を治療または阻害、あるいは予防すらする強力な候補薬および同等物のスクリーニングアッセイに有用であると考えられる。本発明は、他の細菌、ウイルスまたは寄生生物感性の治療、阻害または予防にさえ有用である他の剤の免疫原性担体としてUspA1またはUspA2タンパク質またはペプチドの使用を提供もする。UspA1またはUspA2抗原、またはその部分は、エム・カタルハリス(M.catarrhalis)および別の病原体(類)による感染の治療、阻害または予防にさえ有用である二重特異性または多価組成物またはワクチンが製造されるようにリンカー、ポリリンカーまたは誘導アミノ酸を介して、1つまたはそれ以上の剤に架橋、結合、結合、複合または化学的に連結すると考えられる。さらに、これらの組成物を製造する時に使用される方法は、当業者に知られており、そして例えば、鍵穴カサガイのヘモシアミン(KLH)またはウシ血清アルブミン(BSA)との複合体を製造するために使用されるものに類似することも考えられる。以下に示されるとおり、診断および予防のスクリーニング法が容易に得られることを認識することが重要である。すなわち、(i)ペプチド、突然変異ペプチドおよび抗体を互いの反応性について試験し、かつ(ii)インビボでの感染を防止し、臨床的に重要な薬を開発する強力な手段を提供することができるかどうかについてペプチドおよび抗体を試験することが可能である。1.0 UspAタンパク質、ペプチドおよびポリペプチド1つの実施の形態で、本発明は、2つの新規なタンパク質配列、UspA1およびUspA2、およびMAb17C7の標的エピトープとして同定されるペプチド配列AQQQDQH(配列番号:17)を包含する。さらに、エム・カタルハリス(M.catarrhalis)の4つの株から得たUspA1およびUspA2タンパク質のアミノ酸を調べて、各タンパク質は、MAb17C7を結合するペプチドYELAQQQDQH(配列番号:18)の少なくとも1つのコピーを含み、または1つの例では、ほぼ同一のペプチドであり、アミノ酸配列YDLAQQQDQH(配列番号:19)を有していた。ペプチド(YELAQQQDQH、配列番号:18)は、残基486−495および588−597での株O35Eから得られるUspA1(配列番号:1)で二度、そして残基358−367での株O35Eから得られるUspA2(配列番号:3)で一度起こる。それは、残基497−506で株TTA24から得たUspA1(配列番号:9)で一度、そして残基225−234および413−422での株TTA24から得たUspA2(配列番号:11)で二度起こる。ペプチドYDLAQQQDQH(配列番号:19)は、残基448−457での株O46Eから得られるUspA1(配列番号:5)で一度起る一方で、ペプチドYELAQQQDQH(配列番号:18)は、残基649−658にあるこの同じタンパク質(配列番号:5)で一度起こる。ペプチドYELAQQQDQH(配列番号:18)は、残基416−425にある株O46Eから得られるUspA2(配列番号:7)で一度起こる。ペプチドYELAQQQDQH(配列番号:18)は、残基478−487および630-639にある株TTA37から得られるUspA1(配列番号:13)で二度、そして残基522-531および681-690にある株TTA37から得られるUspA2(配列番号:15)で二度起こる。さらに、本発明に含まれるのは、他のUspAタンパク質、この実施例ではUspA2タンパク質の部分と融合した、または強力なワクチンのスクリーニングでのカナマイシン耐性のような同定あるいは他の目的に、またはUspA1およびUspA2タンパク質の別の特徴付けに有用である他のタンパク質と融合した、1つのUspAタンパク質、例えばUspA1タンパク質から得た部分を含有するハイブリッド分子である。例えば、あらゆるUspA1の残基1-350をあらゆるUspA2の残基351-576と融合できる。選択的に、融合は、単独のUspA抗原で表される3、4または5つものペプチド領域から得られる配列で発生させることができた。さらに包含されるのは、UspA1およびUspA2分子のフラグメント、並びにそれぞれ、非UspA配列が導入され、UspA配列が除去されるか、またはUspA配列は、非UspA配列に置換されている挿入、欠失または置換突然変異体である。本発明による、UspA1およびUspA2タンパク質は、別の構造または機能分析で、またはUspA関連ポリペプチドおよびUspA特異的抗体のような薬の生成で使用するためのフラグメントに有利に切断できる。これは、精製または未精製UspA1および/またはUspA2を、エンドプロテイナーゼglu−C(ベーリンガー(Boehringer)、インディアナ州インディアナポリス(Indianapolis,IN))のようなペプチダーゼで処理することによって達成される。CNBrでの処置は、UspA1および/またはUspA2フラグメントが、それらの自然の予測タンパク質から生成できるような別の方法である。組換え技術も、UspA1またはUspA2の特定のフラク゛メントを生成するのに使用することができる。さらに微妙な修飾および改変は、本発明のコードされたUspA1またはUspA2ポリペプチドの構造で行うことができ、そしてさらに、自然のUspA抗原の特徴付けを示すタンパク質またはペプチドをコードする分子を得る。以下は、タンパク質のアミノ酸を改変して、等価な、または改善すらされている第二世代分子を作ることに基づいた説明である。アミノ酸改変は、以下のコドン表にしたがって、DNA配列のコドンを改変することによって達成できる: 特定のアミノ酸を、その抗原性または免疫原性活性を修飾または改善するためにタンパク質構造中の他のアミノ酸に置換することができることが知られている(例えば、ケイト(Kyte)およびドリトル(Doolittle)、1982年;ホップ、米国特許第4,554,101号、ここに明細書の記載の一部として引用する)。例えば、代替のアミノ酸の置換で、小さな形状の改変は、ポリペプチドに付与される可能性があり、それは活性または安定性が増大することになる。代わりに、特定のポリペプチドにおけるアミノ酸置換は、その後他の分子に結合して、他の目的に有用であるべき出発ペプチドの十分な抗原性を残すペプチド分子複合体を提供できる残基を提供するために活用できる。例えば、診断の実施の形態における特定の利点を示す、固形支持体に結合した選択UspA1またはUspA2ペプチドが、構築できる。 タンパク質における相互作用の生物学的機能を付与する際のアミノ酸の疎水性・親水性指標(hydropathic index)の重要性は、一般に、ケイト(Kyte)およびドーリトル(Doolittle)(1982年)によって説明され、そこで、特定のアミノ酸は、類似の疎水性・親水性指標またはコアを示す他のアミノ酸に置換することができ、そして依然として類似の生物学的活性を保持することが分かる。以下の表IIに示されるとおり、アミノ酸は、それらの疎水性を基準にして疎水性・親水性指標を割り当てられ、そして特徴を変化させる。アミノ酸の相対的疎水性・親水性の特徴は、生じたタンパク質の二次構造を決定すると考えられ、それはすぐに、基質分子を有するタンパク質の相互作用を明示する。抗原的に同等なペプチドまたはタンパク質になる好ましい置換は、一般に、お互いの±2単位以内、そしてさらに好ましくは±1単位以内、そしていっそうさらに好ましくは±0.5単位以内のインデックススコアを示すアミノ酸を包含する。したがって、例えば、+4.5の疎水性・親水性指標を示すイソロイシンは、好ましくは、バリン(+4.2)またはロイシン(+3.8)のようなアミノ酸と交換される。代替的に、そのスケールの他方の端で、リシン(−3.9)は、アルギニン(−4.5)などに置換されることが好ましい。 同様のアミノ酸の置換は、特に、それにより作られる生物学上の機能の同等なタンパク質またはペプチドが、免疫学上の実施の形態に使用することが意図される、親水性を基準にして行うこともできる。ここに参照して組込まれる米国特許番号第4,554,101号には、それの隣接アミノ酸の親水性によって制されるとおりタンパク質の最大の局所平均親水性は、その免疫原性および抗原性を、すなわちタンパク質の重要な生物学上の特性を相互に関係させることが主張されている。 米国特許番号第4,554,101号に詳細に説明されるとおり、各アミノ酸にも、親水性値を割当てた。これらの値は、表IIIに以下で詳細に説明される。 1種のアミノ酸を、同様の親水性値を示す別のものに置換でき、そして依然として生物学的に同等の、そして特に、免疫学的に等価なタンパク質を得ることが分かる。このような改変で、その親水性値が、±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内であるものが、特に好ましく、そして±0.5以内のものが、さらにいっそう好ましい。 したがって、これらのアミノ酸置換は、一般に、例えばサイズ、求電子特性、負荷、および同等物の点でR基の置換基の相対的類似性に基づいている。一般に、種々の先行の特性を考慮に入れる好ましい置換は、当業者に知られ、そして例えば以下の組合せが挙げられる。例えば、アルギニンとリシン、グルタメートとアスパルテート、セリンとトレオニン、グルタミンとアスパラギン、そしてバリン、ロイシンとイソロイシンである。 さらに、これらの配列から得た少なくとも約6つの連続したアミノ酸のペプチドを含めたこれらのポリペプチドから由来したペプチドが、予想される。代替的には、このようなペプチドは、約7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59または60の連続残基を包含できる。例えば、6つの連続アミノ酸残基を包含するペプチドは、残基1から6まで、2から7まで、3から8まで等のUspA1またはUspA2タンパク質を包含しうる。このようなペプチドは、式xから(x+n)=第一および最後の連続残基の5’から3’までの位置(式中、xは、1から全長のいずれかの数のUspA1またはUspA2タンパク質に等しく、そしてnは、ペプチドマイナス1の長さに等しい)で表すことができる。そして、UspA1については、x=1から831まで、UspA2については、x=1から576までである。ペプチドが、10残基長(n=10−1)である場合、式は、各抗原にそれぞれ10merの可能性を示す。例えば、xが1に等しい場合、ペプチドは、残基1から(1+[10−1])まで、または1から10までを包含する。xが2に等しい場合、ペプチドは、残基2から(2+[10−2])まで、または2から11まで等を包含する。 ペプチドの合成は、固相法(例えば、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)のモデル430Aペプチド合成機のような、市販のペプチド合成機の使用によって)のような従来の合成技術を使用して容易に達成される。その後、この方法で合成されるペプチドは、予測量で割り、そして水溶液または、さらに好ましくは使用まで粉末または凍結乾燥状態のような従来の方法で保存することができる。 一般に、ペプチドの相対的安定性のために、それらは、所望であればかなり長期間の間、水溶液で、例えば6ヶ月までまたはそれ以上、抗原活性をかなり分解または損傷することのないほとんどあらゆる水溶液で、容易に保存できる。しかし、水性の保存が延長されることが予想される場合、一般に、7.0から7.5のpHを維持するために、トリスまたはリン酸緩衝液のような緩衝液を含めた試薬を含むことが望ましい。さらに、ナトリウムアジドまたはメチオレートのような、微生物の成長を阻害する剤を含むことを望みうる。水性状態で保存が延長される場合、4℃の溶液、またはさらに好ましくは凍結させて保存するのが望ましい。もちろん、ペプチド(類)が、凍結乾燥または粉末状態で保存される場合、それらは、ほとんど無制限に、例えば使用の前に予測量の水(好ましくは蒸留、脱イオン化)または緩衝液で戻してもよい計ったアリコート量で保存してもよい。 特に注目されるものに、UspA抗原内にあり、そして本発明のUspA1およびUspA2タンパク質によって包含されるエピトープを表すペプチドがある。「エピトープ」は、T細胞またはB細胞からの応答を刺激し、それによりこれらの細胞からの免疫応答を引出す分子の領域である。ここで使用される場合、エピトープのコア配列は、抗体またはT細胞レセプター上の結合部位に構造的に「相補性」であり、そしてそれにより結合する比較的短い伸縮のアミノ酸である。本発明の開示の内容で、「相補性」の語句は、互いに誘引力を示すアミノ酸またはペプチドであるものと解すべきである。したがって、本発明の特定のエピトープ性コア配列は、対応のUspA指向性抗血清に対する対応のUspA抗原の結合と競合するかまたはおそらく移動させる能力の点で操作的に定義されうる。 エピトープ性コア配列の同定方法は、当業者に知られている。例えば、米国特許番号第4,554,101号には、親水性の根拠で、またはチュー−ファスマン(Chou−Fasman)分析によりアミノ酸配列から得られるエピトープの同定および製造が教示されている。非常に多くのコンピュータプログラムが、タンパク質の抗原部分を検出するのに使用することが可能であり、その例としては、ジェイムソン−ウルフ(Jameson−Wolf)の分析に基づいたプロブラムのもの(ジェイムソン(Jameson)およびウルフ(Wolf)、1988年;ウルフ(Wolf)ら、1988年)、プログラムペッププロット(PepPlot(R))(ブルトラグ(Brutlag)ら、1990年;ワインバーガー(Weinberger)ら、1985年)、およびコンピュータ化ペプチド配列分析プログラムと共に使用できるタンパク質の三次構造検出についての他の新規なプログラム(フェトロウ(Fetrow)およびブレイアント(Bryant)、1993年)が挙げられる。 一般に、ポリペプチド抗原のサイズは、少なくとも同定されたコア配列または配列群を担持するのに十分長い限り、特に重大であると思えない。本発明の開示によって予想される最少の有用なコア配列は、長さで約6つのアミノ酸の桁にある。したがって、このサイズは、一般に、本発明により製造される最少のペプチド抗原に対応する。しかし、抗原のサイズは、それが基本的なエピトープ性コア配列を含有する限り、所望な場合より長くてよい。2.0 UspA1およびUspA2核酸 ポリペプチドに加えて、本発明は、それぞれ、例示のエム・カタルハリス(M.catarrhalis)株O35E、O46E、TTA24およびTTA37から得られるUspA1(配列番号:2、配列番号:6、配列番号:10および配列番号:14)およびUspA2(配列番号:4、配列番号:8、配列番号:12および配列番号:16)タンパク質をコードする核酸をも包含する。遺伝子コードの縮重のため、多くの他の核酸は、例示のUspA1またはUspA2タンパク質をコードすることもできる。例えば、4つの異なる3塩基コドンは、アラニン、グリシン、プロリン、トレオニンおよびバリンをコードする一方で、6つの異なるコドンは、アルギニン、ロイシンおよびセリンをコードする。メチオニンおよびトリプトファンのみが、単独のコドンによってコードされる。表Iは、アミノ酸およびこのような実施の形態で使用するためのそれらの対応のコドンの例示を提供する。UspA1またはUspA2をコードするあらゆる核酸を発生するために、1つの必要性は、ここに供されるコドン表に該当するのみである。同じアミノ酸をコードするあらゆるコドンで天然のコドンを置換すると、UspA1またはUspA2をコードする際だった核酸になる。特定のものとして、これは、現存するUspA1またはUspA2遺伝子の部位指向性突然変異または1つまたはそれ以上の核酸のデノバ(新規な)化学合成によって達成できる。 コドン選択、部位指向性突然変異および化学合成によるこれらの観察は、上に設定されるとおり、置換性の突然変異体UspA1またはUspA2ペプチドおよびポリペプチドの説明に同様に適用できる。さらに特異的には、例示のポリペプチドまたはエピトープの1つまたはそれ以上のコドンを改変するように設計されている核酸配列での部位指向性改変によって発生された置換性突然変異体は、迅速な形態で多数の突然変異体を発生するさらに好適な方法を提供できる。本発明の核酸は、UspA1またはUspA2、UspA1−UspA2形態の分子(上に説明される)および他の分子を有するUspA1またはUspA2形態のフラグメント(例えば切断)を発生する単独の方法を提供する。例えば、UspA1またはUspA2遺伝子中の制限酵素およびヌクレアーゼの活用は、1つから複数のこれらの遺伝子の構造、そして生じた遺伝子産物を可能にする。 本発明の開示によって提供された核酸配列情報は、選択UspA1またはUspA2遺伝子の遺伝子配列に特異的にハイブリダイズする能力を示す比較的短いDNA(またはRNA)配列をも考慮に入れる。これらの態様で、適切な長さの核酸プローブは、UspA1またはUspA2遺伝子のコーディング配列、またはエム・カタルハリス(M.catarrhalis)の染色体にある下流および上流領域のようなUspA1またはUspA2遺伝子の近くのフランキング領域の要件に基づいて作製される。UspA1またはUspA2遺伝子配列のいずれかに特異的にハイブリダイズするそのような核酸プローブの能力は、それらに種々の実施の形態での特定の利用性を付与する。例えば、プローブは、例示のサンプル中の病原性有機物の存在を検出するための種々の診断アッセイに使用することができる。さらに、これらのオリゴヌクレオチドを、枠内で、現存の抗体との反応性について、または診断または治療薬を生成する能力について対応のペプチドをスクリーニングの目的のために発現構築物に挿入することができる。 本発明によるある種の利点を提供するために、30から60まで、またはそれ以上のヌクレオチドの配列が有用であるとも考えられるが、ハイブリダイゼーション研究またはアッセイに使用される好ましい核酸配列は、少なくとも10から20、またはそれ以上の配列のヌクレオチド収縮に相補性のある配列を含む。長さが少なくとも9つのヌクレオチドのサイズは、フラグメントが安定なそして選択的な両方である二重螺旋分子を形成するのに十分な長さのものであることを保証する助けとなる。しかし、ハイブリッドの安定性および選択性を増大させ、そしてそれにより得られた特異的ハイブリット分子の質および程度を改善させるために、長さ10塩基より大きな伸縮より相補的配列を示す分子が、一般に好まれる。したがって、ある者は、UspA1またはUspA2遺伝子−15から20ヌクレオチドの相補的伸縮、または所望される場合、30から60までのようなさらに長いもののいずれかを示す核酸分子を設計することが一般に好ましい。このようなフラグメントは、例えば、化学的手段により直接的に合成することによって、米国特許番号第4,603,102号の商標PCRTM技術のような核酸増殖技術の使用によって、または組換え体生成のための選択配列を組換えベクターに導入することによって、容易に製造できる。 有用であるプローブは、配列番号:2または配列番号:4または配列番号:6または配列番号:8または配列番号:10または配列番号:12または配列番号:14または配列番号:16の配列のあらゆる部分から誘導することができる。したがって、配列番号:2または配列番号:4または配列番号:6または配列番号:8または配列番号:10または配列番号:12または配列番号:14または配列番号:16のヌクレオチド配列の最後の9つのヌクレオチドを包含するプローブまで、ヌクレオチド1から9まで、または2から10まで、または3から11まで等を包含するプローブが、特に予想される。したがって、各プローブは、式「nからn+8まで」(式中、nは、1から配列中のヌクレオチドの数までの整数である)によって示される配列番号:2または配列番号:4または配列番号:6または配列番号:8または配列番号:10または配列番号:12または配列番号:14または配列番号:16のヌクレオチド配列の少なくとも9つの線状ヌクレオチドを包含する。低、中程度、中程度−高および高ストリンジェンシー条件下でUspA1またはUspA2遺伝子にハイブリダイズするより長いプローブも、配列番号:2または配列番号:4または配列番号:6または配列番号:8または配列番号:10または配列番号:12または配列番号:14または配列番号:16の全てのヌクレオチド配列を包含するものを含めて予想される。この仮定は、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100およびそれ以上の塩基の長さを示すプローブについて繰返すことができる。 本発明のUspA抗原性エピトープは、株O35E、O46E、TTA24およびTTA37によって例示されるとおり病原性モラクセラ(Moraxella)種を示していると考えられる点で、本発明のプローブは、臨床サンプル中のUspA1またはUspA2DNAを検出する診断ハイブリダイゼーションアッセイの根拠として特定の利用性を見出す。したがって、感染の診断に使用できる例示の臨床サンプルは、中耳体液、痰、粘液、気管支肺胞液、羊水などを含めた、ことによるとモラクセラ(Moraxella)核酸を含有するあらゆるサンプルである。種々のハイブリダイゼーション技術およびシステムは、ファルコー(Falkow)らの米国特許番号第4,358,535号に記載されるもののような診断アッセイを含め、本発明のハイブリダイゼーション態様と共に使用できることが知られている。説明される使用法によって、あるものは、ハイブリダイゼーションの種々の条件を用いて、標的配列に対して様々な程度のプローブの選択性に達することを望む。高度の選択性を必要とする使用については、一般に、比較的緊縮な条件を用いて、ハイブリッドを形成することができ、例えば0.02M−0.15MNaClで、50℃から70℃の温度で提供されるような比較的低い塩および/または高温条件を選択することができる。これらの条件は、特に選択的であり、ほとんどないか、もしあったとしてもプローブと鋳型、標的配列との間のミスマッチに厳格である。 もちろん、ある種の使用については、例えば、基礎をなすテンプレート(鋳型)にハイブリダイズされた突然変異一次鎖を使用して突然変異体を作製することを望む場合、緊縮の低いハイブリダイゼーション条件は、異種二重螺旋の条件を与えるために要求される。これらの環境では、20℃から55℃までの範囲の温度で、0.15M−0.9M塩のような条件を使用することを望む。あらゆる場合に、条件は、温度を上げた場合と同じ方法でハイブリッド二重螺旋を不安定化させるホルムアミドの量を増加して添加することによっていっそう緊縮させることができることが一般に予測される。したがって、ハイブリダイゼーション条件は、容易に操作でき、そして選択の方法は、一般に期待される結果に依存する。 ある種の実施の形態では、突然変異クローンを含むクローンバンクから得た変異体を単離する核酸プローブを使用することが望み得る。特定の実施の形態では、UspA1および/またはUspA2配列の変異体を含む固体培地で生育する突然変異クローンコロニーは、コロニーブロットアッセイで使用されるもののような、ハイブリダイゼーション条件および方法を用いて二重フィルターで同定して、配列変異体を含有するプローブおよび特定のコロニーに含まれる核酸配列異性体の間のみでハイブリダイゼーションを得ることができた。この方法で、UspA1またはUspA2遺伝子のいずれかの短い変異体配列を含む小さなハイブリダイゼーションプローブが、全UspA1またはUspA2遺伝子の配列変異体を含有する固体培地で生育するクローンのものを同定するのに使用できる。その後、これらのクローンは、所望の量の変異体UspA1またはUspA2核酸配列または対応のUspA抗原を得るために育成できる。 臨床的診断の実施の形態で、本発明の核酸配列は、ハイブリダイゼーションを測定するために、標識のような、適切な手段と組合せて使用される。広範な適切な指標手段は、放射性、酵素性または他のリガンド、検出可能なシグナルを示す能力があるアビジン/ビオチンのような他のリガンドを含め、当業界で知られている。好ましい診断の実施の形態で、放射活性または他の環境的に望ましくない試薬の代わりに、ウレアーゼ、アルカリ性フォスファターゼまたはペルオキシダーゼのような酵素タグを使用することがおそらく望ましい。酵素タグの場合に、ヒトの目または分光光度計で見ることができる手段を提供するために用いて、病原体核酸含有サンプルとの特異的なハイブリダイゼーションを同定することができる色測定指標物質が知られている。 一般に、ここに記述されるハイブリダイゼーションプローブが、固相を用いる実施の形態と同様に、溶液ハイブリダイゼーション中の使用として両方有用であることが説明される。固相を含む実施の形態では、滲出液、体液(例えば、羊水、中耳滲出液、気管支肺胞洗浄液)または組織さえのような予測される臨床サンプルから得られる試験DNA(またはRNA)が、選択マトリックスまたは表面に吸収されるか、またはさもなければ付着される。その後、この固定した一本鎖核酸を、所望の条件下で選択プローブを用いて特異的ハイブリダイゼーションにかける。選択条件は、必要とされる特定条件(例えば、G+C内容で、標的核酸のタイプ、核酸の源、ハイブリダイゼーションプローブのサイズなどによって)に基づいて特定の環境に左右される。非特異的結合プローブ分子を除去するためにハイブリダイズした表面を洗浄することに続いて、特定のハイブリダイゼーションを、標識の手段によって検出、または定量させする。 UspA1および/またはUsp2エピトープをコードする核酸配列、またはそれらの変異体は、商標PCRTM方法と共に、エム・カタルハリス(M.catarrhalis)を検出するのに有用でありうる。一般に、例えば米国特許番号第4,603,102号で設定されるとおり商標PCRTM方法と共に使用することによって、サンプル中のuspA1またはuspA2核酸の種々の部分を活用することができる。その後、uspA1またはuspA2配列の増幅部分を、相補的配列を含むハイブリダイゼーションプローブとのハイブリダイゼーションによって検出できる。この方法では、エム・カタルハリス(M.catarrhalis)核酸の極めて小さな濃度を、uspA1またはuspA2配列を活用するサンプル中で検出できる。3.0 UspA1および/またはUspA2抗原を生成するためのベクター、宿主細胞および培養物 UspA1および/またはUspA2ポリペプチドを発現するために、発現カセット中のuspA1および/またはuspA2遺伝子を提供することが必要である。発現カセットは、プロモーターの転写制御下でUspA1および/またはUspA2コーディング核酸を含有する。「プロモーター」は、遺伝子の特定の転写を開始させることが必要とされる、細胞の合成機構によって認識されるか、または合成機構を導入したDNA配列に該当する。「転写制御下」の語句は、プロモーターが、核酸との関係で正確な位置および向きにあって、RNAポリメラーゼの開始およびその遺伝子の発現を制御することを意味する。原核細胞の組換えDNA構築物にもっとも一般に使用されるそれらのプロモーターとしては、B−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)およびラクトースプロモーター系(Changら、1978年;Itakuraら、1977年;Goeddelら、1979年)およびトリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddelら、1980年;欧州特許公開第0036776号)が挙げられる。これらが最も一般に使用される一方で、他の微生物のプロモーターが知見され、そして活用され、そしてそれらのヌクレオチド配列に関する詳細が、当業者に、それをプラスミドベクターと機能的に結合させることができるようにしながら公表された(欧州特許出願公開番号第0036776号)。有用なプロモーターのさらなる例は、以下の表IVで付与される。 適切な発現カセットを、標準の遺伝子導入技術によって市販の発現ベクターに挿入できる。例えば、イー.コリ(E.coli)ベクターpUCまたは商標pBluescriptTMは、インビトロで組換えUspA1および/またはUspA2ポリペプチドを作製するために本発明にしたがって使用することができる。これらのベクターの取り扱いは、当業界で十分に知られている。一般に、宿主細胞と適合性のある種から誘導されるレプリコンおよび制御配列を含有するプラスミドベクターは、これらの宿主と共に使用される。ベクターは、通常、形質転換細胞にある表現型の選択を提供する能力のある標識配列と同様に、複製部位を担持する。例えば、イー.コリ(E.coli)は、一般に、イー.コリ(E.coli)から誘導されるプラスミドpBR322を用いて形質転換させる(ボリバー(Bolivar)ら、1977年)。pBR322は、アンピシリンおよびテトラサイクリン耐性についての遺伝子を含有し、したがって、形質転換細胞を同定するための容易な手段を提供する。pBRプラスミド、他の微生物プラスミドまたはファージも、それ自身のタンパク質の発現のために微生物有機物によって使用できるプロモーターを含有するか、または含有するように修飾されなければならない。 さらに、宿主微生物に適合性のあるレプリコンおよび制御配列を含有するファージベクターは、これらの宿主と共に形質転換ベクターとして使用できる。例えば、ファージラムダGEMTM−11は、イー.コリ(E.coli)LE392のような宿主細胞を形質転換するのに使用できる組換えファージベクターを作製するのに活用できる。 1つの実施の形態では、UspA抗原は、pGEX4T-2タンパク質融合系(ニュージャージー州ピスカタウエイ(Piscataway, NJ)のファルマシア・エル・ケイ・ビー(Pharmacia LKB))を用いることによって融合タンパク質として発現され、UspA1およびUspA2タンパク質の両方を包含するようにUspA抗原の特徴付けをさせる。融合タンパク質発現系のさらなる例は、グルタチオンS−トランスフェラーゼ系(ニュージャージー州ピスカタウエイ(Piscataway, NJ)のファルマシア・エル・ケイ・ビー(Pharmacia LKB))、マルトース結合タンパク質系(マサチューセッツ州ビバリー(Beverley,MA)のエヌ・イー・ビー(NEB))、FLAG系(コネチカット州ニューヘイブン(New Haven,CT)のアイ・ビー・アイ(IBI))、および6xHis系(カリフォルニア州チャッツワース(Chatsworth、CA)のキアゲン(Qiagen))である。これらの融合系の内のいくつかは、組換えタンパク質の機能許容量に影響を及ぼしそうもない少数の追加のアミノ酸のみを持つ組換えタンパク質を生成する。例えば、FLAG系および6×His系の両方が、短い配列のみを加え、その両方は、抗原性に乏しいことが知られおり、そしてそのタンパク質をその自然の形状に折畳むことに反対に影響をおよぼさない。他の融合系は、所望のタンパク質から融合相手を切り取ることを望むことができるタンパク質を生成する。別の実施の形態では、融合相手は、プロテアーゼの特異的認識配列を含有するペプチド配列によって組換えタンパク質に結合される。適切な配列の例は、タバコエッチウイルスプロテアーゼ(メリーランド州ゲテルスブルグ(Gaithersburg,MD)のライフ・テクノロジーズ(Life Technologies))またはXa因子(マサチューセッツ州ビバリー(Beverley,MA)のニューイングランド・バイオラボズ(New England Biolabs))によって認識されるものである。 イー.コリ(E.coli)は、好ましい原核宿主である。例えば、イー.コリ(E.coli)株RR1は、特に有用である。使用できる他の微生物株としては、イー.コリ(E.coli)LE392、イー.コリ(E.coli)B、およびイー.コリ(E.coli)X1776(ATCC番号31537号)のようなイー.コリ(E.coli)株が挙げられる。以降の株、並びにイー.コリ(E.coli)W3110(F-、ラムダ−、プロトトロピック、ATCC番号第273325号)、バシルス・サブチリス(Bacillus subtilis)のようなバシルス、サルモネラ・トリフィムリウム(Salmonella typhimurium)またはセラチア・マルセサンス(Serratia marcescens)のような他のエンテロバクテリアエ、および種々のシュードモナス種(Pseudomonas species)が使用できる。もちろん、これらの例は、制限するよりむしろ例示性があることが意図される。組換え細菌細胞、例えばイー.コリ(E.coli)は、多くの適切な培地、例えばLBの内のいずれかで育成され、そして組換えポリペプチドの発現は、培地にIPTGを添加するか、またはインキュベーションを高温に切替えることによって誘導される。2および24時間の間のさらなる期間に細菌を培養した後、細胞を、遠心分離によって収集し、そして洗浄して残余培地を除去する。その後、細菌細胞を、例えば、細胞ホモジナイザー中で破壊することにより溶解させ、そして遠心分離して、可溶性細胞成分から濃密な封入体および細胞膜を分離する。これにより濃厚な封入体が、しょ糖のような糖を緩衝液に組込み、そして選択速度で遠心分離することによって選択的に富化される条件下で、この遠心分離を行うことができる。 多くの例での場合のとおり、組換えタンパク質が、封入体中で発現される場合、これらは、数種の溶液中で洗浄して、混入宿主タンパク質のいくらかを除去し、その後、高濃度の尿素(例えば8M)を含有する溶液、またはβメルカプトエタノールまたはDTT(ジチオスレイトール)のような還元剤の存在下で、塩酸グアニジンのようなカオトロピック剤中で可溶化させることができる。 ある種の環境下では、再折畳みプロセスを、天然の例えばのものといっそう親密に類似する形状に至らせる、タンパク質に適切な条件下で数時間、ポリペプチドをインキュベートすることは有利でありうる。このような条件は、一般に、500μg/ml未満の低い濃度のタンパク質、低濃度の還元剤、2M未満の尿素の濃度および、しばしば、タンパク質分子内のジスルフィド結合の相互変換を促進する還元および酸化グルタチオンの混合物のような薬剤の存在を包含する。 再折畳みプロセスは、例えば、SDS−PAGEによって、または天然の分子に特異性である抗体(細菌から単離した天然分子でワクチン接種した動物から得ることができる)を用いて観察することができる。再折畳みに続いて、その後、タンパク質は、さらに精製、そしてイオン交換樹脂、ゲル透過樹脂または種々のアフィニティーカラムを含めた数種の支持体の内のいずれかのでのクロマトグラフィーにより、再折畳み混合物から分離できる。 組換えUspAタンパク質が生成できる適切なベヒクルを提供する種々の他の真核細胞のベクターがある。本発明の様々の実施の形態で、発現構築物は、ウイルスゲノムから誘導されるウイルスまたは操作した構築物を包含できる。レセプター指向性エンドサイトーシスを介して細胞に入れ、そして宿主細胞ゲノムに組込み、そしてウイルス遺伝子を発現させるある種のウイルスの能力は、安定にそして有効に、それらを、外来遺伝子を哺乳類細胞に移行させるための魅力的な候補にした(リッジウエイ(Ridgeway)、1988年;ニコラス(Nicolas)およびルーベンスタイン(Rubenstein)、1988年;ベイクウォール(Baichwal)およびスッジェン(Sugden)、1986年;テミン(Temin)、1986年)。ベクターとして使用される第一のウイルスは、パボバウイルス(シミアンウイルス40(SV40))ウシの乳頭腫ウイルス、およびポリオマー)(リッジウエイ(Ridgeway)、1988年;ベイクウォール(Baichwal)およびスッジェン(Sugden)、1986年)およびアデノウイルス(リッジウエイ(Ridgeway)、1988年;ベイクウォール(Baichwal)およびスッジェン(Sugden)、1986年)およびアデノ関連ウイルスを含めたDNAウイルスであった。レトロウイルスも、ワクシニアウイルス(リッジウエイ(Ridgeway)、1988年)アデノ関連ウイルス(リッジウエイ(Ridgeway)、1988年)および単純ヘルペスウイルス(HSV)(グロリオソ(Glorioso)ら、1995年)の場合のように魅力的な遺伝子移行ベヒクル(ニコラス(Nicolas)およびルーベンスタイン(Rubenstein)、1988年;テミン(Temin)、1986年)である。このようなベクターは、(i)目的のタンパク質を発現する目的としてインビトロでセルラインを形質転換に使用すること、または(ii)遺伝子治療の筋書きで治療ポリペプチドを提供するためにインビトロまたはインビボでセルラインを形質転換するのに使用するができる。 真核細胞ベクターに関して、プロモーターの語句は、RNAポリメラーゼIIのための開始部位の周囲で群れをなす転写制御係数の群に関してここに使用される。どのようにプロモーターが組織化されるかについて考えることの多くは、HSVチミジンキナーゼ(tk)およびSV40初期転写単位のためのものを含めた数種のウイルスのプロモーターの分析から誘導する。さらに最近の研究によって増大されるこれらの研究は、プロモーターが、分離した機能性モジュールから構成され、各々が、およそ7−20bpのDNAから構成され、そして転写アクチベーターまたは抑制タンパク質の1つまたはそれ以上の認識部位を含むことを示した。 各プロモーターにある少なくとも1つの1つのモジュールは、RNA合成についての出発部位を位置につける機能をする。これの最もよく知られた例は、TATAボックスであるが、哺乳類の末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子のためのプロモーターおよびSV40後期遺伝子のためのプロモーターのように、TATAボックスを欠くある種のプロモーターでは、出発部位を被覆する分離した要素は、それ自身開始の場所を固定する助けになる。 追加のプロモーター要素は、転写の開始の頻度を制御する。多数のプロモーターが、同様に出発部位の下流に機能要素を含むことが最近示されたが、一般に、これらは、出発部位の30−110上流の領域に配置される。頻繁にプロモーター要素の間の空間は、柔軟であり、その結果、要素が、互いに関連して逆にするかまたは移動させる場合に、プロモーターの機能は保存される。tkプロモーターでは、プロモーター要素の間の空間は、活性が減少し始める前に別々に50bpまで増加させることができる。プロモーターによって、個々の要素は、転写を活性化するのに共同して、または単独のいずれかで機能できるように思われる。 核酸の発現を制御するのに使用される特定のプロモーターは、それが、標的細胞中の核酸を発現する能力がある限り、重要だとは思われない。したがって、ヒトの細胞が標的にされる場合、ヒトの細胞中で発現される能力のあるプロモーターの制御に隣接するか、またはその下に核酸コーディング領域を位置づけることが好ましい。一般的に、このようなプロモーターは、ヒトまたはウイルスのプロモーターのいずれかを包含しうる。好ましいプロモーターとしては、α4プロモーターを含めたHSVから由来するものが挙げられる。別の好ましい実施の形態は、テトラサイクリン制御プロモーターである。 種々の他の実施の形態で、ヒトのサイトメガロウイルス(CMV)最初期遺伝子プロモーター、SV40初期プロモーターおよびルス(Rous)の肉腫ウイルスの長期末端繰返しは、トランスジーンの高レベルの発現を得るために使用することができる。発現のレベルが、例示の目的に結う順である場合、トランスジーンの発現を達成するために当業界でよく知られる他のウイルスまたは哺乳類の細胞または細菌性ファージプロモーターを使用するのが、同様に予想される。表IVは、本発明という状況で、トランスジーンの発現を制御するために使用しうる数種のプロモーターを列記する。このリストは、トランスジーン発現の促進に関与した可能性のある要素全てに完全であることを意図されず、単にそれらの例となるべきである。 エンハンサーを、同じ分子のDNAに離れた位置に位置づけられるプロモーターから転写を増加させる遺伝的要素として当初に検出した。長い距離を越えて作用するこの能力は、原核細胞の転写制御の典型的研究でほとんど先例がなかった。続く研究は、エンハンサー活性を示すDNAの領域は、プロモーターのようにいっそう組織化されることを示した。つまり、それらは、多くの個々の要素から構成され、その各々は、1つまたはそれ以上の転写性タンパク質に結合する。 エンハンサーとプロモーターとの間の基本的区別は、操作的である。全体としてエンバンサー領域は、距離で転写を刺激できなければならない;この必要性は、プロモーター領域またはその成分要素について当てはまらない。他方、プロモーターは、特定の部位でそして特定の方向でRNA合成の開始を指示する1つまたはそれ以上の要素を有するべきである一方で、エンバンサーは、これらの特異性を欠く。プロモーターおよびエンハンサーは、しばしば重なり、そして連続し、しばしば非常に類似のモジュールの組織を示すようである。表Vは、数種のエンハンサーを列記し、もちろんこのリストは、制限されることを意味するのではなく、例示である。 さらに、あらゆるプロモーター/エンハンサーの組合せ(真核プロモーターデータベース (EPDB)による)は、トランスジーンの発現を起こさせるのにも使用できた。T3、T7またはSP6の細胞質発現系を使用するのは、別の可能な実施の形態である。送出複合体の一部としてまたは追加の遺伝的発現構築物としてのいずれかに適切な細菌のポリメラーゼが供される場合、真核細胞は、ある種の細菌プロモーターからの細胞質転写を支持できる。 宿主細胞は、酵母培養物も使用できるように、真核微生物を含む。多くの他の株が一般に利用できるが、サッカロマイセス・セルビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)または一般のパン酵母は、真核微生物の中で最も一般的に使用される。サッカロマイセス(Saccharomyces)での発現については、プラスミドYrp7は、例えば一般に使用される(スティンチコム(Stinchcomb)ら、1979年;キングスマン(Kingsman)ら、1979年;ツエンパー(Tschemper)ら、1980年)。このプラスミドは、すでに、トリプトファン中で生育する能力を欠いた酵母の変異株、例えばATCC番号44076号またはPEP4−1(ジョーンズ(Jones)、1977年)のための選択マーカーを供するtrp1遺伝子を含有する。その後、酵母宿主細胞ゲノムの特徴としてtrp1病巣の存在は、トリプトファンの不在下での成長によって形質転換を検出するのに有効な環境を呈する。 酵母ベクター中の適切な促進配列としては、エノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルベートデカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−ホスフェートイソメラーゼ、3−ホスホグリセレートミューターゼ、ピルベートキナーゼ、トリオセホスヘートイソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびグルコキナーゼのような、3−ホスホグリセレートキナーゼ(ヒッツマン(Hitzeman)ら、1980年)または他の解糖酵素(ヘス(Hess)ら、1968年;ホーランド(Holland)ら、1978年)のためのプロモーターが挙げられる。適切な発現プラスミドを構築する上で、これらの遺伝子と関連した終止配列を、発現ベクターである発現されることが望まれる配列の3’に結合させて、mRNAのポリアルデヒド化および終止も提供する。育成条件によって制御される転写の別の利点を示す他のプロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝と関連した分解性酵素、および前述のグリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、およびマルトースおよびガラクトース利用の原因である酵素のためのプロモーター領域である。酵母適合性プロモーター、複製の起点および終止配列を含有する任意のプラスミドベクターは、適切である。 真核微生物に加えて、多細胞生物から由来する細胞の培養物を宿主として使用することもできる。原則として、任意のこのような細胞培養物は、脊椎動物または無脊椎動物のいずれの培養物からであろうとも機能する。しかし、脊椎動物の細胞がもっとも関心を集めており、そして培養物(組織培養)中での脊椎動物の増殖は、近年通常の手段になった(ティッシュ・カルチャー(Tissue Culture)、1973年)。このような有用な宿主セルラインの例は、VEROおよびHeLa細胞であり、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)セルライン、およびW138、BHK、COS-7、293およびMDCKセルラインである。このような細胞の発現ベクターは、通常には、リボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位および転写ターミネーター配列と一緒に、(必要であれば)複製の起点、発現されるべき遺伝子の前に位置するプロモーターを包含する。4.0 UspAタンパク質に対する抗体の製造 UspA1またはUspA2ペプチドまたはポリペプチドに対する抗体は、米国特許第4,196,265号に例示されるもののような、よく知られた技術の使用を通して、容易に製造することができる。一般に、この技術は、ワクチンのセクションで説明されたとおり、適切な動物を、選択した免疫原組成物で免疫する、例えばタンパク質、合成タンパク質またはそれらのフラグメントを精製するかまたは部分的に精製することを包含する。ある種の免疫応答を増す能力のある対象以外に制限されるものはないが、免疫されるべき動物は、ネコ、イヌおよびウマのような哺乳類である。免疫組成物は、抗体生成細胞を刺激するのに有効な方法で投与される。マウスおよびラットのようなげっ歯類は、好ましい動物であるが、しかしウサギ、ヒツジ、キツネの細胞を使用することが可能である。ラットの使用は、ある種の利点を供する可能性があるが、マウスが好ましい。BALB/cマウスが、最も頻繁に使用される動物、および一般に高い含有率の安定な融合を示すものとして好ましい。 モノクローナル抗体(MAb)の生成のために、免疫に続いて、抗体、特にBリンパ球(B細胞)を生成する能力を有する体細胞が、Mab生成プロトコールで使用するために選択される。これらの細胞は、生検の脾臓、精巣またはリンパ節から、または末梢血管サンプルから得ることができる。脾臓は分割形質芽球段階にある抗体産生細胞の豊富な源であるので、そして末梢血は、容易に入手できるので、脾臓細胞および末梢血液細胞が好ましい。しばしば、動物のパネルを、免疫化し、そして最高の抗体力価を示す動物の脾臓を取出した。脾臓リンパ球を、脾臓をシリンジで均質化することによって得る。一般に、免疫したマウスから得た脾臓は、およそ5×107から2×108のリンパ球を含む。 その後、免疫した動物から得た抗体産生B細胞を、不死骨髄腫セルラインの細胞、一般に動物を免疫したときと同じ種のものと融合させる。ハイブリドーマ産生融合手段に使用するのに適した骨髄腫セルラインは、好ましくは、非抗体産生で、高い融合効率および、「ハイブリドーマ」と呼ばれる所望の融合細胞のみの生育を支持するある種の選択培地中で生育する能力をなくさせる酵素欠乏を示す。 多数の骨髄腫のいずれもが、使用することができ、そしてそれらは、当業者に知られている。例えば、免疫動物がマウスである場合、P3−X63/Ag8、X63−Ag8.653、NS1/1.Ag 4 1、Sp210−Ag14、FO、NSO/U、MPC−11、MPC11−X45−GTG1.7およびS194/5XX0 Bulを使用でき;ラットとしては、R210.RCY3、Y3−Ag1.2.3、IR983Fおよび4B210を使用でき;そしてU−266、GM1500−GRG2、LICR−LON-HMy2およびUC729-6は、全てヒト細胞融合に関連して有用である。 1つの好ましいネズミの骨髄腫セルラインは、NS-1骨髄腫セルライン(P3-NS-1-Ag-4-1とも称される)であり、それは、セルライン貯蔵番号GM3573号を請求することによりNIGMSヒューマン・ジェネティック・ミュータント・セル・レポシトリー(NIGMS Human Genetic Mutant Cell Repository)から容易に入手される。使用できる別のマウスの骨髄腫セルラインは、8−アザグアニン耐性マウスネズミ骨髄腫SP2/0非生成セルラインである。 比率は、細胞膜の融合を促進する剤または剤類(化学的または電気的)の存在下で、それぞれ、約20:1から約1:1で変化しうるが、抗体産生脾臓またはリンパ節細胞および骨髄腫細胞のハイブリッドを生成する方法は、通常、体細胞を骨髄腫細胞と、2:1の比率で混合することを包含する。センダイウイルスを用いた融合方法は、コーラー(Kohler)およびミルスタイン(Milstein)(1975年;1976年)によって記述され、そして37%(v/v)PEGのようなポリエチレングリコール(PEG)を用いたものは、ゲフター(Gefter)ら(1977年)により記述された。電気的に誘導した融合方法を使用することも、適切である。 融合手段は、通常、低頻度の約1×10−6から1×10−8までで、生育できるハイブリッドを生成する。これは、問題がないが、しかし、生育できる融合ハイブリドーマは、選択培地中で培養することによって、親の未融合細胞(特に、漠然と正常に、分割しつづける未融合骨髄腫細胞)から分化される。選択培地は、一般に組織培養培地中のヌクレオチドのデノボ合成を遮断する剤を含有するものである。例示のそして好ましい剤は、アミノプテリン、メソトレキセートおよびアザセリンである。アミノプテリンおよびメソトレキセートは、プリンとピリミジンの両方のデノボ合成を遮断する一方で、アザセリンは、プリン合成のみを遮断する。アミノプテリンまたはメソトレキセートが使用される場合、培地は、ヒポキサンチンおよびチミジンをヌクレオチドの源として補足する(HAT培地)。アザセリンが使用される場合、培地を、ヒポキサアチンで補足する。 好ましい選択培地は、HATである。ヌクレオチドサルベージ経路を操作する能力のある細胞のみが、HAT培地中で生存することができる。骨髄腫細胞は、サルベージ経路に重要な酵素、例えばホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)に不備があり、そしてそれらは生存できない。B細胞は、この経路を操作することができるが、それらは、培養中限定された生存寿命を示し、一般に約2週間以内に死亡する。したがって、選択培地で生存できる細胞のみが、骨髄腫およびB細胞から形成されるハイブリッドのものである。 この培養は、特定のハイブリドーマが選択されるハイブリドーマの集団を提供する。一般に、ハイブリドーマの選択は、マイクロタイタープレートで単一クローン希釈によって行い、続いて所望の反応性について個々のクローナル上清を試験する(約2から3週間後)。アッセイは、放射性免疫アッセイ、酵素免疫アッセイ、細胞障害アッセイ、プラークアッセイ、ドット免疫結合アッセイなどのような、感受性があり、簡便で、そして迅速であるべきである。 その後、選択ハイブリドーマは、連続して希釈し、そして個々の抗体産生セルラインに遺伝子導入し、それは、その後漠然と増殖してMAbを供することができる。セルラインは、2つの基本的方法でMAb生成について利用できる。ハイブリドーマのサンプルを、通常腹腔内に、当初の融合のための体細胞および骨髄腫細胞を提供するために使用されたタイプの組織適合性のある動物に注入できる。注射された動物は、融合細胞ハイブリドーマによって産生される特異的モノクローナル抗体を分泌する腫瘍を発生する。その後、血清または腹水のような動物の体液を、引いて高濃度のMAbを提供することができる。MAbが、高濃度で容易に得ることができる自然に培養培地に分泌される場合、個々のセルラインは、インビトロで培養することもできた。いずれかの手段によって産生されるMAbは、濾過、遠心分離およびHPLCまたはアフィニティークロマトグラフィーのような種々のクロマトグラフィー法を用いて、所望により、さらに精製できる。 本発明のモノクローナル抗体も、当業者によく知られる方法によって産生した抗イデオタイプ抗体を包含する。本発明によるモノクローナル抗体は、モノクローナル異種複合体、すなわち2つまたはそれ以上の抗体分子のハイブリッドもできる。別の実施の形態では、本発明によるモノクローナル抗体は、キメラモノクローナル抗体である。2つのアプローチ法では、キメラモノクローナル抗体は、マウスの抗体産生細胞およびヒト抗体遺伝子かれ得た定常領域エクソンから得られるプロモーター、リーダーおよび可変領域配列を含む組換えDNAを遺伝子導入することによって操作される。このような組換え遺伝子によってコードされる抗体は、マウス−ヒトキメラである。その抗体特異性は、マウスの配列から誘導される可変領域によって決定することができる。定常領域によって決定されるそのアイソタイプは、ヒトDNAから誘導される。 別の実施の形態では、本発明によるモノクローナル抗体は、当業界でよく知られる技術によって作製される「ヒト化」モノクローナル抗体である。すなわち、マウスの相補決定領域(「CDR」)は、マウスIgの重および軽V鎖からヒトVドメインへ移行させ、続いてそれらのネズミの対抗部分のフレームワーク領域にあるいくつかののヒト残基を置換される。本発明による「ヒト化」モノクローナル抗体は、モラキセラ(Moraxella)感染を治療するためのインビボ診断および治療法で使用するのに特に適切である。 上で主張されるとおり、本発明によるモノクローナル抗体およびそのフラグメントは、当業界でよく知られるインビトロおよびインビボ法にしたがって増幅することができる。インビトロでの増幅は、都合により胎児ウシ血清のような哺乳類の血清または痕跡量元素および成長維持補足物、例えば、正常なマウスの腹水液細胞、脾臓細胞、骨髄マクロファージ等のようなフィーダー細胞によって補足される、ダルベッコ(Dulbecco)の修飾イーグル培地またはRPMI1640培地のような適切な培養培地で行われる。インビトロでの生成は、相対的に純粋な抗体製造を提供し、そして規模拡大させて、多量の所望の抗体を与える。組織培養条件下の大規模ハイブリドーマ培養のための技術は、当業界で知られており、そして均質な懸濁培養物を、例えば還流反応機で、または連続攪拌反応機または固定化されるかあるいは捕捉された細胞培養物で包含する。 本発明の多量のモノクローナル抗体は、インビボでハイブリドーマを増幅することによって得ることもできる。細胞クローンを、親細胞、例えば同系のマウスと組織適合性である哺乳類に注射して、抗体産生腫瘍の成長をさせる。都合により、動物を、注射の前に、炭化水素、特にプリスタン(テトラアメチルペンタデカン)のような油状物と注入される。 本発明によって、本発明のモノクローナル抗体のフラグメントは、ペプシンまたはパパインのような酵素を用いた消化および/または化学的還元によるジスルフィド結合の切断を含めた方法により、上に記述されるとおり産生されたモノクローナル抗体から得ることができた。代替的に、本発明により包含されたモノクローナル抗体フラグメントは、自動ペプチド合成機を用いて合成できるか、またはそれらは、当業界でよく知られる技術を用いて手動で生成してもよい。 本発明のモノクローナル複合体は、当業界に知られる方法により、例えば上に記述されるとおりに作製されたモノクローナル抗体を、酵素と、例えばグルタルデヒドまたはペリオデートのようなカップリング剤の存在下で反応させることによって製造される。蛍光マーカーを有する複合体を、これらのカップリング剤の存在下で、イソチオシアネートと反応させることによって製造する。金属キレートを有する複合体は、同様に生成される。抗体が複合化される他の部分としては、3H、125I、131I、32P、35S、14C、51Cr、36Cl、57Co、58Co、59Fe、75Se、152Eu、および99mTcのような放射性ヌクレオチドが挙げられ、そして抗体に複合できる他の有用な標識である。本発明の放射性標識モノクローナル抗体は、当業界でよく知られる方法によって生成される。例えば、モノクローナル抗体は、ヨウ化ナトリウムまたはカリウムと、そして過塩化ナトリウムのような化学酸化剤、またはラクトペロキシドのような酵素酸化剤と接触させることによってヨウ化させることができる。本発明によるモノクローナル抗体は、リガンド交換法によって、例えば第二スズ溶液で過剰のテクテネートを還元させ、セファデックスカラムに還元テクネチウムをキレート架橋し、そしてこのカラムに抗体を添加するか、または直接標識技術によって、例えばパーテクネート、SNCl2のような還元剤、フタル酸カリウム−ナトリウム溶液のような緩衝液溶液および抗体をインキュベートすることによって、テクネチウム−99mで標識することができる。5.0 免疫アッセイでのペプチドおよびモノクローナル抗体の使用 本発明のモノクローナル抗体は、ELISAおよびウエスタンブロット法のような標準免疫化学手段、並びにCopBエピトープに特異性のある抗体を活用できる他の手段での有用な用途を見出すことが提案される。ELISAが好まれる一方で、このようなアッセイが、RIAおよび他の非酵素結合抗体結合アッセイおよび手段を含むことが容易に予測される。さらに、特定のUspAエピトープに特異性のあるモノクローナル抗体は、他の有用な用途で活用しうることが提案される。例えば、免疫吸収プロトコールにおけるこれらの使用は、天然または組換えUspAタンパク質またはそれらの変異体を精製する上で有用である可能性があることを目的とした。 本発明の開示されたUspA1およびUspA2ペプチドは、生じる抗体のための抗原として、そして抗−UspA抗原−反応性抗体の検出のための免疫アッセイで利用法を見出すことも提案される。この実施の形態での変化量で、UspA1およびUspA2変異体ペプチドを、MAb17C7のようなUspA1−またはUspA2−特異的抗体に対する活性について、免疫アッセイの形態でスクリーニングしてよい。この方法で、種々のエピトープの突然変異分析を行ってもよい。その後、このような分析から得られる結果は、どのさらなるUspA1またはUspA2エピトープが、抗体によって認識でき、そしてモラキセラ(Moraxella)についての強力なワクチンの製造に有用であるかを決定するために使用することができる。 診断免疫アッセイは、水性培養物で、または栄養寒天のような固形支持体でのいすれかで、体液を直接培養することを包含する。典型的なアッセイは、患者から得た体液のサンプルを収集し、そして病原体の成長に最適なのと同じ条件でサンプルを入れることを包含する。その後、微生物がサンプルに存在するかどうかについて、決定を行うことができる。別の分析は、微生物の溶血特性を測定するために行うことができる。 本発明に含まれる免疫アッセイは、それに限定されないが、米国特許番号第4,367,110号(二重モノクローナル抗体サンドイッチアッセイ)および米国特許番号第4,452,901号(ウエスタンブロット)に記載されるものを包含する。他のアッセイとしては、標識リガンドの免疫沈降、および免疫サイトケミストリーを包含する。 それらの最も簡便で直接的意味で、免疫アッセイは、結合アッセイである。ある種の好ましい免疫アッセイは、当業界で知られた酵素結合免疫溶媒アッセイ(ELISA)および放射性免疫アッセイ(RIA)のような種々の型の酵素である。組織切断を用いた免疫組織化学的検出も、特に好ましい。しかし、検出は、そのような技術に限定されず、そしてウエスタンブロット、ドットブロット、FACS分析および同等物も使用できることが容易に理解される。 1つの例示のELISAでは、本発明の抗−UspA抗体は、ポリスチレンマイクロタイター平板にあるウエルのような、タンパク質アフィニティーを表す選択表面に固定される。その後、臨床サンプルのような、所望の抗原を含有することが予測される試験組成物を、そのウエルに添加する。結合させ、洗浄して、非特異的結合の免疫複合体を除去した後、結合抗原は、検出できる。検出は、一般に、検出可能な標識に結合した、所望の抗原に特異性のある別の抗体を添加することによって達成される。このタイプのELISAは、簡便な「サンドイッチELISA」である。検出は、所望の抗原に特異性のある第二抗体を添加し、続いて、第三抗体が検出可能な標識に結合している状態で、第二抗体にアフィニティーのある結合を有する第三抗体を添加することによっても達成できる。 別の例示のELISAでは、UspA抗原を含有することが予測されるサンプルを、ウエル表面で固定し、そしてその後、抗−UspA抗体と接触させる。結合および適切な洗浄の後、結合免疫複合体が検出される。当初の抗原特異性抗体を、検出可能な標識に結合させる場合、免疫複合体は、直接的に検出できる。さらに、免疫複合体は、第二抗体が検出可能な標識に結合している状態で、第一抗原特異性抗体にアフィニティーのある結合を示す第二抗体を用いて検出できる。 別の方法は、2つの段階アプローチ法によって、第一の免疫複合体の検出を包含する。抗体のような、第一抗体にアフィニティーのある結合を有する第二の結合リガンドを、上で記述されるとおり、第二免疫複合体を形成するのに使用する。洗浄後、第二の免疫複合体を、免疫複合体(第三の免疫複合体)の形成をさせるのに十分な時間の期間、再度、有効な条件下で、第二抗体にアフィニティーのある結合を有する第三結合リガンドまたは抗体と接触させる。第三リガンドまたは抗体を、検出可能な標識に結合させ、それにより得られる形成された第三の免疫複合体の検出をさせる。この懸濁液インキュベーションは、所望であれば、シグナル増幅を提供する。 試験サンプルが、公知量の標識抗原または抗体と結合について競合する競合ELISAも可能である。未知サンプル中の反応性種の量は、被覆ウエルでインキュベーションする前または間に、サンプルを公知標識種と混合することによって測定される。(抗原または抗体は、ビーズ、計量棒、膜、またはカラムマトリックスの形態のような固形支持体に結合させてもよく、分析されるべきサンプルは、固定された抗原および抗体に塗布される。)サンプル中の反応性種の存在は、ウエルに結合することができる標識種の量を減少させ、したがって最大のシグナルを減少させるように作用する。 使用される形式に関係なく、ELISAは、共通に、被覆、インキュベーションまたは結合、洗浄して非特異的結合種、および結合免疫複合体を検出することのような、特定の特徴を示す。これらは、以下に記述される。 平板を、抗原または抗体のいずれかで被覆する際に、一般に、平板のウエルを、抗原または抗体の溶液で、一夜または特定の期間のいずれかでインキュベートする。その後、平板のウエルを、洗浄して不完全に吸収された材料を除去する。その後、ウエルの表面に利用できる残りのいずれかは、試験抗血清に関して抗原的に中性である非特異的タンパク質で「被覆」する。これらとしては、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼインおよび粉末牛乳の溶液が挙げられる。被覆は、固定表面にある非特異的吸収部位を遮断させ、そしてそれにより表面の上に抗血清の特異的結合によって起こるバックグラウンドを減少させる。 抗原性材料をウエルに結合させ、バックグラウンドを減少させる非反応性材料を有する被覆し、そして洗浄して未結合の材料を除去させた後、固定表面を、免疫複合体(抗原/抗体)形成に導く力のある方法で、試験されるべき抗血清または臨床または生物学上の抽出物と接触させる。このような条件は、BSA、ウシガンマグロブリン(BGG)およびリン酸緩衝食塩水(PBS)/ツイーンのような希釈剤で抗血清を希釈することを含むことが好ましい。これらの添加された薬剤は、非特異的バックグラウンドを減少させる上で促進する傾向にもある。その後、積載された抗血清を、好ましくは、25°から27℃までの桁の温度で、2から4時間インキュベートさせる。インキュベーションに続いて、抗血清接触表面を、非免疫複合材料を除去するために洗浄する。好ましい洗浄手段としては、PBS/ツイーン、またはホウ酸緩衝液のような溶液で洗浄することを含む。 試験サンプルおよび結合抗体の間の特定の免疫複合体の形成、および連続洗浄にしたがって、免疫複合体形成の発生およびさらに量すらも、同様に第一の抗体に特異性を示す第二抗体にかけることによって測定できる。もちろん、試験サンプルが、一般に、ヒトの起点のものである点で、第二抗体は、一般にヒトIgGに特異性を示す抗体であるのが好ましい。検出手段を提供するために、第二抗原は、適切な色素原の物質とインキュベートしながら色の展開を生じる結合酵素を有するのが好ましい。したがって、例えば、時間間隔で、免疫複合体形成(例えば、BBS−ツイーンのようなPBS含有溶液で、2時間、室温でのインキュベーション)の展開を支持する条件下で、抗血清表面を尿素またはペルオキシダーゼ−複合抗−ヒトIgGと、抗血清結合表面を接触およびインキュベートすることが好ましい。 第二酵素タグ付き抗体とのインキュベーション、および連続して、洗浄して未結合材料を除去した後、標識の量を、酵素標識として、尿素およびブロモクレゾール・ブルーまたは2,2'−アジノ−ジ−(3−エチル−ベンズチアゾリン−6−スルホン酸[ABTS]およびH2O2のような色素原とのインキュベーションによって定量する。その後、定量は、例えば、可視光の分光光度計を用いて、色素発生の程度を測定することによって達成される。代わりに、標識は、化学蛍光性であってよい。このような標識の使用は、米国特許番号第5,310,687号、第5,238,808号および第5,221,605号に記述されている。6.0 UspAペプチドおよびUspA-特異的抗体の予防的使用 本発明の別の実施の形態で、能動および受動免疫予防の方法が提供される。能動免疫予防法は、最初に説明され、続いて受動免疫予防法について説明する。能動免疫療法の内容での処方のワクチン組成物の説明は、受動免疫療法用の、そして診断法の発生の実験動物で上昇する抗体に関係があることに注目すべきである。6.1 能動免疫療法 本発明によって、上で説明されるとおり、UspA1またはUspA2ポリペプチドまたはUspA1−またはUspA2−由来のペプチドは、インビボで保護的抗−エム.カタルハリス(M.catarrhalis)抗体応答を発生するワクチン処方として使用できる。保護によって、処理された個々の免疫系は、あらゆる範囲まで細菌感染の臨床的衝撃を減少させる応答を発生させる能力があることのみが意味される。これは、細菌負担での最小限の減少から、感染の完全な予防までに及びうる。実際、治療対象は、エム.カタルハリス(M.catarrhalis)感染のさらに重篤な病的徴候を示さない。 一般に、免疫予防法は、ワクチン組成物を、危険にさらされている対象に投与することを含む。具体的な場合で、ワクチン組成物は、医薬上許容しうる担体、希釈剤または賦形剤中にUspA1および/またはUspA2ポリペプチドまたはそれらの免疫原性誘導体を含有する。上に示されるとおり、当業者は、種々の機構を通して、UspA1およびUspA2の適切な抗原特性を同定し、そうすることで、エム.カタルハリス(M.catarrhalis)に対する免疫応答の発生に達するワクチンを開発することができる。 UspA1およびUspA2抗原の安定性および免疫原性は、変化する可能性があり、したがって、抗原を担持分子と結合させることが望ましい。例示の担体は、KLH、BSA、ヒト血清アルブミン、ミオグロブリン、β−ガラクトシダーゼ、ペニシリナーゼ、CRM197およびジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドのような細菌性トキソイドである。当業者は、ペプチドが、それらの免疫原性値を破壊することなく担体に結合できる適切な方法に気付いている。多−ポリ−DL-アラニル−ポリ−L−リシンおよびポリ−L−リシンのような合成担体も、予想される。一般に、結合は、抗原のアミノまたはカルボキシル末端基を通して達成され、それにより、ペプチドまたはポリペプチドに、結合に続く比較的「自然な」形状を確保する最大の機会を与える。 他の保護剤は、UspA1またはUspA2抗原が担体分子として作用するように、UspA1またはUspA2抗原のいずれかと結合できることが認識される。例えば、細菌、ウイルスまたは寄生虫のような他の病原性生物から保護する剤は、エム・カタルハリス(M.catarrhalis)感染および他の病原性感染の治療または阻害に有用である多価ワクチンまたは医薬組成物を生成するUspA1またはUspA2抗原のいずれかと結合できる。特に、UspA1またはUspA2タンパク質またはペプチドのいずれかが、他のワクチン成分、例えばシューモコッカス、メニゴコッカスまたはヘモヒルスインフルエンザのサッカライドのための免疫原性担体として役割を果たし、そしてこれらの他の成分に共役的に結合さえできることが考えられる。 アジュバントとして表される多数の異なる物質のいずれかを包含することも望ましく、それは、ワクチン化動物の免疫系の適切な部分を刺激することが知られている。対象(実験動物を含めた)をワクチン化するのに適切なアジュバントは、制限されないが、フロイント完全または不完全アジュバント(家畜用途に適切でない)、マルコール52:モンタニド888(マルコールは、エッソの商標であり、マンタニドは、パリのSEPPICの商標である)、スクアランまたはスクアレン、アジュバント65(落花生油、マンニド、モノオレートおよびモノステアリン酸アルミニウム)、商標MPLTM(3−O-デアシル化モノホスホリルリピッドA;ユタ州ハミルトンのRIBIイムノケム・リサーチ社)、StimulonTM(QS-21;マサチューセッツ州ウースターのアキラ・バイオハルマシューティカル社)のような油状物エマルジョン、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウムおよびアルムのような鉱物ゲル、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、リソレシチン、ジメチルジオクタデシルアンモニウム、N,N-ジオクタデシル−N,N'-ビス(2−ヒドロキシエチル)−プロパンジアミン、メトキシヘキサデシルグリセロールおよびプルロニックポリオールのような界面活性剤、ピラン、デキストラン、スルフェート、ポリアクリル酸およびカルボポールのようなポリアニオン、ムラミルジペプチド、ジメチルグリシン、ツフツシンおよびトレハロースジマイコレートのようなペプチドおよびアミノ酸が挙げられる。剤としては、糖の合成高分子(カルボポール)、マンニッドモノオレート(アラセルA)またはパーフルオロカーボン(フルオソール−DA)の20パーセント溶液を有するエマルジョンのような生理学上許容しうる油状物ベヒクル中のエマルジョンが挙げられる。 活性成分としてペプチド配列を含むワクチンの製造は、一般に、米国特許番号第4,608,251号;第4,601,903号;第4,599,231号;第4,599,230号;第4,596,792号および第4,578,770号に例示されるとおり、当業界でよく理解され、全て、ここに明細書の記載の一部として引用する。一般に、このようなワクチンは、注射可能なように製造される。水溶液または懸濁液のいずれかとして、注射時に溶液、または懸濁液に適切な固形形態、注射前に液体を製造することもできる。製品は、乳化されてもよい。活性免疫原性成分は、しばしば、医薬上許容でき、そして活性成分と適合しうる賦形剤と混合される。適切な賦形剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等およびそれらの組合せである。さらに、必要であれば、ワクチンは、湿潤またはエマルジョン剤、pH緩衝剤、またはワクチンの効力を増大させるアジュバントのような少量の助剤を含有することができる。 本発明のワクチン標品も、リポソームまたは他の微小担体物質のような非毒性担体に組込んで、またはポリサッカライド、タンパク質または高分子と複合した後、またはキル−A(Quil-A)と組合せて、「イスコムズ」(免疫刺激複合体)を形成して投与することもできる。これらの複合体は、抗原の毒性を減少させ、宿主からのクリアランスを遅延させ、そしてアジュバントとして作用することによって免疫応答を改善する役割を果たすことができる。本発明のこの実施の形態に使用するための他の適切なアジュバントとしては、INF、IL-2、IL-4、IL-8、IL-12および他の免疫刺激化合物が挙げられる。さらに、TraT(PCT/AU87/00107参照)のような原核細胞起源の完全な膜タンパク質と一緒に免疫原を包含する複合体も有効である。 ワクチンは、非経口で、注射で、例えば皮下にまたは筋肉内のいずれかに都合よく投与される。投与に適切である別の処方のモードとしては、例えば、坐薬およびある場合には経口処方が挙げられる。坐薬としては、典型的なバインダーおよび担体は、例えばポリアルカリ性グリコールまたはトリグリセリドが挙げられる。このような坐薬は、0.5%から10%、好ましくは1−2%の範囲で活性成分を含有する混合物から形成できる。経口処方としては、例えば、マンニトール、ラクトース、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンソーダ、セルロース、炭酸マグネシウムなどの医薬グレードとしてのこのような通常に使用される賦形剤が挙げられる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性処方または粉末の形態を取り、そして10−95%の活性成分、好ましくは25−70%含有する。 ペプチドは、中性または塩形態としてワクチンに処方することができる。医薬上許容しうる塩は、酸付加塩(ペプチドの遊離アミノ基と形成される)を含み、そしてそれは、例えば塩酸またはリン酸のような無機酸と、または酢酸、蓚酸、酒石酸、マンデル酸などのような有機酸との間で形成される。遊離カルボキシル基と形成した塩を、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄のような無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等のような有機塩基から誘導することもできる。 ワクチンを、用量処方に適合した手段で、そして治療上有効でありそして免系原性であるような量で、投与する。投与されるべき量は、例えば、抗体を合成する個々の免疫系の許容量、および所望の保護の程度を含め、治療されるべき対象によって左右される。正確な量の活性成分は、主治医の判断によって投与されるべきであることが必要とされる。しかし、適切な用量範囲は、ワクチン投与当たり数百マイクログラムの桁の活性成分のものである。当初の投与およびブースター注射の適切な計画も利用できるが、当初の投与によって類型化され、続いて接種または他の投与法を行う。 使用の方法は、広く変化しうる。ワクチンを投与する従来の方法のいずれもが、使用できる。固形の生理学上許容しうる基盤上で、または生理学上許容しうる分散で、非経口で注射によるのどの経口投与を含むと考えられる。ワクチンの用量は、投与の経路によって変化し、宿主のサイズによって変化する。 多くの例で、通常6回のワクチン接種を越えないで、さらに通常には4回のワクチン接種を越えないで、そして好ましくは1回またはそれ以上、通常は少なくとも約3回のワクチン接種で、ワクチンの複数の投与をすることが望ましい。ワクチン接種は、正常には、2から12週の間隔で、さらに通常には3から5週の間隔である。1−5年、通常3年の間隔での経時ブースターは、抗体の保護レベルを維持するのに望ましい。免疫のコースは、上清抗原のための抗体について分析することによって行うことができる。放射性ヌクレオチド、酵素、蛍光物質などのような従来の標識で標識することによって分析を行うことができる。これらの技術は、よく知られており、そしてこれらのタイプの分析の例示として米国特許番号第3,791,932号;第4,174,384号および第3,949,064号のような広範な特許に見られる。6.2 受動免疫療法 本発明の使用の目的として、受動免疫療法は、別の生物で生成される免疫応答エフェクターの生物へ移行されときに、定義される。受動免疫性を確立する典型的な例は、1つの生物で生成された抗体を第二の免疫学上適応する動物に移行させることである。「免疫上適合する」によって、抗体が、新たな宿主動物で、少なくともいくつかのそれの免疫機能を発揮できることを意味する。さらに最近、細胞免疫機能のさらによい理解が発展する場合、細胞毒性およびヘルパーT細胞、NK細胞および他の免疫エフェクター細胞を含めた、特定の種類のリンパ球のような他のエフェクターを移行させることによって受動免疫性を達成することが可能になった。本発明は、これらのアプローチ法の双方を企図する。 抗体、抗血清および免疫エフェクター細胞は、上で説明されるとおり、適切な動物で標準のワクチン接種計画を用いて生じだ。第一の動物を、本発明によって、アジュバントを用いて、またはなしで、免疫応答を生じる少なくとも微生物標品または1つの細菌産物または副生物でワクチン接種する。免疫応答は、例えば標準ELISA法を用いて、生成された抗体の濃度を測定することによって観察できる。 いったん適切な免疫応答が、生じたら、免疫エフェクター細胞は、通常血流から、通常の手段により収集することができる。抗体画分は、標準手段、例えばプロテインAまたはプロテインGクロマトグラフィーによって血液から精製することができる。代わりの好ましい実施の形態では、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを、標準手段によって製造する(コリガン(Coligan)ら、1991年)。その後、モノクローナル抗体は、標準手段によってハイブリドーマ細胞から製造される。一次の宿主のモノクローナル抗体が、治療されるべき動物に適合性がない場合、細胞の遺伝子操作は、治療されるべき動物によって耐性になる抗体を修飾するのに使用することができることが可能である。例えば、ヒトという状況では、ネズミ抗体は、この形態で「ヒト化」できる。 以上で規定されるとおり、抗体、抗血清または免疫エフェクター細胞を、宿主に注射して、微生物の群れに対して受動免疫を供する。例えば、抗体組成物は、医薬または獣医学ヒョウジンの標準的方法を用いて、少なくとも1つの抗体を、少なくとも1つの医薬上または獣医学上許容しうる担体、希釈剤または賦形剤と混合、好ましくは均質に混合することによって製造することができる。単一用量形態を生成することが必要とされる抗体の量は、治療されるべき個人に対してワクチン接種されるべき微生物種、および投与の特定のモードによって変化する。任意の特定の個人にたいする特定の用量レベルは、個人の年齢、体重、全般的健康状態、性別および食事、投与の回数、投与の経路、分泌の速度、薬の組合せ、および微生物感染の重篤度を含めた種々の因子によって左右される。 抗体組成物は、静脈で、皮下で、鼻腔内で、経口で、筋内で、膣内で、直腸で、局所に、またはあらゆる他の所望の経路を介して投与できる。繰返し用量は、必要である可能性があり、そして例えば医療設定、特定の微生物、患者の症状および他の療法の使用によって変化する。6.3DNA免疫化HC 本発明は、そのUspA1、UspA2タンパク質またはペプチドが、免疫原性を残している配列番号:17を示すUspA1、UspA2タンパク質またはペプチドをコードする核酸分子を含有するワクチンにも関し、そして免疫原性組成物またはワクチンに組込まれ、そして脊椎動物に投与される時に、エム・カタルハリス(M.catarrhalis)に罹った脊椎動物の連続感染による疾患の増大を誘導することのない保護、および生理学上許容しうるベヒクルを提供する。このようなワクチンは、ここで核酸ワクチンまたはDNAワクチンとして表され、そして脊椎動物の遺伝的免疫化に有用である。 ここで使用される場合、「遺伝的免疫化」の語句は、病原性の剤、特にエム・カタルハリス(M.catarrhalis)に対して指向された核酸ワクチンを、脊椎動物、特にマウスまたはヒトのような哺乳類に接種して、それによりエム・カタルハリス(M.catarrhalis)から脊椎動物を保護することになることに該当する。ここで使用される場合、「核酸ワクチン」または「DNAワクチン」は、UspA1、UspA2または配列番号:17から構成される免疫原性エピトープをコードする核酸分子を包含する核酸構築物である。核酸構築物としては、転写プロモーター要素、エンハンサー、エンハンサー要素、スプライシングシグナル、終止およびポリアデニル化シグナル、および他の核酸配列が挙げられる。 核酸ワクチンは、標準法によって生成することができる。例えば、公知方法を用いて、UspA1またはUspA2をコードする核酸(例えば、DNA)を、発現ベクターに挿入して、核酸ワクチンを構築することができる(マニアチス(Maniatis)ら、1989年参照)。個々の脊椎動物を、標準法を用いて、核酸ワクチンで接種する(すなわち、核酸ワクチンを投与する)。脊椎動物を、皮下で、静脈で、腹腔内で、皮内で、筋内で、局所に、経口で、直腸で、鼻腔内で、頬に、膣内で、吸入スプレーで、または移植リザーバーを介して、従来の非毒性の生理学上許容しうる担体またはビヒクルを含有する用量処方で接種することができる。代わりに、脊椎動物に、粒子加速装置(「遺伝子ガン」)の使用を通して核酸ワクチンを接種する。投与される形態(例えば、カプセル、錠剤、溶液、エマルジョン)は、投与される経路で部分的に左右される。例えば、粘液投与については、鼻用滴下、吸入または坐薬を使用できる。 核酸ワクチンは、任意の適切なアジュバントと共に投与できる。アジュバントを十分量で投与し、それは、核酸ワクチンに対する免疫応答が増大するのを起こすのに十分である量である。アジュバンドは、核酸ワクチンの接種の前(例えば、1日またはそれ以上前)に、核酸ワクチンの接種と同時(例えば24時間以内に)に、核酸ワクチンと同時期に(同時に)(例えば、アジュバンドを、核酸ワクチンと混合し、そして混合液を脊椎動物に投与する)、または核酸ワクチンを接種した後(例えば、1日またはそれ以上後)に、投与できる。アジュバントは、1回以上投与することもできる(例えば、核酸ワクチンを接種する前、そして核酸ワクチンを接種した後にも)。ここで使用される場合、語句「と共に」は、アジュバントが核酸ワクチンに対する免疫応答を増大させるために投与できる(例えば、核酸ワクチンによってコードされる抗原に対する抗体力価が増加しているか、またはエム・カタルハリス(M.catarrhalis)に対する抗体力価が増大している)、ここで特に記述されるものを含めた任意の期間、そしてここに特に記述された期間の組合せを包含する。アジュバントおよび核酸ワクチンを、脊椎動物でのおよそ同じ位置に投与することができる。例えば、アジュバントと核酸ワクチンの両方を、脊椎動物の脚の印をした部位に投与する。 特定の実施の形態では、核酸構築物は、遺伝子導入促進剤と同時に投与する。好ましい実施の形態では、遺伝子導入促進剤は、ジオクチルグリシルスペルミン(DOGS)(公開されたPCT出願公開番号WO96/21356号に例示される。この公報の記載は、本明細書の記載の一部として取り込む。)である。別の実施の形態では、遺伝子導入促進剤は、ブピバカイン(米国特許第5,593,972号に例示される。この公報の記載は、本明細書の記載の一部として取り込む。)である。6.4 治療の効率を試験するための動物モデル エム・カタルハリス(M.catarrhalis)の表面抗原に対する抗体の機能的有為性の評価は、適切な動物モデルを欠くことにより妨げられてきた。動物に対するこの生物の悪性を比較的欠くことが、適切なモデル系の同定を困難にさせている(Doern、1986年)。エム・カタルハリス(M.catarrhalis)によって起こされた中耳感染を研究するのにチンチラを含めたげっ歯類を使用する試みは、おそらくこの生物が、その宿主の中耳で生育または生き残れないので成功しなかった(ドイル、1989年)。 下部気道を示す、エム・カタルハリス(M.catarrhalis)の相互作用を評価し、そして肺の中の病理学的変化を評価するのを可能にする、ネズミの短期肺動脈クリアランスモデルが、現在開発されている(ウンハナンド(Unhanand)ら、1992年;バーゲス(Verghese)ら,1990年)。このモデルは、ネズミの肺の局所末端セグメントに細菌の接種を再現可能に送る。細菌は、肺の内で広がるが、しかし、(i)既存の防御機構、(ii)炎症反応の発生、および/または(iii)特定の免疫応答の発生という結果として最終的に一掃される。このモデルを用いて、血清IgG抗体が、炎症反応の不在下で、肺胞の空間に入ることができ、そしてエム・カタルハリス(M.catarrhalis)のものとほとんど一致する宿主範囲および疾患スペクトラムを示す病原体である、タイプ分けなしのエイチ.インフルエンザ(H.Influenzae)の肺胞のクリアランスを増大させることが示された(マックゲヒー(McGehee)ら、1989年)。7.0 スクリーニングアッセイさらに別の実施の形態で、本発明は、免疫原性エピトープ領域を同定する1つまたはそれ以上の突然変異を包含するペプチドで免疫原性活性についてスクリーニングすることによって、「候補物質」と称しうる新規エム・カタルハリス(M.catarrhalis)阻害化合物を同定する方法を提供する。このようなスクリーニング技術は、エム・カタルハリス(M.catarrhalis)を阻害するか、または殺しさえする目的を果たすあらゆる化合物の一般的同定に有用であることを立証すること、そして好ましい実施の形態では、候補のワクチン化合物を提供することが予想される。 このことを考慮して、タンパク様またはペプチジル化合物に限定されることなく有用な化合物が、さらに予想される。実際、スクリーニングアッセイの使用を通して同定について有用な製薬学上の化合物が、自然では非ペプチジルであり、そして例えば密接な結合または他の化合物を通して細菌タンパク質転写を阻害する働きがあるの場合であると立証する。候補物質は、合成化合物のライブラリーから、または熱帯雨林および海洋サンプルのような自然のサンプルから得ることができる。 エム・カタルハリス(M.catarrhalis)阻害剤を同定するために、ある者は、免疫アッセイを簡便に平行してまたはさもなければ比較的制御して行い、そしてエム・カタルハリス(M.catarrhalis)の表現型を阻害する化合物を同定する。当業者においては、拮抗スクリーニングのための免疫アッセイを使用することが慣用されている(例えば、サムブルック(Sambrook)ら、1989年)。 いったん、候補物質が、同定されると、候補物質の存在下で、エム・カタルハリス(M.catarrhalis)に対する候補物質の能力を測定する。一般に、候補物質の相対的阻害能力を評価するための候補物質の存在下で活性に対して、追加の候補物質の不在下でエム・カタルハリス(M.catarrhalis)の活性を測定さもなければ決定することが所望される。7.1 突然変異誘発 部位特異的突然変異誘発は、基礎をなすDNAの特定の突然変異誘発によって、個々のペプチドまたは生物学上の機能の等価なタンパク質またはペプチドの製造に有用な技術である。技術は、さらに充分な製造の能力および、1つまたはそれ以上の前述の濃度を組合せ、1つまたはそれ以上のヌクレオチド配列の変化をDNAに組込みながら、試験配列変異体を供する。部位特異的突然変異誘発は、十分な数の隣接ヌクレオチドと一緒に、所望の突然変異のDNA配列をコードする特定のオリゴヌクレオチド配列の使用を通して変異体を生成させて、充分なサイズおよび複雑さのある位置時配列を提供して、横切るべき欠失接点の両方の側面で安定な二重螺旋を形成する。一般に、長さ約17から25のヌクレオチドのプライマーが好ましく、その配列の節点の両方の側面に約5から10残基が、改変される。 一般に、予測されるとおり、部位特異的突然変異誘発の技術は、当業界でよく知られ、技術は、一本鎖および二本鎖形態で存在するバクテリオファージベクターを一般に使用する。部位指向性突然変異誘発に有用な典型的なベクターは、M13ファージのようなベクターを含む。これらのファージベクターは、市販で入手可能であり、そしてそれらの使用は、当業者によく知られている。二本鎖は、部位指向性突然変異に決まって使用され、目的の遺伝子をファージからプラスミドに移行させる段階を取除く。 一般に、部位指向性突然変異誘発は、最初に一本鎖ベクターを得て、その配列内に所望のタンパク質をコードするDNA配列内に含まれる二本鎖ベクターの2つの鎖の溶融をさせることによって行う。所望の突然変異配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーは、合成的に作られる。その後、突然変異維持鎖の合成を完了させるために、このプライマーを、一本鎖DNA標品とアニールし、そしてイー.コリ(E.Coli)ポリメラーゼIクレノーフラグメントのようなDNA重合酵素にかける。したがって、一本鎖が、元の非変異配列をコードし、そして二次鎖が所望の突然変異を維持させる異種二重螺旋が形成される。そして、この異種二重螺旋ベクターは、イー.コリ(E.Coli)細胞のような適切な細胞を形質転換するのに使用され、そしてクローンは、突然変異配列の列を担持する組換えベクターを含むように選択される。 部位指向性突然変異誘発を用いた選択遺伝子の配列変異体の製造は、潜在的に有用な種を生成する手段として提供されるが、遺伝子の配列変異体が得られる別の方法があるように、限定されるものではない。例えば、所望の遺伝子をコードする組換えベクターは、ヒドロキシアミンのような突然変異剤で処理して、配列変異体を得ることができる。7.2 第二世代阻害剤 最初に同定された阻害化合物に加えて、発明者は、他の立体的に類似の化合物が、阻害剤の構造の重要な部分を模倣して処方される可能性があるとも予想する。ペプチド阻害剤のペプチド擬態を含む可能性のあるこのような化合物は、当初の阻害剤と類似の方法で使用することができる。 タンパク質の二次構造の要素を模倣するある種の擬態は、タンパク質のペプチド骨格が、分子相互作用を促進するような方法でアミノ酸側鎖を主に指向するために存在するという論理的根拠を用いて表される。擬似ペプチドは、自然の分子と同様の分子の相互作用を可能にすることが示される。 擬似ペプチド概念のある種の成功した使用法が、タンパク質内のβ折れの擬態に注目し、それは、かなり抗原性があることが知られている。ほとんど、ポリペプチド内のβ折れ構造は、ここに説明されるとおりコンピュータ基礎のアルゴリズムによって予測できる。いったん折れの成分アミノ酸が、測定されると、擬似構造は、アミノ酸側鎖の基礎的要素の類似の空間の向きを形成するように構築することができる。 別の構造同等物または擬似構造物の発生は、当業者に知られるモジュールおよび化学設計の技術によって達成されうる。コンピュータ基礎の化学的モジュールの現状は、現在よく知られている。このような方法を使用して、空間の転写伸長を特異的に阻害する化合物を設計でき、そしてその後、合成でき、RNA伸長を阻害する化合物の当初の同定を行うが、それは、特異的でないか、またはウイルスRNA伸長を阻害するほど特別特異的である。このような立体的に類似の構築物および第二世代の分子は本発明の範囲内にはいることが分かる。8.0 M. catarrhalis感染の診断8.1 増幅およびPCRTM 増幅の鋳型として用いる核酸配列は、標準的な方法(Sambrookら、1989)により、生物試料に含まれる細胞から単離する。この核酸は、ゲノムDNAあるいは分画またはホールセルRNAの場合がある。RNAを使用する場合は、RNAをcDNAに転換することが好ましい。 選択的にハイブリダイズしてUspA1またはUspA2タンパク質あるいはその突然変異体に該当する核酸になるプライマー対は、選択的ハイブリダイゼーションが可能な条件下で、単離された核酸に接触させる。"プライマー"という語は、ここで定義するように、鋳型依存プロセスでの新生核酸の合成を初回刺激可能なすべての核酸を包含しなければならない。通常、プライマーは、塩基対10〜20の長さのオリゴヌクレオチドであるが、これよりも長い配列を用いることもできる。プライマーは、二本鎖または一本鎖の形で準備するが、一本鎖のほうが好ましい。 ハイブリダイゼーションを行った後、核酸:プライマー複合体は、鋳型依存合成を促進する1種類以上の酵素と接触させる。増幅を複数回の繰返すことは、"サイクル"とも呼ばれ、十分な量の増幅生成物が得られるまで行う。 次に、増幅生成物を検出する。ある応用例では、検出が目視で行われることもある。また、含まれている放射標識または蛍光標識の化学ルミネセンス、放射線シンチグラフィーによる、あるいは、電気または熱インパルス信号を用いたシステム(Affymax technology)による、間接的同定法によって生成物を検出することもある。 多数の鋳型依存プロセスを利用して、規定の鋳型試料に存在するマーカー配列を増幅できる。最もよく知られた増幅方法の1つとして、ポリメラーゼ連鎖反応(PCRTMと呼ぶ)がある。PCRTMは米国特許番号第4,683,195号、第4,683,202号、4,800,15号に詳細に記載されており、これらの記載の全体を本明細書の記載の一部としてここに引用する。 要するに、PCRTMでは、マーカー配列の反対の相補鎖上の領域に相補的な、2つのプライマー配列が準備される。デオキシヌクレオシド三リン酸を、TaqポリメラーゼなどのDNAポリメラーゼとともに反応混合物に過剰に添加する。試料にマーカー配列が存在するならば、プライマーはマーカーに結合し、ポリメラーゼはプライマーをヌクレオチドに付加させて、マーカー配列に沿って伸張させる。反応混合物の温度を上下させると、伸張したプライマーはマーカーから解離して反応生成物を生成し、過剰のプライマーは、マーカーと反応生成物に結合して、反応が繰返される。 増幅されたmRNAの量を定量したり、好ましいmRNAからcDNAを調整するために、逆転写酵素PCRTM(RT-PCRTM)増幅手順を実施してもよい。RNAをcDNAに逆転写する方法は周知であり、Sambrookら、1989に記載されている。逆転写の別の方法では、熱安定性の、RNA依存DNAポリメラーゼを利用する。これらの方法は、1990年12月21日に提出されたWO 90/07641に記載されており、その内容は、本明細書の記載の一部としてここに引用する。ポリメラーゼ連鎖反応方式は、技術上周知である。 別の増幅方法は、EPA No.320 308で開示されたリガーゼ連鎖反応("LCR")で、その記載は、本明細書の記載の一部としてここに引用される。LCRでは、2対の相補プローブが調整され、標的配列の存在下で各対は隣接する反対の相補鎖に結合する。2対のプローブはリガーゼが存在すると結合して、単一の単位となる。PCRTMと同様に温度を周期的に変化させると、結合された結紮単位は標的から解離して、過剰なプローブ対の結紮のための"標的配列"としてふるまう。米国特許第4,883,750号は、プローブ対を標的配列に結合する、LCRと同様の方法について記載している。 PCT出願PCT/US87/00880(本明細書の記載の一部としてここに引用する)に記載さたQbetaレプリカーゼも、本発明のもう1つの増幅方法として使用できる。本方法では、標的の配列に相補的な領域を持つ、RNAの複製配列を、RNAポリメラーゼの存在下で試料に添加する。このポリメラーゼによって複製配列がコピーされると、この配列が検出できる。 等温度増幅方法も、本発明における核酸の増幅に有効である。この方法では、制限エンドヌクレアーゼとリガーゼを用いて、制限部位のある鎖にあるヌクレオチド 5'-[α-チオ]三リン酸を含む標的分子の増幅を実現する。 鎖置換増幅(Strand Displacement Amplification、SDA)は、複数回の鎖置換および合成、すなわち、ニックトランスレーションを含む、核酸の等温増幅を行う別の方法である。修復連鎖反応(Repair Chain Reaction、RCR)とよばれる同様の方法は、増幅の標的となる領域での複数プローブのアニーリングが行われた後、存在する4個の塩基中のうち2個だけで修復反応が起こる。残りの2個の塩基は、検出が容易になるように、ビオチン化誘導体として添加できる。同様の方法がSDAでも使用される。標的の特異配列は、循環プローブ反応(cyclic probe reaction、CPR)を用いても検出できる。CPRでは、特異でないDNAの3'および5'配列と特異RNAの中間配列を持つプローブが、試料に存在するDNAにハイブリダイゼーションされる。ハイブリダイゼーション中に、反応はRNase Hで処理され、プローブの生成物は、消化後に放出される弁別的生成物として識別される。元の鋳型は、アニーリングして別の循環プローブとなり、反応が反復される。 英国出願 No. 2,202,328およびPCT出願 No. PCT/US89/01025(これらの記載内容は、その全体を本明細書の記載の一部として引用する)に記載された別の増幅方法も、本発明に従って使用できる。前者の出願では、「修飾された」プライマーは、PCRTMのような鋳型および酵素依存の合成で用いられる。このプライマーは、捕獲成分(ビオチンなど)および/または検出部分(酵素など)で標識して修飾できる。後者の出願では、過剰の標識プローブを試料に添加する。標的配列の存在下で、プローブは結合し、触媒作用的に開裂する。開裂後、標的配列は無傷で放出され、過剰のプローブによって結合される。標識プローブの開裂によって、標的配列の存在が知らされる。 他の核酸増幅手順として挙げられるのは、GingerasらのPCT出願 WO 88/10315(本明細書の記載の一部としてその全体をここに引用する)の、核酸配列による増幅システム(nucleic acid sequence based amplification、NASBA)および3SRを含む、転写による増幅システム(transcription-base amlification system、TAS)である。NASBAでは増幅用の核酸は、標準的なフェノール/クロロホルム抽出、臨床試料の熱変性、DNAおよびRNAの単離のための、溶解緩衝液およびミニスピンカラムを用いた処理、あるいは、RNAの塩化グアニジウム抽出により調整できる。 これらの増幅技術には、標的特異配列を持つプライマーのアニーリングが含まれる。重合に続いて、DNA/RNAハイブリッドはRNase Hで消化し、二本鎖DNA分子は再び熱変性させる。どちらの場合でも、一本鎖DNAは、第2の標的特異プライマーを添加すれば完全に二本鎖となり、その後に重合を行う。そして、これらの二本鎖DNA分子は、T7またはSP6などのRNAポリメラーゼにより多重転写される。等温循環反応では、逆転写により一本鎖DNAになったRNAは、二本鎖DNAに転換された後、T7またはSP6などのRNAポリメラーゼによって再び転写される。結果として得られた生成物は、切断されているか、完全であるかにかかわらず、標的特異配列を示す。 DaveyらのEPA No. 329,822(本明細書の記載の一部としてその全体をここに引用する)は、本発明に従って使用できる一本鎖RNA("ssRNA")、ssDNA、二本鎖DNA(dsDNA)を合成を循環的合成を行う核酸増幅プロセスを開示している。ssRNAは、逆転写酵素(RNA依存DNAポリメラーゼ)によって伸長される第1プライマー・オリゴヌクレオチドの鋳型である。その後RNAは、リボヌクレアーゼH(RNase、DNAまたはRNAのいずれかとの二重鎖におけるRNAに特異なRNase)の作用によって、生じたDNA:RNA二重鎖から除去される。結果として生じたssDNAは、第2プライマーの鋳型である。このプライマーは、鋳型に対して相同な(T7 RNAポリメラーゼによって例証される)RNAポリメラーゼ・プロモータ5'の配列も含む。そして、このプライマーは(E. coli DNAポリメラーゼIの巨大な"Klenow"断片によって例証される)DNAポリメラーゼによって伸長され、プライマー間の元のRNAの配列に等しい配列を持ち、さらに、片端にプロモータ配列を持つ二本鎖DNA("dsDNA")分子が生じる。このプロモータ配列は、適切なRNAポリメラーゼを用いて、DNAの多数のRNAコピーを作成できる。これらのコピーは、非常に迅速な増幅を引き起こすサイクルを再び開始できる。酵素を正しく選べば、このような増幅はサイクルごとに酵素を加えなくても等温的に行える。このプロセスは周期性であるため、開始配列は、DNAまたはRNAの形のいずれかを選択できる。 MillerらのPCT出願 WO 89/06700(本明細書の記載の一部としてその全体をここに引用する)は、プロモータ/プライマー配列の標的一本鎖DNA("ssDNA")へのハイブリダイゼーションと、それに続く配列の多数のRNAコピーの転写に基づく、核酸配列の増幅方法を開示している。この方法は周期性でない。すなわち、生じたRNA転写物から新しい鋳型が生じないということである。別の増幅方法は、"RACE"と"片側PCRTM"を含む(Frohman、1990、本明細書の記載の一部として引用する)。 結果として得られる"ジオリゴヌクレオチド"を持ち、そのためこのジヌクレオチドを増幅する、核酸の存在下での2個(以上)のオリゴヌクレオチドの結紮に基づく方法も、本発明の増幅段階で使用できる。 いずれかの増幅による場合であっても、特異増幅の発生の有無を判定するために、増幅生成物を鋳型および過剰のプライマーから分離するのが望ましい。ある実施の形態において、増幅生成物は、標準方法を用いてアガロース、アガロース-アクリルアミド、または、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離される(Sambrookら、1989を参照のこと)。 また、分離を行うために、クロマトグラフィ技術を用いてもよい。本発明では、吸着、分配、イオン交換、分子ふるい、および、カラム、ペーパー、薄膜およびガス・クロマトグラフィを含む、これらを用いるための専門技術などの、多くの種類のクロマトグラフィを使用できる。、 増幅生成物は、マーカー配列の増幅を確認するために、視覚化する必要がある。ある代表的な視覚化の方法として、臭化エチジウムによるゲルの着色と、UV光による描出が挙げられる。また、増幅生成物は、放射線または蛍光定量的に標識されたヌクレオチドを用いて完全に標識化すれば、この増幅生成物を分離後に、X線フィルムに曝露するか、適切な刺激スペクトルのもとで視覚化できる。 ある実施の形態では、視覚化を間接的に行う。増幅生成物の分離後、標識された核酸プローブを増幅マーカー配列に接触させる。このプローブは発色団に結合させることが好ましいが、放射線標識を行ってもよい。別の実施の形態では、プローブを抗体またはビオチンなどの結合相手に結合させ、この結合対の相手が検出可能な部分を保持する。 ある実施の形態では、サザンブロッティングと標識プローブを用いたハイブリダイゼーションによって検出を行う。サザンブロッティングに含まれる技術は、当業者には周知であり、分子的手順に関する標準的な書物が多数見られる(Sambrookら、1989を参照のこと)。増幅生成物は、ゲル電気泳動により簡単に分離される。このときゲルはニトロセルロースなどの膜に接触させると、核酸の移動および非共有結合が可能となる。続いてこの膜を、標的増幅生成物とハイブリダイズできる発色団結合プローブを用いてインキュベートする。検出は、この膜をX線フィルムまたはイオン放射検出装置に曝露して行う。 上記の1つの実施例が、米国特許番号5,279,721に記載されており、この記載内容の全体を本明細書の記載の一部としてここに引用する。これは、核酸の自動電気泳動および移動のための装置および方法を開示している。この装置は、外部操作を行わずに電気泳動とブロッティングを行うことが可能で、本発明による方法を実施するのに非常に適している。 生物試料内のP-TEFbまたはキナーゼタンパク質マーカーの検出に必要な材料および試薬はすべて、キットとして一まとめにすることができる。このキットは一般に、特異マーカー用にあらかじめ選択されたプライマーを含む。増幅に必要な反応混合物にを準備するために、種々のポリメラーゼ(RT、Taqなど)を含む核酸の増幅に適した酵素、デオキシヌクレオチド、緩衝液も含むことができる。 このようなキットは一般に、適切な方法で、各試薬および酵素用の別々の容器はもちろん、各マーカー・プライマー対の容器も含む。選択された近接伸展が空間的に明瞭な領域に由来する限り、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4またはSEQ ID NO:6またはSEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:10またはSEQ ID NO:12またはSEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:16の、たとえば15、20、25、30、35など;48、49、50、51など;75、76、77、78、79、80など;100、101、102、103など、118、119、120、121など;127、128、129、130、131など;316、317、318、319など;322、323、324、325、326など;361、362、363、364など;372、373、374、375などと同一のヌクレオチドの近接伸展を含む核酸断片を調整できるように、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4またはSEQ ID NO:6またはSEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:10またはSEQ ID NO:12またはSEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:16に特定化された配列を増幅する、核酸の増幅のために好ましいプライマーの対を選択する。断片がたとえばSEQ ID NO:3にハイブリダイズしないように、たとえばSEQ ID NO:1と同一か、これと相補的な同様の断片を準備してもよい。 別の実施の形態では、このようなキットに、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4またはSEQ ID NO:6またはSEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:10またはSEQ ID NO:12またはSEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:16で特定化された配列か、特定化された配列の中間長に相当する核酸を含むグループから選択したUspA1またはUspA2タンパク質に特有なハイブリダイゼーション・プローブが含まれる。このようなキットは一般に、適切な方法で、各試薬および酵素用の別々の容器はもちろん、各マーカー・ハイブリダイゼーション・プローブの容器も含む。8.2 その他のアッセイ 具体的な状況によって、ゲノムDNA、cDNAまたはRNAサンプルにおける正常な細胞生成および処理を変化させる、M. catarrhalis感染を正確に検出する他の遺伝子検査方法を用いてもよい。 たとえば、遺伝子の変化をスクリーニングのひとつの方法は、RNA/DNAおよびRNA/RNAヘテロ二重鎖における塩基対のミスマッチのRNase開裂に基づく。本明細書で用いるように、"ミスマッチ"という語は、二本鎖RNA/RNA、RNA/DNAまたはDNA/DNA分子における、1個以上の不対または誤対合ヌクレオチドの領域として定義される。したがってこの定義には、挿入/欠損変異はもちろん、単一および複数の塩基点変異によるミスマッチも含まれる。 米国特許番号4,946,773では、一本鎖DNAまたはRNA試験サンプルのRNAプローブへのアニーリングを含むRNase Aミスマッチ開裂アッセイと、それに続く核酸二重鎖のRNase Aを用いた処理について記載している。RNase開裂反応の後、RNaseはタンパク質分解消化によって不活性化され、開裂生成物は熱により変性し、ポリアクリルアミドゲルの変性に対する電気泳動により分析される。ミスマッチを検出するために、大きさによって分離した、RNase A処理の一本鎖生成物は、同様に処理した対照二重鎖と比較する。対照二重鎖には見られない小さいフラグメントを含むサンプル(開裂生成物)は、+とする。 米国特許番号4,946,773に従って実施されるアッセイを含め、現在利用できるRNaseミスマッチ開裂アッセイは、放射線標識されたRNAプローブを使用する必要がある。MyersとManitaisは米国特許番号4,946,773で、RNase Aを用いた塩基対ミスマッチの検出について記載している。他の研究者は、ミスマッチ・アッセイでのE.coli酵素、RNase Iの使用について説明した。RNase IはRNase Aよりも広範な開裂特異性を持つため、成分が非特異開裂の程度を低下させ、ミスマッチの開裂頻度を上昇させることがわかった場合、RNase Iは塩基対ミスマッチの検出で用いるのに好ましい酵素となる。ミスマッチ検出にRNase Iを使用することは、Promega Biotechによる文献に記載されている。Promegaは、その文献に登場し、酵素レベルが十分に高い場合に、4個の既知のミスマッチのうち3個を開裂させるRNaseを含むキットを販売している。 最初にRNase保護アッセイを使用して、溶液中の特異mRNAの末端を検出およびマップした。このアッセイは、対象となるmRNAに対して相補的な、高い特異活性の放射性標識RNAプローブを、生体外転写で容易に生成できることに依存している。本来、生体外転写の鋳型は、バクテリオファージ・プロモータを含む組換プラスミドであった。このプローブはすべての細胞性のRNA試料と混合されて、相補的な標的とのハイブリダイゼーションを可能とし、RNaseで処理した混合物はハイブリダイズされていない過剰のプローブを分解する。また、本来意図したように使用されたRNaseは、一本鎖RNAについて特異性であるため、ハイブリダイズされた二本鎖プローブは分解されない。RNaseの不活性化と除去を行った後、(存在する標的mRNAの量に比例する量の)保護されたプローブは回収し、ポリアクリルアミドゲルで分析する。 RNase保護アッセイを用いて、単塩基変異の検出を行った。この種のRNase Aミスマッチ開裂アッセイでは、生体外で野生種から転写された放射線標識RNAプローブは、試験試料由来の相補標的領域にハイブリダイズされる。時にはRNA標的(内因性mRNA)を用いたが、(試験標的は通常、(ゲノムDNAまたはプラスミドでのクローニングか、PCRTMにより増幅されたDNAのいずれかの)DNAを含む。ハイブリダイズされたプローブと標的の間で、単一ヌクレオチド(あるいはそれよりも大きな)配列差がある場合、その位置でのWatson-Crick水素結合における結果的な分裂(ミスマッチ)が確認でき、場合によって一本鎖特異リボヌクレアーゼにより開裂される。RNase Iもミスマッチ開裂に有効であることが最近明らかになったが、現在までRNase Aは単一塩基ミスマッチの開裂にほぼ独占的に用いられてきた。単一塩基ミスマッチの検出に、MutSタンパク質および他のDNA修復酵素を用いた最近の記述もある。 以下の実施例は、発明の好ましい実施の形態を示すために含む。以下の例で開示される技術によって、発明者の発見した技術が発明の実施時に正しく機能するということが説明されていることを、当業者が理解することが望ましい。これにより、これらの実施例がその実施のための好ましい態様を構成すると見なせる。しかし、当業者は本開示に照らして、開示される具体的な実施例において多くの変更が行え、本発明の精神および範囲から逸脱することなく同様あるいは類似の結果を得られることを理解するのが望ましい。uspA1の配列分析およびキャラクタリゼーション 菌種および培養条件 M.catarrhalis菌株 035E、046E、TTA24、012E、FR2682、B21は、以前記載した(Helminenら、1993a;Helminenら、1994;Unhanandら、1992)。M.catarrhalis菌株 FR3227およびFR2336は、テキサス州タイラーにあるUniversity of Texas Health CenterのRichard Wallaceから、M.catarrhalis菌株 B6は、ミシガン州アナーバーにあるUniversity of MichiganのElliot Juniから得た。M.catarrhalis菌株 TTA1は、テネシー州ジョンソンシティにあるEast Tennessee State UniversityのSteven Berkから得た。M.catarrhalis菌株 25240は、メリーランド州ロックビルのAmerican Type Culture Collectionより得た。M.catarrhalis菌株は、37℃で脳心臓浸出物(BHI)ブロス(ミシガン州デトロイトのDifco Laboratories)中か、BHI寒天板上で、95%空気-5%CO2雰囲気下でルーチン的に培養した。Escherichia coli菌株 LE392およびXL-1−Blue MRF'(カリフォルニア州ラ・ホーヤのStratagene)は、マルトース(0.2%w/v)および10mM MgSO4を加えた37℃のLubria-Bertani培地(Manitisら、1982)で、必要に応じて抗菌物質を補充して培養した。モノクローナル抗体(MAbs) MAb 17C7は、現在までに検査したすべてのM.catarrhalis菌株のUspAタンパク質物質と反応する、ネズミIgG抗体である(Helminenら、1994)。UspA物質に対して特異性を示す追加のMAbs(16A7、17B1、5C12など)は、本研究のために、説明したように(Helminenら、1993a)、免疫化されたマウスの脾臓細胞を、SP2/0-Ag14形質細胞細胞系を持つM.catarrhalis035Eによる外膜小胞に融着させて作成した。これらのMAbsは、ハイブリドーマ培養上清液の形でウェスタンブロットとドットブロット分析に用いた。クローニング・ベクター 本実施例で用いたプラスミドおよびバクテリオファージ・クローニング・ベクターと、これらのベクターの組換誘導体を表VIに示す。UspA特異性MAb 17C7に対して反応性のプラークを生成した独自の組換バクテリオファージ・クローンであるMEH200については、以前説明した(Helminenら、1994)遺伝子技術 E. Coliのプラスミド単離、制限酵素消化、DNA修飾、結紮反応、形質転換を含む組換DNAの標準技術は、当業者に周知であり、以前説明したように実施した(Maniatisら、1982;Sambrookら、1989)。ポリメラーゼ連鎖反応(PCRTM) PCRTMは、GeneAmpキット(ニュージャージー州のブランチバーグのPerkin-Elmer)を用いて行った。すべての反応は、メーカーの指示に従って実施した。ゲノムDNA全体による生成物を増幅するため、100μlの反応について、M. catarrhalis 染色体DNA 1μgと各プライマー100 ngを使用した。ヌクレオチド配列分析 組換プラスミド、バクテリオファージ中の、あるいは、PCRTM由来のDNA断片のヌクレオチド配列分析は、Applied Biosystems Model 373A自動DNAシーケンサ(カリフォルニア州フォスターシティのApplied Biosystems)を用いて行った。DNA配列情報は、University of Winsconsin Genetics Computer Groupソフトウェア分析パッケージから、Intelligeneticsスイート・パッケージおよびプログラムを用いて分析した(Devereuxら、1984)。KyteとDoolittle(1982)の方法によるタンパク質の親水性の分析と、UspAタンパク質内の反復アミノ酸配列の分析は、MacVectorソフトウェア・タンパク質マトリクス分析パッケージを用いて行った(ニューヨーク州ロチェスターのEastman Kodak Company)。組換バクテリオファージの識別 溶菌液は、組換バクテリオファージに感染したE.coli細胞から、説明したプレート溶菌法(Helminenら、1994)を用いて作成した。E.Coli XL1-Blue MRF'細胞上の組換ZAP Expressバクテリオファージによって生成されたプラークのMAb-ベースのスクリーニングは、メーカーの指示に従って実施した(カリフォルニア州ラ・ホーヤのStratagene)。細菌ローンのバクテリオファージ感染の5時間後に、10mM IPTGに浸漬したニトロセルロース・フィルタを寒天板の表面に短時間当てた。37℃で一晩インキュベートした後、ニトロセルロース・パッドを除去し、0.5%(v/v)のTween 20と5%(w/v)のスキムミルクを含むPBS(PBS-T)で洗浄し、MAbを含むハイブリドーマ培養上清を用いて4時間室温でインキュベートした。PBS-Tで4回洗浄した後、125I標識ヤギ抗マウスIgGを含むPBS-Tを各パッドに塗布した。4℃で1晩インキュベートした後、PSB-Tでパッドを4回洗浄した後、ブロットして乾燥させ、フィルムに曝露した。M.catarrhalisタンパク質抗体のキャラクタリゼーション 外膜小胞は、BHIブロスで培養したM.catarrhalis細胞から、EDTA緩衝液法(MurphyおよびLoeb、1989)によって調整した。これらの小胞に存在するタンパク質は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)によって、7.5%(w/v)ポリアクリルアミド分離ゲルを用いて分解した。これらのSDS-PAGE分解タンパク質は、電気泳動によってニトロセルロースに転移させ、説明したようにプライマリ抗体にMAb 17C7を用いてウェスタンブロット分析を実施した(Kimuraら、1985)。組換バクテリオファージへのDNA挿入によりコード化されたタンパク質のウェスタンブロット分析のために、バクテリオファージ感染したE.coli細胞による溶菌液の一部を、SDS消化緩衝液の一部と混合し(Kimuraら、1985)、SDS-PAGEの前に、この混合物を37℃で15分間インキュベートした。uspA1遺伝子とそのコード化タンパク質生成物の特徴 M.catarrhalis 035E uspA1遺伝子のヌクレオチド配列およびUspA1タンパク質の推定アミノ酸配列は、それぞれSEQ ID NO:2およびSEQ ID NO:1に与えられる。2,493個のヌクレオチドを含む読み取り枠(ORF)は、831個のアミノ酸による、算出分子量が88,271ダルトンのタンパク質生成物をコード化した。 ORFがpIまたは4.7である、uspA1の予想されたタンパク質生成物は高い親水性で、広範に反復されたモチーフが特徴であった。最初のモチーフは、アミノ酸残基80と170の間で広範に反復される共通配列 NXAXXYSXIGGGXN(SEQ ID NO:24)で構成される。アミノ残基320〜460の第2領域には、全体で3回反復される長い配列が含まれるが、複数回反復する、それよりも小さい単位も含まれている。この"反復における反復"配列は、アミノ残基460〜600に渡る第3領域にも当てはまる。この最後のモチーフは、小規模なモチーフ QADI(SEQ ID NO:25)の多数の反復と、QADI(SEQ ID NO:25)モチーフがそれ自体の中にある2個の大型の反復より成る。UspA1の、他のタンパク質との類似性 UspA1に著しい相同性を持つタンパク質に関して利用できるデータベースのBLAST-X検索(Altschulら、1990;GishおよびStates、1993)により、このM.catarrhalis抗原に最も似ている原核タンパク質は、H.influenzae Rdの推定上の付着因子(GenBank受入番号 U32792)(Fleischmannら、1995)、nontypable H.influenzaeによるHia付着因子(GenBank受入番号 U38617)(BarenkampおよびSt.GemeIII、1996)、Yersinia enterocoliticaのYadA invasin(SkurnikおよびWolf-Watz、1989)(SwissProt:P31489)であることが示された。GAP整列プログラム(Devereuxら、1984)を用いて、UspA1配列をこれらの配列および密接に関連する細菌性付着因子と比較すると、UspA1は、病原性E.coliによるE.Coli AIDA-I付着因子の場合、25%が同一、47%が類似的で(BenzおよびSchmidt、1989;BenzおよびSchmidt、1992b)、Hiaの場合23%が同一、46%が類似的で(BarenkampとSt.GemeIII、1996)、YadAの場合、24%が同一、43%が類似的であることがわかった。データベース検索によりUspA1と相同性を持つことが検索された他のタンパク質には、多くの種によるミオシン重鎖が含まれていた。タンパク質UspA1およびUspA2をコード化する2つの遺伝子 MAb 17C7は、UspAと呼ばれる、M.catarrhalisの非常に分子量の大きいタンパク質物質に結合する。このUspAは、少なくとも250kDaの見かけの分子量で(SDS-PAGE内を)移動する。この同じMAbsは、米国特許番号5,552,146(本明細書の記載の一部としてその全体をここに引用する)に記載され、約100kDaの別の抗原バンドとも反応し、M.catarrhalis染色体DNAの断片を含む組換バクテリオファージによって感染したE.coliのファージ溶菌液により結合される。このMAbを結合するファージ溶菌液中のM.catarrhalisタンパク質物質は、未変性のUspA物質のタンパク質物質と同様の、あるいは、区別できない速度で移動する(Helminenら、1994)。uspA1の分析 uspA1と呼ばれる、組換バクテリオファージによって発現されたM.catarrhalis菌株 O35E遺伝子のヌクレオチド配列分析により、予想された分子量88,271のタンパク質生成物(SEQ ID NO:1)をコード化するORFの存在が明らかになった。生体外DNA有向性タンパク質発現システムにおいてuspA1 ORFを使用することにより、uspA1遺伝子によってコード化された、見かけの分子量が約120kDaのタンパク質がSDS-PAGE内で移動することが明らかになった(変性タンパク質の見かけの分子量が、未変性タンパク質の予想分子量といくらか異なるので、SDS-PAGEなどの変性プロセスによって、タンパク質の移動速度が変更できることに当業者は気づくだろう)。さらに、uspA1 ORFをバクテリオファージ・ベクターに導入すると、この組換ファージを含む組換E.Coli菌株は、M.catarrhalisによる未変性のUspAと見かけ上は同じ速度でSDS-PAGE中を移動するタンパク質を発現した。クローンされたuspA1遺伝子由来の0.6 kb Bgl II-PvuII断片をプローブとして用いた、複数のM.catarrhalis菌株の染色体DNAのサザンブロット分析によって、複数の菌株とともに、このuspA1由来のプローブを制限する2つの明瞭な制限断片があること(図1)が明らかになり、第2の遺伝子を持つM.catarrhalisは、uspA1にやや類似しているということが示された。 M.catarrhalis菌株 O35Eによる、極めて高分子量の未変性UspAタンパク質物質は、SDS PAGEにより分解し、電気溶離し、プロテアーゼで消化した。生じたペプチドの一部のN-末端酸配列分析によって、複数のペプチドのアミノ酸配列が、UspA1の推定されたアミノ酸配列に一致しないことが明らかになった。この実験で得られた他のペプチドは、推定されたアミノ酸配列に存在するペプチドに類似していたが、同一ではなかった。高分子量UspAタンパク質物質のプロテアーゼおよび臭化シアン(CNBr)開裂 精製したきわめて高分子量のUspAタンパク質物質(精製時、この物質は単一のタンパク質とみなされた)0.3mgは90%エタノールに沈殿させ、このペレットを、12Mの尿素を含む88%蟻酸100mlに再懸濁させた。懸濁の後、2M CNBrを含む88%蟻酸100mlを添加し、混合物を暗所で一晩室温でインキュベートした。精製UspA物質 1ml(2.0mg)を、トリプシンかキモトリプシン25mgを含むバイアルに直接添加した。反応混合物を37℃で最高48時間インキュベートした。精製UspA物質 1ml(2.0mg)を、エンドプロテイナーゼLys-C 15mgを含むバイアルに直接添加した。反応混合物を37℃で48時間インキュベートした。 開裂反応混合物は、Eppendorf遠心分離機を用いて12,000rpmで5分間遠心分離を行って清澄にした。清澄にされた上清は、0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸水溶液(溶媒A)およびアセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸 80:20:0.1(v/v/v)(溶媒B)を用いた移動相Vydac C4 HPLCカラムに、流速1.0ml/分で直接充填した。反応混合物は、100%溶媒Aで洗浄してカラムに載せ、溶媒Bの30分直線濃度勾配を用いて開裂断片を溶出させた。画分は手動で収集し、Speed-Vacで一晩乾燥させ、家庭用純水で再懸濁させた。再懸濁されたHPLC分離画分は、Tris-Tricine緩衝液系で10-18%グラジエントゲルを用いてSDS-PAGE分析を行った。単一ペプチドバンドを示した画分は、直接N-末端配列分析を行った。複数のペプチドバンドを示す画分は、SDS-PAGEからPVDF膜に移動し、個々のバンドを切り取り、N-末端配列分析を行った。 そして、Applied Biosystems Model 477A PTHアナライザ(米国カリフォルニア州フォスターシティのApplied Biosystems)を用いて、これらの断片のN-末端アミノ酸配列を決定した。これらの配列のまとめを表VIIに示す。配列の約半分が、upsA1遺伝子から推定された配列と一致することがわかったが、残り半分は一致しなかった。uspA1遺伝子配列の読取枠を移動しようとしたが、一致しないペプチド配列の説明は失敗した。高分子量UspAタンパク質は、2種類以上の別個のタンパク質の多量体か、2種類の異なるタンパク質の別個の多量体のいずれかを含むことが示された。a 複数のペプチドのある残基は確認できず、このような多義性は、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50の"X"によって示す。SEQ ID NO:29では、多義性の残基はセリンと思われる;SEQ ID NO:33では、位置13はアスパラギン酸、位置14はグリシン、位置15はアルギニンと思われる;SEQ ID NO:35では、位置13および19はセリンと思われる;SEQ ID NO:49では、多義性の残基はアスパラギンと思われる;SEQ ID NO:50では、位置4はセリンで、位置8はトレオニンと思われる。 M.catarrhalis菌株 O35Eのきわめて高分子量のUspAタンパク質バンドをSDS-PAGEによってさらに分解・溶出させ、プロテアーゼまたは臭化シアンで消化すると、配列された多数のペプチドが再び得られた。複数のペプチド(ペプチド1-6、表VIII)が得られた。そのアミノ酸配列は、uspA1遺伝子のヌクレオチド配列から推定された配列と同一か、類似していた。しかし、複数の追加のペプチド、ペプチド7-10は推定されたアミノ酸配列に存在しなかった。この発見により、UspA抗原調整物に第2のタンパク質が存在していたことが証明される。a 複数のペプチドのある残基は確認できず、このような多義性は、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:62、SEQ ID NO:63、SEQ ID NO:64の"X"によって示す。 高分子量のUspAタンパク質物質が2種類以上の別個のタンパク質の多量体か、2種類のタンパク質の別個の多量体のいずれかであるという説を立証する証拠が、UspA物質のモノマーの分子量を59,500と予測した、初期のエレクトロスプレー質量分析によってさらに得られた。この約60kDaのタンパク質は、MAb 17C7のみと交差反応するUspA1タンパク質とは異なり、免疫原性的にMAbs 17C7、45-2、13-1、29-31と反応した。MAb 17C7が両方の単離タンパク質と反応したことにより、このMabが両方のタンパク質に共通のエピトープと認識したことが示唆される。突然変異usp1構築物の調整 クローンされたuspA1遺伝子のヌクレオチド配列を用いて、同質遺伝子uspA1突然変異体を作成した。オリゴヌクレオチド・プライマー(表IXのBamHI末端のP1およびP16)を用いて、M.catarrhalis菌株 O35E染色体DNAによるuspA1 ORFの切断バージョンを増幅した;このPCRTM生成物は、プラスミド・ベクターpBluescript II SK+のBamHIサイトにクローニングされた。このクローニングされた断片の中間の0.6kb Bg/II断片を切り取り、カナマイシン耐性をコード化するBamHI末端カセットで置換した。この新しいプラスミドはE.coli DH5α内で培養し、カラムクロマトグラフィで精製し、EcoRIを用いた消化により直線化し、沈殿させてから水に溶解させた。この線形DNA分子を用い、以前説明した技術(Helminenら、1993b)により、野生種のM.catarrhalis菌株 O35Eの電気穿孔を行った。約5,000個のカナマイシン耐性形質転換体が得られた;無作為に取り出した複数の形質転換体は、MAb 17C7(図2B)との反応性がまだ見られた。これらのカナマイシン耐性クローンのうち1個を無作為に選択し、さらに実験を行うと、この突然変異体が同質遺伝子的であることがサザンブロット分析によって確認された。uspA1突然変異体により発現された生成物の分析 両方の野生種のM.catarrhalis菌株のすべての細胞溶菌液とその突然変異体をSDS-PAGEで処理しても、両方の野生種菌株および突然変異体菌株は、元はUspAと呼ばれたきわめて高分子量のバンドを発現する。しかし、約120kDaのタンパク質が突然変異体株菌で欠落することがわかった(図2A)。この突然変異体と野生種の親菌株が、MAb 17C7と反応するいまだにきわめて高分子量の抗原を発現するという事実により、M.catarrhalis菌株 O35Eに、MAb 17C7反応性抗原をコード化する第2の遺伝子が存在しなければならないことがわかる。さらに、両方の野生種菌株のEDTA抽出外部膜小胞(図2C、レーン5および7)および突然変異体菌株(図2C、レーン6および8)が、MAb 17Cと反応性の7約70-80kDaのタンパク質を持つことに注目すべきである。この約70-80kDaのバンドは、MAb 17C7反応エピトープをコード化する第2の遺伝子の生成物のひとつの形、おそらくモノマー形を表す。 野生種の親菌株と突然変異体の両方の染色体DNAをPvuIIで消化し、サザンブロット分析でuspA1遺伝子の0.6kb Bgl II-PvuII断片を調べると、野生種菌株はこの試験を制限する2.6kbバンドと2.8kbバンドを示したこと(図3)に注目することが重要である。3.4kbバンドが存在するのは、kanカートリッジをuspA1遺伝子の欠損サイトに挿入したためである。UspA2およびuspA2 融着タンパク質の作成 融着タンパク質を作成するために、MAb 17C7を結合するエピトープは、上で説明したuspA1遺伝子のヌクレオチド配列を用いて局在化した。まず、UspA1タンパク質に渡る5つのペプチドを含む融着タンパク質を、pGEX4T-2タンパク質融着システム(Pharmacia LKB)を用いて作成した。M.catarrhalis菌株 O35E染色体DNAの必要なヌクレオチド配列を増幅するのにPCRTMで用いたオリゴヌクレオチド・プライマーを、表IXに示す。これらはそれぞれ、5'末端にBamHIサイトかXholサイトを持つため、BamHI-かXhol-消化ベクターに対する増幅生成物の方向性フレーム内クローニングが可能となる。これらの5つの融着タンパク質をそれぞれ発現する組換E.coli菌株をコロニーブロット放射免疫アッセイで用いると、融着タンパク質MF-4のみがMAb 17C7を直ちに制限する。MF-4融着作成におけるuspA1由来ヌクレオチド配列をさらに分析すると、MF-4融着タンパク質由来の79アミノ酸残基(MF-4-1)と123アミノ残基(MF-4-2)を含む融着タンパク質が生成する(表IX)。これらの2つの融着タンパク質は両方ともMAb 17C7を制限する(表IX)。図4は、MAb 17C7のMF-4-1融着タンパク質とのウェスタンブロット反応性を示す。これらの2つの融着タンパク質が共通して持つ残基領域は、NNINNIYELAQQQDQHSSDIKTL(SEQ ID NO:65)の、わずか23であり、"3Q"ペプチドと呼ばれる、この23の残基領域がMAb 17C7を結合するエピトープを含むことを示唆する。MAb 17C7エピトープの説明 この23残基ポリペプチド(3Qペプチドなど)をコード化するヌクレオチド配列が、実施例IIで説明したサザンブロット分析で用いた0.6kb Bgl II-PvuII断片中に存在したことに注目することは重要である。この発見が示唆するのは、MAb 17C7に結合したエピトープが、2.6および2.8kb PvuII断片の両方に存在するDNAによってコード化され、2.8 kb PvuII断片はクローニングされたuspA1遺伝子に由来し、2.6 kb PvuII断片は、この同じエピトープをコード化する別の遺伝子の全部または一部を示すということである。 結紮(ligation)ベースのPCRTMシステムを用いてこの発見を検証した。PvuIIを用いて突然変異菌株の染色体DNAの消化を完了させ 、アガロースゲル電気泳動で分解した。2-3kbの大きさの断片はアガロースから切り取り、平滑末端とし、pBluescript II SK+のEcoRVサイトに結紮した。この結紮反応混合物を沈殿させ、PCRTM増幅反応で使用した。各PCRTM反応は、3Qペプチドをコード化するDNA由来のT3またはT7プライマーのいずれかを含んでいた。この手法により、T3およびP10プライマーにより1.7kb生成物が、T7およびP9プライマーにより0.9kb生成物が得られた(図5)。これら2個のバンドの合計は、好ましいDNA断片の2.6kbサイズと同じである。 これらの2個のPCRTM生成物のヌクレオチド配列分析により、不完全な2つのORFが明らかになった。これらのORFは、3Qペプチドをコード化する領域で結合させると、算出分子量が62,483ドルトンのタンパク質をコード化する1,728bp ORFを形成した(SEQ ID NO:3)。このタンパク質のアミノ酸配列は、UspA1のアミノ酸配列と43%一致した。さらに詳しく調査すると、UspA2と呼ばれる、この第2のタンパク質のアミノ酸278-411にわたる領域は、アミノ酸505-638の間のUsp1の領域にほぼ一致することがわかった(SEQ ID NO:1)。さらに、これら2つの領域は両方とも、MAb 17C7を結合するエピトープを含む可能性のある23-mer(3Qペプチド)を含んでいる。UspA1には見られなかった、表IXの4個のペプチド(ペプチド7-10)が、UspA2の推定されたアミノ酸配列のペプチドと同一か、きわめて似ていることが判明したことにも注目すべきである。そして、表IXに示した最初の6個のペプチドは、UspA1の推定アミノ酸配列のペプチドと同一か、きわめて類似しており、UspA2の推定アミノ酸配列に見られるペプチドとも一致した。 オリゴヌクレオチド・プライマー P1およびP2(表IX)を用いて、M. catarrhalis菌株 O35E染色体DNAの2.5-2.6kb断片を増幅した。このPCRTM生成物のヌクレオチド配列分析を用いて、結紮ベースのPCRTM研究により決定したuspA2 ORFのヌクレオチド配列を確認した。この結果から判明したのは、M. catarrhalis菌株 O35Eが、MAb 17C7を結合しやすい同じペプチド(すなわち3Qペプチド)をコード化する2つの異なるORF(すなわちuspA1およびuspA2)を含むことである。この3Qペプチドは、UspA1に2回、UspA2に1回出現した(SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:3)。 uspA1でこれらの3Qペプチドをコード化する2つのDNAセグメントのヌクレオチド配列はほぼ一致し、3つのヌクレオチドは異なっている。これらのヌクレオチドの違いによって、アミノ酸配列に変化は起こらなかった。uspA2で3Qペプチドをコード化するDNAセグメントのヌクレオチド配列は、UspA1で最初の3Qペプチドをコード化するDNAと一致する。 図2Cのレーン7に示すように、M. catarrhalis菌株 O35E染色体外膜小胞に存在する、3つの主要なMAb 17C7反応性バンドの見かけの分子量は、200kDaより大、約120kDa、約70-80kDaである。分子量が200kDaより大、約120kDa、約70-80kDaの複数のMAb 17C7反応性バンドが存在することは、米国特許5,552,146でも明らかである(図1、レーンH)。そのため1991年には、少なくとも2つ以上のMAb 17C7と反応性のあるM. catarrhalis抗原が存在することが明らかになっていた。現在明らかなのは、約120kDaバンドはM. catarrhalis菌株 O35EのUspA1抗原のモノマー形を、約70-80kDaバンドはUspA2抗原のモノマー形を表現することである。これらの種の1つ以上が凝集して、UspA抗原の、きわめて高分子量の(すなわち200kDaを超える)タンパク質物質を形成する場合がある。 新しいM. catarrhalis菌株 O35Eゲノム・ライブラリが、バクテリオファージ・ベクターZAP Express(カリフォルニア州ラ・ホーヤのStratagene)に構築された。この菌株の染色体DNAは、Sau3A1によって部分的に消化され、メーカーから得られる指示に従って、4-9kbのDNA断片がベクター・アームに結紮された。このライブラリはE.Coli MRF'で増幅された。このライブラリの分割量を希釈してプレート状にし、得られたプラークをMAb 17C7との反応性についてスクリーニングした。このMAbを制限する約24のプラークが検出された;反応性の組換バクテリオファージは、単一プラーク単離法によって精製され、これらのバクテリオファージの1つによるDNA挿入に対してヌクレオチド配列分析を行った。この組換バクテリオファージに存在する2.6kb DNA断片のヌクレオチド配列によって、この配列が片端に3Qペプチドをコード化する不完全なORFを含むことが明らかになった。ベクターのクローニング・サイトによって切断されるまで、この不完全ORFの配列は、すぐ上で述べた結紮ベースのPCRTM研究に由来するuspA2 ORFの配列と同一か、ほぼ同一であり、共通のエピトープを共用する2つの遺伝子がUsp抗原をコード化していることをさらに証明するものである。タンパク質UspA1およびUspA2の精製と免疫学的特性 物質および方法 バクテリア TTA24およびO35Eの単離体については、実施例Iで述べた。その他の単離体は、University of RochesterとAmerican Type Culture Collection(ATCC)より得た。バクテリアは、35℃で5%の二酸化炭素によってインキュベートしたMueller-Hinton寒天(ミシガン州デトロイトのDifco)上をルーチン的に通過させた。タンパク質の精製に用いたバクテリアは、1リットル当たり10gのカサミノ酸(ミシガン州デトロイトのDifco)と15gのイースト抽出物(メリーランド州コッキーズヴィルのBBL)を含む滅菌ブロスで培養した。単離体は、40%グリセロールを含むMueller-Hintonブロス中に-70℃で保存した。 UspA2の精製バクテリア細胞(M. catarrhalis O35E 湿潤重量〜400g)は、1%Triton X-100(TX-100)(ニュージャージー州ビッツバーグのJ.T.Baker Inc.)(pH6.0)を含むpH6.0、0.03Mリン酸ナトリウム(NaPO4)2リットルを用い、室温で60分間撹拌して、2回洗浄した。UspA2タンパク質を含む細胞は、13,700xgで30分間4℃で遠心分離を行ってペレット状にした。遠心分離の後、ペレットを1.0%TX-100を含むpH8.0、0.03M Tris(ヒドロキシメチル)アミノメタン-HCl(Tris-HCl)2リットル中で再懸濁させ、4℃で一晩攪拌してUspA2タンパク質を抽出した。細胞は、13,700xgで30分間4℃で遠心分離を行ってペレット状にした。UspA2タンパク質を含む上清を収集し、最初に0.8μmの膜(CN.8、ニューヨーク州ロチェスターのNalge)で、次に0.45μmの膜(酢酸セルロース、低タンパク結合、ニューヨーク州コーニングのCorning)で連続的に微量濾過を行った。 濾過した未処理の抽出調整物すべてを、0.1% TX-100(THT)を含むpH8.0、0.03M Tris-HCl緩衝液で平衡にした、50 x 217 mm(〜200 ml)TMAEカラム[650(S)、0.025-0.4mm、ニュージャージー州ギブズタウンのEM Separations]に装填した。このカラムは、平衡緩衝液400 mlで洗浄した後、0.25 NaClの0.03M THT溶液600mlで洗浄した。その後、UspA2は1.0M NaClの0.03M THT溶液800mlで溶出させた。画分はUspA2についてSDS-PAGEでスクリーニングし、 プールした。UspA2を含む、プールした画分(〜750ml)は、窒素圧下で、YM-100膜とともにAmicon攪拌細胞(マサチューセッツ州ベバリーのAmicon Corp.)を用いた限外濾過によって、約2倍に濃縮した。TMAE濃縮物は175mlずつ2分割し、各分割緩衝液は、0.1% TX-100(10mM PT)を含むpH 7.0、10mM NaPO4で平衡させた50 x 280mm(〜550ml)Sephadex G-25(粗)カラム(ニュージャージー州ピスカタウェイのPharmacia Biotech)上を移動させて交換した。緩衝液交換物質は次いで、10mM PTで平衡させた50 x 217 mm(〜425ml)セラミック・ヒドロキシアパタイト・カラム(Type I、40μm、Bio-Rad)に装填した。カラムは平衡緩衝液450mlで洗浄後、0.1% TX-100を含むpH7.0、0.1M NaPO4 900mlで洗浄した。そしてUspA2は、0.1% TX-100を含む0.1〜0.2M NaPO4の間の線形pH7.0 NaPO4濃度勾配を用いて溶出させた。0.1% TX-100を含むpH7.0、0.2M NaPO4をカラムに追加・回収し、UspA2の回収量を最大にした。画分はUspA2についてSDS-PAGEでスクリーニングし、プールした。その後カラムを、0.1% TX-100を含むpH7.0、0.5M NaPO4 900mlで洗浄した。この洗浄による画分は、UspA1についてSDS-PAGEでスクリーニングし、プールし、4℃で保存した。このプールはUspA1の精製に用いた。 UspA1の精製UspA2の4回の精製で集めたUspA1濃縮画分はプールした。合わせたUspA1プールは、窒素圧下で、YM-100膜とともにAmicon攪拌細胞を用いた限外濾過によって、約3倍に濃縮した。UspA1濃縮物は175mlずつ2分割し、緩衝液は、10mM PTで平衡させた50 x 280mm(〜550ml)Sephadex G-25カラム上を移動させて交換した。緩衝液交換物質は次いで、10mM PTで平衡させた50 x 217 mm(〜425ml)セラミック・ヒドロキシアパタイト・カラム(Bio-Rad)に装填した。カラムは平衡緩衝液450mlで洗浄後、0.1% TX-100を含むpH7.0、0.1M NaPO4 900mlで洗浄した。そしてUspA1は、0.1% TX-100を含む0.25〜0.5M NaPO4の間の線形pH7.0 NaPO4濃度勾配を用いて溶出させた。画分はUspA1についてSDS-PAGEでスクリーニングし、 プールした。SDS−PAGEおよびウェスタンブロット分析 SDS-PAGEは、Laemmli(1970)が説明したとおりに、4〜20%(w/v)濃度勾配アクリルアミドゲル(マサチューセッツ州ナティックのIntegrated Separation Systems(ISS))を用いて実施した。タンパク質は目視できるように、ゲルをCoomassie Brilliant Blue R250で着色した。ゲルはPersonal Densitometer SI(カリフォルニア州サニーベールのMolecular Dynamics Inc.)を用いて走査し、分子量はFragment Analysisソフトウェア(バージョン1.1)により、ISSの着色済み分子量マーカーを標準として用いて概算した。タンパク質は半乾燥電気ブロッタおよび電気ブロット緩衝液(ISS)を用いて、ポリビニリデン二フッ化物(PVDF)膜に移動させた。膜はタンパク質特異性抗血清またはMAbで検査した後、第2抗体としてヤギ抗マウスアルカリ・フォスファターゼ接合体(カリフォルニア州カマリロのBioSource International)で検査した。ウェスタンブロットは、BCIP/NBT Phosphatase Substrate System(メリーランド州ゲーサーズバーグのKirkegaard and Perry Laboratories)で展開した。タンパク質の概算 タンパク質濃度は、BCAアッセイ(イリノイ州ロックフォードのPierce)により、ウシ血清アルブミンを用いて概算した。UspA2およびUspA1の酵素的、化学的開裂(i) CNBr開裂 約0.3mgの精製タンパク質を90%(v/v)エタノールで沈殿し、ペレットを12Mの尿素を含む100μlの88%(v/v)蟻酸に懸濁した。再懸濁後、2M CNBr(Sigma、St. Louis、MO)を含む88%(v/v)蟻酸を加え、混合液を暗所で室温で終夜インキュベートした。(ii) トリプシンおよびキモトリプシン開裂約2mgの精製タンパク質を90%(v/v)エタノールで沈殿し、ペレットを0.1%のTX-100を含む全容積1mlの燐酸緩衝生理食塩水(PBS)中に再懸濁した。この調製液を25μgのトリプシンまたはキモトリプシン(Boehringer Mannheim、Indianapolis、IN)を含むバイアル中に直接加えた。反応混合液を37℃で48時間インキュベートした。(iii) エンドプロテアーゼLys-C開裂 約2mgの精製タンパク質を90%(v/v)エタノールで沈殿し、ペレットを0.1%のTX-100を含む全容積1.0mlの燐酸緩衝生理食塩水(PBS)中に再懸濁した。この調製液を15μgのエンドプロテアーゼLys-C(Boehringer Mannheim)を含むバイアル中に直接加えた。反応混合液を37℃で48時間インキュベートした。(iv) ペプチドの分離上記開裂反応混合物をEppendorf遠心機中、12,000rpmで5分間遠心分離し、上澄を直接Vydac Protein C4 HPLCカラム(The Separation Group、Hesperia、CA)上に負荷した。使用した溶媒は0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸水溶液(TFA)[溶媒A]およびアセトニトリル:H2O:TFA = 80:20:0.1(v/v/v)[溶媒B]であり、流速は1.0 ml/minであった。溶媒Aで最初に洗浄後、ペプチドを0〜100%の溶剤Bの直線勾配で溶出し、220nmの吸光度で検出した。適当な分画を集め、Speed-Vac濃縮器で乾燥し(Jouan Inc.、Winchester、VA)、蒸留水中に再懸濁した。各分画をTris-Tricine緩衝液中(Schagger and von Jagow,1987)の10〜18%(w/v、アクリルアミド)濃度勾配ゲル(ISS)中を用いるSDS-PAGEで分離した。単一ペプチドバンドを含む分画を直接N-末端配列解析に用いた。SDS-PAGEで多重ペプチドバンドを示す分画を、上記PVDF膜上に電気泳動により転写した。膜をCoomassie Brilliant Blue R250で染色し、個々のバンドを切り出してN-末端解析に用いた(Matsudaira、1987年)。 サブユニットサイズの測定マトリックスアシストレーザー脱吸着/イオン化飛翔時間(MALDI-TOF)マススペクトロメトリー(HillenkampおよびKaras、1990年)をLasermat 2000Mass Analyzer(Finnigan Mat、Hemel Hempstead、UK)を用い、3,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシ-桂皮酸をマトリックスとして行った。界面活性剤を除去するため、0.1%(v/v)以上のTX-100を含む試料につき冷エタノール沈殿を行った。最終エタノール濃度は90%(v/v)であった。沈殿したタンパク質を水に再懸濁した。 ゲル濾過クロマトグラフィーによる凝集サイズの測定約1mgの精製タンパク質を90%(v/v)エタノールで沈殿し、ペレットを0.1% TX-100を含む全容積1.0 mlのPBS中に再懸濁した。調製液200μlをPBS/0.1% TX-100で平衡したSuperose-6 HR 10/30ゲル濾過カラム(10×30mm、Pharmacia)に流速0.5ml/minで添加した。カラムを分子量158、000のアルドラーゼ、分子量232,000のカタラーゼ、分子量440,000のフェリチン、分子量669,000のチログロブリンおよび分子量2000〜2,000,000のブルーデキストランを含むHMW校正キット(Pharmacia)で校正した。 アミノ酸配列解析 N-末端アミノ酸配列解析をApplied Biosystems Model 477Aタンパク質/ペプチドシーケンサーを用い、オンラインModel 120A PTHアナライザー(Applied Biosystems、Foster City、CA)により行った。フェニルチオヒダントイン誘導体をBrownlee PTH-18カラム(粒径5μm、内径2.1mm×長さ22cm;Applied Biosystems)を用いる逆相HPLCで同定した。免疫化 6-8週齢の雌BALB/cマウス(Taconic Farms、Germantown、NY)を4週間隔で2用量のUspA1およびUspA2で皮下免疫した。ワクチンを調製するため、精製UspA1およびUspA2を燐酸アルミニウムに加え、混合物を4℃で終夜回転させた。3-O-デアセチルモノホスフォリルリピドA(MPL)(Ribi ImmunoChem Research、Inc.)を投与直前に添加した。ワクチンの各用量は容積200μlに懸濁した5μgの精製タンパク質、100μgの燐酸アルミニウムおよび50μgのMPLを含んでいた。対照マウスには同じアジュバントとともに5μgのCRM197を注射した。血清試料を最初のワクチン化の前、および二回目のワクチン化の2週間後に採集した。マウスを特定病原体のない籠に入れ、水と餌を随時与えた。 モノクローナル抗体 17C7 MAbはハイブリドーマ(ATCC HB11093)を分泌した。MAb13-1、29-31、45-2および6-3を先の記載通り調製した(Chenら、1995年)。 M. catarrhalis肺クリアランスのネズミモデル このモデルは先の記載通り行われた(Chenら、1995年)。 酵素リンク免疫吸収分析(ELISA)法 二つの異なったELISA法を使用した。その一つは全バクテリア細胞に対する血清の反応性を調べるためであり、他のものは精製タンパク質に対する反応性を調べるためである。全細胞ELISAでは、バクテリアをMueller-Hilton寒天上で終夜生育させ、プレートからPBS中へ移した。細胞の濁度を600nmで0.10に調節し、100μlを96ウエルNunc F Immunoplate(Nunc、Roskilde、Denmark)のウエルに加えた。細胞を37℃で終夜乾燥し、マイラープレートシーラーで封じ、使用するまで4℃で保存した。分析の当日、0.1%Tween20入りPBS中の5%の脱脂ミルクを加えて残余のタンパク質結合部位をブロックし(Bovine Lacto Transfer Technique Optimizer[BLOTTO])、37℃で1時間インキュベートした。次いでブロック溶液を除き、100μlの血清をブロット液入りウエル中で連続的に希釈した。血清を37℃で1時間インキュベートした。プレートのウエルを300mlの0.1%Tween20入りPBSに30秒間浸し、Skatronプレート洗浄器で5秒間、3回洗浄し、次いでブロット液中で1:1000に希釈したアルカリホスファターゼ(BioSource)結合ヤギ抗マウスIgGと共に37℃で1時間インキュベートした。洗浄後、ウエル当たりの1 mg/mlでジエタノールアミンに溶解した燐酸p-ニトロフェノール溶液100μlでプレートを室温で現像した。各ウエルに50μlの3N NaOHを加えて現像を停止した。各ウエルの吸光度を405nmで読取り、直線回帰法により力価を計算した。力価は吸光度値0.10ユニットに外挿した希釈率の逆数として報告された。精製タンパク質に対するELISAでは、0.02%ナトリウムアジド(Sigma Chemical Co.)を含む50mM炭酸ナトリウム緩衝液中でタンパク質を5μg/ml濃度に希釈した。100μlを96ウエルEIA/RIA培地結合ELISAプレート(Costar Corp.、Cambridge、MA)の各ウエルに加え、4℃で16時間インキュベートした。プレートを洗浄し、引き続き全細胞ELISA法の記載と同様に処理した。 補体依存性殺菌性分析この分析では、0.1mMCaCl2:MgCl2、0.1%ゼラチン(PCMG)を添加した、約1200cfuのバクテリアを含むPBS中のバクテリア懸濁液20μlをPCMG中で希釈した20μlの血清と混合し、4℃で30分間インキュベートした。先の報告(Chenら、1996年)通り調製した補体を20%濃度で加え、混合し、35℃で30分間インキュベートした。200μlの4℃に冷やしたPCMGで希釈して分析を停止した。この懸濁液50μlをMueller-Hintonプレート上に展開した。活性補体の代わりに熱不活性化補体を用いた試料のcfuに対するcfu減少率として、相対殺菌度を計算した。 HEp-2細胞へのバクテリア付着阻害 HEp-2細胞へのバクテリア付着に対する特定の抗体の効果を調べた。300μlのRPMI-10中の全HEp-2細胞数5×104を滅菌8ウエルLab-Tekチャンバースライド(Nunc、Inc.、Naperville、Ill)に加え、5%CO2インキュベーター中で終夜インキュベートしてスライド上に細胞の単層を得た。スライドをPBSで洗浄し、300μlのバクテリア懸濁液(A550= 0.5)、または抗血清(1:100)であらかじめインキュベートしたバクテリア懸濁液と共に37℃で1時間インキュベートした。次いでスライドをPBSで洗浄し、メーカーの指示書に従いDifco急速染色法で染色した。カメラを装備した光学顕微鏡(Nikon Microphot-SA、Nikon、Tokyo、Japan)を用いてスライドを観察、および写真撮影した。 フィブロネクチンおよびビトロネクチンとタンパク質の相互作用精製UspA1およびUspA2とフィブロネクチンとの相互作用をドットブロットで調べた。ヒト血漿フィブロネクチン(Sigma Chemical Co.、St. Louis、MO)をニトロセルロース膜に施し、膜を室温で1時間、ブロット液でブロックした。ブロットをPBSで洗浄し、精製UspA1およびUspA2(ブロット液中2μg/ml)と共に4℃で終夜インキュベートした。PBSで3回洗浄後、膜をブロット液で希釈したMAb17C7と室温で2時間インキュベートし、次いでアルカリホスファターゼ結合ヤギ抗マウス免疫グロブリン(BIO-RAD Lab.、Hercules、Calif.)とインキュベートした(5%乾燥ミルク入りPBS中1:2000、2時間、室温)。最後に膜を0.1M tris-HCl緩衝液(pH 9.8)中のニトロブルーテトラゾリウムおよび5-ブロモクロロ-3-インドリル燐酸を含む基質溶液で現像した。ビトロネクチンとの相互作用も同様な方法で調べた。精製UspA1およびUspA2をニトロセルロース膜上にスポットし、膜をブロット液でブロックした。次いで膜をヒト血漿ビトロネクチン(GIBCO BRL、Grand Island、N.Y.、ブロット液中1μg/ml)、ウサギ抗ヒトビトロネクチン血清(GIBCO BRL)、アルカリホスファターゼ結合ヤギ抗ウサギIgG、および基質と順番にインキュベートした。精製タンパク質によるHEp-2との相互作用 96ウエル細胞培養プレート(Costar Corp.、Cambridge、Mass.)の各ウエルに、10%ウシ胎児血清を含む0.2mlのRPIMI中の5×104のHEp-2細胞を接種し、プレートを5%CO2を含む37℃のインキュベーター中で終夜インキュベートした。ブロット液中の精製UspA1およびUspA2(1〜1000ng)を加え、37℃で2時間インキュベートした。プレートをPBSで洗浄し、UspA1またはUspA2と1:1に混合したマウス抗血清(5%乾燥ミルクを含むPBS中で1:1000希釈)と共にインキュベートし、プレートを洗浄、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ウサギ抗マウスIgG(5%乾燥ミルクを含むPBS中で1:1000希釈)(Brookwood Biochemical、Birmingham、AL)と共に室温で1時間インキュベートした。最後にプレートを洗浄し、0.03%過酸化水素を含むpH4.0のクエン酸緩衝液(KPL,Gaithersburg,MD)中の0.3mg/mlの2,2’-アジノ-ビス-(3-エチル-ベンチアゾリン-6-スルホン酸を含む基質溶液で現像した。O35E株の全バクテリアを陽性対照として加えた。試験したバクテリアの最高濃度は光学密度A550 = 1.0を有していた。図7に示すバクテリアデータの横軸は、バクテリア懸濁液を3倍希釈した値をプロットしたものである。結果UspA1およびUspA2の精製本発明者らは、M. catarrhalisのペレットからUspA2を抽出・精製するための大スケール、高収率プロセスを開発した。その方法は3つの重要なステップで構成される。最初にpH8.0、0.03M THTでバクテリアからUspA2タンパク質を抽出した。2番目に細胞抽出液をTMAEカラムに添加し、UspA2タンパク質をNaClで溶出した。最後に、TMAEクロマトグラフィーからの濃縮液分画をセラミックヒドロキシアパタイトカラムに添加し、UspA2をNaPO4直線勾配で溶出した。典型的な例では、約400g湿重量のM. catarrhalis O35E株細胞から収量250mgの精製UspA2が得られた。SDS-PAGEゲルでCoomassieブルー染色によりUspA2の単一バンドが認められたが、それは約240,000の分子量に相当し、走査デンシトメトリーにより95%以上のタンパク質を含んでいることが分かった(図6A)。調製したUspA2中に分子量約125,000の位置に17C7 MAbと反応する2番目のバンドがウエスタンブロットで検出されたが、Coomassieブルー染色では検出されなかった(図6C)。この高収率を達成するために細胞を溶菌する必要はなかったが、それはこのタンパク質がバクテリア表面に大量に存在することを示唆している。UspA1の精製方法も開発した。このタンパク質は最初の抽出およびTMAEクロマトグラフィー工程でUspA2と一緒に精製された。しかしながらヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー後に、UspA1はカラムに結合したままであり、500mMNaPO4のより高い塩濃度で溶出しなければならなかった。この工程で得られる粗UspA1を再度カラムに添加し、ヒドロキシアパタイトカラムから燐酸ナトリウム直線勾配で溶出した。湿重量約1.6kgのM. catarrhalis O35E株細胞から全体で80mgの精製UspA1が単離された。この方法で精製したUspA1は、試料調製の方法によってSDS-PAGE上の異なった3つの分子量に泳動した。過熱しない試料は分子量約280、000に単一バンドを示したが、100℃で3分間加熱した試料は見掛けの分子量が約350,000に移動した。100℃でさらに長く加熱すると、分子量350、000のバンドは分子量約100,000に移動した(図6B)。試料を100℃で7分間加熱後、Coomassieブルー染色ゲルの走査デンシトメトリーによると分子量100,000のバンドは95%以上のタンパク質を含んでいた。それに対し、SDS-PAGEで測定すると加熱時間に関わらずUspA2は分子量240,000に泳動した。異なった泳動挙動は、調製した試料が2種の明白に異なったタンパク質を含むことを示唆した。分子量測定 70%(v/v)アセトニトリル水溶液および0.1%TFA存在下の3,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシ桂皮酸を用いる、UspA2の分子量測定のためのMALDI-TOFマススペクトル分析の結果、平均分子量59,518Daの優勢分子種が同定された。予想される[M+H]+および[M+2H]+分子イオンに加えて、[2M+H]+および[3M+H]+も観察された。後者の2種のイオンは2量体および3量体種である。同様な条件を用いた場合、本発明者らはUspA1の分子量を測定することはできなかった。溶液中の精製タンパク質の分子量を測定するため、UspA1およびUspA2を別々に分子量標準で補正したSuperose-6 HR 10/30ゲル濾過カラム(最適分離範囲:5,000〜5,000,000)にかけた。精製UspA1は無変性分子量1,150,000を、UspA2葉分子量830,000を示した。しかしながら、これらの分子量はTX-100の存在に影響されている可能性がある。内部UspA1およびUspA2のN-末端配列の解析UspA1およびUspA2双方のN-末端配列を決定する全ての試みは成功しなかった。配列は全く決定できなかった。これは二つのことを示唆する。まず、双方のタンパク質のN-末端はブロックされており、第二に、タンパク質試料にはN-末端がブロックされない不純物タンパク質を含んでいない。従って、精製UspA1およびUspA2の一次配列が、それぞれの遺伝子配列から推察される配列に対応することを確認するため、内部ペプチドフラグメントを生成し、N-末端配列解析に用いた。表XとXIはUspA1およびUspA2タンパク質の消化で生成したフラグメントから得られたN-末端配列をそれぞれ示す。各遺伝子配列から推論される一次アミノ酸配列にマッチする配列が、各フラグメント毎に示される。UspA2フラグメント#3および#4は、UspA1遺伝子から推論されるアミノ酸配列それぞれの残基505-515および605-614と配列の類似性を示した。表XIIで、UspA1フラグメント#3は、UspA2一次配列の残基#278-194と配列の類似性を示した。これらの配列は、93%の配列同一性を有するUspA1およびUspA2に対応する。しかしながら、配列の残りの部分はそれぞれのタンパク質に固有のものであった。 MAbのUspA1およびUspA2との反応性精製UspA1およびUspA2のウエスタン ブロット解析から、双方のタンパク質はHelminenら(1994年)が報告したMAb 17C7と強く反応することが分かった(図7)。タンパク質のMAbとの反応性を検討した。表XIIのデータは、ELISAまたはウエスタン ブロットによる分析いづれでも、MAb 13-1、29-31および45-2はUspA2とのみ反応し、MAb 7D7、29C6、11A6および12D5はUspA1とのみ反応するが、17C7および6-3はUspA1およびUspA2の双方と反応することを示す。表XIIIに示される全てのMAbはELISAで調べるとバクテリア全体に結合する。これらの結果は、UspA2がバクテリアの表面に露出していることを示す。 免疫原性と抗体交差反応性 精製UspA1およびUspA2に対する抗血清をマウス中に誘導した。抗原特異性抗体(IgGおよびIgM)の力価、およびこれらの血清中の交差反応性抗体を、それぞれの精製タンパク質を用いてELISA分析により測定した(表XIII)。両方のタンパク質は、異種タンパク質に対するよりも大きい、それ自身に対する抗体力価を示した。従って、MAbの反応性(表XII)とポリクローン抗体の反応性は、タンパク質が共通および非共通B細胞エピトープを有することを示している。バクテリア細胞全体に対する抗体反応性と殺菌活性 UspA1およびUspA2に対する抗体を、同種35E株および数種の異種単離株に対する全細胞ELISAで分析した(表XIV)。UspA1およびUspA2に対する抗体は、O35E株と最も強く反応した。異種単離株に対する血清の反応性は、それらがUspA1およびUspA2の双方により誘発された抗体を結合していることを示した。 UspA1およびUspA2に対する抗血清の殺菌活性を、O35Eおよび他の単離株に対して測定した(表XIV)。双方の血清はO35Eに対し400〜800の範囲の殺菌力価を有していた。抗CRM197血清、陰性対照および免疫前に採血した血清は、全ての株に対し100以下の力価を有していた。これらの結果は、2種のタンパク質に共通のエピトープは単離株間で高度に保存され、これらの単離株に対する抗体が殺菌性であるという、以前の観察結果と一致した。 肺チャレンジ 免疫マウスに同種O35E株または異種TTA24株で肺チャレンジを行った。CRM197で免疫した対照マウスと比較して、マウスがUspA1またはUspA2いずれで免疫されたかに係わらず、双方の株のクリアランスが促進されたことが観察された(表XV)。UspA1およびUspA2で免疫されたマウスのグループ間で統計的な差は見られなかった(p > 0.05)。 精製タンパク質とHEp-2細胞との相互作用 精製UspA1およびUspA2を、ELISAを用いて96ウエルプレート中のHEp-2細胞単層との相互作用能につき試験した。HEp-2細胞に結合するタンパク質を、マウス抗血清とUspA1およびUspA2との1:1混合物で検出した。精製UspA2は約10ngの濃度でHEp-2と結合した。100ng以上の濃度でUspA2による弱い結合が検出された(図7)。 HEp-2細胞に対するO35Eの付着を陽性対照として使用した。この結果、プラス抗UspA1抗体がバクテリアのHEp2細胞に対する付着を阻害したというデータは、UspA1がバクテリア付着に重要な役割を果たすことを示唆すると同時に、UspA1がバクテリア表面に露出していることを示唆する。 精製タンパク質とフィブロネクチンおよびビトロネクチンとの相互作用 ドットブロット分析により、精製タンパク質のフィブロネクチンおよびビトロネクチンとの相互作用能について分析した。ニトロセルロース膜上に固定化したヒト血漿フィブロネクチンは、精製UspA1を結合するがUspA2を結合せず(図8)、一方、ニトロセルロース膜上に固定化したUspA2はビトロネクチンを結合することが可能であった(図8)。UspA1によるビトロネクチンの結合も検出されたが、反応性は微弱であった。コラーゲン(タイプIV)、ブタムシン(タイプIII)、フェツインおよびヘパリンも精製UspA1およびUspA2との相互作用につき試験したが、これらは検出し得る結合を示さなかった。考察以前のUspAを精製する試みでは、SDS-PAGEおよびウエスタン ブロットによる多重高分子量タンパク質バンドを含む試料が得られた。各バンドは”UspA特異的”MAb 17C7と反応するので、それらは多様な形のUspAタンパク質を現すと考えられた(Chenら、1996年)。しかしながら、本発明者らは、17C7 MAbで認識されるエピトープを共有する2種の異なったタンパク質UspA1およびUspA2が存在することを発見した。これらの2種のタンパク質は異なった遺伝子でコードされる。本研究は、UspA1およびUspA2が相互に分離し得ることを示すものである。単離されたタンパク質は異なったSDS-PAGE移動度特性、モノクローナル抗体セットとの異なった反応性、および異なった内部ペプチド配列を有していた。しかしながらその結果は、MAb 17C7エピトープを含むペプチド配列を共有するタンパク質と一致した。タンパク質の相互分離により、本発明者らはタンパク質がどのように異なるかをさらに示し、またそれらの生物化学的、機能的および免疫学的特性を調べることができた。溶液中では、精製タンパク質は強い非共有結合力により保持された、それぞれのサブユニットのホモポリマーである様に思われる。このことは、UspA2にシステインがなく、双方のタンパク質を還元剤で処理してもSDS-PAGEにおける移動度が変わらないという事実により示される。双方の遺伝子配列は、コイル−コイル相互作用を仲介し得るロイシンジッパーモチーフを有する(O’Sheaら、1991年)。そうであっても、双方のタンパク質の非共有結合が、SDS-PAGE用の試料を調製するために通常用いられる条件のみならず、高濃度の尿素(KlingmanおよびMurphy、1994年)やグアニジン塩酸塩等のカオトロピック試薬による解離に抵抗できるほど強いことは驚くべきことであった。2種のタンパク質のうち、UspA2はより緩く凝集しているように思われ、このことはその59,500Daサブユニットの分子量がマススペクトロメトリーで測定されたことで示される。しかしながらUspA1は試みた全ての方法による解離に抵抗性が有り、このことがその分子量をマススペクトロメトリーで測定できなかった理由であると思われる。SDS-PAGEで主成分であるUspA2は見かけ分子量240、000で泳動し、一方、はるかに少ない部分が分子量約125、000で泳動しウエスタン 分析でのみ検出できた。しかしながらUspA1の移動度は試料を加熱した時間によって変化した。最小の形の分子量は約100,000であった。これはuspA1突然変異体から失われた遺伝子産物の分子量に一致するが、88,000Daの遺伝子配列から予想される分子量とは一致しない。溶液中では、双方のタンパク質はSDS-PAGEで観察されるよりは大きい凝集体を形成していた。ゲル濾過クロマトグラフィーで測定したその分子量は、UspA1およびUspA2それぞれで1,150,000および830,000であった。タンパク質が生体内でこの様に振舞うとすれば、UspA1およびUspA2はバクテリアの表面で巨大分子複合体として存在している可能性がある。UspA1およびUspA2に由来するペプチドののN-末端アミノ酸配列解析の結果(表XおよびXI)は、対応する遺伝子配列に由来するタンパク質配列と一致する。このことは、精製UspA1およびUspA2タンパク質がそれぞれのuspA1およびuspA2遺伝子の産物であることを確認するものである。さらに、タンパク質の分子量とアミノ酸測定の精度が与えられれば、UspA1およびUspA2の実験的アミノ酸組成と理論的アミノ酸組成は一致した。しかしながら、マススペクトロメトリーで測定した分子量59,518と、UspA2に対する遺伝子配列から示される分子量62,483の間には差がある。この差違は、このタンパク質が翻訳後に加工されているか、プロテアーゼ分解されていることを示唆する。データはまた、双方のタンパク質がバクテリア表面に露出していることを示唆する。少なくともタンパク質の一つが露出していることは、MAb 17C7とポリクローン血清が細胞全体と反応するという事実から明らかである。UspA2特異性モノクローン抗体13-1、29-31および45-2とバクテリア細胞との、全細胞ELISAにおける反応性は、UspA2が表面タンパク質であるという事実を提供した(表XII)。UspA1特異性MAb 7D7、29C6、11A6および12D5とバクテリア細胞との、全細胞ELISAにおける反応性は、UspA1が表面タンパク質であるという事実を提供した(表XII)。UspA1が表面に露出していることの別な証拠は、バクテリアのHEp-2細胞への付着に対する抗血清の阻害効果でも示される。抗UspA2血清にはこの効果はない。従って、UspA1とUspA2の双方はバクテリアの表面に露出している様に思われる。タンパク質の表面露出は、二つのタンパク質の機能にとって多分重要である。UspA1の一つの機能は、ホスト組織への付着を媒介することであると思われる。これに対する証拠は、UspA1抗体がHEp-2へのバクテリアの結合を阻害し、精製タンパク質自体は細胞に結合することである。HEp-2細胞は、通常M. catarrhalisコロニーを形成する部位である喉頭由来の上皮細胞であることから(Schalenら、1992年)、HEp-2細胞へ結合することは妥当である。このことは、UspA1を発現しない突然変異体が上皮細胞に結合しないという本発明者らの知見を確認するものである。本発明者らはまた、UspA1がフィブロネクチンを結合することを発見した。フィブロネクチンは他の病原体に対するホスト受容体であると報告されている(LjunghおよびWadstrom、1995年;WesterlundおよびKorhonen、1993年)。しかしながら、遺伝子配列の研究からは、グラム陽性菌で報告されているフィブロネクチン結合モチーフとの類似性は明らかにならなかった(WesterlundおよびKorhonen、1993年)。従って、UspA1は多分、細胞関連フィブロネクチン経由のホスト付着にある役割を果たすことは明らかである。UspA2の機能ははっきりしない。抗UspA2抗体はHEp-2またはChang細胞株への付着をブロックせず、精製タンパク質もこれらの細胞に結合しなかった。しかし、UspA2はビトロネクチンを強く結合する。ビトロネクチンの病原体結合はホスト細胞付着と関連している(Gomez-Duarteら、1997年;Limperら、1993年)が、Dijkおよび共同研究者らは、M. catarrhalisによるビトロネクチン結合が、バクテリアがホストの防禦に打ち勝つ(Verdiunら、1994年)ために利用されている事を報告している。補体因子Sとして知られるビトロネクチンの可溶形は、膜攻撃複合体形成を制御する(Su、1996年)。彼らは、ビトロネクチンのM. catarrhalis表面への結合が膜攻撃複合体の形成を阻害し、バクテリアを血清の補体依存性殺菌活性に耐性にするということを示唆している。彼らはまた、2種のヒトからの単離株を記載している。その一つはビトロネクチンを結合し血清の溶菌活性に耐性であり、もう一方はビトロネクチンを結合せず血清感受性である(Holら、1993年)。しかしながら、すべての細胞外マトリックスタンパク質と同様、ビトロネクチンは多様な形態を有しホストにおいて複数の機能を果たす(Preissner、1991年;Seiffert、1997年)。従って、UspA1およびUspA2双方と、細胞外マトリックスタンパク質であるフィブロネクチンおよびビトロネクチンとの相互作用は、バクテリアにとってはホストの防禦に打ち勝つ手段となるか、バクテリア付着のための受容体としての役割を果たす。2種のタンパク質ではエピトープと配列が共通であるが、それらは異なった生化学的活性を有し、異なった生物学的機能を持っていると思われる。それぞれのタンパク質に対する免疫反応がその機能を妨害するならば、それはワクチンの候補として考えることができる。マウスにおける免疫学的研究の結果は、双方のタンパク質が良いワクチン候補となるであろう事を示している。UspA1またはUspA2で免疫したマウスは、同種または異種バクテリア分離株に対し高い抗体力価を発現した。さらに、これらのマウス由来の血清は、試験した全ての分離株に対し補体依存性殺菌活性を有していた。さらに、免疫マウスでは同種分離株および異種分離株の肺クリアランスが増進していた。このタンパク質により誘導された抗体は、部分的に交差反応性であることに注目することは重要である。このことは、双方のタンパク質が17C7Mabと反応し、アミノ酸配列が共通であることからも予想される。タンパク質UspA1およびUspA2に対する子供および成人ヒト抗体のレベルおよび殺菌能力 M. catarrhalisのUspA1およびUspA2に対する先天性抗体をヒトが有するか、およびそれが有る場合、それらの抗体の生物学的活性を調べるため、様々な年齢の健康なヒト由来の血清をELISAおよび殺菌性分析の双方を用いて検討した。健康なヒトは血清中にUspA1およびUspA2に対する先天性抗体を有し、これらの抗体のレベルおよび殺菌能力は年齢に依存することが見出された。これらの結果はまた、UspA1およびUspA2に対する先天性抗体は生物学的機能を有することが示され、従ってM. catarrhalis病を予防するワクチンの候補としてそれらを使用することを支持するものである。材料と方法バクテリア M. catarrhalis株O35EおよびTTA24は実施例Iに記載の通りである。ATCC株(ATCC 25238)および本発明者のコレクション由来の他の実験室単離株も使用した。ヒト血清 58の血清試料を、通常の幼児免疫を経験した年齢2、4、6、7、15および18ヶ月の10名の幼児グループから採集した。26名の成人および年齢18〜36ヶ月の15名の幼児由来の血清も分析した。血清は全て、臨床的に健康な個人から得た。M. catarrhalisコロニー化および上記被験者の感染に関する情報は取得しなかった。血清を−70℃で保存した。UspA1およびUspA2の精製本明細書の実施例IVの記載の通り、精製UspA1および精製UspA2はM. catarrhalisのO35E株より作成した。Coomassieブルー染色SDS−PAGEのデンシトメトリー走査によると、各タンパク質試料は95%以上の特定タンパク質を含んでいた。モノクローン抗体を用いるウエスタンブロット分析によると、それぞれの精製タンパク質には検出し得る他の不純物はなかった。ヒト血漿からUspA1およびUspA2特異性抗体の精製 2名の健康な成人由来のヒト血漿をアメリカ赤十字(Rochester、N.Y.)から入手し、プールした。硫酸アンモニウムを50%飽和まで加えて抗体を沈殿させた。沈殿物を遠心分離で集め、PBSに対して透析した。ニトロセルロース膜を、0.1%(v/v)Triton Xを含むPBS中の0.5mg/mlのUspA1およびUspA2と、室温で1時間インキュベートし、PBSで2回洗浄し、膜上に残る結合部位をPBS中の5%(wt/vol)乾燥ミルクと室温で2時間インキュベートしてブロックした。次いで膜をPBSで2回、100mMグリシン、最後にPBSで順番に洗浄し、その後透析した抗体試料とインキュベートした。4℃で4時間インキュベート後、膜を再びPBS、次いで1M塩化ナトリウムを含む10mM Tris緩衝液(pH 8.0)で洗浄し非特異性タンパク質を除去した。振とうしながら5mlの100mMグリシン(pH 2.5)と2分間インキュベートし、結合した抗体を溶出した。溶出液に1mlのTris-HCl(1 M、pH 8.0)を直ちに加え、pHを中和した。溶出した抗体をPBSに対して透析し、−20℃で保存した。酵素結合免疫吸収分析(ELISA) O35Eおよび他のM. catarrhalis株に対する力価を、ビオチン標識ウサギ抗ヒトIgGまたはIgA抗体(Brookwood Biochemical、Birmingham、Alabama)(Chenら、1996年)を用いる全細胞ELISAで測定した。プレートをウエル当たり100μgのPBS中の0.1μgの精製タンパク質で室温で被覆した以外は同様な方法で、UspA1およびUspA2に対する抗体力価を測定した。UspA1およびUspA2に対するIgGサブクラス抗体を、アルカリホスファターゼ結合ヒツジ抗ヒトIgGサブクラス抗体(The Binding Site Ltd.、San Diego、Calif.)を用いて測定した。対照の3倍以上のA415を与える最高血清希釈率として抗体終了点力価を定義した。対照ウエルにはヒト血清を除く全ての処置を施したが、通常0.03〜0.06の範囲の吸光度を有していた。ビオチン標識ウサギ抗ヒトIgGおよびIgA抗体の特異性を、精製ヒトIgG、IgMおよびIgA(Pierce、Rockford、IL)に対しELISAで測定した。交差反応性は見出されなかった。ELISAにおける適当なアイソタイプの精製ヒト抗体に対しする試験で測定した分析感度は、IgGおよびIgA分析でそれぞれ15および60ng/mlであった。同様に、ヒトサブクラス抗体分析の特異性を、精製ヒトミエローマIgGサブクラスタンパク質(ICN Biomedicals、Inc.、Irvine、CA)に対するELISAで確認し、分析感度はIgG1、IgG3およびIgG4分析で15 ng/ml、IgG2分析で120 ng/mlであった。分析間の変動を制御するため、二つの対照血清を含めた。補体依存性殺菌性分析 ヒト血清の殺菌性分析を先の記載通り測定した(Chenら、1996年)。ある実験では、分析に先立ち血清を精製UspA1およびUspA2で吸収させた。これらの血清から特異性抗体の吸収は、精製タンパク質を最終濃度20または50μg/mlで添加して行われた。最終血清希釈率は1:10であった。混合物を4℃出2時間インキュベートし、沈殿物をミクロ遠心分離で除去した。UspA1およびUspA2特異性精製ヒト抗体を同様な方法で5種のM. catarrhalis株に対して分析した。統計処理 JMPソフトウエア(SAS Institute、Cary、N.C.)を用い、対数変換力価につき統計的解析を行った。変換を行うため、最低血清希釈率の1/2の値を検出不能の力価を含む血清に割り当てた。各年齢グループ間のIgGレベルの比較を分散解析で行い、抗体力価と殺菌力価の関係をロジスティック回帰法で決定した。0.05以下のp値を有意とみなした。結果幼児および成人における血清IgGおよびIgA力価とUspA1およびUspA2の比較 年齢2〜18ヶ月の間で年齢別に採集した10名の幼児由来、および年齢18〜36ヶ月の幼児および26名の成人由来の無差別の試料の血清中のIgGおよびIgA力価を、O35E株のバクテリア全体の細胞、精製UspA1および精製UspA2に対して測定した。3種の抗体全てに対するIgG力価が、ほとんどすべての血清で検出された(図9)。UspA1およびUspA2に対するIgG力価は、O35Eバクテリアに対するIgG力価と比較すると強い年齢に依存する変動を示した(図9)。成人の血清は、様々な年齢グループの血清よりかなり高いIgG力価を有していた(p < 0.01)。年齢6〜7ヶ月の幼児由来の血清はUspAタンパク質に対し最低の力価を有し、この年齢の平均力価は年齢2ヶ月のそれよりかなり低かった(p < 0.05)。UspA1、UspA2およびO35Eバクテリア細胞に対するIgA抗体のレベルは年齢に依存した(図9)。UspA1およびUspA2に対する血清IgA力価は、26名の成人すべて、および年齢18〜36ヶ月の幼児で検出された。年齢18ヶ月以下の幼児では、抗原特異性力価を示す割合は年齢と共に増加した。これらの血清中のUspA1、UspA2およびO35Eバクテリアに対する平均IgA力価は最初の7ヶ月では低いが、その後次第に増加した(図9)。UspA1およびUspA2に対するIgG抗体の年齢に依存するサブクラスの分布 UspA1およびUspA2抗原に対するIgGサブクラス力価を、10名の成人血清および35名の幼児血清由来の血清について測定した。サブクラスの分布は年齢に 依存することが分かった。UspA1およびUspA2抗原に対する最も多い抗原は、IgG1およびIgG3サブクラスであり、ほとんどすべての血清で検出された。IgG2およびIgG4の力価は検出不能であるか、極度に低かった。従って、IgG1およびIgG3に関するデータのみを報告する(図10)。成人の血清中のUspA1およびUspA2に対するIgG3の力価は、IgG1力価よりかなり低かった(p < 0.05)。年齢2ヶ月の幼児由来の血清中にも同じサブクラスプロフィルが見られたが、多分試料の量が少なかったため、IgG1力価とIgG3力価は統計的に有意な差とならなかった。年齢4〜36ヶ月の幼児由来の血清はすべて、類似のプロフィルを有し、それは成人および年齢2ヶ月の幼児のプロフィルとは異なっていた。幼児の血清中のIgG1力価は、IgG3力価より高いか、それと同等であった。これらの幼児の血清中でUspA1およびUspA2に対する平均IgG1力価は、同じ抗原に対するIgG3力価よりかなり高かった(p < 0.05)。殺菌活性 異なった年齢グループを代表する17の血清の殺菌活性を測定した(表XVI)。UspAタンパク質に対する高いIgG力価を有する全ての成人血清、および年齢2ヶ月の幼児の5個のうち3個の血清は、強い殺菌活性を持っていた。6ヶ月の幼児の血清は、最も少ない細菌活性を持っていた。この年齢グループの5個の血清はすべて、例外的に殺菌力価50を有していたが、これは分析した最低の希釈率である。年齢18〜36ヶ月の幼児由来の血清の殺菌活性は、50〜500の範囲で非常に変動した。ロジスティック回帰解析によると、殺菌力価とUspA1およびUspA2に対するIgG抗体力価との間には有意の直線関係があった(p < 0.01)(図11)。精製UspA1およびUspA2に吸収される血清の殺菌活性ウエスタンブロットで示される様に、正常ヒト血清はM. catarrhalisの多数の抗原に対する抗体を含んでいるので、殺菌活性に対するUspA1およびUspA2特異性抗体の寄与を測定するため吸収法を用いた。6個の成人血清を精製UspA1およびUspA2に吸収し、UspAタンパク質に対するELISA反応性の変化を測定した。ELISA反応性の減少が、吸収後の全ての血清で見られた(表XVII)。さらに、一つのタンパク質の吸収により、他のタンパク質に対するIgG力価が減少する結果となった。UspA2反応性の減少は、吸収体がUspA1であるかUspA2であるかに関わらず同じ程度であった。反対に、UspA2で吸収した後のUspA1反応性の減少は、UspA1で吸収した場合よりも少なかった(表XVII)。このことはUspA1およびUspA2に対する抗体が部分的に交差反応性であることを示した。吸収血清の殺菌力価を測定し、吸収前の値と比較した(表XVIII)。精製タンパク質が生成した株であるO35E株に対する活性を測定すると、UspA1またはUspA2による吸収により、6個の血清すべてで殺菌活性(<50)が完全に失われた(表XVIII)。吸収血清の殺菌活性はまた、異種株1230-359に対する活性を測定すると、すくなくとも3倍減少した。UspA2を用いる吸収と比べると、UspA1を用いる吸収では6個の試料中3個で異種株に対する殺菌力価の減少が大きかった(表XVIII)。この結果は、2種のタンパク質で吸収後のUspA1に対するELISA力価の減少の差と一致していた。UspA1およびUspA2を組み合せたタンパク質を用いる吸収では、UspA1のみを用いた場合に比べ殺菌活性がそれ以上減少しない結果となった。ウエスタンブロット分析で測定すると、6個のヒト血清はM. catarrhalis由来の抗74 kDa OMP抗体を含み、精製74 kDa OMPタンパク質を用いる吸収では、O35E株または1230-357株の殺菌活性に影響はなかった。このことは、抗UspAタンパク質抗体がM. catarrhalisに対する殺菌活性の主な原因であることを示した。幼児の血清は少量しか得られなかったので、これらの血清の吸収はUspA1とUspA2の混合物を用いて行った。吸収の結果、7個の血清のうち4個で殺菌活性が完全に失われるか、相当程度減少した(表XIX)。年齢2ヶ月の幼児のうち3名のものを含む4個の血清はすべて、吸収前は200以上の初期殺菌力価を有していた。吸収による殺菌力価の変化を示さなかったその他の3個の血清はすべて、吸収前は例外的な力価である50であった。吸収後のUspAタンパク質に対するELISA反応性の減少から、抗体濃度が減少したことが確認された。このことは、幼児の血清中でUspA1およびUspA2タンパク質に対し特異的な抗体も、M. catarrhalisに対する殺菌活性の主な原因であることを示唆した。アフィニティー精製抗UspA1および抗UspA2抗体交差反応性と殺菌活性を確認するため、成人血漿由来の抗Uspa1および抗UspA2抗体をアフィニティー精製法で単離した。精製抗体はウエスタンブロット分析でUspA1およびUspA2タンパク質と特異的に反応したが、O35E溶菌物中の非UspAタンパク質とは反応しなかった。ELISAで一方のタンパク質に対する精製抗体は他方のタンパク質とほとんど同じ力価で反応した(表XX)。全細胞ELISAおよび殺菌性分析で、双方の抗体試料は5種のM. catarrhalis株との反応性を示した(表XXI)。5種のM. catarrhalis株に対する殺菌力価は400〜800の範囲であり、精製抗体試料における0.25〜0.50μg/mlのタンパク質と等価であった(表XXI)。考察M. catarrhalis全細胞あるいは外側膜タンパク質に対するヒト抗体を検討したこれまでの試験は、通常単一年齢群を対象としていた。さらに、抗体の生物学的機能は大部分が明らかにされないままであり(Chapmanら、1985)、機能抗体を誘発する抗原は同定されていなかった。たとえば、これらの過去の試験は、M. catarrhalis病に対する防御において自然獲得抗体が果たす役割について情報を提供しておらず、またどのような抗原がワクチン開発に適するかに関しても明確な情報を与えていない。今回の試験からのデータは、UspA1とUspA2に対するIgG抗体が正常なヒト血清中に存在し、そのレベルは年齢依存的であることを示している。これらの抗体は小児および成人における血清殺菌活性の重要なソースである。 これらのデータは、ほとんどの小児が、そのレベルは個人によって異なるが、生後2ヵ月でUspA1とUspA2の両方に対する血清IgG抗体を有しており、これらの小児血清におけるIgGサブクラスのプロフィールは成人血清におけるものと同様であることを明らかにした。小児の血清は殺菌活性を有していた。吸収試験で、これらの血清中の殺菌抗体の大半がUspA1とUspA2タンパク質を対象とするものであることが示唆された。これらの結果は、生後2ヵ月の小児で検出されるIgG抗体が母親由来のものであることを示唆する。これは、臍帯血清がM. catarrhalis全細胞の抽出物に対して高い力価の抗体を含むという報告と一致する(Ejlertsenら、1994b)。 試験の被験者に関する臨床情報が欠如していることと、この試験で検討された被験者数が少ないことにより、UspAに対する母性抗体が、in vitroでは殺菌性であるが、幼児において防御的であるかどうかを判定することはできなかった。しかし、生後2ヵ月で小児はUspAタンパク質に対して有意に高い血清IgG力価を有しており、これらの小児のうち数名だけが、生後15‐18ヵ月の小児と比較して低いレベルのM. catarrhalisに対するIgA抗体を有していた。血清IgAが細菌に対する事前の粘膜接触を反映しているとすれば、小児の大半が生後数か月間はM. catarrhalisに感染していない。その理由のひとつは、幼児において存在する母性抗体がこの年齢での感染から幼児を防御していることであろう。これは、幼児はほとんどこの細菌を保有しておらず、生後数ヵ月間はM. catarrhalis病を発症しないという所見と一致する(Ejlertsenら、1994a)。 母性抗体が減衰すると共に小児はM. catarrhalis感染を起こしやすくなると考えられる。この試験では、生後6‐7ヵ月の小児からの血清がUspAタンパク質に対して最も低いレベルのIgG抗体を有しており、M. catarrhalisの全細胞に対してかろうじて検出可能な殺菌性力価を示した。生後15ヵ月まではほとんどすべての小児がUspAタンパク質に対する血清IgA抗体を有しており、IgA抗体のレベルは、IgG抗体のレベルおよび殺菌活性と共に、生後6‐7ヵ月の小児と比較して有意に高かった。このことは、これらの小児が当該細菌に接触したことがあり、抗体反応を組み込まれていることを示唆するものであった。生後18‐36ヵ月の小児群からの15の血清すべてがUspAタンパク質に対するIgGおよびIgA力価を有しており、その殺菌性力価には大きな変動があった。より年齢の高い小児の血清中のUspA特異的IgG抗体は、生後2ヵ月の小児からの抗体とは異なる特性を有していた。まず第一に、年齢の高い小児の血清ではIgG1抗体の力価がIgG3力価よりも有意に高く、生後2ヵ月の小児についてはこれが逆であった(図10)。第二に、生後2ヵ月の小児からの血清の大部分が殺菌活性を有していたのに対し、生後6ヵ月以上の小児からの血清では殺菌活性は辛うじて検出可能なレベルであった。生後6‐36ヵ月の小児において認められる低い抗体レベルと低い血清殺菌活性は、この年齢群の小児のコロニー形成率が最も高く、M. catarrhalis病の発生率も最も高いという疫学的所見と一致する(Bluestone、1986;Ejlertsenら、1994b;Leinonenら、1981;Roittら、1985;RuuskanenとHeikkinen、1994;Sethiら、1995;Teeleら、1989)。 通常はM. catarrhalis感染に対して耐性な個体群である成人は(Catlin、1990;Ejlertsenら、1994a)、一貫して小児よりも高いレベルのUspAタンパク質に対するIgG抗体ならびに血清殺菌活性を持つことが認められた。免疫グロブリンを除去した血清は殺菌活性を持たないので(Chenら、1996)、成人血清の殺菌活性は明らかに抗体が媒介しており、成人血漿から精製した抗体は補体依存性の殺菌活性を示した。単一分離株からのUspA1あるいはUspA2を用いてヒト血清から精製した抗体は多数の菌株に対して死滅作用を示した。この結果は、ヒトが自然感染に応答して、UspAタンパク質の保存されたエピトープへの殺菌性抗体を発現したことを示唆する。 すべての成人サンプルにおいて、IgG抗体は主としてIgG1とIgG3サブクラスであり、IgG3がより高かった。これは、IgG3サブクラスが成人と4歳以上の小児におけるM. catarrhalisに対する免疫応答の主要成分であり、この年齢以下の幼児においてはそうではないという以前の報告と一致する(Carsonら、1994;Goldblattら、1990)。ヒトにおける4つのIgGサブクラスのうちで、IgG3は血清中の総免疫グロブリンのマイナーな成分を構成するにすぎない。しかし、IgG3抗体は、補体依存性死滅とオプソニン食菌作用の両方による細菌の排除を導く古典的補体経路の最初の段階である、C1qと相互作用する最も高い親和性を持つ(Roittら、1985)。IgG3抗体は効率的に胎盤に移行されるので、小児にも防御免疫を与えると考えられる。この試験からのデータは、UspAタンパク質に対するIgG3抗体が自然感染への免疫応答の重要な成分であり、in vitroで生物活性を持つことを示している。 試験被験者についてM. catarrhalis感染に関する臨床情報が収集されなかったので、UspA1あるいはUspA2に対する抗体がどのようにして誘発されたかは不明である。モルモットにおいてUspAタンパク質に対して形成される抗体を、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、大腸菌(Escherichia coli)およびタイプ分けできないインフルエンザ菌(Haemophilis influenzae)を含めた他の細菌種との反応性に関してウエスタンブロット法によって試験すると、反応性は検出されなかった。これは、M. catarrhalisのUspA抗原に対する特異的応答として抗体が誘発されたことを示唆している。このことは、ヒト個体群におけるこの細菌の高いコロニー形成率と風土病的性格に一致する。2つのUspAタンパク質に対するアフィニティー精製抗体は交叉反応性であるので、ヒト抗体がひとつのタンパク質によって誘発されたか両方のタンパク質によって誘発されたかは判定できなかった。これら2つのタンパク質間の共有配列が殺菌抗体の主要な標的であることは明らかであると思われた。 要するに、この試験は、年齢に関わりなくほとんどすべてのヒトにおいて2つのUspA蛋白に対する抗体が存在することを明らかにした。しかし、これらの抗体の全体的なレベルおよびサブクラスの分布は年齢依存性であった。UspA1とUspA2に対するIgG抗体は交叉反応性であり、成人における血清殺菌活性の主要なソースである。これらの抗体と血清殺菌活性のレベルは、M. catarrhalisに対する年齢依存的耐性と相関すると思われる。ヒトは、自然感染後UspA1とUspA2に加えて他の多くのM. catarrhalis抗原への抗体反応を生じるので、ひとつあるいは両方のUspAタンパク質による免疫が感受性のある個体群において十分な防御をもたらすかどうかは不明のままである。オリゴ糖の担体としてのUspA2 肺炎球菌糖類の担体としてのUspA2 この試験は、UspA2が肺炎球菌糖類のための担体として使用できることを示すものである。七価の肺炎球菌多糖類を還元的アミノ化によってUspA2に結合した。スイスウェブスターマウスを0週目と4週目に免疫し、6週目に最終血液を採取した。各々のマウスは、アジュバントとしてのリン酸アルミニウムと共に1回当り1μgの糖質を腹腔内に皮下注射して(s.c.)免疫した。1つの群のマウスは、対照としてPP7F‐CRM複合体で免疫した。6週目の血液からの血清に関するデータを表XXII、表XXIIIおよび表XXIVに示す。複合体は、多糖類に対する抗体とM. catarrhalisに対する殺菌抗体の両方を誘発した。これらの結果は、UspA2がこの肺炎球菌糖類に対する抗体を誘発するための担体として用いることができ、UspA2に対するその免疫原性を保持しうることを示している。 Haemophilus bオリゴ糖類担体としてのUspA2この試験は、UspA2がb型インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)オリゴ糖類(HbO)の担体として使用できることを示すものである。0.1%トリトンX‐100の存在下で水性還元的アミノ化によりHbOサンプル(平均DP=24)をUspA2に複合した。HbO対UspA2の比率は重量で2:1であった。3日間35℃で複合を進行させ、アミコン100Kカットオフ膜を用いて複合体を濾過した。複合体の比率(mg炭水化物/mg UspA2)は0.43:1であった。オルシノール検定によって炭水化物を定量し、ローリー法によってタンパク質を分析した。アミノ酸分析によってヒドロキシ‐エチルリシンの数を測定し、12.6であることを認めた。 スイス‐ウェブスターマウスを免疫することによって複合体の免疫原性を調べた。マウスを0週目と4週目に炭水化物1μgで2回免疫した。複合体に関してはアジュバントを使用しなかったが、UspA2についてはアジュバントを使用した。血清をプールし、力価を測定した。放射性抗原結合測定法(RABA)によるHbPSへの反応性は、HbOをCRM197に複合したときに見られるものと同様であった(表XXV)。同種M. catarrhalis分離株(O35E)への全細胞力価は、殺菌性力価と同じく(表XXVII)、非複合UspA2について認められるものと同様であった(表XXVI)。従って、代表的に0.10未満のRABA力価を誘発する炭水化物抗原をUspA2に複合すると、免疫原性になる。UspA2の突然変異型発現とマウス血清の感受性の結びつき 細菌がそれらに対する特異的抗体を持たない血清の存在下で死滅するとき、それを「血清感受性」と呼ぶ。M. catarrhalisの場合には、無傷のUspA2タンパク質を欠如した突然変異体が血清感受性であることが認められた。これらの突然変異体は、17C7モノクローナル抗体との反応性の欠如に基づき、ひとつ(O35E.1;分離株O35E.1、O35E.2およびO35E.12の説明については実施例IX参照)はUspA1を発現せず、ひとつ(O35E.2)はUspA2を発現せず、ひとつ(O35E.12)はどちらのタンパク質も発現しないように構築した。しかし、O35E.2とO35E.12は、精製UspA2でマウスを免疫して調製した抗体と反応する、より小さなトランケートされた形態のUspA2(tUspA2)を発現した。tUspA2は、ポリクローナル抗UspA2血清あるいはMAb 13‐1のいずれかを用いた細菌溶解産物のウエスタンブロット法において検出することができた。より小さな形態の大きさは、2つの突然変異体の構築に使用した遺伝子トランケーションと一致した。 免疫していないマウス血清、ヒト補体の1:5希釈液、および細菌懸濁液(約1000cfu)をマイクロタイタープレートのウエルで混合することにより、この殺菌能力を試験した。マウス血清は1:50と1:100の希釈で試験した。この細菌懸濁液の希釈液を寒天増殖培地に塗布して、生菌数を測定した。マウス血清を含まないサンプルと比較してcfuで50%未満の生菌が回収されたとき、死滅を有意とみなした。非免疫血清による死滅は、「完全な」UspA2を欠如した突然変異体に関してのみ認められた(表XXVIII)。MAb 17C7に結合するUspA1におけるデカペプチドエピトープの同定 M. catarrhalisの種々の菌株に関する試験とそれらのUspA1タンパク質配列から、全く同じではないにしても類似した特定エピトープ領域がすべての菌株中に存在し、ヒトにおける免疫原性反応の基礎を提供しているに違いないことは明らかであった。そのような免疫原性エピトープを同定するため、MAb 17C7の結合部位を含むことが知られているUspA1領域に広がるペプチドを調製し、それらがMAb 17C7と結合する能力に関して検査した。 特に、表XXIXと図12に示すように、誘導体化したセルロースから成る膜にN末端で結合したオーバーラップ合成デカペプチドをResearch Genetics Inc.(Huntsville、AL)から入手した。5%(w/v)脱脂粉乳を含むPBS‐トゥイーンで5回洗浄した後、膜をMAb 17C7(ハイブリドーマ培養上清の形態)と共に4℃で一晩インキュベートした。PBS‐トゥイーンで3回洗浄した後、106cpmの放射性ヨウ素標識した(比活性2×107cpm/μgタンパク質)、アフィニティー精製ヤギ抗マウス免疫グロブリンと共に静かに揺り動かしながら、膜を4℃で一晩インキュベートした。次に膜を前記のように洗浄し、X線フィルム(フジRX安全フィルム、Fuji Industries, Tokyo, Japan)に露光した。 オートラジオグラフ(図13)に示すドットブロット結果から、ペプチド13、YELAQQQDQH(配列番号:18)がMAb 17C7と至適結合を示し、ペプチド14(配列番号:85)がそれより低い至適結合を示すことは明らかである。この同じペプチド(配列番号:18)がUspA2中に存在し、両方のタンパク質がMAb 17C7に結合する理由が説明される。 興味深いことに、タンパク質12は結合を示さず、ペプチド15、16、19、22、23による結合はおそらく非特異的である。それ故、ペプチド12、13および14を比較すると、7‐mer AQQQDQH(配列番号:17)が、MAb 17C7がUspA1とUspA2に結合するために必須のエピトープであるとの結論に至る。この結論は、免疫原性エピトープは5個、6個あるいは7個程度のアミノ酸残基を含むであろうという現在の理解と一致する。M. catarrhalis菌株O35Eへの同遺伝子系uspA1およびuspA2突然変異体の表現型作用 実験材料および方法細菌株、プラスミドおよび増殖条件。この試験で使用した細菌株とプラスミドを表XXXに列挙する。M. catarrhalis菌株は、必要に応じてカナマイシン(20μg/ml)(Sigma Chemicals Co., St. Louis, MO)あるいはクロラムフェニコール(0.5μg/ml)(Sigma)を補足した95%空気‐5%CO2の大気中の脳‐心臓浸出物(BHI)寒天プレート(Difco Laboratories, Detroit, MI)上で、あるいはBHI肉汁中で、37℃で常套的に増殖させた。付着検定のためにM. catarrhalis細胞を増殖させるのに用いたBHI肉汁は濾過によって滅菌した。大腸菌(Escherichia coli)株は、必要に応じてアンピシリン(100μg/ml)、カナマイシン(30μg/ml)、あるいはクロラムフェニコール(30μg/ml)を補足したルリア‐ベルタニ(LB)寒天プレート(Maniatisら、1982)で培養した。 外側膜タンパク質の特性指摘。M. catarrhalis菌株の全細胞溶解産物と外側膜小胞を記述されているようにして(MurphyとLoeb、1989;Patrickら、1987)調製した。これらの試料中に存在するタンパク質をSDS‐PAGEによって分離し、クマシーブルーで染色して、あるいは記述されているように(Helminenら、1993a)ウエスタンブロット分析によって検出した。 モノクローナル抗体(Mab)。本文中の前記具体例で述べたように、M. catarrhalis菌株O35EからのUspA1およびUspA2の保存されたエピトープと反応するマウスIgG抗体、MAb 17C7を、これらのタンパク質の免疫学的検出に使用した。MAb 17C7は、ウエスタンブロット分析および間接抗体アクセシビリティ検定ではハイブリドーマ培養上清液の形態で使用した。軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)(Klesney‐Taitら、1997)の主要外側膜タンパク質に特異的なIgG MAbであるMAb 3F12を、間接抗体アクセシビリティ検定における陰性対照として使用した。 分子クローニング法。M. catarrhalis菌株O35Eの染色体DNAを、菌株O35E uspA1オープンリーディングフレームの起始部の直後(すなわち図14のP1)あるいはこのオープンリーディングフレームの末端の直後(すなわち図14のP2)のいずれかから誘導されるオリゴヌクレオチドプライマーと共に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCRTM)系におけるテンプレートとして使用した。これらのプライマーは、5’末端にBamHI制限部位を含むようにデザインした。これらのプライマーの配列は次の通りであった: P1‐5’‐CGGGATCCGTGAAGAAAAATGCCGCAGGT‐3’(配列番号:96); P2‐5’‐CGGGATCCCGTCGCAAGCCGATTG‐3’(配列番号:97)。PTC 100 Programmable Thermal Controller(MJ Research, Inc., Cambridge, MA)およびGeneAmp PCRTMキット(Roche Molecular Systems, Inc., Branchburg, NJ)を用いてDNA断片を増幅した。Qiaex Gel Extractionキット(Qiagen, Inc., Chadsworth, CA)を使用して0.7%アガロースゲル切片からPCRTM産物を抽出し、BamHI(New England Biolabs, Inc., Beverly, MA)で消化して、その後pBluescript II SK+(Stratagene, La Jolla, CA)のBamHI部位に連結した。ライゲーション反応は、T4 DNAリガーゼ(Gibco BRL, Inc., Gaithersburg, MD)を用いて16℃で一晩インキュベーションして実施した。コンピテント大腸菌DH5α細胞を標準熱ショック手法(Sambrookら、1989)に従ってライゲーション反応混合物で形質転換し、適当な抗菌化合物の存在下で培養して所望する組換え型を選択した。1.3kbのクロラムフェニコール(cat)耐性カートリッジをpUCΔECAT(Wyeth‐Lederle, Rochester, NY)から切り出して(BamHIを用いて)調製した。その後catカートリッジを、uspA1遺伝子からクローニングした断片の中央部に位置するBglII制限部位に連結し、コンピテント大腸菌DH5細胞の形質転換後、クロラムフェニコールを含む凝固媒質上での選択により組換え型クローンを同定した。 M. catarrhalisの形質転換。M. catarrhalis菌株O35Eの形質転換に使用した電気穿孔法は詳細に記述されている(Helminenら、1993b)。簡単に述べると、対数期肉汁培養物(109コロニー形成単位[cfu]/ml)の30ml部分標本を遠心分離にかけて分離し、蒸留水中10%(v/v)グリセロールで3回洗浄して、同溶液100μlに再懸濁した。これらの細胞の20μl部分標本に、0.15cmの距離から16.2kVの電界力を適用し、微小電気穿孔チェンバー(Cel‐Porator Electroporation system;Bethesda Research Laboratories, Gaithersburg, MD)において水5μl中の線形DNA(すなわち、catカートリッジを含むトランケートしたuspA1遺伝子)5μgで電気穿孔した。電気穿孔後、細胞懸濁液をBHI肉汁1mlに移し、振とうしながら37℃で90分間インキュベートした。次に10個の100μl部分標本を、適当な抗菌化合物を含むBHI寒天プレートに塗布した。 サザンブロット分析。野生型および突然変異型M. catarrhalis菌株から精製した染色体DNAをPvuIIあるいはHindIII(New England Biolabs)のいずれかで消化し、記述されているようにして(Sambrookら、1989)サザンブロット分析を実施した。Random Primed DNA Labelingキット(Boehringer‐Mannheim, Indianapolis, IN)を用いて32Pで二本鎖DNAプローブを標識した。 間接抗体アクセシビリティ検定。M. catarrhalis菌株O35Eとその免疫原性突然変異株を一晩BHI肉汁で培養したものを、10%(v/v)ウシ胎児血清と0.025%(w/v)アジ化ナトリウムを含むPBS緩衝液(PBS‐FBS‐A)中で、クレット‐サマーソン比色計(Klett Manufacturing Co., New York, NY)で測定したとき110クレット単位(約109cfu/ml)の密度に希釈した。この懸濁液の部分標本(100μl)をMAb 17C7あるいはMAb 3F12培養上清 1mlに加えた。静かに撹拌しながら4℃で1時間インキュベートした後、細菌細胞を1回洗浄し、PBS‐FBS‐A 1mlに懸濁した。125Iで108cpm/μgの比活性に放射標識したアフィニティー製ヤギ抗マウス免疫グロブリンを加え、混合物を静かに撹拌しながら4℃で1時間インキュベートした。次に細胞をPBS‐FBS‐A 1mlで4回洗浄し、トリプル洗浄剤(Helminenら、1993a)500μlに懸濁して、ガラス管に移した。それぞれのサンプル中に存在する放射能をγカウンターを用いて測定した。 自己凝集および赤血球凝集検定。BHI寒天プレートで一晩増殖させた細菌細胞を用いてM. catarrhalis菌株の自己凝集能力を測定した。これらの細胞をPBSに懸濁してガラス管中400クレット単位の混濁度にし、その後10分間室温で放置して、その時点で再びこの懸濁液の混濁度を測定した。速やかな自己凝集と緩徐な自己凝集を、それぞれ10分後に200クレット単位未満と200クレット単位以上の混濁度と定義した。ヘパリン化ヒトO Rh+型赤血球を用いた赤血球凝集反応スライド検定を以前に記述されているようにして(Soto‐Hernandezら、1989)実施した。 血清殺菌力検定。十分な補体を含む正常成人ヒト血清を標準的な方法によって調製した。血清を56℃で30分間加熱して補体の不活性化を行った。初期対数期にあるM. catarrhalis肉汁培養物を、0.10%(w/v)ゼラチンを含むベロナール緩衝生理食塩水(GVBS)中に希釈して1‐2×105cfu/mlの濃度にし、20μlの部分標本を、5mM MgCl2と1.5mM CaCl2を含むベロナール緩衝生理食塩水160μlと共に天然あるいは熱不活化した正常ヒト血清20μlに加えた。この混合物を定常水浴中37℃でインキュベートした。0および15分と30分の時点で、部分標本10μlを取り、BHI肉汁75μlに懸濁して、あらかじめ加温しておいたBHI寒天プレートに塗布した。 付着検定。in vitroでチャン(Chang)結膜細胞へのインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)の付着を測定するための方法(St. Geme IIIとFalkow, 1990)をM. catarrhalisに関する使用に適合させた。簡単に述べると、2‐3×105 HEp‐2細胞(ATCC CCL 23)あるいはチャン結膜細胞(ATCC CCL 20.2)を、24ウエルの組織培養プレート(Corning‐Costar)の各ウエルに播種し、使用前に24時間インキュベートした。M. catarrhalisを抗生物質不含で一晩培養したものから0.3ml容量を取り、抗生物質不含の新鮮BHI培地10mlに接種して、その後この培養物を旋回水浴中で振とうしながら約5×108cfu/ml(120クレット単位)の濃度まで増殖させた。培養物を4‐8℃、6,000×gで10分間遠心分離にかけて分離した。上清を捨て、パスツールピペットを使用して細菌細胞をpH 7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)あるいは0.15%(w/v)ゼラチンを含むPBS(PBS‐G)5ml中に静かに懸濁した。細菌細胞を再び遠心分離にかけ、この最終ペレットをPBSあるいはPBS‐G 6‐8mlに静かに懸濁した。 この懸濁液(107CFU)の部分標本(25μl)を、HEp‐2あるいはチャン細胞の単層を含む24ウエル組織培養プレートのウエルに接種した。これらの組織培養プレートを165×gで5分間遠心分離し、その後37℃で30分間インキュベートした。ウエルをPBSあるいはPBS‐Gで5回静かに洗い流して付着していない細菌を除去し、その後0.05%トリプシンと0.02%EDTAを含むPBS 200μlを加えてプラスチック支持体から上皮細胞を放出させた。この細胞懸濁液をPBSあるいはPBS‐G中で連続的に希釈し、BHIプレートに塗布して、存在するM. catarrhalis生菌数を測定した。付着は、ウエルに加えた最初の接種物に対するヒト細胞に付着した細菌のパーセンテージで表わした。 実験結果UspA1とUspA2のどちらも発現しない同遺伝子系M. catarrhalis突然変異株の構築。UspA1(突然変異株O35E.1)あるいはUspA2(突然変異株O35E.2)のいずれかを発現する能力を欠如したM. catarrhalis突然変異株の構築は以前の実施例で述べられている(Aebiら、1997)。UspA1とUspA2の両方の発現を欠如した二重突然変異株を構築するために、pUSPA1(図14A)の0.6kb BglII断片をcatカセットで置換し、組換えプラスミドpUSPA1CATを生成した。プライマーP1およびP2を用いて、pUSPA1CATの3.2kb挿入部分をPCRTMによって増幅した。このPCRTM産物を使用してカナマイシン耐性uspA2菌株O35E.2を電気穿孔し、推定上のuspA1 uspA2二重突然変異株である、クロラムフェニコールおよびカナマイシン耐性形質転換株O35E.12を生成した。 サザンブロット分析を使用して、菌株O35E.1、O35E.2およびO35E.12が同遺伝子系突然変異株であること、ならびに対立遺伝子交換が適切に起こって、野生型uspA1あるいはuspA2遺伝子、あるいはその両方が突然変異対立遺伝子で置換されたことを確認した。野生型親菌株O35E、uspA1突然変異株O35E.1、uspA2突然変異株O35E.2、ならびに推定上のuspA1 uspA2突然変異株O35E.12からの染色体DNA標本をPvuIIで完全に消化し、サザンブロット分析においてこれら2つのM. catarrhalis遺伝子から誘導したDNA断片あるいはkanカートリッジでプローブした。catカートリッジでプローブするために、菌株O35E.12からの染色体DNAをHindIIIで消化した。 プライマーP3およびP4(図14A)を用いて、M. catarrhalis菌株O35Eの染色体DNAのPCRTMに基づく増幅により、uspA1特異的DNAプローブを得た。500bpのuspA2特異的DNA断片を、O35E染色体DNAからプライマーP5およびP6(図14B)を用いたPCRTMによって増幅した。サザンブロット分析においてkanおよびcatカートリッジと共にこれら2つの遺伝子特異的プローブを使用して、菌株O35E.12がuspA1 uspA2二重突然変異株であることを確認した。 野生型および突然変異型M. catarrhalis菌株によって発現される選択タンパク質の特性指摘。野生型菌株とこれら3つの突然変異株から抽出した外側膜小胞中に存在するタンパク質をSDS‐PAGEによって分離し、クマシーブルーで染色するか(図15A)、あるいはウエスタンブロット分析においてMAb 17C7でプローブした(図15B)。野生型親菌株O35Eは、クマシーブルー染色によって検出される非常に高い分子量のバンドを有しており(図15A、レーン1、黒い矢印)、このバンドはuspA1突然変異株O35E.1(図15A、レーン2)においても同様に豊富であった。uspA2突然変異株O35E.2(図15A、レーン3)は、ゲルのこの同じ領域にはるかに低い発現率のバンドを有していた;このバンドはuspA1 uspA2二重突然変異株O35E.12においては全く見られなかった(図2、パネルA、レーン4)。 ウエスタンブロット分析は、野生型菌株(図15B、レーン1)が豊富な量のMAb 17C7反応性抗原を発現し、その大部分が220,000を越える非常に高い分子量を有していることを明らかにした。野生型菌株はまた、このMAbに結合した見かけ分子量約120,000と85,000の孤立性抗原(図15B、レーン1、それぞれ白い矢印と黒い矢印)も示した。uspA1突然変異株O35E.1(図15B、レーン2)は、UspA1の単一遺伝子性形態であると提議された120kDa抗原の発現を欠如していたが、85kDa抗原はまだ発現した。このuspA1突然変異株によって発現される非常に高い分子量のMAb 17C7反応性抗原の量は、野生型菌株によって発現される量に等しいと思われた。uspA2突然変異株O35E.2(図15B、レーン3)は、120kDa抗原を発現したが、UspA2タンパク質の単一遺伝子性形態であると提議された85kDa抗原の発現は欠如していた。uspA1突然変異株と異なり、uspA2突然変異株は、比較的少ない、MAb 17C7と反応性の高分子量抗原を有していた。最終的に、uspA1 uspA2二重突然変異株O35E.12(図15B、レーン4)は、検出可能なMAb 17C7反応性抗原を発現しなかった。 野生型および突然変異型菌株の全細胞へのMAb 17C7の結合。間接抗体アクセシビリティ検定を使用して、UspA1とUspA2の両方がM. catarrhalisの表面に露出されていて、抗体にアクセスできるのかどうかを調べた。野生型菌株O35EとuspA1突然変異株O35E.1の両方の全細胞が同様の量のMAb 17C7に結合した(表XXXI)。この結果は、UspA2がM. catarrhalisの表面に、あるいは少なくともuspA1突然変異株の表面に露出されていることを示唆した。uspA2突然変異株O35E.2は、野生型菌株よりもMAb 17C7への結合が実質的に少なかったが、結合のレベルはまだ少なくとも、軟性下疳菌(H. ducreyi)外側膜タンパク質に対する無関係なIgG Mabに関して得られるものよりは大きかった(表XXXI)。ウエスタンブロット分析から予想されたように、uspA1 uspA2二重突然変異株O35E.12は、軟性下疳菌(H. ducreyi)特異的MAbを含む陰性対照で得られるレベル以上にはMAb 17C7に結合しなかった(表XXXI)。 野生型および突然変異型菌株の増殖、自己凝集および赤血球凝集作用の特性指摘。BHI寒天プレートで増殖させたこれら3つの突然変異株のコロニー形態は、野生型菌株の親株の形態と異ならなかった。同様に、BHI肉汁におけるこれら4つの菌株すべての増殖速度および程度は、同じではないにしても非常に類似していた(図16)。この実施例の「実験材料および方法」の項で述べたようにして実施した自己凝集検定では、4つの菌株全部が同じ速度の自己凝集を示した。最後に、ヒトO型赤血球を用いた赤血球凝集検定において野生型親株と3つの突然変異株の間に検出可能な差はなかった(Hernandezら、1989)。以前にそれぞれ速やかなあるいは緩徐な赤血球凝集速度を持つと特性付けられた(Soto‐Hernandezら、1989)一対のM. catarrhalis分離株(すなわち菌株P‐44とP48)を用いて、対照赤血球凝集試験を実施した。 M. catarrhalisがヒト細胞に付着する能力へのuspA1およびuspA2突然変異の影響。予備試験で、野生型M. catarrhalis菌株O35Eはin vitroでHeLa細胞、HEp‐2細胞、およびチャン結膜細胞に容易に付着することが明らかにされた。UspA1あるいはUspA2の発現の欠如がこの付着能力に影響を及ぼすかどうかを調べるため、野生型と3つの突然変異型菌株を最初にHEp‐2細胞に関する付着検定で使用した。この試験セットでは、HEp‐2細胞単層の洗浄および検定終了時のトリプシン処理HEp‐2細胞単層の連続的希釈のための希釈剤としてPBSを使用した。野生型菌株とuspA2突然変異株O35E.2は、同様のレベルのHEp‐2単層への付着を示した(表XXXI)。しかし、uspA1突然変異株O35E.1は、より低いレベルでしかこれらのHEp‐2細胞に付着することができなかった;UspA1の発現欠如は付着レベルを約6倍低下させた(表XXXII)。uspA1 uspA2二重突然変異株O35E.12は同様に低いレベルの付着を示した(表XXXII)。 しかし対照試験で、M. catarrhalis細胞はHEp‐2単層の洗浄と付着したM. catarrhalis菌の連続的希釈のために使用したPBS中では十分に生存できないことが明らかにされた。108CFUの野生型および突然変異型M. catarrhalis菌株をPBSに懸濁し、連続的に希釈して、30分間氷上で放置したとき、生菌数は107CFUに低下した。これに対し、0.15%(w/v)ゼラチンを含むPBS(PBS‐G)をこの同じタイプの実験で使用したときには、実験期間を通じてこれらのM. catarrhalis菌株の生存率低下は生じなかった。HEp‐2細胞単層の洗浄のためおよび希釈剤としてPBS‐Gを使用してHEp‐2細胞に基づく付着試験を繰り返すと、野生型親株で得られたものと比較してuspA1突然変異株の付着は3倍だけ低下した。この所見は、野生型とuspA1突然変異型菌株の間で認められた付着能力の最初の6倍の差は、一部には、PBS洗浄液および希釈液の使用を原因とした生存率の問題に帰せられるであろう。 PBS‐G洗浄液および希釈液と共に、細菌付着の標的としてチャン結膜細胞を用いたその後の試験は、野生型菌株とuspA1突然変異株の付着能力に実質的な差を示した(表XXXII)。野生型とuspA2突然変異型菌株はチャン細胞への同様のレベルの付着を示したが、uspA1突然変異株の付着の程度は野生型親株よりもほぼ2倍低かった。uspA1 uspA2二重突然変異株も、uspA1突然変異株で得られたのと同様のはるかに低いレベルの付着を示した(表XXXII)。 M. catarrhalisの血清耐性へのuspA1およびuspA2突然変異の影響。M. catarrhalisの大部分の疾患分離株と同様に(Holら、1993;Verduinら、1994)、野生型菌株O35Eはin vitroで正常ヒト血清による死滅に対して耐性であった(Helminenら、1993b)。UspA1あるいはUspA2の発現欠如の血清耐性への影響を調べるため、血清殺菌力検定において野生型菌株と3つの突然変異型菌株を試験した。野生型菌株(図17、黒い菱形)とuspA1突然変異株O35E.1(図17、黒い三角形)はいずれも正常ヒト血清の存在下で増殖することができ、UspA1の発現欠如は、正常ヒト血清による死滅に抵抗するO35E.1株の能力に有害な作用を及ぼさないことを示唆した。しかし、共通してUspA2の発現を欠如しているuspA2突然変異株O35E.2(図17、黒い丸)とuspA1 uspA2二重突然変異株O35E.12(図17、黒い四角)は、正常ヒト血清によって容易に死滅された。この正常ヒト血清中に存在する補体系の熱による不活化は、これら最後の2つの突然変異株を死滅させるこの血清の能力を排除した(図17、白い丸と白い四角)。 本文中で開示し、請求したすべての組成および方法は、本開示に照らして多大の実験を伴わずに作製し、実施することができる。本発明の組成および方法は好ましい具体例という見地から述べられたものであるが、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく、本文中で述べた組成および方法ならびにステップあるいは一連のステップの方法においてバリエーションが適用できることは当業者には明白であろう。特に、化学的および生理的に関連する一部の薬剤を本文中で述べた薬剤に置き換えて、同じあるいは同様の結果を達成しうることは明白であろう。当業者には明白な、そのような同様の置換あるいは変更はすべて、付属の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神、範囲および概念の範囲内とみなされる。図1は、uspA1遺伝子から入手したプローブを用いてM. Catarrhalis菌株からのPvuII消化染色体DNAのサザンブロット分析の結果を示す。細菌株の名称は一番上に記されている;キロベース(kb)位置マーカーは左側に示されている。図2Aは、野生型株O35E及び同質遺伝子型uspA1突然変異株の全細胞溶解液中に存在するタンパク質。これらのタンパク質はSDS-PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動)によって溶解され、クーマシー・ブルー(Coomassie blue)を用いて染色された。左のレーン(WT)は野生型株を含んでおり、右のレーン(MUT)は突然変異体を含んでいる。矢印は、野生型に存在していて突然変異体が含まれていない、サイズが約120kDaのタンパク質を示している。キロダルトン単位の位置マーカーは左側に示されている。図2Bは、 野生型株O35E及び同質遺伝子型uspA1突然変異株の全細胞溶解液のウェスタンブロット分析の結果を示す図である。これらのタンパク質はSDS-PAGEによって溶解され、ウェスタンブロット分析においてMAb 17C7を用いて試験された。左のレーン(WT)は野生型株を含んでおり、右のレーン(MUT)は突然変異体を含んでいる。キロダルトン単位の位置マーカーは左側に示されている。どちらの菌株もMAb 17C7と反応する超高分子量バンドを有しているが、このMAbに結合する約120kDaのバンドを有しているのは野生型株だけであることを所見できる。図2Cは、MAb 17C7を用いて野生型株O35E(WT)及び同質遺伝子型uspA1突然変異株(MUT)から入手された全細胞溶解液(WCL)及びEDTA抽出外膜小胞(OMV)のウェスタンブロット分析の結果を示す図である。サンプルは、SDS-PAGEの実施前に37℃で15分間(H)加熱されるか、又は100℃で5分間(B)加熱された。分子量位置マーカー(キロダルトン単位)は左側に示されている。白い矢印は、MAb 17C7反応性抗原の超高分子量形の位置を示している。黒い矢印はおよそ120kDaのタンパク質の位置を示している。白丸はおよそ70〜80kDaのタンパク質の位置を示している。図3は、野生型M. Catarrhalis菌株及び同質遺伝子型uspA1突然変異体からの染色体DNAのサザンブロット分析の結果を示す図である。染色体DNAはPvuIIを用いて消化され、uspA1遺伝子からの0.6kb BglII-PvuII断片を用いて試験された。野生型株は図の一番上にO35Eと記載され、変異株はO35E-uspA1-と記載されている。キロベース単位の位置マーカーは左側上に示されている。図4は、MAb 17C7を用いてのM. Catarrhalis菌株O35E外膜小胞中のタンパク質(O35E OMVと表示されている)及びMF-4-1 GST融合タンパク質(GST融合タンパク質と表示されている)のウェスタンブロット反応性を示す図である。図5は、UspA1突然変異体からの染色体DNAを用いたPCRTM増幅において使用した場合の、T3及びP10プライマー(中央のレーン−0.9kb産物)及びT7及びP9プライマー(右のレーン−1.7kb産物)の使用により入手されたPCRTM産物を示す図である。レーン1にはkb梯子が存在する。この図の左側には幾つかのキロベース単位の位置マーカーが挙げられている。図6A−6Cは、精製タンパク質のSDS-PAGE及びウェスタンブロット分析の結果を示す図である。図6Aは、精製UspA2のクーマシー・ブルー染色ゲル(レーン2)。図6Bは、サンプルの加熱を行わずに調製された(レーン4)、100℃で3分間加熱された(レーン5)、100℃で5分間加熱された(レーン6)、100℃で10分間加熱された(レーン7)精製UspA1のクーマシー・ブルー染色ゲル。図6Cは、MAb 17C7を用いて試験された精製UspA2(レーン9)及び精製UspA1(レーン10)のウェスタンブロット。どちらのタンパク質も10分間加熱された。レーン1、3及び8の分子サイズマーカーはキロダルトン単位で示されている。図7は、ELISAによって測定された精製UspA1及びUspA2とHEp-2細胞との相互作用を示す図である。96-ウェルプレートで培養されたHEp-2細胞単層は連続的に希釈されたUspA1又はUspA2と一緒に培養された。O35E細菌株が陽性対照として使用された。細菌は1.0のA550を持つ懸濁剤を用いて始まるタンパク質に類似して希釈された。結合したタンパク質又は付着細菌は方法において記載されているようにUspA1及びUspA2への1:1混合抗血清を用いて検出された。図8は、ドットブロットアッセイにより測定されたフィブロネクチン及びビトロメクチンとの相互作用を示す図である。結合したビトロネクチンはウサギポリクローナル抗体を用いて検出され、フィブロネクチンへ結合したタンパク質はUspA1及びUspA2に対して作製されたプール血清を用いて検出された。図9は、正常ヒト血清中におけるタンパク質UspA1、UspA2及びM. CatarrhalisO35E菌株への抗体のレベルを示す図である。データはELISAによって測定されたIgG(図9A−9C)及びIgA(図9D−9F)のlog10転換エンドポイント力価である。個々の力価は年齢群に従ってプロットされ、各年齢群に対する幾何学的平均力価は実線によって結ばれている。2〜18月齢の小児に対する血清は小児10例を含む1群からの連続サンプルであった。図10は、正常ヒト血清中のUspA1及びUspA2に対するIgG抗体のサブクラス分布を示す図である。図10Aは、UspA1に対する力価を示しており、図10BはUspA2に対する力価を示している。図11は、ロジスティック回帰によって測定されたO35E菌株に対する殺菌力価を含むUspA1(図11A)及びUspA2(図11B)に対する血清IgG力価の関係(p<0.05)を示す図である。実線は、IgG力価と殺菌力価の線形関係を示している。波線は、線形適合度の95%信頼区間を表している。図12は、MAb 17C7に結合するUspA1及びUspA2の領域内のデカペプチド10〜24の相対位置を示している略図である。図13は、デカペプチド10〜24のMAb 17C7との反応性を示しているウェスタンドットブロット分析の結果を示す図である。図14は、M. Catarrhalis菌株O35EからのuspA1(図14A)及びuspA2(図14B)遺伝子及びこれらの遺伝子の突然変異バージョンの部分制限酵素地図である。影付き囲み部分は各遺伝子のオープン・リーディングフレームを示している。関連する制限部位が示されている。PCRTMプライマー部位(P1〜P6)は矢印で示されている。PCRTMによってM. Catarrhalis菌株O35E染色体DNAから引き出され、pBluescriptII SK+内にクローンされた部分的uspA1及びuspA2オープン・リーディングフレームを含有するDNA断片は黒色バーで示されている。これらのDNA挿入物及び染色体上の対応する制限部位を点線が接続している。白色バーは各々カナマイシン又はクロラムフェニコールカセットの位置を示している。uspA1又はuspA2に対して特異的なDNAプローブは適切な斜交陰影バーによって示され、下記のオリゴヌクレオチドプライマー対の各々の使用によってM. Catarrhalis菌株O35E染色体DNAからPCRTMによって増幅された: P3(5’-GACGCTCAACAGCACTAATACG-3’)(SEQ ID NO:20)/P4 (5’-CCAAGCTGATATCACTACC-3’(SEQ ID NO:21)及び P5(5’-TCAATGCCTTTGATGGTC-3’)(SEQ ID NO:22)/P6 (5’-TGTATGCCGCTACTCGCAGCT-3’)(SEQ ID NO:23)図15は、M. Catarrhalisの野生型及び突然変異株におけるUspA1及びUspA2の検出結果を示す図である。野生型株(レーン1)、uspA1突然変異株O35E.1(レーン2)、uspA2突然変異株O35E.2(レーン3)、及び同一遺伝子uspA1 uspA2二重突然変異株O35E.12(レーン4)からのEDTA抽出外膜小胞中に存在するタンパク質がSDS-PAGEによって溶解され、クーマシー・ブルー(図15A)を用いて染色されるか、又はニトロセルロースへ移され、MAb 17C7を用いて試験され、ウェスタンブロット分析において放射ヨウ素化ヤギ抗マウス免疫グロブリンによって追跡された。図15Aにおいては、黒い矢印はUspA1及びUspA2の両方からなるUspA抗原の超高分子量形を示している。図15Bにおいては、左側の括弧はMAb 17C7に結合するUspA1及びUspA2タンパク質の超高分子量形を示している。白い矢印は、UspA1の120kDaの推定単量体形を示している。黒い矢印は、UspA2の85kDaの推定単量体形を示している。分子量位置マーカー(キロダルトン単位)は左側に示されている。図16は、M. Catarrhalisの野生型株及び突然変異株の増殖の速度及び程度の比較を示す図である。野生型株O35E(黒い四角)、uspA1突然変異体O35E.1(白い四角)、uspA2変異体O35E.2(黒い丸)、及びオーバーナイトブロス培養から入手されたM. Catarrhalis O35EのuspA1 uspA2二重突然変異体O35E.12(白い丸)がBHIブロス中で35クレット単位の密度で希釈され、引き続いて攪拌しながら37℃で増殖させられた。増殖は混濁度測定によって追跡された。図17は、正常ヒト血清による殺菌へのM. Catarrhalisの野生型株及び突然変異株の感受性を示す図である。野生型親菌株O35E8(ダイヤ形)、uspA1突然変異体O35E.1(三角)、uspA2突然変異体O35E.2(丸)、及び対数増殖期BHIブロス培養からのuspA1 uspA2二重突然変異体O35E.12(四角)が10%(v/v)正常ヒト血清(黒色記号)又は加熱不活化正常ヒト血清(白色記号)の存在下で培養された。データは各時点で残留しているオリジナル接種物のパーセンテージとして表されている。 アミノ酸配列AQQQDQH(SEQ ID NO:17)を含むアミノ酸数約7〜約60の単離ペプチド。 前記ペプチドがアミノ酸数約10の長さである請求項1に記載の単離ペプチド。 前記ペプチドがアミノ酸数約20の長さである請求項1に記載の単離ペプチド。 前記ペプチドがアミノ酸数約30の長さである請求項1に記載の単離ペプチド。 前記ペプチドがアミノ酸数約40の長さである請求項1に記載の単離ペプチド。 前記ペプチドがアミノ酸数約50の長さである請求項1に記載の単離ペプチド。 前記ペプチドがアミノ酸数約60の長さである請求項1に記載の単離ペプチド。 前記ペプチドがアミノ酸配列YELAQQQDQH(SEQ ID NO:18)の少なくとも連続約16個の残基である請求項1に記載の単離ペプチド。 (a)アミノ酸配列AQQQDQH(SEQ ID NO:17)を含むアミノ酸数約7〜約60の単離ペプチド及び(b)製剤学的に容認できる緩衝液又は希釈液を含有する抗原性合成物。 前記抗原性合成物がさらに前記ペプチドに複合された担体を含む請求項9に記載の抗原性合成物。 前記担体がKLH(鍵穴付着ヘモシアニン)、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド又はCRM197である請求項10に記載の抗原性合成物。 さらにアジュバントを含む請求項9に記載の抗原性合成物。 前記アジュバントが脂質を含む請求項12に記載の抗原性合成物。 前記ペプチドが第2抗原に共有的に結合している請求項9に記載の抗原性合成物。 前記第2抗原がペプチド抗原である請求項14に記載の抗原性合成物。 前記第2抗原が非ペプチド抗原である請求項14に記載の抗原性合成物。 前記単離ペプチドがアミノ酸配列YELAQQQDQH(SEQ ID NO:18)の少なくとも連続約16個の残基を含む請求項9に記載の抗原性合成物。 アミノ酸配列AQQQDQH(SEQ ID NO:17)を含むアミノ酸数約7〜約60の単離ペプチド及び製剤学的に容認できる緩衝液又は希釈液を含有するワクチン合成物。 前記単離ペプチドがさらにアミノ酸配列YELAQQQDQH(SEQ ID NO:18)の少なくとも連続約16個の残基を含むと定義されている請求項18に記載のワクチン合成物。 哺乳類に(a)アミノ酸配列AQQQDQH(SEQ ID NO:17)を含むアミノ酸数約7〜約60の単離ペプチド及び(b)製剤学的に容認できる緩衝液又は希釈液を含有する抗原性合成物を提供するステップを含む前記哺乳類において免疫反応を誘発するための方法。 前記単離ペプチドがアミノ酸配列YELAQQQDQH(SEQ ID NO:18)の少なくとも連続約16個の残基を含む請求項20に記載の方法。 M. Catarrhalis単離菌O35EのUspA1抗原(SEQ ID NO:1)をコードする核酸。 M. Catarrhalis単離菌O35EのuspA1 DNA配列(SEQ ID NO:2)を有する核酸。 M. Catarrhalis単離菌O35EのUspA2抗原(SEQ ID NO:3)をコードする核酸。 M. Catarrhalis単離菌O35EのuspA2 DNA配列(SEQ ID NO:4)を有する核酸。 M. Catarrhalis単離菌O46EのUspA1抗原(SEQ ID NO:5)をコードする核酸。 M. Catarrhalis単離菌O46EのuspA1 DNA配列(SEQ ID NO:6)を有する核酸。 M. Catarrhalis単離菌O46EのUspA2抗原(SEQ ID NO:7)をコードする核酸。 M. Catarrhalis単離菌O46EのuspA2 DNA配列(SEQ ID NO:8)を有する核酸。 M. Catarrhalis単離菌TTA24のUspA1抗原(SEQ ID NO:9)をコードする核酸。 M. Catarrhalis単離菌TTA24のuspA1 DNA配列順序(SEQ ID NO:10)を有する核 酸。 M. Catarrhalis単離菌TTA24のUspA2抗原(SEQ ID NO:11)をコードする核酸。 M. Catarrhalis単離菌TTA24のuspA2 DNA配列(SEQ ID NO:12)を有する核酸。 M. Catarrhalis単離菌TTA37のUspA1抗原(SEQ ID NO:13)をコードする核酸。 M. Catarrhalis単離菌TTA37のuspA1 DNA配列(SEQ ID NO:14)を有する核酸。 M. Catarrhalis単離菌TTA37のUspA2抗原(SEQ ID NO:15)をコードする核酸。 M. Catarrhalis単離菌TTA37のuspA2 DNA配列(SEQ ID NO:16)を有する核酸。 サンプル中における前記UspA1又はUspA2抗原のエピトープのコア配列の残基に相当するM. Catarrhalisアミノ酸配列の存在を測定するステップを含むM. Catarrhalis感染症を診断するための方法。 前記測定がPCRを含む請求項38に記載の方法。 前記測定がM. Catarrhalis抗原に対する抗体の免疫学的反応性を含む請求項38に記載の方法。 アミノ酸配列AQQQDQH(SEQ ID NO:17)を含むアミノ酸数約7〜約60の単離ペプチドを個人に提供することを含むM. Catarrhalis感染症に罹患した前記個人を治療するための方法。 前記ペプチドがアミノ酸配列YELAQQQDQH(SEQ ID NO:18)の少なくとも約16個の連続残基を含む請求項41に記載の単離ペプチド。 被験者にアミノ酸配列AQQQDQH(SEQ ID NO:17)によって形成されたエピトープと免疫学的に反応する抗体を提供することを含むM. Catarrhalis感染症を予防又は制限するための方法。 前記エピトープがさらにアミノ酸配列YELAQQQDQH(SEQ ID NO:18)の少なくとも連続約16個の残基を含んでいると定義されている請求項42に記載の方法。 下記のステップを含むUspA1又はUspA2に免疫学的に結合する抗体との反応性についてペプチドをスクリーニングする方法: a)前記ペプチドを提供すること; b)前記ペプチドを前記抗体と接触させること;及び c)前記ペプチドへの前記抗体の結合を測定すること。 前記抗体が17C7、45-2、13-1、29-31、16A7、17B1又は5C12である、請求項45に記載の方法。 前記抗体が17C7である請求項46に記載の方法。 前記抗体が45-2である請求項46に記載の方法。 前記抗体が13-1である請求項46に記載の方法。 前記抗体が29-31である請求項46に記載の方法。 前記抗体が16A7である請求項46に記載の方法。 前記抗体が5C12である請求項46に記載の方法。 前記抗体が17B1である請求項46に記載の方法。 前記決定がウェスタンブロット、ELISA、さらにRIA及び免疫親和性分離からなる群から選択されるイムノアッセイを含む請求項45に記載の方法。 下記のステップを含むM. Catarrhalisに対する防御免疫反応を誘発する能力についてUspA1又はUspA2ペプチドをスクリーニングする方法: a)前記ペプチドを提供すること; b)ペプチドを適切な形で実験動物に投与すること; c)前記動物にM. Catarrhalisを用いて抗原投与すること;及び d)M. Catarrhalisを用いて前記動物の感染をアッセイすること。 前記動物がマウスであり、前記抗原投与が肺抗原投与であり、さらに前記アッセイが前記マウスによる肺クリアランスの程度を評価することを含む請求項56に記載の方法。 前記UspA1ペプチドがM. Catarrhalisの残基約582〜604(SEQ ID NO:1)又はM. Catarrhalis菌株O35Eと比較して類似する位置を含む請求項56に記載の方法。 前記UspA2ペプチドがM. Catarrhalisの残基約355〜377(SEQ ID NO:3)又はM. Catarrhalis菌株O35Eと比較して類似する位置を含む請求項56に記載の方法。 前記UspA1ペプチドがM. Catarrhalisの残基約452〜642(SEQ ID NO:1)又はM. Catarrhalis菌株O35Eと比較して類似する位置を含む請求項57に記載の方法。 前記UspA2ペプチドがM. Catarrhalisの残基約242〜415(SEQ ID NO:3)又はM. Catarrhalis菌株O35Eと比較して類似する位置を含む請求項58に記載の方法。 単離ペプチドであって、前記ペプチドが、前記UspA1タンパク質(SEQ ID NO:1)の残基約582〜604、又はUspA2タンパク質(SEQ ID NO:3)の残基約355〜377、又はM. Catarrhalis菌株O35Eと比較して類似する位置によって定義された領域内に位置する残基を含むM. CatarrhalisのUspA1又はUspA2タンパク質からの少なくとも連続7個のアミノ酸を有する単離ペプチド。 前記ペプチドがアミノ酸数7〜60の長さである請求項61に記載の単離ペプチド。 前記ペプチドが非UspA1又は非UspA2配列順序を含む請求項61に記載の単離ペプチド。 前記ペプチドが非M. Catarrhalis配列順序を含む請求項61に記載の単離ペプチド。 下記を含む抗原性合成物: a)単離ペプチドであって、前記ペプチドが、前記UspA1タンパク質(SEQ ID NO:1)の残基約582〜604、又はUspA2タンパク質(SEQ ID NO:3)の残基約355〜377、又はM. Catarrhalis菌株O35Eと比較して類似する位置によって定義された領域内に位置する残基を含むM. CatarrhalisのUspA1又はUspA2タンパク質からの少なくとも連続7個のアミノ酸を有する単離ペプチド。 b)製剤学的に容認できる緩衝液又は希釈液。 下記を含む抗原性合成物: a)単離ペプチドであって、前記単離ペプチドが第2抗原に共有的に結合された担体として機能するUspA1又はUspA2のアミノ酸配列の少なくとも連続7個の残基を含む約7〜約60個のアミノ酸からなる単離ペプチド;及び b)製剤学的に容認できる緩衝液又は希釈液。 前記第2抗原がペプチド抗原である請求項66に記載の抗原性合成物。 前記第2抗原が非ペプチド抗原である請求項66に記載の抗原性合成物。 【課題】新規の2種のタンパク質UspA1及びUspA2及びそれらの各遺伝子uspA1及びuspA2の提供。【解決手段】2つのタンパク質間で保存されている領域を含んでおり、MAb17C7によって認識されるエピトープを含んでいるタンパク質であって、これらの種の1又は2以上は凝集してUspA抗原の超高分子量(即ち200kDa以上)形を形成することができる。合成物類及びM.Catarrhalisを治療及び試験するための診断的及び治療的方法。【選択図】なし配列表


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