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タイトル:特許公報(B2)_うつ病または不安神経症の予防または治療剤
出願番号:2007511227
年次:2013
IPC分類:A61K 31/343,A61P 25/24,A61P 25/22,A61K 31/443,A61K 31/5513,A61P 43/00,C07D 307/77


特許情報キャッシュ

平井 圭介 宮本 政臣 JP 5259181 特許公報(B2) 20130502 2007511227 20060403 うつ病または不安神経症の予防または治療剤 武田薬品工業株式会社 000002934 田中 光雄 100081422 山崎 宏 100084146 冨田 憲史 100122301 平井 圭介 宮本 政臣 JP 2005107674 20050404 20130807 A61K 31/343 20060101AFI20130718BHJP A61P 25/24 20060101ALI20130718BHJP A61P 25/22 20060101ALI20130718BHJP A61K 31/443 20060101ALI20130718BHJP A61K 31/5513 20060101ALI20130718BHJP A61P 43/00 20060101ALI20130718BHJP C07D 307/77 20060101ALN20130718BHJP JPA61K31/343A61P25/24A61P25/22A61K31/443A61K31/5513A61P43/00 121C07D307/77 A61K 31/343 A61K 31/443 A61K 31/5513 C07D 307/77 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 特開平10−287665(JP,A) 特開2000−063272(JP,A) Journal of Medicinal Chemistry,2002年,Vol.45, No.12,p.4222-4239 今日の治療薬(1999年版),1999年,第21版第2刷,p.745−774 2 JP2006307047 20060403 WO2006107019 20061012 12 20090218 井上 明子 本発明は、うつ病または不安神経症の予防または治療剤に関する。 (S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(一般名:ラメルテオン、以下、化合物Aと称する場合がある)は、メラトニンアゴニスト作用を有し、特許文献1等に開示されている公知の睡眠障害治療剤である。米国特許第6034239号明細書 本発明の目的は、毒性の低い、うつ病または不安神経症の予防または治療剤を提供することである。 本発明者らは、鋭意検討の結果、化合物A、すなわち(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドが、うつ病または不安神経症の予防または治療に有効である事を見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、[1](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドからなる、うつ病または不安神経症の予防または治療薬;[2](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドと、他の抗うつ薬または抗不安薬から選択される1種以上の薬剤とを組み合わせてなる、うつ病または不安神経症の予防または治療薬;[3](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドと、フロキセチン、サートラリン、パロキセチン、ミアンセリン、ミルナシプラン、シタロプラム、エスシタロプラム、フルボキサミン、ミナプリン、デュロキセチン、ベンラファキシン、イミプラミン、クロミプラミン、ドキセピン、トラゾドン、ネファゾドン、アミトリプチリン、カルバマゼピン、ミルタザピン、ジアゼパム、フルタゾラム、ロラゼパム、ブスピロン、タンドスピロン、ロフラゼプ酸エチル、フルトプラゼパム、メキサゾラム、クロチアゼパム、エチゾラム、ヒドロキシジン、アルプラゾラム、フルジアゼパム、クロルジアゼポキシド、クロキサゾラム、クロラゼプ酸、およびオキサゾラムから選択される1種以上の薬剤とを組み合わせてなる、うつ病または不安神経症の予防または治療薬;[4]糖尿病、高脂血症、高血圧症またはメタボリックシンドロームを背景として有する患者のうつ病または不安神経症の予防・治療薬である、上記[1]〜[3]のいずれか1に記載のうつ病または不安神経症の予防または治療薬;[5](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドを投与することを含有する、うつ病または不安神経症の予防または治療方法;[6](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドを投与することを含有する、糖尿病、高脂血症、高血圧症またはメタボリックシンドロームを背景として有する患者のうつ病または不安神経症の予防または治療方法;[7](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドと、他の抗うつ薬または抗不安薬から選択される1種以上の薬剤を投与することを含有する、うつ病または不安神経症の予防または治療方法;[8](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドと、他の抗うつ薬または抗不安薬から選択される1種以上の薬剤を投与することを含有する、糖尿病、高脂血症、高血圧症またはメタボリックシンドロームを背景として有する患者のうつ病または不安神経症の予防または治療方法;[9](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドと、フロキセチン、サートラリン、パロキセチン、ミアンセリン、ミルナシプラン、シタロプラム、エスシタロプラム、フルボキサミン、ミナプリン、デュロキセチン、ベンラファキシン、イミプラミン、クロミプラミン、ドキセピン、トラゾドン、ネファゾドン、アミトリプチリン、カルバマゼピン、ミルタザピン、ジアゼパム、フルタゾラム、ロラゼパム、ブスピロン、タンドスピロン、ロフラゼプ酸エチル、フルトプラゼパム、メキサゾラム、クロチアゼパム、エチゾラム、ヒドロキシジン、アルプラゾラム、フルジアゼパム、クロルジアゼポキシド、クロキサゾラム、クロラゼプ酸、およびオキサゾラムから選択される1種以上の薬剤とを投与することを含有する、うつ病または不安神経症の予防または治療方法;[10](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドと、フロキセチン、サートラリン、パロキセチン、ミアンセリン、ミルナシプラン、シタロプラム、エスシタロプラム、フルボキサミン、ミナプリン、デュロキセチン、ベンラファキシン、イミプラミン、クロミプラミン、ドキセピン、トラゾドン、ネファゾドン、アミトリプチリン、カルバマゼピン、ミルタザピン、ジアゼパム、フルタゾラム、ロラゼパム、ブスピロン、タンドスピロン、ロフラゼプ酸エチル、フルトプラゼパム、メキサゾラム、クロチアゼパム、エチゾラム、ヒドロキシジン、アルプラゾラム、フルジアゼパム、クロルジアゼポキシド、クロキサゾラム、クロラゼプ酸、およびオキサゾラムから選択される1種以上の薬剤とを投与することを含有する、糖尿病、高脂血症、高血圧症またはメタボリックシンドロームを背景として有する患者のうつ病または不安神経症の予防または治療方法:[11]うつ病または不安神経症の予防または治療用の医薬組成物を製造するための、(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの使用;[12]糖尿病、高脂血症、高血圧症またはメタボリックシンドロームを背景として有する患者のうつ病または不安神経症の予防または治療用の医薬組成物を製造するための、(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの使用;[13]うつ病または不安神経症の予防または治療用の医薬組成物を製造するための、(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの、他の抗うつ薬または抗不安薬から選択される1種以上の薬剤との組み合わせにおける使用;[14]糖尿病、高脂血症、高血圧症またはメタボリックシンドロームを背景として有する患者のうつ病または不安神経症の予防または治療用の医薬組成物を製造するための、(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの、他の抗うつ薬または抗不安薬から選択される1種以上の薬剤との組み合わせにおける使用;[15]うつ病または不安神経症の予防または治療用の医薬組成物を製造するための、(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの、フロキセチン、サートラリン、パロキセチン、ミアンセリン、ミルナシプラン、シタロプラム、エスシタロプラム、フルボキサミン、ミナプリン、デュロキセチン、ベンラファキシン、イミプラミン、クロミプラミン、ドキセピン、トラゾドン、ネファゾドン、アミトリプチリン、カルバマゼピン、ミルタザピン、ジアゼパム、フルタゾラム、ロラゼパム、ブスピロン、タンドスピロン、ロフラゼプ酸エチル、フルトプラゼパム、メキサゾラム、クロチアゼパム、エチゾラム、ヒドロキシジン、アルプラゾラム、フルジアゼパム、クロルジアゼポキシド、クロキサゾラム、クロラゼプ酸、およびオキサゾラムから選択される1種以上の薬剤との組み合わせにおける使用;および[16]糖尿病、高脂血症、高血圧症またはメタボリックシンドロームを背景として有する患者のうつ病または不安神経症の予防または治療用の医薬組成物を製造するための、(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの、フロキセチン、サートラリン、パロキセチン、ミアンセリン、ミルナシプラン、シタロプラム、エスシタロプラム、フルボキサミン、ミナプリン、デュロキセチン、ベンラファキシン、イミプラミン、クロミプラミン、ドキセピン、トラゾドン、ネファゾドン、アミトリプチリン、カルバマゼピン、ミルタザピン、ジアゼパム、フルタゾラム、ロラゼパム、ブスピロン、タンドスピロン、ロフラゼプ酸エチル、フルトプラゼパム、メキサゾラム、クロチアゼパム、エチゾラム、ヒドロキシジン、アルプラゾラム、フルジアゼパム、クロルジアゼポキシド、クロキサゾラム、クロラゼプ酸、およびオキサゾラムから選択される1種以上の薬剤との組み合わせにおける使用等を提供するものである。 本発明によれば、毒性の低い、うつ病または不安神経症の予防または治療剤等が提供される。水飲みコンフリクト試験のリック回数のグラフである。水飲みコンフリクト試験のショック回数のグラフである。水飲みコンフリクト試験のリック回数のグラフである。水飲みコンフリクト試験のショック回数のグラフである。高架式十字迷路のオープンアームでの滞在時間のグラフである。高架式十字迷路のオープンアームへの進入回数のグラフである。パロキセチンおよび化合物Aの単独試験での不動時間に対する作用のグラフである。パロキセチンおよび化合物Aの単独試験での不動時間に対する作用のグラフである。パロキセチンおよび化合物Aの単独試験での運動量に対する作用のグラフである。パロキセチンおよび化合物Aの単独試験での運動量に対する作用のグラフである。パロキセチンおよび化合物Aの併用試験での不動時間に対する作用のグラフである。パロキセチンおよび化合物Aの併用試験での不動時間に対する作用のグラフである。パロキセチンおよび化合物Aの併用試験での運動量に対する作用のグラフである。パロキセチンおよび化合物Aの併用試験での運動量に対する作用のグラフである。 本発明で用いられる(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド、すなわち化合物Aは、米国特許第6034239号公報等に開示されている公知の睡眠障害治療剤であり、当該文献に記載の方法などの公知の方法によって製造することができる。 化合物Aは抗うつおよび抗不安作用を有するので、うつ病または不安神経症の予防または治療に用いる事ができる。 また、化合物Aは、抗うつおよび抗不安作用に伴い、糖尿病および高脂血症を抑制し、ならびに、または高血圧症などのメタボリックシンドロームを改善するので、背景疾患として糖尿病、高脂血症、高血圧症またはメタボリックシンドロームを有する患者のうつ病または不安神経症の予防・治療に特に有効である。 また、化合物Aは、毒性が極めて低いことから、他の抗うつ薬または抗不安薬と組み合わせて、うつ病または不安神経症の予防または治療に用いることができ、他の抗うつ薬または抗不安薬の用量を下げて、これらが有する副作用を低減することができる。また、化合物Aは、これと併用する他の抗うつ薬または抗不安薬の副作用を増悪させにくい点においても、優れている かかる抗うつ薬としては、例えば三環系抗うつ薬[例、ドキセピン(Doxepin)、イミプラミン(Imipramine hydrochloride)、アミトリプチリン(Amitriptyline)、クロミプラミン(Clomipramine)]、四環系抗うつ薬[例、ミアンセリン(Mianserin)、セチプチリン、マプロチリン]、SSRI[例、フロキセチン(Fluoxetine)、サートラリン(Sertraline)、パロキセチン(Paroxetine)、シタロプラム(Citalopram)、エスシタロプラム(Escitalopram)、フルボキサミン(Fluvoxamine)]、SNRI[例、ミルナシプラン(Milnacipran)、デュロキセチン(Duloxetine)、ベンラファキシン(Venlafaxine)、トラゾドン(Trazodone)、ネファゾドン(Nefazodone)、ミナプリン(Minaprine)、ミルタザピン(Mirtazapine)、ブスピロン(Buspirone)]、NKIアンダゴニスト、ならびにメラトニンアゴニスト作用およびセロトニンIIアンタゴニスト作用を併せ持つ薬剤[例、アゴメラチン]等が挙げられる。 かかる抗不安薬としては、例えば、ベンゾジアゼピン系抗不安薬[例、ジアゼパム(Diazepam)、フルタゾラム(Flutazolam)、ロラゼパム(Lorazepam)、ロフラゼプ酸エチル(Ethyl loflazepate)、フルトプラゼパム(Flutoprazepam)、メキサゾラム(Mexazolam)、クロチアゼパム(Clotiazepam)、エチゾラム(Etizolam)、ヒドロキシジン(Hydroxyzine)、アルプラゾラム(Alprazolam)、フルジアゼパム(Fludiazepam)、クロルジアゼポキシド(Chlordiazepoxide)、クロキサゾラム(Cloxazolam)クロラゼプ酸(Clorazepate)、オキサゾラム(Oxazolam)]、ならびにセロトニン系抗不安薬[例、ブスピロン(Buspirone)、タンドスピロン(Tandospirone)]等が挙げられる。 これらの抗うつ薬および抗不安薬は、フリー体であっても、医薬上許容される塩であってもよい。かかる塩としては、例えば、抗うつ薬または抗不安薬が酸性官能基を有する場合にはアルカリ金属塩(例、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等)等の無機塩、アンモニウム塩等、また、抗うつ薬または抗不安薬が塩基性官能基を有する場合には、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等無機酸との塩、または酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との塩が挙げられる。ここで例示した公知の抗うつ薬および抗不安薬は、市販品にて容易に入手するか、または公知の方法に従って製造することができる。 化合物Aと、他の抗うつ薬または抗不安薬とを組み合わせて用いる場合、投与形態としては、例えば、(1)化合物Aと他の抗うつ薬または抗不安薬とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)化合物Aと他の抗うつ薬または抗不安薬とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)化合物Aと他の抗うつ薬または抗不安薬とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)化合物Aと他の抗うつ薬または抗不安薬とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)化合物Aと他の抗うつ薬または抗不安薬とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、化合物A→抗うつ薬および抗不安薬の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。患者の利便性の観点からは、化合物Aと他の抗うつ薬または抗不安薬とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与が、好ましい。 併用薬物の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、化合物Aと他の抗うつ薬または抗不安薬との配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、用いる他の抗うつ薬または抗不安薬などにより適宜選択することができる。通常は、用いる他の抗うつ薬または抗不安薬の一般的な用量を基準にして決定すればよい。投与対象がヒトである場合、例えば、化合物A 1重量部に対し、他の抗うつ薬または抗不安薬を0.01〜100重量部用いることができる。 化合物Aは、単独で、または常法(例えば、日本薬局方記載の方法等)に従って、薬理学的に許容される担体を混合した医薬組成物、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、乳剤、懸濁剤、注射剤、坐剤、徐放剤、貼布剤などとして、経口的または非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。 化合物Aの含有量は、通常、組成物全体の約0.01〜100重量%である。 化合物Aの投与量は、投与対象、投与ルート、疾患などによっても異なるが、例えば、成人に対し、経口剤として投与する場合、有効成分である化合物(I)として約0.0005〜2mg/kg体重、好ましくは約0.001〜1mg/kg体重、さらに好ましくは約0.001〜0.5mg/kg体重であって、1日1〜数回に分けて投与することができる。 本発明は、更に以下の実施例および製剤例によって詳しく説明されるが、これらの例は単なる実施例であって、本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。 実施例1(水飲みコンフリクト試験) 動物は、雄性のウィスター系(Jcl)ラットを8週齡で購入し、9週齢で使用した。まず、ラットを個別ケージの中に入れ明暗(12時間サイクル)条件下で2日間絶水した。実験当日は60分以上実験室で馴化を行ったのち、化合物A 30mg/kg、メラトニン 30mg/kgまたはビヒクルを腹腔内投与し、投与から30分後にテストを行った。 使用薬物(化合物A、メラトニン)は、0.5% メチルセルロース生理食塩水に2mL/kgとなるように懸濁させ腹腔内投与した。ビヒクル投与群には、0.5% メチルセルロース生理食塩水を同様に投与した。全ての投薬および試行は9:00から12:00の間に行った。 本試験では、予め絶水下で飼育した動物が水を飲むと下記の条件で電気ショックを受けるという葛藤(コンフリクト)状態を受ける。なお、対照薬として、市販の抗不安薬であるジアゼパムが、この系で効果を示すことを確認している。[測定条件] 試験時間:300秒 ショック条件:リック数20回、またはリック時間2秒のどちらかを満足した場合 ショックON時間:2秒 タイムアウト:180秒 刺激強度:0.6mA[結果] 有意差検定は、Williams検定を用いた。図1および図2に示すように、ビヒクル投与群との比較において、化合物A投与群においては、リック回数およびショック回数の有意な増加作用が観察された。なお、メラトニン投与群ではで若干抗コンフリクト作用を示したものの有意な作用ではなかった。この試験の結果から、化合物Aは抗うつ効果および抗不安効果を有することが示された。一方、メラトニンは、意外なことに、かかる効果を示さなかった。 実施例2(水飲みコンフリクト試験)使用動物:雄性のウィスター系(Jcl)ラットを8週齡で購入し、9週齢で使用した。薬物投与群および試験方法:以下の条件について実験を行った。(各群 n = 10 ) 1.ビヒクル (0.5% MC) 2.ジアゼパム 0.3 mg/kg 3.ジアゼパム 0.3 mg/kg +化合物A 0.3 mg/kg 4.ジアゼパム 0.3 mg/kg +化合物A 10 mg/kg 5.ジアゼパム 0.3 mg/kg +化合物A 30 mg/kg 6.化合物A 30 mg/kg 化合物Aおよびジアゼパムは、0.5% メチルセルロース溶液に2 mL / kgとなるように懸濁させ腹腔内投与した。対照群には0.5 % メチルセルロース注射用生理食塩水をビヒクルとして投与した。併用する薬液は、最終濃度の2倍の濃度の薬液を調整し、等量混合することで最終濃度とした。いずれも2 ml/kgの容量で腹腔内投与を行った。全ての投薬および試行は9:00から13:00の間に行った。 まず、ラットを個別ケージの中に入れ明暗(12時間サイクル)条件下で2日間絶水した。実験当日は60分以上実験室で馴化を行ったのち、各薬物を腹腔内投与し、投与から30分後にテストを行った。[測定条件]試験時間:300秒 ショック条件:リック数20回、またはリック時間2秒のどちらかを満足した場合ショックON時間:2秒 タイムアウト:180秒 刺激強度:0.6mA[結果] 有意差検定はビヒクル投与群と多群薬物投与群に対し、Williams検定を用いた。ビヒクル投与群と一群薬物投与群に対してはt検定を用いた。化合物A(0.3、10および30 mg/kg)の用量とジアゼパム 0.3 mg/kgの併用投与を行った。図3および図4に示すように、ビヒクル投与群との比較において、化合物A 30 mg/kgの用量で化合物Aおよびジアゼパム単独より有意にリック回数の増加およびショック回数の増加が観察された。実施例3(高架式十字迷路) 動物は、雄性のウィスター系(Jcl)ラットを5週齡で購入し、6週齢で使用した。 高架式十字迷路試験装置は、アームの長さ50cm、幅10cmのものを用いた。高さは 40cmで、クローズドアームの高さも同一にした。壁の色は黒のものを用いた。実験室の照明は装置上での照度が5luxとなるように設定した。 動物は試験2日前からハンドリングを行った。実験は8時から13時までの間に行い、実験開始1時間前から行動実験室にて測定照度で馴化を行った。 使用薬物(化合物A、メラトニン)は、0.5% メチルセルロース生理食塩水に2mL/kgとなるように懸濁させ腹腔内投与した。ビヒクル投与群には、0.5% メチルセルロース生理食塩水を同様に投与した。 高架式十字迷路試験は、動物をクローズドアーム方向へ頭を向けて迷路中央部においた後、5分間の行動を観察した。測定項目はオープンアームへの進入回数、オープンアームへの滞在時間を不安行動の指標とし、オープンアームへの進入回数、滞在時間、ディッピング回数が多いほど不安行動が少ないとした。また、クローズドアームへの進入回数を計測し、行動量の指標とした。なお、対照薬として、市販の抗不安薬であるジアゼパムが、この系で効果を示すことを確認している。各群n=10で試験した。試行は2日にわたって行い、2日分のデータをまとめたものを1試験とした。[結果] 有意差検定はビヒクル投与群と多群薬物投与群に対し、Williams検定を用いた。 図5および図6に示すように、ビヒクル投与群との比較において、化合物A投与群においては、オープンアームへの進入回数の増加、滞在時間の増加が観察された。なお、活動量の指標となるクローズドアームへの進入回数は薬物投与でほとんど変化しなかった。 一方、メラトニン投与群では、有意な作用は観察されなかった。 この試験の結果から、化合物Aは抗うつ効果および抗不安効果を有することが示された。実施例4(マウス尾懸垂試験) パロキセチンおよび化合物Aの単独試験での不動時間(Immobility)および運動量(Moving Power)に対する作用使用動物:雄性のICR系(Jcl)マウス6週齡を使用した。薬物投与群および試験方法:以下の条件について実験を行った。(各群 n = 12 ) 1.ビヒクル ( 0.5% メチルセルロース) 2.パロキセチン 0.3 mg/kg 3.パロキセチン 1 mg/kg 4.パロキセチン 3 mg/kg 5.パロキセチン 10 mg/kg 6.化合物A 3 mg/kg 7.化合物A 10 mg/kg 8.化合物A 30 mg/kg パロキセチンは0.5 % メチルセルロース注射用生理食塩水に溶解、化合物Aは0.5 % メチルセルロース注射用水に懸濁して用いた。対照群には0.5 % メチルセルロース注射用生理食塩水をビヒクルとして投与した。いずれも20 ml/kgの容量で腹腔内投与を行った。投与は尾懸垂試行30分前に行った。 動物は5連ケージに8匹づつ入れ十分馴化させ、薬物投与および試行は13:00から17:00の間に行った。[測定方法] 測定にはSteruらの方法 (Psycopharmacology 85, 367-370, 1985) に従い、作製した自動測定装置を用いた。マウスを個別に仕切られた防音箱(16cm x 38cm x 33cm)内で尾懸垂した後10分間の不動率を測定した。尾懸垂はセンサーに5cmの針金を装着し、その先に尾をテープで固定してマウスを吊すことにより行った。マウスの動きは10 msec 毎の重さをはかり、1秒の運動量としてA/Dコンパータを介して算出した。マウスの体重1%未満の運動量を不動状態として、1分毎の不動率を測定した。テストは10分間行い、実験はすべてパーソナルコンピューター (NEC-9801) により制御した。データは試行後5分間の経時的データと1分後との平均値を求めてグラフに示した。[結果] 図7〜10に示すように、SSRIであるパロキセチン0.3、1、3および10 mg/kg( i.p. )の用量で用量依存的な不動時間の減少を確認し、抗うつ様作用が確認された。しかし、その作用は多群間のWilliams検定においては有意な作用ではなかった。また、尾懸垂テスト試行時の運動量についても、パロキセチン投与群はビヒクル投与群と比較し、若干増加させる傾向が伺えた。化合物A 3、10および30 mg/kg ( i.p. )の用量では不動時間および尾懸垂テスト試行時の運動量には影響を与えなかった。実施例5(マウス尾懸垂試験) パロキセチンおよび化合物Aの併用試験での不動状態および運動量に対する作用使用動物:雄性のICR系(Jcl)マウス6週齡を使用した。薬物投与群および試験方法:以下の条件について実験を行った。(各群 n = 15-16) 1.ビヒクル ( 0.5% メチルセルロース) 2.パロキセチン 1 mg/kg 3.パロキセチン 1 mg/kg + 化合物A 1 mg/kg 4.パロキセチン 1 mg/kg + 化合物A 3 mg/kg 5.パロキセチン 1 mg/kg + 化合物A 10 mg/kg パロキセチンは0.5 % メチルセルロース注射用生理食塩水に溶解、化合物Aは0.5 % メチルセルロース注射用水に懸濁して用いた。対照群には0.5 % メチルセルロース注射用生理食塩水をビヒクルとして投与した。併用する薬液は、最終濃度の2倍の濃度の薬液を調整し、等量混合することで最終濃度とした。いずれも20 ml/kgの容量で腹腔内投与を行った。投与は尾懸垂試行30分前に行った。 動物は5連ケージに8匹づつ入れ十分馴化させ、薬物投与および試行は13:00から17:00の間に行った。[測定方法] 測定にはSteruらの方法 (Psycopharmacology 85, 367-370, 1985) に従い、作製した自動測定装置を用いた。マウスを個別に仕切られた防音箱(16cm x 38cm x 33cm)内で尾懸垂した後10分間の不動率を測定した。尾懸垂はセンサーに5cmの針金を装着し、その先に尾をテープで固定してマウスを吊すことにより行った。マウスの動きは10 msec 毎の重さをはかり、1秒の運動量としてA/Dコンパータを介して算出した。マウスの体重1%未満の運動量を不動状態として、1分毎の不動率を測定した。テストは10分間行い、実験はすべてパーソナルコンピューター (NEC-9801) により制御した。データは試行後5分間の経時的データと1分後との平均値を求めてグラフに示した。[結果] 図11〜14に示すように、パロキセチン 1 mg/kg ( i.p. )と化合物A 1、3および10 mg/kgの併用により、不動率の減少が確認され、パロキセチンの抗うつ作用を化合物Aが増強することが示めされた。製剤例 流動層造粒乾燥機中で化合物A 160g、乳糖4064g、およびトウモロコシデンプン640gを均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロース160gを溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥する。得られた造粒物をパワーミルを用い、1.5mmφパンチングスクリーンで解砕して整粒末とする。この整粒末を3894gとり、これにトウモロコシデンプン124gとステアリン酸マグネシウム12.4gを加え、混合して打錠用顆粒とする。この顆粒を打錠機で7.0mmφの杵を用いて重量130mgに打錠し素錠とする。得られた素錠はフィルムコーティング機中で酸化チタン、黄色三二酸化鉄を分散したヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、コポリビドン溶液を噴霧し、1錠当たり化合物Aを4mg含有する表1に示す処方のフィルム錠、約25000錠を得る。 本発明によれば、うつ病または不安神経症の予防または治療剤等が提供される。 (S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドと、パロキセチンおよびジアゼパムからなる他の抗うつ薬または抗不安薬から選択される1種以上の薬剤とを組み合わせてなる、うつ病または不安神経症の予防または治療用の医薬組成物。 (S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドと、パロキセチンおよびジアゼパムからなる他の抗うつ薬または抗不安薬から選択される1種以上の薬剤とを組み合わせてなり、(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドと他の抗うつ薬または抗不安薬とを同時に製剤化して得られる単一の製剤、または、(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドと他の抗うつ薬または抗不安薬とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の形態である、うつ病または不安神経症の予防または治療用の医薬組成物。


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