生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_AMPK活性化剤
出願番号:2007093527
年次:2008
IPC分類:A61K 31/198,A61P 43/00,A61P 3/06,A61P 1/16,A61P 3/10,A61P 9/10,A23L 1/305,A23K 1/16


特許情報キャッシュ

平林 由里 村上 仁志 小林 久峰 JP 2008247856 公開特許公報(A) 20081016 2007093527 20070330 AMPK活性化剤 味の素株式会社 000000066 熊倉 禎男 100082005 小川 信夫 100084009 箱田 篤 100084663 浅井 賢治 100093300 平山 孝二 100114007 松田 七重 100123766 平林 由里 村上 仁志 小林 久峰 A61K 31/198 20060101AFI20080919BHJP A61P 43/00 20060101ALI20080919BHJP A61P 3/06 20060101ALI20080919BHJP A61P 1/16 20060101ALI20080919BHJP A61P 3/10 20060101ALI20080919BHJP A61P 9/10 20060101ALI20080919BHJP A23L 1/305 20060101ALI20080919BHJP A23K 1/16 20060101ALI20080919BHJP JPA61K31/198A61P43/00 111A61P3/06A61P1/16A61P3/10A61P9/10 101A23L1/305A23K1/16 301G 12 1 OL 8 2B150 4B018 4C206 2B150DA48 4B018LE01 4B018LE02 4B018LE03 4B018LE05 4B018MD19 4B018ME03 4B018ME04 4B018ME14 4C206AA01 4C206AA02 4C206FA53 4C206MA01 4C206MA04 4C206MA72 4C206NA14 4C206ZA45 4C206ZA70 4C206ZB21 4C206ZC19 4C206ZC33 4C206ZC35 本発明は、リジンを有効成分として含有することを特徴とするAMPK(AMP-activated protein kinase)活性化剤に関する。 AMPKはエネルギー代謝を制御する因子であり、糖及び脂質の代謝を制御する。 AMPKが活性化すると、ACC(アセチルCoAカルボキシラーゼ)が不活性化し、アセチルCoAからマロニルCoAへの代謝が阻害される。マロニルCoA濃度が低下すると、長鎖脂肪酸をミトコンドリア内に取り込む役割をするカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ(CPT−1)が活性化し、脂肪酸酸化(ベータ酸化)が増加することが知られている。また、AMPKの活性化により、脂肪酸合成低下、糖新生抑制、コレステロール合成低下が起こることも知られている(非特許文献1、2、3)。 このように、AMPKは糖及び脂質の代謝を制御し、生体のエネルギー代謝に重要な役割を果たしている。よって、AMPKが活性化することで、脂肪酸酸化増加、脂肪肝抑制、血糖上昇抑制、抗糖尿病、抗高コレステロール血症、動脈硬化抑制などの効果が期待できることから、AMPK活性化剤の開発が望まれている。B.Xue, B.B.Kahn, J.Physiol., 574 73−83, 2006D.G. Hardie, J.W.Scott, J.Physiol., 574, 7−15, 2006B.B. Kahn, D.G.Hardie, Cell Metabolism, 1, 15−26, 2005 先に説明した背景技術のもとにおいて、本発明の目的はAMPK活性化剤の提供にある。 本発明者は、前記記載の目的を達成すべく鋭意研究の結果、アミノ酸の一つであるリジンがAMPK活性化作用を持つことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明により、リジンを有効成分として含有することを特徴とするAMPK活性化剤を提供する。 本発明によりAMPKを活性化することができる。すなわち、AMPKを活性化し、脂肪酸酸化増加、脂肪酸合成低下、糖新生抑制、コレステロール合成低下などが起こることより、脂質代謝改善、脂肪肝抑制、血糖上昇抑制、抗糖尿病、抗高コレステロール血症、動脈硬化抑制などの効果を得ることができる。 本発明で使用するリジンは、いかなる形態であってもよい。具体的には、遊離態、ペプチド態、塩類及び溶媒和物等の形態をとることができる。ここで言うペプチド態とは、アミノ酸が2〜50個結合したものをさし、より好ましくは2〜10個のアミノ酸が結合したものであり、リジルリジンなどのオリゴペプチドをさす。ペプチド態は、リジンのみからなるものでもよいし、リジンに加え他のアミノ酸を含んでいてもよい。塩としては、例えば、式中のカルボキシル基に対しては、アンモニウム塩、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、トリエチルアミン、エタノールアミン等の有機アミンとの塩を、塩基性塩に関しては、塩酸、硫酸、リン酸などの無機塩との塩、酢酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸などの有機カルボン酸との塩、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸との塩、L−グルタミン酸、L−アスパラギン酸などL−アミノ酸との複合塩を挙げることができる。溶媒和物としては、水和物、アルコール付加物等をあげることができる。また、リジンは、L体であることが望ましくDL体でもよい。種々の形態のリジンは、2種類以上を併用することのできることは言うまでもない。このうち、ヒトの摂食に際しては、食品としての使用経験の観点から、塩の形態が好ましく、特にL−リジン塩酸塩、L−リジン酢酸塩およびL−リジンL−グルタミン酸塩、L−リジンL−アスパラギン酸塩を使用することが特に好ましい。 本発明において、一日当たりの摂取重量として、摂取対象の体重1kgあたり40〜200mgとなる量でリジンを含有するのが好ましい。100〜200mgが更に好ましい。この範囲は以下のようにして決定した。即ち、本発明者らがマウスに20重量%タンパク食を摂取させたところ、リジンの摂取量が食事の乾燥重量を基準として、一回の食事あたりそれぞれ0.8〜4重量%の場合に、安全かつ最大限に体脂肪の増加が抑制され、この作用はAMPKの活性化によることが確認された。これは、タンパク質摂取重量に対し、4〜20重量%となる。ヒトの場合、一日あたりのタンパク質摂取重量は体重1kgあたり約1gであることから、一日あたりリジンの摂取重量に換算すると体重1kgあたりそれぞれ40〜200mgの量となる。上限値については、FDA等によりアミノ酸の最大許容摂取量は明確に示されていないものの、ヒトに対する安全性を勘案すると、ヒトの体重1kgあたり200mgより多く摂取した場合、単一のアミノ酸を多量に取ることとなり、アミノ酸バランスの点からあまり好ましくないことを考慮しても上限を200mgとするのが良い。なお、リジンの形態は各種あるが、本発明でいうリジン摂取重量は、リジンの遊離態換算での重量をさす。 本発明のAMPK活性化剤等は、粉体または液体混合物等の形態で流通に置くことができる。また、製品分類としては、脂質代謝改善、脂肪肝抑制、血糖上昇抑制(糖尿病患者、糖尿病には罹っていないものの血糖値、特に食後血糖値が気になる人(少し高めの人)及び健常な人を対象とする、血糖値、特に食後血糖値の上昇の改善又は予防用)、抗糖尿病(糖尿病治療用)、抗高コレステロール血症、動脈硬化抑制などのために用いられるものである旨の表示を附したサプリメント、飲料、調味料、加工食品、医薬品などとして流通に供することができる。 サプリメント形態の場合、乳化剤、色素、香料等と混合し、錠剤、カプセル状、リキッド状等の剤型をとることができる。 飲料、調味料、加工食品等の食品形態の場合、適宜の添加剤を使用して常法により調製することもできる。このような添加剤としては味を調整改良する果汁、デキストリンなどの賦形剤、バニリンなどの嬌味剤、ベニバナ色素などの色素、環状オリゴ糖、糖類(果糖、ブドウ糖、液糖、蔗糖)、酸味料、香料、抹茶粉末、油脂、テクスチャーを改善する乳化剤、コラーゲン、全脂粉乳、増粘多糖類や寒天(ゼリー飲料の場合)などを挙げる事ができる。更に、糖質、脂質、タンパク質、アミノ酸、ビタミン類、特にビタミンB2、ビタミンC、卵殻カルシウム、パントテン酸カルシウム、その他のミネラル類、特にカルシウム、ローヤルゼリー、プロポリス、蜂蜜、食物繊維、アガリクス、キチン、キトサン、カプサイシン、ポリフェノール、カロテノイド、脂肪酸、ムコ多糖、補酵素、抗酸化物質などと配合することができる。 医薬品の場合、医薬的に許容できる担体又は希釈剤、例えばカルボキシメチルセルロース・エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポテトスターチ・コーンスターチ等の澱粉類、乳糖・ショ糖等の糖類、ピーナッツ油・コーン油・ゴマ油等の植物性油、ポリエチレングリコール、アルギン酸、ゼラチン、タルク等と混合し、錠剤・散剤・丸剤・顆粒剤・カプセル剤・シロップ等の経口剤、皮下注射剤・静脈内注射剤・筋肉内注射剤・硬膜外腔注射剤・くも膜下腔注射剤等の注射剤、経鼻投与製剤・経皮製剤・軟膏剤等の外用剤、直腸坐剤・膣坐剤等の坐剤、点滴剤等の剤形とすることができる。本発明の医薬品は、経口的又は非経口的に、例えば経腸、経静脈投与することができる。 本発明のAMPK活性化剤等を摂取または給餌する対象は、ヒトまたは動物であり、動物は犬、猫、ウサギ、フェレット、ハムスター、鳥などのペットや動物園の動物、さらには(競走)馬、牛、羊、豚、鳥などの家畜(産業動物)などの動物であって、特別の制限はない。従って、本発明物は飼料としてもよい。例えば、当該技術分野において周知の方法に従い、本発明のAMPK活性化剤等を飼料用の固体又は液体の添加剤とすることもできる。 具体的な摂取法として、サプリメントとして一日当りヒトの体重1kg当りリジンとして40〜200mg摂取する方法があげられる。摂取するタイミング、回数は問わない。好ましくは食事と一緒、またはその前後に摂取するのがよい。たとえば、体重60kgのヒトが摂取する場合、リジンとして1日当りの摂取量の範囲は2.4g〜12gである。サプリメントや医薬品であれば、1単位包装当りリジンを、アミノ酸遊離体換算量で、1gより多く12g以下、好ましくは1gより多く4g以下含有する包装形態の本発明のAMPK活性化剤等とし、これを1日1〜3袋服用するとよい。食品、例えば冷凍食品であれば、一食あたり1gより多く12g以下、好ましくは2.4gより多く4g以下のリジンを含有するものを、1日1〜3回食しても良い。サプリメント等と組み合わせて使用量を同様にすればよい。<実験例1> C57BL/6Jマウス雄性9週齢、16匹を用いた。16時間絶食後、暗期開始後に、1)25%高脂肪食(HF)、もしくは2)3%L-リジン塩酸塩添加25%高脂肪食(HF3K)を4時間摂食させた(8匹/群)。以下、実験例1で用いた飼料組成を表1に示す。4時間後、断頭屠殺し、肝臓、筋肉を採取した。肝臓および筋肉をホモジナイズし、得られた上清蛋白質溶液をSDS-PAGEに供した後、ウエスタンブロット法にてphosho−AMPK(pAMPK)、又はAMPKを検出した。検出されたバンド強度を数値化し、AMPKの活性化をAMPKのリン酸化を指標に評価した。すなわち、HF群のpAMPKバンド強度/AMPKバンド強度を1とし、それに対するHF3K群の相対値を評価した。 図1に肝臓中pAMPK/AMPK比を、図2に筋肉中pAMPK/AMPK比を示した。いずれもHF群に比し、HF3K群でAMPK活性の上昇が認められ、特に肝臓においては有意な増加を示し、本発明に含まれるリジンがAMPKを活性化させることが示された。<実験例2> Wistar系ラット雄性9週齢を用いた。実験群は、1)25%高脂肪食群(HF)、2)3% L-リジン塩酸塩添加25%高脂肪食群(HF3K)の2群を設けた(各群4匹)。16時間絶食後、各試験食5gを1時間摂取させたのち、経時的(0、1、2、3、4時間)に採血し、血中グルコース濃度を測定した。 図3に血糖値の変化を示した。HF群に比しHF3K群で低下傾向を示し、食後3時間で有意な低値を示した。この結果より、本発明に含まれるリジンは、糖代謝を改善し、食後血糖値の上昇を抑制していることが示された。<実験例3> C57BL/6Jマウス雄性9週齢、20匹を用いた。実験群は、1)25%高脂肪食群(HF)、2)3% L-リジン塩酸塩添加25%高脂肪食群(HF3K)の2群(10匹/群)を設け、4週間、試験食を供与した。試験食摂取4週目に剖検を行い、肝臓中脂質含量を測定した。 図4に肝臓中脂質含量を示した。HF群に比しHF3K群で有意な低下を示した。この結果より、本発明に含まれるリジンは、脂肪肝抑制作用をもつことが示された。肝臓中AMPK活性を示す(実験例1)。筋肉中AMPK活性を示す(実験例1)。血糖値の変化を示す(実験例2)。肝臓中脂質含量を示す(実験例3)。 リジンを有効成分として含有するAMPK活性化剤。 リジンを有効成分として含有する脂肪肝抑制剤。 リジンを有効成分として含有する抗糖尿病剤。 リジンを有効成分として含有する血糖上昇抑制剤。 リジンを有効成分として含有する抗高コレステロール血症剤。 リジンを有効成分として含有する動脈硬化抑制剤。 1日あたりの摂取量として、摂取対象の体重1kgあたり、アミノ酸遊離体換算量で、40〜200mgとなる量のリジンを含有することを特徴とするAMPK活性化剤。 1日あたりの摂取量として、摂取対象の体重1kgあたり、アミノ酸遊離体換算量で、40〜200mgとなる量のリジンを含有することを特徴とする脂肪肝抑制剤、抗糖尿病剤、血糖上昇抑制剤、抗高コレステロール血症剤又は動脈硬化抑制剤。 1単位包装当りリジンを、アミノ酸遊離体換算量で、1gより多く12g以下含有することを特徴とするAMPK活性化剤。 1単位包装当りリジンを、アミノ酸遊離体換算量で、1gより多く12g以下含有することを特徴とする脂肪肝抑制剤、抗糖尿病剤、血糖上昇抑制剤、抗高コレステロール血症剤又は動脈硬化抑制剤。 食品、サプリメント、医薬品又は飼料の形態である請求項1,8又は10記載のAMPK活性化剤。 食品、サプリメント、医薬品又は飼料の形態である請求項2〜7,9又は11記載の脂肪肝抑制剤、抗糖尿病剤、血糖上昇抑制剤、抗高コレステロール血症剤又は動脈硬化抑制剤。 【課題】糖および脂質の代謝を制御し、生体のエネルギー代謝に重要な役割を果たしているAMPKについて、新規なAMPK(AMP-activated protein kinase)活性化剤を提供する。【解決手段】アミノ7酸の一つであるリジンを有効成分として含有することを特徴とするAMPK活性化剤が、脂肪酸酸化増加、脂肪酸合成低下、糖新生抑制、コレステロール合成低下などが起こることより、脂質代謝改善、脂肪肝抑制、血糖上昇抑制、抗糖尿病、抗高コレステロール血症、動脈硬化抑制などの効果を得る。【選択図】図1


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