タイトル: | 特許公報(B2)_ウレトジオン基含有ポリイソシアネートの製造方法 |
出願番号: | 2004336074 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C07D 229/00,C07B 61/00 |
フランク・リヒター ラインハルト・ハルパープ ハンス−ヨーゼフ・ラース アンドレアス・ヘッキング JP 4848127 特許公報(B2) 20111021 2004336074 20041119 ウレトジオン基含有ポリイソシアネートの製造方法 バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト 504037346 Bayer MaterialScience AG 青山 葆 100062144 柴田 康夫 100083356 森住 憲一 100104592 フランク・リヒター ラインハルト・ハルパープ ハンス−ヨーゼフ・ラース アンドレアス・ヘッキング DE 10354544-1 20031121 20111228 C07D 229/00 20060101AFI20111208BHJP C07B 61/00 20060101ALN20111208BHJP JPC07D229/00C07B61/00 300 C07D 229/00 C07B 61/00 CA/REGISTRY(STN) 特開2002−047333(JP,A) 特開平09−188742(JP,A) 特開平09−208563(JP,A) 2 2005154443 20050616 17 20071115 松波 由美子 本発明は、イソシアネート二量化(ウレトジオン形成)のための触媒として特有のシクロアルキルホスフィンを使用してイソシアネートの二量体を製造する方法に関する。 ウレトジオン基を有し、任意に枝分かれしている線状脂肪族ジイソシアネートをベースとする脂肪族イソシアネートは、特に低い粘度により区別される。脂環式ジイソシアネートをベースとする生成物は、一般に高粘度または固体物質であり、これは、塗料系において放出生成物の無い内部ブロック化架橋剤として使用することができる。 イソシアネートのオリゴマー化の概観は、J. Prakt. Chem./Chem. Ztg. 1994, 336, 185-200 で与えられている。 トリス(ジアルキルアミノ)ホスフィン(独国特許出願公開第3 030 513号)は、任意に助触媒(独国特許出願公開第3 437 635号)とともに、ウレトジオン基形成のための良好な選択性(ウレトジオン選択性)を示す。しかしながらそれらの技術的有用性は、それらのリン酸化物、例えばヘキサメチルリン酸アミドの高い発癌の可能性により示される重大な欠点により妨げられる。 独国特許出願公開第3 739 549号は、4-ジアルキルアミノピリジン、例えば4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)での触媒NCO二量化を開示しているが、そのウレトジオン形成は、特定の脂環式イソシアネート、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)の場合にしか選択されない。直鎖脂肪族イソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、およびまた枝分かれしている線状脂肪族イソシアネート、例えばトリメチルヘキサンジイソシアネート(TMDI)およびメチルペンタンジイソシアネート(MPDI)は、DMAPおよび関連化合物と使用される場合、主として非常に着色する不均一反応生成物を生ずる。 独国特許出願公開第1 670 720号は、ウレトジオン基を有する脂肪族ポリイソシアネートの製造を開示し、その中で使用される触媒は、少なくとも1つの脂肪族置換基を有する第3級ホスフィン、およびまた三フッ化ホウ素およびその付加物である。その生成物中での高いウレトジオン基画分は、低い転化率および50〜80℃の間の反応温度で、イソシアネートトリマー(イソシアヌレートおよびイミノオキサジアジンジオン)の形成を伴い、およびまた特に相対的に高温で、他の副生成物、例えばカルボジイミドまたはウレトンイミンの形成を伴ってのみ得ることができることが特筆される。ウレトンイミンは、特に混乱を引き起こすものである。なぜならそれらは、貯蔵中にモノマーイソシアネートを放出する傾向があるからである。 本明細書の優先日ではまだ未公開の出願番号 DE-1 025 487 8 の独国特許出願は、少なくとも1つの脂環式P結合基を有するホスフィンのNCO二量化のための触媒としての使用を記載している。その触媒は、先行技術の他のトリアルキルホスフィンと比べて充分に高いウレトジオン選択性により区別される。独国特許出願公開第3 030 513号独国特許出願公開第3 437 635号独国特許出願公開第3 739 549号独国特許出願公開第1 670 720号J. Prakt. Chem./Chem. Ztg. 1994, 336, 185-200 従って本発明が解決しようとする課題は、先行技術の欠点を伴わない高いウレトジオン選択性を有するイソシアネート二量化の方法、高いウレトジオン基含有量を有するポリイソシアネート、およびその使用を提供することであった。 本発明は、後記の式(I)で示される、直接リンと結合している二環式の脂環式基少なくとも1つを有するホスフィンの存在下で有機イソシアネートを反応させることを含む、ウレトジオン基を有するイソシアネート二量体の製造方法を提供する。 本発明はさらに、 a)NCO官能価≧2を有する少なくとも1種の有機イソシアネート、 b)後記の式(I)で示される、直接リンと結合している二環式の脂環式基少なくとも1つを有する少なくとも1種のホスフィンを含む触媒、および c)任意に溶媒を含む混合物を反応させることを含む、ウレトジオン基を有するイソシアネート二量体の製造方法も提供する。 付随して、本発明は、上記本発明の製造方法により得られたポリイソシアネート組成物、並びに上記のポリイソシアネート組成物および酸化防止剤、光安定剤、顔料、フィラー、添加剤、レべリング助剤、脱泡剤および艶消剤から選ばれる1種またはそれ以上の物質を含む、成形品、塗料物質、接着剤、シーラントまたはアジュバントも提供する。 本発明は、上記の塗料物質、接着剤またはシーラント1つまたはそれ以上で被覆された基材も提供する。 実施例または別に示されている場合以外、明細書および特許請求の範囲中で使用される成分、反応条件などの量に関する全ての数または表現は、全ての場合で用語「約」により修飾されていると理解されるべきである。 直接リンに結合している二環式の脂環式基少なくとも1つを有するホスフィンは、ウレトジオンの選択的形成(イソシアネート二量化)のための触媒としても、非常に適していることを見出した。さらに本発明に必須のホスフィンは、環式P結合置換基の所定数について、単環式置換基を有するそれらの類似体よりも高い選択性および長い触媒寿命を有する。 本発明は、直接リンに結合している二環式の脂環式基少なくとも1つを有するホスフィンの、イソシアネート二量化における使用も規定する。 イソシアネート二量化のために好ましいホスフィンは、式:〔式中、 R1は、任意に単一または複数でC1〜C12アルキルまたはアルコキシ置換されている、二環式の脂環式C4〜C20基であり、 R2、R3は、相互に独立に、任意に単一または複数でC1〜C12アルキルまたはアルコキシ置換されている、単環式若しくは二環式の脂環式C4〜C20基または直鎖若しくは分枝脂肪族C1〜C20基である。〕に相当する。 式(I)で示される好ましい化合物は、R1が、単一または複数でC1〜C12アルキルまたはアルコキシ置換されているノルボルニル基(=2,2,1-ビシクロヘプチル基)であり、R2が、R1またはR3のいずれかと同じであり、R3が、単一または複数でC1〜C8アルキル置換されている脂肪族C1〜C12アルキル基である化合物である。 本発明に従い使用するホスフィンの例は、以下のものである:ノルボルニルジメチルホスフィン、ノルボルニルジエチルホスフィン、ノルボルニルジ-n-プロピルホスフィン、ノルボルニルジイソプロピルホスフィン、ノルボルニルジブチルホスフィン(この場合、「ブチル」は、あらゆる異性体、即ちn-ブチル、イソブチル、2-ブチル、t-ブチルおよびシクロブチルを表し得る)、ノルボルニルジヘキシルホスフィン(あらゆる異性体のヘキシル基)、ノルボルニルジオクチルホスフィン(あらゆる異性体のオクチル基)、ジノルボルニルメチルホスフィン、ジノルボルニルエチルホスフィン、ジノルボルニル-n-プロピルホスフィン、ジノルボルニルイソプロピルホスフィン、ジノルボルニルブチルホスフィン(あらゆる異性体のブチル基)、ジノルボルニルヘキシルホスフィン(あらゆる異性体のヘキシル基)、ジノルボルニルオクチルホスフィン(あらゆる異性体のオクチル基)、トリノルボルニルホスフィン、ジメチル-(1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル)-ホスフィン、ジエチル-(1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル)-ホスフィン、ジ-n-プロピル-(1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル)-ホスフィン、ジイソプロピル-(1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル)-ホスフィン、ジブチル-(1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル)-ホスフィン(あらゆる異性体のブチル基)、ジヘキシル-(1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル)-ホスフィン(あらゆる異性体のヘキシル基)、ジオクチル-(1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル)-ホスフィン(あらゆる異性体のオクチル基)、メチルビス-(1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル)-ホスフィン、エチルビス-(1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル)-ホスフィン、n-プロピルビス-(1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル)-ホスフィン、イソプロピルビス-(1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル)-ホスフィン、ブチルビス-(1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル)-ホスフィン(あらゆる異性体のブチル基)、ヘキシルビス-(1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル)-ホスフィン(あらゆる異性体のヘキシル基)、オクチルビス-(1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル)-ホスフィン(あらゆる異性体のオクチル基)、ジメチル-(2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト-3-イル)-ホスフィン、ジエチル-(2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト-3-イル)-ホスフィン、ジ-n-プロピル-(2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト-3-イル)-ホスフィン、ジイソプロピル-(2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト-3-イル)-ホスフィン、ジブチル-(2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト-3-イル)-ホスフィン(あらゆる異性体のブチル基)、ジヘキシル-(2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト-3-イル)-ホスフィン(あらゆる異性体のヘキシル基)、ジオクチル-(2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト-3-イル)-ホスフィン(あらゆる異性体のオクチル基)、メチルビス-(2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト-3-イル)-ホスフィン、エチルビス-(2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト-3-イル)-ホスフィン、n-プロピルビス-(2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト-3-イル)-ホスフィン、イソプロピルビス-(2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト-3-イル)-ホスフィン、ブチルビス-(2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト-3-イル)-ホスフィン(あらゆる異性体のブチル基)、ヘキシルビス-(2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト-3-イル)-ホスフィン(あらゆる異性体のヘキシル基)、およびオクチルビス-(2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト-3-イル)-ホスフィン(あらゆる異性体のオクチル基)。 これらを、ウレトジオン形成のための触媒として、個々に、相互のあらゆる所望混合物で、または他の第1級、第2級および/または第3級アルキル-、アラルキル-および/またはアリールホスフィンとの混合物で使用することができる。 本発明は、さらにウレトジオン基を有するポリイソシアネートの製造方法を提供し、その中で、 a)NCO官能価≧2を有する少なくとも1種の有機イソシアネート、 b)本発明に従い使用する少なくとも1種のホスフィンを含む触媒、および c)任意に溶媒 d)任意に添加剤が反応させられる。 本発明の方法において使用する触媒量は、第一に目標とする反応速度により左右され、使用イソシアネートおよび触媒のモル量の合計を基準に0.01〜5モル%の範囲にある。0.05〜3モル%の触媒を使用することが好ましい。 本発明の方法において触媒b)を、ニートでまたは溶媒中の溶液で使用することができる。これに関して適当な溶媒は、ホスフィンと反応しないあらゆる化合物、例えば脂肪族または芳香族炭化水素、アルコール、ケトン、エステルおよびエーテルを含む。好ましくは、ホスフィンは本発明の方法においてニートで使用される。 本発明に従いa)において使用するイソシアネートとして、原則、ホスゲン化またはホスゲンフリープロセスにより製造されるあらゆる既知のイソシアネートを個々にまたは相互のあらゆる所望混合物で使用することができる。 好ましくは、NCO官能価≧2を有する脂肪族、脂環式または芳香脂肪族のジ-またはポリイソシアネートを使用する。 特に好ましくは、任意に環式基を有し、第1級炭素原子に結合したイソシアネート基を有し、任意に枝分かれしている脂肪族ジイソシアネートを使用する。その例は、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ウンデカンジイソシアネートおよびドデカンジイソシアネートであり、前記化合物のあらゆる所望異性体を用いることができる。 まさに好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、メチルペンタンジイソシアネート(MPDI)、トリメチルヘキサンジイソシアネート(TMDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)およびノルボルナンジイソシアネート(NBDI)を、個々にまたは相互のあらゆる所望混合物で使用する。 さらに、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアナトシクロへキシル)メタン(H12MDI)、ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(キシリレンジイソシアネート、XDI)およびビス(2-イソシアナトプロプ-2-イル)ベンゼン(テトラメチルキシリレンジイソシアネート、TMXDI)を本発明の方法で使用することができる。 本発明の方法は、NCO基の転化率が、5〜90%、好ましくは10〜60%、より好ましくは10〜50%であるように行われる。 本発明の方法は、0℃〜150℃、好ましくは0℃〜80℃、より好ましくは0℃〜60℃、特に0℃〜40℃の温度範囲で行われる。 上記範囲のとおりのNCO基転化率を達成するために、反応は所望の転化率で停止される。 所望の転化率に達した後で反応を停止させるために適当な触媒毒は、原則、従来記載されているあらゆるもの(独国特許出願公開第1670667号、同第1670720号、同第1934763号、同第1954093号、同第3437635号、米国特許第4614785号)、例えばアルキル化剤(例えばジメチルスルフェート、メチルトルエンスルホネート)、有機または無機パーオキシド、酸塩化物およびまたは硫黄を含み、これらは、適切な場合に温度を上昇させて触媒と反応させられる(変法A、実施例1〜6も参照)。 変法Aに従い反応混合物を失活させた後、未反応モノマーおよび/または失活触媒を分離することができる。 該方法を、触媒の化学失活なしでも行うことができる。その目的のために、所望の転化率に達した直後に、副生成物の形成を伴い得るさらなる反応を妨げるために、活性触媒が反応混合物から分離される(変法B)。 触媒が分離されるのと同時に、またはその後に、未反応残留モノマーを、変法Bに従い処理される反応混合物から分離することができる。 本発明の方法において未反応モノマー、触媒および/または他の望ましくない成分を、あらゆる既知の分離技術、例えば蒸留、抽出または結晶化/濾過を使用して、反応混合物から分離することができる。好ましいものは、蒸留、適切な場合に薄膜蒸留の特有の実施態様での蒸留である。当然、これらの技術の2つまたはそれ以上の組合せを用いることもできる。 変法Bに従い反応を停止させるために、蒸留により触媒を除去することが好ましく、その場合、適切ならば同時に未反応モノマーを除去することができる。 変法AまたはBに従い停止させた反応の処理中に、存在する残留モノマーは、好ましくは蒸留により除去される。 例えば粉末塗料分野のための、例えばNCOブロック化生成物または低NCO若しくはNCO無含有ポリウレトジオン硬化剤にさらに加工するために重要であるように、本発明に従い製造されるポリイソシアネートがなお遊離未反応モノマーを含有することが予定される場合、反応停止後にモノマーを分離せずに済ませることができる(変法AおよびB)。 本発明の方法の実施にとって、該方法が全体または部分的にバッチ式または連続式に行われるかどうかは関係が無い。 さらに本発明の方法において、ポリイソシアネート化学において通例の安定剤および添加剤を、あらゆる所望の時点で添加することができる。その例は、酸化防止剤、例えば立体障害フェノール(2,6-ジ-t-ブチルフェノール、4-メチル-2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、光安定剤、例えばHALSアミン、トリアゾールなど、弱酸、またはNCO-OH反応のための触媒、例えばジブチルスズジラウレート(DBTL)である。 さらに、例えば逆開裂の安定性を向上させるため、並びに生成物の貯蔵中に副生成物の形成、着色および/または遊離NCO基のさらなる反応への傾向を減少させるために、変法Aにおいて使用する触媒毒の少量を、変法Bに従い処理される生成物に添加することが実際的であり得る。 本発明の方法により製造され、任意に枝分かれしている線状脂肪族のジ-またはポリイソシアネートをベースとし、シクロアルキル置換基を有さない生成物は、淡色であり、粘度<1000mPas/23℃を有する。脂環式および/または芳香脂肪族のジ-またはポリイソシアネートが使用される場合、得られる樹脂は、高粘性から固体(粘度>10,000mPas/23℃)までの範囲にわたる。 低モノマー形態において、即ち未反応モノマーの除去後に、本発明の生成物は、NCO含有量<27.3質量%、好ましくは<25質量%を有する。 本発明の方法に対して製造されるポリイソシアネートは、例えば成形品(適切な場合に発泡品)、ペイント、塗料物質、接着剤、シーラントまたはアジュバントを製造するための出発物質として機能し、適切な場合にウレトジオン化されていない遊離NCO基をブロック化することができる。 ウレトジオン化されていない遊離NCO基をブロック化するために適当な方法は、当業者に知られているあらゆるものを含む。ブロック化剤として、特にフェノール(例えばフェノール、ノニルフェノール、クレゾール)、オキシム(例えばブタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム)、例えばラクタム(ε-カプロラクタム)、第2級アミン(例えばジイソプロピルアミン)、ピラゾール(例えばジメチルピラゾール)、イミダゾール、トリアゾール、またはマロン酸エステルおよび酢酸エステルを使用することができる。 本発明の方法により製造される実質的に副生成物の無いウレトジオン基含有ポリイソシアネートを、特に一成分および二成分ポリウレタン塗料物質を製造するために、適切な場合に他の先行技術のジ-またはポリイソシアネート、例えばビウレット、ウレタン、アロファネート、イソシアヌレートおよびイミノオキサジアジンジオン基を有するジ-またはポリイソシアネートとの混合物中で使用することができる。 同様に特に好ましいことは、相対的に高粘度のポリイソシアネート樹脂の粘度を減少させるための反応性希釈剤としての、本発明の方法に従い製造され、任意に枝分かれしている線状脂肪族イソシアネートを基礎とするポリイソシアネートの使用である。 本発明に従い製造されるポリイソシアネートのポリウレタンを形成する反応のために、少なくとも2つのイソシアネート反応性官能基を有するあらゆる混合物を、個々にまたは相互のあらゆる所望混合物で使用することができる(イソシアネート反応性結合剤)。 好ましくは、ポリウレタン化学において自体既知の1種またはそれ以上のイソシアネート反応性結合剤、例えばポリヒドロキシ化合物またはポリアミンを使用する。ポリヒドロキシ化合物として、ポリエステル-、ポリエーテル-、ポリアクリレート-および/またはポリカルボン酸-ポリオールを、適切な場合に低分子量多価アルコールも添加して、使用することが特に好ましい。 適切な場合にブロック化されていても良い未ウレトジオン化イソシアネート基と、イソシアネート反応性結合剤のイソシアネート反応性官能基、例えばOH-、NH-またはCOOHとの間の当量比は、0.8〜3、好ましくは0.8〜2である。 過剰のイソシアネート反応性結合剤を使用することが可能である。なぜなら適切な場合に高温および/または触媒添加によるウレトジオン環の開裂は、さらなるNCO基の遊離を導き、これらは、過剰のイソシアネート反応性官能基と反応することができるからである。結果として、形成ポリマーの網状組織密度が向上し、その特性が有利に影響を受ける。 本発明に従い製造されるポリイソシアネートとイソシアネート反応性結合剤との架橋反応を促進するために、ポリウレタン化学で既知のあらゆる触媒を使用することができる。例として、金属塩、例えばジブチルスズ(IV)ジラウレート、スズ(II)ビス(2-エチルヘキサノエート)、ビスマス(III)トリス(2-エチルヘキサノエート)、亜鉛(II)ビス(2-エチルヘキサノエート)または塩化亜鉛、およびまた第3級アミン、例えば1,4ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリエチルアミンまたはベンジルジメチルアミンを使用することができる。 配合段階で、本発明に従い製造され、任意にブロック化されているポリイソシアネート、イソシアネート反応性結合剤、触媒、および使用する場合に通常の追加物、例えば顔料、フィラー、添加剤、レベリング助剤、脱泡剤および/または艶消剤は、通例の混合装置、例えばサンドミル内で、適切な場合に溶媒を使用して相互に混合され、均一化される。 適当な溶媒は、自体既知のあらゆる通例のペイント溶剤、例えば酢酸エチルおよびブチル、エチレンまたはプロピレングリコールモノメチル、モノエチルまたはモノプロピルエーテルアセテート、2-ブタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレンソルベントナフサ、N-メチルピロリドンなどを含む。 塗料物質を、溶液で、または溶融物から、およびまた適切な場合に固体形態(粉末塗料物質)で、例えば塗布、ローリング、流し込み、噴霧若しくは浸漬のような通例の方法により、流動層焼結法により、または静電吹付け法により、被覆される物品に適用することができる。 適当な基材は、建設のあらゆる既知の物質、特に金属、木材、プラスチックおよびセラミックを含む。 以下、本発明およびその好ましい実施態様をまとめて示す。 1.直接リンと結合している二環式の脂環式基少なくとも1つを有するホスフィンの存在下でイソシアネートを反応させることを含む、イソシアネート二量体の製造方法。 2.a)NCO官能価≧2を有する少なくとも1種の有機イソシアネート、 b)直接リンと結合している二環式の脂環式基少なくとも1つを有する少なくとも1種のホスフィンを含む触媒、および c)任意に溶媒を含む混合物を反応させることを含む、イソシアネート二量体の製造方法。 3.二量化を、0〜150℃の温度でNCO基の転化率5〜90%まで行い、その後に停止させる、上記2項に記載のイソシアネート二量体の製造方法。 4.成分a)が、NCO官能価≧2を有する脂肪族、脂環式、または芳香脂肪族のジ-またはポリイソシアネートを含む上記2項に記載のイソシアネート二量体の製造方法。 5.上記2項に記載の方法により得られたポリイソシアネート組成物。 6.上記5項に記載のポリイソシアネート組成物、および酸化防止剤、光安定剤、顔料、フィラー、添加剤、レベリング助剤、脱泡剤および艶消剤からなる群から選ばれる1種またはそれ以上の物質を含む、成形品、塗料物質、接着剤、シーラントまたはアジュバント。 7.上記6項に記載の塗料物質、接着剤またはシーラントで被覆された基材。 8.混合物が、酸化防止剤、光安定剤およびNCO-OH反応のための触媒からなる群から選ばれる1種またはそれ以上の添加剤をさらに含む上記2項に記載の方法。 9.成分a)が、NCO官能価≧2を有する脂肪族、脂環式、または芳香脂肪族のジ-またはポリイソシアネートを含む上記3項に記載のイソシアネート二量体の製造方法。 10.上記3項に記載の方法により得られたポリイソシアネート組成物。 11.上記10項に記載のポリイソシアネート組成物、および酸化防止剤、光安定剤、顔料、フィラー、添加剤、レべリング助剤、脱泡剤および艶消剤からなる群から選ばれる1種またはそれ以上の物質を含む、成形品、塗料物質、接着剤、シーラントまたはアジュバント。 12.上記11項に記載の塗料物質、接着剤またはシーラントで被覆された基材。 13.上記4項に記載の方法により得られたポリイソシアネート組成物。 14.上記13項に記載のポリイソシアネート組成物、および酸化防止剤、光安定剤、顔料、フィラー、添加剤、レベリング助剤、脱泡剤および艶消剤からなる群から選ばれる1種またはそれ以上の物質を含む、成形品、塗料物質、接着剤、シーラントまたはアジュバント。 15.上記14項に記載の塗料物質、接着剤またはシーラントで被覆された基材。 全ての割合(%)は、他の言及がない限り、質量%であると理解されるべきである。 本発明の実施例および比較例で記載した樹脂のNCO含有量の測定を、DIN 53 185 に従う滴定により行った。 動的粘度を、23℃で、Haake(ドイツ、カールスルーエ)からの VT 550 粘度計を使用して測定した。測定を、本発明に従い製造した記載ポリイソシアネートのレオロジーおよび比較生成物のものが、理想ニュートン流体のものに相当することを確保するために、異なる剪断速度で行った。従って剪断速度を述べる必要はない。 表示「モル%」または「異なる構造種の相互に対するモル比」は、NMR分光法測定に基づく。それは、各場合に他の明記がない限り、変性反応(オリゴマー化)により、変性されるイソシアネートのその前に遊離していたNCO基から形成される構造種の合計に関する。 13C-NMR測定を、Bruker(ドイツ、カールスルーエ)からの装置 DPX 400、AVC 400 または DRX 700 で、乾燥CDCl3中の約50%試料またはD6-DMSO中の約80%試料に対して行った(13C-NMR:100または176MHz、緩和時間:4秒、少なくとも2000回のスキャン)。ppmスケールのために選択した基準として、対応する溶媒中の少量のトリメチルシラン(δ=0ppm)または溶媒自体(δ=77.0ppm(CDCl3)またはδ=43.5ppm(D6-DMSO))を用いた。 他の指摘がない限り反応を、新たに脱気したHDIを出発物質として使用して行った。ここで用語「新たに脱気した」は、使用するHDIが、減圧下(<1mbar)で少なくとも30分間攪拌し、次いで窒素でガスシールすることにより、触媒反応直前に溶解ガスを除かれていることを意味する。 全ての反応を、乾燥窒素雰囲気下で行った。 ノルボルニル置換およびジノルボルニル置換ホスフィンを、文献(J. Org. Chem. 1961, 26, 5138-5145)から知られている方法により、1-オレフィンと、ノルボルニルホスフィン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-ホスファン;nbPH2)またはジノルボルニルホスフィン(ビス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-ホスファン;nb2PH)とのラジカル付加反応により製造した。当然、アルキル-またはジアルキルホスフィンおよびノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン)から出発することもできる。 ノルボルニルジエチルホスフィン(nbPEt2)の製造 1.5Lの攪拌オートクレーブに、室温および窒素下でトルエン中50%濃度のノルボルニルホスフィン溶液(Cytec Canada Inc.、オンタリオ、カナダ)108g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)3.2gおよびトルエン25mlを装填した。次いでエチレン32gを供給し、混合物を攪拌しながら80℃に加熱した。圧力が、開始時の30barから13barに3時間で低下した後、オートクレーブを室温に冷却し、緩めた。次いでさらにトルエン40mlの溶液中のAIBN 1.6gおよびエチレン32gを添加し、混合物を、攪拌しながら70℃で5時間加熱した。次いで反応混合物を、高減圧下で蒸留により処理し、nbPEt2 52g(理論の95%、沸点:0.006mbarで52〜54℃)を生じた。 ノルボルニルジブチルホスフィン(nbPBu2、沸点:0.01mbarで95℃)およびジノルボルニルエチルホスフィン(nb2PEt、沸点:0.1mbarで125℃)を同様に得た。高級同族体のノルボルニルジヘキシルホスフィン(nbPHex2、沸点:0.01mbarで150℃)、ノルボルニルジデシルホスフィン(nbPDec2、沸点:0.003mbarで200℃(バルブチューブ蒸留での浴温))およびジノルボルニルデシルホスフィン(nb2PDec、沸点:0.03mbarで190℃(バルブチューブ蒸留での浴温))の場合、対応するオレフィン(それぞれ1-ヘキセンおよび1-デセン)の大気圧での沸点は、ラジカル連鎖反応を開始するAIBNの充分に急速な分解を生じさせるために充分に高いので、大気圧で操作することができた。 実施例1〜6(本発明) 新たに脱気したHDIの一部10gを、窒素下、隔膜で封止したガラス容器内で表1〜6に示した量の表中で明記した触媒の存在下において、開始温度で磁気攪拌機コアを使用して攪拌し、反応経過を、定期的な間隔で、反応混合物の屈折率(20℃およびナトリウムスペクトルのD線の光周波数、nD20)を測定することにより検査した(開始時=未転化=純粋HDIのnD20=1.4523)。 反応混合物の転化率(収率)およびnD20の変数間の相関は、反応混合物中における約60%までのウレトジオンポリイソシアネート樹脂の収率範囲で実質的に直線である(実施例7および図2参照)。実施例7で表す反応混合物の転化率およびnD20の間の関係は、ここで議論する試料の転化率を計算するために使用した。その目的のために測定した屈折率を、以下の式: 転化率(%)=19.849×nD20−28.742に挿入し、転化率を計算した。 選択性の測定前に転化試料は、さらなる反応を防ぐためにそれらに添加された硫黄元素を有し、その硫黄量はそれらのホスフィン含有量に対応し、それらを、NMR分光法による分析に付した。選択性のより明らかな概観のためにパラメーターU/Tを、2つのトリマー構造物(イソシアヌレートおよびイミノオキサジアジンジオン)の合計に対応するウレトジオン構造物のモル比として定義した。 実施例7(本発明) 触媒:nbPEt2(HDIを基準に1モル%);反応温度:30℃ 30℃で外部循環により状態調節され、攪拌機、内部ガス装置(窒素/減圧)に接続した還流冷却器、および温度計を取り付けた、平らなすり合せを有するジャケット付き容器に、HDI 1050gを装填し、脱気した。窒素でガスシールした後、nbPEt2 11.6gを供給し、攪拌を、30℃で表7に示す時間行った。混合物の屈折率(nD20)は1.4671に上昇した。次いで反応混合物を、あらかじめホスフィンを失活させずに処理した。処理を、上流に接続したプレエバポレーターを有するフラッシュエバポレーター(FE)型の薄膜エバポレーター内での減圧蒸留により行い(蒸留データ:圧力:0.08mbar、PE温度:120℃、ME温度:150℃、蒸留時間:1時間)、未反応モノマーを、活性触媒と共に留出物として分離し、ウレトジオン基含有ポリイソシアネート樹脂を底部生成物として分離した(開始実験:実施例7-0)。 活性触媒を含有する留出物を、構造が第1のものと同じ平らなすり合せを有する第2攪拌装置内に集め、蒸留終了直後に、新たに脱気したHDIを再び使用して開始量(1050g)まで補った。次いで攪拌を、再び30℃で表7に示した時間行い、反応混合物の屈折率測定後にそれを、上記のような蒸留により処理した(実施例7-A)。 この手順を、合計18回(実施例7-R)まで繰り返した。 数週間にわたり行われた実験中に、触媒活性の減少は、非常にゆっくりとしか観察されなかった(この点、実施例8(比較例)参照)。そのために使用した尺度は、それぞれの各実験に対するnD20/時間曲線の傾きであった(傾き=(蒸留開始時でのnD20−1.4523)/反応時間)。各実験で得られた値を、出発バッチ(100%として定義)で測定した値に関して配置した(表7および図1中の相対反応性を参照)。 粗生成物の屈折率と現実の樹脂収率(=HDI転化率)とを相関させることにより、較正曲線をプロットし(図2)、これを、実施例1〜6で行ったより小規模の実験の収率を計算するために使用した(実施例1〜6参照)。 実施例8(比較例) 触媒:シクロ-Hex-P-n-Hex2(HDIを基準に0.2モル%);反応温度:40℃ 使用した触媒が、シクロヘキシル-ジ-n-ヘキシルホスフィン3.6gであったこと以外は、実施例7のものと同様の手順を行った。実験データを表8に示す。 直ちに明らかなように、匹敵する転化率のシクロへキシル-ジ-n-ヘキシルホスフィンのウレトジオン選択性は、構造的に非常に似ている実施例1の本発明のノルボルニル誘導体のものよりもかなり少ない。 シクロへキシル-ジ-n-ヘキシルホスフィンの、ノルボルニルジエチルホスフィンと比べて有意に低い有効寿命は、図1および3の比較から非常に明白である。 実施例9(本発明) 触媒:nb2PEt(HDIを基準に2.5モル%);反応温度:30℃ 使用した触媒が、nb2PEtであったこと以外は、実施例7のものと同様の手順を行った。データを表9に示す。 本発明を、説明の目的のために上で詳細に記載したが、そのような詳細は単に説明の目的のためだけであり、特許請求の範囲により制限され得る場合を除いて、本発明の意図および範囲から外れることなく、当業者は、本発明内で変法をなし得ることは理解されるべきである。異なる長さの時間後での本発明の触媒の相対反応性を表す棒グラフを示す図である。本発明の反応混合物の転化率およびnD20の関係を表すグラフを示す図である。異なる長さの時間後での先行技術の触媒の相対反応性を表す棒グラフを示す図である。 式:〔式中、 R1は、二環式の脂環式C4〜C20基であり、 R2、R3は、相互に独立に、単環式若しくは二環式の脂環式C4〜C20基または直鎖若しくは分枝脂肪族C1〜C20基である。〕で示される、直接リンと結合している二環式の脂環式基少なくとも1つを有するホスフィンの存在下で有機イソシアネートを反応させることを含む、ウレトジオン基を有するイソシアネート二量体の製造方法。 a)NCO官能価≧2を有する少なくとも1種の有機イソシアネート、 b)式:〔式中、 R1は、二環式の脂環式C4〜C20基であり、 R2、R3は、相互に独立に、単環式若しくは二環式の脂環式C4〜C20基または直鎖若しくは分枝脂肪族C1〜C20基である。〕で示される、直接リンと結合している二環式の脂環式基少なくとも1つを有する少なくとも1種のホスフィンを含む触媒、および c)任意に溶媒を含む混合物を反応させることを含む、ウレトジオン基を有するイソシアネート二量体の製造方法。