生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_リン酸モノエステルの製造方法
出願番号:2004192605
年次:2006
IPC分類:C07F 9/09,C07C 69/33,C07F 9/11


特許情報キャッシュ

佐々 嘉正 松永 明 田中 俊伯 田原 秀雄 JP 2006016307 公開特許公報(A) 20060119 2004192605 20040630 リン酸モノエステルの製造方法 花王株式会社 000000918 大谷 保 100078732 東平 正道 100081765 片岡 誠 100089185 平澤 賢一 100119666 佐々 嘉正 松永 明 田中 俊伯 田原 秀雄 C07F 9/09 20060101AFI20051216BHJP C07C 69/33 20060101ALI20051216BHJP C07F 9/11 20060101ALI20051216BHJP JPC07F9/09C07C69/33C07F9/11 6 OL 10 4H006 4H050 4H006AB80 4H006BT12 4H050AA02 4H050AD15 4H050BB11 本発明は、リン酸モノエステルの製造方法に関し、詳しくはリン酸エステルとオルトリン酸とを含有する混合物からオルトリン酸を効率よく除去しうるリン酸モノエステルの製造方法に関する。 有機ヒドロキシ化合物のリン酸エステルは,洗浄剤、繊維処理剤、乳化剤、防錆剤、液状イオン交換体または医薬品等の幅広い分野で利用されている。 従来、リン酸エステルを工業的に製造する方法としては有機ヒドロキシ化合物に五酸化リンを反応させる方法があるが、この方法により得られる生成物はモノアルキルリン酸とジアルキルリン酸の等モル混合物(以下、この混合物をセスキホスフェートと称する)であるが、モノアルキルリン酸とジアルキルリン酸との間には物性において大きな相違がある。例えば、長鎖アルキルアルコールのモノアルキルリン酸のアルカリ金属塩は水溶性で起泡力、洗浄力が良好で毒性が低く皮膚刺激が少ないので洗浄剤として優れているのに対し、ジアルキルリン酸は水にはほとんど溶解せず起泡力はほとんどなく、むしろ抑泡性を示すため、これを含む上記セスキホスフェートは高起泡性洗浄剤としては使用しにくい。 そこで、モノアルキルリン酸のみを選択的に安全かつ容易に製造することが強く要望されており、このような方法として、例えば、(イ)アルコールにあらかじめ五酸化リン1モルに対して0.5〜3モルの水を添加し、次いで五酸化リンを反応させる方法(例えば、特許文献1)、(ロ)アルコールにオルトリン酸及び五酸化リンを反応させる方法(例えば、特許文献2)、(ハ)アルコールと縮合リン酸(ポリリン酸)を反応させる方法(例えば、非特許文献1、非特許文献2、特許文献3)などの方法が報告されている。 しかしながら、上記方法のいずれにおいても、生成物中にオルトリン酸が副生成物として生成してくる。このオルトリン酸の製品への混入は使用用途によっては好ましくない影響を与えることから、得られるリン酸エステルの利用分野が制限されるとともに生成物の製品価値を低減させる恐れがある。例えば、長鎖アルキルアルコールのモノアルキルリン酸モノナトリウム塩をペースト状の洗浄剤として使用する場合、オルトリン酸が多量に存在すると、リン酸ジナトリウムが析出し好ましくない。従って、これらの方法ではモノアルキルリン酸を純度よく、即ちオルトリン酸の混入なしに得ることは困難であった。 一方、リン酸エステルとオルトリン酸の混合物よりオルトリン酸を除去する方法としては、エチルエーテルを用いてオルトリン酸を抽出除去するNelsonらの方法が知られている(非特許文献1)。しかしながらエチルエーテルは低沸点溶媒であり引火点が極めて低く、またパーオキサイドが徐々に生成するために蓄積すれば爆発のおそれがあり、更に人体に対しても好ましくない影響を与えることがある。また、このような抽出操作を用いても水に易溶なリン酸エステル、例えば有機ヒドロキシ化合物にアルキレンオキサイドが数モル以上付加した化合物のリン酸エステルの場合は、抽出分離精製は困難であり、また抽出可能なモル数(例えば1〜2モル程度)のアルキレンオキサイドが付加した有機ヒドロキシ化合物のリン酸エステルでも、高モル付加物を含むなど付加モル数に分布があることから水に対する溶解度が増加し、オルトリン酸のみを抽出分離することは困難である。 また、オルトリン酸を除去する方法として、溶剤を用いた再結晶法が試みられているが、オルトリン酸がリン酸エステルと固溶体を形成するためか、通常の方法ではオルトリン酸を分離することは困難であり、更に収率もきわめて低く、工業的に満足できるものではない。特公昭41−14416号公報特公昭42−6730号公報特公昭43−26492号公報A.K.Nelsonら、Inorg.Chem.,2、775(1963)F.S.Clarkeら、J.Amer.Chem.Soc.,88,4401(1966) 本発明は、五酸化リン(無水リン酸)、縮合リン酸(ポリリン酸)、オルトリン酸などのリン酸類を用いてリン酸エステルを製造する際に、生成するリン酸エステル及びオルトリン酸を含有する混合物から効率良くオルトリン酸を除去することができ、従来再結晶法などによる分離精製が困難であったリン酸モノエステルを高純度で製造することができる方法を提供することを目的とする。 本発明者らは、リン酸エステルの精製時に特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを使用することにより、上記本発明の目的を達成しうることを見出した。すなわち、本発明は、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル及びオルトリン酸を含有する混合物を、炭素数4〜8の直鎖あるいは分岐鎖の脂肪族炭化水素又は炭素数5〜7の飽和脂環式炭化水素からなる溶剤を用いて晶析処理する際に、上記混合物に対し0.1〜2質量%の下記一般式(1)で示されるポリグリセリン脂肪酸エステルを添加するリン酸モノエステルの製造方法であり、特に、上記混合物が、下記一般式(2)で示される有機ヒドロキシ化合物とリン酸類とを反応させて得られるものである上記製造方法に関する。(R1、R2 及びR3は、各々炭素数7〜35の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、mは1以上の数を示す。)(R4は炭素数8〜36の直鎖、分岐鎖又は環式の炭化水素基を示し、R5は水素原子、メチル基又はエチル基を示し、nは0〜100の数である。) また、本発明は、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル及びオルトリン酸を含有する混合物に、炭素数4〜8の直鎖あるいは分岐鎖の脂肪族炭化水素又は炭素数5〜7の飽和脂環式炭化水素からなる溶剤,及び上記混合物に対し0.1〜2質量%の上記一般式(1)で示されるポリグリセリン脂肪酸エステルを添加するリン酸モノエステルの精製方法に関する。 本発明によれば、五酸化リン、縮合リン酸、オルトリン酸などのリン酸類を用いてリン酸エステルを製造する際に、生成するリン酸エステル及びオルトリン酸を含有する混合物から効率良くオルトリン酸を除去することができ、従来再結晶法などによる分離精製が困難であったリン酸モノエステルを高純度で製造することができる。 本発明の製造方法における、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル及びオルトリン酸を含有する混合物(以下、「リン酸エステル混合物」という)におけるリン酸モノエステル又はリン酸ジエステルとしては、一般式(3) [式中、R6は−(CHR8CH2O)nR9基(R8は水素原子又は炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を示し、R9は炭素数8〜36、好ましくは8〜22の直鎖、分岐鎖若しくは環式のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基、あるいはトリオース、ヘキソース若しくはペントースの活性水素残基を示し、nは0〜20の数を示す)、又は−CH2CH(OH)CH2R10基(R10はR9又はOR11を示し、R11は水素原子又は炭素数1〜36、好ましくは8〜22の直鎖,分岐鎖若しくは環式のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基、あるいはトリオース、ヘキソース若しくはペントースの活性水素残基を示す)を示し、R7は水素原子又はR6と同様の基を示す。]で表されるものが用いられる。ここで、R7が水素原子の場合は一般式(3)はリン酸モノエステルを示し、R7が水素原子でない場合は、一般式(3)はリン酸ジエステルを示す。なお、本発明のリン酸エステルは、アルキレンオキサイドがランダムに付加したものも包含する。 本発明により得られる上記リン酸モノエステルとしては、直鎖アルキルリン酸、分岐鎖アルキルリン酸、グルコース−1−ホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート、1−アルキルグリセロー3−ホスフェート、2−ヒドロキシアルキルホスフェート、グルコース−1−グリセロ−3−ホスフェート、多糖類ホスフェート等が挙げられ、更に具体的には、デシルリン酸、ウンデシルリン酸、ドデシルリン酸、テトラデシルリン酸、ヘキサデシルリン酸若しくはそれらの混合物が好ましく挙げられる。 本発明においては、リン酸エステル混合物として、より高純度のリン酸モノエステルを得るため、リン酸ジエステルの含有量が、リン酸モノエステルとリン酸ジエステルとの合計量の30質量%以下であり、またオルトリン酸の含有量が20質量%以下であるものが好ましい。さらに、オルトリン酸の除去性能を高めるためには、リン酸エステル混合物中の水分含有量が3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。 なお、リン酸エステル混合物は、通常の製造方法において副生あるいは残存する他の化合物、例えば、未反応の有機ヒドロキシ化合物、他のリン酸類、ピロリン酸エステル等を含有していてもよい。 本発明において、上記リン酸エステル混合物としては、有機ヒドロキシ化合物とリン酸類との反応により得られるものを好ましく用いることができる。 有機ヒドロキシ化合物としては、水酸基をもつ有機化合物、例えば、直鎖、分岐鎖又は環式の飽和又は不飽和のアルコール、これらのアルキレンオキサイド付加物、トリオース、ヘキソース、ペントース等の単糖類、多糖類等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでは、上記一般式(2)で表わされる有機ヒドロキシ化合物が好ましく用いられる。 一般式(2)において、R4で表わされる炭素数8〜36の直鎖、分岐鎖又は環式の炭化水素基としては、炭素数8〜36、更に好ましくは8〜16のアルキル基、アルケニル基等が挙げられる。このような炭化水素基としては、例えば、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、テトラコシル基、オクタコシル基、オクテニル基、オクタデセニル基、テトラコセニル基、2−メチルデシル基、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルウンデシル基、2−テトラデシルオクタデシル基等が挙げられ、このうち、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基若しくはそれらの基が複数存在する場合が好ましく挙げられる。 R5は水素原子、メチル基又はエチル基を示すが、好ましくは水素原子又はメチル基である。また、nは0〜100の数であるが、本発明の効果の点から、好ましくは0〜10、更に好ましくは0〜4の数である。なお、nは単一の値であってもよいが、異なる複数種のオキシアルキレン基の平均値であってもよい。 上記一般式(2)で表わされる有機ヒドロキシ化合物としては、炭素数8〜36、好ましくは8〜16のアルコール又はこのアルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均付加モル数1〜100モル、好ましくは1〜10モル、更に好ましくは2〜4モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテル、トリオース、ヘキソース、ペントース等の単糖類、多糖類が好ましい。 このような有機ヒドロキシ化合物の具体例としては、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、これらのエチレンオキサイド1〜10モル付加物、また、単糖類、多糖類の具体例としては、グルコース、マルトースが挙げられる。 上記ヒドロキシ化合物と反応させるリン酸類としては、五酸化リン、縮合リン酸、オルトリン酸等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。 リン酸類の使用量は、目的とするリン酸エステルの組成に応じて適宜調整することができるが、通常、オルトリン酸の副生を低減する点及び洗浄性に悪影響を及ぼすリン酸ジエステルの副生を低減する点から、有機ヒドロキシ化合物1モルに対して、例えば、無水リン酸の場合、0.40〜0.60モル、更には0.45〜0.55モルであることが好ましい。 上記有機ヒドロキシ化合物とリン酸類とを反応させることにより、リン酸エステル混合物が得られるが、この反応は、例えば、温度50〜100℃で1〜20時間等の条件で行うことができる。 本発明においては、上記したリン酸エステル混合物を、炭素数4〜8の直鎖又は分岐鎖を有する脂肪族炭化水素又は炭素数5〜7の飽和脂環式炭化水素からなる溶剤を用いて晶析処理するが、この際、リン酸エステル混合物に対し0.1〜2質量%の前記一般式(1)で示されるポリグリセリン脂肪酸エステルを添加する。 本発明で用いられる上記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、その由来は特に限定されず、天然物由来のポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化反応により得られたもの、及びグリシドール、エピクロルヒドリン等を重合して得られる合成系ポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化反応により得られたもののいずれも使用することができる。 上記一般式(1)において、R1、R2 及びR3は、各々炭素数7〜35の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示すが、晶析における結晶調整効果の点から炭素数11〜17の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基が好ましい。このような炭化水素基は、飽和のものであっても不飽和のものであってもよいが、例えば、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデセニル基、オクタデシル基等が好ましく挙げられる。 また、ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるポリグリセリンの平均重合度は一般式(1)のmに相当するものであり、晶析における結晶調整効果の点から、その値は高い程好ましく、1以上、更に2以上、特に3以上であることが好ましい。その上限値には特に制限はないが、ポリグリセリン脂肪酸エステルの合成の容易さなどの点から、100以下であることが好ましい。また、ポリグリセリンと反応させる脂肪酸は、炭素数8〜36、特に炭素数12〜18の直鎖あるいは分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸から構成されることが好ましい。このような脂肪酸としては、上記一般式(1)におけるR1、R2 又はR3で示される基を有するアシル基を、脂肪酸からOH基を除いた残基として有する脂肪酸を例示することができる。当該脂肪酸は、単一の脂肪酸で構成されていてもよいが、炭素数が異なるもの、又は不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸の混合脂肪酸で構成されているものが好ましく用いられる。 本発明において用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルは、本発明の効果の点から、そのエステル化度が80%以上のものが好ましく用いられる。 ポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化反応は、これらの混合物に水酸化ナトリウム等のアルカリ触媒を添加し、窒素等の不活性ガス気流下、200〜260℃で直接エステル化させる方法、酵素を使用する方法等のいずれの方法によっても行うことができる。上記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、2種類以上を併用してもよく、またその全添加量は、本発明の効果の点から、リン酸エステル混合物に対して0.001〜5質量%、更に0.1〜2質量%の範囲であることが好ましい。 本発明において、上記一般式(1)で示されるポリグリセリン脂肪酸エステルは、リン酸モノエステル、特に前記一般式(3)で表わされるリン酸モノエステルの精製処理剤として有効に使用することができる。 本発明で用いる炭素数4〜8の直鎖または分岐鎖の脂肪族炭化水素又は炭素数5〜7の飽和脂環式炭化水素からなる溶剤としては、上記リン酸エステルを溶解又は乳化し得るものであればいずれも使用できるが、本発明においては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の環状飽和炭化水素を挙げることができ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、溶剤の回収を効率よく行う点から炭素数4〜8の脂肪族炭化水素系溶剤が好ましく、n−ヘキサンが特に好ましく用いられる。 なお、溶剤の使用量は、得られるリン酸モノエステルの純度及びリン酸モノエステルの収率を向上させる点から、リン酸モノエステル及びリン酸ジエステルの全量に対して、質量比で好ましくは0.3〜20倍量、更に好ましくは1〜20倍量、特に好ましくは1〜10倍量である。 本発明においては、リン酸エステル混合物を上記溶剤を用いて晶析処理する。晶析処理方法としては、通常の晶析法をいずれも用いることができるが、特に再結晶法を用いる場合に本発明の効果がより有効に発揮され好ましい。 再結晶法においては、溶融したリン酸エステルを前述の溶剤に溶解し、融点以上の温度からリン酸エステルが析出する温度まで冷却することによりリン酸エステルを析出させ、析出したリン酸エステルをろ過あるいは遠心分離によって得た後、乾燥し、溶媒を除去する。再結晶を行う際の結晶化の時間等については、リン酸エステル混合物の組成、設備、目的等に応じて適宜設定することができる。 上記再結晶法等の晶析処理工程においては、上記特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを添加することによりリン酸モノエステルの良好な分離が可能となり、本発明の効果を有効に奏することができる。実施例1リン酸エステル混合物の製造 以下の方法により、モノラウリルリン酸を69.00質量%、ジラウリルリン酸を24.10質量%及びオルトリン酸を4.90質量%含むリン酸エステル混合物を調製した。 1000mlの反応容器にラウリルアルコール(MW=186.3)204.9g(1.1モル)および85%リン酸18.8g〔P2O5=11.6g(0.082モル、水=7.2g(0.40モル))を加え、50℃で0.5時間撹拌した。次いで無水リン酸(有効分98.5%)60.4g(0.42モル)を加えた後、80℃で10時間反応させた。その後、この反応混合物にイオン交換水を6g加え、80℃で3時間加水分解した。 リン酸モノエステルの精製 上記得られた生成物であるリン酸エステル混合物100質量部に対して、ヘキサンを600質量部加え30℃に保ち、これにポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学社製QMP4:炭素数12〜18の混合アルキル基を有する平均重合度10のデカグリセリンアルキルエステル)を0.75質量部を加えた後、3時間で5℃まで冷却したところ、針状のサラサラした結晶が得られた。この結晶をろ過した後、結晶物を乾燥して下記の方法によりリン酸エステルとオルトリン酸の含有量を測定した。結果を表1に示す。また、モノラウリルリン酸としての収率は97%であった。オルトリン酸含有量の測定 500mlの分液ロートに、上記で得られた乾燥結晶物約5g(aグラム)、0.1N塩酸100ml及びジエチルエーテル100mlを入れた。次に、分液ロートを激しく振とうしたのち、静置して、内容物を二相に分離させた。下層(水相)を分取し、0.5N水酸化カリウム水溶液を用いて電位差滴定し、反応が第1当量点に達するまでに消費されたアルカリ量(bモル)と、反応が第2当量点に達するまでに消費されたアルカリ量(cモル)を求めた。これらの各数値を用い、下記式から乾燥ケーキ中のオルトリン酸含有量(質量%)を算出した。 オルトリン酸含有量=[(98.00×(c−b))/a]×100リン酸モノエステル及びリン酸ジエステル含有量の測定 上記の分液ロートの有機相を蒸留し、ジエチルエーテルを留去した。残渣にエタノールを加え、全量を100mlとした。そこからホールピペットで10mlを採取し、エタノール55mlとイオン交換水35mlからなる混合物に添加し、溶解させた。得られた溶液を0.5N水酸化カリウム水溶液を用いて電位差滴定し、反応が第1当量点に達するまでに消費されたアルカリ量(dモル)と、反応が第2当量点に達するまでに消費されたアルカリ量(eモル)を求めた。これらの各数値を用い、下記式から乾燥ケーキ中のリン酸モノエステル及びリン酸ジエステルの含有量(質量%)を算出した。 リン酸モノエステル含有量=[(e−d)/a]×(リン酸モノエステルの分子 量)×10×100 リン酸ジエステル含有量=[(2d−e)/a]×(リン酸ジエステルの分子量) ×10×100実施例2 実施例1と同様にして製造したリン酸エステル混合物について、ポリグリセリン酸エステル(太陽化学社製QMP4)の添加量0.75質量部を1.0質量部とした以外は実施例1と同様にして精製を行った。得られた結晶物を乾燥して、実施例1と同様の方法でオルトリン酸とリン酸エステルの含有量及びモノラウリルリン酸としての収率を測定した。結果を表1に示す。比較例1 実施例1と同様にして製造したリン酸エステル混合物100部に対して、ヘキサンを600部加えた後、液温を30℃から3時間で5℃まで冷却したところ、塊状の結晶が得られた。この結晶をろ過した後、結晶物を乾燥して実施例1と同様にして、オルトリン酸とリン酸エステルの含有量及びモノアルキルリン酸としての収率を測定した。結果を表1に示す。 本発明のリン酸モノエステルの製造方法は、リン酸エステル並びにオルトリン酸を含有する混合物からオルトリン酸を効率よく除去しうるものであり、この方法により得られた高純度のリン酸モノエステルは、洗浄剤、繊維処理剤、乳化剤、防錆剤、液状イオン交換体または医薬品等として非常に幅広い分野に利用することができる。 リン酸モノエステル、リン酸ジエステル及びオルトリン酸を含有する混合物を、炭素数4〜8の直鎖あるいは分岐鎖の脂肪族炭化水素又は炭素数5〜7の飽和脂環式炭化水素からなる溶剤を用いて晶析処理する際に、上記混合物に対し0.1〜2質量%の下記一般式(1)で示されるポリグリセリン脂肪酸エステルを添加するリン酸モノエステルの製造方法。(R1、R2 及びR3は、各々炭素数7〜35の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、mは1以上の数を示す。) リン酸モノエステル、リン酸ジエステル及びオルトリン酸を含有する混合物が、下記一般式(2)で示される有機ヒドロキシ化合物とリン酸類とを反応させて得られるものである請求項1記載の製造方法。(R4は炭素数8〜36の直鎖、分岐鎖又は環式の炭化水素基を示し、R5は水素原子、メチル基又はエチル基を示し、nは0〜100の数である。) 溶剤を、リン酸モノエステル及びリン酸ジエステル全量に対して、重量比で0.3〜20倍量添加する請求項1又は2に記載の製造方法。 再結晶法を用いて晶析処理を行う請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。 リン酸モノエステル、リン酸ジエステル及びオルトリン酸を含有する混合物に、炭素数4〜8の直鎖あるいは分岐鎖の脂肪族炭化水素又は炭素数5〜7の飽和脂環式炭化水素からなる溶剤、及び上記混合物に対し0.1〜2質量%の下記一般式(1)で示されるポリグリセリン脂肪酸エステルを添加するリン酸モノエステルの精製方法。(R1、R2 及びR3は、各々炭素数7〜35の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、mは1以上の数を示す。) 下記一般式(1)で示されるポリグリセリン脂肪酸エステルからなるリン酸エステル用精製処理剤。(R1、R2 及びR3は、各々炭素数7〜35の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、mは1以上の数を示す。) 【課題】リン酸類を用いてリン酸エステルを製造する際に、生成するリン酸エステル及びオルトリン酸を含有する混合物から効率良くオルトリン酸を除去することができ、従来再結晶法などによる分離精製が困難であったリン酸モノエステルを高純度で製造することができる。【解決手段】リン酸モノエステル、リン酸ジエステル及びオルトリン酸を含有する混合物を、炭素数4〜8の直鎖あるいは分岐鎖の脂肪族炭化水素又は炭素数5〜7の飽和脂環式炭化水素からなる溶剤を用いて晶析処理する際に、上記混合物に対し0.1〜2質量%の下記一般式(1)で示されるポリグリセリン脂肪酸エステルを添加するリン酸モノエステルの製造方法。【化1】(R1、R2 及びR3は、各々炭素数7〜35の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、mは1以上の数を示す。)【選択図】なし


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