生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_注意欠陥多動性障害改善用組成物
出願番号:2001171342
年次:2011
IPC分類:A61K 31/198,A61P 25/14,A61P 25/18


特許情報キャッシュ

上田 智子 小関 誠 大久保 勉 レカ・ラジュ・ジュネジャ JP 4812968 特許公報(B2) 20110902 2001171342 20010606 注意欠陥多動性障害改善用組成物 太陽化学株式会社 000204181 細田 芳徳 100095832 上田 智子 小関 誠 大久保 勉 レカ・ラジュ・ジュネジャ 20111109 A61K 31/198 20060101AFI20111024BHJP A61P 25/14 20060101ALI20111024BHJP A61P 25/18 20060101ALI20111024BHJP JPA61K31/198A61P25/14A61P25/18 A61K 31/00-31/327 A61P 25/14 A61P 25/18 CA/MEDLINE(STN) 特開平08−073350(JP,A) 特開平09−012454(JP,A) 特開平09−040568(JP,A) 国際公開第99/004785(WO,A1) ZHUANG,X. et al,Hyperactivity and impaired response habituation in hyperdopaminergic mice,Proc Natl Acad Sci U S A,2001年,Vol.98, No.4,p.1982-7 YOKOGOSHI,H. et al,Effect of theanine, r-glutamylethylamide, on brain monoamines and striatal dopamine release in conscious rats,Neurochem Res,1998年,Vol.23, No.5,p.667-73 YOKOGOSHI,H. et al,Theanine-induced reduction of brain serotonin concentration in rats,Biosci Biotechnol Biochem,1998年,Vol.62, No.4,p.816-7 2 2002363074 20021218 9 20080327 伊藤 清子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、注意欠陥多動性障害改善用組成物、ならびに注意欠陥多動性障害の改善方法に関する。【0002】【従来の技術】注意欠陥多動性障害(attention-deficit hyperactivity disorder:ADHD)は集中力、注意力、衝動性、多動性を自分でコントロールできない脳神経学的な障害である。主に小児に発症する障害の一つとされてきたが、近年、精神医学者により子供時代の障害だけでなく、成人になっても継続することが明らかにされた。この障害は、注意障害、活動性障害、および衝動性異常の3症状を伴うことを特徴としており、自閉症等の広汎性発達障害や躁鬱病、不安障害とは区別されている。また、注意欠陥多動性障害のうち、多動性(活動過多)が多く見受けられないとき注意欠陥障害(attention-deficit disorder:ADD)といい、注意欠陥(注意力の低下)が多く見受けられないとき多動性障害とされる。【0003】注意欠陥多動性障害の原因については、外傷、疾病、及び胎児期のアルコールと煙草、発育初期の高濃度の鉛の影響など、脳の損傷もしくは発育異常をもたらす可能性のある種々の要因、遺伝、神経伝達物質の分泌や再取込み、分解の異常、脳の特定領域の働きの不活発等が唱えられているが、正確な原因は未だ不明である。【0004】従来、この障害の治療には主として療育法・薬物療法が採用されている。療育法としては、患者に対し精神療法、行動療法、感覚統合療法等を行い、適切な社会生活ができるように訓練することが行われている。しかし、即効性がなく、また、家庭、学校の協力が必要となり、治療に多大な時間と専門の教育を要する。一方、薬物は多くの副作用を生じる傾向があり、注意深い管理と用量滴定が必要である。例えば、トモキセチン(特表平10−512262号公報)、2−(4−メチルアミノブトキシ)ジフェニルメタン(特開平8−81366号公報)などがあるがいずれも薬剤であり、用量滴定が必要である。また、ピクノジェノール(フランス海岸松樹皮抽出物)もADHD改善効果が報告されているが非常に高額なため使いにくい。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は、副作用がなく、しかも安価であり、日常的に使用可能な注意欠陥多動性障害改善用組成物、ならびに効果的な注意欠陥多動性障害の改善方法を提供することを目的とする。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、お茶に含まれるテアニンにより所望の効果が発現されることを見出し、本発明を完成するに至った。【0007】すなわち、本発明は、〔1〕 テアニンを含有することを特徴とする注意欠陥多動性障害改善剤、ならびに〔2〕 注意欠陥多動性障害を有する4歳6カ月〜22歳のヒトを対象とすることを特徴とする前記〔1〕記載の注意欠陥多動性障害改善剤、に関する。【0008】【発明の実施の形態】本発明の注意欠陥多動性障害改善用組成物(以下、組成物という)はテアニンを含有することを特徴とするものである。当該組成物によれば、注意欠陥多動性障害を効果的に改善することができる。また、副作用の心配がなく、しかも安価であるので、日常的に使用することが可能である。本発明の組成物の所望の効果の発現は、かかる組成物に含有されるテアニンについて初めて見出された注意欠陥多動性障害緩和及び軽減作用に基づくものである。【0009】なお、本明細書において、本発明の組成物の適応症である「注意欠陥多動性障害」とは、DSM−IV 精神障害の診断・統計マニュアル(1996年、医学書院出版)に定義される、ADHDの診断方法に基づいて判定される症状をいう。具体的には、以下に示す診断基準に合致するものである。【0010】〔診断基準〕下記の「不注意」の症状のうち6つ以上、または「多動性及び衝動性」の症状のうち6つ以上を示すときに、注意欠陥多動性障害であると判定する。ただし、これらの症状が頻繁に見られることが条件で、少なくとも6ヵ月間、 患者の発達レベルに一致しないような不適応が続く必要がある。加えて、これらの症状のいくつかが7歳以前に問題を引き起こし、かつ2ヵ所以上の場所(例:学校や家庭)で現在も問題を起こしていることも診断の条件となる。また、社会生活、学業、仕事の上で著しい障害があり、その症状のいずれもが他の病気によるものではない場合にかぎる。【0011】(不注意の症状)・物事に注意を払うことができない。学業や仕事、その他の活動で不注意によるミスをする。・課せられた仕事や遊びに注意を持続することに困難を覚える。・直接話し掛けられているのに聞いていないように見える。・指示に従うことができず、学業、日常の雑事、職場における務めを逐行できない。・課せられた仕事や活動を順序だてて行うことができない。・持続的な精神活動が必要な仕事や学業などに従事することを避けたり、嫌ったり、いやいや行う。・仕事や活動に必要なものをなくす(おもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本、道具など)。・他からの刺激によって簡単に注意がそれる。・日常の活動を忘れる。【0012】(多動性及び衝動性の症状)・手を忙しなく動かしたり、座っているときにもじもじする。・教室内で席を離れたり、座っていなければならないような状況で席を立つ。・不適切な状況で走り回ったり、よじ登ったりする(青年や成人になると気忙しいという感情を持つ)。・暇な時間に静かに遊んだりして過ごすことができない。・絶えず活動しており、まるで「動力に駆られる」 ように行動する。・過度にしゃべる。・質問が終わる前に出し抜けに答える。・順番を待つことができない。・他人の邪魔をする。【0013】また、「注意欠陥多動性障害改善」とは、注意欠陥多動性障害の症状を緩和、軽減等することをいい、広義には注意欠陥多動性障害の予防、治療を含む。【0014】テアニンによる注意欠陥多動性障害緩和及び軽減作用の発現は、前述の〔診断基準〕に該当する患者にテアニンを投与し、テアニン投与前と比較した注意欠陥多動性障害の改善効果をみるといった臨床試験により評価することができる。【0015】本発明に用いられるテアニンとは、グルタミン酸の誘導体(γ−グルタミルエチルアミド)であり、天然には茶葉に多く含まれるアミノ酸成分である。本発明に用いられるテアニンの製造法としては、たとえば、茶葉から抽出する方法、有機合成による方法〔Chem.Pharm.Bull.,19(7)1301−1307(1971)〕、グルタミンとエチルアミンの混合物にグルタミナーゼを作用させてテアニンを得る方法(特表平7−55154号公報)、エチルアミンを含有する培地で茶の培養細胞群を培養し、培養細胞群中のテアニン蓄積量を増加させつつ培養細胞群の増殖促進を図る方法(特開平5−123166号公報)、また、特表平7−55154号公報、特開平5−123166号公報におけるエチルアミンをエチルアミン塩酸塩などのエチルアミン誘導体に置き換えてL-テアニンを得る方法等があり、いずれの方法でも良い。なお、前記茶葉とは、緑茶葉、ウーロン茶葉、紅茶葉等が挙げられる。【0016】テアニンは、L−テアニン、D−テアニン、DL−テアニンのいずれも使用可能であるが、中でもL−体は食品添加物にも認められており、経済的にも利用しやすいため、本発明においてはL−体が好ましい。また、使用されるテアニンの形態としては、精製品、粗精製品、抽出エキス等、いずれの形態でも良い。また、市販品〔サンテアニン(登録商標)太陽化学(株)製〕を用いてもよい。【0017】本発明の組成物におけるテアニンの含有量は特に限定されるものではなく、所望により適宜調整すればよい。たとえば、組成物中における好適なテアニン含有量は、本発明の所望の効果の発現を考慮し、好ましくは0.00025〜100重量%、より好ましくは0.001〜100重量%、さらに好ましくは0.001〜20重量%である。【0018】本発明の組成物中のテアニンの検出方法は特に限定されるものではないが、オルトフタルアルデヒド(OPA)によるプレカラムでの誘導体化後、ODSカラムを用いての高速クロマトグラフィー(HPLC)で分離し、蛍光検出器で検出定量する方法やODSカラムを用いてHPLCで分離し、波長210nmで検出定量する方法が好ましい。【0019】本発明の組成物には、さらに各種ミネラルを含有させてもよい。ミネラルを含有してなる組成物は、生体内に不足しがちな必須元素、微量必須元素を補うことができるというさらなる効果が奏されるため、より好ましいものである。組成物におけるミネラルの含有量は、たとえば、0.0001〜99.9重量%が好ましく、0.01〜99.9重量%がより好ましい。かかるミネラルとしては、鉄、マグネシウム、銅、亜鉛、セレン、カルシウム、カリウム、マンガン、クロム、ヨウ素、モリブデン、ニッケル、バナジウム等、生体の恒常性の維持、調節のために必須の金属類またはこれらの金属塩類を挙げることができる。これらは単独でもしくは2種以上混合して用いることができる。【0020】また、生薬、ハーブ、アミノ酸、ビタミン、その他食品に許容される素材・原料を共に含有させてもよい。それらは単独でもしくは2種以上混合して用いることができる。【0021】生薬としては特に限定されるものではないが、たとえば、ギムネマ、ガルシニア、カノコソウ、杜仲、当帰、芍薬、牡丹、高麗人参、霊芝、地黄茎、ナツメ、エゾウコギ等が挙げられ、精神安定に有効な霊芝、地黄茎、ナツメ等が好ましい。その形態としては特に限定はなく、抽出物、乾燥品等いずれでもよい。また、ハーブは特に限定されるものではないが、たとえば、アムラ、アニス、キャロットシード、クローブ、コリアンダー、サイプレス、シナモン、ジュニパー、ジンジャー、スイートオレンジ、パインニードル、バジル、パチュリ、ビターオレンジ、フェンネル、ブラックペッパー、ベイ、ペパーミント、ベルガモット、マンダリン、ミルラ、レモングラス、ローズマリー、グレープフルーツ、シダーウッド、シトロネラ、セージ、タイム、ティートゥリー、バイオレットリーフ、バニラ、ヒソップ、ユーカリ、ライム、レモン、イランイラン、カルダモン、クラリセージ、ジャスミン、ゼラニウム、カモミール、ブルガリアローズ、ローズ、オリバナム、ラベンダー、カミツレ、ゼラニウム、サンダルウッドネロリ、バーベナ、プチグレン、ベチバー、マージョラム、メリッサ、ローズウッド、オトギリソウ、セイントジョーンズワート、カワカワ、トケイソウ、ブラックコーホッシュ等が挙げられる。中でも、鎮静効果、リラックス効果を有するペパーミント、ベルガモット、イランイラン、ゼラニウム、カモミール、ラベンダー、セイントジョーンズワート、カワカワが好ましい。その形態としては、たとえば、抽出エキス、精油、ハーブティー等が挙げられ、特に限定されるものではない。アミノ酸も特に限定されるものではない。たとえば、L型アミノ酸では、アラニン、アルギニン、アルギニン酢酸塩、塩酸アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、チトルリン、システイン、シスチン、グルタミン、グルタミン酸およびその塩類、グリシン、ヒスチジンおよびその塩類、ハイドロキシプロリン、イソロイシン、ロイシン、リジンおよびその塩類、メチオニン、オルニチン酢酸塩および塩酸塩、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリン等、DL型では、アラニン、システインおよびその塩類、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファンおよびバリン等、D型では、アラニン、システイン塩酸塩水和物およびフェニルアラニン等が挙げられる。また、L−アルギニンとL−アスパラギン等のL−アミノ酸複合塩および混合物、アスパラギン酸カリウム等のアミノ酸金属塩、塩酸L−エチルシステイン等のアミノ酸エステル、アセチルシステイン等のアセチルアミノ酸、アデニン、アデノシン等の核酸関連物質、ベータ−アラニン等のオメガアミノ酸およびヒスタミン二塩酸塩等のアミノ酸代謝物、ν−アミノ酪酸、タウリン、チオタウリン、ヒポタウリン等が挙げられる。ビタミンとしては、たとえば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、ニコチン酸、リポ酸、パントテン酸、ビオチン、ユビキノン、プロスタグランジン等が挙げられ、これらのビタミンの誘導体も含まれるがこれらのみに限定されるものではない。その他食品に許容される素材・原料としては、たとえば、マカ、 キャッツクロー、スクワラン、メシマコブ、DHA、EPA、セラミド、ラクトフェリン、ピクノジェノール、アロエ、ローヤルゼリー、メラトニン、プラセンタ、プロポリス、イソフラボン、大豆レシチン、卵黄レシチン、卵黄油、コンドロイチン、カカオマス、コラーゲン、酢、クロレラ、スピルリナ、イチョウ葉、緑茶、杜仲茶、黄妃茶、ウーロン茶、桑の葉、甜茶、バナバ茶、不飽和脂肪酸、オリゴ糖等の糖類、ダイエット甘味料、食物繊維、大豆ペプチド等の機能性素材、ビフィズス菌、紅麹等の菌類、アガリクス茸、姫マツタケ、マイタケ等のキノコ類、ブルーベリー、プルーン、ブドウ、オリーブ、うめ、柑橘類等の果実類、落花生、アーモンド、ゴマ、胡椒等の種実類、ピーマン、唐辛子、ネギ、カボチャ、ウリ、人参、ゴボウ、モロヘイヤ、ニンニク、シソ、ワサビ、トマト、らっきょ、ショウガ、葉菜、芋、豆等の野菜類、ワカメ等の海草類、魚介類、獣鳥鯨肉類、穀類等、そのもの、あるいはそれらの抽出物、乾燥品、粗精製品、精製品、加工品、醸造品等が挙げられる。中でも、ダイエット甘味料、食物繊維、大豆ペプチド等の機能性素材が好ましい。【0022】また、本発明の組成物としては、日常の使用に適するという観点から、食品組成物または医薬組成物が好ましい。【0023】本発明における食品組成物としては、テアニンを含有してなる食品のみならず、テアニンを含有してなる食品添加物も含まれる。【0024】本発明に包含される前記食品としては、乾燥食品、サプリメント等の固形食品、また、清涼飲料やミネラルウォーター、嗜好飲料、アルコール飲料等の液状食品を挙げることができる。固形食品としては特に限定されるものではないが、詳しくは、たとえば、練り製品、大豆加工品、ムース、ゼリー、ヨーグルト、冷菓、飴、チョコレート、ガム、クラッカー、ビスケット、クッキー、ケーキ、パン等が挙げられる。また、液状食品としては特に限定されるものではないが、詳しくは、たとえば、緑茶、ウーロン茶、紅茶、ハーブティー等の茶類、濃縮果汁、濃縮還元ジュース、ストレートジュース、果実ミックスジュース、果肉入り果実ジュース、果汁入り飲料、果実・野菜ミックスジュース、野菜ジュース、炭酸飲料、清涼飲料、牛乳、乳飲料、日本酒、ビール、ワイン、カクテル、焼酎、ウイスキー等が挙げられる。【0025】また、本発明の医薬組成物としては、テアニンを含有してなるものであれば特に限定されるものではない。たとえば、その形態としては、溶液、懸濁物、粉末、固体成型物等のいずれでもよく、その剤型としては、錠剤、カプセル、粉末剤、顆粒剤、ドリンク剤等があげられる。また、他の医薬品とも併用することができる。【0026】当該他の医薬品としては特に限定されるものではないが、たとえば、ADHD治療に用いられる塩酸メチルフェニデート、ペモリン、塩酸イミプラミン、塩酸マプロチリン、塩酸ノルトリプチン、2−(4−メチルアミノブトキシ) ジフェニルメタン、ノルエピネフリン吸収阻害剤であるトモキセチン、血圧低下剤、抗精神病薬、抗躁薬、抗不安薬、睡眠薬、精神刺激薬、抗てんかん薬、鎮静薬、抗パーキンソン薬、選択的セロトニン再吸収阻害物質、選択的セロトニンノルアドレナリン再吸収阻害薬等の抗鬱剤等の向精神薬、加味逍遙散、当帰芍薬散等の漢方薬等があげられる。【0027】本発明の組成物の製法は特に限定されるものではなく、たとえば、テアニンと他の原材料を粉体混合する製法、溶媒中にテアニンと他の原材料を溶かし混合溶液とする製法、またその混合溶液を凍結乾燥する製法、噴霧乾燥する製法等、一般的な食品または医薬品の製法を適用することができる。本発明の組成物を製造する際に用いることができるテアニン以外の成分は、テアニンによる所望の効果の発現が阻害されないかぎり、適宜所望の用途に合わせて選択することができる。【0028】たとえば、既存の食品に対し、製造後の本発明の食品組成物におけるテアニンの含有量が、好ましくは、前記組成物中における好適なテアニンの含有量範囲内となるように、テアニンを常法により配合することにより本発明の食品組成物を製造することができる。また、テアニンを、たとえば、公知の経口投与に適した有機または無機の担体、賦形剤、結合剤、安定剤等と、食品組成物の製造の場合と同様、好ましくは前記好適なテアニンの含有量範囲内となるように、テアニンを常法により配合することにより医薬組成物を製造することができる。【0029】さらに本発明の一態様として、テアニンを個体に投与する注意欠陥多動性障害の改善方法を提供する。かかる方法によれば、副作用の発生の心配なく安全に、しかも効果的に当該個体の注意欠陥多動性障害を改善させることができる。【0030】本態様において、本発明の所望の効果を得るためのテアニンの有効投与量としては一般には、たとえば、ヒトの場合、成人1日の投与当たり0.2〜200mg/kg体重が好ましく、0.5〜50mg/kg体重がより好ましい。ただし、各個体においては、個体差(年齢、性別、症状の種類・程度等)があるため、本発明におけるテアニンの投与量はかかる範囲のみに限定されるものではない。本発明の所望の効果が得られるよう、個別具体的に投与量を適宜調節すればよい。【0031】テアニンの投与は、テアニンそのものを用いて、または、本発明の組成物、好ましくは食品組成物または医薬組成物を用いて行えばよい。また、投与方法、投与回数、投与期間等も特に限定されるものではなく、前記個体、好ましくは、ヒトに対し、たとえば、1回でまたは複数回に分けて、好ましくは経口投与により、テアニンを前記有効投与量範囲で投与すればよい。テアニンもしくは本発明の組成物を、日常的に投与することにより予防効果を得ることも可能である。【0032】本発明において用いられるテアニンの安全性は高く、たとえば、マウスを用いた急性毒性試験において5g/kg経口投与で死亡例はなく、一般状態および体重等に異常は認められない。また、特にL−テアニンは茶の旨味の主成分として知られるものであり呈味を用途とする食品添加物としても使用され、食品衛生法上、その添加量に制限はない。しかも、従来の薬物と異なり、テアニンによる副作用は全く認められないので、本発明の組成物によれば、安全かつ効果的に注意欠陥多動性障害の改善を図ることができる。【0033】【実施例】以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は当該実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例1に用いた組成物の製造にはL−テアニン〔商品名:サンテアニン、太陽化学(株)製〕を用いた。【0034】実施例1医師により注意欠陥多動性障害と診断された5名の患者に、L- テアニンを含む組成物を投与した。なお、当該組成物は、L−テアニンの含有量が20重量%となるように、L−テアニンと結晶セルロース、ショ糖脂肪酸エステル、還元麦芽糖、二酸化ケイ素、乳糖、アスパルテームを混合し、打錠して、錠剤として調製した。【0035】(1)患者17歳11ヵ月、IQ75の男児(体重:23.2kg)。妊娠、出産時期の異常は特になかった。授業中、席に座っていることができない、ヒトの話を聞くことができない等、多動、情緒不安定、注意散漫等の症状があり、前記〔診断基準〕を満たしておりADHDと診断された。L-テアニンを50mg/日で8週間に渡る投与終了後、症状はわずかに残るものの、前記症状は実質的に消失した。担当医は、当該組成物による効果は「有効」であると判定した。【0036】(2)患者212歳10ヵ月、IQ85の女児(体重:40.6kg)。妊娠、出産時期の異常は特になかった。おちつきがない、行動する前に考えない、人前で興奮する、ヒトの話を聞くことができない、友達の遊びの邪魔をする等、不眠、集中困難、情緒不安定、注意散漫等の症状があり、前記〔診断基準〕を満たしておりADHDと診断された。リタリン(メチルフェニデート)投与中は、症状は安定したものの、副作用がひどく、投与を中止した。L-テアニンを200mg/日で10週間に渡る投与終了後、症状はわずかに残るものの、前記症状は実質的に消失した。担当医は、当該組成物による効果は「有効」であると判定した。【0037】(3)患者34歳6ヵ月、IQ80の男児(体重:18.2kg)。妊娠、出産時期の異常は特になかった。会話を始終中断する、寝つきが悪い、他人の邪魔をする等、攻撃的、注意散漫、不眠、暴力等の症状があり、前記〔診断基準〕を満たしておりADHDと診断された。L-テアニンを100mg/日でリタリンと共に1週間に渡って投与した。その結果、症状はわずかに残るものの、前記症状は実質的に消失した。【0038】(4)患者415歳、IQ95の男児(体重:60.2kg)。妊娠、出産時期の異常は特になかった。人前で興奮する、注意散漫、暴力等の症状があり、前記〔診断基準〕を満たしておりADHDと診断された。L-テアニンを登校前に1回だけ200mg摂取させたところ、授業を問題なく受けることができた。しかしながら、その翌日には元の症状にもどり、単回投与での持続性は認められなかった。【0039】(5)患者522歳、IQ70の男性(体重:60.6kg)。妊娠、出産時期の異常は特になかった。会話を始終中断する、多動、衝動的、注意散漫等の症状があり、前記〔診断基準〕を満たしておりADHDと診断された。L-テアニンを60mg/日で1週間に渡る投与終了後、それらの症状は顕著に改善し、症状はわずかに残るものの、前記症状は実質的に消失した。【0040】以上の例より、本発明の組成物によれば、安全かつ効果的に注意欠陥多動性障害の改善を図ることが可能であることが分かる。【0041】【発明の効果】本発明によれば、注意欠陥多動性障害を安全かつ効果的に改善することができる。従って、本発明の組成物は注意欠陥多動性障害の治療、予防等に有用である。 テアニンを含有することを特徴とする注意欠陥多動性障害改善剤。 注意欠陥多動性障害を有する4歳6カ月〜22歳のヒトを対象とすることを特徴とする請求項1記載の注意欠陥多動性障害改善剤。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る