生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_CLL−1に対して特異的な抗体
出願番号:2015511563
年次:2015
IPC分類:C07K 16/28,A61K 39/395,A61P 35/02,A61P 19/00,G01N 33/53,C07K 16/46,C12N 15/09


特許情報キャッシュ

チアン ピン カーサンキー オルガー トレスラー ロブ JP 2015519336 公表特許公報(A) 20150709 2015511563 20130506 CLL−1に対して特異的な抗体 セレラント セラピューティクス インコーポレイテッド 510255071 清水 初志 100102978 春名 雅夫 100102118 山口 裕孝 100160923 刑部 俊 100119507 井上 隆一 100142929 佐藤 利光 100148699 新見 浩一 100128048 小林 智彦 100129506 渡邉 伸一 100130845 大関 雅人 100114340 五十嵐 義弘 100114889 川本 和弥 100121072 チアン ピン カーサンキー オルガー トレスラー ロブ US 61/643,739 20120507 US 61/699,134 20120910 US 13/794,525 20130311 C07K 16/28 20060101AFI20150612BHJP A61K 39/395 20060101ALI20150612BHJP A61P 35/02 20060101ALI20150612BHJP A61P 19/00 20060101ALI20150612BHJP G01N 33/53 20060101ALI20150612BHJP C07K 16/46 20060101ALN20150612BHJP C12N 15/09 20060101ALN20150612BHJP JPC07K16/28A61K39/395 DA61K39/395 NA61P35/02A61P19/00G01N33/53 YG01N33/53 DC07K16/46C12N15/00 A AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC US2013039645 20130506 WO2013169625 20131114 54 20141217 4B024 4C085 4H045 4B024AA01 4B024AA12 4B024BA53 4B024CA04 4B024DA02 4B024DA05 4B024DA11 4B024EA03 4B024FA02 4B024GA11 4B024HA03 4B024HA11 4C085AA13 4C085AA14 4C085AA16 4C085AA25 4C085CC23 4C085EE01 4C085GG02 4C085GG03 4C085GG04 4C085GG05 4C085GG06 4H045AA11 4H045AA20 4H045AA30 4H045BA10 4H045BA41 4H045CA40 4H045DA76 4H045EA28 4H045EA51 4H045FA72 4H045FA74関連出願の相互参照 本出願は、2012年5月7日に提出された米国仮出願第61/643,739号、2012年9月10日に提出された米国仮出願第61/699,134号、および2013年3月11日に提出された米国特許出願第13/794,525号の優先権を主張し、それらの開示内容はその全体が参照により組み入れられる。発明の背景 C型レクチン様分子1(CLL-1)は、AML細胞上、およびさらなる癌細胞を生じうる細胞である癌幹細胞(CSC)上で発現される。 化学療法の大きな限界の1つは、抗癌薬が一般に正常細胞と癌細胞とを識別できないことである。抗腫瘍薬の主要カテゴリーのほぼすべての構成要素は、正常細胞に対してかなりの毒性を有する。 癌細胞を特異的に標的化する組成物はこの問題を回避することができる。しかし、既存の癌標的薬はCSCを標的としない。この理由から、既存の化学療法戦略は、癌細胞に対して特異的に送達された場合であっても、癌を効果的には排除しない。生き残ったCSCが新たな癌細胞を生じるおそれがあるため、再発のリスクが依然として残る。 CSCは造血幹細胞(HSC)と同様にCD34を発現するが、CLL-1はHSC上には発現されない。このことにより、CLL-1を用いてCSCを特異的に標的化することができる。本明細書では、CLL-1発現細胞を高率に認識するCLL-1抗体を提供する。本CLL-1抗体は、CLL-1発現細胞の補体依存性細胞傷害作用および抗体依存性細胞傷害作用の両方に対して有効であり、かつCLL-1発現性癌細胞の腫瘍成長を阻害する。本明細書に記載の抗体は、CLL-1関連障害を標的化するための新規な診断戦略および治療戦略を提供する。 本明細書では、AML患者試料由来のCLL-1発現性初代細胞と高率に結合する、CLL-1に対して特異的な抗体(「CLL-1抗体」)を提供する。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、ヒトCLL-1の細胞外ドメインと、10nMまたはそれ未満のKd、例えば、5nM、1nM、500pM、200pM、100pM、50pMまたはそれ未満のいずれかで特異的に結合する。いくつかの態様において、CLL-1抗体はカニクイザルCLL-1と、100nM、10nM、1nM、100pMまたはそれ未満のKdで結合する。例えば、いくつかの態様において、カニクイザルCLL-1とヒトCLL-1は、CLL-1抗体に対する結合をめぐって競合する。当業者は、より高い親和性結合が、より低いKd(結合のために必要な抗体標的の濃度がより低い)として表現されることを理解するであろう。いくつかの態様において、CLL-1抗体は二重特異性抗体の一部である。いくつかの態様において、CLL-1抗体はサイトトキシンと連結されている。 いくつかの態様において、CLL-1抗体は、CLL-1のC-レクチンドメインからなるポリペプチドと、CLL-1のC-レクチンドメインおよびストークドメインを含むかまたはそれらからなるポリペプチドよりも少なくとも5倍の高さの、例えば、少なくとも10倍、20倍、50倍、または100倍の高さのいずれかのKdで結合する。すなわち、本抗体は、それがC-レクチンドメインのみまたはストークドメインのみと結合する場合よりも高い親和性で、CLL-1のストークドメインおよびC-レクチンドメインを含むポリペプチドと結合する。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、ストークドメインの一部およびC-レクチンドメインの一部を含むエピトープと結合する。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、それが(a)ヒトCLL-1のC-レクチンドメインからなるポリペプチド、または(b)ヒトCLL-1のストークドメインからなるポリペプチドのいずれかと結合する場合よりも高い親和性で、ヒトC型レクチン様分子(CLL-1)のC-レクチンドメインおよびストークドメインからなるポリペプチドと結合する。例えば、M26およびM31と名付けられたCLL-1抗体は、ヒトCLL-1のアミノ酸101〜265と、ヒトCLL-1のアミノ酸141〜265よりも高い親和性で結合する(SEQ ID NO:2を基準とする)。いくつかの態様において、CLL-1抗体は二重特異性抗体の一部である。いくつかの態様において、CLL-1抗体はサイトトキシンと連結されている。 いくつかの態様において、CLL-1抗体は、それが完全長CLL-1細胞外ドメインと結合する場合よりも少なくとも5倍の高さの、例えば、少なくとも10倍、20倍、50倍、または100倍の高さのいずれかのKdで、CLL-1のC-レクチンドメインと結合する。すなわち、CLL-1抗体の親和性は、完全長CLL-1細胞外ドメイン(例えば、細胞上に発現された場合)に対する場合よりも、少なくとも5分の1、10分の1、20分の1、50分の1または100分の1の低さのいずれかである。いくつかの態様において、CLL-1抗体は静止状態のCLL-1発現細胞と結合する。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、静止状態のCLL-1発現細胞と、10nMまたはそれ未満の、例えば、1nM、500pM、200pM、100pM、50pMまたはそれ未満のいずれかのKdで結合する。 いくつかの態様において、CLL-1抗体は、HL60細胞の培養物中の細胞の少なくとも60%、例えば、HL60細胞の少なくとも70、75、80、85、90、95%、またはより高い比率のいずれかと結合する。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、AML患者由来の初代細胞の試料中の有核細胞の少なくとも30%(例えば、40、50、60、70、80、85、90、95%、またはより高い比率のいずれか)と結合し、ここで初代細胞の試料は末梢血、または腫瘍組織の生検試料である。当業者は、そのような細胞結合アッセイでは、例えば、培養物または試料中のある数の細胞と結合するのに十分な抗体分子が存在するように、適切な濃度の抗体が添加されることを理解するであろう。いくつかの態様において、CLL-1抗体は二重特異性抗体の一部である。いくつかの態様において、CLL-1抗体はサイトトキシンと連結されている。 いくつかの態様において、CLL-1抗体は、CLL-1発現細胞、例えばHL60細胞または初代AML細胞を用いる抗体薬物複合体(ADC)細胞傷害性アッセイにおいて、EC50が1nM未満である。いくつかの態様において、ADCアッセイにおけるEC50は、500、200、100、50pMまたはそれ未満のいずれかである。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、ADC細胞傷害性アッセイにおいて、AML細胞のコロニー形成を少なくとも50%、例えば、少なくとも60%、70%、80%またはそれを上回って低下させる。いくつかの態様において、細胞は患者の初代AML細胞である。いくつかの態様において、細胞はAML癌幹細胞である。いくつかの態様において、CLL-1抗体は正常CD34+ 造血幹細胞(HSC)に影響を及ぼさないか、またはADC細胞傷害性アッセイにおいて正常CD34+ HSCのコロニー形成を有意に低下させる。いくつかの態様において、CLL-1抗体は二重特異性抗体の一部である。 いくつかの態様において、CLL-1抗体は、CLL-1発現細胞、例えばHL60細胞または初代AML細胞を用いる補体依存性細胞傷害性(CDC)アッセイにおいて、EC50が1ug/mlまたはそれ未満である。いくつかの態様において、CDCアッセイにおけるEC50は、500、200、100、50、20、10ng/mlまたはそれ未満のいずれかである。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、CLL-1発現細胞、例えば、CLL-1をトランスフェクトした293細胞、HL60細胞、または初代AML細胞を用いる抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)アッセイにおいて、EC50が1ug/mlまたはそれ未満である。いくつかの態様において、ADCCアッセイにおけるEC50は、500、200、100ng/mlまたはそれ未満のいずれかである。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、AML異種移植片を保有するマウスに少なくとも4週間投与されると、非投与対照(すなわち、AML異種移植片を保有するが、CLL-1抗体を投与されていないマウス)と比較して、腫瘍量を少なくとも10分の1に減少させる。いくつかの態様において、AML異種移植片はヒトAML細胞株、例えば、HL60細胞またはOCI AML-5細胞に由来する。いくつかの態様において、AML異種移植片は、ヒトまたは霊長動物(例えば、カニクイザル)の初代AML細胞に由来する。いくつかの態様において、CLL-1抗体は二重特異性抗体の一部である。いくつかの態様において、CLL-1抗体はサイトトキシンと連結されている。 いくつかの態様において、CLL-1抗体は、CLL-1(例えば、CLL-1発現細胞またはAML細胞)に対する結合をめぐって、以下のものからなる群より選択される抗体と競合する抗体からなる群より選択される:・M26の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体(実施例1参照);・M31の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G4の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・M22の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・M29の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・M2の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・M5の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G12の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・M41の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・E3の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・B10の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G2の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G6の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G8の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G10の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G14の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G16の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G23の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G26の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G28の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;ならびに・G30の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体。 いくつかの態様において、CLL-1抗体は、以下のもの:・M26の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体(実施例1参照);・M31の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G4の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・M22の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・M29の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・M2の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・M5の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G12の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・M41の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・E3の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・B10の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G2の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G6の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G8の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G10の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G14の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G16の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G23の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G26の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;・G28の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体;ならびに・G30の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む抗体、からなる群より選択される抗体から選択され、ここで、選択されたCDRのいずれか1つまたは複数は、元のCDR配列と比較して1つ、2つまたは3つの保存的アミノ酸置換を有しうる。いくつかの態様において、CLL-1抗体は二重特異性抗体の一部である。いくつかの態様において、CLL-1抗体はサイトトキシンと連結されている。 いくつかの態様において、CLL-1抗体はM26の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む。いくつかの態様において、CLL-1抗体はM31の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む。いくつかの態様において、CLL-1抗体はG4の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む。いくつかの態様において、CLL-1抗体は二重特異性抗体の一部である。いくつかの態様において、CLL-1抗体はサイトトキシンと連結されている。 いくつかの態様において、上記のようなCLL-1抗体は、CLL-1のC-レクチンドメインからなるポリペプチドと、CLL-1のC-レクチンドメインおよびストークドメインからなるポリペプチドよりも少なくとも5倍(例えば、10倍、20倍、50倍、100倍またはより高い倍率のいずれか)の高さのKdで結合する。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、それが完全長CLL-1細胞外ドメインと結合する場合よりも少なくとも5倍(例えば、10倍、20倍、50倍、100倍またはより高い倍率のいずれか)の高さのKdで、CLL-1のC-レクチンドメインと結合する。いくつかの態様において、上記のようなCLL-1抗体は、さらに、HL60細胞の培養物中の細胞の少なくとも80%(例えば、85、90、95%、またはより高い比率のいずれか)と結合する。いくつかの態様において、上記のようなCLL-1抗体は、さらに、AMLを有する個体由来のAML細胞の試料中の有核細胞の少なくとも30%(例えば、40、50、60、70、80、85、90、95%、またはより高い比率のいずれか)と結合する。この場合も、そのような細胞結合アッセイでは、例えば、培養物または試料中のある数の細胞と結合するのに十分な抗体分子が存在し、かつ抗体濃度が制限因子とならないように、適切な濃度の抗体が添加される。 いくつかの態様において、上記のようなCLL-1抗体は、例えばIgG1由来のヒトFc領域を有するキメラ抗体である。いくつかの態様において、上記のようなCLL-1抗体はヒト化されている。いくつかの態様において、CLL-1抗体は二重特異性抗体の一部である。いくつかの態様において、上記のようなCLL-1抗体は、Fvフラグメント(例えば、Fab、Fab'またはF(ab')2)である。いくつかの態様において、上記のようなCLL-1抗体は標識されており、例えば検出用部分と結合されている。いくつかの態様において、上記のようなCLL-1は、治療用化合物、例えばサイトトキシンまたは細胞増殖阻害薬と結合されている。 いくつかの態様において、CLL-1抗体は、以下のものからなる群より選択される:・M26の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:4;Vl=SEQ ID NO:6)に対して実質的な同一性(少なくとも85、90、95または98%の同一性のいずれか)を有する可変領域配列を含む抗体;・M31の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:8;Vl=SEQ ID NO:10)に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・G4の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:12;Vl=SEQ ID NO:14)に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・M22の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:16;Vl=SEQ ID NO:18)に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・M29の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:20;Vl=SEQ ID NO:22)に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・M2の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:24;Vl=SEQ ID NO:26)に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・M5の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:28;Vl=SEQ ID NO:30)に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・G12の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:32;Vl=SEQ ID NO:34)に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・M41の可変領域配列に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・E3の可変領域配列に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・B10の可変領域配列に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・G2の可変領域配列に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・G6の可変領域配列に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・G8の可変領域配列に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・G10の可変領域配列に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・G14の可変領域配列に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・G16の可変領域配列に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・G23の可変領域配列に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・G26の可変領域配列に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・G28の可変領域配列に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;および・G30の可変領域配列に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体。いくつかの態様において、実質的に同一な抗体は元の抗体のCDR配列を有する。 いくつかの態様において、CLL-1抗体は、以下のものからなる群より選択される抗体と、結合をめぐって競合する:・M26の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:4;Vl=SEQ ID NO:6)を含む抗体;・M31の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:8;Vl=SEQ ID NO:10)を含む抗体;・G4の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:12;Vl=SEQ ID NO:14)を含む抗体;・M22の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:16;Vl=SEQ ID NO:18)を含む抗体;・M29の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:20;Vl=SEQ ID NO:22)を含む抗体;・M2の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:24;Vl=SEQ ID NO:26)を含む抗体;・M5の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:28;Vl=SEQ ID NO:30)を含む抗体;・G12の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:32;Vl=SEQ ID NO:34)を含む抗体;・M41の可変領域配列を含む抗体;・E3の可変領域配列を含む抗体;・B10の可変領域配列を含む抗体;・G2の可変領域配列を含む抗体;・G6の可変領域配列を含む抗体;・G8の可変領域配列を含む抗体;・G10の可変領域配列を含む抗体;・G14の可変領域配列を含む抗体;・G16の可変領域配列を含む抗体;・G23の可変領域配列を含む抗体;・G26の可変領域配列を含む抗体;・G28の可変領域配列を含む抗体;および・G30の可変領域配列を含む抗体。 いくつかの態様において、CLL-1抗体は、以下のものからなる群より選択される:・M26の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:4;Vl=SEQ ID NO:6)を含む抗体;・M31の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:8;Vl=SEQ ID NO:10)を含む抗体;・G4の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:12;Vl=SEQ ID NO:14)を含む抗体;・M22の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:16;Vl=SEQ ID NO:18)を含む抗体;・M29の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:20;Vl=SEQ ID NO:22)を含む抗体;・M2の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:24;Vl=SEQ ID NO:26)を含む抗体;・M5の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:28;Vl=SEQ ID NO:30)を含む抗体;・G12の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:32;Vl=SEQ ID NO:34)を含む抗体;・M41の可変領域配列を含む抗体;・E3の可変領域配列を含む抗体;・B10の可変領域配列を含む抗体;・G2の可変領域配列を含む抗体;・G6の可変領域配列を含む抗体;・G8の可変領域配列を含む抗体;・G10の可変領域配列を含む抗体;・G14の可変領域配列を含む抗体;・G16の可変領域配列を含む抗体;・G23の可変領域配列を含む抗体;・G26の可変領域配列を含む抗体;・G28の可変領域配列を含む抗体;および・G30の可変領域配列を含む抗体。いくつかの態様において、CLL-1抗体は二重特異性抗体の一部である。いくつかの態様において、CLL-1抗体はサイトトキシンと連結されている。 いくつかの態様において、CLL-1抗体は、M26の重鎖および軽鎖の可変領域配列を含む。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、M31の重鎖および軽鎖の可変領域配列を含む。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、G4の重鎖および軽鎖の可変領域配列を含む。 いくつかの態様において、記載したようなCLL-1抗体は、CLL-1のC-レクチンドメインからなるポリペプチドと、CLL-1のC-レクチンドメインおよびストークドメインからなるポリペプチドよりも少なくとも5倍(例えば、10倍、20倍、50倍、100倍またはより高い倍率のいずれか)の高さのKdで結合する。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、それが完全長CLL-1細胞外ドメインと結合する場合よりも少なくとも5倍(例えば、10倍、20倍、50倍、100倍またはより高い倍率のいずれか)の高さのKdで、CLL-1のC-レクチンドメインと結合する。いくつかの態様において、上記のようなCLL-1抗体は、さらに、HL60細胞の培養物中の細胞の少なくとも80%(例えば、85、90、95%、またはより高い比率のいずれか)と結合する。いくつかの態様において、上記のようなCLL-1抗体は、さらに、AMLの個体由来のAML細胞の試料中の有核細胞の少なくとも30%(例えば、40、50、60、70、80、85、90、95%、またはより高い比率のいずれか)と結合する。 いくつかの態様において、上記のようなCLL-1抗体は、Fvフラグメント(例えば、Fab、Fab'またはF(ab')2)である。いくつかの態様において、抗体は、2つの別個のエピトープ結合配列を有する2つの別個の可変領域を単一の抗体構築物中に含む(例えば、M26、M31、G4またはM22由来の1つのエピトープ結合領域と、M26、M31、G4またはM22由来の1つのエピトープ結合領域を、任意の組み合わせで有する)。いくつかの態様において、上記のようなCLL-1抗体は標識されており、例えば検出用部分と結合されている。いくつかの態様において、上記のようなCLL-1は、治療用化合物、例えばサイトトキシンまたは細胞増殖阻害薬と結合されている。 本明細書に述べるようなCLL-1抗体と、薬学的に許容される添加剤または担体とを含む薬学的組成物もさらに提供される。 細胞がCLL-1を発現するか否かを判定する方法であって、CLL-1抗体(すなわち、上記の活性または配列のいずれかを有するCLL-1抗体)を細胞と接触させる段階;抗体の細胞との結合を検出する段階であって、抗体の細胞との結合によって細胞がCLL-1を発現することが示される段階;および、細胞がCLL-1を発現するか否かを判定する段階を含む方法が提供される。いくつかの態様において、本方法は、細胞がCD34を発現するか否かを判定する段階をさらに含む。いくつかの態様において、本方法は、細胞がCD38を発現するか否かを判定する段階をさらに含む。いくつかの態様において、本方法は、細胞がCD45を発現するか否かを判定する段階をさらに含む。いくつかの態様において、細胞は、個体から得た生物試料(例えば、血液試料、または腫瘍もしくは組織からの生検試料)中にある。いくつかの態様において、抗体結合はFACSによって検出される。 また、骨髄性癌細胞(例えば、AML、CML、CMML、多発性骨髄腫、形質細胞腫、またはMDSなどの骨髄増殖性障害に由来するCLL-1発現性癌細胞)またはCSC(例えば、LSCまたは骨髄性癌細胞芽球)を同定する方法であって、CLL-1抗体(すなわち、上記の活性または配列のいずれかを有するCLL-1抗体)を細胞と接触させる段階;抗体の細胞との結合を検出する段階;および、抗体が細胞と結合する場合にCSCまたは骨髄性癌細胞を同定する段階を含む方法も提供される。いくつかの態様において、骨髄性癌細胞は、AML、CML、CMML、多発性骨髄腫、形質細胞腫、またはMDSの細胞から選択される。いくつかの態様において、本方法は、細胞がCD45を発現するか否かを判定する段階、および細胞がCD45を発現する場合にAML細胞を同定する段階をさらに含む。いくつかの態様において、本方法は、細胞がCD34を発現するか否かを判定する段階、および細胞がCD34を発現する場合にCSCを同定する段階をさらに含む。いくつかの態様において、細胞は個体由来の生物試料中にある。いくつかの態様において、抗体結合はFACSによって検出される。 個体を骨髄増殖性障害(例えば、AML、CML、MDS、CMML、多発性骨髄腫、形質細胞腫 骨髄線維症)に関して診断する方法であって、CLL-1抗体(すなわち、上記の活性または配列のいずれかを有するCLL-1抗体)を個体由来の生物試料と接触させる段階;抗体の生物試料中の細胞との結合を検出する段階;および、抗体が細胞と結合する場合に個体を骨髄増殖性障害と診断する段階を含む方法もさらに提供される。いくつかの態様において、生物試料は、血液試料(例えば、末梢有核血液細胞)または腫瘍もしくは組織からの生検試料である。いくつかの態様において、本方法は、細胞がCD34を発現するか否かを判定する段階をさらに含む。いくつかの態様において、本方法は、骨髄増殖性障害が診断された場合に個体に対する治療過程を決定する段階をさらに含む。いくつかの態様において、治療過程は、CLL-1抗体の有効用量の投与を含む。いくつかの態様において、CLL-1抗体の有効用量は、薬学的に許容される添加剤を含む薬学的組成物中にある状態で投与される。いくつかの態様において、本方法は、例えば、骨髄増殖性障害が診断された場合、または個体が骨髄増殖性障害と過去に診断されているが疾患に対する治療を受けていない場合に、個体をモニターする段階をさらに含む。 CLL-1発現細胞の生存を阻害する(例えば、細胞の増殖または分裂を低下させる、ADCを媒介する、CDCを媒介する)方法であって、CLL-1抗体(すなわち、上記の活性または配列のいずれかを有するCLL-1抗体)を細胞と接触させる段階、および細胞の生存を阻害する段階を含む方法もさらに提供される。いくつかの態様において、接触させる段階は、抗体(例えば、薬学的組成物中にある)を、個体、例えば、骨髄増殖性障害(例えば、AML、CML、MDS、CMML、多発性骨髄腫、形質細胞腫 骨髄線維症)と診断された個体に投与することを含む。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、CLL-1発現細胞の生存を阻害するのに有効な用量で投与される。 個体における骨髄増殖性障害を治療する(例えば、腫瘍の増殖または生着を未治療対照と比較して低下させる)方法であって、CLL-1抗体(すなわち、上記の活性または配列のいずれかを有するCLL-1抗体)の有効用量を個体に投与し、それによって個体における骨髄増殖性障害を治療する段階を含む方法が提供される。いくつかの態様において、骨髄増殖性障害は、AML、CML、MDS、CMML、多発性骨髄腫、形質細胞腫、および骨髄線維症から選択される。いくつかの態様において、CLL-1抗体の有効用量は、薬学的に許容される添加剤を含む薬学的組成物中にある状態で投与される。いくつかの態様において、個体は、例えば本明細書に述べるようなCLL-1抗体を用いて、骨髄増殖性障害と診断されている。いくつかの態様において、治療の方法は、例えば本明細書に述べるようなCLL-1抗体を用いて、個体における細胞増殖(例えば、腫瘍成長または流血中の骨髄性癌細胞)をモニターする段階をさらに含む。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、治療用化合物、例えば、サイトトキシンまたは細胞増殖阻害薬と結合されている。3人の異なるAML患者、#49(A)、#50(B)および#52(C)からの初代細胞を用いた補体依存性細胞傷害性(CDC)アッセイの結果を示している。図1Aは、CLL-1抗体クローンM26が10〜100ng/mLのEC50を有することを示している。M26およびM31はいずれも、10〜100ng/mLのEC50を有する。3人の異なるAML患者、#49(A)、#50(B)および#52(C)からの初代細胞を用いた補体依存性細胞傷害性(CDC)アッセイの結果を示している。図1Bは、CLL-1抗体クローンM26が10〜100ng/mLのEC50を有することを示している。M26およびM31はいずれも、10〜100ng/mLのEC50を有する。3人の異なるAML患者、#49(A)、#50(B)および#52(C)からの初代細胞を用いた補体依存性細胞傷害性(CDC)アッセイの結果を示している。図1Cは、CLL-1抗体クローンM26、M31、陰性対照E12(非関連抗体)、およびIgGに関する結果を示している。M26およびM31はいずれも、10〜100ng/mLのEC50を有する。マウス異種移植モデルにおけるCLL-1抗体クローンの抗腫瘍効果を示している。HL60 AML細胞をマウスに皮下注射した。マウスは1群当たりn=6匹として5群に分けた:(1)IgG2a対照;(2)M5;(3)M13;(4)M26;および(5)M31。マウスには抗体200ugを週1回ずつ7週間投与した。すべての投与群について、対照との比較で、P<0.05。マウス同所性異種移植片モデルにおけるCLL-1抗体クローンの抗腫瘍効果を示している。AML細胞を免疫低下NSG(NOD/SCID/IL2受容体γ鎖ノックアウト)マウスに静脈内注射した。マウスは1群当たりn=6匹として5群に分けた:(1)IgG2a対照;(2)M5;(3)M13;(4)M26;および(5)M31。マウスには抗体200ugを週2回ずつ2週間投与した上で、移植から4週間後に屠殺した。骨髄内の腫瘍量(CD45+ CLL-1+細胞)をFACSによって決定した。CLL-1抗体薬物複合体(ADC)が、AML幹細胞のコロニー形成は阻害するが、正常造血幹細胞(CD34+ HSC)のコロニー形成は阻害しないことを示している。図4Aは、播種したCD34+ HSCが、抗体薬物複合体の存在下で、陰性対照(抗体も抗体薬物複合体もない)のレベルでコロニーを形成することを示している。図4Bは、播種した全PBMCについて、サポリンと結合させたCLL-1抗体M26の存在下で、AML癌幹細胞(CSC)のコロニー形成が、陰性対照(抗体も抗体薬物複合体もない)と比較して80%少なかったことを示している。CLL-1抗体クローンM26、M31およびG4(標識31.G4も同じく)が、マウス形態およびキメラ性ヒト(Chi)形態のいずれでも、ヒトPBMCと結合することを示している。陰性対照には、各CLL-1抗体に対応するが非関連抗原に対して特異的なIgGが含まれる。単核細胞をPBMC試料から分離し、FACSを用いて、CD89(顆粒球)、CD14(単球および顆粒球)、CD3(リンパ球)、およびCD19(B細胞)の発現に応じて細胞を特徴づけた。各集団に関するCLL-1陽性染色率を、各CLL-1抗体について左から右に上の順で示している。CLL-1抗体クローンM26、M31、およびG4(標識31.G4も同じく)が、元のマウス形態およびキメラ性ヒト(Chi)形態のいずれでも、カニクイザルPBMCと結合することを示している。陰性対照には、各CLL-1抗体に対応するが非関連抗原に対して特異的なIgGが含まれる。単核細胞をPBMC試料から分離し、FACSを用いて、CD3(リンパ球)、CD19(B細胞)、CD14(顆粒球)、CD14(単球)およびCD89(顆粒球)の発現に応じて細胞を特徴づけた。各集団に関するCLL-1陽性染色率を、各CLL-1抗体について左から右に上の順で示している。マウスCLL-1およびキメラ性ヒトCLL-1がいずれも、CLL-1をトランスフェクトした293細胞に対する抗体薬物複合体(ADC)活性をインビトロで有することを示している。図7Aは、マウスCLL-1抗体クローンM26、M31、およびG4(31G4)に関する結果を、陰性対照マウスIgG2aと比較して示している。図7Bは、対応するキメラヒトCLL-1抗体クローンに関する結果を示している。キメラヒトCLL-1抗体クローンM26、M31、およびG4(31G4)が、CLL-1をトランスフェクトした293細胞に対する抗体依存性細胞媒介性細胞傷害作用(ADCC)を媒介することを示している。ChiM26、ChiM31、およびChi31G4に関するEC50(ng/ml)はそれぞれ79、143、および105である。マウス異種移植モデルにおけるCLL-1抗体クローンの抗腫瘍効果を示している。NOD/SCIDマウスに対して第-1日および第0日に照射を行い、HL60細胞を尾静脈に注射した(マウス1匹当たり細胞3×106個)。マウスは1群当たりn=6匹として3群に分けた:(1)huIgG対照;(2)M26;(3)ChiM31。マウスに対して、22日間の過程を通じて8回の抗体注射(200ug)を行った上で、第26日に屠殺した。骨髄内の腫瘍量をFACSによって決定した。図9AはhuCD45+CD33+ AML細胞の百分率を示しており、図9BはhuCD45+ CLL-1+ AML CSCの百分率を示している。マウス異種移植モデルにおけるCLL-1抗体クローンの抗腫瘍効果を示している。NOD/SCIDマウスに対して第-1日および第0日に照射を行い、OCI AML-5細胞を尾静脈に注射した(マウス1匹当たり細胞5×106個)。マウスは1群当たりn=6匹として5群に分けた:(1)huIgG対照;(2)M26;(3)ChiM26;(4)ChiM31;(5)ChiG4。マウスに対して、19日間の過程を通じて8回の抗体注射(200ug)を行った上で、第24日に屠殺した。骨髄内の腫瘍量をFACSによって決定した。図10Aは、huCD45+CD33+ AML細胞のパーセンテージを示している。図10Bは、結果の分解能をより高めて観察する目的で、huCD45+ CD33+ AML細胞のパーセンテージのlog10値を示している。このデータは、試験した4種のCLL-1抗体のすべてが腫瘍量を効果的に減少させたこと、ならびにM26、ChiM26、およびChiM31の抗腫瘍効果が最も高かったことを示している。発明の詳細な説明I.序論 本明細書では、さまざまな有利な特性を備える、CLL-1に対して特異的な抗体を提供する。そのような抗体は、以下の基準の少なくとも1つに基づいて選択された:・ヒトCLL-1に対する親和性がピコモル濃度からナノモル濃度までの範囲にある;・AML患者から得られた試料のうち比較的高率の試料との結合(例えば、X357もしくはX1057 CLL-1抗体の場合よりも高率のAML患者、またはAML患者試料の少なくとも50%);・AML患者試料中の細胞(例えば、末梢血単核細胞(PBMC))のうち比較的高率の細胞との結合(例えば、X357もしくはX1057 CLL-1抗体の場合よりも高率の細胞、またはAML患者試料中の細胞の少なくとも50%);・抗体薬物複合体(ADC)細胞傷害性アッセイにおいて活性がある;・補体依存性細胞傷害性(CDC)アッセイにおいて活性がある;・抗体依存性細胞傷害性(ADCC)アッセイにおいて活性がある;・インビトロまたはインビボ(異種移植マウスモデル)での抗腫瘍活性;・AML細胞との特異的結合、およびAML細胞でのADC活性はあるが正常HSCではそうでない;・動物モデルの種ホモログ(例えば、カニクイザルCLL-1)との結合;・上記の活性が、キメラ性ヒト形態にある抗体で保たれる。 本明細書に記載のCLL-1抗体はこれらの選択特性のすべてを有するわけではないが、例えば、以下の順序に従ってさらに説明する。本CLL-1抗体は、例えば個体におけるCLL-1発現性癌細胞の診断もしくはモニタリングを目的とする、CLL-1発現細胞の検出のため、またはCLL-1発現性癌、例えばAMLなどの治療のために用いることができる。II.定義 別に定める場合を除き、本明細書において用いられる技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Lackie, DICTIONARYOF CELL AND MOLECULAR BIOLOGY, Elsevier(4th ed. 2007);Sambrook et al., MOLECULAR CLONING, A LABORATORY MANUAL, Cold Springs Harbor Press(Cold Springs Harbor, NY 1989)を参照されたい。「1つ(a)」または「1つ(an)」という用語は、「1つまたは複数の」を意図している。「含む(comprise)」およびそれらの変形物、例えば「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」などは、ある段階または要素の叙述の前にある場合、さらなる段階または要素の追加も任意で行え、排除されないことを意味するものとする。本明細書に記載されたものと同様または同等なあらゆる方法、装置および材料を、本発明の実施に用いることができる。以下の定義は、本明細書において頻繁に用いられる。いくつかの特定の用語を理解しやすくするために提供されるものであり、本開示の範囲を限定することは意図していない。 C型レクチン様分子1(CLL-1)は、CLEC12A、DCAL-2、およびMICLとしても公知であり、II型膜タンパク質の1つである(ITIMドメイン-TMドメイン-ストークドメイン-レクチン様ドメイン)。CLL-1の細胞外ドメインは高度にグリコシル化されており、これは骨髄細胞系列の細胞に限定して発現される。CLL-1はAML細胞、MDS細胞、およびCML細胞上でも発現される。CLL-1発現を利用して、CLL-1を発現しない正常造血幹細胞(HSC)と、CLL-1が発現している白血病幹細胞(LSC)とを識別することができる。LSCは、癌細胞の生成および癌の再発につながる、白血病患者の体内のCD34+細胞である。Bakker et al. (2004) Cancer Res. 64:8443を参照。 CLL-1のヌクレオチド配列およびタンパク質配列は、多くの種に関して公知である。例えば、ヒト配列は、Genbankアクセッション番号AF247788.1(SEQ ID NO:1に示されたコード配列)およびUniprotアクセッション番号Q5QGZ9(SEQ ID NO:2)に見いだすことができる。SEQ ID NO:2として示されたヒトCLL-1タンパク質の場合、細胞外ドメインはおよそアミノ酸65〜265で構成され、膜貫通ドメインはおよそアミノ酸44〜64で構成され、細胞質ドメインはおよそアミノ酸1〜43で構成される。いずれもSEQ ID NO:2に示された配列を基準として、ヒトCLL-1のストークドメインはアミノ酸65〜139に及び、Cレクチンドメインはアミノ酸140〜249に及ぶ。当業者は、CLL-1変異体(例えば、種ホモログ、対立遺伝子変異体など)を、例えば保存された残基およびドメインの同定のために、最適なようにアラインメントを行いうることを理解するであろう。 「CLL-1特異的抗体」、「抗CLL-1抗体」、「CLL-1抗体」、および「抗CLL-1」という用語は、CLL-1のさまざまなグリコシル化形態を含む、CLL-1と特異的に結合する抗体を指す目的で、本明細書において同義に用いられる。本明細書に記載のCLL-1抗体は、例えば、ある種の癌細胞の表面で発現されるCLL-1ポリペプチドとは特異的に結合するが、HSCとは結合しない。以下にさらに詳細に考察するように、本抗CLL-1抗体は、CLL-1発現細胞と結合すること、他のAML標的指向性抗体と比較してより高率のAML細胞と結合すること、AML細胞増殖を阻害すること、およびそれらの破壊を媒介することができる。 「CLL-1関連障害(CLL-1 associated disorder)」(またはCLL-1関連障害(CLL-1 related disorder)、CLL-1障害、CLL-1関連病状または疾患など)とは、標準的な対照(例えば、正常細胞、非罹患細胞、非癌性細胞)におけるCLL-1発現と比較して、CLL-1の表面発現の増大または低下と相関づけられる病状および疾患のことを指す。CLL-1レベルの増大は、癌細胞、特に、AML(急性骨髄性白血病)、MDS(骨髄異形成症候群)およびCML(慢性骨髄性白血病)などの白血病、ならびに造血性CSC(例えば、LSC)と関連性がある。 「抗体」という用語は、抗原結合活性を保っているポリペプチド構造、例えば、免疫グロブリン、複合体、またはそのフラグメントなどのことを指す。この用語は、天然型、またはヒト化抗体、ヒト抗体、単鎖抗体、キメラ抗体、合成抗体、組換え抗体、ハイブリッド抗体、突然変異抗体、グラフト抗体、およびインビトロ作製抗体といった遺伝的に改変された型の、ヒト細胞または他の哺乳動物細胞に由来するアイソタイプクラスIgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMのポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を非限定的に含む。この用語は、免疫グロブリン部分を含む融合タンパク質(例えば、キメラ抗体または二重特異性抗体またはscFv's)、およびフラグメント、例えばFab、F(ab')2、Fv、scFv、Fd、dAbなど、ならびに他の組成物を非限定的に含む複合体を範囲に含む。 例示的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は四量体で構成される。各四量体は2つの同一なポリペプチド鎖の対で構成され、それぞれの対は1つの「軽」鎖(約25kD)および1つの「重」鎖(約50〜70kD)を有する。各鎖のN末端は、抗原認識の主な原因となる約100〜110個またはそれを上回るアミノ酸を有する可変領域の範囲を定める。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)という用語は、それぞれこれらの軽鎖および重鎖のことを指す。可変領域は抗体の抗原結合領域(またはその機能的同等物)を含み、結合の特異性および親和性において最も重要である。Paul, Fundamental Immunology (2003)を参照。 抗体は、無傷の免疫グロブリンとして、または特異的な抗原結合活性を含む十分に特徴づけられたいくつかのフラグメントの任意のものとして存在しうる。分かりやすくするために、重鎖および軽鎖を有する四量体抗体を、本明細書では「無傷の免疫グロブリン」と称するが、これは天然性であるか、ポリクローナル性であるか、モノクローナル性であるか、または組換え法によって作製されるかのいずれであってもよい。フラグメントは、さまざまなペプチダーゼによる消化によって作製することができる。ペプシンは、抗体をヒンジ領域内のジスルフィド結合よりも下方で消化して、それ自体がジスルフィド結合によってVH-CH1に連結している軽鎖であるFabの二量体、F(ab)'2を生じる。F(ab)'2を穏和な条件下で還元させてヒンジ領域内のジスルフィド結合を切断し、それにより、F(ab')2二量体をFab'単量体に変換させることができる。Fab'単量体は本質的には、ヒンジ領域の一部を伴うFabである。さまざまな抗体フラグメントが無傷の抗体の消化に関して定義されているが、当業者は、化学的に、または組換えDNA法を用いることによって、そのようなフラグメントを新規に合成しうることを理解しているであろう。したがって、抗体という用語には、本明細書で用いる場合、完全抗体の修飾によって生成されるか、または組換えDNA法を用いて合成されるか、またはファージディスプレイライブラリーを用いて同定される抗体フラグメントも含まれる(例えば、McCafferty et al., Nature 348:552-554 (1990))を参照。 本明細書で用いる場合、「Fv」という用語は、一価または二価の可変領域フラグメントのことを指し、これは可変領域のみ(例えば、VLおよび/またはVH)のほかに、より長いフラグメント、例えば、同じくCLおよび/またはCH1を含むFab、Fab'またはF(ab')2も範囲に含みうる。別に指定する場合を除き、「Fc」という用語は、CH1領域およびCH2領域を含む重鎖単量体または二量体のことを指す。 単鎖Fv(scFv)とは、VLおよびVHがリンカー、例えばペプチドリンカーによって連結されたものを含むポリペプチドのことを指す。また、ScFvを用いて、タンデム(または二価)scFvまたはダイアボディを形成することもできる。タンデムscFvおよびダイアボディの作製および特性は、例えば、Asano et al. (2011) J Biol. Chem. 286:1812;Kenanova et al. (2010) Prot Eng Design Sel 23:789;Asano et al. (2008) Prot Eng Design. Sel 21 :597に記載されている。 二重特異性抗体または二価抗体とは、2つの異なる標的抗原またはエピトープに対する特異性を有する抗体のことを指す。例えば、一方の抗体アーム(V領域)がCLL-1に対して特異的であり、もう一方のアームが別の標的、例えば、白血病もしくはAML標的、またはエフェクター細胞を動員するための標的、例えばCD3に対して特異的であってよいと考えられる。また、二重特異性抗体が、第1のCLL-1エピトープに対して特異的な一方のアームを有し、もう一方のアームは第2のCLL-1エピトープに対して特異的であってもよい。二重特異性抗体は、Fv領域、または無傷の、もしくはキメラ性の免疫グロブリンであってよい。二重特異性抗体は、例えば、Lum et al. (2011) BioDrugs 25:365およびMabry et al. (2010) IDrugs 13:543に記載されている。 「モノクローナル抗体」とは、抗原上の所与のエピトープに対して単一の結合特異性および親和性を有する抗体のクローン性調製物のことを指す。「ポリクローナル抗体」とは、単一の抗原に対して産生されてはいるが複数の異なる結合特異性および親和性を有する抗体の調製物のことを指す。 本明細書で用いる場合、「V-領域」とは、CDR3およびフレームワーク4を含む、フレームワーク1、CDR1、フレームワーク2、CDR2、およびフレームワーク3のセグメントを含む抗体可変領域ドメインのことを指し、これらのセグメントは、B細胞分化の際に重鎖および軽鎖のV領域遺伝子の再構成の結果としてVセグメントに加えられる。 本明細書で用いる場合、「相補性決定領域(CDR)」とは、軽鎖可変領域および重鎖可変領域によって構築される4つの「フレームワーク」領域の間に、各鎖における3つの超可変領域が差し挟まれたもののことを指す。CDRは抗原のエピトープに対する結合の主な原因となる。各鎖のCDRは典型的には、N末端から順に番号を付してCDR1、CDR2およびCDR3と称され、典型的には個々のCDRが位置する鎖によっても特定される。すなわち、VH CDR3はそれが見いだされる抗体の重鎖の可変ドメインに位置し、一方、VL CDR1はそれが見いだされる抗体の軽鎖の可変ドメインに由来するCDR1である。 異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、種内で比較的保存されている。抗体のフレームワーク領域は、構成要素である軽鎖および重鎖のフレームワーク領域が組み合わさったものであり、三次元空間にCDRを位置づけて整列させる働きをする。 CDRおよびフレームワーク領域のアミノ酸配列は、当技術分野において周知のさまざまな定義、例えば、Kabat, Chothia, international ImMunoGeneTicsデータベース(IMGT)、およびAbMなどを用いて決定することができる(例えば、Johnson et al., 前記;Chothia & Lesk, (1987) J. Mol Biol. 196, 901 -917;Chothia et al., (1989) Nature 342, 877-883;Chothia et al. (1992) J. Mol. Biol. 227, 799-817;Al-Lazikani et al., J.Mol.Biol 1997, 273(4)を参照)。Kabat方式を用いてCDRの位置を特定するために役立つ手引きは、bioinf.org.uk/absで利用しうるウェブサイトに見いだすことができる。抗原結合部位の定義は、以下のものにも記載されている:Ruiz et al. Nucleic Acids Res., 28, 219-221 (2000);およびLefranc Nucleic Acids Res. Jan 1;29(1):207-9 (2001);MacCallum et al., J. Mol. Biol., 262: 732-745 (1996);およびMartin et al, Proc. Natl Acad. Sci. USA, 86, 9268-9272 (1989);Martin, et al, Methods Enzymol., 203: 121-153,(1991);Pedersen et al, Immunomethods, 1, 126,(1992);およびRees et al, In Sternberg M.J.E. (ed.), Protein Structure Prediction. Oxford University Press, Oxford, 141-172 1996)。 「キメラ抗体」とは、(a)抗原結合部位(可変領域、CDRまたはその一部分)が、クラス、エフェクター機能および/もしくは種が異なるかもしくは改変された定常領域と連結されるように、定常領域またはその一部分が改変、置換または交換されている;または(b)可変領域またはその一部分が、異なるもしくは改変された抗原特異性を有する可変領域(例えば、異なる種由来のCDRおよびフレームワーク領域)によって改変、置換または交換されている、抗体のことを指す。キメラ抗体は、可変領域フラグメント、例えば、2つのFabもしくはFv領域、または1つのscFvを含む組換え抗体を含みうる。キメラはまた、上記に示したように、結合しているFv領域とは異なる源に由来するFc領域も含みうる。場合によっては、キメラ抗体はFv領域内にキメリズムを含む。そのようなキメラ抗体の一例は、FRおよびCDRが異なる源に由来するヒト化抗体である。 ヒト化抗体とは、非ヒト抗体のVH領域およびVL領域から得られた抗原結合ループ、すなわちCDRが、ヒトフレームワーク配列に移植された抗体のことである。ヒト化、すなわち、ヒト抗体の対応する配列を非ヒトCDR配列に置換することは、例えば、米国特許第5,545,806号;第5,569,825号;第5,633,425号;第5,661,016号;Riechmann et al., Nature 332:323-327 (1988);Marks et al., Bio/Technology 10:779-783 (1992);Morrison, Nature 368:812-13 (1994);Fishwild et al., Nature Biotechnology 14:845-51 (1996)に記載された方法に従って行うことができる。米国特許第6,673,986号に開示されたように、トランスジェニックマウスまたは他の哺乳動物などの他の生物を、ヒト化抗体またはヒト抗体を発現させるために用いることもできる。 「抗原」、「免疫原」、「抗体標的」、「標的分析物」および類似の用語などの用語は、抗体によって認識される、すなわち、抗体によって特異的に結合される分子、化合物または複合体のことを指す目的で、本明細書において用いられる。この用語は、抗体によって特異的に認識されうる任意の分子、例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、糖質、脂質、化学部分、またはそれらの組み合わせ(例えば、リン酸化ポリペプチドまたはグリコシル化ポリペプチドなど)のことを指すことができる。当業者は、この用語が、分子があらゆる状況において免疫原性であることを示すのではなく、それが抗体によって標的化されうることを単に示すのに過ぎないことを理解するであろう。 抗体は抗原上の「エピトープ」と結合する。エピトープは、抗体によって認識されて結合される、抗原上の限局的な部位である。エピトープは、5個もしくは6個といった少数のアミノ酸、もしくは少数のアミノ酸の複数の部分、またはそれを上回る、例えば20個もしくはそれを上回るアミノ酸、もしくはそのようなアミノ酸の複数の部分を含みうる。場合によっては、エピトープは、糖質、核酸、または脂質などに由来する非タンパク質性構成要素を含む。場合によっては、エピトープは三次元部分である。すなわち、例えば、標的がタンパク質である場合、エピトープは、連続したアミノ酸、またはタンパク質フォールディングによって近接するようになったタンパク質の複数の異なる部分のアミノ酸(例えば、不連続エピトープ)で構成されうる。同じことが、三次元構造を形成する他の種類の標的分子にも言える。 「に対して特異的な」、「特異的に結合する」および類似の用語などの用語は、非標的化合物よりも少なくとも2倍の高さの親和性で、例えば、少なくとも4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、25倍、50倍、または100倍の高さのいずれかの親和性で標的と結合する分子(例えば、抗体または抗体フラグメント)のことを指す。例えば、一次抗体と特異的に結合する抗体は、典型的には、一次抗体でない標的(例えば、異なる種に由来するか、もしくは異なるアイソタイプの抗体、または抗体でない標的)よりも少なくとも2倍の高さの親和性で一次抗体と結合する。 抗体標的(例えば、抗原、分析物、免疫複合体)に関して「結合する」という用語は、典型的には、抗体が、純粋な集団内の抗体標的(適切なモル比を仮定)の大半と結合することを示す。例えば、所与の抗体標的と結合する抗体は、典型的には、溶液中の抗体標的の少なくとも2/3(例えば、少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%のいずれか)と結合する。当業者は、結合の決定の方法および/または閾値に応じて、ある程度のばらつきが生じると考えられることを認識しているであろう。 抗体に関して「架橋した」という用語は、固体もしくは半固体のマトリックス(例えば、セファロース、ビーズ、培養プレート)に対する、または別のタンパク質もしくは抗体に対する、抗体の結びつきのことを指す。例えば、抗体を多量体化して、多数(3つ以上)の抗原結合部位を有する抗体複合体を作り出すことができる。抗体は、抗体を高価数アイソタイプ(例えば、典型的にはそれぞれ2つまたは5つの抗体の複合体を形成する、IgAまたはIgM)として発現させることによって、多量体化することができる。また、抗体多量体化を、タンパク質を連結させることのできる反応性基を含む架橋剤(例えば、カルボジイミド、NHSエステルなど)を用いて実施することもできる。抗体をマトリックスに対して架橋させるための方法および組成物は、例えば、AbcamおよびNew England Biolabのカタログ、ならびにウェブサイト(abcam.comおよびneb.comで利用可能)に記載されている。さまざまな反応性基を有する架橋剤化合物は、例えば、Thermo Fisher Scientificのカタログおよびウェブサイト(piercenet.comで利用可能)に記載されている。 本明細書で用いる場合、第1の抗体またはその抗原結合部分は、第2の抗体の標的との結合が第1の抗体の非存在下における第2の抗体の結合と比較して第1の抗体の存在下で検出可能なように減少する場合には、第2の抗体またはその抗原結合部分と、標的に対する結合をめぐって「競合する」。代替的なものとして、第1の抗体の標的に対する結合も第2の抗体の存在下で検出可能なように減少することも可能であるが、必ずしもそうである必要はない。すなわち、第2の抗体は、第1の抗体が第2の抗体の標的に対する結合を阻害することを伴わずに、第1の抗体の標的に対する結合を阻害することができる。しかし、各抗体が、他の抗体のそのコグネイトエピトープまたはリガンドに対する結合を、同じ程度、より大きな程度、またはより小さい程度のいずれかにかかわらず、検出可能なように阻害する場合には、抗体は、それらの各々のエピトープとの結合をめぐって互いに「交差競合する」と言う。競合抗体および交差競合抗体はいずれも、本発明の範囲に含まれる。「競合体」抗体という用語を、当業者が決定しうるように第1または第2の抗体に適用することができる。場合によっては、競合体抗体(例えば、第1の抗体)は、第2の抗体の標的に対する結合を、少なくとも10%、例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%のいずれかで、または、例えば、第2の抗体の標的に対する結合が第1の(競合体)抗体の存在下で検出不能となるように、それを上回って低下させる。 「標識」、「検出用部分」および類似の用語などの用語は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的、または他の物理的手段によって検出可能な組成物のことである。例えば、有用な標識には、蛍光色素、発光物質、放射性同位体(例えば、32P、3H)、高電子密度試薬、酵素(例えば、ELISAに一般的に用いられるもの)、ビオチン、ジゴキシゲニン、または、例えば標的分析物と特異的に反応するペプチドまたは抗体に放射性標識を組み入れることによって、検出可能なようにすることのできるハプテンおよびタンパク質もしくは他の実体が含まれる。例えば、Hermanson, Bioconiugate Techniques 1996, Academic Press, Inc., San Diegoに記載された方法を用いるといった、抗体を標識と結合させるための当技術分野において公知の任意の方法を使用することができる。「タグ」という用語は、「標識」という用語と同義に用いうるが、これは一般に、親和性に基づく部分、例えば、精製用の「Hisタグ」、またはビオチンと相互作用する「ストレプトアビジン(strepavidin)タグ」のことを指す。 「標識された」分子(例えば、核酸、タンパク質または抗体)とは、分子と結合した標識の存在を検出することによって分子の存在を検出しうるように、標識と、リンカーもしくは化学結合によって共有結合性に、またはイオン結合、ファンデルワールス結合、静電結合もしくは水素結合によって非共有結合性に結合させたもののことを指す。 「差次的に(differentially)発現される」または「差次的に調節される」という用語は、一般に、1つの試料において、少なくとも1つの他の試料と比較して、過剰発現される(上方制御される)かまたは過小発現される(下方制御される)、タンパク質または核酸バイオマーカーのことを指す。本開示に関連して、この用語は一般に、正常な非癌性細胞と比較した、癌細胞(例えば、AML細胞またはAML CSC)上でのCLL-1の過剰発現のことを指す。 例えば、「過剰発現される」または「上方制御される」という用語は、対照レベルよりも検出可能なように上回って転写または翻訳される、タンパク質または核酸、一般にバイオマーカーのことを互換的に指す。この用語は、転写、転写後プロセシング、翻訳、翻訳後プロセシング、細胞内局在(例えば、オルガネラ、細胞質、核、細胞表面)、ならびにRNAおよびタンパク質の安定性に起因する過剰発現を含む。過剰発現は、mRNA(すなわち、RT-PCR、ハイブリダイゼーション)であるかタンパク質(すなわち、フローサイトメトリー、画像法、ELISA、免疫化学的手法)であるかにかかわらず、バイオマーカーを検出するための従来の手法を用いて検出することができる。過剰発現は、正常細胞と比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを上回るかのいずれかであってよい。 「アゴニスト」、「活性化物質」、「誘導物質」および類似の用語などの用語は、対照と比較して活性または発現を増大させる分子のことを指す。アゴニストとは、例えば、標的と結合する、標的を刺激する、増加させる、活性化する、標的の活性化を強化する、標的の感受性を高める、または標的の活性を上方制御する作用物質のことである。発現または活性は、対照におけるものよりも少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、またはそれを上回るかのいずれかの分、増大しうる。場合によっては、活性化は、対照と比較して1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、またはそれを上回るかのいずれかである。 「阻害薬」、「リプレッサー」または「アンタゴニスト」または「下方制御剤」という用語は、対照と比較して検出可能なようにより低い発現または活性レベルをもたらす物質のことを互換的に指す。阻害された発現または活性は、対照におけるよりも少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ未満のいずれかであってよい。場合によっては、阻害は、対照と比較して1.5分の1、2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1、またはそれ未満である。 「対照」試料または値とは、被験試料との比較のための参照、通常は公知の参照として役立つ試料のことを指す。例えば、被験試料を、例えば被験化合物の存在下といった被験条件から採取して、被験化合物の非存在下(陰性対照)または公知の化合物の存在下(陽性対照)といった公知の条件からの試料と比較することができる。本開示に関連して、陰性対照の一例は、公知の健常(非癌性)個体からの生物試料であると考えられ、陽性対照の一例は、公知のAML患者からの生物試料であると考えられる。また、対照が、いくつかの試験または結果から集められた平均値または範囲に相当してもよい。当業者は、任意のいくつかのパラメーターの評価のために対照を設計しうることを認識しているであろう。例えば、薬理学的データ(例えば、半減期)または治療上の尺度(例えば、利益および/または副作用の比較)に基づいて治療上の利益を比較する目的で、対照を考案することができる。対照を、インビトロ用途に向けて設計することもできる。当業者は、どの対照が所与の状況において有益であるか、および対照値との比較に基づいてデータを分析することができるかを理解しているであろう。対照は、データの有意性を判定するためにも有益である。例えば、所与のパラメーターに関する値が対照において広くばらついているならば、被験試料におけるばらつきは有意ではないと見なされると考えられる。 「診断」という用語は、対象が癌などの障害を有する相対的確率のことを指す。同様に、「予後予測」という用語は、ある特定の将来転帰が対象に起こりうる相対的確率のことを指す。例えば、本開示に関連して、予後予測は、個体が癌を発症する、再発を起こす尤度、または疾患の考えられる重症度(例えば、症状の重症度、機能低下の速度、生存など)のことを指すことができる。医療診断の分野のあらゆる当業者が理解しているであろうが、これらの用語は絶対的であることは意図していない。 「生検試料」または「患者由来の生物試料」は、本明細書で用いる場合、CLL-1関連障害を有するか、または有する疑いのある患者から得られた試料のことを指す。試料は、血液試料または血液画分、例えば、白血球画分、血清、または血漿であってもよい。いくつかの態様において、試料は、組織生検試料、針生検試料、細径針生検試料、外科的生検試料などであってよい。試料には、病変または病変の疑いのあるものを保有する組織試料が含まれうるが、生物試料が別の部位、例えば、転移の疑いのある部位、リンパ節などに、または血液に由来してもよい。場合によっては、生物試料が、病変または病変と疑われるものに隣接する領域に由来してもよい。 「生物試料」は、生検試料のように患者から、動物モデルなどの動物から、または例えば細胞株、もしくは患者から取り出して観察のために培養下で増殖させた細胞のように培養細胞から、得ることができる。生物試料には、組織および体液、例えば、血液、血液画分、リンパ液、唾液、尿、便などが含まれる。 「治療法」、「治療」、および「改善(amelioration)」という用語は、症状の重症度のあらゆる低下のことを指す。癌(例えば、AML)を治療する場合、治療とは、例えば、腫瘍サイズ、癌細胞数、成長速度、転移活性を低下させること、非癌性細胞の細胞死を減少させること、悪心および化学療法または放射線療法の他の副作用の軽減などを指すことができる。「治療する」および「予防する」という用語は、絶対的な用語であることを意図していない。治療および予防は、発病の何らかの遅れ、症状の改善、患者生存の改善(improvement)、生存期間または生存率の増大などのことを指すことができる。治療および予防は、完全(新生物細胞が検出不能なレベル)であってもよく、または、本発明がない場合に存在すると考えられるよりも少数の新生物細胞が患者に認められるように、部分的であってもよい。治療の効果を、治療を受けていない個体もしくは個体のプールと、または治療前もしくは治療中の異なる時点での同一の患者と比較することができる。いくつかの局面において、疾患の重症度は、例えば、投与の前の個体、または治療を受けていない対照個体と比較して少なくとも10%低下する。いくつかの局面において、疾患の重症度は少なくとも25%、50%、75%、80%、もしくは90%低下し、または場合によっては、標準的な診断手法を用いてはもはや検出不能である。 「有効量」、「有効用量」、「治療的有効量」などの用語は、上記のように障害を改善するのに十分な治療用物質の量のことを指す。例えば、所与のパラメーターに関して、治療的有効量は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、または少なくとも100%のいずれかの治療効果の増加または減少を示すと考えられる。治療効力を、増加または減少の「倍率」として表現することもできる。例えば、治療的有効量は、対照と比べて少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、5倍、またはそれを上回るかのいずれかの効果を有しうる。 本明細書で用いる場合、「薬学的に許容される」という用語は、生理学的に許容される、および薬理学的に許容されると同義に用いられる。薬学的組成物は、一般に、緩衝化および貯蔵時の保存のための作用物質を含むと考えられ、投与の経路に応じて、適切な送達のための緩衝液および担体を含むことができる。 「用量」および「投与量」という用語は、本明細書において互換的に用いられる。用量とは、各投与時に個体に与えられる有効成分の量のことを指す。本発明の場合、用量は、抗体または付随構成要素の濃度、例えば、治療用物質の量または放射性標識の投与量などを指すことができる。用量は、投与の頻度;個体の体格および認容性;病状の重症度;副作用のリスク;投与の経路;ならびに検出用部分(あれば)の画像診断法を含む、いくつかの要因に応じて異なると考えられる。当業者は、上記の要因に応じて、または治療の進展に基づいて、用量を変更しうることを認識しているであろう。「剤形」という用語は、医薬品の特定の形式のことを指し、これは投与の経路に依存する。例えば、剤形は液体、例えば注射用食塩水の状態であってよい。 「対象」、「患者」、「個体」および類似の用語は、互換的に用いられ、指定されている場合を除き、哺乳動物、例えばヒトおよび非ヒト霊長動物、ならびにウサギ、ラット、マウス、ヤギ、ブタ、および他の哺乳動物種などのことを指す。この用語は、対象が特定の疾患と診断されたことを必ずしも示すわけではなく、典型的には、医学的管理下にある個体のことを指す。患者は、治療、モニタリング、既存の治療レジメンの調整または修正などを求めている個体でありうる。「癌患者」または「AML患者」とは、癌と診断された個体、治療レジメンを現在受けている個体、または再発のリスクのある個体、例えば、腫瘍を除去するための外科手術後の個体のことを指すことができる。いくつかの態様において、癌患者は癌と診断されており、治療法の候補となっている。癌患者には、治療を受けていない個体、治療を現在受けている個体、手術を受けた個体、および治療を中断している個体が含まれうる。 癌の治療に関連して、治療を必要とする対象は、癌または前癌病状を有する個体、癌を有したことがあって再発のリスクがある個体、癌を有する疑いのある個体、癌に対する標準的な治療、例えば放射線療法または化学療法などを受けている個体などのことを指すことができる。 「癌」、「腫瘍」、「形質転換した」および類似の用語は、前癌細胞、新生物、形質転換細胞、および癌性細胞を含み、固形腫瘍または非固形癌を指すことができる(例えば、Edge et al. AJCC Cancer Staging Manual(7th ed, 2009);Cibas and Ducatman Cytology: Diagnostic principles and clinical correlates (3rd ed. 2009)を参照)。癌には、良性新生物および悪性新生物(異常増殖)の両方が含まれる。「形質転換」とは、例えば、自発的または誘導性の表現型変化、例えば、細胞の不死化、形態学的変化、異常な細胞増殖、接触阻止および足場付着(anchorage)の低下、ならびに/または悪性腫瘍のことを指す(Freshney, Culture of Animal Cells a Manual of Basic Technique (3rd ed. 1994)を参照)。形質転換は、形質転換ウイルスによる感染、および新たなゲノムDNAの組み入れ、または外因性DNAの取り込みによって起こりうるが、それが自発的に起こることも、または発癌物質に対する曝露後に起こることもある。 「癌」という用語は、白血病、癌腫、肉腫、腺癌、リンパ腫、固形癌およびリンパ系癌などを指すことができる。さまざまな種類の癌の例には、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、小細胞リンパ腫、大細胞リンパ腫、単球性白血病、骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、肺癌(例えば、非小細胞肺癌またはNSCLC)、卵巣癌、前立腺癌、結腸直腸癌、肝臓癌(すなわち、肝細胞癌)、腎臓癌(すなわち、腎細胞癌)、膀胱癌、乳癌、甲状腺癌、胸膜癌、膵臓癌、子宮癌、子宮頸癌、精巣癌、肛門癌、膵臓癌、胆管癌、消化管カルチノイド腫瘍、食道癌、胆嚢癌、虫垂癌、小腸癌、胃癌、中枢神経系の癌、皮膚癌、絨毛癌;頭頸部癌、骨肉腫、線維肉腫、神経芽腫、神経膠腫、および黒色腫が非限定的に含まれる。 「癌標的」または「癌マーカー」とは、癌において、例えば癌細胞上または癌環境において、差次的に発現されるかまたはプロセシングを受ける分子のことである。例示的な癌標的には、CLL-1などの細胞表面タンパク質(同じく、例えば、細胞接着分子および受容体なども)、細胞内受容体、ホルモン、および細胞によって癌環境に分泌されるプロテアーゼなどの分子がある。特定の癌に関するマーカーが当技術分野において公知であり、これには例えば、AMLに関するCD45、AML CSCに関するCD34+CD38-、結腸癌および結腸直腸癌に関するMUC1発現、肺癌におけるボンベシン受容体、ならびに前立腺癌での前立腺特異的膜抗原(PSMA)などがある。 いくつかの態様において、癌標的は、ある特定の種類の癌細胞、例えば、AML、白血病、骨髄腫、リンパ腫、非小細胞肺癌細胞、前立腺癌、結腸直腸癌、乳癌または卵巣癌と関連性があってよい。細胞型特異的標的は、典型的には、参照基準細胞集団におけるものよりも、その細胞型において少なくとも2倍の高さのレベルで発現される。いくつかの態様において、細胞型特異的マーカーは、参照基準集団におけるその平均発現よりも少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100または1000倍の高さのレベルで存在する。このため、標的を検出または測定することで、関心対象の1つまたは複数の細胞型を識別することができる。例えば、AML癌標的はLy86、LILRA1、およびCD180を含む。 癌幹細胞(CSC)とは、癌の塊を構成する細胞を生じさせることのできる、腫瘍または血液がんの中に認められる細胞のことである。CSCは、正常(非癌性)幹細胞と同様に、自己複製性でもありうる。CSCはこのため、個体内で非腫瘍組織へと遊走することによって転移を媒介して、「新たな」腫瘍を開始させることができる。癌が検出される病期にもよるが、CSCはあらゆる所与の癌で極めてわずかな比率を占めるに過ぎない。例えば、AML細胞の試料におけるCSCの平均頻度は約1:10,000であると考えられている。造血性CSCは、正常造血幹細胞(HSC)と同様に、CD34+として同定することができる。 「内部移行する」、「内部移行」、「エンドサイトーシスによって取り込む(endocytose)」、「エンドサイトーシス」、「貪食する」および類似の用語などの用語は、例えば、抗体(または受容体)媒介性のエンドサイトーシスまたは食作用による、細胞による物質の取り込みのことを指す。実施例5におけるADCアッセイの結果は、本明細書に開示されたCLL-1抗体が内部移行されうることを示している。 「生着する」または「生着」という用語は、個体または組織への導入後に、細胞が生存する、増殖する、および/または適正に局在する能力のことを指す。癌幹細胞(CSC)の場合、この用語は、CSCが腫瘍を新規に生じさせる能力、または異なる部位に広がる能力のことを指すことができる。この用語は、異種移植片モデルにおいて細胞の集団が生存して機能する能力(例えば、マウスにおけるヒト細胞の生着)を記述するために一般的に用いられる。造血細胞の生着は、例えば、WO2006/047569号に記載されたようにして決定することができる。腫瘍細胞の生着は、例えば、Beckhove et al. (2003) Int. J. Cancer 105:444に記載されたようにして決定することができる。 「核酸」という用語は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、および一本鎖または二本鎖の形態にあるそれらの重合体、およびそれらの相補物のことを指す。「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドの線状配列のことを指す。「ヌクレオチド」という用語は、典型的には、ポリヌクレオチドの個々の単位、すなわち単量体のことを指す。ヌクレオチドは、天然のリボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチドであってもよく、またはその合成型もしくは改変型であってもよい。本明細書で想定しているポリヌクレオチドの例には、一本鎖および二本鎖のDNA、一本鎖および二本鎖のRNA(siRNAを含む)、ならびに一本鎖および二本鎖のDNAおよびRNAの混合物を有するハイブリッド分子が含まれる。 「相補的な」または「相補性」という語は、1つのポリヌクレオチド中の核酸が、第2のポリヌクレオチド中の別の核酸と塩基対を形成する能力のことを指す。例えば、配列A-G-Tは配列T-C-Aに対して相補的である。相補性は部分的でもよく、この場合は核酸の一部のみが塩基対合に従って合致し、または完全でもよく、この場合はすべての核酸が塩基対合に従って合致する。 核酸ハイブリダイゼーション手法を用いる、特定のDNAおよびRNAの測定のための種々の方法が当業者に公知である(Sambrook、前記を参照)。いくつかの方法は電気泳動分離を伴うが(例えば、DNAの検出のためのサザンブロット法、およびRNAの検出のためのノーザンブロット法)、DNAおよびRNAの測定を、電気泳動分離を用いずに行うこともできる(例えば、定量的PCR、ドットブロット、またはアレイによる)。 「タンパク質」、「ペプチド」、および「ポリペプチド」という語は、アミノ酸重合体、または2つもしくはそれを上回る相互作用性もしくは結合したアミノ酸重合体のセットを表すために互換的に用いられる。これらの用語は、天然のアミノ酸重合体、修飾残基を含むもの、および天然に存在しないアミノ酸重合体ばかりでなく、1つまたは複数のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の人工的な化学模倣体であるアミノ酸重合体にも適用される。 「アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸、修飾アミノ酸または合成アミノ酸、ならびに天然アミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体のことを指す。天然アミノ酸とは、遺伝暗号によってコードされるもののことである。修飾アミノ酸には、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、およびO-ホスホセリンが含まれる。アミノ酸類似体とは、天然アミノ酸と同じ基本化学構造を有する化合物、例えば、α炭素に水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基が結合したもの、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムなどのことを指す。そのような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有しうるが、天然アミノ酸と同じ基本化学構造を保っている。アミノ酸模倣体とは、アミノ酸の一般化学構造とは異なる構造を有するが、天然のアミノ酸と同様に機能する化合物のことを指す。 アミノ酸は、本明細書中で、一般的に知られているそれらの3文字記号、またはIUPAC-IUB生化学命名委員会(Biochemical Nomenclature Commission)により推奨されている1文字記号のいずれかによって言及しうる。ヌクレオチドも同様に、一般的に受け入れられているそれらの1文字コードによって言及することができる。 「保存的に改変された変異体」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に対して適用される。個々の核酸配列に関して、保存的に改変された変異体とは、同一もしくは本質的に同一なアミノ酸配列をコードする核酸のことを指し、または核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一な配列のことを指す。遺伝暗号の縮重性が原因で、ほとんどのタンパク質は多数の機能的に同一な核酸によってコードされる。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。このため、コドンによってアラニンが指定されるあらゆる位置で、コードされるポリペプチドを変化させずに、そのコドンを対応する上記のコドンのいずれかに変更することができる。そのような核酸は「サイレント変種」であり、保存的に改変された変種の一種である。あるポリペプチドをコードする本明細書中のあらゆる核酸配列は、その核酸のあらゆる可能なサイレント変種についても記述している。当業者は、核酸中の各コドン(通常はメチオニンに対する唯一のコドンであるAUG、および通常はトリプトファンに対する唯一のコドンであるTGGを除く)を改変して、機能的に同一な分子を得ることができることを認識しているであろう。したがって、あるポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変種は、発現産物に関しては、記載された各配列の中に暗黙的に含まれるが、実際のプローブ配列に関してはそうではない。 アミノ酸配列に関して、当業者は、コードされる配列中の単一のアミノ酸または低率のアミノ酸を改変、付加または欠失させる、核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の配列に対する個々の置換物、欠失物または付加物が、その改変によってあるアミノ酸の化学的に類似したアミノ酸による置換がもたらされる「保存的に改変された変異体」であることを認識しているであろう。機能的に類似したアミノ酸を提示している保存的置換の表は当技術分野において周知である。そのような保存的に改変された変異体は、本発明の多型変異体、種間相同体および対立遺伝子に追加されるものであり、それらを除外しない。以下のアミノ酸が、典型的には、互いに保存的置換物である:1)アラニン(A)、グリシン(G);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);7)セリン(S)、トレオニン(T);および8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton, Proteins (1984)を参照)。 2つもしくはそれを上回る核酸、または2つもしくはそれを上回るポリペプチドの文脈における「同一な」または「一致度」という用語は、BLASTもしくはBLAST2.0配列比較アルゴリズムを下記のデフォルトのパラメーターで用いた、または手作業によるアラインメントおよび目視検査による計測で、同じであるか、または同じヌクレオチドが特定の比率である(すなわち、ある比較ウィンドウまたは指定領域にわたって最大の対応関係が得られるように比較およびアラインメントを行った場合に、特定された領域にわたって約60%の同一性、例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを上回るかのいずれかである同一性を有する)、2つまたはそれを上回る配列または部分配列のことを指す。例えば、ncbi.nlm.nih.gov/BLASTにあるNCBIウェブサイトを参照。そのような配列はその場合、「実質的に同一である」と言う。一致度は、典型的には、最適にアラインメントを行った配列にわたって決定され、そのため、この定義は、置換を有する配列だけでなく、欠失および/または付加を有する配列に対しても適用される。当技術分野において一般的に用いられるアルゴリズムは、ギャップなどを考慮に入れている。典型的には、同一性は、抗体エピトープを含む領域にわたって、または長さが少なくとも約25アミノ酸もしくはヌクレオチドである配列にわたって、または長さが50〜100アミノ酸もしくはまたはヌクレオチドである領域にわたって、または参照基準配列の全長にわたって存在する。 「組換え」という用語は、例えば細胞、または核酸、タンパク質、もしくはベクターに言及して用いられる場合、細胞、核酸、タンパク質またはベクターが、異種核酸もしくは異種タンパク質の導入またはネイティブ性の核酸もしくはタンパク質の変更によって改変されていること、または細胞がそのように改変された細胞に由来することを示している。したがって、例えば、組換え細胞は、ネイティブ(非組換え)型の細胞には見いだされない遺伝子を発現するか、または通常であれば異常に発現される、低発現される、もしくは全く発現されないネイティブ性遺伝子を発現する。 「異種」という用語は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに言及する場合、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドが、自然下では互いに同じ関係では認められない2つまたはそれを上回る部分配列を含むことを示している。例えば、異種ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは典型的には組換え法によって作製され、例えば1つの源からのプロモーターおよび別の源からのコード領域といった、新たな機能単位を作るように配列された関連のない遺伝子由来の2つまたはそれを上回る配列を有する。同様に、異種タンパク質とは、そのタンパク質が、自然下では互いに同じ関係では認められない2つまたはそれを上回る部分配列を含むことを示している(例えば、融合タンパク質)。III.CLL-1関連障害 本明細書に記載の抗体は、CLL-1関連障害、すなわち、標準的な対照(例えば、正常細胞、非罹患細胞、非癌性細胞)におけるCLL-1発現と比較して、CLL-1の表面発現の増大または低下と相関づけられる疾患を検出して治療するために用いることができる。CLL-1発現は通常、骨髄細胞系列細胞、例えば、末梢血中および脾臓内の樹状細胞、顆粒球、および単球に限られる。CLL-1レベルの増大は、癌、特に、造血性CSC(例えば、LSC)、ならびにAML(急性骨髄性または骨髄増殖性白血病)、MDS(骨髄異形成症候群)、骨髄線維症、CMML(慢性骨髄単球性白血病)、多発性骨髄腫、形質細胞腫およびCML(慢性骨髄性または骨髄増殖性白血病)などの白血病を含む骨髄増殖性障害と関連性がある。Bakker et al. (2004) Cancer Res. 64:8443;Van Rhenen el al. (2007) Blood 110:2659-66;Zhao el al. (2010) Haematologica (2010) 95:71;Van Rhenen el al. (2007) Leukemia 21:1700;およびHerrmann et al. (2012) Haematologica 97:219を参照。 AML細胞は、細胞表面マーカー発現を検出することにより、特徴づけて、他の細胞と識別することができる。CLL-1+であることに加えて、AML細胞はCD33+(一部はCD33-であるが)、CD45+およびCDw52+でもありうる。AML芽球(LSCを含む)は、典型的にはCD34+CD38-である。HSCおよびLSCはCD34の発現によって特徴づけることができるが、前者はCLL-1を発現しない。MDS細胞は、CD5、CD7、CD13、およびCD34の発現によって特徴づけることができる。CML細胞は、7-ADD、CD33、CD34、およびCD38の発現によって特徴づけることができる。 骨髄異形成症候群(MDS)には、密接な関係のある一群の血液形成障害が含まれる。骨髄が前白血病過程を示唆する質的および量的な変化を示すが、必ずしも急性白血病としては終結しない慢性的な経過をたどる。前白血病、不応性貧血、不応性骨髄形成異常性貧血、くすぶり白血病、または亜急性白血病、骨髄形成異常症候群(DMPS)、および骨髄異形成を含む種々の用語はすべて、MDSを記述するために用いられている。これらの病状はすべて、成熟障害を伴う骨髄細胞(骨髄形成異常)および血液細胞数の減少によって特徴づけられる。DMPSは、巨赤芽球様細胞の存在、巨核球異形成、および異常芽球細胞数の増加によって特徴づけられ、これらは顆粒球成熟過程の亢進を反映している。DMPSの患者は、急性骨髄性白血病に認められるものに類似した染色体異常を示し、一定比率の罹病患者は急性骨髄性白血病へと進行する。 慢性骨髄増殖性障害は、成熟顆粒球および未熟顆粒球、赤血球、ならびに血小板の数の増加によって特徴づけられる一群の病状である。慢性骨髄増殖性障害は、この群の中の他の形態に移行することがあり、急性骨髄性白血病として終結する傾向がある。この群に含まれる具体的疾患には、真性多血症、慢性骨髄性白血病、特発性骨髄性白血病、本態性血小板血症、および慢性好中球性白血病が含まれる。 骨髄線維症は、赤血球および白血球、ならびに血小板の数の減少をもたらす骨髄の瘢痕化によって特徴づけられる。骨髄線維瘢痕化は白血病に起因しうるが、血小板増加症または薬物副作用といった他の原因があることもある。IV.CLL-1抗体 本明細書では、ヒトCLL-1と、特にCLL-1発現細胞の細胞外ドメインと特異的に結合するCLL-1抗体(すなわち、CLL-1特異的抗体、抗CLL-1)を提供する。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、Cレクチンドメインの外側にある構成要素を含むエピトープと結合し、その結果、抗体は、Cレクチンドメインからなるポリペプチドと、CLL-1のCレクチンドメインおよびストークドメイン、またはCLL-1の細胞外ドメインからなるポリペプチドよりも低い親和性で結合する。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、CLL-1のC-レクチンドメインからなるポリペプチドと、CLL-1のC-レクチンドメインおよびストークドメインからなるポリペプチドよりも少なくとも5倍の高さのKd(例えば、10倍、20倍、50倍、100倍またはより高い倍率のいずれか)で結合する。例えば、M26およびM31と名付けられたCLL-1抗体は、ヒトCLL-1のアミノ酸101〜265と、ヒトCLL-1のアミノ酸141〜265よりも高い親和性で結合する(SEQ ID NO:2を基準とする)。いくつかの態様において、CLL-1抗体はCレクチンドメインと、完全長CLL-1(またはCLL-1の完全長細胞外ドメイン)よりも少なくとも5倍、10倍、20倍、50倍または100倍の高さであるKdで結合する。 いくつかの態様において、CLL-1抗体は、1000pMまたはそれ未満、例えば、800pM、700pM、600pM、500pM、400pM、300pM、200pM、100pM、またはそれ未満のKdで、ヒトCLL-1に対する親和性を有する。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、10nMまたはそれ未満、例えば、1nMまたはそれ未満、1〜10nM、100〜1000pM、10〜1000pM、約1nMまたはそれ未満、1〜500pMのKdで、ヒトCLL-1に対する親和性を有する。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、霊長動物CLL-1、例えばカニクイザルCLL-1とも、10nM、1nM、500pMまたはそれ未満であるKdで結合する。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、カニクイザルCLL-1と、ヒトCLL-1に対するKdの1桁以内の範囲にあるKdで結合する。当業者は、より小さいKd値がより高い親和性を示すことを理解するであろう。 いくつかの態様において、CCL-1抗体は、広範囲にわたるCLL-1グリコシル化変異体と結合する。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、AML細胞上で発現されるCLL-1の一型(例えば、グリコシル化変異体)と結合する。例えば、本明細書に記載のCLL-1抗体は、AML細胞培養物(例えば、HL60、THP1、およびU937細胞株)中の細胞の少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはより高い比率のいずれかと結合することができる。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、AML患者(patent)試料(例えば、AML患者由来のPBMC試料または生検試料)中の細胞の少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはより高い比率のいずれかと結合することができる。当業者は、そのような細胞結合アッセイでは、培養物または試料中のある数の細胞と結合するのに十分な抗体分子が存在するように、適切な濃度の抗体が添加されることを理解するであろう。 驚いたことに、本明細書に記載のCLL-1抗体は、結合された細胞傷害性物質が存在しない場合でも、CLL-1発現細胞の増殖をインビトロおよびインビボで阻害することができる。患者試料由来のAML細胞に対する結合率の高さを考慮すれば、本明細書に記載の抗体は、AML患者、ならびにCLL-1+ MDSまたはCMLに罹患したものに対する有用な治療選択肢をもたらす。 本明細書に記載のCLL-1抗体は、補体依存性細胞傷害性(CDC)活性(例えば、図1参照)および抗体薬物複合体(ADC)活性(実施例5参照)も示す。このため、これらのCLL-1抗体を用いることで、例えば、結合させた細胞傷害性物質が存在しない場合でも、CLL-1発現細胞を破壊のために標的化することができる。 本明細書に記載のCLL-1抗体は、以前に特徴づけられた抗体と比較して、独特な細胞結合活性を有する。例えば、本明細書に記載の抗体は、AML患者由来の初代細胞上により高率に存在するエピトープと結合する。これらの抗体は、本明細書に開示されたCLL-1抗体の少なくとも1つによって高い親和性で標的化されるエピトープを提示する癌細胞を検出するために用いることができる。いくつかの態様において、そのような癌細胞は、続いて、同じCLL-1抗体による破壊のために標的化することができる。そのような方法は、CLL-1抗体を個体に投与する段階を含む、CLL-1発現性癌細胞を有する個体を治療する段階を含みうる。 いくつかの態様において、本発明は、CLL-1に対する結合をめぐって、以下のものからなる群より選択される競合体抗体と競合するCLL-1抗体を含む:・M26のCDR配列を有する抗体(実施例1、表3参照);・M31のCDR配列を有する抗体;・G4のCDR配列を有する抗体;・M22のCDR配列を有する抗体;・M29のCDR配列を有する抗体;・M2のCDR配列を有する抗体;・M5のCDR配列を有する抗体;および・G12のCDR配列を有する抗体。 いくつかの態様において、CLL-1抗体は、CLL-1に対する結合をめぐって、以下のものからなる群より選択される抗体と競合する:・M26の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:4;Vl=SEQ ID NO:6)に対して実質的な同一性(少なくとも(85、90、95または98%の同一性)を有する可変領域配列を含む抗体;・M31の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:8;Vl=SEQ ID NO:10)に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・G4の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:12;Vl=SEQ ID NO:14)に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・M22の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:16;Vl=SEQ ID NO:18)に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・M29の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:20;Vl=SEQ ID NO:22)に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・M2の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:24;Vl=SEQ ID NO:26)に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・M5の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:28;Vl=SEQ ID NO:30)に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;および・G12の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:32;Vl=SEQ ID NO:4)に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体。いくつかの態様において、実質的に同一な抗体は、元の抗体と同じ重鎖および軽鎖CDR配列を有する。 数多くの種類の競合結合アッセイが公知であり、これには、固相直接または間接ラジオイムノアッセイ(RIA);固相直接または間接酵素イムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(Stahli et al., Methods in Enzymology 9:242-253 (1983)を参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA(Kirkland et al., J. Immunol. 137:3614-3619 (1986)を参照);固相直接標識サンドイッチアッセイ(Harlow and Lane, Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press (1988)を参照);I-125標識を用いる固相直接標識RIA(Morel et al., Molec. Immunol. 25(1):7-15 (1988)を参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA(Cheung et al., Virology 176:546-552 (1990));および直接標識RIA(Moldenhauer et al., Scand. J. Immunol. 32:77-82 (1990))が含まれる。典型的には、そのようなアッセイは、これらの非標識被験免疫グロブリンおよび標識参照基準免疫グロブリンのうちのいずれかを保有する固体表面または細胞に結合させた精製抗原の使用を伴う。競合阻害は、被験免疫グロブリンの存在下で固体表面または細胞に結合した標識の量を決定することによって測定される。通常、被験免疫グロブリンは過剰に存在する。競合アッセイによって同定される抗体(競合抗体)には、参照抗体と同じエピトープと結合する抗体、および、参照抗体による結合を受けるエピトープに対して立体障害が起こるほど十分に近接する隣接エピトープと結合する抗体が含まれる。通常、競合抗体が過剰に存在する場合には、それは共通抗原に対する参照抗体の特異的結合を少なくとも50%または75%阻害すると考えられる。 いくつかの態様において、CLL-1抗体は、以下のものからなる群より選択される抗体と同じエピトープと結合する:・M26のCDR配列を有する抗体(実施例1、表3参照);・M31のCDR配列を有する抗体;・G4のCDR配列を有する抗体;・M22のCDR配列を有する抗体;・M29のCDR配列を有する抗体;・M2のCDR配列を有する抗体;・M5のCDR配列を有する抗体;および・G12のCDR配列を有する抗体。 いくつかの態様において、CLL-1抗体は、M26、M31、G4、M22、M29、M2、M5、およびG12からなる群より選択される抗体のCDR配列に比してCDR当たり最大で1個、2個または3個のアミノ酸置換、付加または欠失を有する軽鎖CDR配列および重鎖CDR配列を有する。いくつかの態様において、軽鎖CDR配列は、前述のCLL-1抗体の軽鎖CDR配列に比してCDR当たり最大で1個、2個または3個のアミノ酸置換、付加または欠失を含む。いくつかの態様において、重鎖CDR配列は、前述のCLL-1抗体の重鎖CDR配列に比してCDR当たり最大で1個、2個または3個のアミノ酸置換、付加または欠失を含む。いくつかの態様において、置換、付加または欠失は、合計6つのCDRのうち1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのCDRのみで起こる。 いくつかの態様において、CLL-1抗体は以下のものからなる群より選択される:・M26のCDR配列を有する抗体(実施例1、表3参照);・M31のCDR配列を有する抗体;・G4のCDR配列を有する抗体;・M22のCDR配列を有する抗体;・M29のCDR配列を有する抗体;・M2のCDR配列を有する抗体;・M5のCDR配列を有する抗体;および・G12のCDR配列を有する抗体。いくつかの態様において、CDR配列の任意の1つまたは複数は、元の抗体のCDR配列と比較して1個、2個または3個の保存的アミノ酸置換を含む。 いくつかの態様において、CLL-1抗体は、以下のものからなる群より選択される:・M26の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:4;Vl=SEQ ID NO:6)に対して実質的な同一性(少なくとも85、90、95、または98%の同一性)を有する可変領域配列を含む抗体;・M31の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:8;Vl=SEQ ID NO:10)に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・G4の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:12;Vl=SEQ ID NO:14)に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・M22の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:16;Vl=SEQ ID NO:18)に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・M29の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:20;Vl=SEQ ID NO:22)に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・M2の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:24;Vl=SEQ ID NO:26)に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;・M5の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:28;Vl=SEQ ID NO:30)に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体;および・G12の可変領域配列(Vh=SEQ ID NO:32;Vl=SEQ ID NO:34)に対して実質的な同一性を有する可変領域配列を含む抗体。 いくつかの態様において、抗体はまた、以下ものから選択される少なくとも1つの活性も有する:・10nMまたはそれ未満、例えば、1nMまたはそれ未満、1〜10nM、100〜1000pM、10〜1000pM、約1nMまたはそれ未満、1〜500pMなどのKdでヒトCLL-1と結合する;・HL60細胞またはAML患者由来のCLL-1発現性AML細胞を用いたCDCアッセイにおけるEC50が200ng/mLまたはそれ未満;・HL60細胞またはAML患者由来のCLL-1発現性AML細胞を用いたADCアッセイにおけるEC50が100pMまたはそれ未満(100pM of less);および・抗体の非存在下における細胞増殖と比較して、CLL-1発現細胞(例えば、HL60細胞、AML細胞)の細胞増殖を低下させる。 本明細書に記載の抗体の任意のものが、キメラ抗体またはヒト化抗体であってよい。いくつかの態様において、抗体はCLL-1-結合性の抗体フラグメント、例えばFabである。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、例えば下記のように検出用物質によって標識される。いくつかの態様において、CLL-1抗体には治療用物質、例えば下記のような化学療法薬または細胞傷害性物質が結合されている。A.抗体の作製方法 本明細書に記載の抗体、例えば、組換え抗体、モノクローナル抗体、またはポリクローナル抗体の調製のためには、当技術分野において公知の多くの手法を用いることができる(例えば、Kohler & Miistem, Nature 256:495-497 (1975);Kozbor et al., Immunology Today 4: 72 (1983);Cole et al., pp. 77-96 in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R, Liss, Inc. (1985);Coligan, Current Protocols in Immunology (1991);Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory Manual (1988);およびCoding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice (2d ed. 1986)を参照)。関心対象の抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子を細胞からクローニングし、例えば、モノクローナル抗体をコードする遺伝子をハイブリドーマからクローニングして、組換えモノクローナル抗体を作製するために用いることができる。モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子ライブラリーを、ハイブリドーマまたは形質細胞から作製することもできる。重鎖および軽鎖の遺伝子産物のランダムな組み合わせにより、種々の抗原特異性を有する抗体の大規模なプールが生じる(例えば、Kuby, Immunology (3rd ed. 1997)を参照)。単鎖抗体または組換え抗体の作製のための手法(米国特許第4,946,778号、米国特許第4,816,567号)を、本発明のポリペプチドに対する抗体を作製するために応用することができる。また、トランスジェニックマウス、または他の哺乳動物などの他の生物を、ヒト化抗体またはヒト抗体を発現させるために用いることもできる(例えば、米国特許第5,545,807号;第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,661,016号、Marks et al., Bio/Technology 10:779-783 (1992);Lonberg et al., Nature 368:856-859 (1994);Morrison, Nature 368:812-13 (1994);Fishwild et al., Nature Biotechnology 14:845-51 (1996);Neuberger, Nature Biotechnology 14:826 (1996);およびLonberg & Huszar, Intern. Rev. Immunol. 13:65-93 (1995)を参照)。または、ファージディスプレイ技術を用いて、選択した抗原と特異的に結合する抗体およびヘテロマーFab断片を同定することもできる(例えば、McCafferty et al., Nature 348:552-554 (1990);Marks et ah , Biotechnology 10:779-783 (1992)を参照)。抗体を二重特異性のもの、すなわち、2つの異なる抗原を認識しうるものとして作製することもできる(例えば、WO 93/08829号、Traunecker et al., EMBO J. 10:3655-3659 (1991);およびSuresh et al., Methods in Enzymology 121:210 (1986)を参照)。抗体が、ヘテロ複合体、例えば共有結合性に連結された2つの抗体、またはイムノトキシンであってもよい(例えば、米国特許第4,676,980号、WO 91/00360号;WO 92/200373号;およびEP 03089号を参照)。 抗体は、原核生物および真核生物発現系を含む、いくつかの発現系のいずれかを用いて産生させることができる。いくつかの態様において、発現系は哺乳動物細胞発現系、例えばハイブリドーマ発現系、またはCHO細胞発現系である。多くのそのような系は、販売供給元から広く入手可能である。抗体がVH領域およびVL領域の両方を含む態様において、VH領域およびVL領域は、単一のベクターを用いて、例えばジシストロニック発現単位として、または異なるプロモーターの制御下で発現させることができる。他の態様において、VH領域およびVL領域を別々のベクターを用いて発現させてもよい。本明細書に記載のVH領域またはVL領域は、任意で、N末端にメチオニンを含んでよい。 本発明の抗体は、Fab、Fab'、F(ab')2、scFv、またはdABとしてのものを含む、さまざまな形式で産生させることができる。抗体フラグメントは、ペプシン((Fab')2フラグメントを作製するため)もしくはパパイン(Fabフラグメントを作製するため)といった酵素による無傷抗体の消化;または新規合成を含む種々の方法によって得ることができる。また、抗体フラグメントを、組換えDNA法を用いて合成することもできる。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、CLL-1と特異的に結合するF(ab')2フラグメントを含む。本発明の抗体がヒト定常領域を含むこともできる。例えば、Fundamental Immunology (Paul ed., 4d ed. 1999);Bird, et al., Science 242:423 (1988);およびHuston, et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA. 85:5879 (1988)を参照。 非ヒト抗体のヒト化のための方法(すなわち、非ヒト抗体由来のCDRを用いる)も、当技術分野において公知である。一般に、ヒト化抗体は、ヒト以外の源からその中に導入された1つまたは複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒト性アミノ酸残基はしばしばインポート残基と称され、これらは典型的にはインポート可変ドメインから採られる。ヒト化は、本質的にはWinterらの方法(例えば、Jones et al., Nature 321:522-525 (1986);Riechmann et al., Nature 332:323-327 (1988);Verhoeyen et al., Science 239: 1534-1536 (1988)、およびPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992))に従って、ヒト抗体の対応する配列を齧歯類のCDRまたはCDR配列へと置換することによって行うことができる。そのようなヒト化抗体は、実質的に無傷ではないヒト可変ドメインが、非ヒト種由来の対応する配列によって置換されたキメラ抗体である(米国特許第4,816,567号)。実際には、ヒト化抗体は、典型的には、いくつかのCDR残基およびおそらくはいくつかのFR残基が、齧歯類抗体における類似部位由来の残基によって置換されたヒト抗体である。 場合によっては、インビボでの半減期の延長を得るために、抗体または抗体フラグメントを、別の分子、例えば、ポリエチレングリコール(PEG化)または血清アルブミンと結合させることができる。抗体フラグメントのPEG化の例は、Knight et al. Platelets 15:409, 2004(アブシキシマブに対して);Pedley et al., Br. J. Cancer 70:1126, 1994(抗CEA抗体に対して);Chapman et al., Nature Biotech. 17:780, 1999;およびHumphreys, et al., Protein Eng. Des. 20: 227,2007)に提示されている。抗体または抗体フラグメントを標識すること、または下記のようにして治療用物質と結合させることもできる。B.結合親和性 結合の特異性は、環境または非関連分子全般における抗体および他の材料に対しての解離定数と比較した場合の、標的に対する抗体(または他の標的指向性部分)の解離定数(Kd)の比較の点から定義することができる。典型的には、非関連材料に対しての抗体のKdは、標的に対してのKdよりも少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、200倍の高さであるか、またはより高いと考えられる。 抗体に関する所望の親和性、例えば、高親和性(pM〜低nM)、中程度の親和性(低nM〜100nM)、または低親和性(約100nMまたはより高い)は、それを診断的に用いるか、それとも治療的に用いるかに応じて異なると考えられる。理論には限定されないが、1つの例では、中程度の親和性を有する抗体は、高親和性を有するものと比較して、腫瘍への局在化に関してより好首尾である可能性がある。このように、異なる親和性を有する抗体を、診断用途および治療用途に用いることができる。 標的指向性部分は、典型的には、約1000nM未満、例えば、250nM未満、100nM未満、50nM未満、20未満またはそれ未満のnMのKdで結合すると考えられる。いくつかの態様において、親和性物質のKdは、15nM未満、10nM未満、5nM未満、または1nM未満である。いくつかの態様において、Kdは1〜100nM、0.1〜50nM、0.1〜10nM、または1〜20nMである。解離定数(Kd)の値は周知の方法によって決定することができ、複雑な混合物であっても、例えば、Caceci et al., Byte (1984) 9:340-362に開示されたような方法によって計算することができる。 標的に対する抗体、または任意の標的指向性物質の親和性は、例えば、Ernst et al. Determination of Equilibrium Dissociation Constants, Therapeutic Monoclonal Antibodies (Wiley & Sons ed, 2009)に概説されているような、当技術分野において公知の方法に従って決定することができる。 定量的ELISAおよび類似のアレイベースのアフィニィー法を用いることができる。ELISA(酵素結合免疫吸着シグナル伝達アッセイ)は、抗体ベースの方法である。場合によっては、関心対象の標的に対して特異的な抗体を基質に対して固定し、標的を含有する疑いのある試料と接触させる。続いて、結合しなかった物質を除去するために表面を洗浄する。標的結合は、例えば、標識抗体による第2の段階を用いること、標的の直接標識、または抗原結合が起こると検出可能になる標識による一次抗体の標識といった種々のやり方で検出することができる。場合によっては、抗原を基質に対して固定し(例えば、タンパク質に対して高い親和性を有する基質、またはストレプトアビジン-ビオチン相互作用を用いる)、標識抗体(または他の標的指向性部分)を用いて検出する。元のELISA法のいくつかの入れ替え法(permutation)が開発されており、当技術分野において公知である(概説については、Lequin (2005) Clin. Chem. 51:2415-18を参照)。 Kd、KonおよびKoffを、例えば、T100システムを用いることによって測定されるように、表面プラズモン共鳴(SPR)を用いて決定することもできる。SPR手法は、例えば、Hahnfeld et al. Determination of Kinetic Data Using SPR Biosensors, Molecular Diagnosis of Infectious Diseases (2004)に概説されている。典型的なSPR実験では、一方の相互作用物(標的または標的指向性物質)をフローセル内のSPR活性のある金コーティングしたスライドグラス上に固定化し、もう一方の相互作用物を含有する試料を導入して、その表面を流れるようにする。所与の周波数の光を表面に照射すると、金の光学反射率の変化により、結合、および結合の動態が示される。 結合親和性を、ビオチン化した相互作用物をストレプトアビジン(streptaviden)(SA)センサーチップに固着させることによって決定することもできる。続いて、もう一方の相互作用物をチップと接触させて、例えば、Abdessamad et al. (2002) Nuc. Acids Res. 30:e45に記載されたようにして検出する。C.CLL-1エピトープの決定 CLL-1に対する抗体結合の部位は、エピトープマッピングのための公知の手法を用いてマッピングすることができる。当業者は、エピトープマッピングのために用いられるアプローチが、例えば、抗原が細胞内で発現されるか、一次ポリペプチド配列の翻訳後修飾、および異なる細胞上または異なる環境内での抗原構造の違いというように、抗原に応じて異なりうることを理解しているであろう。 CLL-1は、およそ200個の細胞外アミノ酸を有する膜貫通タンパク質である。細胞外ドメインはグリコシル化されており、Cレクチンドメインを含む。CLL-1抗体のエピトープは、CLL-1の一次配列またはグリコシル化状態を変化させて、CLL-1抗体の親和性をCLL-1の異なる変異体と比較することによって、決定すること、または部分的に決定することができる。 そのようなエピトープマッピングは、例えばビーズまたは他の固体マトリックスを用いて、例えば、ファージディスプレイライブラリーまたは合成ペプチドライブラリーのスクリーニングを行うことによって、インビトロで実施することができる。線状エピトープは典型的には約6アミノ酸であるが、これは幾分異なることもある。タンパク質に存在する線状エピトープを模倣する目的で、合成ペプチドを配列に対応させて作製することができる。いくつかの態様においては、この配列をNおよび/またはC末端まで延長して、タンパク質において側方配列に存在するさらなるアミノ酸残基を得る。これにより、エピトープの一次構造環境をより忠実に模倣すること、および二次構造環境をある程度模倣することができる。さらに、例えば、イムノアッセイに用いる固相との立体相互作用を最小限にするためのスペーサーを得るために、1つまたは複数のグリシンまたはγアミノ酪酸を非限定的に含む残基を、いずれかの末端に追加することもできる。スペーサーの長さは、多くの場合、最適な構造を経験的に決定するために変更される。 エピトープに可変性があること、および側方配列に起因する影響が考えられることから、いくつかの態様においては、N末端またはC末端をある特定の残基数だけ延長することによって長さを変化させたペプチドを用いることができる。もう1つのアプローチでは、反復性のペプチドエピトープ、または介在スペーサー残基と交互に存在するエピトープを利用する。これらのペプチドの長さは、多くの場合、所望の反復単位の数に応じて変更される。 エピトープマッピングのための1つのアプローチは、CLL-1の細胞外領域の一次配列をカバーする、例えば、6残基が重なり合う20残基長の重複性ペプチドを合成することである。そのようなペプチドスクリーニングをエピトープのマッピングのために用いると、イムノアッセイに用いられる固相支持体との望ましくない相互作用を抑えるように、ペプチドを改変することができる。1つのやり方は、疎水性相互作用を低下もしくは最小化するため、およびペプチド接近可能性を高める目的で、ペプチド中の疎水性残基を親水性のものに置換することである。同様に、固相とのイオン性相互作用をなくすために、荷電したペプチド残基を非荷電残基に置換することもできる。ペプチドエピトープを固相からさらに隔てて配置して、立体障害を最小限にするために、種々の構造を持つスペーサー基を付加することによって、ペプチドを改変することもできる。 ペプチドは、ネイティブ性タンパク質、または標的とする細胞上のネイティブ性タンパク質上に存在する翻訳後修飾を反映するように合成することができる。修飾には、タンパク質中の特定の部位でのグリコシル化およびリン酸化が非限定的に含まれる。 エピトープを決定するためのもう1つのアプローチは、CLL-1変異体を細胞内で発現させて、異なる変異体の間でCLL-1抗体の親和性を比較することである。CLL-1変異体は、ペプチド試験について記載したように設計することができる。加えて、エピトープがグリコシル化部位を含むか否かを判定するために、グリコシル化残基(例えば、アスパラギン、アルギニン、セリン、トレオニン、チロシン)を置換することもできる。同様に、リン酸化残基(セリン、トレオニン、チロシン)を置換することもできる。 また、異なる種類のCLL-1発現細胞に対する抗体親和性を比較することによって、エピトープを決定すること、または部分的に決定することもできる。例えば、初代AML細胞、例えば、AML芽球および生着したAML腫瘍細胞などに対する;AML細胞株に対する、他の非癌性骨髄性細胞などに対する抗体親和性を決定して、比較することができる。D.CDC、ADCCおよびADCアッセイ 本明細書に記載の抗体は、CLL-1を発現する細胞の細胞依存性細胞傷害作用(CDC)、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害作用(ADCC)、および抗体薬物複合体細胞傷害作用(ADC)に対して有効である。CLL-1を発現する例示的な細胞には、異種性の組換えCLL-1(例えば、ヒトCLL-1)を発現する細胞株;HL60、THP1、TF1-α、U937、およびOCIAML-5などのヒトAML細胞株(最初の4つはATCCから入手可能である);1人または複数のAML患者由来の初代細胞(例えば、PBMCまたは生着した腫瘍細胞);K562およびKU812などのヒトCML細胞株(ATCCから入手可能);ならびに1人または複数のCML患者またはMDS患者由来の初代細胞が含まれる。 抗体は、抗体標的を発現する細胞の補体依存性死滅をそれがもたらすならば、CDC活性を有し、かつCDCを媒介すると記述される。CDCアッセイは当技術分野において公知であり、例えば、Gazzano-Santoro et al. (1997) J. Immunol Methods 202: 163;Idusogie et al. (2000) J. Immunol. 164:4178;および以下の実施例6に記載されている。CDCのキットおよびサービスは、例えば、GeneScript(登録商標)およびCell Technology Incから販売されている。 手短に述べると、このアッセイは典型的にはインビトロで実施され、抗体標的をその表面上に発現する細胞に対する抗体結合を含む。抗体のCh領域と結合するC1qを含む補体成分を添加する。すると、補体成分が標的細胞と相互作用してそれを死滅させる。一般に4〜24時間であるインキュベーション期間の後に、例えば、標的とする細胞内に存在することが判明している細胞内酵素または顆粒の放出を決定すること、出発時および最後の標的細胞集団を比較することなどによって、CDCを測定する。 抗体は、抗体が結合した細胞(例えば、CLL-1発現細胞)のエフェクター細胞による死滅をそれがもたらすならば、ADCC活性を有し、かつADCCを媒介すると記述される。エフェクター細胞は、典型的にはナチュラルキラー細胞であるが、マクロファージ、好中球、または好酸球であってもよい。ADCCアッセイに用いるための遺伝的に操作されたエフェクター細胞株も開発されている(例えば、Schnueriger et al. (2011) Mol. Immunol. 48:1512を参照)。ADCCアッセイは当技術分野において公知であり、Perussia and Loza (2000) Methods in Mol. Biol. 121: 179;Bretaudeau and Bonnaudet (2011) BMC Proceedings 5(Suppl 8):P63;および以下の実施例12に記載されている。ADCCのキットおよびサービスは、例えば、GeneScript(登録商標)およびPromega(登録商標)から販売されている。 手短に述べると、このアッセイは典型的にはインビトロで実施され、抗体標的をその表面上に発現する細胞に対する抗体結合を含む。抗体が結合した細胞を典型的にはCD16などのFc受容体を通じて認識するエフェクター細胞を添加する。エフェクター細胞は、例えば、アポトーシスを引き起こすサイトトキシンを放出することによって、抗体が結合した細胞を死滅させる。細胞死は、標的細胞内の検出可能な要素(例えば、Cr51)の放出によって、または細胞媒介毒性(例えば、エフェクター細胞におけるNFATシグナル伝達の活性化)に関与する要素の検出によって検出される。 抗体は、細胞傷害性物質(薬物)と結合させた場合に、抗体の標的、この場合にはCLL-1を発現する細胞の死滅(生存の阻害)をもたらすならば、抗体薬物複合体(ADC)活性を有する(またはADCを媒介する)と記述される。適切な細胞傷害性物質は当技術分野において公知であり、例えば、サポリン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、ビンカアルカロイド、タキソイド、チューブリン作用薬(例えば、マイタンシン、オーリスタチン)、およびDNA作用薬(例えば、カリチアマイシン、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアセピン二量体)などがある。ADCアッセイは、例えば、Gerber et al. (2009) 3:247、および以下の実施例に記載されているように、当技術分野において公知である。E.内部移行 本明細書に記載のCLL-1抗体は、CLL-1 AML細胞を含むCLL-1発現細胞へ内部移行することができる。すなわち、CLL-1発現細胞は本明細書に記載の抗体を内部移行させることができる。本明細書に記載のCLL-1抗体は、例えば、検出可能な複合体または細胞傷害性複合体により、そのような細胞を標的化するための有効な手段を与える。 抗体の内部移行率および内部移行速度は、例えば、フローサイトメトリー(FACS)および共焦点蛍光顕微鏡検査を含む、当技術分野において公知の方法を用いることによって評価することができる。そのような方法は、例えば、Lue et al. (2007) Nature Protocols (Nature Med. 13:587-96);Cho et al. (2010) Biomacromolecules、Corbani el al. (2004) Endocrinology 145:2876-85に記載されており、かつ本明細書に記載された通りである。 FACSおよび共焦点顕微鏡検査のためには、蛍光標識した標的指向性物質、例えば抗体とともに、細胞をインキュベートする。細胞は典型的には、標識抗体の標的、例えばCLL-1を発現する。続いて、標的を発現しない対照細胞を用いることができる。内部移行は典型的には37℃で起こるが、4℃では起こらず、これは反応に関する別の対照となる。このように、細胞を標識物質と接触させ、37℃または4℃(例えば、内部移行を伴わない結合を検出するために)でインキュベートすることができる。 結合しなかった作用物質および表面に結合した作用物質を、例えば、酸洗浄で細胞を洗浄し、続いて、正常pHの緩衝液で洗浄することによって除去する。 付着細胞を用いる場合には、フローサイトメトリーの前に細胞を基面から取り外す。蛍光性細胞の比率により、蛍光性標識物質の内部移行率が示される。内部移行率を、例えば、細胞に添加した最初の標識物質に対する比率として表現することもできる。 作用物質の内部移行を、蛍光性標識物質の局在を共焦点顕微鏡検査により判定することによって評価することもできる。内部移行の決定のために共焦点顕微鏡検査を用いる方法は、例えば、Xiao et al. (2008) Chem. Eur. J., 14:1769-1775に記載されている。手短に述べると、上記のように細胞を標識物質と接触させてインキュベートする。インキュベーションの後に、細胞を氷上でインキュベートし、4℃のPBS緩衝液で洗浄し、0.25%トリプシンで処理する(基面から取り外すため、該当する場合)ことができる。続いて、細胞懸濁液を、共焦点蛍光顕微鏡検査のためにスライドに適用する。適した共焦点顕微鏡には、FV500-IX81共焦点顕微鏡(Olympus America inc.;Center Valley,PA)およびEclipse Ti-E(Nikon Instruments Inc.;Melville, NY)が含まれる。V.診断用途 本明細書に記載のCLL-1抗体は、CLL-1発現細胞と特異的に結合する。このため、CLL-1抗体を、CLL-1発現細胞(例えば、AML細胞およびAML CSC)を検出するための、インビトロおよびインビボでの診断アッセイのために用いることができる。例えば、試料(例えば、血液試料または組織生検試料)を患者から得て、CLL-1抗体と接触させた上で、患者試料中のCLL-1発現細胞の存在を、抗体結合を検出することによって判定することができる。抗体結合は、直接的に検出することもでき(例えば、抗体自体が標識である場合)、または第2の検出物質、例えば二次抗体などを用いることによって検出することもできる。検出用標識は、直接的に、または間接的に、例えばキレート剤またはリンカーを介して、本発明の抗体に付随させることができる。 いくつかの態様においては、CLL-1抗体を、CLL-1関連障害を有するかまたは有する疑いのある個体由来の生物試料と接触させて、試料中の細胞に対する抗体結合を決定し、ここで、正常な抗体結合を上回るか下回ることにより、その個体がCLL-1関連障害を有することが示される。いくつかの態様において、生物試料は血液試料または血液画分(例えば、血清、血漿、血小板、赤血球、白血球、PBMC)である。いくつかの態様において、生物試料は、例えば、既知の腫瘍の境界を判定するための、例えば、腫瘍部位の疑いのある部位からの、または罹患していることが判明している組織からの組織試料(生検試料)である。 生検は、典型的には、組織、すなわち非体液性細胞型からの試料を得るために行われる。適用される生検手法は、評価しようとする組織型(例えば、乳房、皮膚、結腸、前立腺、腎臓、肺、膀胱、リンパ節、肝臓、骨髄、気道または肺)に依存すると考えられる。癌の場合には、手法は、特に腫瘍のサイズおよび種類(例えば、固形、懸濁性、または血液)にも依存すると考えられる。代表的な生検手法には、摘出生検、切開生検、針生検、外科的生検、および骨髄生検が非限定的に含まれる。「摘出生検」とは、腫瘍塊全体を、その周囲の正常組織を辺縁に少し残した上で取り出すことを指す。「切開生検」とは、腫瘍の差し渡し断面(cross-sectional diameter)を含む楔状組織を取り出すことを指す。内視鏡検査またはX線透視検査によって行われる診断または予後予測は、腫瘍塊の「コア針生検」、または、一般に腫瘍塊の内部から細胞の懸濁液を得る「細径針吸引生検」を必要とすることがある。生検手法については、例えば、Harrison's Principles of internal Medicine, Kasper, et al., eds., 16th ed., 2005, Chapter 70、およびPart Vに考察されている。 試料中の細胞に対する抗体結合を検出する任意の方法を、本診断アッセイのために用いることができる。抗体結合を検出する方法は当技術分野において周知であり、例えば、フローサイトメトリー、蛍光性顕微鏡検査、ELISAなどがある。いくつかの態様において、本方法は、決定の段階の前に、生物試料を検出用に調製する段階を含む。例えば、検出が容易になるように、細胞の部分集団(例えば、白血球、CD34+細胞、CD45+細胞など)を個体由来の試料の残りの部分(例えば、他の血液成分)から分離すること、または組織中の細胞を懸濁させることができる。 いくつかの態様においては、試料中のCLL-1発現細胞の比率を決定して、対照、例えば、CLL-1関連障害を有することが判明している個体もしくは個体群由来の試料(陽性対照)、またはCLL-1関連障害を有しないことが判明している個体もしくは個体群由来の試料(正常対照、健常対照、非罹患対照、または陰性対照)と比較する。いつかの態様において、対照は、所与の組織に対して確立されているCLL-1発現の標準範囲である。CLL-1発現細胞の正常比率よりも高いかもしくは低いこと、または発現レベルがより高いかもしくはより低いことにより、その個体がCLL-1関連障害を有することが示される。 いくつかの態様においては、意図する治療法の適用可能性を判定するために、標識CLL-1抗体を個体に与えること(投与すること)ができる。例えば、罹患部内でのCLL-1密度を検出するために標識抗体を用いることができ、ここで密度は典型的には非罹患組織に比して高い。標識抗体により、罹患部に治療法が到達可能であることを示すこともできる。これにより、画像法の結果に基づいて患者を治療法に関して選別することができる。癌の正確な境界を判定するといった解剖学的特徴づけは、標準的な画像化手法(例えば、CTスキャニング、MRI、PETスキャニングなど)を用いて実現することができる。 いくつかの態様においては、本明細書に述べるような標識CLL-1抗体に、例えば「セラノスティック(theranostic)」な組成物を形成させる目的で、治療用化合物をさらに付随させることができる。例えば、CLL-1抗体を、検出用標識および治療用物質、例えばCLL-1発現性癌細胞を死滅させるための細胞傷害性物質などの両方と連結させることができる(直接的または間接的に)。いくつかの態様において、標識CLL-1抗体は、CLL-1発現性癌細胞の診断および/または位置決定のために用いられ、続いて、CLL-1発現性癌細胞が別個の治療用CLL-1特異的抗体によって標的化される。いくつかの態様において、診断用CLL-1特異的抗体とは、CLL-1発現細胞への内部移行を高速にも高率にも受けないもののことである。いくつかの態様において、治療用CLL-1抗体は、CLL-1発現細胞への内部移行を高速または高率で受ける。A.標識 CLL-1抗体を含む診断用物質には、例えば、以下の参考文献に提示されているような、当技術分野において公知であるあらゆる診断用物質が含まれうる:Armstrong et al., Diagnostic Imaging, 5th Ed., Blackwell Publishing (2004);Torchilin, V. P., Ed., Targeted Delivery of Imaging Agents, CRC Press (1995);Vallabhajosula, S., Molecular Imaging: Radiopharmaceuticals for PET and SPECT, Springer (2009)。診断用物質は、検出可能なシグナルを与える、および/または増強する作用物質としてのものを含む、種々のやり方によって検出することができる。検出可能なシグナルには、γ線放射性、放射性、エコー源性、光学的、蛍光性、吸収性、磁気または断層撮影シグナルが非限定的に含まれる。診断用物質の画像化のための手法には、単一光子放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、磁気共鳴撮像法(MRI)、光学撮像法、ポジトロン放出断層撮影法(PET)、コンピュータ断層撮影法(CT)、X線撮像法、γ線撮像法などが非限定的に含まれうる。「検出可能な作用物質」、「検出可能な部分」、「標識」、「造影剤」および類似の用語などの用語は、本明細書において同義に用いられる。 いくつかの態様において、診断用物質は、蛍光性物質、リン光性物質、化学発光性物質などの光学的物質である。さまざまな作用物質(例えば、色素、プローブ、標識または指示薬)が当技術分野において公知であり、本発明に用いることができる。(例えば、Invitrogen, The Handbook--A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies, Tenth Edition (2005)を参照)。蛍光性物質には種々の有機および/もしくは無機低分子、または種々の蛍光性タンパク質、ならびにそれらの誘導体が含まれる。例えば、蛍光性物質には、シアニン、フタロシアニン、ポルフィリン、インドシアニン、ローダミン、フェノキサジン、フェニルキサンテン、フェノチアジン、フェノセレナジン、フルオレセイン、ベンゾポルフィリン、スクアラン、ジピロロピリミドン、テトラセン、キノリン、ピラジン、コーリン、クロコニウム、アクリドン、フェナントリジン、ローダミン、アクリジン、アントラキノン、カルコゲンピリリウム類似体、クロリン、ナフタロシアニン、メチン色素、インドレニウム色素、アゾ化合物、アズレン、アザアズレン、トリフェニルメタン色素、インドール、ベンゾインドール、インドカルボシアニン、ベンゾインドカルボシアニン、およびBODIPY(商標)誘導体が非限定的に含まれうる。蛍光性色素は、例えば、米国特許第4,452,720号、米国特許第5,227,487号、および米国特許第5,543,295号に考察されている。 また、標識が、例えば、γ線、ポジトロン、β粒子およびγ粒子、ならびにX線を放射する放射性核種などの放射性同位体であってもよい。適した放射性核種には、225Ac、72As、211At、11B、128Ba、212Bi、75Br、77Br、14C、109Cd、62Cu、64Cu、67Cu、18F、67Ga、68Ga、3H、166Ho、123I、124I、125I、130I、131I、111In、177Lu、13N、15O、32P、33P、212Pb、103Pd、186Re、188Re、47Sc、153Sm、89Sr、99mTc、88Yおよび90Yが非限定的に含まれる。いくつかの態様において、放射性物質には、111In-DTPA、99mTc(CO)3-DTPA、99mTc(CO)3-ENPy2、62/64/67Cu-TETA、99mTc(CO)3-IDA、および99mTc(CO)3トリアミン(環状または線状)が含まれる。いくつかの態様において、作用物質には、DOTA、および111In、177Lu、153Sm、88/90Y、62/64/67Cuまたは67/68Gaを有するそのさまざまな類似体が含まれる。いくつかの態様においては、以下の参考文献に提示されているように、キレート剤と結合された脂質、例えばDTPA-脂質などの組み入れによってナノ粒子を標識することができる:Phillips et al., Wiley Interdisciplinary Reviews: Nanomedicine and Nanobiotechnology, 1 (1): 69-83 (2008);Torchilin, V.P. & Weissig, V., Eds. Liposomes 2nd Ed.: Oxford Univ. Press (2003);Elbayoumi, T.A. & Torchilin, V.P., Eur. J. Nucl. Med. Mol. Imaging 33:1196-1205 (2006);Mougin-Degraef, M. et al., Int'l J. Pharmaceutics 344:110-117 (2007)。 いくつかの態様においては、診断用物質に、発色基質に接触すると有色生成物を生じる二次結合リガンドまたは酵素(酵素タグ)を付随させることができる。適した酵素の例には、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、(西洋ワサビ)水素ペルオキシダーゼおよびグルコースオキシダーゼが含まれる。二次結合リガンドには、例えば、当技術分野において公知であるようなビオチンおよびアビジンまたはストレプトアビジン化合物が含まれる。 いくつかの態様において、以下にさらに詳細に述べるように、標識抗体に、インビボでの安定性を向上させる組成物、例えば、PEG、またはリポソームなどのナノ粒子などをさらに付随させることができる。B.標識の方法 検出用物質および治療用物質を抗体と結合させるための手法は周知である(例えば、Arnon et al., "Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy", in Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Reisfeld et al. (eds.), pp. 243-56 (Alan R. Liss, Inc. 1985);Hellstrom et al., "Antibodies For Drug Delivery"in Controlled Drug Delivery (2nd Ed.), Robinson et al. (eds.), pp. 623-53 (Marcel Dekker, Inc. 1987);Thorpe, "Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review" in Monoclonal Antibodies '84: Biological And Clinical Applications, Pinchera et al. (eds.), pp. 475-506 (1985);およびThorpe et al., "The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates", Immunol. Rev., 62:1 19-58 (1982)を参照)。 典型的には、抗体を、エピトープに対する結合を妨害しない領域で検出用部分と結合する。したがって、場合によっては、検出用部分は、定常領域、または可変領域内のCDRの外側に結合される。当業者は、検出用部分を抗体の別の場所に配置することができ、検出用部分の位置をそれに応じて調整しうることを認識しているであろう。いくつかの態様においては、結びつきが結合を過度に妨げないことを確かめるために、エピトープがエピトープと会合する能力を、検出用部分との結びつきの前後で比較する。 いくつかの態様において、抗体にさらなる標的指向性部分を付随させることができる。例えば、標的分子または標的細胞上の異なる部位と結合する抗体フラグメント、ペプチド、またはアプタマーを、例えば癌細胞に対する標的結合を最適化するために、抗体と結合させることができる。VI.治療用途 本明細書に記載のCLL-1抗体を用いて、AML細胞などのCLL-1発現細胞を標的化することができる。CLL-1発現は、AML細胞およびCSC(例えば、AML CSC)上で増大している。CLL-1は正常CD34+ 造血幹細胞(HSC)上で著しくは発現されないことから、本CLL-1抗体を用いて、CSCをHSCと識別することができる。AML細胞に共通するCLL-1エピトープを認識し、それ故にAML細胞とあまねく結合することができる高親和性CLL-1抗体は、AMLの再発率が非常に高いことから、特に有益である。上述したように、CLL-1抗体を含む治療用組成物は、例えば、CLL-1発現細胞の検出および位置決定、ならびに治療効果のモニタリングのためのセラノスティック組成物を形成するために検出用標識をさらに含む。 本明細書で実証されるように、本CLL-1抗体は、癌細胞増殖(growth)(増殖(proliferation)および/または生着)を阻害することができ、それ故に単独で化学療法薬であると見なすことができる。以下の開示は、CLL-1発現細胞に対するさらなる効果を目的としてCLL-1抗体と連結させることのできる、化学療法薬および細胞傷害性物質の例を提示している。 化学療法(抗癌)薬は、癌の成長を低下させること、癌細胞の複製を妨害すること、癌細胞を直接的または間接的に死滅させること、転移を減少させること、腫瘍血液供給を減少させることなどができる任意の作用物質であってよい。したがって、化学療法薬には細胞傷害性物質が含まれる。細胞傷害性物質には、サポリン、タキサン、ビンカアルカロイド、アントラサイクリン、およびプラチナベースの薬剤が非限定的に含まれる。化学療法薬のクラスには、アルキル化剤、代謝拮抗剤、例えばメトトレキサートなど、植物アルカロイド、例えばビンクリスチンなど、および抗生物質、例えばドキソルビシンなど、ならびに特定のクラスに分類されないその他の薬物、例えばヒドロキシ尿素などが非限定的に含まれる。シスプラチンおよびオキサリプラチンを例とするプラチナベースの薬物は、化学療法薬の主要クラスの1つである。これらの薬物は、DNAと結合して複製を妨害する。タキソールを例とするタキサンは、化学療法薬の別の主要クラスである。これらの化合物は、細胞骨格形成および紡錘体形成を妨害して細胞分裂を阻害することによって作用し、それにより、急速に分裂する癌細胞の増殖を妨げる。他の化学療法薬にはホルモン療法が含まれる。 複数の治療用物質を、同一の組成物の形で、または別個の組成物の形で組み合わせることができる。治療用物質を、特定の個体に対して適切な、さらなる治療用物質と組み合わせることもできる。癌患者に対して与えられる一般的な治療用物質には、疼痛、悪心、貧血、感染、炎症、および癌患者が一般的に経験する他の症状に対処するための医薬品が含まれる。 種々の公知の架橋剤を用いて、抗体を治療用物質、検出用物質またはナノ担体と結合させることができる。ポリペプチドの共有結合性または非共有結合性の結合ための方法は、当技術分野において周知である。そのような方法には、化学的架橋剤、光活性化架橋剤および/または二官能架橋試薬の使用が非限定的に含まれうる。分子を架橋するための例示的な方法は、米国特許第5,603,872号および米国特許第5,401,511号に開示されている。架橋試薬の非限定的な例には、グルタルアルデヒド、二官能オキシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、カルボジイミド、例えば1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドまたはジシクロヘキシルカルボジイミドなど、ビスイミダート、ジニトロベンゼン、スベリン酸のN-ヒドロキシスクシンイミドエステル、酒石酸ジスクシンイミジル、ジメチル-3,3'-ジチオ-ビスプロピオンイミデート、アジドグリオキサール、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート、および4-(ブロモアドミノエチル)-2-二トロフェニルアジドが含まれる。 いくつかの態様において、CLL-1抗体にはナノ担体が付随している。ナノ担体(例えば、リポソーム)と結合させた抗体の場合には、ある一定数の抗体が表面上に存在し、すなわち、ある所与の表面密度で存在すると考えられる。いくつかの態様において、ナノ担体は、ナノ担体1つ当たり少なくとも5個の抗体、例えば、ナノ担体1つ当たり少なくとも10個、30個、40個、50個、75個、100個またはそれを上回る抗体を有すると考えられる。当業者は、表面密度が平均範囲を表しており、ナノ担体1つ当たりの抗体の数は集団のすべての構成要素に関して絶対的に均一ではないと考えられることを理解するであろう。 ナノ担体には、リポソームおよびミセルなどの小胞、ならびにポリマー性ナノ粒子などが含まれる。ナノ担体は、治療用物質および診断用物質の送達のために有用であるが、癌を治療するために用いられる細胞傷害性物質を遮蔽するために特に有用である。ナノ担体は、脂質(例えば、リン脂質)、親水性ポリマー、疎水性ポリマー、両親媒性化合物、架橋ポリマー、およびポリマー性マトリックスを含みうる(例えば、WO2009/1 10939号を参照)。用途に応じて、ナノ担体は、特定のサイズ、半減期、保存寿命、および漏出速度を有するように設計することができる。 抗体で標的化させたリポソーム、ポリマー性ナノ粒子、または保存寿命が延長されたリポソームといったナノ担体の調製については、例えば、米国特許第6465188号、第7122202号、第7462603号および第7550441号に記載されている。 いくつかの態様において、抗体は、PEG、またはリポソームまたは他のナノ担体といった安定化部分と連結されている。米国特許第4,732,863号および第7892554号、ならびにChattopadliyay et al. (2010) Mol Pharm 7:2194は、選択した抗体をPEG、PEG誘導体、およびナノ粒子(例えば、リポソーム)と結合させるための方法を記載している。ホスファチジル-エタノールアミン(PE)を含有するリポソームは、本明細書に記載されたような確立された手順によって調製することができる。PEを含めることにより、リポソーム表面上に結びつきのための活性機能部位がもたらされる。 抗体複合体を、複数の活性化合物、例えば、さらなる化学療法薬または細胞傷害性物質、サイトカイン、または増殖阻害薬などを与えるように製剤化することもできる。有効成分を、持続放出調製物(例えば、固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックス(例えば、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド)として調製することもできる。抗体およびイムノ複合体を、例えばコアセルベーション法または界面重合法によって調製されたナノ粒子、例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルの中に、コロイド状薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)の中に、またはマクロエマルジョン中に封入することもできる。 本明細書に記載のCLL-1抗体は、単独で、または細胞傷害性物質との組み合わせで、CLL-1発現細胞を死滅させることができる。いくつかの態様において、治療の方法は、個体に対して、治療用CLL-1抗体またはCLL-1抗体複合体、例えば、治療用物質を結合させたCLL-1抗体などの有効量を投与する段階を含む。いくつかの態様において、個体は、癌、例えばAMLと診断されている。いくつかの態様において、個体は、癌治療法、例えば外科手術、放射線療法、または化学療法を受けているか、または受けたことがある。いくつかの態様において、個体は診断されてはいるが、癌は寛解期にある。 いくつかの態様において、本方法は、個体を癌の進行に関してモニターする段階をさらに含む。いくつかの態様において、各投与に関するCLL-1抗体またはCLL-1抗体複合体の用量は個体の治療の進展に基づいて決定され、例えば、個体が治療法に十分に反応しない場合には、より高用量の化学療法が投与される。 いくつかの態様において、本発明は、抗体または抗体で標的化させた組成物、および生理的に(すなわち、薬学的に)許容される担体を含みうる。「担体」という用語は、診断用物質または治療用物質のための希釈剤または媒体として用いられる、典型的には不活性の物質のことを指す。この用語はまた、組成物に凝集性を付与する、典型的には不活性の物質も範囲に含む。生理的に許容される担体は、液体、例えば生理食塩水、リン酸緩衝液、規定緩衝食塩水(135〜150mM NaCl)、水、緩衝水、0.4%食塩水、0.3%グリシン、安定性を強化するための糖タンパク質(例えば、アルブミン、リポタンパク質、グロブリンなど)などであってよい。生理的に許容される担体は、一部には、投与される具体的な組成物のほか、組成物を投与するために用いられる具体的な方法によっても決まるため、本発明の薬学的組成物の適した製剤には非常にさまざまなものがある(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., 1989を参照)。 本発明の組成物は、従来の周知の滅菌手法によって滅菌してもよく、または無菌条件下で作製してもよい。水性溶液は使用のためにパッケージ化してもよく、または無菌条件下で濾過して凍結乾燥させ、凍結乾燥調製物を投与前に無菌水溶液と組み合わせてもよい。組成物は、必要に応じて、生理的条件に近づけるための薬学的に許容される補助物質、例えばpH調整剤および緩衝剤、張性調整剤、湿潤剤など、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、およびオレイン酸トリエタノールアミンなどを含有しうる。糖を、凍結乾燥抗体組成物用の安定剤のように、組成物の安定化のために含めることもできる。 剤形は、患者への粘膜的(例えば、経鼻、舌下、経腟、頬側または直腸内)、非経口的(例えば、皮下、静脈内、筋肉内または動脈内注射、ボーラスまたは注入)、経口的または経皮的投与のために調製することができる。剤形の例には、以下のものが非限定的に含まれる:分散系;坐薬;軟膏;湿布(パップ剤);ペースト剤;粉剤;ドレッシング材;クリーム剤;硬膏剤;液剤;パッチ剤;エアロゾル剤(例えば、点鼻薬または吸入剤):ゲル剤;懸濁剤(例えば、水性または非水性の液体懸濁剤、水中油型乳剤または油中水型液体乳剤)、液剤およびエリキシル剤を含む、患者への経口投与または粘膜投与に適した液体剤形;患者への非経口的投与に適した液体剤形;ならびに、再構成することで、患者への非経口的投与に適した液体剤形が得られる無菌固体(例えば、結晶性固体または非晶質固体)。 注射用(例えば、静脈内)組成物は、水性担体などの許容される担体中に懸濁化された、抗体または抗体で標的化させた組成物の溶液を含みうる。種々の水性担体の任意のもの、例えば、水、緩衝水、0.4%食塩水、0.9%等張食塩水、0.3%グリシン、5%デキストロースなどを用いることができ、安定性向上のための糖タンパク質、例えばアルブミン、リポタンパク質、グロブリンなどを含んでもよい。多くの場合、規定緩衝食塩水(135〜150mM NaCl)が用いられる。組成物は、生理的条件に近づけるための薬学的に許容される補助物質、例えば、pH調整剤および緩衝剤、湿潤剤、例えば酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミンなどを含有しうる。いくつかの態様において、抗体で標的化させた組成物は、静脈内投与用のキットとして製剤化することができる。 例えば、関節内(関節の中)、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、および皮下経路などによる非経口投与のために適した製剤には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質を含む、水性および非水性の等張滅菌注射液、ならびに懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および保存料を含みうる、水性および非水性の滅菌懸濁液が含まれる。 薬学的調製物は、単位剤形としてパッケージ化または調製することができる。そのような剤形では、調製物を、治療用物質の用量または抗体の濃度に応じて、適量の活性成分を含有する単位用量に細分する。単位剤形は、単位用量または多回用量が密封された容器、例えばバイアルまたはアンプル内に個別量の調製物をパッケージが含有する、パッケージ化された調製物であってよい。組成物は、必要に応じて、適合性のある他の治療用物質を含むこともできる。 抗体(または抗体で標的指向させた組成物)は、静脈内、皮下、筋肉内または腹腔内経路を非限定的に含む任意の適切な経路を介した注射または注入によって投与することができる。薬学的組成物の投与の一例は、抗体を4℃の注射用滅菌等張食塩液中10mg/mlで貯蔵し、患者への投与の前に、100mlまたは200mlのいずれかの注射用0.9%塩化ナトリウムでそれを希釈することを含む。抗体を、0.2〜10mg/kgの用量で1時間かけて静脈内注入によって投与する。他の態様においては、抗体を、15分〜2時間かけて静脈内注入によって投与する。さらなる他の態様において、投与手順は皮下ボーラス注射による。 抗体の用量は、患者に有効な治療法を提供する目的で選択され、0.1mg/kg体重未満から約25mg/kg体重までの範囲、または患者当たり1mg〜2gの範囲である。場合によっては、用量は、1〜100mg/kg、または患者あたりおよそ50mg〜8000mgの範囲にある。用量は、抗体の薬物動態(例えば、循環中の抗体の半減期)および薬力学的反応(例えば、抗体の治療効果の持続時間)に応じて、1日1回〜3カ月毎に1回の範囲でありうる適切な頻度で繰り返すことができる。いくつかの態様において、インビボ半減期は約7日〜約25日であり、抗体の投薬を週1回〜3カ月毎に1回繰り返す。 投与は定期的であってよい。投与経路に応じて、用量を、例えば、1、3、5、7、10、14、21、もしくは28日毎またはより長い期間毎に1回(例えば、2、3、4または6カ月毎に1回)、投与することができる。場合によっては、投与はより頻回であり、例えば、1日2回または3回である。当業者は認識しているであろうが、治療の進展および有害副作用に応じて投与の投与量および頻度を調整するために、患者をモニターすることができる。 したがって、いくつかの態様において、さらなる投与は患者の進展に依存しており、例えば、患者を投与の間にモニターする。例えば、第1の投与または一連の投与の後に、患者を、腫瘍成長の速度、再発(例えば、術後患者の場合)、または脱力、疼痛、悪心などといった一般的な疾患関連症状についてモニターすることができる。 癌の治療のためには、抗体または抗体で標的化させた組成物(例えば、治療用物質および/または診断用物質を含む)を、1日に約0.001mg/kg〜約1000mg/kgの初回投与量で投与し、経時的に調整することができる。約0.01mg/kg〜約500mg/kg、または約0.1mg/kg〜約200mg/kg、または約1mg/kg〜約100mg/kg、約5〜約10mg/kg、または約10mg/kg〜約50mg/kgという1日用量の範囲を用いることができる。本明細書に記載したインビボ異種移植の結果は、5〜20mg抗体/kg体重の用量が腫瘍成長の劇的な低下のために有効であることを示している。 投与量は、患者の要件、治療しようとする病状の重症度、および使用する標的化組成物に応じて異なる。例えば、投与量を、個々の患者において診断された癌の種類および病期を考慮して経験的に決定することができる。本発明に関連して、患者に投与される用量は、患者における有益な治療反応を経時的に生じさせるのに十分であるべきである。熟練した臨床医は認識しているであろうが、用量のサイズは、個々の患者における特定の標的化組成物の投与に伴う有害な副作用の存在、性質、および程度によっても決まると考えられる。 本明細書に記載された実施例および態様は説明のみを目的としたものであり、当業者にはそれらに鑑みてさまざまな修正または変更が想起されると考えられるが、それらも本出願の趣旨および範囲、ならびに添付の特許請求の範囲に含まれることは理解されよう。本明細書に引用した刊行物、特許および特許出願はすべて、その全体が目的を問わず、参照により本明細書に組み入れられる。VII.実施例A.実施例1:CLL-1抗体の配列および構造の特徴づけ ヒトCLL-1を用いて、マウスにおいて抗体を生じさせた。CLL-1に対して特異的な抗体を選択し、モノクローナル抗体の安定した産生のためにハイブリドーマにクローニングした。CLL-1に対して特異的な抗体をいくつかクローニングし、配列および抗体構造に関して特徴づけた。これらのデータは以下の表1〜3に示されている。重鎖および軽鎖の可変領域配列は配列表に示されている。(表1)抗体構造(表2)J配列J HC:SEQ ID NO:35〜42(上から下に)J LC:SEQ ID NO:43〜50(表3)CDR配列CDR H1:SEQ ID NO:51〜58CDR H2:SEQ ID NO:59〜66CDR H3:SEQ ID NO:67〜74CDR L1:SEQ ID NO:75〜82CDR L2:SEQ ID NO:83〜90CDR L3:SEQ ID NO:91〜98B.実施例2:エピトープ結合試験 いくつかのクローンに関して、エピトープマッピングを実施し、公知の抗体に関するCLL-1との結合の位置と比較した。これらの抗体には、Nuvelo/X1057(US20100285037号)、Crucell/X357(米国特許第7741443号)、およびヤギ抗CLL-1が含まれる。概要は以下の表4に示されている。CLL-1またはCLL-1のCレクチンドメインを293T細胞において発現させた。トランスフェクトされていない293T細胞、またはマウスCLL-1をトランスフェクトした293T細胞を対照として用いた。(表4)エピトープ結合 このデータは、クローンM26およびM31はヒトCLL-1と結合するが、Cレクチンドメインは有意な結合には不十分であることを示している。 M26抗体およびM31抗体を、カニクイザルCLL-1に対する結合についても試験した。これらの動物は臨床試験に用いることができ、それ故、ヒト抗体標的のカニクイザル種ホモログと結合する標的特異的抗体があれば有用である。M26はカニクイザルCLL-1と高い親和性で結合することが見いだされた。 ELISAを用いて、さらなるカニクイザルCLL-1結合試験も実施した。結果は以下の表5に示されている。(表5)カニクイザルCLL-1の結合C.実施例3:親和性試験 CLL-1抗体クローンについて親和性試験を実施した。手短に述べると、ビオチン化CLL-1(25ug/ml)をストレプトアビジンセンサーチップにロードして、22Cで2時間おいた。1:1グローバルカーブフィッティングを用いて、各抗体について3つの異なる濃度(10、30および90ug/ml)でAb-Ag解離曲線を作成した。結果は以下の表6に示されている。(表6)親和性Kd(pM)D.実施例4:AML細胞株およびAML患者試料に対する結合 CLL-1抗体を、ヒトCLL-1を発現する組換え293細胞、ならびに2種のAML細胞株、HL60およびOCI AML-5に対する結合に関して試験した。FACSによって検出した、抗体結合を伴う生細胞の比率を、以下の表7に示している。(表7)細胞株に対する抗体結合(%) 以前に特徴づけられたCLL-1抗体は、典型的には、初代AML細胞と高いばらつきを伴って結合し、これは患者試料に広く用いる上では問題であった。中には、特定の患者由来の試料と検出可能なようには結合しないものもある。本明細書に開示された抗体を、AML患者由来の初代細胞試料に対する結合に関して、FACSによって試験した。2群の試料を試験した:第1のものは患者6人からなり、もう一方は37人という、より大規模なコホートからなる。各抗体クローンを群内のあらゆる試料に対する結合に関して試験したわけではない。結合の結果は表8に示されている。M26およびM31はAML患者の初代細胞試料からの90%またはそれを上回る細胞と結合することが、FACSによってさらに見いだされた。(表8)初代AML試料の結合(陽性数/検査した患者試料の総数)E.実施例5:抗体薬物複合体(ADC)アッセイ 抗体薬物複合体(ADC)アッセイを、AML細胞株HL60およびOCI AML-5、ならびにCLL-1を発現する組換え293細胞に対して実施した。手短に述べると、細胞をさまざまな濃度のサポリン結合抗体とともに37Cで48〜72時間インキュベートした。細胞生存度をDHL比色アッセイによって決定して、EC50値を求めた。 結果は以下の表9に示されている。(表9)ADCアッセイF.実施例6:補体依存性細胞傷害性(CDC)アッセイ 補体依存性細胞傷害性アッセイを、AML患者由来の初代細胞に対して実施した。初代AML細胞を、補体の存在下で、さまざまな濃度のCLL-1抗体とともに37Cで2時間インキュベートした。細胞生存度を比色Cellglowアッセイ(Promega)によって決定した。 図1は、3件のAML患者試料による結果を示している(A〜C)。CLL-1抗体クローンM26は、これらの細胞試料を用いた場合のEC50が約10〜100ng/mLであった。また、AML試料#52を表している図1Cは、クローンM31の効果を、E12(非関連mAb)およびIgG対照と比較して示している。 10ug/mLの抗体を用いた別の一連のCDCアッセイによる結果を、表10に示している。(表10)CDCアッセイ このデータは、これらのCLL-1抗体クローンが初代AML患者試料に対して有意なCDC活性を有することを示している。CLL-1抗体クローンは、患者試料において、少なくとも5倍の違いのあるCLL-1抗原密度を通じて有効である。G.実施例7:AML腫瘍成長のインビボ阻害 2組のインビボ有効性試験を実施した。第1のものは、CLL-1陽性HL60 AMLヒト細胞株をマウスに用いる皮下(SC)腫瘍生着・成長モデルであった。第2のものは、CLL-1陽性OCI AML-5ヒトAML細胞株を用いる同所性(骨髄、血液、脾臓およびリンパ節)腫瘍生着・増生モデルであった。 SC HL60試験は以下の通りに実施した。5×106個または107個のHL60細胞の皮下接種のおよそ24時間前に、4種のCLL-1抗体クローン(M5、M13、M26およびM31)またはIgG対照のうち1つを200ug/匹の用量で腹腔内投与した。マウスには、さらなる抗体用量を以後の6週間にわたって週1回ずつ投与した。試験はHL60細胞投与から45日後に終了した。図2は、さまざまなCLL1抗体クローン(M5、M13、M26およびM31)の効力曲線を、対照と比較して示している。 OCI AML-5細胞の同所性試験は以下の通りに実施した。免疫不全NSGマウスを、各群当たり6匹ずつの5群に分けた。5×106個または107個のOCI AML-5細胞の静脈内接種のおよそ24時間前に、4種のCLL-1抗体クローン(M5、M13、M26およびM31)またはIgG対照のうち1つを200ug/匹の用量で腹腔内投与した。続いてマウスに、さらなる抗体用量を以後の2週間にわたって週2回ずつ投与した。試験はOCI AML-5細胞投与から4週間後に終了した。図3は、CLL1抗体クローンが、インビボでOCI AML-5細胞(標識hCD45+ CSC-030+およびAML CSC030+)の数を劇的に減少させたことを示している。H.実施例8:CLL-1抗体はADCアッセイにおいてAML幹細胞に対して特異的である M26 CLL-1抗体を、サポリンと結合させた上で、ADCアッセイにおいて特異的死滅に関して試験した。ヒト対象の骨髄から単離した初代患者AML細胞または正常CD34陽性造血幹細胞を、軟寒天コロニー形成アッセイ用に播種した(細胞100,000個/プレート)。続いて細胞を、CLL-1-サポリン毒素結合モノクローナル抗体クローンM26の存在下で14日間インキュベートした。図4に示されているように、CLL-1抗体-サポリン複合体は、AML幹細胞のクローン性増殖の選択的な特異的阻害を引き起こしたが、正常HSCには影響しなかった。陰性対照は未処理とするか、または関連のないIgG-サポリン複合体で処理した。これらの結果は、サイトトキシンと結合させたCLL-1抗体が、HSCコロニー形成を阻害することなく、AML細胞コロニー形成を約80%減少させることを実証している。これらの結果は、本明細書に開示されたCLL-1抗体を、AML細胞上に発現されたCLL-1を特異的に標的化するために安全に治療的に用いうることを示している。I.実施例9:ヒトキメラCLL-1抗体は、マウスCLL-1抗体クローンと同様にヒト末梢血単核細胞(PBMC)と結合する CLL-1抗体クローンM26、M31およびG4の可変領域(Fab)を用いて、ヒトIgG1由来の定常領域(Fc)を有するキメラ抗体を作製した。これらのヒトキメラ抗体を、ChiM26、ChiM31、およびChiG4(またはChi31G4)と称する。ヒトキメラ抗体の特異性を親マウス抗体と比較して検討するために、これらの抗体を用いてヒトPBMCの異なる集団を染色した。PBMCを2人のヒトドナーから得て、Ficoll勾配によって分離した上でプールした。約2×105個の単核細胞を3%ヒト血清でブロックし、続いて、系列マーカーCD89(顆粒球)、CD14(単球および顆粒球)、CD3(リンパ系)およびCD19(B細胞)に対して特異的な抗体で染色した。図5は、ライブゲーティングを行った細胞に関するFACSの結果を示している。ヒトキメラCLL-1抗体は、マウスCLL-1抗体と同じ骨髄細胞系列集団を染色する。J.実施例10:ヒトキメラCLL-1抗体は、マウスCLL-1抗体クローンと同様にカニクイザルPBMCと結合する ヒトキメラ抗体の特異性を親マウス抗体と比較して検討するために、これらの抗体を用いてカニクイザルPBMCの異なる集団を染色した。PBMCを3体のドナーから得て、Ficoll勾配によって分離した上でプールした。約2×105個の単核細胞を3%ヒト血清でブロックし、続いて、系列マーカーCD3(リンパ系)、CD19(B細胞)、CD14(顆粒球)、CD14(単球)およびCD89(顆粒球)に対して特異的な抗体で染色した。図6は、ライブゲーティングを行った細胞に関するFACSの結果を示している。ヒトキメラCLL-1抗体は、マウスCLL-1抗体と同じ骨髄細胞系列集団を染色する。K.実施例11:ヒトキメラCLL-1抗体はインビトロ抗体薬物複合体活性を有する ヒトキメラCLL-1抗体が内部移行してADCを媒介する能力を、CLL-1を発現する293細胞に対してインビトロで検討した。細胞を、さまざまな濃度の指定の抗体と接触させた。適合するIgGアイソタイプ抗体を陰性対照に用いた。続いて、サポリン結合二次抗体(Mousezap(登録商標)またはHumzap(登録商標))を2:1比で添加し、細胞を72時間インキュベートした。Cell Titre-Glo(登録商標)を各培養ウェルに添加し、5〜10分間混合して、発光プレートリーダーで検出した。細胞生存度は発光シグナルによって決定した。図7は、ヒトキメラCLL-1抗体(7B)がマウスCLL-1抗体クローン(7A)とほぼ同一なADC活性を有することを示している。L.実施例12:ヒトキメラCLL-1抗体は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性を媒介する ヒトキメラCLL-1抗体ChiM26、ChiM31、およびChiG4(Chi31G4)がADCCを媒介する能力を、CLL-1を発現する293細胞に対して判定した。標的細胞を96穴丸底ウェルに添加し、さまざまな濃度の指定の抗体、およびエフェクター細胞(Promega(登録商標))とともに37Cで6時間インキュベートした。生細胞をPromega ADCC Reporter Assay(登録商標)を用いて検出した。結果は図8に示されている。ヒトIgGアイソタイプ対照は検出可能な活性を有しなかったが、ChiM26、ChiM31、およびChi31G4に関するEC50は、ng/ml単位でそれぞれ79、143および105であることが明らかになった。M.実施例13:AML腫瘍成長のインビボ阻害 2組のインビボ異種移植試験を、マウスおよびヒトのキメラCLL-1抗体を用いて実施した。いずれの試験にも、第0日にヒトAML細胞の尾静脈注射を受ける1日前に照射を行ったNOD/SCIDマウスを用いた。いずれの試験にも、約3週間の経過にわたる8回の抗体注射と、その後の骨髄細胞における腫瘍成長の検出を含めた。 第1の試験では、マウスを各6匹ずつの3群に分けた:(1)ヒトIgGアイソタイプ対照;(2)M26;および(3)ChiM31。第0日にマウスに3×106個のHL60細胞を注射した。抗体は、第1、4、7、10、13、16、19および22日に、200ug/匹で投与した。マウスを第26日に屠殺した。結果は図9に示されている。図9Aは、CLL-1抗体がhuCD45+CD33+ AML細胞の比率を有意に低下させたことを示しており、図9BはCLL-1抗体がhuCD45+CLL-1+ AML CSCの比率を有意に低下させたことを示している。 第2の試験では、マウスを各6匹ずつの5群に分けた:(1)ヒトIgGアイソタイプ対照;(2)M26;(3)ChiM26;(4)ChiM31;および(5)ChiG4。第0日にマウスに5x106個のOCI AML-5細胞を注射した。抗体は、第1、4、7、10、13、16、19および24日に200ug/匹で投与した。マウスを第28日に屠殺した。結果は図10に示されている。図10Aは、CLL-1抗体がhuCD45+CD33+ AML細胞を明らかに排除したことを示している。図10Bに示されているように、結果の分解能を改善するためにlog10スケールを用いた。 ヒトC型レクチン様分子1(CLL-1)の細胞外ドメインと特異的に結合する単離された抗体であって、ヒトCLL-1のC-レクチンドメインおよびストークドメインからなるポリペプチドよりも少なくとも5倍の高さのKdで、ヒトCLL-1のC-レクチンドメインからなるポリペプチドと結合する、単離された抗体。 ヒトまたはカニクイザルのCLL-1と1000pMまたはそれ未満のKdで結合する、請求項1記載の単離された抗体。 AMLの個体由来の急性骨髄性白血病(AML)細胞の試料中の細胞の少なくとも50%と結合する、請求項1記載の単離された抗体。 静止状態のCLL-1発現細胞と結合する、請求項1記載の単離された抗体。 以下のものからなる群より選択される、請求項1記載の単離された抗体: SEQ ID NO:51、59および67の重鎖相補性決定領域(CDR)と、SEQ ID NO:75、83および91の軽鎖CDRとを含む抗体; SEQ ID NO:52、60および68の重鎖CDRと、SEQ ID NO:76、84および92の軽鎖CDRとを含む抗体;および SEQ ID NO:53、61および69の重鎖CDRと、SEQ ID NO:77、85および93の軽鎖CDRとを含む抗体。 ヒト化されている、請求項1記載の単離された抗体。 Fv抗体フラグメントである、請求項1記載の単離された抗体。 治療用化合物と結合されている、請求項1記載の単離された抗体。 検出用部分と結合されている、請求項1記載の単離された抗体。 細胞がC型レクチン様分子1(CLL-1)を発現するか否かを判定する方法であって、以下の段階を含む、方法: 請求項9記載の抗体を細胞と接触させる段階;および 抗体の細胞との結合を検出する段階であって、抗体の細胞との結合によって細胞がCLL-1を発現することが示される、段階;および 細胞がCLL-1を発現するか否かを判定する段階。 細胞が、造血細胞を含む個体由来の生物試料中にある、請求項10記載の方法。 細胞がCD34またはCD38を発現するか否かを判定する段階をさらに含む、請求項10記載の方法。 C型レクチン様分子1(CLL-1)を発現する細胞の生存を阻害するための方法であって、以下の段階を含む、方法: 請求項1記載の抗体を細胞と接触させる段階であって、それによって細胞の生存を阻害する、段階。 接触させる段階が、抗体を個体に投与することを含み、細胞が個体内にある、請求項13記載の方法。 個体が骨髄増殖性障害と診断されている、請求項13記載の方法。 骨髄増殖性障害が、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄異形成症候群(MDS)、多発性骨髄腫、形質細胞腫、および骨髄線維症からなる群より選択される、請求項13記載の方法。 請求項1記載の単離された抗体と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物。 個体における骨髄増殖性障害を治療する方法であって、以下の段階を含む、方法: 個体に対して請求項17記載の薬学的組成物を投与する段階であって、それによって個体におけるAMLを治療する、段階。 抗体が治療用化合物と結合されている、請求項18記載の方法。 個体が骨髄増殖性障害と診断されているか、または骨髄増殖性障害に対する治療法を受けたことがある、請求項18記載の方法。 骨髄増殖性障害が、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄異形成症候群(MDS)、多発性骨髄腫、形質細胞腫、および骨髄線維症からなる群より選択される、請求項18記載の方法。 以下のものからなる群より選択される、ヒトC型レクチン様分子1(CLL-1)と結合する単離された抗体: SEQ ID NO:51、59および67の重鎖相補性決定領域(CDR)と、SEQ ID NO:75、83および91の軽鎖CDRとを含む抗体; SEQ ID NO:52、60および68の重鎖CDRと、SEQ ID NO:76、84および92の軽鎖CDRとを含む抗体;および SEQ ID NO:53、61および69の重鎖CDRと、SEQ ID NO:77、85および93の軽鎖CDRとを含む抗体。 本明細書では、AML患者試料由来のCLL-1発現性初代細胞と高率に結合する、CLL-1に対して特異的な抗体(「CLL-1抗体」)を提供する。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、ヒトCLL-1の細胞外ドメインと、10nMまたはそれ未満のKdで特異的に結合する。いくつかの態様において、CLL-1抗体は、カニクイザルCLL-1と、100ηM、10ηM、1nM、100pMまたはそれ未満のKdで結合する。例えば、いくつかの態様において、カニクイザルCLL-1とヒトCLL-1は、CLL-1抗体に対する結合をめぐって競合する。当業者は、より高い親和性結合が、より低いKd(結合のために必要な抗体標的の濃度がより低い)として表現されることを理解するであろう。いくつかの態様において、CLL-1抗体は二重特異性抗体の一部である。いくつかの態様において、CLL-1抗体はサイトトキシンと連結されている。 配列表


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