生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_網膜変性の処置のための組成物及び方法
出願番号:2014558143
年次:2015
IPC分類:A61K 45/06,A61K 31/19,A61K 38/00,A61P 27/02,A61P 43/00,A61K 31/7088,A61K 31/165,A61K 33/00,A61K 31/26,C12N 15/09,C12N 15/113,C12N 9/48,C12N 9/99


特許情報キャッシュ

マリオン,ヴァンサン メッケル,アナイス ドルフス,エレーヌ JP 2015513539 公表特許公報(A) 20150514 2014558143 20130225 網膜変性の処置のための組成物及び方法 ユニヴェルシテ・ドゥ・ストラスブール 500262120 UNIVERSITE DE STRASBOURG 特許業務法人 津国 110001508 津国 肇 100078662 三宅 俊男 100116528 柴田 明夫 100146031 小國 泰弘 100122736 田中 洋子 100122747 生川 芳徳 100132540 森田 慶子 100133651 マリオン,ヴァンサン メッケル,アナイス ドルフス,エレーヌ US 61/602,863 20120224 A61K 45/06 20060101AFI20150417BHJP A61K 31/19 20060101ALI20150417BHJP A61K 38/00 20060101ALI20150417BHJP A61P 27/02 20060101ALI20150417BHJP A61P 43/00 20060101ALI20150417BHJP A61K 31/7088 20060101ALI20150417BHJP A61K 31/165 20060101ALI20150417BHJP A61K 33/00 20060101ALI20150417BHJP A61K 31/26 20060101ALI20150417BHJP C12N 15/09 20060101ALN20150417BHJP C12N 15/113 20100101ALN20150417BHJP C12N 9/48 20060101ALN20150417BHJP C12N 9/99 20060101ALN20150417BHJP JPA61K45/06A61K31/19A61K37/02A61P27/02A61P43/00 111A61P43/00 121A61K31/7088A61K31/165A61K33/00A61K31/26C12N15/00 AC12N15/00 GC12N9/48C12N9/99 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC EP2013053724 20130225 WO2013124484 20130829 51 20141020 4B024 4B050 4C084 4C086 4C206 4B024AA01 4B024CA11 4B024GA11 4B024HA17 4B050CC07 4B050DD11 4B050GG02 4B050KK11 4B050LL01 4C084AA18 4C084AA24 4C084BA01 4C084BA16 4C084BA31 4C084CA59 4C084DC32 4C084MA02 4C084MA17 4C084MA23 4C084MA35 4C084MA37 4C084MA41 4C084MA43 4C084MA44 4C084MA52 4C084MA55 4C084MA57 4C084MA58 4C084MA60 4C084MA63 4C084MA66 4C084NA05 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この網膜変性機構は、孤立性の網膜色素変性症(例えばレーバー先天性黒内障及びX連鎖網膜色素変性症など)あるいは、また、バルデ・ビードル症候群(BBS)又はアルストレーム症候群(ALMS)などの症候性状態のいずれかにおいて観察され、両方の象徴的な繊毛病が網膜色素変性症により中核的に特徴付けられる。暗示されうる全ての生物学的プロセスの間で、結合繊毛の機能における欠損が、網膜色素変性症の全ての症例の20%超を占め、それは、一般的な病態機構について全般的に非常に高い率である。 遺伝性網膜ジストロフィーのための処置は、過去10年間において定期的なスピードで前進してきた。しかし、現在、利用可能な治癒的アプローチ及び、実際に視力を保持するために役立つ又は少なくとも網膜欠損を遅らせる満足な姑息的アプローチはない。処置では、主に、症状(着色眼鏡、低視力補助・・・)を低下させ、合併症(白内障手術、嚢胞様黄斑浮腫・・・)を防止することに焦点を合わせる。 今日まで、たくさんの試験又は治験が宣言されており、現在、種々のアプローチ(薬理学的、組織工学、遺伝子治療、又は補綴装置)を使用して進行中である。遺伝子治療は、今日まで、最も先端的な分野の1つである。なぜなら、治験が、現在、特に、最も象徴的なRPE65遺伝子治療プロジェクトについて、種々の国においてヒトで実施されているからである。高い遺伝的異質性及び網膜色素変性症に含まれる複数の生物学的経路のため、処置を見出すための戦略の多様性が、妥当なままである。繊毛病に関連する網膜変性についてのいくつかの遺伝子治療プロジェクトが、現在、着手されている:イヌにおけるRPGR(Beltran et al., 2011)及びマウスにおけるBBS4(Simons et al., 2011)。 しかし、網膜変性は、大半の場合において、小児期において非常に早期に生じ、早期遺伝子治療の注射は、非常に若い子供において急性であることが公知である炎症反応の観点で危険でありうる。したがって、種々の繊毛病において光受容体細胞を保存し、遺伝子治療の使用を延期するために、網膜変性を遅らせることができうる薬理学的処置についての有意な必要性がある。発明の概要 網膜繊毛病は、遺伝性疾患のクラスを表し、それにおいて、光受容体の結合繊毛は欠損している。遺伝的由来のこの欠損は、生合成的に活性な内節と光感受性の外節の間での効率的なタンパク質輸送を妨げる。この繊毛渋滞は、光受容体の内節におけるタンパク質蓄積に起因する小胞体(ER)ストレスを誘導することが報告されている(Lin et al., 2007; Yang et al., 2007)。ERストレスが協調応答経路を誘導する:アンフォールドタンパク質応答(UPR)(Griciuc et al., 2011; Walter and Ron, 2011)。UPRは、2つのバランスの取れた応答(保護応答及びアポトーシス応答)の活性化により、タンパク質フォールディングストレスを検出及び管理する。 網膜において、光受容体細胞は、光伝達の最初の工程に関与している。それは、結合繊毛として公知である修飾された一次繊毛により連結された、生合成的に活性な内節及び光感受性の外節で構成されている。繊毛機能障害に関連する網膜変性は、孤立した特徴又は症候群、例えばバルデ・ビードル症候群(BBS)などの部分でありうる。 本発明者らは、本明細書において、BBSモデルにおける繊毛欠損が、内節におけるタンパク質蓄積に起因する小胞体ストレスを介した光受容体アポトーシスを誘導したことを示している。一度、誘発された経路が明確に同定され、本発明者らは、アンフォールドタンパク質応答の調節の治療戦略を開発した。本発明者らは、アポトーシスに対する光受容体の保護を達成しており、Bbs12-/-マウスにおいて網膜の機能を維持している。本発明者らは、本明細書において、ERストレス調節薬物を使用して、BBSのマウスモデルにおいて網膜変性の減速についての原理の証明を報告している。これらの薬物、即ち、eIF2αの阻害剤、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、ならびにカスパーゼ12の阻害剤は、別々にテストした場合、多少の効果を示しているが、2つ又は3つの分子の組み合わせが、アポトーシスを防止する際にはるかにより効果的であることが証明されている。顕著には、これらの薬物の組み合わせは、また、本発明者らがインビボモデルに投与される用量を低下させることを許しており、最大限にまで、任意の可能性のある副作用を限定する。 したがって、第1の局面において、本発明は、eIF2αの阻害剤、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、ならびに医薬的に許容可能な担体及び/又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。 eIF2−αの阻害剤は、グアナベンズ、トートマイシン、トートマイセチン、カリクリンA、サルブリナル、PP1/GADD34複合体の形成を阻害する化合物、及びPP1又はGADD34発現に特異的に干渉する核酸分子からなる群より選択してもよい。 好ましくは、eIF2−αの阻害剤は、GADD34の阻害剤であり、より好ましくは、eIF2−αの阻害剤は、グアナベンズである。 タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物は、バルプロ酸又はその誘導体、トリコスタチンA、リチウム、1−(3,4−ジヒドロキシ−フェニル)−2−チオシアネート−エタノン、及びエキセンディン4からなる群より選択されうる。 好ましくは、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物は、バルプロ酸又はその誘導体(例えば2−エン−バルプロ酸など)であり、より好ましくは、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物は、バルプロ酸である。 本発明に従った医薬組成物は、好ましくは、カスパーゼ12の触媒部位を標的とするペプチド、プロカスパーゼ12の切断を防止するペプチド、及びカスパーゼ12発現に特異的に干渉する核酸分子からなる群より選択される、カスパーゼ12の阻害剤をさらに含みうる。特に、カスパーゼ12の阻害剤は、カスパーゼ12の触媒部位を標的とするペプチドでありうる、好ましくは、式Ala−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンのペプチドである。 本発明に従った医薬組成物は、好ましくは、化学療法薬剤、コルチコステロイド、抗生物質、鎮痛剤、アルファ−アドレナリン遮断薬、アルファ−アドレナリン作動薬、ベータ−アドレナリン作動薬、抗コリン作用薬、5アルファ還元酵素の阻害剤、アンドロゲン、免疫調節剤、免疫抑制剤、抗血管新生剤(例えば抗VEGF、抗FGF、抗HGF、及び抗EFGなど)、ロイコトリエン修飾剤、アミノサリチル酸、麻酔薬、非ステロイド性抗炎症剤、抗寄生虫、可溶化インターロイキン受容体の治療、細胞傷害剤、酸化防止剤、及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、少なくとも1つの追加の治療的薬剤をさらに含みうる。 本発明は、また、薬物としての使用のための、特に、繊毛機能障害に関連する網膜変性の処置における使用のための、本発明に従った医薬組成物に関する。 繊毛機能障害に関連する網膜変性は、バルデ・ビードル症候群、シニア−ローケン症候群、ジュベール症候群、サルディーノマインツァー症候群、センセンブレナー症候群、ジュンヌ症候群、メッケル−グルーバー症候群、アルストレーム症候群、MORM症候群、繊毛遺伝子中の変異により起こされるレーバー先天性黒内障、及びRPGR遺伝子中の変異により起こされるX連鎖網膜色素変性症からなる群より選択される繊毛病により誘導されうる。 本発明は、また、カスパーゼ12の阻害剤との組み合わせにおいて使用される、eIF2αの阻害剤、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、ならびに医薬的に許容可能な担体及び/又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。 本発明は、さらに、繊毛機能障害に関連する網膜変性の処置における同時、別々、又は連続使用のための組み合わせた製剤として、eIF2αの阻害剤ならびにタンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、ならびに、場合により、カスパーゼ12の阻害剤を含む生成物に関する。 特に、生成物は、eIF2αの阻害剤、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、ならびにカスパーゼ12の阻害剤を含みうる。 好ましくは、eIF2αの阻害剤はグアナベンズであり、ならびに/あるいはタンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物はバルプロ酸であり、ならびに/あるいはカスパーゼ12の阻害剤はペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンである。 好ましくは、本発明に従った医薬組成物又は生成物は、局所、経口、皮内、非経口、及び/又は眼内投与のために適する。より好ましくは、本発明に従った医薬組成物又は生成物は、眼投与のために、好ましくは局所眼又は眼周囲投与のために適する。網膜外植片におけるBbs12枯渇は、光受容体の異形を誘導する。(a)shCtl及びshBbs12処置された外植片におけるBbs12の発現分析(n=3)。shCtl、対照shRNA;shBbs12Bbs12-/-shRNA。*,p<0.01(b)shCtl及びshBbs12処置された外植片におけるBBS12タンパク質レベル。BBS12及び負荷対照としてのβチューブリンの免疫検出。(c)処置された外植片のトルイジンブルー染色切片。スケールバー50μm。INL、内顆粒層(d)shCtl処置された(上パネル)及びshBbs12処置された(下パネル)外植片の光受容体OS及び結合繊毛(CC)を示す透過電子顕微鏡写真。スケールバー、500nm。(e)処置された外植片におけるアグルチニンを使用したDAPI及びOS対比染色を伴うロドプシンの免疫染色。スケールバー、15μm。(e)shCtl及びshBbs12処置された外植片における暗(左パネル)及び明(右パネル)条件におけるアレスチンの免疫染色;漫画は、両方の条件におけるアレスチンの予測される局在化を表す。スケールバー15μm。Bbs12枯渇した外植片は、ERストレスを提示する。(a)shCtl及びshBbs12処置された外植片のTUNELアッセイ。感染後72時間;緑色及びDAPI対比染色において標識されたアポトーシス核。スケールバー、25μm対応するアポトーシスレベルについては、図8を参照のこと。(b)shCtl及びshBbs12処置された外植片におけるカスパーゼ3、6、7、9、12、Bip、及びChop10の発現分析(n=3)。*P<0.01。(c)Xbp1の長い(非ストレス)及び短い(アンフォールドタンパク質応答関連)アイソフォームの両方のRT−PCR。(d)リン酸化及び全eIF2α含量のウエスタンブロット分析、示したshRNA処置された外植片におけるCHOP10及びBiP。負荷対照及び定量化については、図8を参照のこと。(e)shCtl、shBbs12、shPerk、又はshBbs12+shPerk処置された外植片におけるTUNELアッセイ。スケールバー、25μm。対応するアポトーシスレベル及びPerkノックダウン検証については、図8を参照のこと。(f)shBbs12及びshPerk処置された外植片におけるカスパーゼ12、Bip、及びChop10の発現分析。スケールバー25μm。**P<0.05。薬理学的処置は、Bbs12枯渇した外植片においてERストレスを低下させる。(a)shCtl及びshBbs12外植片でのVPA又はGBZ又はINH又はGIV処置のアポトーシスレベルに対する効果(ONLにおけるTUNEL陽性核/DAPIとしてカウント)。*,p<0.01。(b)示したshRNA処置された外植片におけるpeIF2α、eIF2αtot、CHOP10、及びBiPの免疫検出。(c−e)示したshRNA処置された外植片におけるpeIF2α/tot、CHOP10、及びBiPレベルの定量化。**,p<0.05。(f)標的とタンパク質及びアポトーシスレベルに対する異なる処置の効果を要約した表(%_S.E.)。VPA 0.2mM_GBZ 2.5μM処置された外植片については、図16を参照のこと。Bbs12-/-マウスは、網膜変性を有する。(a)Bbs12+/+(左パネル)及びBbs12-/-(右パネル)網膜のトルイジンブルー染色切片ならびにOSのMET写真;グラフは、4週齢でのBbs12+/+及びBbs12-/-マウスのONL厚の測定値を表す(n=6)。*P<0.002(b)10週齢のBbs12+/+(左パネル)ならびに4週齢(中央パネル)及び10週齢(右パネル)でのBbs12-/-マウスの代表的な暗順応ERG記録。(c)Bbs12+/+及びBbs12-/-網膜におけるDAPI共染色を伴う及び伴わないロドプシンの免疫染色、赤色で囲ったER嚢を伴う両方の遺伝子型におけるISのMET分析(右パネル)。(d)Bbs12+/+及びBbs12-/-網膜におけるカスパーゼ3、6、7、12、Bip、及びChop10の発現分析(n=3)。スケールバー20μm。ERストレス処置は、Bbs12-/-視覚機能を回復する。未処置ならびにGIV又はVPA又はGBZ処置Bbs12+/+及びBbs12-/-動物の比較:(a)暗順応ERG記録。(b)1cd.s/m2暗順応ERGでのa波振幅(n=12)。*P<0.001(c)1cd.s/m2暗順応ERGでのb波振幅(n=12)。**P<0.05(d)DAPI共染色を伴うアセチル化αチューブリンの免疫染色(e)測定したONL長(n=6)。*P<0.01(f)リン酸化及び全eIF2α含量ならびにBiPのウエスタンブロット分析。スケールバー10μm。提案された機構。Bbs12-/-網膜において、ICTは十分に効率的ではなく、ISにおけるタンパク質蓄積に導く。タンパク質の過負荷は、UPRを誘導する:分子シャペロニンBiPは凝集タンパク質を感知し、eIF2αキナーゼPERKを活性化する。eIF2αリン酸化は、ERストレス応答カスケードを誘導する。恒常性が再構築されない場合、プロアポトーシス応答が促され、カスパーゼ12活性化を介してアポトーシスに導く。本発明者らは、BiP含量を増加させるためのVPA、eIF2αホスファターゼGADD34を阻害するためのGBZ、及びカスパーゼ12活性を阻害するためのINHを使用して、成功裏にERストレスを調節した。これらの相乗的な処置は、Bbs12-/-マウスにおいて光受容体アポトーシスを低下させる。網膜外植片培養における光受容体の完全性。(a)トルイジンブルー染色(左パネル)、DAPI共染色を伴うロドプシンの免疫染色(中央パネル)。4日間にわたり培養した網膜外植片切片におけるDAPI共染色を伴うアセチル化αチューブリンの免疫染色(右パネル)。(b)shCtl及びshBbs12処置された外植片における負荷対照タンパク質レベルとしてのBBS12及びβチューブリン。スケールバー5μm。Bbs12枯渇した外植片は、PERKにより媒介されるERストレスを提示する。(a)shCtl及びshBbs12処置された外植片におけるアポトーシス率(n=3)。*P<0.001(b−c)網膜外植片におけるBbs12及びPerkの相乗的な枯渇:(b)アポトーシス率(n=3)。**P<0.02(c)Perk mRNA発現(n=3)。**P<0.05(d)shCtl及びshBbs12処置された外植片のウエスタンブロットのための負荷対照としてのポンソー染色。(e)対応するタンパク質定量化(免疫ブロッティングシグナルの強度/ポンソー染色の強度として算出、n=3)。***P<0.05。HRIは、Bbs12枯渇により誘導されない。網膜外植片におけるBbs12及びHriの相乗的な枯渇:(a)Hri mRNA発現(n=3)。*P<0.03(b)アポトーシス率(n=3)、(c)TUNELアッセイ、(d)カスパーゼ12、Bip、及びChop10の発現分析(n=3)。スケールバー25μm。網膜外植片におけるERストレス処置についてのTUNELアッセイ。処置を伴わない(a)、VPA処置を伴う(b)、GBZ処置を伴う、(c)INH処置を伴う、shCtl及びshBbs12処置された外植片におけるTUNELアッセイ。スケールバー25μm。網膜外植片におけるERストレス処置についてのウエスタンブロット分析。(a)VPAを添加した、shCtl及びshBbs12処置された外植片のウエスタンブロットのための負荷対照としてのポンソー染色。(b)対応するタンパク質の定量化(n=3)。*P<0.05、**P<0.05、***P<0.1(c)GBZを添加した、shCtl及びshBbs12処置された外植片のウエスタンブロットのための負荷対照としてのポンソー染色。(d)対応するタンパク質の定量化(n=3)。*P<0.05、***P<0.05。Bbs12-/-網膜におけるアレスチン局在化。Bbs12+/+及びBbs12-/-光受容体におけるDAPI共染色を伴うアレスチンの免疫染色。スケールバー20μm。動物におけるERストレス処置の分析。(a)VPA、GBZ、GIV、又は無処置を受けたマウスからのBbs12+/+及びBbs12-/-網膜でのウエスタンブロットのための負荷対照としてのポンソー染色。(b)対応するタンパク質の定量化(n=3)。*P<0.01、**P<0.05(c)VPA、GBZ、GIV、又は無処置を受けたマウスからのBbs12+/+及びBbs12-/-網膜のヘマトキシリン・エオシン染色。Bbs12-/-網膜におけるアポトーシス動態。出生後10、12、14日目でのBbs12+/+及びBbs12-/-網膜におけるTUNELアッセイ、スケールバー25μm。肝機能に対する全身薬物処置の影響。DMSO 0.003%(CTL)又はVPA又はGBZのいずれかを用いて10週間にわたり処置したwt動物の血漿含量の分析:(a)アミノ酸濃度(グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、ヒスチジン、グリシン、スレオニン、システイン、アルギニン、アラニン、チロシン、バリン、メチオニン、イソロイシン、フェニルアラニン、オルニチン、ロイシン、トリプトファン、リジン、及び分岐鎖アミノ酸)(b)全アミノ酸濃度(c)尿素クリアランス速度に比例した、標識尿素の2時間の灌流後での非標識尿素濃度。*P<0.05。網膜外植片におけるGV処置。(A)GV処置を受けたshCtl及びshBbs12外植片におけるTUNELアッセイ(スケールバー:20mm)。(B)示された処置された外植片のアポトーシスレベル。(C)GVを用いて添加された又はされていない、示したshRNA処置された外植片におけるBiP、peIF2α、eIF2αtot、及びCHOP10の免疫検出。(D)タンパク質定量化、同じゲル上に負荷した未処置網膜を、標準として使用した。(E)処置された外植片のウエスタンブロッティングのための負荷対照としてのポンソー染色。GV:GBZ 2,5μM + VPA 0.2mM。UPRの薬理学的調節は、Bbs12-/-網膜における光受容体喪失を防止した。(A)4週齢での示された処置及び遺伝子型を伴う動物の暗順応a波振幅対刺激強度(対数)関数(n=12)。*,p<0.05。(B)示された動物の暗順応b波振幅対刺激強度(対数)関数(n=12)。**,p<0.05。動物を、2週間にわたり、GIVin(局所GBZ 7,5μM + 局所INH 500μM + 全身VPA 5mg/ml)を用いて処置した。未処置動物と比較した、sVPA、sGBZ、又はGIVinを受けた動物からのBbs12-/-網膜におけるUPR関連標的レベル、ONL長(mm±SEM)及び厚さ、ならびに「a及びb波」振幅(1cd*s/m2でのμV±SEM)の比較。sVPA:全身バルプロ酸5mg/ml;sGBZ:全身グアナベンズ50μM;GIVin:局所GBZ 7,5μM + 局所INH 500μM + 全身VPA 5mg/ml。発明の詳細な説明 世界中で網膜色素変性症(RP)は、遺伝的に決定された失明の最もよく見られる原因である。バルデ・ビードル症候群(BBS、OMIM290900)は、光受容細胞喪失に起因する症候性RPを含む遺伝性疾患である。BBSは、RPの早期発症、多指症、肥満、腎機能障害、性機能低下、及び認知障害により特徴付けられる(Mockel et al., 2011)。BBSは、現在までに同定された少なくとも17の遺伝子を伴う異種状態である:BBS1からBBS17。全てのBBS遺伝子は、繊毛生合成及び/又は機能に関連している(Fliegauf et al., 2007)。機能的には、7つのBBSタンパク質(BBS1、2、4、5、7、8、及び9)が、繊毛膜への小胞輸送において含まれるBBSomeと名付けられた安定な複合体を形成している(Nachry et al., 2007)。BBS6、10、及び12(シャペロニン様BBSタンパク質)を含むシャペロニン複合体は、BBSome組み立てを媒介する(Seo et al., 2010)。光受容体の結合繊毛(CC)は、修飾された一次繊毛である。それは、生合成的に活性な内節(IS)を、光感受性の外節(OS)へ連結する。結合繊毛は外節の成長及び維持のために必須である。なぜなら、OSにおいて必要とされる機能及び構造タンパク質のための唯一の輸送通路であるからである。 BBSノックアウトマウスモデルが、いくつかのBBS遺伝子について生成されている(Bbs1M380R/M380R、Bbs2-/-、Bbs3L-/-、Bbs4-/-、及びBbs6-/-)(Fath et al., 2005; Nishimura et al., 2004; Mykytyn et al., 2004; Davis et al., 2007; Pretorius et al., 2010)。出生時、全ての変異マウスが、正確な網膜積層及び正確な光受容体発生(結合繊毛及び外節形成を含む)を提示する。その正確な発生にもかかわらず、外節は持続することができない。なぜなら、これらのマウスが、OS分解及び光受容体細胞死を提示するからである。興味深いことに、Bbs1M380R/M380R、Bbs2-/-、Bbs4-/-、及びBbs6-/-マウスは、外核層(ONL)中及び内節中でのロドプシン蓄積を有する。Bbs4-/-マウスは、アレスチン及びトランスデューシンの両方の光依存的輸送における欠損を有する(Abd-El-Barr et al., 2007)。これは、BBSタンパク質を、小胞輸送だけでなく、少なくとも光受容体中の繊毛内輸送(ICT)にも直接的に連結する。結合繊毛に沿って輸送される最も重要なタンパク質の1つは、ロドプシンである。内節中でのそのミスフォールディング及び蓄積を誘導するロドプシン遺伝子における一部の変異は、光受容体アポトーシスに導く。ミスフォールドされたロドプシンの蓄積は、最近、小胞体(ER)ストレスを介して細胞死を誘導することが示された(Tam et al., 2006)。後者は、アンフォールドタンパク質応答(UPR)と呼ばれる協調応答経路を誘導する(Griciuc et al., 2011)。UPRは、2つのバランスのとれた応答(保護応答及びアポトーシス応答)を活性化することにより、タンパク質フォールディングストレスを検出及び管理する。ER中でのアンフォールドタンパク質の蓄積は、その嚢拡張及び分子シャペロンによる凝集タンパク質の検出に導く。結合免疫グロブリン重鎖タンパク質(BiP)は、ER常在性シャペロンであり、ERストレスのセンサーである(Kosmaoglou et al., 2008)。それが働き、タンパク質のフォールディングを回復する。BiPは、また、真核生物の開始因子2アルファ(eIF2α)キナーゼ:PRKR様小胞体キナーゼ(PERK)を活性化する。この工程は、UPRの適応応答の一部を形成し、それは、ER中のタンパク質負荷を軽減するために、キャップ依存性タンパク質合成の低下をもたらす。実際に、それは、適応応答を媒介するための代替の転写及び翻訳経路の活性化を許す。1つの重要な転写因子はXbp1である。ERストレスは、転写因子C/EBP相同タンパク質(Chop10)を含むUPR応答に含まれる遺伝子のセットの転写に関与している、その短いアイソフォームの発現に導くXBP1の選択的スプライシングを誘導する。Chop10は、アポトーシス経路と保護経路の間でのバランスのために重要である。恒常性が再確立されていない場合、プロアポトーシス応答が促され、カスパーゼ12を介してアポトーシスに導く。それは、ERに位置付けられ、カスパーゼカスケードが要求される場合に特異的に活性化される(Yang et al., 2007)。長期のERストレス時でのその活性化は、エフェクターカスパーゼの活性化を誘導する:カスパーゼ3、6、及び7。 ERストレス調節は、誘発された経路が明確に同定されることを条件として、網膜変性において出現する治療的選択肢でありうる。本発明者らは、本明細書において、Bbs12枯渇網膜外植片及びBbs12-/-マウスモデルを使用して、最終的に光受容体の死に導く、UPRにおけるシグナル伝達カスケードを検討した。次に、本発明者らは、UPR調節の治療戦略を開発した。本発明者らは、アポトーシスに対する光受容体細胞の保護を達成し、BBS誘導性の網膜変性において網膜の機能を維持した。 本発明者らは、このように、本明細書において、これらの光受容体のアポトーシスを防止するために、光受容体においてUPRを薬理学的に調節することが可能であることを実証している。本発明者らは、アンフォールドタンパク質応答に関与するシグナル伝達カスケードを検討し、網膜繊毛病を処置するための治療戦略を開発するための3つの主な標的、即ち、GADD34、BiP、及びカスパーゼ12を強調してきた。 タンパク質ホスファターゼ1調節サブユニット15A又はPPP1R15A(遺伝子ID:23645)とも名付けられるGADD34は、真核生物の開始因子2α(eIF2α)ホスファターゼである。この酵素は、タンパク質ホスファターゼ1(PP1)と相互作用し、eIF2αを脱リン酸化し、そして活性化し、このように、CAP依存性タンパク質翻訳を調節する。 BiP(結合免疫グロブリン重鎖タンパク質)は、また、熱ショック70kDaタンパク質5、HSPA5、MIF2、又はGRP78(遺伝子ID:3309)と名付けられ、ERの内腔において局在化する分子シャペロンである。その機能は、新生タンパク質を隔離し、タンパク質のフォールディングを回復し、eIF2αキナーゼを活性化することである。 カスパーゼ12は、また、CASP−12(遺伝子ID:100506742)と名付けられ、ERストレスにより特異的に活性化されるシステインプロテアーゼであり、アポトーシスの最終工程を開始するエフェクターカスパーゼのための誘因として作用している。 本発明は、このように、モジュレーター、又は、細胞の恒常性を維持し、細胞死を防止し、網膜の光検出能力を保持するための、上に記載する通りの特定のUPRアクターについての2つ又は3つのモジュレーターの組み合わせを使用することにある。 したがって、第1の局面において、本発明は、eIF2αの阻害剤ならびに/あるいはタンパク質BIPの発現及び/又は活性を増加させる化合物ならびに/あるいはカスパーゼ12の阻害剤を含む医薬組成物に関する。 好ましくは、医薬組成物は、eIF2αの阻害剤ならびに/あるいはタンパク質BIPの発現及び/又は活性を増加させる化合物ならびに/あるいはカスパーゼ12の阻害剤からなる群より選択される少なくとも2つの化合物を含む。 好ましい実施態様において、医薬組成物は、eIF2αの阻害剤ならびにタンパク質BIPの発現及び/又は活性を増加させる化合物を含む。 本明細書において使用する通り、用語「阻害剤」は、タンパク質の活性又は発現を阻害又は低下する化合物、あるいは、前記タンパク質の活性化を防止する化合物を指す。 用語「eIF2α阻害剤」は、本明細書において使用する通り、翻訳開始因子eIF2αの活性又はその発現を阻害又は低下する化合物、あるいは、eIF2αの活性化を防止する(例えば、その脱リン酸化を低下又は遮断することによる)化合物を指す。eIF2α阻害剤の活性は、当技術分野において公知の任意の方法により簡単にアッセイすることができる。例えば、阻害活性は、eIF2αの活性及び不活性形態の量の測定を通じてアッセイすることができる。eIF2αの活性及び不活性形態の量を、免疫学的方法を使用して、特に、実験セクションにおいて詳述する通り、eIF2α及びeIF2αのリン酸化形態に特異的な商業的な抗体を使用して、決定しうる。 実施態様において、eIF2α阻害剤は、eIF2αの活性化を防止する化合物である。eIF2αの活性化は、その脱リン酸化を、低下又は遮断することにより防止されうる。特に、化合物は、タンパク質ホスファターゼ1(PP1)の触媒サブユニットの阻害剤、GADD34の阻害剤、又はPP1/GADD34複合体の阻害剤でありうる。 PP1の触媒サブユニットの阻害剤の例は、しかし、限定しないが、トートマイシン、トートマイセチン(Mitsuhashi et al., 2003)、カリクリンA、及びPP1発現に特異的に干渉する核酸分子を含む。 GADD34の阻害剤の例は、しかし、限定しないが、グアナベンズ(Tsaytler et al., 2011)及びGADD34発現に特異的に干渉する核酸分子を含む。特に、GADD34の活性は、グアナベンズ(GBZ)により抑制又は阻害することができる。 PP1/GADD34複合体の阻害剤の例は、しかし、限定しないが、サルブリナル及び化合物、例えば、PP1/GADD34複合体の形成を阻害するペプチド、即ち、GADD34と競合し、PP1と複合体を形成し、それにより、前記複合体を非機能的にすることができる化合物を含む。そのような化合物は、例えば、国際特許出願WO2008/028965に記載されている。 このように、特定の実施態様において、eIF2α阻害剤は、eIF2αの活性化を防止し、グアナベンズ、トートマイシン、トートマイセチン、カリクリンA、サルブリナル、PP1/GADD34複合体の形成を阻害する化合物、及びPP1又はGADD34発現に特異的に干渉する核酸分子からなる群より選択される化合物である。 好ましい実施態様において、eIF2α阻害剤は、GADD34の阻害剤である。より好ましくは、eIF2α阻害剤はグアナベンズである。グアナベンズ(CAS番号5051−62−7)は、現在、抗高血圧薬物として使用されているアルファ2選択的アドレナリン作動薬である。 本発明において使用する通り、「PP1又はGADD34発現に特異的に干渉する核酸分子」は、PP1又はGADD34についてコードする遺伝子の発現を、特異的な方法で、低下又は抑制することができる核酸分子である。干渉核酸は、好ましくは、RNAi、アンチセンス、及びリボザイム分子からなる群より選択される。 特に、用語「RNAi分子」は、標的とするタンパク質の発現を下方制御することが可能である任意のRNAを指す。それは、小さな干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、一本鎖RNA(ssRNA)、マイクロRNA(miRNA)、及びショートヘアピンRNA(shRNA)分子を包含する。 アンチセンス核酸分子は、標的とするポリペプチドをコードするセンス核酸の全て又は一部に相補的でありうる、例えば、二本鎖cDNA分子のコード鎖と相補的又はmRNA配列と相補的でありうるが、それは、標的mRNAの翻訳に干渉すると考えられる。RNAi及びアンチセンス分子を設計、産生、及び投与するための方法が、当業者に周知である。 リボザイムはリボヌクレアーゼ活性を伴う触媒的RNA分子であり、それらは相補的領域を有する一本鎖核酸(例えばmRNAなど)を切断することが可能である。このように、リボザイムを使用して、mRNA転写物を触媒的に切断し、それによりmRNAによりコードされるタンパク質の翻訳を阻害することができる。標的について特異的なリボザイム分子が、当技術分野に一般に公知の方法により、設計、産生、及び投与することができる。 タンパク質BIPの発現及び/又は活性を増加させる化合物は、バルプロ酸又はその誘導体、例えば2−エン−バルプロ酸、トリコスタチンA(Shi et al., 2007)、リチウム(Hiroi et al., 2005)、1−(3,4−ジヒドロキシ−フェニル)−2−チオシアネート−エタノン(Kudo et al., 2008)、及びエキセンディン4(Cunha et al., 2009)からなる群より選択されうる。 好ましくは、前記化合物は、タンパク質BIPの発現及び活性を増加させる。BiPの発現及び活性を、例えば、実験セクションにおいて実証する通りに、バルプロ酸(VPA)により増加させることができる。このように、好ましい実施態様において、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物は、バルプロ酸又はその誘導体である。特に、誘導体は、2−エン−バルプロ酸でありうる。好ましくは、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物は、バルプロ酸である。バルプロ酸(CAS番号99−66−1)は、現在、てんかんの処置において使用される抗痙攣特性を伴う脂肪酸である。バルプロ酸は、典型的には、ナトリウム塩の形態で供給される。 GADD34及びカスパーゼ12の酵素活性の抑制の効果を、BiP遺伝子発現及びそのタンパク質活性の上方調節と組み合わせることにより、本発明者らは、光受容体アポトーシスの細胞死における有意な低下を達成し、それにより、症候性の網膜繊毛病、バルデ・ビードル症候群(BBS)のモデルにおいて網膜の光検出能力を維持している。 このように、実施態様において、本発明の医薬組成物は、好ましくは、eIF2αの阻害剤ならびに/あるいはタンパク質BIPの発現及び/又は活性を増加させる化合物との組み合わせにおいて、カスパーゼ12の阻害剤を含む。 特定の実施態様において、本発明の医薬組成物は、eIF2αの阻害剤、タンパク質BIPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、ならびにカスパーゼ12の阻害剤を含む。 カスパーゼ12の阻害剤は、酵素の触媒部位を標的とするペプチド、プロカスパーゼ12の切断を防止するペプチド、又はカスパーゼ12発現と特異的に干渉する核酸分子でありうる。 カスパーゼ12発現と特異的に干渉する核酸分子は、カスパーゼ12についてコードする遺伝子の発現を特異的な方法において低下又は抑制することができる核酸分子である。PP1及びGADD34について上に定義する通り、干渉核酸は、好ましくは、RNAi、アンチセンス、及びリボザイム分子からなる群より選択される。特に、核酸分子は、Jiang et al., 2008に記載される通りのリボザイムでありうる。 好ましい実施態様において、カスパーゼ12の活性は、カスパーゼ12酵素の触媒部位を標的とし、式:Ala−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンを有する小さなペプチドにより抑制される。特に、前記ペプチドは、式ベンジルオキシカルボニル−Ala−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンを有しうる。このペプチドは、いくつかの供給業者から商業的に入手可能である。 インビトロでの適用のために、細胞を、eIF2αの活性化を防止する化合物ならびに/あるいはカスパーゼ12の阻害剤ならびに/あるいはタンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物を含む適した培養培地中でインキュベートする。 本発明の医薬組成物を、当業者により公知である標準的な医薬的慣行に従い製剤化する(例、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed.), ed. A. R. Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, 2000 and Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds. J. Swarbrick and J. C. Boylan, 1988-1999, Marcel Dekker, New Yorkを参照のこと)。特に、医薬組成物は、1つ又はいくつかの医薬的に許容可能な賦形剤及び/又は担体を含みうる。 可能な医薬組成物は、眼(眼内、局所眼、又は眼周囲を含む)、経口、直腸、膀胱内、局所(経皮的、バッカル、及び舌下を含む)、又は非経口(皮下、筋肉内、髄腔内、静脈内、及び皮内を含む)投与のために適するものを含む。これらの製剤のために、従来の賦形剤を、当業者により周知の技術に従って使用することができる。 非経口又は眼投与のための組成物は、一般的に、場合により使用直前に固形又は凍結乾燥形態から調製することができる生理学的に適合する無菌溶液あるいは懸濁剤である。アジュバント(例えば局所麻酔剤、保存剤、及び緩衝剤など)を溶媒中に溶解することができ、界面活性剤又は湿潤剤を組成物中に含め、活性成分の均一な分布を促進することができる。 経口投与のために、組成物を、従来の経口投与形態、例えば錠剤、カプセル、粉末、顆粒、及び液体製剤(例えばシロップ、エリキシル、及び濃縮滴剤など)などに製剤化することができる。非毒性固形担体又は希釈剤を使用してもよく、それらは、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、グルコース、ショ糖、マグネシウム、炭酸塩などを含む。圧縮錠剤のために、結合剤(粉末材料に粘着質を与える薬剤である)も必要である。例えば、デンプン、ゼラチン、糖(例えばラクトース又はデキストロースなど)、及び天然又は合成ゴムを結合剤として使用することができる。崩壊剤も、錠剤の分解を促進するために錠剤中に必要である。崩壊剤は、デンプン、粘土、セルロース、アルギン、ゴム、及び架橋ポリマーを含む。さらに、潤滑剤及び滑剤も錠剤中に含められ、製造プロセスにおける表面への錠剤材料の付着を防止し、製造の間での粉末材料の流動特性を改善する。コロイド状二酸化ケイ素が、滑剤として最も一般的に使用される。化合物(例えばタルク又はステアリン酸など)が、潤滑剤として最も一般的に使用される。 特に、投与の適した経路は、局所、経口、皮内、非経口、又は眼内である。特に、グアナベンズ及びバルプロ酸は、経口又は眼内投与してもよく、カスパーゼ12を阻害するペプチドは、眼内投与してもよい。 好ましくは、本発明の医薬組成物は、眼投与のために、特に、眼内、局所、眼、又は眼周囲投与のために、より好ましくは、局所眼又は眼周囲投与のために適している。 本発明の医薬組成物を製剤化し、活性薬物を、実質的に投与直後に又は投与後の任意の所定時間に又は期間に放出させてもよい。 医薬組成物は、医薬的に許容可能な賦形剤及び/又は担体と関連付けられる、eIF2αの1つ又はいくつかの阻害剤ならびに/あるいはタンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる1つ又はいくつかの化合物、ならびに/あるいはカスパーゼ12の1つ又はいくつかの阻害剤を含みうる。これらの賦形剤及び/又は担体は、上に記載する通り、投与の形態に従って選ばれる。 医薬組成物は、また、少なくとも1つの別の治療的薬剤を含みうる。特に、前記の治療的薬剤は、化学療法薬剤、コルチコステロイド、抗生物質、鎮痛剤、アルファ−アドレナリン遮断薬、アルファ−アドレナリン作動薬、ベータ−アドレナリン作動薬、抗コリン作用薬、5アルファ還元酵素の阻害剤、アンドロゲン、免疫調節剤、免疫抑制剤、抗血管新生剤(例えば抗VEGF、抗FGF、抗HGF、及び抗EFGなど)、ロイコトリエン修飾剤、アミノサリチル酸、麻酔薬、非ステロイド性抗炎症剤、抗寄生虫、可溶化インターロイキン受容体の治療、細胞傷害剤、酸化防止剤、及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択されうる。 本発明の医薬組成物は、継続的に注入により、ボーラス注射により(それにおいて、組成物は、持続放出される製剤である)、又は特定の製剤のために適切な方法により投与することができる。 投与される、eIF2αの阻害剤、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、ならびに/あるいはカスパーゼ12の阻害剤の量は、当業者により周知である標準的な手順により決定しなければならない。患者の生理学的データ(例えば、年齢、サイズ、及び体重)及び投与の経路を考慮に入れて、適切な投与量を決定しなければならない。各々の化合物の適切な投与量は、また、医薬品が、1つだけの化合物あるいはeIF2αの阻害剤、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、及びカスパーゼ12の阻害剤からなる群より選択される2又は3つの化合物の組み合わせ、特に、eIF2αの阻害剤ならびにタンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物の組み合わせを含む場合、変動しうる。 本発明の医薬組成物を、単一の用量として又は複数の用量において投与してもよい。各々の単位投与量は、例えば、10ng〜20mg、好ましくは10ng〜1mg/kg体重のeIF2αの阻害剤、10ng〜50mg、好ましくは10ng〜1mg/kg体重のタンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、ならびに/あるいは1ng〜1mg、好ましくは1ng〜100μg/kg体重のカスパーゼ12の阻害剤を含みうる。特に、各々の単位投与量は、例えば、50ng〜1.6g、好ましくは50ng〜80mgのeIF2αの阻害剤、50ng〜4g、好ましくは50ng〜80mgのタンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、ならびに/あるいは5ng〜80mg、好ましくは5ng〜8mgのカスパーゼ12の阻害剤を含みうる。単位投与量は、特に、意図した使用が小児での使用である場合、患者の年齢に従って適応されうる。 好ましい実施態様において、医薬組成物は、グアナベンズ及びバルプロ酸、ならびに、場合により、ペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンを含む。 好ましくは、各々の単位投与量は、10ng〜500μg/kg体重のグアナベンズ、10ng〜500μg/kg体重のバルプロ酸、及び、場合により、1ng〜50μg/kg体重のペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンを含む。特に、各々の単位投与量は、50ng〜40mgのグアナベンズ、50ng〜40mgのバルプロ酸、及び、場合により、5ng〜4mgのペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンを含みうる。単位投与量は、特に、意図した使用が小児での使用である場合、患者の年齢に従って適応されうる。 本発明は、また、カスパーゼ12の阻害剤、好ましくはペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンとの組み合わせにおける使用のための、eIF2αの阻害剤、好ましくはグアナベンズ、ならびに、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、好ましくはバルプロ酸を含む医薬組成物に関する。本発明は、また、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、好ましくはバルプロ酸、ならびに、場合により、カスパーゼ12の阻害剤、好ましくはペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンとの組み合わせにおける使用のための、eIF2αの阻害剤、好ましくはグアナベンズを含む医薬組成物に関する。本発明は、さらに、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、好ましくはバルプロ酸との組み合わせにおける使用のための、eIF2αの阻害剤、好ましくはグアナベンズ、及び/又はカスパーゼ12の阻害剤、好ましくはペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンを含む医薬組成物に関する。特に、これらの組み合わせは、薬物としての使用のため、好ましくは、繊毛機能障害に関連する網膜変性の処置における使用のためである。 本発明は、また、以下に関する: − 繊毛機能障害に関連する網膜変性の処置における使用のための本発明の医薬組成物;好ましくは、医薬組成物は、eIF2αの阻害剤、好ましくはグアナベンズ、ならびに、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、好ましくはバルプロ酸、ならびに、場合により、カスパーゼ12の阻害剤、好ましくはペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンを含む; − 繊毛病により誘導された小胞体ストレスを防止又は低下させるための使用のための本発明の医薬組成物; − 繊毛機能障害に関連する網膜変性の処置のための薬物の製造のための、eIF2αの阻害剤、好ましくはグアナベンズ、及び、場合により、医薬的に許容可能な担体の使用; − 繊毛機能障害に関連する網膜変性の処置のための薬物の製造のための、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、好ましくはバルプロ酸、ならびに、場合により、医薬的に許容可能な担体の使用; − 繊毛機能障害に関連する網膜変性の処置のための薬物の製造のための、カスパーゼ12の阻害剤、好ましくはペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトン、及び、場合により、医薬的に許容可能な担体の使用; − 繊毛機能障害に関連する網膜変性の処置のための薬物の製造のための、eIF2αの阻害剤、好ましくはグアナベンズ、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、好ましくはバルプロ酸、及び、カスパーゼ12の阻害剤、好ましくはペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトン、ならびに、場合により、医薬的に許容可能な担体の使用; − 繊毛機能障害に関連する網膜変性の処置のための薬物の製造のための、eIF2αの阻害剤、好ましくはグアナベンズ、ならびに、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、好ましくはバルプロ酸、場合により、カスパーゼ12の阻害剤、好ましくはペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトン、ならびに、場合により、医薬的に許容可能な担体の使用; − 繊毛病により誘導された小胞体ストレスを防止又は低下させるための薬物の製造のための上に記載する通りの使用; − 特に、繊毛機能障害に関連する網膜変性の処置における同時、別々、又は連続使用のための組み合わせた製剤として、(a)eIF2αの阻害剤、好ましくはグアナベンズ、(b)タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、好ましくはバルプロ酸、ならびに(c)カスパーゼ12の阻害剤、好ましくはペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンからなる群より選択される少なくとも2つの化合物を含む生成物又はキット; − 特に、繊毛機能障害に関連する網膜変性の処置における同時、別々、又は連続使用のための組み合わせた製剤として、(a)eIF2αの阻害剤、好ましくはグアナベンズ、ならびに(b)タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、好ましくはバルプロ酸、ならびに、場合により、(c)カスパーゼ12の阻害剤、好ましくはペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンを含む生成物又はキット; − 特に、繊毛機能障害に関連する網膜変性の処置における同時、別々、又は連続使用のための組み合わせた製剤として、(a)eIF2αの阻害剤、好ましくはグアナベンズ、(b)タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、好ましくはバルプロ酸、ならびに(c)カスパーゼ12の阻害剤、好ましくはペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンを含む生成物又はキット; − 特に、繊毛病により誘導された小胞体ストレスを防止又は低下させるための、同時、別々、又は連続使用のため組み合わせた製剤としての、上に記載する通りの生成物又はキット; − それを必要とする被験者において、治療的に効率的な量の本発明の医薬組成物を投与することを含む、繊毛機能障害に関連する網膜変性を処置するための方法;好ましくは、医薬組成物は、eIF2αの阻害剤、好ましくはグアナベンズ、ならびに、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、好ましくはバルプロ酸、ならびに、場合により、カスパーゼ12の阻害剤、好ましくはペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンを含む; − それを必要とする被験者において、治療的に効率的な量の本発明の医薬組成物を投与することを含む、繊毛病により誘導された小胞体ストレスを防止又は低下させるための方法;好ましくは、医薬組成物は、eIF2αの阻害剤、好ましくはグアナベンズ、ならびに、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、好ましくはバルプロ酸、ならびに、場合により、カスパーゼ12の阻害剤、好ましくはペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンを含む。 − それを必要とする被験者において、治療的に効率的な量の上に記載する通りの本発明の生成物又はキットを投与することを含む、繊毛機能障害に関連する網膜変性を処置するための方法;好ましくは、生成物又はキットは、eIF2αの阻害剤、好ましくはグアナベンズ、ならびに、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、好ましくはバルプロ酸、ならびに、場合により、カスパーゼ12の阻害剤、好ましくはペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンを含む; − それを必要とする被験者において、治療的に効率的な量の上に記載する通りの本発明の生成物又はキットを投与することを含む、繊毛病により誘導された小胞体ストレスを防止又は低下させるための方法;好ましくは、生成物又はキットは、eIF2αの阻害剤、好ましくはグアナベンズ、ならびに、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、好ましくはバルプロ酸、ならびに、場合により、カスパーゼ12の阻害剤、好ましくはペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンを含む。 本発明に従った医薬的使用は、獣医学的使用を含む。 用語「被験者」は、動物、好ましくは哺乳動物、さらにより好ましくはヒト(成人、小児、及び出生前段階のヒトを含む)を指す。 本明細書において使用する通り、用語「繊毛機能障害に関連する網膜変性」は、繊毛病により誘導される網膜変性、即ち、一次繊毛の機能障害及び、特に、光受容体結合繊毛機能障害を指す。繊毛病は、単一の器官(又は組織)に影響を及ぼしうる、又は、同時に含まれる種々の標的器官を伴う、繊毛病関連の徴候の末期症候スペクトルに導きうる。繊毛機能障害に関連する網膜変性、特に、網膜色素変性症は、特定の網膜繊毛遺伝子中の変異に起因する孤立性の非症候性網膜変性でありうる、又は症候性繊毛病の特徴でありうる。 特に、繊毛機能障害に関連する網膜変性は、バルデ・ビードル症候群、シニア−ローケン症候群、サルディーノ−マインツァー症候群、ジュベール症候群、ジュンヌ症候群、センセンブレナー症候群、メッケル−グルーバー症候群、アルストレーム症候群、MORM症候群、繊毛遺伝子中の変異により起こされるレーバー先天性黒内障のサブグループ、及びRPGR遺伝子中の変異により起こされるX連鎖網膜色素変性症からなる群より選択される繊毛病により誘導されうる。 これら繊毛病は、繊毛機能において含まれる1つ又はいくつかの遺伝子における変異により起こされる。変異は、コードされるタンパク質の機能の完全な喪失又は機能の部分的な喪失だけを誘導しうる。変異は、ストップコドンの作製、フレームシフト変異、アミノ酸置換、特定のRNAスプライシング、プロセシング又は翻訳効率、生成物不安定性、切断ポリペプチド産生などをもたらしうる。変異は、変化した機能、安定性、標的化、又は構造を伴うポリペプチドの産生をもたらしうる。それは、また、例えば、免疫組織化学、半定量的ウエスタンブロットにより、又はタンパク質もしくは抗体アレイにより評価されうるタンパク質発現における低下を起こしうる。 バルデ・ビードル症候群(OMIM:#209900)は、BBS1、BBS2、BBS3/ARL6、BBS4、BBS5、BBS6/MKKS、BBS7、BBS8、BBS9、BBS10、BBS11、BBS12、BBS13/MKS1、NPHP6/CEP290、BBS15/WDPCP、BBS16/SDCCAG8、又はBBS17/LZTFL遺伝子における変異により起こされうる。 シニア・ローケン症候群(OMIM:#266900)は、NPHP6/CEP290、BBS16/SDCCAG8、NPHP1、NPHP2、NPHP3、NPHP4、NPHP5、又はNPHP9/NEK8遺伝子における変異により起こされうる。 ジュベール症候群(OMIM:#213300)は、NPHP6/CEP290、RPGRIP1L、CC2D2A、MKS3、INPP5E、AHI1、ARL13B、NPHP1 TMEM216、TMEM67、OFD1、TTC21B*、KIF7、TCTN1、TMEM237、CEP41、TMEM138、C5orf42、TCTN3、ZNF423、TCTN2、又はTMEM231遺伝子における変異により起こされうる。 サルディーノマインツァー症候群(OMIM #2666920)は、IFT140遺伝子における変異により起こされうる。 ジュンヌ症候群は、また、ジュンヌ窒息性胸郭ジストロフィーと名付けられ(OMIM:#208500)、IFT80、DYNC2H1、TTC21B、又はWDR19遺伝子における変異により起こされうる。 メッケル・グルーバー症候群(OMIM:#249000)は、BBS13/MKS1、NPHP6/CEP290、BBS15/WDPCP、RPGRIP1L、CC2D2A、NPHP3、MKS2、又はMKS3遺伝子における変異により起こされうる。 アルストレーム症候群(OMIM:#203800)は、遺伝子ALMS1における変異により起こされる。 MORM症候群(精神遅滞、体幹肥満、網膜ジストロフィー、及び小陰茎)(OMIM:#610156)は、遺伝子INPP5Eにおける変異により起こされうる。 レーバー先天性黒内障(OMIM:#204000)は、異種の非常に早期発症の網膜変性である。今日までに同定された遺伝子のサブセットは、繊毛である。特に、繊毛機能障害に関連する網膜変性は、NPHP6/CEP290、LCA5/Leberciline、又はRPGRIP1遺伝子における変異により起こされるレーバー先天性黒内障のサブグループに属する繊毛病でありうる。 繊毛機能障害に関連する網膜変性は、また、RPGR遺伝子における変異により起こされるX連鎖網膜色素変性症(OMIM:#300029)でありうる。 センセンブレナー症候群(OMIM #218330)は、WDR19、WDR35、IFT122、又はIFT43遺伝子における変異により起こされうる。 このように、繊毛機能障害に関連する網膜変性は、BBS1、BBS2、BBS3/ARL6、BBS4、BBS5、BBS6/MKKS、BBS7、BBS8、BBS9、BBS10、BBS11、BBS12、BBS13/MKS1、NPHP6/CEP290、BBS15/WDPCP、BBS16/SDCCAG8、BBS17/LZTFL1、RPGRIP1L、CC2D2A、NPHP3、MKS2、MKS3、INPP5E、AHI1、ARL13B、NPHP1、NPHP2、NPHP3、NPHP4、NPHP5、NPHP9/NEK8、TMEM216、TMEM67、OFD1、TTC21B*、KIF7、TCTN1、TMEM237、CEP41、TMEM138、C5orf42、TCTN3、ZNF423、TCTN2、TMEM231、IFT140、IFT80、DYNC2H1、TTC21B、WDR19、WDR35、IFT122、IFT43、ALMS1、LCA5、及びRPGRからなる群より選択される遺伝子における変異により起こされる繊毛病により誘導されうる。 特定の実施態様において、網膜変性は、バルデ・ビードル症候群により誘導される。 本明細書において使用する通り、用語「処置」、「処置する」、又は「処置している」は、患者の健康状態を改善することが意図された任意の行為、例えば疾患の治療、防止、予防、及び遅延などを指す。特定の実施態様において、そのような用語は、疾患又は疾患と関連付けられる症状の寛解又は根絶を指す。他の実施態様において、この用語は、そのような疾患を伴う被験者への、1つ又は複数の治療用薬剤の投与に起因する疾患の伝播又は悪化を最小限にすることを指す。 特に、用語「繊毛機能障害に関連する網膜変性の処置」は、特に、網膜電図記録上のa波の増加した振幅を伴う、光受容体の光検出能力の保存又は改善を指しうる。この用語は、また、網膜中の光受容体のアポトーシスの低下及び/又は外顆粒層の厚みの増加を指す。 「治療的に効率的な量」により、繊毛機能障害に関連する網膜変性の、上に定義する通りの処置を構成するために十分である、被験者に投与される、eIF2αの阻害剤、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、ならびに/あるいはカスパーゼ12の阻害剤の量を意図する。 本発明の繊毛機能障害に関連する網膜変性を処置するための方法において、医薬組成物又は生成物又はキットを、任意の適した経路を使用して投与してもよく、特に、局所、経口、皮内、非経口、及び/又は眼内、好ましくは眼内に投与してもよい。 本発明の方法は、また、少なくとも1つの追加の治療的薬剤を被験者に投与することをさらに含みうる。特に、前記の治療的薬剤は、化学療法薬剤、コルチコステロイド、抗生物質、鎮痛剤、アルファ−アドレナリン遮断薬、アルファ−アドレナリン作動薬、ベータ−アドレナリン作動薬、抗コリン作用薬、5アルファ還元酵素の阻害剤、アンドロゲン、免疫調節剤、免疫抑制剤、抗血管新生剤(例えば抗VEGF、抗FGF、抗HGF、及び抗EFGなど)、ロイコトリエン修飾剤、アミノサリチル酸、麻酔薬、非ステロイド性抗炎症剤、抗寄生虫、可溶化インターロイキン受容体の治療、細胞傷害剤、酸化防止剤、及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択されうる。 これらの薬物、即ち、eIF2αの阻害剤、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、ならびにカスパーゼ12の阻害剤は、別々にテストした場合、一部の効果を示しているが、2つ又は3つの分子の組み合わせが、アポトーシスを防止する際にはるかにより効果的であることが証明されている。顕著には、これらの薬物の組み合わせは、また、本発明者らが、インビボモデルに投与される用量を低下させることを許しており、最大限にまで、任意の可能性のある副作用を限定する。 この増強効果は、減少量のeIF2αの阻害剤、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、ならびに/あるいはカスパーゼ12の阻害剤を使用することを許す。このように、本発明の医薬組成物、組み合わせ、生成物、キット、又は組み合わせ処置を用いて、有害又は毒性効果を低下させながら、処置の効力を保存、又はさらには改善することが可能である。 このように、実施態様において、eIF2αの阻害剤、好ましくはグアナベンズ、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、好ましくはバルプロ酸、ならびに、カスパーゼ12の阻害剤、好ましくはペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンからなる群より選択される少なくとも2つの化合物が、医薬組成物、生成物、もしくはキット中に存在しており、又は、それを必要とする被験者に、治療量以下の用量で投与される。 特定の実施態様において、eIF2αの阻害剤、好ましくはグアナベンズ、ならびに、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、好ましくはバルプロ酸、ならびに、場合により、カスパーゼ12の阻害剤、好ましくはペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンが、医薬組成物、生成物、もしくはキット中に存在しており、又は、それを必要とする被験者に、治療量以下の用量で投与される。 特に、医薬組成物、生成物、又はキットは、eIF2αの阻害剤、好ましくはグアナベンズ、ならびに、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、好ましくはバルプロ酸を含み、相対量のeIF2αの阻害剤ならびにタンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物は、それらが、被験者への投与時に相乗的な治療効果を示すようにし、好ましくは、1つ又は両方が、治療量以下の用量で使用される。 本明細書において使用する通り、用語「治療量以下の用量」は、それが単独で使用される場合、同じ適応症及び同じ投与経路について、被験者に投与される従来の用量よりも低い治療的薬剤の量又は用量を指す。特に、それは、単独で使用した場合に無の又はわずかだけの効果を有する治療用薬剤の量又は用量を指す。特に、治療量以下の用量は、従来の用量の90、80、70、60、50、40、30、20、又は10%でありうる。 あるいは、化合物の量又は投与量を下げる代わりに、投与頻度又は処置期間を低下させてもよい。本発明の例示的な態様 1.eIF2αの阻害剤ならびに/あるいはカスパーゼ12の阻害剤ならびに/あるいはタンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物を含む医薬組成物。 2.eIF2αの阻害剤、カスパーゼ12の阻害剤、ならびにタンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物からなる群より選択される少なくとも2つの化合物を含む、局面1の医薬組成物。 3.eIF2αの阻害剤、カスパーゼ12の阻害剤、ならびにタンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物を含む、局面1又は2の医薬組成物。 4.eIf2−αの阻害剤がGBZである、局面1〜3のいずれか1つに従った組成物。 5.カスパーゼ12の阻害剤が、カスパーゼ12酵素の触媒部位を標的とするペプチド、好ましくは、式Ala−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンのペプチドである、局面1〜4のいずれか1つに従った組成物。 6.タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物がVPAである、局面1〜5のいずれか1つに従った組成物。 7.GBZ、式Ala−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンのペプチド、及びVPAの組み合わせを含む、局面1〜6のいずれか1つに従った組成物。 8.繊毛病により誘導された小胞体ストレスを防止又は低下させるための局面1〜6のいずれか1つに従った組成物。 9.網膜変性、特に、繊毛機能障害に関連する網膜変性の処置における使用のための、局面1〜6のいずれか1つに従った組成物。 10.網膜変性がバルデ・ビードル症候群により誘導される、局面8の組成物。 11.タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物との組み合わせにおいて使用される、eIF2αの阻害剤及び/又はカスパーゼ12の阻害剤を含む医薬組成物。 12.網膜繊毛病又は網膜変性の処置における同時、別々、又は連続使用のための組み合わせた製剤として、eIF2αの阻害剤、好ましくはGBZ、カスパーゼ12の阻害剤、好ましくはペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトン、ならびにタンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、好ましくはVPAからなる群より選択される少なくとも2つの化合物を含む生成物。 13.eIF2αの阻害剤、好ましくはGBZ、カスパーゼ12の阻害剤、好ましくはペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトン、ならびにタンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、好ましくはVPAを含む局面12の生成物。 14.被験者において網膜変性を処置又は防止するための方法であって、前記方法が、局面1〜11のいずれか1つにおいて定義される通りの医薬組成物あるいは局面12又は13の生成物の治療的に効果的な量を、それを必要とする被験者に投与することからなる工程を含む。 15.医薬組成物又は生成物が、局所、経口、皮内、非経口、及び/又は眼内に投与される、局面14に従った方法。 16.少なくとも1つの追加の治療的薬剤を被験者に投与することをさらに含む、局面14又は15に従った方法。 17.局面16に従った方法であって、それにおいて、前記の少なくとも1つの追加の治療的薬剤が、化学療法薬剤、コルチコステロイド、抗生物質、鎮痛剤、アルファ−アドレナリン遮断薬、アルファ−アドレナリン作動薬、ベータ−アドレナリン作動薬、抗コリン作用薬、5アルファ還元酵素の阻害剤、アンドロゲン、免疫調節剤、免疫抑制剤、抗血管新生剤(例えば抗VEGF、抗FGF、抗HGF、及び抗EFGなど)、ロイコトリエン修飾剤、アミノサリチル酸、麻酔薬、非ステロイド性抗炎症剤、抗寄生虫、可溶化インターロイキン受容体の治療、細胞傷害剤、酸化防止剤、及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。 本明細書において言及又は引用する、全ての特許、特許出願、仮出願、及び刊行物が、参照により、それらの全体において(全ての図及び表を含む)、それらが本明細書の明かな教示と一致しない範囲まで、組み入れられる。 以下の実施例を、例示の目的のために、限定の方法によらず、与える。実施例材料及び方法網膜外植片 野生型動物は、C57BL/6バックグラウンド上であった。網膜外植片培養手順を、以前に記載された通りに行った(Reidel et al., 2006)。簡単には、15日齢のマウスを、断頭により屠殺し、眼を除去し、トリプシン(カタログ#25200−072、Gibco、Invitrogen、Paris、France)中で10分間にわたり37℃でインキュベートした。消化を、眼をDMEM + 10%ウシ胎仔血清(カタログ#31885−023及び10500−064、Gibco)中に移し、10分間にわたる4℃でのインキュベーションにより停止させた。眼を、6.5g/Lグルコースを添加したAme培地(カタログ#15230−097、Gibco)中で解剖した。最初に、強膜を慎重に除去し、眼球に付着した網膜色素上皮(RPE)を残した。角膜の縁を切開し、角膜、レンズ、及び硝子体を除去した。次に、4つの放射状切開を、網膜中に作り、十字形状を得た。網膜を、RPE側を下にしたニトロセルロース培養膜(カタログ#PICMORG50、Millipore、Molsheim、France)上に移し、B27添加剤(カタログ#17504−044、Gibco)、L−グルタミン(カタログ#35050−061、Gibco)、及び/又はペニシリン/ストレプトマイシン(カタログ#15240;Gibco)を添加したNeurobasal A培地(カタログ#108888−022, Gibco)中で培養した。外植片を、37℃の加湿5% CO2で維持した。Bbs12、Perk、Hri、又はロドプシンについてのshRNA配列を保有するレンチウイルスを使用した特異的な遺伝子サイレンシング(SantaCruz Biotechnology、Tebu Bio、Yvelines、France)を、全培地交換前に、培養培地中の20μlのウイルス懸濁液(1×105感染単位)を加えることにより、一晩実施した。感染した外植片を、次に、3日間にわたり、毎日の半培地交換を伴い、培養した。外植片を、より長く培養中で維持せず、異なる網膜層における非特異的なアポトーシスを回避した。薬理学的処置のために、2mMバルプロ酸(エタノール100%中に溶解したVPA;カタログ番号4543;Sigma-Aldrich)、25μMグアナベンズ(Me2SO中に溶解したGBZ;カタログ番号0889;Tocris Bioscience、Ellisville、MO)、10μMカスパーゼ12阻害剤(Me2SO中に溶解したINHと名付けた。合成ペプチドZ−Ala−Thr−Ala−Asp(O−メチル)−フルオロメチル−ケトン;カタログ番号PK−CA577−1079−100;Promokine、Heidelberg、Germany)を、単一処置のために、組み合わせ処置:GIV(GBZ 2.5μM + 1μM INH + 0.2mM VPA)又はGV(2.5μM GBZ + 0.2mM VPA)のために10倍希釈で加えた。薬物を、培養培地へのウイルス感染と同時に加えた。 免疫蛍光実験及びTUNELアッセイのために、網膜外植片を、ホルマリン10%を用いて、4℃で1時間にわたり、直接的に、膜上に固定した。スクロース含浸を、次に、10%、20%、及び30%スクロース槽を使用して実施した(各々20分間)。外植片を、モールド中のOCT(カタログ#4583、Tissue-Tek、Sakura、Villeneuve d'Ascq、France)に移し、液体窒素中で凍結した。8μmの薄凍結切片をStarFrostスライド(カタログ#VS1117、Waldemar Knittel Glasbearbeitungs、Braunschweig、Germany)上に載せた。光適応実験 光適応実験を、37℃で、外植片上で、遺伝子ノックダウンを許すための3日間の培養後に実施した。明暗実験のために、外植片を、4時間にわたり暗適応し、次に、発光ダイオードにより、30分間にわたり200ルクスに曝露した。明暗条件のために、外植片を、45分間にわたる暗適応前に、15分間にわたり200ルクスに曝露した。処置後、外植片を、使用した照明条件において、4%ホルムアルデヒドを用いて固定した。Bbs12-/-マウスの繁殖及び薬理学的処置 Bbs12-/-マウスを、以前に記載された通りに生成した。Bbs12-/-マウスを、ヘテロ接合体動物を交配することにより得た。マウスを、12時間明/12時間暗サイクルの湿度及び温度が制御された部屋に収容し、適宜、餌及び水を用いた。抗アポトーシス処置のために、動物を、点眼を用いて、2〜4週齢で1日1回処置し、点眼は、GBZ 7.5μm及びカスパーゼ阻害剤500μmを左眼について含み、5%DMSOを右眼について含む。3〜4週齢に、離乳後、VPA又はGBZを、それぞれ5mg/mL及び50μmの濃度で飲料水中に加えた。点眼処置は2〜4週齢で達成され、全身処置は3〜4週齢で達成された。4週齢で、電気生理学的分析を実施し、網膜を分子分析のために回収した。網膜電図分析 マウスを、記録前の12時間にわたり暗適応させた。それらの実験は、暗い赤色ライト下で実施した。マウスを、上のセクションにおいて記載する同じ麻酔混合物を用いて麻酔した。瞳孔を、アトロピン0.3%の点眼(カタログ# Atropine Alcon 0.3%、Alcon、Rueil-Malmaison、France)を用いて拡張させた。動物を、制御された加熱パッド上に置き、手順の間に37℃で維持した。参照電極を、頭部皮膚下に置き、バックグラウンド電極を、動物の尾中に挿入した。測定電極を角膜上に置き、角膜と金電極の間での接触を最適化した。1滴のメチルセルロースゲル(カタログ#Ocry-gel、TVM laboratories、Lempdes、France)を加えた。フラッシュを、最大出力318cd/m2を伴う発光ダイオード(Siem Biomedicale、Nimes、France)を備えた全体野を通じて送達した。暗順応ERGのために、フラッシュ時間が3〜5msまで変動し、最終的なフラッシュ出力は0.001〜1cd*s/m2であった。応答が、増幅、ろ過(1−300Hzバンドパス)、及びデジタル化した(Visiosystem;Siem Biomedicale)。a及びb波を、1−75Hzバンドパスを使用することにより測定し、振動電位をフィルタリングした。RNA抽出及び定量的PCR 全RNAを、Trizol(カタログ#15596−018、Invitrogen)を用いて抽出した。1μgの全RNAを、TURBO DNA-free Kit(カタログ#AM1907、Applied Biosystems、Villebon-sur-Yvette、France)を使用してDNAse処理し、次に、iScript cDNA合成キット(カタログ#170−8891、BioRad、Marne-la-coquette、France)を使用して逆転写した。プライマー(補足方法においてリストする)を、Qiagen(Courtaboeuf、France)から購入した。定量的PCRを、SYBR Green PCR Mix(カタログ#4367659、Applied Biosystems)を使用して、BioRad CFX96システム上で実施した。mRNA発現を、Gapdh RNA含量と比べて、BioRad CFXマネージャーソフトウェアを使用して表した。小胞体ストレスアレイのために、Custom TaqMand Array 96を、Applied Biosystemsから購入し、全てのテストされた遺伝子を、補足方法においてリストする。Xbp1スプライシングのRT−PCR分析 RNAを、上に記載する通りに抽出し、逆転写した。cDNAを、以下のプライマーを使用したXbp1の非スプライス及びスプライス変異体の両方のPCR増幅のために使用した:5’−TTACGGGAGAAAACTCACGGC−3’(配列番号1)及び5’−GGGTCCAACTTGTCCAGAATGC−3’(配列番号2)(Lin et al., 2007)。PCRを、RedTaq DNAポリメラーゼ(カタログ# D4309−50UN、Sigma-Aldrich)を使用し、以下のサイクリングを使用して行った:5分間にわたる95℃−[1分間にわたる95℃−30秒間にわたる58℃−30秒間にわたる72℃]35サイクル−5分間にわたる72℃。ウエスタンブロット、免疫蛍光顕微鏡、及びTUNELアッセイ タンパク質を、Protease Inhibitors Complete Mini EDTA free(カタログ#11836 170001、Roche、Boullogne-Billancourt、France)、1mM NaVO4、及び25mM NaF(カタログ#S6508及びS7920、Sigma-Aldrich)を添加したRIPA緩衝液(150mM NaCl、50mM TrisHCl pH 8、0.1% Tween20、カタログ#P7653、T3253、93773、Sigma−Aldrich)中での溶解により得た。ダウンスホモジナイザーを使用した網膜解離後、サンプルを超音波処理し、タンパク質濃度を、Bradford試薬(カタログ#500−0006、BioRad)を使用して決定した。ウエスタンブロッティングのために、80μgの全タンパク質抽出物を、1レーン当たりに負荷し、ポンソーS染色を、シグナル定量化のための負荷対照として使用した。抗体結合を、SuperSignal West Femto Maximum Sensitivity Substrate(カタログ#34095、ThermoFisher)を使用して、Versadoc装置(BioRad)上で可視化した。シグナル定量化は、BioRadからのQuantityOneソフトウェアを使用して評価した。 切片又は細胞を、PBS 1×を用いて洗浄し、ホルマリン10%溶液を用いて5分間にわたり短く固定し、PBS 1×を用いて3回洗浄した。切片を、次に、Teng-T(10mM TrisHCl (pH=7.6)、5mM EDTA(カタログ#E5768、Sigma-Aldrich)、150mM NaCl、0.25%ゼラチン(カタログ#G9391、Sigma-Aldrich)、0.05% Tween-20)/10%正常ヤギ血清(カタログ#PCN5000、Gibco)を用いて30分間にわたりプレインキュベートし、Teng−T/10% NGS中に希釈した一次抗体を用いた4℃での一晩インキュベーションが続く。スライドを、次に、PBS 1×を用いて洗浄し、Teng-T/10% NGS中に希釈した、示した二次抗体を用いて、1時間にわたり室温でインキュベートした。スライドを、PBS 1×を用いて洗浄し、核染色を、DAPI(カタログ#D1306、Invitrogen)を用いて実施した。スライドをImmumount(カタログ#9990402、ThermoFisher)上に乗せた。TUNELアッセイを、In situ Cell Death Detection Kit(カタログ#11684795910、Roche)を使用して、供給業者のプロトコールに従って実施した。アポトーシス核の保有率は、1実験当たりのONLの3つの異なる領域におけるTUNEL陽性核及びDAPI染色核の比率として表した。示した全ての結果は、少なくとも3つの別々の実験の代表である。透過型電子顕微鏡 サンプルを、カルノフスキー固定液中で固定し、1重量%容積の四酸化オスミウムを含む0.1Mカコジル酸緩衝液内で1時間にわたり4℃で後固定した。サンプルを、次に、等級アルコールを通して脱水し、Epon812樹脂中に包埋した。70nmの超薄切片を切り、酢酸ウラニル及びクエン酸鉛を用いて対比した。切片の写真を、Philips Morgagni 268D透過型電子顕微鏡を使用して作った。抗体 使用した一次抗体:ウサギポリクローナル抗BBS10(カタログ#12421、ProteinTech)、マウスポリクローナル抗BBS12(カタログ#H00166369−Bo1P、Abnova、Colmar、France)、マウスモノクローナル抗ロドプシンRho−4D2(Hicks et al., 1986)、ウサギモノクローナル抗切断PARP、マウスモノクローナル抗eIF2アルファ、ウサギモノクローナル抗ホスホeIF2アルファ、ウサギモノクローナル抗BIP、マウスモノクローナル抗CHOP10(それぞれ、カタログ# 9544、#2103、#3597、#3177、#2895、全てを、Cell Signaling、Ozyme、Saint-Quentin-Yveline、Franceから購入)、マウスモノクローナル抗βチューブリン(カタログ# TUB−2A2、Euromedex、Souffeliweyersheim、France)、マウスモノクローナル抗γチューブリン(カタログ# ab11316−100、Abcam、Paris、France)、マウスモノクローナル抗アセチル化αチューブリン(カタログ#32−2700 Zymed laboratories、Invitrogen)。異なる二次抗体を、免疫蛍光実験のために使用した:ヤギ抗マウスFITC(カタログ#81−6511、Zymed laboratories)、ロバ抗ウサギTexas Red(カタログ# ab6800、Abcam)、抗マウスAlexa 594、抗ウサギFITC、ロバ抗ヤギIG−TR(カタログ#sc−2783、Santa Cruz)、ロバ抗ウサギIg−FITC(カタログ# sc−2090、Santa Cruz)、ウサギ抗マウスAlexa 488、ヤギ抗マウスFluor 594(カタログ# A−11059及びA−10032、Molecular Probes、Invitrogen)。毒物学的分析 処置のために、マウスに、10週間にわたり、VPA 5mg/ml又はGBZ 50μM又は対照としてのDMSO 0.003%のいずれかを添加した水を用いて自由摂取で与えた。10週間の処置後、Hallemeesch et al., 2001において発表された通り、尿素合成の速度を測定した。簡単には、動物を、25μl/10グラム体重の麻酔混合物(100ml Domitor(カタログ# Domitor 1mg/ml、Janssen-Cilag、Issy-les-Moulineaux、France)+ 314mlケタミン(カタログ# Ketamine 1000、Virbac、Carros、France)+ 4ml 0.9% NaCl溶液)を用いて麻酔した。マウスを、制御された加熱パッド上に置き、手順の間、37℃で維持した。頸静脈内カテーテルを固定し、標識した尿素溶液を、初速4ml/時間で7分間にわたり、0.5ml/時間で次の2時間にわたり注入した。溶液は、24μmol NaHCO3(カタログ#S5761、Sigma-Aldrich)及び3.6μmol標識尿素(カタログ# COLM−4861−0.5、Cambridge Isotope Laboratories、Andover、USA)/10グラム体重を添加した0.9% NaClである。2時間の灌流後、血液を、大静脈(caveal vein)尾側から腎臓まで採取した。血液サンプルを12 000gで12分間にわたり遠心し、80μlの血漿を、尿素濃縮及びアミノ酸濃度のさらなる分析のために、6.4mgのスルホサリチル酸(カタログ# S7422、Sigma-Aldrich)を用いて沈殿した。血漿アミノ酸濃度を、o−フタルアルデヒド(o−phatalaldehyde)(Pierce)及び3−メルカプトプロピオン酸(Sigma-Aldrich)、Omnisphere3 C18カラム(Varian)、及び蛍光検出(Van Eijk et al., 1993)を用いたプレカラム誘導を伴う勾配逆相高速液体クロマトグラフィーにより測定した。血漿尿素濃度を、540nmでの吸光度測定を用いた製造業者の指示に従って、Sigma完全試薬キット血液尿素窒素テストを使用した比色法を使用して決定した。トレーサーを、タンデム液体クロマトグラフィー質量分析法を使用して、25μl血漿を分析することにより測定した。濃縮は、安定同位体の天然存在度について補正した、トレーサー−トレーシー比率として与える。検出は親断片化に基づいていた−質量及び電荷に関するイオン化及び娘検出。 以下は、本発明を実行するための手順を例示する実施例である。これらの実施例は、限定的として解釈すべきではない。全てのパーセンテージは重量によるものであり、全て溶媒混合割合は容積によるものである(他に記述しない限り)。結果 網膜外植片におけるBbs12枯渇は、光受容体の異形に導く。 BBSにおける光受容体細胞死の機構におけるERストレスの関与を検討するために、網膜組織化及び光受容体区画化を維持している網膜外植片の培養物を使用して、エクスビボモデルを確立した(図7)。shRNA媒介性のBbs12枯渇時、Bbs12 RNAの発現レベルは40%だけ低下し(図1a)、BBS12タンパク質レベルにおける有意な減少をもたらした(図1b)。この枯渇は、光受容体のONL及びOSの一般的な組織崩壊を誘導し、それは、CCの劇的な低下及びOSにおけるディスク拡張と関連付けられた(図1c及び1d)。BBS12枯渇光受容体におけるICTは、ONLにおけるロドプシンの蓄積により例示される通り、欠損していた(図1e)。ICTのこの喪失は、ロドプシン特異的ではなかった。なぜなら、アレスチンのICTを評価するための暗光実験では、フォトニック刺激時にOSに向かう再局在化の非存在が明らかになったからである(図1f)。 網膜外植片におけるPERK−in Bbs12ノックダウンは、ERストレス媒介光受容体細胞死を誘導する。 Bbs12不活性化後での光受容体細胞死の程度を評価するために、本発明者らは、TUNELアッセイを実施し、3倍多いアポトーシス細胞を、shBbs12処置した網膜外植片において見出した(図2a及び図8)。カスパーゼが、プログラム細胞死の実行において中心的な役割を有するため、それらの発現を評価した(図2b)。エフェクターカスパーゼ3、6、及び7のRNAが、全て、上方調節された。カスパーゼ9のmRNAレベル(ミトコンドリア欠損に連結される)は、未変化のままであったのに対し、カスパーゼ12のmRNAレベル(ERストレスに関連付けられる)は、Bbs12枯渇外植片において2倍増加した。特定のERストレス遺伝子(Bip及びChop10など)のその後の分析では、BBS12の非存在において同時上方調節が示された(図2b)。本発明者らは、Xbp1の長い及び短いアイソフォームの両方のRT−PCRを実施し、短いアイソフォームが、shBbs12処置された外植片においてより豊富であった(図2c)。タンパク質レベルで、BiP及びCHOP10は、両方とも、50%増加した。eIF2αのリン酸化状態が、Bbs12枯渇後に増加した(図2d及び図8)。ERストレスに含まれるeIF2αキナーゼをテストするために、本発明者らは、Perkノックダウンを実施した。Perk mRNA枯渇単独では(40%のmRNA減少、図8c)、カスパーゼ12、Chop10、及びBip発現レベルに影響を及ぼさなかった(図2f)。他方で、Perk及びBbs12の相乗的な枯渇は、光受容体におけるアポトーシス核の明らかな低下に翻訳された、shBbs12単独と比較して、カスパーゼ12、Chop10、及びBip mRNAレベル発現を低下した(図2e、定量化については図9bを参照のこと)。 光受容体のERストレス誘導性アポトーシスは、標的化した薬理学的処置により軽減される。 本発明者らは、ERストレスを低下するための薬理学的処置をテストした。本発明者らの知見に基づき、eIF2α及びカスパーゼ12のBiP、PERK媒介性リン酸化は、Bbs12欠乏光受容体の表現型における重要なUPRアクターである。最初に、本発明者らは、BiP転写及び活性を調節することが公知であるバルプロ酸(VPA)をテストした。shCtl + VPA処置された網膜は、未変化のアポトーシス率(13%)を提示したのに対し、shBbs12 + VPA処置された外植片は、非VPA処置外植片と比較して、有意により低いアポトーシス率(17%)を有した(図3a及び図10a)。本発明者らは、ERストレス関連遺伝子のmRNA発現を分析した(図4b)。対照条件において、VPA処置は、Bip発現の2倍増加を誘導したのに対し、Chop10及びカスパーゼ12 mRNAは両方とも有意に変化しなかった。Bbs12枯渇後、VPA処置は、より低いBip、Chop10、及びカスパーゼ12 mRNA発現を誘導した。タンパク質レベルでは、VPA処置は、eIF2αリン酸化及びCHOP10タンパク質含量を減少させ、BiPを増加させた(図4cならびに図11a及び11b)。 本発明者らは、また、グアナベンズ(GBZ)、増殖停止及びDNA損傷誘導性タンパク質(GADD34)、eIF2αホスファターゼの阻害剤をテストした(Tsaytler et al., 2011)。それは、Bbs12枯渇後でのアポトーシスの光受容体核の割合を、処置を伴わない33%からGBZを伴う12%に有意に低下させる(図3a)。テストしたストレス遺伝子発現(カスパーゼ12、Chop10、及びBip)が、また、処置を用いて減少された(図3)。さらに、GBZ処置は、リン酸化状態においてeIF2αを維持することを許し、CHOP10(しかし、BiPではない)の増加を誘導した(図3ならびに図11c及び11d)。 本発明者らは、また、カスパーゼ12活性を特異的に不活化させるように設計された合成ペプチド(INHと名付けられた)をテストすることを選んだ。INHは、アポトーシス率を、shBbs12 + INH外植片において23%まで減少させた(図3a)。カスパーゼ12の不活化は、ペプチドとのその不可逆的な連結により達成されるため、本発明者らは、遺伝子又はタンパク質発現分析を、これらの条件において評価しなかった。 GBZ、VPA、及びINHは、それらの作用において相補的であったため、本発明者らはそれらを組み合わせ(GIVと呼ばれる単一の薬理学的処置において、それぞれの濃度2,5μM、0.2μM、及び1μMを用いる)、外植片を処置した。3つの薬物の組み合わせは、TUNELアッセイにより評価した通り、対照レベルまでのアポトーシス光受容体率の低下を許すように明らかに見えた(図3)。 GIV処置におけるVPA、GBZ、及びINHの組み合わせは、10倍より高い濃度での、この組み合わせの個々の成分のいずれかよりも効率的にアポトーシスを減少させた。実際に、Bbs12不活化の影響は、全ての3つの標的での同時の薬理学的調節により完全にバランスを取った。アポトーシスに対するINHの影響は、peIF2α及びCHOP10における減少と相関した。他方で、GIV処置は、成功裏に、BiP、peIF2 α、及びCHOP10濃度を同時に増加させる処置だけであった。Bbs12-/-マウス網膜表現型 組織学的試験では、Bbs12-/-マウスが光受容体変性を提示することが明らかになった(図4a)。10週齢では、変異マウスにおいて、ONLはより薄く、重度に破壊されたOSが、TEMを使用して観察された。残存外節片が、正常な9+0構造を伴うディスク拡張及び稀な残留結合繊毛を有するように見えた。暗順応網膜電図(ERG)記録は、a及びb波の両方の振幅における有意な減少を4週齢という早期に証明した。10週齢での同じ記録は、フォトニック刺激への応答の全くの非存在をもたらした(図4b)。ロドプシン(図4c)及びアレスチン(図12)の両方が、ONL及びISにおいて誤って局在化され、Bbs12-/-網膜におけるICT欠損を描写している。本発明者らは、ヌル網膜においてERストレス遺伝子発現を測定した。カスパーゼ3及びカスパーゼ12ならびにChop10がBbs12-/-網膜において上方調節された(図4d)。これは、光受容体細胞におけるER嚢拡大(図4c)により伴われた。Bbs12-/-網膜におけるアポトーシスの動態 網膜変性は、出生後4週まで順調に進んでいた。Bbs12+/+及びBbs12-/-マウスにおけるアポトーシス核の存在量における発生上の変化を試験することにより、本発明者らは、最初に、生後12〜14日目の間での細胞死におけるBBS12依存的な増加を観察した。さらに、カスパーゼ3、カスパーゼ6、カスパーゼ12、Bip、及びChop10 mRNAの発現は、生後14日目のBbs12-/-網膜において上方調節され、それは、Bbs12-/-網膜におけるBiP及びCHOP10タンパク質含量の増加と相関した。これらのデータでは、ERストレスが、BBS12枯渇網膜において活性化されるとのエクスビボでの知見を検証する。 GIV処置は、光受容体をアポトーシスから保護し、それらのインビボでの機能を回復する。 本発明者らは、PN14で開始した3つの異なる種類の処置をテストした:VPA又はGBZの全身投与(VPA及びGBZと名付けられる)ならびにVPAの全身投与に加えた点眼中のGBZ及びINHの組み合わせ処置(GIVと名付けられる)。GIV、VPA、又はGBZのいずれかの処置を受けたBbs12-/-マウスは、暗順応ERG記録における明かな寛解を提示した(図5a)。a及びb波の両方の振幅が、有意に増加した(図5b及び5cならびに図17及び18)。b波振幅が、また、VPA及びGIV処置されたBbs12-/-動物においてより高かった(図5c)。アセチル化αチューブリン免疫染色は、繊毛維持における改善を明らかにしなかったが(図5d)、しかし、処置動物について、ONL厚における有意な増加を示した(図5d)。ONL層の厚さを測定した:Bbs12-/-未処置網膜について37μm、GIVについて52μm、VPAについて44μm、及びGBZ処置動物について45μm(図5e及び図13)。さらに、GIV及びGBZの両方の処置が、eIF2αのリン酸化状態を増加させたが、GIV及びVPA処置がBiPタンパク質レベルを増加させた(図5fならびに図13a及び13b)。考察 網膜外植片を使用して、本発明者らは、Bbs12の非存在において光受容体アポトーシスに導く機構を分析した。このモデルは、ISにおけるOS分子蓄積を提示し、光受容体における大量のICT欠損を強調する。ISにおけるタンパク質蓄積は、本発明者らが、ERストレスを検討することに導き、それは、ERの内腔におけるタンパク質の病理学的蓄積により誘発されることが公知である。3つの異なるトランスデューサーが、異なる経路を介してUPRを媒介しうる(Walter et al., 2011):転写調節によるATF6(活性化転写因子6)、タンパク質負荷の減少によるPERK、及びmRNA分解によるIRE1(イノシトール要求酵素1)。本発明者らのモデルにおいて、UPR応答がPERKにより駆動され、本発明者らが、PERK媒介性UPR応答からの特異的な、eIF2αリン酸化を強調した通りである。しかし、他の細胞ストレスが、eIF2αリン酸化を誘導することができる:4つのキナーゼが公知である(EIF2AK 1−4と名付けられ、また、PERK、HRI、PKR、及びGCN2として公知である)。PERKはUPRに関連し(Harding et al., 2000)、GCN2はアミノ酸飢餓及びUV損傷条件において活性化され(Harding et al., 2000)、酸化ストレス及びヘム欠乏中のHRI(Berlanga et al., 1998)及びPKR活性化がウイルス感染により誘導された(Lu et al., 1999)。shCtl及びshBbs12外植片は、両方とも、同じウイルス力価を用いて処置したため、本発明者らは、PKRが含まれるキナーゼではないと仮定した。培養条件はGCN2の活性化を除外した。なぜなら、培地は、アミノ酸飢餓を回避するために十分に富んでいたからである。本発明者らは、光受容体細胞死の由来である酸化的ストレスを除外することができなかった。本発明者らは、Bbs12及びHriのダブルノックダウンを実施したが、評価した遺伝子又はアポトーシス率における有意な変化は観察されなかった(図9)。反対では、本発明者らは、PERK不活化が、ERストレス媒介を抑止することを実証したが、UPR誘導性eIF2αリン酸化を描写している。 本発明者らは、また、インビボモデルを使用した:網膜ジストロフィーを示すBbs12-/-マウス。それは、エクスビボモデルと同じ欠損(ISにおけるタンパク質蓄積、ディスク拡張、及びOS分解を含む)を、4週齢という早期に提示する。それは、また、UPR活性化を提示する。他の遺伝性RP動物モデルが、ERストレスと連鎖すると報告されている。実際に、ERストレス活性化が、Pde6b遺伝子における変異を保有するrd1マウスについて(Yang et al., 2007)及びそのミスフォールディングを起こすP23Hロドプシントランスジェニックラットモデルにおいて(Lin et al., 2007)記載された。さらに、RPモデルが、治療的な目的のために使用されており、治療的標的としてのERストレスの機会を強調する。最初に提案された戦略は、細胞モデルにおいてロドプシンフォールディングを成功裏に回復させる9−シス−レチナール及び11−シス−レチナールとしての分子シャペロニンの使用によりERストレスを調節することであった(Mendes et al., 2008)。次に、直接的にUPRアクターを調節することが提案された。このように、P23HロドプシンラットモデルにおけるBiPの過剰発現は、視覚機能を回復させ(Gorbatyuk et al., 2010)、RP処置のためのERストレス調節の効力を実証している。最近、タウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)が、Bbs1M390R/M390Rマウスを処置するために使用された(Drack et al., 2012)。TUDCAが、本試験において、抗アポトーシス化合物として記載され、処置動物において網膜肥厚を誘導した。実際に、文献において、TUDCAは、UPR条件においてERの適応能力を増強することができる化学的シャペロンとして公知である(De Almeida et al., 2007; Ozcan et al., 2006)。 本発明者らは、治療的戦略として、ERを調節することが公知である3つの化合物の組み合わせを使用することを選ぶ。最初はVPAであり、抗痙攣薬及び気分安定剤として使用する。それは、恐らくは、そのHDAC阻害剤活性を介して、BiP転写を調節すると記載されており(Wang et al., 1999)、それは、また、ERシャペロンとコアクチベーターとの相互作用を調節することが提案されている(Kakuichi et al., 2009; Penas et al., 2011)。VPA処置は、網膜疾患のいくつかの試験において、神経保護薬剤として既に使用された:それは、細胞死を遅延させ、カスパーゼ3活性化を減少させることにより、視神経挫傷後の網膜神経節細胞保護のために効率的である(Biermann et al., 2010)。それは、ラットにおける虚血−再灌流傷害により誘導されるアポトーシスに対して網膜細胞を保護することが示されている(Zhang et al., 2011)。実際に、このストレスは、網膜ニューロンのERストレス媒介性アポトーシスを誘導し、全身VPA投与は、BiP発現を増加させ、ラット網膜においてカスパーゼ12活性化を低下させた。VPAを、また、ロドプシンミスフォールディングに関連したRP患者についての臨床治験において使用した。この議論の余地がある試験では、2又は4ヶ月間にわたりVPAを用いて処置された5〜7人の患者における視野の増加が示された(Clemson et al., 2011)。他方で、GBZ(αアドレナリン受容体アゴニスト)は、高血圧の処置のために使用される(Holmes et al., 1983)。それは、また、抗プリオン活性を有すると報告され(Tribouillard-Tanvier et al., 2008)、最近、GADD34の阻害剤、eIF2αホスファターゼとして同定された(Tsaytler et al., 2011)。GBZ処置は、eIF2αを、その不活性形態において維持することにより、全体的なタンパク質負荷を低下することができる。ERストレスのこの抑止においてより効率的であるために、本発明者らは、抗アポトーシス分子を加えた:カスパーゼ12活性を特異的に阻害するように設計されたペプチド。組み合わせ処置は、本発明者らが、細胞応答の異なるレベルでERストレスを誘発することを許し、Bbs12枯渇外植片における光受容体アポトーシスを成功裏に低下させた。 Bbs12-/-マウスの網膜表現型の特徴付けから、変性が4週齢でほとんど達成されることが明らかになった。アポトーシス動態の決定が、インビボでの処置のために必須であったため、細胞死が、結合繊毛が成長し、OSが形成し始める際、出生後14日目(PN14)に開始することを検証した(図14)。PN14を、網膜処置のための開始点として選んだ。VPA及びGBZの全身投与が毒性効果を有しうるか否かを評価するために、本発明者らは、wtマウスを、10週間にわたりVPA又はGBZを用いて処置し、肝機能を、血漿アミノ酸濃度及び尿素クリアランス測定値を使用して評価した。VPA処置が、肝機能において有意な変化を誘導しないのに対し、GBZが有害な影響を有するように見えた(図15)。GBZは、ラットAMDモデルの処置用の点眼中で既に成功裏に使用されていたため(Shen et al., 2011)、本発明者らは、それを、INHと、GIV処置用の点眼溶液中で組み合わせることを好んだ。インビボでの処置は有望な結果を示している:処置されたBbs12-/-動物は、より多くの残留光受容体細胞を提示し、動物はERG記録において明かな寛解を有する。総計では、インビボ試験は、GBZ及びVPA処置が光受容体アポトーシスを低下させるために効率的であるが、しかし、3つの薬物の組み合わせは、保護効果を強調することを示唆する。なぜなら、GIV処置後の電気生理学的分析及び組織学的分析の両方が、わずかにより良い結果を提示するからである。 本試験において、本発明者らは、ERストレス調節薬物を使用して、BBSのマウスモデルにおける網膜変性の減速についての原則の証拠を報告する。全体では、網膜繊毛病は、遺伝性RPの重要な部分を表す。機構が、変異した異なる遺伝子について密接に関連しているため、GIV処置は有望な機会を生じる。さらに、出現する証拠は、RPの異なる種類における光受容体アポトーシスの発生におけるERストレスの決定的な役割を支持する。これらの結果は、RPの分野において遺伝子治療への代替物のために道を開く。 本明細書において記載する実施例及び実施態様は、例示的な目的だけのためであり、それに照らした種々の改変又は変化が、当業者に示唆され、本願の精神及び範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれるべきであることを理解すべきである。また、本明細書において開示するその任意の発明又は実施態様の任意の要素又は限定を、本明細書において開示するその任意の及び/又は全ての他の要素あるいは限定(個々に又は任意の組み合わせにおいて)あるいは任意の他の発明又は実施態様と組み合わせることができ、全てのそのような組み合わせが、それへの限定を伴わず、本発明の範囲を伴い、熟慮される。 eIF2αの阻害剤、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、ならびに医薬的に許容可能な担体及び/又は賦形剤を含む医薬組成物。 eIF2αの阻害剤が、グアナベンズ、トートマイシン、トートマイセチン、カリクリンA、サルブリナル、PP1/GADD34複合体の形成を阻害する化合物、及びPP1又はGADD34発現に特異的に干渉する核酸分子からなる群より選択される、請求項1記載の医薬組成物。 eIF2−αの阻害剤がGADD34の阻害剤である、請求項1又は2記載の医薬組成物。 eIF2−αの阻害剤がグアナベンズである、請求項3記載の医薬組成物。 タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物が、バルプロ酸又はその誘導体、トリコスタチンA、リチウム、1−(3,4ジヒドロキシ−フェニル)−2−チオシアネート−エタノン、及びエキセンディン4からなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか一項記載の医薬組成物。 タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物が、バルプロ酸又はその誘導体、例えば2−エン−バルプロ酸である、請求項1〜5のいずれか一項記載の医薬組成物。 タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物が、バルプロ酸である、請求項6記載の医薬組成物。 カスパーゼ12の阻害剤をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項記載の医薬組成物。 カスパーゼ12の阻害剤が、カスパーゼ12の触媒部位を標的とするペプチド、プロカスパーゼ12の切断を防止するペプチド、及びカスパーゼ12発現に特異的に干渉する核酸分子からなる群より選択される、請求項8記載の医薬組成物。 カスパーゼ12の阻害剤が、カスパーゼ12の触媒部位を標的とするペプチドである、請求項8又は9記載の医薬組成物。 カスパーゼ12の阻害剤が、式Ala−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンのペプチドである、請求項10記載の医薬組成物。 好ましくは、化学療法薬剤、コルチコステロイド、抗生物質、鎮痛剤、アルファ−アドレナリン遮断薬、アルファ−アドレナリン作動薬、ベータ−アドレナリン作動薬、抗コリン作用薬、5アルファ還元酵素の阻害剤、アンドロゲン、免疫調節剤、免疫抑制剤、抗血管新生剤(例えば抗VEGF、抗FGF、抗HGF、及び抗EFGなど)、ロイコトリエン修飾剤、アミノサリチル酸、麻酔薬、非ステロイド性抗炎症剤、抗寄生虫、可溶化インターロイキン受容体の治療、細胞傷害剤、酸化防止剤、及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、少なくとも1つの追加の治療的薬剤をさらに含む、請求項1〜11のいずれか一項記載の医薬組成物。 薬物としての使用のための、請求項1〜12のいずれか一項記載の医薬組成物。 繊毛機能障害に関連する網膜変性の処置における使用のための、請求項1〜12のいずれか一項記載の医薬組成物。 網膜変性が、バルデ・ビードル症候群、シニア−ローケン症候群、ジュベール症候群、サルディーノマインツァー症候群、センセンブレナー症候群、ジュンヌ症候群、メッケル−グルーバー症候群、アルストレーム症候群、MORM症候群、繊毛遺伝子中の変異により起こされるレーバー先天性黒内障、及びRPGR遺伝子中の変異により起こされるX連鎖網膜色素変性症からなる群より選択される繊毛病により誘導される、請求項14記載の医薬組成物。 カスパーゼ12の阻害剤との組み合わせにおいて使用される、請求項1〜7のいずれか一項記載の医薬組成物。 繊毛機能障害に関連する網膜変性の処置における同時、別々、又は連続使用のための組み合わせた製剤として、eIF2αの阻害剤ならびにタンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、ならびに、場合により、カスパーゼ12の阻害剤を含む生成物。 eIF2αの阻害剤、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、及びカスパーゼ12の阻害剤を含む、請求項17記載の生成物。 eIF2αの阻害剤がグアナベンズである、請求項17又は18記載の生成物。 タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物が、バルプロ酸である、請求項17〜19のいずれか一項記載の生成物。 カスパーゼ12の阻害剤がペプチドAla−Thr−Ala−Asp(OMe)フルオロメチルケトンである、請求項17〜20のいずれか一項記載の生成物。 局所、経口、皮内、非経口、及び/又は眼内投与のために適した、請求項1〜16のいずれか一項記載の医薬組成物又は請求項17〜21のいずれか一項記載の生成物。 眼投与に、好ましくは局所眼又は眼周囲投与に適した、請求項1〜16のいずれか一項記載の医薬組成物又は請求項17〜21のいずれか一項記載の生成物。 本発明は、eIF2αの阻害剤、タンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物、ならびに/あるいは、カスパーゼ12の阻害剤、好ましくはeIF2αの阻害剤、ならびにタンパク質BiPの発現及び/又は活性を増加させる化合物を含む医薬組成物に関する。本発明は、また、繊毛機能障害に関連する網膜変性を処置するための医薬組成物及び方法に関する。 配列表


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