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タイトル:公表特許公報(A)_筋ジストロフィーの治療に用いられるジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニル−カルバモイルオキシ−メチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリド
出願番号:2014555390
年次:2015
IPC分類:A61K 31/27,A61P 21/04,A61P 43/00,A61K 45/00,A61K 9/08,A61K 9/14,A61K 9/20,A61K 9/16,A61K 9/28,A61K 9/48,A61P 29/00,C07C 271/28,A61K 31/573


特許情報キャッシュ

バレンティナ サッコーネ シルビア コンサルヴィ ピア ロレンツォ プーリ パオロ マスカーニ JP 2015512869 公表特許公報(A) 20150430 2014555390 20120203 筋ジストロフィーの治療に用いられるジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニル−カルバモイルオキシ−メチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリド イタルファルマコ ソシエタ ペル アチオニ 591279294 ITALFARMACO SOCIETA PER AZIONI 特許業務法人 谷・阿部特許事務所 110001243 バレンティナ サッコーネ シルビア コンサルヴィ ピア ロレンツォ プーリ パオロ マスカーニ A61K 31/27 20060101AFI20150403BHJP A61P 21/04 20060101ALI20150403BHJP A61P 43/00 20060101ALI20150403BHJP A61K 45/00 20060101ALI20150403BHJP A61K 9/08 20060101ALI20150403BHJP A61K 9/14 20060101ALI20150403BHJP A61K 9/20 20060101ALI20150403BHJP A61K 9/16 20060101ALI20150403BHJP A61K 9/28 20060101ALI20150403BHJP A61K 9/48 20060101ALI20150403BHJP A61P 29/00 20060101ALI20150403BHJP C07C 271/28 20060101ALI20150403BHJP A61K 31/573 20060101ALI20150403BHJP JPA61K31/27A61P21/04A61P43/00 121A61K45/00A61K9/08A61K9/14A61K9/20A61K9/16A61K9/28A61K9/48A61P29/00C07C271/28A61K31/573 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN IT2012000040 20120203 WO2013114413 20130808 15 20140702 4C076 4C084 4C086 4C206 4H006 4C076AA11 4C076AA30 4C076AA31 4C076AA36 4C076AA53 4C076BB01 4C076BB02 4C076BB12 4C076BB13 4C076BB16 4C076BB29 4C076CC04 4C076CC09 4C084AA19 4C084AA27 4C084MA02 4C084MA16 4C084MA23 4C084MA35 4C084MA37 4C084MA41 4C084MA43 4C084MA52 4C084MA60 4C084MA65 4C084MA66 4C084NA05 4C084ZA941 4C084ZB112 4C084ZC751 4C086AA01 4C086AA02 4C086DA10 4C086MA23 4C086MA35 4C086MA37 4C086MA41 4C086MA43 4C086MA52 4C086MA60 4C086MA65 4C086NA05 4C086ZA94 4C086ZB11 4C086ZC75 4C206AA01 4C206AA02 4C206HA23 4C206MA01 4C206MA02 4C206MA04 4C206MA21 4C206MA36 4C206MA43 4C206MA55 4C206MA57 4C206MA61 4C206MA63 4C206MA72 4C206MA80 4C206MA85 4C206MA86 4C206NA05 4C206NA14 4C206ZA94 4C206ZB11 4C206ZC75 4H006AA01 4H006AB20 4H006RA36 本発明は、ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニル−カルバモイルオキシ−メチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは他の薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物を、このような治療を必要とする患者に投与することを含む、筋ジストロフィーを治療する方法に関する。 本発明は、ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニル−カルバモイルオキシ−メチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは他の薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物を1または複数の追加の抗炎症活性薬と組み合わせて、このような治療を必要とする患者に投与することを含む、筋ジストロフィーを治療する方法にさらに関する。 筋ジストロフィー(MDs)には、常に筋変性および機能障害を引き起こす多様な一群の遺伝的疾患が含まれる。ほぼ30個の遺伝子の突然変異は、様々な形態の筋ジストロフィーを引き起こし、これらは、発症年齢、重症度、および発症した筋肉群が異なる(非特許文献1参照)。 最も一般的なMDは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、最終的には歩行不能および10歳代の内での死亡を引き起こす筋変性の急速な進行で特徴付けられる、3,500名の男性中の1名に発症する重篤な劣性X連鎖疾患である。 遺伝子治療または細胞治療により、変異遺伝子を置き換えるまたは補正しようとする試みは、筋ジストロフィーに対する決定的な解決策となる可能性があるが、達成するのは容易ではない。筋変性を防止または遅延させ、炎症を減少させまたは筋代謝もしくは筋再生を促進する代替の戦略は、患者にたいへん恩恵をもたらし、将来、遺伝子治療または細胞治療と共同作用を与える可能性がある。炎症を低減させるステロイドは、現在、大多数のDMD患者に使用される唯一の治療ツールである(非特許文献2参照)。 ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニル−カルバモイルオキシ−メチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリド、これについては、共に参照により本明細書に援用される特許文献1(無水形態)および特許文献2(一水和物結晶形態)に記載されているところであるが、大多数の炎症促進性サイトカインの合成を阻害し、一方、抗炎症性サイトカインを保持する抗炎症薬である。 ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニル−カルバモイルオキシ−メチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドは、ITF2357としても知られている。 ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニル−カルバモイルオキシ−メチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドの一水和物結晶形態は、ギビノスタット(”Givinostat”)として知られている。 ギビノスタットは、骨髄増殖性疾患、真性赤血球増加症、周期熱症候群、クローン病および全身型若年性特発性関節炎の治療に関する試験を含めて、いくつかの臨床試験において評価されている。オーファンドラッグの指定が、E.U.において、全身型若年性特発性関節炎の治療に対して、および真性赤血球増加症の治療に対して付与された。 ギビノスタットは、最近、ヒストンデアセチラーゼ阻害薬の作用をすることが見出されている(特許文献3参照)。 ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)は、ヒストンまたは他のタンパク質のN−末端部において、リシン残基に結合しているアセチル基を除去することが可能な酵素の一群である。 HDACは、構造上の相同性に基づいて4つのクラスに細分することができる。クラスIHDAC(HDAC1、2、3および8)は、RPD3酵母菌タンパク質に類似しており、細胞核中に位置している。クラスIIHDAC(HDAC4、5、6、7、9および10)は、HDA1酵母菌タンパク質に類似しており、核中および細胞質中の両方に位置している。クラスIIIHDACは、構造的に明確な、SIR2酵母菌タンパク質に関連付けられているNAD依存性酵素の形態である。クラスIV(HDAC11)は、今のところ、特定の構造上の特徴を有する単一酵素から構成されている。クラスI、IIおよびIVのHDACは、亜鉛酵素であり、様々なクラスの分子:ヒドロキサム酸誘導体、環状テトラペプチド、短鎖脂肪酸、アミノベンズアミド、求電子性ケトンの誘導体等によって阻害される可能性がある。クラスIIIHDACは、ヒドロキサム酸によって阻害されず、その阻害薬は、他のクラスのものとは異なる構造上の特徴を有する。 本発明に関して、「ヒストンデアセチラーゼ阻害薬」という表現は、クラスI、クラスIIまたはクラスIVのヒストンデアセチラーゼとして分類される少なくとも1種の酵素の活性を阻害することが可能な、天然起源、組換え起源は合成起源の任意の分子を意味するものと理解される。 HDAC阻害薬は、クラスとして、抗腫瘍薬として潜在的に有用であると考えられるが、現在まで、これらの2種(ボリノスタットおよびロミデプシン)のみが、単一腫瘍形態(皮膚T細胞リンパ腫)の治癒のための薬物として認可されていることに留意する価値がある。 各HDAC阻害薬の医薬特性は異なる可能性があり、多様なアイソエンザイムと関連した阻害能力の特定のプロファイルに、ならびに個々の薬物動態挙動および組織分布に依存することは明らかである。 いくつかのHDAC阻害薬は、DMDの治療のために、他の薬剤との組合せで潜在的に有用であることが特許請求に記載されている(特許文献4および5、ならびに非特許文献3参照)。国際公開第97/43251号国際公開第2004/065355号国際公開第2011/048514号国際公開第2003/033678号国際公開第2004/050076号Dalkilic I,Kunkel LM.(2003)Musclar dystrophies:genes to Pathogenesis.Curr.Opin.Genet.Dev.13:231−238Cossu G,Sampaolesi M.(2007) New therapies for Dunchenne muscular dystrophy:challenges,prospects and clinical trials.TRENDS Mol.Med.13:520−526Consalvi S.et al.Histone Deacetylase Inhibitors in the Treatment of Muscular Dystrophies:Epigenitic Drugs for Genetic Diseases.(2011)Mol.Med.17:457−465Vojinovic J,Nemanja D.(2011)HDAC Inhibition in Rheumatoid Arthritis and Juvenile Idiopathic Arthritis.Mol.Med 17:397−403 しかし、DMDにおけるHDAC阻害薬の潜在的な治療への使用は、特に小児科の患者で長期療法に使用される場合、これらの比較的有毒な薬剤の起こり得る有害な作用によって阻止され得る。 ギビノスタットは、抗炎症薬として、全身型若年性特発性関節炎を有する小児におけるフェーズII試験にすでに使用されている。1.5mg/kg/日で12週投与されたギビノスタットは、ACR Pedi 30、50および70の評価基準で、約70%の改善が得られ(非特許文献4参照)、限られた数の軽度または中等度であるが持続時間の短い有害作用のみを示した。 現在のところ、500名を超える患者(小児29名を含めて)が、ギビノスタットで治療されている。 反復投与毒性試験をイヌ、ラットおよびサルで実施した。経口1日量の薬物を最大で連続9カ月投与した。この薬物は、高用量において、明白な毒性なしで良好な耐用性を示した。「最大無毒性量」(NOAEL)は、動物種および治療の期間に応じて、10から25mg/kg/日の範囲である。 若年の動物において、60mg/kg/日のギビノスタットは、行動的発育および身体的発育ならびに子の生殖能力に影響を及ぼさなかった。 ギビノスタットに対して、インビトロにおけるマウスリンパ腫アッセイおよび染色体異常アッセイ、ならびにインビボにおける小核試験およびUDS試験で遺伝毒性作用は検出されなかった。 我々は、ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニル−カルバモイルオキシ−メチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドの投与は、筋変性を阻害または遅延させ、炎症を軽減し、筋代謝または筋再生を促進することができることを見出している。 したがって、本発明の目的は、ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリド、好ましくは一水和物の形態で、より好ましくは一水和物結晶の形態で、または他の薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物を、このような治療を必要とする患者に投与することを含む筋ジストロフィーを治療する方法である。 筋ジストロフィーは、好ましくはデュシェンヌ型筋ジストロフィーである。 本発明の、ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリド、好ましくは一水和物の形態で、より好ましくは一水和物結晶の形態で、または他の薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物は、0.5から15mg/kg/日、好ましくは1から10mg/kg/日の範囲の量で投与される。より好ましくは、それは毎日投与される。 本発明の目的では、ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イルメチル]−アンモニウムクロリド(または他の薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物)は、それを少なくとも1種の生理学的に許容される添加剤と共に含む医薬組成物の形態で投与される。 医薬組成物は、好ましくは経腸および/または非経口経路によって、好ましくは経口、舌下、経直腸、血管内、静脈内、皮下経路によって、より好ましくは経口経路によって患者に投与される。 医薬組成物は、固体の形態または液体の形態に調合することができる。好ましくは、固体の形態は、錠剤、顆粒剤、凝集体、圧縮またはコートされた丸剤、硬質またはゼラチンカプセル剤から選択され、液体の形態は、懸濁剤またはシロップ剤から選択される。 本発明の医薬組成物は、単位剤形当たり、好ましくは7.5から200mg、より好ましくは25から150mgのジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは他の薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物を含有する。 本発明の目的では、ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは他の薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物は、単独で有効に投与することができ、または少なくとも1種の追加の抗炎症活性薬と組み合わせて投与することができる。 本発明の好ましい実施形態によれば、前記「少なくとも1種の追加の抗炎症活性薬」はステロイド薬である。 ステロイド薬は、好ましくはグルココルチコイド副腎皮質ステロイド薬、より好ましくは、これは、プレドニゾロン、プレドニゾン、デフラザコート、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、フルドロコルチゾン酢酸エステル、デオキシコルチコステロン酢酸エステルからなる群から選択され、さらに好ましくは、これは、プレドニゾロンおよびデフラザコートから選択される。 本発明による併用療法には、ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イルメチル]−アンモニウムクロリドまたは他の薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物、および少なくとも1種の追加の抗炎症活性薬を含む単一医薬投与製剤の投与、ならびにジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イルメチル]−アンモニウムクロリドまたは他の薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物、および少なくとも1種の追加の抗炎症活性薬(それぞれが、それら自体の分離された医薬投与製剤中で)の投与が含まれる。 単一投与製剤が使用される場合、これは、7.5から200mg、好ましくは25から150のジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物、ならびに0.25から2.5mg/kg、好ましくは0.5から1mg/kgの少なくとも1種の抗炎症活性薬を含んでいてもよい。 分離された投与製剤が使用される場合、ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イルメチル]−アンモニウムクロリドまたは他の薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物、ならびに少なくとも1種の追加の活性薬は、本質的に同じ時間で、即ち同時に、または別々の時差で、即ち逐次に投与され得る。本発明による併用療法は、すべてのこれらのレジメンを含むものと理解される。 本発明の一実施形態によれば、特許請求にかかる方法のレシピエントは小児である。 より詳細には、ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは他の薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物は、単独でまたは少なくとも1種の追加の活性薬もしくはその医薬組成物と組み合わせて、0.5から15mg/kg/日、好ましくは1.0から10mg/kg/日の範囲の量で、好ましくは毎日小児に投与される。 以下の実施例は、本発明の範囲を限定するものではなく、それを例示することが意図される。ITF処理された群は、CRT群に対して、消耗までにより長時間を有していることを示す。ITF処理群は、CTR群に対して、増大した筋肉サイズを有していることを示す(Aは、むき出しの全身、Bは、mdxから分離した後肢である)。ギビノスタットによる処理期間の最後に、マッソントリクローム染色による「前脛骨」(TA)の断面領域を解析した結果、ITF処理群に対して、繊維化(青色)領域の大きな減少がみられることを示す。 序論 実験に選択された動物モデルは、C57BL/10ScSn−Dmdmdx/Jマウス(以降「mdx」)であった。mdxマウス、X連鎖ミオパチー突然変異体は、ヒトのデュシェンヌ型筋ジストロフィーに関する前臨床研究のための最も扱いやすくかつ利用しやすい疾患モデルである。mdxマウスは、エクソン中に一塩基置換を有し、これは、ポリペプチド鎖の中途終止を引き起こす。この突然変異は、X染色体連鎖性であり、筋肉タンパク質ジストロフィンが欠乏した、生存可能なホモ接合動物を発生し、筋肉酵素の高血清濃度を有し、ヒト筋ジストロフィーに類似している組織病変を有する。mdxの組織学的な特徴、連鎖、およびマップポジションは、これらのマウスをデュシェンヌ型筋ジストロフィーのふさわしい動物モデルにしている。Mdxマウスは、約3週齢から開始する進行性筋変性を有する。8週において、mdxの前肢の力が低下するが、後肢は正常な力を示す。これらの知見は、若年mdxマウスにおける筋壊死の急性期の進行を反映している(Groundsら、2008)。8週齢において、mdxマウス中には筋萎縮、炎症および線維症が存在する(非特許文献3参照)。実験の記述 2月齢mdxマウスを10匹ずつ3群に無作為化した。− 対照群(CTR)をメチルセルロースの溶液(0.5%、胃菅栄養法)で1日1回90日間処理した。− 試験群(ITF)をジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニル−カルバモイルオキシ−メチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリド (ITF2357)溶液(10mg/Kg、胃菅栄養法)で1日1回90日間処理した。− トリコスタチンA群(TSA)をTSA溶液(0.6mg/Kg、腹腔内)で1日1回90日間処理した。(実施例1)ギビノスタットによる90日処理後のmdxマウスの疲労耐性の向上(トレッドミル試験) 処理による効果を以下のプロトコールによるトレッドミル試験によってインビボにより運動性能に関して調査した: 走行:8cm/秒、5分間 5分後−2cm/分の斬進的増加 麻痺(Numb):0.2mA(持続性) プレート上で5〜10秒を超えて停止したら走行の終了。 図1に示されるように、ITF処理された群は、CRT群より消耗までにより長時間を有していた。(実施例2)ギビノスタット処理によるmdxマウスにおける筋サイズの増大(肉眼の評価) 上記実験の最後に、マウスを肉眼の評価による骨格筋解析のために屠殺した。 図2A(むき出しの全身)、および図2B(mdxから分離した後肢)に示すように、ITF処理群は、CTR群に比較して増大した筋肉サイズを有していた。(実施例3) ギビノスタットによる処理されたmdxマウスにおける線維症領域の減少(マッソントリクローム染色) 処理期間の最後に、マッソントリクローム染色による「前脛骨」(TA)の断面領域を解析した結果、図3に示されているようにITF処理群に対して繊維化(青色)領域の大きな減少が判明した。 筋ジストロフィー治療用ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物。 前記筋ジストロフィーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィーであることを特徴とする、請求項1に記載の筋ジストロフィー治療用ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物。 毎日ベースで患者に投与されることを特徴とする、請求項1または2に記載の筋ジストロフィー治療用ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物。 0.5から15mg/kg/日、好ましくは1から10mg/kg/日の範囲の量で患者に投与されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の筋ジストロフィー治療用ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物。 前記患者は小児であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の筋ジストロフィー治療用ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物。 0.5から15mg/kg/日、好ましくは1から10mg/kg/日の範囲の量で、前記小児に投与されることを特徴とする、請求項5に記載の筋ジストロフィー治療用ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物。 少なくとも1種の生理学的に許容される添加剤と共にそれを含む医薬組成物の形態で患者に投与されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の筋ジストロフィー治療用ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物。 前記医薬組成物は、経口、舌下、経直腸、血管内、静脈内、皮下経路によって、好ましくは経口経路によって投与されることを特徴とする、請求項7に記載の筋ジストロフィー治療用ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物。 前記医薬組成物は、固体の形態または液体の形態であることを特徴とする、請求項7に記載の筋ジストロフィー治療用ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物。 前記固体の形態は、散剤、錠剤、顆粒剤、凝集体、圧縮またはコートされた丸剤、硬質またはゼラチンカプセル剤から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の筋ジストロフィー治療用ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物。 前記液体の形態は、懸濁剤またはシロップ剤であることを特徴とする、請求項9に記載の筋ジストロフィー治療用ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物。 少なくとも1種の抗炎症活性薬と共に患者に投与されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の筋ジストロフィー治療用ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物。 前記少なくとも1種の抗炎症活性薬は、ステロイド薬、好ましくは、グルココルチコイド副腎皮質ステロイド薬であることを特徴とする、請求項12に記載の筋ジストロフィー治療用ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物。 前記少なくとも1種のステロイド薬は、プレドニゾロン、プレドニゾン、デフラザコート、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、フルドロコルチゾン酢酸エステル、デオキシコルチコステロン酢酸エステルからなる群から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の筋ジストロフィー治療用ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物。 少なくとも1種の抗炎症活性薬と共に、同時に、別々にまたは逐次に投与されることを特徴とする、請求項12に記載の筋ジストロフィー治療用ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物。 一水和物の形態であることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の筋ジストロフィー治療用ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリド。 結晶の形態であることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の筋ジストロフィー治療用ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリド。 ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物と、少なくとも1種の抗炎症活性薬とを含む組合せ。 前記少なくとも1種の抗炎症活性薬は、ステロイド薬、好ましくは、グルココルチコイド副腎皮質ステロイド薬であることを特徴とする、請求項18に記載の組合せ。 前記少なくとも1種のステロイド薬は、プレドニゾロン、プレドニゾン、デフラザコート、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、フルドロコルチゾン酢酸エステル、デオキシコルチコステロン酢酸エステルからなる群から選択されることを特徴とする、請求項19に記載の組合せ。 請求項18から20のいずれか一項に記載の組合せ、および少なくとも1種の生理学的に許容される添加剤を含む医薬組成物。 固体の形態または液体の形態であることを特徴とする、請求項21に記載の医薬組成物。 前記固体の形態は、散剤、錠剤、顆粒剤、凝集体、圧縮またはコートされた丸剤、硬質またはゼラチンカプセル剤から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の医薬組成物。 前記液体の形態は、懸濁剤またはシロップ剤であることを特徴とする、請求項22に記載の医薬組成物。 7.5から200mg、好ましくは25から150mgのジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物、ならびに0.25から2.5mg/kg、好ましくは0.5から1mg/kgの前記少なくとも1種の抗炎症活性薬を含有することを特徴とする、請求項21から24のいずれか一項に記載の医薬組成物。 ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドは、一水和物の形態であることを特徴とする、請求項21から25のいずれか一項に記載の医薬組成物。 ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニルカルバモイルオキシメチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドは、結晶の形態であることを特徴とする、請求項21から25のいずれか一項に記載の医薬組成物。 本発明は、ジエチル−[6−(4−ヒドロキシカルバモイル−フェニル−カルバモイルオキシ−メチル)−ナフタレン−2−イル−メチル]−アンモニウムクロリドまたは他の薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物を、或は、さらに1または複数の追加の抗炎症活性薬と組み合わせて、このような治療を必要とする患者に投与することを含む、筋ジストロフィーを治療する方法に関する。


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