生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_パラインフルエンザウイルス5型ベースのワクチン
出願番号:2014554824
年次:2015
IPC分類:C12N 15/09,A61K 39/145,A61K 48/00,A61K 35/76,A61K 39/39,A61K 39/295,A61P 31/16,C12N 7/04,C12P 21/02


特許情報キャッシュ

へ,ビアオ JP 2015506689 公表特許公報(A) 20150305 2014554824 20130124 パラインフルエンザウイルス5型ベースのワクチン ユニバーシティ オブ ジョージア リサーチ ファンデーション,インコーポレーテッド 511176045 平木 祐輔 100091096 藤田 節 100118773 新井 栄一 100122389 田中 夏夫 100111741 菊田 尚子 100169971 内藤 由美 100171505 へ,ビアオ US 61/590,070 20120124 US 61/590,056 20120124 US 61/683,810 20120816 C12N 15/09 20060101AFI20150206BHJP A61K 39/145 20060101ALI20150206BHJP A61K 48/00 20060101ALI20150206BHJP A61K 35/76 20150101ALI20150206BHJP A61K 39/39 20060101ALI20150206BHJP A61K 39/295 20060101ALI20150206BHJP A61P 31/16 20060101ALI20150206BHJP C12N 7/04 20060101ALI20150206BHJP C12P 21/02 20060101ALI20150206BHJP JPC12N15/00 AA61K39/145A61K48/00A61K35/76A61K39/39A61K39/295A61P31/16C12N7/04C12P21/02 C AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC US2013022962 20130124 WO2013112720 20130801 113 20140909 4B024 4B064 4B065 4C084 4C085 4C087 4B024AA01 4B024BA31 4B024BA32 4B024BA35 4B024CA01 4B024CA04 4B024CA09 4B024CA11 4B024CA20 4B024DA02 4B024EA02 4B024EA10 4B024GA11 4B024HA01 4B064AG31 4B064AG32 4B064CA10 4B064CA12 4B064CA19 4B064CC24 4B064DA01 4B065AA90X 4B065AA95X 4B065AA95Y 4B065AA97Y 4B065AB01 4B065AC14 4B065BA01 4B065CA45 4C084AA13 4C084MA02 4C084MA05 4C084NA05 4C084NA14 4C084ZB05 4C084ZB09 4C084ZB33 4C085AA03 4C085AA04 4C085BA55 4C085BA58 4C085BA59 4C085BA60 4C085BA64 4C085BA67 4C085BA78 4C085FF13 4C085FF19 4C085FF20 4C085GG01 4C085GG03 4C085GG08 4C087AA01 4C087AA02 4C087BC83 4C087CA12 4C087MA02 4C087MA05 4C087NA05 4C087ZB02 4C087ZB05 4C087ZB09 4C087ZB33継続出願データ 本願は、2012年1月24日に出願された米国仮特許出願第61/590,070号明細書、2012年1月24日に出願された米国仮特許出願第61/590,056号明細書、及び2012年8月16日に出願された同第61/683,810号明細書の利益を主張するものであり、これらの仮特許出願の各々は、全体として参照により本明細書に援用される。政府資金提供 本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)の提供による補助金交付番号第R01AI070847号及び第R56AI081816号に基づく連邦政府の支援を受けて行われた。連邦政府は本発明に一定の権利を有する。 不活化インフルエンザワクチンは1940年代から利用されており、一致するインフルエンザウイルス株に対して60〜80%の有効性であるが、抗原ドリフト変異体に対しては有効性が低く、異なる亜型に対しては無効である。従って、新しい株又は亜型の感染を防ぐには、毎年ワクチンを接種する必要がある。現在の季節性インフルエンザワクチンは、2つのA型インフルエンザウイルス(H1N1及びH3N2)及び1つ又は2つのB型インフルエンザウイルスからなる。さらに、ワクチン接種率及び生産が、世界的に常に問題となっている。現在認可されているインフルエンザウイルスワクチンは鶏卵で生産されるため、何百万個もの卵を利用する必要があるとともに、ワクチン株を同定してからワクチンが利用可能になるまでにかなりの時間を要する。加えて、このワクチン接種戦略は、予想外の株、集団発生、又は世界的流行に対して防御を提供しない。インフルエンザウイルス感染を予防し、制御するための、新規のワクチン接種戦略が必要とされている。 本発明は、異種ポリペプチドを発現する異種ヌクレオチド配列を含むパラインフルエンザウイルス5型(PIV5)ゲノムを含むウイルス発現ベクターを含み、ここで異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(neuroaminidase)(HN)遺伝子とラージRNAポリメラーゼタンパク質(L)遺伝子との間には挿入されない。 一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージRNAポリメラーゼタンパク質(L)遺伝子との間よりリーダーの近くに挿入される。 一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのスモール疎水性タンパク質(SH)遺伝子とヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子との間に挿入される。 一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのF遺伝子とSH遺伝子との間に挿入される。 一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのVP遺伝子と基質タンパク質(M)遺伝子との間に挿入される。 一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのM遺伝子とF遺伝子との間に挿入される。 一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのヌクレオカプシドタンパク質(NP)遺伝子とV/P遺伝子との間に挿入される。 一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのリーダー配列とヌクレオカプシドタンパク質(NP)遺伝子との間に挿入される。 一部の実施形態では、PIV5のF又はHN遺伝子の一部が、異種ヌクレオチド配列で置換されている。 一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列はSH遺伝子ヌクレオチド配列を置換する。 一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、SH遺伝子ヌクレオチド配列内、NP遺伝子ヌクレオチド配列内、V/P遺伝子ヌクレオチド配列内、M遺伝子ヌクレオチド配列内、F遺伝子ヌクレオチド配列内、HN遺伝子ヌクレオチド配列内、及び/又はL遺伝子ヌクレオチド配列内に挿入される。 一部の実施形態では、PIV5ゲノムは1つ以上の突然変異をさらに含む。一部の実施形態では、突然変異には、V/P遺伝子の突然変異、V及びPタンパク質の共通N末端の突然変異、V及びPタンパク質の共通N末端の残基26、32、33、50、102、及び/又は157の突然変異、Vタンパク質のC末端が欠損した突然変異、スモール疎水性(SH)タンパク質が欠損した突然変異、融合(F)タンパク質の突然変異、リンタンパク質(P)の突然変異、ラージRNAポリメラーゼ(L)タンパク質の突然変異、イヌパラインフルエンザウイルス由来の残基を組み込む突然変異、アポトーシスを誘導する突然変異、又はそれらの組み合わせが含まれる。一部の実施形態では、突然変異には、PIV5VΔC、PIV5ΔSH、PIV5−P−S308G、又はそれらの組み合わせが含まれる。一部の実施形態では、PIV5ゲノムは1つ以上の突然変異をさらに含む。 一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、パラインフルエンザウイルス1型、パラインフルエンザウイルス2型、パラインフルエンザウイルス3型、パラインフルエンザウイルス4型、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、ウシ呼吸器合胞体ウイルス、ヒトメタニューモウイルス、トリインフルエンザ、イヌインフルエンザ、トリメタニューモウイルス、ニパウイルス、ヘンドラウイルス、狂犬病ウイルス、エボラウイルス、ブタサーコウイルス、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス、ブタインフルエンザウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、イヌジステンパーウイルス、ネコ白血病ウイルス、ヒトカリシウイルス、動物カリシウイルス(veterinary calcivirus)、ヒトノロウイルス、動物ノロウイルス、牛疫ウイルス、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、及び/又はヒト若しくは動物における新興インフルエンザウイルスに由来する。一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、細菌又は寄生体に由来する。 本発明は、異種ポリペプチドを発現する異種ヌクレオチド配列を含むパラインフルエンザウイルス5型(PIV5)ゲノムを含むウイルス発現ベクターを含み、ここで異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージRNAポリメラーゼタンパク質(L)遺伝子との間に挿入され、且つPIV5ゲノムは1つ以上の突然変異をさらに含む。一部の実施形態では、突然変異には、V/P遺伝子の突然変異、V及びPタンパク質の共通N末端の突然変異、V及びPタンパク質の共通N末端の残基26、32、33、50、102、及び/又は157の突然変異、Vタンパク質のC末端が欠損した突然変異、スモール疎水性(SH)タンパク質が欠損した突然変異、融合(F)タンパク質の突然変異、リンタンパク質(P)の突然変異、ラージRNAポリメラーゼ(L)タンパク質の突然変異、イヌパラインフルエンザウイルス由来の残基を組み込む突然変異、アポトーシスを誘導する突然変異、又はそれらの組み合わせが含まれる。一部の実施形態では、突然変異には、PIV5VΔC、PIV5ΔSH、PIV5−P−S308G、又はそれらの組み合わせが含まれる。 一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、パラインフルエンザウイルス1型、パラインフルエンザウイルス2型、パラインフルエンザウイルス3型、パラインフルエンザウイルス4型、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、ウシ呼吸器合胞体ウイルス、ヒトメタニューモウイルス、トリインフルエンザ、イヌインフルエンザ、トリメタニューモウイルス、ニパウイルス、ヘンドラウイルス、狂犬病ウイルス、エボラウイルス、ブタサーコウイルス、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス、ブタインフルエンザウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、イヌジステンパーウイルス、ネコ白血病ウイルス、ヒトカリシウイルス、動物カリシウイルス(veterinary calcivirus)、ヒトノロウイルス、動物ノロウイルス、牛疫ウイルス、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、及び/又はヒト若しくは動物における新興インフルエンザウイルスに由来する。一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、細菌又は寄生体に由来する。 本発明は、異種ポリペプチドを発現する異種ヌクレオチド配列を含むパラインフルエンザウイルス5型(PIV5)ゲノムを含むウイルス発現ベクターを含み、ここで異種ポリペプチドはインフルエンザヌクレオカプシドタンパク質(NP)を含む。一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージRNAポリメラーゼタンパク質(L)遺伝子との間に挿入される。一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージRNAポリメラーゼタンパク質(L)遺伝子との間よりリーダーの近くに挿入され;PIV5ゲノムのヌクレオカプシドタンパク質(NP)遺伝子の上流に挿入され;PIV5ゲノムのリーダー配列の直ちに下流に挿入され;PIV5ゲノムのスモール疎水性タンパク質(SH)遺伝子とヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子との間に挿入され;PIV5ゲノムのF遺伝子とSH遺伝子との間に挿入され;PIV5ゲノムのVP遺伝子と基質タンパク質(M)遺伝子との間に挿入され;PIV5ゲノムのM遺伝子とF遺伝子との間に挿入され;PIV5ゲノムのヌクレオカプシドタンパク質(NP)遺伝子とV/P遺伝子との間に挿入され;PIV5ゲノムのリーダー配列とヌクレオカプシドタンパク質(NP)遺伝子との間に挿入され;ここでPIV5のF又はHN遺伝子の一部が、異種ヌクレオチド配列で置換されており;SH遺伝子ヌクレオチド配列を置換し;SH遺伝子ヌクレオチド配列内、NP遺伝子ヌクレオチド配列内、V/P遺伝子ヌクレオチド配列内、M遺伝子ヌクレオチド配列内、F遺伝子ヌクレオチド配列内、HN遺伝子ヌクレオチド配列内、及び/又はL遺伝子ヌクレオチド配列内に挿入される。一部の実施形態では、PIV5ゲノムは1つ以上の突然変異をさらに含む。一部の実施形態では、突然変異には、V/P遺伝子の突然変異、V及びPタンパク質の共通N末端の突然変異、V及びPタンパク質の共通N末端の残基26、32、33、50、102、及び/又は157の突然変異、Vタンパク質のC末端が欠損した突然変異、スモール疎水性(SH)タンパク質が欠損した突然変異、融合(F)タンパク質の突然変異、リンタンパク質(P)の突然変異、ラージRNAポリメラーゼ(L)タンパク質の突然変異、イヌパラインフルエンザウイルス由来の残基を組み込む突然変異、アポトーシスを誘導する突然変異、又はそれらの組み合わせが含まれる。一部の実施形態では、突然変異には、PIV5VΔC、PIV5ΔSH、PIV5−P−S308G、又はそれらの組み合わせが含まれる。 本明細書に記載されるウイルス発現ベクターの一部の実施形態において、異種ポリペプチドには、インフルエンザヘマグルチニン(HA)、インフルエンザノイラミニダーゼ(NA)、インフルエンザヌクレオカプシドタンパク質(NP)、M1、M2、PA、PB1、PB2、PB1−F2、NS1又はNS2が含まれる。一部の実施形態では、ここでインフルエンザには、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、又はC型インフルエンザウイルスが含まれる。 一部の実施形態では、ここで異種ポリペプチドには、A型インフルエンザウイルスH1〜H18亜型株由来のヘマグルチニン(HA)が含まれる。一部の実施形態では、異種ポリペプチドには、A型インフルエンザウイルスH5N1、H3N2、又はH1N1株由来のヘマグルチニン(HA)が含まれる。一部の実施形態では、異種ポリペプチドには、インフルエンザA型N1〜N10亜型由来のインフルエンザノイラミニダーゼ(NA)が含まれる。一部の実施形態では、NP、M1、M2、PA、PB1、PB2、PB1−F2、NS1又はNS2がA型インフルエンザウイルスH1〜H17株由来であり、且つNAがA型インフルエンザウイルスN1〜N10株由来である。 本発明は、異種ポリペプチドを発現する2つ以上の異種ヌクレオチド配列を有する本明細書に記載されるとおりのウイルス発現ベクターを含む。 本発明は、本明細書に記載されるとおりのウイルス発現ベクターを含むウイルス粒子を含む。 本発明は、本明細書に記載されるとおりのウイルス発現ベクター又はウイルス粒子の組成物を含む。 本発明は、細胞において異種ポリペプチドを発現する方法を含み、この方法は、細胞を、本明細書に記載されるとおりのウイルス発現ベクター、ウイルス粒子、又は組成物と接触させるか又はそれに感染させる工程を含む。 本発明は、対象において異種ポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法を含み、この方法は、本明細書に記載されるとおりのウイルス発現ベクター、ウイルス粒子、又は組成物を対象に投与する工程を含む。一部の実施形態では、免疫応答には、体液性免疫応答及び/又は細胞性免疫応答が含まれる。 本発明は、対象において異種ポリペプチドを発現する方法を含み、この方法は、本明細書に記載されるとおりのウイルス発現ベクター、ウイルス粒子、又は組成物を対象に投与する工程を含む。 本発明は、対象をワクチン接種する方法を含み、この方法は、本明細書に記載されるとおりのウイルス発現ベクター、ウイルス粒子、又は組成物を対象に投与する工程を含む。 本明細書に記載される方法の一部の実施形態では、ウイルス発現ベクター、ウイルス粒子、又は組成物は、鼻腔内に、筋肉内に、局所的に、経口的に、又は卵内に投与される。 用語「及び/又は」は、列挙される要素の1つ若しくは全て又は列挙される要素の任意の2つ以上の組み合わせを意味する。 語句「好ましい」及び「好ましくは」は、ある状況下で特定の利益をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は他の状況下で他の実施形態が好ましいこともまたある。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用でないことを含意するものではなく、本発明の範囲から他の実施形態を除外することは意図されない。 用語「〜を含む(comprises)」及びその変化形は、これらの用語が説明及び特許請求の範囲に出現する場合に、限定する意味を有しない。 特記されない限り、「a」、「an」、「the」、及び「少なくとも1つ」は同義的に使用され、1つ又は2つ以上を意味する。 また、本明細書において、端点による数値範囲の記載は、当該の範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1〜5は1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5を含む等)。 個別的な工程を含む本明細書に開示される任意の方法について、それらの工程は、任意の実行可能な順序で行われ得る。また、必要に応じて、2つ以上の工程の任意の組み合わせを同時に行ってもよい。 特に指示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される構成成分の分量、分子量などを表現する数値は全て、いずれの場合にも用語「約」により修飾されていると理解されるべきである。従って、特にそうでない旨が指示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲に示される数値パラメータは概数であり、本発明により達成しようとする所望の特性に応じて異なり得る。最低限でも、また均等論を特許請求の範囲に限定しようとするものではないが、各数値パラメータは、少なくとも、報告される有効桁の数を踏まえて、且つ通常の丸め方を適用することにより解釈されなければならない。 本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは概数であるが、しかしなお、具体例に示される数値は可能な限り正確に報告される。しかしながら、数値は全て、本質的に、それぞれの試験計測値に存在する標準偏差によって必然的にもたらされる範囲を含んでいる。 本発明の上記の要約は、本発明の開示されるそれぞれの実施形態又はあらゆる実施態様を記載することを意図したものではない。以下に続くより詳細な説明は、例示的な実施形態を示す。本願全体を通じたいくつかの部分で、例を列挙して指針を提供しており、それらの例は、様々な組み合わせで用いることができる。それぞれの場合に、記載される列挙は代表例をまとめたものとして供され、排他的な列挙として解釈されてはならない。 全体を通じ、見出しは全て、読者の便宜のためであり、指定する旨がない限り、その見出しに続く本文の意味を限定するために用いられてはならない。PIV5ゲノム構造を示す。PIV5ゲノムは7つの既知の転写単位を含み、8つの既知のウイルスmRNAを転写する。V及びP mRNAは、いずれも、疑似鋳型転写と呼ばれるRNA編集プロセスにより同じV/P遺伝子から生じる。V mRNAはV/P遺伝子から忠実に転写されるが、P mRNAは、V mRNA転写中、RNAポリメラーゼスタッタリングに起因して特定の部位に2つの鋳型なしG残基が挿入されることによって生じる。リーダー及びトレーラー配列は、ウイルスRNAの合成及び転写開始に重要である。マイナス鎖RNAウイルスは、リーダー配列においてのみ転写が開始され、そのリーダー配列に最も近い遺伝子が最も多く転写される。PIV5−H5が致死性H5N1の攻撃を防御したことを示す。図2AはZL48の概略図であり、ZL48は、HNとLとの間に挿入されたH5を有する(PIV5−H5HLとしても知られる)。PIV5−H5が致死性H5N1の攻撃を防御したことを示す。図2Bは、H5N1攻撃後の体重減少を示す。マウス(n=10/群)に、106pfuのPIV5、ZL48、ZL46及び不活化インフルエンザA/VN/03/04株(HPAI H5N1)を接種した。ZL46は、SHとHNとの遺伝子間にH5挿入を有する。接種後21日目、マウスを致死量のH5N1に感染させた。マウスの体重を記録し、体重減少を図示した。PIV5−H5が致死性H5N1の攻撃を防御したことを示す。図2Cは生存率を示す。PIV5−H5が致死性H5N1の攻撃を防御したことを示す。図2Dは、攻撃後の肺におけるウイルス力価を示す。H5N1による攻撃後4日目、感染したマウスの肺を採取し、肺におけるH5N1の力価を決定した。PIV5−N1(H5N1)が致死性H5N1攻撃を防御したことを示す。図3Aは、H5N1又はH1N1のNAを発現するPIV5の概略図を示す。PIV5−N1(H5N1)が致死性H5N1攻撃を防御したことを示す。図3Bは、H5N1攻撃後の体重減少を示す。マウス(n=10/群)に、106pfuのPIV5、rPIV5−N1(H5N1)、rPIV5−N1(H1N1)並びにH5N1のHA及びNAを発現する組換えインフルエンザウイルス(rgA/VN−PR8)を接種した。接種後21日目、マウスを致死量のH5N1に感染させた。マウスの体重を記録し、体重減少を図示した。PIV5−N1(H5N1)が致死性H5N1攻撃を防御したことを示す。図3Cは生存率を示す。PIV5−NP(H5N1)が致死性インフルエンザウイルス攻撃を防御したことを示す。図4Aは、H5N1のNPを発現するPIV5の概略図を示す。PIV5−NP−P−S308Gは、Pタンパク質の残基S308に突然変異を有する。PIV5ΔSH−NPは、SHタンパク質の欠失を有する。PIV5−NP(H5N1)が致死性インフルエンザウイルス攻撃を防御したことを示す。図4Bは、致死性H1N1攻撃後の体重減少を示す。マウス(n=10/群)に、105pfuのPIV5、rPIV5−NP(H5N1)、又はインフルエンザウイルスX31株を接種した。接種後21日目、マウスを致死量のH1N1(100 TCID50)に感染させた。マウスの体重を記録し、体重減少を図示した。PIV5−NP(H5N1)が致死性インフルエンザウイルス攻撃を防御したことを示す。図4Cは生存率を示す。PIV5−H5HL及びPIV5−H5LNの概略図を提供する。H5をHNとLとの間に挿入するとPIV5−H5HLを得ることができ、又はリーダー配列とNPとの間に挿入するとPIV5−H5LNを得ることができる。H5挿入のより詳細な図が示される。遺伝子開始(GS)、遺伝子間領域(I)及び遺伝子終了(GE)配列(これらはウイルスmRNA合成の開始及び終結に重要である)が示される。H5N1 PIV5H5のHAの発現レベルが免疫に影響を及ぼしたことを示す。図6Aは、H5N1のHAを発現するPIV5の概略図を示す。H5挿入部位が示される。H5N1 PIV5H5のHAの発現レベルが免疫に影響を及ぼしたことを示す。図6Bは、ワクチン接種マウスのELISA抗体力価を示す。マウスに1000pfuのウイルス(これは図2で用いた用量の1/1,000である)を接種した。接種後21日目、マウスを出血させ、ELISAを用いて抗インフルエンザウイルスの力価を計測した。H5N1 PIV5H5のHAの発現レベルが免疫に影響を及ぼしたことを示す。図6Cは、ワクチン接種マウスの中和抗体力価を示す。中和抗体力価アッセイでは、図6Bの試料を使用した。NPを発現する突然変異体PIV5がより優れた防御を有したことを示す。図7Aは、致死性H1N1攻撃後の体重減少を示す。マウス(n=10/群)に、105pfuのPIV5、rPIV5−NP、PIV5−NP(S308G)、PIV5ΔSH−NP又はインフルエンザウイルスX31株を接種した。PBS、生理食塩緩衝液を対照として含めた。接種後21日目、マウスを致死量のH1N1(1000 TCID50)(図4の10倍の用量)に感染させた。マウスの体重を記録し、体重減少を図示した。NPを発現する突然変異体PIV5がより優れた防御を有したことを示す。図7Bは生存率を示す。PIV5−NP(デルタSH)は、PIV5ΔSH−NPと同じである。H5を発現する突然変異体PIV5が抗体力価に対して影響を与えたことを示す。図8Aは、H5を発現するPIV5突然変異体の概略図を示す。ZL48はPIV5−H5であり、ZL128はPIV5ΔSH−H5であり、ZL127はPIV5VΔC−H5であり、及びZL154はPIV5VΔCΔSH−H5である。H5を発現する突然変異体PIV5が抗体力価に対して影響を与えたことを示す。図8Bは、H5を発現する突然変異体PIV5によって免疫が生じたことを示す。マウス(n=10/群)に、1000pfuのPIV5、rPIV5−H5、PIV5ΔSH−H5又はPIV5VΔC−H5(クローン1及び3)を接種した。接種後21日目、マウスを出血させ、抗H5 IgG力価をELISAで計測した。PIV5タンパク質に代えて目的のワクチン標的のウイルスタンパク質を発現するキメラPIV5である、改良PIV5ベクターの生成に関する概略図を示す。PIV5ベースのHIVワクチン候補を示す。図10Aは、HIVのEnv又はGagを発現するPIV5の概略図を示す。PIV5ベースのHIVワクチン候補を示す。図10Bは、PIV5−Env感染細胞におけるEnvの発現を示す。HeLa細胞をPIV5−Envに感染させた。細胞ライセートをウエスタンブロットにおいて使用した。PIV5ベースのHIVワクチン候補を示す。図10Cは、PIV5−Gag感染細胞におけるGagの発現を示す。HeLa細胞をPIV5−Gagに感染させた。細胞ライセートをウエスタンブロットにおいて使用した。PIV5曝露のないイヌにおける抗PIV5抗体の力価を示す。8匹のPIV5未感作イヌを、8×107PFUのPIV5又はrPIV5−H3ウイルスの1用量で鼻腔内経路により免疫した。イヌは2群に分けた:PIV5感染イヌ及びrPIV5−H3感染イヌ。感染後0日目及び21日目に、ELISA(図11A)及びウイルス中和抗体(nAb)アッセイ(図11B)用の血液試料を採取した。灰色の柱は、PIV5 nAb力価が、このアッセイの検出限界である10未満であることを示している。黒色の柱は、nAb力価が10以上であることを示している。PIV5曝露のないイヌにおける抗PIV5抗体の力価を示す。8匹のPIV5未感作イヌを、8×107PFUのPIV5又はrPIV5−H3ウイルスの1用量で鼻腔内経路により免疫した。イヌは2群に分けた:PIV5感染イヌ及びrPIV5−H3感染イヌ。感染後0日目及び21日目に、ELISA(図11A)及びウイルス中和抗体(nAb)アッセイ(図11B)用の血液試料を採取した。灰色の柱は、PIV5 nAb力価が、このアッセイの検出限界である10未満であることを示している。黒色の柱は、nAb力価が10以上であることを示している。PIV5曝露のないイヌにおけるPIV5の複製を示す。感染後3日目及び5日目にイヌの鼻スワブを採取し、0.5mLの2%FBS含有DMEMが入ったバイアルに入れた。図12Aは、RT−PCRによるウイルスの検出を示す。スワブ試料はBHK21細胞に対するプラークアッセイにより調べた。アッセイでは、段階希釈した各スワブ試料(1:100〜1:102)につき2つのレプリケートを使用した。PIV5曝露のないイヌにおけるPIV5の複製を示す。感染後3日目及び5日目にイヌの鼻スワブを採取し、0.5mLの2%FBS含有DMEMが入ったバイアルに入れた。図12Bは、プラークアッセイによるウイルスの検出を示す。スワブ試料はBHK21細胞に対するプラークアッセイにより調べた。アッセイでは、段階希釈した各スワブ試料(1:100〜1:102)につき2つのレプリケートを使用した。rPIV5−H3を接種したPIV5未感作イヌにおける免疫応答を示す。感染後0日目及び21日目にイヌ血液試料を採取した。96ウェル丸底プレートにおいて、4HAUのA型インフルエンザウイルス(A/Udorn/72、H3N2亜型)を段階希釈したイヌ血清と混合した。赤血球凝集抑制(HAI)力価を、血球凝集を完全に抑制する最大希釈抗血清の逆数としてスコア化した。このグラフは、イヌ毎のデュプリケートウェルの平均値を示す。HAI力価の検出限界(10)が示される。PIV5ワクチン接種イヌにおける抗PIV5抗体の力価を示す。生PIV5をワクチン接種しておいた8匹のイヌを、鼻腔内経路により1mLのPBS中8×107PFUのrPIV5−H3ウイルスの1用量で免疫した。イヌは2群に分けた:2匹のイヌにはPBSを投与した;残りの6匹のイヌにはrPIV5−H3を投与した。感染後0日目及び21日目に、ELISA(図14A)用及びウイルス中和抗体アッセイ(図14B)用の血液試料を採取した。データは、デュプリケートウェルの平均値として提供した。中和抗体アッセイにおいて、白色の柱は、PIV5 nAb力価が10以上であることを示している。PIV5ワクチン接種イヌにおける抗PIV5抗体の力価を示す。生PIV5をワクチン接種しておいた8匹のイヌを、鼻腔内経路により1mLのPBS中8×107PFUのrPIV5−H3ウイルスの1用量で免疫した。イヌは2群に分けた:2匹のイヌにはPBSを投与した;残りの6匹のイヌにはrPIV5−H3を投与した。感染後0日目及び21日目に、ELISA(図14A)用及びウイルス中和抗体アッセイ(図14B)用の血液試料を採取した。データは、デュプリケートウェルの平均値として提供した。中和抗体アッセイにおいて、白色の柱は、PIV5 nAb力価が10以上であることを示している。先行PIV5ワクチン接種を有するイヌにおけるPIV5の複製を示す。イヌの鼻スワブを3及び5dpiで採取した。ウイルスの検出は図12と同じように実施した。図15AはRT−PCRの結果である。先行PIV5ワクチン接種を有するイヌにおけるPIV5の複製を示す。イヌの鼻スワブを3及び5dpiで採取した。ウイルスの検出は図12と同じように実施した。図15Bはプラークアッセイの結果である。rPIV5−H3を接種したPIV5ワクチン接種イヌにおける免疫応答を示す。イヌ血液試料を0及び21dpiで採取した。図13と同じ手法を用いて抗PIV5及び抗HAI力価を決定した。ヒトにおけるPIV5抗体を示す。18〜50歳の健常人から45例のヒト血清試料を得た。図17Aは、抗PIV5及び抗MuV抗体値の比較である。精製PIV5又は精製MuVで被覆したプレートにおいて、段階希釈した血清でELISAを実施した。各ヒト血清試料について320倍希釈で、PIV5又はムンプスウイルス特異的ELISA OD450値を示した。白色の柱は、PIV5 nAb力価が検出限界の10未満であることを示している。黒色の柱は、nAb力価が10以上であることを示している。ヒトにおけるPIV5抗体を示す。18〜50歳の健常人から45例のヒト血清試料を得た。図17Bは、ヒト血清中におけるPIV5に対する中和抗体の力価を示す。抗体力価のデータはデュプリケートウェルの平均値であり、ヒト試料毎に提供した。白色の柱は、PIV5 nAb力価が検出限界の10未満であることを示している。黒色の柱は、nAb力価が10以上であることを示している。H5を発現する組換えPIV5の情報を提供する。図18Aは、H5N1 HAを発現する組換えPIV5の概略図である。多塩基アミノ酸残基を含む切断部位が欠失され、配列が示される。NSPQRERRRKKRGLFGは配列番号1であり、NSPQGLFGは配列番号2である)。H5を発現する組換えPIV5の情報を提供する。図18Bは、H5N1 HAを発現する組換えPIV5ストックの力価を示す。プラーク精製ウイルスをMDBK細胞において成長させ、BHK細胞で力価測定した。PIV5ゲノムのHNとLとの間にH5N1 HAを発現する組換えPIV5の作成及び分析を示す。図19Aは、免疫ブロット法を用いたH5N1 HA発現の確認である。MDBK細胞をZL48に感染させ、24hpiで溶解した。このライセートをSDS−PAGEゲル上で泳動させ、抗H5N1 HAでイムノブロットした。PIV5ゲノムのHNとLとの間にH5N1 HAを発現する組換えPIV5の作成及び分析を示す。図19Bは、免疫蛍光法(IF)を用いたH5N1 HA発現の確認である。MDBK細胞をZL48に感染させ、抗H5N1 HAで染色した。IFに用いた抗体はパネルの左側に示した。PIV5ゲノムのHNとLとの間にH5N1 HAを発現する組換えPIV5の作成及び分析を示す。図19Cは、rPIV5−H5の成長率を示す。MDBK細胞をMOI0.1でPIV5又はZL48に感染させた。24時間毎に培地を採取した。プラークアッセイを用いて培地中のウイルスの力価を決定した。rPIV5−H5を接種したマウスにおける免疫応答を示す。マウスを鼻腔内経路により106pfuの用量でPIV5又はZL48に感染させた。図20Aは抗HAのELISA力価を示す。マウスを106pfuのZL48又はPIV5に感染させた。21dpiでマウスを出血させた。ELISAを用いて抗HAの力価を決定した。rPIV5−H5を接種したマウスにおける免疫応答を示す。マウスを鼻腔内経路により106pfuの用量でPIV5又はZL48に感染させた。図20Bは、抗HA力価のブーストを示す。図20Aのマウスを28dpiでブーストし、35dpiで出血させた。ELISAを用いて抗HAの力価を計測した。rPIV5−H5を接種したマウスにおける免疫応答を示す。マウスを鼻腔内経路により106pfuの用量でPIV5又はZL48に感染させた。図20Cは中和力価を示す。PIV5又はZL48をワクチン接種したマウスの血清中におけるH5N1に対するnAbの力価を、「材料及び方法」に記載されるとおり決定した。rPIV5−H5を接種したマウスにおける免疫応答を示す。マウスを鼻腔内経路により106pfuの用量でPIV5又はZL48に感染させた。図20Dは細胞媒介性応答を示す。ELISpot分析により決定するときのワクチン接種後12日目の縦隔リンパ節におけるIFN−γ産生リンパ球(n=3マウス/群のプール)。データは平均値±SEMとして提示する。マウスにおけるrgVN−PR8(H5N1)攻撃に対するrPIV5−H5の有効性を示す。マウスに、106pfu/マウスの用量でPBS、PIV5又はZL48(n=10/群)を接種した。21dpiで、マウスを1,000 TCID50の用量のrgVN−PR8(H5N1)で攻撃した。攻撃後4日目に肺を採取した。マウスの肺におけるrgPR8H5N1の力価を、プラークアッセイを用いて決定した。マウスにおけるrgVN−PR8(H5N1)攻撃に対するrPIV5−H5の有効性を示す。マウスに、106pfu/マウスの用量でPBS、PIV5又はZL48(n=10/群)を接種した。21dpiで、マウスを1,000 TCID50の用量のrgVN−PR8(H5N1)で攻撃した。攻撃後4日目に肺を採取した。マウスの肺におけるrgPR8H5N1の力価を、プラークアッセイを用いて決定した。マウスにおけるHPAI H5N1攻撃に対するrPIV5−H5の有効性を示す。マウスに、106pfu/マウスの用量でPBS、PIV5又はZL48(n=15/群)を接種した。21dpiで、10 LD50の用量のHPAI H5N1によりマウスを攻撃した。図22Aは、H5N1で攻撃したマウスの体重を示す。体重は攻撃後毎日、15日間にわたりモニタした。体重は、元の(攻撃当日の)体重に対する割合の平均としてグラフ化する。マウスにおけるHPAI H5N1攻撃に対するrPIV5−H5の有効性を示す。マウスに、106pfu/マウスの用量でPBS、PIV5又はZL48(n=15/群)を接種した。21dpiで、10 LD50の用量のHPAI H5N1によりマウスを攻撃した。図22Bは生存率を示す。マウスにおけるHPAI H5N1攻撃に対するrPIV5−H5の有効性を示す。マウスに、106pfu/マウスの用量でPBS、PIV5又はZL48(n=15/群)を接種した。21dpiで、10 LD50の用量のHPAI H5N1によりマウスを攻撃した。図22Cは、H5N1で攻撃したマウスの肺力価を示す。マウス(N=5)は、H5N1攻撃後4日目に犠牲にした。MDCK細胞におけるプラークアッセイを用いて力価を決定した。H5N1 HAを発現する組換えPIV5の分析である。図23Aは、H5N1 HAを発現する組換えPIV5を感染させた細胞におけるH5N1 HA発現の分析である。細胞をMOI1でZL46、ZL47及びZL48並びにPIV5に感染させた。感染細胞におけるH5N1 HAの発現レベルを、「材料及び方法」に記載されるとおりフローサイトメトリーを用いて決定した。感染細胞からの培地を24時間毎に採取し、プラークアッセイに用いてウイルスの力価を決定した。H5N1 HAを発現する組換えPIV5の分析である。図23Bは、組織培養細胞における組換えウイルスの成長率を示す。細胞をMOI0.1でウイルスに感染させた。感染細胞からの培地を24時間毎に採取し、プラークアッセイに用いてウイルスの力価を決定した。組換えウイルスのインビボ成長を示す。マウス(n=5)を鼻腔内経路により106pfuの用量でウイルスに感染させた。4dpiで肺を採取し、プラークアッセイに用いてウイルスの力価を決定した。H5N1 HAを発現する組換えPIV5の、HPAI H5N1攻撃に対する有効性を示す。マウスを鼻腔内経路により103、104、又は105pfuの用量でPIV5又はZL48に感染させた。24dpiで、マウスを10 LD50のH5N1により攻撃した。マウスの体重を毎日モニタした。図25Aは、10 LD50のA/ベトナム/1203/04で攻撃したマウスのログ・ランク生存分析である。103pfu(図25B)、104pfu(図25C)、又は105pfu(図25D)をワクチン接種し、且つ10 LD50のHPAI H5N1で攻撃したマウスの相対体重。rgVN−PR8をワクチン接種したマウスには、2000pfuのウイルスを投与した。H5N1 HAを発現する組換えPIV5の、HPAI H5N1攻撃に対する有効性を示す。マウスを鼻腔内経路により103、104、又は105pfuの用量でPIV5又はZL48に感染させた。24dpiで、マウスを10 LD50のH5N1により攻撃した。マウスの体重を毎日モニタした。図25Aは、10 LD50のA/ベトナム/1203/04で攻撃したマウスのログ・ランク生存分析である。103pfu(図25B)、104pfu(図25C)、又は105pfu(図25D)をワクチン接種し、且つ10 LD50のHPAI H5N1で攻撃したマウスの相対体重。rgVN−PR8をワクチン接種したマウスには、2000pfuのウイルスを投与した。H5N1 HAを発現する組換えPIV5の、HPAI H5N1攻撃に対する有効性を示す。マウスを鼻腔内経路により103、104、又は105pfuの用量でPIV5又はZL48に感染させた。24dpiで、マウスを10 LD50のH5N1により攻撃した。マウスの体重を毎日モニタした。図25Aは、10 LD50のA/ベトナム/1203/04で攻撃したマウスのログ・ランク生存分析である。103pfu(図25B)、104pfu(図25C)、又は105pfu(図25D)をワクチン接種し、且つ10 LD50のHPAI H5N1で攻撃したマウスの相対体重。rgVN−PR8をワクチン接種したマウスには、2000pfuのウイルスを投与した。H5N1 HAを発現する組換えPIV5の、HPAI H5N1攻撃に対する有効性を示す。マウスを鼻腔内経路により103、104、又は105pfuの用量でPIV5又はZL48に感染させた。24dpiで、マウスを10 LD50のH5N1により攻撃した。マウスの体重を毎日モニタした。図25Aは、10 LD50のA/ベトナム/1203/04で攻撃したマウスのログ・ランク生存分析である。103pfu(図25B)、104pfu(図25C)、又は105pfu(図25D)をワクチン接種し、且つ10 LD50のHPAI H5N1で攻撃したマウスの相対体重。rgVN−PR8をワクチン接種したマウスには、2000pfuのウイルスを投与した。RV−Gタンパク質を発現する組換えPIV5(rPIV5−RV−G)の作成を示す。図26AはrPIV5−RV−Gの概略図である。NP、核タンパク質;P、リンタンパク質;V、Vタンパク質;M、基質タンパク質;SH、スモール疎水性タンパク質;F、融合タンパク質;HN、ヘマグルチニン−ノイラミニダーゼタンパク質;L、RNA依存性RNAポリメラーゼ。リーダー及びトレーラー配列は、PIV5 RNA複製にとって重要である。RV−Gタンパク質を発現する組換えPIV5(rPIV5−RV−G)の作成を示す。図26Bは、IFAを用いたRV−G発現の検出を示す。マウス抗RV−G抗体を使用した間接免疫蛍光アッセイ(IFA)によってrPIV5−RV−G感染MDBK細胞でRV−G発現を同定し、一方でPIV5感染細胞を陰性対照として使用した。RV−Gタンパク質を発現する組換えPIV5(rPIV5−RV−G)の作成を示す。図26Cは、WBを用いたRV−G発現の検出を示す。マウス抗RV−G抗体を使用したウエスタンブロッティング(WB)によってrPIV5−RV−G感染MDBK細胞でRV−G発現を調べ、PIV5感染細胞を陰性対照とした。細胞におけるPIV5とrPIV5−RV−Gとの成長動態の比較である。図27Aは、マルチサイクル成長アッセイである。MOI0.01でMDBK細胞においてPIV5及びrPIV5−RV−Gのマルチサイクル成長曲線を実施した。細胞培養物からの上清のアリコートを24時間毎に感染後120時間まで採取した。上清のウイルス力価を、BHK21細胞におけるプラークアッセイにより決定した。値は、2つの独立した実験の結果の平均を表し、エラーバーは標準偏差を示す。細胞におけるPIV5とrPIV5−RV−Gとの成長動態の比較である。図27Bは、シングルサイクル成長アッセイである。MOI5でMDBK細胞においてPIV5及びrPIV5−RV−Gのシングルサイクル成長曲線を実施した。細胞培養物からの上清のアリコートを12時間毎に感染後60時間まで採取した。上清のウイルス力価を、BHK21細胞におけるプラークアッセイにより決定した。値は、2つの独立した実験の結果の平均を表し、エラーバーは標準偏差を示す。rPIV5−RV−GビリオンにおけるRV−Gの取り込みを示す。10%から80%(wt/vol)へのショ糖勾配によってウイルス粒子を精製した。10%SDS−PAGEを用いることによりウイルスタンパク質を分析し、RV−Gに対するマウス抗体によるウエスタンブロット分析に供した。RV−Gタンパク質の位置を示す。マウスにおける狂犬病攻撃に対するrPIV5−RV−Gのプライム−ブースト免疫の有効性を示す。マウスの群(n=10、各群)を10倍希釈のrPIV5−RV−Gウイルス(103PFU〜106PFU)により鼻腔内免疫した。対照マウスには106PFUのPIV5又はPBSを接種した。プライムワクチン接種後3週間目、動物を同量のワクチンでブーストした。ブーストの1週間後、全てのマウスをI.C.経路により50 LD50のCVS−24株で攻撃した。図29AはVNA試験である。攻撃前に血清試料を採取し、迅速蛍光フォーカス抑制試験(RFFIT)による狂犬病ウイルスに対するVNA力価の計測に使用した。簡潔に言えば、血清中のVNA力価を既知の標準(既知の濃度の国際単位(IU)毎ミリメートル溶液を含む)と比較した。106PFUと105PFU、105PFUと104PFUの接種間のVNA力価は統計的に有意である(P値はそれぞれ0.0001及び0.0004である、これらはスチューデントのt検定を用いて計算される);104PFUと103PFUとの間のVNA力価は統計的に差がない(P値は0.06である)。マウスにおける狂犬病攻撃に対するrPIV5−RV−Gのプライム−ブースト免疫の有効性を示す。マウスの群(n=10、各群)を10倍希釈のrPIV5−RV−Gウイルス(103PFU〜106PFU)により鼻腔内免疫した。対照マウスには106PFUのPIV5又はPBSを接種した。プライムワクチン接種後3週間目、動物を同量のワクチンでブーストした。ブーストの1週間後、全てのマウスをI.C.経路により50 LD50のCVS−24株で攻撃した。図29Bは生存率を示す。感染動物は狂犬病の臨床徴候について毎日、22日間観察し、生存率をプロットした。マウスにおける狂犬病攻撃に対するrPIV5−RV−Gの1用量免疫の有効性を示す。マウスの群(n=10、各群)に10倍希釈のrPIV5−RV−Gウイルス(105PFU〜107PFU)を鼻腔内免疫し、又はrPIV5−RV−Gウイルス(106PFU〜108PFU)を筋肉内ワクチン接種した。対照マウスに106PFUのPIV5を接種した。3週間後、各群の全てのマウスをI.C.経路により50 LD50のCVS−24株で攻撃した。図30AはVNA試験である。攻撃前に血清試料を採取し、RFFITによる狂犬病ウイルスに対するVNA力価の計測に使用した。IN 107と106PFU、IM 107と106PFUとの間のVNA力価は統計的に有意である(P値はそれぞれ0.018及び0.008である)。IN 106と105PFU、IM 107と108PFUとの間のVNA力価は統計的に差がない(P値はそれぞれ0.11及び0.402である)。マウスにおける狂犬病攻撃に対するrPIV5−RV−Gの1用量免疫の有効性を示す。マウスの群(n=10、各群)に10倍希釈のrPIV5−RV−Gウイルス(105PFU〜107PFU)を鼻腔内免疫し、又はrPIV5−RV−Gウイルス(106PFU〜108PFU)を筋肉内ワクチン接種した。対照マウスに106PFUのPIV5を接種した。3週間後、各群の全てのマウスをI.C.経路により50 LD50のCVS−24株で攻撃した。図30Bは生存率を示す。感染動物は狂犬病の臨床徴候について毎日、22日間観察した。マウスにおける狂犬病攻撃に対するrPIV5−RV−Gの経口免疫の有効性を示す。マウスの群(n=10、各群)に106PFUのrPIV5−RV−Gの1用量を鼻腔内免疫し、又はIM若しくは経口経路で108PFUのrPIV5−RV−Gウイルスをワクチン接種した。陽性対照として、マウスのある群をIM経路により1×107FFUの狂犬病ワクチンLBNSE株で免疫した。対照マウスには106PFUのPIV5又はPBSを接種した。3週間後、各群の全てのマウスをI.C.経路により50 LD50のCVS−24株で攻撃した。図31AはVNA試験である。攻撃前に血清試料を採取し、RFFITによる狂犬病ウイルスに対するVNA力価の計測に使用した。IN(106PFU)とIM(108PFU)との間のVNA力価は統計的に差がない(スチューデントのt検定を用いて計算したP値は0.66である)。経口とIN又はIMとの間のVNA力価は統計的に有意である(P値はそれぞれ0.03及び0.003である)。マウスにおける狂犬病攻撃に対するrPIV5−RV−Gの経口免疫の有効性を示す。マウスの群(n=10、各群)に106PFUのrPIV5−RV−Gの1用量を鼻腔内免疫し、又はIM若しくは経口経路で108PFUのrPIV5−RV−Gウイルスをワクチン接種した。陽性対照として、マウスのある群をIM経路により1×107FFUの狂犬病ワクチンLBNSE株で免疫した。対照マウスには106PFUのPIV5又はPBSを接種した。3週間後、各群の全てのマウスをI.C.経路により50 LD50のCVS−24株で攻撃した。図31Bは生存率を示す。感染動物は狂犬病の臨床徴候について毎日、22日間観察した。卵内経路によりPIV5−H5を接種したニワトリの抗インフルエンザ抗体力価を示す。100μlのPIV5−H5を用いて18日齢のSPF胚に卵内ワクチン接種した(力価は各群の下に示す)。孵化後(ah)14日目及び28日目にニワトリを出血させた。血球凝集抑制(hemagglination−inhibition)(HI)力価をOIE勧告に従い決定した。y軸はHI力価(log2)である。12羽のニワトリ(対照については10羽のニワトリ)の平均力価及び該当する標準偏差が柱に示される。それぞれの同居させた非ワクチン接種接触ニワトリのHI力価が、該当する柱の上にある。は、H5N1のHAを発現する組換えPIV5の概略図を示す。PIV5−H5(ZL48)は、PIV5のHNとLとの遺伝子間にH5挿入を有する。PIV5ΔSH−H5はSH遺伝子が欠損している。PIV5VΔC−H5は、Vタンパク質の保存されたC末端が欠損している。このウイルスの2つの異なる分離株が得られており、試験されることになる。SH欠失と保存されたC末端の欠失とを組み合わせてPIV5VΔCΔSH−H5が作製されている。SH又はVΔCの欠失により、マウスの減弱が引き起こされる。PIV5−H5がHAをビリオンに取り込み、感染中にH5を発現することを示す。図34AはZL48及びZL48のゲノムを示す概略図であり、H5HA遺伝子挿入の位置を示している。PIV5−H5がHAをビリオンに取り込み、感染中にH5を発現することを示す。図34Bでは、MDBK細胞を、PIV5、ZL48、又はZL46(MOI=0.1)に72時間感染させ、上清(supernatent)を採取し、SDS−PAGEゲルで分離してクマシーブルー染色により画像化した精製上清を比較した。PIV5−H5がHAをビリオンに取り込み、感染中にH5を発現することを示す。図34Cでは、MDBK細胞を、PIV5、ZL48、又はZL46(MOI=5)に感染させ、24時間後に溶解し、SDS−PAGEゲルで分離し、PVDFに移し、PIV5のV/Pタンパク質に特異的なモノクローナル抗体及びHAを検出するためrgA/VN−PR8に感染させたマウス由来の高度免疫血清でブロットした。サイズはkDa単位である。PIV5−H5がHAをビリオンに取り込み、感染中にH5を発現することを示す。図34Dでは、Vero細胞をPIV5又はZL46に感染させるか、又はモック感染させた。p.i.24時間で、細胞を固定し、抗H5及び抗V/Pモノクローナル抗体で染色した。免疫蛍光顕微鏡写真を倍率20倍で撮影した(バー、200μm)。生PIV5−H5による免疫化がHA特異的免疫応答を誘導することを示す。BALB/cマウス(n=5/群)を、PIV5 IN、ZL46 IN若しくはIM、不活化ZL46 IM(iZL46)、又は不活化A/VN/1203/04(iA/VN/1203/04) IMで免疫した。免疫後7日目、14日目及び21日目にマウスを出血させた。血清は分析用にプールした。図35Aでは、IgG(H&L)特異的ELISAを用いて血清試料中のHA(H5)特異的抗体力価を計測した。点線は検出限界を表す。生PIV5−H5による免疫化がHA特異的免疫応答を誘導することを示す。BALB/cマウス(n=5/群)を、PIV5 IN、ZL46 IN若しくはIM、不活化ZL46 IM(iZL46)、又は不活化A/VN/1203/04(iA/VN/1203/04) IMで免疫した。免疫後7日目、14日目及び21日目にマウスを出血させた。血清は分析用にプールした。図35Bは、免疫後血清中のrg A/VN−PR8中和抗体力価を示す。マウスをPIV5、ZL46、又は致死量以下のrgA/VN−PR8でIN又はIM免疫し、感染後14日目又は21日目に鼻洗浄(図35C)及び気管支肺胞洗浄(BAL)(図35D)を実施した。HA特異的IgG ELISAによる分析用に試料をプールした。生PIV5−H5による免疫化がHA特異的免疫応答を誘導することを示す。BALB/cマウス(n=5/群)を、PIV5 IN、ZL46 IN若しくはIM、不活化ZL46 IM(iZL46)、又は不活化A/VN/1203/04(iA/VN/1203/04) IMで免疫した。免疫後7日目、14日目及び21日目にマウスを出血させた。血清は分析用にプールした。図35Bは、免疫後血清中のrg A/VN−PR8中和抗体力価を示す。マウスをPIV5、ZL46、又は致死量以下のrgA/VN−PR8でIN又はIM免疫し、感染後14日目又は21日目に鼻洗浄(図35C)及び気管支肺胞洗浄(BAL)(図35D)を実施した。HA特異的IgG ELISAによる分析用に試料をプールした。生PIV5−H5による免疫化がHA特異的免疫応答を誘導することを示す。BALB/cマウス(n=5/群)を、PIV5 IN、ZL46 IN若しくはIM、不活化ZL46 IM(iZL46)、又は不活化A/VN/1203/04(iA/VN/1203/04) IMで免疫した。免疫後7日目、14日目及び21日目にマウスを出血させた。血清は分析用にプールした。図35Bは、免疫後血清中のrg A/VN−PR8中和抗体力価を示す。マウスをPIV5、ZL46、又は致死量以下のrgA/VN−PR8でIN又はIM免疫し、感染後14日目又は21日目に鼻洗浄(図35C)及び気管支肺胞洗浄(BAL)(図35D)を実施した。HA特異的IgG ELISAによる分析用に試料をプールした。生PIV5−H5による免疫化がHA特異的免疫応答を誘導することを示す。BALB/cマウス(n=5/群)を、PIV5 IN、ZL46 IN若しくはIM、不活化ZL46 IM(iZL46)、又は不活化A/VN/1203/04(iA/VN/1203/04) IMで免疫した。免疫後7日目、14日目及び21日目にマウスを出血させた。血清は分析用にプールした。図35Eは、ELISpot分析により決定するときのワクチン接種後12日目の縦隔リンパ節におけるIFN−γ産生リンパ球(n=3マウス/群のプール)を示す。データは平均値±SEMとして提示する。生PIV5−H5による免疫化がHPAI攻撃を防御することを示す。BALB/cマウスを、PIV5、rPIV5−H5(ZL46)、不活化rPIV5−H5(iZL46) IM、致死量以下のrgA/VN−PR8 IN、又はrgA/VN−PR8 IMでIN又はIM免疫した。p.i.28日でマウスを10 LD50 A/VN/1203/04によりIN攻撃した。図36Aでは、マウスの体重をモニタし、その攻撃前の体重に対する割合の平均値±SEMとして提示した(n=8)。生PIV5−H5による免疫化がHPAI攻撃を防御することを示す。BALB/cマウスを、PIV5、rPIV5−H5(ZL46)、不活化rPIV5−H5(iZL46) IM、致死量以下のrgA/VN−PR8 IN、又はrgA/VN−PR8 IMでIN又はIM免疫した。p.i.28日でマウスを10 LD50 A/VN/1203/04によりIN攻撃した。図36Bは、攻撃後生き残ったマウスの割合を示す。生PIV5−H5による免疫化がHPAI攻撃を防御することを示す。BALB/cマウスを、PIV5、rPIV5−H5(ZL46)、不活化rPIV5−H5(iZL46) IM、致死量以下のrgA/VN−PR8 IN、又はrgA/VN−PR8 IMでIN又はIM免疫した。p.i.28日でマウスを10 LD50 A/VN/1203/04によりIN攻撃した。図36Cは、攻撃後3日目にMDCK細胞に対するTCID50により計測したときの肺における攻撃ウイルス力価を示す(n=5/群)。データは、平均対数変換TCID50/ml肺ホモジネート±SEMとして提示する。検出限界は100 TCID50/mlであった。PIV5−H5によるブーストがHA特異的抗体反応を増強することを示す。BALB/cマウス(n=5/群)を、PIV5 IN、ZL46 IN若しくはIM、不活化ZL46 IM(iZL46)、又は不活化A/VN/1203/04 IM(iA/VN/1203/04)で免疫した。免疫後7日目、14日目、及び21日目にマウスを出血させた。免疫後28日目、マウスを前回と同じくブーストし、ブースト後7日目及び14日目に血清を採取した。血清は分析用にプールした。図37Aでは、IgG特異的ELISAを用いて血清試料中のHA(H5)特異的抗体力価を計測した。点線は検出限界を表す。PIV5−H5によるブーストがHA特異的抗体反応を増強することを示す。BALB/cマウス(n=5/群)を、PIV5 IN、ZL46 IN若しくはIM、不活化ZL46 IM(iZL46)、又は不活化A/VN/1203/04 IM(iA/VN/1203/04)で免疫した。免疫後7日目、14日目、及び21日目にマウスを出血させた。免疫後28日目、マウスを前回と同じくブーストし、ブースト後7日目及び14日目に血清を採取した。血清は分析用にプールした。図37Bは、免疫後血清中のrgA/VN−PR8中和抗体力価を示す。マウスをrgA/VN−PR8で攻撃し、攻撃後3日目に、MDCK細胞に対するTCID50により計測したときの肺におけるウイルス力価を計測した(n=5/群)。データは、平均対数変換TCID50/ml肺ホモジネート±SEMとして提示する。検出限界は100 TCID50/mlであった。PIV5−H5によるブーストがHA特異的抗体反応を増強することを示す。BALB/cマウス(n=5/群)を、PIV5 IN、ZL46 IN若しくはIM、不活化ZL46 IM(iZL46)、又は不活化A/VN/1203/04 IM(iA/VN/1203/04)で免疫した。免疫後7日目、14日目、及び21日目にマウスを出血させた。免疫後28日目、マウスを前回と同じくブーストし、ブースト後7日目及び14日目に血清を採取した。血清は分析用にプールした。図37Cでは、マウスをrgA/VN−PR8で攻撃し、攻撃後3日目に、TCID50により肺におけるウイルス力価を計測した(n=5/群)。PIV5−NPウイルスの概略図であり、PIV5ゲノムは、3’−NP−V/P−M−F−SH−HN−L−5’の順番で7つの遺伝子を含み、ゲノムの端部にリーダー及びトレーラー領域が位置する。PIV5ゲノムの指示される遺伝子接合部にH5N1−NP遺伝子を挿入した。PIV5及びPIV5−NP−HN/Lのインビトロ及びインビボ成長を示す。図39Aは、組織培養細胞におけるPIV5及びPIV5−NP−HN/Lの多段階成長曲線を示す。MDBK細胞を、MOI0.1でPIV5又はPIV5−NP−HN/Lに感染させ、24時間毎に培地を採取した。BHK細胞に対するプラークアッセイによりウイルス力価を決定した。PIV5及びPIV5−NP−HN/Lのインビトロ及びインビボ成長を示す。図39Bでは、マウスに105pfuのPIV5又はPIV5−NP−HN/Lを鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン接種後3日目にマウスを安楽死させて肺ウイルス力価を決定した。PIV5−NP−HN/Lによって誘導されたマウスにおけるNP抗体値を示す。マウスに106pfuのPIV5、PIV5−NP−HN/L又は105pfuのX31を鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン接種後21日目、血液試料を採取し、血清を調製した。精製H5N1−NPを使用して、製造者の指示(KPL,Inc)に従いELISAを実施した。PIV5−NP−HN/Lによって誘導されたマウスにおけるT細胞応答を示す。マウスに、PBS、107pfuのPIV5、PIV5−NP−HN/L又は0.1 LD50のPR8を鼻腔内ワクチン接種した(n=5/群)。ワクチン接種後21日目、マウスを犠牲にし、脾臓を採取した。脾細胞を、Flu−NP、陰性対照としてのエボラGP P2、又は陽性対照としてのPMA/イオノマイシンで再刺激した。結果は、106脾細胞当たりの平均サイトカイン分泌細胞数として提示する。H1N1攻撃に対するPIV5−NP−HN/Lの防御を示す。マウスに、PBS、106pfuのPIV5、PIV5−NP−HN/L又は105pfuのX31を鼻腔内ワクチン接種した(n=10/群)。ワクチン接種後21日目、マウスを10 LD50 A/PR/8/34(H1N1)で攻撃した。体重減少(図42A)及び生存率(図42B)を攻撃後14日間、毎日モニタした。体重減少は、元の(攻撃当日の)体重に対する割合の平均として提示する。H1N1攻撃に対するPIV5−NP−HN/Lの防御を示す。マウスに、PBS、106pfuのPIV5、PIV5−NP−HN/L又は105pfuのX31を鼻腔内ワクチン接種した(n=10/群)。ワクチン接種後21日目、マウスを10 LD50 A/PR/8/34(H1N1)で攻撃した。体重減少(図42A)及び生存率(図42B)を攻撃後14日間、毎日モニタした。体重減少は、元の(攻撃当日の)体重に対する割合の平均として提示する。H1N1攻撃に対するPIV5−NP−HN/Lの防御を示す。マウスに、PBS、106pfuのPIV5、PIV5−NP−HN/L又は105pfuのX31を鼻腔内ワクチン接種した(n=10/群)。ワクチン接種後21日目、マウスを10 LD50 A/PR/8/34(H1N1)で攻撃した。図42Cは、H1N1で攻撃したマウスの肺力価を示す。攻撃後3日目にマウス(n=5)を犠牲にした。MDCK細胞を使用したTCID50アッセイを用いて力価を決定した。H5N1 HPAI攻撃に対するPIV5−NP−HN/Lの防御を示す。マウスに、PBS、107pfuのPIV5又はPIV5−NP−HN/Lをワクチン接種した(n=10/群)。ワクチン接種後21日目、マウスを10 LD50 H5N1 HPAIで攻撃した。体重減少(図43A)及び生存率(図43B)をインフルエンザウイルス攻撃後16日間モニタした。H5N1 HPAI攻撃に対するPIV5−NP−HN/Lの防御を示す。マウスに、PBS、107pfuのPIV5又はPIV5−NP−HN/Lをワクチン接種した(n=10/群)。ワクチン接種後21日目、マウスを10 LD50 H5N1 HPAIで攻撃した。体重減少(図43A)及び生存率(図43B)をインフルエンザウイルス攻撃後16日間モニタした。NPを発現する組換えPIV5の分析を示す。図44Aは、PIV5及びPIV5−NPウイルスの多段階成長曲線を示す。MDBK細胞をMOI0.1でPIV5又はPIV5−NPウイルスに感染させ、24時間毎に培地を採取した。BHK細胞を使用したプラークアッセイによりウイルス力価を決定した。NPを発現する組換えPIV5の分析を示す。図44Bは、PIV5−NPウイルス感染細胞におけるH5N1−NP発現レベルを示す。MDBK細胞をMOI5でPIV5又はPIV5−NPウイルスに感染させた。H5 NPとPIV5−VPとのMFI比をフローサイトメトリーにより調べた。NPを発現する組換えPIV5の分析を示す。図44Cは、PIV5及びPIV5−NPウイルスのインビボ成長を示す。マウスに、105pfuのPIV5又はPIV5−NPウイルスを鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン接種後3日目にマウスを安楽死させて肺ウイルス力価を決定した。PIV5−NPウイルスがT細胞応答をプライミングすることを示す。マウスに、PBS、107pfuのPIV5又はPIV5−NPウイルス、又は0.1 LD50のPR8を鼻腔内ワクチン接種した(n=5/群)。ワクチン接種後21日目、マウスを犠牲にし、脾臓を採取した。脾細胞を、Flu−NP、エボラGP P2、又はPMA/イオノマイシンで再刺激した。結果は、106脾細胞当たりの平均サイトカイン分泌細胞数として提示する。H5N1 HPAI攻撃に対するPIV5−NPウイルスの防御を示す。マウスに、PBS、107pfuのPIV5又はPIV5−NPウイルス、又は2000pfuのrgA/VN−PR8を鼻腔内ワクチン接種した(n=10/群)。ワクチン接種後21日目、マウスを20 LD50 H5N1 HPAIで攻撃した。体重減少(図46A)及び生存率(図46B)をインフルエンザウイルス攻撃後14日間モニタした。体重減少を、元の(攻撃当日の)体重に対する割合の平均としてグラフ化する。H5N1 HPAI攻撃に対するPIV5−NPウイルスの防御を示す。マウスに、PBS、107pfuのPIV5又はPIV5−NPウイルス、又は2000pfuのrgA/VN−PR8を鼻腔内ワクチン接種した(n=10/群)。ワクチン接種後21日目、マウスを20 LD50 H5N1 HPAIで攻撃した。体重減少(図46A)及び生存率(図46B)をインフルエンザウイルス攻撃後14日間モニタした。体重減少を、元の(攻撃当日の)体重に対する割合の平均としてグラフ化する。H5N1抗原を発現する組換えPIV5の概略図を示す。図47Aにおいて、PIV5ゲノム内の既定の挿入部位は、HNとLとの遺伝子間の接合部である。HNとLとの遺伝子間以外への挿入については、組換えウイルスの後ろに遺伝子接合部が加えられる。例えば、SHとHNとの遺伝子間へのH5の挿入は、rPIV5−H5−SH−HNである。挿入された遺伝子には、転写に必要なPIV5由来の遺伝子開始、遺伝子終了及び接合部配列が隣接した。H5N1抗原を発現する組換えPIV5の概略図を示す。図47Bでは、PIV5ゲノム内の既定の挿入部位は、SHとHNとの遺伝子間の接合部である。ワクチンに対するP−S308突然変異の効果を試験する際には、ウイルス遺伝子発現に対する影響が最小限となるように、遺伝子はHNとLとの遺伝子間の接合部に挿入される。生じさせようとする狂犬病ウイルス抗原を発現する組換えPIV5の概略図を示す。PIV5ゲノム内の初期試験用の既定の挿入部位は、HNとLとの遺伝子間の接合部であるが、さらなる挿入部位もまた利用し得る。様々なOPIV5抗原コンストラクトの概略図を示す。図49Aは、RSV抗原F及びGを発現するPIV5の概略図を示す。様々なOPIV5抗原コンストラクトの概略図を示す。図49Bは、ニパウイルス抗原F及びGを発現するPIV5の概略図を示す。様々なOPIV5抗原コンストラクトの概略図を示す。図49Cは、結核菌(Mycobacteria Tuberculosis)抗原85A、85B及びESAT6を発現するPIV5の概略図を示す。様々なOPIV5抗原コンストラクトの概略図を示す。図49Dは、PRRSV抗原を発現するPIV5の概略図を示す。様々なOPIV5抗原コンストラクトの概略図を示す。図49Eは、ブタサーコウイルス(PCV2)抗原を発現するPIV5の概略図を示す。様々なOPIV5抗原コンストラクトの概略図を示す。図49Fは、クルーズトリパノソーマ(T.cruzi)抗原Tsを発現するPIV5の概略図を示す。様々なOPIV5抗原コンストラクトの概略図を示す。図49Gは、ノロウイルス抗原を発現するPIV5の概略図を示す。様々なOPIV5抗原コンストラクトの概略図を示す。図49Hは、HIV抗原Env(gp160、gp140又はgp120及びGag)を発現するPIV5概略図を示す。 ネガティブ鎖RNAウイルスのパラインフルエンザウイルス5型(PIV5)は、ムンプスウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス2型及び4型、ニューカッスル病ウイルス、センダイウイルス、HPIV3、麻疹ウイルス、イヌジステンパーウイルス、牛疫ウイルス及び呼吸器合胞体ウイルスなど、多くの重要なヒト及び動物病原体を含むパラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)のルブラウイルス属(Rubulavirus)のメンバーである。PIV5は、以前はシミアンウイルス5型(SV5)として知られていた。PIV5は多くの動物及びヒトに感染するウイルスであるが、ヒトにおいて知られる症状又は疾患のなかで、PIV5と関連付けられているものはない。多くのパラミクソウイルスと異なり、PIV5はほとんど細胞変性効果なしに正常細胞に感染する。マイナス鎖RNAウイルスであるため、PIV5のゲノムは極めて安定している。PIV5はそのライフサイクルにDNA相を有さず、且つ細胞質においてのみ複製するため、PIV5は宿主ゲノムに組み込まれることができない。従って、PIV5をベクターとして使用すると、宿主細胞DNAの遺伝子修飾によって意図しない帰結となる可能性が回避される。PIV5は、WHO及びFDAによってワクチン製造に承認されているVero細胞を含め、細胞において高力価に成長することができる。従って、PIV5はワクチンベクターとして多くの利点を呈する。 本発明はPIV5コンストラクトを提供し、改良ワクチンベクターとしての使用を含めた、ウイルス発現ベクターとしてのPIV5の有効性を向上させるPIV5のゲノム内の突然変異を同定する。本発明のワクチンベクターは、種々の野生型株、突然変異株、又は組換え(rPIV5)株のいずれをベースとしてもよい。野生型株としては、限定はされないが、PIV5株W3A、WR(ATCC(登録商標)番号VR−288(商標))、イヌパラインフルエンザウイルス株78−238(ATCC番号VR−1573)(Evermann et al.,1980,J Am Vet Med Assoc;177:1132−1134;及びEvermann et al.,1981,Arch Virol;68:165−172)、イヌパラインフルエンザウイルス株D008(ATCC番号VR−399)(Binn et al.,1967,Proc Soc Exp Biol Med;126:140−145)、MIL、DEN、LN、MEL、種子伝染性潜伏ウイルス、CPI+、CPI−、H221、78524、T1及びSERが挙げられる。例えば、Chatziandreou et al.,2004,J Gen Virol;85(Pt 10):3007−16;Choppin,1964,Virology:23:224−233;及びBaumgartner et al.,1987,Intervirology;27:218−223を参照のこと。加えて、市販のケンネルコフワクチン、例えば、BI、FD、Merck、及びMerialワクチンなどに使用されているPIV5株を用いてもよい。 PIV5ワクチンベクターは、限定はされないが、He et al.(Virology;237(2):249−60,1997)にさらに詳細に記載される逆遺伝学系を含めた種々の方法のいずれかを用いて構築され得る。図1はPIV5ゲノム構造を示す。PIV5は8つのウイルスタンパク質をコードする。ヌクレオカプシドタンパク質(NP)、リンタンパク質(P)及びラージRNAポリメラーゼ(L)タンパク質は、ウイルスRNAゲノムの転写及び複製に重要である。Vタンパク質は、ウイルス病原性並びにウイルスRNA合成において重要な役割を果たす。糖タンパク質である融合(F)タンパク質は、細胞−細胞間及びウイルス−細胞間の両方の融合をpH非依存的に媒介し、細胞へのウイルス侵入に必須である。Fタンパク質の構造は決定されており、効率的な融合にとって決定的なアミノ酸残基が同定されている。別のウイルス糖タンパク質であるヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)もまた、ウイルス侵入及び宿主細胞からの放出に関与する。基質(M)タンパク質は、ウイルス集合及び出芽において重要な役割を果たす。疎水性(SH)タンパク質は44残基の疎水性内在性膜タンパク質であり、膜においてそのN末端が細胞質に向いている。パラミクソウイルスの分子生物学のレビューに関しては、例えば、Whelan et al.,2004,Curr Top Microbiol Immunol;283:61−119;及びLamb & Parks,(2006).Paramyxoviridae:the viruses and their replication(パラミクソウイルス科:ウイルスとその複製)。所収Fields Virology,5th edn,pp.1449−1496.編者D.M.Knipe & P.M.Howley.Philadelphia,PA:Lippincott Williams & Wilkinsを参照のこと。本発明のPIV5ウイルスワクチンはまた、これらの8つのタンパク質の1つ以上に突然変異、改変、又は欠失も有し得る。 PIV5はヒトに感染し得るが(Hsiung et al.,1965,J Immunol;94:67−73)、知られている病気のなかで、それと関連付けられているものはない。PIV5はマウス及びハムスターに感染するが、それらの動物に症状を引き起こすことはない。PIV5は、細胞で成長させて、最大1×108pfu/mlの力価で培地に放出させることができ、安全な遺伝子送達ベクター及び可能な費用対効果の高いウイルス量産方法としてのその潜在力が示唆される。現在までのエビデンスは全て、PIV5がシミアンウイルスではないことを示している。1970年代には、PIV5が、多発性硬化症(MS)、亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencepalitis)(SSPE)、クロイツフェルトヤコブ病(CJD)、天疱瘡、アテローム性動脈硬化症、パジェット病、肝炎及びかぜを含む数多くの病気に関連しているのではないかという全く事実無根の憶測があったが、PIV5がヒトにおいて疾患を引き起こすという説得力のある証拠はない。その後の研究により、これらの疾患のいずれについても、PIV5は病原因子から除外されている。このウイルスは、2009年にパラインフルエンザウイルス5型(PIV5)と改名された。 ネガティブ非分節型一本鎖RNAウイルス(NNSV)であるPIV5は、そのライフサイクルにDNA相を有さず、従って組換え又は挿入による宿主細胞DNAの遺伝子修飾が意図しない帰結となる可能性が回避されるため、ワクチン開発に適したウイルスベクター候補である。ポジティブ鎖RNAウイルスと比較して、PIV5のゲノム構造は安定している。緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する組換えPIV5が作成されており、GFP遺伝子は10世代超にわたり維持された。ポジティブ鎖RNAウイルスのゲノムは組み換わり、多くの場合に挿入された外来遺伝子がすぐに欠失するため、従ってワクチンベクターとして、PIV5はポジティブ鎖RNAウイルスより好適である。また、PIV5は、一次ヒト細胞並びに樹立ヒト細胞株を含めた広範囲の細胞型に感染する。PIV5抗原がHPIV2及びムンプスウイルスに対する抗体と交差反応する可能性を考えると、PIV5をワクチンベクターとして使用することは懸念され得る。しかしながら、マウスにおいてはPIV5に対する中和抗体はPIV5感染を阻止しないため(Young et al.,1990,J Virol;64(11):5403−11)、ヒトにおけるPIV5に対する交差反応性抗体がPIV5感染を阻止する可能性は低い。実施例2は、PIV5ベースのベクターが、循環抗PIV5抗体力価を有するイヌを含め、イヌにおいて有効となり得ることの、初めての実証である。 異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムの様々な位置のいずれに挿入されてもよい。例えば、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージRNAポリメラーゼタンパク質(L)遺伝子との間に挿入されてもよい。一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージRNAポリメラーゼタンパク質(L)遺伝子との間の位置には挿入されない。 一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージRNAポリメラーゼタンパク質(L)遺伝子との間以外の位置に挿入される。例えば、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージRNAポリメラーゼタンパク質(L)遺伝子との間よりリーダーの近くに挿入されてもよい。例えば、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのヌクレオカプシドタンパク質(NP)遺伝子の上流に挿入されてもよい。一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのヌクレオカプシドタンパク質(NP)遺伝子の上流には挿入されない。 一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのヌクレオカプシドタンパク質(NP)遺伝子とV/P遺伝子との間に挿入されてもよい。例えば、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのリーダー配列の直ちに下流に挿入されてもよい。例えば、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのM遺伝子とF遺伝子との間に挿入されてもよい。例えば、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのF遺伝子とSH遺伝子との間に挿入されてもよい。例えば、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのVP遺伝子と基質タンパク質(M)遺伝子との間に挿入されてもよい。例えば、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのスモール疎水性タンパク質(SH)遺伝子とヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子との間に挿入されてもよい。例えば、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのリーダー配列とヌクレオカプシドタンパク質(NP)遺伝子との間に挿入されてもよい。 一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージRNAポリメラーゼタンパク質(L)遺伝子との間には挿入されない。一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージRNAポリメラーゼタンパク質(L)遺伝子との間に挿入され、且つPIV5ゲノムが1つ以上の突然変異をさらに含み得る。 一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列はインフルエンザヌクレオカプシドタンパク質(NP)をコードし、PIV5ゲノムのヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージRNAポリメラーゼタンパク質(L)遺伝子との間に挿入される。 本発明は、本明細書と共に含まれる任意の図及び実施例に示されるとおりの位置に異種ヌクレオチド配列が挿入されたPIV5ワクチンコンストラクトを含む。 異種ヌクレオチド配列を挿入することにより、PIV5ゲノム内のPIV5遺伝子の全て又は一部を置換してもよい。例えば、異種ヌクレオチド配列が、PIV5ゲノムのF、HN、又はSH遺伝子を置換してもよい。一部の実施形態では、例えば、インフルエンザHA又はNAをコードする異種ヌクレオチド配列が、PIV5遺伝子を置換してもよい。一部の実施形態では、HA又はNAインフルエンザ遺伝子がPIV5 F又はHN遺伝子の一部を置換してもよい。 異種ヌクレオチド配列をPIV5遺伝子内に挿入することで、キメラポリペプチドの発現がもたらされ得る。例えば、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのSH遺伝子ヌクレオチド配列内、NP遺伝子ヌクレオチド配列内、V/P遺伝子ヌクレオチド配列内、M遺伝子ヌクレオチド配列内、F遺伝子ヌクレオチド配列内、HN遺伝子ヌクレオチド配列内、及び/又はL遺伝子ヌクレオチド配列内に挿入されてもよい。 PIV5は、細胞を多くの細胞型でほとんど細胞変性効果(CPE)なしに生産的に感染させることができる。細胞型によっては、PIV5感染により合胞体の形成、すなわち多くの細胞が一体となる融合が引き起こされ、細胞死に至る。突然変異には、合胞体形成を促進する1つ以上の突然変異が含まれ得る(例えば、Paterson et al.,2000,Virology;270:17−30を参照のこと)。 PIV5感染はアポトーシスを誘導しない(He et al.,2001,J Virol;75:4068−4079。しかしながら、SHが欠損した組換えPIV5(rPIV5 ΔSH)は、L929細胞において腫瘍壊死因子(TNF)−γ媒介性外因性アポトーシス経路を経るアポトーシスを誘導する(He et al.,2001,J Virol;75:4068−4079;He et al.,1998,Virology;250:30−40;及びLin et al.,2003,J Virol;77:3371−3383)。 PIV5のVタンパク質は、ウイルスにより誘導されたアポトーシスの遮断において決定的な役割を果たす。Vタンパク質の保存されたシステインリッチのC末端が欠損した組換えPIV5(rPIV5V ΔC)は、様々な細胞において、おそらくは小胞体(ER)ストレスにより惹起される内因性アポトーシス経路を経るアポトーシスを誘導する(Sun et al.,2004,J Virol;78:5068−5078)。V/P遺伝子産物のN末端に突然変異を有する突然変異体組換えPIV5、例えばrPIV5−CPI−もまた、アポトーシスを誘導する(Wansley and Parks,2002,J Virol;76:10109−10121)。突然変異には、限定はされないが、rPIV5 ΔSH、rPIV5−CPI−、rPIV5VΔC、及びそれらの組み合わせが含まれる。 突然変異には、限定はされないが、V/P遺伝子の突然変異、V及びPタンパク質の共通N末端の突然変異、V及びPタンパク質の共通N末端の残基26、32、33、50、102、及び/又は157の突然変異、Vタンパク質のC末端が欠損した突然変異、スモール疎水性(SH)タンパク質が欠損した突然変異、融合(F)タンパク質の突然変異、リンタンパク質(P)の突然変異、ラージRNAポリメラーゼ(L)タンパク質の突然変異、イヌパラインフルエンザウイルス由来の残基を組み込む突然変異、及び/又は合胞体形成を増強する突然変異が含まれる。 突然変異としては、限定はされないが、rPIV5−V/P−CPI−、rPIV5−CPI−、rPIV5−CPI+、rPIV5V ΔC、rPIV−Rev、rPIV5−RL、rPIV5−P−S157A、rPIV5−P−S308A、rPIV5−L−A1981D及びrPIV5−F−S443P、rPIV5−MDA7、rPIV5 ΔSH−CPI−、rPIV5 ΔSH−Rev、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。 本発明のPIV5ワクチンは、本明細書と共に含まれる図及び実施例に記載されるコンストラクトの任意の1つ以上を含めた、本明細書に記載される突然変異の任意の1つ以上を含む組換えPIV5コンストラクトを含む。 本発明のPIV5ウイルス発現ベクターは、異種ヌクレオチド配列を含む。かかる異種ヌクレオチド配列は、例えば、異種DNA、異種RNA、及び/又は異種ポリペプチドをコードし得る。一部の態様において、異種ヌクレオチド配列は異種ポリペプチド、又はその断片をコードし得る。かかるポリペプチドは抗原性で、ワクチンとしての有用性を有し得る。かかる抗原性ポリペプチドは、ヒト及び/又は動物を罹患させる多種多様な病原体及び疾患のいずれに由来してもよい。一部の態様において、異種ポリペプチドは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、パラインフルエンザウイルス1型、パラインフルエンザウイルス2型、パラインフルエンザウイルス3型、パラインフルエンザウイルス4型、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、ウシ呼吸器合胞体ウイルス、ヒトメタニューモウイルス、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、トリメタニューモウイルス、クルーズトリパノソーマ(T.cruzi)、ニパウイルス、ヘンドラウイルス、狂犬病ウイルス、エボラウイルス、ブタサーコウイルス、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス、ブタインフルエンザウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、イヌジステンパーウイルス、ブタインフルエンザ、ヒトカリシウイルス(human calcivirus)、動物カリシウイルス、ヒトノロウイルス、動物ノロウイルス、牛疫ウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、又はヒト及び動物における新興インフルエンザウイルスに由来してもよい。一部の態様において、異種ポリペプチドは細菌又は寄生体に由来してもよい。一部の態様において、異種ポリペプチドは癌抗原であってもよい。 一部の態様において、異種ポリペプチドは、限定はされないが、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、又はC型インフルエンザを含むインフルエンザウイルス由来である。インフルエンザは、オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)におけるネガティブセンスの分節性RNAウイルスである。これは、主要な抗原表面糖タンパク質ヘマグルチニン(HA)及びノイラミニダーゼ(NA)に基づき亜型に分類される。これまでに17種の異なるHA亜型及び9種の異なるNA亜型があり、全てがトリ起源の分節を含む。インフルエンザは再集合能力を有し、従って遺伝子分節の交換により、集団が免疫的に未感作である新しいインフルエンザウイルスを作り出す。異種ポリペプチドは、インフルエンザウイルス由来のヘマグルチニン(HA)、ノイラミニダーゼ(NA)、ヌクレオカプシドタンパク質(NP)、M1、M2、PA、PB1、PB2、NS1又はNS2であってもよい。HA、NA、NP、M1、M2、PA、PB1、PB2、NS1、又はNS2は、例えば、A型インフルエンザウイルスH5N1、H3N2、又はH1N1株由来であってもよい。 HAは、例えば、A型インフルエンザH1亜型、A型インフルエンザH2亜型、A型インフルエンザH3亜型、A型インフルエンザH4亜型、A型インフルエンザH5亜型、A型インフルエンザH6亜型、A型インフルエンザH7亜型、A型インフルエンザH8亜型、A型インフルエンザH9亜型、A型インフルエンザH10亜型、A型インフルエンザH11亜型、A型インフルエンザH12亜型、A型インフルエンザH13亜型、A型インフルエンザH14亜型、A型インフルエンザH15亜型、又はA型インフルエンザH16亜型由来であってもよい。HAは、例えば、A型インフルエンザウイルスH5N1、H3N2、又はH1N1株由来であってもよい。一部の態様において、HAポリペプチドは、切断を防止する突然変異を含み得る。 NAは、例えば、A型インフルエンザのA型インフルエンザN1亜型、A型インフルエンザN2亜型、A型インフルエンザN3亜型、A型インフルエンザN4亜型、A型インフルエンザN5亜型、A型インフルエンザN6亜型、A型インフルエンザN7亜型、A型インフルエンザN8亜型、又はA型インフルエンザN9亜型由来であってもよい。NAは、例えば、A型インフルエンザウイルスH5N1、H3N2、又はH1N1株由来であってもよい。 異種ポリペプチドとしては、本明細書と共に含まれる図及び実施例に記載される任意のものが含まれる。 狂犬病ウイルス(RABV)感染は、ヒトを含む温血動物において、曝露後治療しない場合に初期の急性脳炎及び後期の致死により特徴付けられる狂犬病を引き起こす(Rupprecht et al.,2006,Expert Rev Anti Infect Ther;4:1021−1038)。未治療の狂犬病ウイルス(RABV)感染は死亡に至る。RABV感染症の予防には、ワクチン及び曝露後治療が有効となっている。しかしながら、費用が原因となって、発展途上国では狂犬病ワクチン接種及び治療はあまり用いられていない。狂犬病が原因で毎年5万5千人が死亡している。野良犬、野生食肉類及びコウモリは、野外RABVの自然界の保菌動物であり、これらの狂犬病キャリアはヒト及び家畜にとって公衆衛生上のリスクである。ヒト狂犬病の発生原因は、大半が、動物のワクチン接種が限られている発展途上国、特に農村地域で野良犬に噛まれることである。有効な且つ費用対効果の高い狂犬病ワクチンが必要とされている。一部の態様において、異種ポリペプチドは1つ以上の狂犬病ポリペプチドである。 本明細書に記載されるとおりのPIV5ウイルス発現ベクターは、ワクチンベクターの有効性の増強を実証し得る。 PIV5ウイルス発現ベクターは、限定はされないが、本明細書に記載される任意のものを含め、1つ以上の突然変異を含み得る。一部の態様において、2つ以上(2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又はそれ以上)の突然変異の組み合わせが有利であり得るとともに、活性の増強を実証し得る。 以前、PIV5を生ワクチンベクターとして使用することの実行可能性を試験するため、A型インフルエンザウイルスA/Udorn/72(H3N2)株由来のヘマグルチニン(HA)遺伝子が、PIV5ゲノムに追加の遺伝子としてヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージ(L)ポリメラーゼ遺伝子との間に挿入された。UdornのHA遺伝子を含む組換えPIV5(rPIV5−H3)が回収され、それがインビトロ及びインビボの両方で野生型PIV5と同様に複製された。rPIV5−H3感染細胞により発現されたHAタンパク質がビリオンに組み込まれ、HA遺伝子の追加によってはマウスにおけるウイルスの病原性は増加しなかった。生ワクチンとしてのrPIV5−H3の有効性が調査されており、単一用量接種でA型インフルエンザウイルス感染に対して広域の相当な免疫が提供される(Tompkins et al.,2007,Virology;362(1):139−50)。従って、一部の態様において、本発明はTompkins et al.,2007,Virology;362(1):139−50のPIV5ウイルスコンストラクトを含まない。例えば、一部の態様において、本発明は、A型インフルエンザウイルスA/Udorn/72(H3N2)株由来のヘマグルチニン(HA)遺伝子を発現するPIV5ウイルスベクターコンストラクトを含まない。例えば、一部の態様において、本発明は、A型インフルエンザウイルスH3N2由来のヘマグルチニン(HA)遺伝子を発現するPIV5ウイルスベクターコンストラクトを含まない。例えば、一部の態様において、本発明は、A型インフルエンザウイルス由来のヘマグルチニン(HA)遺伝子を発現するPIV5ウイルスベクターコンストラクトを含まない。例えば、一部の態様において、本発明は、rPIV5−HAを含まない。例えば、一部の態様において、本発明は、PIV5ゲノムに追加の遺伝子としてヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージ(L)ポリメラーゼ遺伝子との間に挿入されたA型インフルエンザウイルスA/Udorn/72(H3N2)株由来のヘマグルチニン(HA)遺伝子を発現するPIV5ウイルスベクターコンストラクトを含まない。例えば、一部の態様において、本発明は、PIV5ゲノムに追加の遺伝子としてヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージ(L)ポリメラーゼ遺伝子との間に挿入されたA型インフルエンザウイルスH3N2株由来のヘマグルチニン(HA)遺伝子を発現するPIV5ウイルスベクターコンストラクトを含まない。例えば、一部の態様において、本発明は、PIV5ゲノムに追加の遺伝子としてヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージ(L)ポリメラーゼ遺伝子との間に挿入されたA型インフルエンザヘマグルチニン(HA)遺伝子を発現するPIV5ウイルスベクターコンストラクトを含まない。例えば、一部の態様において、本発明は、PIV5ゲノムに追加の遺伝子としてヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージ(L)ポリメラーゼ遺伝子との間に挿入されたポリペプチドを発現するPIV5ウイルスベクターコンストラクトを含まない。例えば、一部の態様において、本発明は、この段落に記載されるPIV5ウイルスベクターコンストラクトの1つ以上の作製又は使用方法を含まない。 さらに、一部の態様において、本発明は、緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するPIV5ウイルスベクターコンストラクトを含まない。一部の態様において、本発明は、検出可能なマーカーを発現するPIV5ウイルスベクターコンストラクトを含まない。 これまでに、インフルエンザウイルスのHAを発現するPIV5が免疫を提供することは実証されているが、本発明は、意外にも、PIV5ベースのウイルスベクターがインフルエンザNA及びNPタンパク質を発現して防御レベルの免疫の発生をもたらすことを実証する。HAは極めて免疫原性が高く、多くのベクターが抗HA免疫を生じさせる能力を有する。しかしながら、所与の発現ベクターがHAに対する発現及び免疫をもたらすことが分かったからといって、同じベクターが他のタンパク質、例えばインフルエンザウイルスのNA又はNPなどに対する発現及び免疫応答の発生に有用であると見なすことはできない。これは、アデノウイルスウイルス(AdV)及びニューカッスル病(NDV)の両方のベクターでの研究によって示される。両ベクターとも免疫を生じさせるためHAを発現することができるが、NA又はNPの発現に使用される場合、免疫を生じない。本明細書に記載されるとおりのPIV5ウイルスベクターが防御免疫の発生をもたらしたことは、新しく、予想外である。 一部の態様において、本発明のウイルス発現ベクターは多価であり、2種以上の供給源、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10種、又はそれ以上の供給源由来の異種ポリペプチドを発現する。 また、本発明には、本明細書に記載されるとおりの異種ポリペプチドを発現する1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含むPIV5ゲノムを含むビリオン及び感染性ウイルス粒子も含まれる。 また、本発明には、本明細書に記載されるとおりの、ウイルスコンストラクト又はビリオンの1つ以上を含む組成物も含まれる。かかる組成物は薬学的に許容可能な担体を含み得る。使用に際して薬学的に許容可能な担体とは、ヒト又は他の脊椎動物への投与に好適な1つ以上の適合性のある固体又は液体充填剤、希釈剤又は封入物質を指す。かかる担体はパイロジェンフリーであってもよい。本発明はまた、本明細書に記載されるウイルスベクター及び組成物の作製及び使用方法も含む。 本開示の組成物は、選択された投与経路に適した種々の形態の医薬製剤に製剤化されてもよい。当業者は、投与方法及び投薬量単位に応じて組成物が異なり得ることを理解するであろう。 この発明の薬剤は、限定はされないが、静脈内、局所、経口、鼻腔内、皮下、腹腔内、筋肉内、及び腫瘍内送達を含め、種々の方法で投与することができる。一部の態様において、本発明の薬剤は、制御放出又は持続放出用に製剤化されてもよい。 本明細書に含まれる例に示されるとおり、PIV5−H5による筋肉内又は鼻腔内免疫はHA特異的免疫応答を誘導する。鼻腔内免疫の一つの利点は、粘膜免疫応答を誘導する潜在力である。概して気道又は腸上皮細胞で複製するインフルエンザウイルスとは異なり、PIV5はより広い細胞向性の潜在力を有する。この特徴により、PIV5は、生筋肉内ワクチンとしての使用に魅力的な候補となっている。PIV5−H5による筋肉内免疫は、鼻腔内免疫と比較してロバストなHA特異的及び中和血清抗体反応を誘導する。さらに、その筋肉内免疫は、このワクチンを他の注射ワクチンと組み合わせるとともに、農業適用に魅力的であり得る注射ワクチン製剤とも組み合わせる機会を提供する。 また、本発明には、限定はされないが、本明細書に記載される任意のものを含めた、PIV5ウイルス発現ベクターの作製及び使用方法も含まれる。 例えば、本発明は、細胞を本明細書に記載されるとおりのウイルス発現ベクター、ウイルス粒子、又は組成物と接触させるか、又はそれに感染させることにより、細胞において異種ポリペプチドを発現させる方法を含む。 例えば、本発明は、本明細書に記載されるとおりのウイルス発現ベクター、ウイルス粒子、又は組成物を対象に投与することにより、対象において異種ポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法を含む。免疫応答には、体液性免疫応答及び/又は細胞性免疫応答が含まれ得る。この免疫応答は、自然及び/又は適応免疫応答を増強し得る。 例えば、本発明は、本明細書に記載されるとおりのウイルス発現ベクター、ウイルス粒子、又は組成物を対象に投与することにより、対象において異種ポリペプチドを発現させる方法を含む。 例えば、本発明は、本明細書に記載されるとおりのウイルス発現ベクター、ウイルス粒子、又は組成物を対象に投与することにより、対象をワクチン接種する方法を含む。 本発明の方法では、種々の投与方法のいずれが用いられてもよい。例えば、投与は、静脈内、局所、経口、鼻腔内、皮下、腹腔内、筋肉内、腫瘍内、卵内、母性由来などであってもよい。一部の態様では、投与は、粘膜表面に対する投与である。ワクチンは、ワクチンを飲用水中に入れることによるか、又は動物の環境に噴霧することによるなど、大量投与技法により投与されてもよい。注射により投与される場合、免疫原性組成物又はワクチンは非経口的に投与されてもよい。非経口投与には、例えば、静脈内、皮下、筋肉内、又は腹腔内注射による投与が含まれる。 本開示の薬剤は一度に投与されてもよく、又は時間間隔をおいて投与するいくつかの複数回用量に分割されてもよい。例えば、本発明の薬剤は、例えば少なくとも2、3、4、5、6、7、8回、又はそれ以上、繰り返し投与されてもよく、又は持続注入により投与されてもよい。正確な投薬量及び治療期間は、治療される疾患に応じて変わり、既知の試験プロトコルを用いて実験的に決定しても、又はインビボ若しくはインビトロ試験データから推定することにより決定してもよいことが理解される。濃度及び投薬量の値もまた、緩和しようとする病態の重症度に伴い異なり得ることは注記されるべきである。さらに、任意の特定の対象について、時間の経過とともに、個別的な必要性及び組成物の投与者又はその投与の監督者の専門的な判断に従い具体的な投薬レジメンを調整しなければならないこと、並びに、本明細書に示されるいずれの濃度範囲も例示に過ぎず、特許請求される組成物及び方法の範囲又は実施を限定するよう意図するものではないことが理解されるべきである。 一部の治療実施形態において、薬剤の「有効量」は、少なくとも1つの病理学的パラメータの低下をもたらす量である。従って、例えば、本開示の一部の態様において有効量とは、その薬剤で治療されない個体で予想されるパラメータの低下と比較して少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、又は少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%の低下を実現するのに有効な量である。 一部の態様では、PCT/US2013/022898号明細書「PIV5 as an Oncolytic Agent(腫瘍退縮剤としてのPIV5)」、発明者Biao He、2013年1月24日出願(本明細書によって全体として参照により本明細書に援用される)に記載されるPIV5ベースのコンストラクト及び方法のいずれかを、本発明において用いてもよい。 本明細書で使用されるとき、用語「対象」は、例えば哺乳類を含めた、生物を表す。哺乳類としては、限定はされないが、ヒト、非ヒト霊長類、及び他の非ヒト脊椎動物が挙げられる。対象は、「個体」、「患者」、又は「宿主」であってもよい。非ヒト脊椎動物としては、家畜動物(限定はされないが、ウシ、ウマ、ヤギ、及びブタなど)、家庭内ペット又は伴侶動物、限定はされないが、イヌ又はネコなど、及び実験動物が挙げられる。非ヒト対象としてはまた、非ヒト霊長類並びにげっ歯類、限定はされないが、ラット又はマウスなども挙げられる。非ヒト対象としてはまた、限定なしに、家禽、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ミンク、及びウサギも挙げられる。 一部の実施形態では、本発明のPIV5ワクチンは家禽に投与されてもよく、本発明に係るワクチンはニワトリにおいて有効に用いられ得るが、他の家禽、例えば、シチメンチョウ、ホロホロチョウ、アヒル、及びパートリッジなどの接種が成功し得る。ニワトリとしては、限定はされないが、雌鳥、雄鶏、ブロイラー鶏、ロースター鶏、ブリーダー鶏、ブリーダー雌鳥の子孫、及び産卵鶏が挙げられる。本発明のワクチンは、家禽に孵化前又は孵化後に投与されてもよい。家禽は種々の年齢でワクチンを投与され得る。例えば、ブロイラー鶏は、1日齢で、卵内に、又は2〜3週齢で卵内ワクチン接種し得る。産卵ストック又は繁殖ストックは、例えば約6〜12週齢でワクチン接種し、約16〜20週齢でブーストし得る。かかる産卵ストック又は繁殖ストックは、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12週齢でワクチン接種し得る。かかる産卵ストック又は繁殖ストックは、約16、約17、約18、約19、又は約20週齢でブーストし得る。かかるPIV5ワクチンにより、ワクチンは、家禽に対して感染性の病原体に由来する1つ以上の免疫原を発現し得る。かかる免疫原は、例えば、マレック病ウイルス(MDV)、伝染性気管支炎ウイルス(IBV)、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、産卵低下症候群(EDS)ウイルス、七面鳥鼻気管炎ウイルス(TRTV)、ポックスウイルス、又はレオウイルスに由来してもよい。 本明細書で使用されるとき、「インビトロ」は細胞培養物中であり、及び「インビボ」は対象の体内である。本明細書で使用されるとき、「単離された」は、その天然の環境(例えば、それが天然に存在する場合には、天然の環境)から取り出されたか、組換え技術を用いて産生されたか、又は化学的若しくは酵素的に合成された材料、従ってその天然の状態から「人の手により」改変されている材料を指す。 用語「及び/又は」は、列挙される要素の1つ若しくは全て又は列挙される要素の任意の2つ以上の組み合わせを意味する。 語句「好ましい」及び「好ましくは」は、ある状況下で特定の利益をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は他の状況下で他の実施形態が好ましいこともまたある。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用でないことを含意するものではなく、本発明の範囲から他の実施形態を除外することは意図されない。 用語「〜を含む(comprises)」及びその変化形は、これらの用語が説明及び特許請求の範囲に出現する場合に、限定する意味を有しない。 特記されない限り、「a」、「an」、「the」、及び「少なくとも1つ」は同義的に使用され、1つ又は2つ以上を意味する。 特に指示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される構成成分の分量、分子量などを表現する数値は全て、いずれの場合にも用語「約」により修飾されていると理解されるべきである。従って、特にそうでない旨が指示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲に示される数値パラメータは概数であり、本発明により達成しようとする所望の特性に応じて異なり得る。最低限でも、また均等論を特許請求の範囲に限定しようとするものではないが、各数値パラメータは、少なくとも、報告される有効桁の数を踏まえて、且つ通常の丸め方を適用することにより解釈されなければならない。 本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは概数であるが、しかしなお、具体例に示される数値は可能な限り正確に報告される。しかしながら、数値は全て、本質的に、それぞれの試験計測値に存在する標準偏差によって必然的にもたらされる範囲を含んでいる。 個別的な工程を含む本明細書に開示される任意の方法について、それらの工程は、任意の実行可能な順序で行われ得る。また、必要に応じて、2つ以上の工程の任意の組み合わせを同時に行ってもよい。 説明は、例示的な実施形態を示す。本願全体を通じたいくつかの部分で、例を列挙して指針を提供しており、それらの例は、様々な組み合わせで用いることができる。それぞれの場合に、記載される列挙は代表例をまとめたものとして供され、排他的な列挙として解釈されてはならない。 見出しは全て、読者の便宜のためであり、指定する旨がない限り、その見出しに続く本文の意味を限定するために用いられてはならない。 以下の例に本発明を説明する。特定の例、材料、量、及び手順は、本明細書に示されるとおりの本発明の範囲及び趣旨に従い広義に解釈されなければならないことが理解されるべきである。[実施例1]ワクチンベクターとしてのパラインフルエンザウイルス(PIV5) インフルエンザウイルスのHAを発現するPIV5が、致死性高病原性鳥インフルエンザH5N1(HPAI)であって最も病原性の強いインフルエンザウイルス株であるH5N1による攻撃を防御することができるかどうかを試験するため、H5N1のHAを発現する組換えPIV5(PIV5−H5)を作成し、動物におけるこのウイルスの有効性を試験した。図2A〜図2Dに示されるとおり、PIV5−H5の単一用量接種が致死性H5N1攻撃を防御したことから、PIV5がワクチン開発向けに優れたベクターであることが示される。 インフルエンザウイルスのNAは、潜在的にワクチン開発に役立つ標的である。しかしながら、NAを抗原として発現させる試みは成功していない。NAを発現するニューカッスル病(NDV)の場合、組換えウイルスはいかなる防御も提供しなかった(Nayak et al.,2010,J Virol;84(5):2408−20)。PIV5がより優れたワクチンベクターであるかどうかを試験するため、H5N1のNAを発現する組換えPIV5であるrPIV5−N1(H5N1)及び汎発性H1N1のNAを発現する組換えPIV5であるrPIV5−N1(H1N1)を作成した。図3A〜図3Cに示されるとおり、NAを発現する組換えPIV5は致死性HPAI H5N1攻撃に対して殺菌免疫を提供する。興味深いことに、rPIV5−N1(H1N1)までもが、H5N1攻撃に対して部分免疫を提供した。NAを発現するウイルスベクターベースのワクチンがH5N1攻撃に対する免疫を提供したのは、これが初めてである。このPIV5ベースのベクターは、インフルエンザウイルス攻撃に対する免疫の提供に関して、今のところ他のどのウイルスベクターと比べても最良である。 万能インフルエンザウイルスに向けて。インフルエンザウイルスのNPタンパク質は、あらゆるインフルエンザウイルス株間で極めて良く保存されており、広域防御性のインフルエンザウイルスワクチンの開発に優れた標的であると考えられる。しかしながら、NPベースのワクチンを開発する試みは成功していない。NPを発現するワクシニアウイルス(VV)はインフルエンザウイルス攻撃を防御しない(Lawson et al.,1994,J Virol;68(6):3505−11)。PIV5がNPの発現に良好なベクターとなり得るかどうかを調べるため、H5N1のNP遺伝子を発現する組換えPIV5(PIV5−NP)を作成した。信じ難いことに、PIV5−NPはH1N1並びにH5N1の攻撃に対して防御を提供したことから、PIV5ベースのNPワクチンが異型のインフルエンザウイルス攻撃を防御し得ることが示される(図4A〜図4C)。NPに基づく細胞性免疫応答(T細胞に基づく免疫応答)が防御性である一方、体液性免疫応答(抗体に基づく免疫応答)はHA媒介性免疫に十分であることが知られている(Graham and Braciale,1997,J Exp Med;186(12):2063−8;Crawford et al.,1999,Vaccine;17(18):2265−74;及びKong et al.,2006,Proc Natl Acad Sci USA;103(43):15987−91)。PIV5ベースのワクチンがおそらく細胞性免疫応答を介して防御を提供したことは、新規であり、予想外である。さらに、PIV5によってNPを発現させることにより防御が得られたため、PIV5及びNPをベースとする万能インフルエンザウイルスワクチンを作成できる可能性がある。 リーダー配列近傍に外来遺伝子(forgein gene)を挿入することによるワクチンの有効性の向上。PIV5などのマイナス鎖RNAウイルスは3’末端リーダー配列から転写を開始し、ウイルス遺伝子の翻訳レベルはリーダー配列までのその距離の影響を受ける。例えば、PIV5のうちリーダー配列の最も近くにあるNP遺伝子は最も豊富に転写され、一方、リーダー配列から最も離れた位置にあるL遺伝子は、転写が最小である(図5)。外来遺伝子は、そこがウイルス複製を破壊する潜在力が最小の接合部であるという理由で、事実上のプロモーター配列であるリーダー配列から最も遠位の遺伝子接合部であるHN遺伝子とL遺伝子との間に挿入されている(He et al.,1997,Virology;237:249−260;Tompkins et al.,2007,Virology;362(1):139−50;及びSun et al.,2011,J Med Chem;54(5):1126−39。ワクチン候補は、抗原の発現レベルを増加させることにより増強され得る。H5N1ウイルスのHA遺伝子(H5)などの抗原の発現レベルを増加させるため、リーダー配列の直ちに下流及びNP遺伝子の上流にH5遺伝子を挿入した(PIV5−H5LN)(図5)。残念ながら、RSVなどの他のパラミクソウイルスと異なり、リーダー配列とNP遺伝子との間に外来遺伝子を挿入すると、生存ウイルスを得られなかった。PIV5−H5HL(ZL48としても知られる)が作成されている。この組換えウイルスは致死性高病原性鳥インフルエンザH5N1(HPAI)攻撃を防御した(図2を参照)。他の遺伝子接合部が試されており、V/PとMとの間の接合部、及びSHとHNとの間の接合部が、外来遺伝子の挿入に好適であると決定された。外来遺伝子の発現レベルは、H5遺伝子がリーダー配列に近いほど高くなる。最も重要なことには、リーダー配列に近いH5を有する組換えPIV5ほど、望ましい抗原に対する免疫の発生がより良好であった(図6A〜図6C)。 ワクチンベクターとしての突然変異体PIV5ウイルス。アポトーシスは、抗原提示において重要な役割を果たす。アポトーシス細胞は、樹状細胞などのプロフェッショナルAPCに対する抗原の供給源である。ウイルス感染により活性化されたアポトーシス経路もまた抗原提示において役割を果たし得るとともに、異なるアポトーシス経路は抗原提示に異なる形で影響を及ぼし得ると考えられる。野生型PIV5感染は細胞死を誘導しない。しかしながら、スモール疎水性(SH)遺伝子が欠損している(PIV5ΔSH)又はVタンパク質の保存領域が欠損している(PIV5VΔC)突然変異体PIV5ウイルスは、感染細胞において種々のアポトーシス経路を介してアポトーシスを誘導することが示されている(Sun et al.,2004,J Virol;78(10):5068−78;及びLin et al.,2003,J Virol;77(6):3371−83)。また、PIV5のV/P遺伝子における突然変異がアポトーシス並びにサイトカイン発現を誘導することも報告されている(Sun et al.,2009,PLoS Pathog;5(7):e1000525)。アポトーシス並びにサイトカインを誘導する突然変異体PIV5ウイルスは、野生型PIV5と比べて、H5N1タンパク質などの外来抗原を提示するのにより良好なベクターであるものと思われる。H5N1のH5及びNPなどの外来抗原を発現する突然変異体組換えPIV5が作成されており、それらの突然変異の中には、より優れた防御をもたらしたものもあった一方、一部の抗原に対してそれほど防御をもたらさなかった突然変異もあった。rPIV5−NP、rPIV5ΔSH−NP及びrPIV5−P−S308G−NP(Pタンパク質の残基S308におけるGへの点突然変異を含む)の中では、rPIV5−P−S308G−NPが最も良好な防御を有した(図7A及び図7B)。rPIV5ΔSH−NPは、致死性インフルエンザウイルス攻撃後の生存率がrPIV5−NPと同じであったが、rPIV5ΔSH−NPの方が体重減少がやや多く、rPIV5−NP免疫化マウスと比べて一層病気のように見えた。従ってPIV5からSH遺伝子を欠失させても、NPに対する免疫は増強されなかったように思われ、いくらか有害でさえあり得る。興味深いことに、rPIV5−H5、rPIV5ΔSH−H5及びrPIV5VΔC−H5−1及びrPIV5VΔC−H5−3では、SHの欠失は免疫原性に影響を与えておらず、V/P遺伝子における突然変異が免疫原性に悪影響を及ぼしたものと見られた(図8A及び図8B)。NP媒介性免疫には細胞性免疫が必要であり、且つHA媒介性免疫では多くの場合に体液性免疫が有効であるため、SHの欠失は細胞性免疫に悪影響を及ぼし、V/P遺伝子突然変異は体液性免疫に影響を与え得るものと思われる。 ワクチンとしてのキメラPIV5。PIV5ベースのワクチンにおいてPIV5により生じる免疫が妨げとなることを低減するため、PIV5を標的とする宿主免疫を低減することが望ましい。PIV5タンパク質を、目的とするワクチン標的のタンパク質に置換する。例えば、PIV5のF及びHNをインフルエンザウイルスのHA及びNAに置換する(図9)。これにより、ワクチン標的の抗原を発現してPIV5タンパク質により生じる免疫の効果を最小限に抑える生存可能なキメラPIV5を作成する。 開発中のさらなるワクチン候補。この例に示されるとおり、PIV5は、多くの病原体(ウイルス性並びに細菌性)にとって優れたワクチンベクターである。限定はされないがヒトワクチン、例えば、PIV5−HIV、PIV5−PIV2(パラインフルエンザウイルス2型)、PIV5−RSV(呼吸器合胞体ウイルス)、PIV5−ニパウイルス(ヒト及びブタ用)、及びPIV5−エボラウイルスなど、並びに動物ワクチン、例えば、PIV5−狂犬病ウイルス(動物用)、PIV5−PCV(ブタサーコウイルス)、PIV5−PRRSV(ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス)、及びPIV5−ブタインフルエンザウイルスなどを含めた、さらなるワクチン候補が開発中である。例えば、図10A〜図10Cに示されるとおり、PIV5ベースのHIVワクチン候補が作成され、組織培養細胞において試験されている。[実施例2]パラインフルエンザウイルス5型に対する免疫が先在する宿主におけるパラインフルエンザウイルス5型ベースのワクチンの評価 ベクターとしてのPIV5の使用に関する重要な論点は、PIV5に対する先行曝露がPIV5ベースのワクチンの使用を妨げるかどうかである。この例では、A型インフルエンザウイルス3亜型のヘマグルチニン(HA)を発現する組換えPIV5(rPIV5−H3)の免疫原性を、PIV5に対して免疫したイヌにおいて調べた。PIV5に対する中和抗体を含むイヌにrPIV5−H3をワクチン接種すると、A型インフルエンザウイルスに対する免疫が生じたことが見出され、PIV5ベースのワクチンが先行曝露を有するイヌにおいて免疫原性であることを示している。さらに、ヒト集団におけるPIV5の曝露を調べた。45例中13例のヒト血清試料(約29%)で、PIV5に対する中和抗体(nAb)が検出されている。ヒトにおけるnAb力価はワクチン接種イヌより低かったことから、ヒトにおけるnAbのためにPIV5がヒトにおいて有効なベクターとなれない可能性は低いことが示唆される。 PIV5はイヌにおいてケンネルコフに関与し得ると考えられている(Binn et al.,1967,Proc Soc Exp Biol Med;126:140−145;Rosenberg et al.,1971,Am J Epidemiol;94:147−165;Cornwell et al.,1976,Vet Rec;98:301−302;McCandlish et al.,1978,Vet Rec;102:293−301;及びAzetaka and Konishi,1988,Nippon Juigaku Zasshi;50:851−858)。イヌがPIV5に感染してもケンネルコフは引き起こされなかったが(Chladek et al.,1981,Am J Vet Res;42:266−270;及びKontor et al.,1981,Am J Vet Res;42:1694−1698)、それでも30年間にわたり、弱毒生PIV5を含むケンネルコフワクチンがイヌに対して使用されてきた。イヌは鼻腔内ワクチン接種を受け、ワクチン接種の間、多くの場合にイヌはくしゃみをするため、獣医診療従事者及び飼い主も同様に曝露される。生PIV5を含むケンネルコフワクチンが広く利用されていることから、PIV5はヒトにおいて安全なワクチンであり得ることが示唆される。3亜型のヘマグルチニン(HA)(H3)を発現する組換えPIV5の単一用量接種が、マウスにおいてインフルエンザウイルス攻撃を防御し(Tompkins et al.,2007,Virology;362:139−150、及びH5N1のHAを発現する組換えPIV5の1,000プラーク形成単位(PFU)もの低量での単一用量ワクチン接種が、マウスにおいて高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1による致死的攻撃を防御した(実施例3及びLi et al.,2012,J Virol;87(1):354−62を参照)。 PIV5をベクターとして使用することに関する一つの重大な問題は、PIV5に対する先行曝露がPIV5ベースのワクチンの使用を妨げるかどうかである。この例では、PIV5に対して免疫したイヌにおいて、インフルエンザウイルスのHAを発現する組換えPIV5(PIV5−HA)の有効性を調べた。さらに、この例では、ヒトにおけるPIV5の曝露を調べた。材料及び方法 ウイルス及び細胞。10%ウシ胎仔血清(FBS)及び100IU/mlペニシリン−100μg/mlストレプトマイシンを含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(Invitrogen)でMDBK、BHK21及びVero細胞を成長させた。A型インフルエンザウイルス(A/Udorn/72、H3N2亜型)ヘマグルチニン(HA)遺伝子を含むrPIV5−H3ウイルスを、以前記載されるとおり構築した(Tompkins et al.,2007,Virology;362:139−150)。2%FBS含有DMEMを使用してPIV5ウイルスをMDBK細胞で4〜5日間成長させ、以前報告されたとおりウイルス力価をBHK21細胞に対するプラークアッセイにより調べた(He et al.,1997,Virology;237:249−260)。簡潔に言えば、6ウェルプレートにあるBHK21細胞を、段階希釈ウイルス(1:101〜1:107)に感染させた。2時間(h)後、接種混合物を取り出し、2%FBS、100IU/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、及び1%低融点アガロースを含有する4ml DMEMに交換した。感染後4〜6日目(dpi)にプラークを計数した。力価計算には、各時間点につき2つのレプリケートを用意した。ムンプスウイルスのJeryl Lynn(JL)ワクチン株をVero細胞で成長させ、4〜7dpiで回収した。以前記載されたとおり、Vero細胞においてプラークアッセイによりウイルス力価を計測した(Xu et al.,2011,Virology;417:126−136)。インフルエンザA/Udorn/72ウイルスを卵内で成長させた(Paterson and Lamb,1993,The molecular biology of influenza viruses and paramyxoviruses(インフルエンザウイルス及びパラミクソウイルスの分子生物学).所収:Davidson A,Elliott RM編.Molecular Virology:A Practical Approach.Oxford:IRL Oxford University Press.pp.35−73)。 ELISAアッセイ用のPIV5及びムンプスウイルスを精製するため、清澄化した上清中のウイルスを、Thermo Scientific超遠心機タイプF40L−8×100ロータにおいて37,000rpmで1時間ペレット化した。次にペレットをTNE緩衝液(10mMトリス[pH7.4]、100mM NaCl、1mM EDTA)に再懸濁し、10%〜80%のショ糖勾配に負荷し、TH−641ロータにおいて1時間、37,000rpmで遠心した。ウイルスバンドを採取し、F40L−8×100ロータにおいて1時間、37,000rpmでペレット化した。精製したウイルスをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)緩衝液(pH7.4)に再懸濁した。 動物の使用に関する倫理的声明。本研究は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)の実験動物の管理と使用に関する指針(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)の勧告を厳守して行われた。プロトコルはジョージア大学(University of Georgia)の動物実験倫理委員会(Committee on the Ethics of Animal Experiments)の承認を受けた(許可番号:A2011 12−012−Y1−A3)。苦痛を最小限に抑えるためあらゆる努力を行った。本研究に使用されたイヌは、実験動物の管理と使用に関する指針(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)(第8版)に従い飼育及び管理された。 PIV5又はrPIV5−H3によるイヌの感染。本研究に使用した専用繁殖犬は、Covance Research Products(482 Frenchs Store Road,Cumberland,VA)から購入した。最初の実験では、合計8匹の3ヶ月齢PIV5ワクチン未感作ビーグルを2群に分け、4匹のイヌに、各々、PIV5又はrPIV5−H3を鼻腔内(IN)感染させた。イヌは、ワクチン接種のため、並びに必要に応じて血液採取及び鼻スワブのため、0.05〜0.1mg/kgの用量の筋肉内アセプロマジン(PromAce,Fort Dodge,IA)により鎮静させたが、麻酔はかけなかった。感染後0日目(出血前)及び21日目に血液試料を採取した。血液試料から血清を分離し、−20℃で保存した。感染後3日目及び5日目(dpi)に鼻スワブを採取した。第2の実験では、8匹の5ヶ月齢PIV5ワクチン接種ビーグルをPBS対照群(n=2)とrPIV5−H3群(n=6)とに分け、鼻腔内経路により免疫した。免疫後0日目及び21日目にイヌを出血させた。3及び5dpiで鼻スワブを採取した。各IN免疫は、1mLのPBS又は8×107プラーク形成単位(PFU)を含むrPIV5−H3の投与を伴った。 RT−PCRを使用してウイルスを検出する。イヌから鼻スワブを得るため、鼻咽頭に抵抗が感じられるまで、ポリエステル先端付き可撓性アルミニウムシャフトアプリケータ(Puritan,Maine,USA)を鼻孔に挿入し、次に180度回転させて引き抜いた。スワブアプリケータを取り外し、吸収性スワブを、0.5mLの2%FBS含有DMEMが入ったバイアルに入れた。バイアルを−70℃で保存した。検体をボルテックスし、製造者の指示に従いQIAampウイルスRNA抽出ミニキット(Qiagen,CA)を使用して、140μL容量を全RNA抽出に使用した。以前記載されるとおりRT−PCRを実施した(Sun et al.,2011,J Virol;85:8376−8385)。簡潔に言えば、30μL総容量中11μLの精製RNA鋳型を、Superscript III逆転写酵素(Invitrogen)を使用して20μL反応容量で増幅することにより、ウイルスcDNAを作成した。RTにはランダムプライマーを使用した一方、PCRにはゲノムRNAのPIV5 P/V及びM遺伝子にアニーリングする遺伝子特異的プライマーP/V−F1及びM−R1を使用した。P/V−F1プライマーは5’−CCAGTGAGGCTCAGCTAATTGACCTC(配列番号3)であり、M−R1プライマーは5’−GGTATTCCCCCGATCCTGTTCGTAG)(配列番号4)であった。RTからの20μL総容量中5μLのcDNAを50μL反応容量におけるPCRに使用した。ウイルスゲノムの相対レベルを既知の力価のPIV5ウイルスのウイルスゲノムレベルと比較した。 ELISA。酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によりPIV5又はムンプスウイルス特異的抗体力価を決定した。100μl/ウェルのPBS(pH7.4)中精製全PIV5ウイルスタンパク質100ngで一晩コーティングした96ウェルELISAプレート(Thermo Scientific)を、初めに洗浄溶液(KPL)中0.5%BSA及び0.5%脱脂粉乳で1時間ブロックし、次に、KPL洗浄溶液で3回洗浄した。イヌ又はヒト由来の血清の段階希釈液をブロッキング緩衝液に調製し、室温で1時間インキュベートした。プレートを3回洗浄し、1:2,000希釈の二次抗体、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートヤギ抗イヌIgG(Santa Cruz,CA)又はヤギ抗ヒトIgG(KPL,Gaithersburg,MD)と共に1時間インキュベートした。プレートを3回洗浄し、SureBlue TMB 1成分マイクロウェルペルオキシダーゼ基質(KPL)で発色させた。等量の1N HClを添加することにより発色を停止させ、BioTekプレートリーダーを使用して450nmで光学濃度(OD)を読み取った。ELISAエンドポイント力価は、デュプリケートウェルの平均OD値が血清についての平均OD値+2標準偏差(SD)の2倍を上回った最大の血清希釈度として定義された。 PIV5に対する中和抗体(nAb)力価を決定する。ウイルス中和アッセイにより、血清試料中のPIV5中和抗体力価を計測した。50μlの2%FBS含有DMEMに血清を段階希釈した。希釈した血清に200 TCID50のPIV5ウイルスを加え、37℃で2時間インキュベートした。90〜100%コンフルエントなMDBK細胞が入った96ウェルマイクロタイタープレートに血清及びウイルスを加え、37℃で3日間インキュベートした。個々のウェルを間接免疫蛍光アッセイ(IFA)により調べた。PBS(pH7.4)中3.7%ホルムアルデヒドで10分間細胞を固定し、次に、PBS中0.1%Triton X−100+1%FBSにより室温で30分間透過処理した。固定した細胞を一次抗体(1:400希釈のマウス抗PIV5 NP抗体)と共に37℃で1時間インキュベートした。FITCコンジュゲートヤギ抗マウス(1:400希釈;KPL,Inc.)を二次抗体として使用した。中和抗体力価は、200 TCID50のPIV5ウイルスを完全に中和する最大の血清希釈度とした。 HAIアッセイ。動物インフルエンザ診断及びサーベイランスに関するWHOマニュアル(WHO Manual on Animal Influenza Diagnosis and Surveillance)(WHO(2002)Manual on Animal Diagnosis and Surveillance)に従い赤血球凝集抑制(HAI)アッセイを実施した。簡潔に言えば、ニワトリ赤血球(cRBC)を洗浄し、PBS中0.5%の終濃度となるように再懸濁した。A型インフルエンザウイルス(A/Udorn/72、H3N2亜型)を、PBS中25μl当たり4血球凝集単位(HAU)となるように調整した。96ウェル丸底プレートにおいて、25μlの個々のRDE処理した血清試料を2倍方式で段階希釈した。血清の段階希釈液の調製後、25μl(4HAU)の希釈ウイルスを加えた。プレートを穏やかに混合し、室温で1時間インキュベートした。次に、各ウェルに50ulの0.5%cRBCを加え、穏やかに混合し、室温で30〜45分間インキュベートした。プレートを45度の角度に傾けることにより、血球凝集をスコア化した。HAI力価は、血球凝集を完全に抑制した最後の希釈抗血清の逆数である。 ヒト血清試料。45人の無作為のボランティアからヒト血液試料を採取した。参加者は健常な非妊娠の18〜50歳で、体重が110ポンド超であった。ボランティアはインフォームドコンセント用紙に署名した。ボランティアは匿名であった。個人情報は収集されなかった。ヒト対象プロトコルは、ジョージア大学(University of Georgia:UGA)治験審査委員会の承認を受けた。静脈穿刺により抗凝固薬なしに10mLチューブに10mLの静脈血を採血した。凝固後、血液試料を400gで5分間遠心した。無細胞上清を0.22μm細孔径フィルタ装置でろ過し、血清として使用した。血清試料は−80℃で保存した。 統計的分析。この研究では、ピアソン相関法を用いて、PIV5及びJLに対する抗体の相関分析を実施した。1:320におけるOD450の読取りが血清希釈の線形範囲にあったため、これらの読取りを選択した。統計パッケージR(Team RDC(2003)統計的計算のためのRプロジェクト(The R project for statistical computing)ウィスコンシン大学(University of Wisconsin),Madison,WI)のcor.test関数を使用して分析を行った。p値が0.05未満のとき、統計的に有意な差であると見なした。結果は、ピアソンのrが0.06に等しく(p値=0.6941)、PIV5とJLとの間に有意な相関関係がないことを示している。結果 PIV5及びrPIV5−H3による「未感作」イヌの感染。本明細書に含まれるさらなる例は、マウスにおいてインフルエンザウイルスに対する免疫を生じさせるのにrPIV5−H3が有効であることを示しているが、同じウイルスがイヌにおいて免疫を生じさせるのに有効となり得るかどうかは明らかでない。従って、イヌに鼻腔内経路によってrPIV5−H3を接種し、イヌにおけるウイルスの複製を決定し、ウイルスに対する免疫応答を測定した。イヌは通常、幼齢(早ければ3週齢)で生PIV5を含むワクチンのワクチン接種を受ける。動物供給業者の手配により、生PIV5のワクチン接種を受けていない8匹の12週齢イヌを入手した。これらのイヌのPIV5抗体の力価を、ELISA及び中和アッセイを用いて測定した。ELISAでは、全てのイヌがPIV5に陽性であった(図11A)。しかしながら、中和抗体(nAb)力価は検出不能であった(図11B)。イヌ(n=4)を鼻腔内(IN)経路でPIV5又はrPIV5−H3に感染させた。感染後3日目及び5日目、感染したイヌから鼻スワブを採取し、ウイルスの存在についてアッセイした。プラークアッセイを用いてスワブを分析したところ、ウイルスは検出されなかった(図12)が、感染後3日目(dpi)に8匹中7匹のイヌでRT−PCR産物が検出され、5dpiに8匹中5匹のイヌで極めて弱いRT−PCRシグナルが検出されたことから、感染後3日目の感染イヌの鼻孔においてPIV5の複製は限られていたこと、及び感染後5日目には感染が除去されていたことが示唆される。感染後21日目にイヌを出血させた。全てのイヌにおいて抗PIV5力価の増加が検出されたことから、イヌが感染したことが示唆される。HAIアッセイを用いた抗HA力価の計測から、全てのrPIV5−H3接種イヌが血清転換し、感染後3週間目に平均42.5(20〜80の範囲)のHAI力価を有したことが示された(図13)。PIV5を接種したイヌにおいてHAIは検出されなかった。 PIV5に曝露したイヌのPIV5−HAによる感染。PIV5に先行曝露したイヌを、なお組換えPIV5ベースのワクチンでワクチン接種することができるかどうかを調べるため、PIV5に対して複数回ワクチン接種され、抗PIV5中和抗体を有したイヌを入手した(図14)。イヌをIN経路によりrPIV5−H3に感染させた。3及び5dpiでプラークアッセイを用いて、感染したイヌの鼻孔にウイルスは検出されなかった。3dpiでRT−PCRを用いて、8匹中1匹のイヌが試験で陽性と出た(図15)。次に、感染後3週間目にイヌを出血させた。rPIV5−H3でワクチン接種されたイヌは、40〜80の範囲(平均77、40が1匹及び80が5匹)のHAI力価を有した(図16)ことから、rPIV5−H3ワクチン接種がインフルエンザウイルスに対する免疫を生じさせたことが示される(HAI力価の4倍の増加又は40のHAI力価を、インフルエンザウイルス感染に対して防御性であると見なす)。PIV5に対するnAb力価もまたrPIV5−H3感染イヌにおいて増加したことから、イヌがrPIV5−H3に感染したことが確認された。 ヒトにおけるPIV5への曝露。以前報告されたとおり、抗PIV5抗体はヒトにおいて検出されている(Goswami et al.,1984,J Gen Virol;65:1295−1303;及びGoswami et al.,1987,Nature;327:244−247)。ヒトにおける抗PIV5が近縁のパラミクソウイルスに対する抗体からの交差反応性に起因するのかどうかを決定するため、ヒト血清中のPIV5及びムンプスウイルスの抗体力価を調べた。ムンプスウイルス(MuV)はPIV5と同じゲノム構造を有し、最も近縁である。ヒトにおけるムンプスウイルス曝露は、米国ではワクチン接種及び自然感染によってほぼ100パーセントであるため、米国の18〜50歳から採取した本発明者らの試料の全てにおいて、抗ムンプスウイルス抗体が検出されると予想された。予想どおり、45例の試料全てがムンプスウイルスについて陽性であった(図17A)。興味深いことに、全ての血清がPIV5抗原についても同様にELISAで陽性であった(図17A)。ヒト血清におけるPIV5抗原に対する反応性が抗ムンプスウイルスからの交差反応性によってもたらされたなら、抗PIV5の力価は抗ムンプスウイルスの力価と相関しなければならない。しかしながら、統計的分析により、血清中の抗MuVの力価と血清中の抗PIV5の力価との間に相関がないことが示されたため、PIV5に対するヒト血清の反応性がムンプスウイルスからの交差反応性に起因するのではないことが示唆される。さらに、PIV5に対するnAbの力価をヒト血清で調べたところ、45例中13例の試料で抗PIV5 nAbが検出された(約29%)(図17B)。考察 PIV5が発見されて以来、ヒトにおける多くの疾患がPIV5と関連付けられたが、それらは全て、最終的に誤りであることが分かった。なぜPIV5がこれらの疾患と結び付けられてきたのかについては、振り返ってみると、いくつかの考えられる説明がある。一つは、ヒト研究においてウイルス単離に用いられた条件に基づき、すなわち研究室はサル細胞系を使用したが、サル細胞系はPIV5に持続感染している可能性があり、且つこれらの細胞は検出可能な細胞変性効果を示さないことが多い(Hsiung,1972,Prog Med Virol;14:241−274;及びChatziandreou et al.,2004,J Gen Virol;85:3007−3016)。別の可能性は、PIV5と近縁で、且つヒト集団でほぼ100パーセント曝露を有するムンプスウイルスなどの遍在性パラミクソウイルスとのPIV5の抗原交差反応性である(Randall and Young,1988,J Gen Virol;69(Pt 8)2051−2060;Tsurudome et al.,1989,Virology;171:38−48;及びKomada et al.,1991,Arch Virol;116:277−283)。この例では、ヒト集団におけるPIV5の曝露を調べ、ヒト血清中に抗PIV5抗体が認められた。興味深いことに、抗ムンプスウイルスと抗PIV5との間に力価の相関は見出されなかったことから、PIV5陽性ヒトは、少なくともその一部について、PIV5に曝露されていた可能性があることが示唆される。ヒト血清試料の約29%がPIV5に対する中和抗体を有した。その一部は、ムンプスウイルスに対してロバストな抗体を有しなかった(図17)ことから、少なくとも一部のヒトはムンプスウイルスとは別にPIV5に曝露されていたことが示唆される。イヌとヒトとの間の密接な接触は、ヒトがイヌからのPIV5に曝露されることに寄与する要因となり得るものと思われる。イヌは鼻腔内ワクチン接種を受け、多くの場合にワクチン接種の間にくしゃみをするため、獣医診療従事者及び飼い主も同様に曝露される。加えて、3dpiでRT−PCRを用いて、未感作イヌでPIV5が検出されたことから、ワクチン接種イヌがワクチン接種後にウイルスを排出し、ヒトのそのウイルスへの曝露がもたらされ得る可能性があることが示唆される。これは、生PIV5を含むケンネルコフワクチンの利用が普及していること、及び米国の人口の約40%が犬の飼い主であることと整合する。 米国人口において高率でPIV5抗体が検出され、臨床疾患が引き起こされていない点は、PIV5がヒト集団において安全であることを示唆しており、有望である。しかしながら、米国人口の大きい割合がPIV5に曝露されている可能性があるため、PIV5がヒトのワクチン開発に有効なベクターであるかどうか、疑問が生じる。ベクターの先行曝露というまさに同じ問題が、ワクチン開発に向けたアデノウイルスベースのベクターの使用に大きな障害をもたらしている。この例では、HAを発現する組換えPIV5が、PIV5に対する先在する免疫を有するイヌにおいて免疫原性であったことが見出されており、PIV5ベースのワクチンベクターが先在する免疫に打ち勝ち得ることが示される。これらの結果は、マウスではPIV5に対する中和抗体がPIV5感染を予防しないというこれまでの報告と整合した(Young et al.,1990,J Virol;64:5403−5411)。イヌがPIV5感染を除去する能力については、依然として不確かである。マウスでは、細胞媒介性免疫応答がPIV5感染の除去において決定的な役割を果たすと考えられる(Young et al.,1990,J Virol;64:5403−5411)。PIV5はイヌにおいて複製が自己抑制的であるため、細胞媒介性免疫が感染の除去において同様に決定的な役割を果たすものと思われる。細胞媒介性免疫が反応して有効となるまでには時間がかかるため、この時間が、PIV5ベースの生ワクチンが複製してロバストな免疫応答が生じる機会を提供する。これは、PIV5が一次細胞を含めたあらゆる種類の細胞に感染するという観察結果と整合する(Arimilli et al.,2006,J Virol;80:3416−3427;Tompkins et al.,2007,Virology;362:139−150;及びZhang et al.,2011,Virology;421:67−77)。 ワクチン接種イヌにおけるPIV5に対するnAb力価は「未感作」イヌより高く、300もの高さであった(図14B)。PIV5に対するnAbを有する全てのイヌが、rPIV5−H3の単一用量をIN接種した後血清転換し、且つ抗H3抗体の力価はPIV5に対するnAb力価と相関を有しなかったことから、イヌにおけるPIV5ベースのワクチンに対する免疫応答の決定において、PIV5のnAbが予測的な値を有しなかったことがさらに確認された。ヒトにおけるPIV5に対するnAbの最大の力価は60であり、イヌにおけるPIV5に対するnAbの力価より低い。従って、ヒトにおけるPIV5に対する中和抗体は、PIV5ベースのワクチン候補による防御免疫の発生を妨げないものと思われる。 イヌA型インフルエンザウイルスH3亜型の集団発生が、イヌ集団において発生したことがある(Crawford et al.,2005,Science;310:482−485;Daly et al.,2008,Emerg Infect Dis;14:461−464;及びLi et al.,2010,Infect Genet Evol;10:1286−1288)。rPIV5−H3がイヌを血清転換させ、防御性と見なされる免疫を生じたという事実は、H3を発現する組換えPIV5がイヌインフルエンザウイルスに対する有効なワクチンとなり得ることを示唆している。さらに、これらの結果は、PIV5が、イヌ、他の動物及びヒト用のワクチン開発に向けた、他の抗原を発現させるための新規ベクターとなり得ることを示唆している。 さらに、ブタをPIV5に感染させている。感染後5日目(dpi)の鼻スワブ(nasal swap)においてPIV5が検出されたが、35dpiで内臓器官又は組織にPIV5は検出されなかったことから、PIV5がブタにおける持続感染を確立しなかったことが示唆される。 この例は、Chen et al.、「Evaluating a Parainfluenza Virus 5−Based Vaccine in a Host with Pre−Existing Immunity against Parainfluenza Virus 5(パラインフルエンザウイルス5型に対する免疫が先在する宿主におけるパラインフルエンザウイルス5型ベースのワクチンの評価)」、PLoS One;2012;7(11):e50144,doi:10.1371/journal.pone.0050144,Epub 2012 Nov 20として発表されており、これは参照により全体として本明細書に援用される。[実施例3]A型インフルエンザウイルスH5N1のHAを発現する組換えパラインフルエンザウイルス5型は、マウスを致死性高病原性鳥インフルエンザH5N1攻撃から防御した 安全且つ有効なワクチンは、ヒト集団における大規模な高病原性鳥インフルエンザウイルス(HPAI)H5N1の集団発生を防ぐ最良の方法である。現在FDAに認可されているH5N1ワクチンには、重大な制限がある。より有効なH5N1ワクチンが緊急に必要とされている。本明細書に示されるとおり、H5N1亜型由来のH5N1のHA遺伝子を発現する生の組換えPIV5(rPIV5−H5)の単一用量が、マウスにおいて致死量のHPAI H5N1感染に対する殺菌免疫を提供した。さらに、PIV5ゲノム内の種々の位置にH5N1 HAを挿入することによる、PIV5ベースのワクチンの有効性に対する効果を調べたところ、PIV5の事実上のプロモーターであるリーダー配列と、第1のウイルス遺伝子NPとの間へのH5N1 HAの挿入が、生存ウイルスをもたらさなかったことが示された。NPと次の遺伝子V/Pとの間へのH5N1 HAの挿入は、成長を欠くウイルスをもたらした。SH遺伝子とHN遺伝子との間の接合部へのH5N1 HAの挿入では、HPAI H5N1攻撃に対する最良の免疫が得られた:マウスにおいて致死性HPAI H5N1攻撃を防御するのに、1000プラーク形成単位(PFU)もの低い用量で十分であった。従って、H5N1 HAを発現する組換えPIV5は、HPAI H5N1ワクチンとしての大きい潜在力を有する。この例では、HA導入遺伝子をリーダー配列に近い部位に順次挿入して組換えPIV5ウイルスの有効性を試験した。さらに、PIV5を使用してH5N1高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)ウイルスのHAを発現させ、致死性HPAI攻撃の確立されたマウスモデルにおいて、それらのワクチン候補としての有効性を試験した。材料及び方法 細胞。BSR T7細胞の単層培養は、10%ウシ胎仔血清(FBS)、10%リン酸トリプトースブロス(TPB)及び400μg/ml G418を含有するDMEM中に維持した。Vero細胞、MDBK細胞、MDCK細胞及びBHK細胞の単層培養は、10%FBS、100IU/mlペニシリン、及び100μg/mlストレプトマイシンを含有するDMEM中に維持した。全ての細胞は37℃、5%CO2でインキュベートした。ウイルス感染細胞は、2%FBSを含有するDMEM中で成長させた。PIV5のプラークアッセイはBHK細胞を使用して実施し、インフルエンザウイルスのプラークアッセイはMDCK細胞を使用して実施した。 インフルエンザウイルス。使用したA型インフルエンザウイルスには、VNH5N1−PR8/CDC−RG(H5N1;Ruben Donis博士,CDC,Atlanta,GAから供与されたrgVN−PR8)及びA/ベトナム/1203/04(H5N1;Richard Webby,セント・ジュード小児研究病院(St.Jude Children’s Research Hospital),Memphis,TNから供与された)が含まれる。A/VN−PR8は、孵化鶏卵の尿膜腔において37℃で48〜72時間増殖させた。β−プロピオラクトン(BPL)不活化A/ベトナム/1203/04は、セント・ジュード小児研究病院(St.Jude Children’s Research Hospital)(Memphis,TN)のRichard Webbyから供与された。A/ベトナム/1203/04は、孵化鶏卵の尿膜腔において37℃で24時間増殖させた。ウイルスは全て、アリコートに分け、−80℃で保存した。生の高病原性鳥インフルエンザウイルスを使用した実験は全て、ジョージア大学(University of Georgia)の機関内バイオセーフティプログラムによる審査及び承認を受け、CDCによって承認されている指定生物剤の使用に関する指針に従いバイオセーフティレベル3、高度な封じ込め下で行われた。 マウス。全ての試験に雌性6〜8週齢BALB/cマウス(Charles River Labs,Frederick,MD)を使用した。BSL2ウイルスによるマウスの免疫化及び試験は、高度BSL2施設においてHEPAフィルタ付きアイソレーターで実施した。マウスHPAI感染は、ジョージア大学(University of Georgia)の機関内バイオセーフティプログラムによって承認されている指針及びCDCによって承認されている指定生物剤の使用に関する指針に従い、高度BSL3施設においてHEPAフィルタ付きアイソレーターで実施した。全ての動物試験は、ジョージア大学(University of Georgia)の機関内動物管理・使用委員会によって審査及び承認されたプロトコルに基づき行われた。 組換えプラスミドの構築。ZL48(rPIV5−H5−HN/L)プラスミドを作成するため、PIV5の完全長ゲノム及びHNとLとの遺伝子間に追加のEGFP遺伝子挿入を含むプラスミドBH311におけるGFPのコード配列を、H5N1のHA遺伝子に置換した。ZL46(rPIV5−H5−SH/HN)、ZL209(rPIV5−H5−NP/VP)、ZL215(rPIV5−H5−Le/NP)プラスミドを作成するため、PIV5の完全長ゲノムを含むプラスミドBH276をベクターとして使用した。ZL47(rPIV5−H5−VP/M)プラスミドを作成するため、PIV5の完全長ゲノムを含むプラスミドpSV5−M−NSをベクターとして使用した。切断部位なしにH5N1 HA遺伝子を含むプラスミドを、適切なオリゴヌクレオチドプライマーペアを使用したPCR増幅用のDNA鋳型として使用した。 組換えPIV5のレスキュー及び配列。以前記載したとおり感染性組換えPIV5のレスキューを実施した(He et al.,1997,Virology;237:249−260)。簡潔に言えば、HNとLとの遺伝子間にHA遺伝子挿入を有するPIV5の完全長ゲノムをコードするpZL48、SHとHNとの遺伝子間にHA遺伝子挿入を有するPIV5の完全長ゲノムをコードするpZL46、V/PとMとの遺伝子間にHA遺伝子挿入を有するPIV5の完全長ゲノムをコードするpZL47、NPとV/Pとの遺伝子間にHA遺伝子挿入を有するPIV5の完全長ゲノムをコードするpZL209、又はリーダーとNP遺伝子との間にHA遺伝子挿入を有するPIV5の完全長ゲノムをコードするpZL215のプラスミドと、NP、P、及びLタンパク質をコードする3つのヘルパープラスミドpPIV5−NP、pPIV5−P、及びpPIV5−Lとを、Plus and Lipofectamine(Invitrogen)を含む6cmプレートにおいて95%コンフルエンシーでBSR T7細胞に同時形質転換した。使用したプラスミドの量は以下のとおりであった:5μg pZL48/ZL46/ZL47/ZL209/ZL215、1μg pPIV5−N、0.3μg pPIV5−P、及び1.5μg pPIV5−L。3時間インキュベートした後、トランスフェクション培地を、10%FBS及び10%TPB含有DMEMに交換した。37℃で72時間インキュベートした後、培地を回収し、低速遠心(3,000rpm、10分)により細胞デブリをペレット化した。プラークアッセイを用いて組換えウイルスのシングルクローンを得た。ZL48、ZL46、ZL47、及びZL209ウイルスのプラーク精製シングルクローンの完全長ゲノムを、以前記載されるとおり配列決定した(Sun et al.,2009,PLoS Pathog;5:e1000525;及びSun et al.,2011,J Virol;85:8376−8385)。ZL48、ZL46、ZL47及びZL209ウイルス感染Vero細胞の培地からの全RNAを、ウイルスRNA抽出キット(Qiagen Inc,Valencia,CA)を使用して精製した。ランダムヘキサマーを使用してcDNAを調製し、次に適切なオリゴヌクレオチドプライマーペアを使用したPCR反応でcDNAのアリコートを増幅した。 組換えPIV5のインビトロ及びインビボ成長。6ウェルプレート中のMDBK細胞を、MOI0.1でPIV5、ZL48、ZL46又はZL47に感染させた。次に細胞をPBSで洗浄し、DMEM−2%FBS中に維持した。0、24、48、72、96及び120hpiで培地を採取した。BHK細胞に対するプラークアッセイによりウイルスの力価を決定した。 マウスにおいてウイルスの成長を比較するため、6週齢の野生型BALB/cマウスを、100l容量中106pfuのPIV5、ZL48、ZL46又はZL47に鼻腔内感染させた。感染後4日目にマウスを安楽死させ、肺を採取してウイルス力価を決定した。 タンパク質発現の検出。MOI5でPIV5及びZL48に感染させた6ウェルプレートのMDBK細胞に対して免疫ブロット法を実施した。24hpiで、細胞を全細胞抽出緩衝液(WCEB)(50mMトリス−HCl[pH8]、280mM NaCl、0.5%NP−40、0.2mM EDTA、2mM EGTA、及び10%グリセロール)で溶解させた。ライセートをSDS−PAGEゲル上で泳動させ、抗H5N1 HA及び抗PIV5抗体でイムノブロットした。 MOI0.1でPIV5及びZL48を感染させた24ウェルプレートのMDBK細胞においてH5N1 HA発現の免疫蛍光法を実施した。2dpiで細胞をPBSで洗浄し、次に0.5%ホルムアルデヒドで固定した。細胞を0.1%PBS−サポニン溶液において透過処理し、1:200希釈のポリクローナル抗PIV5−VP又は抗H5N1 HAで30分間インキュベートした後、細胞にFITC標識ヤギ抗マウス抗体を添加した。細胞を30分間インキュベートし、Nikon FXA蛍光顕微鏡を使用して調べ、撮影した。 MOI1でモック感染又はPIV5、ZL48、ZL46又はZL47感染させた6ウェルプレートのMDBK細胞を使用して、ウイルス感染細胞におけるH5N1 HAの発現レベルを比較した。24hpiで細胞を採取し、0.5%ホルムアルデヒド(formaldyhyde)で1時間固定した。固定した細胞を遠心によりペレット化し、次に、ウシ胎仔血清(FBS)−DMEM(50:50)を含有する500μlの溶液中に再懸濁した。細胞を70%エタノールにおいて一晩透過処理した。細胞をPBSで1回洗浄し、次にマウス抗H5N1 HA抗体と共にPBS/1%BSA(1:200)中4℃で1時間インキュベートした。フィコエリトリン(1:200)で標識した抗マウス抗体により4℃で1時間、暗所で細胞を染色し、次にPBS/1%BSAで1回洗浄した。フローサイトメーターを使用して蛍光強度を計測した。 ELISA。IgG ELISAを用いてHA(H5N1 HA)特異的血清抗体力価を計測した。Immulon 2 HB 96ウェルマイクロタイタープレート(ThermoLabSystems)を2μg/ml組換えH5N1 HAタンパク質でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。次にプレートをKPL洗浄溶液(KPL,Inc)で洗浄し、5%脱脂粉乳及び0.5%BSAを含有する200μlのKPL洗浄溶液(ブロッキング緩衝液)により室温で1時間、ウェルをブロッキングした。血清試料の段階希釈液を(ブロッキング緩衝液中に)作製し、コーティングしたプレートに移して1時間インキュベートした。結合した血清抗体を検出するため、各ウェルに100μlのブロッキング緩衝液中1:1000希釈アルカリホスファターゼ標識ヤギ抗マウスIgG(KPL,Inc)を添加し、室温で1時間インキュベートした。100μl pNPPホスファターゼ基質(KPL,Inc)を添加することによりプレートを発色させ、室温で反応により発色させた。Bio−Tek Powerwave XSプレートリーダーにおいて光学濃度(OD)を405nmで計測した。IgG力価は、平均ODを上回って未感作血清の平均値+2標準偏差より高いODを有する最小の血清希釈度と定めた。 PIV5によるマウスの感染。PIV5及びrPIV5−H5によるワクチン接種のため、50μl PBS中の106PFU PIV5、rPIV5−ZL46、又はrPIV5−ZL48を、tert−アミルアルコール中の2,2,2−トリブロモエタノール(アベルチン;Aldrich Chemical Co)によって麻酔下にあるマウスに鼻腔内投与した。致死量以下のrgVN−PR8感染のため、50μl PBS中の2000PFUウイルスをPIV5ワクチン接種について記載されるとおり投与した。BPL不活化A/VN/1203/04ワクチン接種用に、次に50μl PBS中256血球凝集単位(HAU)/mlを尾側大腿筋の各々に注入した。免疫後21日目に血液を採取した。ブーストする場合、プライム後28日目にこのプロセスを繰り返した。マウスは毎日モニタし、一部の実験については、隔日で体重を記録した。 中和抗体力価の計測。ELISAエンドポイントによるマイクロ中和アッセイにより、血清中のインフルエンザ中和抗体力価を計測した。1%BSA、抗生物質/抗真菌薬、及び1μg/ml TPCKトリプシンを含有するDMEMに熱不活化血清を段階希釈した。次に希釈した血清を1000 TCID50 rg A/VN−PR8又はrg A/Anhui−PR8と37℃で2時間インキュベートした。次にMDCK細胞を添加し、37℃で18〜24時間インキュベートした。インキュベーション終了時、ウェルを氷冷メタノール及びアセトン(それぞれ80:20)で固定し、上記に記載したとおりELISAを実施した。中和力価は、バックグラウンドODを2倍上回るOD読取りにより決定するものとして、1000 TCID50 rgA/VN−PR8又はrgA/Anhui−PR8を中和することが可能な最小の血清希釈度であると定めた。 細胞性応答。記載されるとおり、不活化A/VN/1203/04に対するリンパ球におけるT細胞応答を検出するエリスポットを実施した(Tompkins et al.,2007,Emerg Infect Dis;13:426−435)。50μl完全腫瘍培地(CTM)中の不活化A/VN/1203/04(ウェルあたり10HAU当量)及び関連性のないペプチドとしてエボラGP P2 EYLFEVDNL(1μg/ml)、及びPMA/イオノマイシン(25ng/ml;それぞれ1.25ng/ml)で細胞を再刺激した。AID ViruSpotリーダー(Cell Technology,Inc)を使用してスポットを計数した。 A型インフルエンザウイルスによるマウスの感染。初めにBALB/cマウスを、野生型PIV5、rPIV5−ZL46、rPIV5−ZL48 IN、又は不活化A/VN/1203/04 IMで上記に記載したとおりワクチン接種した。ワクチン接種後21日目、血清分析のため尾静脈からマウスを出血させた。ワクチン接種後24日目、マウスを麻酔し、50μl PBSに希釈した10 LD50 A/ベトナム/1203/04を鼻腔内接種した。次に、罹患率及び死亡率についてマウスを毎日モニタし、隔日で体重を計測した。攻撃後3日目、マウス群を安楽死させ、それらの肺を1.0ml PBS中に採取し、ホモジナイズした。次にホモジネートを遠心により清澄化した。次に、記載されるとおり清澄化したホモジネートにおいてTCID50アッセイを用いてウイルス力価を決定した(Soboleski et al.,2011,PLoS One;6:e21937)。結果 H5N1のHAを発現する組換えPIV5(rPIV5−H5)をインビトロで作成及び分析する。H5N1のHAを発現する組換えPIV5が致死的攻撃HPAI H5N1からマウスを防御することができるかどうかを試験するため、多塩基切断部位のないHPAI H5N1のHA遺伝子(Horimoto and Kawaoka,1994,J Virol;68:2130−3128;及びSuguitan et al.,2012,J Virol;86:2706−2714)を、PIV5の完全長cDNAゲノムを含むプラスミド(ZL48)のPIV5のHNとLとの遺伝子間の接合部に挿入した(図18A)。このプラスミドを、以前記載されたとおりNP、P及びLをコードするプラスミドと共にBSR T7細胞にトランスフェクトすることにより、感染性ウイルスZL48(rPIV5−H5)を回収した(Sun et al.,2011,J Virol;85:8376−8385)。回収したウイルスをプラーク精製し、Vero細胞で成長させた。プラーク精製ウイルスの完全長ゲノムを、直接RT−PCR配列決定法を用いて配列決定した。ウイルスの大量ストックをMDBK細胞で成長させた。ウイルスの力価は108pfu/mlであった(図18B)。ZL48感染細胞からのH5N1 HAの発現を、免疫ブロット法(図19A)及び免疫蛍光法(図19B)を用いて確認した。ZL48は、低MOI成長曲線に示されるとおり(図19C)、野生型PIV5と同程度に成長した。 マウスにおけるrPIV5−H5の免疫原性。ZL48がインビボでHA特異的免疫を生じさせ得るかどうかを決定するため、マウスに単一用量の106pfuのZL48又は野生型PIV5を鼻腔内感染させ、H5N1逆遺伝学ワクチンコンストラクト(rgVN−PR8)を感染させるか、又は不活化H5N1ウイルス(iA VN)で免疫したマウスと免疫応答を比較した。接種/免疫後21日目にマウスを出血させた。抗HA IgGの血清値を、ELISAを用いて決定した(図20A及び図20B)。ZL48の感染により、不活化H5N1ビリオン及びPR8由来の内在遺伝子とH5N1由来のHA及びNAとを含む組換えH5N1と同等の安定したレベルのIgG1及びIgG2aが生じた。ZL48感染マウスの血清の中和抗体(nAb)力価は低かった(図20C)。しかしながら、21dpiでブーストすると、防御性であると見なされるレベルまで血清nAbレベルが増強された。Elispotアッセイを用いて細胞性応答を調べた。ZL48感染マウスは細胞性応答を生じた(図20D)。Th1(IFNγ産生T細胞)の応答は、逆遺伝学H5N1ウイルスに感染させたマウスと比較して限られていたが、これらのマウスは、インフルエンザHAのみを有したZL48と比較して、内在する非構造タンパク質細胞に含まれた免疫優性抗原(Vitiello et al.,1996,J Immunol;157:5555−5562)を含め、インフルエンザウイルス全体に対する応答を有し、且つリンパ球が全ウイルスにより再刺激された。 マウスにおける組換えH5N1インフルエンザウイルス攻撃に対するrPIV5−H5の有効性。コスト及び比較的低いnAb力価の理由から、初めに、ホモタイプなウイルス攻撃に対するZL48の有効性を、マウスにおいて、PR8由来の全ての内在遺伝子とHPAI H5N1由来のHA及びNAとを含む(HA内の多塩基切断部位が除去された)組換えインフルエンザウイルスrgVN−PR8(H5N1)を使用して調べた。このウイルスは、マウスにおける野生型HPAI H5N1と比べてマウスにおいて病原性が低く、BSL2生物学的封じ込め下で使用することができる。マウスを鼻腔内経路により106pfuのZL48又は野生型PIV5の単一用量で免疫した。別の群のマウスには陽性対照として不活化H5N1ウイルス(iA VN)を投与した。免疫後21日目にマウスを1,000 TCID50 rgA−PR8(H5N1)で攻撃した。rgVN−PR8(H5N1)はマウスにおいて死亡を引き起こさないため、マウスの肺における攻撃ウイルスの力価を用いてZL48免疫化の有効性を調べた。攻撃後4日目のZL48免疫化マウスの肺にrgVN−PR8(H5N1)ウイルスは検出されなかった(図21A及び図21B)ことから、ZL48がH5N1感染の予防に有効であったことが示唆される。 マウスにおけるHPAI H5N1攻撃に対するrPIV5−H5の有効性。HPAI H5N1に対するZL48の有効性を、マウスにおいて、A/ベトナム/1203/2004株で調べた(Govorkova et al.,2005,J Virol;79:2191−2198)。マウスを鼻腔内経路により106pfuのZL48の単一用量で免疫した。免疫後21日目にマウスをH5N1で攻撃した。PIV5免疫マウスは実質的に体重が減少し、その90パーセントは攻撃後10日目までに死亡し、攻撃後14日目には全てが死亡した(図225B)。対照的に、ZL48で免疫した全てのマウスが攻撃を生き残り、実験期間中、体重減少は観測されなかった(図22A)。さらに、ZL48免疫マウスの肺に攻撃ウイルスは検出されなかった(図22C)ことから、ZL48がマウスにおいてH5N1感染の予防に有効であることが示される。 PIV5ゲノム内の種々の位置にH5N1のHAを発現する組換えPIV5(rPIV5−H5)を作成し、それらをインビトロ及びインビボで分析する。PIV5の唯一の事実上のプロモーターであるリーダー配列との距離は、遺伝子発現レベルに逆に作用する。ZL48においてH5N1 HAが挿入されたところであるHNとLとの遺伝子間の遺伝子接合部は、PIV5においてリーダー配列から最も離れている(図18A)。H5N1 HAをHN−L遺伝子接合部からリーダー配列の近くに動かすと、H5N1 HAタンパク質の遺伝子発現レベルのレベルが増加し得る。H5N1 HAの発現レベルが増加すればワクチンの有効性が高まるであろうという論拠から、H5N1 HA遺伝子をリーダー配列とNP遺伝子との間に挿入した。リーダー配列とNP遺伝子との間に挿入を有するプラスミドが作成されたが、残念ながらこのプラスミドは生存可能な感染性ウイルスを生じることができなかった(図18)ことから、この挿入がウイルスのライフサイクルにとって有害であることが示唆される。次にH5N1 HA遺伝子を、次の遺伝子接合部であるNPとV/Pとの遺伝子接合部に挿入した(ZL209)。プラスミドZL209からは組換えウイルスが回収されたが、ウイルスは組織培養細胞で十分に成長しなかった。加えて、このウイルスは他の部位に突然変異を含んだ(例えば、図18Bを参照)。H5N1 HA遺伝子をV/PとMとの遺伝子接合部である次の遺伝子接合部(ZL47、図18)並びにSHとHNとの接合部(ZL46、図18)に挿入した。ZL46及びZL48は野生型PIV5と同程度まで成長した一方、ZL47は力価がやや低下した(図23A)。H5N1 HAの発現レベルはZL46感染細胞で最も高かった一方、ZL47感染細胞では、H5N1 HAのレベルはZL48感染細胞と同程度であった(図23B)。感染マウスの肺のウイルス力価を測定することにより、マウスにおけるこれらのウイルスの複製能力を比較した。感染後4日目、PIV5及びZL46の力価は同程度であった(図24)。ZL48及びZL47感染マウスの肺における力価は、PIV5又はZL46感染マウスより低かった。平均では、ZL47が最も低かった(図24)(しかしながら、ZL47とZL48との差は統計的に有意ではなかった)。 マウスにおいてHPAI H5N1攻撃に対するH5N1 HAを発現する組換えPIV5H5の有効性を決定する。H5N1 HAを発現する全ての組換えPIV5ワクチンが、単一の高接種用量(106pfu)の後、マウスにおいてH5N1攻撃に対する完全な防御を提供したため、用量反応試験を実施して、PIV5ゲノム内におけるH5N1 HA遺伝子の位置によってワクチンの有効性が変わるかどうかを決定した。マウスを鼻腔内経路により、103、104又は105pfuの用量のZL46、47及び48に感染させた。21dpiでマウスを出血させ、血清を分析した。 104pfu以上のZL46、ZL47又はZL48を接種した全てのマウスが、致死性H5N1攻撃を生き残った。しかしながら、低用量の免疫化では異なる結果が明らかとなった。1000(103)pfuのZL46は、HPAI H5N1による致死的攻撃に対して100%マウスを防御したが、ZL48は免疫動物の70%を防御し、ZL47は僅か30%のマウスしか防御しなかった(図258A)ことから、SHとHNとの間へのH5N1 HA遺伝子の挿入が防御免疫応答の最も強力なプライミングを可能にしたことが示唆される。体重減少を調べると、同様の傾向が認められた。103接種では、ZL47で免疫されたマウスが最大の体重減少であった一方、ZL46は最小の体重減少であった(図25B)。104接種では、ZL48及びZL46は同程度に体重減少を防いだ一方、ZL47免疫化マウスはなおその開始時の体重の10〜15%を失った(図25C)。105以上の免疫化用量では、全てのマウスで同程度にHPAI感染に起因する体重減少が防がれた(図25D)。考察 この例では、マウスにおける最も病原性の強いインフルエンザウイルス、HPAI H5N1による攻撃に対して、H5N1のHAを発現する組換えPIV5を試験した。この組換えワクチンは、極めて低い用量であっても、HPAI H5N1攻撃に対するマウスの防御において有効であったことから、PIV5がH5N1ワクチンの開発に実行可能なベクターであることが示される。現在、H5N1に対して唯一FDAが承認しているワクチンには、特にそれが2回投与しなければならず、且つ中程度の有効性を実現するのに、従来のインフルエンザワクチンと比較して実質的により高濃度のワクチンが必要であるとおり、重大な制限がある。H5N1ウイルスのHA及びNAを利用する従来のワクチンは免疫原性が不十分となっており、且つ安全性及び生産に問題を抱えている(Stephenson et al.,2004,Lancet Infect Dis;4:499−509にレビューされている)。ZL46などのPIV5ベースのH5N1ワクチンは単一の低い用量(103PFU/マウス)で防御免疫を生じさせることができる一方、このワクチンは組織培養細胞で、特定の無菌卵なしに108PFU/mlまで成長することができて、ワクチンの生産が従事者に健康上のリスクをもたらすことがないため、PIV5ベースのH5N1ワクチンは、現行のFDA承認H5N1ワクチンと比べて利点を有する。さらに、PIV5ベースのH5N1ワクチンの費用対効果の高い性質により、それをニワトリなどのH5N1の保菌動物に対して使用することが可能である。 PIV5などのパラミクソウイルスは、リーダー配列においてのみ転写を開始する。従って、リーダー配列までの距離がウイルス遺伝子のレベルと反比例する。HNとLとの遺伝子間の遺伝子接合部は、PIV5においてリーダー配列から最も離れている。これは、多くの場合に、外来遺伝子を挿入することの任意の潜在的有害作用を回避するため、外来遺伝子の挿入に使用されている(He et al.,1997,Virology;237:249−260;及びTompkins et al.,2007,Virology;362:139−150)(図18)。H5N1 HAをHN−L遺伝子接合部からリーダー配列の近くに動かすと、遺伝子発現レベルが増加するはずである。リーダー配列とNP遺伝子との間への外来遺伝子の挿入が生存ウイルスをもたらさなかったことは興味深く、この挿入がウイルスのライフサイクルに有害であって、リーダーとNP遺伝子との間の領域がPIV5複製に決定的であることを示唆している。NPとV/Pとの間へのH5N1 HAの挿入は生存ウイルスを生じたが、ウイルスがその成長を欠いたとともに、回収されたウイルスの他の領域に突然変異が生じたことから、この領域も同様にウイルス複製に重要であることが示唆される。以前、NP発現とV/P遺伝子発現との比がミニゲノム系において最適なウイルス複製に決定的であることが報告されている(Lin et al.,2005,Virology;338:270−280)。NPとV/Pとの間へのH5N1 HAの挿入によりNPとV/Pとの比が崩れ、ウイルス複製の不良をもたらしたものと思われる。この結果は、VSVにおけるNとPとの間へのGFPの挿入と同様である。ZL46、ZL47及びZL48は全て、マウスにおいてH5N1攻撃に対する完全な防御を、マウス当たり104pfuもの低い単一接種用量の後に提供したが、V/PとMとの間へのH5N1 HAの挿入がZL48(HNとLとの間への挿入)又はZL46(SHとHNとの間への挿入)ほど優れた防御を提供しなかったことは意外である。V/PとMとの間への挿入がインビトロ(図23)及びインビボ(図24)で組換えウイルスの複製に悪影響を及ぼし、ワクチン候補の有効性が弱まった可能性がある。続く例では、有効なワクチン接種に生の組換えPIV5が必要であることが示される。これらの結果は、インビボでのウイルスの適応度及びPIV5ゲノム内での挿入部位が、ワクチン候補の有効性に対して強い影響を有することを示している。 インフルエンザウイルスに対する中和抗体は、防御免疫を証明するものである。しかしながら、H5N1のH5N1 HAを発現する組換えPIV5による低用量の接種では、低レベルのnAbがかろうじて検出されたに過ぎないが、マウスは完全に防御された。この結果から、生ワクチンからの細胞媒介性免疫応答が、高病原性インフルエンザウイルス攻撃に対する防御に寄与し得ることが示唆される。これは、インフルエンザのNPタンパク質をワクチン抗原として利用する試験によって裏付けられる(Epstein et al.,2005,Vaccine;23:5404−5410)。マウスにおいてZL48のブーストが免疫を増強したことは興味深く、プライム接種がPIV5ベースのワクチンの再免疫又は感染を妨げなかったことが示唆される。これは、マウスにおいてPIV5に対する中和抗体がPIV5感染を予防しないという報告と整合する(Young et al.,1990,J Virol;64:5403−5411)。人はPIV5に曝露されているが、PIV5はヒト疾患と関連せず、PIV5はヒトにおける使用に安全であり得ることが示唆される。 この例は、Li et al.,「Recombinant Parainfluenza Virus 5 Expressing Hemagglutinin of Influenza A Virus H5N1 Protected Mice against Lethal Highly Pathogenic Avian Influenza Virus H5N1 Challenge(A型インフルエンザウイルスH5N1のヘマグルチニンを発現する組換えパラインフルエンザウイルス5型は、致死性高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1攻撃に対してマウスを防御した)」、J Virol,2013 Jan;87(1):354−62.doi:10.1128/JVI.02321−12.Epub 2012年10月17日として発表されており、これは全体として参照により本明細書に援用される。[実施例4]狂犬病ウイルス糖タンパク質を発現する組換えパラインフルエンザウイルス5型ベースの狂犬病ワクチン 有効で且つ費用対効果の高い狂犬病ワクチンが必要とされている。この例では、PIV5ベクター化狂犬病ワクチンをマウスにおいて試験した。RABV糖タンパク質(G)をコードする組換えPIV5(rPIV5−RV−G)を鼻腔内(IN)、筋肉内(IM)及び経口接種によりマウスに投与した。ワクチン接種マウスを50致死的脳内狂犬病攻撃用量(LD50)のCVS−24で攻撃した。IN経路により投与したとき、単一用量の106PFUのrPIV5−RV−Gが100%防御に十分であった。IM経路により108PFUのrPIV5−RV−Gの単一用量でワクチン接種したマウスは、極めてロバストな防御を提供した(90%〜100%)。興味深いことに、108PFUのrPIV5−RV−Gの単一用量を経口ワクチン接種したマウスは50%生存率を示したが、これは弱毒化狂犬病ワクチンrLBNSE株接種マウスの60%生存率に匹敵する。これは、ベクターとしてのPIV5に基づく動物において経口的に有効な狂犬病ワクチン候補の初めての報告であり、rPIV5−RV−Gが新世代の組換え狂犬病ワクチンの優れた候補であり、PIV5が有望な経口ワクチン用ベクターであることを示している。 人獣共通感染疾患の一つとして、狂犬病ウイルス(RABV)感染症は、ヒトを含む温血動物において、曝露後治療しない場合に初期の急性脳炎及び後期の致死により特徴付けられる狂犬病を引き起こす(Rupprecht et al.,2006,Expert Rev Anti Infect Ther;4:1021−1038)。未治療の狂犬病ウイルス(RABV)感染症は死亡に至る。RABV感染症の予防には、ワクチン及び曝露後治療が有効となっている。しかしながら、費用が原因となって、発展途上国では狂犬病ワクチン接種及び治療はあまり用いられていない。狂犬病が原因で毎年約5万5千人が死亡していると報告されており、それらの症例のほとんどは発展途上国で起きている(例えば、Martinez,2000,Int J Infect Dis;4:222−228を参照)。野良犬、野生食肉類及びコウモリは、野外RABVの自然界の保菌動物であり、これらの狂犬病キャリアはヒト及び家畜にとって公衆衛生上のリスクである。ヒト狂犬病の発生原因は、大半が、動物のワクチン接種が限られている発展途上国、特に農村地域で野良犬に噛まれることである。 ワクチン接種がRABV感染に対する曝露前治療の最も有効な方法であり、ヒト及び保菌動物の両方において使用されてきた。曝露後治療については、不活化細胞培養ワクチンの複数回の接種及び免疫グロブリン注射が合わせて利用され、狂犬病の発症が予防される。しかしながら、狂犬病ワクチン免疫及び免疫グロブリン治療は、発展途上国の農村地域又は遠隔地の家族にとって比較的高価である(Knobel et al.,2005,Bull World Health Organ;83:360−368)。野良犬のワクチン接種も同様に、狂犬病感染を予防する潜在的に費用対効果の高い戦略である。従って、有効で且つ費用対効果の高いワクチンが必要とされている。野良犬のワクチン接種には、経口免疫などの無針のワクチン接種が理想的となる。 現在、死菌狂犬病ワクチンがニワトリ胚細胞、BHK、又はVero細胞から調製され、筋肉内(IM)注射によりヒトでの使用及び愛玩動物用に利用可能である(Wu et al.,2011,Expert Rev Vaccines;10:1597−1608)。曝露前狂犬病ワクチンは、通常、不活化ワクチンの3回の連続注射によって投与されている。家畜及び野生動物における狂犬病予防のため、弱毒生狂犬病ワクチン(SADベース及びERAベースの修飾生狂犬病ワクチン)及びRABV Gを発現するワクシニアウイルスをベースとする組換え狂犬病ワクチン(V−RG)が開発されている(Kieny et al.,1984,Nature;312:4;Meslin et al.,1994,Curr Top Microbial Immunol;187:26;及びWiktor et al.,1984,Proc Natl Acad Sci USA;81:7194−7198)。これらのワクチンは多くの種で良好な防御免疫応答を生じたという事実にも関わらず、イヌ及びスカンクでは不十分な防御免疫が認められた(Murray et al.,2009,J Am Vet Med Assoc;235:691−695;Rupprecht et al.,2001,N Engl J Med;345:5;及びTolson et al.,1987,Can J Vet Res;51:363−366)。弱毒生RABVの使用はまた、RNAゲノム突然変異に起因する病原性の表現型への復帰突然変異、ワクチンの過剰投与により引き起こされる残留病原性又は標的種の変化に関する安全性上の懸念も引き起こす。ワクチンとしてのワクシニアウイルスは、ヒトにおいて有害な局所的及び全身性の反応を引き起こすことが報告されており、及びワクシニアウイルス(vaccina virus)ベクター化狂犬病ワクチン(V−RG)も、ヒトにおいて同様に反応を引き起こしたことが報告された(CDC、2009、MMWR 58:4;及びRupprecht et al.、1990、J Wildl Dis;26:99−102)。その後、RV Gを発現する改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)が、広く使われているV−RGワクチンに代用されるより安全性の高いワクチンとして開発されているが、組換えMVAの経口免疫は、先行曝露を有するイヌ及びアライグマにおいて既往免疫応答を誘発できなかった(Weyer et al.,2009,Vaccine;27:7198−7201)。従って、動物用並びにヒト用の有効で安全な狂犬病ワクチンの開発が必要とされている。野生動物のワクチン接種には、経口投与することのできる狂犬病ワクチンが必要とされる。 ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)のリッサウイルス属(Lyssavirus)のメンバーであるRABVは、エンベロープを持つRNAウイルスであり、弾丸型構造の一本鎖ネガティブセンスゲノムを有する。RNAゲノムは、以下の順序で5つの構造遺伝子をコードする:核タンパク質(N)、リンタンパク質(P)、基質タンパク質(M)、糖タンパク質(G)、及びウイルスRNAポリメラーゼ(L)(9)。N、P、Lタンパク質がウイルスRNAゲノムと組み合わさってリボ核タンパク質(ribonuleoportein)(RNP)を形成する。RABV Gは、ウイルス中和抗体の主要な抗原である(Cox et al.,1977,Infect Immun;16:754−759)。 パラインフルエンザウイルス5型(PIV5)は、約15キロベースのサイズのゲノムを有する非分節性マイナス鎖RNAウイルスであり、パラミクソウイルス科に属する。PIV5は、大きい細胞変性効果(CPE)なしに広域の細胞系に感染し、これにより、PIV5が連続細胞系で成長して高力価を達成することが裏付けられ、経済的な量産手段が提供される。PIV5のヒト疾患との関連性、ウイルスゲノムが宿主DNAに組み込まれるリスクがないこと、及びポジティブセンスRNAウイルスと比べたマイナス鎖RNAウイルスゲノムの安定性は、PIV5が良好なワクチンベクター及びタンパク質発現ツールであることを示唆している。生PIV5を含むケンネルコフワクチンは、動物又はヒトに対する安全上の懸念を生じることなく長年イヌにおいて使用されているため、RABV Gを発現するPIV5はイヌ用の有効なワクチンとなり得るとともに、既存のイヌワクチン接種プログラムに容易に組み込むことができる。この例では、新規狂犬病ワクチンとしてのRABV Gを発現するPIV5を実証する。材料及び方法 細胞。BHK21、BHK21細胞に由来するクローン細胞系であるBSR−T7細胞及びBSR細胞(Sarmento et al.,2006,Virus Res;121:144−151)は、10%リン酸トリプトースブロス、10%ウシ胎仔血清(FBS)及び1%ペニシリン−ストレプトマイシンを含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)に維持した。MDBK細胞は、10%FBS含有DMEMで成長させた。マウス神経芽細胞腫(NA)細胞は、10%FBSを補足したRPMI 1640培地に維持した。BSR−T7細胞の培地にはG418を添加し、400μg/mlの終濃度とした。ウイルス感染のため、単層をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、次にDMEM+1%ウシ血清アルブミン中のウイルスを接種した。次に単層をPBSで洗浄し、37℃、5%CO2において2%FBS含有DMEMでインキュベートした。 ウイルス。野生型PIV5については以前記載した(He et al.,1997,Virology;237:249−260)。PIV5を濃縮するため、ウイルスを含む上清を20%ショ糖に負荷し、Thermo scientific超遠心機タイプF40L−8×100ロータにおいて37,000rpmで1時間、ペレット化した。次にペレットを1%BSA含有DMEM培地に再懸濁し、−70℃で保存した。哺乳マウス脳適応CVS−24狂犬病ウイルス株(ここでCVSは、攻撃ウイルス標準である)を、哺乳マウスにおいて増殖させた。狂犬病ワクチンLBNSE株は、以前報告されたL16株に由来したもので(Wen et al.,2011,J Virol;85:1634−1644)、BSR細胞で成長させた。攻撃ウイルス標準11(CVS−11)は、NA細胞において増殖させた。RV−Nタンパク質に対するフルオレセインイソチオシアネート(FITC)コンジュゲート抗体を、Fujirebio Diagnostics,Inc.(Malvern,PA)から購入した。 ウイルス感染性クローンの構築。PIV5感染性クローンプラスミドpBH311は、PIV5ゲノムのHNとLとの遺伝子間に追加の遺伝子として緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を含み、GFPを発現する(He et al.,1997,Virology;237:249−260)。 RABV ERA株由来のG遺伝子を含むプラスミドから完全長RABV G遺伝子(1,575ヌクレオチド)をPCR増幅した。プライマー配列は以下のとおりである:RV−G1、5’AACAAGCGGCGGCCGCCGCCACCATGGTTCCTCAGGCTCTCCTGTTTGTAC(配列番号5);及びRV−G2、5’AACAAGCGCGGCCGCTCACAGTCTGGTCTCACCCC CACTC(配列番号6)。PIV5感染性クローンベクターにPCR断片を挿入して、追加の遺伝子としてHNとLとの間にRABV Gを含むプラスミド、pPIV5−RV−Gを作成した。rPIV5−RV−Gゲノムの長さは、6の倍数として維持した。 rPIV5−RV−Gウイルスのレスキュー。rPIV5−RV−Gウイルスをレスキューするため、プラスミドpPIV5−RV−G(3μg)を、プラスミドpCAGGS−PIV5−L(1.5μg)、pCAGGS−PIV5−NP(1μg)、及びpCAGGS−PIV5−P(200ng)と共にBSRT−7細胞にトランスフェクトした。トランスフェクション後4日目、rPIV5−RV−Gを含む上清を採取し、BHK21細胞においてプラーク精製した。プラーク(感染後4〜7日目[dpi]に発色)を選択し、MDBK細胞でさらに増幅した。QIAmpウイルスRNAミニキットを使用して上清からRNAを抽出し、ランダムプライマーで逆転写(RT)を実施した。HN 3’末端又はL 5’末端に結合する特異的プライマーを使用して、逆転写産物をさらにPCR増幅した。プライマー配列は以下のとおりである:311−10699−F1、5’CAGATTGTCCCATTTATCCGTCAGGTGAC(配列番号7);及び311−11764−R1、5’AGGTCGATCTCATTTGGGAGGTTTCCAAG(配列番号8)。PCR産物を配列決定した。 成長曲線及びプラークアッセイ。6ウェルプレート中のMDBK細胞を、MOI0.01でPIV5又はrPIV5−RV−Gに感染させた。感染後0、1、2、3、4、及び5日目に上清を採取した。高MOI感染のため、6ウェルプレート中のMDBK細胞をMOI5でPIV5又はrPIV5−RV−Gに感染させ、感染後0、12、24、36、48、及び60時間目に上清を採取した。6ウェルプレート中のBHK21細胞を、段階希釈のウイルスストックに感染させた(1:10〜1:106)。2時間後、接種混合物を除去し、2%FBS、100IU/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、及び1%低融点アガロースを含有する5ml DMEMに交換した。感染後5〜6日目にプラークを計数した。各時間点につき2つのレプリケートを使用した。 間接免疫蛍光アッセイ。RABV Gの発現を検出するため、rPIV5−RV−G感染MDBK細胞を間接免疫蛍光アッセイ(IFA)により調べた(Chen et al.,2010,Virology;398:87−97)。簡潔に言えば、PBS中3.7%ホルムアルデヒド(pH7.4)で10分間細胞を固定し、次にPBS中0.1%Triton X−100+1%FBSにより室温で30分間透過処理した。固定した細胞を、37℃で一次抗体(1:200希釈のマウス抗RABV−G抗体;Novus biologicals,Inc)と共に1時間インキュベートした。FITCコンジュゲートヤギ抗マウス(1:200希釈;KPL,Inc.)を二次抗体として使用した。 ウエスタンブロッティング。rPIV5−RV−G感染MDBK細胞を、全細胞抽出緩衝液(WCEB)(50mMトリス−HCl[pH8]、280mM NaCl、0.5%NP−40、0.2mM EDTA、2mM EGTA、及び10%グリセロール)(Timani et al.,2008,J Virol;82:9123−9133)で溶解した。4000rpmで15分間遠心することによりライセートを清澄化し、上清を同量の2×SDS負荷緩衝液(100mMトリス−HCl[pH6.8]、20%グリセロール、4%SDS、200mMジチオスレイトール[DTT]、及び0.1%ブロモフェノールブルー)と混合し、95℃で5分間加熱し、10%SDS−PAGEにより分離した。iBlotドライブロッティングシステム(Invitrogen)を使用してタンパク質をフッ化ポリビニリデン(PVDF)膜に移した。膜をマウス抗RABV−G抗体(1:2000希釈)又はマウス抗PIV5−V/P抗体(1:2000希釈、PIV5ウイルス感染対照に使用)(Sun et al.,2011,J Virol;85:10261−10268)と共にインキュベートし、続いて1:2000希釈の西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識したヤギ抗マウス二次抗体と共にインキュベートした。洗浄後、PVDF膜をECL Advance基質(GE Healthcare)と共にインキュベートし、Kodak Image Station 440を使用して走査した。 ウイルスの精製。RABV Gが組換えPIV5粒子に組み込まれるかどうかを決定するため、清澄化した上清中のウイルスを20%ショ糖に負荷し、Thermo scientific超遠心機タイプF40L−8×100ロータにおいて37,000rpmで1時間ペレット化した。次にペレットをTNE緩衝液(10mMトリス[pH7.4]、100mM NaCl、1mM EDTA)に再懸濁し、10%〜80%ショ糖勾配に負荷してTH−641ロータにおいて37,000rpmで1時間遠心した。ウイルスバンドを採取し、F40L−8×100ロータにおいて37,000rpmで1時間ペレット化した。精製したウイルスをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)緩衝液(pH7.4)に再懸濁した。精製したウイルス粒子からのタンパク質をSDS−PAGE及びウエスタンブロッティング解析に供した。 動物試験。動物試験では6〜8週齢雌性BALB/cマウスを使用した。全ての動物実験は、ジョージア大学(University of Georgia)の機関内動物管理・使用委員会によって承認されたプロトコルに従い実施した。マウス免疫は、鼻腔内(IN)、筋肉内(IM)、又は経口経路により実施する。鼻腔内免疫は、6週齢BALB/cマウスを初めにアベルチン(180〜250ul/kg)の腹腔内注射により麻酔し、次に100μlのrPIV5−RV−G又はPIV5を種々の用量で滴下して鼻腔内接種した。PBS処置マウスを対照として供した。3週間後、2用量応答実験では、初回接種と同じ用量でマウスをブーストした。マウスはまた、rPIV5−RV−G粒子を経口投与するか、又は100μl rPIV5−RV−Gを種々の用量で後肢の大腿筋に筋肉内注射することによっても免疫した。狂犬病ワクチン対照として、ある群のマウスを1×107FFUの狂犬病ワクチンLBNSE株でIM経路により免疫した。血清学的評価のため、マウスを尾から出血させた後、攻撃した。 マウス攻撃は、1用量実験では免疫後3週間目に実施し、又は2用量実験ではブースト後1週目に実施した。マウスをI.C.経路により、50脳内(I.C.)50%致死量(LD50)のCVS−24株に感染させた。感染動物は狂犬病ウイルス感染の症状について毎日、22日間観察した。 狂犬病中和抗体測定。世界保健機関(World Health Organization:WHO)の標準検査である迅速蛍光フォーカス抑制試験(RFFIT)を用いてウイルス中和抗体(VNA)を測定するため、種々の群の各マウスから血液を採取した。簡潔に言えば、Lab−Tekチャンバースライド(Nalge Nunc International,Rochester,NY)に血清の段階5倍希釈液50μlを調製した。CVS−11の50FFD50(50%蛍光フォーカス用量)を各チャンバーに加え、37℃で90分間インキュベートした。各チャンバーにNA細胞(105細胞)を加え、スライドを37℃で20時間インキュベートした。次に細胞を氷冷80%アセトンで固定し、FITCコンジュゲート抗RV N抗体により37℃で1時間染色した。各チャンバーの20フィールドを蛍光顕微鏡下に観察し、リード−ミュンヒ(Reed−Meunch)の式に従い50%エンドポイント力価を計算した。それらの値を、既知の濃度(国際単位、IU/ml)のVNAを含有する基準血清(国立生物学的製剤研究所(National Institute for Biological Standards and Control),Herts,英国から入手した)と比較した。結果 RABV Gを発現する組換えPIV5の作成及び分析。PIV5ベクターを使用した組換え狂犬病ワクチンを、以下のとおり構築した。狂犬病EAR株の糖タンパク質遺伝子(RV−G)をPIV5のHNとLとの遺伝子間に挿入した(図26A)。PIV5ゲノムにおけるRV−G遺伝子には、NP遺伝子とV/P遺伝子との接合部領域の遺伝子開始(GS)、遺伝子間配列(I)及び遺伝子終了(GE)配列が隣接し、これは高度な転写を生じた(He et al.,1997,Virology;237:249−260)。ウイルスを回収し、逆転写(RT)PCR分析及び配列決定によってゲノムを確認した。 間接免疫染色アッセイ(IFA)によってrPIV5−RV−G感染細胞におけるRV−Gタンパク質の発現を検出した。rPIV5−RV−Gを感染させた細胞を、RABV Gに対するマウスモノクローナル抗体により染色し、一方、PIV5感染細胞は染色しなかった(図26B)。rPIV5−RV−G感染細胞におけるRABV G発現を、RV−Gに対するマウスモノクローナル抗体によるウエスタンブロット分析によってさらに確認した(図26C)。組換えRABV G(約65kDa)のサイズは、天然のRABVのサイズであるものと予想される(Zhou et al.,2006,Mol Ther;14:662−672)。 RABV G遺伝子の挿入がウイルス複製に及ぼす効果を決定するため、PIV5及びrPIV5−RV−Gウイルスの多段階及び一段階成長曲線を決定した。多段階成長曲線アッセイでは、MDBK細胞を細胞当たり0.01プラーク形成単位(PFU)の(感染多重度、MOI0.01)rPIV5又はrPIV5−RV−Gに感染させ、24時間毎に120時間まで上清を採取した。一段階成長曲線アッセイでは、MDBK細胞をMOI5でrPIV5又はrPIV5−RV−Gに感染させ、上清を12時間毎に60時間まで採取した。BHK21細胞においてプラークアッセイによりウイルスを定量化した。図27A及び図27Bに示されるとおり、両方のウイルスとも同様の初期成長動態を有したが、多段階成長における24時間から96時間の間及び一段階成長における12時間から48時間の間のrPIV5−RV−Gの成長率は、野生型PIV5と比べてやや低かった。両方のウイルスが、多段階成長では感染後約120時間(p.i.)で、及び一段階成長では60時間p.i.で、同程度の最大力価に達した。この結果から、RABV G遺伝子を追加的な発現単位としてPIV5ゲノムに挿入しても、PIV5ウイルスのインビトロ成長に重大な影響は及ばなかったことが示された。 rPIV5−RV−Gウイルス粒子へのRABV G組み込みの同定。RABV Gはエンベロープタンパク質であるため、PIV5粒子へのその取り込みを調べた。PIV5及びrPIV5−RV−GをMDBK細胞において成長させて精製し、SDS−PAGE及びウエスタンブロッティングによりポリペプチドを分析した。SDS−PAGEにより、PIV5及びrPIV5−RV−Gの精製ビリオンが、L、HN、NP、F、P及びMを含む主要なPIV5構造タンパク質へと分離された(図28)。RABV G特異抗体による精製ウイルスのウエスタンブロット分析により、rPIV5−RV−GビリオンにRABV Gバンドの存在が検出された一方、PIV5ビリオンにはRABV Gバンドは認められなかった(図28)。この結果から、RABV Gが組換えPIV5粒子に組み込まれることが示された。 マウスにおける鼻腔内接種によるrPIV5−RV−Gの有効性。rPIV5−RV−Gがマウスモデルにおいてロバストな狂犬病攻撃に対して十分な防御免疫を誘発できることを決定するため、2用量免疫化レジメンを実施した。生PIV5を含む現行のワクチンはイヌにIN経路で投与されるため、初めにINワクチン接種を用いてrPIV5−RV−Gの有効性を試験した。4群のマウスに、103、104、105又は106PFUのrPIV5−RV−GをINワクチン接種した。対照群にはIN経路によってPBSを投与した。プライムワクチン接種の3週間後、全てのマウスを初回接種と同量でブーストした。一週間後、血清を採取し、狂犬病VNAアッセイに使用した。その後、マウスをI.C.経路により50LD50の狂犬病CVS−24株で攻撃した。WHOの指針に従いRABV中和抗体(nAb)の力価を決定した。図29A及び図29Bに示されるとおり、生存率及びRABV nAbレベルのいずれも、用量依存的反応を示した。103、104、105又は106PFUのrPIV5−RV−Gでワクチン接種した群の平均VNA力価及び生存率(VNA/生存率)は、0.53IU/30%、1.52国際単位(IU)/77.8%、7.94IU/100%、62.96IU/100%であり、PBS治療群の0IU/0と対照的であった。0.5IUが、防御抗体の最小レベルと考えられる。各群における0.5IU以上の個別マウスの割合は生存率と強く相関し、例えば103PFUのrPIV5−RV−Gの群では、10匹中3匹のマウス(30%)が最小防御抗体値より高く、生存率は30%であった。PBS群のマウスは全て、RABVによる攻撃後9日以内に死亡した。この結果から、rPIV5−RV−Gは2用量免疫化スケジュールでマウスにおいて狂犬病攻撃に対する防御免疫応答を誘発可能であることが示された。100%防御のためのrPIV5−RV−Gの最小有効2用量は、105PFUのrPIV5−RV−Gである。 2用量レジメン試験の結果から、rPIV5−RV−Gの狂犬病攻撃に対する免疫原性潜在力が実証されたが、rPIV5−RV−Gがマウスにおいて1用量ワクチン接種で有効となり得るかどうかをさらに調べた。3つのマウス群に、105、106又は107PFUのrPIV5−RV−GをINワクチン接種した。対照群にはIN経路によって107PFUのPIV5を投与した。免疫の3週間後、マウスをI.C.経路により50LD50の狂犬病CVS−24株で攻撃した。図30A及び図30Bに示されるとおり、105、106又は107PFUのrPIV5−RV−GでIN免疫したマウス群は、平均VNA力価の用量依存的な増加を示し、生存率は77.8%、100%、及び100%であった。従って、INワクチン接種による106PFUのrPIV5−RV−Gの単一用量が、狂犬病ウイルス攻撃に対する100%防御のための最小用量であった。 マウスにおける筋肉内接種によるrPIV5−RV−Gの有効性。状況によっては、IMワクチン接種が好ましいこともある。従って、IM免疫の有効性を調べた。IN接種と同時に、3つのマウス群に、IM経路によって106、107又は108PFUのrPIV5−RV−Gを注入した。免疫の3週間後、マウスをI.C.経路により50LD50の狂犬病CVS−24株で攻撃した。図30A及び図30Bに示されるとおり、IMによって106、107又は108PFUでワクチン接種した群は平均VNA力価の用量依存的な増加を示し、それぞれ60%、70%及び90%の生存率を示した。 マウスにおける経口接種によるrPIV5−RV−Gの有効性。経口経路による有効なワクチン接種は、野生動物のワクチン接種の成功にとって決定的である。経口免疫によるワクチン候補の有効性を決定するため、3つのマウスの群に、IN経路による106PFUのrPIV5−RV−G、IM経路による108PFUのrPIV5−RV−G、又は経口経路による108PFUのrPIV5−RV−Gをワクチン接種した。2つの陰性対照群は、IN経路によって106PFUのPIV5又はPBSの接種を受けた。加えて、対照マウス群に、弱毒化狂犬病ワクチンであるrLBNSE株107FFUを、IM経路によってワクチン接種した。ワクチン接種の3週間後にRV VNAアッセイ用の血清を採取し、I.C.経路によって50LD50の狂犬病CVS−24株でマウスを攻撃した。図31Bに示されるとおり、IN経路によって106PFUのrPIV5−RV−Gを投与したマウス、及びIM経路によって108PFUのrPIV5−RV−Gを投与したマウスの全てが、攻撃を生き残った。経口経路により108PFUのrPIV5−RV−Gをワクチン接種したマウスは50%の生存率であった一方、rLBNSE株ワクチン接種マウスの60%が生き残った。PIV5群又はPBS群のいずれのマウスも、攻撃後9日以内に全て死亡した。最も高い平均VNAレベルは、IN経路による106PFUのrPIV5−RV−Gの群で見出された(図31A)。全体として、平均VNAレベルは、予想どおり生存率と正の相関を有した。考察 過去10年の間、弱毒生RABV又はRABV Gを発現する組換えウイルス(V−RGなど)をベースとする数多くの組換え狂犬病ワクチン候補が、現行の狂犬病ワクチンに代わる可能性を有するものとして開発されてきた(Ge et al.,2011,J Virol;85:8241−8252;Li et al.,2006,Virology;356:147−154;Tordo et al.,2008,Dev Biol(Basel);131:467−476;Weyer et al.,2007,Vaccine;25:4213−4222;Weyer et al.,2009,Vaccine;27:7198−7201;及びZhou et al.,2006,Mol Ther;14:662−672)。それらのワクチン候補の一部は、IMによる投与時に防御免疫を生じたが、これらの候補による経口免疫の有効性に関するデータは欠けている。報告されている中で、狂犬病G遺伝子を有するイヌアデノウイルスによる経口免疫は、マウスにおいて狂犬病感染に対する防御を付与しなかった(Li et al.,2006,Virology;356:147−154)。V−RGに代わるより安全なものとして、狂犬病ウイルス糖タンパク質遺伝子を発現する組換えMVAワクチンが作成されてマウスで試験され、その結果から、109PFUもの高い用量を末梢経路によりワクチン接種したマウスにおいてのみ、防御が認められたことが示された(Weyer et al.,2009,Vaccine;27:7198−7201)。 この例は、PIV5のHNとLとの遺伝子間にRABVのG遺伝子を挿入すると、経口免疫並びにIN及びIM免疫により有効な有効ワクチンが提供されることを実証する。これは、パラミクソウイルスをワクチンベクターとして使用した狂犬病ウイルスワクチンについてのマウスにおける経口免疫有効性を初めて実証したものであり、経口送達が不可欠なワクチンの開発にPIV5をベクターとして使用し得ることが示される。 3つの免疫化経路をマウスにおいて試験した。そのうち、IN接種で最良の免疫応答及び防御が得られ、rPIV5−RV−Gが狂犬病に対する防御免疫応答を誘発できることを実証した。米国では、長年多くの飼い犬でケンネルコフワクチン接種などのIN免疫が使用されている。PIV5−RV−GがIN免疫により有効であったことから、それを既存のイヌワクチン接種プログラムに組み込み可能であることが示唆される。免疫化のIM経路は、用量が高いほど有効であった。精製PIV5−RV−GビリオンでGが検出されたため、IM免疫化においては、PIV5−RV−Gの用量が高いほどより多くのGタンパク質が注入されたものと思われる。しかしながら、前出の例に示されるとおり、IMによって投与された不活化PIV5ベースのワクチンは部分免疫しか提供しないため、IM経路によるPIV5ベースのワクチンの免疫を高度に有効とするには、実にウイルスが生きている必要がある(実施例7及びMooney et al.,2013,J Virol;87(1):363−71を参照)。単一用量接種はマウスにおいて致死性狂犬病ウイルス攻撃に対し免疫を提供したが、ブーストがrPIV5−RV−Gの有効性をさらに増強した:IN経路の接種で105PFUの単一用量により77%防御が得られたのに対し、105PFUのrPIV5−RV−Gによるプライム−ブーストは100%防御を提供した。平均VNA力価は1用量の105PFUにおける2.76IUから2用量ワクチン接種における7.94IUに増加した。最も顕著なことには、IN接種で1用量から2用量の106PFUのrPIV5−RV−Gによることで、VNAがマウスにおいて4.73IUから62.96IUに増加した。rPIV5−RV−Gをワクチン接種したマウスにおいて既往免疫応答が誘発されたことから、PIV5に対する先行曝露がPIV5ベクター化抗原に対するロバストな免疫応答を妨げなかったことが示唆される。rPIV5−RV−Gワクチンを使用する際の懸念の一つは、先在する抗PIV5免疫がPIV5ベクター化ワクチンの有効性に悪影響を及ぼすかどうかである。 生ワクチンによるブーストからのロバストな免疫応答は、ウイルスベクターに対する先在する免疫がPIV5ベースのワクチンの有効性に影響を及ぼさなかったことを示唆している。さらに、実施例2に示されるとおり、PIV5に対する中和抗体を有するイヌが、A型インフルエンザウイルスのHAを発現するPIV5による免疫後にインフルエンザウイルスに対して防御免疫応答を生じたことから、先行曝露を有するイヌにおいてPIV5ベースのワクチンが有効であることが示される(実施例2及びChen et al.,2012,PloS One;7(11):e50144を参照)。新生仔イヌにおける狂犬病ワクチン、特に弱毒生狂犬病ワクチンの使用は、母性抗狂犬病抗体が6ヶ月もの間持続し得るため、制限されている。PIV5ベースの狂犬病ワクチンは、新生仔イヌを有効にワクチン接種する代替的な方法を提供する。 rPIV5−RV−GについてはIN免疫が最良の防御を提供したが、野良犬又は野生動物のワクチン接種には経口免疫が最良の手法であろう。経口ワクチンは、その使用の簡便さ、集団予防接種運動との適合性、及び接触が困難な種に接触できるなど、従来のワクチンと比べて利点を有する(Faber et al.,2009,Zoonoses Public Health;56:262−269)。本研究におけるマウスの半分が、1用量ワクチン接種で防御された。これは現行の生狂犬病ワクチンに匹敵する。経口ワクチン接種の防御機構については、ほとんど解明されていない。経口ワクチン接種したマウスの末梢血(peripherial blood)由来の血清のVNA力価は、全身免疫応答を示した。経口接種によるVNA力価の範囲は0.1IU〜3.8IUであり、平均力価は1.5IUであった。PIV5は経口経路によって抗原を粘膜細胞に送達することができ、それによりPIV5ベクター化抗原に対する全身性反応を含む特異的免疫応答が生じたものと思われた。プライム−ブーストレジメンを用いることにより、経口接種の防御有効性をさらに増加させることが可能である。加えて、PIV5ベクターを修飾すると、PIV5ベクター化狂犬病ワクチンの有効性が増加し得る。前出の例に示されるとおり、PIV5内における外来遺伝子(foregin gene)の挿入部位が、PIV5ベースのワクチンの免疫原性に影響を及ぼす(Li et al.,2013,J Virol;87(1):354−62も参照のこと)。例えば、H5N1のHAをPIV5内でSHとHNとの間に挿入すると、マウスにおいて、H5N1のHAがPIV5内でHNとLとの間に挿入されたワクチンと比べ、H5N1攻撃に対してより良好な免疫を生じるワクチン候補となる。PIV5ベースのワクチンの有効性は、PIV5ゲノム内の異なる位置にG遺伝子を挿入することにより、経口免疫に関してさらに改善することができる。加えて、さらなる狂犬病ウイルス抗原の発現がPIV5ベースのワクチンの効力を増強し得る。以前、狂犬病RNPが防御性であり得ることが報告されている。例えば、PIV5を使用して狂犬病N、P又はLタンパク質のうちの一つをGタンパク質と共に発現させると、免疫防御有効性が増強され得る。 この例に示されるとおり、PIV5ベースの狂犬病ワクチンは狂犬病ウイルス感染からの致死的攻撃を防御するロバストな免疫応答を生じており、イヌにおける狂犬病感染を制御するための狂犬病用ワクチンとしてのPIV5の潜在力、並びにイヌ及び他の動物並びにヒトにおける他の感染症向けのベクターとしてのその潜在力を実証している。 この例は、Chen et al.,「A novel rabies vaccine based on a recombinant parainfluenza virus 5 expressing rabies virus glycoprotein(新規糖タンパク質を発現する組換えパラインフルエンザウイルス5型ベースの狂犬病ワクチン)」 J Virol;2012 Dec 26 [印刷版に先行する電子版],doi:10.1128/JVI.02886−12としても発表されており、これは全体として参照により本明細書に援用される。[実施例5]卵内ワクチン接種用のPIV5ベースのワクチンの免疫原性 この例は、潜在的な卵内接種用ワクチンとしてのPIV5ベースのワクチンの有効性を実証する。表1に示すとおり、H5N1のHAを発現するPIV5(PIV5−H5、ZL46としても知られる;ここでH5はPIV5ゲノム内のSHとHNとの遺伝子間に挿入された)の卵内注射は、孵化率に影響を及ぼさなかった。 次に、孵化後14日目及び28日目のニワトリにおいて抗インフルエンザウイルス抗体力価を調べた。10プラーク形成単位(PFU)もの低さの用量で、ロバストな抗インフルエンザウイルス免疫を生じさせることができた(図32)。簡潔に言えば、卵内経路によりPIV5−H5を接種したニワトリの抗インフルエンザ抗体力価を測定した。18日齢SPF胚に、100μlのPIV5−H5を使用して卵内ワクチン接種した(力価は図32において各群の下に示す)。ワクチン接種は、Inovojectオートマット(Pfizer Animal Health、旧Embrex)を使用して実施した。孵化後、ニワトリは陽圧下のHorsfall−Bauer装置に保管した。ワクチン接種したニワトリがウイルスを排出するかどうかを調べるため、対照群の3匹の未感作孵化メイトを各ウイルス接種群に加えた。孵化(ah)後14日目及び28日目にニワトリを出血させた。血球凝集抑制(hemagglination−inhibition)(HI)力価をOIE勧告に従い決定した。 未感作の同居させたニワトリにおいても抗インフルエンザ抗体が検出されたことから、PIV5−H5(ZL46)の排出が示唆される。生ワクチンの排出は、群れ免疫を生じさせるには潜在的に有益であるが、規制上の懸念について難題を提起し得る。従って、他のPIV5ベースのH5ワクチンを卵内で試験して、排出なしにロバストな免疫を生じるPIV5ベースのワクチンを同定する。 弱毒化された、且つH5を発現するいくつかのPIV5コンストラクトが作成されており、上記に記載したとおり試験し得る。これには、限定はされないが、本明細書に含まれ且つ図33に示される例に記載されるとおりのコンストラクトが含まれる。図33は、H5N1のHAを発現する組換えPIV5の概略図を示す。PIV5はネガティブセンスRNAゲノムを含むパラミクソウイルスである。これは、8つの既知のウイルスタンパク質をコードする。リーダー及びトレーラー配列は、ウイルスのRNA複製及び転写にとって重要である。PIV5−H5(ZL46)の結果は、表1及び図32に示される。PIV5−H5(ZL48)は、PIV5のHNとLとの遺伝子間にH5挿入を有する。PIV5ΔSH−H5はSH遺伝子が欠損している。PIV5VΔC−H5は、Vタンパク質の保存されたC末端が欠損している。SH欠失及び保存されたC末端の欠失を組み合わせてPIV5VΔCΔSH−H5が作製されている。SH又はVΔCの欠失は、マウスにおいて減弱を生じさせる。 前出のとおり、18日齢の胚に、種々の用量(10,000、1,000、100及び10PFU/卵)のウイルスを卵内接種する。希釈当たり54個の卵を使用する。PBS接種を対照として使用する。ウイルス接種卵及びPBS接種卵の孵化率を比較する。孵化後、各群から10匹のニワトリを選び、陰性対照の5匹のニワトリ(PBS接種したもの)と混ぜる。ウイルスが排出されるのはどこか、気道からか、それとも消化管からかを分析するため、排泄腔及び口腔咽頭スワブを採取し、細胞を使用してウイルスを単離することによるか及び/又はqRT−PCRによりウイルスの存在を決定する。孵化後2日目(d)、5d、7d、14dの各ニワトリのスワブを採取し、ウイルスについて調べる。孵化後14日目及び28日目、ニワトリを出血させ、HI試験を用いて抗HA力価を決定する。[実施例6]動物の健康のためのワクチン PIV5イヌインフルエンザワクチン開発。イヌインフルエンザに対するPIV5−H3ベクター化ワクチンを開発するため、以下を行う: イヌインフルエンザのH3遺伝子のDNA配列を決定する; 発現制御エレメントを選択する; RGプラスミド系の所望の挿入部位にHA遺伝子を合成及びクローニングする; HA遺伝子及び発現制御エレメントの配列を確認する; 適切な細胞系において組換えウイルスをトランスフェクト及びレスキューする; 組換えウイルスからのHAタンパク質の発現を確認する; 組換えウイルスストックを調製及び保存する; 組換えウイルスをプラーク精製する; プラーク精製ウイルスの5、10及び15継代目に、H3タンパク質発現並びにプロモーター及びターミネーター配列を含めたDNA配列のインビトロ安定性を確認する; 少なくとも2つの動物試験を行うのに十分なP10〜12のウイルスストックを調製する;及び イヌにおいてPOC動物試験を実施する。 PIV5犬ジステンパーワクチン開発。イヌジステンパーウイルス(CDV)に対するPIV5−F+Hベクター化ワクチンを開発するため、以下を行う: CDVのF及びH遺伝子のDNA配列を決定する; 発現制御エレメントを選択する; RGプラスミド系の所望の挿入部位にF及びH遺伝子をクローニングする; F及びH遺伝子及び発現制御エレメントの配列を確認する; 適切な細胞系において組換えウイルスをトランスフェクト及びレスキューする; 組換えウイルスからのF及びHタンパク質の発現を確認する; 組換えウイルスストックを調製及び保存する; 組換えウイルスをプラーク精製する; プラーク精製ウイルスの5、10及び15継代目に、F及びHタンパク質発現並びにプロモーター及びターミネーター配列を含めたDNA配列のインビトロ安定性を確認する; 少なくとも2つの動物試験を行うのに十分なP10〜12のウイルスストックを調製する;及び イヌにおいてPOC動物試験を実施する。 F+Hの両方の遺伝子を単一のワクチンベクターに組み込むことができない場合、PIV5−F及びPIV5−Hベクター化ワクチンを個別に合成する。 PIV5−FeLVワクチン開発計画。FeLVに対するPIV5−gp70ベクター化ワクチンを開発するため、以下を行う: FeLv gp70のDNA配列を決定する; 発現制御エレメントを選択する; RGプラスミド系の所望の挿入部位にgp70遺伝子を合成及びクローニングする; gp70遺伝子及び発現制御エレメントの配列を確認する; 適切な細胞系において組換えウイルスをトランスフェクト及びレスキューする; 組換えウイルスからのgp70タンパク質の発現を確認する; 組換えウイルスストックを調製及び保存する; 組換えウイルスをプラーク精製する; プラーク精製ウイルスの5、10及び15継代目に、gp70タンパク質発現並びにプロモーター及びターミネーター配列を含めたDNA配列のインビトロ安定性を確認する; 少なくとも2つの動物試験を行うのに十分なP10〜12のウイルスストックを調製する;及び ネコにおいてPOC動物試験を実施する。 PIV5ネコカリシウイルスワクチン開発計画。ネコカリシウイルスに対するPIV5カリシウイルスカプシドベクター化ワクチンを開発するため、以下を行う: ネコカリシウイルスのカプシド遺伝子のDNA配列を決定する; 発現制御エレメントを選択する; RGプラスミド系の所望の挿入部位にカプシド遺伝子を合成及びクローニングする; カプシド遺伝子及び発現制御エレメントの配列を確認する; 適切な細胞系において組換えウイルスをトランスフェクト及びレスキューする; 組換えウイルスからのカプシドタンパク質の発現を確認する; 組換えウイルスストックを調製及び保存する; 組換えウイルスをプラーク精製する; プラーク精製ウイルスの5、10、及び15継代目に、カプシドタンパク質発現並びにプロモーター及びターミネーター配列を含めたDNA配列のインビトロ安定性を確認する; 少なくとも2つの動物試験を行うのに十分なP10〜12のウイルスストックを調製する;及び ネコにおいてPOC動物試験を実施する。[実施例7]インフルエンザヘマグルチニンをコードする組換えPIV5ワクチンは、鼻腔内又は筋肉内送達時、H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルス感染を防御する インフルエンザウイルス感染を予防する新しいワクチン接種手法が必要とされている。H5N1高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)ウイルスなどの新興ウイルスは、世界的流行の脅威をもたらすのみならず、ワクチン開発及び生産にも難題を提起する。パラインフルエンザウイルス5型(PIV5)はワクチン開発に魅力的なベクターである。この例では、H5N1 HPAIウイルス由来のHAをコードするPIV5−H5の有効性を種々のワクチンスキームで試験した。生PIV5−H5による単回の筋肉内又は鼻腔内免疫は、ロバストな中和血清抗体反応を速やかに誘発し、HPAI攻撃を防御したが、鼻腔内免疫によりプライムされた粘膜IgA応答は、肺におけるウイルス複製をより有効に制御した。PIV5−H5ワクチンはH5 HAをビリオンに組み込み、不活化フォーマットのワクチンの有効性を試験した。不活化PIV5−H5は中和血清抗体反応をプライムし、H5N1ウイルス複製を制御したが、他のH5抗原ワクチンと同様に、防御免疫応答をプライムするのにブースター免疫が必要であった。まとめると、これらの結果は、PIV5−HAワクチン及び詳細にはH5特異的ワクチンが、複数のフォーマットで、且つ複数の投与経路により利用され得ることを示唆している。これは、専ら鼻腔内投与であることに基づき起こり得る禁忌を回避し、単一のワクチンベクターを使用しながらも、より広い適用機会を提供し得る。 実施例3に示されるとおり、H5N1インフルエンザウイルスのHAを発現するPIV5ワクチンは、マウスにおいて生鼻腔内ワクチンとして送達されるとき、HPAI H5N1(A/VN/1203/04)攻撃の防御に有効である。鼻腔内(IN)免疫化は魅力的ながら、欠点がある。免疫が低下した集団において生の鼻腔内ウイルスをワクチンとして使用することに関しては、禁忌となる可能性がある。注射ワクチンはこの課題を回避し、農業適用において集団予防接種の機会を提供し得る。この例は、代替的な経路により送達されるrPIV5−H5ワクチンの有効性を比較し、rPIV5−H5が鼻腔内投与時のみならず、筋肉内投与時にも同様にHPAI H5N1攻撃に対して防御的であることを示す。さらに、不活化PIV5−H5ワクチンはH5N1感染に対する防御に有効であったが、これにはブースター免疫が必要である。材料及び方法 インフルエンザウイルス。用いられるA型インフルエンザウイルスには、VNH5N1−PR8/CDC−RG(H5N1;rgVN−PR8;Ruben Donis博士,CDC,Atlanta,GAから供与された)及びA/ベトナム/1203/04(H5N1;Richard Webby,セント・ジュード小児研究病院(St.Jude Children’s Research Hospital),Memphis,TNから供与された))が含まれる。A/VN−PR8は、孵化鶏卵の尿膜腔において37℃で48〜72時間増殖させた。β−プロピオラクトン(BPL)不活化A/ベトナム/1203/04は、セント・ジュード小児研究病院(St.Jude Children’s Research Hospital)(Memphis,TN)のRichard Webbyから供与された。A/ベトナム/1203/04は、孵化鶏卵の尿膜腔において37℃で24時間増殖させた。ウイルスは全て、アリコートに分け、−80℃で保存した。生の高病原性鳥インフルエンザウイルスを使用した実験は全て、ジョージア大学(University of Georgia)の機関内バイオセーフティプログラムによる審査及び承認を受け、CDCによって承認されている指定生物剤の使用に関する指針に従いバイオセーフティレベル3、高度な封じ込め下で行われた。 マウス。全ての試験に雌性6〜8週齢BALB/cマウス(Charles River Labs,Frederick,MD)を使用した。BSL2ウイルスによるマウスの免疫化及び試験は、高度BSL2施設においてHEPAフィルタ付きアイソレーターで実施した。マウスHPAI感染は、ジョージア大学(University of Georgia)の機関内バイオセーフティプログラムによって承認されている指針及びCDCによって承認されている指定生物剤の使用に関する指針に従い、高度BSL3施設においてHEPAフィルタ付きアイソレーターで実施した。全ての動物試験は、ジョージア大学(University of Georgia)の動物管理・使用委員会によって承認されている指針に基づき行われた。 細胞。メイディンダービーイヌ腎臓(MDCK)細胞は、5%FBS、5%L−グルタミン、及び抗生物質/抗真菌薬溶液(10,000IU/mlペニシリン、10,000ug/mlストレプトマイシン、及び25ug/mlアムホテリシンB)(Cellgro Mediatech,Inc)を含有するDMEMで培養した。Vero細胞は、10%FBS及び抗生物質/抗真菌薬を含有する最小必須培地(MEM)(Thermo/Hyclone)で培養した。5%FBS、5%L−グルタミン、及び抗生物質/抗真菌薬溶液(10,000IU/mlペニシリン、10,000ug/mlストレプトマイシン、及び25ug/mlアムホテリシンB)(Cellgro Mediatech,Inc)を含有するDMEMで培養したメイディンダービーウシ腎臓(MDBK)。全ての細胞を、37℃、5%CO2でインキュベートした。 組換えウイルスの構築。rPIV5−H5(ZL46)を、前出の例に記載されるとおり作成した。簡潔に言えば、HA遺伝子を含む組換えPIV5プラスミド、ZL46(rPIV5−H5−SH/HN)を作成した。ZL46プラスミドを作成するため、PIV5の完全長ゲノムを含むプラスミドBH276をベクターとして使用した。SHとHNとの遺伝子間の遺伝子終了(GE)、遺伝子間領域及び遺伝子開始(GS)配列をプライマーに加えてHA遺伝子転写を停止させ、HN遺伝子転写を開始させた。次にHA遺伝子を増幅した。次にウイルスをレスキューし、前述のとおり配列決定した。 PIV5及びrPIV5ウイルスストックを2%FBS含有DMEMにおいて5〜7日間、それらの血球吸着力価がプラトーに達するまでMDBK細胞で成長させた(<p20)。培地を採取し、Eppendorf卓上遠心機(5810 R)において3000rpmで10分間遠心することにより清澄化した。清澄化した上清にウシ血清アルブミン(BSA)を添加して全溶液を1%BSAにした。次にウイルスストックをアリコートに分け、ドライアイスで急速凍結し、−80℃で保存した。次にVERO細胞に対するプラークアッセイによりウイルス力価を決定した。 ウイルス定量化。VERO細胞に対するプラークアッセイによりPIV5力価を決定した。VERO細胞を、1%BSA及び抗生物質/抗真菌薬を含むDMEM中に作製したウイルス試料の段階希釈液と共にインキュベートした。次にウイルス試料を取り出し、1:1の低融点アガロースと2%FBS及び抗生物質/抗真菌薬を含有するDMEMとでオーバーレイし、37℃で5〜6日間インキュベートした。プラークを検出するため、次に単層を10%緩衝ホルマリンで固定し、免疫染色した。2%FBS、0.1%ナトリウムアジド、及び0.5%サポニンを含む1×PBS(透過処理緩衝液)で細胞を透過処理した。PIV5のV及びPタンパク質の共通領域(V/P)に特異的な1:1000希釈の抗体を使用して1時間、PIV5を検出した。次に西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識ヤギ抗マウスIgG(H&L)二次抗体(Invitrogen)を加え、30分間インキュベートした。プラークを可視化するため、TMBペルオキシダーゼ基質(製造者の指示に従い調製した)を添加した(Vector Labs,Inc)。次にプレートを洗浄し、乾燥させてプラークを計数した。以前記載されているとおりのTCID50アッセイによるか(Soboleski et al.,2011,Plos One;6:e21937)、或いはMDCK細胞に対するプラークアッセイにより、インフルエンザ力価を決定した。MDCK細胞を、1mg/ml TPCK処理トリプシン(Worthington Biochemical)を含むMEM中に作製したウイルス試料の段階希釈液と共に37℃で2時間インキュベートした。次に希釈ウイルス試料を取り出し、1mg/ml TPCK処理トリプシンを含む1.2%微結晶性セルロースAvicelを単層にオーバーレイした。プレートを72時間インキュベートし、オーバーレイをPBSで穏やかに洗い落し、冷メタノール/アセトン(40:60%)で固定し、風乾し、クリスタルバイオレットで対比染色して、プラークを可視化した。 PIV5ビリオンの精製及びクーマシー染色。T−150フラスコ中のMDBK細胞を、MOI0.1でPIV5、ZL48、又はZL46に感染させた。3dpiで培地を採取し、3000rpmで10分間遠心して細胞デブリを除去した。清澄化した培地をNTE緩衝液(0.1M NaCl、0.01M トリス−HCl、0.001M EDTA、pH7.4)中の20%ショ糖にオーバーレイした。試料を40,000rpm、4℃で1.5時間遠心した。ペレットを0.5mlのPBSに再懸濁し、1.3mlのNTE緩衝液中80%ショ糖と混合した。1.8ml NTE緩衝液中50%ショ糖を添加し、次に0.6ml NTE緩衝液中10%ショ糖を添加することにより、勾配ショ糖溶液を得た。次に勾配ショ糖溶液を、45,000rpm、4℃で3時間遠心した。50%と10%ショ糖の間の界面にあるビリオンによって形成された白色のバンドを採取し、40,000rpm、4℃で1.5時間遠心することによりペレット化した。ペレットを0.5ml PBSに再懸濁した。PIV5、ZL48、ZL46又はZL47のビリオンを10%SDS−PAGEゲルにより分析し、クマシーブルーで染色した。 ウエスタンブロット。Vero細胞を5PFU/細胞のMOIのPIV5又はZL46に感染させ、又はモック感染させた。感染後24時間で、2mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、Roche Complete Miniプロテアーゼ阻害薬(Roche Applied Science)、及び1%Triton−X−100(オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)(Sigma)を含むPBSを使用して、細胞を溶解した。分離及びウエスタンブロッティングを記載されるとおり実施した(Gabbard et al.,2009,Prot Eng Des Sel;22:189−198)。rg A/VN−PR8感染マウス由来の高度免疫血清を一次抗体として使用してHAを検出し、V/P特異的モノクローナル抗体を使用してV/Pを検出した。Precision Plus Protein WesternC(BioRad)を標準として使用した。 免疫蛍光法。Vero細胞を24ウェルプレートで成長させ、5PFU/細胞の感染多重度(MOI)でPIV5又はZL46に感染させ、又はモック感染させた。感染後24時間目、細胞を5%緩衝ホルマリンにより室温で10分間固定した。次に細胞を透過処理緩衝液で透過処理し、次に1:1000希釈(1μg/ml)の抗HA(H5)A/VN/1203/04モノクローナル抗体(BEI Resources)と共に1時間インキュベートした。1:250希釈のPEヤギ抗マウスIg(BD Pharmingen)を45分間加えてHAを検出した。PIV5を検出するため、次にV/P特異抗体(1:1000希釈した)を添加し、1時間インキュベートした。PIV5を可視化するため、1:500希釈したAlexa Fluor−488標識二次抗体(Invitrogen)を添加し、30分間インキュベートした後、洗浄した。各ウェルに0.5mL PBSを添加し、AMS EVOS fl蛍光顕微鏡を使用して蛍光を調べた。細胞は各工程の間にPBSで十分に洗浄した。 動的光散乱(DLS)。DLSを記載されるとおり実施した(Driskell et al.,Tripp,2011,Analyst;136:3083−3090)。抗HA(H5)A/VN/1203/04 mAb(BEI resources)を使用した。製造者の指示に従いNAb Protein G Spin Kit(Thermo)を使用して、血清からIgGを精製した。次に、精製したIgGを、zebaスピン脱塩カラム(Thermo)を製造者の指示に従い使用して脱塩した。次に、脱塩したIgGを、Amicon Ultra−4遠心ろ過ユニット(Millipore)を製造者の指示に従い使用して、最終容量が約2mLになるまで濃縮した。Pierce BCA(ビシンコニン酸)タンパク質アッセイキット(Thermo)を製造者の指示に従い使用して、タンパク質を定量化した。PIV5、ZL46、ZL48、rg A/VN−PR8、ウイルス培養上清、尿膜腔液、及びPBSをアッセイした。 免疫化。PIV5及びrPIV5−H5によるワクチン接種については、50μl PBS中の106PFU PIV5又はrPIV5−ZL46を、tert−アミルアルコール中の2,2,2−トリブロモエタノール(アベルチン;Aldrich Chemical Co)による麻酔下のマウスに鼻腔内投与した。致死量以下のrgA/VN−PR8感染については、50μl PBS中の2,000PFUウイルスを、PIV5ワクチン接種について記載されるとおり投与した。rgA/VN−PR8筋肉内ワクチン接種については、2,000PFU rgA/VN−PR8を50μl PBS中において尾側大腿筋に投与した。不活化A/VN/1203/04免疫については、BPL不活化ウイルスを256血球凝集単位(HAU)/mlで50μl PBSに再懸濁し、これを尾側大腿筋の各々に注入した(100μl、合計25HAU)。免疫後21日目に血液を採取した。ワクチン接種後14日目又は21日目に、それぞれ0.5又は1ml PBSを使用して鼻洗浄及び気管支肺胞洗浄(BAL)を実施した。 ELISA。IgG ELISAを用いてHA(H5)特異的血清抗体力価を測定した。Immulon 2 HB96ウェルマイクロタイタープレート(ThermoLabSystems)を2μg/ml組換えH5タンパク質でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。次にプレートをKPL洗浄溶液(KPL,Inc)で洗浄し、5%脱脂粉乳及び0.5%BSAを含有する200μlのKPL洗浄溶液(ブロッキング緩衝液)により室温で1時間、ウェルをブロッキングした。血清試料の段階希釈液を(ブロッキング緩衝液中に)作製し、コーティングしたプレートに移して1時間インキュベートした。結合した血清抗体を検出するため、各ウェルに100μlのブロッキング緩衝液中1:1000希釈アルカリホスファターゼ標識ヤギ抗マウスIgG(KPL,Inc)を添加し、室温で1時間インキュベートした。100μl pNPPホスファターゼ基質(KPL,Inc)を添加することによりプレートを発色させ、室温で反応により発色させた。Bio−Tek Powerwave XSプレートリーダーにおいて光学濃度(OD)を405nmで計測した。IgG力価は、未感作血清の平均OD+2標準偏差より高いODを有する最小の血清希釈度と決定した。 マイクロ中和アッセイ。ELISAエンドポイントによるマイクロ中和アッセイにより、血清中のインフルエンザ中和抗体力価を計測した。1%BSA、抗生物質/抗真菌薬、及び1μg/ml TPCKトリプシンを含有するDMEMに熱不活化血清を段階希釈した。次に希釈した血清を、1000 TCID50のrg A/VN−PR8と37℃で2時間インキュベートした。次にMDCK細胞を添加し、37℃で18〜24時間インキュベートした。インキュベーション終了時、ウェルを氷冷メタノール及びアセトン(それぞれ80:20)で固定し、上記に記載したとおりELISAを実施した。中和力価は、バックグラウンドODを2倍上回るOD読取りにより決定するものとして、1,000 TCID50のrg A/VN−PR8を中和することが可能な最小の血清希釈度であると定めた。 リンパ球採取及びElispot。PIV5、ZL46、又はrg A/VN−PR8によるワクチン接種の12日後、マウスから縦隔リンパ節(MLN)を採取し、プールして、ホモジナイズした。ゲイ平衡塩類溶液(Sigma−Aldrich)を使用して室温で5分間、リンパ球から赤血球を枯渇させ、デブリを除去した。次に、Z2 Coulter粒子カウント及びサイズアナライザー(Beckman Coulter)を使用して細胞を計数した。記載されるとおり、不活化A/VN/1203/04に対するリンパ球におけるT細胞応答を検出するELISpotを実施した(Tompkins et al.,2007,Emerg Infect Dis;13:426−435)。50μl完全腫瘍培地(CTM)中の不活化A/VN/1203/04(ウェルあたり10HAU当量)、関連性のないペプチドとしてエボラGP P2 EYLFEVDNL(1μg/ml)、及びコンカナバリンA(2μg/ml)で細胞を再刺激した。AID ViruSpotリーダー(Cell Technology,Inc)を使用してスポットを計数した。 ウイルス攻撃実験。初めにBALB/cマウスを記載されるとおりワクチン接種し、次に指示されるとおり出血させた。最後の出血の少なくとも3日後、マウスを麻酔し、50μl PBSに希釈した10 LD50 A/ベトナム/1203/04又は20,000PFUのrg A/VN−PR8を鼻腔内接種した。次に、罹患率及び死亡率についてマウスを毎日モニタし、隔日で体重を計測した。攻撃後3日目、マウス群を安楽死させ、それらの肺を1.0ml PBS中に採取し、ホモジナイズした。次にホモジネートを遠心により清澄化した。次に、記載されるとおり清澄化したホモジネートにおいてTCID50アッセイを用いてウイルス力価を決定した(Soboleski et al.,2011,Plos One;6:e21937)。 統計的分析。生存の統計的有意差はログ・ランク分析により決定した。肺ウイルス力価の差はANOVAと、続いてダネットの多重比較検定により決定した。P≦0.05を有意と見なした。統計的分析は、GraphPad Prismを使用して実施した。結果 rPIV5−H5ビリオンにおけるHAの発現及び取り込み。組換えPIV5ウイルスの正常な発現及びパッケージングを試験するため、MDBK細胞を、PIV5、ZL48、ZL46に感染させ、又はモック感染させた。ZL48は、HNとLとの間に挿入されたH5遺伝子を有するもので(実施例3)、既発表のウイルスと比較可能な対照として含めた。上清を採取し、ショ糖で精製し、SDS−PAGEにより分離し、クーマシー染色してタンパク質バンドを可視化した。PIV5 HN、NP、F、M及びMタンパク質に該当するサイズのタンパク質バンドを全ての試料に容易に見ることができ、一方、インフルエンザHAに該当するサイズのバンドはZL48及びZL46試料に見ることができたが、PIV5には見られなかった(図34B)。これらのバンドのアイデンティティをウエスタンブロットにより確認した。 H5 HAがビリオンに取り込まれたことを確認するため、動的光散乱(DLS)及び金ナノ粒子(AuNP)標識を利用して、rPIV5と、対するZL46のビリオン表面上のHAを検出した。PIV5、ZL46、及びrgA/VN−PR8の清澄化したウイルス培養上清をAuNP標識抗HA(H5)抗体と共にインキュベートし、次に、AuNPプローブの凝集を以前記載されるとおり計測した(Driskell et al.,Tripp,2011,Analyst;136:3083−3090)。AuNP凝集の程度は、特定のHAを含むウイルスの存在と相関し、ウイルスが増加するほど凝集及びZシフトが増加する。ZL46について8nmの平均流体力学的径(z平均)の増加が、PIV5と比較して観察された(それぞれ90.41±1.316対82.08±0.605nm)ことから、ウイルスを導入するとAuNPプローブの抗原特異的な凝集があったことが示され、HAがビリオンの表面に存在することが示唆される。PIV5で観察された平均直径は、培養上清又は尿膜腔液単独(それぞれ77.06±0.609及び81.25±1.287nm)とほぼ同じサイズであった。陽性対照のrgA/VN−PR8ウイルスは、平均直径が113.67±1.475nmであった。 PIV5−H5感染中に天然のHAが発現されていたことを確認するため、Vero細胞を、PIV5、ZL46に感染させるか(MOI=5)、又はモック感染させ、24時間後、溶解してウエスタンブロットにより分析した。rgA/VN−PR8(H5N1)ウイルスに対して生じたポリクローナル抗血清で検出すると、ZL46細胞ライセート中においてインフルエンザHA0単量体のサイズである75kDタンパク質が可視化されたが、PIV5又はモックライセート中では可視化されなかった(図34C)。PIV5 V/P特異的mAbで検出された46kDaバンドは、全ての感染ライセートに存在する。H5 HAが感染細胞の表面上で発現することを確認するため、免疫蛍光染色を実施した。PIV5、ZL46に感染させるか(MOI=5)又はモック感染させたVero細胞を、抗HA(H5)mAb又はPIV5のV/Pタンパク質に特異的なモノクローナル抗体(抗V/P)で染色した。ZL46及びPIV5感染細胞の両方でV/Pのロバストな同等の発現が検出された一方、H5はZL46感染細胞においてのみ検出され、HAがrPIV5−H5に感染した細胞で発現していることが確認された(図34D)。 PIV5−H5による筋肉内又は鼻腔内免疫はHA特異的免疫応答を誘導する。H3ウイルスのHA又はHPAI H5N1由来のH5を発現する組換えPIV5コンストラクトによる鼻腔内免疫は、マウスにおいてインフルエンザウイルス攻撃に対して防御性であることが示された(実施例3及びTompkins et al.,2007,Virology;362:139−150)。しかしながら、ワクチン接種に広く用いられている免疫化経路である筋肉内免疫は、試験されていない。さらに、H5 HAがrPIV5−H5ビリオンで検出されたため、現行の不活化インフルエンザワクチンと同様に、不活化ワクチンが防御免疫応答を誘導し得る可能性があった。rPIV5−H5が筋肉内(IM)投与時に免疫原性であるかどうかを決定するため、マウスにrPIV5−H5を生ウイルス(ZL46)でIN、及び生又は不活化(iZL46)ウイルスでIMによりワクチン接種した。最後のマウス群には陽性対照として不活化A/VN/1203/04(iA/VN/1203/04)を投与し、全ての群を、PIV5を鼻腔内(IN)投与したマウスと比較した。7日目、14日目、及び21日目にマウスを出血させ、それらの血清をHA特異的IgG及びH5N1インフルエンザ中和抗体について評価した。rPIV5−H5(ZL46)を鼻腔内(intransally)又は筋肉内にワクチン接種したマウスは、それぞれ、早くも免疫後7日目又は14日目に高レベルのIgGを生じ(図35A)、力価は、不活化全インフルエンザウイルス(iA/VN/1203/04)で免疫したマウスに匹敵した。同様に、ZL46 IM又はIN免疫はロバストな中和血清抗体をプライムし(図35B)、しかしながら不活化インフルエンザウイルス力価の方が免疫後21日目まで高かった。対照的に、不活化ZL46(iZL46) IMでワクチン接種したマウスが生成したIgG及び中和抗体は限られていたことから、強力な体液性応答をプライムするにはHA抗原の量が不十分であるか、免疫の誘導にPIV5複製が必要とされ得ることが示唆された。予想どおり、PIV5ワクチン接種マウスは、検出可能なHA特異的IgG抗体又はrgA/VN−PR8中和抗体を生成しなかった(図35A及び図35B)。 鼻腔内免疫の一つの利点は、粘膜免疫応答を誘導する潜在力である。rPIV5−H5をINによりワクチン接種されるのと、それに対してIMによりワクチン接種されるのとでのマウスにおけるIgA応答の違いを評価するため、マウスに、PIV5、rPIV5−H5(ZL46)をIM若しくはINワクチン接種するか、又は致死量以下のrgA/VN−PR8を接種し、免疫後14日目又は21日目に鼻洗浄及び気管支肺胞洗浄(BAL)を実施した。rPIV5−H5をIMワクチン接種したマウスでは、鼻洗浄液又はBAL液においてIgAは検出不能であった。対照的に、rPIV5−H5の鼻腔内投与は免疫化マウスの鼻道及び肺の両方にロバストなIgA応答を誘導した(それぞれ図35C及び図35D)。IgAレベルは14日目にrgA/VN−PR8感染マウスに匹敵したが、しかしながらインフルエンザ接種マウスにおける粘膜IgA応答は、おそらくは排除されるまでのウイルス複製時間がrPIV5と比較したときより長いことに起因して、14日目の後も上昇し続けた。 投与経路によるT細胞プライミングの違いを評価するため、rPIV5−H5又はrgA/VN−PR8をIM又はINワクチン接種したマウスの群を、感染後12日目に安楽死させ、インフルエンザ特異的IFN−γ産生T細胞についてリンパ節リンパ球をアッセイした。rPIV5−H5又はインフルエンザウイルスによる鼻腔内ワクチン接種は、流入領域リンパ節においてロバストなインフルエンザ特異的T細胞応答をプライムしたが、IM免疫化マウスと比較して非特異的な応答の増加もまた有した(図35E)。rPIV5−H5(ZL46)によるIMワクチン接種は、おそらくはインフルエンザウイルスと比較して筋組織におけるPIV5の複製が向上したことに起因して、A/VN/1203/04特異的T細胞応答をrgA/VN−PR8のIM投与より有効にプライムした。T細胞はインフルエンザウイルス感染に対する防御において役割を果たし得るため、これは、PIV5によるIMワクチン接種にとって有利であり得る。 この粘膜応答がインフルエンザウイルス感染に対する防御に必須であるかどうか、すなわちrPIV5−H5によるIM免疫が攻撃を防御し得るかどうかを決定するため、マウスに、IN又はIM送達したPIV5、rPIV5−H5、又はrgA/VN−PR8をワクチン接種した。またマウスのある群に、不活化PIV5−H5 IM(iZL46)をワクチン接種し、検出された弱いIgG応答(図35A)が防御性であったかどうかを決定した。免疫後28日目、マウスを10 LD50のHPAI H5N1 A/VN/1203/04で攻撃した。これまでの結果及び観察された抗体力価と一致して、rPIV5−H5 INワクチン接種マウスでは、HPAI H5N1攻撃に関連する体重減少及び死亡が防がれた(図36A及び図36B)。ZL46 IMワクチン接種マウスでもH5N1攻撃が防御されたが、しかしながら感染後期に限定的な死亡及び体重減少があったことから、完全防御には粘膜抗体反応が重要であることが示唆される。攻撃3日後のマウスの一部でウイルス力価を評価した。ZL46又はrgA/VN−PR8 INで免疫したマウスにおいてH5N1ウイルスは検出不能であった。対照的に、ZL46 IMで免疫したマウスでは、PIV5 IM免疫マウスと比較してウイルス力価が低下しなかったが、rgA/VN−PR8 IM免疫マウスはまたウイルスが検出不能であった(図36C)。これもまた、rPIV5−H5 IN免疫によりプライムされた粘膜IgAが完全防御に重要であることを示唆している。或いは、rgA/VN−PR8免疫によるような、複数のインフルエンザ抗原に対する免疫応答のプライミングが、IgA応答の必要性を解消し得る。不活化rPIV5−H5(iZL46)をワクチン接種したマウスにおいて防御は観察されなかったことから、生ウイルス、及びおそらくは複製が、防御免疫の誘発に必要であることが確認された。従って、いずれの投与経路とも防御性であるが(体重減少及び生存率により計測したとき)、IN免疫に伴う粘膜IgA応答の誘導及び/又はIFN−γ T細胞数の増加は、感染及び肺におけるウイルス複製を制限するものである。 ブーストはPIV5−H5免疫に伴うHA特異的免疫応答を増強する。不活化PIV5−HAによる単回のIM免疫は、限られたHA特異的血清IgGを誘導したが(図34A)、中和抗体は誘導せず(図34B)、感染からの防御を提供しなかった(図36)。他のH5ワクチン抗原でも同様の結果が認められており(Lu et al.,1999,J Virol;73:5903−5911)、従ってブーストが免疫応答を防御レベルまで増加させ得るかどうかを試験するため、ZL46プライムしたマウスを毎週出血させ、プライミング後28日目にブーストし、7日後及び14日後に血清を採取した。生ZL46 IN又はIMで免疫したマウスを、不活化ZL46(iZL46)又は不活化A/VN/1203/04(iA/VN/1203/04)によるIM免疫マウスと比較した。 またしても、生ZL46はプライミング後21日目までにロバストなIgG応答及び中和抗体反応を誘導し、iZL46からはより控えめなIgG応答で、中和抗体反応はなかった。しかしながら、ブースト1週間後、3つ全てのZL46免疫方法(生IN、生IM、及び不活化IM)で、ロバストなHA特異的IgG応答及びH5中和血清抗体反応があった(図37A及び図37B)。ブースト6週間後、マウスをrgA/VN−PR8ウイルスで攻撃し、3日後、安楽死させて肺ウイルス力価を評価した。顕著なことに、全てのワクチン接種マウス(ZL46 IN又はIM、iZL46 IM、iA/VN/1203/04 IM)で、PIV5免疫対照マウスと比較して肺ウイルス力価が有意に低下した一方(図37C;P<0.05、ANOVAと、続くダネットの多重比較検定)、HAワクチン接種群のいずれにも、互いに比べて有意な差はなかった。ZL46によるIN免疫が引き続き最良の防御を提供した一方(3/5マウスのウイルス力価が検出不能であった一方、他のZL46免疫マウスの全てが、いずれも攻撃後3日目に検出可能なウイルスを有した)、生又は不活化PIV5−HAによるIM免疫は防御性中和血清抗体反応の誘導に有効で、全不活化野生型インフルエンザウイルスに匹敵した。 HPAI H5N1ウイルスに対する不活化ワクチンは、概して哺乳類において免疫原性が不十分であり、高い抗原用量、複数回の免疫、及びアジュバントが場合によって必要となる(Lipatov et al.,2006,J Infect Dis;194:1040−1043;Lu et al.,1999,J Virol;73:5903−5911;Treanor et al.,2001,Vaccine;19:1732−1737;及びTumpey et al.,2001,J Virol;75:5141−5150)。生及び不活化HPAIワクチンのいずれも、生産中のワクチン収率の低下、困難なシード株作成、及び安全上の懸念を含め、生産に課題がある(Steel,2011,BioDrugs;25:285−298)。本発明では、新規組換えパラミクソウイルスワクチンベクターである、H5N1インフルエンザウイルス由来のHAを発現するPIV5を開発しており、これはHPAIウイルス感染に対する防御免疫を誘発する(図34〜図36及び実施例3を参照)。ここでは、種々の免疫方法を利用し、且つ生及び不活化ワクチンを比較して、このワクチンの有効性を評価する。 生PIV5−H5による鼻腔内免疫は、HA導入遺伝子に特異的なロバストな血清及び粘膜抗体反応を誘導する。無毒性のPIV5−H5ワクチンによる単回免疫によって誘導されたHA特異的反応は、rgA/VN−PR8インフルエンザウイルスによる致死量以下の感染によって誘導された反応に匹敵し、ここでインフルエンザ免疫マウスは病気の臨床徴候を有し、最大15%が失われた(図35)。従って、PIV5は、弱毒生インフルエンザワクチンにより引き起こされる再集合の懸念がなく、鼻腔内免疫に魅力的な方法を提供する。 受容体及びプロテアーゼの要求から概して気道又は腸上皮細胞で複製するインフルエンザウイルスと異なり(Rott et al.,1995,Am J Respir Crit Care Med;152:S16−19)、PIV5は、より広い細胞向性を持つ可能性がある。この特徴により、PIV5は、生筋肉内ワクチンとしての使用に魅力的な候補となっている。一方で、これはまた、PIV5ワクチンが他の組織に播種し得る可能性も提示するが、先行研究では、鼻腔内PIV5感染後他の組織において病変のエビデンスは認められなかった(Tompkins et al.,2007,Emerg Infect Dis;13:426−435)ことから、rPIV5ベクターによる筋肉内免疫が同様に安全であり得ることが示唆される。 PIV5−H5による筋肉内免疫は、PIV5−H5による鼻腔内免疫又は全不活化H5N1ウイルスによる筋肉内免疫に匹敵するロバストなHA特異的中和血清抗体反応を誘導する(図35)。生PIV5−H5による筋肉内免疫は、ロバストなHA特異的T細胞応答も同様にプライミングするという付加的な利点を有する。PIV5−H5筋肉内免疫は粘膜抗体反応が存在しないと不完全となるが、これは実に、喘息又は他の鼻腔内免疫に対する禁忌を有する個体に潜在的により適切な免疫化経路を提供する。さらにこれは、このワクチンを他の注射ワクチン、並びに農業適用に魅力的であり得る注射ワクチン製剤と組み合わせる機会を提供する。 粘膜抗体は、同種免疫及び異種亜型免疫の両方からの防御と関連付けられてきた。この例では、生rPIV5−H5ワクチンの筋肉内投与が粘膜IgA応答を誘導できなかったが、致死性H5N1攻撃を防御したことが見出された(図35及び図36)。同じワクチンによる粘膜(鼻腔内)免疫は、匹敵するウイルス中和血清抗体力価をプライムしたが、また、ウイルス特異的肺及び鼻IgAも誘導した(図35)。これらのマウスはまた、致死性H5N1感染に関連する死亡からも防御されたが、また、感染後3日目の肺においてウイルスも検出不能であった。対照的に、検出可能なIgAを有しないマウス(筋肉内免疫群)は、対照動物と同様のウイルス力価を有した。従って、筋肉内免疫は鼻腔内免疫と比べて、特に慢性呼吸器疾患を有する個体についていくらかの利点を有し得るものの、鼻腔内免疫が最も有効な投与経路であるものと思われる。 不活化rPIV5−H5は、筋肉内に1回送達したとき有効でなかった。インフルエンザ感染に対する防御抗体反応を有効にプライムするには、ビリオンに組み込まれたHAの量が不十分である可能性がある;しかしながら全ウイルス不活化インフルエンザワクチンは、単回免疫後にウイルス中和血清抗体反応を誘発できていない(Lipatov et al.,2006,J Infect Dis;194:1040−1043;及びLu et al.,1999,J Virol;73:5903−5911)。ここで、不活化同種全ウイルスは、おそらく高い抗原用量(25HAU)に起因して、中和抗体を誘発しなかった;さらに、全ウイルスは、複数のインフルエンザ抗原に対する応答をプライミングするという利点を有し、これは攻撃からの防御に寄与し得る。或いは、インフルエンザウイルスは、応答をより有効にプライムする(すなわちアジュバントとして働く)他の抗原又はPAMPを含んでもよく、PIV5ウイルスにはこれらの刺激分子が欠損している。これは、全ビリオンワクチンで認められる反応原性に反映される(Bernstein et al.,1982,Pediatrics;69:404−408)。いずれの場合にも、複製能を有するrPIV5−H5はこの欠損を克服し、T細胞及び中和抗体反応の両方をプライミングし、それにより同種HPAI攻撃を防御した。さらに、不活化PIV5−H5ワクチン(iZL46)によるブーストがインフルエンザ中和抗体反応のプライミングに成功し、それにより攻撃後のH5N1ウイルス力価が、生PIV5−H5及び不活化H5N1ワクチンに匹敵するほど低下した(図37)。PIV5ワクチンはワクチンに承認された細胞系(例えばVero細胞)で容易に成長させることができるため、PIV5−HAは、従来のHA特異的不活化汎発性インフルエンザワクチンを、インフルエンザワクチンシード株の同定及び開発に付随する難題なしに迅速、安全に生産するための手段を提供し得る。アジュバントを含む不活化PIV5−HAワクチンの製剤は、他のH5HAベースのワクチンと同様、単回免疫による中和抗体力価のプライミングを可能にし得る(Steel,2011,BioDrugs;25:285−298)。 rPIV5−HAの鼻腔内投与はマウスにおいて安全であることが示されているが、生の複製ウイルスベクター化ワクチンの呼吸送達は、喘息患者又は免疫低下患者にとって懸念となり得る。生ワクチン又は不活化ワクチンの筋肉内投与という選択肢は、ワクチンプラットフォームの改良のない、鼻腔内免疫に代わる魅力的な方法を提供し得る。これは、弱毒生インフルエンザウイルスワクチン又は分割された不活化野生型ウイルスワクチンのいずれかがそれぞれ鼻腔内又は筋肉内に送達される現行の代替方法と対照的である。さらに、生又は不活化PIV5−HAワクチンによる筋肉内免疫は、既存の生の又は抗原ベースの(不活化)ワクチンとの共製剤化を可能にし得るため、特に集団予防接種運動における潜在的有用性が向上し得る。最後に、投与及び製剤化について複数の選択肢を利用できれば、農業におけるワクチン接種プログラムに有用であり、ここでは多様な適用に対して普遍的な生産プラットフォームがより安全でより費用対効果の高い選択肢を提供し、ワクチン接種を改善し得る。従って、PIV5−HAワクチンは、新興又は汎発性インフルエンザウイルス及び特にH5N1 HPAIウイルスを防御するためのワクチン生産用汎用ワクチンプラットフォームである。[実施例8]H5N1由来のNPを発現する組換えパラインフルエンザウイルス5型の単一用量ワクチン接種は、A型インフルエンザウイルスに対する広域免疫を提供する インフルエンザウイルスは、既往のインフルエンザウイルス感染及び/又はワクチン接種にも関わらず、多くの場合に抗原ドリフト及びシフトによって宿主免疫を回避する。最適な防御には、循環ウイルス株に適合するワクチンが必要である。広域の交差防御免疫を提供する万能インフルエンザワクチンの開発は、大きな利点となり得る。A型インフルエンザウイルスの核タンパク質(NP)は、A型インフルエンザウイルスの全ての株にわたり高度に保存されており、万能インフルエンザウイルスワクチン開発の抗原として探究されている。この例では、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)ウイルスであるH5N1(A/ベトナム/1203/2004)由来のNPをHNとLとの間に含む組換えパラインフルエンザウイルス5型(PIV5)(PIV5−NP−HN/L)を作成し、その有効性を試験した。PIV5−NP−HN/Lは、マウスにおいて体液性応答及びT細胞応答を誘導した。PIV5−NP−HN/Lの単回接種により、致死性異種亜型H1N1攻撃に対する完全な防御、及び致死性H5N1 HPAI攻撃に対する50%防御が提供された。有効性を向上させるため、PIV5ゲノム内の種々の位置にNPを挿入した。FとSHとの間(PIV5−NP−F/SH)又はSHとHNとの間(PIV5−NP−SH/HN)にNPを含む組換えPIV5は、PIV5−NP−HN/Lと比べてH5N1 HPAI攻撃に対してより優れた防御を提供した。これらの結果は、H5N1由来のNPを発現するPIV5が万能インフルエンザウイルスワクチンとして利用される潜在力を有することを示している。 インフルエンザウイルスは、分節性ゲノムを含むマイナス鎖RNAウイルスである。A型インフルエンザウイルスは世界的流行に関連し、その2つの主要な表面糖タンパク質ヘマグルチニン(HA)及びノイラミニダーゼ(NA)によって分類される。タンパク質相同性が約30%異なる17個のHA亜型及び9個のNA亜型があり、これを用いてA型インフルエンザウイルスが亜型(例えばH1N1、H3N2、H5N1等)に分類される。表面糖タンパク質の抗体結合部位における点突然変異により、ウイルスは抗体媒介性免疫を回避してヒト及び動物に再感染することが可能である(抗原ドリフト)。異なるA型インフルエンザウイルス亜型が同じ宿主に感染すると、遺伝子分節の交換が起こり、ウイルスゲノムの固有の組み合わせを有する新しいウイルスがもたらされることがあり(抗原シフト)、こうして世界的流行が生じ得る。A型インフルエンザウイルスは、毎年著しく高い罹患率及び死亡率をもたらす。現在ヒトにおいて循環している株(すなわちH1N1、H1N2、及びH3N2)により世界人口の最大15%が感染し、米国では平均3万6千人の死亡及び22万6千人の入院が引き起こされ(Harper et al.,2005,MMWR Recomm Rep;54:1−40)、世界でも何百万人もの死亡が引き起こされている(Influenza fact sheet,2003,Wkly Epidemiol Rec;78:77−80)。汎発性インフルエンザの散発的な集団発生は、過去1世紀にわたり著しく高い死亡率をもたらしており、最も注目すべきは1918年のスペイン風邪であり、世界で5千万人の死亡が引き起こされている(Lipatov et al.,Webster,2004,J Virol;78:8951−8959にレビューされている)。別の潜在的に世界的流行となり得るインフルエンザ株H5N1も兆しが見えている。この鳥インフルエンザウイルスは東南アジアに最も顕著に出現し、何百万羽の鳥の廃棄をもたらしており、2003年以降608件のヒト症例が報告され、そのうち359件は致死的であった。 ワクチンが異なる亜型のA型インフルエンザウイルスに対して広域の防御を提供することができれば、理想的である。保存されているインフルエンザウイルスタンパク質を標的とするワクチン候補が、有望な万能インフルエンザウイルスワクチンとして探究されている。A型インフルエンザウイルスの核タンパク質(NP)は、ウイルスゲノムをカプシドで包み込むものであり、全てのインフルエンザウイルス間において90パーセント超のアミノ酸残基相同性で十分に保存されており、万能インフルエンザウイルスワクチン開発の一構成要素として同定されている。NPを含むアデノウイルスは、同種並びに異種亜型インフルエンザウイルス攻撃に対して防御を提供することが示されている(Price et al.,2010,PLoS One;5:e13162)。さらに、インフルエンザウイルスのNP及びM1を含む組換え改変ワクシニアアンカラ(MVA)ウイルスが、CD8+ T細胞応答を誘導し、且つヒトにおいて第1相及び第2a相試験で症状の重症度及びウイルスシェディングを低下させたことから、NPを潜在的な広域防御性インフルエンザウイルスワクチンの開発に利用し得ることが示唆される。インフルエンザ抗原NPを発現する組換えDNAワクチンが動物モデルにおいて試験されており、防御抗体及びT細胞応答を誘導することが示されている;しかしながら、DNAの反復投与を必要とする点が、急速に蔓延するインフルエンザウイルスの世界的流行に対してDNAベースのワクチンを使用する際の障害となり得る。 本明細書により含まれる例に示されるとおり、PIV5ベクター化ワクチンは動物において有効である。実施例3に示されるとおり、A型インフルエンザウイルスH5N1のHAを発現するPIV5を103pfuもの低量で単一用量鼻腔内(IN)接種することで、マウスにおいて致死性H5N1攻撃が防御された(Li et al.,2013,J Virol;87:354−362も参照のこと)。また、実施例2に示されるとおり、PIV5ベースのワクチンは、PIV5に曝露されたイヌにおいて防御免疫を誘導することが示されている。免疫のレベルは、先行するPIV5曝露があるイヌ及びそれがないイヌにおいて同等であったことから、先在する抗PIV5免疫がPIV5ベースのワクチンの免疫原性に悪影響を及ぼさないことが示される(Chen et al.,2012,PLoS One;7:e50144も参照のこと)。 この例では、H5N1 HPAI(A/ベトナム/1203/2004)由来のNP遺伝子を含む組換えPIV5を作成し、マウスにおいて致死性同種並びに異種亜型インフルエンザウイルス攻撃を防御するその有効性を試験した。材料及び方法 細胞。MDBK、MDCK及びVero細胞の単層培養は、10%ウシ胎仔血清(FBS)、100IU/mlペニシリン、及び100μg/mlストレプトマイシンを含有するDMEM中に維持した。BHK及びBSR−T7細胞は、10%FBS、10%リン酸トリプトースブロス(TPB)を含有するDMEM中に維持した。BSR−T7細胞にはG418を添加した。全ての細胞を、37℃、5%CO2でインキュベートした。ウイルス感染細胞は、還元型FBS(2%)を含有する培地で培養した。以前記載されるとおりBHK細胞を使用してPIV5ウイルスのプラークアッセイを実施した(He et al.,1997,Virology;237:249−260)。以前記載されるとおりMDCK細胞を使用してインフルエンザウイルスのTCID50アッセイを実施した(Soboleski et al.,2011,PLoS One;6:e21937)。 インフルエンザウイルス。A/プエルトリコ/8/34(H1N1;PR8)、X−31(H3N2;A/愛知/2/68 X PR8リアソータント)(Baez et al.,1980,J Infect Dis;141:362−365)、及びrgA/VN−PR8(H5N1;Ruben Donis博士,CDC,Atlanta,GAから供与された)は、孵化鶏卵の尿膜腔において37℃で48〜72時間増殖させた。高病原性A/ベトナム/1203/2004(H5N1;Richard Webby,セント・ジュード小児研究病院(St.Jude Children’s Research Hospital),Memphis,TNから供与された)は、孵化鶏卵の尿膜腔において37℃で24時間増殖させた。ウイルスは全て、アリコートに分け、−80℃で保存した。生の高病原性A/ベトナム/1203/2004を使用した実験は全て、ジョージア大学(University of Georgia)の機関内バイオセーフティプログラムによる審査及び承認を受け、CDCによって承認されている指定生物剤の使用に関する指針に従い、高度なバイオセーフティレベル3(BSL3+)の封じ込め下で行われた。 マウス。全ての試験に6〜8週齢雌性BALB/cマウス(Charles River Labs,Frederick,MD)を使用した。全ての鼻腔内ワクチン接種及びインフルエンザウイルス攻撃の前に、アベルチン(2,2,2−トリブロモエタノール)を腹腔内投与してマウスを麻酔した。BSL2ウイルスによるマウスの免疫化及び試験は、高度BSL2施設においてHEPAフィルタ付きアイソレーターで実施した。マウスHPAI感染は、ジョージア大学(University of Georgia)の機関内バイオセーフティプログラムによって承認されている指針及びCDCによって承認されている指定生物剤の使用に関する指針に従い、高度BSL3施設においてHEPAフィルタ付きアイソレーターで実施した。全ての動物試験は、ジョージア大学(University of Georgia)の機関内動物管理・使用委員会によって承認されている指針に基づき行われた。 組換えプラスミドの構築。PIV5ゲノムのHNとLとの遺伝子間にNP挿入を含むプラスミド(PIV5−NP−HN/L)を作成するため、PIV5の完全長ゲノムと、HNとLとの遺伝子間に追加のGFP遺伝子とを含むプラスミドBH311を使用した(He et al.,1997,Virology;237:249−260)。高病原性H5N1インフルエンザウイルス(H5N1 HPAI、A/ベトナム/1203/2004)由来のNPのORF。MとFとの間(PIV5−NP−M/F)、FとSHとの間(PIV5−NP−F/SH)、又はSHとHNとの間(PIV5−NP−SH/HN)にNP挿入を含むプラスミドを作成するため、PIV5の完全長ゲノムを含むプラスミドBH276を使用した(He et al.,1997,Virology;237:249−260)。NP遺伝子を得るため、HPAI H5N1 RNAを抽出し、cDNAを作成した。NP特異的プライマーを使用してcDNAを増幅し、NP遺伝子を生成した。pET−15bベクターを使用して、Hisタグ標識H5N1−NPタンパク質をコードする発現プラスミドpET−15b−NPを構築した。 ウイルスレスキュー及び配列決定。指示される遺伝子接合部にNP遺伝子挿入を有する完全長PIV5ゲノムをコードするプラスミドPIV5−NP−M/F、PIV5−NP−F/SH、PIV5−NP−SH/HN、又はPIV5−NP−HN/L、並びにNP、P、及びLタンパク質をコードする3つのヘルパープラスミドpPIV5−NP、pPIV5−P、及びpPIV5−Lを、Jetprime(Polyplus−transfection,Inc.,New York)を含む6cmプレートにおいて95%コンフルエンシーでBSR−T7細胞にコトランスフェクトした。使用したプラスミドの量は以下のとおりであった:5μg完全長PIV5−NPプラスミド、1μg pPIV5−NP、0.3μg pPIV5−P、及び1.5μg pPIV5−L。37℃で72時間インキュベートした後、培地を回収し、細胞デブリを低速遠心(3,000rpm、10分)によりペレット化した。プラークアッセイを用いて組換えウイルスのシングルクローンを得た。 プラーク精製PIV5−NPウイルスの完全長ゲノムを配列決定した。ウイルスRNA抽出キット(Qiagen Inc,Valencia,CA)を使用して、PIV5−NPウイルス感染Vero細胞の培地から全RNAを精製した。以前記載されるとおりランダムヘキサマーを使用してcDNAを調製し、次に適切なオリゴヌクレオチドプライマーペアを使用したPCR反応でcDNAのアリコートを増幅した(実施例3及びLi et al.,2013,J Virol;87:354−362)。PCR産物を配列決定した。 ウイルスタンパク質発現の検出。免疫蛍光法(IF)及び免疫沈降(IP)アッセイを用いてウイルスタンパク質の発現を検出した。IFアッセイでは、24ウェルプレートにおいてMDBK細胞をモック感染させるか、又はPIV5若しくはPIV5−NP−HN/LにMOI0.1で感染させた。2dpiで細胞をPBSで洗浄し、次に0.5%ホルムアルデヒドに固定した。細胞を0.1%PBS−サポニン溶液において透過処理し、次にモノクローナル抗PIV5−V/P又は抗H5N1−NP抗体と共に30分間インキュベートした。細胞をPBS/1%BSAで洗浄し、FITC標識ヤギ抗マウス抗体と共にインキュベートした。細胞を30分間インキュベートし、洗浄し、蛍光顕微鏡(Advanced Microscopy Group)を使用して調べ、撮影した。 IPでは、6ウェルプレートにおいてMDBK細胞をモック感染させるか、又はPIV5若しくはPIV5−NP−HN/LにMOI5で感染させた。22hpiで細胞を35S−Met/Cys Promix(100μCi/ml)によって2時間標識した。細胞をRIPA緩衝液に溶解し、モノクローナル抗PIV5−V/P又は抗H5N1−NP抗体を使用してアリコートを免疫沈降させた。沈降したタンパク質を15%SDS−PAGEにより分離し、Storm Phosphorimager(Molecular Dynamics Inc.,Sunnyvale,CA)を使用してオートラジオグラフィーにより調べた。 モック感染させるか、又はPIV5、PIV5−NP−M/F、PIV5−NP−F/SH、PIV5−NP−SH/HN、若しくはPIV5−NP−HN/LにMOI5で感染させた6ウェルプレート中のMDBK細胞を使用して、ウイルス感染細胞におけるH5−NPの発現レベルを比較した。2dpiで細胞を採取し、0.5%ホルムアルデヒドで1時間固定した。固定した細胞をFBS−DMEM(50:50)に再懸濁し、次に70%エタノール中で一晩透過処理した。細胞をPBSで1回洗浄し、次にPBS/1%BSA(1:200)中のマウス抗H5N1 NP抗体又は抗PIV5−V/P抗体と共に4℃で1時間インキュベートした。フィコエリトリンで標識した抗マウス抗体により暗所において4℃で1時間、細胞を染色し、次にPBS/1%BSAで1回洗浄した。フローサイトメーター(BD LSR II)を使用して蛍光強度を計測した。 ウイルスのインビトロ及びインビボ成長。6ウェルプレート中のMDBK細胞を、PIV5、PIV5−NP−M/F、PIV5−NP−F/SH、PIV5−NP−SH/HN、又はPIV5−NP−HN/LにMOI0.1で感染させた。次に細胞をPBSで洗浄し、DMEM−2%FBS中に維持した。0、24、48、72、96及び120hpiで培地を採取した。BHK細胞に関するプラークアッセイによりウイルスの力価を決定した。 マウスにおけるウイルスの成長を比較するため、6週齢野生型BALB/cJマウスに、50μl容量中105pfuのPIV5、PIV5−NP−M/F、PIV5−NP−F/SH、PIV5−NP−SH/HN、又はPIV5−NP−HN/Lを鼻腔内ワクチン接種した。感染後3日目にマウスを安楽死させ、肺を採取してウイルス力価を決定した。 ELISA。精製インフルエンザNPタンパク質を生成するため、pET 15b−NPプラスミドをBL21(DE3)pLysS大腸菌(E.coli)コンピテント細胞に形質転換した。Ni荷電樹脂(Novagen)を使用して組換え6X His−NPタンパク質を精製し、SDS−PAGE及びクマシーブルー染色により調べた。免疫血清の生成のため、マウスに106pfuのPIV5、PIV5−NP−HN/L又は105pfuのX31を鼻腔内ワクチン接種し、ワクチン接種後21日目に血液試料を採取した。2μg/mlの精製NPタンパク質を、4℃で一晩96ウェルプレートにコーティングした。製造者の指示(KPL,Inc)に従いELISAを実施した。コーティングしたプレートにPIV5、PIV5−NP−HN/L及びX31接種マウスの血清試料の段階希釈液を添加した。AP(KPL,Inc)とコンジュゲートしたヤギ抗マウスIgGを添加し、プレートを発色させた。Bio−Tek Powerwave XSプレートリーダーにおいて405nmで光学濃度(OD)を計測した。 インターフェロン−γ(IFN−γ)ELISpotアッセイ。ワクチン接種マウスの脾臓におけるCTL応答を検出するため、IFN−γ ELISpotアッセイを実施した。PBS、107pfuのPIV5、PIV5−NP−F/SH、PIV5−NP−SH/HN、PIV5−NP−HN/L又は0.1 LD50のPR8を使用して、マウスを鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン接種後21日目、マウスを犠牲にし、脾臓を採取した。脾臓をホモジナイズし、HBSS培地で洗浄した。ゲイ溶液を添加して赤血球を除去した。完全腫瘍培地(CTM)中の脾細胞を、70%エタノールで調製して抗マウスIFN−γ mAb AN18(Mabtech,Inc)でコーティングした96ウェルプレート(Millipor MAIPSWU10)に加えた。細胞をモック再刺激するか、又はFlu−NP 147−155ペプチド(TYQRTRALV)(配列番号9)、無関係のペプチドとしてのエボラGP P2(EYLFEVDNL)(配列番号10)、又はPMA/イオノマイシンで再刺激した。培養物を37℃、5%CO2で48時間インキュベートした。脾細胞を取り出し、プレートを洗浄してビオチン化抗マウスIFN−γ mAb R4−6A2(Mabtech,Inc)と共に室温で1時間インキュベートした。洗浄後、プレートをストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ(KPL,Inc)と共にインキュベートし、室温で1時間インキュベートした。BCIP/NBT(KPL,Inc)溶液を使用してプレートを発色させた。AID ViruSpotリーダー(Cell Technology,Inc)を使用してスポットを計数した。結果は、106脾細胞当たりのモック刺激の平均の数を減じた平均サイトカイン分泌細胞数として提示する。 A型インフルエンザウイルスによるマウスの感染。H1N1−マウスを単一用量のPBS、106pfuのPIV5、PIV5−NP−HN/L又は105pfuのX31で鼻腔内免疫した。ワクチン接種後21日目、マウスを10 LD50のA/PR/8/34(H1N1)で攻撃した。攻撃後3日目、マウスの群を安楽死させ、肺を採取してホモジナイズした。TCID50アッセイを用いて、清澄化したホモジネートにおけるウイルス力価を決定した。 H5N1−マウスを、PBS、107pfuのPIV5、PIV5−NP−HN/L、PIV5−NP−F/SH、PIV5−NP−SH/HN、又は2000pfuのrgA/VN−PR8の単回鼻腔内投与で免疫した。ワクチン接種後21日目、マウスを、指示されるとおり10又は20 LD50 H5N1 HPAIで攻撃した。攻撃後、体重減少及び生存についてマウスを毎日モニタした。マウスを感染の臨床徴候に基づきスコア化した(立毛、亀背位、呼吸困難:各1点、25%未満の体重減少:1点、25〜35%の体重減少:2点、35%超の体重減少:3点、神経学的症状:3点)。動物は、3点に達したところで人道的に安楽死させた。A/ベトナム/1203/2004が関与する攻撃は、ABSL3+の封じ込め下で行われた。全ての動物試験は、ジョージア大学(University of Georgia)の機関内動物管理・使用委員会によって承認されている指針に基づき行われた。結果 PIV5−NP−HN/Lの作成及び分析。H5N1 HPAI由来のNPを発現する組換えPIV5が、マウスにおいて種々の亜型のインフルエンザウイルス攻撃に対し防御を提供し得るかどうかを試験するため、PIV5のcDNAのHNとLとの遺伝子間にH5N1 HPAI NP遺伝子を挿入した(図38)。以前記載されるとおり、NP遺伝子がHNとLとの遺伝子間に挿入されたPIV5ゲノムを含むプラスミドを、PIV5 NP、P及びL遺伝子をコードする3つのヘルパープラスミドと共にBSR−T7細胞にトランスフェクトして、感染性ウイルスを回収した(Sun et al.,2011,J Virol;85:8376−8385)。感染性PIV5−NP−HN/Lウイルスをプラーク精製し、実施例3に記載されるとおりRT−PCR配列決定を用いてPIV5−NP−HN/Lの完全長ゲノム配列を決定した(Li et al.,2013,J Virol;87:354−362 21も参照のこと)。ゲノム配列の正確なcDNAに一致する一つのプラーク精製クローンを、以降の全ての実験に使用した。 PIV5−NP−HN/L感染細胞からのNPの発現は、免疫蛍光法及び免疫沈降アッセイを用いて確認した。PIV5−NP−HN/L感染細胞においてはH5N1−NPタンパク質が検出されたが、モック感染又はPIV5感染細胞では検出されなかった。NP発現がPIV5ウイルスタンパク質発現レベルに影響したかどうかを試験するため、PIV5−V/P抗体を使用してPIV5ウイルスタンパク質を免疫沈降させた。PIV5ウイルスとPIV5−NP−HN/Lウイルスとの間でPIV5ウイルスタンパク質発現レベルに差は認められなかった。 組織培養細胞におけるPIV5とPIV5−NP−HN/Lとの成長を比較するため、MDBK細胞を使用して多段階成長曲線を実施した。PIV5−NP−HN/LはPIV5と比べて成長がやや遅かった(図39A)。インビボでのPIV5及びPIV5−NP−HN/Lの成長を調べるため、BALB/cマウスに105pfuのPIV5又はPIV5−NP−HN/Lを鼻腔内ワクチン接種した。感染後3日目に、ワクチン接種マウスの肺におけるウイルスの力価を決定した。PIV5−NP−HN/Lワクチン接種マウスの肺における力価は、PIV5ワクチン接種マウスより低かった;しかしながら、これらの2つの群間に有意な差はなかった(図39B)。 マウスにおけるPIV5−NP−HN/L接種に対する免疫応答。PIV5−NP−HN/LがインビボでNP特異抗体を生じさせ得るかどうかを調べるため、マウスにPIV5、PIV5−NP−HN/L又はX31を鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン接種後21日目、血液試料を採取し、血清を調製した。細菌から精製したHisタグ標識NPタンパク質を使用して96ウェルプレートをコーティングした。プレートに段階希釈血清試料を加えた。PIV5−NP−HN/Lワクチン接種は、生のインフルエンザウイルス感染による誘導に匹敵するロバストな抗NP血清IgG力価を誘導した(図40)。 PIV5−NPが細胞性免疫応答を誘導することができるかどうかを調べるため、マウスにPBS、PIV5、PIV5−NP−HN/L又はPR8を鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン接種後21日目、マウスを安楽死させ、IFN−γ ELISpotアッセイを実施した。PIV5−NP−HN/L−ワクチン接種マウスは、PR8ワクチン接種マウスと比較して同程度のNP特異的CD8+ T細胞応答を誘導した(図41)。 マウスにおける異種亜型H1N1攻撃に対するPIV5−NP−HN/Lの有効性を決定する。PIV5−NP−HN/Lが異種亜型H1N1攻撃に対する交差防御を提供し得るかどうかを調べるため、マウスを単一用量のPIV5−NP−HN/Lで鼻腔内免疫した。ワクチン接種後21日目、マウスを10 LD50 A/PR/8/34(H1N1)で攻撃した。PBS免疫化及びPIV5免疫化マウスは体重が減少し、全てのマウスが攻撃後10日目までに死亡した。対照的に、PIV5−NP−HN/Lで免疫した全てのマウスが、実験期間中に有意な体重減少を示さず、全てのマウスが攻撃を生き残った(図42A及び図42B)。これはX31プライム陽性対照群に匹敵した。PIV5−NP−HN/L免疫マウスの肺では、攻撃後3日目にインフルエンザウイルスが検出され(図42C)、PIV5−NP−HN/L群のウイルス力価はPBS群より低かったが、これらの2つの群間に統計的に有意な差はなかった。 マウスにおけるH5N1 HPAI攻撃に対するPIV5−NP−HN/Lの有効性を決定する。PIV5−NP−HN/Lが同種H5N1 HPAI攻撃に対する防御を提供し得るかどうかを調べるため、マウスを単一用量のPIV5−NP−HN/Lで鼻腔内免疫した。ワクチン接種後21日目、マウスを10 LD50 H5N1 HPAIで攻撃した。PBS免疫化及びPIV5免疫化マウスは全て体重が減少し、感染して死亡した。PIV5−NP−HN/Lをワクチン接種したマウスは、50%の攻撃後生存率を呈し、生き残ったマウスにおける体重減少は、その元の体重の20%未満であった(図43A及び43B)。 PIV5ゲノム内の種々の位置でH5N1 NPを発現するPIV5の作成及び分析。実施例3に示されるとおり、PIV5ゲノム内の挿入部位は、挿入された抗原の免疫原性に影響を及ぼした(Li et al.,2013,J Virol;87:354−362 21も参照のこと)。PIV5ゲノム内の異なる位置へのNPの挿入がワクチンの有効性の向上をもたらすかどうかを調べるため、NPをPIV5ゲノム内の種々の遺伝子接合部間に挿入した。リーダー配列とNP遺伝子との間へのNP挿入は、生存可能な感染性ウイルスをもたらさなかった。PIV5ゲノム内でM遺伝子の上流に外来遺伝子を挿入すると、インビトロ及びインビボでのウイルス成長が影響を受けたため(実施例3及びLi et al.,2013,J Virol;87:354−362)、PIV5ゲノム内でM遺伝子の下流の接合部領域にNPを挿入した。PIV5−NP−M/F、PIV5−NP−F/SH、PIV5−NP−SH/HN、及びPIV5−NP−HN/Lの成長は互いに同程度で、PIV5と比較して力価の低下を伴った(図44A)。NPのPIV5 V/Pに対する平均蛍光強度(MFI)の比をフローサイトメトリーによって調べ、H5N1−NPタンパク質発現レベルを決定した。PIV5−NP−F/SHが最大の比を生じ、一方、PIV5−NP−SH/HNとPIV5−NP−HN/Lとは同程度の比を生じた。PIV5−NP−M/Fが最小の比をもたらした。これらの結果は、PIV5−NP−F/SHが最大のNP発現レベルを誘導することを示唆している(図44B)。これらのウイルスがマウスにおいて複製する能力もまた比較した。PIV5−NP−F/SH、PIV5−NP−SH/HN、及びPIV5−NP−HN/Lでワクチン接種したマウスにおける肺ウイルス力価は、PIV5のみをワクチン接種したマウスと比べてやや低かったが、ワクチン接種後3日目に有意な差はなかった(図44C)。 PIV5−NPウイルス感染に対する細胞性応答。NPの発現レベルが予想されるように免疫応答に影響を及ぼすかどうかを決定するため、マウスにPBS、PIV5、PIV5−NP−F/SH、PIV5−NP−SH/HN、PIV5−NP−HN/L又はPR8を鼻腔内ワクチン接種した。ワクチン接種後21日目、マウスを安楽死させ、IFN−anELISpotアッセイを実施した。PIV5−NPワクチン接種マウスは、PIV5ワクチン接種マウスと比べてより高度なNP特異的CD8+ T細胞応答を誘導した。PIV5−NP−F/SHワクチン接種マウスは、他のPIV5−NPウイルス及びPR8ワクチン接種マウスと比較して、最も高度なNP特異的CD8+ T細胞応答を生じた(図45)が、PIV5ウイルスとPIV5−NPウイルスとの間の差、又はPIV5−NPウイルスとPR8との間の差は、統計的に有意ではなかった。 マウスにおけるH5N1 HPAI攻撃に対するPIV5−NPウイルスの有効性を決定する。PIV5−NP−/SH及びPIV5−NP−SH/HN免疫がH5N1 HPAI攻撃に対してより優れた防御を提供し得るかどうかを調べるため、マウスを単一用量のPIV5−NPウイルスで鼻腔内免疫した。ワクチン接種後21日目、マウスを20 LD50 H5N1 HPAIで攻撃した。このより高い攻撃用量を使用することにより、種々のワクチン候補間にあり得るあらゆる差を最大化した。PBS免疫化及びPIV5免疫化マウスは全て、体重が減少し、攻撃後10日目までに感染して死亡した。対照的に、PIV5−NP−HN/Lでワクチン接種したマウスの20%、PIV5−NP−SH/HNでワクチン接種したマウスの30%、及びPIV5−NP−F/SHでワクチン接種したマウスの67%が攻撃を生き残ったことから、PIV5内のFとSHとの間へのNPの挿入が最良の防御を提供したことが示される(図46A及び図46B)。考察 この例は、単一のNP遺伝子を発現する生ウイルスベクターベースのワクチンが、マウスにおけるロバストな攻撃モデル(20LD50攻撃)において、致死性H1N1攻撃に対し完全な防御性を有し、且つ高致死率のH5N1攻撃に対し実質的な防御(67%)を提供したことの初めての報告であり、NPベースのワクチンについてPIV5がAdV及びVVと比べてより有効なウイルスベクターであることを示している。 一般に、NPにより生じるA型インフルエンザウイルスに対する防御免疫は細胞媒介性で、NPに対する抗体はNP媒介性防御に必須でないと考えられている。しかしながら、最近の報告では、抗NP抗体が防御免疫において役割を果たし得ることが示されている。抗NP抗体が決定的なものでないことと一致して、抗NP血清力価と体重減少との間に相関は認められなかった。しかしながら、この相関の欠如によって、防御免疫応答における抗体の寄与が排除されるわけではない。この例では、IFN−γ ELISpotアッセイで実証するとき、PIV5−NP−HN/LがロバストなNP特異的CD8+ T細胞応答を生じた。PIV5−NP−HN/L免疫マウスは、致死量以下のH1N1感染と同程度のNP特異的CD8+ T細胞応答を誘導した(図40B)。細胞媒介性免疫がインフルエンザウイルス感染を除去しないという観察と一致して、PBS及び免疫化マウスの肺における攻撃インフルエンザウイルスの力価は同程度であった(図41C)。NPを発現する種々の組換えPIV5で免疫したマウスの群のなかでは、最も多くNP特異的CD8+ T細胞を有したPIV5−NP−F/SH免疫化マウスが、H5N1 HPAI攻撃後の生存率が最も高かった(67%)。 ゲノムの3’末端に単一の事実上のプロモーター、すなわちリーダー配列を含むモノネガウイルス目(Mononegavirale)には、転写極性が認められる。ウイルス遺伝子はゲノムの3’末端に近いほど、5’末端の方にあるものと比べてより豊富に転写される。実施例3では、PIV5のSHとHNとの間にH5N1 HPAI由来のHAを挿入すると(ZL46、PIV5−H5−SH/HN)、PIV5のNPとV/P、V/PとM、又はHNとL(ZL48、PIV5−H5−HN/L)の接合部における挿入と比べて、H5N1 HPAI攻撃に対してより優れた防御がもたらされており、これはおそらく、PIV5−H5−SH/HNがウイルス成長に悪影響を及ぼすことなしに最も高度なHA発現を生じたためと思われる(Li et al.,2013,J Virol;87:354−362 21も参照のこと)。このPIV5ベースのNPワクチンの有効性を向上させるため、PIV5のNP遺伝子の上流、MとFとの遺伝子間、FとSHとの遺伝子間、及びSHとHNとの遺伝子間にNP遺伝子を挿入した。実施例3に報告されるとおり、PIV5のNP遺伝子の上流への挿入は生存可能な組換えPIV5をもたらさなかったことから、PIV5のNP遺伝子の上流への外来遺伝子の挿入が致死的であることが示唆される。興味深いことに、PIV5−NP−F/SHウイルス感染細胞が最も高度なNP発現を生じた。3’末端リーダー配列の最も近くに挿入されたNPを含んで、最も高いNP発現レベルを有するはずのPIV5−NP−M/Fが、最も低いNP発現レベルを有した(図43B)。 MとFとの間の接合部は、PIV5ゲノム内のあらゆる接合部のなかで最も長く、MからFへの読み過し転写がPIV5の接合部領域のなかで最も高い(Parks et al.,2001,J Virol;75:2213−2223)。同様に、M−F接合部の破壊は、挿入された遺伝子の発現に悪影響を及ぼした。PIV5−NP−SH/HN及びPIV5−NP−HN/Lワクチン接種マウスは、PR8(H1N1)と同程度のNP特異的CD8+ T細胞応答を誘導し、PIV5−NP−F/SHワクチン接種マウスは、やや高度なT細胞応答を誘導したが、差は統計的に有意ではなかった(図44)。興味深いことに、PIV5−NPウイルス感染細胞で生じたNP発現レベルは、NP特異的CD8+ T細胞応答レベルと相関したことから、外来遺伝子の発現レベルが増加すると、外来遺伝子により生じる細胞性免疫応答がより高度になり得ることが示唆される。 これらのワクチン候補の有効性は、接種用量を増加させることにより、及び/又はプライム−ブーストレジメン用いることにより向上し得る。PIV5−NPを他のインフルエンザウイルス抗原、例えばM2と組み合わせてその有効性をさらに増強することで、PIV5−NP単独より有効なインフルエンザウイルスワクチンがもたらされる。[実施例9]パラインフルエンザウイルス5型(PIV5)ベースのH5N1ワクチン この例では、引き続きPIV5をベクターとして使用してH5N1に対するワクチンを開発し、万能インフルエンザウイルスワクチン用のベクターとしてのPIV5の使用を探究する。この例は、H5N1抗原を発現する組換えPIV5の、フェレットにおけるHPAI H5N1攻撃に対する有効性を試験することを含む。H5N1抗原HA、NA、NP、M1及びM2を発現する組換えPIV5(まとめてPIV5−H5N1と称される)が作成されている。一部のPIV5−H5N1の単一用量接種は、マウスにおいて致死性HPAI H5N1攻撃に対する完全な防御を提供した(死亡なし、罹患なし及び肺における攻撃ウイルスの検出なし、本発明者らはこれを殺菌免疫と定義する)。これらのワクチン候補の有効性を、限定はされないがフェレット動物モデルを含めた、さらなる動物モデルで試験する。フェレットは、インフルエンザウイルス感染に最良の小動物モデルである。フェレットとヒトとの間には肺の生理及び形態に著しい類似性がある。フェレットは、インフルエンザウイルスへの感染に高度の感受性を示す。ワクチン候補をフェレットでH5N1攻撃に対して試験する。この例では、マウス並びにフェレットにおいてPIV5ベースのワクチン候補により生じる免疫の機構をさらに研究する。この例は、H5N1抗原を発現する組換えPIV5の、H5N1に対する有効性の改良、及び万能インフルエンザウイルスワクチンの開発を含む。ベクターは、より優れた有効性を実現し、且つ潜在的な安全性リスクを低下させるように、さらに修飾される。rPIV5−NPは、H5N1攻撃に対する防御のみならず、H1N1攻撃に対する防御もまた提供する。興味深いことに、H1N1のNAを発現する組換えPIV5は、致死性H1N1攻撃を完全に防御したのみならず、致死性H5N1及びH3N2攻撃も部分的に防御した。ワクチン候補は、H5N1に対する有効性が高まるだけでなく、異種亜型インフルエンザウイルス攻撃に対するより優れた防御も提供することで万能ワクチンへとつながるように、さらに修飾される。 PIV5は、ヒト用の新規ワクチンベクター、H5N1に対する新規ウイルスベクターであり、万能インフルエンザウイルスワクチン用のベクターとなる潜在力を有する。インフルエンザウイルスに対するPIV5をベースとするNAベースのワクチンは、新規である。ベクターのアポトーシス誘導能を操作することにより免疫応答を増強する新規戦略を開発する。IFNシグナル伝達経路を調節することにより免疫応答を増強する新規戦略を開発する。 この例には3つの目標がある。目標1は、H5N1に対するワクチンとしての、H5N1のHAを発現する組換えPIV5(PIV5−H5)を試験することである。H5N1のHAを発現する組換えPIV5が、マウスにおいて最も致死率の高いインフルエンザウイルスである致死的攻撃HPAI H5N1からマウスを防御することができるかどうかを試験するため、PIV5のHNとLとの遺伝子間の接合部に切断部位のないH5N1のH5(これがHAタンパク質の機能を不活化した)を含むPIV5−H5(ZL48ウイルス)が作成されている。このウイルス、並びに野生型ウイルスもまた、成長した。106pfuのZL48の単一用量で免疫した全てのマウスが攻撃を生き残り、体重減少はなかった。免疫化マウスの肺においてH5N1は検出されなかった。抗体移入実験から、抗H5抗体が防御を媒介したことが確認された。単一用量のPIV5−H5接種は致死性H5N1攻撃からマウスを完全に防御したが、2回目の用量が、中和抗体力価をさらにブーストした。先在するベクター免疫が生ウイルスによるブーストを妨げなかったことは、抗PIV5抗体がPIV5感染を妨げないという報告と一致する(Young et al.,1990,J Virol;64(11):5403−11)。実施例3及びLi et al.,2013,J Virol;87(1):354−62(59)を参照のこと。 H5の発現レベルが増加すると、ワクチン候補としての組換えウイルスの有効性が向上するものと思われる。PIV5の唯一の事実上のプロモーターであるリーダー配列までの距離が、遺伝子発現レベルに逆に作用する。HNとLとの遺伝子間の遺伝子接合部は、PIV5においてリーダー配列から最も離れている。目的の遺伝子をHN−L遺伝子接合部からリーダー配列の近くに動かすと、遺伝子発現レベルが増加し得る。H5N1のHA遺伝子がPIV5ゲノム内の種々の位置に挿入されている(図47;実施例3;及びLi et al.,2013,J Virol;87(1):354−62)。全てのコンストラクトが単一の高用量接種(106pfu)の後にマウスにおいてH5N1攻撃に対する完全な防御を提供したため、用量反応試験を実施した(103、104、及び105pfu)。104pfu以上のZL46、ZL47又はZL48を接種した全てのマウスが致死性H5N1攻撃を生き残った(実施例3;及びLi et al.,2013,J Virol;87(1):354−62)。103pfuのZL46はH5N1致死的攻撃からマウスを100%防御した。 103pfuの用量でZL48は70%のマウスを防御したが、ZL47は僅か30%のマウスを防御したに過ぎなかった。通常のヒトインフルエンザウイルス免疫は、ほとんどがIMで行われ、且つ弱毒生インフルエンザウイルスワクチンはINで接種されるため、IM及びIN免疫の有効性を比較した。IM及びINは双方とも機能したが、INではIMより優れた防御が提供された。興味深いことに、不活化PIV5−H5はIM又はINで防御しなかったことから、IM接種であっても、PIV5の複製がその有効性に必須であることが示唆される。PIV5は、呼吸器感染病原体である。IN経路によりPIV5−H5を免疫したマウスの気管支肺胞洗浄液及び鼻洗浄液に抗HA IgAが検出されたことから、PIV5ベースのワクチンが気道においてロバストな粘膜免疫を生じ得ることが示唆される。実施例7及びMooney et alを参照。 ワクチン用の抗原としてPIV5を使用して発現させた他のH5N1タンパク質の潜在力を試験する。H5N1タンパク質NA、M1、M2及びNPを発現する組換えPIV5が作成され(図47A)、ワクチン候補としてのそれらの有効性がH5N1に対して試験されている。H1N1のH1又はN1を発現するPIV5もまた作成して試験した。これらの全てのコンストラクトについて、PIV5ゲノム複製に対する潜在的な有害効果を回避する出発点として、HN及びL接合部に遺伝子を挿入した。rPIV5−M2を除き、全てのウイルスが組織培養細胞で良好に成長した。 H5N1のNA遺伝子を含むZL116(図47A)によるマウスの接種は、マウスを致死性H5N1攻撃から完全に防御した。さらに、rPIV5−N1(H5N1)免疫マウスの肺においてH5N1は検出されなかった。これは、H5N1に対する殺菌免疫(死亡なし、罹患なし及び肺における攻撃ウイルスの検出なし)がウイルスベクターベースのNAワクチンを使用して初めて観察された、面白い結果である。H5N1媒介性防御のN1が特異的で、H5N1のNAのみに限られているかどうかを調べるため、ZL108(H1N1由来のN1を発現するPIV5)を試験した。NAにより生じた免疫が防御性であり得ることを確認して、rPIV5−N1(H1N1)はマウスを致死性H1N1攻撃から完全に防御した。興味深いことに、rPIV5−N1(H5N1)は致死性H1N1攻撃に対する完全な防御を提供した;rPIV5−N1(H1N1)もまた致死性H5N1攻撃に対して部分的な防御(60%)を提供した。NAベースの防御が広域であり得るかどうかをさらに調べるため、rPIV5−N1(H5N1)及びrPIV5−N1(H1N1)を致死性H3N2攻撃に対して試験した。意外にも、rPIV5−N1(H1N1)はH3N2攻撃を部分的に(40%)防御したが、一方、rPIV5−N1(H5N1)は全く防御しなかった。 A型インフルエンザウイルスのNPは十分に保存されている。NPにより生じる免疫は細胞媒介性であると考えられる。最近では、NPが万能インフルエンザウイルスワクチン開発の一構成要素として使用されている(Soboleski et al.,2011,PLoS One;6(7):e21937)。H5N1のNPを発現するPIV5を作成し、H5N1由来の異なる亜型であるH1N1ウイルス(PR8株)による致死的攻撃に対してその有効性を試験した。PIV5−NPによるマウスの単一用量接種は、致死性PR8株攻撃に対して100パーセントの防御を提供した。しかしながら、いくらかの体重減少(5〜10%)があった。抗NPが決定的でないことと一致して、抗NP力価と体重減少との間に相関は観察されなかった。また、NP媒介性免疫がインフルエンザウイルス感染を予防しないという既報告と一致して、免疫マウスの肺にPR8ウイルスは検出されなかった。対照的に、NPを発現するVVは同じウイルスの攻撃に対していかなる防御も提供せず、NPを含むアデノウイルスは致死性H1N1攻撃に対して80%の防御を提供するが、マウスは体重が約30%減少した。これらのPIV5コンストラクトがAdVベース及びVVベースのNPワクチンより良好に機能したことは、AdV又はVV(MVA)と比べてPIV5が、インフルエンザウイルスに対するより優れたワクチンベクターであることを実証している。 次にPIV5−NPを致死性H5N1攻撃に対して試験し、死亡及びいくらかの体重減少(10〜20%)からの部分的防御が認められた。H5N1に対する防御は50%に過ぎなかったが、これは、ウイルスベクター化NPワクチン候補による単一用量ワクチン接種について報告されているなかで最良である。これは、免疫用量を増加させ、PIV5ゲノム内のNP挿入部位を変更し、PIV5ベクターを修飾し、且つこれを本明細書に記載される他のインフルエンザウイルス抗原と組み合わせることにより、改善され得る。 A型インフルエンザウイルスのM1タンパク質は保存されている。HNとLとの間にH5N1のM1を発現する組換えPIV5(rPIV5−M1)の有効性を決定した(図47A)。興味深いことに、rPIV5−M1は、マウスにおいて致死性PR8に対して部分的防御(70%)を提供した。防御が理想に満たないのは、M1遺伝子の遺伝子開始配列における予想外の突然変異に起因する可能性が最も高い。より優れた有効性のM1を発現する組換えPIV5を作成する。 H5を発現するPIV5突然変異体を作成した(図47A)。組換えウイルスのルーチン分析の一環として、ウイルスのゲノム全体をプラーク精製し、配列決定する。PIV5ΔSH−H5(ZL128)は正確な入力配列を有するが、PIV5VΔC−H5ウイルスのゲノムには突然変異がある。以前、インターフェロン欠損細胞系であるVero細胞にrPIV5VΔCが移された後、Vタンパク質の発現を回復した突然変異並びに他の部位における突然変異を有するウイルスが出現した。これは、C末端の欠失の作られ方及びウイルス複製におけるVタンパク質の重要性に起因するものと思われる。V及びP mRNAは両方とも同じV/P遺伝子から転写されるため、ウイルスRNAポリメラーゼ複合体の不可欠な部分であるPタンパク質のN末端も同様に欠失させることなしには、VのためにPIV5ゲノムからコード配列全体を欠失させることはできなかった。代わりに、両方のmRNAの転写にとって決定的に重要なV/P遺伝子の領域内に複数の点突然変異を導入することにより、V/P遺伝子にP mRNAのみを作らせ、V mRNAを作らせないようにした。多数のrPIV5VΔC−H5クローンを配列決定しており、それらは全て、異なる位置に突然変異を含む。Vタンパク質のC末端の発現を無効にする意図した突然変異を除いては異なる突然変異を有する回収したウイルスのうち2つのクローンを選び、試験した。理論的解釈は、全ての突然変異体が同じ効果を有し、且つ共通の特徴がVの保存されたC末端の欠損であるならば、VのC末端の欠損が表現型を決定する因子であり得るというものである。ウイルスにより生じる免疫を生じさせ、マウスにおける致死性H5N1攻撃に対する組換えウイルスの有効性を試験した。PIV5ΔSH−H5は、PIV5−H5と比べてより優れた抗体反応及び細胞媒介性応答を生じていた。調べたPIV5VΔΔC−H5の2つのクローンのうちの一方は、一方がより優れた抗体を生じ、他方がH5に対するより優れた細胞媒介性応答を生じていた。全ての突然変異体PIV5が野生型PIV5と比べてH5N1攻撃に対してより優れた防御を提供した。rPIV5VΔCΔSH−H5、rPIV5VΔC−NP及びrPIV5ΔSH−NP突然変異体を作成しており(図47A)、試験中である。 PIV5に対する先行曝露を有するイヌのrPIV5−H3による免疫。PIV5に対する先在する免疫がワクチンベクターとしてのPIV5の使用に悪影響を及ぼすかどうかを調べるため、次に、PIV5未感作イヌ及びPIV5に対して複数回ワクチン接種したイヌを試験した。PIV5未感作イヌにおける中和抗PIV5の欠如が確認され、PIV5ワクチン接種イヌにおけるPIV5に対する中和抗体(nAb)力価は、300もの高さであった(実施例2及びChen et al.,2012,PLoS One;7(11):e50144を参照)。イヌにPBS、PIV5又はrPIV5−H3をIN経路によりワクチン接種した。rPIV5−H3をワクチン接種したPIV5未感作イヌは、20〜80の範囲(平均42)のHAI力価を有した。rPIV5−H3をワクチン接種したPIV5陽性イヌは、40〜80の範囲(平均77)のHAI力価を有した(2群のHAIの差は、統計的に有意ではなかった)ことから、rPIV5−H3ワクチン接種がインフルエンザウイルスに対する免疫を生じたことが示され(HAI力価の4倍増加又は40のHAI力価を、インフルエンザウイルス感染に対して防御性と見なす)、先在する抗PIV5 nAb力価がイヌにおいてPIV5ベースのワクチンの有効性に影響を与えなかったことが示唆される。これらの結果は、PIV5に対するnAbがマウスにおいてPIV5感染を妨げないという既報告と一致する(Young et al.,1990,J Virol;64(11):5403−11)。イヌがPIV5感染を除去する能力については、依然として不確かである。PIV5はイヌにおいて複製が自己抑制的であるため、細胞媒介性免疫が感染の除去においても同様に決定的な役割を果たすものと思われる。細胞媒介性免疫が応答して有効となるまでには時間がかかるため、この時間差が、PIV5ベースの生ワクチンが細胞において複製してロバストな免疫応答が生じる機会を提供する。 目標1は、H5N1抗原を発現する組換えPIV5の、フェレットにおけるH5N1攻撃に対する有効性を試験することである。マウスにおいてHPAI H5N1攻撃に対して有効なPIV5ベースのH5N1ワクチン候補が得られている。フェレットはインフルエンザウイルス感染に最良の小動物モデルであるため、フェレットを含めたさらなる動物モデルで有効性を試験する。図47に列挙する13個を含め、多くのワクチン候補がマウスで試験されている。これらをフェレットにおいて試験する。主要な目的はH5N1ワクチンの開発であるため、H5に対する抗体がワクチン候補の有効性の評価に広く受け入れられているパラメータであることから、初めにPIV5−H5を試験する。PIV5−H5については、あらゆる野生型PIV5−H5のなかでZL46が最も有効であるため、初めにZL46を試験する。第二に、PIV5ΔSH−H5(ZL128)を試験し、これは突然変異体PIV5−H5のなかで最良であり、安定もしている。rPIV5ΔSH−H5によるTNF−αの活性化が適応免疫応答に影響を及ぼすかどうかを決定することで、新規ワクチンの設計に有益な情報が得られる。第三に、フェレットにおけるウイルスベクター化NAワクチンの成功は報告されていないため、PIV5−N1(H5N1)(ZL116)を試験する。NAが有効な抗原であり得るかどうか、及びNAを発現するPIV5がフェレットにおいてインフルエンザウイルスに有効であり得るかどうかを決定するために、この研究は重要である。第四に、NPベースのワクチンの免疫は細胞性免疫応答によって媒介されると考えられるため、フェレットにおいてPIV5−NP(ZL112)を試験する。これは、NPを発現するPIV5がフェレットにおいて有効であり得るかどうかを試験するのみならず、PIV5ベースのワクチンがフェレットにおいてロバストな細胞性免疫応答を生じさせ得るかどうかの決定でもある。 PIV5−H5N1の安全性、安定性及び免疫原性の調査。4セットのワクチン候補を試験する:PIV5−H5、PIV5ΔSH−H5、PIV5−N1及びPIV5−NP。各セットに陰性対照としてPBS及びPIV5を含める。陽性対照として不活化H5N1を使用する。PIV5ΔSH−H5(ZL128)ワクチンについては、PIV5−H5(ZL48)もまた比較のため含め、これは、そのいずれもがPIV5ゲノム内の同じ位置にH5挿入を含むためである。6匹の群のフェレットに、麻酔下で0.5ml容量中106PFUの組換えPIV5親ウイルス(PIV5)又はPIV5−H5N1、又はPBSを接種する。免疫原性に関する陽性対照として、感染のフェレットモデルにおいてHA特異的抗体反応を誘発し、且つ致死的攻撃を防御することが示されている15ugの不活化H5N1により、3匹のフェレットを筋肉内(IM)免疫する。臨床症状(発熱、嗜眠、及び体重減少)に関して動物を14日間モニタする。接種後2日目、4日目、6日目、8日目、10日目、14日目及び21日目、鼻洗浄液を採取し、プラークアッセイを用いてそのウイルス力価を決定する。鼻洗浄液はまた、HA特異的IgA ELISAを用いて、粘膜抗体反応についてもアッセイする。0日目、8日目、14日目、及び21日目に血清及び全血も採取して、CBC、臨床化学、血清抗体反応及び/又は細胞媒介性免疫応答を計測する。接種後4日目(PIV5シェディングのピーク)、3匹のフェレットを人道的に安楽死させ、肉眼的病理学及び顕微鏡的病理変化について剖検する。また、肺及び鼻甲介を採取し、ウイルス力価を決定する。リンパ球(免疫応答)分析のため、さらなる組織を採取する。H&E染色を用いて病理変化を調べる。残りのフェレットは、免疫後21日目にH5N1で攻撃する。 安定性試験のため、鼻洗浄液を使用して直接RT−PCR配列決定用のウイルスRNAを得るか、及び/又は鼻洗浄液中に直接RT−PCR配列決定には不十分なウイルスしかない場合、Vero細胞で培養した後、RT−PCR配列決定に使用する。病理検査のため、肉眼的病理学の後、安楽死させた動物から組織を取り出し、グリッド上に置き、1cm断片を選択し(臓器全体に相当する)、10%緩衝ホルマリンに固定する。プラークアッセイによるウイルス力価の分析用にさらなる断片を採取する。固定した組織をパラフィン包埋し、3ミクロンの薄片に切り、ヘマトキシリン−エオシン(H&E)で染色し、光学顕微鏡法によって調べ、病理学者が盲検的にスコア化する。H&E結果により示唆される場合、組織をウイルス特異的又はリンパ球特異的(例えばCD4、CD8、B細胞)mAbで免疫染色し、ウイルス抗原発現及び/又はリンパ球浸潤のレベルをスコア化する。 局所免疫。免疫応答の誘導部位により免疫応答の性質が変わり、防御有効性に著しい影響が及び得る。粘膜免疫は、一致型の攻撃及び異種亜型の攻撃の両方を防御するインフルエンザ特異的粘膜IgA及びIgG応答を誘導することが示されている。鼻腔内PIV5免疫は、インフルエンザ攻撃に対する防御を媒介する局所的インフルエンザ特異的T細胞及び免疫グロブリン応答を誘導する潜在力を有する。鼻洗浄液及び肺の分析により(安楽死当日)、局所的(すなわち肺)PIV5特異的及びインフルエンザ特異的免疫応答を評価する。遠心によって浸潤性リンパ球集合を採取し、粘膜IgについてBAL洗浄液を分析する。 細胞媒介性免疫(T細胞)分析 ワクチン接種により誘導されたT細胞応答及び攻撃後のT細胞応答の変化を、抗原特異的IFN産生によって計測する。具体的には、末梢血、BAL、脾臓及び/又は流入領域リンパ節由来のリンパ球を、不活化H5N1、逆遺伝学的6:2のPR8:A/VN/1203/04、組換えHA(NA又はNP)、又はH5N1 HA(又はNA、NP)ペプチドプールで再刺激することにより、インフルエンザ特異的T細胞応答についてアッセイする。細胞内サイトカイン染色、ELISA、及び/又はELISPOTアッセイにより、IFN−γ応答を決定する。インフルエンザウイルス感染後に、様々なHA特異的ペプチドエピトープが同定されている。フェレットについてA/ベトナム/1203/04 HAにおける特異的なエピトープは同定されていないが、H5N1インフルエンザウイルスにはHAペプチドライブラリが利用可能であり、必要に応じて、反応性に関して免疫細胞集団をスクリーニングしてペプチドエピトープを同定することができる。 体液性免疫(抗体)分析 血清、鼻洗浄液、及びBAL洗浄液中のHA(NA又はNP)特異的体液性免疫応答を、標準的なELISAアッセイにより、同種(A/ベトナム/1203/04)又は異種(A/Udorn)ウイルス又は組換えHA(NA又はNP)をプレート結合抗原として使用して計測する。IgA及びIgGの双方とも、フェレットクラス特異抗体を使用して評価する。HA特異的抗体力価もまた、ウイルスマイクロ中和アッセイ又はHAIにより計測する。同種A/VN/1203/04(クレード1)HAに対して反応性を示す試料は、A/Anhui/1/2005(クレード2.3.4)との交差クレード反応性について評価する。全ての血清及びBAL洗浄液試料を、対応する免疫前試料又は対照免疫試料と比較する。 H5N1攻撃に対するPIV5−H5N1の有効性の調査。攻撃実験は、BSL3AG+ 封じ込め下で実施する。上記のとおり免疫したフェレットに、10 LD50のH5N1をIN接種する。活動、体重減少、及び体温を含む臨床症状、並びに生存について、フェレットを14日間モニタする。感染後2日目、4日目、6日目、及び8日目に鼻洗浄液を採取し、TCID50アッセイによってウイルス力価をアッセイする。14日目、生存している動物を出血させ、インフルエンザ特異的血清抗体をアッセイする。 フェレットを野生型PIV5又はrPIV5−H5(ZL46)に感染させ、ELISA及びウイルス中和アッセイを用いてH5に対する抗体力価を計測した。このワクチン候補は、防御性であると見なされる抗H5抗体力価を生じさせるのに有効であった(図47B)。マウスにおけるPIV5−H5、PIV5−N1及びPIV5−NPでの結果、及びフェレットにおけるPIV5−H5のこの実験から、PIV5−H5及びPIV5−N1が免疫原性で、致死性H5N1攻撃からフェレットを防御するのに有効であり得ることが予想される。H5N1 Anhui(クレード2ウイルス)に対するPIV5−H5(H5N1、VN)で免疫したマウス由来の血清のロバストな交差反応性が観察されており、PIV5−H5(VN、クレード1)がクレード2ウイルスからの攻撃に対して防御性であることが示唆される。 初回接種は106PFU(図47B)のワクチン候補から開始する。これが完全防御(症状なし、死亡なし及び検出可能なウイルスなし)に不十分な場合、フェレット当たり最大108PFUまで用量を増加させる。単一用量が完全防御に不十分な場合、プライム−ブーストレジメンを用いて免疫を増強する。全てのインフルエンザウイルス関連試薬が容易に入手可能であり、T細胞分析用に精製NP及びM1が生成されている。 フェレットにおけるこの研究のため、抗フェレット抗体などの、有効な免疫アッセイに必要な試薬を、BEI及び他の商業的供給元から入手し、交差反応性抗体を使用することができる。さらに、フェレットタンパク質に対するモノクローナル抗体を作成する。この目的のため、フェレットの抗CD4のハイブリドーマが2つ、及びフェレットの抗IFN−βのハイブリドーマが3つ、開発されている。 目標2は、H5N1抗原を発現する組換えPIV5の、H5N1並びに異種亜型インフルエンザウイルス攻撃に対する有効性を向上させることによる、PIV5ベースのH5N1ワクチンのさらなる改良並びに一般的な有望な万能インフルエンザウイルスワクチンを含む。 IFN発現を誘導し、且つIFNシグナル伝達を遮断する突然変異を組み込む。IFN発現などの自然免疫応答の活性化が適応免疫応答を増強することが分かっている。ウイルスベクターにとって、これは両刃の剣である。ウイルスベクターがロバストなIFN発現を誘導する場合、次にはIFNのこの誘導がベクターの複製を阻害し、ベクターの有効性が低下する。ウイルスベクターがIFN産生の誘導を可能にしながらも、なおIFNシグナル伝達を遮断してその効率的な複製を可能にするその能力を維持していることが、理想的である。I型インターフェロンなどのサイトカインの発現の誘発能を有するPIV5タンパク質内の残基が同定されている(Sun D et al.,2009,PLoS Pathog;5(7):e1000525)。PIV5のPタンパク質のS157の残基は、宿主キナーゼPLK1に対する結合部位であり、PIV5のPタンパク質のS308の残基は、PLK1のリン酸化部位である。S157又はS308をアミノ酸残基Aに突然変異させると、ウイルスはインターフェロン−βの発現を増加させる。最も重要なことに、ウイルスは、IFNシグナル伝達を遮断するVタンパク質をなお発現する。従って、これは、それ自体の複製に悪影響を及ぼすことなしにIFN発現を誘導することのできるウイルスベクターである。H5又はNPを発現する組換えPIV5を作成し(図47B)、マウス及びフェレットにおけるH5N1攻撃に対する免疫原性及び有効性を決定する。HAを使用して、抗体反応に対するP−S308Aの効果を試験し、NPを使用して、細胞媒介性応答に対するP−S308Aの効果を試験する。 PIV5−NPとPIV5−NA、M1、M2及び/又はHAstemとによる混合免疫の、万能ワクチンとしての有効性を試験する。rPIV5−NPはH1N1並びにH5N1を防御し、且つPIV5−N1(H1N1)はH1N1攻撃のみならず、H3N2も防御したため、NP並びに他のインフルエンザウイルス抗原を発現するPIV5は、万能インフルエンザウイルスワクチンの優れた候補となり得ることが予想される。第一に、2つのワクチンの組み合わせが防御において相乗作用を提供し得るかどうかを試験する。それらが相乗作用を提供する場合には、それらを組み合わせて単一のウイルスベクターとする。NPは広域の防御を提供することが知られているため、NPを、他方と混合するベースとして使用する。PIV5−NPをPIV5−NA、PIV5−M2及び/又はPIV5−M1並びにPIV5−HAstem(HAのステム領域)と共にマウスで試験し、次にフェレットで試験する。 M2は、インフルエンザウイルスタンパク質の間で比較的保存されている。M2は広域の抗インフルエンザウイルス免疫を生じ得ることが示されている。しかしながら、本研究では、PIV5から完全長の機能性M2が発現したとき、いかなる防御も検出されなかった。このようにM2免疫応答を誘発できなかったことは、PIV5−M2感染細胞におけるM2の毒性であるものと思われる。M2はイオンチャネルであり、この機能に決定的な残基が同定されている。H37及びW41はイオンチャネル活性に決定的であることが知られている。これらの残基を突然変異させると、M2の構造に影響が及ぶことなくイオンチャネル活性が消失する(M2は、単一の膜貫通ドメインを有するホモ四量体である)。M2のイオンチャネル活性を不能にすることにより、急激過ぎる感染細胞の死滅なしに高度なM2を発現するPIV5が生成され得る。また、M2のエピトープは分かっており、それらはM2の外部ドメインにあるため、PIV5のSHとM2との間でハイブリッドタンパク質が生成され得る。PIV5のSHは44アミノ酸残基長の膜貫通タンパク質であり、7アミノ酸残基の外部ドメインを有する。M2の外部ドメインをSHの外部ドメインに付加し得る(SH−M2)。最近になって、HAのステム領域であるHAの保存領域を認識する抗体が、インフルエンザウイルスのあらゆる亜型の感染予防に有効であることが報告されている。PIV5由来のHAのステム領域を発現させ(図47B)、マウスにおけるその免疫原性を調べる。PIV5−M1コンストラクトは、致死性PR8攻撃に対して既に70%の防御を提供した。このウイルスは、正確な遺伝子開始配列を使用することにより、及びSHとHNとの間にM1を挿入することにより、さらに改良され得る。 2つ以上のインフルエンザウイルス抗原を発現するPIV5を作成する。単純化するため、及び不必要な規制上の負担を回避するため、単一のウイルスから複数の抗原を発現することが、異なる抗原を発現するPIV5の混合物を使用することと比較して望ましいともいえる。NPの発現を、同じPIV5からのNA、HAstem、M1及び/又はM2の発現と組み合わせる(図47B)。 複数のインフルエンザウイルス抗原を発現するPIV5の万能ワクチンとしての有効性を試験する。NA、NP、M2 mut及び/又はM1を発現するPIV5を作成した後、それらの有効性を、初めにマウスにおいて、初めにH1N1、H3N2及びH5N1からの攻撃に対して試験する。マウスにおいて有効であれば、それらをフェレットで試験する。 目標3は、PIV5ベクターに基づく免疫に関する理解を高めるための研究を含む。PIV5ベースのワクチン候補により生じる免疫の機構を、マウス並びにフェレットにおいてさらに試験する。従来のインフルエンザウイルスワクチンでは、一般に、HAに対する中和抗体が、防御免疫を証明するものと考えられる。しかしながら、生ワクチンによる免疫では、体液性及び細胞性の両方の免疫応答が生じる可能性が高くなる。これらの例では、NA及びNPを発現するPIV5が、これまでに観察されたことのないレベルの防御を提供したことが示されている。組換えPIV5ウイルスによる改変された抗原の提示が免疫応答を変えた可能性もあり得る。アポトーシス経路は抗原提示に影響を及ぼすと考えられる。PIV5ΔSH及びPIV5VΔCにより誘導されるアポトーシスをもたらす経路は同定されており、且つ異なるため、これらのウイルスは、同じ抗原を発現するが異なるアポトーシス経路を活性化するウイルスによる抗原提示を調べるまたとない機会を提供する。1つのアポトーシス経路が抗体反応を選択的に増強し得ると同時に、他方がT細胞応答に影響を及ぼし得る可能性がある。アポトーシスがどのようにウイルス感染に対する免疫応答に影響を及ぼすかを理解することは、より優れたH5N1ワクチンの設計に役立つばかりでなく、ワクチン設計及び免疫応答に関する一般的知識もまた提供し得る。PIV5−P−S308Aベースのワクチンにより、ウイルスベクターの複製に対するIFNの効果を懸念することなしに、IFNの誘導が適応免疫応答に与える効果を調べることが可能となる。rPIV5−H5、rPIV5−NA及びrPIV5−NPにより提供される防御の免疫機構については、この目標のなかで取り組む。 PIV5により誘導される防御の機構は、3つの方法によって調べる。抗体が防御に十分であるかどうかを決定するため、未感作、PIV5、PIV5−H5N1(全てPIV5が基準、突然変異を含む又は含まない、H5N1抗原を発現する)、又はH5N1免疫マウスからの血清を未感作マウスに受身移入させる。被移入マウスをH5N1インフルエンザで攻撃する。攻撃後様々な日数でウイルス力価分析のため一部の動物を犠牲にし、他のマウスは罹患率及び死亡率についてモニタする。抗体が防御に必須であるかどうかを決定するため、抗体産生が欠損しているMTマウスを免疫に使用する。免疫マウスが致死的攻撃を生き残った場合、それは、抗体が必要ではなく、細胞媒介性免疫応答で十分に防御されることを示している。細胞性免疫応答の役割を評価するため、上記のとおりマウスを免疫し、mAb枯渇により免疫動物から個別のT細胞サブセット(CD4、CD8又は両方)を急性的に枯渇させる。枯渇させた後、マウスをH5N1インフルエンザで攻撃し、上記のとおり防御を評価する。急性枯渇試験は時に不確定なデータ(date)を生じることがある;例えばCD4及びCD8 T細胞の枯渇は防御を無効にしないが、CD90枯渇を加えると、防御が完全に失われる。この普通でない結果については、CD4及びCD8特異的mAbによる不完全な枯渇又は防御におけるCD4/CD8ダブルネガティブ細胞の役割を含め、可能性のある説明がいくつかある。加えて、急性枯渇はプライムされたT細胞を除去するのみならず、未感作T細胞も除去し、防御に寄与する攻撃に対する一次応答の寄与を全て消失させる。受身血清移入と同様に、未感作動物へのプライムされたT細胞の養子移入は、防御免疫応答における個々の細胞集団の役割を直接特徴付けることができる。急性枯渇に代わるものとして、クラスI欠損マウスを使用してCD8+(CTL)活性の寄与を評価して、野生型及びβ2m欠損マウスを免疫し、防御有効性を評価し得る。クラスII(CD4+ T細胞)欠損マウスは別の代替的手法であるが、有効なCTL及び血清抗体反応の誘導に関してさらなる課題を有する。[実施例10]改良狂犬病ワクチン 狂犬病は、世界各地で依然として重大な公衆衛生上の脅威であり、毎年7万人を超える死亡者を生じている。ヒト狂犬病の予防には、愛玩動物及び保菌野生生物の免疫化、リスクを有する人の曝露前免疫化、及び狂犬病の動物に噛まれた人の曝露後治療が含まれる。細胞培養物から調製された不活化狂犬病ウイルス(RV)ワクチンは、安全且つ有効であるものの、欠点を有する。第一に、これらのワクチンは高価であり、従って発展途上国のワクチンを必要とするほとんどの人には手が届かない。さらに、防御免疫応答を生じさせるには、不活化ワクチンによる頻回の免疫化が必要である。加えて、これらの不活化ワクチンは常にアジュバントを含むが、アジュバントは副作用を引き起こし得る。従って、より安全で、より安価な、且つより有効なRVワクチンが必要とされている。 この例には3つの目標がある。1、イヌにおいてrPIV5−Gの有効性を試験すること。イヌにおいて、異なるワクチン接種経路(鼻腔内、経口及び筋肉内)を使用してrPIV5−Gの有効性を調べ、rPIV5−Gの用量反応を決定する。2、Gを発現する組換えPIV5の有効性を向上させること。PIV5ゲノム内における抗原の挿入部位が、動物におけるワクチン候補の免疫原性に影響を及ぼした。先行研究では、狂犬病ウイルスのG遺伝子がHNとLとの遺伝子間に挿入されている。GをPIV5ゲノム内の他の位置に挿入し、それらの有効性をマウス及びイヌで試験する。PIV5に対する修飾は、抗原に対する免疫応答を増強させる。例えば、SH遺伝子を欠失させると、野生型PIV5と比較して外来遺伝子に対する免疫が増加した。PIV5のゲノムを修飾して、Gタンパク質に対する最大免疫を得る。そして、3、他の狂犬病ウイルスタンパク質の免疫を試験すること。狂犬病攻撃に対して防御免疫を生じさせるのにGは十分であるが、狂犬病ウイルスタンパク質Nもまた、防御免疫を生じさせることが知られている。Nを発現する組換えPIV5を構築して試験する。加えて、本発明者らは、ウイルス粒子の決定的な成分であるMを組み込んでPIV5ベースのウイルス様粒子(VLP)を作成し、狂犬病ワクチンとしてのそれらの有効性を試験する。 この例は、複数の経路で送達することのできる新規の安全で有効な狂犬病ワクチンにつながるのみならず、イヌ及び場合により野生動物用のワクチンの新規開発戦略も提供する。本研究から得られる知識により、HIV及び結核菌(Mycobacterium tuberculosis)などの他の疾患向けのPIV5ベースのワクチンの設計が導かれる。 イヌにおけるrPIV5−Gの有効性を試験する。異なるワクチン接種経路(鼻腔内、経口及び筋肉内)を使用してイヌにおけるrPIV5−Gの有効性を調べ、rPIV5−Gの用量反応を決定する。イヌにおけるrPIV5−Gの安全性、安定性及び免疫原性の調査 PIV5はケンネルコフワクチンに含まれているため、PIV5の安全性は本質的にイヌにおいて試験されている。安全性及び免疫原性を可能な限り高い用量で様々な免疫化経路によりさらに試験する。8匹の群のイヌに、IM、経口又はIN経路によって108pfuの組換えPIV5親ウイルス(PIV5)又はPIV5−Gを接種する。対照として、rLBSNE(本質的にSAG−2、市販の狂犬病ワクチン)をIMによって含める。臨床症状(発熱、嗜眠、及び体重減少)に関して動物を14日間モニタする。接種後2日目、4日目、6日目、8日目、10日目、14日目及び21日目、鼻洗浄液を採取し、プラークアッセイを用いてそのウイルス力価を決定する。また、0日目、7日目、14日目、及び21日目に血清及び全血も採取し、CBC、及び臨床化学を計測する。接種後4日目(PIV5シェディングのピーク)、イヌ(各群から4匹)を人道的に安楽死させ、肉眼的病理学及び顕微鏡的病理変化について剖検する。また、肺及び鼻甲介を採取し、ウイルス力価を決定する。病理検査のため、肉眼的病理学の後、安楽死させた動物から組織を取り出し、グリッド上に置き、1cm断片を選択し(臓器全体に相当する)、10%緩衝ホルマリンに固定する。プラークアッセイによるウイルス力価の分析用にさらなる断片を採取する。固定した組織をパラフィン包埋し、3ミクロンの薄片に切り、ヘマトキシリン−エオシン(H&E)で染色し、光学顕微鏡法によって調べ、盲検的にスコア化する。H&E結果により示唆される場合、組織をウイルス特異的又はリンパ球特異的(例えばCD4、CD8、B細胞)mAbで免疫染色し、ウイルス抗原発現及び/又はリンパ球浸潤のレベルをスコア化する。 鼻洗浄液はまた、G特異的IgA ELISAを使用して、粘膜抗体反応についてもアッセイする。また、0日目、7日目、14日目、及び21日目に血清及び全血も採取し、抗体反応及び/又は細胞媒介性免疫応答を計測する。残りのイヌ(各群4匹)は免疫後21日目に狂犬病で攻撃する。 局所免疫。免疫応答の誘導部位により免疫応答の性質が変わり、防御有効性に著しい影響が及び得る。粘膜免疫は、一致型の攻撃及び異種亜型の攻撃の両方を防御するインフルエンザ特異的粘膜IgA及びIgG応答を誘導することが示されている。鼻腔内PIV5免疫は、狂犬病攻撃に対する防御を媒介する局所的な狂犬病特異的T細胞及び免疫グロブリン応答を誘導する潜在力を有する。鼻洗浄液及び肺の分析により(安楽死当日)、局所的(すなわち肺)PIV5特異的及び狂犬病特異的免疫応答を評価する。遠心によって浸潤性リンパ球集合を採取し、粘膜IgについてBAL洗浄液を分析する。 細胞媒介性免疫(T細胞)分析 ワクチン接種により誘導されたT細胞応答及び攻撃後のT細胞応答の変化を、抗原特異的IFN産生によって計測する。具体的には、末梢血、BAL、脾臓及び/又は流入領域リンパ節由来のリンパ球を、不活化狂犬病ウイルスで再刺激することにより、狂犬病特異的T細胞応答についてアッセイする。細胞内サイトカイン染色、ELISA、及び/又はELISPOTアッセイにより、IFN−γ応答を決定する。 体液性免疫(抗体)分析 血清、鼻洗浄液、及びBAL洗浄液中における狂犬病特異的体液性免疫応答を、プレート結合抗原としての精製狂犬病ウイルスを使用する標準的なELISAアッセイによって計測する。IgA及びIgGの両方を、イヌアイソタイプ特異抗体を使用して評価する。G特異的抗体力価もまた、ウイルスマイクロ中和アッセイによって計測する。全ての血清及びBAL洗浄液試料を、対応する免疫前試料又は偽免疫試料と比較する。 細胞培養物及びイヌの両方で組換えPIV5−Gの安定性を試験する。細胞培養物では、ウイルスをVero細胞において少なくとも20代にわたり連続継代する。継代毎にウイルスを回収し、−80Cで保存する。イヌでは、ウイルスを経口経路によって10代にわたり連続継代する。隔日で6日間にわたり口腔からウイルスを単離する。回収又は単離したウイルスは、挿入したG遺伝子のRT−PCRに使用して、導入遺伝子がなお組換えウイルスのゲノムにあることを確かめる。鼻洗浄液中に、生ウイルスを単離するのに不十分なウイルスしかない場合、鼻洗浄液を使用して、直接RT−PCR配列決定用のウイルスRNAを得る。 狂犬病攻撃に対するPIV5−Gの有効性の調査。攻撃実験は、BSL3AG+ 封じ込め下で実施する。上記のとおり免疫したイヌに、メキシコ犬から単離した500マウス脳内LD50(MICLD50)の街上狂犬病ウイルスをIC接種する。活動、体重減少、及び体温(植込み型マイクロチップを使用)を含めた臨床症状、並びに生存について、イヌを45日間モニタする。14日目、生存している動物を出血させ、狂犬病特異的血清抗体をアッセイする。攻撃後45日目、本発明者らはイヌを犠牲にし、イヌから組織を採取する。本発明者らは、ルーチンの病理検査に加え、イヌの脳に狂犬病ウイルスが存在するかどうかを決定する。 イヌにおいて狂犬病ウイルスを単回注射すると、14日以内に死亡した。従って、費用節約のため、イヌを攻撃後45日間観察する。このワクチン候補は、マウスにおいて、市販の狂犬病ワクチン(弱毒生)であるSAG−2より優れていたため、このワクチンがイヌにおいても実にSAG−2より優れていることが予想される。IN及びIM接種は、マウスにおいて極めてロバストな狂犬病攻撃に対し100パーセントの防御を提供したため、イヌのIN及びIM接種は優れた防御をもたらすことが予想される。しかしながら、経口接種については、防御は、SAG−2よりは優れているにしても、理想未満(50%未満)となり得る可能性がある。その場合、特定の目標2及び目標3から、より新しい候補を試験する。 Gを発現する組換えPIV5の有効性を向上させる。PIV5ゲノム内における抗原の挿入部位は、動物におけるワクチン候補の免疫原性に影響を及ぼした。HNとLとの接合部に外来遺伝子の挿入を有する野生型PIV5ゲノムを含む基本モデルが十分に機能したことは、有望である。狂犬病ウイルスのG遺伝子は、HNとLとの遺伝子間に挿入されている。rPIV5−Gは単一用量の106pfu接種で100パーセント防御したが、IMで100パーセント防御するには108pfuが必要で、108pfu経口接種は50%のマウスを防御したに過ぎなかった(実施例4を参照)。IN及びIM送達の有効性が高まると、有効なワクチン接種に必要なウイルスの量が低下し、従ってIN及びIMワクチン接種の費用が低下し得る。経口接種の有効性が高まると、野生動物におけるワクチン候補の適用が促進され得る。GをPIV5ゲノム内の他の位置に挿入し、それらの有効性をマウス及びイヌで試験する。PIV5に対する修飾は、抗原に対する免疫応答を増強させることができ、PIV5のゲノムを修飾して、Gタンパク質に対する最大免疫を得る。 SHとHNとの間にGを発現させる。SHとHNとの間へのHAの挿入が、H5N1に対して最良の免疫をもたらすことが分かっている。同じ位置にGを発現する組換えPIV5を作成し(図48)(rPIV5−G−SH/HN)、マウス及びイヌにおいてその有効性を試験する。SHが欠失したPIV5におけるGの発現 SHを欠失させると、外来遺伝子に対する免疫が増加することが分かっている。SHをGで置換し、これによりSHを欠失させるとともにHNの上流にG遺伝子を置き(図48)、組織培養細胞でウイルスを分析し、マウスにおけるその免疫原性を調べ、マウス及びイヌにおけるその有効性を試験する。 IFN発現を誘導し、且つIFNシグナル伝達を遮断する突然変異を組み込む。IFN発現などの自然免疫応答の活性化は、適応免疫応答を増強させることが分かっている。弱毒生ウイルスにとって、これは両刃の剣である。多くの生ウイルスがロバストなIFN発現を誘導することができるが、次にはIFNのこの誘導が、生ウイルスの複製を阻害する。PIV5VΔCの場合、ウイルスは、IFN産生並びにIFNシグナル伝達を阻害するVが欠損しているため、より高度なIFN及びIL−6発現を誘導する。IFN産生の誘導を可能にしながらも、なおIFNシグナル伝達を遮断してその効率的な複製を可能にするその能力を維持するウイルスが、理想的である。ウイルス遺伝子発現を増強し、且つI型インターフェロンなどのサイトカインの発現を誘導する能力を有するPIV5タンパク質内の残基が同定されている(Sun et al.,2009,PLos Pathog;5(7):e1000525)。PIV5のPタンパク質のS157の残基は、宿主キナーゼPLK1に対する結合部位であり、PIV5のPタンパク質のS308の残基は、PLK1のリン酸化部位である。S157又はS308をアミノ酸残基Aに突然変異させると、ウイルスはウイルス遺伝子の発現並びにインターフェロン発現の誘導を増加させる。最も重要なことに、ウイルスは、IFNシグナル伝達を遮断するVタンパク質をなお発現する。G又はNを発現する組換えPIV5を作成し(図48)、マウス及びイヌにおいて狂犬病攻撃に対するそれらの免疫原性及び有効性を調べる。Gを使用して、抗体反応に対するP−S308Aの効果を試験し、Nを使用して、細胞媒介性応答に対するP−S308Aの効果を試験する。狂犬病ウイルス抗原に対するより強力な免疫応答を誘発するのにP−S308Aが有効である場合、P−S308A及びΔSHの突然変異を組み合わせる。これらの組換えウイルスを、安全性及び免疫原性について上記に記載したとおりマウス及びイヌで試験する。 これらのワクチン候補の有効性を、初めにマウスで試験する。次に、rPIV5−Gより優れた防御を提供するものをイヌで試験する。マウスにおいてrPIV5−Gより優れていると見なすには、候補は、IN及びIMによってrPIV5−Gより低用量で100パーセントの防御率を有し、及び/又は経口接種によって50パーセントより高い防御率を有する。 他の狂犬病ウイルスタンパク質の免疫を試験する。狂犬病攻撃に対して防御免疫を生じさせるのにGは十分であるが、狂犬病ウイルスNタンパク質もまた、防御免疫を生じさせることが知られている。PIV5ベースの狂犬病ワクチン候補の有効性をさらに向上させるため、N及びMなどのさらなる狂犬病ウイルスタンパク質を発現する組換えPIV5を構築して試験する(図48)。Mは、ウイルス集合及び出芽に重要であることが知られている。G、N及びMが全て同時に発現することができる場合、rPIV5−G−N−M感染細胞において狂犬病ウイルスのウイルス様粒子(VLP)を作成する。 Nを発現する組換えPIV5を作成及び試験する。狂犬病のNは免疫原性であり、免疫が防御性であり得ることが分かっている。HNとLとの間の接合部はリーダー配列から最も離れており、従って、PIV5複製に対する有害効果を有する可能性が最小であるため、初めに、NをPIV5のHNとLとの間に挿入する。次にNを、ZL46のように、SHとHNとの間の接合部に移す(図48)。これらのワクチン候補の有効性をマウスにおいて初めに単独で、並びにrPIV5−Gとの組み合わせで試験する。rPIV5−NとrPIV5−Gとの組み合わせがrPIV5−G単独と比べて任意の防御を提供する場合、それをイヌで試験する。 Mを発現する組換えPIV5を作成及び試験する。NA及びNPを発現するウイルスベクターはインフルエンザウイルスワクチンの開発に成功しておらず、NA及びNPはウイルスベクターベースのワクチン手法に理想的な抗原ではないという仮説が導かれる。しかしながら、NA及びNPは、PIV5から発現するとき、能力がある抗原である。従って、PIV5を使用して、これまで良好な抗原であるとは知られていなかった抗原に対する免疫を発生させることができる。狂犬病に対する免疫へのMの効果は試験されていない。抗原としてのMの潜在力を、PIV5ベースのワクチンにおいて試験する。Nと同様に、MをHNとLとの間に挿入し、次にSHとHNとの間にMを発現する別の組換えPIV5(図48)。これらのワクチン候補の有効性をマウスにおいて初めに単独で、並びにrPIV5−Gとの組み合わせで試験する。rPIV5−MとrPIV5−Gとの組み合わせがrPIV5−G単独より優れた防御を提供する場合、それをイヌで試験する。rPIV5−G、rPIV5−N及びrPIV5−Mの組み合わせの有効性をマウスで試験し、次にイヌで試験する。G及びN、及び/又はMを発現する組換えPIV5を作成及び試験する。G及びNを発現する組換えPIV5を作成する(図48)。sPIV5−Mが狂犬病攻撃に対する免疫を提供する場合、Mを挿入する(図48)。[実施例11]結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に対するワクチンとしてのPIV5 結核(TB)の病原因子である結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(Mtb)は、毎年約140万人が死亡し、世界人口の3分の1が感染している細胞内細菌性病原体である。1世紀以上にわたる研究及び臨床使用の結果から、生ワクチンがMtbによるエアロゾル感染に対して最良の防御を提供することが示されている。今日使用されているなかで最も広く投与されているワクチンはBCGであり、BCGは、反芻動物において結核を引き起こす近縁種、ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)の弱毒生変異体である。BCGワクチンは、世界のほとんどの国で出生時に皮下投与されるが、防御は一定せず、青年期までに減弱する。免疫抑制者に対するBCG投与は播種し、重篤な生命を脅かす感染をもたらし得る。この固有の安全性リスクは、Mtb抗原及び/又は宿主細胞内部での生存率が高い細菌を浸透させる因子を発現するように修飾された第二世代BCGワクチンにも依然として残る。加えて、BCGワクチン接種に対する免疫応答は、世界で最も広く用いられているTB検査であるツベルクリン皮膚検査と交差反応するため、結果が信頼できないものとなる。このような理由で、米国及びカナダの公衆衛生局はBCGワクチンの使用を推奨していない。従って、安全でより有効なTBワクチンが必要とされている。この例では、パラインフルエンザウイルス5型(PIV5)をベースとする新規TBワクチンを開発する。 Mtbに対するワクチンとしてPIV5を試験する。PIV5は呼吸器ウイルスであるため、非経口経路によって導入されるワクシニアウイルスなどの他のウイルスベクターと比べ、Mtb(呼吸器病原体)に対して優れた局所的免疫を提供し得る。これはまた、細菌性抗原を発現させるためにPIV5を使用する初めての例でもある。 この例は、以下の目標を含む。1、Mtb抗原85A(rPIV5PIV5−85A)及び85B(rPIV5PIV5−85B)を発現する組換えPIV5を作成及び分析する。PIV5は、ネガティブ鎖RNAウイルスである。そのゲノムを直接操作することは不可能である。従って、逆遺伝学系を開発し、ここではそのRNAゲノム全体のcDNAをクローニングすることにより、RNAゲノムが操作を受け易いようにした。この系は、インフルエンザウイルスのHA遺伝子を含めた、様々な外来遺伝子を発現する感染性PIV5の作成に使用されている。この目標では、Mtb抗原を発現する組換えウイルスを作成し、マウスモデルで調べたこれらの組換えウイルスの安全性プロファイルを確認する。2、組換えウイルスの免疫原性及び有効性をインビボで評価する。ワクチン接種マウスにおいて組換えウイルスの免疫原性を調べる。マウスにおいてロバストな免疫応答を生じさせるウイルスの防御有効性を、Mtbエアロゾル攻撃によって評価する。マウスエアロゾル感染モデルは、後続のモルモット及び/又は非ヒト霊長類での試験に先行して新規ワクチンの効力、安全性、免疫応答性及び有効性を決定するための第一選択の試験モデルとして認められている。 約1世紀前に開発された、弱毒化した種類のウシ型結核菌(M.bovis)であるBCGワクチンは、結核(TB)に対する新生児のワクチン接種に日常的に使用されている。これは、ほとんどの国において比較的安全で容易に利用可能なものとして、世界中の公衆衛生当局により認められている。BCGによる免疫化は、乳児及び低年齢小児において最も有益であるように見え、重篤な播種型のTBの発生を抑える。しかしながら、対照試験では、成人においてより有病率の高い肺型の疾患に対して、BCGが提供する防御レベルは一定しないことが立証されている。さらに、BCGワクチン接種は、世界で最もTBに見舞われている地域において有効性が最小であるものと見られ、世界的なTBの蔓延に対して確かな影響を及ぼしていない。世界的なTBの推定新規症例数及び一人当たりの発生率は、毎年上昇し続けている。米国でのTB発生率はもはや上昇していないが、この疾患は、免疫抑制者集団及び多くの都市において、特に移民の間で、依然として重大な問題である。米国では、他の国と同様に、結核菌(M.tuberculosis)(Mtb)の多剤耐性株の蔓延が、現行のTBを制御しようとする取り組みの有効性を脅かしている。TBの世界的蔓延を制御下に置くための一番の期待は、新規の有効なTBワクチンの開発である。この差し迫った必要性のため、世界的に研究努力が進められており、多数の候補ワクチンが調査されている。いくつかの候補ワクチン(抗原85Bを過剰発現する組換えBCG(Ag85B)、Ag85Aを過剰発現する改変ワクシニアウイルス(MVA−85A)、アジュバントと組み合わされた、2つの他の抗原を含む融合ペプチド(名称72f)、Ag85B及びESAT−6を含む別のアジュバント含有融合タンパク質、及びリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)由来のリステリオリシンOを発現する組換えBCGを含む)は、第I相又は第II相臨床試験中である。3つの一般的な形態のワクチン:弱毒生、死菌又は「サブユニット」、及びDNAワクチンの中では、生ワクチンが、それが免疫抑制者を含めたあらゆる被接種者にとって確実に安全である限り、TBに対して最も強力で、最も耐久性のある防御を提供すると考えられる。 抗原85複合体(Ag85A及びAg85B)の分泌タンパク質成分は、様々なTBワクチン送達系について最もよく試験されているMtb抗原の一部である。これらのタンパク質は、体液性及び細胞媒介性(CD4及びCD8)免疫応答の両方を含むヒト及び動物における自然感染の過程でMtb菌に感染することにより、及び動物モデルにおいて感染前ワクチンとして投与される場合に発現する。これらの抗原を発現する様々なワクチンコンストラクトが、マウス、モルモット、及びサルにおいて、非経口及びエアロゾル経路により投与したとき防御レベルをもたらすことが示されている。一つの特定のワクチン候補である、Ag85Aを発現する生の組換え改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)(MVA.85A)は、小型脊椎動物モデルにおいてBCGワクチン接種後に投与したとき、有意な防御を示している。これは、ヒトにおけるワクチン及び天然にプライムされる応答を増強し、現在、第2相臨床評価が進行中である。これらの研究から、肺の免疫化が、ワクチン送達媒体を貪食することにより肺において抗原提示細胞(主に肺胞マクロファージ)を標的化するため場所及び能力を利用することが実証された。同様に、この例のワクチンコンストラクトを、Ag85A及びAg85Bを発現するそれらの能力について調べ、エアロゾル接種によって試験動物に投与する。実験計画 Ag85A又はAg85Bを発現するPIV5(PIV5−85A又は85B)を作成及び分析する。Mtb Ag85A又はAg85Bを発現する組換えPIV5(PIV5−85A及びPIV5−85B)を作成し、インビトロ及びインビボでのウイルス成長特性及び安全性を分析する。 インビトロで、Ag85A又はAg85Bを発現する組換えPIV5を作成し、それらのウイルスを分析する。PIV5のHNとLとの遺伝子間にインフルエンザウイルス由来のH5遺伝子を挿入すると(PIV5−H5)、マウスにおいて致死性H5N1攻撃に対する殺菌免疫が提供された(実施例3)。Mtb Ag85A及びAg85Bを発現する組換えPIV5を作成するため、商業的な供給業者(Genscript)を用いてヒト細胞に最適化したコドン使用頻度で遺伝子を合成する。次にMtb遺伝子を、PIV5のウイルスmRNA合成にとって重要な遺伝子終了(GE)、遺伝子間領域(I)及び遺伝子開始(GS)と組み合わせる。これらの配列をHNとLとの遺伝子間に挿入する。PIV5−85A及びPIV5−85Bを回収し、確認して、分析する。組換えウイルスのゲノム全体を配列決定し、入力cDNA配列と一致することを確認する。感染細胞におけるウイルスの成長動態、ウイルスタンパク質の発現レベル並びにAg85A及びAg85Bの発現レベル、並びに培養上清中での分泌レベルを調べる。 PIV5−85A又は85Bの安全性を調べる。ワクチン候補ウイルスの高力価ストックをVero細胞で成長させ、アリコートに分け、全てのインビボ研究で使用するため−80℃で保存する。希釈後のウイルス力価をプラークアッセイによって確認してから保存し、PIV5のHNは細胞表面上のシアル酸残基に結合するため、免疫時には、PIV5を多くの細胞型に感染させる。PIV5−85A又は85Bが、PIV5を超えて拡張したトロピズムを有するかどうかを調べるため、ヌードマウスにおけるPIV5−85A又は85Bの分布をPIV5と比較する。ヌードマウスに、200μl PBS中107PFUのPIV5−85A、85B、PIV5対照ウイルス又はPBS単独を尾静脈から注入する。マウスの体重を初めの7日間は毎日、次に3日毎に2週間モニタする。接種後0日目、3日目、7日目及び14日目に各群から4匹のマウスを犠牲にする。脳、肺、肝臓、脾臓、心臓及び腎臓の半分を採取し、固定して、前出のとおりH&E染色及び病理学的スコア化のため処理する。臓器の半分は、PIV5抗体による免疫組織化学染色用に処理する。 加えて、野生型マウスに、106PFU PIV5親ウイルス(PIV5)、PIV5−85A又は85B、又はPBSを鼻腔内(i.n.)接種する。免疫動物を臨床症状の任意の徴候(すなわち体重減少、立毛等)についてモニタする。加えて、肺ウイルス力価及び肺病理を調べ、様々な組換えウイルスが宿主を感染させるその能力を維持し、且つ肺病理を引き起こさないことを確認する。病理検査のため、肺を気管から10%緩衝ホルマリンで灌流し、固定するためホルマリン中に置く。肺葉をパラフィン包埋し、5ミクロンに薄切りし、ヘマトキシリン−エオシン(H&E)で染色して、光学顕微鏡法によって調べる。各試料について、4つの主要な肺の変化(細気管支周囲浸潤;血管周囲浸潤;実質浸潤;胸膜下浸潤)を、治療群に関する知識なしに以下に従い、すなわち0=変化なし及び3=重大な変化として0〜3で主観的にスコア化し、総スコアを求める。H&E結果が重大な炎症を示す場合、組織をウイルス特異的又はリンパ球特異的(例えばCD4、CD8、B細胞)mAbで免疫染色し、ウイルス抗原発現及び/又はリンパ球浸潤レベルをスコア化する。 インビボでの組換えウイルスの免疫原性及び有効性を評価する。この攻撃試験は、肺及び脾臓におけるMtb菌の対数CFUについてワクチン接種群をワクチン非接種(対照)群と比較して、一元配置分散分析により決定するように設計される。比較の陽性対照としてBCGを使用する。有効なワクチンは、攻撃後4及び8週間目の肺及び脾臓におけるMtb菌のCFU数が減少する。 PIV5−85A又はPIV5−85Bの免疫原性を調べる。PIV5−85A又はPIV5−85B免疫化マウスにおいて、様々なエンドポイントを使用してPIV5特異的及びMtb Ag85A又はAg85B特異的免疫応答を計測する。対照として、マウスを106PFUのPIV5ワクチン株で鼻腔内免疫するか、或いは105 CFUのウシ型結核菌(M.bovis)BCGデンマーク株(デンマーク国立血清学研究所(Statens Serum Institut),Copenhagen;SSI)で皮下免疫する。SSIから、ウシ型結核菌(M.bovis)BCGデンマーク株の凍結アリコートを入手する。これらのアリコート中のBCGデンマークは、出荷前に正確な国際規格に成長させてアリコートに分けられ、生存率が決定されている。必要な数のアリコートを解凍した後、直ちにワクチン接種する。免疫後の様々な時間点で、PIV5及びAg85A又はAg85Bに対する局所的及び全身性免疫を計測する。粘膜免疫は、Mtb特異的粘膜IgA及びIgG応答を誘導することが示されている。従って、鼻腔内PIV5免疫は、Mtb攻撃に対する防御を媒介する局所的Mtb特異的T細胞及び免疫グロブリン応答を誘導する潜在力を有する。免疫後又は攻撃後の時間点で採取したBAL試料を分析することにより、局所的(すなわち肺)PIV5特異的及びMtb特異的免疫応答を評価する。浸潤性リンパ球集団を遠心により採取し、粘膜免疫グロブリンについてBAL洗浄液を分析する。血清抗体及び脾臓又は縦隔リンパ節(MLN)リンパ球集団を分析することにより、全身性応答を評価する。 細胞媒介性免疫(T細胞)分析。ワクチン接種により誘導されたT細胞応答及び攻撃後のT細胞応答の変化を、抗原特異的IFN産生によって計測する。具体的には、BAL、脾臓及び/又は流入領域リンパ節からのリンパ球を、PIV5、Mtb Ag85A又はAg85Bタンパク質又はPPDで再刺激することにより、PIV5特異的又はMtb特異的T細胞応答についてアッセイする。細胞内サイトカイン染色及び/又はELISPOTアッセイにより、IFN−γ応答を決定する。他の研究者は、実験的MVA85Aワクチン(現在、第II相臨床試験中)で免疫したマウスによるIFNγ産生ELISPOTを、ワクチン効力試験として利用できることを実証した(NIH/FDA TB Vaccine Workshop)。 体液性免疫(抗体)分析。抗体は、Mtb免疫において決定的な役割を果たすことは知られていないが、それでもなお、PIV5−85A及びPIV5−85Bによるワクチン接種後の体液性免疫を調べる。PIV5は、Mtbに対する新規ワクチンベクターである。PIV5−85A及びPIV5−85Bによって異なる及び/又は追加的な防御機構が用いられ得る可能性がある。体液性免疫試験のため、マウスから適合する正常な血清試料を採取し、1週間後、尾静脈の切り込みから免疫する。血清及びBAL洗浄液中の抗PIV5抗体を、PIV5特異的ELISAにより計測する。同様に、Mtb Ag85A−又はAg85B特異的体液性免疫応答を、プレート結合抗原として組換えAg85A又は85Bを使用して標準的なELISAアッセイにより計測する。ELISAアッセイでは、適切な二次抗体を使用して、抗体のアイソタイプ(IgA、IgG1、IgG2a、IgG2b、及びIgG3)も決定する。全ての血清及びBAL洗浄液試料を、対応する免疫前試料と比較する。 マウス攻撃モデルにおけるPIV5−85A/PIV5−85Bの有効性を調べる。鼻腔内PIV5−85A及びPIV5−85B、皮下BCGワクチン接種及びワクチン非接種マウス(20匹の群)を50〜100CFUのMtbで攻撃し、動物を最長8週間モニタする。病原性のあるMtbエルドマン株は2005年にFDAによってバンクに登録されたもので、研究者に利用可能である。必要な数のアリコートを解凍した後、直ちに攻撃する。Madisonエアロゾルチャンバーを使用して、全てのマウスをMtbエルドマンに曝露させる。感染前、Mtbの単細胞培養物を、適切な感染用量が送達されるように予め設定された曝露サイクルでエアロゾルチャンバーネブライザージャーに入れる。計時された曝露期間後、感染チャンバーを清浄なろ過空気でパージし、マウス群を各自のケージに戻す。各感染サイクルの間、エアロゾル化したMtb菌を運ぶ空気流を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)が入った全ガラスインピンジャーにサンプリングし、各群に送達された実感染用量(CFU)を計算する。各インピンジャーからの100μlのPBS(無希釈、PBS中10分の1希釈、100分の1希釈及び1000分の1希釈)を7H11−OADC寒天プレートに4つのレプリケートで接種し、37℃で最長6週間インキュベートする。加えて、Madisonエアロゾルチャンバーを攻撃に利用する毎に、攻撃翌日に5匹のワクチン非接種マウスを犠牲にし、Mtbの実曝露用量が肺において50〜100CFUであることを確認する。各群につき最長8週間、動物の生存曲線を決定し、攻撃後4週間目及び8週間目に組織病理/細菌負荷を評価する。全てのマウスは、ワクチン接種経路に関わらず、最初の1週間は毎日倦怠についてモニタする;体温もまた、感染の最初の1週間にわたり計測する。全てのマウスを毎週計量し、食欲不振又は体重に影響を及ぼし得る他の有害な反応を検出する。皮下BCG注射マウスは、初めに毎日、次に毎週、その注射部位を目視で調べる。上気道ワクチン反応原性をモニタするためのスコア化システムを使用して、各鼻腔内ワクチン接種マウスの定量的スコアを求める。スコア化システムの要素は、以下である:外鼻孔の目に見える炎症(0〜3)、ない、やや漿液性、著しく漿液性、やや粘液膿性、又は著しく粘液膿性として特徴付けられる鼻汁(0〜4)、及びマウスの鼻詰まりを反映する指標として有効とされている呼吸数(0〜3)。攻撃後4週間目、各実験群から10匹のマウス(群の半数)を犠牲にし、残りの半数は攻撃後8週間目に犠牲にする。安楽死後、肺、肝臓、脾臓、及び鼻組織を含む組織を採取し、異なる実験に割り当てる。規定のスコア化システムを使用して、獣医学病理学者が肉眼的及び顕微鏡的組織病理検査を行う。臨床所見及び病理検査に関して先述したスコア化システムもまた用いて、定量的計測値を得る。これらの計測値の各々を、群間の有意差についてスチューデントt検定により比較する。[実施例12]さらなるPIV5抗原コンストラクト 図49A〜図49Hに示す以下のさらなるPIV5抗原コンストラクトが作製されている。これには、RSV抗原F及びGを発現するPIV5コンストラクト(図49A)、ニパウイルス抗原F及びGを発現するPIV5コンストラクト(図49B)、結核菌(Mycobacteria Tuberculosis)抗原85A、85B及びESAT6を発現するPIV5コンストラクト(図49C)、PRRSV抗原を発現するPIV5コンストラクト(図49D)、ブタサーコウイルス(PCV2)抗原を発現するPIV5コンストラクト(図49E)、クルーズトリパノソーマ(T.Cruzi)抗原Tsを発現するPIV5コンストラクト(図49F)、ノロウイルス抗原を発現するPIV5コンストラクト(図49G)、及びHIV抗原Envを発現するPIV5コンストラクト(gp160、gp140又はgp120及びGag)(図49H)が含まれる。[実施例13]さらなるPIV5ベクター この例では、全て市販のケンネルコフワクチンを入手し、それらのPIV5株を配列決定した。以下の市販のケンネルコフワクチンから分離したPIV5株を配列決定した:BI、FD、Merck及びMerialワクチン。また、ATCCに寄託された2つのPIV5分離株、すなわちイヌパラインフルエンザウイルス株78−238(ATCC番号VR−1573)(Evermann et al.,1980,J Am Vet Med Assoc;177:1132−1134;及びEvermann et al.,1981,Arch Virol;68:165−172)及びイヌパラインフルエンザウイルス株D008(ATCC番号VR−399)(Binn et al.,1967,Proc Soc Exp Biol Med;126:140−145)も配列決定した。表2においてヌクレオチド配列を比較する。これは、市販の実験室株(WR株)及びケンネルコフワクチン株及び野生型分離株(ATCCから入手した2つの株によって代表される)の間の初めての配列比較である。 現行のケンネルコフワクチン由来のPIV5株及びATTC寄託株に基づき、PIV5コンストラクトを作成して試験する。興味深いことに、ワクチン株の一つ(Merial)は、野生型分離株の一つ(D008)とほぼ同じであり(99.9%ゲノム配列同一性)、人は飼い犬のワクチン接種を介して野生型PIV5に曝露されている可能性が高いことが示唆される。それでもなお、安全性に関する潜在的な懸念を軽減するため、ケンネルコフワクチン株ベースの組換えPIV5コンストラクトを作成する。Merckワクチン株は本発明者らのPIV5株と最も異なり(98.9%同一性)、且つイヌにおいて広く使用されているため、初めに、Merckワクチン株をワクチンコンストラクトのベースとして使用する。Merck株の逆遺伝学系を作成し、ゲノムにH5又はNPを挿入する。PIV5−H5とMerck−H5及びPIV5−NPとMerck−NPとの免疫原性を、マウス及びフェレットにおいて比較する。以後の研究では、表2に掲載される株のいずれか及び本明細書に記載されるワクチン抗原コンストラクトのいずれかを利用する。 本明細書に引用される全ての特許、特許出願、及び刊行物の完全な開示、並びに電子的に利用可能な資料(例えば、例えばGenBank及びRefSeqのヌクレオチド配列提出物、並びに例えばSwissProt、PIR、PRF、PDBのアミノ酸配列提出物、並びにGenBank及びRefSeqのアノテートされたコード領域からの翻訳を含む)は、参照によって援用される。本願の開示と参照により本明細書に援用される任意の文献の開示との間に何らか矛盾がある場合、本願の開示が優先するものとする。前述の詳細な説明及び例は、理解を明確にするために提供されているに過ぎない。そこから不必要な限定が理解されてはならない。当業者に明らかな変形例が、特許請求の範囲により定義される本発明の範囲内に含まれるため、本発明は、図示及び説明される正確な詳細に限定されない。 異種ポリペプチドを発現する異種ヌクレオチド配列を含むパラインフルエンザウイルス5型(PIV5)ゲノムを含むウイルス発現ベクターであって、前記異種ヌクレオチド配列が、前記PIV5ゲノムのヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージRNAポリメラーゼタンパク質(L)遺伝子との間には挿入されない、ウイルス発現ベクター。 前記異種ヌクレオチド配列が、前記PIV5ゲノムのヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージRNAポリメラーゼタンパク質(L)遺伝子との間よりリーダーの近くに挿入される、請求項1に記載のウイルス発現ベクター。 前記異種ヌクレオチド配列が、前記PIV5ゲノムのスモール疎水性タンパク質(SH)遺伝子とヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子との間に挿入される、請求項1に記載のウイルス発現ベクター。 前記異種ヌクレオチド配列が、前記PIV5ゲノムのF遺伝子とSH遺伝子との間に挿入される、請求項1に記載のウイルス発現ベクター。 前記異種ヌクレオチド配列が、前記PIV5ゲノムのVP遺伝子と基質タンパク質(M)遺伝子との間に挿入される、請求項1に記載のウイルス発現ベクター。 前記異種ヌクレオチド配列が、前記PIV5ゲノムのM遺伝子とF遺伝子との間に挿入される、請求項1に記載のウイルス発現ベクター。 前記異種ヌクレオチド配列が、前記PIV5ゲノムのヌクレオカプシドタンパク質(NP)遺伝子とV/P遺伝子との間に挿入される、請求項1に記載のウイルス発現ベクター。 前記異種ヌクレオチド配列が、前記PIV5ゲノムのリーダー配列とヌクレオカプシドタンパク質(NP)遺伝子との間に挿入される、請求項1に記載のウイルス発現ベクター。 PIV5のF又はHN遺伝子の一部が、前記異種ヌクレオチド配列で置換されている、請求項1に記載のウイルス発現ベクター。 前記異種ヌクレオチド配列がSH遺伝子ヌクレオチド配列を置換する、請求項1に記載のウイルス発現ベクター。 前記異種ヌクレオチド配列が、SH遺伝子ヌクレオチド配列内、NP遺伝子ヌクレオチド配列内、V/P遺伝子ヌクレオチド配列内、M遺伝子ヌクレオチド配列内、F遺伝子ヌクレオチド配列内、HN遺伝子ヌクレオチド配列内、及び/又はL遺伝子ヌクレオチド配列内に挿入される、請求項1に記載のウイルス発現ベクター。 前記PIV5ゲノムが1つ以上の突然変異をさらに含む、請求項1に記載のウイルス発現ベクター。 突然変異が、V/P遺伝子の突然変異、V及びPタンパク質の共通N末端の突然変異、V及びPタンパク質の共通N末端の残基26、32、33、50、102、及び/又は157の突然変異、Vタンパク質のC末端が欠損した突然変異、スモール疎水性(SH)タンパク質が欠損した突然変異、融合(F)タンパク質の突然変異、リンタンパク質(P)の突然変異、ラージRNAポリメラーゼ(L)タンパク質の突然変異、イヌパラインフルエンザウイルス由来の残基を組み込む突然変異、アポトーシスを誘導する突然変異、又はそれらの組み合わせを含む、請求項14に記載のウイルス発現ベクター。 前記突然変異が、PIV5VΔC、PIV5ΔSH、PIV5−P−S308G、又はそれらの組み合わせを含む、請求項14に記載のウイルス発現ベクター。 前記PIV5ゲノムが1つ以上の突然変異をさらに含む、請求項2〜12のいずれか一項に記載のウイルス発現ベクター。 突然変異が、V/P遺伝子の突然変異、V及びPタンパク質の共通N末端の突然変異、V及びPタンパク質の共通N末端の残基26、32、33、50、102、及び/又は157の突然変異、Vタンパク質のC末端が欠損した突然変異、スモール疎水性(SH)タンパク質が欠損した突然変異、融合(F)タンパク質の突然変異、リンタンパク質(P)の突然変異、ラージRNAポリメラーゼ(L)タンパク質の突然変異、イヌパラインフルエンザウイルス由来の残基を組み込む突然変異、アポトーシスを誘導する突然変異、又はそれらの組み合わせを含む、請求項15に記載のウイルス発現ベクター。 前記突然変異が、PIV5VΔC、PIV5ΔSH、PIV5−P−S308G、又はそれらの組み合わせを含む、請求項16に記載のウイルス発現ベクター。 異種ポリペプチドを発現する異種ヌクレオチド配列を含むパラインフルエンザウイルス5型(PIV5)ゲノムを含むウイルス発現ベクターであって、前記異種ヌクレオチド配列が、前記PIV5ゲノムのヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージRNAポリメラーゼタンパク質(L)遺伝子との間に挿入され、且つ前記PIV5ゲノムが1つ以上の突然変異をさらに含む、ウイルス発現ベクター。 突然変異が、V/P遺伝子の突然変異、V及びPタンパク質の共通N末端の突然変異、V及びPタンパク質の共通N末端の残基26、32、33、50、102、及び/又は157の突然変異、Vタンパク質のC末端が欠損した突然変異、スモール疎水性(SH)タンパク質が欠損した突然変異、融合(F)タンパク質の突然変異、リンタンパク質(P)の突然変異、ラージRNAポリメラーゼ(L)タンパク質の突然変異、イヌパラインフルエンザウイルス由来の残基を組み込む突然変異、アポトーシスを誘導する突然変異、又はそれらの組み合わせを含む、請求項18に記載のウイルス発現ベクター。 前記突然変異が、PIV5VΔC、PIV5ΔSH、PIV5−P−S308G、又はそれらの組み合わせを含む、請求項18に記載のウイルス発現ベクター。 異種ポリペプチドを発現する異種ヌクレオチド配列を含むパラインフルエンザウイルス5型(PIV5)ゲノムを含むウイルス発現ベクターであって、前記異種ポリペプチドがインフルエンザヌクレオカプシドタンパク質(NP)を含む、ウイルス発現ベクター。 前記異種ヌクレオチド配列が、前記PIV5ゲノムのヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージRNAポリメラーゼタンパク質(L)遺伝子との間に挿入される、請求項21に記載のウイルス発現ベクター。 前記異種ヌクレオチド配列が、前記PIV5ゲノムのヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージRNAポリメラーゼタンパク質(L)遺伝子との間よりリーダーの近くに挿入され;前記PIV5ゲノムのヌクレオカプシドタンパク質(NP)遺伝子の上流に挿入され;前記PIV5ゲノムのリーダー配列の直ちに下流に挿入され;前記PIV5ゲノムのスモール疎水性タンパク質(SH)遺伝子とヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子との間に挿入され;前記PIV5ゲノムのF遺伝子とSH遺伝子との間に挿入され;前記PIV5ゲノムのVP遺伝子と基質タンパク質(M)遺伝子との間に挿入され;前記PIV5ゲノムのM遺伝子とF遺伝子との間に挿入され;前記PIV5ゲノムのヌクレオカプシドタンパク質(NP)遺伝子とV/P遺伝子との間に挿入され;前記PIV5ゲノムのリーダー配列とヌクレオカプシドタンパク質(NP)遺伝子との間に挿入され;ここでPIV5のF又はHN遺伝子の一部が、前記異種ヌクレオチド配列で置換されており;SH遺伝子ヌクレオチド配列を置換し;SH遺伝子ヌクレオチド配列内、NP遺伝子ヌクレオチド配列内、V/P遺伝子ヌクレオチド配列内、M遺伝子ヌクレオチド配列内、F遺伝子ヌクレオチド配列内、HN遺伝子ヌクレオチド配列内、及び/又はL遺伝子ヌクレオチド配列内に挿入される、請求項21に記載のウイルス発現ベクター。 前記PIV5ゲノムが1つ以上の突然変異をさらに含む、請求項21〜23のいずれか一項に記載のウイルス発現ベクター。 突然変異が、V/P遺伝子の突然変異、V及びPタンパク質の共通N末端の突然変異、V及びPタンパク質の共通N末端の残基26、32、33、50、102、及び/又は157の突然変異、Vタンパク質のC末端が欠損した突然変異、スモール疎水性(SH)タンパク質が欠損した突然変異、融合(F)タンパク質の突然変異、リンタンパク質(P)の突然変異、ラージRNAポリメラーゼ(L)タンパク質の突然変異、イヌパラインフルエンザウイルス由来の残基を組み込む突然変異、アポトーシスを誘導する突然変異、又はそれらの組み合わせを含む、請求項24に記載のウイルス発現ベクター。 前記突然変異が、PIV5VΔC、PIV5ΔSH、PIV5−P−S308G、又はそれらの組み合わせを含む、請求項24に記載のウイルス発現ベクター。 前記異種ポリペプチドが、インフルエンザヘマグルチニン(HA)、インフルエンザノイラミニダーゼ(NA)、インフルエンザヌクレオカプシドタンパク質(NP)、M1、M2、PA、PB1、PB2、PB1−F2、NS1又はNS2を含む、請求項1又は18に記載のウイルス発現ベクター。 前記インフルエンザが、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、又はC型インフルエンザウイルスを含む、請求項27に記載のウイルス発現ベクター。 前記異種ポリペプチドが、A型インフルエンザウイルスH1〜H18亜型株由来のヘマグルチニン(HA)を含む、請求項27に記載のウイルス発現ベクター。 前記異種ポリペプチドが、A型インフルエンザウイルスH5N1、H3N2、又はH1N1株由来のヘマグルチニン(HA)を含む、請求項27に記載のウイルス発現ベクター。 前記異種ポリペプチドが、インフルエンザA型N1〜N10亜型由来のインフルエンザノイラミニダーゼ(NA)を含む、請求項27に記載のウイルス発現ベクター。 前記NP、M1、M2、PA、PB1、PB2、PB1−F2、NS1又はNS2がA型インフルエンザウイルスH1〜H17株由来であり、且つ前記NAがA型インフルエンザウイルスN1〜N10株由来である、請求項27に記載のウイルス発現ベクター。 前記異種ポリペプチドが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、パラインフルエンザウイルス1型、パラインフルエンザウイルス2型、パラインフルエンザウイルス3型、パラインフルエンザウイルス4型、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、ウシ呼吸器合胞体ウイルス、ヒトメタニューモウイルス、トリインフルエンザ、イヌインフルエンザ、トリメタニューモウイルス、ニパウイルス、ヘンドラウイルス、狂犬病ウイルス、エボラウイルス、ブタサーコウイルス、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス、ブタインフルエンザウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、イヌジステンパーウイルス、ネコ白血病ウイルス、ヒトカリシウイルス、動物カリシウイルス(veterinary calcivirus)、ヒトノロウイルス、動物ノロウイルス、牛疫ウイルス、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、及び/又はヒト若しくは動物における新興インフルエンザウイルスに由来する、請求項1又は18に記載のウイルス発現ベクター。 前記異種ポリペプチドが細菌又は寄生体に由来する、請求項1又は18に記載のウイルス発現ベクター。 異種ポリペプチドを発現する2つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む、請求項1、18、又は21のいずれか一項に記載のウイルス発現ベクター。 請求項1〜35のいずれか一項に記載のウイルス発現ベクターを含むウイルス粒子。 請求項1〜36のいずれか一項に記載のウイルス発現ベクター又はウイルス粒子の組成物。 アジュバントをさらに含む、請求項37に記載の組成物。 細胞において異種ポリペプチドを発現する方法であって、前記細胞を、請求項1〜38のいずれか一項に記載のウイルス発現ベクター、ウイルス粒子、又は組成物と接触させる工程を含む方法。 対象において異種ポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法であって、請求項1〜39のいずれか一項に記載のウイルス発現ベクター、ウイルス粒子、又は組成物を前記対象に投与する工程を含む方法。 前記免疫応答が、体液性免疫応答及び/又は細胞性免疫応答を含む、請求項40に記載の方法。 対象において異種ポリペプチドを発現する方法であって、請求項1〜38のいずれか一項に記載のウイルス発現ベクター、ウイルス粒子、又は組成物を前記対象に投与する工程を含む方法。 対象をワクチン接種する方法であって、請求項1〜38のいずれか一項に記載のウイルス発現ベクター、ウイルス粒子、又は組成物を前記対象に投与する工程を含む方法。 前記ウイルス発現ベクター、ウイルス粒子、又は組成物が、鼻腔内に、筋肉内に、局所的に、経口的に、又は卵内に投与される、請求項40〜43のいずれか一項に記載の方法。 本発明は、異種ポリペプチドを発現する異種ヌクレオチド配列を含むパラインフルエンザウイルス5型(PIV5)ゲノムを含むウイルス発現ベクターに基づく、安全で安定した、有効な、且つ費用対効果の高いワクチンを提供する。一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子とラージRNAポリメラーゼタンパク質(L)遺伝子との間よりリーダーの近くに挿入される。一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、PIV5ゲノムのスモール疎水性タンパク質(SH)遺伝子とヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)遺伝子との間に挿入される。【選択図】図3A 配列表


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る