生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_構造化ポリマー装置におけるTLRアゴニストの制御送達
出願番号:2014552371
年次:2015
IPC分類:A61K 45/08,A61K 39/00,A61K 47/34,A61K 31/7088,A61K 38/00,A61P 35/00


特許情報キャッシュ

アリ オマール アブデル‐ラーマン ドラノフ グレン ムーニー デイビッド ジェイ. JP 2015503626 公表特許公報(A) 20150202 2014552371 20130114 構造化ポリマー装置におけるTLRアゴニストの制御送達 プレジデント・アンド・フェロウズ・オブ・ハーバード・カレッジ 507244910 デイナ ファーバー キャンサー インスティチュート,インコーポレイテッド 399052796 清水 初志 100102978 春名 雅夫 100102118 山口 裕孝 100160923 刑部 俊 100119507 井上 隆一 100142929 佐藤 利光 100148699 新見 浩一 100128048 小林 智彦 100129506 渡邉 伸一 100130845 大関 雅人 100114340 五十嵐 義弘 100114889 川本 和弥 100121072 アリ オマール アブデル‐ラーマン ドラノフ グレン ムーニー デイビッド ジェイ. US 61/586,624 20120113 A61K 45/08 20060101AFI20150106BHJP A61K 39/00 20060101ALI20150106BHJP A61K 47/34 20060101ALI20150106BHJP A61K 31/7088 20060101ALI20150106BHJP A61K 38/00 20060101ALI20150106BHJP A61P 35/00 20060101ALI20150106BHJP JPA61K45/08A61K39/00 GA61K47/34A61K31/7088A61K37/02A61P35/00 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC US2013021478 20130114 WO2013106852 20130718 98 20140909 4C076 4C084 4C085 4C086 4C076AA30 4C076AA31 4C076BB32 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したがって、本発明は、多孔性ポリマー構造の組成物、腫瘍抗原、およびtoll様受容体(TLR)アゴニストを含む装置を提供する。例えば、装置は、ポリマー構造の組成物、腫瘍抗原、およびtoll様受容体(TLR)アゴニストの組合せを含み、TLRアゴニストは、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、TLR12およびTLR13からなる群より選択される。例えば、ポリマー構造は、ポリ(D,L-ラクチド−コ−グリコリド)(PLG)を含む。例示的なTLRアゴニストには、病原体関連分子パターン(PAMP)、例えば感染症模倣組成物、例えば細菌に由来する免疫モジュレーターが含まれる。TLRアゴニストには、核酸または脂質組成物[例えばモノホスホリルリピドA(MPLA)]が含まれる。 特定の核酸が、TLRアゴニスト、例えばTLR1アゴニスト、TLR2アゴニスト、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニスト、TLR5アゴニスト、TLR6アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、TLR9アゴニスト、TLR10アゴニスト、TLR11アゴニスト、TLR12アゴニスト、またはTLR13アゴニストとして機能する。一例において、TLRアゴニストとしては、TLR9アゴニスト、例えばシトシン−グアノシンオリゴヌクレオチド(CpG-ODN)、ポリ(エチレンイミン)(PEI)の縮合したオリゴヌクレオチド(ODN)、例えばPEI-CpG-ODN、または二本鎖デオキシリボ核酸(DNA)が含まれる。TLR9アゴニストは、形質細胞様DCを刺激するのに有用である。例えば、装置は、5μg、10μg、25μg、50μg、100μg、250μg、または500μgのCpG-ODNを含む。 別の例では、TLRアゴニストとしては、TLR3アゴニスト、例えばポリイノシン−ポリシチジル酸(ポリI:C)、PEI-ポリ(I:C)、ポリアデニル酸−ポリウリジル酸(ポリ(A:U))、PEI-ポリ(A:U)、または二本鎖リボ核酸(RNA)が含まれる。 TLR3アゴニストは、マウスにおけるCD8+DCおよびヒトにおけるCD141+DCを刺激するのに有用である。複数のTLRアゴニスト、例えばTLR3アゴニスト、例えばポリI:CおよびTLR9アゴニスト、例えばCpGは相乗的に作用して、抗腫瘍免疫応答を活性化する。例えば、装置は、ポリ(I:C)のようなTLR3アゴニスト、およびTLR9アゴニスト(CpG-ODN)またはPEI-CpG-ODNを含む。好ましくは、TLRアゴニストは、TLR3アゴニスト、すなわちポリ(I:C)およびTLR9アゴニスト、すなわちCpG-ODNを含む。ポリ(I:C)とCpG-ODNの組合せは、CpG-ODNまたはP(I:C)を単独で組み入れているワクチンと比較して、相乗的に作用する。 いくつかの場合、TLRアゴニストは、リポ多糖(LPS)、モノホスホリルリピドA(MPLA)、熱ショックタンパク質、フィブリノーゲン、ヘパリン硫酸またはそのフラグメント、ヒアルロン酸またはそのフラグメント、ニッケル、オピオイド、α1-酸性糖タンパク質(AGP)、RC-529、マウスβ-デフェンシン2、および完全フロイントアジュバント(CFA)からなる群より選択されたTLR4アゴニストを含む。他の場合では、TLRアゴニストはTLR5アゴニストを含み、TLR5アゴニストはフラゲリンである。他の適切なTLRアゴニストには、一本鎖RNA、グアノシン類似体、イミダゾキノリンおよびロキソルビンからなる群より選択されたTRL7アゴニストが含まれる。 好ましくは、TLRアゴニストは、樹状細胞によるインターロイキン-12(IL-12)の局所的産生を誘発するに有効な濃度で存在する。 本発明はまた、多孔性ポリマー構造の組成物、疾患に関連した抗原、およびtoll様受容体(TLR)アゴニストを含む装置を提供し、該TLRアゴニストはTLR3に優先的に結合する。いくつかの場合、ポリマー構造の組成物は、ポリ−ラクチド−コ−グリコリド(PLG)を含む。TLR3アゴニストは、CD8+樹状細胞またはCD141+樹状細胞を優先的に刺激する量で存在する。 好ましくは、TLRアゴニストはTLR3アゴニストを含む。いくつかの場合、TLR3アゴニストは、ポリイノシン−ポリシチジル酸(ポリI:C)またはPEI-ポリ(I:C)を含む。例えば、TLRアゴニストは核酸を含む。他の場合、TLRアゴニストはさらに、TLR9アゴニストを含む。例えば、TLR9アゴニストは、シトシン−グアノシンオリゴヌクレオチド(CpG-ODN)またはPEI-CpG-ODNを含む。任意で、装置は、TLRアゴニストの組合せを含み、該組合せは、TLR3アゴニストおよびTLR9アゴニストを含む。例えば、TLR3アゴニストはポリ(I:C)を含み、そしてTLR9アゴニストはCpG-ODNを含む。 あるいは、装置はTLRアゴニストの組合せを含み、該組合せは、TLR3アゴニストおよびTLR4アゴニストを含む。例えば、TLR3アゴニストはポリ(I:C)を含み、そしてTLR4アゴニストはMPLAを含む。 任意で、装置はさらに、動員(recruitment)組成物を含む。例示的な動員組成物は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、Flt3LおよびCCL20を含む。例えば、動員組成物は、封入されたGM-CSFを含む。 いくつかの場合、疾患に関連した抗原は腫瘍抗原を含む。例えば、腫瘍抗原は、腫瘍溶解物、精製されたタンパク質腫瘍抗原または合成された腫瘍抗原を含む。 任意で、TLRアゴニストはさらに、病原体関連分子パターン(PAMP)を含む。例えば、PAMPはモノホスホリルリピドA(MPLA)を含む。 また、ポリマー構造の組成物、腫瘍抗原、およびTLRアゴニストの組合せを含む装置も提供され、TLRアゴニストは、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、TLR12およびTLR13からなる群より選択される。 抗腫瘍免疫応答を惹起する方法は、ポリマー構造の組成物、腫瘍抗原およびTLRアゴニストを含む装置を対象に接触または埋め込むことによって実施され、TLRアゴニストはTLR3に優先的に結合する。例えば、TLRアゴニストはTLR3アゴニストを含む。あるいは、TLRアゴニストはTLR3アゴニストおよびTLR9アゴニストを含む。 好ましくは、抗腫瘍免疫応答は、CD8+樹状細胞またはCD141+樹状細胞の活性化を含む。いくつかの場合、抗腫瘍免疫応答は、形質細胞様樹状細胞またはCD141+樹状細胞の活性化を含む。あるいは、抗腫瘍免疫応答は、腫瘍量の低減を含む。 好ましくは、TLRアゴニストは、樹状細胞によるインターロイキン-12(IL-12)の産生を誘発するのに有効な濃度で存在する。 任意で、装置はさらに、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を含む。いくつかの例において、GM-CSFが封入されている。別の任意選択の動員組成物はサイトカインである。例えば、装置は、1μg、3μg、5μg、10μg、25μgまたは50μgのGM-CSFを含む。 装置はまた、腫瘍抗原を、例えば腫瘍溶解物の形態で(培養細胞または患者由来の初代細胞)、または精製された腫瘍抗原、例えば合成された/合成の組換えタンパク質、または腫瘍細胞から生化学的に精製された抗原を含む。 また、本発明には、多孔性ポリマー構造の組成物、腫瘍抗原およびTLRアゴニストを含む装置を対象に接触させる、例えば対象に埋め込むことによって抗腫瘍免疫応答を惹起する方法が含まれる。例えば、TLRアゴニストは、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、TLR12およびTLR13からなる群より選択される。上記した装置は、以前のワクチンを上回る利点を伴う。最も重要な利点は、強力な抗腫瘍活性を媒介する重要なDCのサブセットを刺激するその能力である。方法は、TLR3アゴニストおよび/またはTLR9アゴニストを含む装置を対象に投与することを含み、これにより、ワクチンが投与された対象において形質細胞様DCおよび/またはCD141+DCの活性化によって特徴付けられる抗腫瘍免疫応答が惹起される。ワクチンは予防および治療に有用である。 装置は投与される、例えば局所的に適用または埋め込まれ、そして、細胞を絶えず動員、教育、およびリンパ節または体内の罹患部位もしくは感染部位まで分散または送りながら、一定時間にわたり存在する、例えば留まる。既存の装置を上回る改善には、装置に進入する細胞の長期に持続する活性化、および、同時に免疫学的に活性化された、例えば抗原でプライミングされた細胞の長期に持続する放出が挙げられる。装置は、足場組成物、動員組成物、および展開(deployment)組成物を含む。プライミングされた細胞の長期かつ持続した放出を媒介する展開組成物は、細菌に由来する免疫モジュレーターのような感染症模倣組成物である。好ましい態様において、細菌に由来する免疫モジュレーターは、シトシン−グアノシンオリゴヌクレオチド(CpG-ODN)のような核酸である。 方法は、多種多様な疾患を処置するために、および多種多様な抗原に対するワクチンを開発するために使用される。好ましい態様において、本発明は、癌ワクチンを開発するために使用される。本発明の別の好ましい態様は、宿主免疫系を活性化して、続けて免疫応答を誘発するための手段を有する感染症模倣微小環境を含む。外因性の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)と共に合成シトシン−グアノシンオリゴデオキシヌクレオチド(CpG-ODN)配列を使用することは、樹状細胞の遊走を正確に制御して、かつ抗原特異的免疫応答をモジュレートするための方法を提供する。事実、この合成シトシン−グアノシンオリゴヌクレオチド(CpG-ODN)配列および/またはポリ(I:C)を使用するアプローチは、以前の免疫療法を上回る有意な改善を実証する。 装置の種々の成分を以下に作表し、そして記載する。 装置は、3つの主要機能、例えば細胞を装置に誘引すること、免疫原性因子を提示すること、および装置から細胞が遊走して離れるように誘導することを行う。これらの主要機能の各々は、足場組成物(太字のフォント)および/または生物学的組成物(標準的なフォント)によって行われる。表1は、例示的な装置(1〜8)における、少なくとも1つの主要機能とペアリングされた足場組成物または生物学的組成物のいずれかの例示的な組み合わせを提供する。例えば、足場組成物が、3つ全ての主要機能を行う(装置1)。代替的な例において、足場組成物が、1つの主要機能、例えば装置に細胞(好ましくは樹状細胞)を誘引することを行い、一方で生物学的組成物が、2つの主要機能、例えば免疫原性因子を提示する機能、および装置から遊走して離れるように細胞(好ましくは樹状細胞)を誘導する機能を行う(装置3)。例えば、装置5は、装置3の逆の組み合わせである。足場組成物および/または生物学的組成物の例示的な副次的機能には、特定の細胞または組織型へと装置を仕向けること、装置を1つまたは複数の細胞または組織の表面に接着させる/表面から放出させること、および装置の安定性/分解をモジュレートすることが含まれるがこれらに限定されるわけではない。 本発明は、足場組成物および生物活性組成物を含む装置を含み、該生物活性組成物は該足場組成物の中に組み入れられているかまたは該足場組成物の上にコンジュゲートされ、該足場組成物は、樹状細胞を誘引して、該樹状細胞に免疫原性因子を導入し、それによって該樹状細胞を活性化し、そして該足場組成物から遊走して離れるように該樹状細胞を誘導する。あるいは、足場組成物の中に組み入れられているかまたは足場組成物の上にコーティングされている生物活性組成物が樹状細胞を誘引して、該樹状細胞に免疫原性因子を導入し、それによって該樹状細胞を活性化し、そして該足場組成物から遊走して離れるように該樹状細胞を誘導する。他の好ましい態様においては、足場組成物または生物活性組成物が、別々に樹状細胞を装置に誘引して、樹状細胞に免疫原性因子を導入し、そして装置から遊走して離れるように樹状細胞を誘導する。 DCは、通常のDCおよび特定のDCのサブセットを含む。TLRアゴニスト、例えばTLR3アゴニストは、ヒトにおいてCD141+DCを優先的に誘引しかつ刺激する(マウスにおいてはCD8+DC)。TLR9アゴニスト、例えばCpGは、形質細胞様DCを優先的に誘引しかつ刺激する。 好ましい態様において、動員組成物はGM-CSF、例えば封入されたGM-CSFである。装置は、局所GM-CSF濃度を一時的に制御して、それによって免疫細胞の動員、常在化、および装置の位置から遠いリンパ節または組織部位、例えば感染部位または腫瘍のある場所へのその後の分散/展開を制御する。GM-CSFの濃度により、それが動員要素または展開要素のいずれとして機能するかがを決定される。したがって、インサイチューで樹状細胞をプログラミングする方法は、足場組成物と、封入された動員組成物とを含む装置を、対象に導入することによって行われる。動員組成物のパルスが、装置の導入後1〜7日以内に装置から放出されて、残余量の動員組成物が装置内または装置上に残る。パルスに続いて、数週間にわたる残余量の緩徐な放出がなされる。動員組成物の局所濃度および放出の時間的パターンは、樹状細胞の動員、保持、および装置からのその後の放出を媒介する。例えば、パルスは、装置と結び付いた動員組成物の量の少なくとも50、60、75、90、または95%を含む。例示的な時間的な放出プロファイルは、装置を対象へと導入した後1〜5日で、装置と結び付いた動員組成物の量の少なくとも60%を放出することを特徴とするパルスを含む。パルスに続いて、残余量が、パルス期間後長期間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12日間、または2、3、4、5週間もしくはそれより多い週)にわたって緩徐に放出される。他の動員組成物には、Flt3および/またはCCL20が含まれる。動員化合物は個々にまたは組み合わせて使用される。 足場を作出する方法は、足場組成物を提供する段階、樹状細胞を誘引または反発するための手段を有するポリペプチドを含む第一の生物活性組成物を該足場組成物の中に組み入れるかまたは該足場組成物の上にコーティングする段階、そして該足場組成物を第二の生物活性組成物と接触させる段階によって行われ、ここで、該第二の生物活性組成物は、該足場組成物に共有結合的にまたは非共有結合的に結合し、該第二の生物活性組成物は免疫原性因子を含む。この方法の代替の態様において、連結段階および接触段階は、複数の層をもたらすように繰り返され、ここで、第二の生物活性組成物は、樹状細胞を活性化する手段を有する化合物の組み合わせを含む。 インサイチューで持続的に樹状細胞をプログラミングすることを含む方法は、足場組成物および生物活性組成物を含む装置を、対象に投与する段階を含み、該生物活性組成物は該足場組成物の中に組み入れられているかまたは該足場組成物の上にコンジュゲートされ、該足場組成物は、樹状細胞を誘引し、該樹状細胞に免疫原性因子を導入し、それによって該樹状細胞を活性化し、そして該足場組成物から遊走して離れるように該樹状細胞を誘導する。装置は、樹状細胞の異質性の集団を動員しかつ刺激する。各々のサブセットは、特殊化され、かつ有意に免疫応答の発生に寄与する。例えば、装置は、CpG-ODN提示を媒介し、そして抗腫瘍免疫の発達において特に重要である樹状細胞のサブセットである形質細胞様DC(pDC)またはCD141+DCの富化を媒介する。 方法は、足場組成物および生物活性組成物を含む装置を対象に投与する段階を含む、ワクチンの効力を増加させることを含み、該生物活性組成物は該足場組成物の中に組み入れられているかまたは該足場組成物の上にコンジュゲートされ、該足場組成物は、樹状細胞を誘引し、該樹状細胞に免疫原性因子を導入し、それによって該樹状細胞を活性化し、そして該足場組成物から遊走して離れるように該樹状細胞を誘導し、それによってワクチン接種手順の有効性を増加させる。 方法は、足場組成物および生物活性組成物を含む装置を対象に投与する段階を含む、癌に対するワクチン接種を対象に行うことを含み、該生物活性組成物は該足場組成物の中に組み入れられているかまたは該足場組成物の上にコンジュゲートされ、該足場組成物は、樹状細胞を誘引し、該樹状細胞に免疫原性因子を導入し、それによって該樹状細胞を活性化し、そして該足場組成物から遊走して離れるように該樹状細胞を誘導し、それによって対象に抗腫瘍免疫、例えばIL-12産生、および低減した腫瘍量を与える。限局性腫瘍または充実性腫瘍の場合、装置は、腫瘍部位もしくはその近傍に、または腫瘍が切除されたもしくは外科的に除去された部位に投与されるかまたは埋め込まれる。例えば、装置は、腫瘍部位または切除部位から1、3、5、10、15、20、25、40 mm離れた距離に埋め込まれ、例えばPLGワクチン装置は腫瘍塊から16〜21 mm離して投与される。 免疫原性因子には、TLRリガンドが含まれる。例えば、使用される免疫原性因子は、改変されたTLR-9リガンド配列、PEI-CpG-ODNである。好ましくは、TLRリガンドは、ポリ(I:C)または縮合PEI-ポリ(I:C)のようなTLR3アゴニストである。 足場組成物は、生物非分解性材料を含む。例示的な生物非分解性材料には、金属、プラスチックポリマー、またはシルクポリマーが含まれるがこれらに限定されるわけではない。さらに、足場組成物は生体適合性の材料で構成される。この生体適合性材料は無毒性または非免疫原性である。 生物活性組成物は、足場組成物に共有結合的または非共有結合的に連結される。生物活性組成物は、樹状細胞を誘引する手段を有する、足場組成物の表面に共有結合的または非共有結合的のいずれかで結合した要素を含む。代替的にまたは加えて、生物活性組成物は、免疫原性因子を樹状細胞に導入する手段を有する、足場組成物の表面に共有結合的にまたは非共有結合的のいずれかで結合した要素を含む。代替的にまたはさらに加えて、生物活性組成物は、足場組成物からから遊走して離れるように樹状細胞を誘導する手段を有する、足場組成物の表面に共有結合的にまたは非共有結合的のいずれかで結合した要素を含む。 樹状細胞を操作する手段を有する生物活性組成物の要素は、分泌型または膜結合型アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ヌクレオチド、ジヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ポリマー、低分子、または化合物である。好ましい態様において、この要素は、樹状細胞を足場組成物に誘引することから、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)である。別の好ましい態様において、この要素は、CpG-ODN配列を樹状細胞に導入して、それによって細胞を活性化するための手段を有することから、PEI-CpG-ODN配列である。いくつかの態様において、この要素は、リンパ節へと向けておよび足場組成物から離れるように樹状細胞の遊走を媒介するケモカイン受容体である、CCR7をコードするポリヌクレオチドまたはポリペプチドである。CCR7要素は、足場組成物から離れる樹状細胞の遊走を増強するために、PEI-CpG-ODN配列と同時または順次、樹状細胞に導入される。 本発明の足場組成物は、外部表面を含有する。本発明の足場組成物は、代替的にまたは加えて内部表面を含有する。足場組成物の外部または内部表面は、中実または多孔性である。孔径は、直径約10nm未満、約100nm〜20μmの範囲、または約20μmより大きい。好ましい態様において、孔径は、DCのような細胞が装置へと遊走し、その後、細胞が遊出することを可能にする。例えば、孔は、ナノ孔性、ミクロ孔性またはマクロ孔性である。例えば、ナノ孔の直径は約10nm未満であり;ミクロ孔は直径約100μm〜20μmの範囲であり;そして、マクロ孔は約20μmより大きい(好ましくは約100μmより大きく、さらにより好ましくは約400μmより大きい)。1つの例において、足場は直径約100〜500μm、例えば100〜200、200〜400、または400〜500μmの開いた相互に連結された孔を有するマクロ孔である。孔径および相互接続された構造は、細胞が、相互接続された孔を介して装置の体積内に進入し横断することを可能とし、そしてその後、装置を孔を介して出て行き、装置外の体内の場所に、例えば腫瘍部位へと向かい、そこで腫瘍細胞に対する免疫応答を開始する。活性化されたDCは装置から遊走して離れ、そして、個別の場所で充実性腫瘍に対する免疫応答が、または転移性腫瘍細胞もしくは白血病のような血液腫瘍の場合には体全体に免疫応答が開始される。 本発明の足場組成物は、1つまたは複数の区画を含む。 本発明の装置は、経口、全身、皮下もしくは経皮に、人工ステントとして、または外科的に投与されるかまたは埋め込まれる。 本発明の装置および方法は、インサイチューでの持続的な細胞プログラミングのためのプロトコルに関連するいくつかの問題に対する解決策を提供する。細胞の免疫応答を刺激して、感染または疾患を有する体の組織に定着するようにその外向きの遊走を誘導するインサイチューにおける細胞プログラミングシステムは、回復の成功、例えば罹患組織の特異的排除を増強する。細胞機能および/または挙動、例えば移動を制御するそのような装置は、足場組成物と1つまたは複数の生物活性組成物とを含有する。生物活性組成物は、足場組成物の中に組み入れられるかまたはその上にコーティングされる。足場組成物および/または生物活性組成物は、樹状細胞の誘引、プログラミング、および遊走を時間的および空間的に(方向性に)制御する。 装置は、インビボで宿主細胞の能動的動員、改変、および材料からの放出を媒介して、それによって足場に接触する細胞の機能を改善する。例えば、装置は、体内に既に常在している細胞を足場材料に誘引または動員して、常在細胞を望ましい運命(例えば、免疫活性化)へとプログラミングまたは再プログラミングする。 この装置には、生物活性組成物を組み入れるかまたはそれによってコーティングされる足場組成物が含まれ;装置は、樹状細胞の誘引、活性化、および遊走を調節する。装置が設計される応用に応じて、装置は、足場自身の物理的または化学的特徴を通して樹状細胞の誘引、活性化、および/または遊走を調節する。例えば、足場組成物は、差次的に透過性であり、足場の一定の物理的領域に限って細胞の遊走を可能にする。足場組成物の透過性は、例えばより大きいまたはより小さい孔径、密度、ポリマーの架橋、剛性、靱性、延性、粘弾性に関して材料を選択または工学操作することによって調節される。足場組成物は、装置または装置内の区画の出口の標的領域に向かって細胞がその中をより容易に動くことができる物理的通路または経路を含有する。足場組成物は任意で、細胞が装置の中を動くために必要な時間が正確に予測可能に制御されるように、各々が異なる透過性を有する区画または層に組織化される。遊走はまた、足場組成物の分解、脱水もしくは再水和、酸素添加、化学変化もしくはpHの変化、または進行中の自己アセンブリによっても調節される。 誘引、活性化、および/または遊走は生物活性組成物によって調節される。装置はその構造を通して細胞の活性化および遊走を制御および指示する。化学的親和性は、出口の特定の領域に細胞を導くために使用される。例えば、サイトカインは、細胞の遊走を誘引または抑制させるために使用される。それらの生物活性物質の密度および混合物を変化させることによって、装置は遊走の時期を制御する。これらの生物活性物質の密度および混合物は、物質の初回ドープ処理レベルまたは濃度勾配によって、公知の浸出率を有する足場材料に生物活性物質を包埋することによって、足場材料の分解による放出によって、ある濃度領域からの拡散によって、ある領域に拡散する前駆体化学物質の相互作用によって、または常在支持細胞による組成物の産生/排泄によって制御される。足場の物理または化学構造も、装置の中への生物活性物質の拡散を調節する。 生物活性組成物には、細胞機能および/または挙動を調節する1つまたは複数の化合物が含まれる。生物活性組成物は、足場組成物に共有結合的に連結するか、または足場に非共有結合的に結合する。 細胞遊走プロセスに関与するシグナル伝達事象は、免疫メディエータに応答して開始される。このように、装置は、GM-CSF、CpG-ODN配列またはポリ(I:C)配列、癌抗原、および/または免疫モジュレーターを含む第二の生物活性組成物を任意に含有する。 いくつかの場合において、第二の生物活性組成物は、組成物が足場組成物の中または上に相対的に固定化された状態で、足場組成物に共有結合的に連結している。他の場合において、第二の生物活性組成物は、足場に非共有結合的に結合している。非共有結合は、共有結合より強さが一般的に1桁から3桁弱い結合であり、足場からのおよび周辺組織への因子の拡散を許容する。非共有結合には、静電気結合、水素結合、ファンデルワールス結合、芳香族π結合および疎水結合が含まれる。 足場組成物は、生体適合性である。組成物は、生物分解性/腐食性であるか、または体内での分解に対して抵抗性である。比較的永続的な(分解抵抗性の)足場組成物には、金属およびシルクポリマーのようないくつかのポリマーが含まれる。好ましくは、足場組成物は、温度、pH、水和状態、および多孔性、架橋密度、種類、および化学、もしくは主鎖連結の分解に対する感受性からなる群より選択される物理的パラメータに基づいた既定の速度で分解するか、または足場組成物は化学ポリマーの比率に基づいた既定の速度で分解する。例えば、ラクチドのみを含む高分子量ポリマーは数年間かけて、例えば1〜2年かけて分解するが、ラクチドとグリコリドの50:50混合物を含む低分子量ポリマーは数週間で、例えば1、2、3、4、6、10週間のうちに分解する。高分子量の高グルロン酸アルギネートで構成されるカルシウム架橋ゲルは、インビボで数ヶ月(1、2、4、6、8、10、12ヶ月)から数年(1、2、5年)かけて分解するが、低分子量アルギネートおよび/または部分的に酸化されているアルギネートを含むゲルは数週間のうちに分解する。 例示的な足場組成物には、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、PLGAポリマー、アルギネートおよびアルギネート誘導体、ゼラチン、コラーゲン、フィブリン、ヒアルロン酸、ラミニンに富むゲル、アガロース、天然および合成多糖、ポリアミノ酸、ポリペプチド、ポリエステル、ポリ酸無水物、ポリホスファジン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(アリルアミン)(PAM)、ポリ(アクリレート)、改変スチレンポリマー、プルロニックポリオール、ポロキサマー、ポリ(ウロン酸)、ポリ(ビニルピロリドン)、および上記のいずれかのコポリマーまたはグラフトコポリマーが含まれる。1つの好ましい足場組成物には、RGD修飾アルギネートが含まれる。 別の好ましい足場組成物は、マクロ孔性ポリ−ラクチド−コ−グリコリド(PLG)である。例えば、PLGマトリクスには、GM-CSF、危険シグナル、および標的抗原、例えば癌抗原が含まれ、かつPLGマトリクスは、動員されたDCがプログラミングされる際の居所として役立つ。動員要素であるGM-CSFはPLG足場に封入される。封入されたGM-CSFを含むPLGマトリクスは、樹状細胞動員組成物のパルスを提供して、次に放出速度は徐々に遅くなる。パルスは、生物活性組成物の初回量の少なくとも40、50、60、75、80%またはそれより多くを含み、残りの比率は、処置される対象内のまたは対象上の部位への投与後の翌日または数週間にわたって徐々に放出される。例えば、放出は、最初の5日以内に生物活性GM-CSF量の約60%であり、その後、次の10日間にわたって生物活性GM-CSFの緩徐で持続的な放出が続く。この放出プロファイルは、周辺組織中への因子の拡散速度を媒介して、常在DCを効果的に動員する。 足場組成物の多孔度は、装置の中の細胞の遊走に影響を及ぼす。孔はナノ孔性、ミクロ孔性、またはマクロ孔性である。例えば、ナノ孔の直径は約10 nm未満であり、ミクロ孔は直径約100nm〜20μmの範囲であり、そしてマクロ孔は約20μmより大きい(好ましくは約100μmより大きく、およびさらにより好ましくは約400μmより大きい)。1つの例において、足場は直径約400〜500μmの整列した孔を有するマクロ孔性である。 装置は1段で製造され、この場合1つの層または区画を作出して、これに1つまたは複数の生物活性組成物を注入またはコーティングする。例示的な生物活性組成物は、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを含む。あるいは、装置は、2段またはそれより多い(3、4、5、6、......10段またはそれより多い)段で製造され、この場合1つの層または区画を作出してこれに1つまたは複数の生物活性組成物を注入またはコーティングした後に、第二の、第三の、第四の、またはそれより多い層を構築し、次に1つまたは複数の生物活性組成物を順に注入またはコーティングする。各々の層もしくは区画は、その他の層もしくは区画と同じであるか、または生物活性組成物の数もしくは混合物、ならびに、個別の化学的、物理的、および生物的特性によって互いに区別される。 足場を作出する方法は、足場組成物を提供する段階、および足場組成物を第一の生物活性組成物と共有結合的に連結させるかまたは非共有結合的に結合させる段階によって行われる。例示的な装置およびそれらを作製する方法は、USSN:12/867,426、USSN:13/510,356およびPCT/US2012/35505に記載され、その各々が本明細書に参照により組み入れられる。第一の生物活性組成物は好ましくは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子を含有する。足場組成物はまた、第二の生物活性組成物、好ましくは1つまたは複数のシトシン−グアノシンオリゴヌクレオチド(CpG-ODN)配列と接触させる。第二の生物活性組成物は、足場組成物と結び付いて、ドープ処理された足場、すなわち1つまたは複数の生物活性物質を含む足場組成物をもたらす。接触させる段階を任意で繰り返して、複数のドープ処理足場を作製し、例えば接触させる段階の各々は、足場装置において第二の生物活性組成物の勾配をもたらす異なる量の第二の生物活性組成物を特徴とする。組成物の量を変化させることよりむしろ、その後の接触させる段階は、異なる生物活性組成物、すなわち、以前のドープ処理段階の以前の組成物または混合物とは因子の構造または化学式で区別される、第三、第四、第五、第六〜の組成物または組成物の混合物を伴う。方法は任意で、個々のニッチ(niche)、層、または成分を互いに接着させること、および/または細胞もしくは生物活性組成物の移動をさらに制御/調節するために装置内または装置の1つまたは複数の境界に半透過性、透過性、または非透過性の膜を挿入することを伴う。 装置の治療応用には、免疫細胞の指令が含まれる。例えば、方法には、生物活性組成物がその中またはその上に組み入れられている足場組成物を含む装置と、足場に結合する哺乳動物細胞とを提供する段階、および例えば装置を哺乳動物組織の中に埋め込むまたは取り付けることによって、哺乳動物組織を装置に接触させる段階が含まれる。装置の投与または埋め込み時の、各々の成分、動員組成物(例えば、GM-CSF、Flt3L、またはCCL20)、危険シグナル(例えば、CpG-ODN)、および抗原(例えば、精製腫瘍抗原または腫瘍細胞溶解物)の例示的な相対量は、以下のとおりである:GM-CSF:0.5μg〜500μg;CpG-ODN:50μg〜3,000μg;および腫瘍抗原/溶解物:100μg〜10,000μg。 細胞、例えば宿主細胞の活性をモジュレートする方法は、足場組成物とその中またはその上に組み入れられた動員組成物とを含有する装置を哺乳動物に投与する段階、および次に細胞を展開シグナルに接触させる段階によって行われる。細胞は、抗原(および他の因子)と遭遇しそれにより活性化された後に、生体内の腫瘍細胞を探し出すために装置を出て、腫瘍細胞に対して免疫応答が開始される。出口での細胞の活性は、装置に入る前の細胞の活性とは異なる。細胞は装置に動員されて、一定期間、例えば数分間;0.2、0.5、1、2、4、6、12、24時間;2、4、6日間;数週間(1〜4)、数ヶ月間(2、4、6、8、10、12)、または数年間装置内に常在して、その間に細胞は構造要素および生物活性組成物に曝露されて、細胞の活性または活性レベルの変化に至る。装置中での抗原および他の化合物との遭遇は、改変された(再教育されたまたは再プログラミングされた)細胞の放出を誘導し、そして細胞は装置から出て周辺組織または離れた標的位置へと遊走して、腫瘍細胞のような罹患細胞を探し出しそしてそれに対する免疫を媒介する。 展開シグナルは、タンパク質、ペプチドまたは核酸のような組成物、または細胞の活性化状態である。例えば、抗原が摂取されると、DCは活性化され、そしてリンパ節、脾臓、および他の解剖学的部位へと遊走し、そこでDCはT細胞と出会い、抗原特異的免疫応答、例えば抗癌応答をさらに増幅する。例えば、装置の中に遊走する細胞は、それらが装置の中に入った場合にのみ展開シグナルに遭遇する。いくつかの場合において、展開シグナルは核酸分子、例えば装置から出て周辺組織へと入る細胞の遊走を誘導するタンパク質をコードする配列を含有するプラスミドである。展開シグナルは、細胞が装置内のプラスミドに遭遇した場合に生じ、DNAは細胞に内部移行し(すなわち細胞はトランスフェクションを受けて)、そして細胞は、DNA分子によってコードされる遺伝子産物を産生する。いくつかの場合において、展開のシグナルを伝達する分子は装置の要素であり、そして動員組成物への細胞の曝露と比較して遅れて(例えば時間的または空間的に)装置から放出される。あるいは、展開シグナルは、動員組成物の低減または非存在である。例えば、動員組成物は、細胞の装置内への遊走を誘導し、そして動員組成物の濃度の低下または装置からの枯渇、消散、もしくは拡散によって、装置から細胞が放出される。このようにして、個体のT細胞、B細胞、または樹状細胞(DC)のような免疫細胞は、装置へと動員されて、プライミングされ、活性化されて、抗原特異的標的に対する免疫応答を開始する。任意で、標的に対応する抗原(その標的に対する免疫応答が望まれる)が、足場構造の中または足場構造の上に組み入れられる。顆粒球マクロファージ刺激因子(GM-CSF)などのサイトカインも、免疫活性化を増幅するためのおよび/またはプライミングされた細胞のリンパ節への遊走を誘導するための装置の成分である。他の細胞特異的動員組成物を以下に記載する。 装置は、インビボで細胞を動員して、これらの細胞を改変し、そしてその後、体の別の部位へとその遊走を促進する。このアプローチは本明細書において樹状細胞および癌ワクチン開発の文脈において例示されるが、病原性微生物に対するワクチンなどの他のワクチンのみならず、細胞治療全般にとっても有用である。本明細書において記載される装置を使用して教育された細胞は、材料にすぐ近接するかまたはいくらか離れた部位の組織または臓器の再生を促進する。あるいは、細胞は、組織(局所または遠隔部位)の破壊を促進するように教育される。方法はまた、疾患の予防にとって、例えば疾患の進行または加齢関連組織変化を停止または遅らせるために、組織構造および機能の、細胞に基づく維持を促進するために有用である。装置内での細胞の教育、「プログラミング」および「再プログラミング」によって、体内の任意の細胞の機能または活性が改変されて、再度、多能性幹細胞となり、かつ治療効果を発揮することができる。 伝統的なおよびエクスビボにおけるDCをベースとしたワクチン接種戦略は、癌患者における異質性のDCネットワークによって媒介される免疫応答を、協調して持続することができないことから、これらのアプローチの臨床有効性は限定的である。本明細書において記載される装置および方法は、pDCの優先的動員および増殖が癌抗原に対する免疫応答を劇的に改善して、以前のワクチンアプローチと比較して腫瘍進行を低減させることから、個別の利点を有する。 ポリヌクレオチド、ポリペプチド、または他の物質は、精製および/または単離される。特に、本明細書において使用した「単離された」または「精製された」核酸分子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、他の細胞性物質、または組換え技術によって産生された場合には培養培地、または化学合成された場合には化学物質前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない。精製された化合物は、関心対象の化合物の少なくとも60重量%(乾燥重量)である。好ましくは、調製物は、関心対象の化合物の少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%である。例えば、精製された化合物は、所望の化合物の少なくとも90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、98重量%、99重量%、または100重量%(w/w)である。純度は、任意の適切な標準的な方法によって、例えばカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析によって測定される。精製または単離されたポリヌクレオチド(リボ核酸(RNA)またはデオキシリボ核酸(DNA))は、その天然状態においてフランキングしている遺伝子または配列を含まない。精製または単離されたポリペプチドは、その天然状態においてフランキングしているアミノ酸または配列を含まない。精製されたとは、また、ヒト被験者への投与に関して安全である無菌度、例えば感染因子または毒性因子を欠いていることを定義する。 同様に、「実質的に純粋」によって、天然ではそれに付随している成分から分離されたヌクレオチドまたはポリペプチドを意味する。典型的には、ヌクレオチドおよびポリペプチドは、それらが天然で結び付いているタンパク質および天然の有機分子を少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%、またはさらには99重量%含んでいない場合に実質的に純粋である。 「単離された核酸」によって、核酸が由来する生物の天然のゲノムにおいてフランキングしている遺伝子を含まない核酸を意味する。該用語は、例えば(a)天然のゲノムDNA分子の一部であるが、それが天然の生物のゲノムの中の分子のその一部にフランキングしている両方の核酸配列によってフランキングされてないDNA;(b)生じる分子があらゆる天然のベクターまたはゲノムDNAとは同一ではないように、ベクターまたは原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAに組み入れられた核酸;(c)別々の分子、例えばcDNA、ゲノムフラグメント、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって産生されたフラグメント、または制限酵素フラグメント;および(d)ハイブリッド遺伝子、すなわち融合タンパク質をコードする遺伝子の一部である組換えヌクレオチド配列、を網羅する。本発明による単離された核酸分子は、さらに、合成的に製造された分子、ならびに、化学的に変化させたおよび/または改変された骨格を有する任意の核酸を含む。例えば、単離された核酸は、精製cDNAまたはRNAポリヌクレオチドである。単離された核酸分子はまた、メッセンジャーリボ核酸(mRNA)分子を含む。 「含む(comprising)」という移行句は、「包含する(including)」、「含有する(containing)」、または「によって特徴付けられる」と同義語であるが、これらは包括的または制限なく、かつ、これらはさらに他の列挙されていない要素または方法段階を除外しない。これに対し、「からなる」という移行句は、請求の範囲で明記されていない全ての要素、段階または成分を除外する。「本質的にからなる」という移行句は、請求の範囲を、発明の特定の物質または段階「および基本的および新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないもの」に限定する。 本発明の他の特徴および利点は、以下のその好ましい態様の記載から、および請求の範囲から明らかであろう。特に明確に定義されていない限り、本明細書に使用された全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の専門家によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたのと類似または等価な方法および材料を本発明の実践または試験に使用することができるが、適切な方法および材料が以下に記載されている。本明細書に引用された全ての公開されている外国特許および特許出願は、本明細書に参照により組み入れられる。本明細書に引用されたアクセッションナンバーによって示されるGenbankおよびNCBIへの提出物は、本明細書に参照により組み入れられる。本明細書に引用された全ての他の刊行された参考文献、文書、原稿、および科学文献は本明細書に参照により組み入れられる。矛盾のある場合には、本明細書(定義を含む)が規制する。さらに、材料、方法、および例は単に説明するためのものであり、限定するものではない。 (図1)図1は、感染に対する免疫応答の図である。図1は、細菌の侵入および細菌毒素が、常在皮膚細胞を損傷し、炎症性サイトカイン(GM-CSFを含む)の産生および皮膚内皮の活性化を促進する機序を示した図である。サイトカインによる刺激は白血球の血管外漏出を誘発し、そして皮膚常在DC(ランゲルハンス細胞)および単球/プレDCを動員する。炎症部位に動員されたDCは、細菌および細菌産物(抗原性分子、およびTLR9の活性化を刺激するCpGに富むDNAを含む)に遭遇してこれを摂取する。TLRとの連結および炎症状態の結果、DCは急速に成熟して、MHC−抗原複合体、共刺激分子、およびCCR7のその発現をアップレギュレーションし、そしてリンパ節へとホーミングし始め、そこで抗原特異的T細胞応答を開始しかつ増幅させる。 (図2)図2Aは、CpGに富むオリゴヌクレオチド配列とPEIの縮合の図解である。正に荷電したアミン基を有するPEIポリカチオンを、荷電比(NH3+:PO4-)で、負に荷電したリン酸基からなるCpG-ODNと混合すると、正に荷電したPEI-CpG-ODN縮合物が得られる。図2Bは、荷電比4、7および15のCpG-ODN 1826とそのPEIとの縮合物のゼータ電位(mv)を示した棒グラフである。ボックスプロットは、平均および標準偏差(n=4)を示す。図2Cは、荷電比4、7および15のCpG-ODN 1826とそのPEIとの縮合物の粒子径を示した棒グラフである。数値は、平均粒子径よび標準偏差(n=4)を示す。 (図3)図3A〜Cは、インビトロでのJAWSII DCによるCpG-ODNの取り込みを示す。図3A〜Bは、TAMRA標識CpG-ODN分子(A)またはPEI-CpG-ODN縮合物(B)の取り込みを示した、細胞の明視野画像およびその対応する蛍光画像である。図3Cは、110時間の期間におよぶ裸(-○-)およびPEI-CpG-ODN(-●-)縮合物の取り込みの定量を示した棒グラフである。図3Dは、PEI-CpG-ODN縮合物の取り込みおよびその後のJAWSII DC内での脱縮合の定量を示した折れ線グラフである。細胞中のPEI-CpG-ODN縮合物の数(-■-)および縮合していないCpG-ODNの量(--□--)を、70時間の期間をかけてモニタリングし、そして定量した。スケールバー 20μm。C(n>10個の細胞)およびD(n>7個の細胞)の数値は平均および標準偏差を示す。 (図4)(A)DC活性化の造影。図4Aは、PEIと縮合したTAMRAで標識されたCpG-ODN分子(荷電比7)の取り込みを示した蛍光画像に関連した、一連の活性化DCの形態の明視野画像である。図4Bは、非刺激(薄い色のついた線)、CpG-ODN(---)およびPEI-CpG-ODN縮合物(−)の後に、活性化マーカーCD86、MHCIIおよびCCR7について陽性であるJawsII DCの一連のFACSヒストグラムである。図4Cは、非刺激後、およびTNF-α/LPSまたはCpG-ODNまたはPEI-CpG-ODNでの刺激後、活性化マーカーCD86、MHCIIおよびCCR7について陽性であるDCの比率を示した作表データを示したチャートである。図4Dは、CpG-ODN、およびCCL19に向けてのDCの遊走を示した棒グラフである。トランスウェルシステムの上のウェルから300ng/mlのCCL19が補充された培地へ向けてのDCの遊走に対する、非刺激(■)、およびPEI(■)またはCpG-ODN(■)またはPEI-CpG-ODN(■)での刺激の効果。遊走の数は24時間後に計測した。スケールバー 20μm。CおよびD(n=4)の数値は平均および標準偏差を示す。CpG-ODN活性化培地(5μg/ml)。*P<0.05、**P<0.01。 (図5)図5Aは、0(□)、50(■)および500ng/mlのGM-CSF(■)が補充された培地中でのPEI-CpG-ODN(5μg/ml)による刺激後、MHCIIおよびCCR7の発現について陽性であるJawsII DCの比率を示した一連の棒グラフである。図5Bは、GM-CSFの存在下、CpG-ODN、およびCCL19へのDCの遊走を示した折れ線グラフである。トランスウェルシステムの上のウェルから、300ng/mlのCCL19で補充された培地へ向けてのDC遊走に対する、非刺激(-■-)、およびPEI(---)またはCpG-ODN(-●-)またはPEI-CpG-ODN(-●-)での刺激の効果。遊走の数は24時間後に計測した。数値は平均および標準偏差を示す。(n=4)。 (図6)図6Aは、長時間かけてのインビトロでのPBS中でのインキュベーションによりPLGマトリクス中に保持されたPEI-CpG-ODN縮合物の割合を示した折れ線グラフである。図6B〜Cは、CpG-ODNの負荷された足場からのJAWSII DCの遊走を示した棒グラフである。(B)5、50、500μgのCpG-ODNの負荷された足場から、300ng/mlのCCL19が補充された培地へと向かって遊走したDCの総数。(C)25μgのCpG-ODNの負荷された足場から、500ng/mlのGM-CSFの存在下、300ng/mlのCCL19が補充された培地へと向かって遊走したDCの総数。遊走の数は48時間後に計測した。数値は平均および標準偏差を示す(n=4または5)。 (図7)PLGをベースとした感染症模倣体は、インサイチューで持続的にDCをプログラミングする。図7aは、PLGマトリクスに負荷された種々の用量のPEI-CpG-ODNおよびGM-CSFに応答した、宿主DCの動員(細胞数)およびDCの活性化(MHCまたはCCR7を発現している%)の作表データを示したチャートである。マトリクスを、7日間、C57/BL6Jマウスの背中に埋め込んだ。図7Bは、C57/BL6Jマウスの背中に埋め込んだ7日後、PEI-ODN対照、10μgのPEI-CpG-ODN、400および3000ngのGM-CSF、ならびに10μgのPEI-CpG-ODNと組み合わせた400および3000ngのGM-CSFの負荷されたマトリクスから単離されたCD11c(+)MHCII(+)およびCD11c(+)CCR7(+)宿主DCの数を示した棒グラフである。数値は平均および標準偏差を示す(n=3〜5)。*P<0.05、**P<0.01。 (図8)感染症模倣体は、インサイチューでプログラミングされたDCを持続的に分散する。図8aは、FITCでペイントされたブランクマトリクス(-□-)、FITCでペイントされたGM-CSFの負荷されたマトリクス(-■-)、およびFITCでペイントされたGM-CSFおよびCpG-ODNマトリクス(-■-)でのその居住後、鼠径リンパ節にホーミングしたFITC(+)DCの数を時間の関数として示した棒グラフである。GM-CSFの用量は3000ngであり、そしてCPG-ODNの用量は10μgであった。図8Bは、C57BL/6Jマウスから抽出された鼠径リンパ節(対照)および10μgのCpG-ODN+3000ngのGM-CSFを取り込んだマトリクス(感染症模倣体)の埋め込みから10日後のC57BL/6Jマウスから抽出された鼠径リンパ節のデジタル写真である。図8C〜Dは、ブランクマトリクス(□)、および3000ngのGM-CSF(■)または10μgのCpG-ODN+3000ngのGM-CSF(■)を組み入れたマトリクスの埋め込みから2日後および7日後にC57BL/6Jマウスから抽出された鼠径リンパ節から単離された細胞(C)およびCD11c+DC(D)の総数を示した棒グラフである。A、CおよびDの数値は平均および標準偏差を示す(n=4または5)。*P<0.05、**P<0.01。 (図9)感染症模倣微小環境が、強力な抗腫瘍免疫を付与することを示した棒グラフである。PLG癌ワクチンをマウスに埋め込んだ後に腫瘍が発生するまでの時間。ブランクPLG足場(ブランク)と、抗原のみ(Lys)、抗原+3000ngのGM-CSF(Lys+3000ngのGMCSF)、抗原+PEI-CpG-ODN縮合物(Lys+CpG)、および抗原と3000ngのGM-CSFとPEI-CpG-ODNの組合せ(Lys+3000ng+PEI-CpG-ODN)の負荷された足場の間の比較。動物を、また、比較のためにGM-CSFを産生するように遺伝子的に改変された放射線の照射されたB16-F10黒色腫細胞を使用した細胞ベースのワクチン(細胞ベース)を使用して免疫化した。ワクチン接種から14日後、C57BL/6Jマウスに、105個ののB16-F10黒色腫細胞でチャレンジし、そして腫瘍の発症についてモニタリングした(n=9または10)。 (図10)T細胞応答に依存する感染症模倣体のワクチン接種効力。図10Aは、腫瘍溶解物、3000ngのGM-CSFおよびCpG-ODN、ならびにブランク(ブランク)足場対照の提示を適切に制御するPLG癌ワクチンでワクチン接種されたマウスからの腫瘍切片の一連の代表的な顕微鏡写真である。切片を染色して、20〜25日後に腫瘍を発達させたマウスから外植された腫瘍組織へのCD4(+)およびCD8(+) T細胞の浸潤を検出した。図10Bは、ワクチン接種を受けた動物のB16-F10黒色腫へのT細胞の浸潤を示した棒グラフである。腫瘍は、ブランクPLG足場(□)、またはB16-F10黒色腫溶解物、3000ngのGM-CSFおよび10μgのPEI-CpG-ODNを組み入れたPLG足場(■)で処置されたC57BL/6Jマウスから20〜25日目に外植された。無作為に選んだ腫瘍切片においてT細胞浸潤物を調べた(n=4、1mm3)。スケールバー 50μm。A、DおよびEの数値は平均および標準偏差を示す(n=3または4)。*P<0.05、**P<0.01。 (図11)インビボでのDCの動員およびプログラミングの制御。図11Aは、23日間の期間におよぶPLGマトリクスからのGM-CSFの累積的放出を示した折れ線グラフである。図11Bは、14日後にC57BL/6Jマウスの背中の皮下嚢から外植された切片化PLG足場のH & Eによる染色を示した写真である:ブランク足場、およびGM-CSF(3000ng)の負荷された足場。図11cは、外植された足場から単離され、そしてDCマーカーであるCD11cおよびCD86について染色された細胞の一連のFACSプロットである。細胞を、28日間埋め込まれたブランクおよびGM-CSF(3000ng)の負荷された足場から単離した。FACSプロットの数は、両方のマーカーについて陽性である細胞集団の比率を示す。図11Dは、ブランク対照(ブランク)に対して標準化された、1000、3000および7000ngのGM-CSFの用量に応答して、埋め込みから14日後にPLG足場から単離されたCD11c(+)CD86(+) DCの増加率を示した棒グラフである。図11Eは、0(-)、3000(--○--)および7000ng(--●--)のGM-CSFを組み入れたPLG足場の埋め込み部位におけるインビボでのGM-CSFの濃度プロファイルを、埋め込み後の時間の関数として示した折れ線グラフである。図11Fは、0(□)、400(■)、3000ng(■)、および7000ngのGM-CSF()の負荷された足場から単離されたCD11c(+)CCR7(+)宿主DCの比率を、C57BL/6Jマウスの背中に埋め込んだ後の時間の関数として示した棒グラフである。Bにおけるスケールバー 500μm。A、D、EおよびFの数値は平均および標準偏差を意味する(n=4または5)。*P<0.05、**P<0.01。 (図12)PLGマトリクスに浸潤しているDCに対して、CpG-ODNと共に抗原の共提示をすると、局所的なCD8+cDCの数、IL-12の産生およびCD8(+)の総細胞数が増強される。ブランクマトリクス[ブランク]、3000ngのGM-CSF[GM]または100μgのCpG-ODN[CpG]単独の用量または組合せ[CpG+GM]に応答して、または腫瘍溶解物と共提示された[GM+Ant、CpG+AntおよびCpG+GM+Ant]の埋め込みから10日後の、[図12A]形質細胞様DC、[B]CD11c(+)CD11b(+) cDC、および[図12C]CD11c(+)CD8(+) cDCの数。ブランクマトリクス[ブランク]、3000ngのGM-CSF[GM]または100μgのCpG-ODN[CpG]単独の用量または組合せ[CpG+GM]に応答して、または腫瘍溶解物と共提示された[GM+Ant、CpG+AntおよびCpG+GM+Ant]の埋め込みから10日後の、[図12D]IFN-α[E]IFN-γおよび[図12F]IL-12のインビボでの濃度。[図12G]。ブランクPLGマトリクス(-)、および3000ngのGM-CSFおよび100μgのCpG-ODN単独(---)または腫瘍抗原と共に(薄い色のついた線)負荷されたマトリクスに浸潤しているCD8(+)細胞のFACSヒストグラム。A〜Fの数値は平均および標準偏差を示す(n=4または5)。*P<0.05、**P<0.01。 (図13)CpG-ODNの提示および形質細胞様DCの富化によって調節される腫瘍からの防御。B16-F10黒色腫によるチャレンジの14日前にPLGワクチンでワクチン接種されたマウスの生存時間。(図13A)は、腫瘍溶解物、および1、10、50または100μgのCpG-ODNの負荷されたPLGマトリクスでワクチン接種されたマウスの生存時間の比較を示す。図13Bは、腫瘍溶解物、3000ngのGM-CSF、および1、10、50または100μgのCgG-ODNの負荷されたPLGマトリクスでワクチン接種されたマウスの生存時間の比較を示す。10日目のPLGワクチン接種部位における(図13C)CD11c(+)PDCA-1(+) DC、(図13D)CD11c(+)CD11b(+) DC、および(図13E)CD11c(+)CD8(+) cDCの数と、100日目のB16-F10黒色腫によるチャレンジから生き長らえた動物の比率との間の相関。図13Fは、10日目にPLGワクチン接種部位において生成されたCD11c(+)CD11b(+) cDC、CD11c(+)PDCA-1(+) pDC、およびCD11c(+)CD8(+) cDCからなる全DC集団の割合を示す。生存率は、B16-F10黒色腫細胞によるチャレンジから100日後に計測される。 (図14)図14A〜Bは、定着腫瘍に対するPLGワクチン効力を示す折れ線グラフである。図14Aは、ブランクPLG足場およびPLGワクチン(3μgのGM-CSF+100μgのCpG-ODN+腫瘍溶解物)で処置されたC57BL/6マウスの生存時間の比較を示す。図14Bは、ブランクPLG足場、およびPLGワクチン(3μgのGM-CSF+100μgのCpG-ODN+腫瘍溶解物)で処置されたC57BL/6マウスの腫瘍増殖の比較を示す。マウスに、0日目に5×105個のB16-F10黒色腫細胞を接種し、そして腫瘍を7日間増殖させ、その後、マウスにブランクPLGマトリクスまたはPLGワクチンのいずれかを埋め込んだ。平均腫瘍サイズは、最小直径と最大直径の積の半分として表現された。 (図15)図15A〜Bは、PLG足場からのGM-CSFの累積的放出と組み合わせた(A)CpGに富むオリゴヌクレオチド(CpG 1826)または(B)P(I:C)の累積的放出を示した折れ線グラフである。図15C〜Dは、対照の何倍増加として提示されたPLG足場から放出されたそれぞれP(I:C)およびMPLAの生物活性を示した棒グラフである。それぞれTLR3およびTLR4を発現し、そしてNF-κB依存性アルカリホスファターゼリポーターで安定にトランスフェクションされたHEK293細胞を刺激する、PLG足場から放出されたポリ(I:C)およびMPLAの能力によって測定された生物活性。生物活性は経時的に測定され、そして非刺激細胞の対照と比較した。図15Eは、PLG足場からのGM-CSFの累積的放出と組み合わせたMPLAを示した折れ線グラフである。数値は平均および標準偏差を示す(n=5または6)。これらのデータは、インビトロでのGM-CSFの負荷されたPLG足場からの種々のTLRアゴニストの放出動態および生物活性を示す。図15Fは、マクロ孔性PLG足場の上面を示した顕微鏡写真であり(スケールバー 3mm)、そして足場横断面のSEM顕微鏡写真である(スケールバー 50μm)。 (図16)図16A〜Dは、ワクチン部位におけるDCの動員および活性化はTLRアゴニスト提示によって調節されることを示した棒グラフである。GM-CSFの負荷されたマトリクス(GM)、ならびにCpG-ODN(CpG)、MPLA(MPLA)およびP(I:C)(P(IC))と組み合わせてGM-CSFの負荷されたマトリクスの埋め込みから7日後の足場部位に動員された、(A)CD11c(+) DC、(B)MHCIIおよびCD86発現について陽性である活性化CD11c(+) DC、(C)PDCA-1(+)形質細胞様DC、および(D)CD11c(+)CD8(+) DCの総数。図16Eは、マウスへの埋め込みから7日後の、GM-CSFの負荷された足場(対照)、またはCpG-ODN(CpG)、MPLA(MPLA)およびP(I:C)(P(IC))と組み合わせてGM-CSFの負荷された足場において、足場に浸潤する樹状細胞を示すFACSヒストグラムおよびプロットを示す。ヒストグラムは、示された足場配合物に浸潤しているCD11c(+)樹状細胞の相対出現頻度を示す。密度プロットは、活性化DCマーカーであるCD86(+)およびMHCII(+)と組み合わせてCD11c(+)について染色された細胞を示す。FACSプロットの右上の四分円の数は、活性化マーカーについて陽性であるCD11c(+)樹状細胞の比率を示す。図16Fは、GM-CSFの負荷されたマトリクス(対照)、ならびにCpG-ODN(CpG)、MPLA(MPLA)およびP(I:C)(P(IC))と組み合わせてGM-CSFの負荷されたマトリクスの埋め込みから7日後の足場部位における、CD11c(+) DCの総数、およびMHCIIおよびCD86発現について陽性である活性化CD11c(+) DCを示した棒グラフである。数値は平均および標準偏差を示す(n=6)。*P<0.05、**P<0.01、GM-CSFの負荷されたマトリクスと比較して。**P<0.01、GM-CSFの負荷されたマトリクス(対照)と比較して。図16Gおよび16Hは、ワクチン部位におけるCD8(+) DCおよびpDCサブセットおよびIL-12濃度を示した棒グラフである。図16Gは、GM-CSFの負荷された足場(対照)、およびCpG-ODN(CpG)、MPLA(MPLA)およびP(I:C)(P(IC))と組み合わせてGM-CSFの負荷された足場の埋め込みから7日後の足場部位におけるCD11c(+)CD8(+) DCおよびpDCの総数、および、(H)局所IL-12濃度を示す。数値は平均および標準偏差を示す(n=6)。**P<0.01、GM-CSFの負荷されたマトリクスと比較して(対照)。 (図17)図17A〜Cは、予防的ワクチン接種、ならびにワクチン部位におけるCD8(+)DCおよびpDCサブセットおよびIL-12濃度に対する相関を示したグラフである。B16-F10黒色腫によるチャレンジ(105個の細胞)の14日前にPLGワクチンでワクチン接種されたマウスの生存時間。図17Aは、非処置マウス(対照)、およびGMCSFの負荷されたPLG足場(GM-CSF)、またはCpG-ODN(CpG)、P(I:C)もしくはMPLAと組み合わせてGM-CSFの負荷されたPLG足場で処置されたマウスの生存時間の比較を示す。ワクチン部位における標準化された大きさの(B)CD11c(+)CD8(+) DC浸潤、(C)pDC浸潤、および(D)局所的IL-12濃度、対、100日後にB16-F10黒色腫によるチャレンジを生き長らえた動物の比率のプロット(生存データは(A;赤いデータ点)の実験条件およびこのシステムを使用して以前に報告されたデータから採用)。B〜Cのr値は、x軸の変数と生存率との間の直線相関係数を示す。 (図18)図18A〜Dは、足場埋め込みから14日後のワクチン部位におけるT細胞活性およびサイトカイン産生を示した棒グラフである。(A)GM-CSFの負荷されたマトリクス(GM)、ならびにCpG-ODN(CpG)、MPLA(MPLA)およびP(I:C)(P(IC))と組み合わせてGM-CSFの負荷されたマトリクスの埋め込みから14日後のCD3(+)CD8(+)細胞障害性T細胞の数。GM-CSFの負荷されたマトリクス(GM)、ならびにCpG-ODN(CpG)、MPLA(MPLA)およびP(I:C)(P(IC))と組み合わせてGM-CSFの負荷されたマトリクスの埋め込みから14日後の(B)IL-12、(C)ランテス、および(D)IFN-□のインビボでの濃度。数値は平均および標準偏差を示す(n=5)。*P<0.05、**P<0.01、対照マトリクス(GM-CSFの負荷された)と比較して。 (図19)図19A〜Fは、治療ワクチン接種および抗腫瘍T細胞活性を示したグラフである。定着した黒色腫を有し(5×105個のB16-F10細胞を使用して接種し、そして9日間発達させた)、そしてGM-CSFの負荷されたマトリクス(対照)、またはCpG-ODN(CpG)、MPLA(MPLA)およびP(I:C)(P(IC))と組み合わせてGM-CSFの負荷されたマトリクスのいずれかで処置されたマウスの(A)腫瘍サイズおよび(B)全生存率の比較。(C)腫瘍によるチャレンジから18日後の外植腫瘍から単離された腫瘍浸潤白血球を示すFACSプロット。マウスを、腫瘍接種から9日後に、GM-CSFの負荷されたマトリクス(対照)、またはCpG-ODN(CpG)、MPLA(MPLA)およびP(I:C)(P(IC))と組み合わせてGM-CSFの負荷されたマトリクスで処置し、そして腫瘍からの細胞単離物を18日目に調製し、そして活性化細胞障害性T細胞マーカーであるCD8(+)およびCD107aについて染色した。FACSプロットの数は、両方のマーカーについて陽性である細胞集団の比率を示す。(D)非処置マウス(ナイーブ)または種々の処置によりワクチン接種されたマウスにおいてIFNγおよびCD107aの両方について陽性であるCD8(+)腫瘍浸潤T細胞の数。(E)ワクチン接種されたマウスの脾臓細胞におけるTrp2特異的細胞障害性T細胞の総数。図19Fは、17日目の腫瘍サイズの比較を示した棒グラフである。*P<0.05、**P<0.01、特記しない限り、対照マトリクス(GM-CSFの負荷された)と比較して。 (図20)図20は、ワクチン効力が、CD8(+) DCを欠失しているマウスにおいて損なわれていることを示した一連の棒グラフ、折れ線グラフおよびドットプロットである。(A)B16-F10黒色腫によるチャレンジ(105個の細胞)の14日前にPLGワクチンでワクチン接種された、非処置マウス(対照)である野生型C57BL/6Jマウス(WT)およびBatf3-/-マウス(CD8 DC KO)の生存時間。(B)埋め込みから10日後の、野生型C57BL/6Jマウス(WT)およびBatf3-/-マウス(CD8 DC KO)のPLGワクチン部位における細胞障害性T細胞および制御性T細胞の分析。FACSドットブロットは、CD3(+)およびTrp2(+)四量体について染色された足場浸潤細胞を示す。FACSプロットの右上四分円の数は、ワクチン部位におけるTrp2特異的細胞障害性T細胞の比率を示し、そして右下四分円の数は、残りのT細胞集団を示す。グラフは、埋め込み部位におけるTrp2特異的細胞障害性T細胞の総数およびCD8(+)細胞障害性T細胞と制御性T細胞の比を示す。(C)ワクチン部位におけるIL-12濃度の増加倍数および(D)ワクチン接種された野生型C57BL/6Jマウス(WT)およびBatf3-/-マウス(CD8 DC KO)の脾臓におけるTrp(2)特異的細胞障害性T細胞。CpG-ODNは、ワクチンで使用されたアジュバントであった。データは平均および標準偏差を意味する、(n=5)*P<0.05、**P<0.01。 (図21)図21は、一連の棒グラフである。図21Aは、負荷足場(対照)、ならびにCpG-ODN(CpG)、MPLA(MPLA)およびP(I:C)(P(IC))と組み合わせてGM-CSFの負荷された足場の埋め込み後の局所TNF-α濃度の棒グラフを示す(n=5)。数値は平均および標準偏差を示す(n=5)。**P<0.01、GM-CSFの負荷されたマトリクス(対照)と比較して。図21Bは、GM-CSFの負荷された足場(対照)、およびCpG-ODN(CpG)、MPLA(MPLA)およびP(I:C)(P(IC))と組み合わせてGM-CSFの負荷された足場の埋め込み後の局所IFN-α濃度を示す。数値は平均および標準偏差を示す(n=5)。**P<0.01、GM-CSFの負荷されたマトリクス(対照)と比較して。図21Cは、野生型(vax)およびCd8atm1Mak/Jマウス(CD8 Tc KO)における、GM-CSFの負荷された足場(対照)およびワクチン足場(腫瘍溶解物、GM-CSFおよびCpG-ODNの負荷された)(CpG)の埋め込み後の局所IL-12p70濃度を示す。図21Dは、野生型(vax)およびB6.129S2-Cd8atm1Mak/Jマウス(CD8 Tc KO)における、GM-CSFの負荷された足場(対照)およびワクチン足場(腫瘍溶解物、GM-CSFおよびCpG-ODNの負荷された)(CpG)の埋め込み後の局所INF-γ濃度を示す。 (図22)図22は、CpG-ODNおよび/またはP(I:C)を組み入れたPLGワクチンが有意な腫瘍からの防御を生じることを示した折れ線グラフである。黒色腫を有し、そしてブランクマトリクス[ブランク]、あるいはCpG-ODNもしくはP(I:C)を単独でまたは組み合わせて[CpG-ODN+P(I:C)]負荷されたマトリクスのいずれかで処置されたマウスの全生存率(n=8)。マウスに5×105個のB16-F10細胞でチャレンジし、そしてPLGワクチンで3日後にワクチン接種した。TLRアゴニストの全用量は、全てのワクチンにおいて約100μgであった。 (図23)図23は、インビトロにおけるDCの走化性およびケモキネシスを実証した棒グラフである。対照培地、ならびにGMCSF、Flt3LおよびCCL20が補充された培地に応答した、骨髄由来のDCのインビトロでの(図23A)走化性および(図23B)ケモキネシス。*P<0.05、**P<0.01、GM-CSFの負荷されたマトリクスと比較して。数値は平均および標準偏差を示す(n=4)。 (図24)図24は、DC動員のためにサイトカインを放出するPLG足場を示す一連の折れ線グラフ、棒グラフ、および顕微鏡写真である。図24Aは、PLG足場からのGM-CSF、Flt3LまたはCCL20の累積的放出を示す。図24Bは、埋め込みから10日後の、マクロ孔性ブランク足場(左)およびGM-CSFの負荷された足場(右)へのCD11(+) DCの浸潤物(ピンク色)について染色した足場の組織学的切片の代表的な写真を示す。スケールバー 100μm。図24Cは、ブランクPLGマトリクス(対照)、ならびにGM-CSF(GM)、Flt3L(FL3)およびCCL20(CCL20)の負荷されたマトリクスの埋め込みから7日後の足場部位におけるCD11c(+)DCの総数を示す。数値は平均および標準偏差を示す(n=6)。*P<0.05、**P<0.01、GM-CSFの負荷されたマトリクスと比較して。 (図25)図25は、サイトカインおよびCpG-ODNの負荷されたPLGマトリクスによって媒介されるDCの動員および活性化を示した一連の折れ線グラフ、ドットプロット、および棒グラフである。図25Aは、マウスへの埋め込みから7日後における、CpG-ODNの負荷されたPLG足場(対照)、またはCpG-ODNと組み合わせてGM-CSF(GM)、Flt3L(Fl3L)もしくはCCL20(CCL20)の負荷された足場において、足場に浸潤している樹状細胞を示すFACSヒストグラムおよびプロットを示す。ヒストグラムは、示された足場配合物に浸潤しているCD11c(+) DCにおけるMHCIIおよびCD86の発現の相対頻度を示す。ドットプロットは、活性化された形質細胞様DCマーカーのPDCA-1と組み合わせてCD11c(+)について染色された細胞を示す。FACSプロットの右上四分円の数は、CD11c(+)PDCA-1(+) pDCの比率を示す。図25Bは、MHCIIおよびCD86の発現について陽性の活性化CD11c(+) DCの総数を示し、そして図25Cは、CpG-ODNの負荷されたPLG足場(対照)、またはCpG-ODNと組み合わせてGM-CSF(GM)、Flt3L(Fl3L)もしくはCCL20(CCL20)の負荷された足場の埋め込みから7日後に足場に存在するCD11c(+)PDCA-1(+) pDCを示す。数値は平均および標準偏差を示す(n=5)。*P<0.05、**P<0.01、特記しない限り、対照(対照)と比較して。 (図26)図26は、PLGワクチンが、免疫防御性サイトカイン、抗原特異的T細胞、および癌からの防御を生じることを示した一連の棒グラフおよび折れ線グラフである。B16-F10腫瘍溶解物、CpG-ODNを、GM-CSF(GM)、Flt3L(Fl3L)またはCCL20(CCL20)と組み合わせて負荷された足場の埋め込み後の局所(図26A)IL-12濃度および(図26B)IFN-γ濃度の差の倍数。濃度を、対照(溶解物およびCpG-ODNを送達するが、サイトカインは全く送達しないマトリクス)を使用して認められる数値に対して標準化した(図25C)。埋め込みから10日後のワクチン接種動物の脾臓におけるTrp2特異的CD8(+) T細胞の総数。図25Dは、黒色腫を有し、そしてCpG-ODNの負荷されたマトリクス(ブランク)またはGMCSF、Flt3LおよびCCL20と組み合わせてCpG-ODNの負荷されたマトリクスのいずれかで処置された、マウスの全生存率を示す(n=8)。数値は平均および標準偏差を示す(n=5)。*P<0.05、CCL20の負荷されたマトリクス(CC20)と比較して。発明の詳細な説明 本発明より以前に、癌ワクチンは典型的に、研究室における面倒で費用のかかる細胞の操作に依存し、その後の細胞移植によって、不十分なリンパ節ホーミングおよび限定された効力がもたらされた。本発明は、細菌感染症の重要な局面を模倣する材料を使用して、体内における免疫細胞の輸送および活性化を直接制御することによって、これらの問題を解決する。癌ワクチン接種時のTLRアゴニストの提示により、免疫細胞の活性化が亢進する。ワクチンおよび方法は、構造化ポリマー装置に包埋されたTLRアゴニストの組み入れおよび提示を含む。本明細書に記載されたデータは、癌ワクチン接種のためのCD8(+)樹状細胞(DC)および形質細胞様DC(ならびに通常のDC)の重要な役割を実証し、これらはTLRアゴニストを含有する構造化ポリマー装置を使用して、優先的に動員および活性化される。装置は、腫瘍特異的抗原およびTLRアゴニストの充填された。小さな、生物工学操作された多孔性のディスクとして製造される。ディスクは、体内に埋め込まれ、例えば皮下に挿入され、そこでそれは免疫系を活性化して腫瘍細胞を破壊する。典型的な以前の方法は、体外で細胞を増殖させることを含むが、このアプローチは、体内にすでに存在する細胞を再プログラミングする。 いくつかの例において、装置は動員成分を含む。したがって、装置は任意で、サイトカインなどの動員分子を含む。そうした状況において、ポリマーは、最初にサイトカインを放出して、宿主樹状細胞(DC)を動員および収容し、そして続いて、癌抗原および危険シグナルを提示して、常在DCを活性化し、そしてリンパ節へのそのホーミングを劇的に増強するように設計された。特異的かつ防御的な抗腫瘍免疫をこれらの材料を使用して発生させ、90%の生存率を動物において達成し、さもなくば25日以内に癌により死亡した。これらの材料は癌および他のワクチンにおいて、体内の種々の細胞型の輸送をプログラミングおよび制御するために有用である。 ポリマーシステムは、薬物送達装置として役立つのみならず、それに対してDCが動員され、そこにDCが常在する物理的な抗原提示構造としても役立つように設計され、常在のあいだにDCは材料(ポリ[ラクチド−コ−グリコリド])および生物活性分子(GM-CSFおよびCpG-ODN)を使用して活性化される。これらの生物活性分子は優れた安全性プロファイルを有する。材料システムは、効果的な癌ワクチンとして役立ち、既存の細胞治療につきものの時間、出費、および規制の負担を解消して、かつ多数回の全身注射、および高い総薬物負荷の必要性を低減または消失させる。本明細書において記載される装置は、インサイチューでDCをプログラミングするために感染症模倣材料を利用する。 ワクチン接種のための材料システムを適切に設計するために、GM-CSFがインビトロでDCの動員、活性化および遊出に強い影響を与えることができることの定量的理解を発展させた。GM-CSFはDCの動員および増殖を用量依存的に増強した。しかしながら、高濃度(>100ng/ml)のGM-CSFは、リンパ節由来化学誘引物質(CCL19)に向かうDCの遊走を阻害した。免疫組織化学染色により、高濃度のGM-CSF(500ng/ml)はまた、DCによるCCL19受容体CCR7およびMHCIIの発現をダウンレギュレートさせることが判明した。これらの結果は、インビボでDCを動員かつプログラミングの両方をするためにGM-CSF曝露に対する制御が必要であることを示した。GM-CSF単独を両方の目的のために使用する場合、その局所濃度は、材料に捕捉されるようになったDCを解放するために経時的に減少するように設計される。あるいは、局所環境における危険シグナル(例えば、CpG-ODN)の提供を使用して、一旦DCが感染症模倣部位に常在したらGM-CSF阻害からDCを解放するようにする。 この理解に基づいて、インビボで規定された空間的時間的様式で、GM-CSF、危険シグナル、および癌抗原を提示するように、ならびに動員DCがプログラミングされる際の居所として役立つように、マクロ孔性ポリ−ラクチド−コ−グリコリド(PLG)マトリクスを設計した。GM-CSFは、高圧CO2発泡プロセスを使用してPLG足場に封入した(54%の効率)。これらのマトリクスは、最初の5日以内にその生物活性GM-CSF負荷の約60%を放出し、その後、生物活性GM-CSFの緩徐かつ持続的な放出が次の10日間にわたって起こった。この放出プロファイルは、常在DCを効率よく動員するように周辺組織の中へと因子が拡散することを可能にする。 本明細書に記載されているように、インサイチューの樹状細胞標的化システムを使用して、TLRアゴニストを用いて免疫系を治療的に操作する。以下に詳細に記載されているように、インビボにおいて3つの異なるクラスのTLRアゴニストを送達する多孔性ポリマー足場が設計された:DCの動員および活性化を増大させるために、GM-CSF、Flt3L、またはCCL20と組み合わせた、CpG-ODN、MPLAおよびP(I:C)。インサイチューでマクロ孔性マトリクスからTLRを提示することによりDCサブセットの生成を調節できること、およびB16-F10黒色腫モデルにおける癌ワクチン効力も特徴付けられた。これらのシステムが免疫防御および腫瘍退縮を発揮する能力はCD8(+) DCを必要とし、そして、TLRアゴニストの種類または用量に関係なく、形質細胞様DC(pDC)およびIL-12の産生と強く相関した。したがって、本明細書に提示された結果は、インサイチューで免疫療法のためにDCサブセットを調節するために、3Dポリマーマトリクスが使用されることを実証し、そしてCD8(+) DC、pDCおよびIL-12シグナル伝達は、成功裏の材料をベースとしたワクチン接種プロトコルの重要な成分であることを示す。 免疫の発生は、樹状細胞(DC)とT細胞との間の協力を必要とする。なぜなら、DCによる細胞障害性Tリンパ球(CTL)のプライミングは、感染および腫瘍に対する戦いにおいて重要な事象であるからである(Lanzavecchia A. and Sallusto F., 2001 Cell, 106:263-266)。DCは、病原体関連分子パターン(PAMP)および抗原性分子を認識、処理および解読することによって免疫応答を調節する(Banchereau J and Steinman RM., 1998 Nature, 392:245-252; Mellman I. and Steinman R. M., 2001 Cell, 106:255-258; Sansonetti P. J., 2006 Nat.Immunol., 7:1237-1242; Meylan et al., 2006 Nature, 442:39-44; Akira et al., 2006 Cell, 124:783-801)。DC細胞内にまたはDC表面に存在するパターン認識受容体(PRR)によるPAMPの認識は、感染の存在をシグナル伝達し、そしてシグナル伝達経路をトリガーし、その結果、最終的にDCが活性化される(Sansonetti P. J., 2006 Nat.Immunol., 7:1237-1242; Meylan et al., 2006 Nature, 442:39-44; Alira et al., 2006 Cell, 124:783-801)。一般的に、活性化されたDCは、MHCおよび共刺激分子および炎症誘発性サイトカインの増強された発現によって特徴付けられ、これは、DCが、病原性シグナルをナイーブT細胞に翻訳し、そして獲得免疫応答をトリガーすることを可能とする(Banchereau J and Steinman RM., 1998 Nature, 392:245-252; Mellman I. and Steinman R.M., 2001 Cell, 106:255-258; Sansonetti P.J., 2006 Nat. Immunol., 7:1237-1242; Meylan et al., 2006 Nature, 442:39-44;Akira et al., 2006 Cell, 124:783-801; Gilboa, E., 2007 J Clin Invest., 117:1195-1203; Banchereau J.and Steinman R.M., 2007 Nature, 49:419-426)。DCは、特化された機能を実施する別個のサブセットのネットワークとして作用して、T細胞応答を刺激および極性化し、免疫調節を調和させる(Naik et al., 2007 Nat Immunol, 8:1217-1226; O'Garral A.およびTrinchieri G. 2004 Nat Immunol, 5:1206-1208; D'Amico A and Wu L., 2003 J Exp Med, 2:293-303; Villadangos JA and Schnorrer P, 2007 Nat Rev Immunol, 7:543-555; Liu YJ, 2001 Cell, 106:259-262; Jego et al., 2003 Immunity, 19:225-234; Randolph et al., 2008 Annu. Rev. Immunol., 26:293-316)。抗原処理およびT細胞への提示は主に、CD8(-) DCおよびCD8(+) DCの両方からなる通常のDCサブセット(cDC)に起因する。CD8(+) DCは、外来性抗原の交差提示、IL-12の産生および細胞障害性T細胞応答の誘導に特に熟達している(Schnorrer P, 2006 PNAS 28:10729-34; Skokos D.and Nussenzweig M.C., J Exp Med, 204:1525-1531; Den Haana et al., 2000 J Exp Med, 12:1685-1696; Moser M. and Murphy K.M., 2000 Nat. Immunol., 1:199-205; Hildner et al., 2008 Science, 322:1097-1100)。形質細胞様DC(pDC)サブセットは、特にウイルス感染中、微生物核酸に応答してかなりの量の1型インターフェロン(IFN)を産生して、疾患の一掃のためにT細胞の活性化、増殖および生存を促進する能力を有する(Liu YJ, 2001 Cell,106:259-262; Jego et al., 2003 Immunity, 19:225-234; Randolph et al., 2008 Annu. Rev. Immunol., 26:293-316; Kanzler et al., 2007 Nat. Med., 13:552-559)。さらに、pDCおよびCD8(+) DCサブセットによって媒介されるプロセスは、感染および腫瘍の制御のための1型ヘルパーT(Th1)エフェクター細胞のプライミングに関連している。活性化DCサブセットのバランスのとれた分布は、自己免疫疾患および腫瘍の制御と関連し、このことは、これらの細胞が、防御免疫の発生中に協力し得ることを示す。 本明細書に記載された本発明より前に、癌ワクチンは、エクスビボで投与前にまたはインサイチューのいずれかでDCを活性化するために、免疫刺激シグナルと組み合わせて抗原を導入するように設計されている(Gilboa E., 2007 J Clin Invest., 117:1195-1203; Banchereau J. and Steinman RM., 2007 Nature, 49:419-426; Kanzler et al., 2007 Nat. Med., 13:552-559; Hansen et al., 2013 Vaccine, 31(4), 639-46; Schuler et al., 2003 Curr Opin Immunol, 15:138-147; Curiel T.J., 2002 J Clin Invest, 109:311-312)。炎症誘発性サイトカイン、toll様受容体(TLR)ファミリーによって認識されるPAMP、ならびに自然免疫細胞および獲得免疫細胞からのフィードバックシグナルを含む、一連の刺激を使用して、DCの成熟および分化をトリガーする。以下に詳細に記載したように、これらの刺激とDCサブセットの別個の組合せは、T細胞の活性化および極性化を差次的に制御し、そしてこれらの成分は、腫瘍または感染因子を根絶する効果的な免疫応答を発生するように最適化して活用される。しかしながら、どのような成分およびDCサブセットが癌ワクチンに包含されるべきであるかは現在不明瞭である。なぜなら、一部には、現在の技術では、培養または標的化することのできる細胞型が限定されているからである(Kanzler et al., 2007 Nat. Med., 13:552-559; Hansen et al., 2013 Vaccine, 31(4), 639-46; Schuler et al., 2003 Curr Opin Immunol, 15:138-147; Curiel T.J, 2002 J Clin Invest, 109:311-312)。臨床で広く使用されている標準的なDCをベースとしたプロトコルは、単球由来の通常のDCを使用し、これは、抗原を交差提示することができないか、またはCTLにより媒介される免疫応答および腫瘍細胞死を刺激することのできるIL-12または1型IFNを効率的に産生することができない(Hansen et al., 2013 Vaccine, 31(4), 639-46; Schuler et al., 2003 Curr Opin Immunol, 15:138-147; Curiel T.J, 2002 J Clin Invest, 109:311-312)。本明細書に記載された本発明より以前に、CTLプライミング能を高めるために、TLRアゴニストと組み合わせて1型分化DCを使用する試みがあったが、この成熟には、埋め込み時に遊走機能および刺激機能の低下を伴う(Hansen et al., 2013 Vaccine, 31(4), 639-46)。本明細書に記載されているのは、GMCSFおよびCpG−オリゴヌクレオチド(CpG-ODN)アジュバントの提示を正確に制御することによって、インビボにおいてDCの輸送および活性化を調節するマクロ孔性ポリマーマトリクスである(Ali et al., 2009 Nat Mater, 2:151-8; Ali et al., 2009 Sci Transl Med, 1:8-19)。癌ワクチンとして適用されると、これらのマトリクスは、CTLにより媒介される黒色腫の根絶を誘導した(Ali et al., 2009 Sci Transl Med, 1:8-19)。 本明細書に記載されているように、マトリクスは、3つの異なるクラスのTLRアゴニスト、すなわちCpG-ODN、モノホスホリルリピドA(MPLA)およびポリイノシン酸:ポリシチジル酸(P(I:C))(これらは全てGM-CSFと組み合わせられている)を提示するように改変された。各ワクチンがインビボにおいて、活性化されたDCサブセットを動員および生成する能力をまず定量した。B16-F10黒色腫のワクチンモデルにおいて、T細胞により媒介される免疫および癌ワクチン効力に対するDCの誘導の影響を次に評価した。これらの研究は、抗腫瘍効力がCD8(+) DCを必要とし、そしてpDC数および局所IL-12の産生と強く相関していることを実証する。生存成績も数々の炎症性サイトカインに相関し、これにより、IL-12の産生と抗腫瘍効力との間の強い関係が判明した。要するに、本明細書に提示された結果は、インサイチューでのワクチン接種では種々のDCサブセットが動員および利用され、そして、癌ワクチン設計に重要な細胞的および分子的洞察を与えることを実証する。炎症メディエータ 樹状細胞(DC)の増殖、遊走、および成熟は、炎症性メディエータに対して感受性であり、そして顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)は、特に癌抗原に対する免疫応答の強力な刺激物質として同定されている。GM-CSFはまた、これらの抗原提示免疫細胞を動員およびプログラミングする能力も有する。加えて、細菌DNAにおいて見い出されるシトシン−グアノシン(CpG)オリゴヌクレオチド(CpG-ODN)配列は、DC活性化を刺激して、特異的T細胞応答に至る強力な免疫モジュレーターである。外因性のGM-CSFおよびCpG-ODNの提示による感染症模倣微小環境の作製は、DC遊走の数および時期を正確に制御して抗原特異的免疫応答をモジュレートするための手段を提供する。 脊椎動物の免疫系は、抗原特異的応答の生成および感染症の一掃に長けた、病原体を認識するための様々な機序を使用する。免疫は、抗原提示細胞(APC)によって、特に、抗原を捕捉して、かつ刺激、すなわち細菌DNAにおけるCpGジヌクレオチド配列などの侵入病原体の独特な「危険シグナル」によって活性化される樹状細胞(DC)によって制御される(その各々が参照により本明細書に組み入れられる、Banchereau J, and Steinman RM. Nature. 392, 245-252. (1998); Klinman DM. Nat. Rev. Immunol. 4, 249-58 (2004))。 しかしながら、自己組織に由来する癌細胞は、DC成熟のシグナルを伝達するために必要な危険シグナルを欠いており、代わりに細胞が免疫から回避することを可能にする免疫抑制性の微小環境を促進する。感染の重要な要素は、炎症性サイトカインおよび危険シグナルである(図1)。ポリマー材料システムは、ワクチンとして有用なインサイチューの感染症模倣微小環境を提供するために必要な空間的時間的様式で、これらの因子を提示するのに理想的である。これらの感染症模倣体は、宿主DCの持続的プログラミングを提供し、インサイチューでの効率的なDC活性化および分散を提供する。これらの感染症模倣装置は、黒色腫癌ワクチンを含む多数のワクチン応用に使用されている。 多くの感染症において、炎症性サイトカインおよび危険シグナルは、免疫認識および病原体の一掃を媒介する特異的DC応答を刺激する(図1)。例えば、細菌の侵入および毒素の放出の際に、線維芽細胞、ケラチノサイト、およびメラノサイトのような皮膚細胞が損傷を受けて、それによってランゲルハンスDC(皮膚)およびDC前駆体(単球;血液)を動員するように作用するGM-CSF(Hamilton J. Trends in Immunol. 23, 403-408. (2002); Hamilton J., and Anderson G. Growth Factors. 22(4), 225-231. (2004);その各々が参照により本明細書に組み入れられる)のような炎症性サイトカインが放出される(Hamilton J. Trends in Immunol. 23, 403-408. (2002); Hamilton J., and Anderson G. Growth Factors. 22(4), 225-231. (2004);Bowne W.B., et al. Cytokines Cell Mol Ther. 5(4), 217-25. (1999).; Dranoff, G. Nat. Rev. Cancer 4, 11-22 (2004);各々が参照により本明細書に組み入れられる)。DCは、感染部位に達すると、分化し始め、炎症に応答して貪食能を増加させて(Mellman I., and Steinman R.M. Cell. 106, 255-258. (2001)、参照により本明細書に組み入れられる)、細菌またはその産物を摂取したDCは抗原を処理し始めて、細菌DNAにおけるCpGジヌクレオチド配列によって刺激されるエンドソームTLR9シグナル伝達によって、DC成熟は進行する(Krieg A. M., Hartmann G., and Weiner G. J. CpG DNA: A potent signal for growth, activation, and maturation of human dendritic cells. Proc Natl Acad Sci U S A. 16, 9305-9310(1999);参照により本明細書に組み入れられる)。次に、成熟DCは、リンパ節にホーミングして、そこでそれらは感染症を一掃する抗原特異的T細胞応答をプライミングする。 CpG-ODNは、CCR7、CD80/86共刺激分子、およびMHC抗原複合体のDCによる発現をアップレギュレートする強力な「危険シグナル」である。重要なことに、TLR9シグナル伝達は、サイトカイン産生(例えば、1型IFN)およびMHCI分子上への抗原の交差提示によって、Th1様の細胞傷害性T細胞応答を促進するようにDCを誘導する。これらのシグナルを腫瘍抗原と同時に提示することは、癌細胞と効果的に戦う免疫応答を促進するために必要な危険シグナルを提供する。 異なるクラスのCPG-ODNは、ODNの特定の構造および配列に応じて異なる免疫応答を促進する。本発明において利用されるODNであるCpG-ODN 1826は、黒色腫を含む様々なマウスワクチン接種モデルにおいて試験されて成功を収めている。CpG-ODN 1826は、単独で、またはペプチドワクチンおよび全細胞ワクチンのためのアジュバントとして使用された場合に有益な効果を示している。さらに、ODN 1826はDCの成熟およびサイトカイン産生を直接促進することが示されている。この特定のCpG ODN配列はまた、Th1細胞およびNK細胞を間接的に活性化して、このように、獲得細胞免疫応答を増強する。 DCへのCpGの内部移行を促進してTLR9への送達およびその局在化を増強させるベクターシステムが開発されている。アミンに富むポリカチオンであるポリエチレンイミン(PEI)は、DNAリン酸基との結合によって、プラスミドDNAと縮合させるために広く使用されており、それによって細胞膜との結合および細胞へのDNA取り込みを容易にする小さい正に荷電した縮合物が得られる(Godbey W. T., Wu K. K., and Mikos, A. G. J. of Biomed Mater Res, 1999, 45, 268-275;Godbey W. T., Wu K. K., and Mikos, A. G. Proc Natl Acad Sci U S A. 96(9), 5177-81. (1999);その各々が参照により本明細書に組み入れられる)。その結果、PEIは、遺伝子のトランスフェクションを増強するために、およびインサイチューで宿主細胞における長期間の遺伝子発現を促進するPEI-DNA負荷PLGマトリクスを製作するために、非ウイルスベクターとして利用されている(Huang YC, Riddle F, Rice KG, and Mooney DJ. Hum Gene Ther. 5, 609-17. (2005)、参照により本明細書に組み入れられる)。それ故、CpG-ODNをPEI分子と縮合して、アミン−リン酸の電荷比に依存したこれらのPEI-CpG-ODN縮合物のサイズおよび電荷を特徴付けた。CpG-ODNのDCへの内部移行をPEI縮合物が増強できるかを評価し、そしてDC内のPEI-CpG-ODNのその後の脱縮合、およびDC活性化のその促進をインビトロで分析した。PEI-CpG-ODNが第3章において記載されるGM-CSFベースのシステムの効果をワクチン接種時に改善できるかどうかを決定するために、GM-CSFの存在下でのDCの成熟および可動化に及ぼすその刺激効果も調べた。 インサイチューで感染症を適切に模倣して細胞をプログラミングするために、PLGシステムは、炎症性サイトカイン(例えば、GM-CSF)を放出する薬物送達装置として役立つのみならず、DCが動員されて常在し、その間にそれらが危険シグナル(例えば、CpG-ODN)によって活性化される物理的構造としても役立つように設計された。多孔性PLGマトリクスへのDCの動員および多孔性PLGマトリクス内でのDCの常在を制御する能力は、インサイチューでGM-CSFの送達に対する時間的制御を使用されることによって達成され、それによってGM-CSFレベルがインサイチューで低下するように設計された場合に限って、プログラミングされたDCのバッチが分散される。このシステムは、プログラミングされたDCの6%をリンパ節に分散し、そして癌ワクチンとして適用した場合にマウスの23%において防御的抗腫瘍免疫を誘導した。細胞のプログラミングおよび分散効率は、GM-CSF阻害からDCを持続的に解放し、そしてインサイチューで高いGM-CSFレベルの存在下でのDCの成熟および分散を促進する、圧倒的な二次シグナル(CpG-ODN)を使用して改善される。具体的に、PLGマトリクスは、外因性のGM-CSFと共に合成CpG-ODNを局所提示することにより製作され、これにより、GM-CSFによって動員されたDCがインサイチューでCpG-ODNによって刺激されることが可能となる。樹状細胞 樹状細胞(DC)は、哺乳動物免疫系内の免疫細胞であり、そして造血骨髄前駆細胞に由来する。より具体的には、樹状細胞は、リンパ系(または形質細胞様)または骨髄前駆細胞からそれぞれ生じる、リンパ系(または形質細胞様)樹状細胞(pDC)および骨髄系樹状細胞(mDC)の小分類に分類され得る。前駆細胞の種類によらず、前駆細胞から未成熟な樹状細胞が産まれる。未成熟樹状細胞は、高いエンドサイトーシス活性と低いT細胞活性化能とを特徴とする。したがって、未成熟樹状細胞は構成的に、病原体についてそのすぐそばの周囲の環境をサンプリングする。例示的な病原体には、ウイルスまたは細菌が含まれるがこれらに限定されるわけではない。サンプリングは、toll様受容体(TLR)のようなパターン認識受容体(PRR)によって達成される。樹状細胞は、toll様受容体のようなパターン認識受容体によって病原体を認識すると、活性化して成熟する。 成熟樹状細胞は、病原体を貪食してそれらを切断するのみならず、またそのタンパク質を分解し、そしてMHC(主要織適合性抗原複合体)分子(クラスI、IIおよびIII)を使用してその細胞表面上に抗原と呼ばれるこれらのタンパク質の小片を提示する。成熟樹状細胞はまた、T細胞活性化の共受容体として役立つ細胞表面受容体をアップレギュレートする。例示的な共受容体には、CD80、CD86、およびCD40が含まれるがこれらに限定されるわけではない。同時に、成熟樹状細胞は、CCR7のような走化性受容体をアップレギュレートして、それによって細胞は、血流またはリンパ系を通じてそれぞれ脾臓またはリンパ節へと遊走することが可能になる。 樹状細胞は、皮膚のような外部環境に接触する外部組織に存在する(皮膚に常在する樹状細胞はまた、ランゲルハンス細胞とも呼ばれる)。あるいは、樹状細胞は、鼻、肺、胃、および腸管の内層のような外部環境に接触する内部組織に存在する。最後に、未成熟樹状細胞は血流に常在する。活性化されると、これら全ての組織からの樹状細胞がリンパ系組織へと遊走して、そこでそれらは抗原を提示し、そしてT細胞およびB細胞と相互作用して免疫応答を開始する。本発明に関して特に重要な1つのシグナル伝達システムは、樹状細胞表面上に発現されるケモカイン受容体CCR7、および高濃度の免疫細胞へと遊走している成熟樹状細胞を誘引するためにリンパ節構造によって分泌されるケモカイン受容体リガンドCCL19を伴う。成熟樹状細胞との接触によって活性化される例示的な免疫細胞には、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、およびB細胞が含まれるがこれらに限定されるわけではない。マクロファージおよびBリンパ球を含む免疫系における多数の細胞型が抗原を提示するが、樹状細胞は、全ての抗原提示細胞の中でも最も強力な活性化物質である。 樹状細胞は、細胞体から伸長する多数の樹状突起を含む特徴的な細胞の形状からその名称を得た。この細胞形状の機能上の利点は、細胞の体積と比較して有意に増加した細胞表面積および周囲との接触面積である。未成熟の樹状細胞は時に特徴的な樹状突起形成を欠損し、そしてこれはベール細胞と呼ばれる。ベール細胞は、樹状突起よりむしろ大きい細胞質性のベールを保有する。 形質細胞様樹状細胞(pDC)は、血中を循環し、かつ末梢リンパ器官に見られる自然免疫細胞である。それらは末梢血単球(PBMC)の0.4%未満を構成する。ヒトにおいてこれらの細胞は、表面マーカーCD123、BDCA-2(CD303)およびBDCA-4(CD304)を発現しているが、高レベルのCD11cまたはCD14を発現しておらず、これにより、それらは、それぞれ通常の樹状細胞または単球から区別される。マウスpDCは、CD11c、B220、BST-2(mPDCA)およびSiglec-Hを発現し、そしてCD11bについては陰性である。自然免疫系の成分として、これらの細胞は、それぞれssRNAおよびCpG DNAモチーフを検出する細胞内Toll様受容体7および9を発現する。刺激およびその後の活性化時に、これらの細胞は、大量のI型インターフェロン(主にIFN-α(アルファ)およびINF-β(ベータ))を産生し、これらは、多種多様な効果を媒介する重要で多面的な抗ウイルス化合物である。CD8-サブセットは、クラスII経路を使用して抗原をCD4+ヘルパーT細胞に提示する。CD8+サブセットは、クラスI経路を使用して抗原を提示する。ペプチド/MHCクラスI分子は、CD8+T細胞に提示され、これは続いて細胞障害性Tリンパ球(CTL)となる。マウスのCD8細胞表面タンパク質は、ヒトのCD141細胞表面タンパク質に相当する。CD8/CD141陽性細胞は、TLR3を発現し、そしてTLR3アゴニストによって優先的に活性化される。Toll様受容体(TLR) TLRは、病原体関連分子パターン(PAMP)と呼ばれる構造的に保存された分子を認識する1回膜貫通型非触媒性ドメインを有する受容体のクラスである。PAMPは、微生物上に存在し、そして宿主分子とは区別される。TLRは全ての脊椎動物に存在する。13個のTLR(連続的にTLR 1〜13と呼ばれる)がヒトおよびマウスにおいて同定されている。ヒトはTLR 1〜10を含む。 TLRおよびインターロイキン-1(IL-1)受容体は、その全てのメンバーがTIRドメイン(Toll-IL-1受容体)を共有する受容体スーパーファミリーを含む。TIRドメインには、3つの個別の機能を有する3つの変種が存在する。サブグループ1のTIRドメインは、マクロファージ、単球、および樹状細胞によって産生されるインターロイキンの受容体に存在する。サブグループ2のTIRドメインは、微生物起源の分子に直接または間接的に結合する古典的なTLRに存在する。サブグループ3のTIRドメインは、サブグループ1のTIRドメインを含むタンパク質とサブグループ2のTIRドメインを含むタンパク質との間のシグナル伝達を媒介する細胞質ゾルアダプタータンパク質に存在する。 TLRリガンドは、病原体または細胞ストレスのような宿主生存に対する脅威に常に関連したおよびそれらに対して高度に特異的である分子を含む。TLRリガンドは病原体に対して高度に特異的であるが、宿主に対しては特異的ではない。例示的な病原性分子には、リポ多糖(LPS)、リポタンパク質、リポアラビノマンナン、フラゲリン、二本鎖RNA、およびDNAの非メチル化CpG島が含まれるがこれらに限定されるわけではない。 本発明の1つの好ましい態様において、Toll様受容体9(TLR9)は、細菌DNAにおける特異的非メチル化CpG含有配列、または樹状細胞のエンドソーム区画において見い出される合成オリゴヌクレオチド(ODN)によって活性化される。CpG部位のメチル化状態は、細菌DNAと哺乳動物DNAとの間、ならびに、正常組織と癌組織との間の決定的な差異である。1つまたは複数のCpGモチーフを含む非メチル化ODNは、細菌DNAの作用を模倣する。代替的にまたは加えて、1つまたは複数のCpGモチーフを含む非メチル化ODNは、悪性腫瘍細胞内に存在する発癌遺伝子内にも存在する。 TLR-9受容体の1つまたは複数の配列は、本発明の1つまたは複数のCpG-ODN配列を認識する。本発明によって包含されるTLR-9受容体は、以下の配列によって記載される。。 ヒトTLR-9イソ型Aは、以下のmRNA配列によってコードされている(NCBIアクセッションナンバーNM_017442およびSEQ ID NO: 1;本明細書に提示された全てのmRNA配列の開始コドンは、太文字かつ大文字である): ヒトTLR-9イソ型Aは、以下のアミノ酸配列によってコードされている(NCBIアクセッションナンバーNP_059138およびSEQ ID NO: 2): ヒトTLR3は、以下のmRNA配列によってコードされている(GenBankアクセッションナンバーNM_003265.2(GI:19718735)、参照により本明細書に組み入れられる;SEQ ID NO: 15): ヒトTLR3は、以下のアミノ酸配列によってコードされている(GenBankアクセッションナンバーABC86910.1(GI:86161330)、参照により本明細書に組み入れられる;SEQ ID NO: 16): ヒトTLR1の核酸配列は、GenBankアクセッションナンバーNM_003263.3 (GI:41350336)(参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。ヒトTLR1のアミノ酸配列はGenBankアクセッションナンバーNP_003254.2(GI:41350337)(参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。 ヒトTLR2の核酸配列は、GenBankアクセッションナンバーNM_003264.3 (GI:68160956) (参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。ヒトTLR2のアミノ酸配列はGenBankアクセッションナンバーNP_003255.2(GI:19718734)(参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。 ヒトTLR4の核酸配列は、GenBankアクセッションナンバーNM_138554.4(GI:373432600) (参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。ヒトTLR4のアミノ酸配列はGenBankアクセッションナンバーNP_612564.1(GI:19924149) (参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。 ヒトTLR5の核酸配列は、GenBankアクセッションナンバーNM_003268.5(GI:281427130) (参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。ヒトTLR5のアミノ酸配列はGenBankアクセッションナンバーNP_003259.2(GI:16751843)(参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。 ヒトTLR6の核酸配列は、GenBankアクセッションナンバーNM_006068.4(GI:318067953) (参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。ヒトTLR6のアミノ酸配列はGenBankアクセッションナンバーNP_006059.2(GI:20143971)(参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。 ヒトTLR7の核酸配列は、GenBankアクセッションナンバーNM_016562.3(GI:67944638)(参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。ヒトTLR7のアミノ酸配列はGenBankアクセッションナンバーNP_057646.1(GI:7706093)(参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。 ヒトTLR8の核酸配列は、GenBankアクセッションナンバーNM_138636.4(GI:257196253)(参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。ヒトTLR8のアミノ酸配列はGenBankアクセッションナンバーNP_619542.1(GI:20302168)(参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。 ヒトTLR10の核酸配列は、GenBankアクセッションナンバーNM_030956.3(GI:306140488)(参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。ヒトTLR10のアミノ酸配列はGenBankアクセッションナンバーNP_112218.2(GI:62865618)(参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。 マウスTLR11の核酸配列は、GenBankアクセッションナンバーNM_205819.3(GI:408684412)(参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。マウスTLR11のアミノ酸配列はGenBankアクセッションナンバーNP_991388.2(GI:408684413)(参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。 マウスTLR12の核酸配列は、GenBankアクセッションナンバーNM_205823.2(GI:148539900)(参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。マウスTLR12のアミノ酸配列はGenBankアクセッションナンバーNP_991392.1(GI:45430001)(参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。 マウスTLR13の核酸配列は、GenBankアクセッションナンバーNM_205820.1(GI:45429998)(参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。マウスTLR13のアミノ酸配列はGenBankアクセッションナンバーNP_991389.1(GI:45429999)(参照により本明細書に組み入れられる)に提供される。 TLRアゴニスト(合成リガンドおよび天然リガンドの両方)の代表的なリストを、その対応する受容体と共に、以下の表2に提供する。*TLR1およびTLR2によって認識されるリガンド**TLR2およびTLR6によって認識されるリガンド参考文献顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF) 顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)は、マクロファージ、T細胞、肥満細胞、内皮細胞、および線維芽細胞によって分泌されるタンパク質である。具体的には、GM-CSFは白血球増殖因子として機能するサイトカインである。GM-CSFは幹細胞を刺激して顆粒球および単球を産生する。単球は血流から出て、組織へと遊走し、その後マクロファージへと成熟する。 本明細書において記載される足場装置は、宿主DCを装置に誘引するためのGM-CSFポリペプチドを含みそしてこれを放出する。企図されるGM-CSFポリペプチドは、内因性の起源から単離されるか、またはインビボもしくはインビトロで合成される。内因性のGM-CSFポリペプチドは、健康なヒト組織から単離される。合成GM-CSFポリペプチドは、鋳型DNAを宿主生物または細胞、例えば哺乳動物または培養ヒト細胞株にトランスフェクションまたは形質転換した後にインビボで合成される。あるいは、合成GM-CSFポリペプチドは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または他の当技術分野において認識される方法によってインビトロで合成される(Sambrook, J., Fritsch, E. F., and Maniatis, T., Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY, Vol. 1, 2, 3 (1989)、参照により本明細書に組み入れられる)。[1] GM-CSFポリペプチドは、インビボでタンパク質安定性を増加するように改変される。あるいは、GM-CSFポリペプチドは、ある程度免疫原性であるように工学操作される。内因性の成熟ヒトGM-CSFポリペプチドは、アミノ酸残基23位(ロイシン)、27位(アスパラギン)、および39位(グルタミン酸)でグリコシル化されると報告されている(米国特許第5,073,627号を参照されたい)。本発明のGM-CSFポリペプチドは、グリコシル化状態に関してこれらの1つまたは複数のアミノ酸残基において改変されている。 GM-CSFポリペプチドは組換え型である。あるいは、GM-CSFポリペプチドは、哺乳動物GM-CSFポリペプチドのヒト化誘導体である。GM-CSFポリペプチドが誘導される例示的な哺乳動物種には、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、フェレット、ネコ、イヌ、サル、または霊長類が含まれるがこれらに限定されるわけではない。好ましい態様において、GM-CSFは、組換え型ヒトタンパク質(PeproTech、カタログ番号300-03)である。あるいは、GM-CSFは組換え型マウス(murine)(マウス、mouse)タンパク質(PeproTech、カタログ番号315-03)である。最後にGM-CSFは組換え型マウスタンパク質のヒト化誘導体である。 ヒト組換えGM-CSF(PeproTech、カタログ番号300-03)は、以下のポリペプチド配列(SEQ ID NO: 3)によってコードされる。 マウス組換えGM-CSF(PeproTech、カタログ番号315-03)は、以下のポリペプチド配列(SEQ ID NO: 7)によってコードされる。 ヒト内因性GM-CSFは、以下のmRNA配列によってコードされる(NCBIアクセッションナンバーNM_000758およびSEQ ID NO: 8): ヒト内因性GM-CSFは、以下のアミノ酸配列によってコードされる(NCBIアクセッションナンバーNP_000749.2およびSEQ ID NO: 9):シトシン-グアノシン(CpG)オリゴヌクレオチド(CpG-ODN)配列 CpG部位は、その長さに沿った直線状の塩基配列においてシステインヌクレオチドの次にグアニンヌクレオチドが出現する(「p」はそれらの間のリン酸結合を表し、これは、シトシン-グアニン相補的塩基対形成とは区別される)デオキシリボ核酸(DNA)の領域である。CpG部位は、DNAメチル化において中心的役割を果たし、これは遺伝子発現をサイレンシングするために細胞が使用するいくつかの内因性の機序の1つである。プロモーター配列内のCpG部位のメチル化によって、遺伝子のサイレンシングが起こり得る。癌の場合、腫瘍抑制遺伝子はしばしばサイレンシングされ、一方で、発癌遺伝子または癌誘導遺伝子が発現されていることは公知である。重要なことに、一定の癌において、腫瘍抑制遺伝子(癌形成を防止する)のプロモーター領域のCpG部位はメチル化されていることが示されているが、一方で発癌遺伝子のプロモーター領域のCpG部位は、低メチル化されているかまたはメチル化されていない。TLR-9受容体は、DNAにおける非メチル化CpG部位に結合する。 本発明は、CpGジヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドを含む。企図されるCpGオリゴヌクレオチドは、内因性の起源から単離されるか、またはインビボもしくはインビトロで合成される。内因性のCpGオリゴヌクレオチドの例示的な起源には、微生物、細菌、真菌、原虫、ウイルス、カビ、または寄生虫が含まれるがこれらに限定されるわけではない。あるいは、内因性のCpGオリゴヌクレオチドは、哺乳動物の良性または悪性新生物腫瘍から単離される。合成CpGオリゴヌクレオチドは、鋳型DNAの宿主生物へのトランスフェクションまたは形質転換後にインビボで合成される。あるいは、合成CpGオリゴヌクレオチドは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または他の当技術分野において認識される方法によってインビトロで合成される(Sambrook, J., Fritsch, E.F., and Maniatis, T., Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY, Vol. 1, 2, 3 (1989)、参照により本明細書に組み入れられる)。 CpGオリゴヌクレオチドは、樹状細胞による細胞取り込みのために提示される。1つの態様において、裸のCpGオリゴヌクレオチドが使用される。「裸の」という用語は、追加の置換基を含まない、単離された内因性または合成のポリヌクレオチド(またはオリゴヌクレオチド)を記載するために使用される。別の態様において、CpGオリゴヌクレオチドは、細胞取り込みの効率を増加させるために、1つまたは複数の化合物に結合している。あるいはまたは加えて、CpGオリゴヌクレオチドは、足場および/または樹状細胞内のオリゴヌクレオチドの安定性を増加させるために1つまたは複数の化合物に結合している。 CpGオリゴヌクレオチドは、細胞取り込みの前に縮合される。1つの好ましい態様において、CpGオリゴヌクレオチドは、樹状細胞への細胞取り込み効率を増加させる陽イオン性ポリマーであるポリエチレンイミン(PEI)を使用して縮合される。 本発明のCpGオリゴヌクレオチドは、多数のクラスに分けられ得る。例えば、本発明の組成物、方法および装置に包含される例示的なCpG-ODNは、刺激性、中性(neutral)、または抑制性である。本明細書において使用される「刺激性」という用語は、TLR9を活性化するクラスのCpG-ODN配列を記載することを意味する。本明細書において使用される「中性」という用語は、TLR9を活性化しないクラスのCpG-ODN配列を記載することを意味する。本明細書において使用される「抑制性」という用語は、TLR9を阻害するクラスのCpG-ODN配列を記載することを意味する。「TLR9を活性化する」という用語は、それによってTLR9が細胞内シグナル伝達を開始するプロセスを記載する。 刺激性のCpG-ODNは、その免疫刺激活性が異なる3つのタイプ、A型、B型、およびC型にさらに分けられることができる。A型刺激性CpG-ODNは、ホスホジエステル中心CpG含有回文モチーフおよびホスホロチオエート3'ポリ-Gストリングを特徴とする。TLR9の活性化後、これらのCpG ODNは、形質細胞様樹状細胞(pDC)からの高いIFN-α産生を誘導する。A型CpG ODNは、TLR9-依存的NF-κBシグナル伝達を弱く刺激する。 B型刺激性CpG ODNは、1つまたは複数のCpGジヌクレオチドを有する完全なホスホロチオエート骨格を含有する。TLR9活性化後、これらのCpG-ODNはB細胞を強く活性化する。A型CpG-ODNとは対照的にB型CpG-ODNは、IFN-α分泌を弱く刺激する。 C型刺激性CpG ODNは、A型およびB型の特色を含む。C型CpG-ODNは、完全なホスホロチオエート骨格とCpG含有パリンドロームモチーフとを含有する。A型CpG ODNと同様に、C型CpG ODNは、pDCからの強いIFN-α産生を誘導する。B型CpG ODNと同様に、C型CpG ODNは、強いB細胞刺激を誘導する。 例示的な刺激性CpG ODNは、ODN 1585、ODN 1668、ODN 1826、ODN 2006、ODN 2006-G5、ODN 2216、ODN 2336、ODN 2395、ODN M362(全てInvivoGen)を含むが、これらに限定されるわけではない。本発明はまた、先のCpG ODNの任意のヒト化バージョンを包含する。1つの好ましい態様において、本発明の組成物、方法、および装置は、ODN 1826(その配列は5'から3'方向へtccatgacgttcctgacgttであり、CpG配列を太字で示す、SEQ ID NO: 10)を含む。 TLR9を刺激しない中性または対照のCpG ODNが、本発明に包含される。これらのODNは、その刺激相対物と同じ配列を含むが、CpGジヌクレオチドの代わりにGpCジヌクレオチドを含有する。 本発明に包含される例示的な中性または対照のCpG ODNは、ODN 1585対照、ODN 1668対照、ODN 1826対照、ODN 2006対照、ODN 2216対照、ODN 2336対照、ODN 2395対照、ODN M362対照(全てInvivoGen)を含むがこれらに限定されるわけではない。本発明はまた、先のCpG ODNの任意のヒト化バージョンを包含する。 TLR9を阻害する抑制性CpG ODNは、本発明に包含される。例示的な強力な阻害性配列は、哺乳動物のテロメアにおいて見い出される (TTAGGG)4(ODN TTAGGG、InvivoGen、SEQ ID NO: 11)、および3塩基の置換によってマウス刺激性CpG ODNに由来するODN 2088(InvivoGen)である。抑制性ODNは、細胞との結合および細胞による取り込みに影響を及ぼすことなくエンドソーム小胞におけるTLR9とCpG ODNの同時局在を破壊する。本発明に包含される抑制性のCpG ODNは、刺激性CpG ODNの作用を微調節するか、減弱させるか、逆転させるか、または妨害するために使用される。代替的にまたは加えて、抑制性のCpG ODNを含む本発明の組成物、方法、または装置は、自己免疫状態を処置するために、または移植術後の免疫応答を防止するために使用される。癌抗原 本発明の組成物、方法、および装置は、そのような装置が投与された対象にワクチン接種を行うためのおよび/または対象に対して防御免疫を提供するための手段を有する癌抗原を含む。癌抗原は、単独でまたはGM-CSF、CpG-ODN配列、もしくは免疫モジュレーターと組み合わせて使用される。その上、癌抗原は、GM-CSF、CpG-ODN配列、または免疫モジュレーターと同時にまたは連続的に使用される。 本発明の組成物、方法、および装置に包含される例示的な癌抗原には、生検材料から抽出された腫瘍溶解物、放射線照射された腫瘍細胞、MAGEシリーズの抗原(MAGE-1は一例である)、MART-1/メランA、チロシナーゼ、ガングリオシド、gp100、GD-2、O-アセチル化GD-3、GM-2、MUC-1、Sos1、プロテインキナーゼC結合タンパク質、逆転写酵素タンパク質、AKAPタンパク質、VRK1、KIAA1735、T7-1、T11-3、T11-9、ヒト(Homo Sapiens)テロメラーゼ酵素(hTRT)、サイトケラチン-19(CYFRA21-1)、扁平上皮癌抗原1(SCCA-1)、(プロテインT4-A)、扁平上皮癌抗原2(SCCA-2)、卵巣癌抗原CA125(1A1-3B)(KIAA0049)、ムチン‐1(腫瘍関連ムチン)、(癌関連ムチン)、(多形上皮ムチン)、(PEM)、(PEMT)、(エピシアリン(EPISIALIN))、(腫瘍関連上皮膜抗原)、(EMA)、(H23AG)、(ピーナッツ反応性尿ムチン)、(PUM)、(乳癌関連抗原DF3)、CTCL腫瘍抗原se1-1、CTCL腫瘍抗原se14-3、CTCL腫瘍抗原se20-4、CTCL腫瘍抗原se20-9、CTCL腫瘍抗原se33-1、CTCL腫瘍抗原se37-2、CTCL腫瘍抗原se57-1、CTCL腫瘍抗原se89-1、前立腺特異的膜抗原、5T4癌胎児栄養膜糖タンパク質、Orf73カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、MAGE-C1(癌/精巣抗原CT7)、MAGE-B1抗原(MAGE-XP抗原)(DAM10)、MAGE-B2抗原(DAM6)、MAGE-2抗原、MAGE-4a抗原、MAGE-4b抗原、結腸癌抗原NY-CO-45、肺癌抗原NY-LU-12変異体A、癌関連表面抗原、腺癌抗原ART1、傍腫瘍関連脳-精巣癌抗原(癌神経抗原MA2;傍腫瘍神経抗原)、神経腫瘍腹側抗原(Neuro-oncological ventral antigen)2(NOVA2)、肝細胞癌抗原遺伝子520、腫瘍関連抗原CO-029、腫瘍関連抗原MAGE-X2、滑膜肉腫、X限界点2、T細胞によって認識される扁平上皮癌抗原、血清学的に識別される結腸癌抗原1、血清学的に識別される乳癌抗原NY-BR-15、血清学的に識別される乳癌抗原NY-BR-16、クロモグラニンA;副甲状腺分泌タンパク質1、DUPAN-2、CA 19-9、CA 72-4、CA 195、癌胎児抗原(CEA)が含まれるがこれらに限定されるわけではない。免疫モジュレーター 本発明の組成物、方法、および装置は、樹状細胞活性化を刺激する手段を有する、TLRリガンド、増殖因子、および死につつある細胞の産物、例えば熱ショックタンパク質が含まれるがこれらに限定されるわけではない免疫モジュレーターを含む。免疫モジュレーターは、単独で、またはGM-CSF、CpG-ODN配列、もしくは癌抗原と組み合わせて使用される。免疫モジュレーターは、GM-CSF、CpG-ODN配列、または癌抗原と同時にまたは連続的に使用される。 細胞表面または内部細胞区画のいずれかにおいて見いだされる公知の全てのTLRリガンドは、本発明の組成物、方法、および装置に包含される。例示的なTLRリガンドには、トリアシルリポタンパク質(TLR1);リポタンパク質、グラム陽性ペプチドグリカン、リポテイコ酸、真菌、およびウイルス糖タンパク質(TLR2);二本鎖RNA、ポリI:C(TLR3);リポ多糖、ウイルス糖タンパク質(TLR4);フラゲリン(TLR5);ジアシルリポタンパク質(TLR6);低分子合成化合物、一本鎖RNA(TLR7およびTLR8);非メチル化CpG DNA(TLR9);プロフィリン(TLR11)が含まれるがこれらに限定されるわけではない。また、フィブロネクチンおよび熱ショックタンパク質(HSP)のような宿主分子もTRLリガンドとして含まれる。宿主TLRリガンドも同様に本発明に包含される。自然免疫におけるTLRの役割ならびにそれらを活性化および阻害するために使用されるシグナル伝達分子は、当技術分野において公知である(論評に関しては、参照により本明細書に組み入れられる、Holger K. Frank B., Hessel E., and Coffman RL. Therapeutic targeting of innate immunity with Toll-like receptor agonists and antagonists. Nature Medicine 13, 552-559 (2007)を参照されたい)。 公知の全ての増殖因子は、本発明の組成物、方法および装置に包含される。例示的な増殖因子には、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、神経成長因子(NGF)、ニューロトロフィン、血小板由来増殖因子(PDGF)、エリスロポエチン(EPO)、トロンボポエチン(TPO)、ミオスタチン(GDF-8)、増殖分化因子-9(GDF9)、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGFまたはFGF-1)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGFまたはFGF-2)、上皮細胞増殖因子(EGF)、肝細胞増殖因子(HGF)が含まれるがこれらに限定されるわけではない。本発明は、サイトカインのみならず樹状細胞活性化を刺激するための増殖因子を包含する。例示的なサイトカインには、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、TNF-α、IFN-γ、およびIFN-αが含まれるがこれらに限定されるわけではない。 細胞死の兆候および死につつある細胞の産物は、樹状細胞の活性化を刺激する。そのため、死につつある細胞の全ての産物が、本発明の組成物、方法、および装置に包含される。例示的な細胞死産物には、オルガネラ、小胞、細胞骨格要素、タンパク質、DNA、およびRNAのような細胞の任意の細胞内特色が含まれるがこれらに限定されるわけではない。特に重要なものは、細胞がストレス下にある際に発現され、そして細胞死の際に放出される熱ショックタンパク質である。例示的な熱ショックタンパク質には、Hsp10、Hsp20、Hsp27、Hsp33、Hsp40、Hsp60、Hsp70、Hsp71、Hsp72、Grp78、Hsx70、Hsp84、Hsp90、Grp94、Hsp100、Hsp104、Hsp110が含まれるがこれらに限定されるわけではない。微小環境およびワクチン効力 本明細書において記載される装置/足場は、感染症模倣微小環境を表す。各々の装置は、特定の抗原に対する免疫応答を刺激/増強することができる活性化樹状細胞を、誘引/受容、教育/刺激し、そして周辺の体組織へと送る工場を構成する。具体的には、足場装置は、感染症微小環境を模倣して樹状細胞応答をさらに活性化するために、病原性分子と共に埋め込まれるかまたは病原性分子によってコーティングされる。 材料システムを用いての感染症の局面の適切な模倣は、癌ワクチンとして適用された場合に、DCを持続的に動員し、活性化し、そしてLNへとホーミングすることによって、腫瘍の進行に対して劇的に強い影響を与える。GM-CSF単独を使用した第一のPLGワクチンによって、バッチプロセスが得られ、この場合、宿主DCはGM-CSFによって動員されて腫瘍抗原提示部位に常在し、GM-CSFレベルが低下するまで捕捉され、そして細胞は活性化されて分散するようになる(参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願第11/638,796号を参照されたい)。局所GM-CSF濃度の時間的変動により、動員されるDCの数、ならびにその活性化および分散の時期に対する制御が可能となった。最善のGM-CSFをベースとしたワクチンは、試験した動物のほぼ4分の1において防御免疫を付与することができたが、動員されたDCの約26%が活性化され(約240,000個のDC)、そしてDCの約6%がLNに分散した。高レベルのGM-CSFは多数のDCを動員したが、DCの活性化も限定し、治療能を有する可能性のあるDCは足場内に捕捉されたままであった。これらの結果は、GM-CSFによるDCの活性化および分散の阻害に拮抗する圧倒的な「危険シグナル」としてCpG-ODNを局所的に提示することによって細菌感染症を模倣する改善されたシステムを開発する動機付けとなった。本明細書において記載されるこれらの装置は、DCの増加したおよび持続的な放出を媒介することによって有意な進歩を表す。 CpG-ODN分子を、DCへのODN取り込みおよびそのTLR-9受容体への局在化を促進するのみならず(図3)、またPLGマトリクスにそれを静電気的に固定して、腫瘍抗原と同時に提示されるようにするために、PEIと縮合した(図6)。インビトロの結果は、PEI-CpG-ODN縮合物がDC内で脱縮合して、阻害レベルのGM-CSF(500ng/ml)の存在下で、DCの活性化とリンパ節由来ケモカインCCL19に向かう分散とを促進するTLRシグナル伝達を刺激できることを示した。 インビボにおいて、適切に設計された感染症模倣体は、感染症様微小環境を通して、GM-CSFを用いての動員、続いて縮合CpG-ODNの提示を介した常在DCの即時活性化、続いての放出により、DCを往復輸送する、持続的プロセスを媒介した。組み合わせられたCpG-ODN送達の用量効果のインビボスクリーニングによって、DC活性化に及ぼす差次的効果が判明し、高用量のCpG-ODN(>50μg)およびGM-CSF(>1μg)ではCCR7およびMHCII発現の異常な分離が起こったが、一方、最適なCpG-ODN用量(10〜25μg)は、高レベルのGM-CSF(3μg、インビボ)によって妨害される場合でも有意なDC活性化(44%、および細胞1.5×106個)を誘導した。それ故、最適なCpG-ODNの提示は、インサイチューで強いGM-CSFパルスによって動員された多数のDCを活性化することができ、そしてこれらの数は、エクスビボプロトコルにおいてしばしばプログラミングおよび移植された数を超える(図7)。 このDCプログラミングプロセスは、感染症様微小環境を通して、GM-CSFの強いパルスによる動員、続いて縮合CpG-ODNによる刺激を介した常在DCのその後のプログラミングおよび放出が起こることにより、DCが往復輸送されることから持続的であることが証明された。LNにホーミングしたDCの比率は、感染症模倣体を用いて6%から13%へとほぼ倍加し(米国特許出願第11/638,796号および図8)、これは180,000個のプログラミングされたDC(CpG-ODNを含まない装置と比較して約4倍の増強)がリンパ節に分散されたことに相当した(図7および8)。著しくは、この条件におけるリンパ節は顕著に肥大し(図8)、そして屠殺時には多数のDCが負荷され、このことは、感染症模倣体がそれらの動物において作られれたという結論を支持した。 これらの感染症材料システムが、DCの輸送および活性化を持続的に制御できることは、癌ワクチンの有効性に対する調節へと転換された。プログラミングされてリンパ節へと分散した、材料に常在する活性化DCの数が増加すると、効力は、0〜23%および最後に50%に増加した。宿主T細胞は免疫防御を媒介し、そして実際に形成された腫瘍におけるCD4およびCD8リンパ球の数(感染症模倣体により約50%の増加)(図10)とワクチンの効力の間に明確な関係が見い出された。これらの結果は、このシステムが強力で特異的で長期間持続する抗腫瘍免疫を刺激することが以前に見い出されていることから(Akira S, Takeda K, Kaisho T. Nature Immunol, 2, 675-80, 2001)、GM-CSFを分泌するように工学操作された放射線照射された腫瘍細胞を使用して開発されたエクスビボワクチンと定性的に一貫する。対照的に、感染症模倣材料システムは、インサイチューでDCをプログラミングし、そして全てのエクスビボにおける細胞操作および移植を必要とすることなく、動員されて活性化されリンパ節(LN)へと分散されるDCの数に対して厳密な制御を提供した。 これらの結果は、インサイチューで細胞の挙動を微調整しプログラミングする価値があることを示している。これらの研究におけるワクチンの効力の背後にある機序は、明らかに、DCの可動化およびプログラミングの数および時期に対する適切な制御であった。感染症模倣体は、そうでなければ致死的となる感染症、癌、および自己免疫に対する免疫を作る手段を有するワクチンを開発するための有用なツールである。足場組成物および構造 足場の成分は、多様な幾何学形状(例えば、ディスク、ビーズ、ペレット)、ニッチ、平面層(例えば、薄いシート)で構成される。例えば、直径約0.1〜200mm、例えば、5、10、20、40、50mmのディスクが皮下に埋め込まれる。ディスクは、0.1〜10mm、例えば、1、2、5mmの厚さを有し得る。ディスクは、患者に投与するために容易に圧縮または凍結乾燥される。皮下投与のための例示的なディスクは、以下の寸法を有する:直径8mmおよび厚さ1mm。多成分の足場は任意で、その各々の層が異なる物理的性質(ポリマーの%、ポリマー架橋の%、足場の化学組成、孔径、多孔性、および孔の構造、剛性、靱性、延性、粘弾性、および/または増殖因子、ホーミング/遊走因子、分化因子のような生物活性物質の組成)を特徴とする同心円状の層で構築される。各々のニッチは、細胞集団に対して特定の効果を有し、例えば特定の細胞機能、増殖、分化、分泌された因子もしくは酵素の生成、または遊走を促進または阻害する。足場においてインキュベーションされた細胞は、足場から出て遊走し、標的組織、例えば損傷を受けた組織部位に直接影響を及ぼすように教育および誘導される。例えば、シート様構造が血管または体腔の層のような管様構造の修復のために使用されるために、間質血管細胞および平滑筋細胞は有用である。例えば、そのような構造は、胃壁破裂のような腹壁損傷または欠損を修復するために使用される。同様に、皮膚幹細胞および/またはケラチノサイトを播種したシート様足場は、皮膚組織を再生するための帯具または創傷包帯において使用される。装置は、標的組織上にまたはそれに近接して、体の防護された位置に、血管に近接して、または外部創傷包帯の場合には体外に留置または移植される。装置は、多様な公知の方法およびツール、例えばスプーン、鉗子またはグラスパー、皮下注射針、内視鏡マニピュレータ、血管内または経血管カテーテル、定位針、スネーク装置、臓器表面跛行ロボット(米国特許出願第20050154376号;Ota et al., 2006, Innovations 1:227-231)、最小侵襲性外科装置、外科埋め込みツールおよび経皮パッチを使用して体組織の中または体組織の上に導入される。装置はまた、例えばマトリクス材料を順次注入または挿入することによってその場でアセンブルされることができる。足場装置に任意で、例えば増殖因子または分化因子などの物質の順次注入または噴霧によって、細胞または生物活性化合物を再度充填する。 足場または足場装置は、その上またはその中に細胞が結合または付着する物理的構造であり、そして足場組成物は構造を作出する材料である。例えば、足場組成物には、以下に列挙される材料のような生物分解性のまたは永続的な材料が含まれる。足場の機械的特徴は、再生が求められる応用または組織型に従って変化する。それは、生物分解性(例えば、コラーゲン、アルギネート、多糖、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(グリコリド)(PGA)、ポリ(L-ラクチド)(PLA)、またはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリ乳酸−コグリコール酸)であるか、または永続的(例えば、シルク)である。生物分解性構造の場合、組成物は物理的または化学的作用、例えば水和レベル、熱もしくはイオン交換によって、または細胞作用、例えば近傍もしくは常在細胞による酵素、ペプチドもしくは他の化合物の生成によって、分解される。硬度は、軟性/柔軟性(例えば、ゲル)からガラス状、ゴム状、もろい、強靱、弾性、堅い、まで多様である。構造は、ナノ孔性、ミクロ孔性、またはマクロ孔性である孔を含有し、そして孔のパターンは任意で、均一、不均一、整列、反復、またはランダムである。 アルギネートは、分子量、分解速度、および足場形成法を制御することによって、特定の応用のために配合され得る用途の広い多糖をベースとしたポリマーである。カップリング反応を使用して細胞接着配列RGDのような生物活性エピトープをポリマー骨格に共有結合的に結合させることができる。アルギネートポリマーは、多様な足場型へと形成される。注射可能なハイドロゲルは、カルシウムイオンのような架橋剤を付加することによって低分子量アルギネート溶液から形成され得るが、一方、マクロ孔性の足場は、高分子量のアルギネートディスクの凍結乾燥によって形成される。足場配合物の差は、足場分解の動態を制御する。アルギネート足場からのモルフォゲンまたは他の生物活性物質の放出速度は、空間的および時間的に制御された様式でモルフォゲンを提示するよう足場配合物によって制御される。この制御された放出は、全身の副作用を消失させて、多数回注射の必要性をなくすのみならず、埋め込み部位での宿主細胞および足場に播種された移植細胞を活性化する微小環境を作るためにも使用することができる。 足場は、任意で全体または部分的に生物分解性である生体適合性のポリマーマトリクスを含む。ハイドロゲルは、適したポリマーマトリクス材料の一例である。ハイドロゲルを形成することができる材料の例には、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、PLGAポリマー、アルギネートおよびアルギネート誘導体、ゼラチン、コラーゲン、アガロース、天然および合成多糖、ポリアミノ酸、例えばポリペプチド、特にポリ(リジン)、ポリエステル、例えばポリヒドロキシ酪酸およびポリ-ε-カプロラクトン、ポリ酸無水物;ポリホスファジン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アルキレンオキシド)、特にポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アリルアミン)(PAM)、ポリ(アクリレート)、改変スチレンポリマー、例えばポリ(4-アミノメチルスチレン)、プルロニックポリオール、ポロキサマー、ポリ(ウロン酸)、ポリ(ビニルピロリドン)、およびグラフトコポリマーを含む上記のコポリマーが含まれる。 足場は、コラーゲン、フィブリン、ヒアルロン酸、アガロース、およびラミニンに富むゲルのような、しかしこれらに限定されない多様な合成ポリマーおよび天然ポリマーから製作される。ハイドロゲルに関して1つの好ましい材料は、アルギネートまたは改変アルギネート材料である。アルギネート分子は、(1-4)-結合(linked)β-D-マンヌロン酸モノマー(M単位)およびα-L-グルロン酸モノマー(G単位)を含み、これは比率およびポリマー鎖に沿った分布の順序は多様であることができる。アルギネート多糖は、二価の陽イオン(例えば、Ca+2、Mg+2、Ba+2)に対して強い親和性を有し、かつこれらの分子に曝露されると安定なハイドロゲルを形成する多価電解質システムである。Martinsen A., et al., Biotech. & Bioeng., 33 (1989) 79-89を参照されたい。例えば、カルシウム架橋アルギネートハイドロゲルは歯科応用、創傷包帯、軟骨細胞の移植にとって、および他の細胞型のためのマトリクスとして有用である。 例示的な装置は、比較的低分子量、好ましくはサイズが溶解後にヒトの腎クリアランス閾値であるアルギネートまたは他の多糖を利用し、例えばアルギネートまたは多糖は分子量1000〜80,000ダルトンに低減される。好ましくは、分子量は、1000〜60,000ダルトンであり、特に好ましくは1000〜50,000ダルトンである。グルロン酸単位は、マンヌロン酸単位とは対照的に、ポリマーをゲル化するために二価の陽イオンによるイオン架橋のための部位を提供することから、高いグルロン酸含有量のアルギネート材料を使用することが有用である。参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,642,363号は、細胞移植および組織工学操作応用にとって特に有用であるアルギネートまたは改変アルギネートなどの多糖を含有するポリマーを作出および使用するための方法を開示する。 アルギネート以外の有用な多糖には、以下の表に列挙されたようなアガロースおよび微生物多糖が含まれる。多糖足場組成物a N−中性、A=陰イオン性、およびC=陽イオン性。 本発明の足場は、多孔性または無孔性である。例えば、足場は約10 nm未満の直径を有するナノ孔性;孔の直径が好ましくは約100nm〜20μmの範囲であるミクロ孔性;または孔の直径が約20μmより大きい、より好ましくは約100μmより大きい、さらにより好ましくは約400μmより大きいマクロ孔性である。1つの例において、足場は、直径約400〜500μmの孔が整列するマクロ孔性である。望ましい孔径および孔の整列を有するポリマーマトリクスの調製は、実施例において記載される。多孔性のハイドロゲル産物を調製する他の方法は当技術分野において公知である(参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,511,650号)。生物活性組成物 装置には、1つまたは複数の生物活性組成物が含まれる。生物活性組成物は、精製された天然に存在する化合物、合成によって製造された化合物、または組換え型化合物、例えばポリペプチド、核酸、低分子、または他の物質である。例えば、組成物には、GM-CSF、CpG-ODN、および腫瘍抗原または他の抗原が含まれる。本明細書において記載される組成物は精製されている。精製化合物は関心対象化合物の少なくとも60重量(乾燥重量)%である。好ましくは、調製物は、関心対象化合物の少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%である。純度は任意の適切な標準的な方法によって、例えばカラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC分析によって測定される。 ポリマーマトリクスへのポリペプチドのカップリングは、当業者に公知の合成法を使用して達成される。ペプチドをポリマーにカップリングさせるアプローチは、Hirano and Mooney, Advanced Materials, p.17-25 (2004)において考察される。他の有用な結合化学には、Hermanson, Bioconjugate Techniques, p. 152-185 (1996)において考察される化学、特にカルボジイミドカップリング剤であるDCCおよびDIC(ウッドワード試薬K)を使用することが含まれる。ポリペプチドは、そのようなカルボジイミド結合のための末端アミン基を含有する。アミド結合形成は好ましくは、ペプチド合成において一般的に使用される水溶性酵素である1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)によって触媒される。生物活性組成物の放出動態の制御 GM-CSFのような生物活性組成物の放出プロファイルは、多数の異なる技術、例えば封入技術、足場との付着/結合の性質、足場の多孔性、および生物活性組成物の粒子径を使用して制御される。 例えば、GM-CSFは、GM-CSFを足場に組み入れる1つの手段によって封入される。GM-CSFを最初にPLGミクロスフェアに封入し、そしてその後、これらのGM-CSF負荷ミクロスフェアをガス発泡プロセスに供し、マクロ孔性PLG足場を作製した。ミクロスフェアにGM-CSFを組み入れることによって、GM-CSFをポリマーのより深部に包埋して、これによって装置は1〜5日間にわたってGM-CSF送達の初期パルスを持続させることができる。他の組み入れ法は任意で、望ましいGM-CSFパルスの持続を変更するまたは微調整するために使用され、次にこれはDC動員の動態を変化させると考えられる。例えば、凍結乾燥GM-CSFと混合したPLG粒子の発泡によって、ポリマー足場の表面により結合するGM-CSFが得られ、タンパク質はより迅速に拡散する。 放出動態を改変する代替の足場製作法には、足場の孔の物理的構造を改変して、それによって例えばRiddle et al., Role of poly(lactide-co-glycolide) particle size on gas-foamed scaffolds. J Biomater Sci Polym Ed. 2004;15(12):1561-70において記載されるように異なる分解時間および放出動態(孔径、または体積比に対する全孔隙率の変化)をもたらすことが含まれる。放出動態を変化させる別の方法は、組成物、すなわち足場を作出する原料を改変して、それによって放出特性を変化させることである。例えば、異なるポリマー、例えばアルギネート、PLA、PGA、またはPLGAを使用する。また、グリコール酸と乳酸との比率が異なるポリマーを使用することによって、異なる放出プロファイルが得られる。例えば、組成(ラクチド対グリコリド比)および分子量が異なる多様なPLGを使用して、公知のダブルエマルション(水/油/水)プロセスを使用してミクロスフェア(5〜50μm)を調製した後、ガス発泡/微粒子浸出技術を使用して、微粒子PLGおよびPLGミクロスフェアを使用した足場の調製を行う(Ennett et al., Temporally regulated delivery of VEGF in vitro and in vivo. J Biomed Mater Res A. 2006 Oct;79(1))。別の技術は、異なる区画にタンパク質を組み入れる段階を伴う(例えばタンパク質をPLGミクロスフェアに封入する、またはポリマーと単純に混合しそして凍結乾燥した後に発泡させる)。装置に充填および/または再充填 GM-CSFのような生物活性組成物を、装置の異なる層/区画内に組み入れて、それによってGM-CSFの多数のパルスを送達させる。各々のパルスは、DCの流入を装置に充填(または再充填)する。足場は、GM-CSF(または他の生物活性物質)の多数のパルスを作製するための多様な方法を使用して製作される。例えば、そのような装置は、異なる区画にタンパク質を組み入れて(例えば、タンパク質をPLGミクロスフェアに封入するか、または単純にポリマーと混合し凍結乾燥した後に発泡させる)、それによってタンパク質の2つまたはそれより多い個別の放出プロファイル(すなわち、パルス)を作ることによって作出される(例えば、Richardson et al., Polymeric system for dual growth factor delivery. Nat Biotechnol. 2001 Nov;19(11)において記載されているように)。 あるいは、タンパク質は、急速に分解するPLGミクロスフェア(例えば、低分子量、50:50比)、および緩徐に分解するPLGミクロスフェア(高分子量、85:15比)に封入される。次に、これらのミクロスフェアを共に混合して、後にこれらを使用して足場を製作する。それ故、タンパク質は急速に分解するポリマーおよび緩徐に分解するポリマーの両方に封入されて、それによって少なくとも2つの個別の放出動態および送達パルスが得られる。この方法は、その比率特徴が異なる3、4、5またはそれより多い種類の異なるミクロスフェアを作るために利用され、それによってGM-CSFのような生物活性組成物の3、4、5またはそれより多い放出パルスが得られる。 1つより多いパルスを送達する装置を作出するための別のアプローチは、層状の足場を製作することである。層状の足場は、異なる足場配合物の上で別の足場配合物と共に圧縮成形することによって作出される。例えば、原料(ショ糖+PLG1+タンパク質)を型で圧縮し、そして僅かに変化させた配合物(ショ糖+PLG2+タンパク質)も型で圧縮する。次にこれらの2つの層を互いに圧縮した後、発泡させ、それによって例えばChen et al., Pharm Res. Spatio-temporal VEGF and PDGF delivery patterns blood vessel formation and maturation. 2007 Feb;24(2):258-64において記載されているように、タンパク質濃度が個別に空間的に制御された二層足場が得られる。装置の構築 足場構造は、多数の異なる硬質ゲル、半硬質ゲル、軟質ゲル、自己アセンブリ組成物、液晶性組成物、または流体組成物、例えばペプチドポリマー、多糖、合成ポリマー、ハイドロゲル材料、セラミック(例えば、リン酸カルシウムまたはヒドロキシアパタイト)、タンパク質、糖タンパク質、プロテオグリカン、金属および金属合金から構築される。該組成物は、当技術分野において公知の方法、例えば射出成形、予備成形された構造の凍結乾燥、プリンティング、自己アセンブリ、相反転、溶液流涎法、溶融加工、ガス発泡、繊維成形/加工、微粒子浸出、またはその組み合わせを使用して細胞足場構造にアセンブルされる。次に、アセンブルされた装置を、処置される個体の体に埋め込むかまたは投与する。 装置は、いくつかの方法でインビボでアセンブルされる。足場はゲル化材料から作出され、これは体内に非ゲル化型で導入されて、そこでインサイチューでゲル化する。装置成分を、アセンブリが起こる部位に送達する例示的な方法には、針または他の押し出しツールを通しての注入、噴霧、塗布、または組織部位での沈着法、例えばカニューレを通して挿入された適用装置を使用した送達が含まれる。1つの例において、ゲル化していないまたは形成されていない足場材料を、体内に導入する前にまたは導入している最中に生物活性物質および細胞と混合する。得られたインビボ/インサイチューにおいてアセンブルされた足場は、これらの物質と細胞との混合物を含有する。 インサイチューにおける足場のアセンブリは、ポリマーの自発的会合の結果として、または相乗的もしくは化学的に触媒された重合から起こる。相乗触媒または化学触媒は、アセンブリ部位でのまたはその近傍での多数の内因性因子または条件、例えば体温、体内のイオンもしくはpH、またはオペレータによってアセンブリ部位に供給された外因性の因子もしくは条件、例えば非ゲル化材料が導入された後に非ゲル化材料に向けられる光子、熱、電気、音、または他の放射線によって開始される。エネルギーは、放射線ビームによって、または熱導体もしくは導光体、例えばワイヤもしくは光ファイバーケーブル、もしくは超音波変換器を通して、足場材料に向けられる。あるいは、例えば針の中を通過することによってシアシニング材料にかけられた剪断力が解き放たれた後に再度架橋する両親媒性物質などのシアシニング材料が使用される。 インビボおよびエクスビボの両方における足場装置のアセンブリにとって適したハイドロゲルは、当技術分野において周知であり、例えばLee et al., 2001, Chem. Rev. 7:1869-1879において記載されている。アセンブリを自己アセンブリするための両親媒性ペプチドアプローチは、例えばHartgerink et al., 2002, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 99:5133-5138において記載されている。シアシニング後の可逆的なゲル化法は、Lee et al., 2003, Adv. Mat. 15:1828-1832において例示されている。 同じようにまたは異なるようにドープ処理されたゲルまたは他の足場材料の連続層を標的部位に適用することによって、多数の区画を有する装置がインビボでアセンブルされる。例えば、装置は、以前に注入された材料の中心に針を使用して次の内層を連続的に注入することによって形成され、これにより、同心円の球状体が形成される。非同心円区画は、以前に注入された層の異なる位置に材料を注入することによって形成される。マルチヘッド注入装置は区画を並行しておよび同時に押し出す。層は、生物活性物質および異なる細胞型によって異なるようにドープ処理された類似のまたは異なる足場組成物で作出される。あるいは、区画は、その親水性/疎水性特徴または各区画内での二次相互作用に基づいて自己組織化する。区画化装置 一定の状況において、個別の化学的および/または物理的特性を有する区画を含有する装置が有用である。区画化装置は、各区画に関して異なる組成物または組成物の濃度を使用して設計および製作される。 あるいは、区画は個々に製作された後に、互いに接着される(例えば、内部区画が1つまたは全ての面で第二の区画によって取り囲まれる「サンドイッチ」)。この後者の構築アプローチは、各層の他の層に対する内因性の接着性、各層におけるポリマー鎖の拡散および相互浸透、第一の層と第二の層との重合化または架橋、接着剤(例えば、フィブリン糊)の使用、またはある区画を他の区画に物理的に捕捉することを使用して達成される。区画は、適切な前駆体(例えば、温度感受性オリゴペプチド、イオン強度感受性オリゴペプチド、ブロックポリマー、架橋剤およびポリマー鎖(またはその組合せ)、および細胞により制御されるアセンブリを可能とする細胞接着分子を含有する前駆体)の存在に依存して、インビトロまたはインビボのいずれかで、適切に自己アセンブルおよび相互接続する。 あるいは、区画化装置は、プリンティング技術を使用して形成される。生物活性物質でドープ処理された足場前駆体の連続層を基板上に置いて、その後例えば自己アセンブリ化学によって架橋させる。架橋が化学触媒重合、光触媒重合または熱触媒重合によって制御される場合、各層の厚さおよびパターンはマスクによって制御され、これにより、各触媒作用後に非架橋前駆体材料を洗浄除去すると複雑な三次元パターンを構築することが可能となる(WT Brinkman et al., Photo-cross-linking of type 1 collagen gels in the presence of smooth muscle cells: mechanical properties, cell viability, and function. Biomacromolecules, 2003 Jul-Aug;4(4):890-895.;W. Ryu et al., The construction of three-dimensional micro-fluidic scaffolds of biodegradable polymers by solvent vapor based bonding of micro-molded layers. Biomaterials, 2007 Feb;28(6):1174-1184;Wright, Paul K. (2001). 21st Century manufacturing. New Jersey: Prentice-Hall Inc.)。複雑な多区画層はまた、基板の異なる領域上に異なるドープ処理を受けた足場前駆体を「ペイントする」インクジェット装置を使用して構築される。Julie Phillippi (Carnegie Mellon University) presentation at the annual meeting of the American Society for Cell Biology on December 10, 2006; Print me a heart and a set of arteries, Aldhouse P., New Scientist 13 April 2006 Issue 2547 p 19.; Replacement organs, hot off the press, C. Choi, New Scientist, 25 Jan 2003, v2379。これらの層は、複雑な三次元区画へと構築される。装置はまた、以下の方法のいずれかを使用して構築される:ジェットフォトポリマー、選択的レーザー焼結法、薄膜積層法、熱溶解積層法、シングルジェットインクジェット、三次元プリンティング、または薄膜積層法。 足場装置からの生物活性物質の放出プロファイルは、因子の拡散およびポリマー分解の両方、システムに負荷された因子の用量、およびポリマーの組成によって制御される。同様に、作用範囲(組織分布)および作用の持続時間、または放出された因子の空間時間的勾配は、これらの変数によって調節される。関心対象の組織における因子の拡散および分解は、任意で因子を化学的に改変すること(例えば、増殖因子をPEG化すること)によって調節される。いずれの場合においても、放出の時間枠は、装置による効果的な細胞送達が望まれる時間を決定する。 生物活性物質を、表面吸着、物理的固定を含む公知の方法を使用して、例えば相の変化を使用して、足場組成物に加え、足場材料に該物質を捕捉する。例えば、増殖因子を、それが水相または液相に存在する間に足場組成物と混合し、そして環境条件(例えば、pH、温度、イオン濃度)の変化後に、液体はゲル化または固化し、それによって生物活性物質を捕捉する。あるいは、例えばアルキル化剤またはアシル化剤を使用した共有結合を使用して、既定のコンフォメーションの足場上に生物活性物質を安定に長期間提示する。そのような物質の共有結合のための例示的な試薬を以下の表に提供する。ポリマーにペプチド/タンパク質を共有結合させる方法[a]EDC:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド;DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド 本発明に使用するのに適した生物活性物質には、インターフェロン、インターロイキン、ケモカイン、サイトカイン、コロニー刺激因子、走化性因子、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)が含まれるがこれらに限定されるわけではない。上記タンパク質の任意のスプライス変異体、および樹状細胞を活性化するために有利に使用され得るその低分子アゴニストまたはアンタゴニストも、本明細書において企図される。 上記したようなサイトカインの例には、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、インターフェロン-γ(γ-IFN)、IFN-α、腫瘍壊死因子(TNF)、TGF-β、FLT-3リガンド、およびCD40リガンドが含まれるがこれらに限定されるわけではない。 本発明の足場は、少なくとも1つの非ウイルス性遺伝子治療ベクターを含んでもよく、これにより、埋め込み部位の近くに移植された細胞または宿主細胞のいずれかが遺伝子を取り込んで発現することにより、所望の時間枠におよび所望の因子を局所的に利用できるようになる。そのような非ウイルスベクターには、陽イオン性脂質、ポリマー、標的化タンパク質、およびリン酸カルシウムが含まれるがこれらに限定されるわけではない。足場の製作 D、L-ラクチドおよびグリコリドの85:15、120 kDコポリマー(PLG)(Alkermes, Cambridge, MA)をガス発泡プロセスにおいて利用して、開いた相互接続された孔を有する足場を形成した(Cohen S., Yoshioka T., Lucarelli, M., Hwang L.H., and Langer R. Pharm. Res. 8,713-720 (1991);参照により本明細書に組み入れられる)。GM-CSFを封入したPLGミクロスフェアを標準的なダブルエマルションを使用して作出した(Harris, L. D., Kim, B.S., and Mooney, D. J. J. Biomed.Mater. Res. 42,396-402 (1998);参照により本明細書に組み入れられる)。16mgのPLGミクロスフェアを孔形成物質である150mgのNaClまたはショ糖(粒子径が250μm〜425μmとなるようにふるいにかける)と混合し、そして圧縮成形した。得られたディスクを高圧CO2環境において平衡にし、そして圧を急速に低減させて、ポリマー粒子を膨張させ、そして相互接続構造へと融合させる。水の中に浸すことによってNaClを足場から浸出させると、90%多孔性である足場が得られた。腫瘍溶解物をPLG足場に組み入れるために、C57BL/6Jマウス(Jackson Laboratory, Bar Harbor Maine)の背部の皮下で成長させたB16-F10腫瘍の生検材料をコラゲナーゼ(250U/ml)(Worthington, Lakewood, NJ)で消化し、そして40μmセルストレーナーを通してろ過した後、107個/mlの細胞と同等の濃度で懸濁した。腫瘍細胞懸濁液を液体窒素中での急速凍結と解凍(37℃)の4サイクルに供し、そしてその後、400rpmで10分間遠心分離にかけた。腫瘍溶解物を含有する上清(1ml)を収集し、そしてPLGミクロスフェアと共に凍結乾燥し、そして得られた混合物を使用してPLG足場をベースとした癌ワクチンを作出した。CpG-ODNをPLG足場に組み入れるために、PEI-CpG-ODN縮合物の溶液を、60μlの50%(重量/体積)ショ糖溶液と共にボルテックスにかけ、凍結乾燥し、そして乾燥ショ糖と混合して最終重量を150mgとした。その後、PEI-CpG-ODN縮合物を含有するショ糖をブランク、GM-CSF、および/または腫瘍溶解物の負荷されたPLGミクロスフェアと混合して、PLG癌ワクチンを作出した。 本発明の足場組成物は、GM-CSFおよびCpG-ODN配列を含む。各配列の様々な濃度が企図される。好ましい態様において、足場組成物はPLGを含む。GM-CSFに関しては、40mgのポリマー足場組成物あたり0〜100μgのGM-CSFポリペプチドが足場組成物に組み入れられるか、またはその上にコーティングされる。あるいは、0〜50μg、0〜25μg、0〜10μg、0〜5μg、および0〜3μgのGM-CSFを含む用量が足場組成物に組み入れられる。好ましい態様において、0〜3μgのGM-CSFが足場組成物に組み入れられる。CpG-ODN配列またはPEI-CpG-ODN縮合物に関しては、40mgのポリマー足場組成物あたり0〜1000μgのPEI-CpG-ODNが足場組成物に組み入れられるか、またはその上にコーティングされる。あるいは、0〜500μg、0〜250μg、0〜100μg、0〜50μg、0〜25μg、0〜10μg、および0〜5μgのPEI-CpG-ODNを含む用量が足場組成物に組み入れられる。好ましい態様において、0〜50μgのPEI-CpG-ODNが足場組成物に組み入れられる。CpG-ODNの組み入れおよびインビトロにおける放出試験 CpG-ODN組み入れの組み入れ効率を決定するために、PLG足場を50μgのCpG-ODNを用いて調製し、そして1mlのクロロホルム(Sigma Aldrich)で消化し、そして2mlの水性緩衝液で洗浄した。水層を単離し、そして組み入れられたCpG-ODNの量を、Nanodrop機器ND1000(Nanodrop technologies, Wilmington, DE)を使用して吸光度の読み(0.2 mmの光路長で計算した260/280、および260/230比)によって決定した。同様に、CpG-ODN放出動態を決定するために、CpG-ODNの負荷された足場を、インキュベーター(37℃)内の1mlのリン酸緩衝溶液(PBS)中に入れた。様々な時点で、PBS放出培地を収集して新鮮な培地と交換した。PLG足場に組み入れられ、かつPBSの中に放出されたCpG-ODNの全量を経時的に分析して記録した。インビトロにおけるDC遊走アッセイおよびDC活性化 DC株、JAWSII(ATCC, Manassas, VA)をインビトロ実験のために使用し、そして20%FBS(Invitrogen, Carlsbad, CA)および5ng/mlのGM-CSFが補充されたα-MEM(Invitrogen, Carlsbad, CA)において維持した。DC活性化に及ぼすCpGに富むオリゴヌクレオチド(CpG-ODN)のインビトロ効果を決定するために、JAWSII細胞を5μg/mlのCpG-ODN 1826、5'-tcc atg acg ttc ctg acg tt-3'(SEQ ID NO: 12; Invivogen, San Diego, CA)と共に24時間培養し、そして0、50、または500ng/mlのGM-CSFの存在下で12時間培養した。DC活性化に及ぼす縮合CpG-ODNの効果を評価するために、ODN-1826溶液をPEI溶液中に滴下することによって(該混合物をボルテックスにかけながら)CpG-ODNをPEI分子と縮合した(Huang YC, Riddle F, Rice KG, and Mooney DJ. Hum Gene Ther. 5, 609-17. (2005);参照により本明細書に組み入れられる)。PEIとCpG-ODNとの電荷比(NH3+:PO4-)を縮合の間では7で一定に維持した。DC活性化に関する陽性対照として、DCをまた、刺激因子、TNF-α(10ng/ml)(Peprotech, Rocky Hill, NJ)およびLPS(10ng/ml)(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)と共に培養した。次にDCを収集し、そして一次抗体(BD Pharmingen, San Diego, CA):PE結合CD86(B7、共刺激分子)、FITC結合CCR7、およびFITC結合MHCIIで染色した。細胞をFACSによって分析し、そしてアイソタイプ対照を使用して陽性FITCおよびPEに従ってゲートを設定し、そして各表面抗原に関して染色陽性の細胞の比率を記録した。 遊走アッセイを、5μmの孔径を有する6.5mmのトランスウェルディッシュ(Costar, Cambridge, MA)を用いて行った。CpG-ODNによる刺激が、GM-CSFの存在下でCCL19(Peprotech, Rocky Hill, NJ)に向かうDCの走化性に影響を及ぼし得るかどうかを試験するために、5μg/mlのCpG-ODNまたはPEI-CpG-ODN(電荷比7)のいずれか、ならびに0、50、および500ng/ml GM-CSFで刺激された5×105個のDCを上のウェルに入れ、そして300ng/mlのCCL19を下のウェルに入れた。12時間後、チャンバーの下のウェルへと遊走した細胞を収集し、そしてコールターカウンターを使用して計数した。1×106個のDCを播種し、そしてウシコラーゲン(BD Biosciences, San Jose, CA)を使用してトランスウェル上に固定したPLG足場(直径13mm、厚さ2mm、これは4分の1であった)に5、50、および500μgの縮合物を組み入れることによって、PEI-CpG-ODNの負荷されたPLGマトリクスからCCL19に向かうDCの分散を評価した。GM-CSFの存在下でのCpG刺激の効果を試験するために、25μgのPEI-CpG-ODNを含有する足場を有する上部ウェルの培地に500ng/ml GM-CSFを添加した。様々な時点で、チャンバーの底のウェルに遊走した細胞を収集し、そしてコールターカウンターを使用して計数した。インビボDC遊走および活性化アッセイ ブランク足場、および10μgのPEI-ODN対照(5'- tcc atg agc ttc ctg agc tt -3')を含むまたは含まないGM-CSFを含有する足場、または10μgのPEI-CpG-ODN縮合物の負荷された足場を、7〜9週齢の雄C57BL/6Jマウスの背部の皮下嚢に埋め込んだ。組織学的検査のために、足場を切り出し、そしてZ-固定液で固定し、パラフィンに包埋し、そしてヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。DC動員を分析するために、足場を切り出し、そしてコラゲナーゼ溶液(Worthingtion, 250U/ml)を使用して37℃で45分間撹拌した中で増殖した組織を単細胞懸濁液へと消化した。その後、細胞懸濁液を40μmセルストレーナーに通して注いで、足場の粒子から細胞を単離し、そして細胞をペレット化し、そして冷PBSで洗浄し、そしてZ2コールターカウンター(Beckman Coulter)を使用して計数した。その後、得られた細胞集団を、フローサイトメトリーによる分析を可能とするために蛍光マーカーに結合させた一次抗体(BD Pharmingen, San Diego, CA)で染色した。APC結合CD11c(樹状細胞マーカー)およびPE結合CD86(B7、共刺激分子)染色をDC動員分析のために行い、そしてAPC結合CD11c、FITC結合CCR7、およびPE結合MHCII染色をDCプログラミング分析のために行なった。細胞を、アイソタイプ対照を使用して陽性FITC、APC、およびPEに従ってゲートを設定し、そして各表面抗原に関して染色陽性の細胞の比率を記録した。足場から鼠径リンパ節に向かうインビボにおけるDCの遊走を追跡するために、250μgの凍結乾燥させたフルオレセインイソチオシアネート(FITC)(Molecular Probes, Carlsbad, CA)を、PLGミクロスフェアと混合することによって足場に組み入れ、その後、足場の加工を行ない、330μlの3%FITC溶液と共に足場を30分間インキュベーションすることによってFITCを適用した。その後、FITCでペイントされた足場をC57BL/6Jマウスの左腹側部皮下に埋め込み、そして鼠径リンパ節(LN)を、足場埋め込み後の様々な時点で収集した。LNからの細胞懸濁液をコラゲナーゼ中での30分間の消化、および圧力をかけて70μmセルストレーナーに組織を通すことによって調製し、そしてフローサイトメトリーによってCD11c(+)FITC(+)細胞数に関して調べた。腫瘍増殖アッセイ 黒色腫溶解物および様々な用量のGM-CSFおよび/または10μgのPEI-CpG-ODN縮合物を有するPLG足場をC57BL/6Jマウスの左下腹側部皮下に埋め込んだ。14日後に動物に、頚背部への105個のB16-F10黒色腫細胞(ATCC, Manassas, NJ)の皮下注射によってチャレンジした。動物を腫瘍増殖の発生(約1mm3)に関してモニタリングし、そして腫瘍が20〜25 mm(最も長い直径)まで増殖した場合には人道的理由から屠殺した。組織学検査のために、腫瘍を注入後20〜25日目に生検を行ない、そしてZ固定液(Anatech, Battle Creek, MI)で固定し、そしてヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。T細胞浸潤に関して腫瘍組織を調べるために、アビジン-ビオチン-ペルオキシダーゼVectastain Elite ABCキット(Vector Laboratories)を使用して免疫ペルオキシダーゼ染色を行った。使用した一次抗体はGK 1.5(CD4)および53-6.72(CD8)であり、そして染色を、DAB+発色基質(DAKO, Carpinteria, CA)を使用して顕色させた。腫瘍試料(n=3または4)からの切片をNikon光学顕微鏡(Indianapolis, IN)を用いて40倍および100倍で可視化し、そして陽性染色T細胞を手作業で計数した。PLG癌ワクチンをまた、以前に記載されているように(Dranoff G., et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 90, 3539-3543 (1993);参照により本明細書に組み入れられる)、GM-CSFを発現するように遺伝子に改変され、その後放射線照射(3500 rad)されたB16-F10黒色腫細胞を使用した一般的な細胞ベースのワクチンと比較した。その後、放射線照射腫瘍細胞(5×105個)をC57BL/6Jマウスの皮下に注射して、前記マウスに105個のB16-F10黒色腫細胞を用いて14日後にチャレンジした。統計分析 本試験における全ての値は、平均値±S.D.として表記した。群間の有意差をスチューデントt検定によって分析し、そして0.05未満のP値は有意であると見なした。ワクチン装置 生体適合性の足場は、癌ワクチンのための送達ビヒクルとして有用である。癌ワクチンは、癌細胞に対する内因性の免疫応答を刺激する。現在生産されているワクチンは主に液性免疫系(すなわち、抗体依存的免疫応答)を活性化する。現在開発中の他のワクチンは、腫瘍細胞を殺すことができる細胞傷害性Tリンパ球を含む細胞性免疫系の活性化に重点を置いている。癌ワクチンは一般的に、抗原提示細胞(例えば、マクロファージおよび樹状細胞)および/または他の免疫細胞(たとえばT細胞、B細胞、およびNK細胞)の両方に対する癌抗原の提示を増強する。癌ワクチンはいくつかの型の1つをとってもよいが、その目的は、癌抗原および/または癌関連抗原を抗原提示細胞(APC)に送達することであり、これにより、APCによるそのような抗原の内因性の処理、およびMHCクラスI分子と関連させて細胞表面上に最終的に抗原提示を行なうことを容易にする。1つの型の癌ワクチンは、対象から取り出され、エクスビボで処理され、そしてその後、対象に全細胞として再導入された癌細胞の調製物である全細胞ワクチンである。これらの処理は任意で、細胞を活性化するためのサイトカインへの曝露、細胞からのサイトカインを過剰発現させるための遺伝子操作、または腫瘍特異的抗原もしくは抗原カクテルを用いてのプライミング、および培養液中での増殖を伴う。樹状細胞ワクチンは、抗原提示細胞を直接活性化し、そしてその増殖、活性化、およびリンパ節への遊走は、免疫応答の惹起能を増強するように足場組成物によって調節される。処置される癌の種類には、中枢神経系(CNS)癌、CNS胚細胞腫瘍、肺癌、白血病、多発性骨髄腫、腎臓癌、悪性神経膠腫、髄芽細胞腫、および黒色腫が含まれる。 抗原特異的免疫応答を惹起する目的のために、足場装置は哺乳動物に埋め込まれる。装置は、免疫細胞を活性化し、そして特異的抗原で細胞をプライミングするようにテーラーメイドされ、それによって免疫防御の増強、ならびに望ましくない組織および標的微生物(例えば細菌またはウイルス病原体)の破壊を増強する。装置は、GM-CSFのようなシグナル伝達物質を含有および/または放出することによって、マクロファージ、T細胞、B細胞、NK細胞、および樹状細胞のような適切な免疫細胞を誘引する。これらのシグナル伝達物質は、足場組成物に他の生物活性化合物を組み込むために使用されたのと同じ技術を使用して、その放出を空間的および時間的に制御するように足場組成物に組み入れられる。 一旦、免疫細胞が装置の内部に入ると、装置は、免疫細胞が攻撃するように、または、望ましくない組織(例えば、癌、脂肪の沈着、またはウイルス感染もしくはそうでなければ疾患を有する細胞)もしくは微生物を攻撃するような免疫系の他の局面を引き起こすように、免疫細胞をプログラミングする。免疫細胞活性化は、標的特異的組成物の調製物、例えば望ましくない組織または生物の表面上に見い出されるリガンド、例えば癌細胞表面マーカー、ウイルスタンパク質、オリゴヌクレオチド、ペプチド配列、または他の特異的抗原に常在免疫細胞を曝露することによって達成される。例えば、有用な癌細胞特異的抗原および他の組織または生物特異的タンパク質を以下の表に列挙する。 装置は任意で、多価ワクチンを作るために多数のリガンドまたは抗原を含有する。組成物は、足場組成物の1つまたは複数の区画の表面内に包埋されるかまたはその上にコーティングされ、これにより、装置の中を遊走する免疫細胞が装置の中を横切る際に組成物に曝露される。抗原または他の免疫刺激分子は、足場組成物が分解すると細胞に曝露されるかまたは細胞に曝露されるようになる。装置はまた、リガンドを認識して抗原提示を増強するように免疫細胞をプログラミングするワクチンアジュバントを含有してもよい。例示的なワクチンアジュバントには、ケモカイン/サイトカイン、CpGに富むオリゴヌクレオチド、または標的細胞特異的抗原またはリガンドに同時に曝露される抗体が含まれる。 装置は、免疫細胞が足場の中へと遊走するように誘引して、そこで細胞は抗原特異的に教育され、そして活性化される。次に、プログラミングされた免疫細胞は、多くの方法でリンパ節に向かって放出されるように誘導される。動員組成物および展開シグナル/組成物、例えばリンパ節遊走誘導物質は、1回または複数回のバーストで放出され、このバーストは、足場材料への組み入れ法および/またはそこからの放出法によってプログラミングされているか、または誘引物質を含有する足場区画の逐次分解によって制御されている。バーストが消散すると、細胞は遊走して離れる。反発物質を含有する区画は分解し、1回もしくは複数回のバーストでまたは長時間かけて絶え間なく反発物質を放出するように設計される。反発物質の相対的濃度により、免疫細胞は遊走して装置から出る。あるいは、装置の中に配置されたまたは装置の中に遊走した細胞は、反発物質を放出するように、または自身の挙動を変化させるようにプログラミングされる。例えば、局所遺伝子治療は、足場に付着させたプラスミドDNAに細胞を曝露することによって行なわれる。有用な反発物質には、ケモカインおよびサイトカインが含まれる。あるいは、装置は、分解およびそれらを放出することによって、免疫細胞の放出を引き起こし得る。 ワクチン装置構築物において有用な標的疾患状態、刺激分子および抗原を以下に列挙する。免疫応答を促進するための生物活性因子a. インターロイキン:IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18等。b. TNF-αc. IFN-γd. IFN-αe. GM-CSFf. G-CSFg. Ftl-3リガンドh. MIP-3β(CCL19)i. CCL21j. M-CSFk. MIF1. CD40Lm. CD3n. ICAMo. 抗CTLA-4抗体p. TGF-βq. CPGに富むDNAまたはオリゴヌクレオチドr. 細菌に関連する糖部分:リポ多糖(LPS)は一例である。s. Fasリガンドt. Trailu. リンフォタクチンv. マンナン(M-FP)w. 熱ショックタンパク質(apg-2、Hsp70、およびHsp 90は例である。)疾患および抗原−ワクチン接種標的a. 癌:抗原およびその入手源i. 生検材料から抽出された腫瘍溶解物ii. 放射線照射された腫瘍細胞iii. 黒色腫1. MAGEシリーズの抗原(MAGE-1は一例である。)2. MART-1/メランA3. チロシナーゼ4. ガングリオシド5. gp1006. GD-27. O-アセチル化GD-38. GM-2iv. 乳癌1. MUC-12. Sos13. プロテインキナーゼC結合タンパク質4. 逆転写酵素タンパク質5. AKAPタンパク質6. VRK17. KIAA17358. T7-1、T11-3、T11-9v. 他の一般的および特異的癌抗原1. ヒトテロメラーゼ酵素(hTRT)2. サイトケラチン-19(CYFRA21-1)3. 扁平上皮癌抗原1(SCCA-1)、(プロテインT4-A)4. 扁平上皮癌抗原2(SCCA-2)5. 卵巣癌抗原CA125(1A1-3B)(KIAA0049)6. ムチン1(腫瘍関連ムチン)、(癌関連ムチン)、(多形上皮ムチン)(PEM)、(PEMT)、(エピシアリン)、(腫瘍関連上皮膜抗原)、(EMA)、(H23AG)、(ピーナッツ反応尿中ムチン)、(PUM)、(乳癌関連抗原DF3)7. CTCL腫瘍抗原se1-18. CTCL腫瘍抗原se14-39. CTCL腫瘍抗原se20-410. CTCL腫瘍抗原se20-911. CTCL腫瘍抗原se33-112. CTCL腫瘍抗原se37-213. CTCL腫瘍抗原se57-114. CTCL腫瘍抗原se89-115. 前立腺特異的膜抗原16. 5T4癌胎児栄養膜糖タンパク質17. Orf73カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス18. MAGE-C1(癌/精巣抗原CT7)19. MAGE-B1抗原(MAGE-XP抗原)(DAM 10)20. MAGE-B2抗原(DAM6)21. MAGE-2抗原22. MAGE-4a抗原23. MAGE-4b抗原24. 結腸癌抗原NY-CO-45 25. 肺癌抗原NY-LU-12変異体A26. 癌関連表面抗原27. 腺癌抗原ART128. 傍腫瘍関連脳-精巣-癌抗原(癌神経抗原MA2;傍腫瘍神経抗原)29. 神経腫瘍腹側抗原2(NOVA2)30. 肝細胞癌抗原遺伝子52031. 腫瘍関連抗原CO-02932. 腫瘍関連抗原MAGE-X233. 滑膜肉腫、Xブレークポイント234. T細胞によって認識される扁平上皮癌抗原35. 血清学的に識別される結腸癌抗原136. 血清学的に識別される乳癌抗原NY-BR-1537. 血清学的に識別される乳癌抗原NY-BR-1638. クロモグラニンA;副甲状腺分泌タンパク質139. DUPAN-240. CA 19-941. CA 72-442. CA 19543. 癌胎児抗原(CEA)b. AIDS(HIV関連抗原)i. Gp120ii. SIV229iii. SIVE660iv. SHIV89.6Pv. E92vi. HC1vii. OKM5viii. FVIIIRAgix. HLA-DR(Ia)抗原x. OKM1xi. LFA-3c. 一般的な感染症および関連抗原i. 結核1. 結核菌(Mycobacterium tuberculosis)抗原52. 結核菌抗原853. ESAT-64. CFP-105. Rv38716. GLU-Sii. マラリア1. CRA2. RAP-23. MSP-24. AMA-1iii. 起こり得るインフルエンザおよび髄膜炎の突然変異株d. 神経保護−神経疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、プリオン病)に対する防御1. 自己CNS抗原のクラス2. ヒトα-シヌクレイン(パーキンソン)3. βアミロイド斑(アルツハイマー)e. 自己免疫疾患(多発性硬化症、リウマチ性関節炎等)i. 疾患に関連したMHC抗原ii. 異なるクラスの自己抗原iii. インスリンiv. インスリンペプチドB9-23v. グルタミン酸vi. デカルボキシラーゼ65(GAD 65)vii. HSP 60 疾患に関連したT細胞受容体(TCR)インサイチューにおけるDCサブセットおよびT細胞の調節は、マウスにおける腫瘍の退縮を媒介する 以前のワクチンは、定着癌を有する患者には殆どが無効であった。なぜなら、進行疾患は、腫瘍細胞を死滅させそして疾患を一掃するために、CD8+細胞障害性Tリンパ球(CTL)の強力かつ持続的な活性化を必要とするからである。樹状細胞(DC)のサブセットは、抗原交差提示およびサイトカインの産生に特化し、このサイトカインは、CTLおよび制御性T細胞(Treg)(これはエフェクターT細胞応答を停止させる)の両方を調節する。DCネットワーク、特に形質細胞様DC(pDC)およびCD8+DCの調和のとれた調節は、マウスにおける免疫を増強する。インサイチューにおいて宿主DC集団の活性化および局在化を制御するために、炎症性サイトカイン、免疫危険シグナルおよび腫瘍溶解物の様々な組合せが組み込まれた機能化生体材料を使用した。pDCおよびCD8+DCの数、ならびにインターロイキン-12の内因的産生は全て、防御的抗腫瘍免疫の大きさおよび強力なCD8+ CTLの生成に強く相関した。この方法によるワクチン接種は、抗原の消失中にFoxP3 Treg活性を阻害しつつ、長期間におよび局所的および全身的なCTL応答を維持し、その結果、遠隔のおよび定着した黒色腫の完全な退縮がもたらされた。大きな侵襲性の腫瘍に対する単独療法としてのこのワクチンの効力は、ワクチン部位における持続的な危険シグナル伝達および抗原シグナル伝達によって誘導されるpDCおよびCD8+ DCの局所的活性の結果である。これらの結果は、決定的に重要なDCサブセットのパターンが、治療的抗腫瘍応答の発生に相関することを示す。腫瘍抗原提示による第二の免疫刺激部位の提供により、インサイチューでCTLを誘導することができる異質性のDCネットワークの発生を操作することが可能となり、そして定着した腫瘍に対する頑強なCD8 T細胞エフェクター応答を活性化することが可能となる。 本明細書に記載されているのは、インサイチューにおいて、腫瘍抗原提示による第二の免疫刺激部位を提供することによって、CTLを誘導して、定着した腫瘍に対する頑強なCD8+T細胞エフェクター応答を活性化することのできる異質性のDCネットワークの発生である。炎症または感染は、定常状態では見られないDC集団を産生し(K. Shortman, S. H. Naik, Steady-state and inflammatory dendritic-cell development. Nat. Rev. Immunol. 7, 19-30 (2007))、このことは、組織微小環境における刺激が、DCネットワークからの応答を誘発することを示唆する。サイトカイン顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)は、炎症中に上昇した濃度で存在し(J. A. Hamilton, GM-CSF in inflammation and autoimmunity Trends Immunol. 23, 403-408 (2002); M. C. Dieu, B. Vanbervliet, A. Vicari, J. M. Bridon, E. Oldham, S. Ait-Yahia, F. Briere, A. Zlotnik, S. Lebecque, C. Caux, Selective recruitment of immature and mature dendritic cells by distinct chemokines expressed in different anatomic sites. J, Exp. Med. 188, 373-386 (1988))、これは単球およびDCの両方の動員を引き起こし、その間に局所的な単球はDCへと分化誘導される(G. Dranoff, E. Jaffee, A. Lazenby, P. Golumbek, H. Levitsky, K. Brose, V. Jackson, H. Hamada, D. Pardoll, R. C. Mulligan, Vaccination with irradiated tumor cells engineered to secrete murine granulocyte-macrophage colony-stimulating factor stimulates potent, specific, and long-lasting anti-tumor immunity. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90, 3539-3543 (1993); B. Pulendran, J. Banchereau, S. Burkeholder, E. Kraus, E. Guinet, C. Chalouni, D. Caron, C. Maliszewski, J. Davoust, J. Fay, K. Palucka, Flt3-ligand and granulocyte colony-stimulating factor mobilize distinct human dendritic cell subsets in vivo. J. Immunol. 165, 566-572 (2000))。 サイトカイン、腫瘍抗原、および危険シグナルの提示をインビボで空間的および時間的に制御する、埋め込み可能な合成ポリマーマトリクス(抗原の負荷された無細胞生体材料装置)を本明細書において使用した。GM-CSFは、これらのポリラクチド−コ−グリコリド(PLG)[米国食品医薬品局(FDA)により承認された生体材料]マトリクスから周辺組織へと放出されて、DC前駆体およびDCを動員する。CpGに富むオリゴヌクレオチドが危険シグナルとしてマトリクス上に固定され、そして抗原(腫瘍溶解物)がマトリクス常在DCへと放出されて、DCの発達および成熟をプログラミングする。これらのマトリクスは、定量的に、DCの活性化および輸送をインサイチューで調節し、そしてマウスB16-F10黒色腫細胞の接種に対する予防的免疫を誘導する(P. Schnorrer, G. M. Behrens, N. S. Wilson, J. L. Pooley, C. M. Smith, D. El-Sukkari, G. Davey, F. Kupresanin, M. Li, E. Maraskovsky, G. T. Belz, F. R. Carbone, K. Shortman, W. R. Heath, J. A. Villadangos, The dominant role of CD8+ dendritic cells in cross-presentation is not dictated by antigen capture. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 103, 10729-10734 (2006))。本明細書に記載しているように、複数のDCおよびT細胞サブセットの動員および活性化を制御するために繰り返し長い時間をかけて投与されるこのシステムは、定着腫瘍に対する治療ワクチンとして効果的である。 以下の材料および方法を使用して、本明細書に記載されたデータを作成した。マトリクス製作 D,L-ラクチドおよびグリコリドの85:15、120kDコポリマー(PLG)(Alkermes)をガス発泡プロセスにおいて利用して、多孔性PLGマトリクスを形成した(L. D. Harris, B. S. Kim, D. J. Mooney, Open pore biodegradable matrices formed with gas foaming. J. Biomed. Mater. Res. 42, 396-402 (1998))。簡潔に言えば、まずGM-CSFを封入したPLGミクロスフェアを標準的なダブルエマルションを使用して作出した(S. Cohen, T. Yoshioka, M. Lucarelli, L. H. Hwang, R. Langer, Controlled delivery systems for proteins based on poly(lactic/glycolic acid)microspheres. Pharm. Res. 8, 713-720 (1991))。その後、PLGミクロスフェアを孔形成物質である150mgのショ糖(粒子径が250mm〜425mmとなるようにふるいにかける)と混合し、そして圧縮成形した。得られたディスクを高圧CO2環境において平衡にし、そして圧を急速に低減させて、ポリマー粒子を膨張させ、そして相互接続構造へと融合させた。水の中に浸すことによってショ糖を足場から浸出させると、90%多孔性である足場が得られた。腫瘍溶解物をPLG足場に組み入れるために、C57BL/6Jマウス(Jackson Laboratory)の背部の皮下で成長させたB16-F10腫瘍の生検材料をコラゲナーゼ(250U/ml)(Worthington)で消化し、そして40μmセルストレーナーを通してろ過した後、107個/mlの細胞と同等の濃度で懸濁した。腫瘍細胞懸濁液を液体窒素中での急速凍結と解凍(37℃)の4サイクルに供し、そしてその後、400rpmで10分間遠心分離にかけた。腫瘍溶解物を含有する上清(1ml)を収集し、PLGミクロスフェアと共にインキュベーションし、そして凍結乾燥し、そして得られた混合物を、高圧CO2プロセスに使用して、腫瘍溶解物が組み込まれたマクロ孔性のPLGマトリクスを発泡させた。CpG-ODNをPLG足場に組み込むために、CpG-ODN 1826、5'-tccatgacgttcctgacgtt-3'(Invivogen)を、ODN-1826溶液をPEI溶液に滴下し、混合物をボルテックスにかけることによって、PEI(Mn約60,000)分子と縮合させた(L.D.Harris, B.S.Kim, D.J.Mooney, Open pore biodegradable matrices formed with gas foaming. J. Biomed. Mater. Res. 42, 396-402 (1998); S, Cohen, T. Yoshioka, M. Lucarelli, L. H. Hwang, R. Langer, Controlled delivery systems for proteins based on poly(lactic/glycolic acid)microspheres. Pharm. Res. 8, 713-720 (1991); Y. C. Huang, M. Connell, Y. Park, D. J. Mooney, K. G. Rice, Fabrication and in vitro testing of polymeric delivery system for condensed DNA. J. Biomed. Master. Res. A 67, 1384-1392 (2003))。PEIとCpG-ODNの電荷比(NH3+:PO4-)を、縮合の間は7で一定に維持した。その後、PEI-CpG-ODN縮合物溶液を60μlの50%(重量/体積)ショ糖溶液と共にボルテックスにかけ、凍結乾燥し、そして乾燥ショ糖と混合して最終重量を150mgとした。ショ糖含有PEI-CpG-ODN縮合物をブランク、GM-CSFおよび/または腫瘍溶解物の負荷されたPLGミクロスフェアと混合してPLG癌ワクチンを作出した。インサイチューにおけるDCサブセットおよびT細胞の同定 ブランクPLGマトリクス、および3000ngのGM-CSF単独または1、10、50または100μgのいずれかのCpG-ODNと組み合わせたものを含むマトリクス(試験はまた、3000ngのGM-CSFまたは100μgのCpG-ODNのいずれかを単独でまたは組み合わせて共提示された腫瘍溶解物を使用しても行った)を、7〜9週齢の雄C57BL/6Jマウスの背中の皮下嚢に埋め込んだ。組織学的検査のために、足場を切り出し、そしてZ-固定液(Anatech)で固定し、パラフィンに包埋し、そしてヘマトキシリンおよびエオシン(H & E)で染色した。DCの動員を分析するために、足場を種々の時点で切り出し、そしてコラゲナーゼ溶液(250 U/ml;Worthingtion)を用いて37℃で45分間撹拌した中で増殖した組織を単細胞懸濁液へと消化した。その後、細胞懸濁液を40μmセルストレーナーに通して注いで、足場の粒子から細胞を単離し、そして細胞をペレット化し、そして冷PBSで洗浄し、そしてZ2コールターカウンター(Beckman Coulter)を用いて計数した。DCの浸潤および活性化を評価するために、PLGマトリクスから単離された全細胞集団のサブセットを、フローサイトメトリーによる分析を可能とするために蛍光マーカーに結合させた一次抗体(BD Pharmingen)で染色した。アロフィコシアニン(APC)結合CD11c(DCマーカー)およびフィコエリトリン(PE)結合CD86(B7、共刺激分子)染色をDC動員分析のために行い、そしてAPC結合CD11c、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合CCR7、およびPE結合MHCII染色をDCプログラミング分析のために行った。特定のDCサブセットの存在をさらに描写するために、細胞をAPC結合CD11cおよびPE結合PDCA-1(pDCマーカー)、APC結合CD11cおよびPE結合CD8(CD8DC)またはAPC結合CD11cおよびFITC結合CD11b(CD11bDC)で染色した。T細胞浸潤を評価するために、PE-Cy7結合CD3染色を、APC結合CD8a(CD8T細胞)、FITC結合CD4(CD4T細胞)およびPE結合FoxP3(Treg)と共に実施し、そしてフローサイトメトリーで分析した。細胞を、アイソタイプ対照を用いて陽性FITC、APCおよびPEに従ってゲートを設定し、そして各表面抗原に関して染色陽性の細胞の比率を記録した。腫瘍増殖アッセイ、防御性サイトカインおよびTRP2五量体の分析 黒色腫溶解物および種々の用量のGM-CSFおよび/または種々の量のPEI-CpG-ODN縮合物を有するPLG足場を、C57BL/6Jマウスの左下腹側部皮下に埋め込んだ。予防的ワクチン接種のために、14日後に動物に、頚背部への105個のB16-F10黒色腫細胞[アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)]の皮下注射によってチャレンジした。動物を腫瘍増殖の発生(約1mm3)に関してモニタリングし、そして腫瘍が20〜25mm(最も長い直径)まで増殖した場合には人道的理由から屠殺した。 治療設定におけるPLGワクチン効力を評価するために、C57BL/6Jマウスに、頚背部への5×105個のB16-F10黒色腫細胞(ATCC)の皮下注射によってチャレンジした。腫瘍チャレンジから9日後または13日後のいずれかに、3000ngのGM-CSF、100μgのCpG-ODNおよび腫瘍溶解物の負荷されたPLGワクチンを、C57BL/6Jマウスの左下腹側部皮下に埋め込んだ。マウスのサブセットに初回ワクチン接種(19日目および23日目)から10日後に再度ワクチン接種した。 インビボにおいてマトリクス埋め込み部位におけるIL-12p70、IFN-α、IFN-γおよびTGF-β濃度を決定するために、隣接組織を切り出し、そして組織タンパク質抽出試薬(Pierce)を使用して消化した。遠心分離後、IL-12、IFN-α、IFN-γ、およびTGF-βの上清中濃度を、その後、製造業者の説明書に従って、酵素結合イムノソルベントアッセイ(R&D Systems)を用いて分析した。 TRP2特異的CTLの生成を決定するために、単細胞懸濁液を、種々の時点でPLGワクチン(溶解物+3000ngのGM-CSF+100μgのCpG)で免疫化されたマウスの脾臓から調製した。これらの細胞を最初にAPC-H-2Kb-TRP2五量体(Proimmune)で染色し、続いて、CD8に対するPE結合モノクローナル抗体(BD Pharmingen)で染色し、その後、フローサイトメトリーによって分析した。 データは、炎症性サイトカイン、免疫危険シグナルおよび腫瘍抗原が組み入れられた埋め込まれたコポリマーマトリクス(抗原の負荷された無細胞生体材料装置)は、インビボにおいて定着した腫瘍を根絶する免疫応答ネットワークを惹起することを示す。統計分析 本試験における全ての値は、平均値±SD.として表記した。群間の有意差をスチューデントt検定によって分析し、そして0.05未満のP値は有意であると見なした。局所的GM-CSF送達は、CD11b+DCの動員を促進する マクロ孔性PLGマトリクスは、GM-CSFを放出してDCを動員するために製作され、相互接続された孔構造は細胞の浸潤を促進する。マトリクスに、0、3000および7000ngのGM-CSFが負荷され、そしてC57BL/6Jマウスの皮下嚢に埋め込まれた。3000ngのGM-CSFの負荷されたPLGマトリクスの埋め込みから14日後の組織学的分析により、ブランク対照と比較して増強された細胞の浸潤が判明した。CD11cDCに関する蛍光活性化細胞選別(FACS)分析は、GM-CSF送達が、ブランクPLGマトリクスよりも有意により多くのDC(約8倍の増加)を動員したことを示した。マトリクス常在DCは、インビボにおけるDC動員に対するGM-CSFの効果の他の研究によると、ほぼ専らCD11b+(約87%)であった(N. Mach, S. Gillessen, S. B. Wilson, C. Sheehan, M. Mihm, G. Dranoff, Differences in dendritic cells stimulated in vivo by tumors engineered to secrete granulocyte-macrophage colonystimulating factor or Flt3-ligand. Cancer Res. 60, 3239-3246 (2000); E. Daro, B. Pulendran, K. Brasel, M. Teepe, D. Pettit, D. H. Lynch, D. Vremec, L. Robb, K. Shortman, H. J. McKenna, C. R. Maliszewski, E. Maraskovsky, Polyethylene glycolmodified GM-CSF expands CD11bhighCD11c high but not CD11b low CD11c high murine dendritic cells in vivo: A comparative analysis with Flt3 ligand. J. Immunol. 165, 49-58 (2000))。動員されたDCの総数およびその共刺激分子CD86のその発現は、GM-CSF送達により用量依存的に増加した。しかしながら、最も高い用量(7000ng)のGM-CSFは、埋め込み部位における活性化DCの数を減少させ、これは、埋め込みから14日後の主要織適合性抗原複合体クラスII(MHCII)およびCCR7の発現の消失によって示された。全DC動員および活性化はどちらも、3000ngのGM-CSFにおいてピークに達したので、この用量を使用してDCを動員および生成した。GM-CSF送達は、より多くの細胞の、PLG材料への浸透およびPLG材料との結合を促進し、これは、組織学的分析およびDC数の測定によって示され、これは、常在DC前駆体およびDCのその後のプログラミングを可能とした。インサイチューにおけるCpG-オリゴデオキシヌクレオチドの送達は、pDCの動員およびIFNの産生を促進する 危険シグナルを局所的に提示することにより、別個のDCサブタイプの比を調節することができるかを、次に、TLRを活性化するポリエチレンイミン(PEI)縮合CpG-オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)分子をマトリクスに固定することによって調べた。オリゴヌクレオチドをポリカチオン性ポリマーPEIと縮合することにより、陰イオン性PLGマトリクスに静電気的に結合する正に荷電した粒子が得られる。CpG-ODNが単独で組み込まれたPLGマトリクスは、PLGマトリクスにCD11c+-PDCA-1+-pDCを動員した。この効果は、GM-CSFの同時投与によって増強された。3000ngのGM-CSFと組み合わせて提示されたCpG-ODNの用量を、常在pDCの数を調節するために変化させ、その結果、それぞれ0、10および100μgのCpG-ODNの用量で、190,000、520,000および1,200,00個の細胞が得られた。CpG-ODNの共提示は、GM-CSFが、CD11c+-CD11b+cDCを増強する能力に殆ど影響を及ぼさなかった。高用量のCpG-ODNは、GM-CSFの存在とは独立して、IFN-α(約1010pg/ml)およびIFN-γ(約600pg/ml)の局所的産生を促進した。これらの結果は、合成細胞外マトリクスからの制御されたGM-CSFおよびCpG-ODN危険シグナル伝達は、TH1およびCTL免疫と一般的に連関している防御性サイトカインの産生と共に、常在pDCおよびCD11c+CD11b+cDCの数を協調して調節する。CpG-ODNおよびGM-CSFと腫瘍溶解物との共送達は、CD8+の生成およびIL-12の産生を刺激する マトリクス常在DCに対してCpG-ODNと癌抗原を共提示することは、DCの発達、活性化およびCTLの抗原感作をさらに促進するかどうかを決定するために実験を行った。この文脈において、壊死性腫瘍細胞は、自然免疫の認識をトリガーする多種多様の内因性メディエーター(例えば熱ショックタンパク質および損傷した核酸)を放出するので、特に免疫刺激性であり得る(C. Fonseca, G. Dranoff, Capitalizing on the immunogenicity of dying tumor cells. Clin. Cancer. Res. 14, 1603-1608 (2008))。したがって、B16黒色腫の凍結解凍溶解物を調製し、そして抗原提示マトリクスを、これらの溶解物をPLGマトリクスに封入することによって製作し、その結果、浸潤細胞集団に局所的かつ持続的に抗原が提示された(O. A. Ali, N. Huebsch, L. Cao, G. Dranoff, D. J. Mooney, Infection-mimicking materials to program dendritic cells in situ. Nat. Mater. 8, 151-158 (2009))。これらの抗原提示マトリクスは、意外にも、インサイチューにおいてCD8+DCの生成を刺激した。ウイルス侵入時に、CD8+CD11c+cDCは、MHCII分子上に外来性抗原を交差提示することに(J. D. Farrar, H.Asnagli, K. M. Murphy, T helper subset development: Roles of instruction,selection, and transcription. J. Clin. Invest. 109, 431-435 (2002); D. Skokos, M. C. Nussenzweig, CD8 DCs induce IL-12-independent Th1 differentiation through Delta 4 Notch-like ligand in response to bacterial LPS. J. Exp. Med. 204, 1525-1531 (2007); J. M. den Haan, S. M. Lehar, M. J. Bevan, CD8+ but not CD8- dendritic cells cross-prime cytotoxic T cells in vivo. J. Exp. Med. 192, 1685-1696 (2000)、そしてTH1-促進サイトカインIL-12を産生することに(M. Moser, K. M. Murphy, Dendritic cell regulation of TH1-TH2 development. Nat. Immunol. 1, 199-205 (2000); D. Jankovic, M. C. Kullberg, S. Hieny, P. Caspar, C. M. Collazo, A. Sher, In the absence of IL-12, CD4+T cell responses to intracellular pathogens fail to default to a Th2 pattern and are host protective in an IL-10-/- setting. Immunity 16, 429-439 (2002); V. E. Schijns, B. L. Haagmans, C. M. Wierda, B. Kruithof, I. A. Heijnen, G. Alber, M. C. Horzinek. Mice lacking IL-12 develop polarized Th1 cells during viral infection. J. Immunol. 160, 3958-3964 (1998); J. Magram, J. Sfarra, S. Connaughton, D. Faherty, R. Warrier, D. Carvajal, C. Y. Wu, C. Stewart, U. Sarmiento, M. K. Gately, IL-12-deficient mice are defective but not devoid of type 1 cytokine responses. Ann. N. Y. Acad. Sci. 795, 60-70 (1996))特に効率的であり、これらはウイルスおよび腫瘍に対してCTL免疫をプライミングするのを助ける2つの機序である。しかしながら、この活性は、通常、リンパ系組織に関連している。CpG-ODNと腫瘍溶解物との共提示により、200,000個のCD8+DCの存在がもたらされ、これはGM-CSFを加えて動員を刺激した場合には約670,000個(ブランクマトリクスと比べて9倍の増加)まで増加した。さらに、GM-CSFおよびCpGと組み合わせた腫瘍溶解物は、埋め込みから10日後に動員されたpDCの数を、溶解物を含まないマトリクスと比べて2倍以上増強させ、そしてブランク対照と比べて10倍増強させた。GM-CSFまたはCpGシグナル伝達を単独で組み合わせた腫瘍溶解物ではpDC数の有意な差は観察されなかった。ワクチン部位におけるCD11c+CD11b+DC集団は、GM-CSFのみに依存していた。なぜなら、腫瘍溶解物またはCpGシグナル伝達を単独でまたはその組合せは、これらのDCの動員および増殖に有意な効果を全く及ぼさなかったからである。 GM-CSFによって動員された細胞集団に腫瘍溶解物およびCpG-ODNの両方を送達するマトリクスにおけるインサイチューにおけるT細胞増殖因子IL-12の産生は、ブランクマトリクスの約4倍であり、そして他の全てのマトリクス配合物の少なくとも2倍であった。しかしながら、マトリクスにおける腫瘍溶解物は、CpG-ODN単独によって誘導された高濃度のIFN-αおよびIFN-γを増加させなかった。これらの結果は、工学操作されたマトリクスは、特定のDCサブセットの数および機能の両方を操作しただけでなく、かつ付随するCTL極性化活性も操作したことを示す。GM-CSF、CpG-ODNおよび腫瘍溶解物を共送達するPLGマトリクスは、強力な局所性および全身性のCD8+細胞障害性T細胞を刺激する 腫瘍溶解物、GM-CSFおよびCpG-ODNを送達するPLGワクチンによって誘導される獲得免疫機序を解明するために、局所性および全身性の両方のCTLの活性を調べた。ワクチン部位に浸潤している細胞のフローサイトメトリー分析により、5日目までに有意なCD3+CD8+T細胞応答が判明し(代表的な試料:約1.9×105個の細胞)、これは12日目にピークに達し、この時、マトリクス常在細胞の比較的多くの割合がCTLであった(代表的な試料:細胞の8.5%;約8.5×105個の細胞)。局所CD8+T細胞数は16日目までに鋭く低下し、そして、おそらく抗原の消失のために21日目には無視できるほどの量であった。腫瘍溶解物、GM-CSFおよびCpG-ODNを含有するPLGワクチンは、CpGを欠いた他のマトリクス配合物と比べて、CD8+細胞障害性免疫応答を優先的に調整および促進した。さらに、全身性CTL応答の活性化および持続は、脾臓細胞を、MHCII-チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2)ペプチド五量体で染色して、マウスおよびヒトにおける黒色腫ワクチンの主要な抗原性標的であるTRP2に対する特異性を有するCTLを同定することによってモニタリングされた。TRP2特異的CTLの有意な増殖が、ワクチン接種マウスの脾臓において5日目までに観察され、これは7日目から16日目まで持続しピークに達し、その後、21日目から28日目に下降した。このことは、全身性抗黒色腫応答が生成され、そして長期間持続したことを示す。PLGマトリクスによって誘導された腫瘍に対する防御は、DCサブセットおよびIL-12の産生に相関した このシステムは、免疫原性の乏しいB16-F10黒色腫に対する予防的免疫を生成することができる(O. A. Ali, N. Huebsch, L. Cao, G. Dranoff, D. J. Mooney, Infection-mimicking materials to program dendritic cells in situ. Nat. Mater. 8, 151-158 (2009))。この抗腫瘍効力と、種々のワクチン製剤によって誘起される特異的DCネットワークの関連を調べた。C57BL/6Jマウスに、B16腫瘍溶解物、GM-CSFおよびCpG-ODNを種々の組合せで組み込んだPLGをベースとしたマトリクスをワクチン接種し、その後、ワクチン接種から14日後に生B16-F10黒色腫細胞でチャレンジした。B16-F10腫瘍溶解物および1、10、50、または100mgのいずれかの用量のCpG-ODN危険シグナル伝達の両方を含むPLGワクチンは、さもなければ致命的な細胞でのチャレンジ後にも、ワクチン接種マウスの10〜30%が、腫瘍を発症せずに生存することを可能とし、一方、ワクチン接種を受けてなかったマウスの100%が、腫瘍量のために23日目までに屠殺された。GM-CSFにより媒介されるDCの動員を、溶解物およびCpG-ODNの送達と組み合わせた場合、マウスは、腫瘍により誘発される致死から有意に防御されることを示した。10、50および100μgのCpG-ODNの用量により、それぞれ50%、60%および90%の生存率が得られた。 ワクチンシステムが異質性のDC集団を作成することができるかは、抗腫瘍効力の顕著な増加と相関していた。GM-CSF単独を送達する抗原マトリクスと比べて、CpGおよびGM-CSFを一緒に送達する抗原の負荷されたマトリクスにより、より高い比率のpDC(約31%対7%)およびCD8+cDC(約14%対5.5%)が得られ、これは、マウス生存率の有意な増強と相関したが(90%対20%)、インサイチューにおけるDC総数は統計学的に類似していた(3.0±0.6対4.2±0.9×106個のDC;両側スチューデントt検定、n=5)。生存率は、10日目にPLGワクチン部位において生成された、pDCおよびCD8+cDCの数に比例していたが、CD11b+DCには比例しなかった。さらに、IL-12の内因性産生は、動物の生存率と相関し、このことは、ワクチン効力に対する交差提示およびTH1促進サイトカインの重要性を示す。CpG-ODNを組み込んだ工学操作されたPLGマトリクスは、FoxP3Treg数および免疫抑制性サイトカインによる免疫調節を減弱する エクスビボまたはインサイチューのいずれかでDCをプログラミングするように設計されたいくつかのワクチンは、マウス癌モデルにおいて有意かつ長期の予防的防御を達成したが、侵襲的かつ十分に定着した腫瘍の根絶は、T細胞養子移植または全身療法を行わなければ達成されなかった(W. W. Overwijk, M. R. Theoret, S. E. Finkelstein, D. R. Surman, L.A. de Jong, F. A. Vyth-Dreese, T. A. Dellemijn, P. A. Antony, P. J. Spiess, D. C. Palmer, D. M. Heimann, C. A. Klebanoff, Z.Yu, L. N. Hwang, L. Feigenbaum, A. M. Kruisbeek, S. A. Rosenberg, N. P. Restifo, Tumor regression and autoimmunity after reversal of a functionally tolerant state of self-reactive CD8+T cells. J. Exp. Med. 198, 569-580 (2003); Y. Tamura, P. Peng, K. Liu, M.Daou, P. K. Srivastava, Immunotherapy of tumors with autologous tumor-derived heat shock protein praparations. Science 278, 117-120 (1997))。この限界は、少なくとも部分的には、獲得免疫応答の細胞障害活性を減弱するTreg細胞を、DCをベースとしたワクチンが刺激できることを反映し得る(S. A. Quezada, K. S. Peggs, M. A. Curran, J. P. Allison, CTLA4 blockade and GM-CSF combination immunotherapy alters the intratumor balance of effector and regulatory T cells. J. Clin. Invest. 116, 1935-1945 (2006); M. Jinushi, Y. Nakazaki, M. Dougan, D. R. Carrasco, M. Mihm, G. Dranoff, MFG-E8-mediated uptake of apoptotic cells by APCs links the pro- and antiinflammatory activities of GM-CSF. J. Clin. Invest. 117, 1902-1913 (2007))。したがって、免疫抑制経路の誘導に対する工学操作マトリクスの影響を調べた。GM-CSFおよびCpGを含む抗原提示マトリクスに対するCD4+T細胞応答のモニタリングにより、埋め込みから5日目および7日目にピークの活性が判明し、これは、12日後までには無視できる濃度にまで減少した。これに対して、GM-CSFおよび腫瘍溶解物を含むマトリクスにより、12日目にCD4T細胞浸潤の有意な増強がもたらされ、そしてこれらの細胞は、CTL応答の調節に寄与しているようである。GM-CSFおよび腫瘍溶解物のワクチンマトリクスへの組み込みにより、ワクチン部位におけるTGFβ濃度の10倍の増加およびIL-10の有意な増加がもたらされ;これらはTreg活性および免疫抑制に通常伴うサイトカインである。さらに、GM-CSFをベースとしたワクチンにおいて以前に観察されていたように、腫瘍抗原とGM-CSFの共シグナル伝達により、他の全てのマトリクス配合物に比べて、ワクチン部位において有意なCD3+FoxP3+応答が得られ、その結果、CD8+エフェクターとFoxP3 Treg細胞の比がほぼ均等となった。腫瘍溶解物およびGM-CSFの両方と協奏してCpG-ODNを提示することで、これらの免疫抑制機序は打ち消された。なぜなら、TGFβおよびIL-10濃度およびTreg活性は、対照マトリクスと比較して増強されず、そしてCD8 CTLは、埋め込みから12日後にFoxP3 T細胞の数を約25倍上回っていたからである。これらの所見は、ワクチンシステムが、pDCおよびCD8+DCによって誘導されるナイーブT細胞分化、1型IFNおよびIL-12の対応する産生、およびネガティブフィードバック機序の阻害を通してCTL応答を促進および延長することを示す。実施例1:GM-CSFの負荷されたPLG装置 3μgのGM-CSFの負荷されたPLGマトリクスをC57BL/6Jマウスの皮下嚢に埋め込んだ。マクロ孔性PLGマトリクスは、GM-CSF、危険シグナル、および癌抗原を既定の空間的時間的様式でインビボで提示し、そして動員されたDCがプログラミングされる際のDCの居所として役立つ。これらのマトリクスは、常在DCを効果的に動員するために、最初の5日以内にその生物活性GM-CSF負荷の約60%を放出し、その後、次の10日間にわたって生物活性GM-CSFを緩徐かつ持続的に放出した(図11A)。 マトリクスは以下のように作出された。D,L-ラクチドおよびグリコリドの85:15、120 kDのコポリマー(PLG)(Alkermes, Cambridge, MA)をガス発泡プロセスにおいて利用してマクロ孔性のPLGマトリクスを形成した(Harris, L. D., Kim, B. S., and Mooney, D. J. Open pore biodegradable matrices formed with gas foaming. J. Biomed.Mater. Res. 42, 396-402 (1998))。GM-CSFは、高圧CO2発泡プロセスを使用してPLG足場に封入された(54%の効率)。GM-CSFを封入したPLGミクロスフェアを、標準的なダブルエマルションを使用して作出した(Cohen S., Yoshioka T., Lucarelli, M., Hwang L. H., and Langer R. Controlled delivery systems for proteins based on poly(lactic/glycolic acid) microspheres. Pharm. Res. 8,713-720 (1991))。腫瘍溶解物を組み入れるために、C57BL/6Jマウス(Jackson Laboratory, Bar Harbor Maine)の背部皮下で成長させたB16-F10腫瘍の生検材料を、コラゲナーゼ(250 U/ml)(Worthington, Lakewood, NJ)で消化し、そして液体窒素中での急速凍結および解凍(37℃)の4サイクルに供し、そしてその後、400rpmで10分間遠心分離にかけた。腫瘍溶解物を含有する上清を収集し、PLGミクロスフェアと共に凍結乾燥し、そして得られた混合物を使用してPLG足場をベースとした癌ワクチンを作出した。CpG-ODNをPLG足場に組み入れるために、CpG-ODN 1826、5'-tcc atg acg ttc ctg acg tt-3'(SEQ ID NO: 12; Invivogen, San Diego, CA)をまず、ODN-1826溶液をPEI溶液に滴下し、混合物をボルテックスにかけることによって、ポリ(エチレンイミン)(PEI、分子量約25,000 g mol-1、Sigma Aldrich)分子と縮合させた。PEIとCpG-ODNの電荷比(NH3+:PO4-)を、縮合の間では7で一定に維持した。その後、PEI-CpG-ODN縮合物溶液を60μlの50%(重量/体積)ショ糖溶液と共にボルテックスにかけ、凍結乾燥し、そして乾燥ショ糖と混合して最終重量を150mgとした。その後、ショ糖含有縮合物をブランク、GM-CSFおよび/または腫瘍溶解物の負荷されたPLGミクロスフェアと混合してPLG癌ワクチンを作出した。 動物に投与後、組織学的分析を14日目に行った。分析から、足場への総細胞浸潤は、対照(GM-CSFを組み入れていない)と比較して有意に増強されたことが判明した(図11B)。特にDC(細胞表面抗原CD11cおよびCD86に関して陽性の細胞)に関する分析から、GM-CSFが総常在細胞数を増加させるのみならず、DCである細胞の比率も増加させることが示された(図11C)。GM-CSF送達の結果として材料に常在しているDCの数は、エクスビボにおけるプロトコルによって一般的にプログラミングおよび投与されたDCの数(約106個の細胞)とほぼ同じであるかそれより良好であり、そして増強されたDC数は、長期間にわたり材料において維持された。インビボにおけるDC動員に対するGM-CSFの効果は時間および用量依存的であった(図11D)。 周辺組織における個別のインビボ濃度プロファイルを提供し、そしてDC成熟および常在DCの分散を調節するために、PLG足場から送達されるGM-CSFの用量を変化させた(図11E)。GM-CSFを有さない足場を埋め込むと、埋め込み直後に中等度の局所レベルが得られたがその後1〜2日までに低レベルへと低下し、おそらく手術および埋め込まれたPLGに対する炎症応答により5日目に再度ピークに達した。PLG足場からのGM-CSFの送達によって、長期間におよび類似のGM-CSF濃度プロファイルが得られたが、かなり高い局所濃度であった。GM-CSFの初回用量をほぼ倍加させると、システムは、おそらく常在DCおよび白血球による内因性のGM-CSF産生により、インビボでのGM-CSFピークレベルに一桁の差を達成した。GM-CSFの二次ピークは3000ngの用量で5日目に見い出され、そして7000ngの用量では7日目に見い出された(図11E)。3000または7000ngのGM-CSFのいずれの用量を利用したかによらず、DCの活性化状態は、GM-CSFレベルが低下し始めた際(それぞれ、10日および28日)にピークに達し、そしてDCプログラミングのために最適な濃度範囲に入る。 その後、GM-CSFのパルスが活性化DCのバッチを動員および続いて放出してリンパ節へとホーミングできるかを試験した。足場に動員されたDCはフルオレセインイソチオシアネート(FITC)を摂取することから、この標識をPLG足場に組み入れてペイントした。標識は後に、鼠径リンパ節へのこれらの細胞の移動後にこれらの細胞を同定するために使用することができる。2日目に、3000ngの用量のGM-CSFによって、おそらく足場部位でDCを捕捉するGM-CSFの高い初回レベルにより、リンパ節ホーミングの阻害が起こった(図11F)。しかしながら、GM-CSFレベルが低下すると、動員されたFITC陽性DCのバッチはマトリクスから放出されて、それによってリンパ節において優れたかつ持続的なDCの存在が得られた。 局所GM-CSF濃度を一時的に制御すると、次にDCのバッチの動員および分散が制御されることから、癌ワクチンとしてのこれらの細胞の有用性を、黒色腫溶解物をマトリクスに固定して、常在DCに腫瘍抗原を負荷することによって評価した。これらのPLG癌ワクチンをC57BL/6Jマウスに埋め込み、そして14日後にこれらのマウスに非常に悪性度の高い転移性のB16-F10黒色腫細胞を注入した。ブランクPLG足場のみを埋め込まれたマウスは全て、18日以内に認識可能な腫瘍を有し、そしてこれらの細胞の侵攻性により、23日目までに安楽死させなければならなかった。PLG足場からの抗原単独の送達は、この群における数匹のマウスが40日目まで生存したことから、マウスの運命をわずかに改善した。驚くべきことに、GM-CSFと抗原との同時送達は、腫瘍形成を劇的に減少させ、そして最適GM-CSF用量は腫瘍の形成を、動物の50%において約40日間遅らせ、そして動物の23%を治癒した。さらに、最適なGM-CSF曝露(400ng)と組み合わせた局所腫瘍抗原提示は、腫瘍形成までの平均時間を、抗原単独と比較して3倍増加させ、そして最適ではないGM-CSF曝露と比較してほぼ2倍に増加させた。 次に、免疫組織化学による腫瘍組織へのT細胞浸潤の分析を行って、プログラミングされたDCがT細胞活性化および腫瘍へのホーミングを誘導することができるかどうかを決定した。抗原単独によるワクチン接種により、CD4(+)T細胞浸潤がもたらされた。特に、適切なGM-CSF提示によってインサイチューでDCのバッチを動員およびプログラミングすることによって、CD8(+)細胞傷害性T細胞数はブランク対照と比べて2倍増加した。ワクチンの効力は、CD8およびCD4 T細胞ノックアウトマウスにおいて減弱し、免疫防御におけるCD4およびCD8 T細胞の特定の役割を証明した。 インサイチューにおけるDCプログラミングの持続的プロセスは、DCがマトリクスに常在化した後に、GM-CSF阻害からDCを解放する追加の合図を提示することによって達成される。特に、外因性のGM-CSFと合成CpG-ODNの提示は、細菌感染症の模倣体を提供し、その中で炎症性サイトカインによって動員された細胞は、局所的なtoll様受容体活性化「危険シグナル」、例えば細菌に存在するCpG-ODNによって刺激される。CpG-ODNは、ヌクレオチドをまずポリエチレンイミン(PEI)と縮合して陽イオン性ナノ粒子を形成することによってPLGマトリクスに固定された。CpG-ODNとPLG粒子との組み合わせを発泡させた後、CpG-ODNは、陰イオン性PLG材料との静電相互作用によりマトリクスに大半が保持された(25日間にわたり>80%)。CpG-ODN固定は、GM-CSFによって動員された宿主DCが、それらがマトリクス内に常在する際にこれらのヌクレオチドを局所的に取り込むことを可能とする。驚くべきことに、このアプローチによって、足場における活性化DC(MHCIIおよびCCR7に関して陽性)の数はそれぞれ、GM-CSFまたはCpG-ODN送達単独に比べて約2.5倍および4.5倍増加した。CpG-ODN提示は、インサイチューで阻害性GM-CSFレベル(>40ng/ml)の存在下でDC活性化を増強し、このことは、DC動員および活性化のより持続的なプロセスを示している。この感染症模倣システムは、活性化DCを確実に生成した。この感染症模倣体を用いての免疫応答の大きさは、これらの動物のリンパ節が顕著に肥大したことから肉眼で確認された。最も重要なことには、最初にマトリクスに動員されそしてその後リンパ節に分散されたDCの数の6倍増加がこのシステムを用いて達成された。 次に、持続的DC動員および免疫応答を発生させるプログラミングの能力を、黒色腫モデルにおいて試験した。ワクチンは有意な防御を提供し、そして防御のレベルはCpGの用量と相関した。動物の生存率は、0μg、10μg、および100μgのCpGの用量でそれぞれ23%から50%に増加し、最終的に90%まで増加した。この材料感染症模倣体は、既存の細胞ベースの療法で得られるものと同等またはより良好な免疫防御を誘導した。溶解物とCpG-ODNのみを提示する材料は僅か20%の生存率しか示さなかったが、これは、GM-CSFを用いてDCを動員する利点を示す。動員されたDCがプログラミングされる際にそれらの居所を提供する利点は、3000ngのGM-CSFを含むおよび含まない腫瘍溶解物、CpG-ODNのボーラス注射からなるワクチン製剤の失敗によって証明された。さらに、動員された細胞の居所を提供することなく、ボーラスCpG-ODNおよび腫瘍溶解物の送達により、持続的なGM-CSF送達を提供するように、GM-CSF負荷PLGミクロスフェアを注入した場合、免疫防御は殆ど起こらず、そして動物は35日間以上生存しなかった。 この材料システムを用いた免疫防御の機序をさらに調べるために、GM-CSFおよびCpG-ODNを単独でまたは共に提示する材料における、DCのサブセットおよびこれらの細胞によるサイトカインの内因性の産生を、免疫応答の特異性と共に分析した。GM-CSF単独の送達は、CD11c(+)CD11b(+)骨髄系DCの動員を増強したが、一方、CpG-ODN送達単独はこのサブセットの総数に対して殆ど効果を示さなかった。しかし、CpG-ODN送達は、その部位における形質細胞様DC(これは、抗原とCpG-ODNの提示に応答して、主に1型ヘルパーT(Th)サイトカイン、特に1型インターフェロン、およびCD8(+)細胞傷害性T細胞免疫を促進することのできるインターロイキン(IL)-12を分泌すると記載されている)の数を実際に増加させた。したがって、CpGシグナル伝達は、形質細胞様DCの存在の増加から予想されるように、常在DC上の活性化マーカーの発現をアップレギュレートしただけでなく、ワクチン部位におけるIFN-γおよびIL-12の産生も誘導した。さらに、完全に防御されなかった動物のサブセット(感染症模倣体:10μgの用量のCpG-ODN)において形成された腫瘍へのT細胞浸潤の分析により、これらの動物においても、CpG-ODNを用いたDCプログラミングによって対照と比べてCD8(+)T細胞浸潤がほぼ3倍に増加することが判明した。さらに、チロシナーゼ関連タンパク質(TRP)-2は、マウス(B16全細胞ワクチンが含まれる)およびヒトの両方における黒色腫ワクチンによって惹起された免疫応答の主要な抗原性標的であり、そして脾臓から単離された細胞をMHCクラスI/TRP2ペプチド五量体で染色することにより、ワクチン接種マウスにおいてTRP2特異的CD8 T細胞の劇的な増大が判明した。これらの抗原特異的T細胞は、腫瘍細胞の殺滅に関与し、そしてワクチン接種後の免疫防御を促進した。加えて、生存マウスの33%が、腫瘍接種部位(頚背部)で皮膚の斑および体毛の脱色を発症した。おそらくメラノサイト抗原に対するT細胞応答に関与する脱色が、ヒト黒色腫患者における改善された臨床応答に相関し、そしてこれらの試験において、感染症模倣体で処置されたマウスに限って観察された。 これらの結果は、ポリマー材料システムを用いた感染症の局面の模倣が、DCを効果的に動員、活性化、およびリンパ節へホーミングさせることによって、腫瘍の進行に劇的に影響を及ぼすことを示す。第一のアプローチは、DCを腫瘍抗原提示材料に動員するためにGM-CSF単独のパルスを利用した。DCはその後材料内に常在して、そしてGM-CSFレベルが低下するまで捕捉され、そして細胞は活性化されて分散されるようになることもできた。GM-CSFの具体的な濃度および持続時間は、その効果にとって極めて重要である。その後、感染症様微小環境を通して、GM-CSFを用いての動員、続いてCpG-ODNの提示を介した常在DCの活性化、続いて放出されることにより、DCを往復輸送する、持続的プロセスが生成された。材料からのPEI縮合CpG-ODNの提示は、材料に常在する活性化宿主DCの数を劇的に増加させただけでなく、リンパ節へと遊出したプログラミングされたDCの比率および総数も劇的に増加させた。さらに、特定のDCサブセットおよびDC機能に関して選択されたCpG-ODNシグナル伝達は、防御的免疫応答を伴った。 DCの輸送および活性化に対するシステムの定量的制御は、癌ワクチンの効力に対する調節へと転換された。プログラミングされてリンパ節へと分散したDCの数が増加すると、生存率は0から25%、最終的には90%まで増加した。実際に形成された腫瘍におけるT細胞数とワクチン効力との間に明確な関係が見い出され、そして感染症模倣体が黒色腫抗原特異的T細胞の生成を誘導したことから、T細胞は免疫防御を媒介した。ボーラス型で送達された、および細胞の居所を提供せずに持続的に放出されたワクチンは、有意な防御免疫を産生することができなかったことから、マトリクス構造は、長期間持続型の免疫を産生するために必要であった。報告は、臨床的に関連した腫瘍モデルにおいて防御免疫を促進するためには細胞移植または多数回の全身注射のいずれかが必要であると結論を出したが、データは、機能的なポリマー居所材料を含む装置が、たとえ大きく低減された総薬物用量での1回適用であっても(例えば、足場システムへ3μg対反復全身注射で100μgの総用量)、以前のシステムと同等かまたはより優れた有意かつ特異的な免疫防御を提供することを示す。 これらのデータは、材料システムがインサイチューでDCをプログラミングし、そしてエクスビボでの細胞操作および移植の複雑さおよび費用を必要としないのみならず、動員され、活性化され、そしてリンパ節へと分散されるDCの数に対して厳密な制御も提供することから、重要な臨床的関連性を有する。患者は装置によって処置され、そして装置は現在の癌ワクチンに対する代替を提供するか、またはそれらおよび他のアプローチと協奏して使用される。 システムは、破壊的免疫応答を促進する(例えば、感染症を根治する)または寛容を促進する(例えば、自己免疫疾患を打倒する)ことが望まれる他の状況に適用可能である。インサイチューにおける細胞プログラミングのための一時的居所としてのポリマーの使用は、エクスビボでの細胞操作に依存する現在の細胞治療(例えば、幹細胞治療)に対する強力な代替である。実施例2:合成CpG-ODN分子の縮合は細胞の取り込みを増加させる 合成CpG-ODN分子をPEIと縮合し、それによって、細胞膜との結合の促進および膜貫通輸送の増強を介して細胞への内部移行を促進する正に荷電した低分子PEI-CpG-ODN縮合物が得られた(図2)。PEIのアミン基とODNのリン酸基の間の電荷比7および15でのODN縮合によって、最適な粒子径および陽性電荷(図2BおよびC)が得られたが、高用量でのPEI毒性に因り、電荷比7を実験に利用した。 CpG-ODNとPEIとの縮合は、インビトロでのDCへのヌクレオチドの取り込みを劇的に増強した(図3A〜C)。DCへのCpG-ODN取り込みの定量により、ODN縮合物と裸のODNの間には数桁の差(約100倍まで)が判明し、これはインビトロで長時間(>80時間)維持された(図3C)。複合体はその後脱縮合することにより(図3D)、エンドソームに存在することが以前に証明されたその細胞内受容体TLR-9へのCpG-ODNの局在化が可能となる。実施例3:CpG-ODNはDCの活性化およびDCの可動化を誘導した CpGによる効果的なDCの刺激は、細胞内局在化を必要とすることから、DC活性化に対するPEI縮合物の効果を評価した。インビトロでPEI-CpG-ODNで刺激されたDCは、裸のCpG-ODNで刺激されたDCと比較して増強されたレベルのCD86、MHCII、およびCCR7発現を示し、これはDCによる縮合物の取り込みと強く相関した(図4AおよびB)。DCは、細胞によるPEI-CpG-ODNの取り込み時に、細針状の樹状突起の発達および大きな膜膨張とを含む活性化形態を示し、これによって強い細胞間相互作用を促進し、成熟DCはT細胞を「包み込む」ことが可能となる。PEI-CpG-ODNで刺激されたDCの活性化状態は、TNF-αおよびLPS(図3C)で刺激された陽性対照の状態と同じかまたはそれを超えており、そしてPEI-CpG-ODN縮合物は、インビトロでCCL19へ向かうDCの遊走を非刺激DC(図4D)と比べて3倍の増加を促進した。 縮合オリゴヌクレオチドおよび高レベルのGM-CSFの両方に曝露された細胞において、有意なDC活性化が認められたため(図5A)、PEI-CpG-ODN縮合物はまた、GM-CSF阻害からもDCを解放した。加えて、PEI-CpG-ODNによる刺激はまた、高いGM-CSF源(500ng/ml)から離れてCCL19へと向かうDCの遊走も促進した(図5B)。 PEI-CpG-ODN縮合物を効果的に固定しそして常在DCに提示して(図6A)、DCの活性化および可動化を刺激するPLGシステムが開発された。局所的なPEI-CpG-ODNの提示は、インビトロでのDCの可動化を促進した(図6)。興味深いことに、PLGマトリクスからCCL19へのDCの遊出を増強するPEI-CpG-ODNの最適な用量範囲5〜50μgが存在するが、高用量(500μg)は、DC遊走に対して効果を及ぼさなかった(図6BおよびC)。25μgのPEI-CpG-ODNもまた、このモデルにおいて、高いGM-CSFレベルがDC遊走に対して有する抑制効果に拮抗した(図6C)。これらの結果は、適切なCpG-ODN提示が、インサイチューで高レベルのGM-CSFによって動員されてそうでなければ捕捉された宿主DCを持続的にプログラミングおよび分散させるための手段を提供することを示す。実施例4:感染症模倣体はインビボでDCを持続的にプログラミングおよび分散させる DCを持続的に動員およびプログラミングするための感染症模倣システムは、GM-CSFの同時放出によって宿主DCをPLGマトリクスに誘引するように作られたが、一方、PEI-CpG-ODN縮合物は、おそらくプラスミドDNAについて示された静電相互作用を介して、マトリクス内に大半が保持され(25日間で>80%)(図6)、これにより、動員されたDCは複合体を局所的に取り込むことが可能となる。著しくは、最適化された場合、このアプローチによって、インサイチューでマトリクスに常在するMHCIIおよびCCR7発現DCの数はそれぞれ約2.5倍および4.5倍増加した(GM-CSFまたはCpG-ODN送達単独に対して)(図7AおよびB)。興味深いことに、高用量のPEI-CpG-ODN(>50μg)によって、比較的低いMHCII発現および増強されたCCR7発現が得られ、このことは低用量と比較してDC機能の異なる調節を示している(図7A)。最適なCpG-ODNシグナル伝達(約10〜25μg)は、インサイチューで阻害性GM-CSFレベル(>40ng/ml)の存在下でDC活性化を増強し、そしてこの感染症模倣システムは、エクスビボでのプロトコルにおいて一般的に投与される活性化DCの数(>106個)をもたらした(図7AおよびB)。 最も重要なことには、最初にマトリクスに動員されてそしてその後リンパ節へと分散されたDCの数が、このシステムを用いて6倍増加した(図8A)。感染症模倣体を用いての免疫応答の大きさは、これらの動物のリンパ節が顕著に肥大したことから、肉眼でさえ認めることができた(図8BおよびC)。感染応答によって特徴付けられるように、これらの腫脹したリンパ節は、DCを含む、より多くの数の免疫細胞を含有していた(図8CおよびD)。実施例5:感染症模倣微小環境は強力な抗腫瘍免疫を付与する 次に、持続的なDCの動員およびプログラミングにより免疫応答を生成することができるかを、黒色腫モデルにおいて試験した。このワクチンは、動物の50%が80日間の時間枠において腫瘍を形成しなかったことから(図9)、有意な防御を提供し、そしてこの結果は、広く研究された細胞ベースの療法によって得られた結果と顕著に類似していた(図9)。lys+CpGを投与された動物は、処置後140日間、37.5%が腫瘍を有さず、そして防御的免疫を達成した。 さらに、完全に防御されなかった動物のサブセットにおいて形成された腫瘍組織へのT細胞浸潤の分析により、これらの動物においてさえもCpG-ODNを用いてのDCプログラミングによって対照と比較して、CD8(+)T細胞浸潤のほぼ3倍の増加が起こったことが判明した(図10)。このように、Lys-GM-CpG処置を受けた全ての動物が治療上の利点を実証した。実施例6:腫瘍の防御はCpG-ODNの提示および形質細胞様DC(pDC)の富化によって調節される 骨髄系およびリンパ系の両方の造血前駆細胞は、2つの主要なDCのカテゴリー、すなわち形質細胞様DC(pDC)および通常のDC (cDC)への分化能を有し、これら各々には、侵入病原体に対する特異的応答を増幅することができる特異的防衛機構が備わっている。この柔軟性によって、所望の免疫応答を誘発させることに最も熟達したDCサブセットの動員および生成が可能となるようである。cDCには、抗原処理およびT細胞に対する抗原提示に特に熟達させる長い突出した樹状突起を有する古典的DC形態を示す、CD11c+CD11b+およびCD11c+CD8α+細胞が含まれる。pDCは、細菌またはウイルスDNAにおける非メチル化CpGジヌクレオチド配列のような「危険シグナル」に応答して大量の1型インターフェロンを産生することができる丸くて、樹状突起を有さない細胞である。 pDC由来1型インターフェロン(IFN)は、CD8+T細胞に対する抗原の交差提示および細胞傷害性T細胞のクローン性増大を促進するcDCによるインターロイキン産生(例えば、IL-12)をトリガーすることによって、ウイルス感染に対する自然免疫および獲得免疫に関連する。1型IFNはまた、ナイーブT細胞の1型ヘルパーT細胞への分化を直接誘導するように作用する。強力なIFNの産生の他に、炎症刺激および微生物感染によって刺激されたpDCは、抗原を処理および提示してT細胞応答をプライミングすることができる樹状突起型へと分化する。pDCおよびcDCは協力して、防御免疫もたらす別個の細胞事象および分子事象を開始する特殊な機能を行なう。 多くの細胞ベースの癌ワクチンは、DCネットワークの種々の成分を組み入れることができない。癌ワクチンは頻繁に、容易に入手可能な患者由来の血中単球を使用して開発され、これはサイトカイン混合物を使用してエクスビボでDCに変換され、そして抗原提示を促進するために腫瘍抗原でパルスされている。これらの抗原負荷されたDCは次に、主にTh1細胞およびCTLによって媒介される抗腫瘍免疫応答を誘導することを目標として、癌患者の背中に注射して戻される。進行癌患者においてエクスビボDCワクチンを利用した初期の治験では、抗原特異的T細胞増殖および防御性サイトカインの産生が起こったが、多くのワクチンは伝統的な処置(例えば、化学療法)を上回る生存利点を示すことができず、そしてFDAの承認を得ることができなかった。これらの細胞ベースのワクチンは、移植されたDCのインビボでの機能に対する制御を提供せず、そしてワクチンに1種類のDCを組み入れたに過ぎず、この種類は最も強力ではない可能性がある。それ故、律速段階はおそらく、免疫応答が生成される間の、エクスビボでの免疫適格性DCの発達、特にDCの活性化および特殊化のプロセスを完全に反復できないことである。本明細書において記載される装置および方法は、そのような以前のアプローチの短所を克服し、それ故、以前のシステムを上回るいくつかの利点を有する。 装置は、インサイチューにおける異質性のDCネットワークの動員および生成を制御することにより腫瘍に対する防御免疫応答を生じる、埋め込み可能な合成の細胞外マトリクス(ECM)を含む。サイトカインが材料から周辺組織へと放出されるように、DC前駆体およびDCを動員するために、GM-CSFをポリラクチド−コ−グリコリド(FDA承認生体材料)マトリクスに組み入れた。これらのマクロ孔マトリクスは、DC細胞が材料内に常在すると、DCの発達および成熟をプログラミングすることができる、固定された腫瘍抗原および危険シグナルとしてのCpGに富むオリゴヌクレオチドを提示する。ワクチン部位で生成されたDCサブセットの分布は、材料による癌抗原の提示を改変することによっておよび危険シグナルの用量によって調節され、これは、当技術分野において認識されるB16-F10腫瘍モデルにおいて試験した場合に、腫瘍に対する防御的免疫応答の大きさに有意に影響を及ぼした。 マトリクスは、GM-CSFのパルスを放出してDCを動員するように作出され、そして0、3000、および7000ngのGM-CSFが負荷され、そしてC57BL/6Jマウスの皮下嚢に埋め込まれた。周辺組織において形成されたGM-CSF勾配は、埋め込み後12時間でピークに達し、GM-CSF濃度は、埋め込み部位から1〜3mmおよび3〜5mmの距離でそれぞれ100μg/mlおよび30μg/ml(GM-CSFを組み入れていないものと比べて>30倍の差)に達した。上昇したGM-CSFレベルが長期間(約10日間)維持されたが、一方、因子はPLGから隣接組織へと放出された。3000ngのGM-CSFの負荷されたPLGマトリクスの埋め込みから14日後の組織学的分析により、ブランク対照と比べて増強された細胞浸潤が判明し、そしてCD11c(+) DC集団についてのFACS分析により、GM-CSF送達がブランク対照より有意に多くのDC(約8倍増加)を動員したことが示された。動員されたDCの総数および共刺激分子CD86のその発現は、GM-CSFの送達により用量依存的に増加した。 次に、PLGマトリクスを改変してTLR活性化PEI縮合CpG-ODN分子を固定し、そしてそれらを危険シグナルとして、GM-CSFによって動員されたDC集団に提示した。GM-CSFと共に縮合CpG-ODNシグナル伝達を提供すると、埋め込み後10日目で、組織学的分析によって判明したように、PLGマトリクスへの細胞浸潤が劇的に増強された。重要なことには、PLGマトリクスからのCpG-ODN提示は、特定のDCサブセットの局所存在およびその結果生じる防御性サイトカインの産生を調節した。GM-CSFによって動員されたDC浸潤物をCpG-ODNで刺激すると、PLGマトリクスには、tヘルパー1型(Th1)免疫に関連する1型IFN産生の増強を示すDCサブセットである、CD11c(+)PDCA-1(+)形質細胞様DC(pDC)が富化された。 CpG-ODNによって、腫瘍部位へのpDCの優先的動員および増殖が起こる。CpG-ODNの用量を制御して常在pDCの数を調節し、常在pDC数は0、10および100μgの用量のCpG-ODNでそれぞれ190,000個の細胞から、520,000個の細胞まで、1,100,000個の細胞まで増加した。GM-CSF送達単独は、マトリクスに動員されたCD11c(+)CD11b(+)cDCの数を有意に増強させたが、CpG-ODNとの同時提示は、mDC集団またはCd11c(+)CD8(+)DCのいずれに対しても殆ど影響を及ぼさなかった。高用量のCpG-ODNは、埋め込み部位でのIFN-α(約1010pg/ml)、IFN-γ(約600pg/ml)、より程度は低いがIL-12(150pg/ml)の局所的産生を促進し、これらはこの条件で増加したpDC数と相関した。GM-CSFによるDCの動員は、CpG-ODNシグナル伝達が、pDC集団の増殖およびTh1サイトカインの産生に関して有意な効果を有するために必要であった。これらの結果は、合成細胞外マトリクスからの制御されたGM-CSFおよびCpG-ODN危険シグナル伝達が、Th1サイトカインの産生と共に常在pDCおよびCD11c(+)CD11b(+)cDC数を効果的に調節することができることを示す。 癌抗原をCpG-ODNと共にマトリクス常在DCに同時提示することが、さらなるDCの発達、活性化、および抗原感作を促進して、それによって防御的腫瘍免疫および細胞傷害性T細胞応答をもたらすかどうかを決定するために、試験を行った。B16-F10黒色腫溶解物をPLGマトリクスに封入することによって、抗原提示マトリクスを製作した。GM-CSFおよびCpGシグナル伝達と組み合わせた制御された抗原提示は、埋め込み後10日目で、抗原を有さないマトリクスと比べて常在pDC数を2倍、そしてブランク対照と比べて10倍増強した(図12A)。GM-CSFまたはCpGシグナル伝達単独と組み合わせた抗原提示ではpDC数に有意な差は観察されず、このことは、マトリクス常在DCのGM-CSFにより媒介される動員およびCpG-ODNによる活性化の両方の利点を示した。ワクチン部位でのCD11c(+)CD11b(+) DC集団は、GM-CSF送達のみに依存した(図12B)。なぜなら、抗原またはCpGシグナル伝達単独またはその組合せは、これらのcDCの動員および増殖に対して全く有意な効果を及ぼさなかったからである(図12B)。抗原およびCpG-ODN提示マトリクスによって200,000個のCD11c(+)CD8(+) cDCの存在がもたらされたが、これはGM-CSFにより媒介される動員によって約670,000個(ブランクマトリクスと比べて9倍増加)まで増加した(図12C)。IFNおよびIL-12の内因性の産生の分析により、GM-CSFと組み合わせた抗原刺激が、内因性のIFN-αおよびIFN-γ産生を促進し、これはCpG-ODNによる誘導と類似と類似していたことが判明した(図12D〜E)。加えて、抗原とCpG-ODNの両方を、GM-CSFによって動員された細胞集団に提示するマトリクスにおいて、T細胞増殖因子であるIL-12のインサイチューにおける産生は、ブランクマトリクスの約4倍であり、他の全てのマトリクス配合物の少なくとも2倍であった(図3F)。顕著には、抗原提示マトリクス部位での全細胞の有意な比率(10.3%)がCD8(+)(cDCサブセットおよび細胞傷害性T細胞)であり(図12G)、これはCD11c(+)CD8(+) cDCの数とIL-12の濃度の両方に相関した(図12C、F、G)。これらの結果は、癌抗原の提示に対して感受性である免疫応答が、インサイチューでCD8+T細胞活性を伴うCD8(+)DCを含む特定のDCサブセットの数および機能の両方を操作することによって生成されたことを示す。 C57BL/6Jマウスに、インサイチューで特定のDCサブセットの生成および機能を差次的に調節するPLGベースのワクチン(多様なGM-CSFおよびCPG-ODNの組合せ)から提示された黒色腫抗原(例えば、B16-F10腫瘍溶解物)を使用してワクチン接種し、そしてワクチン接種後14日目にB16-F10黒色腫細胞でチャレンジした。B16-F10腫瘍溶解物および1、10、50、または100μgのいずれかの用量のCpG-ODN危険シグナル伝達の両方を提示するPLGワクチンによって、ワクチン接種がなければ致死量の投与後であっても、ワクチン接種マウスの約10〜30%が腫瘍を有することなく生存し(図13A)、一方、非ワクチン接種マウスの100%が腫瘍量により23日目までに安楽死にされた。驚くべきことに、抗原およびCpG-ODN提示と組み合わせたGM-CSFにより媒介されるDC動員は、有意な腫瘍防御をもたらした。10、50、および100μgの用量のCpG-ODNによって、50、60、および90%の生存率が得られた(図13B)。生存率は、10日目のPLGワクチン部位で生成されたpDCの数と強く相関したが、動員されたCD11c(+)CD11b(+) DCの総数とは相関しなかった。さらに、比較的多数のCD11c(+)CD8(+) DC(約2×105個の細胞)を生成し(図13E)、そしてインサイチューでIFN-α、IFN-γおよびIL-12の産生を増加させるPLGシステムを用いて、高い生存率(60%および90%)が得られた。 CpGおよびGM-CSFの負荷された足場によって生成されたDC集団は、GM-CSFの負荷された足場と比較して、たとえインサイチューでの総DC数が統計学的に類似していても(3.05±0.55対2.67±0.64×106個のDC)、より高い比率のpDC(約38%対7%)およびCD8+cDC(約9.4%対5.5%)(図13F)をもたらし、これにより、マウス生存率の有意な増強(90%対20%)がもたらされたことから、ワクチンシステムが異質性のDCネットワークを動員できることも、ワクチンの効力に対して強い効果を及ぼした。さらに、チロシナーゼ関連タンパク質(TRP)-2は、マウス(B16全細胞ワクチンを含む)およびヒトの両方における黒色腫ワクチンによって惹起された免疫応答の主要な抗原性標的であり、そして脾細胞をMHCクラスI/TRP2ペプチド五量体で染色すると、0または50μgのいずれかのより低いCpG用量を提示するマトリクスと比較して(0.2%および0.3%脾細胞)、GM-CSF、抗原、および100μgのCpG-ODNでワクチン接種されたマウスにおけるTRP2特異的CD8 T細胞の有意な増大(0.55%脾細胞、1.80×105±0.6×104個)が判明した。これらの抗原特異的T細胞の発達および増殖は、pDC活性化およびその対応する1型IFNの産生によって誘導された。これらの細胞傷害性T細胞は次に、腫瘍細胞の殺滅に関与し、これはワクチン接種後の免疫防御を促進した。これらの結果は、本明細書において記載される装置(PLGマトリクス)が、インサイチューにおける特殊化したDCサブセットの動員および増殖を正確に調節することを示す。このpDCの優先的動員および増殖は、以前のワクチンアプローチと比較して癌抗原に対する免疫応答を劇的に改善し、腫瘍の進行を低減させ、そして癌患者の生存率を改善する。 図14A〜Bは、治療モデルにおける、PLGワクチンでワクチン接種されたマウス対対照の生存率を示す。マウスに5×105個の腫瘍細胞を接種し、そして腫瘍を触診可能(1〜3 mm3)となるまでマウスにおいて7日間成長させた。マウスに(7日目)、3μgのGM-CSF、腫瘍溶解物および100μgのCpG-ODNを含有するPLG足場でワクチン接種した。定着した腫瘍(腫瘍接種から7日後)を有するマウス(n=10)を使用して生存率のデータを得た。GM-CSF、溶解物、およびCpG-ODNを含有するPLGワクチンをワクチン接種のために使用した。[2] 本明細書において記載されるマクロ孔性の合成ECMは、炎症性物質および感染症シグナル伝達物質の提示に対する制御を与え、インサイチューで別個のDCネットワークを生成することができる微小環境を作った。これらのDCネットワークの総細胞数および異質性は、B16黒色腫モデルの癌抗原に対する免疫応答の大きさと相関した。GM-CSFは、PLGをベースとしたECMから急速に放出され、宿主DC前駆体およびDCをそのマクロ孔構造に動員および収容した。次に、CpG-ODNをGM-CSF分泌マトリクス内に固定してインサイチューでのpDC発達を指令し、そして実際にCpGシグナル伝達は埋め込み部位でのCD11c(+)PDCA-1(+) pDC数を増強したのみならず、その部位でのpDCを用量依存的に富化した。腫瘍抗原をPLGマトリクスに組み入れると、ワクチン部位でのCD11c+CD8+cDCの活性および富化の増強が観察された。癌抗原の提供によって、総CD8+細胞集団の増強がもたらされ、このことはCd8+DCおよびCd8+T細胞がインサイチューで抗原提示材料に応答し、そして免疫応答が細胞傷害性成分を有していたことを示した。ワクチン埋め込み部位でのサイトカイン分析により、DCサブセットが協調的に作用して、効果的な免疫応答を生成することが示された。pDC数は1型IFNの存在と強く相関し、これは、CD11c(+)CD11b(+) cDCの活性化およびそれによる抗原交差提示を助けて、これらの細胞によるCTLプライミングを増強した。さらに、pDCおよびCD8+cDC数は、IL-12の産生と相関し、これはマトリクス常在DCによる抗原発現および交差提示ならびにCTLの発達および増殖を促進する。 腫瘍の増殖およびT細胞の分析から、DCネットワークの異質性がインサイチューで増加するにつれて、ワクチン効力も増加することが示された。総DC数は、GM-CSFシグナル伝達と統計学的に類似のままであったが、CpG-ODN危険シグナル伝達を提供すると、pDC数は用量依存的に増加し、これはB16-F10腫瘍によるチャレンジ後の動物の生存率に強く相関した。PLGワクチンからの黒色腫抗原提示と共に10、50、および100μgのCpG-ODN用量(GM-CSF分泌マトリクスにおいて)によって、マウスの45%、60%、および90%の生存率が得られた。PLGワクチンからGM-CSFシグナル伝達を除去すると、インサイチューで生成されたDCの総数は鋭く減少し、それによって生存率は10%に低下したが、一方でCpG-ODNシグナル伝達を除去すると、インサイチューでpDCが減少した。なぜなら、DCの大半(87.4%)がCD11b+CDCであったからである。腫瘍チャレンジ後に50%より高い生存率を達成するためには、約600,000個のpDCおよび200,0000個のCD8+cDC(全DCの約30%)が、約2,000,000個のCD11b+cDCと協調するために必要であったので、防御免疫を誘導するために必要なDCの最少数を各DCサブセットに関して決定した。 装置および方法は、免疫を生成するためにインビボでDCサブセットを定量的に標的化かつ使用し、それによって別個で防御的な免疫応答を得ることができることを証明したので、結果は臨床的に有意である。実施例7:構造化ポリマー装置におけるTLRアゴニストの提示材料および方法マウス C57BL/6マウスおよびBatf3-/-ノックアウトマウス(6〜8週齢の雌;Jackson Laboratories)を実施例7に記載した試験に使用した。マトリクス製作 D,L-ラクチドおよびグリコリドの85:15、120kDのコポリマー(PLG)(Alkermes, Cambridge, MA)をガス発泡プロセスにおいて利用してマクロ孔性のPLGマトリクスを形成した(Harris et al., J. Biomed. Mater. Res. 42, 396-402 (1998))。GM-CSFを封入したPLGミクロスフェアをまず標準的なダブルエマルションを使用して作出した(Cohen et al., 1991 Pharm. Res. 8, 713-720)。また、ダブルエマルションプロセスを使用して、アジュバントとしてMPLAを含有するPLGミクロスフィアを製作した(Avanti Polar Lipids, Alabaster, AL)。その後、PLGミクロスフィアを孔形成物質である150mgのショ糖(粒子径が250μm〜425μmとなるようにふるいにかける)と混合し、そして圧縮成形し、これにより一般的に孔形成物質のサイズ範囲である開いた相互接続された孔を有するディスク装置が得られた。得られたディスクを高圧CO2環境において平衡にし、そして圧を急速に低減させて、ポリマー粒子を膨張させ、そして相互接続構造へと融合させた(Harris et al., 1998 J. Biomed. Mater. Res., 42:496-402)。水の中に浸すことによってショ糖を足場から浸出させると、90%多孔性である足場が得られた。 腫瘍溶解物をPLG足場に組み入れるために、C57BL/6Jマウス(Jackson Laboratory, Bar Harbor Maine)の背部の皮下で成長させたB16-F10腫瘍の生検材料をコラゲナーゼ(250U/ml)(Worthington, Lakewood, NJ)で消化し、そして40μmセルストレーナーに通してろ過した後、107個/mlの細胞と同等の濃度に懸濁した。腫瘍細胞懸濁液を液体窒素中での急速凍結と解凍(37℃)の4サイクルに供し、そしてその後、400rpmで10分間遠心分離にかけた。腫瘍溶解物を含有する上清(1ml)を収集し、PLGミクロスフェアと共にインキュベーションし、そして凍結乾燥し、そして得られた混合物を使用してPLG足場をベースとした癌ワクチンを作出した。 CpG-ODNおよびP(I:C)をPLG足場に組み入れるために、CpG-ODN 1826、(SEQ ID NO: 12; Invivogen, Sand Diego, CA)またはP(I:C)(高分子量;Invivogen, San Diego, CA)をまず、ODN-1826溶液をPEI溶液に滴下し、混合物をボルテックスにかけることによって、ポリ(エチレンイミン)(PEI、Mn約60,000、Sigma Aldrich)分子と縮合させた(Huang,et al., 2003 J. Biomed. Mater. Res., A 67:1384-1392)。PEIとCpG-ODNの電荷比(NH3+:PO4-)を、縮合の間では7で一定に維持した。PEIとP(I:C) の電荷比(NH3+:PO4-)を、縮合の間では3で一定に維持した。その後、縮合物溶液を60μlの50%(重量/体積)ショ糖溶液と共にボルテックスにかけ、凍結乾燥し、そして乾燥ショ糖と混合して最終重量を150mgとした。その後、ショ糖含有PEI-CpGODN縮合物をブランク、GM-CSFおよび/または腫瘍溶解物の負荷されたPLGミクロスフェアと混合してPLG癌ワクチンを作出した。インサイチューにおけるDCおよびT細胞の同定 GM-CSFの負荷されたPLGマトリクス、および100μgのCpG-ODN、MPLAまたはP(I:C)のいずれかと組み合わせたGM-CSFを含有するマトリクスを、7〜9週齢の雄C57BL/6Jマウスの背部の皮下嚢に埋め込んだ。DC動員を分析するために、足場を種々の時点で切り出し、そしてコラゲナーゼ溶液(Worthingtion, 250U/ml)を使用して37℃で45分間撹拌した中で増殖した組織を単細胞懸濁液へと消化した。その後、細胞懸濁液を40μmセルストレーナーに通して注いで、足場の粒子から細胞を単離し、そして細胞をペレット化し、そして冷PBSで洗浄し、そしてZ2コールターカウンター(Beckman Coulter)を使用して計数した。DCの浸潤および活性化を評価するために、その後、PLGマトリクスから単離された全細胞集団のサブセットを、フローサイトメトリーによる分析を可能とするために蛍光マーカーに結合させた一次抗体(BD Pharmingen, San Diego, CA)で染色した。APC結合CD11c(樹状細胞マーカー)、FITC結合MHCIIおよびPE結合CD86(B7、共刺激分子)染色をDCの動員および活性化の分析のために行なった。特定のDCサブセットの存在をさらに描写するために、細胞を、APC結合CD11cおよびPE結合PDCA-1(形質細胞様DCマーカー)またはAPC結合CD11cおよびPE結合CD8(CD8DC)でも染色した。T細胞浸潤を評価するために、PE-Cy7結合CD3染色を、APC結合CD8a(CD8T細胞)およびPE結合FoxP3(Treg)と共に実施し、そしてフローサイトメトリーで分析した。細胞を、アイソタイプ対照を使用して単独陽性FITC、APC、およびPE染色に従ってゲートを設定した。各表面抗原に関して染色陽性の細胞の比率を記録した。腫瘍増殖アッセイ、防御性サイトカインおよびTrp2五量体の分析 黒色腫溶解物およびGM-CSFをCPG-ODN、MPLA、またはP(I:C)と組み合わせて有するPLG足場を、C57BL/6Jマウスの左下腹側部皮下に埋め込んだ。予防的ワクチン接種のために、14日後に動物に頚背部への105個のB16-F10黒色腫細胞(ATCC, Manassas, NJ)の皮下注射によってチャレンジした。動物を腫瘍増殖の発生(約1mm3)に関してモニタリングして、そして腫瘍が20〜25mm(最も長い直径)まで増殖した場合には人道的理由から屠殺した。 治療設定におけるPLGワクチン効力を評価するために、C57BL/6Jマウスに、頚背部への5×105個のB16-F10黒色腫細胞(ATCC, Manassas, NJ)の皮下注射によってチャレンジした。腫瘍によるチャレンジから9日後に、100μgのCpG-ODN、MPLAまたはP(I:C)および腫瘍溶解物と組み合わせた3000ngのGM-CSFの負荷されたPLGワクチンを、C57BL/6Jマウスの左下腹側部皮下に埋め込んだ。マウスのサブセットに初回ワクチン接種(19日目および23日目)から10日後に再度ワクチン接種した。 インビボにおいてマトリクス埋め込み部位におけるIL-12p70の濃度を決定するために、隣接組織を切り出し、そして組織タンパク質抽出試薬を用いて消化した。遠心分離後、IL-12の上清中濃度を、その後、製造業者の説明書に従って、ELISA(R&D systems)を用いて分析した。 TRP2特異的細胞障害性T細胞の生成を決定するために、単細胞懸濁液を、種々の時点でPLGワクチン[抗原+3000ngのGM-CSF+100μgの(CpGまたはMPLAまたはP(I:C))]で免疫化されたマウスの脾臓から調製した。これらの細胞を最初にPE-H-2Kb/TRP2五量体(Sigma Aldrich)で染色し、続いて、FITC-抗-CD8およびPE-CY7 CD3mAb(mAb(BD Pharmingen, San Diego)で染色し、その後、フローサイトメトリーを使用して分析した。腫瘍に浸潤している白血球(TIL)の特徴付け 指定された日に、B16-F10腫瘍をマウスから取り出し、そして1mg/mLのコラゲナーゼII(250U/ml)(Worthington, Lakewood, NJ)および0.1mg/mLのDNaseで37℃で1時間かけて消化した。解離した細胞を40μmのフィルターを通してろ過し、蛍光活性化細胞選別(FACS)分析による表現型の特徴付けのために抗体で直接染色した。APC-抗-CD8およびPE-Cy7-抗CD3を使用して、B16F10腫瘍から単離されたT細胞を同定した。これらのTILをまた、FITC-抗-IFNγおよびPE-抗-CD107aを使用して同時染色した。全ての抗体は、eBioscience, San Diego, CAから入手した。統計分析 本試験における全ての値は、平均値±S.D.として表記した。群間の有意差をスチューデントt検定によって分析し、そして0.05未満のP値は有意であると見なした。制御されたGM-CSFおよびTLRアゴニストの提示 マクロ孔性のポリ−ラクチド−コ-グリコリド(PLG)マトリクス(図15F)はGM-CSFを迅速に放出するように設計され(Ali et al., 2009 Nat Mater, 2:151-8)、タンパク質の約60%が10日目までに放出されて(図15A、15Bおよび15E)、DCまたはその前駆体の動員が誘導された。GM-CSFの負荷されたPLG足場はまた、危険シグナルとしてのTLR活性化CpG-ODN、MPLAおよびP(I:C)分子を提示するように改変された。インビトロにおけるGM-CSFの放出動態は、全ての条件において類似していた(図15A、15Bおよび15E)。TLRアゴニストは足場とより安定に結合し、組み入れられたCpG-ODN、P(I:C)およびMPLAの約20〜30%がインビトロにおいて最初の10日間で放出され、その後の14日間にわたり危険シグナルが緩徐かつ持続的に放出された。TLRアゴニストの提示は、DCを活性化するために長期で局所的なシグナルを与えるように設計された。重要なことには、足場を製作するために選択された特定のPLGの比較的高分子量および組成により、緩徐な足場の分解が起こり、これにより、ワクチン部位およびDC活性化およびT細胞免疫に対するその調節の長期分析が可能となる。インビボにおける制御されたDCの生成および活性化 インビボにおいてPLGマトリクスが樹状細胞を動員および活性化できるかを調べるために、危険シグナルと組み合わせたGM-CSFを送達するマトリクスを、C57BL/6Jマウスの背中皮下に埋め込んだ。マトリクスへのDCの浸潤および活性化の大きさは、7日後にポリマー材料から単離された細胞集団のFACS分析によって決定された。GM-CSF単独を送達する対照は、2.41+0.24×105個のCD11c(+)(図16Eおよび16F)細胞を含み、これには比較的低い発現レベルの活性化マーカーであるMHCII(全CD11c(+)細胞の2.57%)およびCD86(CD11c(+)細胞の4.58%)が含まれていた。PLGマトリクスへのTLR活性化危険シグナルの包含は、インサイチューにおける樹状細胞の生成および活性化を劇的に増強した。CpG-ODN、MPLAおよびP(I:C)の提示は、GM-CSF送達単独と比較して、動員されたDCの総数をそれぞれ2.5倍、1.9倍および2.2倍に増強させた(図16F)。マトリクス常在DCの活性化状態の分析により、局所的なTLRの誘導が有意な比率の活性化DCを産生することが判明した。なぜなら、MHCII(+)およびCD86(+)に関して陽性のCD11c(+)細胞は、CpG、MPLAおよびP(I:C)の負荷されたマトリクスに動員された全細胞のそれぞれ約30%、19%、および28%に含まれていたからである。TLRアゴニストを提示するマトリクスは、このシグナル伝達を欠いた対照マトリクスと比べて、埋め込み部位において、活性化DCの総数の約15倍(MPLA)から20倍(P(I:C))から23倍(CpG-OND)の増加を媒介した(図16F)。 PLGマトリクスに浸潤した細胞を、CpGODN、MPLAまたはP(I:C)で刺激すると、対照と比べて、CD11c(+)PDCA-1(+) pDCおよびCD11c(+)CD8(+) cDCの数(図16G)が富化された。危険シグナルは、埋め込み部位におけるpDCの数を、対照マトリクスと比べて約4倍増加させ、いずれかのTLRアゴニストを提示する足場に常在する平均的なpDCの細胞数は140,000個であった(図16G)。CD8(+) DCはまた、MPLAおよびP(I:C)提示により埋め込み部位において約5倍高いレベルで存在し、刺激剤としてCpG-ODNを使用した場合には9倍高いレベルで存在した。顕著には、TLR活性化剤の局所送達は、埋め込み部位における局所的なIL-12(200〜400ng/ml)の産生を促進し(図16H)、CpGおよびP(I:C)は最も高いレベルを誘導した。IL-12濃度は、これらの条件における活性化DCおよびDCサブセットの数の増加と相関していた(図16H)。さらに、ワクチン部位における一団の候補炎症性サイトカインの濃度をアッセイした。同じように上昇したレベルのIFN-α(図21A)が、CpG-ODNおよびP(I:C)による誘導から生じたが、一方、MPLAはIFN-α濃度には全く影響を及ぼさなかった。しかしながら、MPLAは、4倍高いレベルのTNF-αをもたらした(図21B)。MPLAの負荷されたマトリクスにおけるIL-12濃度は、CpG-ODNおよびP(I:C)よりも2倍低かった。TNF-αは、単球およびDC由来IFN-γ、IL-12およびT細胞プライミング(Hodge-Dufour et al., 1998 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:13806-13811)および前述のサイトカインプロファイルを阻害し、このことは、MPLAの負荷されたマトリクスが、CpG-ODNおよびP(I:C)シグナル伝達を組み入れたマトリクスと比べて、抗腫瘍T細胞応答を刺激する効率がより低いことを示唆する。予防的ワクチン接種およびその効力との相関 TLRアゴニストを提示するPLGマトリクスは、インサイチューにおいて別個かつ活性化されたDC集団および強力なサイトカイン産生を生成するので、これらのシステムの抗腫瘍効力を、より免疫原性の低いB16-F10黒色腫モデルにおいて試験した。ワクチン製剤における腫瘍抗原の発生源として作用させるためにB16腫瘍溶解物を使用した。B16-F10腫瘍溶解物およびGM-CSFの両方を提示するPLGをベースとした予防ワクチンにより、ワクチン接種から14日後の該ワクチン接種がなければ致命的な細胞でのチャレンジ後に、腫瘍を有さずにワクチン接種マウスの10%が生き延びた(図17A)。重要なことには、TLRアゴニストと組み合わせたGM-CSFと共に抗原の負荷されたマトリクスにより、有意かつ長期の腫瘍からの防御がもたらされた。PLGワクチンからのCpG-ODN、MPLAおよびP(I:C)の提示により、90、80および70%の生存率が得られた(図19B)。回帰分析を続いて実施して、長期生存の誘導がワクチン部位におけるpDC、CD8(+)およびIL-12レベルに関連していたかどうかを決定した:様々な用量のCpG-ODNを使用した以前に公表されたデータが分析に含まれた。顕著には、動物生存率は、PLGワクチンによって生成されたpDC、CD8(+)DCの数および内因性IL-12に強く相関していた(図17A〜C)。これらの所見は、ワクチン効力に対する、CD8(+) DCによる抗原交差提示およびTh1促進サイトカインであるIL-12の重要性を実証する。治療的ワクチン接種および抗腫瘍T細胞活性 様々なTLRアゴニストを含有する特定のワクチン製剤が有意な数の活性化DCを産生し、そして予防的免疫を付与したので、ワクチンが、優れた治療応答および細胞障害性T細胞応答をもたらすかどうかを決定するために試験を行なった。5×105個のB16-F10黒色腫細胞でチャレンジされたマウスに、続いて、腫瘍が定着した後、9日目および19日目にワクチン接種した。対照PLGマトリクスを埋め込まれた腫瘍を有する全てのマウスが、急速な腫瘍の増殖を示し、そして予想された通り24日目までに安楽死を必要とした(図19AB)。アジュバントとしてMPLAを提示するPLGワクチンは、腫瘍の進行速度を減少させ(図19A)、そして対照に比べて平均生存時間の僅かな増加(約1.5倍の増加)が認められた(図19AおよびB)。完全な腫瘍の退縮(腫瘍<36mm2)およびマウスの長期生存(33%の生存率)が、P(I:C)およびCpG-ODNをアジュバントとして使用したPLGワクチンでワクチン接種されたマウスのサブセットにおいて達成された。 FACs分析を使用して、様々なワクチンによって誘導されたB16-F10腫瘍浸潤白血球(TIL)の数を特徴付けた。1×106個の腫瘍細胞あたり有意により多くの数のCD8(+)CTLが、対照動物と比べて、TLRアゴニストの負荷されたワクチンで処置されたマウスにおいて存在していた(図19C〜D)。CD8(+) T細胞浸潤物をさらに、IFNγの発現、および細胞障害に関連した細胞脱顆粒のマーカーであるCD107aの発現について特徴付けた。これらの細胞集団は、ワクチン処置動物において顕著に増強された(図19C〜D)。CpGODN、P(I:C)およびMPLAシグナル伝達を特色とするワクチンにより、対照と比較して、IFNγ(+)、CD107a(+)TILの約6.1倍、3.1倍、および1.4倍の増加が得られた。さらに、CpGの負荷されたワクチンにより、そのP(I:C)およびMPLA対応物と比較して、有意により多い数の活性化TILが得られた(図19D)。 全身性CTL応答の活性化をまた、脾臓細胞をMHCクラスI/TRP2ペプチド五量体で染色して、チロシナーゼ関連タンパク質(TRP)-2に対する特異性を有するCTLを同定することによってモニタリングした。これは、マウスおよびヒトにおける黒色腫ワクチンの主要な抗原性標的である。TRP2特異的CTLの有意な増殖が、TLRアゴニストを欠いた対照と比較して、CpG-ODN、MPLAおよびP(I:C)の負荷されたワクチンでワクチン接種されたマウスの脾臓で観察された(図19E)。要するに、これらのデータは、様々なTLRアゴニストを含有するワクチン製剤が、特定のDCサブセットの活性化と関連して、有意かつ全身的な抗黒色腫CTLを産生し、そして腫瘍量を減少させることを示す。ワクチン効力は、CD8(+) DCを欠失したマウスにおいて損なわれている TLRアゴニストを組み入れたPLGワクチンは、強力な抗腫瘍CTL応答および生存に相関した、CD8(+) DC集団をインサイチューにおいて生成することができたので(図17および19)、これらの細胞が、インビボにおいて抗腫瘍免疫を付与するのに必要とされるかどうかを調べるために試験を実施した。Batf3-/-トランスジェニックマウスを、他の造血細胞型または組織構造において異常を示すことなくCD8(+) DCを欠失していたので、これらの実験において使用した(Hildner et al., 2008 Science, 322:1097-1100)。野生型およびBatf3-/-マウスに、CpG-ODNの負荷されたPLGワクチンでワクチン接種し、そして14日後にB16-F10細胞でチャレンジした。野生型マウスのワクチン接種は、予想されたように、腫瘍増殖に対する完全な防御および長期生存(100%の生存率)を促進したが、ワクチン接種を受けたBatf3-/-は防御されず、そして腫瘍増殖率は、処置されていない野生型動物と類似していた(図20A)。さらに、ワクチン接種されたBatf3-/-は、野生型マウスで観察された局所的CTL応答を産生することができず、そして、この条件においてワクチン部位においてTRP2特異的細胞障害性T細胞の3倍の減少が、より高い割合のFoxP3(+)T制御性(Treg)細胞と同時に発生した(図20B)。これらの結果は、CD8(+)DCの欠失により、細胞障害性が限定され、そしてTregによって媒介される調節経路が、ワクチンにより媒介される免疫応答を消失させる可能性があることを示した。 野生型マウスはまた、ワクチン接種部位において、ワクチン接種を受けたBatf3-/-マウスで見られるよりも5倍高いレベルでT細胞増殖因子のIL-12の産生を誘導することができた(図20C)。CD8(+) DCノックアウトマウスにおけるIL-12産生の部分的な減少は、これらの細胞が、このTh1極性化サイトカインの重要な産生体またはメディエーターであることを示す。CD8(+) T細胞ノックアウトマウスのワクチン部位はまた、低下したレベルのIL-12およびIFN-γを示した(図21CおよびD)。IL-12-IFNγ経路は、各サイトカインがその対応物の産生を増大するポジティブフィードバック機序である。Batf3-/-マウスおよびCD8(+) T細胞ノックアウトマウスを使用してのデータは、正常なマウスへのワクチン接種から生じた免疫応答は、DCとCTLとの間のサイトカインにより媒介されるクロストークによって増幅され得ることを示す。最後に、抗腫瘍CTLの全身的産生もまた、Batf3-/-において損なわれ、野生型対照と比較して、Trp2特異的CTLの3倍の減少がこれらのマウスの脾臓において測定された(図20D)。これらの結果は、このシステムにおけるワクチン効力が、CD8 DCが腫瘍抗原を交差提示して、Th-1誘導因子(例えばIL-12)を産生し、そしてCTLを生成しそしてCTLと相互作用できることにより、CD8 DCによって決定的に調節されていることを示す。 以前の癌ワクチンの限界に対処するために、腫瘍溶解物、GM-CSFおよびTLRアゴニストの提示を制御して、インサイチューで複数のDCサブセットを動員および活性化するワクチンノードを作るPLGマトリクスを使用した。DCサブセットのワクチン効力への貢献を分析し、そして、効果的な腫瘍細胞の殺滅には、pDCおよびIL-12と強く相関しているCD8(+)DCの関与が必要とされることが実証された。これらの成分は、足場に組み入れられた刺激剤の種類または用量に関わらずワクチンの結果に重要であった。 TLRアゴニストの包含は、MHCIIおよび共刺激分子CD86のその表面発現を増加させ(図16)、DCを活性化するために一般的に必要とされ、このことは、増強された抗原提示能およびT細胞集団の活性化能を示す。特に、適切なTLRシグナル伝達は、ワクチン部位におけるCD8(+)およびpDCサブセットの生成を増強し、そしてIFNおよび強力なT細胞増殖因子IL-12の産生を刺激した。さらに、システムからのTLRアゴニストの除去により、ワクチン部位において局所的にならびに全身的に脾臓および腫瘍においてTrp2特異的細胞障害性CD8(+) T細胞の数が減少し、そしてこれは、ワクチン試験における生存率の低下と同時に発生した。P(I:C)またはCpG-ODNを提示するPLGワクチンは、B16-F10黒色腫治療モデルにおいて強力な腫瘍の拒絶を誘導し、ワクチン接種動物の3分の1超に完全な腫瘍の退縮を引き起こし、そして35mm2のサイズに達する腫瘍を根絶した。ワクチン接種動物における腫瘍部位の分析は、腫瘍細胞の殺滅をおそらく奏効している強力で活性化されたCD8(+)細胞障害性T細胞浸潤物を実証した。これらのシステムは、放射線照射された腫瘍細胞のワクチンおよびDCをベースとしたワクチンを含む、クリニックで広く試験されている現在のワクチン形式の前臨床試験結果より優れていた(Gilboa E, 2007 J Clin Invest, 117:1195-1203; Banchereau J. and Steinman R. M. 2007, Nature, 49:419-426; Ali et al., 2009 Sci Transl Med, 1:8-19; Rosenberg et al., 2004 Nat Med, 10:909-915; Klebanoff et al., 2006 Immunol Rev, 211:214-224)。MPLAシグナル伝達を提示するワクチンもまた腫瘍増殖速度を減速させたが、腫瘍の完全な退縮を引き起こさなかった。これは、CpG-ODNおよびP(I:C)シグナル伝達が、より高い平均レベルのDC上の細胞表面活性化マーカーならびにTh-1極性化およびCTL応答を促進するサイトカインプロファイルを促進する点でMPLAより優れているという事実によって説明され得る。さらに、MPLAは、CpG-ODNおよびP(I:C)と比較して、IL-12、およびCTL応答をプライミングするIFN経路を阻害する可能性のあるTNF-αの強力な誘導物質である(Hodge-Dufour et al., 1998 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:13806-13811)。したがって、生存率に対するTLRアゴニストの異なる効果は、ワクチン部位で産生された活性化DCの数およびサブセットならびに細胞障害性T細胞活性に一致する。TLRアゴニストの組合せ、例えばポリ(I:C)とCpGまたはポリ(I:C)とMPLAの組合せはより、相乗的抗腫瘍効果が得られた。 全てのワクチン接種を受けた、CD8(+) DC区画を有さないマウス、すなわちBatf3-/-マウスは、野生型マウスにおいては腫瘍を有さない生存率が90%であった予防モデルにおいて腫瘍を生じた。これらの動物のワクチン部位のサイトカイン分析により、局所的IL-12レベルおよびCTL応答が顕著に減少していることが判明し、このことは、CD8(+) DCが、IL-12およびTh-1極性化の重要な発生源であることを示した。CD8(+) DCの関与がなければ、ワクチン接種により、減少した細胞障害性CD8(+) T細胞活性(腫瘍部位および脾臓において)がもたらされただけでなく、Treg活性の進行も許容した。FoxP3(+)TregとCD8(+) T細胞の高い比は、ワクチン効力を消失させそして腫瘍増殖を促進する不均衡な免疫抑制を示す(Quezada et al., 2006 J. Clin. Invest., 116:1935-1945; Hodi et al., 2008 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 105:3005-3010)。CD8(+) DCおよびIL-12は、Tregの阻害またはそのIFN-γ産生エフェクターT細胞へのその変換を引き起こし得(Wei et al.,2009 Immunity, 30:155-167; Zhou et al., 2009 Nat Immunol., 1000-1007; Oldenhove et al., 2009 Immunity, 31:772-786)、そしてこれらの機序は、材料をベースとした癌ワクチンの効力に重要である可能性がある。 これらのシステムの興味深い局面は、長期の抗原提示に因るワクチン部位へのCTLのホーミングであり、そしてCD8(+)T細胞のノックアウトにより、局所的IFNγおよびIL-12レベルの有意な減少がもたらされた(S3 & S4)。T細胞由来IFNγは、DCによるIL-12および共刺激分子の発現を増強して、CTLにより媒介される感染に対する応答を増幅するフィードバックループを作る。この設定において、ワクチンによるプライミング後、抗原提示ワクチン部位にホーミングして戻るT細胞は、IFNγにより媒介されるDCの活性化およびIL-12の産生を介したCTL応答を維持および増幅し得るので、それ自体が重要なワクチン成分であり得る。これらの所見は、CD8(+) DC、pDCおよびIL-12またはその機能的等価体(すなわち適切な抗原提示およびTh1極性化)により、改善された材料をベースとした癌ワクチンがもたらされるという証拠を提供する。本明細書において記載された方法および装置はまた、感染症および自己免疫疾患などの他の臨床適応症にも有用である。 上述したように、3つの異なる種類の病原体関連分子パターン(PAMP)が、PLGディスク構造/足場などの構造化ポリマー装置中にまたはその上に組み入れられ、ワクチンにおけるアジュバントとして作用された(3種類;短いオリゴヌクレオチド(CpG-ODN);合成RNA-(ポリ(I:C);P(I:C))、合成脂質(モノホスホリルリピドA;MPLA)(図15A〜D)。このようなワクチン製剤は、インサイチューにおいて樹状細胞を動員および活性化し、これは定量的に評価された(図16A〜D)。 悪性度の高い黒色腫癌モデルにおけるワクチン依存的生存率は、ワクチンシステムに使用されるアジュバントに関係なく、ワクチンが、樹状細胞の2つのサブセット、すなわちCD8(+)DCおよび形質細胞様DCを特異的に活性化できるかに強く相関する(図17A〜C)。この相関は、PLGワクチンにおける4つの異なるワクチンアジュバントを使用して確認された。これらのワクチンは、ワクチン部位および腫瘍において検出された特異的T細胞応答を活性化することによって、黒色腫治療モデルにおいて強力な腫瘍拒絶を誘導する(図18A〜Dおよび19A〜D)。これらの所見は、自然免疫応答および獲得免疫応答における種々の経路を刺激する様々な種類のアゴニストを組み入れるPLGワクチンシステムの汎用性を実証する(図15A〜D)。 抗腫瘍免疫応答にとって重要であるDCのサブセットが同定された。DCのサブセットとしては、骨髄系樹状細胞(mDC)、形質細胞様DC、およびCD8+DCが含まれる。mDCは単球と最も類似している。mDCは、少なくとも2つのサブセットからなる:(1)T細胞の主要な刺激物質であるより一般的なmDC-1;および(2)創傷感染と戦う機能を有し得る極めて稀なmDC-2。mDCはIL-12を分泌し、そしてTLR2およびTLR4によって特徴付けられる。形質細胞様DCは形質細胞のように見えるが、骨髄系樹状細胞と類似した特定の特徴を有し、多量のインターフェロン-αを産生し得、そしてこれはTLR7およびTLR9によって特徴付けられる。TLRアゴニストであるCpGはTLR9に結合する。マウスにおけるCD8+DCは、CD141+樹状細胞と等価である。 CD141+DCは、ヒトのリンパ節、骨髄、扁桃腺および血液に見られる。それらは、より一般的に研究されているCD1c+DCサブセットと比較して、toll様受容体3(TLR3)の高度な発現、IL-12p70およびIFN-βの産生、および1型ヘルパーT細胞応答を誘導する優れた能力によって特徴付けられる。ポリイノシン−ポリシチジル酸(ポリI:C)活性化CD141+DCは、ポリI:C活性化CD1c+DCよりも優れた、CD8+細胞障害性Tリンパ球に抗原を交差提示する能力を有する。したがって、CD141+DCサブセットは、マウスCD8α+DCサブセットと類似した特徴を有する、重要で機能的に別個のヒトDCサブタイプを示す。CD141+DCは、細胞障害性Tリンパ球応答の誘導において役割を果たし、そしてその活性化は、癌、ウイルスおよび他の病原体に対するワクチン接種にとって重要である。 CD141+DCおよび形質細胞様DCは、成功裏な癌ワクチン接種(予防的および治療的)にとって重要である。本明細書において記載された結果は、ワクチン装置におけるp(I:C)が、ヒトのCD141+DCを刺激し(マウスにおいてはCD8+DC)、そしてCpGは形質細胞様DCを刺激することを示す。これらのTLRアゴニストの一方または両方を有する装置は、強力なDC活性化、ならびに有意な予防的および治療的な抗腫瘍免疫応答の発生をもたらす。装置における異なるTLRアゴニストの組合せ、例えばp(I:C)とCpGの組合せは、腫瘍に対するDC免疫応答の活性化において相乗的な効果をもたらす。CD141+DCおよび形質細胞様DCは、現在の臨床試験では具体的に利用または対象とされなかった。これらの実験から得られたデータを使用して、癌ワクチンシステムを設計し、そしてマウスからヒトまでの免疫応答データに関するより多くの情報に基づいた解釈を提供する。腫瘍阻害に対するP(I:C)+CpG ODNの相乗効果 図22は、P(I:C)とCpG-ODNの組合せ対単独のCpG-ODNおよびP(I:C)が調べられたワクチン実験の結果を示す。図22に示されているように、TLRアゴニストであるP(I:C)とCpG-ODNの組合せは、単独のCpG-ODNまたはP(I:C)を組み入れたワクチンより優れていた。特に、CpG-ODNおよびP(I:C)を組み入れたPLGワクチンは相乗的に作用して、有意な腫瘍阻害、減少した腫瘍量を生じ、そして改善された抗腫瘍免疫応答を発生する。 図22は、黒色腫を有し、そしてブランクマトリクス[ブランク]あるいは単独のCpG-ODNもしくはP(I:C)または組合せ[CpG-ODN+P(I:C)]の負荷されたマトリクスのいずれかで処置された、マウスの全生存率を示す(n=8)。マウスに、5×105個のB16-F10細胞でチャレンジし、そしてPLGワクチンで3日後にワクチン接種した。TLRアゴニストの全用量は全てのワクチンにおいて約100μgであった。実施例8:ポリマーマトリクスから提示された炎症性サイトカインは、インサイチューにおいてDCを差次的に生成および活性化する 感染している間に、炎症性サイトカインは、効果的なT細胞のプライミングおよび感染を一掃する免疫応答にとって必須である樹状細胞(DC)を可動化および活性化する。本明細書に記載されているのは、炎症性サイトカインGM-CSF、Flt3LおよびCCL20を放出して、感染症により誘導されるDCの動員を模倣する、マクロ孔性ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLG)マトリクスの設計である。癌ワクチンとしてこれらの感染症模倣体が機能できるかを、特異的な抗腫瘍T細胞応答の誘導を介して調べた。以下に詳述したように、試験された全てのワクチンシステムが、治療的B16-F10黒色腫モデルにおいて、特異的な抗腫瘍T細胞応答および長期生存を付与することができた。しかしながら、GM-CSFおよびFlt3Lワクチンにより、同じような生存率が得られ、そしてCCL20の負荷された足場より優れていたが、DCの動員および生成に対して異なる効果を及ぼした。GM-CSFシグナル伝達は、通常のDCのための最も強力な走化性因子として同定され、そしてT細胞免疫をプライミングするために使用されるMHC(II)およびCD86(+)の表面発現を有意に増強させた。対照的に、Flt3Lワクチンにより形質細胞様DC(pDC)の数がより多くなり、これは、T細胞応答を増幅する、T細胞をプライミングするサイトカインのレベルの増加と相関していた。これらの結果は、インビボにおいて免疫療法のために、炎症性サイトカインを提示するように改変された3Dポリマーマトリクスを使用することにより、種々のDCサブセットが効果的に可動化および活性化されることを実証する。 ヒトFlt3の例示的アミノ酸配列を以下に提供する(GenBankアクセッションナンバー:P49771.1(GI:1706818)、本明細書に参照により組み入れられる;SEQ ID NO: 13): ヒトCCL20の例示的アミノ酸配列を以下に提供する(GenBankアクセッションナンバー:AAH20698.1(GI:18088857)、本明細書に参照により組み入れられる;SEQ ID NO: 14):材料および方法マウス C57BL/6マウス(6〜8週齢の雌;Jackson Laboratories)を、実施例8に記載の実験に使用した。初代細胞(DC)の単離および培養 初代骨髄由来樹状細胞(BMDC)をC57BL/6マウスの大腿から流し出し、そして100mmの細菌学的ペトリディッシュ(Falconナンバー1029/Becton Dickinson)で培養した。細胞培養培地RPMI-1640 (R10)(Sigma)に、1%のペニシリン-ストレプトマイシン(Invitrogen)、2mMの1-グルタミン(Invitrogen)、50μMの2-メルカプトエタノール(Sigma)および10%の熱により失活させたウシ胎児血清(FBS、Invitrogen)を補充した。0日目に、骨髄白血球を、100mmのディッシュあたり、20ng/mlの顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)(Peprotech)を含有する10mlのR10培地中に、2×106個の細胞で播種した。3日目に、20ng/mlのGM-CSFを含有する別の10mlのR10培地をプレートに加えた。6日目および8日目に、培養上清の半分を収集し、そして遠心分離にかけ、細胞ペレットを、20ng/mlのGM-CSFを含有する10mlの新しいR10に再懸濁し、そして元のプレートに戻した。8日目から12日目の間に培養上清中の非接着性細胞集団を、全ての実験のために使用した。走化性およびケモキネシスのためのトランスウェル遊走試験 トランスウェル遊走試験を、5μmの孔径を有する6.5mmのトランスウェルディッシュ(Costar,Cambridge,MA)の上のウェルに骨髄由来樹状細胞を蒔くことによって実施した。BMDCの遊走に対するGM-CSF、FL(Flt3)およびCCL20の走化性効果を、500ng/mlの組換えマウスGM-CSF、FLまたはCCL20(Peprotech, Rocky Hill, NJ)を下のウェルに、そして3×105個のDCを上のウェルに蒔くことによって評価した。ケモキネシス試験のために、各区画におけるサイトカインの濃度は500ng/mlで均等にし、そして3×105個のDCを上のウェルに加えた。上のウェルから下のウェルへと多孔性膜を通して遊走した細胞の数を、12時間後に計数して遊走を定量した。下のウェルへと遊走した細胞を、0.25%のトリプシン-0.03%のエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA、Invitrogen)で処理することによって収集し、そしてZ2コールターカウンター(Beckman Coulter, Inc)で計数した。マトリクス製作 D,L-ラクチドおよびグリコリドの85:15、120kDのコポリマー(PLG)(Alkermes, Cambridge, MA)をガス発泡プロセスにおいて利用して多孔性のPLGマトリクスを形成した。GM-CSF、FLt3LまたはCCL20を封入したPLGミクロスフェアをまず、約170ng/mgのタンパク質PLGマトリクスを組み入れ、標準的なダブルエマルションを使用して作出した。その後、PLGミクロスフィアを孔形成物質である150mgのショ糖(粒子径が250μm〜425μmとなるようにふるいにかける)と混合し、そして圧縮成形した。得られたディスクを高圧CO2環境において平衡にし、そして圧を急速に低減させて、ポリマー粒子を膨張させ、そして相互接続構造へと融合させた。水の中に浸すことによってショ糖を足場から浸出させると、90%多孔性である足場が得られた。 腫瘍溶解物をPLG足場に組み入れるために、C57BL/6Jマウス(Jackson Laboratory, Bar Harbor Maine)の背部の皮下で成長させたB16-F10腫瘍の生検材料をコラゲナーゼ(250U/ml)(Worthington, Lakewood, NJ)で消化し、そして40μmセルストレーナーに通してろ過した後、107個/mlの細胞と同等の濃度で懸濁した。腫瘍細胞懸濁液を液体窒素中での急速凍結と解凍(37℃)の4サイクルに供し、そしてその後、400rpmで10分間遠心分離にかけた。腫瘍溶解物を含有する上清(1ml)を収集し、PLGミクロスフェアと共にインキュベーションし、そして凍結乾燥し、そして得られた混合物を使用してPLG足場をベースとした癌ワクチンを作出した。CpG-ODNをPLG足場に組み入れるために、CpG-ODN 1826、(Invivogen, San Diego, CA; SEQ ID NO: 12)をまず、ODN-1826溶液をPEI溶液に滴下し、混合物をボルテックスにかけることによって、ポリ(エチレンイミン)(PEI、Mn約60,000、Sigma Aldrich)分子と縮合させた。PEIとCpG-ODNの電荷比(NH3+:PO4-)を、縮合の間では7で一定に維持した。その後、縮合物溶液を60μlの50%(重量/体積)ショ糖溶液と共にボルテックスにかけ、凍結乾燥し、そして乾燥ショ糖と混合して最終重量を150mgとした。その後、ショ糖含有PEI-CpG-ODN縮合物をブランク、GM-CSFおよび/または腫瘍溶解物の負荷されたPLGミクロスフェアと混合してPLG癌ワクチンを作出した。インサイチューにおけるDCおよびT細胞の同定 100μgのCpG-ODNと組み合わせて約3μgのGM-CSF、Flt3LまたはCCL20を含有するGM-CSFの負荷されたPLGマトリクスを、7〜9週齢の雄C57BL/6Jマウスの背中の皮下嚢に埋め込んだ。FACS分析によってDC動員を分析するために、足場を切り出し、コラゲナーゼ溶液(Worthingtion、250U/ml)を使用して37℃で45分間撹拌した中で増殖した組織を単細胞懸濁液へと消化した。その後、細胞懸濁液を40μmセルストレーナーに通して注いで、足場の粒子から細胞を単離し、そして細胞をペレット化し、そして冷PBSで洗浄し、そしてZ2コールターカウンター(Beckman Coulter)を使用して計数した。DCの浸潤および活性化を評価するために、その後、PLGマトリクスから単離された全細胞集団のサブセットを、フローサイトメトリーによる分析を可能とするために蛍光マーカーに結合させた一次抗体(BD Pharmingen, San Diego, CA)で染色した。APC結合CD11c(樹状細胞マーカー)、FITC結合MHCIIおよびPE結合CD86(B7、共刺激分子)染色をDCの動員および活性化分析のために行なった。形質細胞様DCサブセットの存在を描写するために、細胞をまたAPC結合CD11cおよびPE結合PDCA-1(形質細胞様DCマーカー)で染色した。細胞を、アイソタイプ対照を使用して単独陽性FITC、APCおよびPE染色に従ってゲートした。各表面抗原に関して染色陽性の細胞の比率を記録した。 足場のパラフィン切片におけるDC浸潤物の免疫染色のために、試料を標準的な手順に従って調製しそして再水和させた。抗原回復を、圧力鍋中のクエン酸緩衝液(10mMのクエン酸ナトリウム、0.05%のTween20、pH6.0、950Cで5分間)を用いて実施した。PBST緩衝液(0.01%Tween-20)を用いて簡潔に洗浄した後、試料を、染色緩衝液(PBST中、5%BSA、2%ウシ胎児血清、pH7.4)中5%のヤギ血清を用いて1時間かけて周囲温度でブロッキングした。抗CD11cアルメニアハムスターIgG(20mg/ml、Abcam、Cambridge、MA)を染色緩衝液で希釈し、そして加湿チャンバー中で40℃で一晩かけて結合させた。PBSTで3回洗浄した後、Alexa(登録商標)594ヤギ抗ハムスター(5mg/ml、Life Technologies, Grand Island, NY)二次IgGを染色緩衝液で希釈し、そして1時間かけて室温で適用した。PBSで3回洗浄した後、試料を風乾させ、そして核染色のためにDAPIとProLongゴールドアンチフェイド試薬を載せた(Life Technologies, Grand Island, NY)。共焦点タイルスキャンを得、そしてZeiss LSM710レーザー走査顕微鏡およびバンドルソフトを使用して処理した(Zeiss, Thornwood, NY)。腫瘍増殖アッセイ、防御性サイトカインおよびTrp2五量体分析 B16-F10黒色腫溶解物、100μgのCpG-ODNを、3μgのGM-CSF、Flt3LまたはCCL20と組み合わせて含有するPLG足場を、C57BL/6Jマウスの左下腹側部皮下に埋め込み、癌ワクチンとして作用させた。治療設定におけるPLGワクチン効力を評価するために、C57/BL6Jマウスに、頚背部への5×105個B16-F10黒色腫細胞(ATCC, Manassas, NJ)の皮下注射によってチャレンジし、そして腫瘍によるチャレンジの3日後に、PLGワクチンを、左下腹側部皮下に埋め込んだ。動物を腫瘍増殖の発生(約1mm3)に関してモニタリングし、そして腫瘍が20〜25mm(最も長い直径)まで成長した場合には人道的理由から屠殺した。 マトリクス埋め込み部位におけるインビボでのIL-12p70およびIFN-γの濃度を決定するために、隣接組織を切り出し、そして埋め込みから10日後に組織タンパク質抽出試薬(Pierce)で消化した。遠心分離後、上清中のIL-12およびIFN-γの濃度を、その後、ELISA(R&D systems)を使用して製造業者の説明書に従って分析した。TRP-2特異的細胞障害性Tリンパ球の生成を決定するために、PLGワクチンで免疫化したマウスの脾臓から10日目に単細胞懸濁液を調製した。これらの細胞をまずPE-H-2Kb/TRP2五量体(Sigma Aldrich)で染色し、続いて、FITC-抗CD8およびPE-CY7CD3mAb(mAb(BD Pharmingen, San Diego)で染色し、その後、フローサイトメトリーを使用して分析した。免疫応答における樹状細胞の役割 樹状細胞(DC)は、特異的な細胞障害性Tリンパ球(CTL)応答をプライミングおよび増殖することによって、感染および腫瘍に対する免疫応答を編成する。末梢組織に存在する未成熟DCは、侵入病原体に独特な異物(すなわち抗原)を検出し、そして病原体により誘導される炎症応答の間に起こる、病原体関連分子パターン(PAMP)または死滅細胞の産物(すなわち「危険シグナル」)のような刺激によって活性化される。成熟DCは、主要織適合性抗原複合体(MHC)受容体上の抗原の処理および抗原の提示の両方を行ない、そして共刺激分子CD80およびCD86(その両方がエフェクターT細胞刺激に必要とされる)を発現する。「危険シグナル伝達」によるDC成熟の別の重要な結果は、DCが、リンパ節にホーミングして、ナイーブT細胞と結合してそれを活性化する能力を獲得することであり、これによりT細胞は、DCが提示している抗原を認識することができるようになる。 特定のDCが免疫応答を開始および制御できるのは、組織内におけるその局在およびその特殊な可動化能力の両方の結果である。DCは骨髄の多能性幹細胞を起源とし、血流に入り、そして殆ど全ての臓器に局在化する。一連の表面マーカーの相対的発現に基づいて、DCまたはDC前駆体の種々のサブセット(形質細胞様DC (pDC)および通常のDC (cDC)2を含む)を、末梢血において同定することができる。pDCは、主要なI型インターフェロン(IFN)産生体であり、そしてサイトカインシグナル伝達を介してウイルス攻撃に対する獲得免疫応答を活性化することに特化する。表皮DCのようなCD11c(+) cDCは、特に、抗原提示およびT細胞の共刺激に熟達している。 微生物の侵入および炎症時に、DCは、急速に流入領域リンパ節および主な感染部位へと、マクロファージのような他のAPCを大きく上回る速度で遊走する。定常状態における大半のDCサブセット(pDCを含む)の産生は、サイトカインFms関連チロシンキナーゼ3リガンド(FL)によって制御される。損傷した細胞または感染細胞によって放出された、他のサイトカイン、例えばGM-CSFおよびCCL20は、炎症部位へと活発にcDCを動員および局在化させる。炎症モデルではインビボおよびインビトロの両方において、これらの炎症性サイトカインは、DCの遊走および増殖を増強することが示され、かつDCの活性化状態を調節し得る。感染中または腫瘍内で活性化されたDCの量は、その後の免疫応答の強度および疾病予後と相関する。 免疫療法のための十分な数の樹状細胞(DC)を生成するために、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)およびFL(Flt3)のような炎症性サイトカインとDC前駆体を用いての実験室ベースの培養がしばしば使用される。インビトロで腫瘍抗原を提示するように改変されたDCは、移植時にマウスモデルにおいて抗腫瘍効果を惹起することができる。エクスビボでのDCをベースとしたワクチンの初期の臨床試験により、癌患者のサブセットにおいて腫瘍退縮の誘導が判明したが、生存利点は殆どなかった。DCのエクスビボでの操作を含むプロトコルは、産生されることができるDCの量および種類、不十分な生着効率およびLNへのホーミング、ならびにインビボの環境への注入時におけるDC活性化の低下によって限定される。 これらの限界に対処するために、インビボにおいてDCを動員および活性化するために、危険シグナルと組み合わせて炎症性サイトカインを提示するような、感染症模倣材料を開発した。下記したように、マクロ孔性の埋め込み可能なポリマー足場から送達された場合に、複数の炎症性サイトカイン、GM-CSF、FL(Flt3)およびCCL20がDCを動員および活性化できるかを調べた。また、シトシン−グアノシン(CpG)に富むオリゴヌクレオチド(CpG-ODN)配列を含有するナノ粒子も足場上に固定した。なぜなら、CpG-ODNは細菌DNAに発現され、そしてマトリクス常在DCの活性化を刺激することのできる強力な危険シグナルであるからである。最後に、これらのシステムが抗腫瘍T細胞応答をプライミングし、そして癌抗原の提示を介して腫瘍防御を付与できるかを調べた。インビトロにおけるサイトカインの走化性およびケモキネシス インビトロにおけるトランスウェル試験を実施して、GM-CSF、FLおよびCCL20に応答した骨髄由来DCの走化性およびケモキネシス効果を調べた。GM-CSF勾配は、有意なDC走化性を促進した。なぜなら、この条件のDC遊走は、対照条件よりも約50%高かったからである(図23A)。ケモキネシスに対しても類似の効果が観察された。なぜなら、GMCSFへの暴露は、同じレベルのサイトカインに応答して遊走細胞の数の同様な50%の増加を促進したからである(図23B)。対照的に、FLおよびCCL20は、これらのアッセイにおいてDCの走化性およびケモキネシスに対して全く効果を及ぼさなかった(図23)。これらの結果は、GM-CSFが、FLおよびCCL20と比較してDCの可動化および動員に対して優れた効果を及ぼすことを示す。サイトカインの制御放出およびインビボにおけるDCの動員 マクロ孔性ポリ−ラクチド−コ−グリコリド(PLG)マトリクスを、長期かつ持続したGM-CSF、FLおよびCCL20の放出(図23A)を提供し、そして活性化のためにDCを収容するように設計した。これらのPLG足場は、樹状細胞の浸潤を促進するように125〜200μmの平均孔径を有し80〜90%の多孔性であった。3つのサイトカインのインビトロにおける放出動態は類似し、マトリクスは急速に最初の5日間かけて突発的にタンパク質を放出し、その後、数週間かけて持続的に放出した(図24A)。足場は、組み入れられたGMCSF、FLおよびCCL20を4日目までにそれぞれ約43%、36%および26%放出し、続いて、その後23日間におよびタンパク質を毎日約0.9%放出した(図24A)。 炎症性サイトカインの負荷されたPLGマトリクスが、インビボにおいて樹状細胞を動員および活性化できるかを調べるために、GM-CSF、FLおよびCCL20を送達するPLGマトリクスを、C57BL/6Jマウスの背中の皮下に埋め込み、そして埋め込みから7日後に取り出した。免疫組織学的分析により、強力なCD11c(+) DC浸潤物が、サイトカインを放出している全ての足場の多孔性ネットワークに浸透していることが判明し、そしてGM-CSFは最も高密度なDCのクラスター化を媒介した(図24B)。マトリクスへのDCの浸潤および活性化の大きさは、ポリマー材料から単離された細胞集団のFACS分析によって定量された。ブランクPLGマトリクスは約190,000個のCD11c(+) DCを動員したが、一方、GM-CSFを送達する足場は約960,000個のDCを動員し、これは細胞動員の5倍以上の差である(図24C)。FLおよびCCL20を提示する足場は、対照条件よりも2.5倍多いDCを動員したが、GM-CSFを提示する足場よりも有意に少なかった(図24C)。これらの結果は、FLおよびCCL20と比べてGM-CSFをDCの最も強力な可動化因子および走化性因子であると同定したインビトロの結果と一致する。インビボにおけるDCの活性化 PLG足場は、炎症性サイトカインの送達と協奏して、感染症模倣危険シグナルとしてTLR活性化CpG-ODNを含有するナノ粒子を提示するように改変された。これは、サイトカインシグナル伝達を欠いた対照条件よりもインサイチューにおいてDCの活性化を劇的に増強させた(図25A)。マトリクス常在DCの活性化状態の分析により、CpG-ODNと組み合わせてGM-CSFにより誘導される動員は、有意な比率の活性化DCを産生することが判明した。なぜなら、MHCII(+)およびCD86(+) DCが、足場に動員された全DCの約54〜66%に含まれていたからである。活性化DCの総数の約8倍、4倍、および4倍の増加が、サイトカインを欠いた対照マトリクスと比較して埋め込み部位において、GM-CSFを用いた場合に見られた(図25B)。 CpG-ODNと組み合わせてのFLの提示は、PLGマトリクスを最も多い平均数のCD11c(+)PDCA-1(+) pDCで富化し(図1C)、160,000個を超える常在pDCが生成された。著しくは、これらの足場に常在する全細胞の約22%が、このDCサブセットから構成されていた(図25A)。これは、FLが、pDCの強力な可動化剤であることを示す。GM-CSFおよびCCL20を提示する足場もまた、pDCの生成を有意に増強し、約110,000個の常在pDCをもたらした。pDCサブセットは、感染症および腫瘍に対するCTL応答を増幅するのに重要である、IL-12および1型インターフェロン(IFN)を誘導するその能力を介して、tヘルパー1型(Th1)免疫の誘導と関連していた。これらのデータは、試験した3つのサイトカインは全て、DCの動員および活性化を増強したが、CpG-ODNと組み合わせたGM-CSFシグナル伝達は、最も多数の活性化cDCを産生し、一方、FLは、最大数の常在pDCをもたらしたことを示す。T細胞免疫の誘導および治療的ワクチン接種 B16-F10腫瘍溶解物を、腫瘍抗原としてPLGマトリクスに組み入れた。活性化DCによるIL-12およびIFN-γの分泌は、CTLにより媒介される免疫応答および腫瘍細胞死をプライミングすることができる。したがって、足場埋め込み部位におけるこれらのTh-1誘導物質の存在を定量した。CpG-ODNと組み合わせてFLを提示するPLGワクチンは、対照足場と比べて、IL-12およびIFN-γの局所濃度をそれぞれ8倍および13倍増強させた(図26Aおよび26B)。GM-CSFの放出により、IL-12およびIFN-γの局所濃度は約3倍および6倍増加した(図26Aおよび26B)。PLGワクチンからのCCL20の放出は、ワクチン部位において、IL-12の濃度の2倍の増加をもたらし、そしてIFN-γレベルには全く効果を及ぼさなかった(図26Aおよび26B)。 全身性CTL応答の活性化は、単離された脾臓細胞を、MHCクラスI/TRP2ペプチド五量体で染色することによってモニタリングされた。これにより、マウスおよびヒトにおける黒色腫ワクチンの主要な抗原性標的であるチロシナーゼ関連タンパク質(TRP)-2に対する特異性を有するCTLを同定することが可能となる。TRP2特異的CTLの有意な増殖が、3つ全てのサイトカインを組み入れた足場でワクチン接種されたマウスの脾臓において観察された(図26C)。FLおよびGMCSFを組み入れたワクチンは、対照ワクチンと比べて、約5倍および4倍の数のTrp2特異的CTLをもたらし、これは、CCL20ワクチンで見られた効果よりも有意に大きかった(図26C)。要するに、これらのデータは、様々な炎症性物質を含有するワクチン製剤が、有意かつ全身的な抗黒色腫CTL、およびTh1サイトカインの局所的産生を産生することができることを示す。 その後、これらのワクチンの抗腫瘍効力を、免疫原性の弱いB16-F10黒色腫モデルにおいて試験した。C57BL/6Jマウスに105個の腫瘍細胞でチャレンジし、その後、3日後にPLGワクチンでワクチン接種した。対照足場で処置された動物は、進行性疾患に因り30日後に安楽死を必要とした。サイトカインの負荷されたPLGワクチンは、有意な数の動物のサブセットにおいて、長期の腫瘍防御を誘導した(図26D)。PLGワクチンからのGMCSF、FLおよびCCL20の提示により、88%、75%および62%の長期生存率がもたらされた(図26D)。 DCおよびDC前駆体の制御された可動化および活性化は、エクスビボにおけるDCをベースとしたワクチンの開発に、そしてより一般的には、インビボにおいて免疫系を活性化する材料システムの設計において特に関心が高い。本明細書に記載されているように、微生物感染の重要な局面を模倣するポリマーは、癌ワクチン接種のためにDCを効果的に動員する。GM-CSF、FLおよびCCL20を放出するように工学操作されたPLG足場は、有意な数の常在DCをもたらし、そして危険シグナルの共提示によりDCの成熟がもたらされた。全てのワクチン製剤がB16-F10黒色腫治療モデルにおいて腫瘍に対する防御を誘導することができたが、GM-CSFおよびFLワクチンは、CCL20と比較した場合、より抗原特異的なCTL、より高いレベルのTh1プライミングサイトカイン、およびより高い生存率をもたらした(図26D)。 GMおよびFLを放出するPLGワクチンは、統計的に同じようなT細胞応答および抗腫瘍応答をもたらしたが、それらはDCの動員および活性化については異なる効果を及ぼした。インビトロでの試験により、GM-CSFは、cDCの最も強力な走化性因子であることが示された(図23)。この所見は、GM-CSF放出マトリクスが、FL足場と比較して、有意により多くの総DC(約106個、エクスビボでのDCをベースとしたプロトコルと同等)および活性化DCを動員できることと一致した(図24〜25)。対照的に、そして他の報告と一致することには、FLワクチンは、CpG-ODN危険シグナル伝達と組み合わせた場合に、より多くのマトリクス常在pDCをもたらした。pDCは、CTL応答を増幅するTh1プライミングサイトカインの重要な発生源であり、そして増加した数のpDCは、ワクチン部位におけるIL-12およびIFNγの増強された局所産生に寄与しているようであった。本明細書に記載されているように、GMおよびFLを材料システムで組み合わせて、GMCSFにより媒介されるcDCの活性化およびFLにより媒介されるpDCの生成を活用した。これは、癌ワクチン接種および免疫療法に使用される優れたDCネットワークを作る。 本明細書に提示された結果は、pDCおよびそのcDC対応物に標的化して、抗腫瘍T細胞応答を媒介するその特殊な能力を活用することを示す。ナノ粒子標的化システムとは対照的に、本明細書に記載されたポリマーシステムは、DCを動員および活性化するための抗原送達装置として作用するだけでなく、DCが活性化される間、DCが一時的に居住する物理的構造としても作用する。 本明細書に記載されたシステムは、有意な抗腫瘍活性を実証した。本明細書に記載されたポリマー、例えばPLGに加えて、マトリクスは任意で、免疫応答およびDC動員を高めるために、他のより炎症性の高いポリマーから製作される。これらの細胞によるその後のT細胞プライミングの別の重要な局面は、LNホーミングである。抗原暴露後のDCの脱出および分散は、材料に種々のアジュバントを組み入れ、遊走機能を活性化することによって最適化される。あるいは、分解動態および多孔度を含む他のマトリクス特性を改変させることにより、DC輸送に対するさらなる制御が促進される。 要するに、これらの所見は、FL、CCL20およびGM-CSFを生体材料システムで使用することにより、インサイチューにおいて感染症により誘導されるDCの動員を模倣するという証拠を提供する。本明細書に記載されているように、感染症模倣多孔性装置は、治療癌ワクチンとして効果的である。他の態様 本発明は、その詳細な説明と合わせて記載されているが、先の記載は、本発明の範囲を説明するためのものであり、それを制限するものではなく、本発明の範囲は、添付の請求の範囲によって定義される。他の局面、利点および改変は、以下の請求の範囲内である。 本明細書において参照される特許および科学論文は、当業者に入手可能な知識を確立する。本明細書において引用される全ての米国特許および公表または非公表の米国特許出願は、参照により本明細書に組み入れられる。本明細書において引用された全ての公表された外国特許および特許出願は、参照により本明細書に組み入れられる。本明細書において引用されたアクセッションナンバーによって示されるGenbankおよびNCBI提供物は、参照により本明細書に組み入れられる。本明細書において引用された公表された他の全ての参考文献、文書、原稿、および科学論文は、参照により本明細書に組み入れられる。 本発明は、その好ましい態様を参照して特に示し、記載してきたが、型および詳細における様々な変更を、添付の請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなく行ない得ることは当業者によって理解されると考えられる。 多孔性ポリマー構造の組成物、疾患に関連した抗原、およびtoll様受容体(TLR)アゴニストを含む装置であって、該TLRアゴニストがTLR3に優先的に結合する、装置。 疾患に関連した抗原が腫瘍抗原を含む、請求項1記載の装置。 ポリマー構造の組成物がポリ−ラクチド−コ−グリコリド(PLG)を含む、請求項1記載の装置。 TLRアゴニストがTLR3アゴニストを含む、請求項1記載の装置。 TLR3アゴニストが、ポリイノシン−ポリシチジル酸(ポリI:C)またはPEI-ポリ(I:C)を含む、請求項1記載の装置。 TLRアゴニストが、病原体関連分子パターン(PAMP)をさらに含む、請求項1記載の装置。 TLRアゴニストが核酸を含む、請求項1記載の装置。 TLRアゴニストがTLR9アゴニストをさらに含む、請求項1記載の装置。 TLR9アゴニストがシトシン−グアノシンオリゴヌクレオチド(CpG-ODN)またはPEI-CpG-ODNを含む、請求項8記載の装置。 動員(recruitment)組成物をさらに含む、請求項1記載の装置。 動員組成物が、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、Flt3LまたはCCL20を含む、請求項11記載の装置。 動員組成物が、封入されたGM-CSFを含む、請求項10記載の装置。 腫瘍抗原が、腫瘍溶解物、精製されたタンパク質腫瘍抗原、または合成された腫瘍抗原を含む、請求項2記載の装置。 PAMPが、モノホスホリルリピドA(MPLA)を含む、請求項6記載の装置。 TLRアゴニストの組合せを含み、該組合せがTLR3アゴニストおよびTLR9アゴニストを含む、請求項1記載の装置。 TLR3アゴニストがポリ(I:C)を含み、かつTLR9アゴニストがCpG-ODNを含む、請求項15記載の装置。 TLRアゴニストの組合せを含み、該組合せがTLR3アゴニストおよびTLR4アゴニストを含む、請求項1記載の装置。 TLR3アゴニストがポリ(I:C)を含み、かつTLR4アゴニストがMPLAを含む、請求項17記載の装置。 TLR3アゴニストが、CD8+樹状細胞またはCD141+樹状細胞を優先的に刺激するような量で存在する、請求項1記載の装置。 ポリマー構造の組成物、腫瘍抗原、およびTLRアゴニストの組合せを含む装置であって、該TLRアゴニストが、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、TLR12およびTLR13からなる群より選択される、装置。 ポリマー構造の組成物、腫瘍抗原およびTLRアゴニストを含む装置を対象に接触させるかまたは埋め込む段階を含む、抗腫瘍免疫応答を惹起する方法であって、該TLRアゴニストがTLR3に優先的に結合する、方法。 TLRアゴニストがTLR3アゴニストを含む、請求項21記載の方法。 TLRアゴニストがTLR3アゴニストおよびTLR9アゴニストを含む、請求項21記載の方法。 抗腫瘍免疫応答が、CD8+樹状細胞またはCD141+樹状細胞の活性化を含む、請求項21記載の方法。 抗腫瘍免疫応答が、形質細胞様樹状細胞またはCD141+樹状細胞の活性化を含む、請求項23記載の方法。 抗腫瘍免疫応答が、腫瘍量の低減を含む、請求項23記載の方法。 TLRアゴニストが、樹状細胞によるインターロイキン-12(IL-12)の産生を誘発するのに有効な濃度で存在する、請求項21記載の方法。 本発明は、抗原特異的な樹状細胞免疫応答を生じかつ刺激するための組成物、方法および装置を含む。装置および方法は、対象に癌および感染因子に対する予防的および治療的免疫を与える。


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