生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_レオウイルス科のウイルスのワクチン用ウイルス株を製造する方法
出願番号:2014131862
年次:2014
IPC分類:C12N 15/09,C12N 1/15,C12N 1/19,C12N 1/21,C12N 5/10,C12N 7/00,A61K 39/15,A61K 39/39,A61P 31/14,A61K 48/00


特許情報キャッシュ

ロイ,ポリー ボイス,マーク JP 2014239683 公開特許公報(A) 20141225 2014131862 20140626 レオウイルス科のウイルスのワクチン用ウイルス株を製造する方法 ロンドン スクール オブ ハイジーン アンド トロピカル メディシン 510144742 LONDON SCHOOL OF HYGIENE & TROPICAL MEDICINE 内田 直人 100149294 ロイ,ポリー ボイス,マーク US 60/989,991 20071126 US 61/058,716 20080604 C12N 15/09 20060101AFI20141128BHJP C12N 1/15 20060101ALI20141128BHJP C12N 1/19 20060101ALI20141128BHJP C12N 1/21 20060101ALI20141128BHJP C12N 5/10 20060101ALI20141128BHJP C12N 7/00 20060101ALI20141128BHJP A61K 39/15 20060101ALI20141128BHJP A61K 39/39 20060101ALI20141128BHJP A61P 31/14 20060101ALI20141128BHJP A61K 48/00 20060101ALI20141128BHJP JPC12N15/00 AC12N1/15C12N1/19C12N1/21C12N5/00 101C12N7/00A61K39/15A61K39/39A61P31/14A61K48/00 22 2010534547 20081126 OL 47 4B024 4B065 4C084 4C085 4B024AA01 4B024BA80 4B024CA04 4B024CA11 4B024CA20 4B024DA02 4B024EA04 4B024GA11 4B065AA90X 4B065AA95Y 4B065AB01 4B065AC14 4B065BA02 4B065CA45 4C084AA13 4C084NA14 4C084ZB331 4C084ZB332 4C085AA03 4C085AA38 4C085BA56 4C085CC21 4C085DD62 4C085DD63 4C085EE01 4C085FF02 4C085FF11 4C085FF13 4C085FF17 4C085GG01 本発明は、レオウイルス(Reoviridae)科の一員であるウイルスの改変ウイルス株を製造する方法に関し、特に、オルビウイルス(Orbivirus)属のワクチン用ウイルス株に関する。 2本鎖RNA(dsRNA)からなるゲノムを有するレオウイルス科のウイルスは、多くの疾患を引き起こす。レオウイルス科のウイルスであるオルビウイルスも、広範な疾患を引き起こす。オルビウイルスの例は、アフリカ馬疫ウイルス(AHSV)、流行性出血熱ウイルス(EHDV)およびブルータングウイルス(BTV)である。 アフリカ馬疫ウイルス(AHSV)、流行性出血熱ウイルス(EHDV)およびブルータングウイルス(BTV)は、反芻動物の非接触感染性ウイルス疾患であり、通常、媒介昆虫により広がる。AHSVは、通常、ウマ、ラバ、ロバおよびシマウマに罹患し、EHDVは、通常、シカ、ウシおよびヒツジに罹患し、BTVは、通常、ウシ、ヒツジ、ヤギ、スイギュウ、シカ、ヒトコブラクダおよびアンテロープに罹患する。 ブルータングウイルス(BTV)は、野生反芻動物および家畜の媒介昆虫媒介性新興病原体であり、欧州の農業に対して大きい経済的影響をもたらした。BTVは、ヒツジ、ヤギおよびウシで疾患を引き起こし、ヒツジの品種によっては死亡率が70%に到達する。BTVは、クリコイデス(Culicoides)属のヌカカのいくつかの種により哺乳動物宿主間で伝染し、これらが地理的範囲を決定する。BTVは、多くの熱帯および亜熱帯の国々で地域流行性であるが、1998年から、BTVのヨーロッパ本土への侵入が通常の事象となり、2007年にはUKまで北限が到達している。分子疫学研究は、6つの異なる血清型(BTV1、2、4、8、9および16)が、1998年から、少なくとも8回の別々の機会に、少なくとも3つの異なる経路により、1998年からほとんどの年に新しく導入されながらヨーロッパ本土に導入されていることを示す。媒介昆虫ベクター集団の分布およびサイズが増大していることと、中央および北部ヨーロッパに豊富にある新規な媒介種によるBTVの伝染が、BTVの範囲が増大していることに対するおそらく直接的な原因である。家畜または野生反芻動物の診断されていない感染の存在は、媒介昆虫ベクターの移動による長距離にわたる迅速な広がりと結びついて、ヨーロッパにおいて流行病となったBTV予防の失敗をもたらした。よって、BTVは、現在、全てのヨーロッパの国々における家畜に対する重大な脅威である。4つのBTV血清型が、現在、ヨーロッパで一般的であり、180万頭の動物の死亡をもたらしている。 生ワクチンおよび不活化ワクチンの両方を少数の血清型に対して用いるワクチン接種によりBTVを管理することが、ヨーロッパで試みられている。両方のタイプのワクチンは、ヨーロッパの領域でいくらかの防御を提供したが、問題点がわかっている。生弱毒化BTVワクチンは、いくつかの問題点を有する:1)典型的なブルータング臨床症状の発症を導く弱毒化不足;2)毒性の復帰または野生型ウイルスとの再集合と、それに続く媒介昆虫ベクターによる広がり;3)ワクチン接種動物から感染動物を区別する(DIVA)戦略の使用を妨げる、自然感染動物からのワクチン接種動物の区別の不能性;および4)新しく循環する血清型の弱毒化株を製造するまでの時間の遅延。 不活化ワクチンは、ヨーロッパにおいてBTV2およびBTV4を管理するために用いられている。これらは、不活化、バッチごとの不活化の確認および低い免疫原性に伴う高い生産コストの問題を有する。 本発明者らは、BTV ssRNAが、ヘルパーウイルスを用いることなく感染性であり、感染性BTVを細胞から回収できることを以前に報告した(Boyce,M.およびRoy,P.、2007)。この文献は、その全体が本明細書に組み込まれる。 本発明は、レオウイルス科の一員であるウイルスのウイルス株を改変すること、特に生弱毒化ワクチンの作成に伴う、既知の問題点の一部または全部の低減または解消を目的とする。 本発明は、レオウイルス科の一員であるウイルスのワクチン用ウイルス株を製造する方法であって、 必須遺伝子の機能が破壊されるようにレオウイルス科のウイルスに変異を導入するステップと、 前記ウイルスのゲノムに由来し、前記変異を含むウイルス一本鎖RNA(ssRNA)を細胞に形質移入するステップと、 前記ワクチン用ウイルス株の製造を導くための適切な条件下で形質移入された前記細胞を培養するステップと を含み、前記細胞が、前記必須ウイルス遺伝子の機能を補完し、それによりワクチン用ウイルス株の前記細胞内での複製を可能にする方法を提供する。 用語「ワクチン用ウイルス株」とは、野生型ウイルスに通常罹患される特定の宿主を免疫するためのワクチンに用いられるのに適するウイルス株を意味する。ワクチン用ウイルス株は、非病原性であり、感染を引き起こすことができない。よって、これは、野生型ウイルスに通常付随する疾患を引き起こさない。ワクチン用ウイルス株の概念は、当業者に周知である。例えば、野生型ウイルスは、弱毒化または不活化ウイルスで免疫された宿主に、本格的な感染を引き起こすことなく免疫応答を生じるように、弱毒化または不活化され得る。このことにより、宿主が野生型ウイルスに曝露された場合に、効果的な免疫応答を宿主に備え付けることが可能になる。 本発明において、ウイルスは、レオウイルス科の一員である任意のウイルスであり得る。好ましくは、ウイルスは、ロタウイルス(Rotavirus)属、コルチウイルス(Coltivirus)属またはオルビウイルス属の一員である。より好ましくは、ウイルスはオルビウイルス属の一員である。さらにより好ましくは、ウイルスは、ブルータングウイルス(BTV)、アフリカ馬疫ウイルス(AHSV)または流行性出血熱ウイルス(EHDV)である。最も好ましくは、ウイルスはブルータングウイルス(BTV)である。 多くのウイルスが、いくつかの異なる血清型を有する。例えば、BTVは、24の異なる血清型を有する。異なる血清型は、わずかに異なるタンパク質を有することができ、異なるゲノムに含まれる遺伝子の数が違うこともあり得る。さらに、将来、まだ見出されていない血清型が生じる可能性がある。よって、本発明は、既知または未知で、上記のカテゴリーの定義にあてはまるウイルス、例えばBTVの任意の可能な血清型を含むことを意図する。 用語「必須遺伝子」とは、ウイルスが病原性であるために必須の遺伝子を意味する。必須遺伝子の機能が破壊された場合、得られるワクチン用ウイルス株は非病原性である。必須遺伝子の機能は、遺伝子に変異を導入することにより破壊される。少なくとも1つの必須遺伝子の機能が破壊されるべきである。好ましくは、複数の必須遺伝子の機能が破壊される。このことは、ウイルスが病原性表現型に確実に復帰しないようにすることの助けとなる。好ましくは、必須遺伝子またはそれぞれの必須遺伝子中の変異は、必須遺伝子の配列の大部分に影響する広範囲の変異である。ここでまた、このことは、ウイルスが病原性表現型に確実に復帰しないようにすることの助けとなる。変異は、ウイルスが非病原性表現型に変換されることを可能にする任意の必須遺伝子におけるものであり得る。好ましくは、変異は、酵素タンパク質、例えばポリメラーゼ、ヘリカーゼまたはキャップ形成酵素に導入される。あるいは、非構造タンパク質が不活化され得る。このことにより、DIVA戦略の使用が可能になる。これは、ワクチン接種動物から感染動物を区別することである。例えば、NS1をコードする遺伝子がBTVにおいて欠失されると、ワクチン用株は、ワクチン接種動物においてNS1を発現しない。よって、ワクチン接種動物ではNS1に対する抗体応答が生じない。このことは、NS1が発現され、動物において抗体応答が生じる通常の感染とは異なる。監視の間に、NS1に対する抗体が検出されることは、動物が、ワクチン株でなく野生型BTVに感染したことを示す。さらに、マーカー抗原をコードする遺伝子をゲノムに導入できる。これは、動物がワクチン接種されたことを示す明確な抗原マーカーである。 変異は、遺伝子またはそれぞれの遺伝子に、任意の適切な方法で導入できる。例えば、変異は、ウイルスのゲノムに導入できる。このゲノムから産生されるssRNA転写産物も変異を含む。あるいは、変異は、ssRNAに直接導入できる。このことは、例えば、ssRNAのある区画を、置き換えられる区画に対応するが変異も含む人工的に創出されたssRNAで置き換えることにより行うことができる。ある実施形態において、細胞に形質移入するために用いられるssRNAは、完全に人工的に産生されたものであり得る。この完全に人工的に産生されたssRNAは、1つまたは複数の必須遺伝子における変異を有するウイルスのゲノム全体に相当する。例えば、ある実施形態において、cDNAクローンを、ウイルスゲノムの一部分で作製できる。 あるいは、cDNAクローンは、ウイルスゲノム全体で作製できる。次いで、変異をcDNAクローンに導入して、例えば、種々の異なる変異を有するcDNAクローンのライブラリーを生成できる。これらのcDNAクローンからの転写産物は、次いで、細胞に形質移入するために用いられるssRNAとして用いることができる。よって、ssRNAの一部分を、cDNAクローンから創出できる。あるいは、細胞に形質移入するために用いられるssRNAの全体を、cDNAクローンから創出できる。 変異は、遺伝子の機能を破壊する任意の適切な変異であり得る。変異は、例えば、変異した遺伝子から非機能的タンパク質が産生されるような欠失または挿入の変異であり得る。好ましくは、大きな欠失変異がウイルスに導入される。 ssRNAを形質移入する細胞は、ssRNAの形質移入およびウイルス株の培養に適する任意の細胞であり得る。細胞は、ウイルス許容細胞である。好ましくは、細胞は、BHK21細胞、Vero細胞、293T細胞、BSR細胞(特定のBHK21細胞のクローン)、HeLa細胞、C6/36細胞(ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)に由来する蚊の株化細胞)またはKC細胞(天然媒介昆虫ベクタークリコイデス・ソノレンシス(Culicoides sonorensis)に由来する小媒介昆虫株化細胞)である。より好ましくは、細胞はBSR細胞である。 細胞に形質移入するために用いられるssRNAは、ウイルスのゲノムの転写産物であり、上記の変異も含む。この転写産物は、変異を含むウイルスのdsRNAゲノムから直接得ることができる。あるいは、転写産物はウイルスゲノムから間接的に得ることができる。例えば、転写産物は、ウイルスゲノムのcDNAクローンであって変異を含むcDNAクローンから作製できる。レオウイルス科のウイルス、例えばBTVにおいて、ウイルスssRNAは、ウイルス粒子により感染細胞の細胞質において合成され、ここでこれは、ウイルスタンパク質合成のためのmRNAおよび新しいゲノムdsRNAの合成のための鋳型として働く。本発明のssRNAは、これらの機能も果たすので、ssRNA中の変異は、dsRNAゲノムの合成の間にワクチン用ウイルス株に組み込まれる。 ssRNAは、ウイルスの所望の免疫学的に適切なタンパク質を含むように改変されてよい。例えば、ウイルスがBTVである場合、ssRNAは対象の血清型のVP2およびVP5をコードすることが好ましい。いくつかの実施形態において、ssRNAは、いくつかの異なるウイルス血清型からの種々の免疫学的に重要なタンパク質をコードしてよい。次いで、このようなssRNAは、いくつかの異なるウイルス血清型に対するワクチン接種に用いることができる。 好ましくは、細胞に形質移入するために用いられるウイルスssRNAは、単離ssRNAである。このことは、ssRNAが他のウイルス成分、例えばウイルス粒子、ウイルスdsRNAおよびウイルスタンパク質を実質的に有さないことを意味する。 形質移入された細胞は、ワクチン用ウイルス株の製造を可能にする任意の適切な方法で、かつ任意の適切な条件下で培養できる。細胞を培養するこのような方法は、当業者に周知である。 細胞に形質移入するステップは、2以上の形質移入ステップを含むことが好ましく:(1)第1の形質移入ステップは、ウイルスカプシドの内層の組み立てに必要な成分を少なくともコードするssRNAを細胞に形質移入することを含み、(2)第2の形質移入ステップは、ウイルスゲノムの転写産物であり、変異を含み、したがってウイルスの組み立てに必要な全ての成分をコードするssRNAを細胞に形質移入することを含む。 2回の形質移入を行うことにより、製造されるウイルスのレベルがおよそ10倍増大することがわかった。さらに、ゲノムパッケージングに必要な少なくとも1つのウイルス成分が第1の形質移入ステップで形質移入されるssRNAに確実にコードされていないようにすることにより、製造されるウイルスのレベルが、単一形質移入ステップだけで達成されるレベルのおよそ100倍を超えて増大する。BTVを用いる場合、ウイルス成分VP2、VP5、VP7およびNS3の少なくとも1つが第1の形質移入ステップにおいて形質移入されるssRNAによりコードされていないことが好ましい。好ましくは、ウイルス成分VP2、VP5、VP7およびNS3の全てが、第1の形質移入ステップの間に削除される。 ウイルスカプシドの内層の組み立てのために充分な時間があるように、第1と第2の形質移入ステップの間に間隔があることが好ましい。好ましくは、第1と第2の形質移入ステップの間は、少なくとも6時間、より好ましくは12時間、最も好ましくは18時間である。 細胞は、必須ウイルス遺伝子の機能を補完する。このことは、細胞が不活性化された必須遺伝子のコピーを含むように細胞が改変されていることを意味する。その結果、必須遺伝子により産生されるタンパク質は、ウイルスのssRNAよりもむしろ細胞からのmRNAから発現されるので、この遺伝子の機能が細胞により補完される。このことにより、ウイルスの複製に必要な全ての必須タンパク質が細胞内に確実に存在するようになる。よって、ワクチン用ウイルス株は細胞内で自由に複製できる。しかし、ワクチン用ウイルス株が補完性細胞以外の細胞に感染すると、必須遺伝子のタンパク質産物は存在しないので、ワクチン用ウイルス株は繰り返して複製できない。ワクチン用ウイルス株は、例えばワクチン接種された宿主において単一の複製サイクルを受ける。複数の必須遺伝子の機能が破壊される場合、細胞は、それぞれの必須ウイルス遺伝子の機能を補完する。 好ましくは、ワクチン用ウイルス株を製造する方法は、細胞からワクチン用ウイルス株を単離するステップをさらに含む。このことは、任意の適切な方法で行うことができる。このような方法は、当業者に周知である。例えば、ワクチン用ウイルス株は、ウイルスプラークから単離できる。 本発明は、レオウイルス科の一員であるウイルスのゲノムに由来する単離ウイルスssRNAであって、必須遺伝子の機能を破壊する変異を含み、細胞の形質移入について上記の方法での使用に適するssRNAも提供する。 本発明は、上記の方法により製造されるワクチン用ウイルス株もさらに提供する。 本発明は、本発明のssRNAからのワクチン用ウイルス株の複製を可能にする、レオウイルス科ウイルスの必須遺伝子を発現する細胞も提供する。 本発明は、本発明のssRNAに感染した本発明の細胞を提供する。 本発明は、治療で使用するための本発明のワクチン用ウイルス株も提供する。 本発明は、治療で使用するための本発明の単離ウイルスssRNAも提供する。 本発明は、レオウイルス科のウイルスに対して動物にワクチン接種する際に使用するための、本発明のワクチン用ウイルス株も提供する。 本発明は、レオウイルス科のウイルスに対して動物にワクチン接種する際に使用するための、本発明の単離ウイルスssRNAも提供する。 本発明は、レオウイルス科のウイルスに対して動物にワクチン接種する方法であって、有効量の本発明のワクチン用ウイルス株を動物に送達するステップを含む方法も提供する。 本発明は、レオウイルス科のウイルスに対して動物にワクチン接種する方法であって、有効量の本発明の単離ウイルスssRNAを動物に送達するステップを含む方法も提供する。 レオウイルス科のウイルスからの単離ウイルスssRNAは感染性であるので、単離ウイルスssRNA自体を動物へのワクチン接種に用いることができる。ssRNAは、任意の適切な方法で動物の1つまたは複数の細胞に導入でき、そこで1つまたは複数の細胞により転写される。このことによりウイルスタンパク質が産生され、ウイルス粒子の産生を導き得る。しかし、ウイルスからのssRNA中の必須遺伝子の機能が破壊されているので、ウイルスssRNAは、完全に機能的なウイルス粒子を産生できない。変異させる必須遺伝子がどれであるかに応じて、ウイルスは、せいぜい、1回の複製サイクルしか完了できない。 ワクチン接種するときに、ワクチン接種される動物は、レオウイルス科のウイルスがどれか、およびそれが感染する特定の動物に応じて変動する。ウイルスがAHSVである場合、動物はウマ、ラバ、ロバまたはシマウマから選択される。ウイルスがEHDVである場合、動物はシカ、ウシまたはヒツジから選択される。ウイルスがBTVである場合、動物はウシ、ヒツジ、ヤギ、スイギュウ、シカ、ヒトコブラクダおよびアンテロープから選択される。 本発明は、本発明のワクチン用ウイルス株を、医薬的に許容される担体、アジュバントまたは媒体とともに含む医薬組成物も提供する。 本発明は、本発明の単離ウイルスssRNAを、医薬的に許容される担体、アジュバントまたは媒体とともに含む医薬組成物も提供する。 医薬的に許容される担体、アジュバントおよび媒体は、当業者に周知である。例えば、用いることができる医薬的に許容される担体、アジュバントおよび媒体は、それらに限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンのような血清タンパク質、リン酸塩のような緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミンのような塩または電解質、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシリカ、3ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ろう、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロック重合体、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂を含む。 本発明のワクチン用ウイルス株、単離ウイルスssRNAまたは医薬組成物は、経口、非経口または吸入により投与してよい。好ましくは、ワクチン用ウイルス株、単離ウイルスssRNAまたは医薬組成物は、注射により投与される。本発明のワクチン用ウイルス株、単離ウイルスssRNAまたは医薬組成物は、任意の通常の非毒性で医薬的に許容される担体、アジュバントまたは媒体とともに製剤することができる。本明細書で用いられる非経口という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑液包内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内および頭蓋内の注射または点滴の技術を含む。 ワクチン用ウイルス株、単離ウイルスssRNAまたは医薬組成物は、例えば注射可能な水性または油性の懸濁物のような注射可能な調製物の形態であってよい。この懸濁物は、適切な分散剤または湿潤剤(例えばTween80など)および懸濁化剤を用いる当該技術分野において知られている技術に従って製剤することができる。注射可能な調製物は、非毒性で非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の注射可能な溶液または懸濁物、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液であってもよい。用いることができる許容される媒体および溶媒は、マンニトール、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌された不揮発性油は、溶媒または懸濁媒として通常用いられる。この目的のために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性の不揮発性油を用いてよい。オリーブ油またはひまし油のような天然の医薬的に許容される油、特にそのポリオキシエチレン化された型と同様に、オレイン酸のような脂肪酸およびそのグリセリド誘導体は、注射可能剤の調製に有用である。これらの油溶液または懸濁物は、長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤、またはスイス薬局方に記載されるような同様のアルコールも含んでよい。 ワクチン用ウイルス株、単離ウイルスssRNAまたは医薬組成物は、それらに限定されないが、カプセル剤、錠剤ならびに水性の懸濁剤および液剤を含む任意の経口的に許容される剤形で経口投与され得る。経口用の錠剤の場合、通常用いられる担体は、ラクトースおよびトウモロコシデンプンを含む。ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤も典型的に添加される。カプセル剤の形態での経口投与のために、有用な希釈剤は、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンを含む。水性懸濁剤を経口投与する場合は、有効成分を、乳化剤および懸濁化剤と組み合わせる。所望により、ある甘味料および/または香料および/または着色料を添加することができる。 動物に送達されるワクチン用ウイルス株の量は、標準的な技術を用いて決定できる。しかし、一般に、送達される量は、10,000〜1,000,000,000感染単位/mlの範囲であるべきである。 本発明は、上記の方法の単離ssRNAと、該ssRNA中で変異した必須遺伝子を補完する細胞とを含むキットも提供する。 本発明は、レオウイルス科の一員であるウイルス中の必須遺伝子を同定するためのスクリーニング方法であって、遺伝子の機能が破壊されるようにレオウイルス科のウイルスに変異を導入するステップと、前記ウイルスのゲノムに由来し、前記変異を含むウイルスssRNAを細胞に形質移入するステップと、適切な条件下で形質移入された前記細胞を培養するステップとを含み、形質移入された前記細胞を培養した後に産生されるウイルスが病原性であれば、前記ウイルス遺伝子が必須遺伝子でない方法も提供する。 本発明は、レオウイルス科の一員であるウイルスの改変ウイルス株を製造する方法であって、レオウイルス科のウイルスに変異を導入するステップと、前記ウイルスのゲノムに由来し、前記変異を含むウイルス一本鎖RNA(ssRNA)を細胞に形質移入するステップと、前記改変ウイルス株の製造を導くために適切な条件下で形質移入された前記細胞を培養するステップとを含み、前記細胞が、前記改変ウイルス株の前記細胞内での複製を可能にする方法も提供する。 改変ウイルス株を製造する方法は、ワクチン用ウイルス株の製造方法に関して上記で定義したとおりである。しかし、ウイルス株は、任意の様式で改変してよい。例えば、ウイルス株は、ゲノムに1つまたは複数の遺伝子を加え、1つまたは複数の遺伝子をゲノムから欠失させ、ゲノム内の制御配列を変化させることなどにより改変してよい。さらに、必須遺伝子の機能が破壊されないことを条件として、改変ウイルスの製造のために任意の適切な細胞を用いることができる。 上記のように、細胞に形質移入するステップは、2以上の形質移入ステップを含むことが好ましく、(1)第1の形質移入ステップは、ウイルスカプシドの内層の組み立てに必要な成分を少なくともコードするssRNAを細胞に形質移入することを含み、(2)第2の形質移入ステップは、ウイルスゲノムの転写産物であり、変異も含み、したがってウイルスの組み立てに必要な全ての成分をコードするssRNAを細胞に形質移入することを含む。 2ステップの形質移入を行うことの好ましい特徴は、上記で定義したとおりである。 好ましくは、改変ウイルス株を製造する方法は、細胞からウイルス株を単離するステップをさらに含む。 本発明は、レオウイルス科の一員であるウイルスのゲノムに由来する単離ウイルスssRNAであって、改変を含み、細胞の形質移入について上記の方法での使用に適するssRNAも提供する。 本発明は、上記の方法により製造される改変ウイルス株もさらに提供する。 本発明は、治療で使用するための本発明の改変ウイルス株も提供する。 本発明は、治療で使用するための本発明の単離改変ウイルスssRNAも提供する。 本発明は、本発明の改変ウイルス株を、医薬的に許容される担体、アジュバントまたは媒体とともに含む医薬組成物も提供する。 本発明は、本発明の単離改変ウイルスssRNAを、医薬的に許容される担体、アジュバントまたは媒体とともに含む医薬組成物も提供する。 ここで、本発明を、一例として、図面を参照しつつ詳細に説明する。BTVの2つの血清型からのコア由来転写産物のBSR細胞への同時形質移入から回収されたリアソータント後代ゲノムを示す図である。ゲノムdsRNAを、9%非変性ポリアクリルアミドゲルで泳動する。(A)同時転写されたBTV−1およびBTV−9転写産物のBSR細胞への同時形質移入により導かれる、救済されたBTVからのdsRNA。レーン1〜3、両方の親の転写産物調製物からのゲノムセグメントを含むプラーク精製ウイルス。矢印は、最も少数のセグメントを与えた親からのセグメントを示す。BTV−1 dsRNAおよびBTV−9 dsRNAマーカーレーンを示す。(B)調製後に混合したBTV−1およびBTV−9転写産物のBSR細胞への同時形質移入により導かれる、救済されたBTVからのdsRNA。レーン1〜2、両方の親の転写産物調製物からのゲノムセグメントを含むプラーク精製ウイルス。矢印は、最も少ないセグメントを与えた親からのセグメントを示す。BTV−1 dsRNAおよびBTV−9 dsRNAマーカーレーンを示す。T7 BTVプラスミドクローンの模式図である。T7プラスミドは、T7プロモーターと、転写の間にBTVの3’末端配列を規定するBsmBI、BsaIまたはBpiI制限酵素部位とで挟まれた全長BTVゲノムセグメントを含む。BTVゲノムセグメントの5’および3’末端の配列と、隣接配列を示す;T7プロモーター(斜体)、保存BTVゲノムセグメント5’および3’末端配列(太字)、ならびにBsmBI部位(下線)。プラスミド由来BTV−10セグメント10を含むリアソータント後代ゲノムを示す図である。(A)BTV−10セグメント10 T7転写産物とコア由来BTV−1転写産物とのBSR細胞への同時形質移入から回収されるBTVから抽出された、9%非変性ポリアクリルアミドゲルで泳動したゲノムdsRNA。レーン1〜5、回収されたプラークに由来するウイルスdsRNA。レーン1、2および5、矢印を付したリアソータントは、より速く移動するBTV−10セグメント10ゲノムセグメントを示す。レーン3および4、野生型BTV−1。BTV−1 dsRNAおよびBTV−10 dsRNAマーカーレーンを示す。(B〜D)セグメント10 RT−PCR産物の配列電気泳動図。全ウイルスdsRNAからのセグメント10標的配列を、RT−PCRにより、プライマーBTV10_S10_259FおよびBTV10_S10_611Rを用いて増幅した。増幅された標的を、BTV10_S10_259Fを用いて配列決定した。(B)BTV−10。(C)導入されたBTV−10セグメント10を含むBTV−1。(D)BTV−1。導入マーカー変異を有するプラスミド由来BTV−10セグメント10を含むリアソータント後代ゲノムを示す図である。(A)9%非変性ポリアクリルアミドゲルで泳動した、導入されたHaeII部位を有するBTV−10セグメント10を含むプラークからのゲノムdsRNA。レーン1〜3、より速く移動するBTV−10セグメント10を含む3つのプラーク精製リアソータントからのウイルスdsRNA。BTV−1 dsRNAおよびBTV−10 dsRNAマーカーレーンを示す。(B)セグメント10 RT−PCR産物のHaeII消化。セグメント10プライマーBTV10_S10_259FおよびBTV10_S10_611Rを用いてゲノムdsRNAから増幅し、2%アガロースゲルで分離したHaeII消化RT−PCR産物。U=未消化RT−PCR産物、D=HaeII消化RT−PCR産物。レーン1、鋳型なし、レーン2、BTV−10、レーン3、BTV−10セグメント10が導入されたリアソータント、レーン4、HaeII部位含有BTV−10セグメント10が導入されたリアソータント、レーン5、BTV−1。M=StyI消化ファージλDNAマーカー、bpでのサイズを示す。RT−PCR産物および消化フラグメントのサイズを左にbpで示す。(CおよびD)セグメント10 RT−PCR産物の配列電気泳動図。全ウイルスdsRNAからのセグメント10標的配列を、RT−PCRにより、プライマーBTV10_S10_238FおよびBTV10_S10_654Rを用いて増幅した。増幅された標的を、BTV10_S10_238Fを用いて配列決定した。(C)BTV−10セグメント10が導入されたリアソータント。(D)HaeII部位含有BTV−10セグメント10が導入されたリアソータント。矢印は、導入された点突然変異を示す。プラスミド由来BTV−10セグメント2および5を含む二重リアソータント後代ゲノムを示す図である。(A)BTV−10セグメント5 T7転写産物、BTV−10セグメント2 T7転写産物およびコア由来BTV−1転写産物のBSR細胞への同時形質移入から回収されるBTVからのゲノムdsRNA。9%非変性ポリアクリルアミドゲルで泳動した、後代プラークからのゲノムdsRNA。レーン1〜3、3つのプラーク精製リアソータントからのウイルスdsRNA。矢印は、よりゆっくり移動するBTV−10セグメント2およびセグメント5を示す。BTV−1 dsRNAおよびBTV−10 dsRNAマーカーレーンを示す。(BおよびC)セグメント2およびセグメント5 RT−PCR産物の制限消化分析。セグメント2およびセグメント5からの標的領域を、ゲノムdsRNAからRT−PCR増幅し、BTV−10セグメントに特異的な制限酵素で消化し、1.5%アガロースゲルで分離した。(B)セグメント2 RT−PCR産物のSacI消化。SacIは、血清型10のセグメント2に特異的であり、標的配列内に2つの部位を有する。ゲノムdsRNAからセグメント2プライマーBTV10_L2_727FおよびBTV10_L2_1523Rを用いて増幅したRT−PCR産物。U=未消化RT−PCR産物、D=SacI消化RT−PCR産物。プライマー対は、種々の血清型のうちでこのセグメントの相同性が低いために、BTV−1セグメント2を増幅しないことに留意されたい。レーン1、BTV−1、レーン2、BTV−10、レーン3、BTV−10セグメント2および5が導入されたリアソータント。StyI消化ファージλDNAマーカーサイズをbpで左に示す。RT−PCR産物および消化フラグメントのサイズを右にbpで示す。(C)セグメント5 RT−PCR産物のDraI消化。DraIは、血清型10のセグメント5に特異的であり、標的配列内に2つの部位を有する。ゲノムdsRNAからセグメント5プライマーBTV10_M5_724FおよびBTV10_M5_1590Rを用いて増幅されたRT−PCR産物。U=未消化RT−PCR産物、D=DraI消化RT−PCR産物。RT−PCR反応における鋳型は、パネルBに示すとおりである。RT−PCR産物および消化フラグメントのサイズを右にbpで示す。BTV−1ゲノムセグメントのT7転写産物を示す図である。制限エンドヌクレアーゼ消化クローンから生じたBTV−1 T7転写産物の変性1%アガロースゲル電気泳動。M=1μgのssRNAマーカー(Promega)、サイズをntで示す。(A)レーン1−セグメント1、レーン2−セグメント3、レーン3−セグメント5、レーン4−セグメント7、レーン5−セグメント9。(B)レーン1−セグメント2、レーン2−セグメント4、レーン3−セグメント6、レーン4−セグメント8、レーン5−セグメント10。10個のT7転写産物を用いる形質移入による感染性BTVの回収を示す図である。(A)アガロースを重層した形質移入BSR単層。ウェル1、4μgのBTV−1 T7転写産物を形質移入したBSR、ウェル2、形質移入していないBSR。単層を、形質移入の5日後に固定し、クリスタルバイオレットで染色した。(B)パネルAに記載するようにしてBSR単層の形質移入から回収されるBTVから抽出した、9%非変性ポリアクリルアミドゲルで泳動したゲノムdsRNA。レーン1、BTV−1ストックウイルス、レーン2および3、T7転写産物の形質移入に由来する別々のプラークからのBTV−1。10個のT7転写産物を用いるマーカー変異を含む感染性BTVの回収を示す図である。(A)アガロースを重層した形質移入BSR単層。ウェル1、導入されたBglII部位を有するセグメント8転写産物を含む3μgのBTV−1 T7転写産物を形質移入したBSR、ウェル2、形質移入していないBSR。単層を、形質移入の5日後に固定し、クリスタルバイオレットで染色した。(B)パネルAに記載するようにしてBSR単層の形質移入から回収されるBTVから抽出した、9%非変性ポリアクリルアミドゲルで泳動したゲノムdsRNA。レーン1、BTV−1ストックウイルス、レーン2および3、T7転写産物の形質移入に由来する別々のプラークからのBTV−1。10個のT7転写産物から生じるBTV−1中の導入されたマーカー変異の検出を示す図である。(A)セグメント8 RT−PCR産物のBglII消化。ゲノムdsRNAから、セグメント8プライマーNS2_Bam_T7_FおよびNS2_Bam_Rを用いて増幅し、1%アガロースゲルで分離したBglII消化RT−PCR産物。U=未消化RT−PCR産物、D=BglII消化RT−PCR産物。レーン1、野生型BTV−1、レーン2〜6、セグメント8 BglII変異転写産物を含む形質移入に由来する5つの別々のプラーク、レーン7、鋳型なし。StyI消化ファージλDNAマーカーサイズをbpで左に示す。RT−PCR産物および消化フラグメントのサイズを右にbpで示す。(B)セグメント8 BglII変異転写産物を含む形質移入からのセグメント8 RT−PCR産物の配列電気泳動図。全ウイルスdsRNAからのセグメント8標的配列を、RT−PCRにより、パネルAに記載するプライマーを用いて増幅した。増幅された標的を、BTV1_S8_627Rを用いて配列決定した。矢印は、導入された点突然変異を示す。BTV1デルタVP6の作製に用いるpBTV1 S9デルタクローンを示す図である。(A)pBTV1 S9デルタクローンに保持されるゲノムセグメント9のヌクレオチド座標。(B)pBTV1 S9デルタは、T7プロモーターと、転写の間にBTV 3’末端配列を規定するBsmBI制限酵素部位とに挟まれた改変BTVゲノムセグメント9を含む。(C)BTVゲノムセグメントの5’および3’末端の配列と隣接配列とを示す。T7プロモーター(斜体);保存BTVゲノムセグメント5’および3’末端配列(太字);およびBsmBI部位(下線)。BTV1デルタVP6が、CPEを、補完性BSR VP6株化細胞において産生することを示す図である。単層に、0.1のMOIにて感染させ、感染の48時間後に位相差顕微鏡を用いて外観を記録した。(A)BTV1デルタVP6に感染させたBSR VP6細胞。(B)野生型BTV−1に感染させた野生型BSR細胞。(C)模擬感染BSR細胞。BTV1デルタVP6が、補完性BSR VP6株化細胞においてプラークを産生することを示す図である。ウイルスストックの10倍希釈物を用いて、ウェル1〜ウェル6の集密細胞単層に感染させた。感染単層に固形培地を重層し、72時間後にクリスタルバイオレットで染色した。(A)BTV1デルタVP6に感染させたBSR VP6細胞。(B)野生型BTV−1に感染させた野生型BSR細胞。BTV1デルタVP6が、より小さいゲノムセグメントで置き換えられたゲノムセグメント9を有することを示す図である。(A)9%非変性ポリアクリルアミドゲルで泳動したゲノムdsRNA。矢印は、BTV1デルタVP6に存在する新しいゲノムセグメントを示す。ゲノムセグメントの数を右手側に示す。(B)EcoT7_S9_FおよびEcoBsmB_S9_Rプライマーを用いて記載される供給源に由来するゲノムdsRNAから生じ、かつ1%アガロースゲルで分解したRT−PCR産物。DNAマーカーサイズを塩基対で示す。BTV1デルタVP6が、感染BSRまたはC6/36細胞において感染性の後代を産生しないことを示す図である。感染性後代の産生は、72時間までの間隔で、補完性BSR VP6株化細胞に対するプラークアッセイによりアッセイした。BTV1デルタVP6および野生型BTV−1のBSR細胞(A)またはC6/36細胞(B)での複製のプロット。BTV1デルタVP6が、非補完性BSR細胞においてウイルスタンパク質を発現することを示す図である。BSR細胞に3のMOIにて感染させ、感染後の記載される数の時間で採集した。NS2発現を、SDS PAGEおよびそれに続くNS2特異的抗血清を用いるイムノブロッティングにより検出した。(A)BTV1デルタVP6に感染させたBSR、(B)野生型BTV−1に感染させたBSR。染色前のタンパク質分子量マーカーのサイズをkDaで示す。BTV1 S10GFPが、S10セグメントを置き換えるより大きいゲノムセグメントを有することを示す図である。(A)11%非変性ポリアクリルアミドゲルで泳動したゲノムdsRNA。矢印は、BTV1 S10GFP中に存在する新しいゲノムセグメントを示す。ゲノムセグメントの数を右手側に示す。(B)記載される供給源に由来するゲノムdsRNAから生じ、1%アガロースゲルで分解したRT−PCR産物。DNAマーカーのサイズを塩基対で示す。BTVゲノムからのマーカー抗原の発現を示す図である。C6/36に、BTV1 S10GFP(AおよびB)を感染させたか、または模擬感染させた(CおよびD)。感染の5日後に、細胞を4%w/vパラホルムアルデヒドで固定し、それらの外観を位相差(AおよびC)またはUV光(BおよびD)の下で記録した。二重形質移入が、コア由来転写産物からのウイルスの回収を増大させることを示す図である。集密BSR細胞単層に、1回(ウェル1)または2回(ウェル2)、BTVコアから合成した200ngのウイルスssRNAを形質移入した。ウェルに、本明細書に記載されるようにアガロースを重層した。二重形質移入が、プラスミド由来転写産物からのウイルスの回収を増大させることを示す図である。集密BSR細胞単層に、1回(ウェル1)または2回(ウェル2)、2μgのプラスミド由来T7転写産物を形質移入した。ウェルに、本明細書に記載されるようにアガロースを重層した。1回目の形質移入からゲノムセグメント2、5、7および10を削除することにより、プラスミド由来転写産物からのウイルスの回収が増加することを示す図である。集密BSR細胞単層に、10個のT7転写産物の完全補完物(ウェル1)またはセグメント2、5、7および10を欠くT7転写産物のセット(ウェル2)を、第1の形質移入において形質移入した。両方のウェルに、第2の形質移入にて10個のT7転写産物の完全補完物を形質移入した。100ngのそれぞれのT7転写産物を両方の形質移入で用いた。 ワクチン設計の新しいアプローチは、本発明者らにより開発された新規な逆遺伝学的方法を用いる。これは、ブルータングウイルス転写産物が形質移入により感染性であり[1]、かつ標的にされるセグメントをクローン化された型のウイルス遺伝子で置き換えることを可能にするという発見に基づく。この方法は、ウイルス許容細胞に、クローン化遺伝子に由来するBTVセグメントのバクテリオファージT7 in vitro転写産物と混合したBTV転写産物を形質移入する新規なアプローチを用いる。置換用ゲノムセグメントを含むウイルスは、ウイルスプラークをスクリーニングすることにより単離される。この逆遺伝学の新しい方法は、レオウイルス科で用いられる現存する逆遺伝学の技術とは異なる。1)Ronerら[3]のヘルパーウイルス依存的な方法は、哺乳動物オルトレオウイルスにうまく用いられた。ウイルス転写産物とウイルスdsRNAをT7 in vitro転写産物と混合し、ヘルパーウイルス感染を用いて救済する;2)Komotoら[2]のヘルパーウイルス依存的な方法は、ロタウイルスのカプシドタンパク質を変化させるのに用いられた。T7転写産物を細胞において、ワクシニアT7 RNAポリメラーゼ系を用いて作製し、ヘルパーウイルス株を用いて救済する;3)Kobayashiら[4]のプラスミドに基づく方法は、哺乳動物オルトレオウイルス遺伝子において変異を作製することに用いた。全てのウイルスゲノムセグメントは、ワクシニアT7 RNAポリメラーゼ系を用いて細胞で作製される。 新しいアプローチは、逆遺伝学を用いて、他のウイルスタンパク質の普遍的なバックグラウンドとともに対象の血清型からの免疫学的に関連するブルータングタンパク質(VP2およびVP5)を含むワクチン株を製造する。これは、広範囲の変異による1つまたは複数の必須ウイルス遺伝子の逆遺伝学による不活性化と結びついており、該必須遺伝子は補完性株化細胞により提供される。製造されるウイルスは、補完性株化細胞内でのみ成長でき、ワクチン接種された動物の細胞のような他の細胞内では単一回の複製しかできない。逆遺伝学による不活性化のために1つもしくは複数のBTV酵素タンパク質(ポリメラーゼ、ヘリカーゼおよびキャップ形成タンパク質)またはBTV非構造ウイルスタンパク質を標的にすることにより、監視の目的のためにDIVA戦略を用いることが可能になる。新しいアプローチは、弱毒化不足の問題も解消し、新しい株の弱毒化に付随する、新しい血清型の同定からワクチン株の製造までの時間の遅延も低減する。毒性の復帰の可能性は、標的にするウイルス遺伝子の広範囲な変異の使用により大きく低減される。感染性ウイルスを産生する野生型ウイルスとの再集合の可能性も、ワクチン株がワクチン接種された動物において単一複製サイクルしか受けないという事実により、大きく低減される。新しいアプローチは、不活化ワクチンに関連するワクチンバッチの不活化の確認の必要性も回避する。 本発明の技術を用いて、BTVについてのDISC(機能しない感染性単一サイクル)ワクチンを製造し、ここでは、必須遺伝子(VP6)を、逆遺伝学的機構により操作して、その機能を大きい欠失により破壊した。VP6欠失変異体(BTV1デルタVP6)を、VP6タンパク質をトランスに供給する補完性株化細胞と組み合わせた逆遺伝学の技術を用いて回収した。BTV1デルタVP6の成長特性の特徴決定により、これは、BTV DISCワクチンについての必要な特徴、すなわちi)非補完性哺乳動物細胞におけるウイルスタンパク質の発現;ii)非補完性哺乳動物または媒介昆虫株化細胞における検出可能な感染性ウイルスの出現がないこと;およびiii)補完性VP6株化細胞での安定した複製、を有することが示された。さらに、外来タンパク質/ペプチドを発現するウイルスの創出の能力が、NS3遺伝子の中央に挿入された高感度緑色蛍光タンパク質(eGFP)を有するBTVと組み合わせたNS3補完性株化細胞を用いて示された。このことにより、ワクチン接種された動物において検出してそれらを感染動物から区別できる、すなわちDIVA概念(感染動物とワクチン接種動物とを区別する)での免疫学的マーカーを含有するワクチン株の製造が可能になる。材料および方法 株化細胞およびウイルス。BSR細胞(BHK−21のクローン)を、5%v/v胎児ウシ血清(FBS)を補ったダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で、35℃にて5%CO2中で培養した。 BTVストックを、BSR細胞に0.1の感染効率(MOI)にて感染させ、感染の3〜4日後に培地を採集することにより作製した。ウイルスストックは4℃にて貯蔵した。ブルータングウイルスのコアの精製。BSR培養物にBTVを0.02〜0.1のMOIにて感染させた。転写活性のあるBTV−1コアを、以前に記載されたようにして精製し、4℃にて貯蔵した[1]。ブルータングウイルスmRNAのIn Vitroでの合成および精製。BTVコアを、40μg/mlで30℃にて5〜6時間、BTVコア転写バッファー(100mM Tris HCl pH8.0、4mM ATP、2mM GTP、2mM CTP、2mM UTP、500μM S−アデノシルメチオニン、6mM DTT、9mM MgCl2、0.5U/μl RNasin(登録商標)Plus[Promega])中でインキュベートした。 BTVコア由来mRNAを、以前に記載された方法を用いて精製し、−80℃にて貯蔵した[1]。BTV−1ゲノムセグメントのRT−PCR増幅。それぞれのBTV−1ゲノムセグメントのcDNAコピーを、ウイルスdsRNAから、配列依存的な様式でFLAC法[18]を用いて増幅した。簡単に、ヘアピンアンカープライマーを、記載されるようにウイルスdsRNAに連結し、その後、ゲルから精製したゲノムセグメントから、SuperScript(商標)III(Invitrogen)を10U/μlにて、55℃で1時間用いてcDNAを合成した。PCR増幅は、5’リン酸化FLAC2プライマー(5’GAGTTAATTAAGCGGCCGCAGTTTAGAATCCTCAGAGGTC3’)をKODホットスタートDNAポリメラーゼ(Novagen)とともに用いて行った。PacIおよびNotI部位を太字で示す。BTV転写産物の合成のために用いるT7プラスミドクローン。cDNAプラスミドクローンを、BTV−10ゲノムセグメント10(pNS3BsmBI)、セグメント5(pVP5BsmBI)およびセグメント2(pVP2BsmBI)について、ならびにBTV−1ゲノムの10個全てのセグメントについて構築した。導入されたHaeII部位を含むBTV−10セグメント10クローンの変異型(pNS3Hae)、および導入されたBglII部位を含むBTV−1セグメント8クローンの変異型(pBTV1S8Bgl)も構築した。それぞれのプラスミドクローン内の機能的カセットは、T7プロモーターおよびBsmBI、BsaIまたはBpiI部位を、これらのエレメントの間にあるBTVゲノムセグメントとともに含んでいた。それぞれのクローン内のBTVゲノムセグメントは、BsmBI、BsaIまたはBpiIで消化されたプラスミドに由来するT7転写産物が、対応するBTVゲノムセグメントのmRNA鎖と全く同じ配列を有すると予測されるように他の2つの配列エレメントに対して配置した(図2)。cDNAプラスミドクローンからのBTV転写産物の合成。T7プラスミドクローンを、BsmBI、BsaIまたはBpiIで消化し、次いで、フェノール/クロロホルムを用いて1回およびクロロホルムを用いて1回抽出した。それぞれの消化されたプラスミドを、0.15M酢酸ナトリウムの存在下でイソプロパノールを用いて沈殿させた。DNAペレットを、70%(v/v)エタノール中で2回洗浄し、1μg/μlにて10mM Tris HCl pH8.0中に溶解した。5’キャップアナログを有する転写産物を、消化したT7プラスミドクローンから、rGTPに対して4:1の比のアンチリバースキャップアナログを用いるmMESSAGE mMACHINE(登録商標)T7 ULTRAキット(Ambion)を用いて作製した。T7 BTV転写産物を、フェノール/クロロホルムを用いて1回抽出し、その後クロロホルムを用いて1回抽出した。取り込まれなかったrNTPを、製造業者の使用説明書に従ってMicrospin(商標)G−25カラム(GE Healthcare)を用いるサイズ分画により除去した。T7 BTV転写産物を、0.15M酢酸ナトリウムの存在下で等容量のイソプロパノールを用いて沈殿させた。RNAペレットを、70%(v/v)エタノール中で2回洗浄し、滅菌ジエチルピロカーボネート(DEPC)処理水に溶解し、−80℃にて貯蔵した。変性アガロースゲル電気泳動。精製BTV ssRNAを、ホルムアルデヒド存在下でのMOPS(モルホリンプロパンスルホン酸)電気泳動バッファー中で、標準的な技術[19]を用いて、1%アガロースでの電気泳動により分析した。1つまたは2つのcDNA由来ゲノムセグメントを有するブルータングウイルスを回収するための培養細胞の形質移入。転写性コアに由来するBTV mRNAを、Opti−MEM(登録商標)I中の1つまたは複数のT7 BTV転写産物と、0.1U/μlのRNasin(登録商標)Plus(Promega)の存在下で混合した。RNA混合物を、20℃にて30分間インキュベートした後に、Lipofectamine(商標)2000試薬(Invitrogen)と混合した[以下を参照されたい]。6ウェルプレート内の集密なBSR単層に、0.75μgのそれぞれのT7 BTV転写産物と混合した1.5μg BTV mRNAを、Lipofectamine(商標)2000試薬を製造業者の使用説明書に従って用いて形質移入した。形質移入の4時間後に、培養培地を、最少必須培地(MEM)、2% FBS、1.5% w/v VII型アガロース(Sigma)からなる6mlの上敷きで置き換えた。分析物を、35℃、5%CO2にて72〜96時間インキュベートしてプラークの出現を可能にした。cDNA由来ゲノムセグメントに完全に由来するブルータングウイルスを回収するための培養細胞の形質移入。300〜400ngのそれぞれのT7 BTV転写産物を、上記のように混合して、T7 BTV転写産物の完全ゲノムセットを作製した。BSR単層の形質移入は、上記のようにして行った。形質移入由来BTVプラークからのdsRNAの調製。それぞれのプラークを、500μlのダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、5%FBS中に採集し、200μlを用いて1.5×106BSRに感染させた。感染細胞を、35℃にて5%CO2中で72〜96時間インキュベートして、BTVの増幅を可能にした。ウイルスdsRNAを、以前に記載されたように[1]、感染BSR細胞から精製した。導入されたゲノムセグメントを含むリアソータントについての、形質移入由来BTVプラークのスクリーニング。導入されたゲノムセグメントがポリアクリルアミドゲル上で異なる速度で泳動される場合、スクリーニングは、dsRNAを9%ポリアクリルアミドゲル上でTris/グリシンバッファー(pH8.3)中で電気泳動することにより行った。ゲルを臭化エチジウムで30分間後染色した。泳動速度に基づいてスクリーニングを行うことができない場合、RT−PCR(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)と、その後の制限エンドヌクレアーゼ消化を用いて、リアソータントと野生型BTVとを区別した。cDNAを、100ngの熱変性ウイルスdsRNAから、標的領域を挟むフォワードおよびリバースのプライマーを用いるSuperScript(商標)III(Invitrogen)を用いて、55℃にて1時間合成した。標的領域を、Taq DNAポリメラーゼを同じフォワードおよびリバースのプライマーとともに用いてPCR増幅し、制限エンドヌクレアーゼを用いて消化した。産物を、臭化エチジウムを含むアガロースゲルでのTris−ホウ酸−EDTAバッファー中での電気泳動により分解した。RT−PCR産物の配列分析を、MWG BiotechのValue Readサービス[20]を用いて、ABI 3730XL配列決定装置で、ダイターミネーターを用いて行った。pNS3HaeおよびpBTV1S8Bglの構築。PNS3BsmBIを、Weinerらの方法[17]によりプライマーS10_mt_Hae_409FおよびS10_mt_Hae_409Rを用いる部位特異的突然変異誘発により、追加のHaeII部位を含有するように変化させた。同様にして、野生型BTV−1 S8クローンを、プライマー5’BTV1_S8_BglIIおよび3’BTV1_S8_BglIIを用いてBglII部位を導入するように変化させた。クローンを、HaeIIまたはBglII消化により導入された部位の存在についてスクリーニングし、MWG BiotechのValue Readサービスを用いて発現カセットを配列決定して、偶発的な変異を含有しないクローンを同定した。プライマー。pNS3HaeをpNS3BsmBIから作製するために用いた突然変異誘発プライマー:S10_mt_Hae_409F(5’CTACTAGTGGCTGCTGTGGTAGCGCTGCTGACATCAGTTTG3’)およびS10_mt_Hae_409R(5’CAAACTGATGTCAGCAGCGCTACCACAGCAGCCACTAGTAG3’)。pBTV1S8Bglを野生型BTV−1 S8クローンから作製するために用いた突然変異誘発プライマー:5’BTV1_S8_BglII(5’GATTTACCAGGTGTGATGAGATCTAACTACGATGTTCGTGAAC3’)および3’BTV1_S8_BglII(5’CGAACATCGTAGTTAGATCTCATCACACCTGGTAAATCGGGC3’)。突然変異誘発塩基に下線を引き、制限部位を太字で示す。 RT−PCR増幅およびBTV−10セグメント10の配列決定のためのプライマー:BTV10_S10_238F(5’GGAGAAGGCTGCATTCGCATCG3’)、BTV10_S10_654R(5’CTCATCCTCACTGCGTCATTATATGATTGTTTTTTCATCACTTC3’)、BTV10_S10_259F(5’GGAGAAGGCTGCATTCGCATCG3’)、BTV10_S10_611R(5’CTCATCCTCACTGCGTCATTATATGATTGTTTTTTCATCACTTC3’)。 BTV−10セグメント5からのRT−PCR増幅のためのプライマー:BTV10_M5_724F(5’ATGACAGCAGACGTGCTAGAGGCGGCATC3’)およびBTV10_M5_1590R(5’GCGTTCAAGCATTTCGTAAGAAGAG3’)。 BTV−10セグメント2からのRT−PCR増幅のためのプライマー:BTV10_L2_727F(5’CCGTACGAACGATTTATATCCAGC3’)およびBTV10_L2_1523R(5’TACTAATTCAGAACGCGCGCC3’)。 BTV−1セグメント8のRT−PCR増幅のためのプライマー:NS2_Bam_T7_F(5’CGGGATCCTAATACGACTCACTATAGTTAAAAAATCCTTGAGTCA3’)およびNS2_Bam_R(5’CATGGGATCCGGACCGTCTCCGTAAGTGTAAAATCCCC3’)。BTV−1セグメント8を配列決定するためのプライマー:BTV1_S8_627R(5’CAGCTTCTCCAATCTGCTGG3’)。BTV VP6またはNS3タンパク質を発現する安定株化細胞の構築。BTV−10 VP6およびBTV−1 NS3のコード領域をPCRにより増幅し、ピューロマイシン選択性プラスミドpCAGGS/MCS−PM1[29]にクローニングして、pCAGG/VP6およびpCAGG/NS3をそれぞれ得た。BSR細胞に、pCAGG/VP6またはpCAGG/NS3を、Lipofectamine(商標)2000試薬(Invitrogen)を用いて形質移入し、形質移入の48時間後にトリプシン処理し、7.5μg/mlのピューロマイシンで選択した。単離耐性コロニーを培養し、VP6またはNS3タンパク質の発現を、適切な抗体を用いるイムノブロッティングにより試験した。VP6およびNS3発現株を、BSR VP6およびBSR NS3と称した。補完性BSR VP6またはBSR NS3株化細胞を用いるBTVの回収。ヌクレオチド301〜743のアウトオブフレーム欠失(1049ntのうち)を有するBTV−1セグメント9クローンであるpBTV1 S9デルタを構築した(図10)。対応する変異ウイルスであるBTV1デルタVP6を、形質移入の間に野生型BSR細胞の代わりにBSR VP6株化細胞を用いて回収した。同様にして、NS3遺伝子の中央に高感度緑色蛍光タンパク質(eGFP)が挿入されたBTV−1セグメント10クローンであるpBTV1 S10GFPを構築した。対応するGFP発現ウイルスであるBTV1 S10GFPを、形質移入の間にBSR NS3株化細胞を用いて回収した。BTV1デルタVP6およびBTV1 S10GFPの継代。BTV1デルタVP6は、BSR VP6株化細胞で継代し、プラークアッセイによりこれもまたBSR VP6株化細胞を用いて力価を決定した。BTV1 S10GFPは、BSR NS3株化細胞上で継代し、プラークアッセイによりこれもまたBSR NS3株化細胞を用いて力価を決定した。BTV1デルタVP6の多段成長曲線。BSRまたはC6/36細胞に、0.5のMOIにて、12ウェルディッシュ中で、それぞれ250μlのDMEMまたはL15培地中で感染させた。ウェルを1ml PBSで3回洗浄し、1mlの成長培地中の標準的な成長条件下でインキュベートした。ウェルからある時間間隔で採集し、合計のウイルスを、BSR VP6補完性株化細胞上でのプラークアッセイ力価決定により決定した。プライマー。EcoT7_S9_F(5’CTAGGAATTCTAATACGACTCACTATAGTTAAAAAATCGCATATGTCAGCTGC3’)。EcoBsmB_S9_R(5’CAGTGAATTCGTCTCCGTAAGTGTAAAATCGCCCTACG3’)BTV1S10T7EcoRI(5’CGGAATTCTAATACGACTCACTATAGTTAAAAAGTGTCGCTGCCATGCTA3’)NS3BsmBi rev(5’GTAAGTGTGTAGTATCGCGCACC3’)結果2つの血清型からのBTV mRNAを用いる同時形質移入によるゲノムセグメントの再集合。許容細胞の形質移入によるコア由来転写産物からの感染性BTVの回収が示されている[1]。BTVについての逆遺伝学的機構を作製することを目的として、あるBTV血清型から別の血清型へのゲノムセグメントの導入を、cDNA由来ゲノムセグメントの導入の前の中間ステップとして研究した。感染性コア由来転写産物を、以前に記載されたようにして[1]、BTV−1およびBTV−9から調製した。2つの血清型からの転写産物を、同じ転写反応により同時に作製したか、または別々に作製してから混合した。集密BSR単層に、転写産物混合物を形質移入し、ウイルスを、得られたプラークから増幅させた。dsRNAを、それぞれの増幅させたプラークから精製し、ゲノムセグメントの起源を、非変性PAGEゲルでの電気泳動により決定し、これは、異なる単離株からのいくつかのゲノムセグメントの区別を可能にした。BTV−1およびBTV−9からの同時合成転写産物を用いた場合、両方の親の供給源の転写産物からのゲノムセグメントを有する後代のウイルス[リアソータント]が生じた(図1A)。レーン1は、BTV−9のように移動するセグメントの遺伝的バックグラウンドでのBTV−1のセグメント1およびセグメント4を有するリアソータントを含む。同様に、レーン2は、BTV−1遺伝的バックグラウンドでのBTV−9のセグメント3を有するリアソータントを含み、レーン3は、BTV−1遺伝的バックグラウンドでのBTV−9のセグメント1を有するリアソータントを含む。BTV−1およびBTV−9転写産物を別々に調製して形質移入の前に混合した場合も、リアソータント後代ウイルスが生じ、このことは、転写産物の同時合成が、再集合が生じるために必要でないことを示す(図1B)。これらのデータは、ウイルス転写産物の混合物での同時形質移入が、別々の供給源からのゲノムセグメントのBTVゲノムへの導入のために実行可能な戦略であることを示した。cDNAクローンに由来するBTVセグメントのBTV−1ゲノムへの導入。cDNAクローンに由来するT7転写産物でのゲノムセグメントの標的化置き換えを、クローン化配列をBTVゲノムに導入するためのモデルとして、その後、研究した。BTV−10セグメント10 T7転写産物を、BTV−1のゲノムへ導入することを選択して、PAGEゲル上で、BTV−1と比較してBTV−10のセグメント10がより速い移動速度を有することに基づく、プラークの迅速なスクリーニングを可能にした。BTV−10セグメント10 T7転写産物は、正しい5’末端配列を生じるためのT7プロモーターと、正しい3’末端配列を生じるためのBsmBI部位とを有するpNS3BsmBIから作製した(図2)。転写性コアから産生したBTV−1転写産物を、BTV−10セグメント10 T7転写産物と混合し、集密BSR単層の形質移入に用いた。T7転写産物と対応するコア由来mRNAとの5:1のモル比が最良であることが見出され、これを全ての実験において用いた。BTV1転写産物に対するT7転写産物の比を増大させると、回収されるプラークの総数が低減した(データは示さず)。典型的には、1.5μgのコア由来転写産物と0.75μgのT7転写産物とでの6ウェルディッシュの形質移入の後に、およそ50個のプラークがそれぞれのウェルから回収された。ウイルスをこれらのプラークから増幅させ、dsRNAを精製した。ゲノムセグメント10の起源を、dsRNAをPAGEゲル上で電気泳動することにより、まず決定した。BTV−10からのより速く移動するセグメント10を含むdsRNAゲノムプロフィールを、プラークのスクリーニングを実行可能な選択肢とするのに充分に高い頻度(15〜80%)で得た(図3A)。セグメント10は、RT−PCRと、その後、1型と10型との間の可変性を示す領域の配列決定を行うことによりそれであることを確認した(図3B、CおよびD)。これらのデータは、プラスミド由来BTV−10セグメント10が生存可能なBTV−1のゲノム中に回収されたことを示す。 BTVは、天然では、細胞が2つの異なる株に感染した場合に、再集合した後代ゲノムを生成する[21]。セグメント10リアソータントの起源である2つのウイルス間の天然再集合の可能性をなくすために、マーカーとしてサイレントHaeII部位が導入されたBTV−10セグメント10クローン(pNS3Hae)を、pNS3BsmBIの部位特異的突然変異誘発により作製した。BSR単層に、BTV−1コア由来mRNAと、pNS3Haeに由来する、変異が導入されたBTV−10セグメント10 T7転写産物との混合物を形質移入した。この変異BTV−10セグメント10配列を含むウイルスの回収を、PAGEゲル上でその移動速度が増大することにより、まずスクリーニングした(図4A)。HaeII部位がBTVゲノムのセグメント10に導入されたことを、プラーク精製ウイルスからのdsRNAのRT−PCRと、その後のHaeII消化(図4B)、およびRT−PCR産物の配列決定(図4CおよびD)により確認した。セグメント10は、pNS3Haeにコードされるセグメントとその全長にわたって同じであることが、全長RT−PCR産物の配列決定により決定された(データは示さず)。cDNAクローンに由来する2つのBTV−10セグメントの、BTV−1ゲノムへの同時導入。2つのゲノムセグメントを同時に変化させるこの可能性を評価するために、BTV−10からの外殻タンパク質をコードするセグメント(セグメント2および5)を、BTV−1ゲノムセグメントのバックグラウンドに導入することを研究した。これらのゲノムセグメントを別の血清型からのセグメントに置き換えることにより、ウイルスの血清型を変化させることができるだろう。BTV−10のセグメント2および5に由来するT7転写産物を、それぞれpVP2BsmBIおよびpVP5BsmBIから作製し、BTV−1コア由来mRNAと、それぞれのT7転写産物と対応するコア由来転写産物との比5:1で混合した。集密BSR細胞単層に、RNA混合物を形質移入し、dsRNAを、回収したプラークから調製した。セグメント2および5の起源を、PAGEゲル上でのそれらの移動速度により、まず評価した(図5A)。BTV−10からの両方のセグメント2および5は、高い頻度でともに回収された(20〜80%)。セグメントは、RT−PCRと、その後の制限消化によりそれであることを確認した(図5BおよびC)。セグメント2およびセグメント5の完全配列は、BTV−10の完全配列であることが、RT−PCR増幅および配列決定により決定された(データは示さず)。BTV−10からのセグメント2のみまたはセグメント5のみを含む後代は回収されず(3回の独立した実験からの19プラークのうち0)、このことは、一方の親からのセグメント2を含むウイルスと、他方の親からのセグメント5を含むウイルスは、生存性が低いか、または二重リアソータントとよりも低い頻度で生じるかであることを示唆した。この現象は、BTV−10からのセグメント2またはセグメント5をBTV−1に導入することを試みたときに、1つもリアソータント後代が回収されなかったことによってもさらに支持された(データは示さず)。 T7転写産物に完全に由来するBTVの回収。上記の方法は、BTVゲノムセグメントの操作を可能にする実行可能な逆遺伝学的機構であるが、野生型プラークからのリアソータントプラークのスクリーニングは、成長が遅い変異体の回収を妨げ得る。理想的な逆遺伝学的機構は、T7転写産物に完全に由来する感染性ウイルスの組み立てを可能にする。全てのゲノムセグメントについて生存可能なクローンを有する可能性を最大限にするために、それぞれのゲノムセグメントのRT−PCR増幅を、BTV−1のdsRNAを用いて、dsRNA鋳型について開発された配列非依存性FLAC法[18]を用いて行った。それぞれのRT−PCR産物をpUC19中にクローニングし[22]、それぞれのクローンの完全配列を、それぞれのRT−PCR産物の完全配列と比較して、代表的分子がそれぞれの場合にクローン化されたかを決定した(データは示さず)。クローン化されたゲノムセグメントの末端の200nt以内にコードの変化または任意の違いが存在した場合は、代替のクローンを配列決定した。10クローンの完全セットが一旦得られると、それぞれのゲノムセグメントを、高忠実度KODホットスタートDNAポリメラーゼ(Novagen)を用いてPCR増幅して、T7プロモーターを、ゲノムセグメントのすぐ上流に、そして制限酵素部位をすぐ下流に導入した(図2)。これらの機能的カセットも、pUC19にクローニングした。制限消化プラスミドクローンを用いて合成したT7転写産物は、1%変性アガロースゲルで分解したときに予測されるサイズであることが決定された(図6AおよびB)。 制限消化プラスミドから作製されたT7転写産物を、等重量比で混合し、合計で3〜4μgを用いて集密BSR単層に形質移入した。形質移入された単層に、アガロースを重層し、形質移入の3〜6日後にプラークが出現した(図7A)。増幅したプラークからのdsRNAを、BTV−1ストックウイルスとPAGEゲル上で比較し、区別がつかないことがわかり、このことにより、BTV−1が回収したことを確認した(図7B)。BTVをT7転写産物から導くことができることをさらに裏付けるために、導入されたサイレントBglII部位を含むBTV−1セグメント8 T7クローンの変異体であるpBTV1S8Bglを作製した。T7転写産物の完全なセットでの形質移入からのプラークを回収し、ここでは、セグメント8 BglIIマーカー転写産物が野生型S8転写産物を置き換えていた(図8A)。増幅したプラークからのdsRNAは、BTV−1ストックウイルスとPAGEゲル上で比較したときに、区別がつかないことがわかった(図8B)。プラークを、BSR細胞への感染により増幅し、S8セグメントを、RT−PCRにより、プライマーNS2_Bam_RおよびNS2_Bam_T7_Fを用いて増幅した。RT−PCR産物の消化により、BglII部位が導入されたことが示された(図9A)。RT−PCR産物を、BTV1_S8_627Rプライマーを用いて配列決定して、マーカー配列が導入されたことを確認した(図9B)。これらのデータは、T7転写産物の完全ゲノムセットからBTVを回収でき、この機構を用いて実行可能な変異を導入できることを示す。 BTV1デルタVP6ウイルスの回収。DISCワクチン株を作製するために、必須タンパク質VP6中の大きいアウトオブフレーム欠失を野生型セグメント9クローン中で作製して、pBTV1 S9デルタを作製した(図10)。in vitro合成T7転写産物の完全ゲノムセットを、野生型セグメント9転写産物の代わりに欠失セグメント9転写産物を含めて上記のようにして作製した。対応する変異ウイルスであるBTV1デルタVP6を、形質移入の間に野生型BSR細胞の代わりにBSR VP6株化細胞を用いて回収した。形質移入の5日後に、形質移入されたウェルではBTV CPEとは区別がつかない細胞変性効果(CPE)が観察され、このことは、感染性ウイルスの回収を示す(データは示さず)。 BTV1デルタVP6は、BSR VP6株化細胞中で複製する。BTV1デルタVP6ウイルスがBSR VP6株化細胞において安定して複製されるかを決定するために、これを、野生型BSR細胞における野生型BTV−1の複製と比較した。BSR VP6株化細胞にBTV1デルタVP6を感染させることにより生じるCPEは、野生型BTV−1を野生型BSR細胞に感染させるために用いたときに生じるものと等しく、このことは、BTV1デルタVP6の複製に著しい欠陥がないことを示した(図11を参照されたい)。BTV1デルタVP6のプラーク形成能力を、BSR VP6株化細胞を用いて評価した(図12を参照されたい)。BSR VP6株化細胞は、正常な外観のプラークが産生されるようにBTV1デルタVP6の成長を補完して、BTV1デルタVP6の正常な力価を可能にすることがわかった。BTV1デルタVP6ウイルスは、BSR VP6株化細胞を用いて、野生型BTV−1に匹敵する力価まで(107感染単位/mlを超える)成長できた。これらのデータは、BTV1デルタVP6ウイルスが、補完性BSR VP6株化細胞中で有効に複製されることを示す。 BTV1デルタVP6のゲノムセグメント9の特徴決定。BTV1デルタVP6をBSR VP6株化細胞上で増殖させ、ウイルス2本鎖RNAを抽出し、上記のようにして精製した。BTV1デルタVP6ゲノムは、野生型S9セグメントを欠いており、かつ欠失S9セグメントでの野生型S9セグメントの置き換えに相当するより小さいゲノムセグメントを含む(図13A)。BTV1デルタVP6からのS9セグメントを、RT−PCRにより、S9セグメントの両末端にアニールするプライマー(EcoT7_S9_FおよびEcoBsmB_S9_R)を用いて増幅し、650ntの予測される産物を生じ(図13B)、これを同じプライマーを用いて配列決定した。増幅されたゲノムセグメントの観察された配列は、pBTV1 S9デルタのものと同一であり(データは示さず)、このことは、回収されたウイルスが正しく構築されたことを示した。 非補完性株化細胞でのBTV1デルタVP6の成長の特徴決定。DISCワクチン株のある重要な特徴は、宿主生物において複製サイクルを完了できないはずであることである。BTV1デルタVP6が欠陥性であるかを評価するために、ともにBTVが有効に複製する系統である哺乳動物系統BSR (BHK−21サブクローン)および媒介昆虫株化細胞C6/36を、哺乳動物および媒介昆虫の宿主の代理として用いた。これらの株化細胞はともにBTV1デルタVP6に感染し、産生したウイルスの合計を、72時間にわたって、BSR VP6補完性株化細胞を用いるプラークアッセイにより監視した。BTV1デルタVP6はいずれの株化細胞でも複製しなかったが、野生型BTV−1は両方の系統において有効に複製した(図14AおよびB)。このデータは、VP6遺伝子の破壊により、補完性株化細胞によりVP6タンパク質が供給されない場合は、ウイルスが複製できなくなっていることを示す。 BTV1デルタVP6は、非補完性BSR細胞においてウイルスタンパク質を発現する。いずれのDISCワクチンも、免疫応答を誘発するために、宿主生物内でウイルスタンパク質を発現しなければならない。BTV1デルタVP6がウイルスタンパク質を発現できるかを評価するために、野生型BSR細胞を哺乳動物宿主の代理として用いた。非構造タンパク質NS2の検出を、ウイルスタンパク質発現のマーカーとして用いた。BTV1デルタVP6ウイルスと野生型BTV−1とのタンパク質発現の比較において、NS2タンパク質は、BTV1デルタVP6に感染したBSRおよびBTV−1に感染したBSRの両方において時間とともにその発現レベルが増大した(図15)。BTV1デルタVP6ウイルスからのタンパク質発現レベルは、欠陥ウイルスについて予測されるように、野生型BTV−1についてのものよりも低かった。このデータは、BTV1デルタVP6ウイルスが、非補完性BSR細胞においてウイルスタンパク質を発現することを示す。 マーカー抗原をBTVゲノムに加えることができる。BTVゲノムからのマーカー抗原/ペプチドを発現する能力により、DIVA準拠ワクチン株を創出することが可能になる(DIVA:感染動物からワクチン接種動物を区別する)。逆遺伝学のアプローチを補完性株化細胞と組み合わせて用いてこのことが可能であることを示すために、NS3とeGFPとのインフレーム融合体を含むクローンであるpBTV1 S10GFPを作製した。in vitro合成したT7転写産物の完全ゲノムセットを、野生型セグメント10転写産物の代わりにNS3−eGFP融合転写産物を含んで、上記のようにして作製した。対応する変異ウイルスであるBTV1 S10GFPを、形質移入の間に野生型BSR細胞の代わりにBSR NS3相補性株化細胞を用いて、記載されたようにして回収した。非補完性C6/36細胞にBTV1 S10GFPが感染した場合、eGFPの発現が、UV光の下でその蛍光により確認された(データは示さず)。 BTV1 S10GFPのゲノムセグメント10の特徴決定。BTV1 S10GFPのゲノムは、野生型S10セグメントを欠いており、かつS10 GFP融合体に相当するより大きいセグメントを含む(図16A)。BTV1 S10GFPからのS10セグメントを、RT−PCRにより、S10セグメントの両末端にアニールするプライマー(BTV1S10T7 EcoRIおよびNS3BsmBi rev)を用いて増幅し、1446ntの予測される産物が増幅された(図16B)。BTV1 S10GFPからのRT−PCR産物を配列決定し、eGFP遺伝子の存在を確認し(図17を参照されたい)、このことは、回収されたウイルスが正しく構築されたことを示した。プラスミド由来転写産物からのウイルス回収の効率の増大 プラスミド由来T7転写産物からのブルータングウイルス回収の効率を増大させる2つの変更を行った。これらの変更はともに、上記の形質移入方法に対する変化である。それぞれの改良は、プラスミド由来転写産物からのウイルスの回収効率をおよそ10倍増大させ、併せておよそ100倍のウイルスの回収の増大をもたらす。改変番号1、二重形質移入 細胞に、上記のように、それぞれの場合に10個のプラスミド由来転写産物の完全セットを2回(1回ではなく)形質移入する。形質移入は18時間の間隔で行い、単一形質移入を用いる場合のおよそ10倍にウイルス回収が増大する。二重形質移入方法を用いるウイルスの回収の増大は、BTVコアから作製したssRNAを用いた場合(図18)と、10個のcDNAクローンから作製したT7転写産物の完全セットを用いた場合(図19)とで観察された。改変番号2、第1の形質移入からのゲノムセグメント2、5、7および10の削除: 細胞に、改変番号1と同様であるが、ゲノムセグメント2、5、7および10をコードするT7転写産物を第1の形質移入から削除して2回形質移入した。第2の形質移入は、10個の転写産物の完全セットを用いる。形質移入は18時間の間隔で行い、上記の二重形質移入を用いる場合のおよそ10倍にウイルス回収がさらに増大する(図20)。考察 上記の2つのアプローチは、真のウイルス転写産物とT7転写産物の混合物、またはT7転写産物の完全ゲノムセットのいずれかを用いる、BTVについての代替の逆遺伝学的機構を示す。これらにより、BTV転写産物を許容細胞に形質移入するために用いたときにこれらの転写産物が感染性である[1]という発見を拡張し、5’末端のキャップアナログを有するin vitro合成T7転写産物がコア粒子により合成された転写産物を機能的に置換できることを示す。 2つの別々のコア由来mRNA調製物に由来するゲノムセグメントを有する後代ウイルスの回収は、真のウイルス転写産物と混合することによりBTVのゲノムに外因性転写産物を導入するという原理を確立した(図1B)。転写後にmRNA調製物を混合することがリアソータントの生成に効果的であるとの知見により、プラスミド由来転写産物をコア由来mRNAと組み合わせて、BTVゲノムに標的変異を導入するという可能性が可能になった。BTV−10セグメント10転写産物をBTV−1のゲノムに導入することを研究して、プラスミド由来転写産物が感染性BTVに容易に導入され得たかを決定した。このモデル機構は、T7転写産物を過剰に用いることにより、個別のプラークのスクリーニングを実行可能にする頻度(15〜80%)でリアソータントプラークが生じたことを示した。PAGEゲル上でのセグメント10 dsRNAの移動速度によるプラークの当初のスクリーニング(図3)を、RT−PCR産物の配列決定により確認した(図3)。T7転写産物と真のウイルス転写産物との間の再集合の高い効率は、選択マーカーアプローチが必要なかったことを意味する。BTVのセグメント10へのHaeII部位マーカー変異の導入により、リアソータントが、in vitro合成されたセグメント10 T7転写産物に由来したことが確認された(図4)。HaeII含有セグメント10は、野生型BTV−10セグメント10と同様の効率で回収された。これらのセグメント10リアソータントウイルスはともに、野生型BTV−1と比較して、著しい複製の欠陥を示さなかった(データは示さず)。このことは、BTV−10からのゲノムセグメント10がRNAパッケージングおよび複製、ならびにNS3/NS3Aタンパク質機能のレベルの両方において、BTV−1ゲノムセグメントのバックグラウンドに機能的に適合することを示す。 2つのT7転写産物がBTVゲノムに同時再集合してBTV−1の抗原性に重要な外殻タンパク質をBTV−10 cDNAクローンからのものに置き換えることが可能であることが、両方のT7転写産物を過剰に用いることにより示された(図5)。BTV−10セグメント2および5を含む後代プラークが、20〜80%の頻度で回収されたが、BTV−10からのセグメント2またはセグメント5のみを含むリアソータントは単離されなかった。このことは、BTV−10のセグメント2および5が一緒に、対応するBTV−1ゲノムセグメントを機能的に置換できることを示し、これらの2つの血清型からのセグメント2とセグメント5の間にはあるレベルの不適合があることを示唆する。コードされるタンパク質VP2およびVP5は、ウイルス粒子表面で免疫選択圧にさらされていることから、高度に可変性である。本発明者らの好ましい説明は、VP2およびVP5タンパク質がともに進化し、一方の血清型からのVP2の3次元構造が他方の血清型からのVP5と必ずしも適合性でないということである。このことは、BTVウイルス様粒子の作製において観察された、いくつかの血清型の組み合わせからのVP2およびVP5タンパク質の不適合性が以前に報告されたこととも一致する[23、24]。RNAパッケージングレベルでのいくつかの血清型組み合わせにおけるセグメント2およびセグメント5の不適合性は、別の可能性である。別の血清型からの両方の外殻タンパク質を同時に導入することは、遺伝的バックグラウンドが一致している異なる血清型に対するワクチン株を製造する可能性を可能にする。BTV−1とBTV−10のVP2タンパク質間のアミノ酸配列の高い相違(40%のアミノ酸同一性)は、BTVビリオンの保存されたコア上への種々のVP2+VP5対の組み立てが可能であることを示唆する。 T7転写産物の完全セットからのBTV−1の回収を研究して、完全に規定されたゲノムを有するウイルスがcDNAクローンから回収できたかを決定した。10個のT7転写産物のBSR単層への形質移入は、プラークの産生を導くことがわかった(図7)。BglIIマーカー変異のS8セグメント中への回収により、回収されたウイルスが形質移入に用いたT7転写産物に由来することが確かめられた(図8および9)。感染性BTVをT7転写産物だけから回収することは、キャップアナログの存在下で合成されたT7転写産物が、複製サイクルの全ての段階において真のウイルス転写産物と機能的に同等であることを示す。T7転写産物は、ビリオンが作製されるのであれば翻訳され、ゲノムパッケージングの間に選択され、マイナス鎖合成の鋳型として作用しなければならない。さらに、マイナス鎖合成の後に、得られたdsRNAゲノムセグメントは、次の回の感染における転写のために能力を有さなければならない。T7転写産物からのBTVの回収は、等量のコア由来ウイルス転写産物を用いる場合よりもおよそ100倍少ないプラークの回収を導く。より低い効率は、キャップアナログの存在下で生じるT7転写産物の一部分だけが5’末端に組み込まれたキャップアナログを有するという事実に由来し得る。翻訳されにくいということに加えて、キャップを有さない転写産物はRNAパッケージングの間、マイナス鎖合成または次の回の感染における転写の間に欠陥があり得る。重要なことには、キャップを有さない転写産物は、RIG−Iにより認識され、抗ウイルス性の応答を誘導する病原体関連分子構造(PAMP)であることが知られている5’三リン酸部分を有する[25〜28]。あるいは、保存されたインタクトな末端配列を有する10個のssRNA分子の作製に関連する技術的な問題が、T7転写産物で観察されるより低い回収に寄与し得る。 プラスミド由来転写産物に完全に由来するBTVの回収は、遺伝的バックグラウンドが一致するBTV変異体の作製を可能にする。このアプローチは、遅い複製表現型を有すると予測される変異体の回収に有用である。なぜなら、野生型プラークから所望の変異体についてのプラークをスクリーニングする必要がないからである。このような場合、より遅く複製する変異体の回収を妨げる可能性があるより速く複製するウイルスのバックグラウンドがない。このアプローチは、BTVの初代/低世代の単離株を回収するために用いることもでき、これらの株が細胞培養条件に対して徐々に変化することを回避する。1つのプラスミド由来ゲノムセグメントを有するリアソータントの回収は、単一クローンまたはPCR産物の構築を必要とし、いずれのゲノムセグメントにも用い得る。この単一構築物アプローチは、10個のクローン全部のセットを構築する必要なく、個別のウイルス遺伝子を研究するために用いることができる。レオウイルス科の構成員は共通の複製戦略を有するので、再集合およびT7のみの両方の逆遺伝学的アプローチを、逆遺伝学的機構を欠く広範囲のウイルスに適用することができる。両方のアプローチにおいてin vitro合成されたT7転写産物を用いることにより、ウイルスの複製の回収を妨げ得る組換えポックスウイルスでの感染によりT7 RNAポリメラーゼを供給する必要がなくなる。 代替の逆遺伝学的戦略が、レオウイルス科の他の属についてうまく用いられている[2〜4]。最初の逆遺伝学的機構は、哺乳動物オルトレオウイルスについてのヘルパーウイルス系であった[3]。このアプローチは、許容細胞のレオウイルス感染と、ウイルスdsRNA、ウイルスmRNA、T7転写産物およびin vitro翻訳されたウイルスmRNAの形質移入とを組み合わせた。別のヘルパーウイルスアプローチは、ロタウイルスの外殻タンパク質を別の血清型からの対応するタンパク質で置き換えることを可能にした[2]。導入されたゲノムセグメントの発現は、組換えT7ワクシニアウイルス系によりin vivoで駆動され、同等のヘルパーウイルスタンパク質に対する選択圧は、抗体選択の使用により提供された。直近では、哺乳動物オルトレオウイルスが、マイナス鎖ウイルスで最初に用いられたT7駆動機構と同様のプラスミドに基づく機構を用いて回収された[4]。この場合、10ゲノムセグメント全ての発現は、組換えT7ワクシニアウイルス系によりin vivoで駆動された。全ての成功した逆遺伝学的戦略は、いくつかの共通する著しい特徴を有する;1)cDNAクローンに由来するゲノムセグメントが、形質移入された細胞においてメッセージセンス転写産物として提供される。2)用いられるcDNA由来転写産物が、対応するウイルス転写産物と同じ5’末端および3’末端の配列を有する。5’末端は、適切な配列とともにT7プロモーターを用いることにより作製され、3’末端はin vivoでデルタ肝炎リボザイムを用いるか、またはin vitroで制限酵素部位を用いて作製される。レオウイルス科構成員の全てのゲノムセグメントは、それらの最も5’および3’末端に短い保存配列を有し、これらの機能はまだ明らかにされていない。3)真のウイルス転写産物のように、cDNA由来転写産物は、in vitroでキャップアナログにより、またはin vivoでワクシニアT7 RNAポリメラーゼ組換え体に付随する交差キャップ形成活性によりキャップ形成される[13]。感染性ウイルスを回収するために、遺伝子発現は、後代コア粒子の組み立てを可能にするのに充分でなければならず、これらの粒子は転写活性があり、遺伝子発現の増幅を導く。高いレベルの遺伝子発現が、これらの不完全ビリオンの組み立てに必要であり、cDNA由来転写産物の5’末端にキャップ構造が存在しなければ、それらの安定性および翻訳のレベルは大きく低減されるだろう[14]。 ウイルス遺伝子を欠くDISCウイルスを、BTV逆遺伝学的機構と補完性株化細胞との組み合わせを用いて生成した。回収されたウイルスは、BTV DISCウイルスワクチン株についての以下の基準を充足する:1)非補完性哺乳動物細胞におけるウイルスタンパク質の発現(図15);2)非補完性哺乳動物または媒介昆虫株化細胞において生じる検出可能な感染性ウイルスがないこと(図14);および3)対応する補完性株化細胞での安定した複製(図12)。さらに、外来タンパク質またはペプチドを発現する能力が、eGFPタンパク質をNS3オープンリーディングフレームに挿入することにより示され、このことは、感染動物から区別するためにワクチン接種された動物で検出できる免疫学的マーカーを含むワクチン株の生成、DIVA概念(感染動物とワクチン接種動物とを区別する)を可能にする。 T7転写産物またはウイルスssRNAは、レオウイルス科の構成員の複製サイクルにおいて2つの機能を有する;1)翻訳されてウイルスタンパク質を生じる;そして2)新しい2本鎖ゲノムセグメントの合成のための複製中間体として作用する。単一形質移入アプローチを用いて細胞において救済が成功するために、転写産物の一部分は、後代ウイルス粒子の組み立てにおいてパッケージングされかつ複製されるために利用可能なままでなければならない。このことは、ウイルス回収の効率において制限ステップであると考えられる。なぜなら、通常の感染とは異なって、新しい転写産物は感染するコア粒子から継続的に合成されないからである。回収効率を増大させるために、第2の形質移入を行って、形態形成がパッケージング段階に到達したと予測されるときに、パッケージングのためのさらなる転写産物を導入した。ウイルスの回収の予測された増大が、ウイルスssRNAまたはT7転写産物を用いて観察され(図18および19)、これはおよそ10倍であることがわかった。 回収効率をさらに増大させるために、ゲノムセグメントを1回目の形質移入から削除して、形態形成がカプシドの内層の組み立てより先に進むことができないようにした。このアプローチは、パッケージングが起こると予測される段階で組み立てを停止させるために採択した。削除されたセグメントのゲノムセグメントがコードする割り当ては、次のとおりである:セグメント2はVP2(外殻)をコードし、セグメント5はVP5(外殻)をコードし、セグメント7はVP7(カプシドの中間層)をコードし、セグメント10はNS3(ウイルス放出に必要)をコードする。セグメント2、5、7および10を削除することにより、3層のカプシドの中間層および外層が合成されず、放出タンパク質NS3が存在しない。このようにして形態形成を停止させることにより、第2の形質移入において10個の転写産物の完全セットが提供される場合に、ウイルスの回収がさらにおよそ10倍増大することがわかった(図20)。 形質移入プロトコルへのこれらの2つの改良を併せて、単一形質移入を用いる場合のおよそ100倍のウイルス回収の増大をもたらし、このことにより、野生型または変異ウイルスの信頼性のある回収が可能になる。これらの改良により、補完性株化細胞を用いて本来欠陥のあるウイルスの信頼性のある回収が可能になった。 他のウイルスを用いた場合と同様に、逆遺伝学は、いくつかの研究領域におけるBTVの理解に貢献できる。いずれかの機構を用いてBTVゲノムに特定の変異を回収する能力は、BTVおよび関連するオルビウイルスの分子分析のための新規なツールを提供するだけでなく、これらのウイルスに対する特に弱毒化されたワクチンの開発の機会も提供する。現在までのBTVタンパク質機能の研究は、組換えタンパク質発現に主に基づいていた。BTVの遺伝子に特定の変異を導入する能力は、複製するウイルスにおけるウイルスタンパク質の機能の理解をさらに深め、すでに割り当てられた機能の確証を可能にする。オルビウイルスゲノムの複製、パッケージング、および発現を制御するシス作用性RNA配列はマッピングされないままであり、あまり理解されていない。逆遺伝学は、これらの調節配列のマッピングを可能にし、それらがどのように作用するかの研究を補助できる。外殻タンパク質の置き換えを用いて、共通の遺伝的バックグラウンドに基づく異なる血清型に対するワクチン株を作製できる。さらに、BTVおよび関連するオルビウイルスの病原性の決定因子を同定し、多様に弱毒化されたワクチン株を設計できる。(参考文献)1. 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(例示的な実施形態)1. レオウイルス科の一員であるウイルスのワクチン用ウイルス株を製造する方法であって、必須遺伝子の機能が破壊されるようにレオウイルス科のウイルスに変異を導入するステップと、前記ウイルスのゲノムに由来し、前記変異を含むウイルス一本鎖RNA(ssRNA)を細胞に形質移入するステップと、前記ワクチン用ウイルス株の製造を導くために適切な条件下で形質移入された前記細胞を培養するステップとを含み、前記細胞が、前記必須ウイルス遺伝子の機能を補完し、それによりワクチン用ウイルス株の前記細胞内での複製を可能にする方法。2. 細胞に形質移入することが、2以上の形質移入ステップを含み、(1)第1の形質移入ステップが、ウイルスカプシドの内層の組み立てに必要な成分を少なくともコードするssRNAを細胞に形質移入することを含み、(2)第2の形質移入ステップが、ウイルスゲノムの転写産物であり、前記変異を含み、前記ウイルスの組み立てに必要な全ての成分をコードするssRNAを細胞に形質移入することを含む、請求項1に記載の方法。3. 第1と第2の形質移入ステップの間に少なくとも6時間の間隔がある、請求項2に記載の方法。4. 前記ウイルスが、オルビウイルス属の一員である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。5. 前記ウイルスが、ブルータングウイルス、アフリカ馬疫ウイルスまたは流行性出血熱ウイルスである請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。6. 前記ウイルスがブルータングウイルスである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。7. 前記ssRNAの一部分が、前記変異を含むウイルスゲノムのcDNAクローンの転写産物である、前記請求項のいずれかに記載の方法。8. ssRNAが全て、前記変異を含むウイルスゲノムのcDNAクローンの転写産物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。9. 複数の必須遺伝子の機能が破壊される、前記請求項のいずれかに記載の方法。10. 前記必須遺伝子が、ポリメラーゼ、ヘリカーゼ、キャップ形成酵素または非構造タンパク質である、前記請求項のいずれかに記載の方法。11. 前記細胞が、BHK 21細胞、Vero細胞、293T細胞、BSR細胞、HeLa細胞、C6/36細胞またはKC細胞である、前記請求項のいずれかに記載の方法。12. 細胞に形質移入するために用いられるウイルスssRNAが、単離ssRNAである、前記請求項のいずれかに記載の方法。13. ワクチン用ウイルス株を細胞から単離するステップをさらに含む、前記請求項のいずれかに記載の方法。14. レオウイルス科の一員であるウイルスのゲノムに由来する単離ウイルスssRNAであって、必須遺伝子の機能を破壊する変異を含み、細胞の形質移入について請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法での使用に適するssRNA。15. 請求項14に記載のssRNAからのワクチン用ウイルス株の複製を可能にする、レオウイルス科のウイルスの必須遺伝子を発現する細胞。16. 請求項14に記載のssRNAに感染した請求項15に記載の細胞。17. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法により製造されるワクチン用ウイルス株。18. 請求項7に記載のワクチン用ウイルス株を、医薬的に許容される担体、アジュバントまたは媒体とともに含む医薬組成物。19. 請求項4に記載の単離ウイルスssRNAを、医薬的に許容される担体、アジュバントまたは媒体とともに含む医薬組成物。20. 治療で使用するための、請求項17に記載のワクチン用ウイルス株。21. 治療で使用するための、請求項14に記載の単離ウイルスssRNA。22. ウイルスに対して動物にワクチン接種する際に使用するための、請求項17に記載のワクチン用ウイルス株。23. ウイルスに対して動物にワクチン接種する際に使用するための、請求項14に記載の単離ウイルスssRNA。24. 前記ウイルスがAHSVであり、前記動物がウマ、ラバ、ロバまたはシマウマから選択される、請求項22に記載のワクチン用ウイルス株または請求項23に記載の単離ウイルスssRNA。25. 前記ウイルスがEHDVであり、前記動物がシカ、ウシまたはヒツジから選択される、請求項22に記載のワクチン用ウイルス株または請求項23に記載の単離ウイルスssRNA。26. 前記ウイルスがBTVであり、前記動物がウシ、ヒツジ、ヤギ、スイギュウ、シカ、ヒトコブラクダおよびアンテロープから選択される、請求項22に記載のワクチン用ウイルス株または請求項23に記載の単離ウイルスssRNA。27. レオウイルス科の一員であるウイルスに対して動物にワクチン接種する方法であって、有効量の請求項17に記載のワクチン用ウイルス株を前記動物に送達するステップを含む方法。28. レオウイルス科の一員であるウイルスに対して動物にワクチン接種する方法であって、有効量の請求項14に記載の単離ウイルスssRNAを前記動物に送達するステップを含む方法。29. 前記ウイルスがAHSVであり、前記動物がウマ、ラバ、ロバまたはシマウマから選択される、請求項27または請求項28に記載の方法。30. 前記ウイルスがEHDVであり、前記動物がシカ、ウシまたはヒツジから選択される、請求項27または請求項28に記載の方法。31. 前記ウイルスがBTVであり、前記動物がウシ、ヒツジ、ヤギ、スイギュウ、シカ、ヒトコブラクダおよびアンテロープから選択される、請求項27または請求項28に記載の方法。32. 請求項14に記載の単離ssRNAと、前記ssRNA中で変異した必須遺伝子を補完する細胞とを含むキット。33. レオウイルス科の一員であるウイルスの必須遺伝子を同定するためのスクリーニング方法であって、遺伝子の機能が破壊されるようにレオウイルス科のウイルスに変異を導入するステップと、前記ウイルスのゲノムに由来し、前記変異を含むウイルスssRNAを細胞に形質移入するステップと、適切な条件下で形質移入された前記細胞を培養するステップとを含み、形質移入された前記細胞を培養した後に産生されるウイルスが病原性であれば、前記ウイルス遺伝子が必須遺伝子でない方法。34. 本発明は、レオウイルス科の一員であるウイルスの改変ウイルス株を製造する方法であって、レオウイルス科のウイルスに変異を導入するステップと、前記ウイルスのゲノムに由来し、前記変異を含むウイルス一本鎖RNA(ssRNA)を細胞に形質移入するステップと、前記改変ウイルス株の製造を導くために適切な条件下で形質移入された前記細胞を培養するステップとを含み、前記細胞が、前記改変ウイルス株の細胞内での複製を可能にする方法も提供する。35. 細胞に形質移入することが、2以上の形質移入ステップを含み、(1)第1の形質移入ステップが、ウイルスカプシドの内層の組み立てに必要な成分を少なくともコードするssRNAを細胞に形質移入することを含み、(2)第2の形質移入ステップが、ウイルスゲノムの転写産物であり、前記変異を含み、前記ウイルスの組み立てに必要な全ての成分をコードするssRNAを細胞に形質移入することを含む、請求項1に記載の方法。36. 第1と第2の形質移入ステップの間に少なくとも6時間の間隔がある、請求項2に記載の方法。 レオウイルス科の一員であるウイルスのゲノムに由来する単離ウイルスssRNAであって、非構造タンパク質をコードする必須遺伝子の機能を破壊する変異を含む、細胞に形質移入するための単離ウイルスssRNA。 前記ウイルスがブルータングウイルスである、請求項1に記載の単離ウイルスssRNA。 前記必須遺伝子がVP6タンパク質をコードする、請求項1に記載の単離ウイルスssRNA。 前記変異が、VP6をコードするブルータングウイルス遺伝子のヌクレオチド301〜743の欠失を含む、請求項3に記載の単離ウイルスssRNA。 請求項1から4のいずれか一項に記載のssRNAからのワクチン用ウイルス株の複製を可能にする、レオウイルス科のウイルスの必須遺伝子を発現する細胞。 請求項1から4のいずれか一項に記載のssRNAに感染した、請求項5に記載の細胞。 請求項1から4のいずれか一項に記載の単離ウイルスssRNAを含むワクチン用ウイルス株。 請求項7に記載のワクチン用ウイルス株を、薬学的に許容される担体、アジュバントまたは媒体とともに含む医薬組成物。 請求項1から4のいずれか一項に記載の単離ウイルスssRNAを、薬学的に許容される担体、アジュバントまたは媒体とともに含む医薬組成物。 治療で使用するための、請求項7に記載のワクチン用ウイルス株。 治療で使用するための、請求項1から4のいずれか一項に記載の単離ウイルスssRNA。 ウイルスに対して動物にワクチン接種する際に使用するための、請求項7に記載のワクチン用ウイルス株。 ウイルスに対して動物にワクチン接種する際に使用するための、請求項1から4のいずれか一項に記載の単離ウイルスssRNA。 前記ウイルスがAHSVであり、前記動物がウマ、ラバ、ロバまたはシマウマから選択される、請求項12に記載のワクチン用ウイルス株または請求項13に記載の単離ウイルスssRNA。 前記ウイルスがEHDVであり、前記動物がシカ、ウシまたはヒツジから選択される、請求項12に記載のワクチン用ウイルス株または請求項13に記載の単離ウイルスssRNA。 前記ウイルスがBTVであり、前記動物がウシ、ヒツジ、ヤギ、スイギュウ、シカ、ヒトコブラクダおよびアンテロープから選択される、請求項12に記載のワクチン用ウイルス株または請求項13または15に記載の単離ウイルスssRNA。 レオウイルス科の一員であるウイルスに対して動物にワクチン接種する方法であって、有効量の請求項7に記載のワクチン用ウイルス株をヒト以外の動物に送達するステップを含む方法。 レオウイルス科の一員であるウイルスに対して動物にワクチン接種する方法であって、有効量の請求項1から4のいずれか一項に記載の単離ウイルスssRNAをヒト以外の動物に送達するステップを含む方法。 前記ウイルスがAHSVであり、前記動物がウマ、ラバ、ロバまたはシマウマから選択される、請求項17または18に記載の方法。 前記ウイルスがEHDVであり、前記動物がシカ、ウシまたはヒツジから選択される、請求項17または18に記載の方法。 前記ウイルスがBTVであり、前記動物がウシ、ヒツジ、ヤギ、スイギュウ、シカ、ヒトコブラクダおよびアンテロープから選択される、請求項17または18に記載の方法。 請求項1から4のいずれか一項に記載の単離ssRNAと、前記ssRNA中で変異した必須遺伝子を補完する細胞とを含むキット。 【課題】レオウイルス(Reoviridae)科の一員であるウイルスの改変ウイルス株を製造する方法の提供。【解決手段】レオウイルス科の一員であるウイルスのゲノムに由来する単離ウイルスssRNAであって、非構造タンパク質をコードする必須遺伝子の機能を破壊する変異を含む、細胞に形質移入するための単離ウイルスssRNA。前記ssRNAからのワクチン用ウイルス株の複製を可能にする、レオウイルス科のウイルスの必須遺伝子を発現する細胞。前記単離ウイルスssRNAを含むワクチン用ウイルス株。前記ワクチン用ウイルス株を、薬学的に許容される担体、アジュバントまたは媒体とともに含む医薬組成物。【選択図】なし配列表


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