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タイトル:公開特許公報(A)_皮膚病の治療におけるセリンプロテアーゼ阻害剤の使用
出願番号:2014130313
年次:2014
IPC分類:A61K 45/00,A61P 17/06,A61P 17/00,A61Q 19/00,A61K 8/64,A61P 43/00,A61K 38/55,C12Q 1/02,C12Q 1/37,G01N 33/58,C12N 15/09


特許情報キャッシュ

ダビ ドゥペルテス クリストフ クンディグ アラン オブナニアン セリーヌ ドゥレゾン JP 2014240389 公開特許公報(A) 20141225 2014130313 20140625 皮膚病の治療におけるセリンプロテアーゼ阻害剤の使用 ドゥルマディス エスアー 510198273 DERMADIS SA アンスティトゥー ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ レシェルシュ メディカル(イエヌエスエエールエム) 509000747 大渕 美千栄 100090398 布施 行夫 100090387 ダビ ドゥペルテス クリストフ クンディグ アラン オブナニアン セリーヌ ドゥレゾン US 61/022,386 20080121 US 61/006,576 20080122 A61K 45/00 20060101AFI20141128BHJP A61P 17/06 20060101ALI20141128BHJP A61P 17/00 20060101ALI20141128BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20141128BHJP A61K 8/64 20060101ALI20141128BHJP A61P 43/00 20060101ALI20141128BHJP A61K 38/55 20060101ALI20141128BHJP C12Q 1/02 20060101ALI20141128BHJP C12Q 1/37 20060101ALI20141128BHJP G01N 33/58 20060101ALI20141128BHJP C12N 15/09 20060101ALN20141128BHJP JPA61K45/00A61P17/06A61P17/00A61Q19/00A61K8/64A61P43/00 111A61K37/64C12Q1/02C12Q1/37G01N33/58 ZC12N15/00 A 22 30 2010542703 20090121 OL 87 2G045 4B024 4B063 4C083 4C084 2G045AA25 2G045CB01 2G045CB09 4B024AA01 4B024AA11 4B024BA80 4B024CA06 4B024DA06 4B024EA03 4B024GA11 4B024HA11 4B063QA19 4B063QQ02 4B063QQ08 4B063QQ36 4B063QQ79 4B063QR16 4B063QR48 4B063QR72 4B063QR77 4B063QS02 4B063QX01 4C083AD411 4C083CC02 4C083EE12 4C083EE13 4C084AA02 4C084AA17 4C084DC32 4C084DC36 4C084DC41 4C084DC42 4C084DC44 4C084MA63 4C084NA14 4C084ZA892 4C084ZC202 本発明は、セリンプロテアーゼ阻害剤として作用する治療化合物、その医薬組成物並びにヒト又は動物の体の治療におけるそれらの使用に関する。より詳細には、本発明は、投与を必要とする被投与者に治療有効量のセリンプロテアーゼ阻害剤を投与することを含む、皮膚病の治療、診断又は予後のための方法に関する。 プロテアーゼ(タンパク分解酵素)は、細菌やウイルス並びに哺乳動物を含む有機体に必須である。プロテアーゼは、ペプチド結合を加水分解することによってタンパク質を消化・分解する。セリンプロテアーゼ(EC3.4.21)は、活性部位、主として活性セリン残基に共通な特徴を有する。触媒残基His、Asp、Serの同一の空間配列を有するが、タンパク質骨格が全く異なる、キモトリプシン/トリプシン/エラスターゼ様セリンプロテアーゼ及びスブチリシン様セリンプロテアーゼという2種類の主要なセリンプロテアーゼが知られている。ただし,20種類を超えるセリンプロテアーゼファミリー(S1〜S27)が同定されており、それらは構造類似性及びその他の機能的証拠(SA、SB、SC、SE、SF、SG)に基づいて6つの族(clan)に分類される。キモトリプシン/トリプシン/エラスターゼ様セリンプロテアーゼファミリーは2種類に細分される。大型の種類(約230残基)は、通常はトリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、カリクレイン、トロンビン等の哺乳動物酵素を含む。小型の種類(約190残基)は細菌酵素を含む。 触媒残基His、Asp、Serは、基質のC末側において基質アミノ酸側鎖残基結合ポケット(S1’、S2’、S3’等)に隣接し、基質のC末側においてS1、S2、S3等に隣接する。この命名法は、Structure and Mechanism in Protein Science:A Guide to Enzyme Catalysis and Protein Folding,Alan Fersht,1999(W.H.Freeman and Company),40−43頁及びBrik et al,Org.Biomol.Chem.,2003,1,5−14頁に記載されている。キモトリプシン/トリプシン/エラスターゼ様セリンプロテアーゼは、S1ポケットに存在する残基によってさらに細分することができる(Introduction to Protein Structure,Carl Branden and John Tooze,1991(Garland Publishing Inc)231−241頁)。すなわち、トリプシン様プロテアーゼ(SlポケットにおけるGly−226、Ser−189、Gly−216)、トリプシン様プロテアーゼ(SlポケットにおけるGly−226、Asp−189、Gly−216)及びエラスターゼ様プロテアーゼ(S1ポケットにおけるVal−226及びThr−216)に細分される(残基の付番は標準キモトリプシン付番に対応)。トリプシン様セリンプロテアーゼは、Lys又はArgをS1ポケットに有する基質を選択する。 セリンプロテアーゼは、キモトリプシン付番法において195位置に存在する反応性Ser残基を特徴とする共通の触媒メカニズムを有する。セリンプロテアーゼの例としては、トリプシン、トリプターゼ、キモトリプシン、エラスターゼ、トロンビン、プラスミン、カリクレイン、補体(complement)Cl、先体プロテアーゼ(acrosomal protease)、リソゾームプロテアーゼ、コクナーゼ、α−溶菌プロテアーゼ、プロテアーゼA、プロテアーゼB、セリンカルボキシペプチダーゼπ、スブチリシン、ウロキナーゼ(uPA)、Vila因子、IXa因子、Xa因子が挙げられる。セリンプロテアーゼは長年にわたって広範囲に研究されており、様々な生理学的過程の調整に関与するために薬物標的として盛んに研究が行われている。 セリンプロテアーゼが関与する過程としては、凝固、フィブリン溶解、受精、発育、悪性腫瘍、神経筋パターニング(neuromuscular patterning)、炎症が挙げられる。セリンプロテアーゼは、循環プロテアーゼ及び組織内で活性化又は放出されるプロテアーゼを阻害することが知られている。また、セリンプロテアーゼ阻害剤は、粘着、マイグレーション、遊離基生成及びアポプトーシス等の重要な細胞過程を阻害することも知られている。さらに、動物実験によって、静脈内投与したセリンプロテアーゼ阻害剤、変異体又はセリンプロテアーゼ阻害剤を発現する細胞は組織損傷を防止することが示されている。 セリンプロテアーゼカリクレイン(KLK)は、皮膚の通常の生理機能において重要な役割を果たす。KLK5及びKLK7は角質層から分離・クローニングされ(Hansson et al.,1994;Brattsand and Egelrud,1999)、角質デスモソーム(CDSN)、デスモグレイン1(DSG1)及びデスモコリン1(DSC1)の細胞外接着タンパク質のプロセッシングによる皮膚剥離に関与することが分かっている(Hansson et al.,1994;Brattsand and Egelrud,1999)。KLK5は3つの構成要素の全てを開裂させるが、KLK7はCDSN及びDSC1しか消化できない(Caubet et al.,2004)。IHCの研究も剥離におけるKLK7の役割を裏付けている(Sondell et al.,1995)。生体外研究では、KLK5及びKLK14を含むタンパク質分解カスケードによるKLK7の潜在的活性化メカニズムが示されている(Brattsand et al.,2005)。また、異なる濃度のKLK1、6、8、10、11、13がSCにおいて報告され(Komatsu et al.,2005;Borgono et al.,2006)、KLK1、5、6、14はDSG1プロセッシングによって皮膚剥離に関与すると考えられている(Borgono et al.,2006)。KLK14はSC層のトリプシン様タンパク分解活性の約半分に貢献するため、皮膚リモデリングに大きな役割を果たすと考えられている(Stefansson et al.,2006)。KLK8は、皮膚剥離においてDSG1及びCDSNと重複する機能を有することが示唆されている(Kishibe et al.,2006)。カテリシジンペプチドの調節によるKLKの皮膚抗菌作用も生体外及び生体内において明らかになっている(Yamasaki et al.,2006)。 慢性皮膚炎、皮膚剥離症候群、乾癬、アトピー性皮膚炎、ネザートン症候群等の多くの皮膚病において、遺伝子過剰発現又は活性の調節不全によるKLKのタンパク分解活性の不均衡が報告されている(Komatsu et al.,2005b(非特許文献1);Descargues et al.,2005;Hachem et al.,2006;Komatsu et al.,2006;Hansson et al.,2002;Ekholm and Egelrud,1999)。慢性皮膚炎、皮膚剥離症候群、乾癬、アトピー性皮膚炎、ネザートン症候群等の多くの皮膚病において、遺伝子過剰発現又は活性の調節不全によるKLKのタンパク分解活性の不均衡が報告されている(Komatsu et al.,2005b;Descargues et al.,2005;Hachem et al.,2006;Komatsu et al.,2006;Hansson et al.,2002;Ekholm and Egelrud,1999)。ネザートン症候群又は常染色体劣性皮膚病に罹患した患者は、LEKTIをコードするSPINK5遺伝子のフレームシフト及びナンセンス突然変異を示し(Chavanas et al.,2000;Komatsu et al.,2002;Chavanas et al.,2000;Sprecher et al.,2001)、LEKTIはKLK5、6、7、13、14に対する活性を有するセリンプロテアーゼ阻害剤として作用する(Borgono et al.,2006;Egelrud et al.,2005;Deraison et al.,2007)。そのような遺伝的欠損により、阻害ドメインのロスが生じる(Chavanas et al.,2000;Sprecher et al.,2001)。 また、プロテアーゼ活性化受容体(PAR)の活性化を介した剥離型皮膚炎におけるカリクレインの関与も興味深い。PAR1〜4は、カリクレインを含む様々なプロテアーゼによって活性化されるGタンパク質結合レセプターである。PAR2は特に興味深い。すなわち、PAR2はトリプシン開裂によって活性化され、皮膚組織において組織カリクレインと共存するためである。アトピー性皮膚炎及びネザートン症候群の患者の皮膚病変では、PAR2受容体は過剰表現され、ヒト組織カリクレインと共存することが分かっている(Descargues et al.,2006)。これにより、KLK−PAR経路が疾患の病因論に関与し、KLKがPAR2活性化によって皮膚病の炎症を引き起こすという仮説が得られる。 Oikonomopoulouら(2006)の生体内外における研究は、PAR活性はKLK5、6及び14の標的となることを示している。KLK5及びKLK6はPAR2を活性化するが、KLK14はPAR1を不活化し、PAR2及びPAR4を活性化することが報告されている。また、異なる細胞におけるKLK1、2、4、5、6、14によるPAR1又はPAR2の活性化が報告されている(Mize et al.,2008;Stefansson et al.,2008;Vandell et al.,2008)。 PAR2受容体は皮膚炎、細胞増殖、癌抑制、皮膚色素沈着、皮膚水分に関与することが示されており、皮膚科及び化粧品分野において研究が行われている。PAR2受容体であるカリクレインの活性剤は、上述した皮膚過程の研究者から益々注目を浴びている。皮膚色素沈着、UV曝露及び皮膚水分に関する化粧品の成分として、天然の非変性大豆由来トリプシン阻害剤が使用されている。大豆種子及び豆乳は、ダイズトリプシン阻害剤(STI)及びBowman−Birk阻害剤(BBI)をそれぞれ含む(Paine et al.,2001)。所期の効果は、PAR2活性化を阻害するトリプシン阻害によって得られる。KLK5及びKLK7は、UVB照射下においてLEKTI発現の減少に付随して過剰表現することが分かっており、これらの皮膚カリクレインがUVBストレス下において角質層剥離に作用することを示唆している(Nin M et al.,2008)。 STIの局所投与によってUVBに暴露されたマウスの癌の進行が停止しており、STIはUV光誘発皮膚癌を減少させることを示唆している(Huang et al.,2004)。カリクレイン阻害によって、天然大豆抽出物を含む製品がPAR2の活性化をブロックすることが示唆されている。STIは、トリプシン様KLK5及びKLK14を高い効率で阻害することが証明されている(Paine et al.,2001)。乾燥皮膚の上部SCにおいてKLK5及びKLK7の発現が減少し、UV放射後にKLK活性が上昇することが報告されている(Voegeli et al.,2007)。 セリンプロテアーゼ阻害剤は、腫瘍、神経、血液、肺、免疫、炎症、感染等の様々な疾患の分野における疾患の治療に有益に使用することができると予測されている。また、セリンプロテアーゼ阻害剤は、血栓症、喘息、肺気腫、肝臓硬変症、炎症性関節腫脹、癌、黒色腫、再狭窄、粉瘤、外傷、ショック、再潅流損傷の治療においても有用である可能性がある。Expert Opin.Ther.Patents(2002),12(8)に有益な報告が記載されている。セリンプロテアーゼ阻害剤は、米国特許出願第2003/0100089号(特許文献1)、米国特許出願第2004/0180371号、米国特許第6,784,182号、米国特許第6,656,911号、米国特許第6,656,910号、米国特許第6,608,175号、米国特許第6,534,495号、米国特許第6,472,393号に開示されている。 接触過敏、アトピー性皮膚炎、希な遺伝子皮膚病(例えば、ネザートン症候群)、乾癬等の皮膚病は、超増殖性及び炎症性皮膚反応を特徴とする。これらの疾患には多くの人々が罹患している。例えば、米国では、約800万人の成人と子供が皮膚の遺伝慢性病であるアトピー性皮膚炎に罹患している。遺伝子、環境、免疫要因等の複数の因子の組み合わせによって皮膚病が発生すると考えられている。ほとんどの皮膚病は致命的ではないが、患者のクオリティオブライフを大きく損なう。 皮膚病を治療するために通常使用されているステロイド含有軟膏又は抗ヒスタミン剤を使用した場合には、かなりの副作用が生じる。例えば、外用又は経口によるステロイドの長期投与によって皮膚層は薄くなり、骨粗鬆症が発生し、子供の成長が阻害される。また、ステロイドの服用を停止すると、病変が再発する場合が多い。 従って、皮膚病の治療、予防又は診断のための改良された非ステロイド物質を開発することが求められている。本発明は、投与を必要とする被投与者に治療有効量のセリンプロテアーゼ阻害剤を投与することを含む、皮膚病の治療、診断又は予後のための改良された方法を提供する。 上記及びその他の目的は上述した記載から明らかであろう。米国特許出願公開第2003/0100089号明細書Komatsu et al. J.Invest Dermatol. 125, 1182-1189. (2005) 本発明は、組換え型セリンプロテアーゼ阻害剤を含む医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む、皮膚病を予防又は治療する方法に関する。 また、皮膚病を治療するための薬剤の調製におけるセリンプロテアーゼ阻害剤の使用を開示する。 本発明の別の目的は、組換え型セリンプロテアーゼ阻害剤の医薬組成物を含む、皮膚病を治療するためのキットを提供することにある。 その他の目的及び利点は、図面及び添付の特許請求の範囲を参照して説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるだろう。hK2プロテアーゼ阻害剤MD820のDNA及びタンパク質配列を示す。hK2プロテアーゼ阻害剤MD62のDNA及びタンパク質配列を示す。hK2プロテアーゼ阻害剤MD83のDNA及びタンパク質配列を示す。hK2プロテアーゼ阻害剤MD67のDNA及びタンパク質配列を示す。hK2プロテアーゼ阻害剤MD61のDNA及びタンパク質配列を示す。hK2プロテアーゼ阻害剤MD518のDNA及びタンパク質配列を示す。hK2プロテアーゼ阻害剤MDCIのDNA及びタンパク質配列を示す。野生型ACTのDNA及びタンパク質配列を示す。hK14プロテアーゼ阻害剤ACT−G1のDNA及びタンパク質配列を示す。hK14プロテアーゼ阻害剤ACT−G1GのDNA及びタンパク質配列を示す。hK14プロテアーゼ阻害剤ACT−C11のDNA及びタンパク質配列を示す。hK14プロテアーゼ阻害剤ACT−C11GのDNA及びタンパク質配列を示す。hK14プロテアーゼ阻害剤ACT−E5のDNA及びタンパク質配列を示す。hK14プロテアーゼ阻害剤ACT−E8のDNA及びタンパク質配列を示す。hK14プロテアーゼ阻害剤ACT−F11のDNA及びタンパク質配列を示す。hK14プロテアーゼ阻害剤ACT−F3のDNA及びタンパク質配列を示す。hK14プロテアーゼ阻害剤ACT−G9のDNA及びタンパク質配列を示す。野生型AATのDNA及びタンパク質配列を示す。hK14プロテアーゼ阻害剤AAT−G1のDNA及びタンパク質配列を示す。hK14プロテアーゼ阻害剤AAT−G1GのDNA及びタンパク質配列を示す。hK14プロテアーゼ阻害剤AAT−C11のDNA及びタンパク質配列を示す。hK14プロテアーゼ阻害剤AAT−C11GのDNA及びタンパク質配列を示す。hK14プロテアーゼ阻害剤AAT−E5のDNA及びタンパク質配列を示す。hK14プロテアーゼ阻害剤AAT−E8のDNA及びタンパク質配列を示す。hK14プロテアーゼ阻害剤AAT−F11のDNA及びタンパク質配列を示す。hK14プロテアーゼ阻害剤AAT−F3のDNA及びタンパク質配列を示す。hK14プロテアーゼ阻害剤AAT−G9のDNA及びタンパク質配列を示す。hK14プロテアーゼ阻害剤AAT−G1VのDNA及びタンパク質配列を示す。hK14プロテアーゼ阻害剤AAT−C11DのDNA及びタンパク質配列を示す。遺伝子変異hKLK5マウスネザートンモデルにおける皮膚病変の採点システムを示す。ネザートン症候群マウスモデルにおける皮膚病変サイズを示す。病変サイズ及び病変重症度は、2%ナトロソル(第1群、対照)又は2%ナトロソルに添加したMDPK67b(第2群)の局所投与の1、15及び28日後に監視した。 本発明は、皮膚病を治療するための薬剤の調製におけるセリンプロテアーゼ阻害剤の使用に関する。セリンプロテアーゼ阻害剤の生物学的に活性なフラグメントも前記薬剤の調製に有用である。 キモトリプシンスーパーファミリー(t−PA、プラスミン、u−PA等)のセリンプロテアーゼ及び血液凝固カスケードのプロテアーゼのいくつかは、セリンプロテアーゼ触媒ドメインに加え、それらの活性の調節に部分的に関与する他の構造ドメインを含む巨大分子である(Barrett,1986;Gerard et al,1986;Blasi et al.,1986)。重要なセリンプロテアーゼは、トリプシン、トリプターゼ、トロンビン、カリクレイン、Xa因子等のトリプシン様酵素である。セリンプロテアーゼターゲットは、血液凝固、補体媒介溶菌、免疫反応、腎炎、疼痛、炎症、膵臓炎、癌、受胎抑制、細菌感染、ウイルス成熟等に関連付けられる。特定のターゲットに対して高い特異性を有するセリンプロテアーゼを阻害することにより、宿主に対して大きな影響を与え得る生体内の多くの生物学的過程を阻害することができる。 セリンプロテアーゼ阻害剤(セルピン)は、ウイルス、植物及びヒトを含む様々な有機体に由来する100を超えるタンパク質からなるスーパーファミリーを構成する様々なタンパク質グループを含む。セルピンは5億年以上前に発生し、阻害機能を有するタンパク質及び非阻害機能を有するタンパク質に系統発生学的に分かれた(Hunt and Dayhoff,1980)。オボアルブミン等の非阻害性セルピンは、プロテアーゼ阻害活性を有していない(Remold−O’Donnell,1993)。セルピンファミリーの主要な機能は、過剰発現したセリンプロテイナーゼ活性を無効化することであると思われる(Potempa et al.,1994)。セルピンは、細胞外マトリックスのリモデリング、炎症反応の調節及び細胞移動に関与する(Potempa et al.,1994)。 セリンプロテアーゼ阻害剤は、ウシ膵臓トリプシン阻害剤(クニッツ)ファミリー(基本プロテアーゼ阻害剤)(Ketcham et al.,1978);Kazalファミリー;ストレプトミセススブチリシン阻害剤ファミリー;セルピンファミリー;ダイズトリプシン阻害剤(クニッツ)ファミリー;ジャガイモ阻害剤ファミリー;Bowman−Birkファミリーに分類される(Laskowski et al.,1980;Read et al.,1986;Laskowski et al.,1987)。セルピンファミリーに属するセリンプロテアーゼ阻害剤には、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤PAI−1、PAI−2、PAI−3、Clエステラーゼ阻害剤、α−2−抗プラスミン、コントラプシン、α1−アンチトリプシン、アンチトロンビンIII、プロテアーゼネキシンI、α1−アンチキモトリプシン、プロテインC阻害剤、ヘパリンコファクターII及び成長ホルモン調節タンパク質が含まれる(Carrelletal.,1987;Sommeretal.,1987;Suzuki et al.,1987;Stump et al.,1986)。 セリンプロテアーゼ阻害剤の多くは広い特異性を有し、血液凝固セリンプロテアーゼ等のプロテアーゼのキモトリプシンスーパーファミリー及びセリンプロテアーゼのストレプトミセススブチリシンスーパーファミリーを阻害することができる(Laskowski et al.,1980)。セルピンによるセリンプロテアーゼの阻害は、Travis et al.(1983)、 Carrell et al.(1985)、Sprengers et al.(1987)に報告されている。BPTI、Kazal、SSI、ダイズトリプシン、ジャガイモ阻害剤ファミリーの完全な阻害剤及びセルピンα1−アンチトリプシンの切断型の結晶学的データが得られている(Read et al.,1986)。これらのセリンプロテアーゼ阻害剤は様々なサイズと配列を有するタンパク質だが、これまでに研究された完全な阻害剤は、同族のセリンプロテアーゼの活性部位の認識配列を含む分子の表面から延びる特有のループ(反応性部位ループと呼ばれる)を有する点で共通している(Levin et al.,1983)。異なるセリンプロテアーゼ阻害剤におけるループの構造類似性は顕著である(Papamokos et al.,1982)。各阻害剤の特異性は、セリンプロテアーゼによる阻害剤の潜在的開裂部位に近いアミノ末端であるアミノ酸の相同性によって主として決定されると考えられる。このアミノ酸(Pi部位残基)は、セリンプロテアーゼの活性部位におけるセリンとアシル結合を形成すると考えられている(Laskowski et al.,1980)。セルピンが阻害機能を有するか否かは、コドン領域のカルボキシ末端近傍の反応性部位ループのヒンジ領域に位置するコンセンサス配列に強く依存する。反応性部位ループの外では、異なるファミリーに属するセリンプロテアーゼ阻害剤は構造的な関連性を有していない。ただし、Kazalファミリー及びStreptomycesスブチリシンファミリーの阻害剤は多少の構造及び配列類似性を示す。 本発明の理解を容易にするために、以下に用語の定義を示す。 「1」又は「複数」と明記していない場合には、「少なくとも1」又は「1以上」を意味する。 「含む(comprise)」という用語は、通常は内包する(include)と同義で使用し、1又は複数の特性(特徴)又は成分(要素)が存在することを意味する。 本願明細書において使用する「タンパク質」、「ポリペプチド」、「ポリペプチド(polypeptidic)」、「ペプチド」、「ペプチド(peptidic)」、「ペプチド鎖」という用語は、一方のアミノ酸残基のα−アミノ基と隣接するアミノ酸残基のカルボキシル基との間のペプチド結合によって結合した連続するアミノ酸残基を意味する。 好ましくは、セリンプロテアーゼ阻害剤は組換え型セリンプロテアーゼ阻害剤であり、SEQ ID No.2、4、6、8、10、12、14及びセリンプロテアーゼ阻害剤活性を有するそれらの生物学的に活性なフラグメントからなる群から選択される。 好ましくは、セリンプロテアーゼ阻害剤は、SEQ ID No.39〜59及びセリンプロテアーゼ阻害剤活性を有するそれらの生物学的に活性なフラグメントからなる群から選択される。 「アミノ酸残基」という用語は、当業者に公知の任意のアミノ酸残基を意味する。「アミノ酸残基」という用語は、天然アミノ酸(Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、Val等)並びに稀アミノ酸及び/又は合成アミノ酸及びそれらの誘導体(Aad、Abu、Acp、Ahe、Aib、Apm、Dbu、Des、Dpm、Hyl、McLys、McVal、Nva等)を含む。 アミノ酸残基又はその誘導体は、異性体(特にキラル異性体、例えばL又はD−アイソフォーム)であってもよい。 「アミノ酸誘導体」という用語は、当業者に公知の任意のアミノ酸誘導体を意味する。例えば、「アミノ酸誘導体」という用語は、付加された側鎖(アルキル側鎖等)及び/又はヘテロ原子置換を有する天然アミノ酸から誘導される残基を含む。 「生物学的に活性なフラグメント」という用語は、基質の活性部位の各配列とアミノ酸の長さの少なくとも40%を共有する配列を意味する。これらの配列は、当該配列が由来する配列と同一の特性を有する限り使用することができる。好ましくは、これらの配列は、基質の活性部位の各配列とアミノ酸の長さの70%超、より好ましくは80%超、特に好ましくは90%超を共有する。 また、本発明は、セリンプロテアーゼ阻害剤配列の異形(variant)を含む。「異形」という用語は、本来の配列のポリペプチドと多少異なるアミノ酸配列(本来の配列と保存的アミノ酸置換において異なるアミノ酸配列)を有するポリペプチドを意味し、1以上のアミノ酸が同一の特性及び配座的役割を有する別のアミノ酸によって置換されている。アミノ酸配列の異形は、本来のアミノ酸配列内の所定の位置に置換、欠失及び/又は挿入を有する。保存的アミノ酸置換とは、以下の5つのグループの1つにおける置換と定義される。I.非極性又はわずかに極性を有する低分子量の脂肪族残渣:Ala、Ser、Thr、Pro、GlyII.極性を有する正に荷電した残基:His、Arg、LysIII.極性を有する負に荷電した残基及びそれらのアミド:Asp、Asn、Glu、GlnIV.高分子量の芳香族残基:Phe、Tyr、TrpV.高分子量で非極性の脂肪族残基:Met、Leu、Ile、Val、Cys 本発明において使用する「投与」という用語は、医薬組成物、治療組成物、診断用薬剤又は組成物の被投与者、好ましくはヒトへの接触を意味する。 「カリクレイン」という用語は、腺性又は組織カリクレインに関連する。腺性又は組織カリクレインは、高い基質特異性並びに様々な組織と体液中における発現性を有するセリンプロテアーゼのサブファミリーである。「カリクレイン」という用語は、大量のプロテアーゼ酵素が膵分離株において発見された1930年代に初めて文献において使用された(ギリシア語で膵は「kallikreas」である)(Kraut et al.,1930,Werle,1934)。現代では、カリクレイン酵素は、分子量、基質特異性、免疫学的特徴、遺伝子構造及び放出されるキニンの種類が著しく異なる血漿カリクレイン及び組織カリクレインに分類されている。 カリクレインは、15種類の相同性を有する単鎖分泌セリンエンドペプチダーゼ(〜25〜30kDa)のファミリーを含み、少なくとも6つの哺乳類目の種に相同分子種が存在する。これらのカリクレインは、hK2、hK3、hK2、hK5、hK6、hK7、hK8、hK9、hK10、hK11、hK12、hK13、hK14、hK15である。好ましくは、阻害対象のカリクレインはhK2、hK5、hK7、hK14からなる群から選択される。 本願明細書において使用する「疾患」という用語は、感染、遺伝的欠損又は環境ストレス等の様々な原因によって生じる有機体の一部、臓器又は全身の病的状態を意味し、識別可能な一群の徴候又は症状によって特徴付けられる。 表皮は、カリクレイン、ウロキナーゼ、プラスミン、トリプターゼ様好中球エラスターゼ酵素等の、いくつかのセリンプロテアーゼを発現することが分かっている。これらのセリンプロテアーゼは、表皮性細胞増殖、細胞分化、皮膚及び脂質バリアホメオスタシス、組織リモデリング等の、皮膚における多くの活性に関与する。最も重要なことに、セリンプロテアーゼ及び他の酵素による角質層(SC)デスモソームのタンパク質分解は、剥離と呼ばれる皮膚最外層の脱落前に生じる重要な事象である。また、カリクレイン、プラスミン、ウロキナーゼ酵素を含むプロテアーゼ活性の上昇は、皮膚の炎症反応に関係がある。炎症性皮膚疾患のリストを表20に示す。 また、プロテアーゼ活性の上昇は、紫外線暴露及び温度変化等の環境要因を含む様々な刺激に対するストレス反応又は様々な界面活性剤に対する反応としても観察されている。 数種類のカリクレイン(特にhK5、hK7、hK14)は、皮膚の剥離におけるタンパク質分解カスケードに関係があることが分かっている。このタンパク質分解過程は複雑な阻害及び活性化過程を介して制御され、調節不全によって重篤な皮膚障害を引き起こし得る。希な遺伝病(ネザートン症候群及び皮膚剥離症候群)及びアトピー性皮膚炎又は乾癬等の一般的な皮膚病は、少なくとも部分的にカリクレイン活性の上昇によって引き起こされる皮膚の剥離の増加によって特徴付けられる。 また、本発明は、望ましくない皮膚状態の治療又は改善のための化粧料又は薬用化粧料の調製におけるセリンプロテアーゼの使用に関する。セリンプロテアーゼ阻害剤の生物学的に活性なフラグメントも前記化粧料又は薬用化粧料の調製に有用である。 本発明における「望ましくない皮膚状態」とは、必ずしも疾患であるとはみなされない皮膚又は皮膚の外観に影響を与える問題を意味する。 本願明細書において使用する「化粧料(化粧組成物)」という用語は、ヒトの皮膚の外観を向上又は保護するために使用される組成物を意味する。化粧料の例としては、スキンケアクリーム、ローション、パウダー、香水、口紅、手足用マニキュア液、眼及び顔用化粧品、パーマ液、ヘアカラー、ヘアスプレー及びジェル、デオドラント、ベビー製品、バスオイル、気泡剤、バスソルト、バター及びその他の多くの製品が挙げられる。 「薬用化粧料(薬用化粧組成物)」とは、薬剤のような効能を有すると思われる化粧品である。薬用化粧料に通常分類される製品の例としては、アンチエイジングクリーム及び保湿剤が挙げられる。薬用化粧料は、ビタミン、植物化学物質、酵素、酸化防止剤、精油等の活性成分を含むことができる。 本願明細書において使用する「皮膚病」という用語は、皮膚に影響を与える症状に関連する。通常、皮膚病は表20から選択される。好ましくは、本発明は、アトピー性皮膚炎、(アレルギー性)接触皮膚炎、(刺激性)接触皮膚炎、湿疹、乾癬、にきび、表皮角化症、アカントーシス、表皮炎症、皮膚炎症又はそう痒、酒さ、ネザートン症候群、A型及びB型皮膚剥離症候群、汗腺膿瘍及び紅皮症(全身性剥脱性皮膚炎)等の皮膚病の治療に適している。最も好ましくは、皮膚病は、ネザートン症候群、アトピー性皮膚炎、乾癬、皮膚剥離症候群からなる群から選択される。 ネザートン症候群(NS)は、SPINK5(LEKTI)(皮膚カリクレインカスケードの主要な阻害剤の1つ)の突然変異によって引き起こされる希な常染色体劣性遺伝性皮膚病である。 カリクレイン活性の上昇がネザートン症候群の臨床的症状の原因となることが判明している。 多系統魚鱗癬様症候群であるネザートン症候群は、魚鱗癬、紅皮症、毛幹欠陥及びアトピー性症状を特徴とする。皮膚の障壁機能の重篤な障害による多重感染が非常に一般的にみられる。 ネザートン症候群は非常に希だが、おそらくはネザートン症候群を特定することが困難であるために、頻度に関するデータはほとんどない。現在、100万人に10人未満の患者がネザートン症候群と診断されている。 治療の選択肢は非常に限られ、非治癒的である。治療では、各種皮膚感染の管理と痒感及び疼痛の減少(例えば、コルチコステロイド)に主に重点が置かれている。 過度のカリクレイン活性(hK5、hK7、hK14)は、皮膚病の症状を引き起こすことが証明されている。カリクレイン阻害剤(LEKTI)の活性低下は、代替のカリクレイン阻害剤によって元に戻すことができる。 予期せぬことに、本願発明者らは、例えば実施例4において、MD67(SEQ ID No. 8)マウスモデル(同所性hK5過剰発現)等のセリンプロテアーゼ阻害剤によって、症状の重症度が大きく減少することを見出した(未治療の皮膚病(例えば、NS)モデルにおいて観察)。症状は、角質デスモソーム及び角質層剥離をもたらす早期のデスモソームタンパク質分解による重症の皮膚剥離を特徴とする。これにより、皮膚障壁機能が大きく損なわれ、重症の脱水(dehydratation)、紅斑及び激しい引っ掻き傷が生じる。 アトピー性皮膚炎(AD)は、原因が明らかになっていない通常は乳児期早期に始まる痒疹疾患であり、痒感、湿疹性病変及び乾燥した厚い皮膚を典型的な特徴とする。アトピー性皮膚炎は他のアトピー性疾患(例えば、約30%の患者において喘息又はアレルギー反応)を伴い、皮膚感染が一般的である。 アトピー性皮膚炎の病態生理学は十分に理解されていない。アトピー性皮膚炎には遺伝要素が関与しているように思われる。TH2細胞の異常を含む免疫欠如が示唆されており、プロテアーゼ活性の調節不全がアトピー性皮膚炎関連することが判明している。調節不全によって角質層における障壁機能欠陥が生じて抗原が侵入し、様々な炎症性サイトカインが産生すると考えられている。米国における有病率は、子供で10〜12%、成人で0.9%である。その他の先進国では有病率は18%であり、上昇を続けている。アトピー性皮膚炎は慢性だが、患者の大部分は小児期から成人になるにつれて好転する。 現在のところ、治癒的な治療法はない。症状の重症度に応じて、局所ステロイド抗ヒスタミン剤及び免疫調節薬又は抗生物質、抗ウィルス剤又は抗真菌薬が通常は処方される。 乾癬は慢性疾患である。乾癬は非伝染性であり、通常は炎症性水腫状の皮膚病変として現れるが、口腔粘膜にも見られる。患者の10%において関節(関節炎)が冒される。発赤は、ストレス事象又は感染等の様々な全身性及び環境要因に関連付けられる。乾癬には遺伝的素因があり、自己免疫異常の兆候を示す多くの証拠がある。通常の過度の皮膚剥離には、プロテアーゼ(カリクレイン等)活性の上昇が関与している。米国では人口の2〜3%が罹患しており,20万人の新たな患者が毎年発生している。乾癬性関節炎に罹患した約150万人の患者が医者にかかっており、毎年4万人が乾癬に関連する原因によって死亡している。その他の国における乾癬の発生も同様であるが、気候及び遺伝要素に応じて異なる。乾癬は、熱帯の人々及び黒人ではそれほど一般的ではない。 現在のところ、治癒的な治療法はない。症状の重症度に応じて、局所コルチコステロイド、コールタール、角質溶解薬又はレチノイドが処方される。 治療対象となる「哺乳動物」とは、ヒト、イヌ、ウマ、ネコ、ウシ、サル等の家畜及び動物園の動物、競技動物又はペット等の哺乳動物に分類されるあらゆる動物を意味する。好ましくは、哺乳動物はヒトである。 「治療(Treatment)」という用語は、治療処置と予防又は再発防止の両方を意味する。治療を要する者には、既に疾患を有する者及び疾患を予防すべき者が含まれる。そのため、治療すべき哺乳動物は、疾患を有すると診断されたか、疾患にかかりやすい又は感染しやすい可能性がある。 「被投与者」という用語は、ヒト又はヒト以外の哺乳動物の患者を意味し、本発明に係る方法を使用して検査又は治療することが望ましい個体を含む。ただし、「患者」とは、症状又は疾患が存在していることを必ずしも意味するものではない。 「製薬学的に許容し得る」とは、生理的に許容でき、ヒトに投与した際に異常高進や眩暈感等のアレルギー性又は同様な有害反応を通常は生じさせない分子及び組成物を意味する。 本願明細書において使用する「プロテアーゼ」という用語は、分子を認識し、分子中の活性化配列に開裂させる酵素を意味する。プロテアーゼは、内部ペプチド結合を開裂させるエンドペプチダーゼであってもよい。あるいは、プロテアーゼは、ポリペプチド又はタンパク質分子のN末端又はC末側からペプチド結合を加水分解するエキソペプチダーゼであってもよい。プロテアーゼは立体配座に折り畳まれ、活性化配列を受容し、開裂させる触媒部位を形成する。 「阻害剤」とは、好ましくはカリクレイン又はセリンプロテアーゼに結合することによって、カリクレイン又はセリンプロテアーゼの機能を阻害するポリペプチド又は化合物を意味する。 「反応性セルピンループ(RSL)」又は「反応性部位ループ(RSL)」とは、セルピンに見られ、推定ターゲットプロテアーゼとの相互作用に関係する、露出されたフレキシブルな反応性部位ループを意味する。切断性結合のアミノ酸側の残基から結合に離れるに従って、残基はP1、P2、P3等と呼ばれる。切断性結合に続く残基はP1’、P2’、P3’等と呼ばれる。通常、RSLは6〜12個のアミノ酸残基で構成される。 本発明に係るセリンプロテアーゼ阻害剤又はセルピンは、α1−アンチキモトリプシン(ACT)、プロテインC阻害剤(PCI)、α1−プロテイナーゼ阻害剤(AAT)、ヒトα1−アンチトリプシン関連タンパク質前駆体(ATR)、α2プラスミン阻害剤(AAP)、ヒトアンチトロンビンIII前駆体(ATIII)、プロテアーゼ阻害剤10(PI10)、ヒトコラーゲン結合タンパク質2前駆体(CBP2)、プロテアーゼ阻害剤7(PI7)、プロテアーゼ阻害剤leuserpin 2(HLS2)、ヒト血漿プロテアーゼC1阻害剤(C1 INH)、単核細胞/好中球エラスターゼ阻害剤(M/NEI)、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤3(PAI3)、プロテアーゼ阻害剤4(PI4)、プロテアーゼ阻害剤5(PI5)、プロテアーゼ阻害剤12(PI12)、ヒト内皮プラスミノーゲン活性化因子阻害剤1前駆体(human plasminogen activator inhibitor−1 precursor endothelial)(PAI−1)、ヒト胎盤プラスミノーゲン活性化因子阻害剤2(PAI2)、ヒト色素上皮由来因子前駆体(PEDF)、プロテアーゼ阻害剤6(PI6)、プロテアーゼ阻害剤8(PI8)、プロテアーゼ阻害剤9(PI9)、ヒト扁平上皮癌抗原1(SCCA−1)、ヒト扁平上皮癌抗原2(SCCA−2)、T4結合グロブリン(TBG)、Megsin、プロテアーゼ阻害剤14(PI14)、それらのフラグメント、それらの分子キメラ、それらの組み合わせ及び/又はそれらの変異体からなる群から選択することができる。 これらのセルピンの多くは異なる名称を有するため、以下の表1に詳細を示す。 有利には、本発明に係るセリンプロテアーゼ阻害剤はセリンプロテアーゼトリプシン様酵素、好ましくはカリクレイン阻害剤であってもよい。本発明に係るカリクレイン阻害剤は、hK2、hK3、hK4、hK5、hK6、hK7、hK8、hK9、hK10、hK11、hK12、hK13、hK14、hK15阻害剤から選択される。好ましくは、カリクレイン阻害剤はhK2、hK5、hK7、hK14阻害剤から選択される。 カリクレイン阻害剤がhK2阻害剤である場合には、阻害剤は、国際特許出願第PCT/IB2004/001040号に記載されている阻害剤から選択することができる。国際特許出願第PCT/IB2004/001040号の開示内容はこの参照によって本願明細書に援用する。好ましくは、本発明に係るカリクレイン阻害剤は、MD820、MD62、MD61、MD67、MDCIをからなる群から選択することができる。最も好ましくは、阻害剤はMD67である。本願は、阻害性ポリペプチド配列と、プロテアーゼに特異的な基質酵素相互作用部位の少なくとも1つのポリペプチド配列と、を含むプロテアーゼの組換え型阻害剤タンパク質並びにプロテアーゼの組換え型阻害剤タンパク質を製造するための方法を開示する。好ましくは、組換え型セリンプロテアーゼ阻害剤は、SEQ ID No.2、4、6、8、10、12、14及びセリンプロテアーゼ阻害剤活性を有するそれらの生物学的に活性なフラグメントからなる群から選択される。 本発明に係るセリンプロテアーゼ阻害剤の一例として、本願発明者らは、予期せぬことに、以下の表2に示すプロテアーゼhK2に特異的な7種類の新規な組換え型阻害剤タンパク質を見出した。 これらの阻害剤タンパク質は、セルピンの特異性を変更するために、キモトリプシン、肥満細胞キマーゼ、カテプシンG、前立腺カリクレインhK2、PSA(hK3)等のヒト酵素を阻害することが知られているα1−アンチキモトリプシン(rACT)のRSLを修飾することによって得た。国際特許出願第PCT/IB2004/001040号に記載されているようにファージディスプレイ法によって酵素hK2の基質として選択されるペプチド配列は、RSLの切断性結合及び近傍のアミノ酸残基の代わりとして使用されている。通常、組換え型阻害剤は細菌を使用して製造され、アフィニティークロマトグラフィーによって精製されていた。 また、本願発明者らは、rACTWTのRSL構造に位置する残基P3〜P3’をプロテインC阻害剤(PCI)のRSLをコードする基質ペンタペプチドによって置換することにより、カリクレインhK2及びhK3を阻害することができる組換え型阻害剤(MDCI)を製造できることを見出した。 カリクレイン阻害剤がhK14阻害剤である場合には、阻害剤は、国際特許出願第PCT/IB2005/000504号に記載されている阻害剤から選択することができる。国際特許出願第PCT/IB2005/000504号の開示内容はこの参照によって本願明細書に援用する。好ましくは、組換え型阻害剤は、AATG1、AATG1G、AATC11、AATC11G、AATE5、AATE8、AATF11、AATF3、AATG9、ACTG1、AcTG1G、ACTC11、ACTC11G、ACTE5、ACTE8、ACTF11、ACTF3、ACTG9、ACTG1V、ACTWT、ACTC11Dからなる群から選択することができる。好ましくは、hK14プロテアーゼの阻害剤タンパク質は、AATG1、AATG1G、AATC11、AATC11G、AATE5、AATE8、AATF3、AATG9、ACTG1G、ACTC11、ACTC11G、ACTE5、ACTE8、AGTF11、ACTF3、ACTG9、ACTG1V又はACTC11Dである。 本願は、阻害性ポリペプチド配列と、hK14プロテアーゼに特異的な基質酵素相互作用部位の少なくとも1つのポリペプチド配列と、を含むhK14プロテアーゼの組換え型阻害剤タンパク質を開示する。好ましくは、hK14プロテアーゼの組換え型阻害剤タンパク質は、生理的条件下において、i)少なくとも4時間の培養後における11.7以下の阻害化学量論(stoichiometry of inhibition(SI))と、ii)少なくとも7500M−1s−1の会合速度(ka)と、iii)少なくとも30分間の培養後における100%の阻害活性と、を有する。 また、セルピンによるシステインプロテアーゼの阻害については数多く報告されているため、プロテアーゼ阻害剤の阻害性ポリペプチド配列はシステインプロテアーゼから選択することもできる(Gettins P.G.W.,2002,「Serpin structure,mechanism,and function」,Chem.Rev,102,4751−4803)。例としては、セルピン扁平上皮癌抗原1によるカテプシンK、L、Sの阻害、α1−アンチキモトリプシンによる前ホルモンチオールプロテナーゼの阻害、ウイルス性セルピンcrmAによるカスパーゼ1(インターロイキン1β変換酵素)、カスパーゼ3、カスパーゼ8を含むカスパーゼファミリーの阻害並びにヒトセルピンPI9によるカスパーゼ1、4、8を含むカスパーゼファミリーの阻害が挙げられる。 通常、セリンプロテアーゼ阻害剤は組換え型阻害剤タンパク質である。従って、セリンプロテアーゼ阻害剤を調製するために組み換え技術を使用する場合には、ポリペプチドをコードする核酸分子又はフラグメントを使用することが好ましい。 従って、本発明は、上述したセリンプロテアーゼ阻害剤をコードする、精製・単離されたDNA配列にも関する。 「精製・単離されたDNA配列」とは、本発明に係るプロテアーゼの組換え型阻害剤タンパク質をコードする核酸分子又は本発明に係るプロテアーゼの組換え型阻害剤タンパク質をコードする核酸が存在する状態を意味する。核酸は、天然環境でみられる他のポリペプチド又は核酸あるいはインビボ又はインビトロにおけるDNA組換え技術を使用する(細胞培養等)環境における他のポリペプチド又は核酸と関連する物質を含まないか、実質的に含まない。 使用することができるDNAは、例えば、二本鎖DNA、一本鎖DNA、1本又は両方の鎖が2つ以上のフラグメントからなる二本鎖DNA、1本又は両方の鎖が中断されていないリン酸ジエステル骨格を有する二本鎖DNA、1以上の一本鎖部分及び1以上の二本鎖部分を含むDNA、DNA鎖が完全に相補的である二本鎖DNA、DNA鎖が部分的にのみ相補的である二本鎖DNA、円形DNA、共有的に閉鎖したDNA、直鎖状DNA、共有的に架橋されたDNA、cDNA、化学的に合成されたDNA、半合成DNA、生合成DNA、自然に単離されたDNA、酵素消化されたDNA、剪断されたDNA、放射性標識されたDNA及び蛍光色素標識されたDNA等の標識されたDNA、核酸の1つ以上の非天然発生種を含むDNA等のポリデオキシヌクレオチド配列である。 セリンプロテアーゼ阻害剤をコードするDNA配列又はセリンプロテアーゼ阻害剤活性を有するその生物学的に活性なフラグメントは、標準的な化学的方法、例えばリン酸トリエステル法又は自動化合成法及びPCR法によって合成することができる。 また、本発明に係るセリンプロテアーゼ阻害剤をコードする精製・単離されたDNA配列は、酵素法によって製造することもできる。そのため、所定の認識配列で核酸分子を開裂させる制限酵素は、組換え型阻害剤タンパク質又はそのフラグメントをコードするDNA(又はRNA)等の核酸配列を含むより大きな核酸分子から核酸配列を単離するために使用することができる。 また、本発明に係るRNAの形態の核酸は、例えば、一本鎖RNA、二本鎖RNA、1本又は両方の鎖が2つ以上のフラグメントからなる二本鎖RNA、1本又は両方の鎖が中断されていないリン酸ジエステル骨格を有する二本鎖RNA、1以上の一本鎖部分及び1以上の二本鎖部分を含むRNA、RNA鎖が完全に相補的である二本鎖RNA、RNA鎖が部分的にのみ相補的である二本鎖RNA、共有的に架橋されたRNA、酵素消化されたRNA、剪断されたRNA、mRNA、化学的に合成されたRNA、半合成RNA、生合成RNA、自然に単離されたRNA、放射性標識されたRNA及び蛍光色素標識されたRNA等の標識されたRNA、核酸の1つ以上の非天然発生種を含むRNA等である。 セリンプロテアーゼ阻害剤をコードする精製・単離されたDNA配列は、SEQ ID No.1、SEQ ID No.3、SEQ ID No.5、SEQ ID No.7、SEQ ID No.9、SEQ ID No.11、SEQ ID No.13、SEQ ID No.16〜37からなる群から好ましくは選択される。 また、本発明は、上述した配列の変異体、すなわち、保存的ヌクレオチド置換(1以上のヌクレオチドが同じ特性を有する別のヌクレオチドによって置換)によって参照配列と異なるヌクレオチド配列を含む。 また、本発明は、皮膚病を治療するための薬剤の調製における、セリンプロテアーゼ阻害剤をコードする精製・単離されたDNA配列の使用を含む。 あるいは、本発明に係るセリンプロテアーゼ阻害剤又はカリクレイン阻害剤は、検出可能な標識を含むか、検出可能な標識に結合して検出可能な複合体を形成する。 「検出可能な標識」とは、検出可能な分子又は診断のための検出部位、例えば特定の結合特性を有する酵素又はペプチド(ストレプトアビジン又は西洋ワサビペルオキシダーゼ等)である。検出部位は、同族の特定の検出可能部位(標識アビジン等)に結合することによって検出することができるビオチン等の化学部位をさらに含む。 好ましくは、検出可能な標識は、蛍光標識並びにMRI−CT撮像通常使用される標識を含む。多くの蛍光材料が公知であり、標識として利用することができる。例としては、フルオレセイン、ローダミン、オーラミン、テキサスレッド、AMCAブルー、ルシファーイエローが挙げられる。 本発明に係るセリンプロテアーゼ阻害剤又はカリクレイン阻害剤は、放射性標識(例えば、同位体3H、14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co、58Co、59Fe、90Y、121I、124I、125I、131I、111In、211At、198Au、67Cu、225Ac、213bu、99Tc、186Re)を検出部位と担持することができる。放射性標識を使用する場合には、公知の利用可能な計数法を使用して特定の結合材料を同定・定量することができる。 標識が酵素である場合には、公知の比色、分光光度法、蛍光分光光度法、電流測定又は気体定量法のいずれかによって検出することができる。 放射性標識は、生体外診断法及び生体外・生体内放射線撮像法において有用である。別の態様において、放射性標識は、外科手術の実施前、実施中又は実施後に癌細胞、前癌細胞、腫瘍細胞及び超増殖性細胞の存在及び/又は位置を特定してそのような細胞を除去する放射免疫誘導外科手術(radioimmuno−guided surgery)法に有用である。 生体内撮像の場合には、本発明の標識は、放射性同位体ではなく、造影剤(磁気共鳴造影剤等)に結合させることができる。キレート化剤の例としては、EDTA、ポルフィリン、ポリアミンクラウンエーテル、ポリオキシムが挙げられる。 常磁性イオンの例としては、ガドリニウム、鉄、マンガン、レニウム、ユウロピウム、ランタン、ホルミウム、エルビウムが挙げられる。 また、本発明は、活性物質としての本願明細書に開示するセリンプロテアーゼ阻害剤と、必要に応じて1種以上の製薬学的に許容し得る担体と、を含む医薬組成物に関する。 好ましくは、医薬組成物としての本発明に係る組成物は、通常は血流又は髄液(CSF)への注入又は疾患部位又はその近傍への直接注入による任意の適当な経路を介して治療を必要とする患者に投与する。正確な投与量は、組成物の用途(診断、予後、予防又は治療)、例えば剥離の大きさと位置、組成物の正確な特性及びカリクレイン阻害剤又はセリンプロテアーゼ阻害剤に結合した検出可能又な機能的な標識の特性等の多くの要因に応じて決定される。 本発明に係る医薬組成物は、活性物質としての薬学的有効量の組成物と、必要に応じて製薬学的に許容し得る担体、希釈剤及び助剤と、を含む。 「薬学的有効量」とは、ヒト又は動物に投与した場合に検出可能な薬理学的及び/又は生理学的な作用を引き起こす化学物質又は化合物を意味する。 ポリペプチドの薬学的に有効な投与量は、通常は治療する患者の体重1kgあたり0.001ng〜100μgである。 医薬組成物は、1以上の製薬学的に許容し得る担体、希釈剤及び助剤を含むことができる。 活性化合物の製剤学的に使用可能な製剤への処理を容易にする許容し得る担体、希釈剤、助剤は、採用される投与量及び濃度において被投与者に無毒であり、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、その他の有機酸等の緩衝液;アスコルビン酸やメチオニン等の酸化防止剤;保存剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルアルコール、べンジルアルコール;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコール、べンジルアルコール;メチルパラベン又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;m−クレゾール);低分子量(約10未満の残渣)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、イムノグロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、ヒドロキシエチルセルロース(Natrosol(登録商標))、デキストリン等の単糖類、二糖類、その他の糖類;EDTA等のキレート化剤;蔗糖、マンニトール、トレハロース、ソルビトール等の糖類;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(Zn蛋白錯体等);及び/又はTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)、ポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン界面活性剤が例として挙げられる。 医薬組成物は全身又は局所的に投与することができる。例えば、医薬組成物は、皮下、静脈内、皮内、腹腔内、鼻腔内、経皮的、筋肉内、口腔投与等の非経口投与、埋込型装置による投与又は蠕動手段による投与によって投与することができる。 本発明の医薬組成物は、生体吸収性マトリックスに組み込むか、含浸させることができ、マトリックスは懸濁液、ゲル又は固形担体として投与する。また、マトリックスは、Natrosol(登録商標)等のバイオポリマーを含むことができる。 また、徐放製剤を調製することもできる。徐放製剤の好適な例としては、抗体を含有する固体の疎水性ポリマーの半透過性基材が挙げられ、半透過性基材はフィルム又はマイクロカプセル等の成形品である。徐放基材の例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)等)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸と[γ]エチル−L−グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドからなる注入可能な小球体)等の分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、ポリ−D−(−)−3−ヒドロキシブチル酸が挙げられる。 生体内投与に使用する製剤は無菌状態としなければならない。例えば、無菌濾過膜による濾過によって容易に無菌状態とすることができる。 本発明に係る組成物の適当な投与量は、被投与者の年令、性別、健康状態、体重、同時治療の種類、所望の作用に応じて異なる。 適当な投与形態は、疾病、阻害剤、投与方法に応じて異なる。例えば、錠剤、カプセル、トローチ、歯科用軟膏、坐剤、吸入剤、溶液、軟膏、非経口剤が挙げられる。 また、阻害剤のアミノ酸の修飾(変性)は本発明に含まれるため、阻害剤を非水溶性マトリックス又はその他のポリマー担体に架橋させたり、溶解性、吸着性、血管透過性を改良することも有用な場合がある。そのような変形は周知であり、ペプチド等の望ましくない副作用を排除又は抑制することができる。 本発明の別の主題は、哺乳動物における皮膚病の診断、予後、予防又は治療のためのキットであって、組換え型セリンプロテアーゼと、必要に応じて試薬及び/又は取扱説明書と、を含むキットを提供することにある。 本発明に係るキットは、他の医薬組成物及びそれらの組み合わせを含む医薬投与形態をさらに含むことができる。 通常、キットは、容器と、容器上又は容器内に設けられたラベル又は包装挿入物を含む。適当な容器としては、瓶、ガラス瓶、注射器等が挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチック等の各種材料で形成することができる。容器は、症状を治療するために有効な組成物を保持し、無菌アクセス口(例えば、容器は静脈注射用溶液バッグ又は皮下注射針を貫通させることができるストッパーを有するガラス瓶であってもよい)を有することができる。ラベル又は包装挿入物は、組成物を癌等の任意の症状を治療するために使用することを表示する。 あるいは又はさらに、キットは、静菌剤注射用蒸留水(BWFI)、燐酸緩衝食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液等の薬学的に許容し得るバッファを含む第2(第3)の容器を含むことができる。製品は、その他の緩衝液、希釈剤、フィルタ、針、注射器等の市販又はユーザーの見地から望ましいその他の材料をさらに含むことができる。 また、本発明は、本発明に係る化合物の、哺乳動物における皮膚病の診断、予後、予防又は治療のための生体外及び生体内試験の開発と標準化における薬理学ツールとしての使用を提供する。 また、本発明は、組織試料における皮膚病の診断、予後、予防又は治療のための検出分析方法であって、前記組織試料を本発明に係る組成物と接触させ、検出された標識の量を測定し、測定された量を前記組織試料における疾患の有無に相関させることを含む方法を含む。 また、本発明の別の目的は、カリクレイン分子を発現する皮膚細胞を死滅させるための方法であって、前記細胞を本発明に係る組成物と接触させて前記細胞を死滅させ、カリクレイン分子を発現する細胞を破壊するか、カリクレイン分子を発現する細胞の生存を防止することを含む方法を提供することにある。 また、本発明の目的は、セリンプロテアーゼ及び特にカリクレイン分子を発現する皮膚細胞を阻害するための方法であって、前記皮膚細胞を本発明に係る組成物と接触させることを含む方法を提供することにある。 本発明の別の目的は、本願明細書に開示するセリンプロテアーゼ阻害剤又はセリンプロテアーゼ阻害剤活性を有するその生物学的に活性なフラグメントを含む化粧組成物並びに望ましくない皮膚状態を改善するための前記組成物の使用に関する。 好ましくは、セリンプロテアーゼ阻害剤は、本発明に係る組換え型阻害剤タンパク質である。 通常、セリンプロテアーゼは、カリクレイン、プラスミン、キモトリプシン(Chtr)、ウロキナーゼ(uPA)、トリプターゼ、好中球エラスターゼ(HNE)酵素及び/又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。 好ましくは、カリクレインはhK2、hK5、hK7、hK14及び/又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。 また、本発明は、セリンプロテアーゼ阻害剤又はセリンプロテアーゼ阻害剤活性を有するその生物学的に活性なフラグメントの、望ましくない皮膚状態を改善するための化粧組成物の調製における使用を提供する。 当業者には、具体的に説明した実施形態以外に本発明を容易に変更及び変形することができることは明らかであろう。本発明は、本発明の基本的な特徴から逸脱することなく、そのような変更及び変形を含む。また、本発明は、本願明細書において参照又は例示した全ての工程、特徴、組成物及び化合物を個々又は一括して含み、複数の工程又は特徴の全ての組み合わせを含む。従って、本願の開示は例示した態様に限定されるものではなく、本発明は特許請求の範囲及び本発明の範囲に含まれる均等物の意味及び範囲に含まれるあらゆる変形を含む。 本願明細書において各種参考文献を引用しているが、各参考文献の内容は各参照によって本願明細書に援用するものとする。 上記説明は以下の実施例を参照することによりさらに十分に理解されるだろう。ただし、以下の実施例は本発明を実施する方法の例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。実施例1ファージディスプレイ選択基質を使用したヒトhK2に特異的な組換え型ACT阻害剤の開発 国際特許出願第PCT/IB2004/001040号(ローザンヌ大学)の開示内容を本願明細書に援用する。材料 hK2及びhK3(PSA)は公知の方法によってヒト精液から精製し(Frenette G,Gervais Y,Tremblay RR,Dube JY.1998,「Contamination of purified prostate−specific antigen preparations by kallikrein hK2」,J Urol 159,1375−8)、抗hK2モノクローナル抗体及び抗PSAモノクローナル抗体は、カナダ・ラバル大学のRR Tremblay教授から寄贈を受けた。ヒトキモトリプシン(Chtr)、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子(uPA)、ヒトカリクレインhK1、ヒト血漿カリクレイン(PK)、ヒト好中球エラスターゼ(HNE)及び市販のACT(ヒト血漿α1−アンチキモトリプシン)はCalbiochem社から購入した。Z−Phe−Arg−AMC、Suc−Ala−Ala−Pro−Phe−AMC、Z−Gly−Gly−Arg−AMC、MeOSuc−Ala−Ala−Pro−Val−AMCはCalbiochem社から購入した。CFP−TFRSA−YFP蛍光基質は公知の方法によって得た(Mahajan NP et al.1999,「Novel mutant green fluorescent protein protease substrates reveal the activation of specific caspases during apoptosis」,Chem Biol 6,401−9)。ヒトα1−アンチキモトリプシン(ACT)のcDNAは、ペンシルベニア大学のHarvey Rubin博士から寄贈を受けた。部位特異的な突然変異誘発 ACTのcDNAをpQE−9発現ベクター(Qiagen、ドイツ)にサブクローニングし、rACTWTのN末端にHis6タグを導入した後、2つの制限部位Sac II及びMlu Iを、RSLドメインのP1コドンの18bp上流及び18bp下流にそれぞれ導入した。これらの部位は、Stratagene社のquickchange変異誘発プロトコルに従って、Sac II部位についてはオリゴヌクレオチド5’−GTGATTTTGACCGCGGTGGCAGCAG−3’を使用し、Mlu I部位についてはオリゴヌクレオチド5’−GCACAATGGTACGCGTCTCCACTAATG−3’を使用したサイレント変異によって作成した。基質ファージディスプレイライブラリーの構築 基質ファージライブラリーは、修飾pH0508bファージミドを使用して生成した(Lowman et al.,1991,「Selecting high−affinity binding proteins by monovalent phage display」,Biochemistry 12,10832−8)。基質ファージライブラリーは、M13遺伝子IIIのカルボキシル末端ドメイン(コドン249〜406)に先行するGly−Gly−Gly−Ser−repeat−rich領域の両端にHis6タグを有する。ランダムペンタマーは、隣接部位に対応する5’ビオチン化プライマー(5’−TGAGCTAGTCTAGATAGGTG−3’(SEQ ID No.83)及び5’−TGCAGCGACTGCTATGA−3’)を使用し、変性コドンの両端に適当な制限部位が位置する鋳型オリゴヌクレオチド(5’TGAGCTAGTCTAGATAGGTGGCGGTNNSNNSNNSNNSNNSGGGTCGACGTCGGTCATAGCAGTCGCTGCA−3’(Nはヌクレオチドであり、SはG又はCである))のPCR伸長法によって生成した。 PCR鋳型は公知の方法によって消化・精製し(Smith G.P,Scott J.K.,1993,「Libraries of peptides and proteins displayed on filamentous phage」,Methods Enzymol.217,228−57)、XbaI/SalI消化pH0508bベクターに挿入し、エレクトポレーションによってXL1−Blue(F−)に導入した。ライブラリーの範囲は、アンピシリン及びテトラサイクリン(100及び15μg/mL)を含むLuria−Bertaniプレート上に形質転換された細胞の一部をプレーティングすることによって決定した形質転換効率から推定した。100プラーク形成単位(p.f.u.)/mLの濃度となるようにM13K07ヘルパーファージを添加して形質転換された細胞の残りを一晩培養し、ファージライブラリーを調製した。上清からファージを回収し、ポリ(エチレングリコール)による沈殿によって精製した。シークエンシングのために200個のクローンを任意に選択し、ライブラリのランダム化を確認した。ファージディスプレイペンタペプチドライブラリーのスクリーニング ペンタペプチドライブラリーに対して、hK2によるスクリーニングを8回行った。セファロースビーズ(Ni2+−ニトリロ三酢酸樹脂)に結合したNi2+−アンモニア三酢酸100μLを、1mg/mL−1のBSAを含む10mLのNaCl/Piで洗浄した。ファージ粒子(1011)は平衡Ni2+−ニトリロ三酢酸樹脂に添加し、穏やかに撹拌しながら4℃で3時間にわたって結合させた。次に、樹脂を洗浄(NaCl/Pi/BSA 1mg/mL−1、5mMイミダゾール、0.1% Tween 20)して未結合のファージを除去し、NaCl/Pi内で平衡化した。基質ファージを37℃で45分間にわたって27nM(最終濃度)のhK2に暴露した。また、プロテアーゼを使用しない対照スクリーニングも行った。上清に放出された開裂ファージを大腸菌XL1ブルーを使用して増幅し、以降のスクリーニングに使用した。パニングを8回行った後、約15個のクローンを5回目、6回目及び8回目のスクリーニングから選択し、プラスミドDNAを単離し、基質をコードする領域についてシークエンシングを行った。組換え野生型ACT及びその変異体の構築及び発現 隣接領域に対応するプライマー(5’−TACCGCGGTCAAAATC−3’(SEQ ID No.67)及び5’−TCACGCGTGTCCAC−3’(SEQ ID No.68))を使用し、鋳型オリゴヌクレオチドのPCR伸長により、P3とP3’の間の位置の反応部位ループの変化に対応する6つの変異体(表3を参照)を生成した。rACT8.20,5’−TACCGCGGTCAAAATCACCCTCCGTTCTCGAGCAGTGGAGACGCGTGA−3’(SEQ ID No.61)rACT6.3,5’−TACCGCGGTCAAAATCACCAGGAGGTCTATCGATGTGGAGACGCGTGA−3’((SEQ ID No.62)rACT8.3,5’−TACCGCGGTCAAAATCAGGGGGAGATCTGAGTTAGTGGAGACGCGTGA−3’(SEQ ID No.63)rACT6.7,5’−TACCGCGGTCAAAATCAAGCTTAGAACAACATTAGTGGAGACCGCTGA−3’((SEQ ID No.64)rACT6.1,5’−TACCGCGGTCAAAATCATGACAAGATCTAACTTAGTGGAGACGCGTGA−3’(SEQ ID No.65)rACT5.18,5’−TACCGCGGTCAAAATCACCGAGCGTGTCTCGCCCGTGGAGACGCGTGA−3’(SEQ ID No.86) 下線を付した配列は反応部位ループにおける新たな開裂部位をコードする。PCR産物をSac II及びMlu I制限酵素によって消化させ、消化rACTWT構造物にサブクローニングした。組換え型セルピンを大腸菌株TG1を使用して製造した。100μg/mLのアンピシリンを含む2×TY培地(16gトリプトン、10g酵母抽出物、5g/L NaCl)において細胞を37℃で増殖させた(A600=0.5)。次に、イソプロピルチオ−β−D−ガラクトシド(IPTG)を添加し(最終濃度:0.5mM)、16℃で16時間にわたって組換え型セルピンを発現させた。100mlの培養液から遠心分離によって細胞を採取し、冷却したPBSに再懸濁させ、フレンチプレスを通過させて可溶性細胞質タンパク質を回収した。細胞片を遠心分離によって除去し、Ni2+−ニトリロ三酢酸アフィニティアガロースビーズを4℃で90分間にわたって上清に添加し、組換え型セルピンに結合させた。次に、樹脂を25mMイミダゾール、50mMトリス(pH8.0)、500mM NaClで洗浄し、結合したタンパク質を50mMトリス(pH8.0)、500mM NaCl、150mMイミダゾールで10分間にわたって溶離させた。精製終了後、50mMトリス(pH8.0)、500mM NaCl、0.05% Triton X−100を使用して4℃で16時間にわたってrACTの透析を行った。各精製についてブラッドフォード検定によってタンパク質濃度を測定し、Coomassie Blue−stained SDS−PAGEゲル濃度測定により正規化した(Laemmli UK. 1970,「Cleavage of structural proteins during the assembly of the head of bacteriophage T4」,Nature 227,680−5)。阻害分析及び阻害化学量論(SI) hK2及び他の酵素によるrACTWT及びその変異体の阻害について阻害化学量論(SI)値を調べた。初期試験は、hK2、PSA、hK1、キモトリプシン(Chtr)、血漿カリクレイン(PK)、ウロキナーゼ(uPA)、ヒト好中球エラスターゼ(HNE)酵素に対してモル過剰(100倍)のrACTを使用して行った。反応は反応緩衝液(50mMトリス(pH7.5)、150mM NaCl、0.05% Triton X−100、0.01% BSA)内において25℃で30分間(PSAの場合には37℃で90分間)行い、蛍光基質(Z−Phe−Arg−AMC(hK1、hK2、PK)、Suc−Ala−Ala−Pro−Phe−AMC(Chtr)、Z−Gly−Gly−Arg−AMC(uPA)、MeOSuc−Ala−Ala−Pro−Val−AMC(HNE)又はCFP−TFRSA−YFP(PSA))を添加することによって残留酵素活性を測定した。阻害剤の存在下における酵素の活性を非阻害反応と比較した。阻害が観察される反応では、異なる濃度の組換え型セルピンを培養することによってSIを調べた。断片的活性(阻害酵素反応の速度/非阻害酵素反応の速度)と酵素に対する阻害剤のモル比([Io]/[Eo])の線形回帰分析を使用し、阻害化学量論(切片に対応)を得た。反応速度論 hK2、キモトリプシン、PK、HNEと各rACTの相互作用の会合速度定数を、疑似一次条件下においてプログレス曲線法を使用して調べた(Morrison JF,Walsh CT. 1988,「The behavior and significance of slow−binding enzyme inhibitors」,Adv.Enzymol. Relat.Areas Mol.Biol 61,201−301)。これらの条件において、所定量の酵素(2nM)を各濃度の阻害剤(0〜800nM)及び過剰の基質(10μM)と混合した。各反応は反応緩衝液(50mMトリス(pH7.5)、150mM NaCl、0.05% Triton X−100、0.01% BSA)内において25℃で45分間行い、FLx800蛍光96ウェルマイクロプレートリーダー(Biotek、米国)を使用して生成物形成速度を測定した。このモデルでは、阻害は反応過程において不可逆的であると考えられ、酵素活性は生成物の生成(P)(開始速度:vz)で表され、時間(t)とともに一次速度(kobs)(阻害剤濃度のみに依存する速度定数)で阻害される。 4つの異なる濃度の各阻害剤について、式1を使用したデータの非線形回帰法によってkobsを算出した。阻害剤濃度[I]に対してkobsをプロットすることにより、二次速度定数(k’)(曲線の傾きと等しい(k’=Δkobs/Δ[I])を決定した。阻害剤と基質間の競合のために、基質濃度[S]及び基質に対する酵素のKmを考慮に入れて下記式2を使用して二次速度定数(k)を補正し、kaを得た。 Z−FR−AMCに対するhK2のKmは67μMであり、Suc−AAPF−AMCに対するキモトリプシンのKmは145μMであり、Z−FR−AMCに対するPKのKmは170μMであり、MeOSuc−AAPV−AMCに対するHNEのKmは130μMだった。複合体形成及び阻害剤分解のウェスタンブロット解析 カリクレインhK2と各組換え型ACTを、50mM Tris,200mM NaCl、0,05% Triton X−100内において100:1の[I]o:[E]o比で37℃で3時間培養した。タンパク質試料を95℃で5分間加熱した後、SDS PAGE(12%アクリルアミド、T:C比=19:1)で分離し、Hybond−ECL(Amersham Pharmacia)硝酸セルロースにエレクトロブロッティングした。マウス抗hK2モノクローナル抗体及びアルカリホスファターゼ結合ヤギ抗マウス二次抗体を使用して遊離hK2及びhK2−ACT複合体を検出した。ECL検出キット(Amersham Pharmacia Biotech)を使用してウエスタンブロットを可視化した。hK2とACT8.3又はACT6.7を、50mM Tris,200mM NaCl、0,05% Triton X−100内において10:1の[I]o:[E]o比で25℃で30分間(速度論条件)培養した。抗His6モノクローナル抗体を使用したウェスタンブロットによってタンパク質を検出し、次に上述した二次抗体とプロトコルを使用して検出した。可溶性組換え野生型及び変異体ACTの製造 野生型セルピンα1−アンチキモトリプシンを使用してカリクレインhK2の特異的阻害剤を開発した。rACTWTのRSL構造に位置する残基P3〜P3’を、上述したファージディスプレイ法によって選択した基質ペンタペプチドで置換した。表4に示す6種類のrACT変異体を設計・作成した。基質ペプチドの切断性結合を、Leu−358−Ser−359に従ってセルピンのRSLに位置合わせした。rACTWT及びその変異体は、N末端位置にHisタグを含む融合タンパク質として大腸菌TG1において発現させた。それらは低温で製造し、タンパク質蓄積を主として活性可溶性型とした。自然条件下で精製すると、生成レベルは1.0〜2.5mg/Lの間で変動した。変異体6.1及び野生型ACT等の精製セルピンの純度(SDS−PAGE分析で推定)は98%を超えていた。rACT変異体は主としてカリクレインhK2に特異的 ヒト好中球エラスターゼ、キモトリプシン様(Chtr、PSA又はhK3)及びトリプシン様(hK2、hK1、PK、uPA)プロテイナーゼを含む酵素をスクリーニングしてrACT変異体の阻害特異性を調べた(表4)。 過剰の阻害剤([I]o/[E]o=100:1)と共に30分間培養した場合には、hK2はrACT6.2、rACT8.3、rACT6.7、rACT6.1によって完全に阻害されたが、rACT8.20及びrACT5.18はそれぞれ酵素活性の95%及び73%を阻害した。この条件下では、野生型rACTはhK2に対して阻害活性を全く示さなかった。これらの変異体のうち、2種類(rACT8.3及びrACT5.18)はhK2に特異的であり、その他の酵素は阻害しなかった。rACT6.7及びrACT6.2は、それぞれ36%及び100%の阻害率でPKも阻害した。野生型ACTとしては、変異体rACT8.20は、キモトリプシン様プロテアーゼChtr及びPSA並びにPK及びHNEを阻害した。組換え型セルピンは、カリクレインhK1及びuPAに対して阻害活性を示さなかった。hK2に対する変異体ACTの阻害化学量論は野生型ACTと比較して大きく向上 最も有用な比較ができるように、阻害化学量論の決定は、全ての酵素について生理的なpH及びイオン強度条件下で行った。キモトリプシンに対する組換え野生型ACTのSI値は2(表5)であり、市販のACTによって同様な条件下で得られた数値と同じだった。 全ての組換え型変異体のSI値を決定するために、hK2(5nM)を異なる濃度(6.25〜500nM)のrACT8.20、rACT6.2、rACT8.3、rACT6.7、rACT6.1、rACT5.18、rACTWTと反応緩衝液内において25℃で30分間培養した。蛍光基質(10μM)Z−FR−AMCを添加することによってhK2の残留活性(速度)を測定した。断片的速度は、非阻害対照の速度(vo)に対する阻害酵素の速度(vi)の比に対応する。線形回帰分析を使用してSI値を決定し、I/E比(x切片)を推定した。 新たに作成したACT変異体は、野生型ACTよりもhK2に対して低いSI値を示した。変異体rACT6.7、rACT6.1、rACT6.2は、hK2に対して最も低い阻害化学量論値(それぞれ9、19、25)を有していた。変異体rACT6.2及びrACT6.1もPKに対して最も低いSI値(それぞれ18及び16)を有しており、rACT6.7のSI値(277)ははるかに高かった。hK2、rACT8.3、rACT5.18に特異的な2種類の組換え型ACTは、高いSI値(それぞれ34及び139)を有していた。hK2を含む全てのプロテアーゼについて、rACT8.20阻害剤のSI値は100よりも高かった。変異体ACTは阻害剤の分解を生じることなくhK2と安定な複合体を形成 hK2とrACT8.20、rACT6.2、rACT8.3、rACT6.7、rACT6.1、rACT5.18又は野生型rACTを、100:1のI:E比で37℃で3時間培養した。マウス抗hK2抗体を使用し、還元条件下でhK2(rACT8.20)、rACT6.2、rACT8.3、rACT6.7、rACT6.1、rACT5.18又は野生型rACTとrACTの反応生成物のウェスタンブロット分析を行い、酵素との相互作用後の阻害剤の経過を調べた。hK2とACT変異体を培養すると、遊離hK2(E)は完全に消失し、共有結合型複合体(EI)が形成された。得られた共有結合型複合体は、16時間の培養期間にわたって高い安定性を示した(データは示さない)。野生型ACTはゆっくりとhK2を阻害し、3時間の培養後にほとんどが非複合化された。hK2について測定された高いSI値は、ACT変異体阻害剤の非複合体形成分解によるものではなかった。 ACT8.3又はACT6.7とhK2を、10:1のI:E比で速度論条件(25℃で30分間)において培養した。マウスモノクローナル抗hisタグを使用し、還元条件下でウェスタンブロットによって複合体の形成を分析した。全ての阻害剤タンパク質は、hK2との複合体又は非開裂体として存在しており、セルピン酵素相互作用のための基質経路はあまり重要ではないことを示唆している。変異体ACTはhK2に対して最も高い会合定数を示す 変異体ACTの阻害反応速度を、これらの阻害剤に対して反応性を示す各プロテアーゼについて測定した。hK2と組換え型セルピンの相互作用を、疑似一次条件下においてプログレス曲線法を使用して測定した。hK2(2nM)及び基質Z−FR−AMC(10μM)を、所定量(20〜800nM)の阻害剤rACT8.20、rACT5.18、rACT6.2、rACT8.3、rACT6.7、rACT6.1に添加した(データは示さず)。代表的なプログレス曲線に対して式1を使用して非線形回帰分析を行い、セルピン濃度に対して速度(kobs)をプロットした。kobsを決定した後、対応する基質についてプロテアーゼのKmを使用して会合定数(ka)を算出した(表6)。キモトリプシンに対する野生型ACTのka値は公表されているデータと同一だった(Cooley et al.,2001,「The serpin MNEI inhibits elastase−like and chymotrypsin−like serine proteases through efficient reactions at two active sites」,Biochemistry 40,15762−70)。組換え型rACT6.7はhK2に対して最も高いka値(8991M−1s−1)を示したが、PKに対するka値は45倍低かった。一方、組換え型rACT6.2はhK2とPKに対して同等なka値を有し、これらのプロテアーゼが識別されていないことを示した。hK2に特異的な組換え型阻害剤であるrACT8.3及びrACT5.18のka値はさらに低く(それぞれ2439及び595M−1s−1)、非特異的なACT8.20はhK2に対してChtr、PK及びHNEよりも高い1779M−1s−1のka値を示した。組換え型セルピンの1つ(rACT6.1)はPKに対してhK2より高い速度で反応した。 rACTWTのRSL構造に位置する残基P3〜P3’を、実施例1に記載したように、プロテインC阻害剤(PCI)のRSLをコードする基質ペンタペプチドで置換した(表6)。 簡単に説明すると、組換えタンパク質ACTPCI(MDCI)を製造するために、TG1細胞を対応する構造で形質転換し、適当な培地内で増殖させた。次に、細胞を最適な密度に誘導し、16℃で16時間にわたって組換え型阻害剤を発現させた。 組換え型阻害剤ACTPCIを細胞質細菌から抽出し、実施例1に記載したように、Ni−NTAカラムを使用したアフィニティークロマトグラフィーによって分離した。SDS−PAGEによる組換え型ACT発現の分析 実施例1及び2で作成した各阻害剤の純度について、還元条件下においてSDS−PAGE分析を行った。阻害剤の評価 阻害剤をさらに分析し、ヒトカリクレインhK2及びhK3、血漿カリクレイン、トリプシン、ウロキナーゼ、エラスターゼ、トロンビン、hK14及びヒトカリクレイン8を阻害する特異性及び親和性について評価した(表7)。hK2及びhK3は異なる酵素特異性(hK2:トリプシン様、hK3:キモトリプシン様)を有しているが、ACTによって阻害される。ACTは循環血液における天然のhK3阻害剤であると考えられているが、hK2の阻害はhK3と比較して弱い。 rACTsとヒトカリクレインとの阻害反応をウェスタンブロッティングによって分析した(データは示さず)。ACTの各変異体について、1μgの阻害剤と100ngのhK2又はhK3を37℃で1時間にわたって生理的条件下で培養した。 hK2に対する特異性のために選択した基質配列を使用した反応ループ内のアミノ酸の変化により、ACTはhK3を阻害せず、hK2(MD820、MD61、MD62)に対して非常に高い特異的を有する阻害剤に形質転換された。これらの結果は、表4に示す結果を裏付けるものである。プロテインC阻害剤(PCI)の反応ループに基づくMDCIのみが試験を行った2種類のカリクレイン(hK2及びhK3)を阻害することができた。 MD61及びMD62は、hK2に対して非常に高い親和性を有する阻害剤であり、野生型又は市販のα1−アンチキモトリプシンと比較して、(同一条件下において)3分間未満で全てのhK2タンパク質を阻害する。野生型又は市販のα1−アンチキモトリプシンは、同量のhK2を阻害するために12時間を超える培養を必要とする(データは示さず)。実施例2−1ヒトhK14に特異的な基質活性部位の作成 国際特許出願第PCT/IB2006/000574号(ローザンヌ大学)の開示内容を本願明細書に援用する。材料 以下の材料としては、市販の材料を使用した:エラスターゼ、トリプシン、キモトリプシン、血漿カリクレイン(Calbiochem)、ヒトラミニン10及び11(Chemicon)、ヒトコラーゲンIV(Life Technologies)、T4 DNAリガーゼ(Invitrogen)、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(Qbiogene)、Ni2+−ニトリロ三酢酸アガロースビーズ(Qiagen)、制限酵素(Roche、Amersham Pharmacia、Promega)、抗His抗体(Sigma)。オリゴヌクレオチドの合成は、Invitrogen及びSynergene Biotech GmbHによるDNAシークエンシングによって行った。ヒトカリクレイン2及び前立腺特異的抗原は、公知の方法によってヒト精漿から精製した(Frenette et al.,1997;Frenette et al.,1998)。マトリリン−4はR.Wagenerから寄贈を受けた。P.pastoris発現ベクトルpPICZαAへのKLK14のクローニング Superscript(商標)preamplification system(Gibco BRL,メリーランド州ゲイザースバーグ)を使用し、逆転写酵素によってファーストストランドcDNA合成を行った(鋳型:2μgのヒト小脳RNA(Clontech、カリフォルニア州パロアルト))。最終的な反応物質量は20μLだった。RT−PCRの効率を確認するために、アクチン(ハウスキーピング遺伝子)(ActinS:5’−ACAATGAGCTGCGTGTGGCT、ActinAS:5’−TCTCCTTAATGTCACGCACGA)に特異的なプライマーを使用し、1μLのcDNをPCRによって増幅した。予想された長さ(372塩基対(bp))を有するアクチンPCR産物を、臭化エチジウムによって染色した2%アガロースゲル上で可視化した。 1μLの小脳cDNA(鋳型)、100ngのプライマー(FPL6:5’−AGG ATG AGG AAT TCA TAA TTG GTG GCC AT(SEQ ID No.69)及びRPL6:5’−CCC ACC GTC TAG ACC ATC ATT TGT CCC GC(SEQ ID No.70))、50mM KCl、1.5mM MgCl2,200μMデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)、0.75μL(2.6U)のExpand Long Template PCRポリメラーゼミックス(Roche Diagnostics、ドイツ・マンハイム)を含む50μLの反応混合物内において、Eppendorf master cyclerを使用し、成熟hK14タンパク質の227個のアミノ酸(Genbank寄託番号AAK48524のアミノ酸25〜251に対応)をコードするKLK14cDNAのPCR増幅を行った。PCR条件は、94℃で2分間、94℃で10秒間、52℃で30秒間、68℃で1分間(40サイクル)とし、68℃で7分間の最終伸長を行った。PCRに続いて、増幅されたKLK14を2%アガロースゲル上において臭化エチジウムで可視化し、抽出し、EcoRI/XbaIで消化させ、標準的な方法(Sambrook et al.、1989)を使用して対応する制限酵素部位においてEasyselect(商標)Pichia pastoris expression system(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)の発現ベクターpPICZαAにライゲーションした。両方向においてベクター特異的プライマーを使用し、自動DNAシーケンサーによって構造中のKLK14配列を確認した。タンパク質の産生 PmeI線状化pPICZαA−KLK14及び空のpPICZαA(陰性対照)を、化学的に能力のあるP.pastoris酵母株X−33に形質転換し、相同組換えによって酵母ゲノムに組み込んだ。次に、形質転換したX−33細胞を、選択試薬としてZeocin(商標)を含むYPDS(1%酵母抽出物、2%ペプトン、2%ブドウ糖、1Mのソルビトール、2%寒天)プレートに播種した。安定した酵母形質転換体を製造者の推奨に従って選択し、プレート撹拌機(250rpm)上で緩衝グリセロール複合(BMGY)培地(1%酵母抽出物、2%ペプトン、100mMリン酸カリウム(pH6.0)、1.34%酵母窒素原基礎培地、40mg/Lのビオチン、1%グリセロール)内において30℃で一晩接種し、BMMY(1%グリセリンの代わりに0.5%メタノールを使用する以外はBMGYと同じ)内においてOD600=1.0に希釈し、上述した条件で6日間培養した(1%メタノールを毎日補充)。上清を遠心分離(4000xg,20分間)によって回収した。タンパク質の精製 組換え型hK14を、AEKTAFPLCクロマトグラフィーシステム(Amersham Biosciences、ニュージャージー州ピスキャタウェイ)の5mL HiTrap(商標)カルボキシメチル(CM)セファロースFast Flowカラムを使用したカチオン交換によって酵母培養上清から精製した。上清を0.22μmのディスポーザブルフィルターで濾過し、Amicon(商標)YM10膜(Millipore Corporation、マサチューセッツ州ベッドフォード)を使用した限外濾過によって50倍に濃縮した。次に、濾過・濃縮した上清をAEKTAFPLCシステムのインジェクタに導入し、0.8ml/分の流量で5mLの10mM MES緩衝液(pH5.3)で平衡化したCMセファロースカラムに添加した。カラムを上述した平衡緩衝液で洗浄し、吸着されたhK14を10mM MES(pH5.3)内において150mLのKClで3ml/分の流量で0〜1Mに溶離した。5mLの溶出画分を回収し、分析した。hK14を含む画分をプールし、Biomax−10 Ultrafree(登録商標)−15の遠心分離フィルタ装置(Millipore Corporation、マサチューセッツ州ベッドフォード)を使用して10倍に濃縮した。精製hK14のタンパク質濃度を、ウシ血清アルブミン(Pierce Chemical Co.、イリノイ州ロックフォード)を較正に使用するビシンコニン酸方法(Smith et al.,1985)で測定した。組換え型hK14タンパク質の純度をSDS−PAGEによって分析し(Laemmli、1970)、クマシーブルー染色及び/又は抗hK14ポリクローナルウサギ抗体を使用したウェスタンブロット解析を行い(Borgono et al.,2003)、組換え型hK10について詳細に説明されているように、相同性をタンデム質量分析法で確認した(Luo et al.,2001)。ファージディスプレイペンタペプチドライブラリーのスクリーニング g3pに融合したランダムペンタペプチドのN末端に6個のHis残基を含む基質ファージライブラリーを生成するために、Lowman 博士(Genentech、カリフォルニア州サンフランシスコ)から入手したファージミドを改変した。6個のHis残基により、ファージはNi−NTAカラムに固定された。 ファージミドに挿入されるデュプレックスの調製は、5つのアミノ酸がNSS(N=A、T、G又はC、S=G又はC)によってコードされた変性オリゴヌクレオチドのPCR反応によって行った。得られたライブラリーは1.8×108個の形質転換体で構成され、全てのランダム配列を得るために十分だった。 ファージディスプレイ基質ライブラリーに対して、hK14によるスクリーニングを6回行った。簡単に説明すると、1mg/mLのBSAを含むPBS 1X内において基質ファージ(1011)と60μLのNi2+−ニトリロ三酢酸樹脂を培養し、4回洗浄(PBS 1X、BSA1mg/mL、5mMイミダゾール、0.1% Tween 20)して未結合のファージを除去し、50mMトリス、100mM NaCl、0.05% Triton(pH7.5)内において37℃で45分間にわたって65nM(最終濃度)のhK14に暴露した。放出されたファージを大腸菌XL1ブルーを使用して増幅し、精製後に以降のスクリーニングに使用した。対応するアミノ酸配列を決定するために、最後のスクリーニングで得られた32個のクローンのシークエンシングを行った。CFP−YFP蛍光基質の発現 供与体としてシアン蛍光タンパク質を使用し、受容体として黄色蛍光タンパク質を使用した組換え型の蛍光基質を公知の方法で作成した(Felber et al.,2004)。適当な制限部位(BssHII;SalI)を有する合成遺伝子を使用して、CFP及びYFPタンパク質の間のペンタペプチド(太字)を変更してCFP−XXXXX−YFP−6xHis組換えタンパク質を作成した。得られた組換えタンパク質は、CFP及びYFPタンパク質の間にGly−Ala−Leu−Gly−Gly−XXXXX−Gly−Ser−Thrを含んでいた。組換えタンパク質を製造するために、TG1細胞を対応する構造で形質転換し、Ni2+−NTAアガロースビーズを使用してアフィニティークロマトグラフィーで精製した。精製されたCFP−YFP組換え型基質の純度と量をLaemmliに従ってSDSゲル電気泳動によって評価し、クマシーブルー染色及び特異的抗His一次抗体(1/3000希釈)、マウス抗Fab二次抗体(1/50000希釈)及びECL装置(Amersham)を使用したウェスタンブロット解析を行った。全てのクローンは評価前にシークエンシングを行った。CFP−YFP蛍光基質を使用したKcat/Kmの直接定量及び特異性調査 各プロテアーゼ及び公知の方法で計算したKcat/Km値についてCFP−基質−YFPタンパク質の基質特異性を調べた(Felber et al.,2004)。簡単に説明すると、CFP−X5−YFPタンパク質の蛍光を、黒い96ウェルプレート内においてマイクロプレート蛍光リーダー(Bio−Tek Instruments, Inc.)を使用して測定した(440nm(±15)の励起並びに485nm(±10)及び528nm(±10)の発光)。150nMの濃度を有する各組換え型基質を、それぞれ8nM、0.1nM、0.3nM、2μM、10nM、10nM、0.5nMの最終濃度でhK14、キモトリプシン、トリプシン、PSA、hK2、血漿カリクレイン又はエラスターゼと培養した。反応は、反応緩衝液(50mMトリス(pH7.5)、100mM NaCl、0.05% Triton−X100)内において37℃で60分間行った。初速度判定のための酵素濃度は、基質リンカーを特異的に加水分解するが、陰性対照として使用したGGGGG基質を加水分解しないレベルに選択した。生成物の生成に対応する蛍光の外観を分光分析によって測定した(440nm(±15)の励起並びに485nm(±10)の発光)。SDS−PAGEで評価した各ペプチドの完全加水分解から得られた検量線に基づき、傾きを1秒毎に発生する生成物のnm単位に変換した。反応速度パラメータkcat/Kmは、推定Kmでよりもかなり低い基質濃度を使用して疑似一次条件下で決定した(Felber et al.,2004)。 開裂産物をSDSポリアクリルアミド・ゲル電気泳動によって分離し、Immobilon二フッ化ポリビニリデン膜(Bio−Rad)に移し、Applied Biosystems(Model ABI493A)シーケネータを使用して、自動エドマン分解を行って開裂部位を決定した。hK14のためのファージ基質の選択 基質ファージライブラリーをhK14に対してパニングし、加水分解活性によって開裂した基質を選択した。開裂したファージは大腸菌TG1細胞で増幅し、酵素消化とスクリーニングを5回行った。放出ファージの量は各回毎に増加し、各選別後のより多数のhK14感受性ファージの存在を示唆している。最後のスクリーニングで得られた32個のファージペプチドのアミノ酸配列をシークエンシングによって決定した。基質領域に対応する配列を表1に示す。選択され、開裂したペプチドの69%は、hK14のトリプシン様活性について予想されたようにP1位置に塩基性残基を有し、31%のペプチドはP1位置にキモトリプシン様酵素に特異的なチロシン残基を有していた。hK14による基質加水分解の反応速度特性 ファージディスプレイ分析からの配列がhK14の基質であることを確認し、開裂部位を特定するために、選択された全てのペプチドを蛍光基質形態に構成した。基質系は、基質によって結合されたCFPからYFPまでのエネルギー伝達に基づくものである。プロテアーゼによるリンカーの開裂により、2つのフルオロフォアは分離され、エネルギー輸送のロスが生じる。そのため、485nm(CFP発光の波長に対応)における供与体の蛍光強度の上昇を測定することによって基質の加水分解を評価することができる(Mitra et al.,1996;Felber et al.,2004)。 全ての基質は、可変有効性レべル及び2000〜481,000M−1s−1のKcat/Km値でhK14によって加水分解された。開裂の特異性は、hK14によって加水分解されないCFP−GGGGG−YFPによって実証した(図示せず)。 200,000M−1s−1を超えるKcat/Km値を有する最も良いhK14基質はP1位置にArgを有していたため、hK14感受性のための好ましいP1アミノ酸はArgであることを示唆している(表1)。興味深いことに、hK14によって最も効率的に開裂した4つのペプチドのうちの2つはP2位置にGlnを含んでいた。一方、様々なアミノ酸がP1’位置に見られ、P1’位置には有意な嗜好がないことを示している。しかしながら、2つの基質はP1’位置にアスパラギン酸を有し、比較的効率的に開裂した。 一方、P1位置にLysを有する全ての基質は、34,000M−1s−1以下の低いKcat/Km値で開裂した。同様に、P1位置にチロシンを有する基質の開裂速度は、134,000M−1s−1のKcat/Km値を有するペプチドG9以外は非常に低かった。P1位置にリジン又はチロシンを有する基質の約50%がグリシン残基を有していたP1’位置を除き、アミノ酸は他の位置において復元されなかった。ただし、P1’位置に見られたグリシン残基の大部分は、選択されたペンタペプチド基質(選択されたペプチドの位置5はLys又はTyr残基)に隣接するファージリンカー領域に由来するものだった。好ましい選択された基質の特異性 選択された基質の多くは他のプロテアーゼによる開裂に潜在的な感受性を有するモチーフを含んでいたため、hK2、血漿カリクレイン、PSA、キモトリプシン、トリプシン、エラスターゼがhK14基質を開裂させる程度を測定した(表8)。各基質は、基質リンカーを特異的に開裂させるが、GGGGG対照基質を加水分解しない酵素濃度で試験を行った。 予想通り、トリプシン様基質のほとんどは、hK14選択性と厳密な相関を有していない可変的な有効性でトリプシンによって開裂した。例えば、ペンタペプチドVGSLR及びRQTNDはhK14に最も適した基質だが、約50,000,000M−1s−1のKcat/Km値を示すLSGGR等の他のペプチドと比較して、トリプシンによってそれほど効率的に開裂しなかった。一方、P2位置にGlnを有するぺプチドは、hK14及びトリプシンの好適な基質だった。低いトリプシン様hK14活性を有する2つのhK14基質(RVTST及びVVMKD)並びにキモトリプシン様hK14活性を有する5つの基質のうちの4つはトリプシンによって開裂しなかった。 hK14、キモトリプシン及びエラスターゼに対してほとんど同じkcat/Km値を有する基質TVDYAを除き、全てのキモトリプシン様基質はキモトリプシンによってhK14よりも効率的に開裂した。また、エラスターゼは、PSAによってわずかに開裂する2つの選択されたペプチドTSYLN及びYQSLNを分解した。 好ましい基質は、hK1、hK2、PSA、PK等の他のヒトカリクレインと比較してhK14に対して高い選択性を示した。hK2のみが、hK14の少なくとも5倍低いKcat/Km値でトリプシン様基質のほとんどを分解した。例えば、NQRSSペプチドは、hK2及びPKよりも27倍及び78倍hK14に対して選択的であり、F3ペプチドは高いhK14特異性を示し、別のカリクレインによる開裂を全く検出できなかった。実施例2−2材料 以下の材料としては、市販の材料を使用した:エラスターゼ、トリプシン、キモトリプシン、トロンビン、血漿カリクレイン(Calbiochem)、T4 DNAリガーゼ(Invitrogen)、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(Qbiogene)、Ni2+−ニトリロ三酢酸アガロースビーズ(Qiagen)、制限酵素(Roche、Amersham Pharmacia、Promega)、抗His抗体、アルカリホスファターゼ結合ヤギ抗マウス二次抗体(Sigma)。蛍光基質Z−Phe−Arg−AMC、Suc−Ala−Ala−Pro−Phe−AMC、Z−Gly−Gly−Arg−AMC、MeOSuc−Ala−Ala−Pro−Val−AMCはCalbiochem社から購入し、Boc−Val−Pro−Arg−AMCはBachemから購入し、Abz−Thr−Phe−Arg−Ser−Ala−Dap(Dnp)−NH2はNeosystemから購入した。オリゴヌクレオチドの合成は、Invitrogen及びSynergene Biotech GmbHによるDNAシークエンシングによって行った。ヒトカリクレイン2、5、13、14は酵母系で製造した(Yousef et al.,03c;Kapadia et al.,03;Borgono et al.,03)。ヒトカリクレイン6は293ヒト胎児腎臓細胞系で製造し、ヒトカリクレイン8はバキュロウイルスベクター及びHighFive昆虫細胞を使用して製造した(Little et al.,97;Kishi et al.,03)。HK6及びhK8はLys−Cで活性化した(Shimizu et al.,98)。組換え野生型AAT及びACT並びにそれらの変異体の発現ベクターの構築ヒトAAT cDNA(Invitrogen、英国)を、オリゴヌクレオチド5’−TATGGATCCGATGATCCCCAGGGAGA3’(SEQ ID No.71)及び5’−CGCGAAGCTTTTATTTTTGGGTGGGA3’(SEQ ID No.72)を使用してPCRによって増幅した。増幅したAATの遺伝子のBamHI−HindIIIフラグメントをベクターpQE9(Qiagen、ドイツ)にクローニングし、N末端His6−タグを有する成熟AATのオープンリーディングフレームを含むプラスミドpAATを得た。KasI及びBsu36I制限部位を生成するサイレント突然変異を、RSLドメインのP1コドンの24bp上流及びと11bp下流においてpAAT24に導入した。制限部位は、Stratagene社のquickchange変異誘発プロトコルに従って、KasI部位についてはオリゴヌクレオチド5’−ACTGAAGCTGCTGGCGCCGAGCTCTTAGAGGCCATA−3’(SEQ ID No.73)を使用し、Bsu36I部位については5’−GTCTATCCCCCCTGAGGTCAAGTTC−3’を使用して作成した。野生型ACTを発現するプラスミドの構築は文献に記載されている(Cloutier et al.,2004)。 rAAT及びrACT変異体は、適当な鋳型オリゴヌクレオチド:rAATE8、5’−CCATGTTTCTAGAGGCTCTGCAGCGTGCTATCCCGCCTGAGGTCAAGTT−3’(SEQ ID No.75);rAATG9、5’−CCATGTTTCTAGAGACCGTTGACTACGCTATCCCGCCTGAGGTCAAGTT−3’(SEQ ID No.76)、rACTE8、5’−TACCGCGGTCAAAATCCTGCAGCGTGCTATCCTGGTGGAGACGCGTGA−3’(SEQ ID No.77)、rACTG9、5’−TACCGCGGTCAAAACCGTTGACTACGCTGCTCTGGTGGAGACGCGTGA−3’(SEQ ID No.78)から増幅した対応するDNAフラグメントでRSL領域を置換することによって製造した。鋳型は、隣接領域に対応するプライマー5’−GCTGGCGCCATGTTTCTAGAG−3’(SEQ ID No.79;AAT変異体1)、5’−TTGTTGAACTTGACCTCAGG−3’(SEQ ID No.80; AAT変異体2)及び5’−GTACCGCGGTCAAA−3’(SEQ ID No.81;ACT変異体1)、5’−TCACGCGTGTCCAC−3’(SEQ ID No.82; ACT変異体2)を使用して増幅した。得られたPCRフラグメントは、KasI/Bsu36IフラグメントとしてpAATにクローニングし、MluI/SacIIフラグメントとしてrACTWT構造にクローニングし、DNAシークエンシングによって確認した。位置P4及びP2’間の反応部位ループにおける変化を表9に示す。組換え型セルピンの発現と精製 組換え型セルピンは大腸菌株TG1を使用して製造した。100μg/mLのアンピシリンを含む2×TY培地(16gトリプトン、10g酵母抽出物、5g/L NaCl)において細胞を37℃で増殖させた(A600=0.5〜0.7)。イソプロピルチオ−β−D−ガラクトシド(IPTG)を添加し(最終濃度:0.5mM(rACTタンパク質の製造)又は0.1mM(rAATタンパク質の製造))、18℃で16時間にわたって組換え型セルピンを発現させた。細胞を遠心分離によって回収し、0.1体積の冷却したPBS 2Xに再懸濁した。氷上においてリゾチーム(0.5mg/mL)と共に45分間にわたって培養した後、可溶性細胞質タンパク質を4回の凍結/解凍サイクルによって抽出し、DNAをDNアーゼIで分解した。細胞片を遠心分離によって除去し(25分、17,500g)、Ni2+−ニトリロ三酢酸アフィニティアガロースビーズを4℃で90分間にわたって上清に添加し、組換え型セルピンに結合させた。樹脂を50mMトリス(pH7.5)、150mM NaCl,20mMイミダゾールで3回洗浄し、結合したタンパク質を50mMトリス(pH7.5)、150mM NaCl、150mMイミダゾールで溶離させた。溶離したタンパク質を50mMトリス(pH7.5)、150mM NaCl、0.01% Triton X−100を使用して4℃で16時間透析し、タンパク質の純度をクマシーブルー染色SDS−PAGEによって評価した。タンパク質濃度は、ウシ血清アルブミン(Pierce Chemical Co.、イリノイ州ロックフォード)を標準として使用するビシンコニン酸方法(Smith et al.,1985)で測定した。AATE8、ACTE8、AATG9、ACTG9をトリプシン及びキモトリプシンによってそれぞれ滴定した。阻害化学量論(SI) rAAT、rACT及びそれらの変異体のSI値を、各プロテアーゼを各濃度の阻害剤と培養することによって測定した。反応緩衝液(50mMトリス(pH7.5)、150mM NaCl、0.05% Triton X−100、0.01%BSA)内において37℃で4時間培養した後、残留活性を蛍光基質(Boc−Val−Pro−Arg−AMC)を添加して検出した。蛍光は、黒い96ウェルプレート内においてマイクロプレート蛍光リーダーFLx800(Bio−Tek Instruments,Inc.)を使用して測定した(340nm(±15)の励起並びに485nm(±10)の発光)。SI値は、断片的速度(阻害酵素反応の速度(vi)/非阻害酵素反応の速度(v0))と酵素に対する阻害剤のモル比([Io]/[Eo])の線形回帰分析の切片に対応する。反応速度分析 hK14と各阻害剤の相互作用の会合速度定数を、疑似一次条件下においてプログレス曲線法を使用して調べた(Morrison and Walsh,1988)。これらの条件において、所定量の酵素(2nM)を各濃度の阻害剤(0〜80nM)及び過剰の基質(20μM)と混合した。反応は反応緩衝液(50mMトリス(pH7.5)、150mM NaCl、0.05% Triton X−100、0.01% BSA)内において37℃で45分間行い、FLx800蛍光96ウェルマイクロプレートリーダー(Biotek、米国)を使用して生成物形成速度を測定した。阻害は反応過程において不可逆的であると考えられ、酵素活性は生成物の生成(P)(開始速度:vz)で表され、時間(t)とともに一次速度(kobs)(阻害剤濃度のみに依存する速度定数)で阻害される。 4つの異なる濃度の各阻害剤について、式1を使用したデータの非線形回帰法によってkobsを算出した。阻害剤濃度[I]に対してkobsをプロットすることにより、二次速度定数(k’)(曲線の傾きと等しい(k’=Δkobs/Δ[I])を決定した。阻害剤と基質間の競合のために、基質濃度[S]及び基質に対する酵素のKmを考慮に入れて下記式2を使用して二次速度定数(k)を補正し、kaを得た。 MeOSuc−VPR−AMCの場合のhK14のKmは8μMだった。ただし、hK14プロテアーゼの純度及び特異的活性に応じてKmは変動する。酵素−阻害剤複合体のSDS−PAGE分析 所定量(1〜2μg)の阻害剤を、SI値の0.5倍、1倍又は2倍に対応する量のhK14と共に、反応緩衝液(50mMトリス(pH7.5)、150mM NaCl、0.05% Triton X−100)内において4時間培養した。試料を90℃で10分間加熱し、還元条件下で10%SDSゲルに溶解し、クマシーブルー染色によって可視化した。組み換え型rAAT及びrACT変異体の阻害特異性(表9) 2nMのトリプシン、キモトリプシン、血漿カリクレイン、ヒト好中球エラスターゼ又はトロンビン及び10nmのhK2、hK3、hK5、hK6、hK8、hK13又はhK14を、100nM又は500nMの組換え型阻害剤と共に37℃で30分間培養した。蛍光基質(Z−Phe−Arg−AMC(トリプシン及び血漿カリクレイン)、Suc−Ala−Ala−Pro−Phe−AMC(キモトリプシン)、Z−Gly−Gly−Arg−AMC(トロンビン)、MeOSuc−Ala−Ala−Pro−Val−AMC(ヒト好中球エラスターゼ)又はAbz−Thr−Phe−Arg−Ser−Ala−Dap(Dnp)−NH2(ヒトカリクレイン))を添加して残留活性を検出した。複合体の安定性 SI値の0倍、1倍、2倍に対応する量の阻害剤と共にHK14(2nM)を培養した。反応緩衝液(50mMトリス(pH7.5)、150mM NaCl、0.05% Triton X−100、0.01%BSA)内において37℃で4、8又は24時間培養した後,20μMの蛍光基質(Boc−Val−Pro−Arg−AMC)を添加して残留活性を検出した。阻害反応の傾き(速度)を、阻害剤を使用しない場合の対応する反応の傾きで除算した。可溶性組換セルピンの設計と製造 hK14に特異的な阻害剤を開発するために、ファージディスプレイ法を使用してhK14について選択した2つの基質ペンタペプチドによってrAATwt及びrACTwtの切断性結合の周囲の5つの残基を置換した(Felber et al.,05)。hK14酵素活性のプロファイリングにより、hK14は二元的なトリプシン様活性及びキモトリプシン様活性を有することが示された。そのため、トリプシン様活性及びキモトリプシン様活性に特異的な2つの基質ペプチド(8E及びG9)を有する阻害剤を開発することにした。これらの基質の切断性結合をrAATwt及びrACTwtのP1−P1’に従って位置合わせした。セルピン変異体のRSL領域を表9に示す。 組換え型セルピンは可溶性の活性型として製造され、ニッケルアフィニティカラムを使用して一段階工程によって細胞質タンパク質から天然条件下で精製した。還元条件下でのSDS−PAGE分析により、各阻害剤及びrAAT及びrACT変異体の単一バンドは、わずかに速く移動するタンパク質AATE8を除いて、分子量に対応する45〜50kDaの見かけの大きさで移動することが明らかになった(データは示さず)。全ての阻害剤は、濃度測定分析によって95%を超える純度を有すると推定された(収率が1〜5mg/Lの範囲)。阻害化学量論、会合定数及び複合体安定度 阻害化学量論(SI)は、生理的条件(pH及びイオン強度)下で調べた。SIは、hK14分子を阻害するために必要な阻害剤分子の数を示す。SI値が1より大きい場合であっても滴定曲線は直線的であり、反応が完全に終了したことを示している。セルピン変異体のSI値は、7.4のSI値を有していたrAATE8以外は1〜1.5だった(表10)。野生型ACTは試験条件下でhK14と反応しなかったが、AATWT(SI値=1)はhK14に対する優れた阻害剤であることが判明した。ACTのRSL領域をhK14基質ペプチドで置換することにより、酵素に対する反応性を生じさせ、高い親和性を有する阻害剤を作成することができた。一方、AATWTを骨格として使用すると、全ての阻害剤は野生型ほど効率的ではなかったため、RSLの変性はそれほど好ましいものではなかった(表10)。 算出されたSI値は、SDS−PAGE分析によって示されるようにhK14との反応後のセルピンの開裂型及び複合体の比と一致していた(データは示さず)。各変異体を、SI値未満、SI値と同等又はSI値を超える、プロテアーゼに対する阻害剤の比率に対応する濃度のhK14と共に培養した。SDS−PAGE分析は、各セルピン変異体とhK14の共有結合型複合体(C)の形成を示し、見かけの分子量は様相値と一致していた。hK14濃度がSI値の0.5倍である場合には、明らかに非複合遊離hK14によって生成した分解型の複合体が観察された。 阻害剤複合体に加えて、hK14との反応によって加水分解された阻害剤のフラクションが生成し、分子サイズはRSLの反応部位又はその近傍において開裂したセルピンと一致していた。SI値が約1である場合には(AAT−G9、ACT−E8及びACT−G9)、フラクションの量は大きく減少した。一方、1を超えるSI値を有する唯一の変異体であるrAATE8はhK14との基質挙動を示し、不可逆的な複合体の形成ではなく、阻害剤の開裂型の蓄積が主として生じた。予想したとおり、比率[I]o/[E]oがSI値を超えていた場合には完全な阻害剤の存在が観察された(複合体の弱いバンド)。 予期せぬことに、AATG9について複合体の比較的遅い崩壊が観察された場合でも、複合体のほとんどはSDS安定であり(データは示さず)、8時間の培養後にhK14活性が再び現れた。 組換え型セルピンによるヒトhK14の阻害の反応速度分析は、hK14のモル比を変化させて過剰の阻害剤を使用して疑似一次条件下において行った。セルピンとの反応による酵素の時間依存的不活性化を連続的にモニターし、基質ターンオーバー率の減少を調べた。各セルピン濃度における反応のプログレス曲線を式1に当てはめ、速度定数(kobs)を示す数値を算出した。会合速度定数(ka)は、hK14阻害剤の濃度に対するkobs値の傾きから決定した。阻害剤骨格(AAT又はACT)にかかわらず、基質8Eで修飾した組換え型セルピンは、同等のG9阻害剤よりも優れたka値を示した。 キモトリプシン様基質(rAATG9及びrACTG9)で修飾したセルピンは、hK14に対する中程度の親和性のみを示し、会合定数は217,000及び74,000M−1s−1だった。一方、rACTE8は575’000M−1s−1の会合定数を有していた。組み換え型rAAT及びrACT変異体の阻害特異性 hK14阻害剤の阻害特異性を定義するために、精製した変異体と各種プロテイナーゼの反応を調べた。最初に、トリプシン、キモトリプシン、血漿カリクレイン、ヒト好中球エラスターゼ及びトロンビンを含む、広い特異性を有するプロテナーゼについて調べた。また、同じプロテアーゼファミリーに属する酵素(hK2、hK3、hK5、hK6、hK8、hK13)に対するhK14阻害剤の特異性を評価した(表11)。hK14を過剰の阻害剤([I]o/[E]o=50:1)と共に30分間培養した場合には、全ての修飾セルピン及びrAATwtについて残留活性は検出されなかった。これらの条件では、rACTwtのみがhK14に対して弱い阻害活性(17%)を示した。8E基質で修飾したセルピンは、他の酵素が阻害剤によって阻害されたため、中程度の特異性を示した。AATG9とACTG9について非常に高い特異性が観察され、キモトリプシン及びhK5(わずかに阻害)を除き、試験を行った酵素のいずれも阻害されなかった。実施例3活性hK14の製造と精製 ヒトカリクレイン14を上述したように製造及び精製した。ファージディスプレイ法を使用したhk14の基質ペプチドの選択 基質ファージライブラリーをhK14に対してパニングし、加水分解活性によって加水分解した基質を選択した。開裂したファージは大腸菌TG1細胞で増幅し、酵素消化とスクリーニングを5回行った。放出ファージの量は各回毎に増加し、各選別後のより多数のhK14感受性ファージを確認した。最後のスクリーニングで得られた32個のファージペプチドのアミノ酸配列をシークエンシングによって決定した。基質領域に対応する配列を表8に示す。選択され、開裂したペプチドの69%は、hK14のトリプシン様活性について予想されたようにP1位置に少なくとも1つの塩基性残基を有し、31%のペプチドはP1位置にキモトリプシン様酵素に特異的なチロシン残基を有していた。hK14による基質加水分解の反応速度特性 ファージディスプレイ分析からの配列がhK14の基質であることを確認し、開裂部位を特定するために、選択された全てのペプチドを蛍光基質形態に構成した。全ての基質は、可変有効性レべル及び2000〜481,000M−1s−1のKcat/Km値でhK14によって加水分解された。開裂の特異性は、hK14によって加水分解されないCFP−GGGGG−YFPによって実証した。 200,000M−1s−1を超えるKcat/Km値を有する最も良いhK14基質はP1位置にArgを有していたため、hK14感受性のための好ましいP1アミノ酸はArgであることを示唆している(表13)。興味深いことに、hK14によって最も効率的に開裂した4つのペプチドのうちの2つはP2位置にGluを含んでいた。一方、様々なアミノ酸がP1’位置に見られ、P1’位置には有意な嗜好がないことを示している。しかしながら、2つの基質はP1’位置にアスパラギン酸を有し、比較的効率的に開裂した。 一方、P1位置にLysを有する全ての基質は、34,000M−1s−1よりも低いKcat/Km値で開裂した。同様に、P1位置にチロシンを有する基質の開裂速度は、134,000M−1s−1のKcat/Km値を有するペプチドG9以外は非常に低かった。P1位置にリジン又はチロシンを有する基質の約50%がグリシン残基を有していたP1’位置を除き、アミノ酸は他の位置において復元されなかった。 選択された基質の多くは他のプロテアーゼによる開裂に潜在的な感受性を有するモチーフを含んでいたため、hK2、血漿カリクレイン、PSA、キモトリプシン、トリプシン、エラスターゼがhK14基質を開裂させる程度を測定した(表12)。各基質は、基質リンカーを特異的に開裂させる酵素濃度で試験を行った。 予想通り、トリプシン様基質のほとんどは、hK14選択性と厳密な相関を有していない可変的な有効性でトリプシンによって開裂した。例えば、ペンタペプチドVGSLR及びRQTNDはhK14に最も適した基質だが、トリプシンの場合に約50,000,000M−1s−1のKcat/Km値を示すLSGGRペプチド等の他のペプチドと比較して、トリプシンによってそれほど効率的に開裂しなかった。一方、P2位置にGlnを有するぺプチドは、hK14及びトリプシンの好適な基質だった。キモトリプシン様基質を除き、hK14基質(RVTST及びVVMKD)はトリプシンによって開裂しなかった。 hK14、キモトリプシン及びエラスターゼに対してほとんど同じkcat/Km値を有する基質TVDYAを除き、全てのキモトリプシン様基質はキモトリプシンによってhK14よりも効率的に開裂した。また、エラスターゼは、PSA及びTSYLNによってわずかに開裂する2つの選択されたペプチドTSYLN及びYQSLNを分解した。 選択された基質は、hK1、hK2、PSA、PK等の他のヒトカリクレインと比較してhK14に対して高い選択性を示した。hK2のみが、hK14の少なくとも5倍低いKcat/Km値でトリプシン様基質のほとんどを分解した。例えば、NQRSSペプチドは、hK2及びPKよりも27倍及び78倍hK14に対して選択的である。 本研究は、hK14の2種類のペンタペプチド基質であるトリプシン様基質及びキモトリプシン様基質を特定した。しかしながら、いくつかの芳香族残基を含む基質の選択にもかかわらず、hK14は、トリプシン様開裂特異性ではなく、キモトリプシン様開裂特異性を有していた。最も高いKcat/Kmを有する基質はP1位置にアルギニンを有しており、アルギニン酸に対する選択性を示している(表14)。一方、リジンはP1位置においてチロシンよりも適していないように思われる。これらのアミノ酸が同一のペプチド内に存在していた場合には、hK14チロシン残基の後に開裂した。また、キモトリプシン様基質の1つであるTVDYAは、リジン−P1基質(34,000M−1s−1)よりも有意に高い反応速度(134,000M−1s−1)を有していた。P1’位置に関してはhK14の選択性は観察されなかった。P1’位置では、最適な基質において小さく、荷電されていない疎水性の正又は負に荷電された残基等の異なるアミノ酸が見られ、他の周囲位置の分析により、hK14は様々なアミノ酸に受容され得ることが示された。これは、hK14がトリプシン又はキモトリプシンのような広範囲の活性を有することを意味するものではなく、状況に応じて異なる配列を開裂させる能力があることを示すものである。 トリプシン様活性に劣るとしても、hK14のキモトリプシン様活性は興味深いものである。本願発明者らの知る限りでは、カリスタチン及びいくつかの誘導ペプチドにおいてhK1によって開裂するPhe−Phe結合を除き、これが二元的活性を有するヒトカリクレインに関する最初の記載である。従って、hK14の特異性ポケットの立体配座は、基質P1位置において芳香族及び塩基性アミノ酸側鎖を収容し、hK14の二元的なキモトリプシン様活性及びトリプシン様活性をもたらす。hK14特異的阻害剤の開発 阻害剤の特異性を変化させるために、α1−アンチキモトリプシン(ACT)及びα1−アンチトリプシン(AT又はAAT)のRSLの修飾を行った。次に、選択された基質(G1、C11E5、8E、F3、F11、G9)をセルピンの反応部位ループに移植し、ヒトカリクレインhK14を阻害することができる新しい変異体を生成した。ぺプチドG1及びC11の配列を使用して二以上の阻害剤変異体を作成した。 より有効な比較ができるように、阻害化学量論(SI)及び阻害反応速度(ka)の決定は、全ての酵素について生理的なpH及びイオン強度条件下で行った。新たに作成したACT変異体のほとんどは、野生型ACTよりもhK14に対して低いSI値を示した。これらの変異体rACTC11、rACTC11D、rACTG9及びrACTE8は、hK14に対して最も低い阻害化学量論値(それぞれ4.8、2.8、1.5、1.2)及び最も高い会合定数(65,000、74,000、75,000、575,000 M−1s−1)を有していた。 ACTとは対照的に、セルピンAATwtは263,000M−1s−1の会合定数を有するhK14に適した阻害剤である。全てのAAT変異体はAATwtよりも低い会合定数を有していたが、それぞれ168,000、217,000、242,000、257,000及び63,000M−1s−1のkaを示すAATG1、AATG9、AATE8、AATG1g及びAATC11等の、AAT変異体のいくつかは高い反応速度でhK14と反応する。2種類のAT変異体のみがhK14を阻害しなかった。 トリプシン、ヒト好中球エラスターゼ、キモトリプシン、血漿カリクレイン(PK)、ウロキナーゼ(uPA)、トロンビンを含む酵素をスクリーニングし、hK14に対するSI値が10未満であるACT及びAAT変異体の阻害特異性を調べた(表18)。過剰の阻害剤([I]o/[E]o=50:1)と共に30分間培養した場合には、hK14は完全に(100%)阻害された。この条件下では、AATwt(100%阻害)と比較して、野生型ACTはhK14に対して17%の阻害活性を示した。これらのACT変異体のうち、2種類(rACTC11及びrACTC11D)はhK14に対する特異性を示し、トリプシンとキモトリプシン以外の酵素は阻害しなかった。AAT変異体の場合には、AATwtと比較して明らかに高いhK14に対する特異性を示した。AATG9はhK14に対して非常に特異的であり、トリプシン様プロテアーゼに対する反応性は示さなかった。 ACT変異体を阻害する他のhK14を、hK14に関連する組織カリクレインに対してスクリーニングした。試験を行ったカリクレインの異なったサブセットに対して部分的な阻害が観察された。 hK14ファージディスプレイ選択基質のRSL開裂部位の置換により、野生型セルピン(ACT及びAAT)はhK14に対して高い感受性を有する阻害剤(特に特有の反応性を示すAATG9)に変換された。本願発明者らの知る限りでは、これはhK14に特異的な阻害剤の開発に関する最初の報告である。いくつかの組換え型阻害剤がhK14以外の酵素を阻害したという事実は、トリプシン様プロテアーゼ間には基質相同性があるために驚くべきものではない。また、他の酵素に対する組換え型阻害剤の反応速度も測定する必要がある。実施例4 ネザートン症候群マウスモデルを使用し、局所投与によるMDPK67b(rACT6.7)の潜在的な皮膚病治療効果を調べた。設計例 2%ナトロソル(w/v)に2mg/mLの分子を添加した。処方は、トリプシン(代用生体内基質)に対するMDPK67b阻害性を維持する生体外拡散評価基準に従って選択した。溶液として調製した2mg/mLのMDPK67bを、分子シヤリングを防止するためにゆっくりと撹拌しながら、2%ナトロソル(w/v)及びPBS1X(pH7.4)に4℃で添加した。ヒドロゲルのない適切な阻害剤製剤を製造するために、混合物を撹拌しながら4℃で慎重に均質化した。塊及びシヤリングなく均質な製剤を得るために、ナトロソルは粉末としてMDPK67b溶液に添加した。 滅菌性を維持するために、溶液はオートクレーブ処理するか、0.22μmのフィルタで濾過した。 MDPK67b 2mg/mL/ヒドロキシエチルセルロース製剤は、4mgのMDPK67b、2mlのPBS1x(pH7.4)及び0.04gのナトロソルを含んでいた。製剤は、4℃で保存するか、一晩凍結乾燥した後に−20℃で保存した。生体内における使用前にMDPK67bのプロテアーゼ阻害性を生体外で調べた。 MDPK67bの潜在的治療効果は、病変重症度(低重症度(1)〜高重症度(4))の異なる12匹の遺伝子変異KLK5マウス群で評価した(図30)。第1群には0.3mlの賦形剤と2%ナトロソルを1日に1回与え、第2群には28日間にわたって2%ナトロソルに0.3mLのMDPK67bを添加(2mg/mL)して1日に1回与えた。この期間は、マウスモデルにおける2回の表皮更新に対応する。 マウスにおける病変重傷度及び病変サイズ表現型の変化を監視した。病変サイズは3日毎に測定し、病変重傷度は毎日調べた。結果(図31) MDPK67bを与えたKLK5遺伝子導入マウスとMDPK67bを与えていないKLK5遺伝子導入マウスを比較すると、賦形剤群(第1群)と比較してMDPK67b群(第2群)では病変サイズが減少した。賦形剤対照群のほとんどで病変サイズは増加したが、MDPK67b投与群のほとんどが病変サイズの減少を示した。 病変サイズの明らかな増加は、第1群の3匹及び第2群の1匹で観察された。病変サイズのわずかな増加は、第2群の1匹で観察された。第1群の1匹では変化が見られなかった。病変サイズの減少は、第1群の1匹及び第2群の3匹で観察された。防御効果は重傷度の低いマウスで大きいように思われた。 また、MDPK67bの局所投与によって病変重傷度は明確に影響を受けた。1MDPK67bを与えた被験動物の1匹は表現型の完全な復帰を示した。第2のMDPK67b投与マウスでは部分的な復帰が見られた。防御効果は重傷度の低いマウスで大きいように思われた。参考文献Barrett. 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Cancer Res 63, 3958-3965 (2003) セリンプロテアーゼ阻害剤又はセリンプロテアーゼ阻害剤活性を有するその生物学的に活性なフラグメントの、皮膚病を治療するための薬剤の調製における使用。 請求項1において、前記セリンプロテアーゼ阻害剤が組換え型阻害剤タンパク質である使用。 請求項1又は2において、前記セリンプロテアーゼが、カリクレイン、プラスミン、キモトリプシン(Chtr)、ウロキナーゼ(uPA)、トリプターゼ、好中球エラスターゼ(HNE)酵素及び/又はそれらの組み合わせからなる群から選択される使用。 請求項3において、前記カリクレインが、hK2、hK5、hK7、hK14及び/又はそれらの組み合わせからなる群から選択される使用。 請求項1〜4のいずれか1項において、前記皮膚病が、ネザートン症候群、アトピー性皮膚炎、乾癬、皮膚剥離症候群からなる群から選択される使用。 請求項5において、前記皮膚病がネザートン症候群である使用。 請求項1〜6のいずれか1項において、前記組換え型セリンプロテアーゼ阻害剤が、SEQ ID No.2、4、6、8、10、12、14及びセリンプロテアーゼ阻害剤活性を有するそれらの生物学的に活性なフラグメントからなる群から選択される使用。 請求項1〜6のいずれか1項において、前記セリンプロテアーゼ阻害剤が、SEQ ID No.39〜59及びセリンプロテアーゼ阻害剤活性を有するそれらの生物学的に活性なフラグメントからなる群から選択される使用。 哺乳動物における皮膚病を治療又は予防するための方法であって、組換え型セリンプロテアーゼ阻害剤又はセリンプロテアーゼ阻害剤活性を有するその生物学的に活性なフラグメントを含む医薬組成物を前記哺乳動物に投与することを含む方法。 請求項9において、前記セリンプロテアーゼが、カリクレイン、プラスミン、キモトリプシン(Chtr)、ウロキナーゼ(uPA)、トリプターゼ、好中球エラスターゼ(HNE)酵素及び/又はそれらの組み合わせからなる群から選択される方法。 請求項10において、前記カリクレインが、hK2、hK5、hK7、hK14及び/又はそれらの組み合わせからなる群から選択される方法。 請求項11において、前記皮膚病が、ネザートン症候群、アトピー性皮膚炎、乾癬、皮膚剥離症候群からなる群から選択される方法。 請求項12において、前記皮膚病がネザートン症候群である方法。 請求項9〜13のいずれか1項において、前記組換え型セリンプロテアーゼ阻害剤が、SEQ ID No.2、4、6、8、10、12、14及びセリンプロテアーゼ阻害剤活性を有するそれらの生物学的に活性なフラグメントからなる群から選択される方法。 請求項9〜13のいずれか1項において、前記セリンプロテアーゼ阻害剤が、SEQ ID No.39〜59及びセリンプロテアーゼ阻害剤活性を有するそれらの生物学的に活性なフラグメントからなる群から選択される方法。 皮膚病を治療又は予防するためのキットであって、組換え型セリンプロテアーゼと、必要に応じて試薬及び/又は取扱説明書と、を含むキット。 望ましくない皮膚状態を改善するための化粧組成物であって、薬学的有効量の組換え型セリンプロテアーゼ阻害剤又はセリンプロテアーゼ阻害剤活性を有するその生物学的に活性なフラグメントを含む化粧組成物。 請求項17において、前記セリンプロテアーゼ阻害剤が組換え型阻害剤タンパク質である化粧組成物。 請求項18において、前記セリンプロテアーゼが、カリクレイン、プラスミン、キモトリプシン(Chtr)、ウロキナーゼ(uPA)、トリプターゼ、好中球エラスターゼ(HNE)酵素及び/又はそれらの組み合わせからなる群から選択される化粧組成物。 請求項21において、前記カリクレインが、hK2、hK5、hK7、hK14及び/又はそれらの組み合わせからなる群から選択される化粧組成物。 セリンプロテアーゼ阻害剤又はその生物学的に活性なフラグメントの、望ましくない皮膚状態を改善するための化粧組成物の調製における使用。 組織試料における皮膚病の診断又は予後のための検出分析方法であって、検出可能な標識を有する組換え型セリンプロテアーゼ阻害剤に前記組織試料を接触させ、前記標識の量を測定し、前記測定された量を前記組織試料における疾患の有無に相関させることを含む方法。 【課題】組換え型セリンプロテアーゼ阻害剤又はセリンプロテアーゼ阻害剤として作用する治療化合物を有効成分とする、皮膚病の治療、診断又は予後のための医薬組成物の提供。【解決手段】表皮ではカリクレイン、ウロキナーゼ、プラスミン、トリプターゼ様好中球エラスターゼ酵素等、いくつかのセリンプロテアーゼが発現し、表皮性細胞増殖及び細胞分化、皮膚及び脂質バリアホメオスタシス、組織リモデリング等に関与し、また皮膚最外層の脱落前に生じる重要な事象である角質層デスモソームのタンパク質分解に関与しており、カリクレイン、プラスミン、ウロキナーゼ酵素を含むプロテアーゼ活性の上昇は、皮膚の炎症反応に関係があることから、皮膚病の治療、診断又は予後のための薬学組成物における有効成分としてのセリンプロテアーゼ阻害剤又はセリンプロテアーゼ阻害剤活性を有する生物学的に活性なフラグメントの提供。【選択図】図30配列表


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