生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_移植片対宿主病(GVHD)の予防および/または治療に使用するためのデフィブロタイド
出願番号:2013538335
年次:2013
IPC分類:A61K 31/7088,A61K 48/00,A61P 37/06


特許情報キャッシュ

マッシモ イアコベリ JP 2013545747 公表特許公報(A) 20131226 2013538335 20101112 移植片対宿主病(GVHD)の予防および/または治療に使用するためのデフィブロタイド ジェンティウム ソシエタ ペル アチオニ 507150965 特許業務法人 谷・阿部特許事務所 110001243 マッシモ イアコベリ A61K 31/7088 20060101AFI20131129BHJP A61K 48/00 20060101ALI20131129BHJP A61P 37/06 20060101ALI20131129BHJP JPA61K31/7088A61K48/00A61P37/06 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW IT2010000451 20101112 WO2012063272 20120518 20 20130513 4C084 4C086 4C084AA13 4C084MA17 4C084MA66 4C084NA14 4C084ZB082 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA16 4C086GA17 4C086MA01 4C086MA04 4C086MA17 4C086MA66 4C086NA14 4C086ZB08 本発明は、好ましくは造血幹細胞移植(HSCT)において、より好ましくは同種造血幹細胞移植において、ヒトにおける移植片対宿主病(GVHD)の予防および/または治療に使用するためのデフィブロタイドに関する。本発明の移植片対宿主病(GVHD)は、急性aGVHDおよび/または慢性cGVHD、好ましくは急性とすることができる。 移植片対宿主病(GVHD)は、同種造血幹細胞移植(HSCT)後に最も多い合併症である。GVHDは、ドナーが完全に適合した(HLA一致)同胞である場合でさえ、積極的な免疫抑制的な予防にもかかわらず発生しうる。これはレシピエントの抗原が存在する細胞とドナーの成熟細胞との間の相互作用の結果として起こるものである。 従来、GVHDは上皮細胞疾患とみなされている。急性GVHDに主に関わる3つの器官は、皮膚、消化管および肝臓である。これらの全てには、宿主の「環境」に対して関門を呈するという共通の特徴がある。慢性GVHDは同様に関門組織を攻撃する。眼、口腔、腸または生殖器の粘膜部の慢性乾燥症候群、および閉塞性細気管支炎において、粘膜の上皮性関門が関わっている。さらに、GVHDは、2つの期、すなわちHSCT後の初期に発生する急性期のGVHDと、移植の経過の後期にGVHDが出現する慢性期とに分かれる単一疾患とみなされることが多い。 最後に、従来の見解では、GVHDはサイトカイン誘発性である。移植前に施される前処置準備レジメンおよび感染症によって誘発される損傷が原因となって、炎症過程に関与する種々のサイトカインが放出され、GVHD反応が高まる。 デフィブロタイドは、一本鎖オリゴヌクレオチドの多分散混合物であり、活性化した内皮細胞に対して保護効果がある。前臨床試験によって、デフィブロタイドは、化学療法によって誘発される細胞死および細胞活性化からこの細胞を保護し、ヘパラナーゼのような内皮細胞誘発物質の、遺伝子発現、タンパク質レベルおよび活性を下方制御することが明らかになった。デフィブロタイドは、全身性出血を増悪せずに、凝血促進活性を低減し、刺激された内皮細胞の線維素溶解性を増加させる。HSCT後に重症の肝臓の静脈閉塞性疾患(VOD)に罹患した患者におけるデフィブロタイドの臨床試験では、患者の36から50%における完全回復、および35から42%における+100日目の生存が報告されている。デフィブロタイドの予防の役割は、前向き試験がなされていないが、有望であると考えられる。米国特許第4,985,552号明細書米国特許第5,223,609号明細書 本発明者らは、高リスクの小児科HSCT集団における標準的な診療(VOD予防なし)に対してのVODの防止において、デフィブロタイドの有効性および安全性を評価した。 定義 デフィブロタイドという用語は、動物組織および/または植物組織からの抽出によって得られるが、合成により作製することもできるポリデオキシリボヌクレオチドを指す。ポリデオキシリボヌクレオチドは、普通、アルカリ金属塩、通常はナトリウム塩の形態で使用され、通常、分子量は13から30kDaである(CAS登録番号:83712−60−1)。好ましくは、デフィブロタイドは、特許文献1および特許文献2に従って得られ、かつ/または参照によって本明細書に組み込まれる同特許文献1および特許文献2に記載された物理的/化学的特性を呈する。より特定すれば、デフィブロタイドはランダム配列の次式:P1〜5、(dAp)12〜24、(dGp)10〜20、(dTp)13〜26、(dCp)10〜20[式中 P=リン酸基、 dAp=デオキシアデニルのモノマー、 dGp=デオキシグアニルのモノマー、 dTp=デオキシチミジンのモノマー、 dCp=デオキシシチジンのモノマー。]を有するポリデオキシリボヌクレオチドの混合物であり、かつ/または以下の化学的/物理的特性を示す。電気泳動=均一な陽極移動度、および/もしくは吸光係数、260±1nmでのE1cm1% nm=220±10、および/もしくはE230/E260=0.45±0.04、および/もしくはモル吸光係数(リンについて)ε(P)=7.750±500、および/もしくは旋光性[α]D20°=53°±6、ならびに/または天然DNAおよび/もしくはh=15±5において%として示される可逆的濃色効果(reversible hyperchromicity)。 ヒトという用語は成人の対象および小児科集団などの任意の対象を指し、小児科集団という用語には、出生から18歳までの部分集団が意図されている。 aGVHDという用語は急性移植片対宿主病を指し、cGVHDという用語は慢性移植片対宿主病を指し、造血幹細胞移植(HSCT)に関して、同種という用語は健康な対象から(患者の)レシピエントへの移植を指す。 本発明は、好ましくは造血幹細胞移植(HSCT)において、ヒトにおける移植片対宿主病(GVHD)の予防および/または治療に使用するためのデフィブロタイドについて記載する。本発明の移植片対宿主病(GVHD)は、急性aGVHDおよび/または慢性cGVHD、好ましくは急性とすることができる。 本発明によれば、デフィブロタイドは、造血幹細胞移植(HSCT)の前および/または後にヒトに投与することができる。 本発明者らは近年、国際的無作為化比較非盲検試験を実施し、VODを発症する高リスクの小児科HSCT患者において、デフィブロタイド(Gentium S.p.A.)による予防と予防なしとを比較した。主要評価項目は、HSCT後+30日目までのVOD発生率で、盲検化された独立の審査委員会が判定した。副次的評価項目には、移植片対宿主病(GVHD)、VODに関係する臓器不全および死亡率を含めた。 合計356名の患者が組み入れ規準に合致し、静脈内投与デフィブロタイド治療群(n=180)または対照治療群(n=176)に無作為化されることについてインフォームドコンセントを提出した。VODは、デフィブロタイド治療群中の患者22名(12%)、および対照治療群中の患者35名(20%)において報告された(競合リスク、P=0.05、カプラン−マイヤー法、P=0.05)。同種移植レシピエントにおいて、急性GVHDの発生率および重症度は有意に低減した(それぞれP=0.005およびP=0.003)。VODに関連する臓器不全はデフィブロタイド治療群においてより少なく、腎不全の発生率では有意に低減した(1%対6%、P=0.02)。+100日目の死亡率はVODの患者において有意に高かった(25%対6%、P<0.001)。VOD診断後の死亡率は、デフィブロタイド治療群においてより低かった(患者4名対10名、P=0.1)が、全死亡率は2つの群で同等であった。両群の間で有害事象の発生率に差はなかった(87%対88%)。 デフィブロタイドは、VODの発生率を40%低減するとともに、急性GVHDの発生率および重症度を低減した。その安全性プロファイルは良好である。(ClinicalTrials.gov番号、NCT00272948) 方法 試験デザイン この試験は、Gentium S.p.Aの支援による第3相多施設共同無作為化試験とした。試験実施計画書および患者の同意書は、各参加施設の研究倫理委員会によって承認され、試験登録前に、患者および/またはその法定代理人から文書によるインフォームドコンセントを得た。 治療の割り当てについては、施設のデータ管理者が、無作為化配列にアクセスするコンピューターアルゴリズムを使用して生成した。無作為化は1:1で、施設で、および大理石骨病の診断によって層別した。血液病専門医3名および統計学者で構成する、独立のデータ安全性モニタリング委員会(DSMB)が、予め定めた間隔で、安全性および死亡率のデータを審査した。血液病専門医3名の、盲検化された独立の審査委員会(IRC)が、全ての疑われ記録されたVOD症例の診断を審査し、判定した。独立の統計学者がデータ解析を行った。 適任な患者は、年齢が18歳未満で、同種HSCTまたは自家HSCTの骨髄破壊的前処置を受け、以下のVODの危険因子、すなわち、先行肝臓疾患、2回目の骨髄破壊的HSCT、再発2回目を超える白血病の同種HSCT、ブスルファンおよびメルファランでの前処置、GOでの前治療、および遺伝性MAS、副腎白質ジストロフィーまたは大理石骨病の診断を少なくとも1つ有する患者とした。 治療 非盲検デフィブロタイド治療群に無作為化された患者については、試験薬を、1日につき体重1キロ当たり25mgで4回に分けた静脈内注入にて毎日投与した。デフィブロタイド予防を移植前処置レジメンと同日に開始し、+30日目まで継続した。または、+30日目より前に退院した場合は最低14日間継続した。対照治療群の患者には、VODに対する予防を施さなかった。 全身性のt−PA、治療用量のヘパリンまたは他の抗血栓薬での治療は不許可とした。ウルソジオールは許可した。 いずれかの群でVODを発症した患者には、全ての症状の完全回復または死亡まで、1日につき1キロ当たり25mgで、デフィブロタイドでの治療を施した。 転帰尺度 主要評価項目は、+30日目までのVODの発生率とした。試験責任医師が、VODを、変更を加えたシアトル基準に準拠し、2つ以上の基準が存在するものと定義して評価した。その基準は、ビリルビン1デシリットル当たり>2mg(1リットル当たり>34μmol)、肝腫大、腹水、および/またはベースライン時からの予期されない体重増加>5%(オリジナルのシアトル基準2の>2%体重増加を変更)である。 ビリルビンを含む臨床検査パラメーター(laboratory parameter)を、ベースライン時(前処置の前)および移植後に少なくとも週1回測定した。患者全員に、ベースライン時、および移植後にVODが臨床的に疑われたとき、腹部超音波検査を実施し、肝腫大および腹水の存在を確認した。盲検化した超音波検査報告書および臨床データを、疑われ診断されたVOD症例の判定のためにIRCに送付した。IRCの評価を主要な有効性解析において使用した。 副次的および探索的有効性パラメーターには以下を含めた。(a)+100日目まで、および+180日目までのGVHDの発生率および重症度(国際骨髄移植登録の指針(International Bone Marrow Transplant Registry index))。(b)+100日目までのMOFおよび死亡率:この試験は、MOFまたは死亡率を評価するよう委任されたものではないが、VODの重症度を評価するための複合のスコアリングシステムを使用して、これらの評価項目を一緒に解析した。このシステムによって、VODの患者における各臓器不全に1ポイントを割り当てた。その臓器不全とは、呼吸不全(酸素要求および/または人工呼吸器依存)、腎不全(ベースライン時クレアチニン値の倍増および/または透析依存)および脳症である。死亡には5ポイントを割り当てた(死因に関係なく)。VODでない患者にはゼロを割り当てた。各複合スコアの構成要素を個別にも解析した。(c)+180日目までの移植に関連する微小血管障害(TAM)31の発生率。 有害事象を+180日目まで記録し、MedDRAの用語集を使用してコード化した。 統計解析 実施計画書および統計解析計画に明記した通りに解析を実施した。サンプルサイズを、主要評価項目(+30日目までのVOD発生率)に基づいて推定した。VOD率を、対照治療群では30%、デフィブロタイド治療群では15%と推定した。片側有意水準0.025、検出力80%、および脱落率10%と想定すると、1治療群につき患者135名を必要とした。試験をデザインしたとき、小児におけるVOD発生率が不明であったため、実施計画書には、Denneのアルゴリズムに従って、計画された適応性のある中間解析を組み込み、1治療群につき患者120名が+30日目の主要評価項目に到達したとき、独立のDSMBが審査するようにした。DSMBから、サンプルサイズを、無作為化した患者合計360名に増やすよう勧告があった。 全てのデータ解析を、インフォームドコンセントを行って試験に無作為化された患者全員を含むITT(治療を意図した:intent−to−treat)集団について実施した。主要な有効性解析についてデフィブロタイド治療群に対する比較を、Taiらにおいて論じられている通りのKalbfleischおよびPrenticeによる累積競合リスクアプローチを使用して実施した。このアプローチでは、VODが原因ではない死亡、有害事象による試験の中断、および移植不全による2回目の移植の実施が競合リスクと考えられていた。裏付けとなる解析も、VOD発症率のカプラン−マイヤー法による推定を伴うログランク検定を使用して実施した。この場合、VODに罹患していない患者を、+30日目、判明している最後のフォローアップ、または競合リスク発生時のうちいずれか早い方で審査した。早期に中止したITT患者および重大な実施計画書違反のあったITT患者を除外して、副次的PP(試験計画書に適合した:per protocol)解析も計画した。 GVHDの発生率および重症度についての副次的有効性解析を、それぞれ、割合のZ−検定および2標本ウィルコクソン順位和検定を使用して行った。GVHDでない患者には重症度値0を割り当てた。 VOD複合スコアについての解析を、両側5%有意水準での正確確率ウィルコクソンの検定を使用して実施した。 各複合スコアの構成要素を、カイ二乗検定を使用して解析した。カプラン−マイヤー法による+100日目までの死亡までの時間の分布を、ログランク検定を使用して、各試験治療群で比較した。この場合、生存している患者を、+100日目または判明している最後のフォローアップのうちいずれか早い方で審査した。 安全性集団を、デフィブロタイド治療群については少なくとも1用量の試験薬を受けた患者全員、対照治療群については割り当てられた患者全員と定義した。安全性パラメーターを、重篤および非重篤な有害事象(AE)の度数分布表、臨床検査、および+180日目までの生存を使用して評価した。この場合、生存を、死因にかかわらず、HSCTから死亡までの間の日数として定義する。 結果 患者特性 2006年1月から2009年1月までの期間に、欧州11か国28施設での試験に患者360名を無作為化した。デフィブロタイド治療群中には患者181名を無作為化し、1名エラーがあり(不同意)、ITT集団中に患者180名となった。対照治療群中には患者179名を無作為化し、3名エラーがあり(不同意)、ITT集団中に患者176名となった。 試験集団の平均年齢は6.6歳であった。患者を各試験治療群に、年齢および性別に関して均等に配分した(表1)。原疾患、ドナーのタイプ、移植片のタイプ、およびVODの危険因子の発生率は治療群間で類似していた。 デフィブロタイド治療群に無作為化された患者には、試験薬を平均32.4日間(中央値35.0)投与した。デフィブロタイドをVODの治療に使用した場合、療法の平均期間はデフィブロタイド治療群では28.7日(中央値23.0)、対照治療群では21.7日(中央値18.5)であった。ウルソジオールを併用している患者数は治療群間で類似していた。 VOD発生率 VOD発生率は、デフィブロタイド治療群において、対照治療群と比較して40%低減した。ITT集団の解析は、デフィブロタイド治療群における+30日目までのVOD発生率が対照治療群に対して有意に低いことを示した(変更を加えたシアトル基準によると、累積発生率はそれぞれ12%対20%、競合リスクP=0.05、カプラン−マイヤー法P=0.05、表2)。PP集団の解析も、統計学的に有意な結果を示した(競合リスクP=0.02、カプランマイヤー法P=0.02)。 異なる基準間で結果の一貫性を探究するため、ボルティモア基準を適用して追加のサブセット解析を実施した。ボルティモア基準では、VOD診断に、他3つの基準である肝腫大、腹水または体重増加>5%のうち2つとともに、ビリルビン1デシリットル当たり>2mg(1リットル当たり>34μmol)を要件とする。本発明者らがボルティモア基準で特定したVOD症例はより少なかった(デフィブロタイド治療群中7%、対照治療群中13%、P=0.09、表2)。このデータは、有意ではないが、変更を加えたシアトル基準で観察された、VODにおける40%低減と一貫性がある。 GVHDに対するデフィブロタイドの効果 デフィブロタイド予防を受けた患者の+100日目までのaGVHDの発生率および重症度は有意に低かった。ITT集団のうちの同種HSCTレシピエントにおいて、aGVHDの発生率および重症度(グレード1から4)は、グレード1のaGVHDを除外した場合でさえ、デフィブロタイド治療群の方が対照治療群より有意に低かった(それぞれP=0.005およびP=0.003)(表3)。+180日目までの慢性GVHD(cGVHD)の発生率については試験治療群間で差がなかった。 デフィブロタイドは、aGVHDに対する保護効果があるにもかかわらず、望ましい移植片対白血病効果を妨害することはなかった。急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、他の白血病および骨髄異形成症候群を組み合わせた+100日目の再発率は、デフィブロタイド治療群では6%、対して対照治療群では8%であり、組み合わせた+180日目の再発率は、それぞれ7%および10%であった。 VODに関連するMOFおよび死亡 VODの重症度に対するデフィブロタイドの効果を評価するため、予め指定した複合スコアリングシステム(pre−specified composite scoring system)を使用して、+100日目までのVODに関連するMOFおよび死亡を定量化した。概して、デフィブロタイド治療群のVODに関連する臓器不全および死亡はより少なく、結果としてITT集団において統計学的に有意にスコアが低減した(ウィルコクソン検定、P=0.03)(表4)。特に、デフィブロタイド治療群の腎不全の発生率は、対照群と比較して統計学的に有意に低かった(1%対6%、P=0.02)。+100日目までの重症のVODに関連するMOFは、ボルティモア基準を満たした患者において有意に高かった(60%対32%、カイ二乗検定、P=0.04)。 +100日目時点のVODに関連する死亡率は、デフィブロタイド治療群の方が対照治療群より低かった(それぞれ2%および6%)が、この結果は統計学的に有意ではなかった(表4)。全死亡率は、+100日目および+180日目に評価したとき、2つの治療群において類似していた。 死亡率は、+100日目の時点で、VODの患者の方がVODでない患者より有意に高かった(それぞれ25%対6%、P<0.0001)。 概して、最も死亡に至ったAEは、「新生物、悪性および部位不明」(デフィブロタイド治療群および対照治療群において、それぞれ7%および8%)、および「感染症および寄生症」(それぞれ3%および6%)のカテゴリー中にあった。 TAM TAMの発生率は+180日目までに差がなかった(デフィブロタイド治療群および対照治療群において、それぞれ3%および4%)。 安全性 安全性集団には、デフィブロタイド治療群の患者177名および対照治療群の患者176名全員を含めた。AEの発生率(表5)、ならびに重篤な有害事象(SAE)および試験中断に至った事象の発生率は、治療群間で類似していた。合計207のSAEがデフィブロタイド治療群に割り当てられた患者108名において報告され、231のSAEが対照患者103名において報告された。試験責任医師が、デフィブロタイドに関係する可能性がある、可能性が高い、または確実であると考えた最も一般的なAEは出血であったが、出血の発生率は治療群間で類似していた。 考察 HSCTは、多くの疾患に唯一利用可能な治癒を提供するものであるが、その手順は、GVDおよび肝臓のVODを含む、レジメンに関係する毒性によって、依然として制限されている。実際、本発明者らの結果は、VODの患者の死亡率が、VODでない患者と比較してほぼ4倍高いことを示し、従来の知見を裏付ける。 この試験では、予防のデフィブロタイドがaGVHDの発生率および重症度を低減した。前処置レジメンによる皮膚、消化管および肝臓の内皮細胞の損傷がaGVHDの発病の一因となる。デフィブロタイドの内皮細胞に対する抗炎症効果および保護効果ならびにヘパラナーゼ遺伝子発現の下方制御によって、この結果を説明することができ、これは、デフィブロタイドの提案された作用機序と非常に一貫性があると考えられる。 総じて、デフィブロタイドは忍容性が高かった。出血の発生の頻度は両試験治療群において類似しており、このことは、これらの事象がデフィブロタイドの投与よりもSCTおよびVODに関係している可能性がある、ということを強力に示唆している。 したがって、本発明の目的は、好ましくは造血幹細胞移植(HSCT)において、より好ましくは同種造血幹細胞移植において、ヒトにおける移植片対宿主病(GVHD)の予防および/または治療に使用するためのデフィブロタイドである。本発明の移植片対宿主病(GVHD)は、急性aGVHDおよび/または慢性cGVHD、好ましくは急性とすることができる。 本発明によるデフィブロタイドは、造血幹細胞移植(HSCT)の前および/または後に、好ましくは同種造血幹細胞移植の前および/または後に投与することができる。 本発明によるデフィブロタイドは、1日につき10から60mg/kgの範囲の用量で、好ましくは1日につき20から40mg/kgの範囲の用量で、より好ましくは1日につき約25mg/kgの用量で、好ましくは投与される。kgは患者の体重を指す。本発明によれば、デフィブロタイドは、1日につき単回投与または反復投与で、好ましくは1日につき4回投与で投与することができる。 本発明によれば、デフィブロタイドは、好ましくは静脈内に投与され、より好ましくは水性溶液形態に製剤化される。参考文献 ヒトにおける移植片対宿主病(GVHD)の予防および/または治療に使用することを特徴とするデフィブロタイド。 前記移植片対宿主病は、急性または慢性、好ましくは急性であることを特徴とする、請求項1に記載のデフィブロタイド。 造血幹細胞移植(HSCT)の前および/または後に投与されることを特徴とする、請求項1に記載のデフィブロタイド。 前記造血幹細胞移植(HSCT)は、同種造血幹細胞移植であることを特徴とする、請求項3に記載のデフィブロタイド。 1日につき10から60mg/kg、好ましくは1日につき20から40mg/kgの範囲の用量で投与されることを特徴とする、請求項1に記載のデフィブロタイド。 1日につき約25mg/kgの用量で投与されることを特徴とする、請求項5に記載のデフィブロタイド。 1日につき単回投与または反復投与で、好ましくは1日につき4回投与で投与されることを特徴とする、請求項1に記載のデフィブロタイド。 静脈内に投与されることを特徴とする、請求項1に記載のデフィブロタイド。 水性形態で投与されることを特徴とする、請求項1に記載のデフィブロタイド。 動物組織および/または植物組織から、好ましくは哺乳動物の器官からの抽出によって得られることを特徴とする、請求項1に記載のデフィブロタイド。 好ましくは造血幹細胞移植(HSCT)において、より好ましくは同種造血幹細胞移植において、ヒトにおける移植片対宿主病(GVHD)の予防および/または治療に使用するためのデフィブロタイドが開示される。本発明の移植片対宿主病(GVHD)は、急性aGVHDおよび/または慢性cGVHD、好ましくは急性とすることができる。


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