生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_尿路感染症の予防又は治療
出願番号:2013215980
年次:2015
IPC分類:A61K 31/7004,A61K 36/18,A61P 31/04,A61P 13/02,A61P 43/00,A61K 36/00,A61K 31/19,A61K 31/353


特許情報キャッシュ

山本 徳則 柴田 玲 鈴木 哲 渕 真悟 JP 2015078151 公開特許公報(A) 20150423 2013215980 20131017 尿路感染症の予防又は治療 国立大学法人名古屋大学 504139662 萩野 幹治 100114362 山本 徳則 柴田 玲 鈴木 哲 渕 真悟 A61K 31/7004 20060101AFI20150327BHJP A61K 36/18 20060101ALI20150327BHJP A61P 31/04 20060101ALI20150327BHJP A61P 13/02 20060101ALI20150327BHJP A61P 43/00 20060101ALI20150327BHJP A61K 36/00 20060101ALI20150327BHJP A61K 31/19 20060101ALI20150327BHJP A61K 31/353 20060101ALI20150327BHJP JPA61K31/7004A61K35/78 CA61P31/04A61P13/02A61P43/00 121A61K35/78 XA61K31/19A61K31/353 5 OL 8 4C086 4C088 4C206 4C086AA01 4C086AA02 4C086BA08 4C086EA01 4C086MA02 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA82 4C086ZB35 4C086ZC75 4C088AB44 4C088AC04 4C088BA12 4C088BA14 4C088MA02 4C088NA14 4C088ZA82 4C088ZB35 4C088ZC75 4C206AA01 4C206AA02 4C206DA13 4C206MA02 4C206MA04 4C206NA14 4C206ZA82 4C206ZB35 4C206ZC75 本発明は尿路感染症の予防又は治療に関する。より詳細には、ナトリウム−グルコース共輸送担体2(SGLT2)阻害剤の使用に伴う尿路感染症を予防又は治療するための薬剤に関する。 尿路感染症は、尿路に進入した病原微生物が下部尿路(尿道、膀胱、前立腺)や上部尿路(尿管、腎臓)に感染することによって生ずる。尿路病原微生物の大部分は細菌であり、例えば単純性尿路感染症の70%〜95%は尿路病原性大腸菌(UPEC)によるものである。尿路感染症の治療には一般に抗菌薬が用いられるが、耐性菌の出現の問題やバイオフィルム形成による効果の減退の問題などがある(非特許文献1)。 UPECによる尿路感染症に対してマンノース又はその誘導体が有効であると報告されている。臨床でも、膀胱炎症例に対するマンノースの予防効果が報告されている(非特許文献2)。マンノース感受性凝集を示すUPEC群が、尿路上皮細胞上のマンノース受容体を介して感染することをマンノースは競合的に抑制し得る。実際にマンノースはヒト膀胱上皮細胞株へのUPECの接着を阻害し(非特許文献3)、マンノース誘導体はマウス膀胱へのUPECの接着および浸潤を抑制し、更にはバイオフィルム形成を阻害する(非特許文献4)。また、マンノースが組織球の遊走を刺激して免疫を活性化することも予測される。従って、尿中のマンノース濃度の上昇により、UPEC等による尿路感染に起因する尿道炎、膀胱炎、前立腺炎、尿管炎及び急性腎盂腎炎等の尿路感染症の予防または治療効果が期待される。 一方、クランベリー果実成分も尿路感染症に有効であることが報告されている(例えば特許文献1〜3を参照)。特開2001−342142号公報特開2009−249384号公報特開2012−171899号公報A. Mouraら、「Journal of Applied Microbiology」、2009年、第106号、p.1779-1791Kranjcec B, Papes D, Altarac S. D-mannose powder for prophylaxis of recurrent urinary tract infections in women: a randomized clinical trial. World J Urol. 2013 Apr 30.Kathleen A. Head、「Alternative Medicine Review」、2008年、第13巻、p.227-244Adinda Wellensら、「PLoS ONE」、2008年、第3巻、p.2040SGLT2阻害剤投与後の尿中糖量の増加量。各符号は、SGLT2阻害剤を投与していない時の尿中糖量を基準とし、そこからの増加量を示す。−;変化なし、+;微量、++;少量、+++;多量。SGLT2阻害剤投与後の、尿路上皮付着および尿中の大腸菌数の増加量。各符号は、SGLT2阻害剤投与前の大腸菌数を基準とし、そこからの増加量を示す。+;微量、++;少量、+++;多量。SGLT2阻害剤とマンノース併用後の、尿路上皮付着および尿中の大腸菌数の増加量。各符号は、SGLT2阻害剤投与前の大腸菌数を基準とし、そこからの増加量を示す。+;微量、++;少量、+++;多量。 ところで、新たな糖尿病治療薬として、ナトリウム−グルコース共輸送担体2(SGLT2)阻害剤が開発され、臨床応用されつつある。SGLT2阻害剤は、腎尿細管におけるグルコースの再吸収を阻害することによって血液中の過剰なグルコースを尿へ排出させ、血糖値を低下させる。従来の血糖降下薬と作用機序が異なることから、SGLT2阻害剤は糖尿病治療薬の新たな選択肢となり、また、従来の血糖降下薬との併用投与も可能である。このようにSGLT2阻害剤は画期的ともいえる薬剤であるが、副作用、特に尿路感染症が懸念される。そこで本発明は、SGLT2の使用よって生じ得る尿路感染症の予防又は治療に有効な手段を提供することを課題とする。 糖尿病症例では、(1)尿糖による大腸菌増殖、(2)免疫能の低下、及び(3)膀胱機能低下による尿路鬱滞、が原因で尿路感染症が生じることが知られており、SGLT2阻害剤を使用した場合には(1)の原因による尿路感染症の助長が懸念される。また、SGLT2阻害剤を服用して糖尿病が改善されたものの尿路感染症が発症してしまった場合、SGLT2阻害剤の服用を中止したり、尿路感染症の治療を行ったりすることになるが、それに伴って糖尿病が再び悪化する懸念もある。これらの点に着目し、以下に列挙する本願発明は、SGLT2阻害剤を使用した場合に尿路感染症が惹起ないし増悪してしまうという新たな課題に対するものであり、SGLT2阻害剤を使用する際にD-マンノース若しくはその誘導体又はクランベリー果実成分、或いはD-マンノース若しくはその誘導体とクランベリー果実成分の両方、を尿路感染症の予防又は治療の目的で投与するという新規戦略を採用する。 [1]SGLT2阻害剤の投与を受ける糖尿病患者に使用される、尿路感染症の予防又は治療剤であって、D-マンノース若しくはその誘導体又はクランベリー果実成分を含有する、予防又は治療剤。 [2]SGLT2阻害剤の投与を受ける糖尿病患者に使用される、尿路感染症の予防又は治療剤であって、D-マンノース若しくはその誘導体を含有し、クランベリー果実成分と併用される、予防又は治療剤。 [3]前記誘導体がD-マンニトール又はα−メチル−D-マンノシドである、[1]又は[2]に記載の予防又は治療剤。 [4]前記クランベリー果実成分がキナ酸及び/又はプロアントシアニジンである、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の予防又は治療剤。 [5]SGLT2阻害剤の投与を受ける糖尿病患者に対して、D-マンノース若しくはその誘導体、及び/又はクランベリー果実成分を投与するステップを含む、尿路感染症の予防又は治療法。 ここで、D-マンノース及びマンノース誘導体は、マンノース感受性凝集を示すUPEC群が尿路上皮細胞上のマンノース受容体を介して感染することを競合的に抑制する。また、UPECが浸潤すること及びバイオフィルムを形成することに対しても抑制ないし阻害効果を発揮し得る。更には、組織球の遊走を刺激して免疫を活性化することも期待できる。SGLT2阻害剤とD-マンノース(又はマンノース誘導体)の併用は互いに悪影響を及ぼさず、糖尿病と尿路感染症の両方に対して同時に対応できるという、当業者が通常予想する以上の効果を発揮する。一方、クランベリー果実成分はキナ酸とプロアントシアニジンを多く含み、UPECの接着を阻害する。D-マンノース若しくはその誘導体とクランベリー果実成分はいずれもUPECの尿路粘膜への進入を防御するが、その作用機序は異なる。従って、D-マンノース若しくはその誘導体とクランベリー果実成分を併用すると、一層効果的な尿路感染症の予防/治療が期待できる。 本発明の予防又は治療剤(以下、「本発明の尿路感染症改善剤」と呼ぶ)は、SGLT2阻害剤の投与に伴う尿路感染症の予防又は治療を目的とするものであり、SGLT2阻害剤の投与を受ける糖尿病患者に使用される。即ち、SGLT2阻害剤による治療を受けている糖尿病患者に対して本発明は適用される。 尿路感染症とは、病原微生物が下部尿路(尿道、膀胱、前立腺)や上部尿路(尿管、腎臓)に感染することによって生ずるものであり、膀胱炎、尿道炎、腎盂炎などの総称である。尿路感染症の定義は、尿中に1X106個以上の細菌が存在することである。マンノースまたはクランベリー果実成分により、細菌の尿路上皮への付着および侵入が阻害され、継続的に尿で洗い流されることで尿中の細菌数が減少し、尿路感染が予防/治療される。 SGLT2阻害剤は2型糖尿病治療薬として開発が進められている。本発明におけるSGLT2阻害剤は特に限定されない。SGLT2阻害剤を例示すると、イプラグリフロジン、カナグリフロジン、トホグリフロジン水和物、ルセオグリフロジン水和物、エンパグリフロジン、ダパグリフロジンである。 本発明の尿路感染症改善剤はD-マンノース若しくはその誘導体又はクランベリー果実成分を含有する。即ち、有効成分として、D-マンノース若しくはその誘導体が用いられるか(第1の態様)、或いはクランベリー果実成分が用いられる(第2の態様)。 D-マンノースは単糖の一種であり、単体として果実や果皮などに含まれる。また、多糖であるマンナンの構成成分である。マンノースは糖タンパク質の糖鎖の重要な構成成分でもある。D-マンノースは、木材、こんにゃく等に含まれるグルコマンナンやグアーガム等に含まれるガラクトマンナンを加水分解(酸分解、酵素分解など)することにより製造することができる。また、ヤシ油抽出残渣からも製造することができる(特開平11−137288、特開2010−22267)。一方、モリブデン酸塩を触媒としてグルコースから製造する方法や、微生物由来の酵素を利用した製造方法も報告されている(特開2001−231592)。植物のヘミセルロースを加水分解することなどによって得られたD-マンノースは液状であり、通常は不純物を含む。本発明では、この液状組成物をそのまま用いてもよいが、好ましくは、精製して純度を高めたものを使用する。D-マンノースの精製には、固液分離、膜分画、クロマトグラフィー、濃縮、乾燥、凍結乾燥など、公知の精製技術を用いることができる。 マンノースは糖タンパク質の糖鎖の重要な構成成分であるが、以前は糖鎖中のマンノースはグルコースから変換されると考えられていた。しかしながら近年、ラットにおいて経口摂取させたマンノースの87%が、腸で吸収された後、速やかに血中濃度が低下し(半減期30分)、ほぼ全ての器官で糖鎖合成に使われていることが明らかとなっている(Alton, G.; Hasilik, M.; Niehues, R.; Panneerselvam, K.; Etchison, J. R.; Fana, F.; Freeze, H. H. Direct utilization of mannose for mammalian glycoprotein biosynthesis. Glycobiology 1998, 8 (3), 285-295.)。生体内で利用されるマンノースは微量で、90%は30〜60分で尿中に排出され、残りの内99%は8時間以内に排出される。その間、血糖値に顕著な影響はない。 マンノース誘導体は、期待される効果、即ち、尿路感染症の予防又は治療効果を発揮する限り、特に限定されない。例えば、D-マンニトール又はα−メチル−D-マンノシドを本発明のマンノース誘導体として採用することができる。尚、D-マンノースとD-マンノース誘導体を併用することも可能である。この場合も、有効成分としてD-マンノース若しくはその誘導体を用いていることにかわりはないため、「D-マンノース若しくはその誘導体又はクランベリー果実成分を含有する」との要件を満たす。 クランベリーはツルコケモモ属の植物であり、ヨーロッパ、北アメリカ両大陸を原産とする。クラウリー(Crowley)、スティーブンス(Stevens)、ベンレアー(Benlear)、ピルグリム(Pilgrim)、アーリーブラック(Early black)、バークマン(Bergman)など、いくつかの品種が栽培されている。本発明ではクランベリーの果実成分を用いる。具体的には、果実の圧搾液(果汁)、果実の抽出液、果汁若しくは抽出液の濃縮液又は乾燥物などが用いられる。果実の抽出には水、アルコール(例えばエタノール)、グリコール、グリセリン等の極性溶媒を用いることができる。本発明の効果において特に重要な成分はキナ酸とプロアントシアニジンである。従って、通常は、これらのいずれか又は両者を含むクランベリー果実成分を用いる。 本発明の尿路感染症改善剤における有効成分の含有量は特に限定されない。本発明の尿路感染症改善剤には、期待される治療効果(又は予防効果)を得るために必要な量(即ち治療上有効量)の有効成分が含有される。本発明の尿路感染症改善剤の有効成分量は一般に剤形によって異なるが、マンノースについては、一日に摂取するD-マンノースの量が例えば100mg〜10gとなるように、約1重量%〜約99重量%の範囲内で設定する。クランベリー果実成分についても同様であり、一日に摂取するクランベリー果実成分の量が10mg〜5gとなるように、約1重量%〜約99重量%の範囲内で設定する。尚、マンノース誘導体の含有量はD-マンノースの含有量に準ずる。 本発明の尿路感染症改善剤の製剤化は常法に従って行うことができる。SGLT2阻害剤との配合薬としてもよい。製剤化する場合には、製剤上許容される他の成分(例えば、担体、賦形剤、崩壊剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤、無痛化剤、安定剤、保存剤、防腐剤、生理食塩水など)を含有させることができる。賦形剤としては乳糖、デンプン、ソルビトール、D-マンニトール、白糖等を用いることができる。崩壊剤としてはデンプン、カルボキシメチルセルロース、炭酸カルシウム等を用いることができる。緩衝剤としてはリン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等を用いることができる。乳化剤としてはアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、トラガント等を用いることができる。懸濁剤としてはモノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸アルミニウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム等を用いることができる。無痛化剤としてはベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビトール等を用いることができる。安定剤としてはプロピレングリコール、アスコルビン酸等を用いることができる。保存剤としてはフェノール、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルパラベン等を用いることができる。防腐剤としては塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸、クロロブタノール等を用いることができる。 製剤化する場合の剤形も特に限定されない。剤形の例は錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤である。 本発明の尿路感染症改善剤はその剤形に応じて経口投与又は非経口投与により投与される。好ましくは、服用が容易であること等の理由から、経口投与が採用される。本発明の尿路感染症改善剤を食品や栄養補助食品などに含有させることによって経口投与することも可能である。食品の例は穀類、野菜、食肉、各種加工食品、菓子・デザート類、牛乳、清涼飲料水、果汁飲料、珈琲飲料、野菜汁飲料であり、栄養補助食品の例はサプリメント、栄養ドリンクである。栄養補助食品の場合、粉末、顆粒末、タブレット、ペースト、液体等の形状で提供することができる。食品の形態で提供することによって、本発明における有効成分を日常的に摂取したり、継続的に摂取したりすることが容易となる。 一態様では、本発明の尿路感染症改善剤はD-マンノース若しくはその誘導体を含有し、クランベリー果実成分と併用される(第3の態様)。例えば、D-マンノース若しくはその誘導体とクランベリー果実成分を混合した配合剤として本発明の尿路感染症改善剤が提供されることになる。一方、D-マンノース若しくはその誘導体を含有する第1要素と、クランベリー果実成分を含有する第2要素からなる、2要素の形態で本発明の尿路感染症改善剤を提供することもできる。この場合、対象に対して同時又は所定の時間的間隔を置いて両要素が投与されることになる。ここでの「同時」は厳密な同時性を要求するものではない。従って、両要素を混合した後に対象へ投与する等、両要素の投与が時間差のない条件下で実施される場合は勿論のこと、片方の投与後、速やかに他方を投与する等、両要素の投与が実質的な時間差のない条件下で実施される場合もここでの「同時」の概念に含まれる。 以上の記述から自明な通り本出願は、SGLT2阻害剤の投与を受ける糖尿病患者に対して、D-マンノース若しくはその誘導体、及び/又はクランベリー果実成分を投与するステップを含む、尿路感染症の予防又は治療法も提供する。投与(服用)スケジュールとしては例えば一日一回〜数回、二日に一回、或いは三日に一回などを採用できる。投与スケジュールの作成においては、治療対象(糖尿病患者)の症状、性別、年齢、病態などを考慮することができる。D-マンノース若しくはその誘導体と、クランベリー果実成分の両方を投与する場合には、上記の説明の通り、これら両者を同時又所定の時間的間隔を置いて投与することになる。 SGLT2を投与すると尿中の糖(尿糖)が増加する。尿糖を栄養にしてUPECが増殖する。D-マンノース(若しくはその誘導体)又はクランベリーを投与すると尿中に排出され、上記の機序でUPECの尿路粘膜への進入を阻害する。SGLT2の投与による尿糖が増加するまでの時間(数十分)、尿糖を栄養にしてUPECが増殖するまでの時間(24時間〜48時間程度)、投与されたD-マンノース(若しくはその誘導体)又はクランベリーが尿中に排出されるまでの時間(数十分)を考慮すると、SGLT2の投与と同時又は投与直後、或いは投与後30分以内に本発明の尿路感染症改善剤を投与するとよい。1.D-マンノースによる尿路感染の予防・治療 SGLT2治療の投薬と同時にD-マンノース1g/日を経口で2週間〜4週間内服する。SGLT2投与数十分で尿中の尿糖が増加する(図1)。それを栄養に24〜48時間で大腸菌が増殖する(図2)。増殖する前にマンノースを経口投与することによって数十分で尿中マンノース濃度が上昇し、上記の機序で大腸菌の増殖、生体内侵入を防ぐことができる(図3)。2.D-マンノースとクランベリー果実成分の併用による尿路感染の予防・治療 SGLT2治療の投薬と同時にマンノース1g/日を経口で2週間〜4週間内服する。これに併せて、クランベリーシュース1缶(200ml)/日を併用する。SGLT2投与数十分で尿中の尿糖が増加する。それを栄養に24〜48時間で大腸菌が増殖する。大腸菌の増殖する前にD-マンノース及びクランベリージュースを経口投与することによって数十分で尿中濃度が上昇し、上記の機序で大腸菌の増殖、生体内侵入を防ぐことができる。作用機序の異なる、D-マンノース及びクランベリー果実成分を併用することにより、一層効果的な尿路感染症の予防/治療が期待できる。 本発明によれば、近尿細管上皮での糖の再吸収を阻害して血糖を低下させるという、ユニークな作用機序のSGLT2阻害薬を使用したときの合併症である尿路感染を効果的に予防/治療することができる。本発明の尿路感染症改善剤を使用した場合には、尿路感染症に対する現在の治療の主流である抗生物質と異なり、耐性菌の発生の危険性がない。 この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。 SGLT2阻害剤の投与を受ける糖尿病患者に使用される、尿路感染症の予防又は治療剤であって、D-マンノース若しくはその誘導体又はクランベリー果実成分を含有する、予防又は治療剤。 SGLT2阻害剤の投与を受ける糖尿病患者に使用される、尿路感染症の予防又は治療剤であって、D-マンノース若しくはその誘導体を含有し、クランベリー果実成分と併用される、予防又は治療剤。 前記誘導体がD-マンニトール又はα−メチル−D-マンノシドである、請求項1又は2に記載の予防又は治療剤。 前記クランベリー果実成分がキナ酸及び/又はプロアントシアニジンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の予防又は治療剤。 SGLT2阻害剤の投与を受ける糖尿病患者に対して、D-マンノース若しくはその誘導体、及び/又はクランベリー果実成分を投与するステップを含む、尿路感染症の予防又は治療法。 【課題】SGLT2の使用よって生じ得る尿路感染症の予防又は治療に有効な手段を提供することを課題とする。【解決手段】 D-マンノース若しくはその誘導体又はクランベリー果実成分を含有する、予防又は治療剤が提供される。【選択図】なし


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