生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_マンゴー種子油を用いた化粧品およびその製造方法
出願番号:2013181007
年次:2015
IPC分類:A61K 8/97,A61Q 19/00,A61Q 19/10


特許情報キャッシュ

野村 正人 呉 ▲しゅ▼嫻 田島 耕一郎 立花 伸哉 久馬 慎矢 JP 2015048330 公開特許公報(A) 20150316 2013181007 20130902 マンゴー種子油を用いた化粧品およびその製造方法 学校法人近畿大学 000125347 甲南化工株式会社 391045392 三原 靖雄 100074055 野村 正人 呉 ▲しゅ▼嫻 田島 耕一郎 立花 伸哉 久馬 慎矢 A61K 8/97 20060101AFI20150217BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20150217BHJP A61Q 19/10 20060101ALI20150217BHJP JPA61K8/97A61Q19/00A61Q19/10 4 4 OL 13 4C083 4C083AA121 4C083AA122 4C083CC04 4C083CC05 4C083CC23 4C083DD21 4C083DD23 4C083DD27 4C083DD31 4C083EE01 4C083EE03 4C083EE12 4C083FF01 この発明は、マンゴー種子油を用いたボディケア化粧品、特に、入浴時に用いるシャンプー、化粧石鹸、化粧水などの油脂原料である脂肪酸として利用する基礎化粧品である乳液,クリーム,液体ボディーシャンプーおよびその製造方法に関するものである。 従来、マンゴー(英名:Mango,学名:Mangiferaindica )は、ウルシ科の常緑高木で北インド地方およびマレー半島が原産であり、熱帯地方で広く栽培されており、品種は非常に多く、産地ごとにそれぞれの環境や住民の嗜好にあった品種改良が行なわれており、日本ではアーウィン種(通称アップルマンゴー)が主力となっている。 そして、マンゴーの果実は、果皮および果肉に抗酸化物質であるカロテノイドを多く含み、日常生活の中で食することにより、体内で発生するフリーラジカルの消去に寄与し、生活習慣病などの予防効果に関与している。 また、血中コレステロールを制御する機能を持つポリフェノールや粘膜の炎症に収斂薬として用いられるタンニン類も含まれており、葉や果皮は染料や香料等に使用されている。成熟した果実には果汁が多く含んでいることから、古くからジュースやシロップ、缶詰などに加工され市場に出荷されている。 一方、多様化する消費者ニーズは、副作用がなく皮膚にやさしい天然由来成分を使った自然派化粧品あるいはオーガニック化粧品が注目されている。 その例として、オリーブエキスを主体とした化粧品はアンチエージングや美白剤としての効果が期待でき、シアバターは低粘度で皮膚への浸透性に優れているため、化粧品油脂として多くの商品に利用されている。例えば、ウルシ科植物のマンゴ種子から抽出した種子核油を有効成分とする頭髪・頭皮化粧使用及び損傷毛の修復方法の技術が開示されている。特許文献1のように。 さらに、マンゴ核油とステロールエステルとを配合した口紅用組成物の技術が開示されている。例えば、特許文献2のように。特開平9−208435号公報特開平7−223924号公報 しかしながら、これらの技術には、化粧品、特にボディケア化粧品およびその製造方法に関する技術は開示されていないものであった。 そこで、この発明の課題は、果汁生産後に食品廃棄物として処分されるマンゴー種子(宮崎産マンゴー種子、台湾産マンゴー種子)から得られる油脂成分の相違を明らかにし、また、それぞれの油脂について、中和価、不けん化物の定量、けん化価、酸価、エステル価およびヨウ素価などの物性について、測定し、さらに消臭試験および抗菌試験を行い、その結果から化粧品乳液ならびに石鹸を試作し、香粧品としての評価を行なった上で、この油脂成分を活用し、化粧品として再利用するマンゴー種子油を用いた化粧品、特に、ボディケア化粧品およびその製造方法を開発・提供することにある。 そこで、この発明は、上記の課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、マンゴー種子から得られる油脂成分を利用して、この油脂成分が有する物性試験を始めとし、消臭効果、抗菌効果、そして洗浄効果に優れた,マンゴー種子油を用いた化粧品、特に、ボディケア化粧品およびその製造方法を開発・提供することにある。 この発明によると、宮崎県産および台湾産マンゴー種子から抽出した油脂について、グリセロール組成をGC分析したところ、図1および図2に示すように、宮崎県産および台湾産マンゴー種子ともにトリアシルグリセロールが主成分であることを確認し、マンゴー種子油は、化粧品への利用が期待できる。 さらに、入手容易な宮崎県産マンゴー種子油を利用して物性試験を行い、まず、中和価とけん化価から油脂を厚生する脂肪酸の平均分子量および油脂の平均分子量を求め、その結果、脂肪酸の平均分子量は248.7で、油脂の平均分子量は907.0であることを確認し、マンゴー種子油(宮崎県産)と市販品であるオリーブ油および大豆油と比べても、ヨウ素価の値が低く返敗を受けにくい油脂であることを確認することができた。 その結果、試験結果によると消臭効果に優れ、石鹸の泡立ちおよび消泡試験の結果においても泡立ち並びに消泡が良く、さらに、洗浄効果試験において、洗浄効果も優れた化粧品を得ることが期待できる等の効果を奏する。この発明に使用する宮崎産マンゴー種子油GCチャート図である。この発明に使用する台湾産マンゴー種子油GCチャート図である。この発明に使用する宮崎産マンゴー種子油の消臭試験を表す図面である。この発明に使用する宮崎産マンゴー種子油の消泡試験を表すグラフ図である。 以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明においては、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においては適宜変更可能である。 この発明の化粧品への利用の一実施例として実験・試作例として詳述すると、宮崎県産マンゴー種子油を用いて、宮崎県産マンゴー種子油4.5gに、植物性乳化ワックス1.65gを加え、内温60〜70°Cで加温し溶解した。ついで、精製水40mリットルを数回に分けて加え、20分間攪拌し、乳液を試作製造したものである。 次に、この発明の他の実施例を実験・試作例として詳述すると、精製水2.36gと水酸化ナトリウム0.88gを加え溶解させた後、内御が40°Cになるまで放冷し、同温度に加温した宮崎県産マンゴー種子油6.76gを少量ずつ加えながら攪拌し、全体が白くなり、トレースが出るまで攪拌した後、室温まで放置し固化し、石鹸を試作製造したものでる。 このように、本願発明の主要成分である宮崎産マンゴー種子油(台湾産マンゴー種子油も含む。)の物性試験、消臭試験、そして抗菌試験を行なった上で、その結果から化粧品乳液ならびに石鹸を試作し、香料品としての評価を行なったものであるが、試験は以下の方法で行なったものである。 実験操作 1. 試料について 入手したマンゴーは、平成24年度に収穫された宮崎県産および台湾産である。 2. 試料調製について 入手したそれぞれの種子(宮崎産712.5g,台湾産300.8g)を粉砕した後、ヘキサン(2000ml,700ml)にそれぞれ一週間室温で浸漬した。濾過後、ヘキサン部を留去し、黄色宮崎産マンゴー種子油69.7gと淡黄色台湾産マンゴー種子油12.1gを得た。ついで、それぞれのマンゴー種子油中の色素除去を目的に脱色剤であるガレオンアース処理し、それぞれ白色のマンゴー種子油を得た。 3. 機器分析について 3−1) 脂肪酸組成 それぞれのマンゴー種子油中の脂肪酸定量については、三フッ化ホウ素メタノール法を用いてメチルエステル化を行なった後、GC分析〔(株)島津製作所製GC−2014,分析条件;TC−70(φ0.25mm×60m),Colmn Temp.:190°C(30min hold)Injection Temp. :250°C,Detector Temp.:260°C,Carrier Gas :He〕でそれぞれの油脂成分を分析した。 3−2) グリセロール組成 それぞれの種子油中のグリセロール組成については、後述の「不けん化物の定量」の項と同様なGC分析条件〔(株)島津製作所製GC−2014,分析条件;TC−70(φ0.25mm×60m),Colmn Temp.:190°C(30min hold)Injection Temp. :250°C,Detector Temp.:260°C,Carrier Gas :He〕を用いて行なった。 3−3) 消臭試験 ノネナールおよびスカトールの消臭に関わる分析は、検出器としてFIDを用いたGC分析〔(株)島津製作所製GC−2014,Packed Column:(φ0.25mm×60mm),Colmn Temp.:120°C,Injection Temp. :200°C,Detector Temp.:200°C,Carrier Gas :N2 (50ml/min)〕により行なった。 一方、硫黄化合物である硫化ジメチル、二酸化ジメチル、ジアリルジスルフィドおよびアリルメルカプタンについては、検出器としてFPDを用いたGC分析〔(株)島津製作所製GC−2014,Packed Column:(φ0.25mm×60mm),Colmn Temp.:50°C,Injection Temp. :200°C,Detector Temp.:200°C,Carrier Gas :N2 (40ml/min)〕により行なった。 4. 物性試験について 次に、宮崎産マンゴー種子油を用いて、下記に示した物性試験を行なった。 (4−1) 不けん化物の定量について 前記明細書段落〔0018〕の項でマンゴー種子油から得た油脂1.0gに1N水酸化カリウムを溶解したエタノール混合溶液10mLを加え、1時間加熱還流した。反応終了後、ジエチルエーテル0.4 mLとエタノール2mLの混合溶媒に溶解し、1%フェノールフタレイン指示薬2〜3滴を加えた後、0.1 水酸化カリウム溶液を用いて滴定(A)した。この測定値を用いて、下記の式から混入する脂肪酸を標定した(F=0.1 N水酸化カリウム・エタノール溶液のファクターとする)。 残存脂肪酸(g)=A×F×0.0282 恒量(g)−残存脂肪酸(g) 不けん化物(%)=───────────── ×100 試料採取量(g) (4−2) けん化価について 前記明細書段落〔0018〕の項で得たマンゴー種子油から得た油脂0.8 gに、0.5 N水酸化カリウムを溶解したエタノール混合溶液25mLを加えた後、1時間加熱還流した。反応終了後、1%フェノールフタレイン指示薬2〜3滴を加えた後、0.5 N塩酸で滴定(A)した。 また、空実験として、同様の操作(B)を行なった。この測定値を用いて、下記の式からけん化価算出した。(F=0.5 N塩酸のファクターとする)。 28.05×(B−A)×F けん化価= ───────────── 試料(g) (4−3) 酸価について 前記明細書段落〔0018〕の項で得たマンゴー種子油から得た油脂2.0 gを、ジエチルエーテルとエタノール=2:1の混液溶媒20mLに溶解した。ついで、1%フェノールフタレイン指示薬2〜3滴を加えた後、0.1 N水酸化カリウム溶液で滴定(A)した。また、空実験として、同様の操作(B)を行なった。この測定値を用いて、下記の式から酸価を算出した。(F=0.1 N水酸化カリウム溶液のファクターとする)。 F 酸価=5.611×(A−B)× ──── 試料(g) (4−4) エステル価について 明細書段落〔0023〕で求めた「けん化価」の値と、明細書段落〔0024〕で求めた「酸価」の値の差からエステル化を算出した。 (4−5) ヨウ素価について 前記明細書段落〔0018〕の項で得たマンゴー種子油から得た油脂0.3 gにシクロヘキサン10mLを加え溶解した。ついで、ウィイス液25mLを加えて、常温で暗所に30分間放置した。その間時々振り混ぜた後、0.mg/mLのヨウ化カリウム溶液20mLと水100 mLを加えた。この混合溶液が微黄色に呈色するまで0.1 Mチオ硫酸ナトリウム標準溶液を加えた。つぎに、デンプン溶液を加え溶液の青色が消失するまで滴定し、終点(A)とした。また、空実験として、同様の操作(B)を行なった。この測定値を用いて、下記の式からヨウ素価を算出した。(F=0.1 mol /Lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクターとする。) 1.269×(B−A)×F ヨウ素価= ───────────── 試料(g) 5. 消臭試験 前記明細書段落〔0018〕の項で得たマンゴー種子油から得た油脂1.0 gにそれぞれの悪臭化合物を所定量加えて、密封下で反応させた。30分間放置後、残存濃度を GC で想定し、消臭率を算出した。(表2の説明) 消臭された悪臭濃度(ppm) 悪臭率(%)= ───────────── ×100 初期悪臭濃度(ppm) 6. 抗菌試験について 供試菌株として、古草菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌よび緑膿菌を用いて、菌液50μLを平板塗沫した。それぞれ標準寒天培地(ニッスイ製)、デゾキシコレート寒天培地(ニッスイ製)、マンニット食塩培地(ニッスイ製)、およびNAC寒天培地(ニッスイ製)を使用し菌液は50μLを平板塗沫した。試験方法としては、ペーパーディスク法(φ8mm濾紙)および直接法を用いて実施した。 試験方法の一例としては、マンゴー種子油0.2gに乳化剤0.01gと滅菌水2mLを添加した後、加温(45〜50°C)し、試験液とした。ペーパーディスク法では、試験液0μL,20μL,40μLおよび60μLを各培地の中のペーパーディスクに滴下した後、35°Cで24時間培養後の生育阻止円の半径を求めた。一方、直接法では試験液40μLを各培地に直接滴下後、35°Cで24時間培養し生育阻止円を求めた。 7. 化粧品の試作方法 化粧品への利用として、宮崎県産マンゴー種子油の乳液と石鹸の試作を明細書段落〔0034〕の項および同〔0035〕の項に準じて行なった。比較としてオリーブ油を用いて、乳液と石鹸を同様の操作で試作した。また、乳液は市販品である“ちふれ乳液しっとりタイプ”〔(株)ちふれ化粧品〕、石鹸は、カウブランド青箱〔牛乳石鹸共進社(株)〕を用いて比較した。 (7−1) 乳液の調製について 宮崎県産マンゴー種子油4.5gに植物性乳化ワックス1.65gを加え、内温60〜70°Cで加温し溶解した。ついで、精製水40nLを数回に分けて加え、20分間攪拌し乳液を試作した。 (7−2) 乳液の調製について 精製水2.36gに水酸化ナトリウム0.88gを加え溶解らせた後、内温が40°Cになるまで放冷し、同温度に加温した宮崎県産マンゴー種子油6.76gを少量ずつ加えながら攪拌し、全体が白くなり、トレースが出るまで攪拌した後、室温まで放置し固化した。次に、試作した石鹸を蒸留水に溶かし、pHを測定した。また、泡立ち試験として、メスシリンダーにマンゴー種子油石鹸、オリーブ油石鹸および牛乳石鹸をそれぞれ15mg入れて、40°Cの温水2mLを加えた後、400回激しく振りそれぞれの泡の高さを測定した。一方、消泡試験は泡立ち試験を行なった後、時間経過(1〜7時間)の泡の高さを測定した。因みに 1 オリーブ油石鹸 6.5cm 2 マンゴー種子油石鹸 5.2cm 3 市販石鹸 4.4cmであった。 (7−3) 洗浄効果試験について 化粧品の汚れとして口紅を、食品の汚れとしてお好み焼きソースを布に一定量つけ、歯ブラシで同じ回数こすり洗いを行い、それぞれの洗浄効果を評価した。 結果および考察について 入手した宮崎県産および台湾産マンゴー種子から抽出した油脂について、グリセロール組成をGC分析したところ、表4のピーク値(1)〜(6)に示すように、宮崎県産および台湾産マンゴー種子ともにトリアシルグリセロールが主成分であることを〔表3〕により確認した。 次に、それぞれのマンゴー種子油の脂肪酸組成を検討した結果、即ち,種子油をメチルエステル化し、GC分析により組成比を調べた結果、両方の種子油にはパルミチン酸メチルエステル、ステアリン酸メチルエステル、オレイン酸メチルエステル、リノール酸メチルエステルおよびリノレン酸メチルエステルを確認することができたことから、両方の種子油にはパルチミン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸が含まれていることを確認した。しかし、両マンゴー種子油の違いは宮崎産の種子油にはパルミトレイン酸が含まれていることを確認した。 また、両マンゴー種子油の脂肪酸組成で大きな違いは、オレイン酸が宮崎産では46%を占めているのに対して、台湾産では約44%であることを確認した。その他の脂肪酸については、いずれも台湾産のマンゴー種子油の方が僅かながら含有量が多く含まれていることも確認することができた。一方、これらの種子油の脂肪酸組成を他の植物油脂と比べると、化粧品などに利用されているシアバターに近い脂肪酸組成をもっていることが分かった(表4)。 このことから、マンゴー種子油は、化粧品への利用が期待でき、さらに、種子油の物性を明らかにする目的で、〔表5〕に掲載した試験を行なった。なお、入手容易な宮崎県産マンゴー種子油を利用して物性試験を行い、まず、中和価とけん化価から油脂を厚生する脂肪酸の平均分子量および油脂の平均分子量を求め、その結果、脂肪酸の平均分子量は248.7で、油脂の平均分子量は907.0であることを確認した。 また、マンゴー種子油(宮崎県産)と市販品であるオリーブ油および大豆油と比べても、ヨウ素価の値が低く変敗を受けにくい油脂であることを確認することができた。 脂肪酸分析からシアバターに近い脂肪酸組成であることを確認できたことから、香粧品への利用を考慮し、宮崎産マンゴー種子油を用いて、10種類の臭い成分に対する消臭試験(図3)を行なった。その結果、加齢臭の原因である2−ノネナールに対しては、その消臭効果が70%以上の値を示した。また、足の臭いの原因である3−Methylbutanoic acid (イソ吉草酸)に対しても70%の消臭効果があることを確認した。 しかし、シックハウス病の原因の一つとして考えられるホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドに対しては期待した消臭効果は発現しなかった。また、食材などから発生する悪臭(アンモニア、メチルメルカプタン)に対しても、著しい消臭効果は認められなかった。 つぎに、宮崎県産および台湾産のマンゴー種子油の抗菌活性(枯草菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌および緑膿菌)を検討した。阻止円を観察したところ、これら2種類の油脂には、ほとんど抗菌活性は認められなかった(図4) 化粧品への利用を目的に、2−ノネナールおよびイソ吉草酸に対して、とくに著しい消臭効果が確認できたことから、消臭効果がある化粧品乳液の試作について、宮崎県産マンゴー種子油を用いて行なったところ、比較品として市販品の乳液と試作したオリーブ油を主体とした乳液と比べたところ、マンゴー種子油を用いた乳液は、ボランティアによる調査では、粘性が強く、滑らかなクリーム状でしっとりとした感触があるとの評価を得ることができた。 また、皮膚へ塗布した後の経時変化を調査したところ、他の乳液よりも保湿力が高いとの評価を得ることができたことから化粧品原料としての利用が示唆されたものと考える。 また、2−ノネナールおよびイソ吉草酸に対する消臭効果が著しいことから、石鹸の試作について宮崎県産マンゴー種子油を用いて行なった。 試作した石鹸のpH測定を行なったところ、pH8.5を示し市販品の石鹸(pH8.7)とほぼ同じ値を示す弱アルカリ性であることを明らかにした。次に、試作した石鹸の泡立ち試験を行なった〔0038〕を参照。その結果、試作したオリーブ石鹸および市販品の石鹸の泡立ちに比べて良い泡立ちが観察されたが、泡の気泡が市販品の石鹸の法が濃密な泡であることを観察することができた。 一方、試作した石鹸の泡立ち試験で良好な結果を得ることができたことを踏まえて、泡の消泡効果を試作したオリーブ石鹸および市販品の石鹸を用いて比較検討した。その結果、時間経過ごとの泡の高さを確認した(図4)ところ、市販石鹸は数時間経過してもあまり消泡しないのに対し、試作したマンゴー種子油石鹸は7時間前後には泡が完全に消えることを確認することができた。 比較石鹸として試作したオリーブ油石鹸の消泡効果(5時間後に完全に消泡)には僅かながら及ばなかった。 試作したマンゴー種子油石鹸の特徴(泡立ち,消泡)を確認することができたことから、化粧品の汚れとして口紅を、食品の汚れとしてお好み焼きソースを用いて布洗浄効果も検討した。マンゴー種子油石鹸には市販石鹸あるいはオリーブ油石鹸よりも著しい洗浄効果があることを確認できた。 その効果理由としては、マンゴー種子油の油脂成分が洗浄力の高いステアリン酸とオレイン酸が主成分であることが大きな影響を及ぼしているものと考えられる。 この宮崎産および台湾産のマンゴー種子に対する生理活性を検討するにあたり脂肪酸組成を分析し比較したところ、両種子にはオレイン酸とステアリン酸が主成分として存在し、大きな相違は認められなかったことから、宮崎産マンゴー種子の油脂を使用して消臭試験を行なった。その結果、前述(〔0051〕〜〔0054〕)のように、身近な臭気成分(2−ノネナールおよびイソ吉草酸)に強い消臭効果があることを確認できた。 この結果を踏まえて、化粧品への利用が可能であると判断し、石鹸ならびに乳液を試作したところ、マンゴー種子油は、洗浄力が高い石鹸であることが判明した。また、マンゴー種子油はヨウ素価が低く変敗を受けにくい特徴を持っていることからも化粧品(乳液)などへの利用が示唆された。 この発明のマンゴー種子油を用いた化粧品およびその製造方法の技術を確立し、実施することにより、産業上利用できるものである。 宮崎県産、台湾産マンゴー種子油を、ボディケア化粧品、並びに基礎化粧品の主原料としたことを特徴とするマンゴー種子油を用いた化粧品。 宮崎県産マンゴー種子油4.5gに、植物性乳化ボックス1.65gを加え、内温60〜70°Cで加温し、溶解、精製水40mLを数回に分けて加え、20分間攪拌して構成するボディケア化粧品、並びに基礎化粧品であることを特徴とするマンゴー種子油を用いた化粧品の製造方法。 精製水2.36gに水酸化ナトリウム0.88gを加え溶解らせた後、内温が40°Cになるまで放冷し、同温度に加温した宮崎県産マンゴー種子油6.76gを少量ずつ加えながら攪拌し、全体が白くなり、トレースが出るまで攪拌した後、室温まで放置し固化するボディケア化粧品、並びに基礎化粧品からなることを特徴とするマンゴー種子油を用いた化粧品の製造方法。 ボディケア化粧品並びに基礎化粧品が、シャンプー、化粧石鹸、化粧水から選ばれたものであることを特徴とする請求項2または3記載のマンゴー種子油を用いた化粧品の製造方法。 【課題】果汁生産後に食品廃棄物として処分されるマンゴー種子(宮崎産マンゴー種子、台湾産マンゴー種子)から得られる油脂成分の相違を明らかにし、また、それぞれの油脂について、中和価、不けん化物の定量、けん化価、酸価、エステル価およびヨウ素価などの物性について、測定し、さらに消臭試験および抗菌試験を行い、その結果から化粧品乳液ならびに石鹸を試作し、香粧品としての評価を行なった上で、この油脂成分を活用し、化粧品として再利用するマンゴー種子油を用いた化粧品、特に、ボディケア化粧品およびその製造方法を開発・提供することにある。【解決手段】宮崎県産、台湾産マンゴー種子油を、その主原料としたことを特徴とするボディケア化粧品並びに基礎化粧品。【選択図】 図4


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