生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_低アルブミン血症改善用組成物
出願番号:2012509620
年次:2014
IPC分類:A61K 31/198,A61P 7/00,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

土居 雅子 西村 益浩 田村 望 JP 5483775 特許公報(B2) 20140228 2012509620 20110331 低アルブミン血症改善用組成物 株式会社大塚製薬工場 000149435 廣田 雅紀 100107984 土居 雅子 西村 益浩 田村 望 JP 2010089077 20100407 20140507 A61K 31/198 20060101AFI20140410BHJP A61P 7/00 20060101ALI20140410BHJP A61P 43/00 20060101ALI20140410BHJP JPA61K31/198A61P7/00A61P43/00 107 A61K31/00-33/44 REGISTRY CAPLUS MEDLINE BIOSIS EMBASE JSTPLUS JMEDPLUS JST7580 Biochem.Biophys.Res.Commun.,2003年,Vol.303,pp.59−64 Biochem.Biophys.Res.Commun.,2004年,Vol.322,pp.772−777 岡山県立短期大学紀要,1990年,Vol.33 No.2,pp.51−54 J.Nutr.Sci.Vitaminol.,1989年,Vol.35,pp.559−567 今堀和友 他,生化学辞典,株式会社 東京化学同人,2002年,第3版第5刷,pp.67−68 4 JP2011058365 20110331 WO2011125916 20111013 17 20130513 2013024432 20131212 内田 淳子 穴吹 智子 岩下 直人 本発明は、低アルブミン血症改善用組成物に関し、詳細には輸液製剤、経口製剤、飲食品等の形態に好適に使用される低アルブミン血症改善用組成物に関する。 肝疾患等を原因とする低アルブミン血症の改善等を目的として、従来、分岐鎖アミノ酸を含有するアミノ酸製剤が広く使用されている。このような分岐鎖アミノ酸を含有する低アルブミン血症改善用のアミノ酸製剤には、有効性の指標としてのアルブミン産生促進効果と、安全性の指標としての副作用の低減とが要求されている。この分岐鎖アミノ酸としては、バリン、ロイシン及びイソロイシンの3種類が挙げられ、これらバリン、ロイシン及びイソロイシン全てを有効成分として含有するアミノ酸製剤の一例として、例えばリーバクト(登録商標)が広く使用されている。 このような3種類全ての分岐鎖アミノ酸を含有する従来のアミノ酸製剤は、肝疾患患者における低アルブミン血症改善作用に関して、臨床現場の要求を満足させるに至っておらず、上述の有効性の観点から、低アルブミン血症を一層改善する新たな医薬品や食品が待望されている。 また、上記3種類全ての分岐鎖アミノ酸を含有する従来のアミノ酸製剤は、嘔気、腹部膨満感、下痢、便秘、腹部不快感、腹痛、嘔吐、食欲不振、胸やけ等の副作用を招来するおそれがある。これらの副作用は生体内におけるタンパク量負荷が大きいことに起因することから、タンパク量が多い従来のアミノ酸製剤はコンプライアンスが低下するおそれがある。つまり、上述の安全性の観点からも、副作用が少なく、コンプライアンスが良好な低アルブミン血症改善用の医薬品や食品も待望されている。 そこで、上述の有効性及び安全性の観点から、上記アミノ酸製剤におけるバリン、ロイシン、イソロイシン等の有効成分同士の相加、相乗作用や拮抗作用等の相互作用を考慮した技術が提案されている。例えば特許第3712539号公報には、L−バリンのみを有効成分として含有し、肝機能低下に伴う低アルブミン血症を改善又は治療するための組成物が開示されている。かかる組成物は、L−バリン以外のアミノ酸を有効成分として全く含有しないことを特徴とし、副作用が少なく、肝疾患等を改善等できるとされている。 しかしながら、上記従来のアミノ酸製剤や特許第3712539号公報に開示の組成物は、アミノ酸製剤に期待される有効性、特にアルブミン産生促進効果を十分に発揮できるものではない。つまり、高いアルブミン産生促進効果を発揮しつつ、副作用を低減させた安全性の高いアミノ酸製剤等は、未だ提供されていないと言える。特許第3712539号公報 本発明は、これらの不都合に鑑みてなされたものであり、高いアルブミン産生促進効果を発揮すると共に、副作用を低減させた安全性の高い低アルブミン血症改善用組成物の提供を目的とする。 本発明者らは、分岐鎖アミノ酸であるバリン、ロイシン及びイソロイシンのうちバリンが、ヒト肝細胞において、ロイシン及びイソロイシンのアルブミン産生促進作用に対する拮抗作用(阻害作用)を有すると推察され、その結果、バリンを除外し、ロイシン及び/又はイソロイシンを有効成分とする組成物がヒト肝細胞レベルで格段に高いアルブミン産生促進効果を有するという知見を得た。 その結果、上記課題を解決するためになされた発明は、 分岐鎖アミノ酸を有効成分として含有する低アルブミン血症改善用組成物であって、 有効成分として、ロイシン及び/又はイソロイシンを含有し、バリンを含有しないことを特徴とする。 当該低アルブミン血症改善用組成物は、バリンを実質的に含有しないため、他の有効成分であるロイシン及び/又はイソロイシンのアルブミン産生促進作用に対するバリンによる拮抗作用が排除され、その結果、バリン以外の有効成分が生体内において高いアルブミン産生促進作用を効果的に発揮することができる。また、当該低アルブミン血症改善用組成物は、有効成分としてバリンを実質的に含有しないことから、バリンの分だけタンパク量負荷を低減でき、その結果、副作用を低減し、安全性を向上することができる。特に、有効成分量のバリンを含有しない当該低アルブミン血症改善用組成物は、耐糖能異常状態である肝疾患患者への実質上の糖分負荷を大きく低減でき、血糖管理上も有用である。 当該低アルブミン血症改善用組成物は、分岐鎖アミノ酸として、ロイシン及びイソロイシンを含有するとよい。このように、当該低アルブミン血症改善用組成物が分岐鎖アミノ酸としてロイシン及びイソロイシンの双方を含有することで、ロイシン及びイソロイシンがそれぞれ有するアルブミンの産生促進作用を相加的に発揮することができる。 このように分岐鎖アミノ酸としてロイシン及びイソロイシンを含有する場合、イソロイシンに対するロイシンの質量比としては0.1以上10以下が好ましい。このように、イソロイシンに対するロイシンの質量比を上記範囲とすることで、上述のアルブミン産生促進作用の相加的向上作用を効果的に発揮することができる。 また当該低アルブミン血症改善用組成物は、分岐鎖アミノ酸として、ロイシン又はイソロイシンのみを含有してもよい。このように、ロイシン又はイソロイシンのみをそれぞれ単独で含有することで、生体内におけるタンパク量負荷をより一層低減でき、例えば肝疾患の患者の容態に応じて有効性と安全性とのバランスを図ることができる。 当該低アルブミン血症改善用組成物は、輸液製剤の形態で好適に用いられる。このように、当該低アルブミン血症改善用組成物を輸液製剤の形態とすることで、血管内を通じて当該低アルブミン血症改善用組成物を迅速かつ効果的に投与することができる。 当該低アルブミン血症改善用組成物は、経口製剤の形態でも好適に用いられる。このように、当該低アルブミン血症改善用組成物を経口製剤の形態とすることで、当該低アルブミン血症改善用組成物を、生体に対する侵襲を伴うことなく容易かつ簡便に投与することができる。 当該低アルブミン血症改善用組成物は、飲食品の形態でも用いることができる。このように、当該低アルブミン血症改善用組成物を飲食品の形態とすることで、当該低アルブミン血症改善用組成物を上記経口製剤の場合と比較してより一層容易かつ簡便に投与でき、特にQOL(Quality Of Life)の向上を図ることができる。 ここで、「分岐鎖アミノ酸」とは、ロイシン、イソロイシン及びバリンの3種類の必須アミノ酸であり、これらの塩、ペプチド又は誘導体の形態も含む概念である。「有効成分」とは、単独でアルブミン産生促進作用を奏する程度に含有する成分を意味する。 以上説明したように、本発明の低アルブミン血症改善用組成物は、有効成分として分岐鎖アミノ酸を含有するが、この分岐鎖アミノ酸のうちバリンを実質的に含有しないため、製剤等として用いた場合に高いアルブミン産生促進効果を発揮すると共に、副作用の低減により安全性が高く、特に耐糖能異常状態である肝疾患患者への実質上の糖分負荷を大きく低減できることから、上記従来の課題を十分に解決することができる。 具体的には、当該低アルブミン血症改善用組成物は、消化不良や栄養失調による栄養素の体外からの摂取の低下、手術後の低栄養状態、肝炎や肝硬変などの肝疾患の場合のタンパク質生成の低下;ネフローゼ症候群、タンパク漏出性胃腸症、熱傷等において見られる生体内タンパク質の体外漏出;重篤な感染症、発熱、甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍等の疾患時に見られる生体内タンパク質の異化亢進;多量の胸水や腹水の貯留時、全身浮腫、熱傷の発症などに起因する低アルブミン血症を予防又は改善することができる。さらに、当該低アルブミン血症改善用組成物は、上記低アルブミン状態に起因するこむらがえり、肺水腫、腹水、浮腫等の症状の発症を予防又は改善することができる。実験1の結果を示すグラフである。 以下、本発明の実施の形態を詳細する。(低アルブミン血症改善用組成物) 当該低アルブミン血症改善用組成物は、分岐鎖アミノ酸を有効成分として含有するものであり、有効成分として、ロイシン及び/又はイソロイシンを含有し、バリンを含有しない。 このように、当該低アルブミン血症改善用組成物は、有効成分としてバリンを実質的に含有しないことから、メカニズムの詳細は不明であるが、下記(A)及び(B)の作用効果を有すると考えられる。(A)バリンは、ロイシン等の他の有効成分の阻害要因であり、生体内において、ロイシン等の有効成分が発揮するアルブミン産生促進作用に対する拮抗作用を有していると推定される。従って、当該低アルブミン血症改善用組成物は、有効成分として実質的にバリンを含有しないことで、ロイシン及び/又はイソロイシンのアルブミン産生促進作用に対するバリンによる拮抗作用を完全に排除することができ、その結果、バリン以外のロイシン等の有効成分が生体内において高いアルブミン産生促進作用を効果的に発揮できると考えられる。(B)当該低アルブミン血症改善用組成物がバリンを実質的に含有しないことで、特に製剤として用いた場合、バリンの分だけタンパク量負荷が低減できるため、3種全ての分岐鎖アミノ酸を含有する従来のアミノ酸製剤を生体内に投与した場合の消化器系症状や腎臓系症状等の副作用を低減し、安全性を向上することができる。特にバリンは、3種類の分岐鎖アミノ酸の中でも服用により血糖値を高める唯一の糖原性アミノ酸である。かかる糖原性アミノ酸であるバリンが配合された従来のアミノ酸製剤を肝疾患患者が服用すると、肝疾患患者は食後の血糖値をさらに上昇させるという副作用を招来するおそれがある。一方、当該低アルブミン血症改善用組成物は、有効成分として実質的にバリンを含有しないことで、耐糖能異常状態である肝疾患患者への実質上の糖分負荷を大きく低減でき、血糖管理上も有用である。 上記分岐鎖アミノ酸の異性体としては、特に限定されず、例えばL体、D体、DL体等が挙げられる。これらの中でも、生体内におけるアルブミン蛋白の合成に親和性を示すL体の分岐鎖アミノ酸異性体を使用することが好ましい。 上記分岐鎖アミノ酸の形態としては、特に限定されず、例えば遊離形態の純粋結晶状アミノ酸、その塩、ペプチド又は誘導体の形態が挙げられる。この分岐鎖アミノ酸の塩の形態としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、塩酸塩、酢酸塩などの薬理学的に許容される塩の形態が挙げられる。また、分岐鎖アミノ酸のペプチドの形態としては、分岐鎖アミノ酸をジペプチド、トリペプチド等としてペプチド化したものが挙げられる。このように、上記分岐鎖アミノ酸をペプチド化することで、これらのペプチドは生体内のペプチダーゼの作用により遊離アミノ酸に加水分解されて有効に利用され得る。さらに、分岐鎖アミノ酸の誘導体として、N−アセチル−DL−ロイシン、DL−ノルロイシン、N−アセチル−DL−イソロイシン、4−ヒドロキシ−L−イソロイシン、β−メチルノルロイシンなどが挙げられる。これらの誘導体は生体内のアシラーゼなどの作用により遊離アミノ酸となり有効に利用され得る。 当該低アルブミン血症改善用組成物は、分岐鎖アミノ酸として、ロイシン及びイソロイシンを共に含有するとよい。このように、分岐鎖アミノ酸としてロイシン及びイソロイシン双方を含有することで、当該低アルブミン血症改善用組成物は、特に製剤として用いた場合に、ロイシン及びイソロイシンが互いのアルブミン産生作用に対する拮抗作用を奏することなく、生体内におけるアルブミンの産生促進効果を相加効果的に向上することができる。 当該低アルブミン血症改善用組成物は、分岐鎖アミノ酸として、ロイシン又はイソロイシンのみを単独で含有してもよい。このようにロイシン又はイソロイシンを単独で含有することで、当該低アルブミン血症改善用組成物は、特に製剤として用いた場合、生体内におけるタンパク量負荷をより一層低減させ、副作用を効果的に低減させることができる。 従って、当該低アルブミン血症改善用組成物は、例えば肝疾患患者への投与において有効性を重視するのであれば、上述したアルブミン産生促進効果の相加効果的な向上を意図し、ロイシン及びイソロイシンを共に含有するとよい。一方、肝疾患患者への投与において安全性を重視するのであれば、当該低アルブミン血症改善用組成物は、上述したタンパク量負荷の低減による副作用の効果的な低減を意図し、ロイシン又はイソロイシンのみを単独で含有するとよい。つまり、当該低アルブミン血症改善用組成物は、肝疾患の患者の容態に応じて有効性と安全性とのバランスを図ることができる。 上記イソロイシンに対するロイシンの質量比としては0.1以上10以下が好ましく、0.5以上3.0以下がより好ましい。このように、イソロイシンに対するロイシンの質量比を上記範囲とすることで、当該低アルブミン血症改善用組成物は、上述したアルブミン産生促進作用の相加的な向上効果を確実に発揮することができる。(任意成分等) 当該低アルブミン血症改善用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じ、上記分岐鎖アミノ酸以外に添加剤を含有することができる。この添加剤としては、薬学的又は食品衛生学的に許容できるアミノ酸、安定化剤、防腐剤、可溶化剤、pH調整剤、増粘剤、酸化防止剤、着色料、香料、人工甘味料等が挙げられる。これらの添加剤の配合量は、上記分岐鎖アミノ酸の配合量に従って適宜設定することができる。(製剤の形態) 当該低アルブミン血症改善用組成物は、製剤の形態で好適に使用される。かかる製剤の形態としては、特に限定されず、例えば輸液製剤、経口製剤、経皮吸収型製剤、坐剤、貼付剤、軟膏剤、ハップ剤、ローション剤等の形態が挙げられる。 特に、当該低アルブミン血症改善用組成物は、輸液製剤の形態で好適に用いられる。このように当該低アルブミン血症改善用組成物を輸液製剤の形態とすることで、当該低アルブミン血症改善用組成物を、血管内を通じて迅速かつ効果的に投与することができ、生体内におけるアルブミン産生促進効果を最も高く発揮させることができる。 上記輸液製剤の種類としては、例えば注射剤、点滴剤等が挙げられる。このように、当該低アルブミン血症改善用組成物を注射剤又は点滴剤の形態で使用する場合、これらは殺菌され、かつ血液と等張であるとよい。また、当該低アルブミン血症改善用組成物を注射剤又は点滴剤として調製するに際し、希釈剤として、例えば水、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を使用することができ、さらに体液と等張な溶液への調整に充分な量の食塩、ブドウ糖又はグリセリンを含有させてもよい。なお、上記輸液製剤は、凍結保存することができ、また凍結乾燥等により水分を除去して保存することもできる。このような凍結乾燥により保存された上記輸液製剤は、使用時に注射用蒸留水、滅菌水等を加え、再度溶解して使用することができる。 当該低アルブミン血症改善用組成物は、経口製剤の形態でも好適に用いられる。このように当該低アルブミン血症改善用組成物を経口製剤の形態とすることで、当該低アルブミン血症改善用組成物を、生体に対する侵襲を伴うことなく、容易かつ簡便に投与でき、生体内におけるアルブミン産生促進効果を十分に発揮させることができる。 上記経口製剤の種類としては、特に限定されず、例えば錠剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤、チュワブル剤、シロップ剤等が挙げられる。この錠剤として使用する場合、低アルブミン血症改善分野で公知の各種担体が使用される。この担体としては、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤;乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖等の崩壊剤;白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリン、デンプン等の保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等が挙げられる。また、かかる錠剤は、必要に応じ、通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠、二重錠、多層錠とすることができる。 また、丸剤として使用する場合、低アルブミン血症改善分野で公知の各種担体が使用される。この担体としては、例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤;アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤;ラミナラン、カンテン等が挙げられる。 上記経口製剤には、さらに添加剤を含有することができる。かかる添加剤としては、例えば界面活性剤、吸収促進剤、充填剤、増量剤、付湿剤、防腐剤、安定剤、乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節する塩などが挙げられ、経口製剤の投与単位形態に応じて適宜選択し使用することができる。(飲食品の形態) 当該低アルブミン血症改善用組成物は、飲食品の形態としても好適に使用される。このように当該低アルブミン血症改善用組成物を飲食品の形態として用いることで、上記経口製剤の場合と比較してより一層容易かつ簡便に投与でき、生体内におけるアルブミン産生促進効果を十分に発揮させることができる。さらに、当該低アルブミン血症改善用組成物を飲食品の形態とすることで、日常生活の中で特に容易かつ簡便に摂取できることから、QOL(Quality Of Life)の向上を図ることができる。 上記飲食品としては、特に限定されず、例えばサプリメント、栄養機能食品、特定保健用食品、病者用食品等が挙げられる。また、上記飲食品の形態としては、例えば粉末、顆粒、ドリンク剤等の飲料、カプセル、チュアブル剤等を含む錠剤、可食性フィルム等が挙げられる。なお、これらの飲食品の製造方法としては、本発明の効果を損なわなければ特に限定されず、各用途で当業者が使用されている方法を使用することができる。 上記飲食品のうち顆粒状食品の場合、かかる粒度としては、20μm以上2000μm以下が好ましく、100μm以上1500μm以下程度がより好ましく、500μm以上1000μm以下程度が特に好ましい。かかる顆粒状食品は、顆粒状態で水、お茶、ジュース等の飲料と共に摂取することができ、また飲料に溶かして摂取することもできる。 なお、本発明の低アルブミン血症改善用組成物は上記実施形態に限定されるものではない。例えば本発明の低アルブミン血症改善用組成物の形態が経口製剤又は飲食品である場合、必要に応じて糊料(増粘剤、ゲル化剤)を添加し、ゲル状又はゼリー状に調製することもできる。このように、本発明の低アルブミン血症改善用組成物をゲル状又はゼリー状に調整することで、経口投与が容易となり、胃腸内における吸収も良好になる。この糊料の種類としては、特に限定されず、例えば寒天、ゼラチン、カラギーナン、アラビアガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム、ジェランガム、カードラン、キサンタンガム、プルラン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、その他糊料として通常使用し得る多糖類等が挙げられ、これらを1種単独又は2種以上を併用して使用することができる。なお、かかる糊料の配合割合としては、ゲル状又はゼリー状に調製した低アルブミン血症改善用組成物100質量部に対して5質量部以下の割合が好ましい。 以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。<ヒト培養肝細胞のアルブミンmRNA発現及びアルブミン分泌量への影響> この試験はヒト初代培養肝細胞系において、各被験液で培養することによるアルブミンmRNAの発現能の変化と分泌されるアルブミン量の変化を調べたものであり、以下の通り実施した。<測定項目>(1)アルブミンmRNA及びhypoxanthine phosphoribosyltransferase 1(以下「HPRT1」と略す)mRNA アルブミンmRNA及びHPRT1mRNAを測定した。アルブミンとHPRT1の塩基配列は、以下の通りGenBankに登録されており、それらの各塩基配列は登録された配列に従うものである。アルブミン;GenBank accession number XM 031322HPRT1;GenBank accession number NM 000194 なお、HPRT1は対照としてのハウスキーピング遺伝子として同一試験で測定した。アルブミンの測定に用いた各プライマーとプローブの配列は、Nishimura,M.,Yoshitsugu,H.,Yokoi,T.,Tateno,C.,Kataoka,M.,Horie,T.,Yoshizato,K.and Naito,S.:Evaluation of mRNA expression of human drug−metabolizing enzymes and transporters in chimeric mouse with humanized liver.Xenobiotica,35:877−890(2005)に公開されている。また、HPRT1の測定に用いた各プライマーとプローブの配列はNishimura,M.,Naito,S.and Yokoi,T.:Tissue−specific mRNA expression profilesof human nuclear receptor subfamilies.Drug Metab.Pharmacokinet.,19:135−149(2004)において公開されている。(2)培地中のアルブミン濃度 培地中のアルブミン濃度は、Human Albumin EIA Kit(タカラバイオ株式会社製)により測定した。<供試験用物質> 以下の物質を利用した。 イソロイシン(Ile):MW131.17 ロイシン(Leu):MW131.17 バリン(Val):MW117.15<供試肝細胞> 肝細胞としては、ヒト正常肝細胞(Human Normal Hepatocytes,Lot.100、LMP、ONQ及びVUA, In Vitro Technologies,Inc.社製)を利用した。<試薬> 以下の試薬及び器機を利用した。 正常肝細胞専用培地キット:Cambrex社(タカラバイオ株式会社) Hank’s Balanced Salt solution Modified:シグマ社、500mL HEPES Buffer(1M):100mL Sodium Pyrvate Solution(100mM):100mL Acrodisc Syringe Filters:Pall Corpration、製品番号4187、50個入り Rneasy Mini Kit(50):キアゲン株式会社 QIAshredder(50):キアゲン株式会社 Yeast tRNA:GIBCO BRL TaqMan One−Step RT−PCR Master Mix Reagents Kit:Applied Biosystems Fast 96−WellReaction Plate(0.1mL):Applied Biosystems Optical Adhesive Covers:Applied Biosystems 24ウエル平底プレート(コラーゲンタイプIコート):旭テクノグラス株式会社 15mL Conical Tube:Falcon Trypan blue:Flow Laboratories LTD.、0.4% solution in 0.85% saline β−メルカプトエタノール:シグマ社 Human Albumin EIA Kit:タカラバイオ株式会社 また、mRNAの定量は、下記表1に示す各配列のプライマー対及びプローブ(開始コドンの位置は、登録された各塩基配列に従うものである)を用いて、RT−PCR(Real−time quantitative reverse transcription−polymerase reaction)により実施した。各プライマー及びプローブは、自動DNA合成機を用いて作成した。<溶液の調製>(1)50μg/mLのYeast tRNA液の調製 Yeast tRNAは、RNaseフリーの水で希釈し、50μg/mLとした。(2)各種被験物質を含む被験液の調製(2−1)Buffer A Buffer Aとして、Hank’s Balanced Salt solution Modified:HEPES Buffer(1M):Sodium Pyrvate Solution(100mM)を100:1:2の比率で混合した。(2−2)Buffer B Buffer Bとして、Buffer A:培地を9:1の比率で混合した。(2−3)リーバクト組成の被験液 リーバクト組成の被験液として、Ile、Leu、Valの混合後の濃度がそれぞれ13.8mM、27.7mM、18.5mM(リーバクト組成の被験液の濃度として60mM)となるように溶解した。なお、溶解の手順はBuffer Aに溶解後、Buffer Aの1/10量の培地を添加した。(2−4)Ile、Leu又はVal溶液 Ile、Leu又はVal溶液として、Ile、Leu又はValの濃度が60mMとなるように溶解した。なお、溶解の手順はBuffer Aに溶解後、Buffer Aの1/10量の培地を添加した。(2−5)調整 (2−3)で調製したリーバクト組成の被験液及び(2−4)で調整したIle、Leu又はVal溶液を、Buffer Bを用いて3倍希釈し、20mMの溶液とした。 <ヒト正常肝細胞の初代培養> Nishimuraらの方法(Nishimura,M.,Yoshitsugu,H.,Naito,S.and Hiraoka,I.:Evaluation of gene induction of drug−metabolizingenzymes and transporters in primary culture of human hepatocytes using high−sensitivity real−time reverse transcription PCR.Yakugaku Zasshi,122:339−361(2002))に従い、24wellのプレートに1×105cells/400μL/wellずつ分注し、CO2インキュベーターで培養し、3時間後に培地交換をした。その21時間後(播種開始時点から24時間後)に培地交換した。以後、24時間毎に培地交換を行った。なお、交換する培地の液量は、400μL/wellとした。また、各被験液への交換は、48時間後の培地交換時点で行った。 <実験1> ヒト肝細胞を播種(1×105 viable cells/0.4mL/well)した後、播種開始時点から3時間後及び24時間後に培地交換を行った。なお、かかる播種時における生存率は90.4%(Lot 100)であった。次いで、播種開始から48時間後に供試験用物質を添加し、この試験物質の添加開始から24時間後にTotal RNAを抽出し(Rneasy Mini Kit使用)、リアルタイムRT−PCRによりアルブミン及びHPRT1のmRNAの定量を行った。なお、HPRT1は、ハウスキーピング遺伝子であり、内部標準として用いた。 <実験2> ヒト肝細胞を播種(1×105 viable cells/0.4mL/well)した後、播種開始時点から3時間後及び24時間後に培地交換を行った。なお、かかる播種時における生存率は93.6%(Lot 100)、84.2%(Lot LMP)、90.0%(Lot QNQ)、84.3%(Lot VUA)であった。次いで、播種開始から48時間後に供試験用物質を添加し、この試験物質の添加開始から24時間後に培地を採取し、分泌されたアルブミン量を定量した。 <Total RNAの調製> 培地を吸引後、QIA shredder及びRneasy Mini Kitを用いてTotal RNAを抽出した。以下に、このKitを用いた調製方法を記述する。培養開始後3、24、48及び72時間時点において、24 wellのプレートの各wellから培地を吸引除去した。ただし、培養開始0時間時点については15mLのConical Tubeに2×105cells/tubeとなるように肝細胞を分取し、遠心後、培地を吸引除去した。次に、β−メルカプトエタノールを含むRLT溶液(RLT溶液:β−メルカプトエタノール=1:100)を400μLずつ添加し、ピペッティング後、QIA shredder columnに全量を添加し、15,000rpmで2分間遠心した。溶出液350μLを分取し、等量の70%エタノール溶液を添加した。10秒間の攪拌を3回行った後、Rneasy Mini spin columnに全量を添加し、12,000rpmで30秒間遠心し、Collection tube内の溶出液を吸引除去した。700μLのRW1溶液を添加し、12,000rpmで30秒間遠心後、Collection tubeを取りかえた。500μLのRPE溶液を添加し、12,000rpmで30秒間遠心後、Collection tube内の溶出液を吸引除去した。500μLのRPE溶液を添加し、15,000rpmで2分間遠心後、1.5mLのCollection tubeに交換し、50μLのRnase free waterを添加し、10,000rpmで1分間遠心によりtotal RNAを溶出させた。溶出液は50μg/mLのYeast tRNA液を用いて5倍希釈して測定用Total RNA溶液とした。なお、抽出操作は全て室温で行なった。また、50μg/mLのYeast tRNA液は、Yeast tRNAをRNaseフリーの蒸留水で希釈して調製した。 <mRNAの測定> Applied Biosystems 7500 Fast Sequence Detection System(Applied Biosystems)を利用してハウスキーピング遺伝子(HPRT1)及びアルブミンのmRNAを、以下の通り定量した。 RT−PCRは、300nM Forward Primer、900nM Reverse Primer及び200nM TaqMan Probeを含むTaqMan One−Step RT−PCR Master Mix Reagents Kitを用い、20μL/tubeの系で行った。Total RNA溶液は3μLを使用した。RT−PCRの条件としては、48℃で30分間、その後95℃で10分間保温した後、95℃で15秒間、60℃で1分間のサイクルを40回行うことを条件とした。サイクルごとに蛍光強度を測定した。なお、反応容器はFast 96−Well Reaction Plate (0.1mL)を、カバーはOptical Adhesive Coversを用いた。 <アルブミン分泌量の定量> 培地中のアルブミン濃度はHuman Albumin EIA Kit (タカラバイオ株式会社)により測定した。 <結果の計算方法および統計処理>(1)mRNAの定量 HPRT1のmRNAを内在性コントロールとした。各mRNAの定量値は、ΔCt法(Nishimura,M.,Yaguri,H.,Yoshitsugu,H.,Naito,S.&Satoh,T.,(2003)Yakugaku Zasshi,123,369−375)にて算出し、試験はtriplicateで行った。アルブミンmRNAの発現量は、HPRT1mRNAの発現量を1とした時の比で表し、その平均値(mean)±標準偏差(SD)を表2及び図1に示した。 <アルブミン分泌量の定量> 結果はLot別の値及び平均値(mean)±標準偏差(SD)で表示した。 <結果及び考察> 得られた結果を表2、表3及び図1に示す。 各表及び表2の結果を示す図1のグラフから次のことが判る。即ち、表2及び図1に示されるとおり、ヒトの肝細胞を用いて、アルブミンのmRNA発現量の増加を指標に、Ile、Leu、Val単体での効果、IleとLeu、IleとVal及びLeuとValを組み合わせた場合に、相加、相乗効果があるのか、或いは拮抗しあうのかの検討を行った。Ile、Leu、Val単体、IleとLeu、LeuとVal、IleとVal、リーバクト組成(Ile:Leu:Val=1:2:1.35、20mM、60mM)での比較を行い、Ile、Leuの単体とIleとLeuの組み合わせにアルブミンmRNAの発現量の増加作用を確認し、IleとLeuの組み合わせのアルブミンmRNAの発現量に相加効果があることが分かった。また、Valとの組み合わせではアルブミンmRNAの発現量の増加作用が打ち消されることが分かった。 また、実験2はヒトの肝細胞4ロットでの結果であり、実験1と同様、Valを含むと分泌量は低下した(表3参照)。 以上の通り、当該低アルブミン血症改善用組成物を利用すれば、アルブミン合成能を上昇させることに有効であることが分かる。<低アルブミン血症マウスにおける血漿中アルブミン濃度上昇効果の検討> この試験は、低アルブミン血症を発症したマウスの血漿中アルブミン濃度に対する各試験物質の効果を調べたものであり、以下の通り実施した。<実験3> BALB/c、雌性マウスを3日間絶食させ、低アルブミン血症を誘発させた後、各試験物質を7日間経口投与し血漿中アルブミン濃度を測定した。以下に、本実験の詳細を示す。<試験物質の調製> Val(+): 0.214gに秤量したL−ロイシン、0.107gに秤量したL−イソロイシン及び0.129gに秤量したL−バリン(以上、ペプチド研究所)と注射用蒸留水(大塚製薬)の適量を15mLコニカルチューブ(日本ベクトン・ディッキンソン社)に入れ、混和した。完全に溶解させて15mLとした。 Val(−): 0.214gに秤量したL−ロイシン及び0.107gに秤量したL−イソロイシン(以上、ペプチド研究所)と注射用蒸留水(大塚製薬)の適量を15mLコニカルチューブ(日本ベクトン・ディッキンソン社)に入れ、混和した。完全に溶解させて15mLとした。<使用動物> 本実験には、マウス、BALB/cCr Slc、雌性、7週齢(入荷時体重18g〜20g)(日本エスエルシー社)を用いた。<投与方法> 上記マウスに対して、下記の3群を設けた。下記バリン(+)群及びVal(−)群に対しては、3日間の絶食後、上記調製した各試験物質を10mL/kg/日の投与量で7日間連続して経口投与した。なお、Val(+)群及びVal(−)群に対しては、各試験物質の投与期間中は摂餌を行った。また、対照群に対しては、全試験期間中、摂餌のみを行った。(Val(+)群) 3日間の絶食後、Val(+)を経口投与させる群、n=3 イソロイシン:0.071g/kg/日、 ロイシン:0.143g/kg/日、 バリン:0.086g/kg/日(Val(−)群) 3日間の絶食後、Val(−)を経口投与させる群、n=5 イソロイシン:0.071g/kg/日、 ロイシン:0.143g/kg/日(対照群) 試験期間中摂餌させる群、n=5<試料採取> 上記マウスに対して、絶食開始3日目、試験物質投与開始1、3、7日目に、無麻酔下で眼底をヘパリン処理したテルモヘマトクリット毛細管(テルモ社)で傷つけ、約20μL採血を行った。採血した血液は氷冷し、12000rpm、10分間の遠心分離により血漿を分離し、血漿中アルブミン測定に供した。<血漿中アルブミンの測定方法> 血漿中アルブミン濃度は、富士ドライケムスライドALB−P(富士フイルムメディカル社)を用いて自動分析装置DRI−CHEM7000(富士フイルムメディカル社)にて測定した。試験物質投与後7日目までのマウス血漿中アルブミン濃度を表4に示した。<解析方法> 各測定項目の値について、各群の平均値(mean)±標準偏差(S.D.)を求めた。また、統計解析は、Val(+)群及びVal(−)群間で、Studentのt−検定及び経時型分散分析により行った。なお、検定の有意水準は両側5%とした。データ集計は、Microsoft Excel 2003(マイクロソフト社)で行った。統計解析ソフトは、EXSAS 7.6(アームシステックス社)を使用した。<結果及び考察> 表4に示す通り、本条件下で7日間、絶食後のマウスに試験物質を与えたところ、7日目では、Val(+)群に比してVal(−)群のアルブミン上昇傾向(p=0.0531)を認めた。また、補足として経時型分散分析を行ったところ、群と時間で有意差を認め、Val(−)がVal(+)に比して経時的に血漿中アルブミン濃度を上昇させる可能性が示唆された。本試験の結果より、Valを除くこと(Val(−))で、現在臨床で使用されているリーバクト(登録商標)等のBCAA製剤(Val(+))を凌駕する血中アルブミン濃度上昇効果が期待できると考えられた。 以上のように、本発明の低アルブミン血症改善用組成物は、例えば輸液製剤、経口製剤等の製剤や飲食品などの形態として好適に使用される。 ロイシン及びイソロイシンを有効成分として含有し、バリンを含有しないことを特徴とする低アルブミン血症改善用製剤。 イソロイシンに対するロイシンの質量比が0.1以上10以下である請求項1に記載の低アルブミン血症改善用製剤。 輸液製剤の形態である請求項1に記載の低アルブミン血症改善用製剤。 経口製剤の形態である請求項1に記載の低アルブミン血症改善用製剤。配列表


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