生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_神経変性および神経炎症の治療
出願番号:2012508485
年次:2012
IPC分類:A61K 31/225,A61P 25/28,A61P 25/00,A61P 9/00,A61P 25/32,A61P 25/20,A61P 25/14,A61P 25/16,A61P 25/08,A61P 43/00,A61P 31/00,A61P 31/18,A61P 29/00,C12Q 1/68,C12Q 1/02,G01N 33/15,G01N 33/50


特許情報キャッシュ

ルカシェブ, マトベイ JP 2012525385 公表特許公報(A) 20121022 2012508485 20100429 神経変性および神経炎症の治療 バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド 592221528 山本 秀策 100078282 安村 高明 100062409 森下 夏樹 100113413 ルカシェブ, マトベイ US 61/173,797 20090429 US 61/175,270 20090504 A61K 31/225 20060101AFI20120925BHJP A61P 25/28 20060101ALI20120925BHJP A61P 25/00 20060101ALI20120925BHJP A61P 9/00 20060101ALI20120925BHJP A61P 25/32 20060101ALI20120925BHJP A61P 25/20 20060101ALI20120925BHJP A61P 25/14 20060101ALI20120925BHJP A61P 25/16 20060101ALI20120925BHJP A61P 25/08 20060101ALI20120925BHJP A61P 43/00 20060101ALI20120925BHJP A61P 31/00 20060101ALI20120925BHJP A61P 31/18 20060101ALI20120925BHJP A61P 29/00 20060101ALI20120925BHJP C12Q 1/68 20060101ALI20120925BHJP C12Q 1/02 20060101ALI20120925BHJP G01N 33/15 20060101ALI20120925BHJP G01N 33/50 20060101ALI20120925BHJP JPA61K31/225A61P25/28A61P25/00A61P9/00A61P25/32A61P25/20A61P25/14A61P25/16A61P25/08A61P43/00 111A61P31/00A61P31/18A61P29/00C12Q1/68 AC12Q1/02G01N33/15 ZG01N33/50 Z AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW US2010001282 20100429 WO2010126605 20101104 43 20111115 2G045 4B063 4C206 2G045AA29 2G045AA40 2G045CB01 2G045CB17 4B063QA18 4B063QA19 4B063QQ02 4B063QQ52 4B063QQ91 4B063QR56 4B063QR62 4B063QS25 4B063QS34 4C206AA01 4C206AA02 4C206DB29 4C206MA01 4C206MA02 4C206MA04 4C206NA14 4C206ZA02 4C206ZA05 4C206ZA06 4C206ZA15 4C206ZA16 4C206ZA22 4C206ZA36 4C206ZB11 4C206ZB31 4C206ZB33 4C206ZC39 本出願は、2009年4月29日に出願された米国仮特許出願第61/173,797号、および2009年5月4日に出願された同第61/175,270号に対する優先権を主張する。これにより、これらの出願の両方の全体の開示は、参照により本明細書に組込まれる。 神経変性および神経炎症のうちの少なくとも1つによって特徴づけられる病状を有する対象を治療する方法であって、治療有効量の式Iの少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩をこの対象に投与することによって治療する方法を提供する。増加したアストログリオーシスによって特徴づけられる病状を有する対象において、アストログリオーシスを減少させる方法であって、治療有効量の式Iの少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩をこの対象に投与することを含む方法も提供する。神経保護を、それを必要としている対象に提供する方法であって、治療有効量の式Iの少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩をこの対象に投与することを含む方法も提供する。神経変性および神経炎症のうちの少なくとも1つによって特徴づけられる病状を治療するための候補薬剤として化合物を同定するスクリーニング法も提供する。 アストロサイトは、脳の主要な細胞成分である。これらのグリア細胞は、脳の全質量の約90%を占め、ヒト成人の脳において、ニューロンの数を5〜10倍上回る。1980年の初頭に、アストロサイトの2種類、すなわち繊維状アストロサイトおよび原形質性アストロサイトが特徴づけられた。繊維状アストロサイト(1型)は星のような形を有し、通常、白質に見られ、有髄繊維と毛細血管の間を走る長い突起を有し、かつ血液脳関門(BBB)の周りにエンドフィートという血管構造を形成する。逆に、原形質性アストロサイト(2型)は枝状に分かれ、短い突起を有し、神経突起を包み、灰白質に存在する。 グリア細胞、ミクログリアおよびアストロサイトの活性化は、多発性硬化症(MS)を含む神経変性疾患および神経炎症性疾患の病理生理学の一因のメカニズムとして意味づけられている。疾患の初期段階において、アストロサイトは、炎症細胞を動員するサイトカインおよびケモカインを分泌することができる。病気が進行するにつれて、アストログリオーシスは、グリア性瘢痕、軸索損傷、および脱髄の一因となると考えられている。ミクログリアは、EAE発症(後)の発達および進行において重要な役割を担うことが示されている。ミクログリアによって生産される炎症誘発性サイトカインは疾患を悪化させ、ケモカインは炎症部位に白血球を動員する。フマル酸ジメチル(DMF)は、現在、再発寛解型MS(RRMS)の第III相臨床試験中の試験治療(薬)BG00012の有効成分である。RRMSの第IIb相試験において、BG00012は、ガドリニウム増強脳損傷を顕著に減少させた。前臨床試験において、DMFはマウスおよびラットのEAEにおけるCNS炎症を阻害することが示されている。DMFは、ここでEAEと関連するアストログリオーシスおよびミクログリア活性化を抑制することができることが見出された。 神経炎症の発症におけるミクログリアおよびアストロサイトの役割についての特定の限定されない態様を図2に示す。神経変性および神経炎症におけるアストログリオーシスの役割についての証拠の中に、神経変性および神経炎症によって特徴づけられる疾患の一例である多発性硬化症(MS)の研究の証拠がある。そのモデルの中のげっ歯類のMSモデルにおいて、疾患症状および軸索損傷の開始に先立って、アストロサイトおよびミクログリアの活性化が起こる。さらに、ミクログリアの選択的除去により、EAE疾患の重症度および炎症が軽減される。疾患の炎症中にアストログリオーシスが増加するので、MS患者の臨床的証拠が、アストロサイトの役割についてのさらなる証拠をもたらす。さらに、活性化アストロサイトは、二次性進行型MSにおける顕著な細胞型として報告され、ミクログリアの再活性化はMS疾患の炎症の推進力として関わっている。 多発性硬化症(MS)は、中枢神経系(CNS)抗原に対して向けられる自己免疫活性が原因の自己免疫疾患である。この疾患は、CNSの一部の炎症により特徴づけられ、神経軸索の周囲の髄鞘の喪失(脱髄)、軸索喪失、ならびにニューロン、オリゴデンドロサイトおよびグリア細胞の結果として生ずる死を引き起こす。MSおよび現在の治療法の包括的な考察については、例えば、McAlpine’s Multiple Sclerosis,by Alastair Compston et al.,4th edition,Churchill Livingstone Elsevier,2006を参照されたい。 世界中で推定250万人がMSを患っている。MSは、若年成人において、CNSの最も一般的な疾患の1つである。MSは、慢性的で、進行性の身体障害性疾患であり、この疾患は、一般に、思春期後のある時にその被害者を襲い、その診断は、一般に、20〜40歳の間に行われるが、発症はもっと早くに起こる可能性がある。この疾患は直接的に遺伝するものではないが、遺伝子感受性がその発達に一翼を担う。MSは、異種性の臨床的、病理学的および免疫学的な表現型を有する複雑な疾患である。 MSの以下の4つの主要な臨床型がある:1)明確に規定された再発によって特徴づけられ、完全に回復するか、または回復時に後遺症および欠陥が残る再発寛解型MS(RR−MS);疾患の再発の間の期間は、疾患進行がないことにより特徴づけられる;2)最初の再発寛解の経過後、時折再発、軽い寛解、および停滞状態を伴うか、または伴わない進行によって特徴づけられる二次性進行型MS(SP−MS);3)発症から時折停滞状態になり、一時的に少し改善が認められる疾患進行によって特徴づけられる一次性進行型MS(PP−MS);ならびに4)明確な急性再発を伴い、完全に回復するか、または回復しない進行性疾患発症によって特徴づけられる進行性再発型MS(PR−MS);再発の間の期間は、進行が継続することにより特徴づけられる。 臨床的に、この病気は、ほとんどの場合、再発寛解型疾患として、および、それほどではないにせよ、神経障害の着実な進行として症状が見つかる。再発寛解型MS(RR−MS)は、局所性または多巣性の神経機能障害の再発性発作の形で症状が見つかる。発作は、長年にわたり、外見的には不規則に生じ、寛解し、再発し得る。寛解は不十分である場合が多く、1つの発作の後に別の発作が起きて、段階的な下方への進行が結果として起き、永続的神経障害が増加する。RR−MSの通常の経過は、度重なる再発によって特徴づけられ、患者の大多数では、結果として生ずる疾患進行の開始が伴う。この疾患の後の経過は予測できないが、再発寛解型疾患を有するほとんどの患者は、二次的進行性疾患をいつかは発症する。再発寛解段階において、再発は臨床的に不活性である期間と交互に起き、エピソードの間の神経障害の存在に応じて後遺症によって特徴づけられ得、また特徴づけられない場合もある。再発寛解段階中の再発の間の期間は臨床的に安定である。一方、進行性MS患者は、上記で定義した通り、発症からまたはエピソードの期間後のいずれか一方で、障害が着実に増加するが、この意味は、新たな再発のさらなる発生を排除するものではない。 MSの症状は、ある程度、白質の局所炎症性脱髄性病変の形成によって反映され、これは急性および再発性疾患を有する患者の顕著な特徴である。進行性疾患を有する患者において、より広範囲の意味で、脳は、正常な外見の白質における散在性ではあるが広範な(主に軸索)損傷および灰白質、特に、皮質における大規模な脱髄に影響を受ける。 MSの最新の治療法は、炎症の減少および免疫系の抑制または調節を目的としている。2006年現在、MSの利用可能な治療は、炎症および新しいエピソードの数を減少させるが、これらの治療の全てが、疾患進行に効果を及ぼすわけではない。多数の臨床試験が、慢性的なMSにおける炎症の抑制が、持続した疾患進行の間の身体的障害の蓄積を、ほとんどの場合有意に制限しないことを示しており、このことは、神経損傷および炎症が独立した病理であることを示唆する。したがって、MSの進行した段階において、神経変性は、顕著な炎症が存在しなくても進行するようである。それゆえに、脱髄の緩徐化、または修復機構としてCNSの再ミエリン化の促進、そうでなければ、軸索喪失およびニューロンの死を防ぐことが、特に、SP−MSなどのMSの進行型の場合において、MSの治療の重要な目的のいくつかである。 フマル酸ジメチル(DMF)などのフマル酸エステルが、以前に、MSの治療のために提案されている(例えば、Schimrigk et al.,Eur.J.Neurol.,2006,13(6):604−10;Drugs R&D,2005,6(4):229−30;米国特許第6,436,992号を参照)。 フマル酸ジメチル(DMF)が、インビボおよびインビトロでアストロサイトの活性化を減少させ、かつDMFが、初代アストロサイトのリポ多糖(LPS)刺激によって誘導される炎症性サイトカインおよび炎症誘発性シグナル伝達を阻害する証拠を本明細書に提供する。 神経変性および神経炎症から選択される少なくとも1つの症状によって特徴づけられる病状を有する対象を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、この方法は、治療有効量の式I:(式中、R1およびR2は、独立して、OH、O−、および(C1−6)アルコキシから選択され、ただし、R1およびR2の少なくとも一方は(C1−6)アルコキシである)の少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩をこの対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、治療有効量の式Iの少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩をこの対象に投与することにより、Ccl20、Ccl3、Ccl4、Cxcl1、Cxcl10、Cxcl2、Cxcl3、Cxcl6、IL1a、II1b、Tnf、Ifit3、Nfkbia、Nfkbiz、Tnfaip2、およびZc3hl2aから選択される少なくとも1個の遺伝子の発現がこの対象において結果的に抑制される。いくつかの実施形態において、神経変性および神経炎症から選択される少なくとも1つの症状によって特徴づけられる病状は、Ccl20、Ccl3、Ccl4、Cxcl1、Cxcl10、Cxcl2、Cxcl3、Cxcl6、IL1a、II1b、Tnf、Ifit3、Nfkbia、Nfkbiz、Tnfaip2、およびZc3hl2aから選択される少なくとも1個の遺伝子の発現の増加によってさらに特徴づけられる。いくつかの実施形態において、治療有効量の式Iの少なくとも1つの化合物をこの対象に投与することにより、Gsta2、Gsta3、Gclc、Ggt1、Txnrd1、Srxn1、Sqstm1、およびNqo1から選択される少なくとも1個の遺伝子の発現がこの対象において結果的に上昇する。いくつかの実施形態において、Gsta2、Gsta3、Gclc、Ggt1、Txnrd1、Srxn1、Sqstm1、およびNqo1から選択される少なくとも1個の遺伝子の発現の増加は、この対象において、Ccl20、Ccl3、Ccl4、Cxcl1、Cxcl10、Cxcl2、Cxcl3、Cxcl6、IL1a、II1b、Tnf、Ifit3、Nfkbia、Nfkbiz、Tnfaip2、およびZc3hl2aから選択される少なくとも1個の遺伝子の発現が抑制されることなく達成される。いくつかの実施形態において、この少なくとも1つの化合物は、この少なくとも1つの化合物、ならびに担体、アジュバント、および賦形剤から選択される少なくとも1つの薬学的に許容される媒体を含む医薬組成物として処方される。いくつかの実施形態において、この少なくとも1つの化合物はフマル酸ジメチルおよびフマル酸モノメチルから選択される。いくつかの実施形態において、対象に投与される唯一の活性薬剤はフマル酸ジメチル(DMF)である。いくつかの実施形態において、対象に投与される唯一の活性薬剤はフマル酸モノメチル(MMF)である。いくつかの実施形態において、対象に投与される唯一の活性薬剤はDMFおよびMMFである。いくつかの実施形態において、対象における神経変性および神経炎症の少なくとも1つを減少させるのに十分な量および十分な期間、この少なくとも1つの化合物を投与する。いくつかの実施形態において、神経変性および神経炎症から選択される少なくとも1つの症状によって特徴づけられる病状は、副腎白質萎縮症(ALD)、アルコール依存症、アレキサンダー病、アルパース病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)、毛細血管拡張性運動失調症、(シュピールマイアー・フォークト・シェーグレン・バッテン病としても知られる)バッテン病、牛海綿状脳症(BSE)、カナバン病、脳性麻痺、コケイン症候群、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、致死性家族性不眠症、前頭側頭葉変性症、ハンチントン病、HIV関連認知症、ケネディ病、クラッベ病、レビー小体型認知症、神経ボレリア症、マシャド・ジョセフ病(脊髄小脳失調症3型)、多系統萎縮症、多発性硬化症、ナルコレプシー、ニーマン・ピック病、パーキンソン病、ペリツェウス・メルツバッヘル病、ピック病、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性核上性麻痺、レフサム病、サンドホフ病、シルダー病、悪性貧血に続発する亜急性連合性脊髄変性症、(バッテン病としても知られる)シュピールマイアー・フォークト・シェーグレン・バッテン病、脊髄小脳失調症、脊髄性筋萎縮症、スチール・リチャードソン・オルツェウスキー病、脊髄癆、中毒性脳症、LHON(レーバー遺伝性視神経萎縮症)、MELAS(ミトコンドリア脳筋症;乳酸アシドーシス;脳卒中)、MERRF(ミオクローヌスてんかん;赤色ぼろ線維)、PEO(進行性外眼筋麻痺)、リー症候群、MNGIE(ミオパチーおよび外眼筋麻痺;ニューロパチー;胃腸;脳症)、カーンズ・セイヤー症候群(KSS)、NARP、遺伝性痙性対麻痺、ミトコンドリアミオパチー、およびフリードライヒ失調症から選択される。いくつかの実施形態において、神経変性および神経炎症の少なくとも1つによって特徴づけられる病状は多発性硬化症(MS)である。いくつかの実施形態において、この対象はMSを患っていない。いくつかの実施形態において、この対象は再発寛解型多発性硬化症を患い、治療は、臨床的再発の頻度を減少させ、身体的障害の蓄積を遅らせる。いくつかの実施形態において、この対象は再発寛解型多発性硬化症を患い、治療は、臨床症状の悪化の頻度を減少させる。 増加したアストログリオーシスによって特徴づけられる病状を有する対象においてアストログリオーシスを減少させる方法も提供する。いくつかの実施形態において、これらの方法は、治療有効量の式I:(式中、R1およびR2は、独立して、OH、O−、および(C1−6)アルコキシから選択される)の少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩をこの対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、治療有効量の式Iの少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩をこの対象に投与することにより、Ccl20、Ccl3、Ccl4、Cxcl1、Cxcl10、Cxcl2、Cxcl3、Cxcl6、IL1a、II1b、Tnf、Ifit3、Nfkbia、Nfkbiz、Tnfaip2、およびZc3hl2aから選択される少なくとも1個の遺伝子の発現がこの対象において結果的に抑制される。いくつかの実施形態において、治療有効量の式Iの少なくとも1つの化合物をこの対象に投与することにより、Gsta2、Gsta3、Gclc、Ggt1、Txnrd1、Srxn1、Sqstm1、およびNqo1から選択される少なくとも1個の遺伝子の発現がこの対象において結果的に上昇する。いくつかの実施形態において、Gsta2、Gsta3、Gclc、Ggt1、Txnrd1、Srxn1、Sqstm1、およびNqo1から選択される少なくとも1個の遺伝子の発現の増加は、この対象において、Ccl20、Ccl3、Ccl4、Cxcl1、Cxcl10、Cxcl2、Cxcl3、Cxcl6、IL1a、II1b、Tnf、Ifit3、Nfkbia、Nfkbiz、Tnfaip2、およびZc3hl2aから選択される少なくとも1個の遺伝子の発現が抑制されることなく達成される。いくつかの実施形態において、この少なくとも1つの化合物は、この少なくとも1つの化合物、ならびに担体、アジュバント、および賦形剤から選択される少なくとも1つの薬学的に許容される媒体を含む医薬組成物として処方される。いくつかの実施形態において、この少なくとも1つの化合物は、この少なくとも1つの化合物、ならびに担体、アジュバント、および賦形剤から選択される少なくとも1つの薬学的に許容される媒体を含む医薬組成物として処方される。いくつかの実施形態において、この少なくとも1つの化合物はフマル酸ジメチルおよびフマル酸モノメチルから選択される。いくつかの実施形態において、対象に投与される唯一の活性薬剤はフマル酸ジメチル(DMF)である。いくつかの実施形態において、対象に投与される唯一の活性薬剤はフマル酸モノメチル(MMF)である。いくつかの実施形態において、対象に投与される唯一の活性薬剤はDMFおよびMMFである。いくつかの実施形態において、対象における神経変性および神経炎症の少なくとも1つを減少させるのに十分な量および十分な期間、この少なくとも1つの化合物を投与する。いくつかの実施形態において、増加したアストログリオーシスによって特徴づけられる病状は、副腎白質萎縮症(ALD)、アルコール依存症、アレキサンダー病、アルパース病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)、毛細血管拡張性運動失調症、(シュピールマイアー・フォークト・シェーグレン・バッテン病としても知られる)バッテン病、牛海綿状脳症(BSE)、カナバン病、脳性麻痺、コケイン症候群、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、致死性家族性不眠症、前頭側頭葉変性症、ハンチントン病、HIV関連認知症、ケネディ病、クラッベ病、レビー小体型認知症、神経ボレリア症、マシャド・ジョセフ病(脊髄小脳失調症3型)、多系統萎縮症、多発性硬化症、ナルコレプシー、ニーマン・ピック病、パーキンソン病、ペリツェウス・メルツバッヘル病、ピック病、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性核上性麻痺、レフサム病、サンドホフ病、シルダー病、悪性貧血に続発する亜急性連合性脊髄変性症、(バッテン病としても知られる)シュピールマイアー・フォークト・シェーグレン・バッテン病、脊髄小脳失調症、脊髄性筋萎縮症、スチール・リチャードソン・オルツェウスキー病、脊髄癆、中毒性脳症、LHON(レーバー遺伝性視神経萎縮症)、MELAS(ミトコンドリア脳筋症;乳酸アシドーシス;脳卒中)、MERRF(ミオクローヌスてんかん;赤色ぼろ線維)、PEO(進行性外眼筋麻痺)、リー症候群、MNGIE(ミオパチーおよび外眼筋麻痺;ニューロパチー;胃腸;脳症)、カーンズ・セイヤー症候群(KSS)、NARP、遺伝性痙性対麻痺、ミトコンドリアミオパチー、およびフリードライヒ失調症から選択される。いくつかの実施形態において、神経変性および神経炎症の少なくとも1つによって特徴づけられる病状は多発性硬化症(MS)である。いくつかの実施形態において、この対象はMSを患っていない。いくつかの実施形態において、この対象は再発寛解型多発性硬化症を患い、治療は、臨床的再発の頻度を減少させ、身体的障害の蓄積を遅らせる。いくつかの実施形態において、この対象は再発寛解型多発性硬化症を患い、治療は、臨床症状の悪化の頻度を減少させる。 候補神経保護剤として化合物を特定する方法も提供する。いくつかの実施形態において、これらの方法は、a)標的の細胞、組織、または哺乳類において、神経変性および神経炎症のうちの少なくとも1つを誘発すること、b)この標的の細胞、組織、または哺乳類において、この化合物の存在下で、神経変性および神経炎症のうちの少なくとも1つの少なくとも1つマーカーの発現を測定すること、ならびにc)この標的の細胞、組織、または哺乳類において、この化合物の非存在下で、神経変性および神経炎症のうちの少なくとも1つの少なくとも1つマーカーの発現を測定することを含み、その際、神経変性および神経炎症のうちの少なくとも1つの少なくとも1つマーカーの発現が、この化合物の非存在下でのこの発現に対して、この化合物の存在下で減少する場合、この化合物を候補神経保護剤として特定する。いくつかの実施形態において、これらの方法は、さらに、d)少なくとも1つの化合物の存在下でアストログリオーシスを測定すること、およびe)少なくとも1つの化合物の非存在下でアストログリオーシスを測定することを含み、その際、アストログリオーシスは、この化合物の非存在下におけるアストログリオーシスのレベルに対して、この化合物の存在下で減少する。いくつかの実施形態において、この少なくとも1つマーカーは、Ccl20、Ccl3、Ccl4、Cxcl1、Cxcl10、Cxcl2、Cxcl3、Cxcl6、IL1a、II1b、Tnf、Ifit3、Nfkbia、Nfkbiz、Tnfaip2、およびZc3hl2aから選択される少なくとも1個の遺伝子の発現レベルである。 それを必要としている対象に神経保護を提供する方法も提供する。いくつかの実施形態において、これらの方法は、治療有効量の式I:(式中、R1およびR2は、独立して、OH、O−、および(C1−6)アルコキシから選択され、ただし、R1およびR2の少なくとも一方は(C1−6)アルコキシである)の少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩をこの対象に投与することを含み、その際、治療有効量の式Iの少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩をこの対象に投与することにより、Ccl20、Ccl3、Ccl4、Cxcl1、Cxcl10、Cxcl2、Cxcl3、Cxcl6、IL1a、II1b、Tnf、Ifit3、Nfkbia、Nfkbiz、Tnfaip2、およびZc3hl2aから選択される少なくとも1個の遺伝子の発現がこの対象において結果的に抑制される。いくつかの実施形態において、神経変性および神経炎症から選択される少なくとも1つの症状によって特徴づけられる病状は、Ccl20、Ccl3、Ccl4、Cxcl1、Cxcl10、Cxcl2、Cxcl3、Cxcl6、IL1a、II1b、Tnf、Ifit3、Nfkbia、Nfkbiz、Tnfaip2、およびZc3hl2aから選択される少なくとも1個の遺伝子の発現の増加によってさらに特徴づけられる。いくつかの実施形態において、治療有効量の式Iの少なくとも1つの化合物をこの対象に投与することにより、Gsta2、Gsta3、Gclc、Ggt1、Txnrd1、Srxn1、Sqstm1、およびNqo1から選択される少なくとも1個の遺伝子の発現がこの対象において結果的に上昇する。いくつかの実施形態において、Gsta2、Gsta3、Gclc、Ggt1、Txnrd1、Srxn1、Sqstm1、およびNqo1から選択される少なくとも1個の遺伝子の発現の増加は、この対象において、Ccl20、Ccl3、Ccl4、Cxcl1、Cxcl10、Cxcl2、Cxcl3、Cxcl6、IL1a、II1b、Tnf、Ifit3、Nfkbia、Nfkbiz、Tnfaip2、およびZc3hl2aから選択される少なくとも1個の遺伝子の発現が抑制されることなく達成される。いくつかの実施形態において、この少なくとも1つの化合物は、この少なくとも1つの化合物、ならびに担体、アジュバント、および賦形剤から選択される少なくとも1つの薬学的に許容される媒体を含む医薬組成物として処方される。いくつかの実施形態において、この少なくとも1つの化合物はフマル酸ジメチルおよびフマル酸モノメチルから選択される。いくつかの実施形態において、対象に投与される唯一の活性薬剤はフマル酸ジメチル(DMF)である。いくつかの実施形態において、対象に投与される唯一の活性薬剤はフマル酸モノメチル(MMF)である。いくつかの実施形態において、対象に投与される唯一の活性薬剤はDMFおよびMMFである。いくつかの実施形態において、対象における神経変性および神経炎症の少なくとも1つを減少させるのに十分な量および十分な期間、この少なくとも1つの化合物を投与する。いくつかの実施形態において、神経変性および神経炎症から選択される少なくとも1つの症状によって特徴づけられる病状は、副腎白質萎縮症(ALD)、アルコール依存症、アレキサンダー病、アルパース病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)、毛細血管拡張性運動失調症、(シュピールマイアー・フォークト・シェーグレン・バッテン病としても知られる)バッテン病、牛海綿状脳症(BSE)、カナバン病、脳性麻痺、コケイン症候群、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、致死性家族性不眠症、前頭側頭葉変性症、ハンチントン病、HIV関連認知症、ケネディ病、クラッベ病、レビー小体型認知症、神経ボレリア症、マシャド・ジョセフ病(脊髄小脳失調症3型)、多系統萎縮症、多発性硬化症、ナルコレプシー、ニーマン・ピック病、パーキンソン病、ペリツェウス・メルツバッヘル病、ピック病、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性核上性麻痺、レフサム病、サンドホフ病、シルダー病、悪性貧血に続発する亜急性連合性脊髄変性症、(バッテン病としても知られる)シュピールマイアー・フォークト・シェーグレン・バッテン病、脊髄小脳失調症、脊髄性筋萎縮症、スチール・リチャードソン・オルツェウスキー病、脊髄癆、中毒性脳症、LHON(レーバー遺伝性視神経萎縮症)、MELAS(ミトコンドリア脳筋症;乳酸アシドーシス;脳卒中)、MERRF(ミオクローヌスてんかん;赤色ぼろ線維)、PEO(進行性外眼筋麻痺)、リー症候群、MNGIE(ミオパチーおよび外眼筋麻痺;ニューロパチー;胃腸;脳症)、カーンズ・セイヤー症候群(KSS)、NARP、遺伝性痙性対麻痺、ミトコンドリアミオパチー、およびフリードライヒ失調症から選択される。いくつかの実施形態において、神経変性および神経炎症の少なくとも1つによって特徴づけられる病状は多発性硬化症(MS)である。いくつかの実施形態において、この対象はMSを患っていない。いくつかの実施形態において、この対象は再発寛解型多発性硬化症を患い、治療は、臨床的再発の頻度を減少させ、身体的障害の蓄積を遅らせる。いくつかの実施形態において、この対象は再発寛解型多発性硬化症を患い、治療は、臨床症状の悪化の頻度を減少させる。ラットEAEモデルにおけるDMFの用量反応を示すグラフである。BGOOO12によるグリア細胞阻害を示す画像である。神経炎症の発症におけるアストロサイトおよびミクログリアの役割に関する様々な分子メディエーターを示す図である。DMF処理を行った場合と行わなかった場合のラット脊髄アストロサイトの染色を示す画像である。アペリオ(Aperio)社のカラーデコンボリューションを用いた形態学的定量を示す画像である。腹側の灰白質領域および白質領域を示す画像である。腹側の灰白質および白質におけるGFAP陽性染色の形態学的定量を示すグラフである。BG200012がGFAPの発現を阻害することを示すグラフである。BG200012が、LPSに誘発されるTNF発現を阻害することを示すグラフである。アストロサイトにおけるBG00012に対するインビトロでのPD反応を示すグラフである。BG00012処理後のアストロサイトの生存率を示すグラフである。BG00012が、初代アストロサイトのLPS刺激によって誘発される炎症性サイトカインおよび炎症誘発性シグナル伝達を阻害すること示す画像である。図6A:培養アストロサイトにおけるグルタチオンレベルを示すグラフである。図6B:培養アストロサイトの代謝活性を示すグラフである。図6C:培養アストロサイトの細胞生存率を示すグラフである。図7A:MMFで処理した細胞の蛍光トレースの生データのグラフである。図7B:MMFで処理した細胞におけるCa++動員を示すグラフである。図7C:非線形回帰分析データを示すグラフである。図8A:培養アストロサイトの細胞生存率を示すグラフである。図8B:培養アストロサイトの代謝活性を示すグラフである。図8C:培養アストロサイトにおけるATPレベルを示すグラフである。DMFおよびMMFが、ラットおよびヒトの初代アストロサイトにおいて、Nrf2の細胞レベルを増加させることを示す画像である。ラットの初代アストロサイトにおける、DMF刺激による標準的なシグナル伝達経路を示すグラフである。ラットの初代アストロサイトにおける、DMFの影響を受ける主要な細胞機能を示すグラフである。DMF処理は、EAEの間、ミエリン喪失を減少させる(ラット脊髄)ことを示すグラフである。 神経変性および神経炎症の少なくとも1つによって特徴づけられる病状は、神経変性および神経炎症の経過のいずれかまたは両方により、対象の神経系が正常に機能できなくなることにつながる病状である。正常機能の喪失は、中枢神経系(例えば、脳、脊髄)および末梢神経系のいずれかまたは両方にあり得る。そのような病状の例として、副腎白質萎縮症(ALD)、アルコール依存症、アレキサンダー病、アルパース病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)、毛細血管拡張性運動失調症、(シュピールマイアー・フォークト・シェーグレン・バッテン病としても知られる)バッテン病、牛海綿状脳症(BSE)、カナバン病、脳性麻痺、コケイン症候群、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、致死性家族性不眠症、前頭側頭葉変性症、ハンチントン病、HIV関連認知症、ケネディ病、クラッベ病、レビー小体型認知症、神経ボレリア症、マシャド・ジョセフ病(脊髄小脳失調症3型)、多系統萎縮症、多発性硬化症、ナルコレプシー、ニーマン・ピック病、パーキンソン病、ペリツェウス・メルツバッヘル病、ピック病、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性核上性麻痺、レフサム病、サンドホフ病、シルダー病、悪性貧血に続発する亜急性連合性脊髄変性症、(バッテン病としても知られる)シュピールマイアー・フォークト・シェーグレン・バッテン病、脊髄小脳失調症、脊髄性筋萎縮症、スチール・リチャードソン・オルツェウスキー病、脊髄癆、中毒性脳症、LHON(レーバー遺伝性視神経萎縮症)、MELAS(ミトコンドリア脳筋症;乳酸アシドーシス;脳卒中)、MERRF(ミオクローヌスてんかん;赤色ぼろ線維)、PEO(進行性外眼筋麻痺)、リー症候群、MNGIE(ミオパチーおよび外眼筋麻痺;ニューロパチー;胃腸;脳症)、カーンズ・セイヤー症候群(KSS)、NARP、遺伝性痙性対麻痺、ミトコンドリアミオパチー、およびフリードライヒ失調症が挙げられるが、それらに限定されない。 いくつかの実施形態において、本明細書に記載の少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩を患者に投与することにより、「神経保護」を引き起こす、すなわち別の言い方をすると、この患者にこの化合物を投与することの効果は神経保護である。神経保護には、傷害または損傷の後の神経系、神経系の細胞、構造、および機能の維持、救助、回復、ならびに再生のうちの少なくとも1つが含まれる。いくつかの実施形態において、神経保護には、第1の神経保護および第2の神経保護のうちの少なくとも1つが含まれる。「第1の神経保護」は、CNS内に存在する神経系細胞(ニューロン、オリゴデンドロサイト、アストロサイト、およびミクログリアから選択される少なくとも1つの細胞型)の構造および/または機能の直接的な調節を含む保護である。「第2の神経保護」は、典型的には、CNSの外に存在する少なくとも1つの細胞型(例えば、免疫細胞)の構造または機能の調節を含む保護である。第2の神経保護において、この少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩は、典型的には、CNSの外に存在する少なくとも1つの細胞型に、直接的にまたは間接的に作用して、その少なくとも1つの細胞型の構造および/または機能を調節する。その後、その少なくとも1つの細胞型は、直接的に、または別の方法で、CNS内に存在する神経系細胞(ニューロン、オリゴデンドロサイト、アストロサイト、およびミクログリアから選択される少なくとも1つの細胞型)の構造および/または機能を調節する。いくつかの実施形態において、神経保護には、対象における神経変性または神経炎症の重症度の軽減またはその速度の減少が含まれる。神経系、神経系の細胞、構造、および機能の「維持」には、本明細書に開示される疾患もしくは病状の少なくとも1つの兆候または症状の進行に先立ち、少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩を対象に投与して、この疾患もしくは病状の結果として生じる重症度を軽減し、かつ/またはこの疾患および/もしくは病状の発症率を低下させる実施形態が含まれる。 いくつかの実施形態において、治療される病状は、例えば、この対象の神経系細胞における炎症誘発性遺伝子の発現増加によって特徴づけられる。アストログリオーシスを経験している対象の場合は、例えば、この対象において、Ccl20、Ccl3、Ccl4、Cxcl1、Cxcl10、Cxcl2、Cxcl3、Cxcl6、IL1a、II1b、Tnf、Ifit3、Nfkbia、Nfkbiz、Tnfaip2、およびZc3hl2aから選択される少なくとも1個の炎症誘発性遺伝子の発現が増加する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩をこの対象に投与することにより、Ccl20、Ccl3、Ccl4、Cxcl1、Cxcl10、Cxcl2、Cxcl3、Cxcl6、IL1a、II1b、Tnf、Ifit3、Nfkbia、Nfkbiz、Tnfaip2、およびZc3hl2aから選択される少なくとも1個の遺伝子の発現が結果的に抑制される。 神経保護遺伝子の特定例、すなわち、Gsta2、Gsta3、Gclc、Ggt1、Txnrd1、Srxn1、Sqstm1、およびNqo1も本明細書に開示する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩をこの対象に投与することにより、Gsta2、Gsta3、Gclc、Ggt1、Txnrd1、Srxn1、Sqstm1、およびNqo1から選択される少なくとも1個の遺伝子の発現が結果的に上昇する。 「治療有効量」という用語は、対象における神経変性もしくは神経炎症によって特徴づけられる病状の少なくとも1つの症状の発症の予防もしくは遅延または改善をもたらすか、またはアストログリオーシスの減少などの所望の生物学的結果を獲得する化合物もしくはその薬学的に許容される塩のその量を表す。 いくつかの実施形態において、Ccl20、Ccl3、Ccl4、Cxcl1、Cxcl10、Cxcl2、Cxcl3、Cxcl6、IL1a、II1b、Tnf、Ifit3、Nfkbia、Nfkbiz、Tnfaip2、Zc3hl2a、Gsta2、Gsta3、Gclc、Ggt1、Txnrd1、Srxn1、Sqstm1、およびNqo1から選択される少なくとも1個の遺伝子の発現レベルを対象において測定する。いくつかの実施形態において、この遺伝子の発現を、その遺伝子のmRNAの発現レベルを調べることによって測定する。いくつかの実施形態において、この遺伝子の発現を、その遺伝子によってコードされるタンパク質産物の発現レベルを調べることによって測定する。いくつかの実施形態において、このタンパク質産物を、この対象の脳脊髄液中で測定する。いくつかの実施形態において、治療の開始前、治療中、および治療後から選択される少なくとも1つの時点において、発現レベルを測定する。 「治療」という用語は、統計的に有意な程度または当業者が検出できる程度のいずれか一方まで、対象における神経変性もしくは神経炎症によって特徴づけられる病状の少なくとも1つの症状の発症を予防もしくは遅延するか、または改善するのに効果的な量、方法、および/または機序で治療法を施すことを表す。有効量、方法、または機序は対象に応じて変えることができ、かつその対象に合わせて調整されてもよい。本明細書で言及する神経障害については、本発明の方法によって提供される治療が、障害の病状を改善する(または有害作用を軽減する)ことを目標としており、必ずしも完全にこれらの障害を排除または治癒させることを目標とするわけではない。 特に特定しない限り、「MMF」という用語は、酸の形態のフマル酸モノメチル(「MHF」としても知られるフマル酸メチル水素)ならびにその対応する塩を表す。 いくつかの実施形態において、本発明の方法は、治療有効量の式Iの少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩を、この病状を有する対象に投与することを含み:、式中、R1およびR2は、独立して、OH、O−、および(C1−6)アルコキシから選択される。(C1−6)アルコキシは、例えば、(C1−5)アルコキシ、(C1−4)アルコキシ、(C1−3)アルコキシ、エトキシ、メトキシ、(C2−3)アルコキシ、(C2−4)アルコキシ、(C2−5)アルコキシ、および(C1−6)アルコキシから選択することができる。式Iの化合物のいくつかの実施形態において、薬学的に許容される塩は、金属(M)カチオンの塩であり、Mは、アルカリ、アルカリ土類、またはLi、Na、K、Ca、Zn、Sr、Mg、Fe、もしくはMnなどの遷移金属であり得る。限定されない説明的な実施形態において、式Iの化合物は、フマル酸ジメチル(R1はCH3であり、R2はCH3である)またはフマル酸モノメチル(R1はCH3であり、R2はO−もしくはOHであり、例えば、フマル酸モノメチルの薬学的に許容される塩、例えば、具体的に、Ca−MMF)である。 特定の実施形態において、本発明の方法は、神経変性および/または神経炎症の減少を対象にもたらす。これらの神経保護作用は、必ずしも損傷または変性の全てを排除するわけではないが、むしろ変性の進行を遅らせるかもしくはさらに停止させるか、または変性プロセスの開始を防ぐか、または障害の病態を改善する。本発明の方法は、中枢神経系、例えば、海馬、小脳、脊髄、皮質(例えば、運動皮質または体性感覚皮質)、線条体、前脳基底部(コリン作動性ニューロン)、腹側中脳(黒質の細胞)、および青斑(中枢神経系の神経アドレナリン細胞(neuroadrenaline cell))などの神経系のいずれかの部分に神経保護を提供し得る。 いくつかの実施形態において、この少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩を、この対象における神経変性および神経炎症の少なくとも1つを低下させるのに十分な量でかつ十分な期間投与する。いくつかの実施形態において、この少なくとも1つの化合物を、この対象におけるアストログリオーシスを低下させるのに十分な量でかつ十分な期間投与する。いくつかの実施形態において、この少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩を、この対象に神経保護をもたらすのに十分な量でかつ十分な期間投与する。 本発明の方法は、DMFおよびMMFから選択される、治療有効量の少なくとも1つの化合物でこの対象を治療することを含み得る。DMFおよびMMFの場合、その治療有効量は、約1mg/kg〜約50mg/kg(例えば、約2.5mg/kg〜約20mg/kgまたは約2.5mg/kg〜約15mg/kg)の範囲であり得る。有効量は、当業者が認めるように、投与経路、賦形剤の利用、および他の治療薬の使用を含む他の治療薬との併用の可能性によっても変化するであろう。例えば、対象に投与されるDMFまたはMMFの有効量は、例えば、経口的には、1日あたり約0.1g〜約1g、例えば、1日あたり200mg〜約800mg(例えば、1日あたり約240mg〜約720mg;1日あたり約480mg〜約720mg;1日あたり約720mg)であり得る。例えば、1日あたり約720mgは、2、3、4、または6つの等しい用量の別々の投与で投与されてもよい。 本方法のいくつかの実施形態において、フマル酸ジメチル120mgがこの医薬製剤中に存在する。本方法のいくつかの実施形態において、この医薬製剤を、1日あたり3回(TID)この患者に投与する。本方法のいくつかの実施形態において、この医薬製剤を、1日あたり2回(BID)この患者に投与する。 本方法のいくつかの実施形態において、フマル酸ジメチル240mgがこの医薬製剤中に存在する。本方法のいくつかの実施形態において、この医薬製剤を、1日あたり3回(TID)この患者に投与する。本方法のいくつかの実施形態において、この医薬製剤を、1日あたり2回(BID)この患者に投与する。 本方法のいくつかの実施形態において、この医薬製剤を、この患者が食事をとる少なくとも1時間前もしくは1時間後に投与する。 本方法のいくつかの実施形態において、この医薬製剤を投与することは、第1の投与期間に、この医薬製剤の第1の用量をこの患者に投与すること、ならびに、第2の投与期間に、この医薬製剤の第2の用量をこの患者に投与することをさらに含む。本方法のいくつかの実施形態において、第1の投与期間は少なくとも1週間である。本方法のいくつかの実施形態において、この医薬製剤の第1の用量はフマル酸ジメチルを120mg含み、第1の投与期間に、この医薬製剤を1日あたり3回(TID)この患者に投与する。本方法のいくつかの実施形態において、第1の医薬製剤の第2の用量はフマル酸ジメチルを240mg含み、第2の投与期間に、第1の医薬製剤を1日あたり3回(TID)この患者に投与する。本方法のいくつかの実施形態において、第1の医薬製剤の第2の用量はフマル酸ジメチルを240mg含み、第2の投与期間に、第1の医薬製剤を1日あたり2回(BID)この患者に投与する。本方法のいくつかの実施形態において、第2の投与期間の間に、この患者が顔面紅潮または胃腸障害を経験する場合、1週間〜1カ月間、フマル酸ジメチルを120mg含む第1の医薬製剤の用量を、1日あたり3回(TID)この患者に投与する。 治療化合物(例えば、DMFまたはMMF)を、神経障害の治療のために、この化合物の送達を可能にする任意の方法によって投与することができる。例えば、この治療化合物を、丸剤、錠剤、ミクロ錠剤、丸薬、マイクロ丸薬、(例えば、ミクロ錠剤を含む)カプセル、座薬、経口投与用の液体製剤によって、および栄養補助食品の形態で投与することができる。この薬学的に許容される組成物は、周知の薬学的に許容される賦形剤を含むことができ、例えば、この組成物が活性薬剤を含む水溶液である場合、この組成物は、等張食塩水、5%グルコース、または他のものであり得る。シクロデキストリンなどの可溶化剤、または当業者に周知の他の可溶化剤を、この治療化合物の送達のための医薬賦形剤として利用することができる。例えば、DMFおよび/またはMMFを含むいくつかの製剤についての米国特許第6,509,376号および同第6,436,992号を参照されたい。投与経路として、これらの組成物を経口投与、鼻腔内投与、経皮投与、皮下投与、皮内投与、経膣投与、口腔内投与、眼内投与、筋肉内投与、頬側投与、直腸投与、経粘膜投与、または吸入による投与、もしくは静脈内投与することができる。DMFまたはMMFは経口投与が好ましい。 いくつかの実施形態において、本発明による方法は、本質的に、腸溶性コーティングミクロ錠剤の形態のフマル酸ジメチル60〜240mg(例えば、120mg)からなる医薬製剤を含むカプセルを経口投与することを含む。いくつかの実施形態において、このようなミクロ錠剤の平均直径は1〜5mm、例えば、1〜3mmまたは2mmである。 この治療化合物は、持続放出性または制御放出性の医薬製剤の形態で投与することができる。当業者は、このような製剤を様々な技術によって調製することができる。例えば、この製剤は、この治療化合物、速度制御ポリマー(すなわち、この治療化合物を投薬形態から放出する速度を制御する物質)および任意選択で、他の賦形剤を含み得る。速度制御ポリマーのいくつかの例として、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルイソプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロースおよびヒドロキシプロピルヘキシルセルロース)、ポリ(エチレン)オキシド、アルキルセルロース(例えば、エチルセルロースおよびメチルセルロース)、カルボキシメチルセルロース、親水性セルロース誘導体、およびポリエチレングリコール、ならびに国際特許WO2006/037342、WO2007/042034、WO2007/042035、WO2007/006308、WO2007/006307、およびWO2006/050730に記載の組成物が挙げられる。 フマル酸ジメチルを患者に投与するいくつかの実施形態において、このDMFを、腸溶性コーティングミクロ錠剤を含むカプセルの中に処方する。この製剤を、本明細書では「BG−12」または「BG00012」と称する。これらの錠剤のコーディングは、異なる層でできている。第1の層は、メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体/イソプロピルアルコール溶液であり、これは、次に適用される水懸濁液の可能性のある加水分解から錠剤コアを分離する。その後、この錠剤の腸溶性コーティングを、メタクリル酸−アクリル酸エチル共重合体水性懸濁液によって与える。これらのカプセルの全成分および定量的組成を表1に示す。 製造工程および工程管理は以下を含む: A)有効成分および非有効成分の重さを量り、各出発物質を適切なラベル(命名、バッチ番号、量)で識別する。 B)混合:有効成分フマル酸ジメチルおよびミクロ錠剤のコアの全ての賦形剤を含む粉末混合物を調製する。 C)打錠:回転プレスには複数の穿孔具、粉体除去装置が装備され、この粉末混合物を所定の仕様に従って打錠する。 D)膜コーティング:一般に用いられている膜コーティング法に従って、膜コーティング装置を用いて分離液を噴霧することによって、ミクロ錠剤のコアを分離する。膜コーティング容器の中で、この分離したコアに腸溶性コーティング懸濁液を噴霧する。ミクロ錠剤の胃抵抗およびこの有効成分の含有量を制御する。 E)カプセル充填:ミクロ錠剤の有効成分に基づいて、カプセルあたり有効成分120mgに相当する量でカプセルを充填する。カプセルの充填重量およびカプセルの長さを制御する。 F)包装:これらのカプセルを、ブリスターマシンで、熱形成されたPVC/PE/PVdC−アルミニウムブリスターに包装する。 例えば、米国特許第7,320,999号の5〜7欄の実施例ならびに国際特許WO2006/037342、WO2007/042034、WO2007/042035、WO2007/006308、WO2007/006307、およびWO2006/050730の中にある、DMFおよびMMFを合成および処方する追加の方法を提供する。 本発明を、以下の実施例にさらに詳細に記載するが、これらの実施例は特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を制限するものではない。 実施例 方法 ラットEAE: 雌ブラウンノルウェーラット(チャールズリバーラボラトリーズ社)に、0日目に、ラットあたりIFA中のMOG1−125を100μg用いて、尾の基部に皮内投与で免疫化する。3日目に、DMF(BG00012)を毎日5、25、50、100、200mg/kgを1日1回、0.8%HPMC中の懸濁液として経口で送達した。1グループあたり6匹。スコア0=疾患なし、1=尾の麻痺、2=後肢の衰弱、3=後肢の麻痺、4=後肢の麻痺および前肢の衰弱、5=瀕死または死。動物実験委員会のガイドラインに従って、インビボでの実験手順を実施した。 アストロサイトの初代培養: 皮質、海馬および線条体のラットアストロサイト(ロンザ社、クロンテック社)を、メーカーの手順書に記載されるとおりに培養した。DMFのDMSOによる限界希釈液を加え、6〜24時間培養し、大腸菌LPS(シグマ社)で刺激した。キアゲン社のRneasy法を用いてRNAを調製した。 組織学および形態計測: 腰髄切片を、免疫組織化学のためのFFPE切片として調製し、GFAP抗体(ダコ(DAKO)社)、IBA−1(和光純薬工業)、CD3(ダコ社)を用いてダコ社の自動免疫組織化学染色装置で処理した。形態学的分析のために、アペリオ社のスペクトルカラーデコンボリューションソフトウェアを用いた。 発現解析: キアゲン社のRNeasy法を用いて、素早く凍結した腰髄切片から全RNAを調製した。アプライドバイオサイエンス社のTaqManプローブを用いて特定の転写産物を増幅し、GAPDHハウスキーピングプローブを用いて標準化した。 実施例1 フマル酸ジメチル(DMF)の経口投与可能な製剤であるBG00012は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の第III相試験中である。第IIb相試験において、BG−12は、ガドリニウム増強脳損傷を顕著に減少させ、T1低強度ブラックホール(hypointense black hole)を減少させた。BG00012の有効成分であるフマル酸ジメチル(DMF)を、ラットEAEモデルで試験した。図1Aに示すように、実験的に誘発したEAEのラットを様々な用量のDMFで処理すると、用量依存的にEAEの症状を軽減した。200mg/kgのDMFでの処理は、完全に疾患を抑止した(図1A)。 図1Bは、媒体またはBG00012で処理したラットの脊髄の断面を示す。パネルa〜fの処理および染色は以下のとおりである: a.ルクソール・ファストブルー/媒体 b.ルクソール・ファストブルー/BG00012 c.GFAP/媒体 d.GFAP/BG00012 e.IBA1/媒体 f.IBA1/BG00012 図1Bに示すように、活性化されたアストロサイトおよびミクログリアは、BG00012で処理した脊髄において著しく減少し、ミエリンは保たれた。 実施例2 この実施例は、BG00012がインビボでアストロサイトの活性化を減少させることを示す。具体的には、DMFで処理したラットの脊髄は、媒体のみで処理されたラットの脊髄よりも、灰白質において活性化されたアストロサイトは少ない。図3Aは、活性化アストロサイロを特定するためにGFAP抗体で染色した脊髄の断面を示す。パネル(a)および(b)は、それぞれ、5倍および20倍の倍率で示した、媒体のみで処理したラットの脊髄の断面であり、一方、パネル(c)および(d)は、それぞれ、5倍および20倍の倍率で示した、100mg/kgのDMFで処理したラットの脊髄の断面である。 図3Bは、アペリオ社のカラーデコンボリューションを用いる形態学的定量を示す。 図3Cは、腹側の灰白質領域および白質領域を示すラットの脊髄の断面を示す。これらの領域を、形態計測用に選択した。図3Dは、腹側の灰白質および白質におけるGFAP陽性染色の形態学的定量を示す。 実施例3 この実験は、BG00012が初代培養アストロサイトの活性化を減少させることを示す。図4Aは、示した濃度でDMF刺激を6時間および24時間した後のGFAP発現の定量PCR分析を示す。示すように、DMFは濃度依存的にGFAP発現を阻害する。 図4Bは、示した濃度でDMF刺激を24時間し、収集の4時間前に、0、10、および30ng/mlのLPSを加えた後のTNF発現の定量PCR分析を示す。示すように、LPSは用量依存的にTNF発現を誘導し、その誘導されたTNF発現は、DMFにより用量依存的に抑制される。 図4Cは、示した濃度でDMF刺激を6時間および24時間した後のNQO1発現の定量PCR分析を示す。示すように、DMFは濃度依存的にNQO1発現を誘導する。6時間の暴露による誘導と比較して、24時間のDMFへの暴露によってより高いレベルでNQO1が誘導されることはデータからも明らかである。 最後に、図4Dは、アストロサイトをBGOOO12(DMF)または媒体(DMSO)で処理した24時間後のMTTアッセイの結果を示す。このデータは、アストロサイトの生存率が、BGOOO12処理により損なわれないことを示す。 実施例4 図5は、BGOOO12が、初代アストロサイトのLPS刺激によって誘導される炎症性サイトカインおよび炎症誘発性シグナル伝達を阻害することを示す。示すように、初代アストロサイトを0、10、および100ng/mlのLPSで処理し、また、示すように、0、3、10、または30μMのDMFで処理した。各条件下の各遺伝子の発現の大きさを0〜1のスケールで示し、色の違いは、条件が変わると各遺伝子の発現が変化することを示す。最も濃い緑色は、検出できない発現(0)を示し、もっとも鮮やかな赤色はその遺伝子について測定された最も高い発現(1)を示す。一般的に言えば、このデータは、これらの遺伝子の発現がLPS処理によって増加し、全てのマーカーは100ng/mlのLPS処理によって誘導されることを示す。これらのマーカーの多くの誘導された発現は、DMF処理によって抑制された。特に、Ccl20、Ccl3、Ccl4、Cxcl1、Cxcl10、Cxcl2、Cxcl3、Cxcl6、IL1a、II1b、Tnf、Ifit3、およびZc3hl2aの誘導が強く抑制された。 実施例5 この実施例は、DMF(BG00012)が、ラットにおいて、慢性再発EAE(crEAE)と関連するアストログリオーシスおよびミクログリアの活性化を阻害することができることを示すデータを提供する。 crEAEは、ブラウンノルウェーラットにおけるMOG/IFAの皮内免疫によって誘発された。免疫後最初の3日に、1日間隔でBG00012を経口投与した。BG00012は、全ての処理群において疾患の平均臨床スコアを下げた。媒体処理群の2.29(n=6、SD=1.29)と比較して、100mg/kgの処理群については、28日目の平均疾患スコアが0.71(n=6、SD=1.17)であった。腰髄切片の免疫組織化学は、活性化アストロサイトのマーカーであるGFAP、および活性化ミクログリアのマーカーであるIBA−1の染色が減少したことを示した。 脊髄のmRNAの定量PCRは、媒体処理群と比較して、BG00012処理群において、IBA−1およびGFAPのmRNAが、それぞれ、52%および54%減少したことを示した。 ラットの初代アストロサイト細胞およびRAW264.7マクロファージ細胞を用いて、特定のアストロサイト細胞およびミクログリア細胞に対するBG00012の直接的効果をインビトロで試験した。BG00012の存在下でLPS刺激を行うと、アストロサイトおよびマクロファージのTNF−aのmRNAが、それぞれ、77%および59%結果的に減少した。LPS刺激細胞の網羅的な遺伝子発現プロファイリングは、BG00012が両方の細胞型において、多くの炎症誘発性遺伝子産物を阻害することができることを示した。 これらの研究結果は、反応性グリオーシスの抑制およびマクロファージ機能の阻害が、BG00012の抗炎症およびCNS神経保護の2重の作用機序の一部としてのBG00012の治療効果に寄与し得ることを示す。 本明細書に報告するデータは、BG00012が再発するラットEAEの疾患を阻害することを示す。組織学的分析は、BG00012で処理した脊髄において、アストロサイト活性化マーカーのレベルが減少することを示した。インビトロデータは、BG00012がアストロサイトの活性化を直接阻害することができることを示唆する。最後に、LPSで刺激した初代アストロサイトにおいて、炎症誘発性遺伝子の発現は、BG00012処理後に減少する。これらの研究結果は、反応性グリオーシスの抑制ならびに抗炎症およびCNS神経保護の2重の作用機序におけるBG00012の役割を指摘する。 実施例6 この実施例は、培養したアストロサイトに対するMMFの効果を解析する。具体的には、これらの結果は、MMF処理が細胞の還元電位を上方制御し、H2O2に誘発されるCa++動員を減少させ、H2O2に誘発される細胞死を減少させることを示す。 ヒト脊髄アストロサイトの初代培養物を、MMFまたは(希釈剤対照としての)DMSOの滴定で24時間処理した。化合物と24時間インキュベーションした後、細胞を増殖培地で1回洗浄し、細胞浸透性基質であるモノクロロビマンとインキュベートした。グルタチオンと結合すると、この基質は蛍光を増加する。MMFで処理した際、細胞グルタチオンレベルの明瞭な濃度依存的増加が観察された。図6A。同様なMMF処理細胞も細胞浸透性基質であるリザズリンとインキュベートした。これは、細胞の酸化還元機構によるレゾルフィンへの還元の際、蛍光を増加させ、細胞の代謝活性の1つの指標(CellTiter−Blueアッセイ)として用いられる。このアッセイは、処理細胞のこの基質を還元する能力において、明瞭なMMF濃度依存的増加があるという点で、(図6Aと)同様の結果を示す。図6B。グルタチオンおよび代謝活性の増加が、単にMMF処理に反応する細胞増殖によるものではないことを確実とするために、並行して、細胞皿をカルセインAMとインキュベートした。細胞エステラーゼがこの分子を切断し、蛍光代謝産物を生成し、それが細胞の生存率および関連する全細胞数の測定手段をもたらす。いかなる大幅な濃度依存的変化も観察されなかった。図6C。これらのデータを総合すると、MMF処理は、ヒト脊髄の培養アストロサイトにおける抗酸化反応を上方制御し、酸化的攻撃の際、神経保護の利点を提供し得る。 別の実験において、ヒト脊髄アストロサイトの初代培養物をMMFまたは(希釈剤対照としての)DMSOの滴定で24時間処理した。化合物と24時間インキュベーションした後、細胞をHBSSで1回洗浄し、カルシウム4(モレキュラーデバイス社)ローディング色素とインキュベートした。この色素は細胞に浸透し、細胞内の遊離Ca++と結合すると、蛍光を増加させる。その後、細胞を50mMのH2O2で処理し、蛍光変化を観察した。図7Aは、MMFが用量依存的に細胞内Ca++の動員を減少させたことを示す細胞の蛍光トレースの生データを示す。図7Bはベースラインを超える蛍光強度の変化(DRFU)の定量化を示し、30mMのMMFがCa++の蓄積を(H2O2を含まない対照と比較して)バックグランドレベルまで減少させ、H2O2処理に対する保護が用量依存的であることを示す。このデータを非線形回帰にあてはめると、EC50=5.4mMであることが明らかになる。図7C。これらのデータは、MMFが細胞内Ca++の放出を抑制することができ、これが、下流のアポトーシスカスケードの開始を防ぐことにより、神経保護の利点を提供し得ることを示唆する。 別の実験において、ヒト脊髄アストロサイトの初代培養物をMMFまたは(希釈剤対照としての)DMSOの滴定で24時間処理した。化合物と24時間インキュベーションした後、細胞をHBSSで1回洗浄し、500mMのH2O2で2時間処理し、その後、通常の増殖培地で洗浄し、24時間さらにインキュベートした。図8Aは、細胞生存率を観察するために図6と同じカルセインAM技法を用いた結果を示し、一過的に500mMのH2O2で処理した後、24時間の回復期を設けた場合に、顕著な減少が観察された。この生存率の減少は、濃度依存的にMMFによって弱められる。図8Bは、基質レザズリンの細胞依存的還元による測定と同様の効果が、細胞代謝において観察されたことを示す。図8Cは、細胞のATPレベルを調べることによって、いくらかより中程度のMMF依存的保護効果が観察されたが、明瞭な濃度依存的反応が観察されたことを示す。興味深いことに、最も高い濃度のMMFが細胞のATPレベルを減少させるように思われる。総合すると、これらのデータは、MMFが、ヒト脊髄アストロサイトにおいて、酸化ストレスに対する神経保護である反応を引き起こすことを示唆する。 実施例7 上記に示したように処理したアストロサイト培養物から全ての細胞溶解物を調製した。ウエスタンブロットによりNrf2を検出した。ハウスキーピングタンパク質の対照として、GAPDHを含めた。図9に示した結果は、DMFおよびMMFが、ラットおよびヒトの初代アストロサイトにおいてNrf2のレベルを増加させることを示す。 実施例8 DMFで処理したアストロサイトにおける遺伝子発現の網羅的解析を、アフィメトリクス社のGeneChip技術を用いて行った。未処理のアストロサイトと比較して、DMF処理細胞において、転写物のレベルが有意(p<10-7)に増加したものを、DMFにより影響を受ける遺伝子として特定した。得られた遺伝子リストをIngenuity IPAデータベースを用いて注釈を付けた。図10に示すように、DMFは、グルタチオン代謝を調節すると知られる遺伝子を含む、Nrf2標的遺伝子の発現を活性化する。図11に示すように、DMFによる網羅的な遺伝子発現の調節は、神経系の発達、機能、および疾患と関連するアストロサイトの機能に対する効果を示す。本アッセイで特定された、細胞保護作用およびグルタチオン代謝に関わる特異的遺伝子には、Gsta2、Gsta3、Gclc、Ggt1、Txnrd1、Srxn1、Sqstm1、およびNqo1が含まれるが、これらに限定されない。 実施例9 図12に示すように、DMF処理は、ラットの脊髄において、EAEの間のミエリン喪失を減らす。EAEの脊髄の形態計測分析を、アペリオ社のソフトウェアを用いて行った。組織学的変化を、アペリオ社のImage Scopeソフトウェアv10.1を用いて定量化した。カラーデコンボリューションアルゴリズムを用いて、茶色のDAB染色(GFAPおよびIBA−1免疫染色)または明るいターコイズブルー染色(ルクソール・ファストブルー)のいずれか一方についての強度閾値を選択した。各強度閾値に対する強く陽性染色されたピクセルの割合によって、陽性染色を特定した。1匹のラットあたり3つの腰髄切片を定量化し、強い陽性ピクセルの割合の値を平均して最終強度値を得た。 神経変性および神経炎症から選択される少なくとも1つの症状によって特徴づけられる病状を有する対象を治療する方法であって、治療有効量の式I:(式中、R1およびR2は、独立して、OH、O−、および(C1−6)アルコキシから選択され、ただし、R1およびR2の少なくとも一方は(C1−6)アルコキシである)の少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩を前記対象に投与することを含み、 前記治療有効量の式Iの少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩を前記対象に投与することにより、Ccl20、Ccl3、Ccl4、Cxcl1、Cxcl10、Cxcl2、Cxcl3、Cxcl6、IL1a、II1b、Tnf、Ifit3、Nfkbia、Nfkbiz、Tnfaip2、およびZc3hl2aから選択される少なくとも1個の遺伝子の発現が前記対象において結果的に抑制される方法。 神経変性および神経炎症から選択される少なくとも1つの症状によって特徴づけられる病状が、Ccl20、Ccl3、Ccl4、Cxcl1、Cxcl10、Cxcl2、Cxcl3、Cxcl6、IL1a、II1b、Tnf、Ifit3、Nfkbia、Nfkbiz、Tnfaip2、およびZc3hl2aから選択される少なくとも1個の遺伝子の発現の増加によってさらに特徴づけられる、請求項1に記載の方法。 前記治療有効量の式Iの少なくとも1つの化合物を前記対象に投与することにより、Gsta2、Gsta3、Gclc、Ggt1、Txnrd1、Srxn1、Sqstm1、およびNqo1から選択される少なくとも1個の遺伝子の発現が前記対象において結果的に上昇する、請求項1または2に記載の方法。 前記の少なくとも1つの化合物が、前記の少なくとも1つの化合物、ならびに担体、アジュバント、および賦形剤から選択される少なくとも1つの薬学的に許容される媒体を含む医薬組成物として処方される、請求項1に記載の方法。 前記の少なくとも1つの化合物がフマル酸ジメチルおよびフマル酸モノメチルから選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 前記対象に投与される唯一の活性薬剤がフマル酸ジメチル(DMF)である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 前記対象に投与される唯一の活性薬剤がフマル酸モノメチル(MMF)である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 前記対象に投与される唯一の活性薬剤がDMFおよびMMFである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 前記対象における神経変性および神経炎症の少なくとも1つを減少させるのに十分な量および十分な期間、前記の少なくとも1つの化合物が投与される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。 神経変性および神経炎症から選択される少なくとも1つの症状によって特徴づけられる病状が、副腎白質萎縮症(ALD)、アルコール依存症、アレキサンダー病、アルパース病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)、毛細血管拡張性運動失調症、(シュピールマイアー・フォークト・シェーグレン・バッテン病としても知られる)バッテン病、牛海綿状脳症(BSE)、カナバン病、脳性麻痺、コケイン症候群、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、致死性家族性不眠症、前頭側頭葉変性症、ハンチントン病、HIV関連認知症、ケネディ病、クラッベ病、レビー小体型認知症、神経ボレリア症、マシャド・ジョセフ病(脊髄小脳失調症3型)、多系統萎縮症、多発性硬化症、ナルコレプシー、ニーマン・ピック病、パーキンソン病、ペリツェウス・メルツバッヘル病、ピック病、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性核上性麻痺、レフサム病、サンドホフ病、シルダー病、悪性貧血に続発する亜急性連合性脊髄変性症、(バッテン病としても知られる)シュピールマイアー・フォークト・シェーグレン・バッテン病、脊髄小脳失調症、脊髄性筋萎縮症、スチール・リチャードソン・オルツェウスキー病、脊髄癆、中毒性脳症、LHON(レーバー遺伝性視神経萎縮症)、MELAS(ミトコンドリア脳筋症;乳酸アシドーシス;脳卒中)、MERRF(ミオクローヌスてんかん;赤色ぼろ線維)、PEO(進行性外眼筋麻痺)、リー症候群、MNGIE(ミオパチーおよび外眼筋麻痺;ニューロパチー;胃腸;脳症)、カーンズ・セイヤー症候群(KSS)、NARP、遺伝性痙性対麻痺、ミトコンドリアミオパチー、およびフリードライヒ失調症から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。 神経変性および神経炎症の少なくとも1つによって特徴づけられる病状が多発性硬化症(MS)である、請求項10に記載の方法。 前記対象がMSを患っていない、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。 増加したアストログリオーシスによって特徴づけられる病状を有する対象においてアストログリオーシスを減少させる方法であって、治療有効量の式I:(式中、R1およびR2は、独立して、OH、O−、および(C1−6)アルコキシから選択される)の少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩を前記対象に投与することを含む方法。 治療有効量の式Iの少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩を前記対象に投与することにより、Ccl20、Ccl3、Ccl4、Cxcl1、Cxcl10、Cxcl2、Cxcl3、Cxcl6、IL1a、II1b、Tnf、Ifit3、Nfkbia、Nfkbiz、Tnfaip2、およびZc3hl2aから選択される少なくとも1個の遺伝子の発現が前記対象において結果的に抑制される、請求項13に記載の方法。 治療有効量の式Iの少なくとも1つの化合物を前記対象に投与することにより、Gsta2、Gsta3、Gclc、Ggt1、Txnrd1、Srxn1、Sqstm1、およびNqo1から選択される少なくとも1個の遺伝子の発現が前記対象において結果的に上昇する、請求項13または14に記載の方法。 前記の少なくとも1つの化合物が、前記の少なくとも1つの化合物、ならびに担体、アジュバント、および賦形剤から選択される少なくとも1つの薬学的に許容される媒体を含む医薬組成物として処方される、請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。 前記の少なくとも1つの化合物が、前記の少なくとも1つの化合物、ならびに担体、アジュバント、および賦形剤から選択される少なくとも1つの薬学的に許容される媒体を含む医薬組成物として処方される、請求項13〜16のいずれか1項に記載の方法。 前記の少なくとも1つの化合物がフマル酸ジメチルおよびフマル酸モノメチルから選択される、請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法。 前記対象に投与される唯一の活性薬剤がフマル酸ジメチル(DMF)である、請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法。 前記対象に投与される唯一の活性薬剤がフマル酸モノメチル(MMF)である、請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法。 前記対象に投与される唯一の活性薬剤がDMFおよびMMFである、請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法。 前記対象における神経変性および神経炎症の少なくとも1つを減少させるのに十分な量および十分な期間、前記の少なくとも1つの化合物が投与される、請求項13〜21のいずれか1項に記載の方法。 増加したアストログリオーシスによって特徴づけられる病状が、副腎白質萎縮症(ALD)、アルコール依存症、アレキサンダー病、アルパース病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)、毛細血管拡張性運動失調症、(シュピールマイアー・フォークト・シェーグレン・バッテン病としても知られる)バッテン病、牛海綿状脳症(BSE)、カナバン病、脳性麻痺、コケイン症候群、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、致死性家族性不眠症、前頭側頭葉変性症、ハンチントン病、HIV関連認知症、ケネディ病、クラッベ病、レビー小体型認知症、神経ボレリア症、マシャド・ジョセフ病(脊髄小脳失調症3型)、多系統萎縮症、多発性硬化症、ナルコレプシー、ニーマン・ピック病、パーキンソン病、ペリツェウス・メルツバッヘル病、ピック病、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性核上性麻痺、レフサム病、サンドホフ病、シルダー病、悪性貧血に続発する亜急性連合性脊髄変性症、(バッテン病としても知られる)シュピールマイアー・フォークト・シェーグレン・バッテン病、脊髄小脳失調症、脊髄性筋萎縮症、スチール・リチャードソン・オルツェウスキー病、脊髄癆、中毒性脳症、LHON(レーバー遺伝性視神経萎縮症)、MELAS(ミトコンドリア脳筋症;乳酸アシドーシス;脳卒中)、MERRF(ミオクローヌスてんかん;赤色ぼろ線維)、PEO(進行性外眼筋麻痺)、リー症候群、MNGIE(ミオパチーおよび外眼筋麻痺;ニューロパチー;胃腸;脳症)、カーンズ・セイヤー症候群(KSS)、NARP、遺伝性痙性対麻痺、ミトコンドリアミオパチー、およびフリードライヒ失調症から選択される、請求項13〜22のいずれか1項に記載の方法。 神経変性および神経炎症の少なくとも1つによって特徴づけられる病状が多発性硬化症(MS)である、請求項23に記載の方法。 前記対象がMSを患っていない、請求項13〜22のいずれか1項に記載の方法。 候補神経保護剤として化合物を特定する方法であって、 a)標的の細胞、組織、または哺乳類において、神経変性および神経炎症のうちの少なくとも1つを誘発することと、 b)前記標的の細胞、組織、または哺乳類において、前記化合物の存在下で、神経変性および神経炎症のうちの少なくとも1つの少なくとも1つマーカーの発現を測定することと、 c)前記標的の細胞、組織、または哺乳類において、前記化合物の非存在下で、神経変性および神経炎症のうちの少なくとも1つの少なくとも1つマーカーの発現を測定することとを含み、 その際、神経変性および神経炎症のうちの少なくとも1つの少なくとも1つマーカーの発現が、前記化合物の非存在下でのその発現に対して、前記化合物の存在下で減少する場合、前記化合物を候補神経保護剤として特定する方法。 d)少なくとも1つの化合物の存在下でアストログリオーシスを測定することと、 e)少なくとも1つの化合物の非存在下でアストログリオーシスを測定することとをさらに含み、 その際、アストログリオーシスは、前記化合物の非存在下におけるアストログリオーシスのレベルに対して、前記化合物の存在下で減少する、請求項26に記載の方法。 前記少なくとも1つマーカーが、Ccl20、Ccl3、Ccl4、Cxcl1、Cxcl10、Cxcl2、Cxcl3、Cxcl6、IL1a、II1b、Tnf、Ifit3、Nfkbia、Nfkbiz、Tnfaip2、およびZc3hl2aから選択される少なくとも1個の遺伝子の発現レベルである、請求項26に記載の方法。 神経保護を、それを必要としている対象に提供する方法であって、治療有効量の式I:(式中、R1およびR2は、独立して、OH、O−、および(C1−6)アルコキシから選択され、ただし、R1およびR2の少なくとも一方は(C1−6)アルコキシである)の少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩を前記対象に投与することを含み、 その際、治療有効量の式Iの少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩を前記対象に投与することにより、Ccl20、Ccl3、Ccl4、Cxcl1、Cxcl10、Cxcl2、Cxcl3、Cxcl6、IL1a、II1b、Tnf、Ifit3、Nfkbia、Nfkbiz、Tnfaip2、およびZc3hl2aから選択される少なくとも1個の遺伝子の発現が前記対象において結果的に抑制される方法。 神経変性および神経炎症から選択される少なくとも1つの症状によって特徴づけられる病状が、Ccl20、Ccl3、Ccl4、Cxcl1、Cxcl10、Cxcl2、Cxcl3、Cxcl6、IL1a、II1b、Tnf、Ifit3、Nfkbia、Nfkbiz、Tnfaip2、およびZc3hl2aから選択される少なくとも1個の遺伝子の発現の増加によってさらに特徴づけられる、請求項29に記載の方法。 治療有効量の式Iの少なくとも1つの化合物を前記対象に投与することにより、Gsta2、Gsta3、Gclc、Ggt1、Txnrd1、Srxn1、Sqstm1、およびNqo1から選択される少なくとも1個の遺伝子の発現が前記対象において結果的に上昇する、請求項29または30に記載の方法。 前記の少なくとも1つの化合物が、前記の少なくとも1つの化合物、ならびに担体、アジュバント、および賦形剤から選択される少なくとも1つの薬学的に許容される媒体を含む医薬組成物として処方される、請求項29〜31のいずれか1項に記載の方法。 前記の少なくとも1つの化合物がフマル酸ジメチルおよびフマル酸モノメチルから選択される、請求項29〜32のいずれか1項に記載の方法。 前記対象に投与される唯一の活性薬剤がフマル酸ジメチル(DMF)である、請求項29〜32のいずれか1項に記載の方法。 前記対象に投与される唯一の活性薬剤がフマル酸モノメチル(MMF)である、請求項29〜32のいずれか1項に記載の方法。 前記対象に投与される唯一の活性薬剤がDMFおよびMMFである、請求項29〜32のいずれか1項に記載の方法。 前記対象における神経変性および神経炎症の少なくとも1つを減少させるのに十分な量および十分な期間、前記の少なくとも1つの化合物が投与される、請求項29〜36のいずれか1項に記載の方法。 神経変性および神経炎症から選択される少なくとも1つの症状によって特徴づけられる病状が、副腎白質萎縮症(ALD)、アルコール依存症、アレキサンダー病、アルパース病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)、毛細血管拡張性運動失調症、(シュピールマイアー・フォークト・シェーグレン・バッテン病としても知られる)バッテン病、牛海綿状脳症(BSE)、カナバン病、脳性麻痺、コケイン症候群、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、致死性家族性不眠症、前頭側頭葉変性症、ハンチントン病、HIV関連認知症、ケネディ病、クラッベ病、レビー小体型認知症、神経ボレリア症、マシャド・ジョセフ病(脊髄小脳失調症3型)、多系統萎縮症、多発性硬化症、ナルコレプシー、ニーマン・ピック病、パーキンソン病、ペリツェウス・メルツバッヘル病、ピック病、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性核上性麻痺、レフサム病、サンドホフ病、シルダー病、悪性貧血に続発する亜急性連合性脊髄変性症、(バッテン病としても知られる)シュピールマイアー・フォークト・シェーグレン・バッテン病、脊髄小脳失調症、脊髄性筋萎縮症、スチール・リチャードソン・オルツェウスキー病、脊髄癆、中毒性脳症、LHON(レーバー遺伝性視神経萎縮症)、MELAS(ミトコンドリア脳筋症;乳酸アシドーシス;脳卒中)、MERRF(ミオクローヌスてんかん;赤色ぼろ線維)、PEO(進行性外眼筋麻痺)、リー症候群、MNGIE(ミオパチーおよび外眼筋麻痺;ニューロパチー;胃腸;脳症)、カーンズ・セイヤー症候群(KSS)、NARP、遺伝性痙性対麻痺、ミトコンドリアミオパチー、およびフリードライヒ失調症から選択される、請求項29〜37のいずれか1項に記載の方法。 神経変性および神経炎症の少なくとも1つによって特徴づけられる病状が多発性硬化症(MS)である、請求項38に記載の方法。 前記対象がMSを患っていない、請求項29〜37のいずれか1項に記載の方法。 神経変性および神経炎症のうちの少なくとも1つによって特徴づけられる病状を有する対象を治療する方法を提供する。増加したアストログリオーシスによって特徴づけられる病状を有する対象において、アストログリオーシスを減少させる方法も提供する。それを必要としている対象に、神経保護を提供する方法も提供する。本発明は、神経変性および神経炎症から選択される少なくとも1つの症状によって特徴づけられる病状を有する対象を治療する方法であって、治療有効量の式Iの少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩を前記対象に投与することを含む。


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