生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_慢性前立腺炎治療剤
出願番号:2012229441
年次:2014
IPC分類:A61K 31/404,A61P 13/08,A61P 29/00,C07D 209/30


特許情報キャッシュ

菅谷 公男 西島 さおり 嘉手川 豪心 安次富 勝博 JP 2014080390 公開特許公報(A) 20140508 2012229441 20121017 慢性前立腺炎治療剤 菅谷 公男 512267232 西島 さおり 512267243 嘉手川 豪心 512267254 安次富 勝博 512267265 特許業務法人 小野国際特許事務所 110000590 菅谷 公男 西島 さおり 嘉手川 豪心 安次富 勝博 A61K 31/404 20060101AFI20140411BHJP A61P 13/08 20060101ALI20140411BHJP A61P 29/00 20060101ALI20140411BHJP C07D 209/30 20060101ALN20140411BHJP JPA61K31/404A61P13/08A61P29/00C07D209/30 2 OL 10 特許法第30条第2項適用申請有り 平成24年8月30日第19回日本排尿機能学会プログラム・抄録集57ページP−1−26「難治性慢性前立腺炎に対するカルバゾクロムスルホン酸ナトリウムの効果」 名古屋市熱田区熱田西町1番1号 名古屋国際会議場 4C086 4C204 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC13 4C086MA01 4C086MA04 4C086MA17 4C086MA23 4C086MA28 4C086MA31 4C086MA32 4C086MA35 4C086MA37 4C086MA41 4C086MA43 4C086MA52 4C086MA55 4C086MA66 4C086NA14 4C086ZA81 4C086ZB11 4C204BB01 4C204CB03 4C204DB29 4C204EB02 4C204FB03 4C204GB32 本発明は、慢性前立腺炎治療剤に関し、特に難治性の慢性前立腺炎に対する治療剤に関する。 前立腺炎は、大腸菌、淋菌、ブドウ球菌、緑膿菌、連鎖球菌等の細菌が尿道を経て前立腺に侵入し、炎症を起こす病気とされており、急性前立腺炎と慢性前立腺炎とがある。このうち、急性前立腺炎は、膀胱炎などの尿路感染症が前立腺にまで広がって起こるものであり、発熱、排尿痛などがおもな症状であるが、この病気は早期に治療すれば比較的予後もよく、10日ぐらいの経過で治癒する。 一方、慢性前立腺炎は、比較的年齢の若い男性から壮年男性に多く発症する疾病であり、その頻度も高く、症状が持続し、改善しないため、患者のみならず治療に当たる医師をも悩ませる病気である。この病気は急性前立腺炎の後、慢性化してなることもあるが、多くは、最初から慢性型として発症する。 この慢性前立腺炎の症状は、比較的急に始まり、例えば、ある日突然、尿道から出血したが、どうもそのときからよくないなどと訴える人が多いようである。この病気の症状は一定しないので、ノイローゼの不定愁訴などと間違われることもあるが、共通する症状としては、会陰部の不快感、鼠径部の鈍痛などであり、アレルギー性疾患に似ているともいわれることがある。 上記のように、現在、慢性前立腺炎に有効な治療方法が見出されているとはいえず、慢性前立腺炎の治療薬や、これを用いた治療方法の確立が強く求められている。“LUTS 2011”, 3, 94-8. Sugaya K,Matsumura E, Tasaki S, Kimura R, Kiyuna A, Nishijima S, Kadekawa K.“Int. J. Urol. 2000”, 7, 157-9, SugayaK, Miyazato Y, Koyama Y, Hatano T, Ogawa Y.“Chem.Ind. Paris”, 55, 435, MacCarthy 本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その課題は、慢性前立腺炎、特に難治性の慢性前立腺炎に対し、優れた治療効果を有する治療剤を提供することである。 本発明者らは、慢性前立腺炎に対する有効な治療方法を確立すべく研究を行っていたところ、慢性前立腺炎患者には下大静脈逆流のある例が有意に多いという報告(非特許文献1)があり、また、三尖弁閉鎖不全に伴う下大静脈逆流は、骨盤内うっ血症候群を引き起こすことが報告(非特許文献2)されていることを知った。 これらの報告を元に、本発明者らは、慢性前立腺炎は骨盤内うっ血状態等が原因となり、血管透過性亢進等により疼痛や頻尿を呈しているのではないかとの着想を得た。 そこで本発明者らは、血管透過性亢進抑制作用を有することが知られているカルバゾクロムスルホン酸ナトリウムに着目し、これを慢性前立腺炎患者に投与したところ、慢性前立腺炎に関係する症状が消失あるいは大きく軽減されることを見出し、本発明を完成した。 すなわち本発明は、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウムを有効成分とする慢性前立腺炎治療剤である。 本発明の慢性前立腺炎治療剤は、慢性前立腺炎患者の疼痛を含めた症状を全般的に改善する効果を有するものであり、その効果は比較的短時間に発現するものであるため、特に難治性とされる慢性前立腺炎の治療に有効なものである。本発明の慢性前立腺炎治療剤を投与する前と、投与4週後および8週後の、膀胱痛の程度を視覚的評価スケールで示す図面である。本発明の慢性前立腺炎治療剤を投与する前と、投与4週後および8週後の、過活動膀胱症状質問票(OABSS)の評価結果を示す図面である。本発明の慢性前立腺炎治療剤を投与する前と、投与4週後および8週後の、QOLスコアの評価結果を示す図面である。本発明の慢性前立腺炎治療剤を投与する前と、投与4週後および8週後の、国際前立腺症状スコア(IPSS)の評価結果を示す図面である。本発明の慢性前立腺炎治療剤を投与する前と、投与4週後および8週後の、排尿回数の評価結果を示す図面である。本発明の慢性前立腺炎治療剤を投与する前と、投与4週後および8週後の、尿潜血反応の評価結果を示す図面である。本発明の慢性前立腺炎治療剤の投与4週後および8週後の、患者印象による有効度(GSA)の評価結果を示す図面である。 本発明の慢性前立腺炎治療剤の有効成分は、下記式で示されるカルバゾクロムスルホン酸ナトリウムである。 このカルバゾクロムスルホン酸ナトリウムは、アドレノクロームとして、既に公知の化合物であり(非特許文献3)、血管強化剤及び止血剤として上市されている化合物であるが、このものが慢性前立腺炎に対する治療効果を有することは今まで知られていない。 本発明の慢性前立腺炎治療剤は、上記カルバゾクロムスルホン酸ナトリウムを、公知の製薬学的に許容しうる担体あるいは添加剤と組み合わせ、常法に従って製剤化することにより製造される。 製薬学的に許容しうる担体あるいは添加剤の例としては、例えば賦形剤、崩壊剤、崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、溶解剤、溶解補助剤、等張化剤、pH調整剤、安定化剤等を挙げることができる。 上記のようにして得られる慢性前立腺炎治療剤の投与経路は、特に限定されず、内服等の経口投与であっても、また、外用、注射等の非経口投与であっても良くこれに応じた形態の剤形とすることができる。 このうち、経口投与用の剤形の例としては、粉剤、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤、シロップ剤等を挙げることができ、非経口用の剤形の例としては、軟膏剤、クリーム剤、パップ剤、テープ剤、注射剤、リニメント剤、座剤等を挙げることができる。 本発明の慢性前立腺炎治療剤の投与量は、例えば、経口投与の場合、通常成人に対しカルバゾクロムスルホン酸ナトリウムとして1日当たり、3〜300mg、好ましくは30〜90mgを、1回ないし数回に分けて投与することが好ましい。 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実 施 例 1 慢性前立腺炎に対するカルバゾクロムスルホン酸ナトリウムの評価: 尿潜血反応が陽性で、難治性慢性前立腺炎を有する、20歳以上の男性被験者を対象とし、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム30mg錠を1日3回、8週間投与した。投与前、投与4週間後及び投与8週間後に、下記の(1)ないし(7)の評価を行った。評価可能症例は23例であった。 なお、難治性慢性前立腺炎を有する症例の被験者としては、明らかな尿路の細菌感染症はなく、膀胱部痛、会陰部痛、尿意切迫感などがあり、前立腺に圧通があって慢性前立腺炎と診断された被験者で、抗生物質、消炎鎮痛剤、α1遮断薬や植物製剤などを投与しても症状の十分な改善が8週間以上みられないものとした。(1)視覚的評価スケール(Visual analogue Scale (VAS)) 被験者に痛みの程度を最大の痛みを「10」、痛みなしを「0」とした評価スケールを示し、このスケールを指で指してもらい痛みの程度を記録した。この結果、本発明の慢性前立腺炎治療剤の投与前の痛みの程度は平均3.5であったが、投与4週間後は平均1.6に減少し、更に投与8週間後は平均1.1と有意に減少した。結果を図1に示す。(2)過活動膀胱症状質問票(OABSS) 被験者に表1の質問を行い、OABSS評価を行った。この結果を図2に示すが、本発明の慢性前立腺炎治療剤の投与後、過活動膀胱症状は有意に改善された。(3)QOLスコア 被験者に表2の質問を行い、QOLスコア評価を行った。この結果を図3に示すが、本発明の慢性前立腺炎治療剤の投与前のスコアは平均4.7であったのに対し、投与4週間後は平均4.0に下がり、投与8週間後は平均3.9と有意な改善を示した。(4)国際前立腺症状スコア(IPSS) 被験者に表3の質問を行い、IPSS評価を行った。この結果を図4に示すが、本発明の慢性前立腺炎治療剤の投与後、有意に症状が改善された。(5)排尿回数 本発明の慢性前立腺炎治療剤の投与前後での排尿回数を調べた結果を図5に示す。投与前後での昼間排尿回数には有意な変化はなかった。しかし、夜間排尿回数は、投与前は平均2.1回であるのに対し、投与4週間後は平均1.9回、投与8週間後は平均1.5回と有意に減少した。(6)尿潜血反応 本発明の慢性前立腺炎治療剤の投与前と投与後において、患者の尿潜血反応を調べた。この結果を図6に示すが、投与後尿潜血は有意に改善した。(7)患者印象による有効度(Global self assessment (GSA)) 本発明の慢性前立腺炎治療剤投与4週間後および8週間後において、患者印象による有効度を、著名有効、有効、やや有効、不変及び悪化の5段階で評価した。この結果を図7に示すが、GSAは投与4週間後及び投与8週間後とも、著名有効と有効を合わせると36%であった。なお、悪化は0%であった。 以上のことから、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウムには難治性の慢性前立腺炎に対して、疼痛を含めた症状を全般的に改善する効果があり、その効果発現は比較的短時間に認められた。 本発明の慢性前立腺炎治療剤は、膀胱痛、頻尿等を呈し、その原因すら明らかになっておらず、かつその治療法も確立していなかった慢性前立腺炎、特に難治性の慢性前立腺炎について、その効果的な治療に用いることができる。 従って、本発明の慢性前立腺炎治療剤は、新たな慢性前立腺炎の治療方法の確立に極めて有効なものである。 以 上 カルバゾクロムスルホン酸ナトリウムを有効成分とする慢性前立腺炎治療剤。 経口投与用製剤である請求項1記載の慢性前立腺炎治療剤。 【課題】慢性前立腺炎、特に難治性の慢性前立腺炎に対し、優れた治療効果を有する治療剤を提供すること。【解決手段】カルバゾクロムスルホン酸ナトリウムを有効成分とする慢性前立腺炎治療剤。【選択図】なし


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