生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_スプラウト生産に用いる種子の消毒方法
出願番号:2012227689
年次:2014
IPC分類:A01N 25/00,A61L 2/18,A01C 1/08,A01P 3/00,A01N 59/08,A01N 63/00,A23L 1/212,A23L 3/34,C12N 9/36


特許情報キャッシュ

上田 重文 渡辺 慎一 岡本 章秀 古谷 茂貴 鮫島 國親 大和 陽一 松尾 征徳 前田 昭一 JP 2014080379 公開特許公報(A) 20140508 2012227689 20121015 スプラウト生産に用いる種子の消毒方法 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 501203344 矢野 裕也 100086221 上田 重文 渡辺 慎一 岡本 章秀 古谷 茂貴 鮫島 國親 大和 陽一 松尾 征徳 前田 昭一 A01N 25/00 20060101AFI20140411BHJP A61L 2/18 20060101ALI20140411BHJP A01C 1/08 20060101ALI20140411BHJP A01P 3/00 20060101ALI20140411BHJP A01N 59/08 20060101ALI20140411BHJP A01N 63/00 20060101ALI20140411BHJP A23L 1/212 20060101ALN20140411BHJP A23L 3/34 20060101ALN20140411BHJP C12N 9/36 20060101ALN20140411BHJP JPA01N25/00 102A61L2/18A01C1/08A01P3/00A01N59/08 AA01N63/00 DA23L1/212 AA23L3/34C12N9/36 9 1 OL 25 2B051 4B016 4B021 4B050 4C058 4H011 2B051AA01 2B051AB01 2B051BA09 2B051BB01 4B016LC06 4B016LG05 4B016LG08 4B016LP13 4B021MK14 4B021MK19 4B021MK23 4B050LL04 4C058AA30 4C058BB07 4C058CC02 4C058JJ07 4C058JJ08 4C058JJ21 4H011AA01 4H011BA06 4H011BB18 4H011BB19 4H011DA13 4H011DD03 4H011DF04 4H011DH11 本発明は、スプラウト生産に用いる種子の効果的な消毒方法に関する。また、本発明は、当該消毒方法により消毒を行った種子を用いて、育苗することを特徴とする、スプラウトの生産方法に関する。・スプラウト食品 かいわれ大根等のスプラウト食品は、鮮度等に優れ、調理せずに容易に利用が可能な生鮮野菜であることから、近年注目を集めている食品である。 特に、近年では、栄養面や機能性食品として価値が認められ、アブラナ科野菜や各種マメ類のスプラウト等も、食材として利用されるようになっている。 また、ブロッコリースプラウト等の一部のスプラウトには、抗癌作用を有する成分(スルフォラファン、グルコラファニン等)を多く含む点でも有用性が認められており、高機能性食品としても注目を集めている。・微生物汚染の問題 ところが、現在の我が国における食品衛生法では、スプラウト生産に関する規格基準等は特に存在しない。そのため、スプラウト生産の現場では、頻度は高くないものの微生物汚染に起因する食中毒が発生している。 このスプラウト中に存在する微生物類は、主に出荷された‘種子’に付着して混入し、スプラウト生産工程において繁殖したものである。 このような微生物は、生産物の品質や日持ちに影響を及ぼすのみならず、時として食中毒の原因菌になることが懸念されている。 例えば、腸管出血性大腸菌(O157:H7)は、かいわれ大根の子葉表面で増殖し、導管を中心とした維管束に存在しうることが報告されている(非特許文献1 参照)。・次亜塩素酸ナトリウム処理 現在のスプラウト生産における消毒工程では、膨潤後の種子に対して、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いて消毒が行うことが一般的である。 しかし、消毒に用いることができる次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、食品に用いるものであることから、あまり高濃度のものを使用することができない。 そのため、生産されたかいわれ大根に付着している生菌数は、一般的に生鮮野菜類の中でも高い。かいわれ大根の生鮮重量1gあたり、約106〜108cfu/gもの雑菌が存在することが報告されている(非特許文献2 参照)。 そこで、スプラウト生産の現場では、食品安全上の問題がないと同時に、消毒効果が著しく高い種子の消毒方法の開発が求められている。Ito et al., Appl. Environ. Microbiol, 64: p1532-1535 (1998)森哲也ら, 日本食品微生物学会誌, 27: p163-170 (2010) 本発明は、上記課題を受けて、食品安全上の観点からスプラウト生産に用いることが可能であると同時に、著しく消毒効果が高い種子の消毒方法、を提供することを目的とする。 本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、スプラウト生産に用いる種子に対して、次亜塩素酸ナトリウム処理を行った後にリゾチーム処理を行う順番にて種子消毒を行うことによって、;それぞれの処理を単独で行った場合では想到しえない相乗的な消毒効果が発揮されることを見出した。 なお、当該消毒方法に用いる試薬等は、食品生産で認められる程度の次亜塩素酸ナトリウムとリゾチームであるため、食品安全性にも問題はないものと認められた。 さらに、本発明者らは、当該消毒方法は、種子の発芽率を低下させるおそれがないことを見出した。 また、本発明者は、当該種子を用いて育苗して得たスプラウト生産物は、スプラウト可食部に付着している生菌数が、著しく低減されたものとなることを見出した。 本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。・〔請求項1〕に係る本発明は、スプラウト生産に用いる種子に対して、次亜塩素酸ナトリウム処理を行った後、リゾチーム処理を行う順番にて消毒を行うことを特徴とする、種子の消毒方法に関するものである。・〔請求項2〕に係る本発明は、前記リゾチーム処理が、0.2〜20mg/mLのリゾチームを含む溶液を用いて行うものである、請求項1に記載の種子の消毒方法に関するものである。・〔請求項3〕に係る本発明は、前記リゾチーム処理が、10〜60℃にて0.5〜6時間行うものである、請求項1又は2に記載の種子の消毒方法に関するものである。・〔請求項4〕に係る本発明は、前記リゾチームが、C型リゾチームである、請求項1〜3のいずれかに記載の種子の消毒方法に関するものである。・〔請求項5〕に係る本発明は、前記リゾチームが、家禽類に由来するC型リゾチーム, 又は, その変異タンパク質であって、;配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質が有するMicrococcus lysodeikticusに対する溶菌活性を1とした場合の相対活性が、0.7以上である、;請求項1〜4のいずれかに記載の種子の消毒方法、に関するものである。・〔請求項6〕に係る本発明は、前記次亜塩素酸ナトリウム処理が、50〜500ppmの次亜塩素酸ナトリウムを含む溶液を用いて、0.5〜6時間行うものである、請求項1〜5のいずれかに記載の種子の消毒方法に関するものである。・〔請求項7〕に係る本発明は、前記種子が、ダイコン属, アブラナ属, グンバイナズナ属, キバナスズシロ属, セイヨウワサビ属, オランダガラシ属, シロガラシ属, ワサビ属, ササゲ属, ダイズ属, エンドウ属, ラッカセイ属, ヒヨコマメ属, ヒラマメ属, ウマゴヤシ属, フェヌグリーク属, イヌタデ属, ソバ属, ゴマ属, エゴマ属, ヒマワリ属, 又は, カボチャ属, のいずれかに属する植物の種子であって、当該種子から発芽して得られるスプラウトが食用となるものである、請求項1〜6のいずれかに記載の種子の消毒方法、に関するものである。・〔請求項8〕に係る本発明は、請求項1〜7のいずれかに記載のいずれかの方法により種子の消毒を行うことを特徴とする、スプラウト生産に用いる消毒種子の生産方法に関するものである。・〔請求項9〕に係る本発明は、請求項1〜7のいずれかに記載のいずれかの方法により消毒を行った種子を用いて、育苗することを特徴とする、スプラウトの生産方法に関するものである。 本発明は、スプラウト生産工程において、従来法である次亜塩素酸ナトリウム処理に比べて、著しく高い消毒効率により種子消毒を行うことを可能とする。 なお、本発明における消毒方法は、スプラウトの生産効率を低下させない方法であり、食品安全性の観点においても問題がない方法である。 また、本発明により生産した種子を用いてスプラウトを生産することにより、スプラウト可食部に付着している生菌数を、著しく低減させることを可能とする。 これにより、スプラウト生産物(パック詰め製品)の品質及び日持ちを、大幅に向上させることを可能とする。 そして、O-157等の有害微生物の侵入に起因する、食中毒の発生リスクを大幅に低減できることが期待される。実施例1において、次亜塩素酸ナトリウム処理とリゾチーム処理を行って消毒を行ったかいわれ大根種子について、保菌種子率を測定した結果である。実施例2において、次亜塩素酸ナトリウム処理後にリゾチーム濃度を変えて消毒を行ったかいわれ大根種子について、保菌種子率を測定した結果である。実施例3において、次亜塩素酸ナトリウム処理後にリゾチーム処理(0.25mg/mL)の時間を変えて消毒を行ったかいわれ大根種子について、保菌種子率を測定した結果である。実施例3において、次亜塩素酸ナトリウム処理後にリゾチーム処理(0.5mg/mL)の時間を変えて消毒を行ったかいわれ大根種子について、保菌種子率を測定した結果である。実施例3において、次亜塩素酸ナトリウム処理後にリゾチーム処理(1mg/mL)の時間を変えて消毒を行ったかいわれ大根種子について、保菌種子率を測定した結果である。実施例4において、次亜塩素酸ナトリウム処理後にリゾチーム処理を行って消毒を行ったかいわれ大根種子について、保菌種子率を測定した結果である。実施例5において、次亜塩素酸ナトリウム処理後にリゾチーム処理を行って消毒を行ったかいわれ大根種子について、発芽率を測定した結果である。実施例6において、次亜塩素酸ナトリウム処理後にリゾチーム処理を行って消毒を行ったかいわれ大根種子を発芽させ、育苗して得たスプラウト生食部(胚軸部及び子葉部)に付着していた生菌に由来するコロニー数を測定した結果である。実施例7において、次亜塩素酸ナトリウム処理後にリゾチーム処理を行って消毒を行ったごま種子について、保菌種子率を測定した結果である。実施例7において、次亜塩素酸ナトリウム処理後にリゾチーム処理を行って消毒を行っただったんそば種子について、保菌種子率を測定した結果である。実施例7において、次亜塩素酸ナトリウム処理後にリゾチーム処理を行って消毒を行ったアルファルファ種子について、保菌種子率を測定した結果である。実施例7において、次亜塩素酸ナトリウム処理後にリゾチーム処理を行って消毒を行ったブロッコリースプラウト種子について、保菌種子率を測定した結果である。本発明に係る種子の消毒方法を取り入れた場合の、スプラウト生産工程の一態様を示すフロー図である。 本発明は、スプラウト生産に用いる種子の効果的な消毒方法に関する。また、本発明は、当該消毒方法により消毒を行った種子を用いて、育苗することを特徴とする、スプラウトの生産方法に関する。〔対象種子〕 本発明において、消毒対象となる種子としては、スプラウトの生産に用いる種子であれば、如何なる種子についても対象とすることができる。 特には、従来の消毒法である次亜塩素酸ナトリウム処理では十分な消毒効果が得られない種子に対して、極めて効果的に施用することができる。 ここで、スプラウト(sprout)とは、野菜類, 豆類, 穀類の種子を発芽させて得られる生食対象となる芽を指す。 生食対象とする芽の状態としては、発芽から1〜20日が経過した子葉及び/又は茎(胚軸)を食用とするものである。植物種によって、生食に適する場合もあれば、食材として利用する場合もある。 スプラウトのタイプとしては、植物種類によって、子葉を緑化させる‘かいわれ型’と、子葉を緑化させない‘もやし型’に、大きく二別することができる。・アブラナ科のスプラウト 本発明の対象となるスプラウトの生産に用いる種子としては、以下のアブラナ科植物の種子を好適に用いることができる。 当該対象種子としては、具体的には、ダイコン属(Raphanus)に属するダイコン(R. sativus var. longipinnatus), ハツカダイコン(別名:ラディッシュ、R. sativus var. sativus)の種子を対象とすることができる。 これらのうち、ダイコンの芽(かいわれ大根)は、かいわれ型のスプラウトとして生食用の需要が極めて高いスプラウトである。 そのため、かいわれ大根用として好適な品種系統(ルビーかいわれ, 四十日大根, サンゴかいわれ大根, 等)の種子は、特に好適に対象とすることができる。 また、当該対象種子としては、アブラナ属(Brassica)に属する植物のほぼ全ての種子を対象とすることができる。アブラナ属に属する植物の葉は、ほぼ全てが食用とすることができるからである。 具体的には、ブロッコリー(B. oleracea var. italica), カリフラワー(B. oleracea var. botrytis), キャベツ(B. oleracea var. capitata), ケール(B. oleracea var. acephala), コールラビ(B. oleracea var. gongylodes), セイヨウカラシナ(B. juncea), カラシナ(B. juncea var. cernua), タカナ(B. juncea var. integlifolia), ミズナ(B. rapa var. lancinifolia), アブラナ(B. rapa var. nippo-oleifera), ハクサイ(B. rapa var. pekinensis), コマツナ(B. rapa var. peruviridis), チンゲンサイ(B. rapa var. chinensis), カブ(B. rapa var. rapa), ノザワナ(B. rapa var. hakabura), ミズナ(B. nipposinica), セイヨウアブラナ(B. napus), タアサイ(B. campestris var. narinosa), クロガラシ(B. nigra), などの種子を対象とすることができる。 これらのうち、ブロッコリーの芽(ブロッコリースプラウト), キャベツの一種である紫キャベツの芽(レッドキャベツスプラウト), カラシナの芽(マスタードスプラウト)は、かいわれ型のスプラウトとして生食用の需要が高いスプラウトである。 そのため、これらに属する品種系統の種子は、特に好適に対象とすることができる。 また、当該対象種子としては、グンバイナズナ属(Thlaspi)に属するコショウソウ(別名:ガーデンクレス、T. arvense)、;キバナスズシロ属(Eruca)に属するキバナスズシロ(別名:ルッコラ、E. vesicaria)、;セイヨウワサビ属(Armoracia)に属するセイヨウワサビ(別名:ホースラディッシュ、A. rusticana)、;オランダガラシ属(Nasturtium)に属するオランダガラシ(別名:クレソン、N. officinale)、;シロガラシ属(Sinapis)に属するシロガラシ(S. alba, 又は, S. hirta)、;ワサビ属(Wasabia)に属するワサビ(W. japonica)、;の種子を対象とすることができる。 これらのうち、コショウソウの芽(クレススプラウト)は、かいわれ型スプラウトとして生食用の需要が高いスプラウトである。 そのため、クレススプラウト用として好適な品種系統の種子は、特に好適に対象とすることができる。・マメ科のスプラウト 本発明の対象となるスプラウトの生産に用いる種子としては、以下のマメ科植物の種子を好適に用いることができる。 当該対象種子としては、具体的には、ササゲ属(Vigna)に属するリョクトウ(別名:グリーンマッペ、V. radiata), ケツルアズキ(別名:ブラックマッペ、V. mungo)、;ダイズ属(Glycine)に属するダイズ(G. max)、;エンドウ属(Pisum)に属するエンドウ(P. stivum)、;ラッカセイ属(Arachis)に属するラッカセイ(A. hypogaea)、;ヒヨコマメ属(Cicer)に属するヒヨコマメ(C. arietinum)、;ヒラマメ属(Lens)に属するヒラマメ(別名:レンズマメ、L. culinaris)、;ウマゴヤシ属(Medicago)に属するムラサキウマゴヤシ(別名:アルファルファ、M. sativa)、;フェヌグリーク属(Trigonella)に属するコロハ(T. foenum-graecum)、;の種子を対象とすることができる。 これらのうち、リョクトウの芽(緑豆もやし), ケツルアズキの芽(豆もやし), ダイズの芽(大豆もやし), ムラサキウマゴヤシ(アルファルファ)の芽, コロハ(フェヌグリーク)の芽は、もやしとしての需要が極めて高いスプラウトである。 また、エンドウの芽(豆苗)は、かいわれ型スプラウトとして食材の需要が高いスプラウトである。 そのため、これらに属する品種系統の種子は、特に好適に対象とすることができる。・タデ科のスプラウト 本発明の対象となるスプラウトの生産に用いる種子としては、以下のタデ科植物の種子を好適に用いることができる。 当該対象種子としては、具体的には、イヌタデ属(Persicaria)に属するヤナギタデ(P. hydropiper)、;ソバ属(Fagopyrum)に属するソバ(F. exculentum), ダッタンソバ(F. tataricum)、;の種子を対象とすることができる。 これらのうち、ヤナギタデの一種であるベニタデの芽, ソバの芽, ダッタンソバの芽は、かいわれ型スプラウトとして生食用の需要が高いスプラウトである。そのため、これらに属する品種系統の種子は、特に好適に対象とすることができる。・ゴマ科のスプラウト 本発明の対象となるスプラウトの生産に用いる種子としては、以下のゴマ科植物の種子を好適に用いることができる。 当該対象種子としては、具体的には、ゴマ属(Sesamum)に属するゴマ(S. indicum)の種子を対象とすることができる。 ここで、ゴマ(白ごま, 黒ごま, 黄金ごま, 等)の芽は、かいわれ型スプラウトとして生食用の需要が高いスプラウトである。そのため、これらに属する品種系統の種子は、特に好適に対象とすることができる。・シソ科のスプラウト 本発明の対象となるスプラウトの生産に用いる種子としては、以下のシソ科植物の種子を好適に用いることができる。 当該対象種子としては、具体的には、エゴマ属(Perilla)に属するシソ(P. frutescens)の種子を対象とすることができる。 ここで、シソ(アカシソ, アオシソ等)の芽は、かいわれ型スプラウトとして生食用の需要が高いスプラウトである。そのため、これらに属する品種系統の種子は、特に好適に対象とすることができる。・ウリ科のスプラウト 本発明の対象となるスプラウトの生産に用いる種子としては、以下のウリ科植物の種子を好適に用いることができる。 当該対象種子としては、具体的には、カボチャ属(Cucurbita)に属するカボチャ(別名:西洋カボチャ、C. maxima), トウヨウカボチャ(C. moschata), ペポカボチャ(C. pepo), ズッキーニ(C. pepo), キンシウリ(C. pepo)の種子を対象とすることができる。 ここで、カボチャの芽は、かいわれ型スプラウトとして生食用の需要が期待されるスプラウトである。そのため、これらに属する品種系統の種子は、特に好適に対象とすることができる。・キク科のスプラウト 本発明の対象となるスプラウトの生産に用いる種子としては、以下のキク科植物の種子を好適に用いることができる。 当該対象種子としては、具体的には、ヒマワリ属(Helianthus)に属するヒマワリ(H. annuus)の種子を対象とすることができる。 ここで、ヒマワリの芽は、かいわれ型スプラウトとして生食用の需要が期待されるスプラウトである。そのため、これらに属する品種系統の種子は、特に好適に対象とすることができる。〔浸種処理〕 浸種処理とは、対象種子に十分に吸水させて、膨潤させた状態にすることにより、発芽率の向上と均一な発芽を促す処理である。 本発明においては、発芽処理を行う前のいずれかにおいて、対象種子に対して浸種処理を行うことが好適である。 浸種処理を行うタイミングとしては、消毒工程の前に行うことが好適である。 また、消毒工程における次亜塩素酸ナトリウム処理とリゾチーム処理の間に行うことも可能である。また、消毒工程が終わってから行うことも可能である。 また、後述する消毒工程における消毒用溶液に浸漬する処理条件(時間等)によっては、消毒工程の処理が浸種処理を兼ねたものとすることもできる。 なお、生産工程の事情によっては、当該浸種処理は省略することも可能である。 当該浸種処理として一般的には、種子が十分に浸漬する量の水に浸漬することで行うことができる。浸漬の前に、種子を水で揉み洗いすると好適である。 ここで浸漬処理に用いる水としては、大規模な生産工程においては、水道水, 井戸水, 地下水, 河川水などを用いることができるが、衛生的には水道水を用いることが望ましい。なお、生産規模が小さい場合には、蒸留水や精製水を使用することが最も望ましい。 また、当該浸漬処理は、種子に悪影響を与えない程度の殺菌剤(低濃度の次亜塩素ナトリウム等)を含む溶液を用いて行っても良い。 なお、塩分を多く含む水(海水等)は、発芽率が低下するため用いるべきではない。 浸種処理を行う温度としては、種子の発芽率に悪影響を及ぼさない温度帯である1〜60℃, 好ましくは4〜40℃, の温度帯で行うことが可能である。 また、処理時間としては、通常の処理時間の範囲内で行えば良いが、0.5〜24時間, 好ましくは1〜12時間の範囲で行うことが可能である。 なお、好ましくは、暗所にて行うことが望ましい。〔次亜塩素酸ナトリウム処理〕 本発明の種子消毒では、対象種子に対して次亜塩素酸ナトリウム処理(Hpa処理)を行うことを特徴とする方法である。 当該次亜塩素酸ナトリウム処理は、次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液を用いて行うことができる。 ここで、次亜塩素酸ナトリウムの濃度としては、30分の処理を行った場合において、ある程度の消毒効果が得られる濃度以上であれば採用することができる。 例えば、50ppm以上, 好ましくは60ppm以上, 特には70ppm以上, さらには80ppm以上, さらには90ppm以上, さらには100ppm以上, を採用することができる。 また、上限値としては、食品上問題のない濃度であり且つ発芽率に悪影響を与えない以下の濃度であればよい。例えば、500ppm以下, 好ましくは400ppm, 特には300ppm以下, を採用することができる。 また、次亜塩素酸を含む水溶液としては、次亜塩素酸ナトリウムの消毒効果を阻害せず, 且つ, 種子発芽率や食品として問題ない範囲であれば、界面活性剤等を含むものであってもよい。 当該処理は、当該次亜塩素酸ナトリウム水溶液と対象種子を接触する状態にすることで行うことができる。好ましくは、種子が十分に浸漬する液量の当該溶液中において、種子を浸漬させて行うことが望ましい。 当該浸漬は、静置処理だけでも十分に効果は得られるが、緩やかな撹拌や振盪等を行って、種子と溶液をムラなく接触させるとさらに効果的である。なお、当該撹拌や振盪は、処理中に適宜行うだけでも有効である。 当該処理の温度としては、種子の発芽率に悪影響を及ぼさない温度帯であれば、通常の温度で行うことができる。 例えば、1〜60℃, 好ましくは4〜40℃, の温度帯で行うことが好適である。特には、室温程度である10〜35℃で行うことが好適である。 また、処理時間としては、通常の処理時間の範囲内で行えば良いが、30分(0.5時間)以上, 好ましくは45分(0.75時間)以上, で行うことが望ましい。 また、処理時間の上限としては、発芽率に悪影響を与えない範囲の時間であれば問題なく採用することができるが、具体的には6時間以下, 特には4時間以下, さらには3時間以下, さらには2時間以下, で行うことが望ましい。 なお、当該処理での次亜塩素酸ナトリウム濃度は、安全上や発芽率の観点から、薄い濃度での処理を行っている。そのため、当該処理のみでの殺菌作用自体はあまり高くない。 しかし、(i) 当該処理によって、溶液中の次亜塩素酸の活性酸素の働きにより、グラム陰性菌の外膜(リゾチームでは分解されない細胞壁の外側にリポ多糖の外膜)が破壊されると認められる。 さらに、(ii) 種子の種皮に対しても、発芽に影響を与えない程度での物理的な損傷が与えられる。 従って、この点を鑑みると、当該次亜塩素酸ナトリウム処理は、後述するリゾチーム処理による殺菌作用を顕著に増幅させるための前処理的な意義を有する処理と認められる。 当該次亜塩素酸処理を行った後の種子は、水等を用いて洗浄することが望ましい。好ましくは流水にて行うことが望ましい。 水としては、水道水, 井戸水, 地下水, 河川水などを用いることができるが、衛生的には水道水を用いることが望ましい。なお、生産規模が小さい場合には、蒸留水や精製水を使用することが最も望ましい。〔リゾチーム処理〕 本発明の種子消毒では、上記次亜塩素酸ナトリウム処理を行った後、対象種子に対してリゾチーム処理(Lys処理)を行うことを特徴とする方法である。・リゾチーム ここで、‘リゾチーム’(Lysozyme)とは、リゾチーム活性(Micrococcus lysodeikticusに対する溶菌活性)を有するタンパク質を指す。 具体的には、リゾチームは、真正細菌の細胞壁を構成する「N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)とN-アセチルムラミン酸(MurNAc)とがβ-1,4結合した多糖類」のペプチドグルカン層に作用し、加水分解させることにより、細菌を溶菌させる作用を発揮する酵素である。 当該作用により、リゾチームは、グラム陽性菌に対して優れた殺菌作用を発揮する。 一方、当該細胞壁の外側がさらにリポ多糖の外膜で覆われているグラム陰性菌に対しては、ほとんど殺菌作用を発揮しない。 リゾチームは、ほとんど全ての生物にその存在が認められる保存性の高い重要なタンパク質であり、細菌防除のために重要な抗菌タンパク質としての役割を果たす。 具体的に、真核生物からは、C型(ニワトリ型:脊椎動物全般に存在する), G型(グース型:脊椎動物全般に存在するが大型鳥類以外では発現しない), I型(無脊椎動物型:貝類等に存在), b型(植物型), h型(植物型)のチゾチームの存在が報告されている。 これらは、各タイプによって、活性の性質(GlcNAc-MurNAc間β-1,4結合の加水分解活性の強さ、糖転移活性の有無、キチナーゼ活性の有無、塩存在下での活性の強さ、など)がそれぞれ異なる。 本発明においては、安定したリゾチーム活性を示し且つ耐熱性が高い‘C型リゾチーム’を好適に用いることができる。 C型リゾチームは、分子量は約14kDaであり、哺乳類、鳥類、魚類等のほとんど全ての脊椎動物に存在する保存性の高いタンパク質である。哺乳類の涙や鼻水、鳥類の卵白に多く含まれ、細菌感染に重要な役割を果たしている。 また、C型リゾチームは、安定した溶菌性を示し、熱に対して高い安定性を有するタンパク質である。例えば、80℃で加熱した場合でも約50%の活性が保持される。また、室温で放置した場合でも、数ヵ月は活性が保持される。 本発明において用いるC型リゾチームとしては、具体的には、「(A):配列番号1に記載のアミノ酸配列と60%以上, 好ましくは70%以上, さらには80%以上, さらには90%以上の相同性を有するタンパク質」を挙げることができる。 ここで、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質とは、ニワトリ卵白由来のC型リゾチームである。 なお、相同性の目安としては、鳥類の卵白由来のC型リゾチームは、当該配列番号1に記載のアミノ酸配列と70%以上の相同性を示す。 また、哺乳類, 魚類, 両性類のC型リゾチームは、当該配列番号1に記載のアミノ酸配列と60〜70%の相同性を示す。 本発明において用いるC型リゾチームとしては、上記(A)の配列を有するタンパク質であることに加えて、「(B):配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質が有するMicrococcus lysodeikticusに対する溶菌活性を1とした場合の相対活性が、0.7以上, 好ましくは0.8以上, さらには1以上のタンパク質」であるもの、を挙げることができる。 本発明においては、酵素活性, コスト, 入手容易性, などを総合的に考慮すると、C型リゾチームの中でも特に家禽類の卵白由来のC型リゾチームを用いることが好適である。 ここで家禽類とは、例えば、ニワトリ, キンケイ, キジ, コウライキジ, インドクジャク, シチメンチョウ, ホロホロチョウ, ウズラ, アヒル, ガチョウ, コブハクチョウ, ダチョウ, レア, エミュー, などを挙げることができる。 特には、生産規模やコストの点から、ニワトリのものを用いることが好適である。 さらに、本発明においては、天然のC型リゾチームに基づいて作成した変異タンパク質についても、好適に用いることができる。 この場合、変異によって活性が低下したタンパク質を用いることは好適でない。そのため、当該変異タンパク質としては、上記(B)に記載の活性を有するものであることが好適である。 また、本発明に用いるリゾチームとしては、天然材料から抽出されたものを好適に用いることができるが、遺伝子導入法によって、酵母, 昆虫(カイコ等), 動物(ブタ等)によって生産させた組み換えタンパク質であっても好適に用いることができる。 本発明においては、リゾチームを含む抽出液等であれば粗抽出液等を後述する反応液に添加して用いることが可能であるが、好ましくはリゾチームを(又はリゾチームを高い純度で含む画分を)精製タンパク質として用いることが好適である。 また、リゾチーム塩(好ましくは塩化リゾチーム)として粉末化したものも、好適に用いることができる。・リゾチーム反応の条件 本発明におけるリゾチーム処理は、リゾチームを含む水溶液を用いて行うことができる。 ここで、当該リゾチームを含ませる溶媒としては、水(好ましくは、水道水, 蒸留水, 精製水など)を用いることができるが、リゾチーム活性が高く維持されるように調製された水溶液を好適に用いることができる。 例えば、添加するリゾチームの至適pHが維持されるように緩衝成分(例えばTris, HEPES, リン酸緩衝液成分, など)を添加して、pH6.5〜10に調製した水溶液を好適に用いることができる。特に、通常のリゾチームはアルカリ性に至適pHがあるので、pH7以上, 好ましくはpH8以上のアルカリ性のものが好適である。(但し、中性付近に至適pHがある変異体リゾチームの場合は、中性付近のものが好適である。) また、リゾチームの活性を高める働きのあるグリシン, キレート剤(EDTA, CDTAなど)等の物質を含むものであると、さらに好適である。 ここで、リゾチームの濃度としては、上記次亜塩素酸ナトリウム処理後に30分の処理を行った場合において、十分な消毒効果が得られる濃度以上であれば採用することができる。 例えば、0.2mg/mL以上, 好ましくは0.25mg/mL以上, 特には0.3mg/mL以上, さらには0.4mg/mL以上, さらには0.5mg/mL以上, さらには0.6mg/mL以上, さらには0.7mg/mL以上, さらには0.8mg/mL以上, さらには0.9mg/mL以上, さらには1.0mg/mL以上,を採用することができる。 また、上限値としては、食品上問題のない濃度であり且つ発芽率に悪影響を与えない以下の濃度であればよい。 例えば、20mg/mL以下, 好ましくは15mg/mL以下, さらには10mg/mL以下, さらには7.5mg/mL以下, さらには5mg/mL以下を採用することができる。 当該処理は、当該リゾチーム水溶液と対象種子を接触する状態にすることで行うことができる。好ましくは、種子が浸漬する液量の当該溶液中において、種子を浸漬させて行うことが望ましい。 当該浸漬は、静置処理だけでも十分に効果は得られるが、緩やかな撹拌や振盪等を行って、種子と溶液をムラなく接触させるとさらに効果的である。なお、当該撹拌や振盪は、処理中に適宜行うだけでも有効である。 一方、激しい撹拌や振盪操作は、リゾチームを失活させるおそれがあるため、行うべきではない。 当該処理の温度としては、リゾチーム活性が高く維持され, 且つ, 種子の発芽率に悪影響を及ぼさない温度帯であれば、幅広い温度帯で行うことができる。 例えば、酵素活性が維持される10℃以上, 好ましくは15℃以上, 特には20℃以上であれば、当該処理を行うことが可能である。なお、活性の点を考慮すると、25℃以上, さらには30℃以上で行うことが好適である。 また、リゾチームは、耐熱性を有するタンパク質であるため高温での反応が可能であるが、あまりに高い温度で処理した場合、種子の発芽率に悪影響を及ぼす。 そのため、処理温度としては、60℃以下, 好ましくは55℃以下, さらには50℃以下, さらには45℃以下, で行うことが好適である。 なお、リゾチームの酵素活性だけに注目した場合、リゾチームの至適活性温度帯である40〜60℃付近(好ましくは45〜55℃)で行うと最も高い活性が期待される。 また、処理時間としては、通常の処理時間の範囲内で行えば良いが、30分(0.5時間)以上, 好ましくは45分(0.75時間)以上, で行うことが望ましい。 また、処理時間の上限としては、発芽率に悪影響を与えない範囲の時間であれば問題なく採用することができるが、具体的には6時間以下, 特には4時間以下, さらには3時間以下, さらには2時間以下, で行うことが望ましい。〔消毒工程における処理順番の意義〕 本発明の種子消毒では、対象種子に対して次亜塩素酸ナトリウム処理(Hpa処理)を行った後、リゾチーム処理(Lys処理)を行うという順番にて消毒を行うことを最大の特徴とする方法である。 即ち、本発明では、消毒工程を当該順番(Hpa処理→Lys処理)にて行うことにより、極めて高い消毒効果が発揮されるものとなる。 当該組み合わせによる消毒効果は、次亜塩素酸ナトリウム処理、リゾチーム処理をそれぞれ単独で行った場合と比べて、顕著に高い効果と認められる。 これは、前記次亜塩素酸ナトリウム処理の効果により、(i) 本来はグラム陽性菌にしか殺菌効果を示さないリゾチームが、前記次亜塩素酸ナトリウム処理によりグラム陰性菌に対しても殺菌作用が発揮されるようになったこと、(ii) 種皮内部の細菌に対しても殺菌作用を発揮できるようになったこと、によって初めて発揮されるようになった効果と認められる。 一方、次亜塩素酸ナトリウム処理とリゾチーム処理を行う順番を逆にした場合(Lys処理→Hpa処理で行った場合)、所望の消毒効果(相乗的な消毒効果)を得ることができない。 これは、リゾチーム処理の前に次亜塩素酸ナトリウム処理を行わなかった場合、リゾチームは、グラム陰性菌の外膜に対しては十分な殺菌効果が発揮することができないためと推測される。 また、種子内部に侵入した細菌の殺菌についても、殺菌効果を発揮することができないものと推測される。〔消毒後の滅菌種子〕 上記工程を経て得られた消毒後の種子は、保菌率が著しく低い種子であるにも関わらず、発芽率が全く低下していない種子である。さらに、食品安全性の点からも、全く問題がないものである。 ちなみに、通常の次亜塩素酸ナトリウム処理により、本発明と同程度の消毒効果を得ようとした場合、大幅に高い濃度及び/又は長時間の次亜塩素酸ナトリウム処理が必要となり、発芽率が大幅低下したものとなる。また、高濃度の次亜塩素酸ナトリウム処理の場合、食品安全上の問題も懸念される。〔スプラウト生産〕 上記工程を経て得られた種子は、対象種子の種類に応じた一般的な方法により、スプラウト生産に用いることが可能となる。 また、以下の工程は、通常の食品衛生上の管理が施された清潔な環境で行うことが望ましいが、必ずしも滅菌環境にて行う必要はない。 なお、スプラウトの種類によっては、清潔な栽培容器(例えば、プラスチック製のポット等)にて、直接、発芽・育苗処理を行うことで、そのまま収穫と出荷が行うことができる。 上記消毒した種子は、水を含ませた支持体に播種し、常温(例えば10〜35℃)に置くことで発芽させることができる。なお、発芽処理は、好ましくは暗所にて行うことが望まし。また、多湿条件で行うことも好ましい。 また、必要に応じて、支持体に液肥を添加することも有効である。 ここで、支持体としては、保水性を有する清潔なものであれば如何なるものを用いることができるが、例えば、ロックウール, パルプ, コットン, キッチンペーパー, 濾紙, スポンジ, ガーゼ, ピートモス, バーミキュライト, 寒天培地などを用いることができる。 発芽後の種子は、対象種子の植物に応じて、1〜20日間育苗させることで、スプラウトを収穫することができる。 ここで、スプラウトが、緑化の必要のない‘もやし型’の場合、そのまま暗所にて育苗することができる。 一方、スプラウトが、緑化の必要のある‘かいわれ型’の場合、自然光や人工光下にて育苗する必要がある。 育苗後は、常法により収穫することができる。ポッド栽培であればポットごと回収して冷却し、そのまま出荷することができる。 このようにして生産されたスプラウトは、スプラウト可食部に付着している生菌数(特に細菌数)が、著しく低減されたものとなる。 従って、当該スプラウト(例えばパック詰め製品)は、品質及び日持ちが大幅に向上したものとなる。また、食中毒の発生リスクを大幅に低減されたものとなる。 以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。〔調整例1〕『試薬の調製』 以下の実施例にて用いる試薬を調製した。 (1)「次亜塩素酸水溶液の調製」 ビーカーに蒸留水500mLを注ぎ、推定残存塩素濃度が120ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム加え、次亜塩素酸水溶液を調製した。 (2)「リゾチーム溶液の調製」 50mLの遠心チューブ(ファルコンチューブ(R))内に、蒸留水50mlを入れ、ニワトリ卵白由来のC型リゾチーム(Sigma社製)50mgを入れて懸濁することによって、1mg/mLリゾチーム溶液を作成した。 また、蒸留水で希釈することで、各希釈溶液を調製した。〔実施例1〕『次亜塩素酸ナトリウム処理とリゾチーム処理を組み合わせた場合の消毒効果』 かいわれ大根の生産における種子の消毒において、次亜塩素酸ナトリウム処理とリゾチーム処理を組み合わせて行った場合の消毒効果を検討した。 (1)「浸種処理」 かいわれ大根種子(品種:ルビーかいわれ)を水道水で軽く揉み洗いし、種子が十分に浸漬する量の水道水(水温18℃)に浸漬した。 その後、暗所にて、室温(25〜28℃)で約3時間静置することで種子に十分に吸水させ、種子を膨潤させた。 (2)「種子消毒」 上記膨潤後の種子を、120ppm次亜塩素酸水溶液に浸漬した。そして、室温(25℃)にて時々軽く攪拌しながら1時間静置することで、種子の消毒を行った。当該処理後の種子は、水道水の流水にて充分に洗浄した。 上記水洗浄後の種子(体積で約5mL分:約150粒)をプラスチックチューブ(50mL)内に入れ、種子全粒が十分に浸漬する量の1mg/mLリゾチーム溶液中に浸漬した。そして、35℃で1時間静置することで、種子の消毒を行った。当該処理後の種子は、水道水の流水にて充分に洗浄した(試験区1-1)。 一方、上記膨潤後の種子に対して、先にリゾチーム処理(1mg/mL, 35℃, 1時間)を行い、次いで次亜塩素酸ナトリウム処理(120ppm, 25℃, 1時間)を行って、消毒した種子を調製した(試験区1-2)。 なお、次亜塩素酸ナトリウム処理およびリゾチーム処理の各処理は、上記と同様にして行った。 また、対照として、上記膨潤後の種子に対して、リゾチーム処理のみの消毒を行った種子を調製した(対照区)。なお、リゾチーム処理は、上記と同様にして行った。 (3)「保菌種子率の測定」 上記の方法にて消毒した種子(試験区1-1, 1-2, 対照区)を、LB寒天培地のプレート上に1粒ずつ(プレート1枚あたり約30粒)静置した。 これらのプレートを35℃で1晩培養し、種子から派生するバクテリア由来のコロニーの有無を観察した。また、37℃の培養後、さらに25℃で2日間培養を継続し、25℃条件で新たに生じるコロニーの有無も合わせて観察した。 観察結果に基づき、プレート上に静置した全種子数に対する、コロニーが観察された種子数の割合を算出し、保菌種子率(%)を求めた。なお、当該測定は2反復行い、その平均値を求めた。当該保菌種子率の結果を表1, 図1に示した。 (4)「結果」 その結果、次亜塩素酸ナトリウム処理の後にリゾチーム処理を行った種子(試験区1-1:Hpa処理→Lys処理)では、保菌種子率が2%と著しく低い値を示すことが明らかになった。 この値は、リゾチーム処理のみで消毒した種子(対照区:Lys処理のみ)と比べて約1/7という極めて低い値であった。 一方、リゾチーム処理を行った後に次亜塩素酸ナトリウム処理を行った種子(試験区1-2:Lys処理→Hpa処理)では、保菌種子率が8.6%とやや高い値を示した。 この値は、次亜塩素酸ナトリウム処理の後にリゾチーム処理を行った種子(試験区1-1:Hpa処理→Lys処理)での値の約4.3倍であった。 これらの結果から、種子の消毒工程において、次亜塩素酸ナトリウム処理を行った後にリゾチーム処理を行う順番で消毒を行うことにより、極めて高い消毒効果が発揮されることが示された。 一方、次亜塩素酸ナトリウム処理とリゾチーム処理を行う順番を逆にした場合には、著しい消毒効果が発揮されなかった。このことから、試験区1-1の消毒効果は、それぞれの処理を単独で行った場合では想到しえない相乗的な効果であることが示された。 (5)「処理順番に関する考察」・試験区1-1(Hpa処理→Lys処理)の場合 種子の消毒において次亜塩素酸ナトリウム処理を先に行った場合、(i) 次亜塩素酸の活性酸素の働きにより(当該殺菌作用自体はあまり高いものではないが)、グラム陰性菌の外膜(リゾチームでは分解されない細胞壁の外側にリポ多糖の外膜)が、破壊されるものと考えられる。 また、(ii) 次亜塩素酸の活性酸素は、発芽に影響を与えない程度で種子の種皮に物理的な損傷を与えていると考えられる。 これらの点を鑑みると、次亜塩素酸ナトリウム処理は、リゾチーム処理による殺菌作用を増幅させるための前処理的な意義を有する処理と認められる。 従って、試験区1-1(Hpa処理→Lys処理)では、グラム陽性菌(リソチーム単独でも殺菌が可能な細菌)だけでなく、グラム陰性菌(本来はリゾチーム単独での殺菌ができない細菌)に対しても、強力な殺菌効果が発揮されると推測される。 さらに、種皮から種子内部に侵入した細菌に対しても、リゾチームの殺菌作用が発揮されると推測される。・試験区1-2(Lys処理→Hpa処理)の場合 一方、リゾチーム処理を先に行った場合、リゾチームはグラム陰性菌に対しては十分な殺菌効果が発揮することができないと認められる。また、種子内部に侵入した細菌の殺菌についても、殺菌効果を発揮することができないと考えられる。 また、次亜塩素酸ナトリウム処理での活性酸素による殺菌作用については、リゾチーム処理の影響はないものと考えられる。 これらのことより、試験区1-2(Lys処理→Hpa処理)では、リゾチーム処理と次亜塩素酸ナトリウム処理の組み合わせによる相乗効果が発揮されていないと推測される。〔実施例2〕『リゾチーム濃度の検討』 次亜塩素酸ナトリウム処理後にリゾチーム処理を行う種子消毒において、リゾチーム処理におけるリゾチーム濃度を変化させた時の消毒効果への影響を検討した。 (1)「種子消毒」 実施例1(1)で調製した膨潤後の大根種子に対して、次亜塩素酸ナトリウム処理(120ppm, 25℃, 1時間)を行い、次いでリゾチーム処理(表2に記載の各濃度, 35℃, 1時間)を行って、消毒した種子を調製した(試験区2-1〜2-4)。 なお、次亜塩素酸ナトリウム処理およびリゾチーム処理は、表2で示した濃度の各リゾチーム溶液を用いたことを除いては、実施例1に記載の方法と同様にして行った。 また、対照として、次亜塩素酸ナトリウム処理のみの消毒を行った種子を調製した(対照区)。 (2)「保菌種子率の測定」 上記の方法にて消毒した種子(試験区2-1〜2-4, 対照区)に対して、実施例1に記載の方法と同様にして、保菌種子率(%)を測定した。当該保菌種子率の結果を表2, 図2に示した。 (3)「結果」 その結果、リゾチーム処理におけるリゾチーム濃度の濃さと相関して、保菌種子率が低くなることが示された。 特に、リゾチーム濃度0.25mg/mL以下の溶液(試験区2-2〜2-4)を用いた場合では、1時間のリゾチーム処理を行っただけで、次亜塩素酸ナトリウム処理しか行わなかった種子(対照区)の約4割以下にまで保菌種子率が低下することが示された。〔実施例3〕『リゾチーム処理時間の検討』 次亜塩素酸ナトリウム処理後にリゾチーム処理を行う消毒方法において、リゾチーム処理時間を変化させた時の消毒効果への影響を検討した。 (1)「種子消毒」 実施例1(1)で調製した膨潤後の大根種子に対して、次亜塩素酸ナトリウム処理(120ppm, 25℃, 1時間)を行い、次いでリゾチーム処理(表3に記載の各濃度, 35℃, 表3に記載の各時間)を行って、消毒した種子を調製した(試験区3-1〜3-6)。 なお、次亜塩素酸ナトリウム処理およびリゾチーム処理は、表3で示した濃度の各リゾチーム溶液を用いて表3に示した時間の処理を行ったことを除いては、実施例1に記載の方法と同様にして行った。 また、対照として、次亜塩素酸ナトリウム処理のみの消毒を行った種子を調製した(対照区)。 (2)「保菌種子率の測定」 上記の方法にて消毒した種子(試験区3-1〜3-6, 対照区)に対して、実施例1に記載の方法と同様にして、保菌種子率(%)を測定した。当該保菌種子率について対照区での値を100とした時の相対値の結果を算出し、表3, 図3に示した。 (3)「結果」 その結果、リゾチーム処理における処理時間の長さと相関して、保菌種子率が低くなることが示された。 特に、3時間のリゾチーム処理を行った場合では、0.25mg/mLのリゾチーム溶液を用いた場合(試験区3-2)でも、次亜塩素酸ナトリウム処理しか行わなかった種子(対照区)の約0.6割以下にまで保菌種子率が低下することが示された。 なお、当該結果は、リゾチーム濃度が異なる3種類の溶液を用いた場合で全て同じ結果であった。〔実施例4〕『統計的検証』 次亜塩素酸ナトリウム処理後にリゾチーム処理を行う消毒方法において、0.25mg/mLリゾチーム溶液を用いて1時間の処理を行った場合の消毒効果を、統計的に検証した。 (1)「種子消毒」 実施例1(1)で調製した膨潤後の大根種子に対して、次亜塩素酸ナトリウム処理(120ppm, 25℃, 1時間)を行い、次いでリゾチーム処理(0.25mg/mL, 35℃, 1時間)を行って、消毒した種子を調製した(試験区4-1)。 なお、次亜塩素酸ナトリウム処理およびリゾチーム処理は、0.25mg/mLのリゾチーム溶液を用いたことを除いては、実施例1に記載の方法と同様にして行った。 また、対照として、次亜塩素酸ナトリウム処理のみの消毒を行った種子を調製した(対照区)。 (2)「保菌種子率の測定」 上記の方法にて消毒した種子(試験区4-1, 対照区)に対して、LB寒天培地のプレート上に1粒ずつ(プレート1枚あたり約30粒)静置した。 これらのプレートを35℃で1晩培養し、種子から派生するバクテリア由来のコロニーの有無を観察した。 観察結果に基づき、プレート上に静置した全種子数に対する、コロニーが観察された種子数の割合を算出し、保菌種子率(%)を求めた。なお、当該測定は4反復行いその平均値を求めた。当該保菌種子率の結果を表4, 図4に示した。 そして、当該試験区と対照区(次亜塩素酸ナトリウム処理のみを行った処理区)との間でのt-検定を行い、有意水準0.05(危険率5%)で対照区との間で有意差があった場合は、表及び図中に「*」を記した。 (3)「結果」 その結果、次亜塩素酸ナトリウム処理後に0.25mg/mLリゾチーム溶液で1時間処理して消毒した種子(試験区4-1)の保菌種子率の値(0.8%)は、次亜塩素酸ナトリウム処理のみで消毒した種子(対照区)での値(10.0%)と比べて、有意水準0.05で有意に低い値であることが示された。 (なお、当該例での保菌種子率の値が、全体的に実施例2より低い値となっていることは、保菌種子率を算出する際のプレート培養の時間が短いことに起因する。) この結果から、次亜塩素酸ナトリウム処理後に0.25mg/mLリゾチーム溶液を用いて1時間の処理を行う消毒(試験区4-1)は、次亜塩素酸ナトリウム処理のみでの消毒(対照区)に対して、統計的に有意な消毒効果を発揮することが示された。〔実施例5〕『発芽率への影響』 次亜塩素酸ナトリウム処理後にリゾチーム処理を行う消毒方法が、種子の発芽率に影響を与えるかを調べた。 (1)「種子消毒」 実施例1(1)で調製した種子に対して、次亜塩素酸ナトリウム処理(120ppm, 25℃, 1時間)を行い、次いでリゾチーム処理(1mg/mL, 35℃, 1時間)を行って、消毒した種子を調製した(試験区5-1)。 なお、次亜塩素酸ナトリウム処理およびリゾチーム処理は、実施例1に記載の方法と同様にして行った。 また、対照として、次亜塩素酸ナトリウム処理のみの消毒を行った種子を調製した(対照区)。 (2)「発芽率の測定」 上記の方法にて消毒した種子(試験区5-1, 対照区)を、滅菌シャーレ内(シャーレ1枚あたり約100粒ずつ)に静置し、暗所にて25℃で一晩静置した。 翌日、1粒ずつの発芽の有無を観察し、発芽率(%)を測定した。なお、当該測定は2反復行いその平均値を求めた。当該発芽率の結果を表5, 図5に示した。 (3)「結果」 その結果、次亜塩素酸ナトリウム処理後に1mg/mLリゾチーム溶液で1時間処理して消毒した種子(試験区5-1)の発芽率の値(97.55%)は、次亜塩素酸ナトリウム処理のみで消毒した種子(対照区)での値(97.49%)と比べて、極めて近い値を示した。 この結果から、1mg/mL以下でのリゾチーム処理は、種子の発芽率を低下させないことが示された。 また、当該例でのリゾチーム溶液は、1mg/mLという高濃度のリゾチーム溶液であった。このことを踏まえると、当該リゾチーム処理を高濃度で行ったとしも、種子の発芽率を低下させるおそれがないことが示唆された。〔実施例6〕『発芽後のスプラウト生食部に付着している生菌数』 上記方法により消毒した種子を発芽させ、育苗して得たスプラウト生食部に付着している生菌数について調査した。 (1)「種子消毒」 実施例1(1)で調製した膨潤後の大根種子に対して、次亜塩素酸ナトリウム処理(120ppm, 25℃, 1時間)を行い、次いでリゾチーム処理(1mg/mL, 35℃, 1時間)を行って、消毒した種子を調製した(試験区6-1)。 なお、次亜塩素酸ナトリウム処理およびリゾチーム処理は、実施例1に記載の方法と同様にして行った。 また、対照として、次亜塩素酸ナトリウム処理のみの消毒を行った種子を調製した(対照区)。 (2)「スプラウト生食部での生菌数の調査」 上記の方法にて消毒した種子(試験区6-1, 対照区)に対して、水道水(流水)で充分洗浄し、滅菌チューブ1本ずつに種子を1粒ずつ入れ、滅菌水を少量(200μL)加えた。 そして、暗所にて25℃で一晩静置することで発芽させた後、引き続き暗所にて25℃で6日間育苗した。 種子から伸長した胚軸部及び子葉部(=生食部)を、根を取り除いて回収し、磨際した。磨砕液は、滅菌水を用いて1/100及び1/1000倍に希釈し、LB寒天培地プレートに塗布し、35℃で一晩培養した後に生じたコロニー数を測定した。 胚軸部及び子葉部(=生食部)の生鮮重量1gあたりのコロニー数を算出した結果を、表6, 図6に示した。 (3)「結果」 その結果、次亜塩素酸ナトリウム処理後に1mg/mLリゾチーム溶液で1時間処理して消毒した種子(試験区6-1)を発芽させ、育苗して得たスプラウト生食部からは、約3.3×103のコロニーの発生が全く確認されなかった。 それに対して、従来法である次亜塩素酸ナトリウム処理のみで消毒した種子(対照区)を発芽させ、育苗して得たスプラウト生食部からは、生鮮重量1gあたり約1.3×106のコロニーの発生が確認された。 この結果から、次亜塩素酸ナトリウム処理後にリゾチーム処理を行った種子(保菌種子率が著しく減少した種子)を用いてスプラウト生産を行った場合、生産したスプラウトに付着する生菌数は、顕著に減少することが示された。〔実施例7〕『他のスプラウト種子への応用』 次亜塩素酸ナトリウム処理後にリゾチーム処理を行う消毒の著しい効果が、他のスプラウト種子に対しても応用可能かを検討した。 (1)「浸種処理」 表7に示した各スプラウト種子について、実施例1に記載の方法と同様にして浸種処理を行い、種子に十分に吸水させ、種子を膨潤させた。 (2)「種子消毒」 上記膨潤後の各種子に対して、次亜塩素酸ナトリウム処理(120ppm, 25℃, 1時間)を行い、次いでリゾチーム処理(1mg/mL, 35℃, 1時間)を行って、消毒した種子を調製した(試験区7-1〜7-4)。 なお、次亜塩素酸ナトリウム処理およびリゾチーム処理は、実施例1に記載の方法と同様にして行った。 また、対照として、次亜塩素酸ナトリウム処理のみの消毒を行った各スプラウト種子を調製した(対照区1〜4)。 (3)「保菌種子率の測定」 上記の方法にて消毒した種子(試験区7-1〜7-4, 対照区1〜4)に対して、LB寒天培地のプレート上に1粒ずつ(プレート1枚あたり約30粒)静置した。 これらのプレートを35℃で1晩培養し、種子から派生するバクテリア由来のコロニーの有無を観察した。 観察結果に基づき、プレート上に静置した全種子数に対する、コロニーが観察された種子数の割合を算出し、保菌種子率(%)を求めた。なお、当該測定は2反復行い、その平均値を求めた。当該保菌種子率の結果を表7, 図7に示した。 そして、当該試験区と対照区(次亜塩素酸ナトリウム処理のみを行った処理区)との間でのt-検定を行い、有意水準0.05(危険率5%)で対照区との間で有意差があった試験区については、表及び図中に「*」を記した。 (4)「結果」・スプラウト種子全般への適用性 その結果、次亜塩素酸ナトリウム処理後にリゾチーム処理を行うことによって、ごまの種子(試験区7-1), だったんそばの種子(試験区7-2), アルファルファの種子(試験区7-3), ブロッコリースプラウトの種子(試験区7-4), の保菌種子率も、大幅に低い値を示すことが明らかになった。 また、これらの値は、次亜塩素酸ナトリウム処理のみで消毒した種子(対照区1〜4)と比べて、有意水準0.05で有意に低い値であり、顕著な消毒効果が発揮されていることが示された。 これらの結果から、次亜塩素酸ナトリウム処理後にリゾチーム処理を行う消毒方法は、スプラウト種子全般に対して、幅広く適用可能な技術であることが実証された。・アブラナ科植物の種子への適用性 上記スプラウト種子の中で、特にブロッコリースプラウト(試験区7-4)では、保菌種子率が0%に低下しており著しい消毒効果が発揮されていた。 この点、同じアブラナ科であるかいわれ大根について、本実施例と同じ条件(Hpa処理→Lys処理(1mg/mL,1hr))での例(実施例2の試験区2-4)を参照すると、その保菌種子率は、対照区と比較して約1/10(16.7%→1.7%)に低減されており、著しい消毒効果が発揮されていた。 これらの結果から、次亜塩素酸ナトリウム処理後にリゾチーム処理を行う消毒方法は、特にアブラナ科の種子に対して特に好適に適用できることが示唆された。 本発明によれば、スプラウトの生産工程において、食品上安全であり且つ極めて効果の高い種子の消毒方法を提供することが可能となる。 これにより、本発明は、スプラウトの品質及び日持ちの向上に貢献する技術となり、食中毒の発生が防除できることが期待される。 これにより、本発明は、スプラウト生産及び販売等に関わる食品産業において、極めて有用な技術となることが期待される。 スプラウト生産に用いる種子に対して、次亜塩素酸ナトリウム処理を行った後、リゾチーム処理を行う順番にて消毒を行うことを特徴とする、種子の消毒方法。 前記リゾチーム処理が、0.2〜20mg/mLのリゾチームを含む溶液を用いて行うものである、請求項1に記載の種子の消毒方法。 前記リゾチーム処理が、10〜60℃にて0.5〜6時間行うものである、請求項1又は2に記載の種子の消毒方法。 前記リゾチームが、C型リゾチームである、請求項1〜3のいずれかに記載の種子の消毒方法。 前記リゾチームが、家禽類に由来するC型リゾチーム, 又は, その変異タンパク質であって、;配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質が有するMicrococcus lysodeikticusに対する溶菌活性を1とした場合の相対活性が、0.7以上である、;請求項1〜4のいずれかに記載の種子の消毒方法。 前記次亜塩素酸ナトリウム処理が、50〜500ppmの次亜塩素酸ナトリウムを含む溶液を用いて、0.5〜6時間行うものである、請求項1〜5のいずれかに記載の種子の消毒方法。 前記種子が、ダイコン属, アブラナ属, グンバイナズナ属, キバナスズシロ属, セイヨウワサビ属, オランダガラシ属, シロガラシ属, ワサビ属, ササゲ属, ダイズ属, エンドウ属, ラッカセイ属, ヒヨコマメ属, ヒラマメ属, ウマゴヤシ属, フェヌグリーク属, イヌタデ属, ソバ属, ゴマ属, エゴマ属, ヒマワリ属, 又は, カボチャ属, のいずれかに属する植物の種子であって、当該種子から発芽して得られるスプラウトが食用となるものである、請求項1〜6のいずれかに記載の種子の消毒方法。 請求項1〜7のいずれかに記載のいずれかの方法により種子の消毒を行うことを特徴とする、スプラウト生産に用いる消毒種子の生産方法。 請求項1〜7のいずれかに記載のいずれかの方法により消毒を行った種子を用いて、育苗することを特徴とする、スプラウトの生産方法。 【課題】 食品安全上の観点からスプラウト生産に用いることが可能であると同時に、著しく消毒効果が高い種子の消毒方法、を提供することを目的とする。【解決手段】 スプラウト生産に用いる種子に対して、次亜塩素酸ナトリウム処理を行った後、リゾチーム処理を行う順番にて消毒を行うことを特徴とする、種子の消毒方法、;前記方法により種子の消毒を行うことを特徴とする、スプラウト生産に用いる消毒種子の生産方法、;前記方法により消毒を行った種子を用いて、育苗することを特徴とする、スプラウトの生産方法、;を提供する。【選択図】 図1配列表


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