生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_薬草組成物PHY906および化学療法におけるその使用
出願番号:2012095816
年次:2012
IPC分類:A61K 36/18,A61K 36/48,A61K 45/00,A61P 35/00,A61P 43/00,A61K 36/00


特許情報キャッシュ

チェン, ヤン−チー リュー, シュー−フエイ JP 2012167101 公開特許公報(A) 20120906 2012095816 20120419 薬草組成物PHY906および化学療法におけるその使用 エール ユニヴァーシティ 399122424 山田 行一 100094318 池田 成人 100107456 山口 和弘 100148596 野田 雅一 100123995 チェン, ヤン−チー リュー, シュー−フエイ US 09/522,055 20000309 A61K 36/18 20060101AFI20120810BHJP A61K 36/48 20060101ALI20120810BHJP A61K 45/00 20060101ALI20120810BHJP A61P 35/00 20060101ALI20120810BHJP A61P 43/00 20060101ALI20120810BHJP A61K 36/00 20060101ALI20120810BHJP JPA61K35/78 CA61K35/78 JA61K45/00A61P35/00A61P43/00 121A61K35/78 W 11 1 2001564775 20010308 OL 68 4C084 4C088 4C084AA19 4C084MA02 4C084MA52 4C084MA55 4C084NA05 4C084NA14 4C084ZB262 4C084ZC752 4C088AB12 4C088AB37 4C088AB58 4C088AB59 4C088CA03 4C088MA08 4C088MA52 4C088MA55 4C088NA05 4C088NA14 4C088ZB26 4C088ZC75 本発明は病気、特にウイルス感染や癌新生物の治療に使用されるものを含む医薬の治療指数を増加させることに役立つ薬草組成物を提供する。本発明の方法を用いて、化学療法を受けている個人の生活の質を改善することができる。詳しくは、本発明は薬草組成物PHY906によって、化学療法剤の治療指数を増加させることによる病気の治療に関する。さらに詳しくは、本発明は薬草組成物PHY906によって、癌化学療法剤の治療指数を増加させることによる癌治療に関する。 本明細書中の全ての刊行物および特許出願は、各個々の刊行物または特許出願を明確におよび個々に引用により援用されると表示されるのと同じ程度に参考として取り入れられる。 I.生薬 生薬(herbal medicine)は、何世紀もの間、アジアおよびヨーロッパの人々により使用されてきた。米国では、薬草(ハーブ、herb)は、栄養補助食品(健康食品)産業並びに全体論的医学において商業的に価値のあるものとなってきた。米国人口のほぼ3分の1が、少なくとも1回は代替医療を何らかの形で試みている(Eisenbergら、1993、N.Eng.J.Med.328:246−252)。 植物性薬品(botanical)もまた、病気を治療する新規活性物質の同定の焦点となってきた。植物のエキス(抽出物)から得られる活性化合物は、医薬品産業における長年の関心である。例えば、西洋イチイの木の樹皮から得られた抗腫瘍薬であるタキソールは、乳癌の治療に有用であると分かってきた(Gomez−Espuchら, Bone Marrow Transplant, 25(3):231−235(2000))。 世界中には、アーユルベーダ(Ayurveda)、ユナニ(Unani)、シダ(Sida)および伝統的な漢方薬(TCM)などの多くの生薬の派生物がある。現代の西洋医学は、典型的には、1つの特定の生化学経路を妨害できる単一の化学物質を投与することからなるが、TCMの各製剤は、典型的には、協調的に生体の複数の標的と相互作用するように設計された数個の薬草由来の数百の化学物質を含む。経験的慣行が、薬草組成物およびこれらの古来からの生薬の処方に有意に貢献したが、それらはまた、1セットの理論(これは全て、解剖学、薬理学、病理学、診断処置等の点で現代西洋医学とは異なる)によっても、様々な程度で支持されている。様々な生薬分野の中で、TCMが、数世紀かけて、より完全なセットの理論を展開し、これは、十分に文書化され、中国並びに韓国および日本を含む東アジアの莫大な人口(>1.3億人)を看護する地域の医師により実践されてきた。 II.伝統的な漢方薬 西洋医学は、一般に、ほとんどが単一の生理学的標的に指向する、精製化合物(天然または合成)を使用する。しかし、TCMに使用される組成物は、通常、独特かつ全体論的概念に基づき、生体の複数の標的を目的とした、複数の薬草および化合物で構成される。TCMは、主に、加工された粗製天然物を、様々な組合せおよび製剤で使用して、様々な状態を処置し、副作用がより少ない。TCMの大きな可能性は、世界の大半の人々には依然として実現されていない。 単一の化合物よりも植物エキスの混合物が、病気の管理のために世界中で広範囲に使用されており、そして西欧諸国でもますます認められてきている(Okada, F., Lancet 348: 5−6(1996); Xiao PG, Xing STおよびWang LW, Journal of Ethnopharmacol 38: 167−175 (1993))。伝統的な漢方薬の使用は、同時にかつ相乗的に複数の分子標的および細胞学的機序に対して作用する薬草調製物中の数多くの化学成分の相互作用に基づいている。これらの成分は、様々な機能を果たす。あるものは、効能に貢献し、他のものは毒性を減少させるか、生物学的利用能を増加させることもある。漢方製剤は、おそらく最も良く知られている植物薬剤であり、数千年にもわたる人類の経験的な観察に由来してきた。特定の漢方調製物のクレームされる適応症は、多くの場合、単一であるというよりは多重である。複数の標的に対して作用を呈することができる製剤中の数多くの植物化学的成分のため、これは驚くべきことではない。1つの漢方製剤が癌化学療法剤の使用に関連する複数の副作用を緩和するかもしれないことは可能である。 典型的なTCM処方中の薬草は、主薬草および二次薬草(補助、アジュバント、および誘導薬草を含む)としての役割を割当てられる。主薬草は、病気の原因または主症状の治療において主要な効果をもたらす。補助薬草は、主薬草の効果を増強するのを助け、随伴する症状の治療において主要な効果をもたらす。アジュバント薬草には3種類ある。すなわち、1)主薬草および補助薬草の治療効果を増強または三次症状を治療するもの、2)主薬草および補助薬草の毒性および他の副作用を減少または消失させるもの、および3)主薬草による特異的な効果を受けない補完的な標的組織に作用するものである。誘導薬草は、他の薬草の効果を罹患部位に指向させる、および/または処方または製剤中の他の薬草の効果を調整および媒介する。単一植物の1つ以上の部分からなる、ほとんどの生薬または補助物とは対照的に、TCMの目的の効果は、複数の組織に向けられている。 例えば、喘息の治療に使用される、周知のTCMレシピである「麻黄煎汁(浸出液)」(Ephedra decoction)は、麻黄、ケイ皮小枝、苦い杏仁および甘草で構成される。麻黄は、主薬草として感冒を退散させ、発汗を誘導し、肺の気の流れを促進し、主症状の喘息を軽減する。補助薬草としてのケイ皮小枝は、麻黄による発汗誘導を増強し、経路(channel)を加温して、陽の気の流れを確実にして、頭痛および全身痛を減少させる。アジュバント薬草としての苦い杏仁は、肺の気の逆流を促進し、麻黄による喘息軽減を増強する。誘導薬草としての甘草は、麻黄およびケイ皮の両方の効果を調節して、活力の気の恒常性を確実にする。各4つの薬草は明らかにそのそれぞれの活性を示すが、それらは合わせられると互いに補完並びに補足する。実際に、主薬草は、患者の提示する症状に応じて、1つ以上の二次薬草と共に処方できる(Prescriptions of Traditional Chinese Medicine, 第1章、p.10−16, E. Zhang編集長、Publishing House, Shanghai University of Traditional Chinese Medicine, 1998)。 気とは、人体の全エネルギーを指す。薬草を用いて気の最適なバランスを達成する。そのバランスが患者の総合的な健康および活力に現れてくると考えられている(K. C. Hung, The pharmacology of Chinese Herbs, 第2版、2頁, 1999, CRC Press)。 生薬および他の手段(例えば、鍼治療)を用いて病気の治療を誘導する、TCMの主要な理論は、1)陰陽説、2)五行説、3)臓腑説、4)気、血液および体液の説、および5)経路および側副の説である。 TCMでは、適切な診断の実施において第一に重要な態様は、病気が陰または陽(中国人が宇宙の活動を支配すると信ずる2つの力)であるかを確認することである。陰は、自然の女性側を表し、暗黒、静穏、深さ、冷たさおよび湿りを包含する。一方、陽は、男性的な原理を表し、光、活動、高さ、熱さおよび乾燥を包含する(K. C. Hung, The pharmacology of Chinese Herbs, 第2版、2頁, 1999, CRC Press)。陰は普通、陰性の力と解釈されるが、陽は陽性の力を表す。それら2つの力は、補完的であり、いずれも他方なしでは存在できない。このようにTCMは、陰と陽との間のバランスを達成しようとする。 陰陽の原理に基づいて、患者を診断しようとするとき、発熱を有する、喉が渇く、便秘である、または速い脈拍状態を有する患者は、陽の特徴を有する。寒さを嫌う、喉が渇いていない、および下痢および遅脈状態の個体は、陰の特徴を有する。薬草の特性、味および機能も、陰陽説に従って分類できる。例えば、寒および涼の性質の薬草は陰に属し、温および熱の性質の薬草は陽に属している。酸、苦および塩辛い味の薬草は陰に属し、辛、甘および淡の味の薬草は陽に属する。収斂および降下機能をもつ薬草は陰に属し、発散、上昇および浮揚機能をもつ薬草は、陽に属する。TCMでは、治療の原理は、陰および陽の優性または劣性に基づいている。薬草は、陰陽の不均衡の回復のために、陰および陽のその特性およびその機能に従って処方される。そのようにして、治療の利点が達成される。 五行説によると、物質世界を構成している5つの基本的な物質が存在する(すなわち、木、火、土、金属および水)。TCMでは、この説が、人体の生理機能および病理の説明に、および臨床的診断および治療の指導に使用されてきた。漢方医は、五元素の生成、制限、従属および逆制限の法則を適用して、例えば、土を強化して金属を生成(脾臓の機能を強化して、肺に恩恵を与える)、水を補充して木に栄養を与える(腎臓の本質に栄養を与えて、肝臓に恩恵を与える)、土を支持して木を制限する(脾臓の機能を補って、肝臓の機能亢進を処置する)、および水を強化して火を制御する(腎臓の本質を補充して、心臓の機能亢進を処置する)などの、多くの効果的および特異的治療計画を実施してきた。具体的に、いくつかの薬草の特性は、TCMレシピの処方を指導する目的で、各五行に割当てられる。 TCMでは、人体の内部臓器は、3つの群に分類される。すなわち、五臓(心臓、肝臓、脾臓、肺および腎臓)、六腑(胆嚢、胃、大腸、小腸、膀胱および三焦(triple warmer))、特別な臓器(脳、髄、骨、血管、胆嚢、および子宮)である。TCMでは、臓または腑は、単に解剖学的単位ではなく、様々な臓器間の相互作用に関する生理学および病理の概念である。例えば、心臓は、いくつかの精神機能のことも指し、血液、毛、舌および皮膚の機能に影響を及ぼす。陰陽および五行は、これらの臓、腑、および臓器の間の相互作用に影響を及ぼす。理論の相互作用の複雑性を使用して、下記に議論したように、薬草を処方する病気の病理を説明する。 TCMにおける生薬の処方は、診断で始まり、これは4つの主な項目からなる。すなわち、質問、望診、聴診および嗅覚診、脈取りおよび触診である。質問の期間中に、主症状の特徴を含む多くの情報が集められる。例えば、主症状が心窩部の鈍痛(これは加温および加圧により軽減し得る)を特徴とする場合、これにより、脾臓不全(陽)が示唆される。腰および膝の苦痛および弱さ、冷たい四肢をもち寒さに不耐性であることは、腎の弱さ(陽)を示す。望診中に、生命力、皮膚の色、および一般的な外見および舌の状態を観察する。例えば、色白の顔色は内の肺の衰えに対応し、その気は乾燥している。これは、陽の気が欠失し、気および血液の循環が損なわれた場合、または経路および側副の寒さがそれらの収縮を引き起こす場合に起こり得る。 TCMでは、気、血液、および体液から、臓腑、経路および側副、組織および他の臓器がその生理学的機能を実施するに必要なエネルギーが来る、そして気、血液および体液の形成および代謝がそれに依存する。TCMの処方は、治療において、気および血液に対する薬草の効果を考慮する。 TCMは、経路、側副および副次的部分が、全身に分布していると捉える。それを介して、薬草は、病的標的に影響を及ぼし、病気の改善を達成する。例えば、麻黄は、肺および膀胱の経路に作用し、汗を誘導し、喘息を緩和し、利尿を促進する。上記のように、鍼治療の臨床適用も、経路および側副の説により指導される。 要約すると、TCMにおける各薬草の性質または特性は、陰または陽として、および五行の1つに割当てられ得るが、それらは経路および側副を通じて作用し、気、血および体液を介して媒介されて、臓腑などの標的に治療効果をもたらす。病原因子は、経路および側副の正に同じシステムを通じておとりとして偽装し、臓腑の機能に悪影響を及ぼし、従って病気を引き起こし得る。 III. 米国における薬草組成物の特許の状態 いろいろな病気の治療と、人間を含む哺乳動物を悩ましているその他の健康に関連した問題の処置のために使われる薬草組成物について米国特許が付与されてきた。例えば、ボタン(Paeonia suffuticosa)を含む薬草組成物が、ヘルペスや小児麻痺ウイルスの感染を含むウイルス感染の治療に役立つと見出されてきた(米国特許第5,411,733号)。 眼の炎症は、植物アルカロイドであるテランドリン(tetrandrine)を含む薬学的組成物で治療することができる(米国特許第5,627,195号)。米国特許第5,683,697号には、抗炎症作用、熱を下げる作用、去痰作用、または鎮咳作用を有する薬学的組成物が開示されており、その組成がMelia(センダン)、Angepica(セッコク)、Dendrobium、 Impatiens(ホウセンカ)、Citrus(柑橘類)、Loranthus(ヤドリギ)、 Celosia、Cynanchum(ケイトウ)、およびGelehnia(ハマボウフウ)からの種の植物部分を含んでいる。Alphinia、Smilax、Tinospora、Tribulus、WithaniaおよびZingiberの根、根茎やおよび/または植物のエキスを含む薬草製剤は、慢性関節リューマチ、変形性関節炎、および活性関節炎と関連する症状を軽減または緩和して、そして前炎症性のサイトカインの生産を減らすことが見出された(米国特許第5,683,698号)。タルク、カイコ排泄物および12の異なる薬草成分を含む組成物は、哺乳動物で炎症、苦痛や熱を減少させるのに効果的であることが示された(米国特許第5,908,628号)。 癌および癌に関連した健康問題の治療に用途を見出す薬草組成物に対しても特許が付与されてきた。例えば、米国特許第5,437,866号には、Scutellaria barbata(ハンシレン、半枝連)種を含む薬草の混合物、同様にそれらのエキスを含んでいる組成物が開示されているが、それはヒトで悪性腫瘍の影響を改善するために使われる。米国特許第5,665,393号には、前立腺癌の治療のためにGlycyrrhiza glabra L.(ナンキンカンゾウ)、Scutellaria baicalensis Georgi(コガネバナ)、Rabdosia rubescensおよびSerenoa repensを含む様々の薬草組成物が開示されている。さらに、抗腫瘍性の薬草組成物は、マイトマイシンDとドキソルビシンの抗腫瘍活性を増強させるために用いられる、Astragali radix、Paeonia radix(シャクヤク、芍薬)、Cinnamomi cortex、Rhemannia radiおよびGlycyrrhizae radi(オウゴン)を含む(米国特許第4,613,591号および米国特許第4,618,495号)。 IV. 化学療法の副作用 以前には致命的であった数々の悪性腫瘍に対する治療処置が同定されてきたので、腫瘍学は、過去の数十年に医業を変える大きい影響を持ってきた。しかしながら、一般的に使用されている医薬のカテゴリーでは、抗悪性腫瘍剤より、より狭い治療指数と有害な副作用を引き起こすより高い可能性を有するものは数少ない(CalabresiおよびChabner(1996))。 適度な選択性だけを持つ多くの他の強力な薬のように、抗癌剤は重度の毒性を引き起こし得る。癌化学療法に関連する共通の副作用は、以下を含むがそれらには、限定されない。すなわち、消化器の合併症(例えば、下痢、吐き気、嘔吐、食欲不振や粘膜炎)、苦痛、食欲減退、骨髄/血液学的合併症(例えば、白血球減少症、好中球減少症、貧血、出血や血小板減少症)、疲労および睡眠障害である。 本発明の発明者は、癌化学療法に関連する症状の治療のために使用されてきた漢方製剤の文献検索を実行した。7つの薬草(ハーブ)の植物製剤であるTJ−14は、癌患者においてCPT−11に起因する下痢を強力に防ぐと報告された(Kase, Y, Hayakawa TおよびAburada M.ら, Jpn. J. Pharmacol. 75, 407−413 (1997); Marita M., Nagai EおよびHagiwara H.ら, Xenobiotica. 23, 5−10 (1993))。下痢は、腸内微生物によってつくられた、CPT−11の活性代謝産物であるSN−38の蓄積から起こると提案された。本発明者は、β−グルクロニダーゼ阻害剤であるバイカリン(baicalin)がCPT−11に起因する下痢を軽減するTJ−14中の活性成分であると信ずる(Kase, Y, Hayakawa TおよびAburada M.ら, Jpn. J. Pharmacol. 75, 407−413 (1997); Marita M., Nagai EおよびHagiwara H.ら, Xenobiotica. 23, 5−10 (1993); Takasuna K, Takehiro H, Hirohashi Mら, Cancer Chemother Pharmacol. 42:280−286 (1998); Takasuna K, Takehiro H, Hirohashi M, Kato Mら, Cancer Res. 56: 3752−3757 (1996))。したがって、バイカリン(baicalin)が豊富にある、Scuellaria baicalensis Georgiの根を含んでいる漢方薬草製剤の幾つかを評価した。研究室で調べた幾つかの製剤のなかで、本発明者はPHY906を選んだ。この特定の製剤は、下痢、腹部の痙攣、熱、頭痛、嘔吐、吐き気、極端な渇きや胸の膨満(subcardial distension)の処置のため、1500年以上前に確立されていた(Shang Han Lun of the Han Dynasty; Hong−Yen HsuおよびChau−Shin Hsu, Commonly used Chinese Herb Formulas with Illustrations, Oriental Healing Art Institute, California, (1980))。PHY906は、Scutellariae baicalensis Georgi(コガネバナ)、Paeonia lactiflora pall(シャクヤク)、Glycyrrhizae uralensis Fisch(ウラルカンゾウ)およびFructus ziziphi(ナツメヤシ)をそれぞれ、乾燥重量で1.5:1.0:1.0:1.0の割合に混合した、配分を有する4つの薬草から成る。各々の薬草が、表1で示すように、制癌や抗ウイルス活性、血液学的および免疫学的刺激、鎮痛活性、血管拡張、肝臓防御、酸化防止および食欲の改善を含む、明確な薬理学的プロフィルを有する点に留意する必要がある。 現在まで、PHY906は合成薬と併用してというより、単一の薬剤として処方されてきた。しかしながら、PHY906の文書化された使用の1つが実際に化学療法によって誘発される副作用を軽減することに役立ったかもしれないことが考えられる。PHY906の4つの薬草の各々での主要な化学物質成分の一部が確認され、そして、それらの薬理活性が調べられてきたけれども、PHY906の生物学的性質は、確認された成分によって完全には予測されないであろう(Chinese Botany Shanghai Science and Technology Publishing Company (1999); Huang, H−C, Wang, H−R,およびHsieh, L−M., Eur J of Pharmacol 251:91−93 (1994); Lin, C−CおよびShieh, Am J Chinese Med 1:31−36 (1996); Tang, W.およびEisenbrand, G., Chinese Drugs of Plant Origin: Chemistry, Pharmacology and Use in TraditionalおよびModern Medicine pp. 919−929. Springer−Verlag Press, New York, (1992))。 本発明の発明者らは、薬草組成物PHY906を1つまたはそれ以上の化学療法化合物の治療指数を増加させる、そして造血活性を調節する様々な方法において、用いることができることを、予想外にも発見した。本明細書に開示された方法を用いて、化学療法患者の生活の質を改善し、さらにPHY906と共に投与されるとき、それら薬剤の減少された毒性のために、化学療法剤の投与量を増加することができる。 本発明は、薬学的に許容される担体と組合せ、そして1つまたはそれ以上の化学療法化合物または抗ウイルス剤を選択肢として含んでもよい薬草組成物PHY906を提供する。特定のPHY906製剤を作るのに選ばれる4つの植物種は、各々4つの異なる属の薬草、すなわちScutellaria(オウゴン)、Licorice(カンゾウ)、Peony Alba(シャクヤク)およびZiziphi Fruit(ナツメヤシ)の1つから選択される。それらの薬草は、PHY906の望ましい属性の1つ以上を得られるように選択されるが、そこでこのような属性は、限定はされないが以下を含む。すなわち、1つまたはそれ以上の化学療法化合物の治療指数を増加すること、1つまたはそれ以上の化学療法化合物の抗腫瘍活性を増加するか、または1つまたはそれ以上の抗ウイルス剤の抗ウイルス活性を増加すること、造血活性を調節すること、血液学的活性および免疫学的活性を調節すること、そして化学療法または抗ウイルス療法を受けている哺乳動物の生活の質を改善することである。 本発明に包含される化学療法化合物または化学療法剤は、癌、寄生体感染および微生物感染を治療するのに有用なものを含むが、それらには限定されない。 本発明に包含される抗ウイルス化合物または抗ウイルス剤は、ウイルス感染、ウイルス病、またはウイルス症状を治療するのに有用なものを含むが、それらには限定されない。 本発明の組成物および方法は、いかなる哺乳動物を治療するのにも有用である。さらに詳しくは、本発明の方法は、ヒトを治療するのに有用である。 本発明は、さらに薬学的に許容される担体;Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia属薬草の各々の植物種からの材料または化学物質;および1つまたはそれ以上の化学療法化合物を含む組成物を提供する。好ましくは、前記組成物が薬学的に許容される担体、Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeoniaを含む薬草調製物および1つまたはそれ以上の化学療法剤、或いは抗ウイルス剤を含む。より好ましくは、その薬草調製物がScutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeoniaからの材料または化学物質を含む。最も好ましくは、本発明がScutellaria baicalensis、Glycyrrhiza uralensis、Ziziphus jujubaおよびPaeonia lactifloraを含むこのような組成物を提供する。 本発明の薬草組成物は、特に癌化学療法と共に有用であるが、例えば、イリノテカン(CPT−11、Camptosar登録商標)、5−フルオロウラシル(FUまたは5−FU)、VP−16、β−L−ジオキソラン−シチジン(L−OddC)、ロイコボリン製剤(leucovorin LV)、およびそれらの組合せ(例えば、FU/LVおよびCPT−11/FU/LVであるが、これらには限定されない)を用いる治療であるが、これらには限定されない。 本発明の薬草組成物は、特に抗ウイルス療法と共に有用である。好ましくは、前記薬草組成物が、AIDSを治療するのに有用な抗ウイルス剤と投与される。より好ましくは、それら薬草組成物がAZT、D4TおよびDDIからなる群より選択される抗ウイルス剤と投与される。 本発明は、癌治療に用いられる癌療法化合物の治療指数を増加する方法を提供する。本発明は、ウイルス病治療に用いられる抗ウイルス剤の治療指数を増加する方法を提供する。さらに詳しくは、本発明により、1つまたはそれ以上の抗癌剤または抗ウイルス剤と、薬学的に許容される担体およびScutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia属薬草の各々の植物種からの材料または化学物質、或いはそれらを含む薬草調製物を含む組成物の治療的に有効な量とを併用して投与することを含む、上記の方法が提供される。本発明の方法は、このような薬草からの材料または化学物質、或いはそれらを含む薬草調製の使用であって、濃縮した水性溶液からの顆粒化エキスの形態であるものを提供する。そのような組成物は、摂取可能な形態であり、例えば粉剤、カプセル剤、液剤および錠剤であるが、これらには限定されない。代替的には、前記本発明の方法は、座薬の形態であるそのような組成物を使用する。 また本発明によれば、治療を必要とする哺乳動物を治療する方法であって、薬学的に許容される担体;Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia属薬草の各々の植物種からの材料または化学物質;および1つまたはそれ以上の化学療法化合物を含む組成物の治療的に有効な量を投与することを含む前記方法が提供される。 さらに本発明によれば、治療を必要とする哺乳動物を治療する方法であって、治療的に有効な量の1つまたはそれ以上の化学療法化合物、或いは抗ウイルス剤および薬学的に許容される担体;Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia属薬草の各々の植物種からの材料または化学物質;およびそれらからなる薬草調製物を含む組成物を投与することを含む前記方法が提供される。本発明には、前記組成物が1つまたはそれ以上の化学療法化合物投与の前に投与される、前記の方法が含まれる。本発明には、また前記組成物が1つまたはそれ以上の化学療法化合物投与の後に投与される、前記の方法が含まれる。 本発明によれば、病気の治療のために造血活性を調節する方法であって、実質的に薬学的に許容される担体、Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia属薬草の各々の植物種からの材料または化学物質およびそれらを含む薬草調製物からなる組成物を治療に有効な量、そのような治療を必要とする哺乳動物に投与することによる前記方法が提供される。本発明は、薬草からの材料または化学物質が濃縮した水性溶液からの顆粒化エキスの形態である上記の方法を提供する。特に、本発明により前記組成物が、摂取可能な形態であり、例えば粉剤、カプセル剤、液剤および錠剤であるが、これらには限定されない方法が提供される。代替的には、本発明により前記組成物が座薬の形態であるそのような方法が提供される。 また、本発明によれば化学療法または抗ウイルス療法を受けている哺乳動物の生活の質を改善する方法であって、治療的に有効な量の1つまたはそれ以上の化学療法化合物、およびi) 薬学的に許容される担体;Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia属薬草の各々の植物種からの材料または化学物質を含む組成物を投与すること特徴とする前記方法が提供される。 本発明は、薬学的に許容される担体とScutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia属薬草の各々の植物種からなる薬草調製物を含む組成物と併用して、1つまたはそれ以上の化学療法化合物を投与することを企図している。 また本発明は、薬学的に許容される担体とScutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia属薬草の各々の植物種からなる薬草調製物を含む組成物と併用して、1つまたはそれ以上の抗ウイルス剤を投与することを企図している。 本発明は、化学療法剤類の腫瘍活性を増加すること、抗ウイルス剤類の抗ウイルス活性を増加すること、化学療法剤類または抗ウイルス剤類の毒性を減らすこと、哺乳動物の血液学的活性および免疫学的活性を調節すること、そして化学療法または抗ウイルス療法を受けている哺乳動物の生活の質を改善することのために開示された薬草組成物を使用する。 1つの側面において、本発明は1つまたはそれ以上の化学療法化合物、および薬学的に許容される担体と、Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeoniaからなる薬草調製物を含む組成物を含む、化学療法治療計画(chemotherapeutic regimen)を含む治療の方法を開示する。別の側面において、本発明は1つまたはそれ以上の抗ウイルス剤、および薬学的に許容される担体と、Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeoniaからなる薬草調製物を含む組成物を含む、抗ウイルス治療計画を含む治療の方法を開示する。 さらに本発明によれば、1つまたはそれ以上の化学療法化合物または抗ウイルス化合物、および薬学的に許容される担体と、Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeoniaからなる薬草調製物を含む組成物を含む、治療計画が提供される。 加えて、本発明は3つの化学療法化合物(好ましくは、CPT−11、FUおよびLV)、およびScutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeoniaからなる薬草調製物、或いはScutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia属薬草の各々の植物種からの材料または化学物質を含む、化学療法治療計画および組成物を開示する。本発明は、1つまたはそれ以上の抗ウイルス剤を含む抗ウイルス療法を企図する。腫瘍を有さないBDF−1マウスでのCPT−11の異なる投与量の効果を示す図である。CPT−11を0日目にだけ腹膜内(i.p.)に与えた(各群中のN=5)。Colon38腫瘍を有する、CPT−11処置されたBDF−1マウスでの体重に対するPHY906の効果を示す図である。CPT−11(400mg/kg)を0日目にだけ腹膜内に与えた。示される用量で、0日目に始め8日間、経口で日に2回、PHY906を与えた(各群中のN=5)。Colon38腫瘍を有する、CPT−11処置されたBDF−1マウスでの腫瘍増殖に対するPHY906の効果を示す図である。CPT−11(400mg/kg)を0日目にだけ腹膜内に与えた。0日目に始め8日間、経口で日に2回、PHY906を与えた。p値は、Student’s pairedt検定を使って計算された。Colon38腫瘍を有する、CPT−11処置されたBDF−1マウスでの血液学的変化に対するPHY906の効果を示す図である(各群中のN=5)。CPT−11(400mg/kg)を0日目にだけ腹膜内に与えた。0日目に始め4日間、経口で日に2回、PHY906を与えた(各群中のN=5)。Colon38腫瘍を有する、FU/LV処置されたBDF−1マウスでの体重に対するPHY906の効果を示す図である。「原料および方法」中に記載されているように、LV(100mg/kg)とFU(100mg/kg)の連続した投与を0日目の1時間の期間だけに、腹膜内に与えた。0日目、LVの最初の用量の30分後、PHY906を経口で与え、500mg/kgで日に2回、4日間続けた(各群中のN=5)。Colon38腫瘍を有する、FU/LV処置されたBDF−1マウスでの腫瘍増殖に対するPHY906の効果を示す図である。「原料および方法」中に記載されているように、LV(100mg/kg)とFU(100mg/kg)の連続した投与を0日目の1時間の期間だけに、腹膜内に与えた。0日目、LVの最初の用量の30分後、PHY906を経口で与え、500mg/kgで日に2回、4日間続けた(各群中のN=5)。Colon38腫瘍を有する、FU/LV処置されたBDF−1マウスでの血液学的変化に対するPHY906の効果を示す図である。「原料および方法」中に記載されているように、LV(100mg/kg)とFU(100mg/kg)の連続した投与を0日目の1時間の期間だけに、腹膜内に与えた。0日目、LVの最初の用量の30分後、PHY906を経口で与え、500mg/kgで日に2回、4日間続けた(各群中のN=5)。Colon38腫瘍を有する、CPT−11/FU/LV処置されたBDF−1マウスでの腫瘍増殖に対するPHY906の効果を示す図である。「原料および方法」中に記載されているように、LV(100mg/kg)、CPT−11(200mg/kg)およびFU(100mg/kg)の連続した投与を0日目の1時間の期間だけに、腹膜内に与えた。0日目、LVの最初の用量の30分後、PHY906を経口で与え、500mg/kgで日に2回、4日間続けた(各群中のN=5)。Colon38腫瘍を有する、CPT−11/FU/LV処置されたBDF−1マウスでの腫瘍増殖に対するPHY906の効果を示す図である。「原料および方法」中に記載されているように、LV(100mg/kg)、CPT−11(300mg/kg)およびFU(100mg/kg)の連続した投与を0日目の1時間の期間だけに、腹膜内に与えた。0日目、LVの最初の用量の30分後、PHY906を経口で与え、500mg/kgで日に2回、4日間続けた(各群中のN=5)。Colon38腫瘍を有する、CPT−11/FU/LV処置されたBDF−1マウスでの体重変化に対するPHY906の効果を示す図である。「原料および方法」中に記載されているように、LV(100mg/kg)、CPT−11(300mg/kg)およびFU(100mg/kg)の連続した投与を0日目の1時間の期間だけに、腹膜内に与えた。0日目、LVの最初の用量の30分後、PHY906を経口で与え、500mg/kgで日に2回、4日間続けた(各群中のN=5)。ヒトHepG2腫瘍を有する、CPT−11処置されたNCr−ヌードマウスでの腫瘍増殖に対するPHY906の効果を示す図である。CPT−11(200 mg/kg)を0日目にだけ腹膜内に与えた。0日目、CPT−11の30分前、PHY906を経口で与え、500mg/kgで日に2回、8日間続けた(各群中のN=5)。ヒトHepG2腫瘍を有する、CPT−11処置されたNCr−ヌードマウスでの体重に対するPHY906の効果を示す図である。CPT−11(200 mg/kg)を0日目にだけ腹膜内に与えた。0日目、CPT−11の30分前、PHY906を経口で与え、500 mg/kgで日に2回、8日間続けた(各群中のN=5)。Colon38腫瘍を有するBDF−1マウスに対するPHY906と併用するL−OddCの抗腫瘍効果の効果を示す図である。5匹の雌BDF−1マウス(生後8〜10週、平均体重約20g)に、Colon38腫瘍細胞を皮下注射した。L−OddC(β−L−ジオキソランシチジン25 mg/kg、q.d.X5)の1用量だけを0日目に腹膜内注射した。PHY906を0日目および試験の完了まで毎日の条件で経口投与した(1 g/kg、b.i.d.)。q.dは、”quaque die”の略語であり、1日1回を意味する。q.d.X5は、5匹のマウスの各々が、1日1回その用量を受けたことを意味する。b.i.d.は、”bis in die”の略語であり、1日2回を意味する。腫瘍重量は、「原料および方法」として記載したように計算した。Colon38腫瘍を有するBDF−1マウスに対するPHY906と併用するVP−16の抗腫瘍効果の効果を示す図である。5匹の雌BDF−1マウス(生後8〜10週、平均体重約20g)に、Colon38腫瘍細胞を皮下注射した。VP−16(エトポシド25 mg/kg、q.d.X5)の1用量だけを0日目に腹膜内注射した。PHY906を0日目および試験の完了まで毎日の条件で経口投与した(1 g/kg、b.i.d.)。腫瘍重量は、「原料および方法」として記載したように計算した。Colon38腫瘍を有するBDF−1マウスに対するPHY906と併用する5−フロロウラシル(FU)の抗腫瘍効果の効果を示す図である。5匹の雌BDF−1マウス(生後8〜10週、平均体重約20g)に、Colon38腫瘍細胞を皮下注射した。FU(25 mg/kg)の1用量だけを0日目に腹膜内注射した。PHY906を0日目および試験の完了まで毎日の条件で経口投与した(1 g/kg、b.i.d.)。腫瘍重量は、「原料および方法」として記載したように計算した。Colon38腫瘍を有するBDF−1マウスに対するPHY906と併用する5−フロロウラシル(FU)の抗腫瘍効果の効果を示す図である。5匹の雌BDF−1マウス(生後8〜10週、平均体重約20g)に、Colon38腫瘍細胞を皮下注射した。FU(30 mg/kg、q.d. X 5)の1用量だけを0日目に腹膜内注射した。PHY906を0日目および試験の完了まで毎日の条件で経口投与した(1 g/kg、b.i.d.)。腫瘍重量は、「原料および方法」として記載したように計算した。Colon38腫瘍を有するBDF−1マウスに対するPHY906と併用するCPT−11対ロペラミドの抗腫瘍効果の効果を示す図である。5匹の雌BDF−1マウス(生後8〜10週、平均体重約20g)に、Colon38腫瘍細胞を皮下注射した。マウスは、処置されなかったか、PHY906単独か、CPT−11単独か、CPT−11とPHY906か、ロペラミド単独かのいずれかを受けた。図3に記載したように、PHY906とCPT−11を投与した。ロペラミド(2 mg/kg、p.o.(経口投与)b.i.d.)の1用量だけを0日目に腹膜内注射した。腫瘍重量は、「原料および方法」として記載したように計算した。図18のAは、血漿中のCPT−11/FU/LVの薬物動態学の図である。図18のBは、血漿中のCPT−11/FU/LVの薬物動態学の図である。図18のCは、血漿中のCPT−11/FU/LVの薬物動態学の図である。PHY906−6は、PHY906の臨床バッチであり、SN−38は、CPT−11の活性代謝産物である。FUR+FUMPは、FUのヌクレオシドとヌクレオチド代謝産物である。図19のAは、肝臓中のCPT−11/FU/LVの薬物動態学の図である。図19のBは、肝臓中のCPT−11/FU/LVの薬物動態学の図である。図19のCは、肝臓中のCPT−11/FU/LVの薬物動態学の図である。PHY906−6は、PHY906の臨床バッチであり、SN−38は、CPT−11の活性代謝産物である。FUR+FUMPは、FUのヌクレオシドとヌクレオチド代謝産物である。図20のAは、腫瘍中のCPT−11/FU/LVの薬物動態学の図である。図20のBは、腫瘍中のCPT−11/FU/LVの薬物動態学の図である。PHY906−6は、PHY906の臨床バッチであり、SN−38は、CPT−11の活性代謝産物である。 癌化学療法剤は、しばしば患者の生活の質に影響を及ぼし得る重度の悪性副作用を誘発し、同様に治療計画を妨げる。本発明は、標準抗癌剤と併用しての漢方医薬が癌化学療法剤の悪性副作用を減らし、そして化学療法を受けている患者の生活の質を改善するために役立つという発見に一部基づいている。4つの区別される薬草から成る植物製剤であるPHY906は、中国において、様々な消化器の疾患および他の病気の治療のために、何世紀もの間使われてきた。本発明は、結腸直腸癌の患者において癌化学療法剤によって誘発される副作用を緩和する際のPHY906の潜在的な効能を評価する動物モデルで実施した実験の結果に基づく。具体的には、本発明は、PHY906がCPT−11、FU、FU/LV、CPT−11/FU/LV、L−OddC、VP−16またはCPT−11/ロペラミド処置によって誘発される、様々なホスト毒性を減らし、同様に化学療法剤の抗腫瘍活性を維持し、さらに増強しさえするという知見に一部基づく。さらに詳しくは、PHY906が治療剤の抗腫瘍効果を増強し、そして様々なホスト毒性を減らすことの両者によって、CPT−11およびCPT−11/FU/LVの3者の組合せの治療指数を増加する。これらの知見は、1つの特定の抗癌剤、または1つの特定の腫瘍モデルに限られていない。 本発明は、異なる抗癌剤と共に使用して、用量を制限している毒性を下げ、薬剤の効能を増加することができる治療計画(投薬計画)の発見にも、部分的に基づく。この発見は、ヒト癌のための治療アプローチへの医療必需品一式に対する重要な追加である。 I.定義 別に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する当該技術の熟練者によって、一般に理解されているのと同一の意味を有する。本明細書に記載されているのと同様な、または等価ないかなる方法および原料も本発明の実施または試験に使われることができるけれども、好ましい方法と原料を説明する。 本明細書で使用される、「癌化学療法剤」または「癌化学療法剤」とは、新生物の病気、すなわち癌の治療のための化学療法剤を指す。 本明細書で使用される、「化学療法」とは、化学物質または薬剤による病気の治療を指す。 本明細書で使用される、「化学療法製剤」という用語は、化学療法剤を含む組成物を指す。 本明細書で使用される、「エキス(抽出物)」という用語は、適当な溶媒(溶剤)で、そこから活性成分を取り出し、全てまたはほとんど全ての溶剤を蒸発させて、残された塊若しくは粉末を定められた基準に合わせることによって得られる野菜、または動物薬剤の濃縮した調製物を指す。エキスは、3つの形状(半流動体若しくはシロップ状の粘調物、丸薬状若しくは固形物、そして、乾燥粉末)として調製される(http://www.graylab.ac.uk/cgi−bin/omd?query=extractを参照)。 1つの実施の形態では、エキスがいろいろな固形および半固体の投与剤形で使われる粗製薬剤の濃縮した形状である(Remington’s Pharmaceutical Sciences 17版. (Gennaro編), 第84章, pp. 1516−1517, Mack Publishing Co, Easton, PA (1985))。例えば、丸薬状(すなわちプラスチック塊)エキスは、それらが丸薬用塊に適しており、丸薬に調製される(例えば、米国局法(USP)の純粋なカンゾウエキス)ような粘調性である。さらに、丸薬塊は、軟膏や座薬用によく適している。粉にされたエキスは、カプセル剤、粉剤および錠剤のような粉状製剤により適している。さらに、シロップ状の粘調性半流動体またはエキスは、薬学的調製物の製造に使用することができる(Remington’s Pharmaceutical Sciences, 1985)。 関連した側面では、エキスを、野菜または動物からの粗製薬剤の調製物を液体(冷浸)に漬けるか、また浸すことによって、或いはそのような粗製薬剤を多孔質性物質(パーコレーション)に通すことによって得られる、医療用薬剤として使用するための活性成分溶液とみなすことができる。さらに、このタイプの医療用薬剤は、チンキまたは植物抽出液[原文のまま]の形状でもよい(Remington’s Pharmaceutical Sciences, 1985)。 1つの実施の形態では、エキスはチンキ形態である。例えば、チンキは野菜類または化学物質から調製されるアルコール性または水アルコール性の溶液を含むが、それらには限定されない。チンキは、パーコレーションまたは冷浸のいずれかによって作られ、100mlのチンキ当たり薬剤の所定の重量(グラムで)の活性量によって、伝統的に力価が割り当てられる(Remington’s Pharmaceutical Sciences, 1985)。例えば、スイートオレンジ皮チンキは、100mlのチンキ当たり50gのスイートオレンジ皮を含む。 もう一つの実施の形態では、エキスが植物抽出液[原文のまま]の形態である。例えば、植物抽出液は、溶剤として若しくは防腐剤として、またはその両方としてアルコールを含んでいる野菜薬剤の液体調製物を含むが、これに限定されない。そこで、各1mlは伝統的に、それが代表する薬剤1グラムの治療成分を含む。植物抽出液は、一般的な方法としてパーコレーションによって作ことができる(Remington’s Pharmaceutical Sciences, 1985)。 本明細書で使用される、「血液学的な活性」という用語は、血液と血液生成臓器に関連する活性を指す。 専門的に言えば、「薬草」という用語は、小さく、木ではない(すなわち、新しく芽生えた)、一年生または多年生の種子を有する植物であり、空気中で成長する全ての部分が、各成長季節の終わりに枯れるものを指す。薬草は、その医薬的、風味的、または芳香的品質について価値がある。この言葉はより一般的に使用されているように、およびこの言葉は本明細書に使用されているように、「薬草」とは、食物補助食品、医薬、薬物、治療または生命増強用途を有する、任意の植物または植物部分を指す。したがって、本明細書に使用するように、植物学上の薬草の定義に限定されず、むしろ、かかる目的に使用される任意の植物学的植物または植物部分(薬草、低木、亜低木、高木を含む植物界の任意の植物種または亜種の任意の植物または植物部分を含む)に限定される。薬草組成物に使用した植物部分は、種子、葉、幹、小枝、枝、芽、花、球根、球茎、小塊茎、根茎、走出枝、根、果実、円椎体、液果、形成層および樹皮を含むが、これらに限定されない。 本明細書で使用する「薬草組成物」とは、薬草、薬草植物または薬草植物部分および/または薬草エキスを含む任意の組成物若しくは製剤を指す。したがって、本明細書で使用するように、薬草組成物または製剤は、薬草食物補助食品、生薬、薬草薬剤および医用食品を含む、任意の薬草調製物を包含する。薬草組成物の例は、以下の成分を含むがこれらに限定されない。すなわち、単一の植物種の全植物または植物部分;複数の植物種の全植物または植物部分;単一の植物種由来の多成分;複数の植物種由来の多成分;または、これらの様々な成分の任意の組合せである。さらに、意図されるのは、単一の植物種または複数の植物種に由来する1つまたはそれ以上の化学物質を含む薬草組成物である。 様々な薬草組成物の完全な論評については、例えば、Kee Chang Hung, The Pharmacology of Chinese Herbs, CRC Press (1993)(ここで、その全体を本明細書に援用する)を参照。 本明細書で使用される、「免疫学的活性」という用語は、免疫系、免疫、誘導された感受性およびアレルギーに関連する活性を指す。 本明細書で使用される、「死亡率」という用語は、個体群での死亡の割合、または個体群の特定数を指すが、そこで、死亡率は死亡の割合、すなわち個体群全体に対する全体の死亡数の割合として定義される。例えば、徴候が始まった30日後の死亡率は、約13.3%から(例えば、組織型プラスミノーゲン活性化因子での処置後については、Albersら、JAMA (2000) 283(9): 1145−1150を参照)約65%を超えるまで変化し得る(例えば、出血脳卒中についてはMahaffeyら、Am Heart J (1999) 138(3 Pt 1): 493−499を参照)。 本明細書で使用される、「生活の質(QOL)」という用語は、動物、特に哺乳動物、より特定的にヒトの一般的な健康を指す。個人のQOLは、任意の1つのパラメーター、2つ以上のパラメーターの群、または一般的な全体的な評価若しくはスコアに基づいて評価することができる。QOLを評価するために役に立つ指標の実例は、以下のものを含むが、これらには限定されない。すなわち、睡眠パターン、食べるパターン、飲むパターン、敏捷さ、易動性、肌色、視力、髪の保持/喪失/成長、筋肉色調、筋肉塊、力強さ、体重、副鼻洞の健康、炎症の存在、不在または程度、不快な感情、特定作業を達成する能力、心配度、応答時間、濃縮する能力、記憶保持、会話能力、音知覚、頭痛の存在、不在または程度、筋肉痙攣、神経損傷、味覚、触覚、臭覚、日和見病の存在または不在、そして、寄生体の存在または不在である。 本明細書で使用される、「治療計画」という用語は、治療(処置)のプログラムを指す。 本明細書で使用される、「治療指数」という用語は、薬剤が望ましい効果を生じる際にどれくらい選択的であるかを指す。治療指数は、LD50とED50の比であり、中間の有効用量であるED50は、個体群の50%において規定された効果を生じるのに要求される薬剤の用量である。LD50は、実験動物で決定される、中間の致死用量である。 II.特定の実施の形態 A 化学療法 一般に、化学療法とは、病気、特に新生物、寄生体感染や微生物による病気を、感染力のある生物または腫瘍にある様式で作用する化学剤で治療することを指す。 1. 癌化学療法 序論:化学療法は、患者において癌を治療するために最も効果的な療法の1つのであり続けている。非常に効果的ではあるけれども、化学療法剤は、また逆に患者の生活の質を悪化させるとよく知られている。一般に観察される、いくつかの副作用としては、骨髄抑制と免疫抑制、下痢、末梢神経症、吐き気、嘔吐、熱、肝臓機能不全および心臓毒性、その他が挙げられる(”Physicians Desk Reference” (1999) Medical Economics Company)。多く場合、これらの悪い副作用は、患者が増加用量の投与を受ける、または追加の治療コースを受けることを妨げ、それによってこれらの薬剤の効能を弱める。化学療法剤の制癌活性を弱くすることなく、これらの副作用のある程度、またはすべてを緩和することは、癌患者の生活の質(QOL)を改善するばかりではなく、より積極的な治療プロトコルをも可能にし、結果として改善された臨床的な成功をもたらす可能性がある。現在のところ、大部分の支持療法は、個々の副作用を標的とする、単一薬剤(例えば、制吐剤、抗粘膜炎剤およびコロニー成長因子)を使用しているが、癌化学療法に関連する副作用の幅広い範囲について話題にしていない(Bleiberg HおよびCvitkovic E., Eur J Cancer 32A(Suppl 3): S18−S23 (1996); Wierda D.およびMatamoros M., Toxicol & Applied Pharmacol 75:25−34(1984); Goldber R.M.およびErlichman C., Oncology 12: 59−63 (1988))。 癌を治療するための薬としては、パクリタクセル(paclitaxel)(タキソール)のようなより従来的な天然物、エトポシドのような半合成体、インターロイキン2と全トランスレチン酸のような多くのより新しい、多様性のある薬剤が挙げられる。腫瘍性の病気を治療するのに役立つ化学療法剤の包括的なリストについては、例えば、CalabresiおよびChabner(1996)の1227−1229頁、表X−1を参照。 一般に投与される癌化学療法剤と関連する主な副作用は、表2に提供されている。 5−フロロウラシル:フルオロピリミジン同族体である5−フロロウラシル(5−FUまたはFU)は、臨床活性の幅広いスペクトルを示す。それは、アジュバントでそして進行した病気セッティングの両方で、結腸直腸癌の治療に、さらに他のGI悪性腫瘍にも同様に、最も活性の高い薬剤の1つとして残っている(PinedoおよびPeters, (1988))。それに加えて、この薬剤は、乳癌と頭頸部の癌に対して活性がある。 結腸直腸癌療法の最近の進歩は、選択的に特定のピリミジン代謝経路を活性化するために生化学的な調節を使用してきた。還元された葉酸塩であるロイコボリン(LV)は、効果的な生化学的モジュレーターであり、FUと組み合わせて臨床処置で使われてきた(PetersおよびVan Groeningen, 1991; Jouliaら, 1999)。臨床試験において、LVの形で外因性の葉酸塩を添加することが、FUに対する応答を増強することが示された(CalabresiおよびChabner, Page 1250頁, 1996)。LVの相互作用の主張されている機序は、増強されたチミジレートシンターゼ阻害である。 進行した病気をもつ患者でのFUへの応答率は、10%−12%(FU処置単独)から20%−30%(FU/LV処置)へ改善される。 FUを含む、フルオロピリミジン同族体の治療的な使用の詳細な解説については、例えばChabnerら、1996を参照。 CPT−11:イリノテカン(CPT−11)は、複製する細胞中でトポイソメラーゼIを阻害する半合成のカンプトテシン同族体である。それは、FU/LVでの第一番目の治療に失敗した癌患者において、抗腫瘍活性を示す(Bleiberg, 1999; Stucky−Marshall, 1999)。 CPT−11が進行した結腸直腸癌をもつ患者のための二番目の療法としてFDAに認可されているが、観察された応答比は、わずか10%−15%台である。 この薬剤に関連する主な副作用は、白血球減少症、貧血、吐き気/嘔吐、食欲不振および下痢を含む。したがって、癌患者の全体的な生活の質と行動状態を改善するように、CPT−11の抗腫瘍活性の効力を増強できるか、および/またはCPT−11処置に関連する有毒な副作用の一部を軽減できるかのいずれかが可能なモジュレーター薬剤を開発することは、望ましい。 CPT−11/FUとCPT−11/FU/LVの組合せ:結腸直腸癌は、北米において癌による死亡の第二番目に多い原因であると報告されてきた。結腸直腸癌の治療のために現在FDAに承認されている2つの薬は、イリノテカン(CPT−11、Camptosar登録商標)と5−フロロウラシル(FU)である。FUは、DNA合成のために必要とされる酵素であるチミジレートシンターゼを阻害する抗代謝剤である。FUは、一般にチミジレートシンターゼに対するFUの親和性を増加する、還元葉酸塩であるLVと共に投与される。この療法が、転移性結腸癌の第一番目の処置として現在使われている(Murakami K, Sakukawa, R, Sano, Mら, Clin Cancer Res. 5: 2304−2310 (1999); van der Wilt C.L, van Groeningen, C.J, Pinedo H.Mら, J. Cancer Res. Clin. Oncol. 123:595−601 (1997))。CPT−11は、複製の間にDNAの巻戻し(アンワインディング)に関与する核酵素であるトポイソメラーゼIの強力な阻害剤である。CPT−11は、FUが失敗した後の第二番目の処置として転移性結腸直腸癌に対して抗腫瘍活性を示した(Kase, Y, Hayakawa, T, Togashi, Yら, Jpn J Pharmacol, 75:399−405 (1997); Araki E, Ishikawa M, Iigo Mら, Jpn J Cancer Res 84:697−702 (1993); Bissery MC, Vrignaud P, Lavelle Fら, Anti−Cancer Drugs 7:437−460 (1996); Saltz L.B, Cox J.V, Blanke Cら, New. Eng.J. Med. 343: 905−914 (2000))。最近、FDAは進行した結腸直腸癌のための第一番目の処置として、CPT−11/FU/LVの3つの組合せ使用を承認した。この組合せ療法で処置される患者の間では、残念なことに、ひどい下痢が用量を制限する毒性の1つとして確認された(Saltz L.B, Cox J.V, Blanke Cら, New. Eng.J. Med. 343: 905−914 (2000); Murakami K, Sakukawa, R, Sano, Mら, Clin Cancer Res. 5: 2304−2310 (1999); van der Wilt C.L, van Groeningen, C.J, Pinedo H.Mら, J. Cancer Res. Clin. Oncol., 123:595−601 (1997)。 VP−16(エトポシド):VP−16(また、エトポシドとして知られている)は、小細胞肺癌、睾丸の癌、リンパ腫および白血病に対して重要な臨床的活性(O’Dwyer, P.ら, Etoposide (VP−16−213), Current Status of an Active Anti−cancer Drug, New Engl. J. Med. 312: 692−700 (1985))を示すが、さらにホジキン病、乳頭腫ウイルスおよび広がった組織球性リンパ腫において見られる新生物を含む。 DNAが切断され、共有結合で酵素と結合されている酵素−DNA複合体を安定化させることによって、DNAトポイソメラーゼIIの触媒活性をエトポソイドがブロックすると考えられている。Chen, G. L., Yang, L., Rowe T. C., Halligan, B. D., Tewey, K.およびLiu, L., J. Biol. Chem., 259:13560 (1984); Ross, W., Rowe, T., Glisson, B., Yalowich, J.およびLiu, L., Cancer Res., 44:5857 (1984); Rowe, T., Kuppfer, G.およびRoss, W., Biochem. Pharmacol., 34:2483 (1985)を参照。これらは、すべて引用により本明細書に援用される。 背景としては、トポイソメラーゼがDNAの位相数学的な状態を制御する酵素である。Type IIトポイソメラーゼは、DNAで一過性の2重鎖破損部を通してDNA鎖が通過するのに触媒作用を及ぼす。DNAの結合数の結果として生じる変化によって、これらの酵素が、DNA相互転換(例えば、スーパーコイル、スーパーコイルの緩和、カテネーションおよび脱カテネーション、DNAを結び、解くこと)に介在するのを可能にする。Wang, J. C., Annu. Rev. Biochem., 54:665 (1985)そしてMaxwell, A.,およびGellert, M., Adv. Protein Chem., 38:69 (1986)を参照、これらは本明細書に特に引用により援用される。 Type II DNAトポイソメラーゼ酵素は、DNA複製や転写および染色体の分離を含む、数多くの重要な細胞プロセスに関与していることが示されてきた。したがって、これらの酵素は、エトポシドやテニポシドを含む多種多様な抗癌剤の作用の重大な標的である。細胞死に至る重要なステップは、上記で注目したDNAトポイソメラーゼIIの触媒活性をブロックするこれら薬剤の能力であるだろう。 β−L−ジオキソランシチジン(OddC):β−L−ジオキソランシチジン[(−)−OddC]は、制癌活性を持つことが示された非天然のL配置を有する最初のヌクレオシド同族体である(Groveら, Cancer Res (1996) 56(18): 4187−4191)。この化合物は、ヒト前立腺および肝細胞異種移植腫瘍モデルにおいて、強力な抗腫瘍活性を持つことが示された(Groveら, Cancer Res (1995) 55:3008−3011)。さらに、OddCはインビトロでヒトケラチン合成細胞において、過剰増殖活性に対して効果的であることが示された(Schwartzら, Skin Pharmacol Appl Skin Physiol (1998) 11(4−5): 207−213)。 この化合物は、そこで細胞DNAに取り込まれる平衡感受性および平衡非感受性の両方のヌクレオシド輸送系によって、素早い細胞へのトランスロケーションを介して作用する。DNA取込みは、ヌクレオソーム間のはしご掛けなしに、DNAを分解して大きな断片へと導く。 生活の質(QOL):癌治療の成功のための標準的評価基準には、限定はされないが、腫瘍塊や腫瘍型の変化、同様に腫瘍の広がりの速度と量が挙げられる(両方とも評価されている腫瘍に対して、局所的か離れている)。化学療法評価の技術分野での当業者は、特定の治療が患者の期待寿命および生活の質を高めるようであるかどうかを決定することができる(通常の処置に応答していない患者に対してさえも)。例えば、消化器の病気の効果的な治療は、いくつかの判定基準によって、判定されるが、これらには限定されない。すなわち、腸炎スコア(例えば、腹部の痛み、下腹痛、下痢のような臨床的症状の合成スコアに基づく)、同様に関連したエンドポイント(例えば、送達される化学療法用量の割合、病院収容の日数、輸血、静脈への流体療法、抗運動性薬剤および食べる能力)である。 治療効果に関して、患者の自覚症状は、必ずしも医師によって行われるテストの結果と一致しない。好適でない試験結果が得られた場合にも、例えば、尿の失禁や排尿の回数が減ったとき、患者は治療が効いて、その結果、生活の質(QOL)が改善されたと考える。化学療法の間、患者の生活のネガティブな副作用(例えば、髪の喪失、体重の減少、食欲減退、疲労、下痢、吐き気、嘔吐等)は、執拗に続き、患者にとって、肉体的、精神的に耐えがたいことがあり得る、昼も夜も慢性の苦痛をもたらす。このように、本発明の方法の治療的な有効度は、苦痛からの部分的、または全体的な解放、或いは腫瘍増殖の減少若しくは癌退縮のみならず、伝統的に治療に関連する副作用の減少または除去の結果としての救済であり、全体的な結果は改善された生活の質を指すことを意味する。 基線価値判断は、それによって様々な基準が測定され、QOLと関連づけらる処置プロトコルの一部として、入力される。さらに、患者は、患者日記上で「まあまあ」と感じるか、または「かなりの」苦痛を経験しているというような出来事を報告することができる。これらの基準を治療の間と治療後に用いて、患者が生活の質がよくなったと感じるかどうかを評価する。 2. 寄生体感染の化学療法 寄生原生動物は、人や動物における多種多様な感染に対して責任があり、そして、寄生原生動物によって引き起こされる多くの病気は、寄主の生命を脅かす。例えば、マラリアは病気を根絶しょうとする大々的、国際的な試みにもかかわらず、人に対するかなりの健康脅威のままである。Trypanosoma cruziによって引き起こされるシャガス(chagas)病のようなトリパノソーマ症およびT. bruceiによって引き起こされるアフリカの眠り病は、アフリカや南アメリカで珍しくない。Pneumocystis carinii、Toxoplasma gondii、Cryptosporidium spp.によって引き起こされる、免疫力が低下している宿主での日和見性の感染は、ますます先進国で重要になっている。 シャガス病のような原生動物による病気の一部では、満足な治療がない。他では、原生動物の薬剤耐性株が発達するかもしれない。したがって、新しくて効果的抗原生生物薬を同定する継続的な必要性が、存在する。しかしながら、ほとんどの場合、抗寄生虫薬の発見は、寄生体(寄生虫)の1つのパネルに対する天然物や合成化合物の生物学的スクリーニングを通してのランダムで面倒なプロセスであった。 ワクチン開発での有望な進歩にもかかわらず、化学療法がほとんどの寄生体感染を制御する、単一の最も効果的で、効率的で廉価な手段のままである(TracyおよびWebster, Chemotherapy of Parasitic Infections, in Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, 第9版, 955−985頁, 1996)。現在利用できる医薬は、ジストマ類および腸の寄生虫によって引き起こされる感染を治療するのに特に効果的である。しかし、嚢虫症、フィラリア症、リーシュマニア症、旋毛虫症およびトリパノソーマ症のような全身系の感染と戦うこと、マラリアや他の原生動物の寄生体によって、特に現れてくる薬剤耐性に対抗することの両方に、新しいか、よりよい医薬が緊急に必要とされている。原生動物の寄生体は、ぜん虫よりも容易に薬剤耐性を発達させるが、これは宿主でのそれらののより速い増殖と一致している。 抗寄生虫薬(駆虫剤)が患者に安全で効果的であることは、重要である。抗寄生虫薬の治療的効力は、複雑であり、宿主、寄生体および環境要因次第である。このように、最良の薬剤と最適用量の処方計画は、風土病の感染患者の注意深い薬物動態学および薬力学的な研究からより、むしろ試行錯誤によってたびたび決定される。適切な評価のためには、適切な疫学調査が伝染のパターン、および年齢に特異的な流行と病気に対する感染度の関係を明らかにした後でのみ、個体群に基づく化学療法が始められるべきである。最適の結果のためには、化学療法は特定の感染、環境および宿主個体群に適切な他の公衆衛生手段と組合せられなければならない。集団化学療法のための理想的な薬剤は、感染寄生体の全ての発育上の段階に対して、活性の幅広いスペクトルを持つだろう。一日だけ経口摂取される高い治療的な用量で、安全であり、使用条件の下で化学的に安定しており、薬剤耐性のインデューサーとして効果的であり、そして、廉価であるだろう。現在、利用できる抗寄生虫薬でこれらの基準を満たすものはほとんどない。 無性の赤血球マラリア病原虫に対して効果的である化学療法剤としては、クロロキン、キニーネ、キニジン、メフロキンおよびハロファントリン(halofantrine)が挙げられる。他の医薬、例えばピリメタミン、スルホンアミド類、スルホン類およびテトラサイクリン類は、上記の薬剤より効き目が遅く、効果的でないので、他の化学療法剤と併用して通常使われる。アトバキノン(atovaquone)、クロロキン、ジロキサニド(diloxanide)、フロエート(furoate)、エフロルニチン(eflornithine)、エメチンやデヒドロエメチン、8−ヒドロキシキノリン類、メラルソプロール(melarsoprol)、メトロニダゾール、ニフルチモックス(nifurtimox)、ペンタミジン、キナクリン、ナトリウムスチボグルコネート(stibogluconate)、およびスラミン(suramin)のような薬剤が、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、アメーバ症、ジアルジア鞭毛虫症やトリコモナス症を含む寄生体感染を治療するのに効果的である。最後に、寄生体による感染、例えば蠕虫病は、ベンゾイミダール、ジエチルカルバマジン、イベルメクチン、メトリフォネート(metrifonate)、ニクロサミド、オキサムニキン、ピペラジン、プラジカンテル(praziquantel)およびピランテルパモエートのような駆虫剤で、通常治療される。寄生体感染の化学療法のための薬の総説については、TracyおよびWebster,上掲を参照。 3. 微生物による病気の化学療法 1936年、Colebrook, Kenny, Buttleおよび共同研究者によって報告された出産の敗血症および髄膜炎感染でスルファニルアミドを使った良好な臨床の結果は、医業界を抗菌性化学療法の新しい領域に気づかせた。1941年には、ペニシリンが大量に生産され、はじめて限られた臨床試験に利用できるようになった。現在、全入院患者の少なくとも30%は、抗生物質による治療の一つ以上のコースを受け、そして、何百万もの潜在的には致死性の感染が直されてきた。 抗生物質は、他の微生物の増殖を抑制して、結局それらを破壊するかもしれない、様々な種の微生物(バクテリア、真菌、アクチノミセス)によって生産される物質である。しかしながら、一般的な用法は、微生物の生成物でない合成のバクテリア薬剤(例えば、スルホンアミド類やキノロン類)を含むように用語を拡大する。抗生物質は、物理的、化学的、薬理学的な特性、抗菌性スペクトル、および作用機序で異なっている。 化学構造および提案された作用機序に基づく抗菌薬剤の最も一般的な分類は、以下の通りである。すなわち、(1)バクテリアの細胞壁の合成を抑制する薬剤であり、例えば、構造的に類似するペニシリンとセファロスポリン、構造的には非類似のサイクロセリン、バンコマイシンおよびバシトラシン、イミダゾール系抗真菌剤、例えばミコナゾール、ケトコナゾールおよびクロトリマゾール; (2)微生物の細胞膜に直接作用し、透過性に影響を与え、細胞内化合物の漏れをもたらす薬剤であり、これらには界面活性剤、ポリミキシン、およびコリスチメテート(colistimethate)、細胞壁ステロールに結合するポリエン系抗真菌剤が含まれる; (3)30Sまたは50Sリボゾームサブユニットの機能に影響を及ぼし、タンパク質合成の可逆阻害を引き起こす薬剤であり、これらの静菌剤には、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、エリスロマイシンおよびクリンダマイシンが含まれる;(4)30Sリボゾームサブユニットに結合して、タンパク質合成を変え、結局細胞死に至らしめる薬剤であり、これらには、アミノグリコシド類が含まれる;(5)核酸代謝に影響を与える薬剤、例えばDNA依存性RNAポリメラーゼを阻害するリファマイシン類(例えば、リファンピン)およびジャイレースを阻害するキノロン類;(6)トリメトプリムやスルホンアミド類を含む、抗代謝剤であり、微生物にとって必須である特定の代謝ステップをブロックする;(7)核酸同族体、例えば、ジドブジン、癌シクロビル、ビダラビンおよびアシクロビルであり、DNA合成にとって不可欠であるウイルス酵素を阻害し、ウイルス複製を止める。ChambersおよびSande, Section IX Chemotherapy of Microbial Diseases: Antimicrobial Agents, in Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, 第9版, 1029頁, 1996年を参照)。 抗生物質が感染を治療するのに効果的であるかどうかは、いくつかの因子に依存する。抗生物質が効果的であるためには、抗生物質の十分な濃度がバクテリアの増殖を抑制するために感染部位で達成されなければならない。しかし、医薬の濃度は、ヒト細胞に有毒であるより以下に留まらなければならない。微生物を抑制するか、殺すのに必要とされる抗生物質の濃度が安全に達成され得る濃度より大きいならば、微生物は抗生物質に抵抗するとみなされる。薬剤がその標的に到達することができないか、不活性化されるか、または標的が変化するので、バクテリアは抗菌剤に抵抗性でありえる。一部のバクテリアは、細胞表面にまたはその中にある酵素を産生して、医薬を不活性化する。他のバクテリアは、医薬の流入を防ぐ不透過性の細胞膜を有する。いくつかのバクテリアは、親水性薬剤がバクテリアの外膜を横切るために使う、ポーリンからなる水溶チャネルを欠き、一方他のバクテリアは、その細胞に医薬が入るのに必要である運搬系が不足する。抗生物質に抵抗性の病原体の出現によって、抗菌性病を治療する新しい医薬と新しい方法について絶えず増大する必要性が生じている。 B. 抗ウイルス物質療法 1.ウイルス類とウイルス病 ウイルスは、単独で複製することができない微生物である。しかしながら、宿主細胞に感染した際に、ウイルスは、宿主細胞の代謝機構を利用してより多くのウイルス物質を生産する。宿主細胞中でのウイルス感染や複製は、一般に宿主が動物であるか、植物であるかどうかに関係なく、病気となる。ウイルス感染によって引き起こされるヒトの病気には、例えば後天性免疫不全症候群(エイズ)および肝炎が含まれる。この分野の一般的な議論は、Fundamental Virology, 第2版(B. N. Fields, D. M. Knipe, R. M. Chanock, M. S. Hirsh, J. L. Melnick, T. P. MonathおよびB. Roizman編, Raven Press, Ltd., New York, N.Y. 1991)に提供されている。2、3のウイルスおよびそれらが引き起こす病気の実例を以下で議論する。 レトロウイルス:レトロウイルスは、主に脊椎動物に感染するウイルスの大きなファミリーからなる。いくつかの腫瘍の誘発を含んでいる、数多くの病気は、レトロウイルス感染と関連する(Fundamental Virology, 上掲,645−708頁を参照)。レトロウイルスは、DNA中間体を通して複製されるRNAゲノムを含む。レトロウイルスの生活環の初期に、そのRNAゲノムは、ウイルスにコードされた逆転写酵素(RT)によって、DNAにコピーされる。この酵素は、RNAとDNAテンプレートの両方を使うことができ、それによって感染させるRNAゲノムからDNAの第1鎖(ネガティブストランド)を生成して、その第1DNA鎖をテンプレートに使ってDNAの相補的な第2鎖(ポジティブストランド)を生産する。これらのDNA鎖を合成するために、RTはデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)と呼ばれる細胞の基質を利用している。 ヒトレトロウイルスは、白血病ウイルス(HTLV型ウイルス類)と免疫不全ウイルス(HIV型ウイルス類)に分類することができる。HTLV感染は、白血病の1つの形に至らしめる。HIV感染は、後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こす。2つの関連したヒト免疫不全ウイルス、HIV−1とHIV−2がある。HIV−1は、HIV−2より毒性である。HTLVとHIVは共に、末梢血液リンパ球(PBL)に感染する。 他の動物レトロウイルスには、ネコ白血病ウイルス(FeLV)とレンチウイルスが含まれる。有毒なFeLV感染は、一般に猫において致命的な無形成性貧血をもたらす。レンチウイルスは、様々な神経性および免疫性の病気(例えば、ヒツジでのヴスナウイルス病やウマでの伝染性貧血)を引き起こす。 ヒト、動物および植物に感染する他のいくつかのウイルスも、複製のために逆転写酵素に依存する。これらには、ヒトでのHTLV−1を含む、いくつかの種で存在すると知られている白血病ウイルスのようなレトロウイルス、同様にカリフラワーモザイクウイルス(植物ウイルス)のような逆転写酵素依存性DNAウイルスが含まれる。 ウイルス性肝炎:肝炎は、ヒト肝臓の病気である。それは、肝臓の炎症として現れ、ウイルス感染および時々毒物から通常引き起こされる。肝炎は、肝硬変、肝臓癌そして究極的には、死へと進行するかもしれない。A型、B型、C型、D型、E型およびG型肝炎ウイルスのようないくつかのウイルスが、さまざまなタイプのウイルス性肝炎を引き起こすと知られている。それらの中で、HBVとHCVは、最も重大なものである。 B型肝炎は、DNAウイルスによって引き起こされる。それは、50〜160日の長いイ潜伏期間を持つ。それは、一般に感染された血液または血液誘導体の注射、或いは感染された注射針、ランセットまたは他の機器の使用によって伝染する。B型肝炎ウイルス感染は、幅広いスペクトルの肝臓損傷に至らしめる。さらに、慢性B型肝炎への感染は、死の主な原因である肝細胞癌へと続く発病に結びつけられてきた。 C型肝炎は、RNAウイルスによって引き起こされる。約75%の無症状感染を伴う6〜8週の潜伏期間、そして慢性的に持続する感染の結果となる。高い確率で、肝硬変や肝細胞癌へとつながる慢性肝臓病を発病する。C型肝炎は、治療するのが難しく、全世界で5億人がそれに感染していると見積もられている(HIV感染者の約15倍)。 ヘルペスウイルス:ヒトから単離されるヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルス1(「HSV−1」)、単純ヘルペスウイルス2(「HSV−2」)、ヒトサイトメガロウイルス(「HCMV」)、水痘帯状ほうしんウイルス(「VZV」)、EBウイルス(「EBV」)、ヒトヘルペスウイルス6(「HHV6」)、単純ヘルペスウイルス7(「HSV−7」)、単純ヘルペスウイルス8(「HSV−8」)を含むが、これらには限定されない。ウマ、ウシ、ブタ(仮性狂犬病ウイルス(「PSV」)および豚サイトメガロウイルス)、ニワトリ(感染性喉頭気管炎)、チンパンジー、鳥(Marck病気ヘルペスウイルス1と2)、七面鳥および魚からもヘルペスウイルス類は分離された(”Herpesviridae: A Brief Introduction”, Virology, 第2版, B. N. Fields編, 64章, 1787 (1990)を参照)。 単純ヘルペスウイルス(「HSV」)感染は、一般に皮膚または粘膜上、わずかに盛り上がった炎症性のベース上に、透明な液体で満たされた小胞の単一または複数のクラスターの出現によって特徴づけられる再発性ウイルス感染である。 単純ヘルペスウイルスは、比較的大きいサイズのウイルスである。HSV−2は、一般に口唇ヘルペスを引き起こす。必ずしもとは限らないが、HSV−2を普通、性器の患部から回収可能である。通常、HSV−2は性行為により伝染する。 水痘帯状ウイルス(ヒトヘルペスウイルス3)によって引き起こされる病気としては、水痘(チキンポックス)や帯状疱疹(帯状ヘルペス)が挙げられる。サイトメガロウイルス(ヒトヘルペスウイルス5)は、幼児における巨細胞性封入体症の原因となる。EBウイルス(ヒトヘルペスウイルス4)は、伝染性単核症の原因体であり、バーキットリンパ腫および上咽頭癌と関係があるとされてきた。人間に問題を提起するかもしれない動物ヘルペスウイルスには、Bウイルス(旧世界猿のヘルペスウイルス)およびマーモセットヘルペスウイルス(新世界猿のヘルペスウイルス)が含まれる。 2.抗ウイルス剤 抗ウイルス剤としては、陰部ヘルペスを治療する薬(例えば、アシクロビル(ACV))からエイズを治療する薬(例えば、ジドブジン(AZT)やジデオキシイノシン(DDI))が挙げられる。いくつかの抗ウイルス剤の実例を以下で議論する。 長年にわたって、抗レトロウイルス薬は、エイズの治療のために開発されてきた。例えば、抗レトロウイルス薬としては、アバカビル(Abacavir(ABC))、アデフォビル(Adefovir(ADV))、アムプレナビル(Amprenavir(APV))、ジドブジン(Zidovudine(AZT))、ジダシノン(Didanosine(ddI))、ザルシタビン(Zalcitabine(ddC))、スタブジン(Stavudine(d4T))、エファヴィレンズ(Efavirenz(EFV))、ラミブジン(Lamivudine(3TC))、サクイビル(Saquinavir(SQV))、インジナビル(Indinavir(IDV))、リトナビル(Ritonavir(RTV))、デラビルジン(Delavirdine(DLV))、ネルフィナビル(Nelfinavir(NFV))、ネビラピィン(Nevirapine(NVP))が挙げられる。しかしながら、抗ウイルス薬でエイズを治療する試みは、望ましい程度の成功ではなかった。抗ウイルス薬の一部の高い効能にもかかわらず、初期のインビトロ/インビボ試験は、これらの薬に抵抗するHIV−1の変種の素早い出現によって特徴づけられた。その上に、抗ウイルス薬の使用に伴う毒性の潜在性がある。エイズを治療する効果的で安全な手段の必要がある。 おそらく、表面的なヘルペス性角膜炎での局所用イドクリジン(idoxuridine(IDU))を例外として、いかなる局部用または全身用化学療法剤も、単純ヘルペスウイルスを治療するために効果的であることは証明されなかった。皮膚ヘルペスでのこの化合物についての報告は、矛盾している。HSVを治療するために使用されてきた他の薬には、トリフルオロチミジン、ビダラビン(アデニンアラビノシド(ara−A))、アシクロビルが含まれ、そして、ウイルスDNA合成の他の阻害剤は、ヘルペス性角膜炎で効果的かもしれない。これらの薬は、単純ヘルペスウイルス増幅を阻害して、臨床発現を抑制するかもしれない。しかしながら、単純ヘルペスウイルスは、感覚神経節で隠れたままでいる、そして再発率は、薬で処置され個人と非処置の個人で同程度である。さらに、薬剤耐性のヘルペスウイルス株がいくつか出てきた。したがって、単純ヘルペス単体ウイルスと関連する病気を治療するより効果的手段を開発する必要がある。 B型肝炎ウイルス(HBV)感染に対する現在の予防措置は、安全かつ効果的であるB型肝炎予防接種である。しかしながら、予防接種はすでに感染した者(すなわち保菌者と患者)を治療することに効果的でない。多くの薬が慢性B型肝炎を治療するのに使用されてきたが、インターフェロン以外は、いずれも効果的でないことが証明された。 C型肝炎に対して、現在利用できる効果的な免疫化がなく、そして、C型肝炎は、衛生状態の改善および伝染のルートを中断することのような他の予防措置によってのみ対照されることができるだけである。現在、慢性C型肝炎のための唯一の認められている治療は、少なくとも6ケ月の処置を必要とするインターフェロンであり、そして/または感染した細胞でのウイルス複製を抑制することができて、そのうえ一部の人々において肝臓機能を改善することができるリバビリン(ribavirin)である。しかし、リバビリンの有無にかかわらないインターフェロンによる治療は、約25%の応答率で限られた長期的な効能を有する。 C. PHY906 序論:PHY906は、各々が4つの薬草グループの1つから選ばれる、4種類の薬草から成る伝統的な中国の植物製剤である。その4つの薬草群は、オウダンとして知られているScutellaria、Licorice、Peony AlbaおよびZiziphi果実(表3)として一般に知られている。このように、本発明の望ましい薬草組成物を製造するために、1つの植物種が表3に提供される4つの植物群の各1つから選ばれる。リストされた植物種の特定の組合せが好ましいPHY906製剤の実例として提供されているが、本発明の組成物および方法は、植物種が表3の4つの群の各1つから選ばれる、4つの植物種の全ての組合せを包含する。本発明は、本明細書に記載されているPHY906のものとされる生物学的活性または望ましい作用のうちの少なくとも1つを持つ、このような薬草のいかなる組合せをも包含する。 この薬草処方は、心膨張、腹部の痙攣、熱、嘔吐、吐き気、渇きおよび粘膜様便などの様々な疾患を治療するためにアジア長く使われてきた(Hani OkaおよびTaki No, 1998)。 PHY906の好ましい製剤は、表4に提供されている。 PHY906の代わりの処方は、薬草Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeoniaを以下の相対配合比、すなわち4/14:3/14:4/14:3/14でそれぞれ有する。 PHY906薬草の特定の割合が実施例として提供されているが、本発明の組成物および方法は、本明細書に記載される、望ましい生物学的活性を持つ4つの薬草成分のいかなる割合をも包含する。 現在、PHY906のゼラチンカプセル剤と細粒ポーチの両方は、カリフォルニア州アーバインにあるSun Ten Laboratories社(台湾にあるSun Ten Pharmaceutical社の姉妹会社)によって表4に提供された処方を用いて、製造されている。PHY906のこの製剤は、1983年以後栄養補助食品として、Brion Herbs Corporation (12020B Centralia Road, Hawaian Garden, CA, 90716)によって販売されてきた。 製造:PHY906を製造するために用いることができるプロセスの短い解説を提供する。最初に、薬草原料の成分の適当な割合を、ジャケットをかぶせた反応器に置き、混合しながら温度を上げた一定温度において水で抽出する。その割合は、マスター処方記録から複写された製造指示書に記載されている。固体成分は、120メッシュスクリーンで、液体から分離する。濾液を集めて、減圧下で水を蒸発させることによって濃縮した。濃縮した液体を上げた温度でスプレー乾燥して、乾燥粉末を得るが、これを続いて処理して、顆粒状粉末を生産する。このバルク物質を望ましい投与剤形に製剤化する。 プロセス対照を利用して、生成物の均質性と完全性を確保する。そのようなプロセス対照は、限定はされないが、次のものを含む。すなわち、プロセスされた液体の容積をチェックすること、原料の同一性を証明するために化学物質フィンガープリント法を確立するHPLC測定、そして中間体と最終生産物の検査および試験である。行われた分析の各々について、および製造と製造の対照の各ステップについて、許容される品質基準(AQL)を確立する。 製造プロセスで使用される成分の全てに対して、製造指示記録で特定のロット数を割当てる。バッチがリリースされる前に、品質管理記録をチェックする。 精製したマーカー物質を薬草物質と同様に原料の確認および品質管理のために使用する。表5には、PHY906薬草物質の調製物で使われる各原料のマーカー物質が一覧表にされている。 D. 薬学的組成物 本発明の組成物は、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、または口腔の経路で投与できる。それらの代わりにまたは平行して、投与が経口経路であってもよい。投与される用量は、受容個体の年齢、健康および体重、もしあるならば並行処置の種類、頻度さらには、所望の効果の性質に依存するであろう。 本発明に係る全身投与用の薬学的製剤は、腸内、非経口または局所投与用に製剤化される。実際、3つ全てのタイプの製剤を同時に使用して、活性成分の全身的な投与を達成することもできる。 本発明によれば、さらに様々な種類の癌を治療し、および/または造血活性を調節する(例えば、結核(T.B.)、ナチュラルキラー細胞(NK)、単球および樹状細胞の免疫調節)1つまたはそれ以上の薬剤を含む組成物が提供される。 個々の必要性は変化するが、各成分の効果的な量の最適範囲の決定は、当該技術の範囲内である。 薬理学的に活性な薬剤に加えて、本発明の組成物は、佐薬(添加剤)および助剤からなる適当な薬学的に許容される担体を含んでよく、それらは活性化合物を調剤中にプロセスし易くし、そして作用部位に送達するために薬学的に用いることができる。 PHY906は、医薬調製物の形態で用いることができ、例えば、PHY906を活性成分として、外用、腸内用または非経口用に適する有機若しくは無機担体と混合して含む、固体、半固体または液体形である。例えば、その活性成分を錠剤、ペレット剤、カプセル剤、座薬、溶液、乳剤、懸濁剤、および使用に適したその他の形態のための通常の非毒性で薬学的に許容される担体と調合する。本発明の製剤には、タルク、水、グルコース、ラクトース、アラビアゴム、ゼラチン、マンニトール、澱粉糊、三ケイ酸マグネシウム、コーンスターチ、ケラチン、コロイドシリカ、ジャガイモ澱粉、尿素、および調製物を固体、半固体または液体状態に製造する際に使用するのに適したその他の担体を含む製剤が包含される。さらに加えて、補助的な安定化剤、増粘剤、着色剤および香料を使用してもよい。 錠剤またはカプセル剤のような固形組成物を調製するためには、PHY906を薬学的な担体(例えば、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムまたはガムのような従来の錠剤化の成分)および他の薬学的な希釈剤(例えば、水)と混合して、PHY906またはその非毒性で薬学的に許容される塩の実質的に均質な混合物を含んでいる固形の前製剤(preformulation)を作り上げる。前製剤を実質的に均質であると言及するとき、その組成物が錠剤、丸剤またはカプセル剤のような等しく効果的な単位用量形に、容易に再分割できるように、活性成分が組成物中に均一に分散されていることを意味する。この固形前製剤組成物は、それから本発明の組成物の有効量を含む、上記のタイプの単位用量形(好ましくは、カプセル剤)に再分割される。 PHY906を含む錠剤または丸剤は、被覆することができるか、さもなければ配合されて持続作用の利点を与える用量形(投与剤形)を提供することができる。例えば、錠剤または丸剤は、内部用量および外側の用量成分(後者は、前者の上にある外皮の形状である)からなることができる。その2つの成分は、腸溶性層によって分離することができ、それは胃での崩壊に抵抗するのを助け、内部成分が十二指腸にそのままで通過するか、または放出を遅らせることを可能にする。様々な原料が、そのような腸溶性層またはコーティングのために使用することができ、そのような原料は、数多くの重合体の酸および重合体の酸とシェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースのような材料との混合物を含む。 PHY906が経口投与または注射による投与のために取り入れられる液体形態には、水溶液、適当に風味をつけたシロップ剤、水溶または油懸濁剤および綿実油、胡麻油、椰子油または落花生油のような食用油、同様にエリキシル剤や類似した薬学的ビヒクルで風味をつけた乳剤が含まれる。水溶性懸濁剤のための適当な分散剤または懸濁化剤としては、合成の天然ガム(例えばトラガカントゴム)、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、ナトリウムカルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンが挙げられる。 経口投与用の液体調製物は、例えば溶液、シロップ剤または懸濁剤の形態を取ってもよい。あるいは、使用前に水または他の適当なビヒクルで再構成するための乾燥生成物として提示されるかもしれない。そのような液体調製物は、以下の薬学的に許容される添加剤と共に、従来の手段で調製できる。例えば、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロースまたは水素化された食用脂肪)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア)、非水性ビヒクル(例えば、甘扁桃油、油性のエステルまたはエチルアルコール)、保存剤(例えば、メチル若しくはプロピルp−ヒドロキシ安息香酸エステルまたはソルビン酸)、および人工または天然の色素や甘味料である。 口腔投与のために、本発明の組成物は、従来の方式で製剤化された錠剤または薬用ドロップの形態を取ってもよい。 PHY906はまた、注射による非経口投与のために製剤されるが、それは従来のカテーテル手法または浸剤を使うことを含む。注射用の製剤は、単位用量剤形、例えば、付加された保存剤とのアンプルまたは多用量容器に提示されるかもしれない。その組成物は、油性または水性ビヒクル中での懸濁剤、溶液、または乳剤のような形態を取ることができ、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散剤のような製剤化剤を含んでよい。その代わりに、活性成分が使用前に適当なビヒクル(例えば、パイロジェンを含まない水)で、再構成するために粉末形であってもよい。 非経口投与用の適当な製剤は、水溶性の形(例えば、水溶性塩)で、活性化合物の水溶液を含む。それに加えて、適切な油性の注射用懸濁剤として活性化合物の懸濁剤を投与してもよい。適当な親油性溶剤またはビヒクルとしては、脂肪油例えば、胡麻油または合成の脂肪酸エステル(オレイン酸エチルまたはトリグリセリド等)が挙げられる。水性の注射懸濁剤は、懸濁剤の粘性を増す物質を含んでもよく、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールおよび/またはデキストランを含む。選択肢として、その懸濁剤は安定化剤をも含んでもよい。また、リポソームを用いて、細胞への送達のために薬剤をカプセル化できる。 本発明の方法を実施するに際して、PHY906を単独で、または他の治療薬剤または診断剤と併用して、使用してもよい。特定の好ましい実施の形態において、本発明の化合物は、一般に認められた医学の慣行に従って、癌化学療法のために典型的に処方される他の化合物と共に共投与される。本発明の化合物は、インビボで、通常哺乳動物(例えば、ヒト、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ラットおよびマウス)に、或いはインビトロで利用できる。 投与可能な組成物を調製する実際の方法と患者への投与のために必要な調整は、知られているか、当業者にとって明らかであり、例えば、本明細書に引用により援用されているRemington’s Pharmaceutical Science, 17版, Mack Publishing Company, Easton, Pa. (1985)に、より詳しく解説されている。 「治療指数」は、治療の効果と都合の悪い効果を比較するとき、薬の選択性の定性的な陳述を示すために使われる。例えば、都合の悪い効果がT(毒性)そして、治療の効果がEと指定するならば、治療指数はTD50/ED50として、または応答の他の任意のレベルにおける類似した比率として定義される。 E. PHY906を使用する方法 本発明は、様々な病気、症状または疾患を処置するための治療剤と併用して、PHY906を使用する方法を提供する。 具体的に、本発明は、病気、症状または疾患を処置するための化学療法剤と組み合わせて、PHY906を使用する方法を提供する。好ましくは、本発明は、患者にPHY906と併用して1つまたはそれ以上の癌化学療法剤を投与することを含む癌を治療する方法を提供する。より好ましくは、本発明は、PHY906と組み合わせて、CPT−11/FU/LVを投与することを含む、結腸直腸癌を治療する方法を提供する。 本発明は、病気、症状または疾患を治療するため抗ウイルス剤と併用して、PHY906を使用する方法を企図する。好ましくは、本発明は、患者にPHY906と併用して1つまたはそれ以上の抗ウイルス剤を投与することを含むウイルス感染と関連する病気を治療する方法を提供する。より好ましくは、本発明は、PHY906と組み合わせて、1つまたはそれ以上の抗レトロウイルス薬を投与することを含むエイズを治療する方法を提供する。さらにより好ましくは、前記抗レトロウイルス薬が、AZT、D4T、DDC、3TCおよびDDIからなる基より選ばれる。最も好ましくは、3つの抗ウイルス薬とPHY906からなる組合せを患者に投与する。3つの抗ウイルス薬の好ましい組合せとしては、1)D4T、3TCおよびプロテアーゼ阻害剤;2)AZT、3TCおよびプロテアーゼ阻害剤;3)AZT、DDIおよびプロテアーゼ阻害剤が挙げられるが、これらには限定されない。HIVを治療するための好ましいプロテアーゼ阻害剤には、ネルヒナビル(nelfinavir)、インジナビル(indinavir)、サクイナビル(saquinavir)およびリトナビル(ritonavir)が含まれるが、これらに限定されない。 本発明の1つの側面では、PHY906を細胞系(例えば、癌または癌細胞系およびHIV細胞系)に投与して、異なる細胞系に対するPHY906の毒性を評価する。好ましくは、その癌または癌細胞系には、KB、HepG2、T細胞リンパ腫(CEM)、Colon38およびHCT116が含まれるが、これらには限定されない。前記HIV細胞系には、H9細胞およびMT−2細胞が含まれるが、これらには限定されない。 本発明の別の側面では、1つまたはそれ以上の化学療法剤または抗ウイルス剤と併用してPHY906を動物に投与して、PHY906がその薬剤の治療指数および化学療法または抗ウイルス療法を受けている動物の生活の質を増加することに効果的かどうか決定する。好ましくは、その動物は哺乳動物である。より好ましくは、その哺乳動物はヒトである。 前記動物は、特定の癌またはウイルス病の動物モデルであり得る。また、その動物は、不十分な免疫系を持つことができる。そのような動物モデルは、当該技術において周知である。天然の免疫不全マウスが、後天性免疫不全症候群すなわちエイズを含む免疫系、癌および伝染病を研究するために使われてきた。例えば、ヌード(NU)マウスは、胸腺欠損であるので、T細胞分化と熟成は起こり得ない。ヌードマウスは、異種移植、特にヒト腫瘍と抗癌剤の試験のためのホストとして長年の間、使われてきた。重度の免疫不全症候群(SCID)マウスは、不完全にTCR(T細胞レセプター)とイムノグロブリン遺伝子を再配置するように見えて、ひどい免疫不全を示す。X連鎖免疫不全(Xid)マウスが、B細胞の生産に欠陥を持つのに対して、ベージュ(BG)マウスは機能的なナチュラルキラー細胞に欠陥を有する。それに加えて、様々な種の間で交雑されて、より包括的な免疫不全表現型(例えば、BG/NUとBG/NU/XID)を有する系が作製されてきた。 それら自身の免疫系をほとんど、または全然所有しないか、或いは抑制された免疫系、弱められた免疫系若しくは修正された免疫系のいずれかを有するか、または免疫系を全然有しないために薬剤または放射線で処置されてきたか、または伝統的な遺伝的発育若しくは遺伝子工学を通して作製された他の実験動物(例えば、SCIDウマおよび他のSCID動物、さらにその動物の免疫系が破壊されたか、または不活性化された後に、エイズが停止された、潜在的にエイズ感染した動物)は、本発明において使用する実験室動物候補とみなすことができるかもしれない(Perryman L. E., McGuire, T. C., Torbeck, R. L.およびMagnuson, N. S., Clin. Immunol. Immunopath., 23(1): 1−9, 1982)。 胎盤移行であるか、または周生期の抗レトロウイルス療法を研究するためのマウスモデルは、知られている(Sharpeら. (1987) Science 236: 1671−1674; Sharpe ら. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85: 9792−9796; Sharpeら. (1989) J. Virol. 63: 1049−1053)。それに加えて、サルサイトメガロウイルス、ベネズエラおよび西洋の馬脳炎ウイルスおよび耳下腺炎ウイルスによる非レトロウイルス性の胎児感染の過程を研究するために、アカゲザルを利用する哺乳動物モデルが確立されてきた(Londonら. (1986) Teratology 33: 323−331; Londonら. (1977) Teratology 16: 285−296; Londonら. (1982) Teratology 25: 71−79; Londonら. (1979) J. Inf. Diseases 139: 324−328)。サル免疫不全ウイルス(SIV)によるアカゲザル(Macaca mulatta)の感染は、ヒトでのHIV−1感染によく似ている。HIV−1とSIVは両方ともに、類似した分子構造を有するレンチウイルスである(Chakrabartiら. (1987) Nature 328: 543−547)、そして、ともに日和見性感染と同様に中枢神経系損害の結果に終わる免疫不全症を引き起こす(Letvinら. (1985) Science 230: 71−73)。 エイズと骨髄細胞分化を研究するために作製された動物モデルが報告されたが、そこでは、SCIDマウスにヒト胎児の肝臓、胸腺およびリンパ節を共移植すると、ヒトリンパ球が、一時的に増殖して、SCID/ヌードマウスを形成している(McCune etら. (1988) Science 241: 1632−1686)。これらのマウス中のヒト免疫組織は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染に感受性がある(Namikawaら. (1988) Science 242: 1684−1686)、そして、そのモデルがエイズウイルスの複製を遅らせる、AZTの有効性を試験するために最近使われた。 米国特許6,184,436号は、エイズの小動物モデルとして役に立つトランスジェニックマウスを開示している。そのマウスは、マウスCD4遺伝子のエンハンサーが側面に並んでいるヒトCD4プロモーターと作動可能に連結されたHIV−1をコードするDNA配列を含んでいるトランスジーンを含む。マウスは、重度のエイズ病を発症して、早死に至る。 好ましい実施の形態において、PHY906と併用して1つまたはそれ以上の化学療法剤または抗ウイルス剤で処置された動物が、1つまたはそれ以上の化学療法剤または抗ウイルス剤のみを投与された対照動物と比較して、体重の減少および生残率について評価される。抗腫瘍活性または抗ウイルス活性に対するPHY906の効果も、またPHY906の効力を決定するために評価することができる。 具体的には、PHY906は抗ウイルス療法(例えば、エイズ)のモジュレーターとして評価することができる。上記のエイズ動物モデルのいずれでも、使用できる。最初のステップは、動物の体重の減少を検討することによって、健康な動物に投与するのに抗ウイルス剤または抗ウイルス剤の組合せの最大許容される用量を決定することを含む。第二のステップは、エイズと診断された動物にPHY906と併用して抗ウイルス剤または薬剤類を投与することを含む。動物の体重を、調べ、処置の過程間にPHY906を受けなかった対照動物と比較する。また、赤血球カウントまたは血小板カウントを測定することによって、PHY906と抗ウイルス剤または薬剤類の組合わせの血液学的な毒性を評価する。エイズ動物を治療する際にPHY906と抗ウイルス剤または薬剤類との組合わせの有効性を決定するために動物の白血球カウントを評価する。各アッセイの結果を、PHY906を与えられない対照動物のもの比較する。 前述の一般的な議論を考慮して、以下で提示される特定の実施例は、例示のみであり、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。他の一般的および特定の構成は、当業者にとって明らかである。 (原料と方法) CPT−11(イリノテカン、登録商標 Camptosar)は、フアルマシア・アップジョン社(Pharmacia&Upjohn Co(Kalamazoo,MI))から購入した。5−フロロウラシル(FUまたはFU)、葉酸(ロイコボリン(LV))、ロペラミド(loperamide)、E.coliβ‐グルクロニダーゼ、メチレンブルーおよびフェノールフタレイングルクロン酸塩(phenolphthalein glucuronidate)は、シグマ社(Sigma, Co (St. Louis, MO))から購入した。MEME培地は、エール大学癌センターで標準的手順に従って調製した。RPMI 1640倍地は、JRH社から購入した。カナマイシン、パンクレアチン、トリパンブルーはギブコ社(Gibco Co (Grand Island, NY))から購入した。PHY906、PHY−915、PHY−14STおよびPHY−15ST植物調製物は、サンテン製薬(Sun Ten Pharmaceutical Inc. (台北、台湾))から提供された。PHY−14ST(以前にTJ−14STと呼ばれた)は、以下の7つの薬草から成る。すなわち、Pinelliae ternata Breit.、Scuellaria baicalensis Georgi、Coptis chinensis Franch、Glycyrrhiza uralensis Fisch、Fructus ziziphi、Panax ginseng C. A. Mey.およびZingiber officinale Rosc.である。PHY−15ST(以前にTJ−15STと呼ばれた)は、Pueraria lobata Ohwi、Coptis chinensis Franch、Scuellaria baicalensis GeorgiおよびGlycyrrhiza uralensis Fischから成る。PHY−915は、以下の5つの薬草から成る。すなわち、Panax ginseng C.A.Mey.、Zingiber officinale Rosc.、Atractylodes macrocephala Koidz、Saposhnikovia divaricata Schischk.およびCitrus reticulata Blancoである。 乾燥粉末からの薬草エキスの調製:50%(研究用バッチ)か、10%(臨床用バッチ)かのいずれかの澱粉添加剤を含む、1グラムの(A) PHY906乾燥粉末、或いは未知量の添加剤を含む(B)PHY−915、PHY−14STまたはPHY−15ST薬草製剤を10mlの80℃H2Oに加え、そして80℃で30分間、インキュベートした。上澄み液を遠心分離(15分、2060g)により砕片から分離し、直ちに使用した。PHY906上澄みの濃度は、生の薬草の水抽出液の乾燥重量に基づいて、50mg/ml(研究用バッチから)か、90mg/ml(臨床用バッチから)として計算される。他の薬草製剤の濃度は、粉末の乾燥重量に基づいて、100mg/mlとみなされた。前記上澄みを組織培養中での増殖阻害試験のために、0.45μm滅菌Acrodiscフィルター(Gelman Sciences)を用いて滅菌した。 マウス:雌のBDF−1マウス(4〜6週目)は、Charles River Laboratories (Wilmington, MA)から購入した。雄の無胸腺NCrヌードマウス(4週目)は、Taconic Farms(Garmantown(NY))から購入した。両方の種類のマウスとも体重16g〜20g間のものをこの研究のために使用した。 抗腫瘍性の研究:マウスColon38細胞(0.1mlPBS中、1−2x 106細胞)、またはヒトHepG2細胞(0.1mlPBS中、1−2x 106細胞)をBDF1またはNCr無胸腺ヌードマウスにそれぞれ皮下移植した。腫瘍の長さと幅をノギスをすべらせることで、毎日測定した。腫瘍重量は、以下の公式に従って概算した(Pizzorno G, Wiegand R, Lentz S,ら, Cancer Res. 52: 1660−1665 (1992))。 腫瘍重量(mg)=長さ(mm)×幅(mm)2/2。 10〜14日後、150〜200mgの範囲にある腫瘍重量を有するマウス(5匹の動物/グループ)を薬研究のために選んだ(Guo X, Lerner−Tung M, Chen HX,ら, Biochem Pharmacol 49:1111−1116 (1995))。腫瘍サイズが体重10%に達したとき、マウスを犠牲にした。PHY906は、単独か、または制癌化学療法剤と一緒に経口で投与した。抗腫瘍の効力および薬剤毒性の軽減に対するPHY906の効果を評価した。選択した投与量でPHY906を投与後、CPT−11を腹膜内(i.p.)に30分与えた。FU/LV併用療法の処置計画(投薬計画)は、以下のように与えられた。 (A) FU/LVの単独処置:最初の用量LV(50mg/kg、i.p.)、1時間後に、第2の用量LV(50mg/kg;i.p.)、その後直ちにFU(100mg/kg、i.p.)を投与。 (B) FU/LVさらにPHY906による処置:最初の用量LV(50mg/kg、i.p.)、30分後に続くPHY906(500mg/kg、経口)、30分後に続く第2の用量LV(50mg/kg、i.p.)、その後直ちにFU用量(100mg/kg、i.p.)。 CPT−11/FU/LV3重薬の組合わせは、以下のように与えられた。 (A)群 CPT−11/FU/LVのみ:マウスはCPT−11投与の前に、最初の用量LV(50mg/kg、i.p.)、それから直ちに続いてLV(50mg/kg、i.p.)およびFU(100mg/kg、i.p.)を与えられた。 (B)群 CPT−11/FU/LVさらにPHY906:マウスはPHY906(500mg/kg、経口)30分前に、最初の用量LV(50mg/kg、i.p.)を与えられた。それから、PHY906投与の30分後、マウスは1時間LV(50mg/kg、i.p.)の最初の用量を与えられた:マウスは、CPT−11で処置され、直ちにLV(50mg/kg、i.p.)そしてFU(100mg/kg、i.p.)が続いた(0日目)。 処置の最初の日を0日目として定義した。0日目から始めて、4日間か、8日間かのいずれか、PHY906を日に2回経口で与えた(午前10時と午後3時)。対照群として、マウスにビヒクル、すなわちPBSをi.p.(腹腔内)か、H2Oをp.o.(経口投与)かのいずれかで投与した。動物を毎日、死亡率、体重減少および腫瘍サイズについてモニターした。 血液細胞カウント:0、3、6、9および12日目にマイクロキャピラリーを用いて、マウスから血液(20μl)を採取した。血液を通常の食塩水(0.85%塩化ナトリウム)で200μlまで希釈した。WBC、RBCと血小板をBAKER SYSTEM 9100TM HEMATOLOGY ANALYZER( Biochem ImmunoSystems Inc., Allentown, PA 18103−9562)によって数えた。 細胞系および培養条件:ヒトHepG2(肝細胞癌)、HCT 116(直腸癌)、CEM(白血病)、KB(口頭の類表皮癌)細胞系およびマウスColon38細胞系は、American Type Culture Collection(Rockville、MD)から購入した。HepG2細胞系は、10%ウシ胎児血清(FBS)と100μg/mlカナマイシンで補填したMEME培地中、通常通りに培養した。Colon38、HCT116、KBおよびCEM細胞系は、10%FBSと100μg/mlカナマイシンを含むRPMI 1640培地中で培養した。細胞は、5%CO2:95%空気の湿った空気中で、37℃において培養した。 ヒトまたはマウス癌細胞系での細胞毒性:細胞増殖阻害は、メチレンブルー取り込みアッセイを使って測定した。癌細胞(1x104)は、10%FBSと100μg/mlカナマイシンを含む、1mlのMEME培地またはRPMI1640のいずれかの中で、24−ウエルプレートに種菌した。新たに用意し、滅菌したPHY906エキスを1日目に細胞に様々な濃度で加え、そして37℃で3日間、インキュベートした。その後、培地を除き、細胞層を0.5%(w/v)メチレンブルー溶液(50%エタノール中)0.3mlで、30分間染色した。プレート水道水で3回洗浄し、乾燥し、そして細胞層を1%Sarkosyl溶液(PBS中)の1mlで細胞溶解させた。溶解溶液を595nmで、Elx800マイクロプレートリーダー(Bio−Tek Instuments, Inc.)を用いて、読み取った。 (実施例1) 異なる細胞系に対するPHY906の毒性の評価 要するに、PHY906の各バッチ(1g)に10mlの水(1mg/ml)を加えた。バッチの特性については表6を参照。 遠心分離および0.22mフィルターでろ過した後、上澄みを回収した。4つの細胞タイプを用いて、PHY906の各バッチの生物学的作用について試験した。すなわち、a) KB 細胞(ATCC cat. # CCL−17); b) HepG2細胞(ATCC cat # HB−8065); c) T−細胞白血病細胞系(CEM細胞); d) Colon 38およびe) HCT116(ATCC cat # CCL−247)であった。 癌細胞(1x104)は、10%FBSと100μg/mlカナマイシンを含む、1mlのMEME培地またはRPMI−1640のいずれかの中で、24−ウエルプレートに種菌した。24時間後、PHY906エキスを細胞に様々な濃度で加え、そして37℃で3日間、インキュベートした。その後、培地を除き、細胞を0.5%(w/v)メチレンブルー溶液(50%エタノール中)0.3mlで、30分間染色した。プレートを水道水で3回洗浄し、乾燥し、そして細胞層を1%Sarkosyl溶液(PBS中)の1mlで細胞溶解させた。溶解溶液を595nmで、Elx800マイクロプレートリーダー(Bio−Tek Instuments, Inc.)を用いて、読み取った。 ヒトT細胞リンパ腫細胞系(CEM)を用いて、細胞毒性研究を実施した。CEMセル(5x104)は、20%と表示されたウシ胎児血清を含むRPMI 1640培地の1ml中で増殖した。PHY906エキスを0日目に加えた。PHY906の添加3日後、細胞増殖をアッセイした。細胞数は、血球計を使って概算した。 2つのバッチを使ったアッセイ結果を表7に示す。これらのデータに基づいて、PHY906の供給源AとBは、KB、CEMおよびHCT116細胞に対して、比較的少ししか毒性がないが、その一方で、Colon 38とHepG2細胞(表7を参照)に対してかなり大きい細胞毒性を持つ。同様な結果が実施例11(表10)に示されている。 (実施例2) BDF−1およびヌードマウスに対するCPT−11用量の決定 抗癌化学療法剤によって引き起こされる毒性の指標として、動物の体重の減少をモニターした。腫瘍をもたないBDF−1マウスでの体重減少に対するCPT−11の効果を6つの異なる用量(100、200、300、400、600または800mg/kg体重)を用いて調べ、マウスにおいて最大の許容され得る用量を決定した。単一大型丸薬用量のCPT−11を研究の初めに腹腔内(i.p.)に投与し、そして体重の減少を12日間、毎日モニターした。 CPT−11の1用量を研究の初めに各マウスへi.p.で投与し、そして、動物の体重の減少を12日間、毎日モニターした。 200mg/kgより低い投与量は、体重にほとんど影響がなかった(CPT−11の処置を受けていない対照マウスと比較した)。対照的に、600mg/kg以上の投薬用量では、CPT−11投与の後、2日目に動物の死という結果に終わった。一般に、マウスは、400mg/kg用量まで耐え得ることができた。 生き残ったマウスの体重減少のプロフィルを図1に示す。300mg/kgのCPT−11で処置されたマウスの平均体重は、処置後5日目までCPT−11処置を受けなかったマウスのそれらよりかなり少なかった(図1)。これら2群のマウスの平均体重は、処置後5日目から試験の最後まで、有意には異ならなかった。体重減少の持続期間と程度は、動物に投与されたCPT−11用量に敏感であった。400mg/kgのCPT−11を注射されたマウスでは、CPT−11処置の直後に体重の減少が観察されて、これは6日間続いた。これらの動物は、12日目に徐々に当初の体重を回復した。これらの結果に基づいて、400mg/kgか、または300mg/kgのCPT−11をBDF−1マウスモデルで使用した。しかしながら、ヒト腫瘍細胞を接種されたヌードマウスは、普通のBDF−1マウスより有意にCPT−11処置に敏感であった。ヒトHepG2異種移植をもつヌードマウスでのCPT−11の最大許容用量は、200mg/kgであった(データ示さず)。 (実施例3) 腫瘍を有するBDF−1マウスでのCPT−11誘発の体重減少に対するPHY906の効果 Colon 38の腫瘍細胞を接種したマウスでの有毒な副作用についてCPT−11療法のモジュレーターとしてPHY906を評価した。以前の知見(実施例2)に基づいて、CPT−11の毒性と関連する体重減少に対するPHY906の効果を研究するために、単一大型丸薬用量400mg/kgのCPT−11を選択した。PHY906がCPT−11の抗腫瘍性効力を損なうかどうかを評価するために、マウスにColon 38腫瘍細胞を皮下移植した。接種10日から14日後、マウスをPHY906の不在または存在下、CPT−11(400mg/kg、i.p.)で処置したが、それは異なる用量(125mg/kg、250mg/kgおよび500mg/kg)で1日に2回経口で与えられた。PHY906処置を示された用量で連続8日間、続けた。 図2は、CPT−11処置されたマウスで体重の減少に対するPHY906の効果が用量依存的であることを示す。500mg/kg/b.i.d.PHY906で補足の処置を受けたCPT−11処置された動物は、体重を維持することに関して有意の改善を示し、そして元の体重をより速やかに回復した(p<0.01)。表8には、統計結果が要約されている。しかしながら、250mg/kg/b.i.d. PHY906を受けたマウスは、対照と比較して体重減少で違いは示さなかった。 (実施例4) CPT−11とPHY906で処置された、Colon 38接種マウスの腫瘍重量 実施例3に記載されたようにマウスを処置して、9日の期間にわたって腫瘍重量を評価した。 その結果は、PHY906による処置がCPT−11の抗腫瘍性の効力を妨げもしないし、損なうこともないことを証明している(図3)。事実データによって、この生薬が実際にCPT−11抗腫瘍活性を増強するかもしれないことが示唆される。 これらの予備的な結果によって、薬草組成物PHY906が、CPT−11化学療法のためのモジュレーターとして使用することができ、CPT−11抗腫瘍性の効力を弱めることなく、CPT−11の有毒な副作用を有意に改善し、かつ軽減することが示唆される。 (実施例5) Colon 38を有するBDF−1マウスでのCPT−11の抗腫瘍活性と血液学的な毒性に対するPHY906の効果 上記の研究で得られた結果に基づいて、500mg/kg/b.i.dPHY906が、最大の許容用量400mg/kgのCPT−11によって誘発されるホスト毒性に対して最良の保護を提供する。このセットの投与量を次の研究で使用した。CPT−11(400mg/kg、i.p.)の1回用量で処置したColon 38を有するBDF−1マウスに、4日間か、または8日間のいずれか、500mg/kg/b.i.dPHY906を経口で与えた。5匹のマウスを各群で使用し、その実験を8回繰り返した。図3は、全ての実験の典型的結果を表す。腫瘍サイズによって測定される、CPT−11の抗腫瘍活性は、動物モデルにおいて、相伴うPHY906療法によって弱められなかった。実際、腫瘍サイズのわずかな減少が起こったが、これはPHY906がCPT−11抗腫瘍活性を増強するかもしれないことを示唆している。 骨髄抑制が、CPT−11で処置される患者中の共通の副作用である(Bleiberg H およびCvitkovic E., Eur J Cancer 32A (Suppl 3): S18−S23 (1996))。CPT−11によって誘発される骨髄毒性をPHY906が有益に逆にするかどうか評価するために、Colon 38を有するBDF−1マウスで血液学的活性を調べた。図4で示すように、PHY906が全ての処置計画で赤血球カウントまたは血小板カウントに対する影響を与えないことが分かった、そしてCPT−11によって誘発される骨髄抑制に対して全く保護を示さなかった。抗腫瘍活性と血液学的活性に関して、CPT−11とPHY906の4日間か、8日間の共処置の間に重要な違いがなかった(データ示さず)。 (実施例6) Colon 38腫瘍を有するBDF−1マウスに対するCPT−11の死亡率へのPHY906の効果 マウスを異なる処置計画をもつ4つの群に分割した。(A)群:ビヒクルによる処置、(B)群:i.p.注射による400mg/kgCPT−11の単一用量での処置、(C)群:PHY906(500mg/kg/b.i.d.)のみでの処置、または(D)群:400mg/kgCPT−11の単一用量プラス500mg/kg/b.i.d PHY906を4日間、または8日間処置。各処置計画の順序は、「原料および方法」中に現れる。表9で表されるように、A群からの35匹の腫瘍を有するマウス(100%)のうちの35匹とC群からの15匹のマウス(100%)のうちの15匹は、4日間かまたは8日間、ビヒクルか、またはPHY906のみでかのいずれかの処置で生き残ったが、これはPHY906の無毒性か、または非常に低い毒性を示唆している。対照的に、CPT−11単独での処置(B群)は、8日後生き残っている40匹の腫瘍を有するマウスのうち33匹だけ(82.5%)が生き残るという結果に終わった。しかし、この生存率は、CPT−11(D群)と併用して、4日間または8日間のPHY906処置を受けた後には、95%(20匹のマウスのうち19匹)か、または100%(24匹のマウスのうち24匹)まで劇的によくなった。これは、PHY906処置がマウスを400mgの/kgCPT−11の単一用量によって誘発される死亡率から保護することができることを示唆する。 (実施例7) Colon 38腫瘍を有するBDF−1でのFU/LVの抗腫瘍活性に対するPHY906の効果 FU/LVの併用は、有力な抗腫瘍活性を示し、患者において結腸直腸癌の第一番目の治療として使用される(Goldber R.M. and Erlichman C., Oncology 12: 59−63 (1988); Saltz L.B, Cox J.V, Blanke C,ら, New. Eng.J. Med. 343: 905−914 (2000))。したがって、CPT−11処置について説明したのと同様の実験を、動物においてFU/LVで実施した。Colon 38腫瘍を有するマウスを4つの群に分割した。(A)群:ビヒクルによる処置、(B)群:PHY906単独による処置、(C)群:FU/LV単独による処置、および(D)群:FU/LVプラスPHY906による処置。各処置計画の順序は、「原料および方法」中に現れる。このセットの実験で、FU/LVを0日目に一度だけマウスに与えたのに対して、PHY906を4日連続の間、毎日2回投与した。 図5と6にそれぞれ示すように、体重および腫瘍サイズの変化を毎日モニターした。図5で表されるように、前記4つの群で体重の変化は、ほとんど起こらなかった。この観察は、CPT−11処置で得られる観察と対照的である。体重減少に対するFU/LVの用量・応答試験を実施しなかったので、この実験で投与されたFU/LV用量が毒性および関連する体重減少を誘発するのに十分高くなかったことはあり得る。体重減少がFU/LVに対するPHY906の保護作用を実証するためには不十分であったけれども、図6はPHY906の相伴う処置がColon38腫瘍を有するBDF−1マウスにおいて、FU/LVの抗腫瘍活性を損なわなかったことを示す。D群中の動物の腫瘍増殖プロフィルは、C群中のそれより遅く、これはPHY906がこの動物モデルでFU/LVの抗腫瘍活性を増強するかもしれないことを示唆している。それに加えて、PHY906を付随して投与された処置マウスにおいて、FU/LVの血液学的な毒性を4日目、8日目および12日目にモニターした。FU/LVによって誘発される周知の副作用である白血球減少症または血小板減少症(van der Wilt C.L, van Groeningen, C.J, Pinedo H.M, ら, J. Cancer Res. Clin. Oncol. 123:595−601 (1997))は、PHY906によって逆転されなかった(図7)。 (実施例8) Colon38腫瘍を有するBDF−1マウスでのCPT−11/FU/LVの抗腫瘍活性に対するPHY906の効果 FDAは、進行した結腸直腸癌の第1番目の治療としてCPT−11プラスFU/LVの新しい3者併用療法を最近承認した(Goldber R.M.およびErlichman C., Oncology 12: 59−63 (1988); Saltz L.B, Cox J.V, Blanke C,ら, New. Eng.J. Med. 343: 905−914 (2000))。この治療計画は、死亡率と同様に腫瘍増殖の進行を遅くすることが証明された。しかしながら、ひどい、遅れて始まる下痢が、この3者併用治療計画を受けている患者において、たびたび観察される。以前の実験によって、PHY906がColon38腫瘍を有するBDF−1マウスで、CPT−11の治療指数を増加し得ることが証明された。したがって、実施例7の場合と類似したプロトコルを使って、3重化学療法の用量を制限する毒性を軽減するその効力について、PHY906を評価した。Colon38腫瘍を有するBDF−1マウスを2つの群に分割した。すなわち、(A)群:CPT−11/FU/LVのみで処理、(B)群:PHY906プラスCPT−11/FU/LVで処置。両方の群で使用したFUとLVの用量は、それぞれ100mg/kgであった。というのは、以前の試験によればこれらの用量で非常に低い毒性が観察されていたからである。この3重化学療法計画では、CPT−11の用量依存性の試験を実施しなかったが、200mg/kgか300mg/kgのいずれかのCPT−11を用いた。各治療計画の順序は、「原料および方法」中に現れる。PHY906を化学療法後、4日間、毎日2回投与した。 図8と図9にそれぞれ示すように、それらの結果は、PHY906が200mg/kgおよび300mg/kgのCPT−11両方で3重療法の抗腫瘍効力を損なわないことを示す。図8に表されるように、3重併用療法で200mg/kgのCPT−11を用いると、PHY906は14日目(p=0.045)に、わずかに腫瘍抑制を増強する。300mg/kgのCPT−11では、腫瘍抑制におけるPHY906の増強は、14日目(p=0.05)にはたいしたことはないが、21日目(p=0.014)には、PHY906処置を受けていない群と比較すると、かなりのものであった。この結果は、CPT−11/FU/LV腫瘍抑制に対するPHY906の増強を観察するにはより長い時間が必要かもしれないことを示唆している。試験した用量において、PHY906が3重併用療法とCPT−11処置とで、抗腫瘍活性に対して同様に有益な効果を示した。 3重併用治療で使用した用量で、動物は体重減少を示した。しかしながら、図10に示すように、PHY906は治療の間、体重減少を遅くしなかった。それに加えて、PHY906は体重減少の回復に影響を及ぼさなかった。 (実施例9) PHY906の存在下および不存在下、Colon38腫瘍を有するBDF−1マウスでのCPT−11/FU/LVの薬物動態学 PHY906の存在下および不存在下、Colon38腫瘍を有するBDF−1マウスでのCPT−11/FU/LVの薬物動態学を図18〜20に示す。PHY906−6は、PHY906の臨床バッチであり、10%の添加剤(澱粉)を含む。 血漿中のCPT−11カーブ(AUC)の下の面積は、CPT−11/FU/LVの3重併用とPHY906の共投与の後、増加する。PHY906共投与の後、腫瘍または肝臓組織のいずれにもCPT−11の重要な変化がない。 CPT−11の活性代謝産物であるSN−38は、血漿、肝臓または腫瘍において不変のままである。 血漿または肝臓中のFUのAUCsとそのヌクレオシド/ヌクレオチド代謝産物(FU+FUR+FUMP)は、CPT−11/FU/LVの3重併用とPHY906共投与の後で変化する。 (実施例10) ヒトHepG2腫瘍を有するヌードマウスでのCPT−11の抗腫瘍活性と毒性に対するPHY906の効果 上記の実施例、特に実施例5、7と8からの結果は、化学療法剤と併用するPHY906が化学療法剤の抗腫瘍作用を増強し、さらに腫瘍増殖を遅らせるかもしれないことを示す。PHY906(表1)に含まれる薬草の知られている薬理学的なプロフィルに基づいて、その増強効果が正常マウスの免疫系統および/または血液系統を通して作用しているのかもしれないと推測される。したがって、免疫系統および血液系統において欠陥のあるヌードマウスで、前記仮説を調べるために実験を立案した。 ヒトHepG2腫瘍細胞をNCr−ヌードマウスに移植して、CPT−11の抗腫瘍活性に対するPHY906の効果を試験した。以前の実験によって、ヌードマウスでのCPT−11の最大許容用量が200mg/kgであることが示されたので、それをこの研究で使用した。CPT−11(200mg/kg、i.p.)を0日目に与えた。PHY906は、0日目から始めて、500mg/kgで、毎日二回与えた。図11で示すように、PHY906はヌードマウス中のヒトHepG2異種移植片に対するCPT−11の抗腫瘍作用を弱めなかった。しかしながら、BDF−1マウスでの観察とは異なり、PHY906は、CPT−11に起因する体重減少(図12)または動物の死(データ示さず)を防ぐことに有益な効果を示さなかった。それが正常マウスを保護するように、PHY906がヌードマウスを体重減少から保護しないという事実によって、PHY906は、ヌードマウスに不足している血液系統および免疫系統を通してその効果を生じることが示唆される。 (実施例11) マウスでのCPT−11抗腫瘍作用、体重減少および生存に対する異なる漢方製剤の効果。 下痢は、癌化学療法剤で治療される患者の間で用量を制限する毒性の1つである。PHY906に加えて、他の抗下痢薬を調べた。これらには、漢方薬(例えば、PHY−14ST、PHY−15STおよびPHY−915)、同様にCPT−11に誘発され、発症が遅れる下痢のために抗下痢薬として現在推薦されているロペラミドが含まれる。 腫瘍増殖阻害と体重減少に加えて、単一大型丸薬用量CPT−11と併用して、異なる薬草製剤を受けているマウスにおいての生残率を調べた。いくつかの調べた製剤の中で、PHY906に含まれる薬草が他の薬草製剤中にも存在するけれども、PHY906は、CPT−11の抗腫瘍活性(表9)を増強するのが観察された唯一のものであった。死亡率の研究では、PHY906は動物の死亡率(P=0.044)になんら統計的な効果を示さなかった。PHY−14ST、PHY−15STおよびロペラミドのような、試験した他の抗下痢薬は、体重減少を防ぐかまたはCPT−11の抗腫瘍作用を増強するのに、完全に効力がないことが観察された。驚くべきことに、PHY−915は、CPT−11の抗腫瘍活性(表10)を減少させることが観察された。 (実施例12) 異なる腫瘍細胞系でのPHY906の細胞毒性 品質管理の基準として、インビトロ細胞モデルを評価するために、異なるヒト腫瘍細胞系とマウスColon38腫瘍細胞系の増殖阻害に対する2つの異なるPHY906調製物(PHY906AとPHY906B)の効果を調べた。表11で示すように、PHY906AとPHY906Bは、それら細胞系の間で増殖阻害活性について大した違いを示さなかった。注目すべきは、HepG2細胞系が、他のヒト細胞系よりもPHY906に感受性があるとわかった。 上記の実験結果によって、PHY906がCPT−11、FU/LVまたはCPT−11/FU/LVを用いる3重併用療法によって誘発される一部のホスト毒性を減らすことが示唆される。植物薬PHY906は、試験した化学療法剤の抗腫瘍活性を維持するばかりでなく、増強する。実際に、Colon38腫瘍を有するマウスヌードやヒトHepG2異種移植片マウスで全体的な抗腫瘍活性を増加することによって、PHY906はCPT−11、FU/LVおよびCPT−11/FU/LVの治療指数を増やす。これらの所見を2つの異なる腫瘍モデルでいくつかの抗癌剤を用いて、確かめた(図3、6、8、9および11)。 (実施例13) L−OddCで処置され、Colon38を接種されたマウスでの腫瘍増殖に対するPHY906の効果 Colon38腫瘍細胞を接種したマウスにおける腫瘍増殖のためL−OddC(β−L−ジオキソランシチジン)療法のモジュレーターとしてPHY906を評価した。マウスは、マウスColon38腫瘍細胞の皮下注射を受けた。癌細胞接種の7日後、マウスをL−OddC(25mg/kg)腹膜内に、PHY906(500mg/kg、b.i.d.)の経口投与で処置した。動物は、それから実験の残りの間、連続的にPHY906の同じ用量のみを投与された。 図13で示すように、L−OddCによる処置は、PHY906がL−OddCの抗腫瘍効力を妨げないし、悪くもしないしことを実証している。事実、そのデータはこの生薬が実際にL−OddC抗腫瘍活性を増強するかもしれないことを示唆している。 このように、これらの結果によって、薬草PHY906は、前記L−OddCの抗腫瘍の効力を弱めることなく、有毒な副作用をかなり改善し、軽減するためのL−OddC化学療法用のモジュレーターとして使用できることが示唆される。 (実施例14) VP−16で処置され、Colon38を接種されたマウスでの腫瘍増殖に対するPHY906の効果 Colon38腫瘍細胞を接種したマウスにおける腫瘍増殖のためVP−16(エトポシド(トポイソメラーゼII阻害剤))療法のモジュレーターとしてPHY906を評価した。マウスは、マウスColon38腫瘍細胞の皮下注射を受けた。癌細胞接種の7日後、マウスをVP−16(25mg/kg)腹膜内に、PHY906(500mg/kg、b.i.d.)の経口投与で処置した。動物は、それから実験の残りの間、連続的にPHY906の同じ用量のみを投与された。 図14で示すように、VP−16による処置は、PHY906がVP−16の抗腫瘍効力を妨げないし、悪くもしないしことを実証している。事実、そのデータはこの生薬が実際にVP−16抗腫瘍活性を増強するかもしれないことを示唆している。 このように、これらの結果によって、薬草PHY906は、前記VP−16の抗腫瘍の効力を弱めることなく、有毒な副作用をかなり改善し、軽減するためのVP−16化学療法用のモジュレーターとして使用できることが示唆される。 (実施例15) 5−フロロウラシルで処置され、Colon38を接種されたマウスでの腫瘍増殖に対するPHY906の効果 Colon38腫瘍細胞を接種したマウスにおける腫瘍増殖のため5−フロロウラシル(FU)療法のモジュレーターとしてPHY906を評価した。マウスは、マウスColon38腫瘍細胞の皮下注射を受けた。癌細胞接種の7日後、マウスを2つの用量の5−フロロウラシル(0日目に1つの用量250mg/kg、または0日目から4日目まで毎日30mg/kgの用量)で腹膜内に、PHY906(500mg/kg、b.i.d.)の経口投与で処置した。動物は、それから実験の残りの間、連続的にPHY906の同じ用量のみを投与された。 図15と16で示すように、5−フロロウラシルによる処置は、PHY906が5−フロロウラシルの抗腫瘍効力を妨げないし、悪くもしないしことを実証している。事実、そのデータはこの生薬が実際に5−フロロウラシルの抗腫瘍活性を増強するかもしれないことを示唆している。 このように、これらの結果によって、薬草PHY906は、前記5−フロロウラシルの抗腫瘍の効力を弱めることなく、有毒な副作用をかなり改善し、軽減するための5−フロロウラシル化学療法用のモジュレーターとして使用できることが示唆される。 (実施例16) CPT−11とロペラミドで処置され、Colon38を接種されたマウスでの腫瘍増殖に対するPHY906の効果 抗下痢薬の存在下、Colon38腫瘍細胞を接種したマウスにおける腫瘍増殖のためCPT−11療法のモジュレーターとしてPHY906を評価した。マウスは、マウスColon38腫瘍細胞の皮下注射を受けた。癌細胞接種の7日後、マウスをCPT−11(400mg/kg、i.p.)のみ、経口投与PHY906(500mg/kg、b.i.d.)有りで、またはロペラミド(2mg/kg、p.o.、b.i.d.)存在下、処置した。 図17は、PHY906とロペラミドの抗腫瘍効果を比較している。図17で示すように、PHY906存在下、CPT−11は、腫瘍増殖(始期の腫瘍重量の百分率(パーセント)比として決定される)を減らすことにおいて、ロペラミドより効果的である。 これらの予備的な結果は、薬草PHY906がCPT−11により誘発された遅延性下痢のためにロペラミドの標準的投与より効果的であることを示唆する。 (実施例17) イリノテカンとの併用で与えられるときのPHY906投与の最小の有効用量(MED)と最適継続期間を決定すること 序論:いくつかの研究によって、7つの薬草からなる漢方薬が動物でのCPT−11により誘発された下痢が起こるのを防ぎ、そして、インビボでCPT−11により誘発された下痢の厳しさを減らすことに効果的であることが示されている(Mori, 1998)。 PHY906は、またインビボ動物モデルで評価され、そしてイリノテカンにより誘発された毒性の厳しさを減らすことが示された。したがって、人間での安全性を証明している長い歴史の経験(1500年)、動物モデルでのこの化合物の有望な前臨床の活性、およびこのセッティングで関連した薬草化合物に注目された潜在的な活性に基づいて、化学療法によって誘発された毒性(例えば体重減少、下痢)の重症度、全体的な活動状態、生活の質および不応の進行した結腸直腸癌患者におけるイリノテカンまたは他の薬の抗腫瘍活性に対するPHY906の効果を評価するために試験を実施することができる。 この研究は、組織学的に確立された、FUに不応の進行した結腸直腸癌患者を含む。測定できるかまたは評価可能な病気は要求されない。CNS病が手術、化学療法および/または放射線療法の完了に続く少なくとも4週間の間、安定したままであったならば、中枢神経系(CNS)転移をもつ患者は適格である。 この試験への参加者は、18才以上ということになり、現れていない重要な病気にかかっていないであろう。全ての患者は、ECOG 0−2の活動状態、少なくとも3ヵ月の期待寿命を持ち、告知に基づく同意(インフォームドコンセント)を与えることになる。ECOGは、「東洋に協力的な癌グループ」(Eastern Cooperative Oncology Group)の略称である。ECOG 0=通常の活動を実行している患者; ECOG 1=最小の徴候を持っている患者; ECOG 2 =ベッドで<50%の時間を過ごす患者; ECOG 3=ベッドで>50%の時間を過ごす患者; ECOG 4 =ベッドに釘付けになっている患者。患者は、いかなる以前の手術の影響からも十分に回復してしまっていなければならない、そしてこの試験に入る4週間以内(ニトロソウレアまたはマイトマイシンCについては、6週間)に、広領域放射線またはいかなる化学療法をも受けてはならない。試験に入るためには、ANC(絶対好中球カウント)>1500/μl、血小板カウント>40ml/minおよび総ビリルビン<2.0mg/dlが必要である。 処置前評価:処置開始の前に、全ての患者は、完全な病歴、身体検査と彼らの体調状態の決定を受けることになる。検査室での検査には、示差付き完全な血球カウント(CBC)、血清アルブミン、電解質、グルコース、血中尿素窒素(BUN)、クレアチニン、血清カルシウムおよびマグネシウム、肝臓機能検査、プロトロンビンと部分的なトロンボプラスチン時間、さらに尿検査が含まれる。 処置:イリノテカンは、凍結乾燥粉剤から2ml滅菌水へ再構成されて、100mlのD5W(5%デキストロース水)で希釈し、125mg/m2の用量で、90分間にわたって投与される。イリノテカン化学療法は、参加している各病院の外来患者クリニックで2週間の休止期間と共に4週間、毎週のスケジュールで投与される。 PHY906は、食事30分前の空腹時に服用される。化学療法処置日には、最初の用量がイリノテカンの投与前に服用される。 PHY906は、0.60gの最初の用量から始めて各食事の前に、1日に3回経口投与される(毎日の全用量、1.80gm/日)。東洋で現在患者によって使われているPHY906の用量は、7.2gm/日であり、現在まで、不都合な事態は観察されなかった。このように、この試験を始めるのに提案された用量は、その生薬の通常用量の1/4である。PHY906は、2週間休止でイリテカンと共に化学療法の全4週コースの間、与えられる。最少3人の患者が、PHY906のこの最初の用量レベルで処置される。その3人の患者が全6週サイクルを完了してしまい、3人の患者のうちの0人が用量を制限する毒性(DLT)を経験するならば、次のより高い用量が3人の患者の以降のグループのために使われことになる。全ての患者において、薬物動態学的試験が化学療法の最初のサイクルの開始24時間後に実施される。 3人の患者のうち1人がDLTを経験するならば、もう3人の患者は同じ用量レベルで処置されることになる。次3人のうち<1人がDLT(6人の全患者のうち1または2人)を経験するならば、それらの出来事が2倍化スキームの間に起こるときを除いて、用量は次の用量レベルに上げる、そのとき次の上昇は、修正されたフィボナァチ(Fibonacci)スキーム(表12)上でn + 1のレベルになる。 PHY906の用量上昇予定表:主任研究者によって臨床上示され、そして必要であるとみなされるならば、上記に指定されたレベルよりむしろ低い用量レベルが利用されるかもしれない。 項目に入るスピードと次の用量投与計画への上昇は、各用量レベルに入れられる患者の安全性プロフィルの評価に依存する。毒性は、評価されて、NCI臨床試験ガイドライン(CTG)拡張された共通の毒性基準に従って、評価され等級分けされることになる。 このプロトコルのための抗嘔吐スケジールは、各処置日において化学療法の1/2時間前に50mlの通常の食塩水に混ぜられて、投与される1〜2mgのグラニセトロン(granisetron)からなる。吐き気および/または嘔吐を制御する必要があるに従って、制吐剤(静脈内にまたは経口で投与される)は、8時間ごと繰り返される。処置は、2週間の休止が続く4週間連続で、毎週繰り返される。これが治療の1サイクルを構成する。 イリノテカン注入の間またはその後まもなく起こる下痢は、静脈内へのアトロピン(0.5〜1mg)で処置される。イリノテカン投与>12時間後起きる下痢に対しては、少なくとも12時間の間下痢の完全な解消があるまで、下痢の最初の徴候で経口4mg、続いて2時間ごと経口2mg(夜は4時間ごと経口で4mg)とロペラミドを用いて、患者を処置する。下痢に血が混じり、>101.60Fの発熱を伴い、そして>12時間、変らないままでいる場合、患者を更なる診察と処置のために入院させることになる。 イリノテカンの用量修正:この試験でイリノテカンの用量上昇はないであろう。製造者(表13)によって提供されるパッケージ中に推薦されているように、毒性のための用量修正がなされる。 表13 毎週および週1回の予定用の推薦される用量修正 顆粒球カウントが>1500/mm3にまで回復し、血小板カウントが>100,000/mm3にまで回復して、そして治療に関連した下痢が充分に解決するまで、療法の新しいコースを開始してはならない。治療は、処置に関連した毒性からの回復を考慮に入れるために1〜2週間遅らすべきである。患者が2週間の遅延の後、回復しなかった場合、Camptosarを中止するように考慮すべきである。 応答と毒性アセスメント:毒性は、毎週の身体検査と血球計算によって査定されて、国立癌研究所の共通毒性基準に従って等級分けされる。これらの評価と完全な化学的プロフィルは、各処置の前に繰り返される。 また、患者は、彼らの腸の調子および反運動性薬剤の使用について毎日の記録をつける。この日記には、PHY906の経口摂取の時間、彼らの便通の頻度と硬さ(形をしているか、ゆるいかまたは水っぽいか)、およびこの徴候を管理するために患者によって使われた反運動性処置の記録が含まれる。 調査する看護婦は、下痢の管理と日記の完成について指示を徹底するために、最初のサイクルの間、訪問の間に少なくとも週一回各々の患者と連絡をとる。衰弱、吐き気、嘔吐および食欲減退を含む全体的な生活の質も、確立されたFAST方法論を使って評価される。 PHY906の服薬遵守を査定するために、ピルカウントが治療のための各臨床訪問に薬剤師によってなされる。病気への応答の評価は、2回の処置サイクル後に行われる。応答は、ECOG基準に従って定義され、測定できるかまたは評価され得る病気をもつ全ての患者において査定されるが、この試験の終点を構成することはない。 イリノテカンの薬物動態学:選ばれた患者で、薬物動態学的な研究を実施して、PHY906がイリノテカンの新陳代謝と排泄に影響を及ぼすかどうかを査定する。これらの患者において、イリノテカンの最初の用量は単独で与えられ(サイクル1/1日目)、そしてPHY906は2日目に開始される。 イリノテカンの投与直前、イリノテカン注入の間30、60、90分およびサイクル1の1日目、並びにサイクル1の8日目の注入の終わりから0.5、1.5、3.5と6h後、血液サンプルをヘパリン化したチューブに集める。サンプルは、ポリスチレンチューブ中、2.50μl血漿を加えた内部基準液500μlで直ちに処理する。内部基準液は、氷酢酸(100ml中4.0ml)で酸性化したアセトニトリル中カンプトテシン50μg/mlから成る。サンプルを30秒間ボルテックスし、40℃の水浴に15分間、置き、室温で冷し、それから900μlの25mMトリエチルアミン緩衝液(pH 4.2)と混ぜ合わせる。上澄みを1.5mlのエッペンドルフ(Eppendorf)チューブに移し、マイクロ遠心分離機(microcentrifuge)中、13,000 x gで4分間、遠心分離する、そして澄んだ上澄みのアリコートを高速液クロマトグラフィー(HPLC)で分析する。 クロマトグラフ分析は、Microsorh C18(4.5 x 250mm、5μm粒径)逆相HPLCカラム上、72:28(v/v)25mMTEM/アセトニトリル緩衝液を用いて1ml/分で溶出され、λEX372nmおよびλEX535nmを備える(Pharmacia & Upjohn SOP #UPJ−120−5)蛍光検出器を利用して行われる。最大の血漿濃度、ターミナル半減期とAUC(カーブの下の面積)は、PC−NONLINソフトウェア(Scientific Consulting レキシントン、ケンタッキー州)と標準の薬物動態学の式を利用して、データの非区分化解析によって決定される。薬物動態学的な研究は、サイクル1/1日目およびサイクル1/8日目に実施して、PHY906へ長期間曝すことがイリノテカンの血漿クリアランスに対して、蓄積効果を及ぼすかどうかを決定する。 前述の議論と実施例は、単に特定の好ましい実施の形態の詳細な説明を提示するだけであると理解すべきである。したがって、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正物および等価物を作りえることが当業者には明らかであるべきである。本出願中で同定される、全ての雑誌の論文類、他の文献類、特許、および特許出願は、引用によりそれらの全体が援用される。 前述の詳細な説明は、理解を明瞭にするためだけに与えられたものであり、修正は、当業者に自明であるので、それから不必要な限定をくみ取るべきではない。 本発明は、その特定の実施の形態と関連して説明されてきたが、それが更なる修正を可能とし、そして本出願は、一般に本明の原則に従い、本発明の開示からの逸脱であり、本発明が属する当該技術内での既知または習慣的な慣行の範囲内にあり、そして前記に記載された本質的な事項に適用され、かつ添付された特許請求の範囲に従うようなものを含む、本発明のいかなる改変、使用また改作をも包含することを意図していると分かるであろう。 (完全な引用が明細書の本文中に提供されていない参考文献類) ここで引用される全ての参考文献類は、それらの全体が援用される。 Bienvenu JA, Monneret G, Gutowski MC.ら. ヒト血清および組織中のサイトカインアッセイ(Cytokine assays in human sera and tissues) Toxicology 129: 55−61(1998)。 Bleiberg, H.: 消化器癌でのCPT−11(CPT−11 in Gastrointestinal Cancer). European Journal of Cancer, 35巻, 3号, 371−379, 1999。 Bleiberg, H., Cvitkovic, E.: CPT−11(イリノテカン)によって誘発される副作用事象の同定と臨床的な管理(Characterization and clinical management of CPT−11 (irinotecan)−induced adverse events): 欧州での観点(The European perspective). Eur. J. Cancer 32A(Suppl 3):S18−S23, 1996。 Calabresi P.およびChabner BA: 腫瘍性疾患の化学療法(Chemotherapy of Neoplastic Diseases), Goodman & Gilman’s The Pharmocological Basis of Therapeutics, 9版, X節:1225−1232, 1996。 Chabner BA, Allegra CJ, Curt GA, Calabresi P.: 抗腫瘍剤(Antineoplastic Agents), Goodman & Gilman’s The Pharmocological Basis of Therapeutics, 9版, 51章:1233−1287。 Chen J. J.W, Wu R, Yang PC,ら. 比色検出を備えるcDNAマイクロアレイシステムによって、示差的に発現した遺伝子の発現パターンのプロファイリングと単離(Profiling expression patterns and isolating differentially expressed genes by cDNA microarray system with colorimetry detection) Genomics 51:313−324 (1998)。 Chu, X−Y, Kato, Y, Ueda, K. ら. ヒトでのCPT−11およびその代謝産物の胆管からの排泄メカニズム:一次活性な輸送体の関与 (Biliary Excretion Mechanism of CPT−11 and Its Metabolites in Humans: Involvement of Primary Active Transporters.) Cancer Res. 58:5137−5143,1998。 Douillard J., Cunningham D., Roth A., Germa J., James R., Karasek P., Jandik P., Iveson T., Carmichael J., Gruia G., Dembak M., Slbaud D., Rougier P.: 転移性の結腸直腸癌をもつ患者で、第一線の化学療法イリノテカン+5FU/葉酸を5FU/FAの同一スケジュールと比較する無作為化第III相試験 (A randomized phase III trial comparing Irinotecan + 5FU/Follnic Acid (FA) to the same schedule of 5FU/FA in patients (pts) with metastatic colorectal cancer (MCRC) as front line chemotherapy (CT)), Proc. ASCO, 18巻, 233a, 1999。 Gilman, M. 1993. リボヌクレアーゼ保護アッセイ:分子生物学の最新のプロトコール (Ribonuclease protection assay. In Current Protocols in Molecular Biology), 1巻. (Ausubel, F.M., R. Brent, R.E. Kingston, D.D. Moore, J.G. Seidman, J.A. SmithおよびK. Stuhl編), 4.7.1−4.7.8, 頁,John Wiley and Sons, Inc., New York。 Guo X, Lerner−Tung M, Chen HX, Chang CN, Zhu JL, Chang CP, Pizzorno G, Lin, TS, Cheng YC. 5−フルオロ−2−ピリミジノン、肝アルデヒドオキシダーゼに活性化される5−フルオロウラシルのプロドラッグ(5−Fluoro−2 pyrimidinone, A liver aldehyde oxidase−activated prodrug of 5−fluorouracil). Biochem Pharm, 49, 1111−1116 (1995)。 Gupta E, Mick R, Ramirez J, Wang X, Lestingi TM, Vokes EE, Ratain MJ: 癌患者でのトポイソメラーゼ阻害剤、イリノテカンの薬動態学および薬力学(Pharmacokinetic and pharmacodynamic evaluation of the topoisomerase inhibitor irinotecan in cancer patients). J Clin Oncol 15:1502−1510, 1997。 Haaz M.C., Rivory, L., Riche, C., ら. ヒト肝臓ミクロソームによるイリノテカン (CPT−11)の代謝: シトクロームP−450 3Aの関与および薬物の相互作用(Metabolism of irinotecan (CPT−11) by human hepatic microsomes: participation of cytochrome P−450 3A and drug interactions). Cancer Res 58:468−472 (1998)。 Hani Oka Hiroshi, Taki No Ko Suke: 漢方薬処方212の投与(Application of 212 formula of Kampo Medicine). Kabusiki Kaishya, Tokyo, Japan, 1998。 Hsu H. and Hsu C., 一般に使用されている中国薬草処方(Commonly used Chinese herbal formulas); Companion Handbook, Ohai Press。 Joulia, J., Pinguet, F., Ychou, M., Duffour, J., Astre, C. and Bressolle, F.: FU大型丸薬+高用量葉酸の連続注入を受けている、転移性結腸直腸癌患者における5−フルオロウラシルの血漿および唾液での薬物動態学(Plasma and Salivary Pharmacokinetics of 5−Fluorouracil (FU) in Patients with Metastatic Colorectal Cancer Receiving FU Bolus Plus Continuous Infusion with High−dose Folinic Acid). European Journal of Cancer, 35巻, 2号, 26−301, 1999。 Kaneda N., Nagata H., Furuta T., Yokokura T.: マウスでのカンプトテシン同族体CPT−11の代謝と薬物動態学(Metabolism and pharmacokinetics of the camptothecin analogue CPT−11 in the mouse). Cancer Res 50:1715−1720, 1990。 Kivisto K.T., Kroemer H.K. およびEichelbaum M. 抗癌剤の代謝におけるヒトシトクロームP450酵素類の役割:薬物相互作用の関係(The role of human cytochrome P450 enzymes in the metabolism of anticancer agents: implications for drug interactions) Br J. Clin Pharmacol 40:523−530 (1995)。 Koima K.,ら. Asho柴胡湯の長期間投与は、マウス肝臓でシトクロームP450のmRNAレベルを上昇させる(Long−term administration of Asho−saiko−to@increase cytochrome P−450 mRNA level in mouse liver) Biol. Pharm. Bull. 21:426−428, 1998。 Lombardi V.R.M, Garcia MおよびCacabelos L.R.R. 健常人およびアルツハイマー病人でのサイトカイン産生の確認、リンパ球サブセットパターンのスクリーニングおよびインビトロアポトーシス(Characterization of cytokine production, screening of lymphocyte subset patterns and in vitro apoptosis in healthy and Alzheimer’s Disease (AD) individuals) Journal of Neuroimmunol 97:163−171(1999)。 Miller CL and Eaves CJ. 移植可能でリンパ骨髄再構築能を有する成体マウス造血幹細胞のインビトロ拡張(Expansion in vitro of adult murine hematopoietic stem cells with transplantable lympho−myeloid reconstituting ability) Proc. Natl. Acad. Sci. 94:13648−13653 (1997)。 Mori K., Hirose T., Machida S., Tominaga K.: 進行した非小肺細胞癌でのイリノテカン誘発の下痢の防止のための漢方薬(Kampo medicines for the prevention of irinotecan−induced diarrhea in advanced non−small cell lung cancer) Gan To Kagaku Ryoho 25:1159−63, 1998。 Marita M., Nagai E., Hagiwara H., Aburada M., Yokoi T., Kamataki T.: SN−38 (7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン)のグルクロニドを基質に用いる漢方薬の天然グルクロニドによるβ−グルクロニダーゼの阻害(Inhibition of beta−glucuronidase by natural glucuronides of kampo medicines using glucuronide of SN−38 (7−ethyl−10−hydroxycamptothecin) as a substrate) Xenobiotica 23:5−10, 1993。 Peters, G.およびvan Groeninger, C.: 5−フルオロウラシルの生化学的調節の臨床的な関連性(Clinical relevance of biochemical modulation of 5−fluorouracil) Annals of Oncology 2: 469−480, 1991。 Pinedo, H.およびPeters, G.フルオロウラシル:生化学および薬理学(Fluorouracil: Biochemistry and Pharmacology) Journal of Clinical Oncology, 6巻, 10号 (10月), 1633−1664, 1988。 Pizzorno G., Wiegand R., Lentz S.およびHandschumacher R., ブレキナルはマウスcolon 38腫瘍モデルにおいて、ウリジンヌクレオチドプールの組織特異的調節によって5−フルオロウラシルの抗腫瘍活性を増強する(Brequinar Potentiates 5−Fluorouracil antitumor activity in a Murine model colon 38 tumor by tissue−specific modulation of uridine nucleotide pools) Cancer Res ., 52: 1660−1665, 1992。 Roby C.A., Anderson GDおよびDryer DA et al. St John’s Wort :St John’s Wort: CYP3A4活性に対する効果(Effect on CYP3A4 activity) Clin. Pharmacol. Ther. 67, 451−457 (2000)。 Saliba F, Hagipantelli R, Misset J−L, Bastian G, vassal G, Bonnay M, Herait P, Cote C, Mahjoubi M, Mignard D, Cvitkovic E: 進行した結腸直腸癌患者でのイリノテカン誘発による遅延発症する下痢の病態生理学および治療:見込みある事前評価(Pathophysiology and therapy in irinotecan−induced delayed−onset diarrhea in patients with advanced colorectal cancer: A prospective assessment) J Clin Oncol 16:2745−2751, 1998。 Saltz LB, Locker PK, Plrotta N, Elfring GL, Miller LL: 以前に処置されていない転移性結腸直腸癌では、毎週のイリノテカン(CPT−11), ロイコボリン(LV)およびフルオロウラシル(FU)が、毎日5回の5 LV/FUよりも優れている(Weekly Irinotecan (CPT−11) , Leucovorin (LV), and Fluorouracil (FU) is superior to daily x5 LV/FU in patients (PTS) with previously untreated metastatic colorectal cancer) (CRC), Proc. ASCO, Vol.18, 233a, 1999。 Stucky−Marshall, L.:消化器の悪性腫瘍での新しい薬剤類:1部:臨床でのイリノテカン(New Agents in Gastrointestinal Malignancies: Part 1: Irinotecan in Clinical Practice), Cancer Nursing, 22(3): 212−219, 1999。 Takasuna K, Takehiro H, Hirohashi M, Kato M,ら ラット中の抗腫瘍性カンプトテカン誘導体であるイリノテカン塩酸塩の腸管毒性における腸管ミクロ菌でのβ−グルクロニダーゼの関与(Involvement of b−glucuronidase in intestinal microflora in the intestinal toxicity of the antitumor camptothecin derivative irinotecan hydrochloride (CPT−11) in rats) Cancer Res. 56:3752−3757 (1996)。 Takasuna K, Takehiro H, Hirohashi M, et al. 腸管ミクロ菌の阻害−グルクロニダーゼは、ラット中の抗腫瘍剤イリノテカン塩酸塩(CPT−11)の活性代謝物の分布を変更する(Inhibition of intestinal microflora −glucuronidase modifies the distribution of the active metabolite of the antitumor agent, irinotecan hydrochloride (CPT−11) in rats) Cancer Chemother Pharmacol. 42:280−286 (1998)。 Wasserman E., Myara A., Lokiec F., Goldwasser F., Trivin F., Mahjoubi M., Misset J., Cvitkovic E.: Gilbert症候群の患者での重度のCPT−11毒性:2つの症例報告(Severe CPT−11 toxicity in patients with Gilbert’s syndrome: Two case reports) Ann Oncol 8:1049−1051, 1997。 Wierda D.およびMatamoros M. シスプラチン投与後のマウスでの骨髄造血の部分的キャラクタライゼーション(Partial characterization of bone marrow hemopoiesis in mice after cisplatin administration) Toxicol & Applied Pharmacol 75:25−34(1984)。 Xu Guo−Jun, 漢方への入門(Introduction to the Chinese Materia Medica) China Pharmaceutical Science Publication Inc., 北京, 中華人民共和国, 1996, 398頁。 I)薬学的に許容される担体; ii)Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia属薬草の各々の植物種からの材料または化学物質;および iii)1つまたはそれ以上の化学療法化合物を含む組成物。 前記植物種がScutellaria baicalensis、Glycyrrhiza uralensis、Ziziphus jujubaおよびPaeonia lactifloraであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。 1つまたはそれ以上の化学療法化合物が癌化学療法剤であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。 前記癌化学療法剤がイリノテカン、5−フルオロウラシル、VP−16およびβ−L−ジオキソラン−シチジン製剤からなる群より選択されることを特徴とする、請求項3に記載の組成物。 薬学的に許容される担体と、Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia属薬草の各々の植物種を含む組成物の治療的に有効な量を、癌治療を必要とする哺乳動物に投与することによって、癌治療のために癌治療化合物の治療係数を増加する方法。 前記薬草からの材料が濃縮した水性溶液からの顆粒化エキスの形態であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。 組成物が摂取可能な形態であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。 前記摂取可能な形態が粉剤、カプセル剤、液剤および錠剤からなる群より選択されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。 組成物が座薬の形態であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。 哺乳動物がヒトであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。 治療を必要とする哺乳動物を治療する方法であって、 i)薬学的に許容される担体; ii)Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia属薬草の各々の植物種からの材料または化学物質;および iii)1つまたはそれ以上の化学療法化合物を含む組成物の治療的に有効な量を投与することを特徴とする前記方法。 前記哺乳動物がヒトであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。 治療を必要とする哺乳動物を治療する方法であって、 1つまたはそれ以上の化学療法化合物と、 i)薬学的に許容される担体;および ii)Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia属薬草の各々の植物種からの材料または化学物質;を含む組成物の治療的に有効な量を投与することを特徴とする前記方法。 前記1つまたはそれ以上の化学療法化合物の投与前に、前記組成物を投与することを特徴とする、請求項13に記載の方法。 1つまたはそれ以上の化学療法化合物の投与後に、前記組成物を投与することを特徴とする、請求項13に記載の方法。 哺乳動物がヒトであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。 薬学的に許容される担体と、Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia属薬草の各々の植物種からの材料とから実質的になる組成物の治療的に有効な量を、病気の治療を必要とする哺乳動物に投与することによって、病気の治療のために血液学的活性または免疫学的活性を調節する方法。 前記薬草からの材料が濃縮した水性溶液からの顆粒化エキスの形態であることを特徴とする、請求項17に記載の方法。 組成物が摂取可能な形態であることを特徴とする、請求項17に記載の方法。 前記摂取可能な形態が粉剤、カプセル剤、液剤および錠剤からなる群より選択されることを特徴とする、請求項19に記載の方法。 組成物が座薬の形態であることを特徴とする、請求項17に記載の方法。 哺乳動物がヒトであることを特徴とする、請求項17に記載の方法。 化学療法を受けている哺乳動物の生活の質を改善する方法であって、 1つまたはそれ以上の化学療法化合物と、 i)薬学的に許容される担体;および ii)Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia属薬草の各々の植物種からの材料または化学物質;を含む組成物の治療的に有効な量を投与することを特徴とする前記方法。 前記哺乳動物がヒトであることを特徴とする、請求項23に記載の方法。 I)薬学的に許容される担体; ii)Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeoniaを含む薬草調製物;および iii)化学療法化合物を含む化学療法用製剤を含む組成物。 前記薬草調製物がScutellaria baicalensis、Glycyrrhiza uralensis、Ziziphus jujubaおよびPaeonia lactifloraからなることを特徴とする、請求項25に記載の組成物。 化学療法用製剤が癌化学療法剤を含むことを特徴とする、請求項25に記載の組成物。 前記癌化学療法剤がイリノテカン、5−フルオロウラシル、VP−16およびβ−L−ジオキソラン−シチジン製剤からなる群より選択されることを特徴とする、請求項27に記載の組成物。 治療を必要とする哺乳動物を治療する方法であって、 i)薬学的に許容される担体; ii)Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeoniaを含む薬草調製物;および iii)化学療法化合物を含む化学療法用製剤を含む組成物の治療的に有効な量を投与することを特徴とする前記方法。 哺乳動物において化学療法化合物の副作用を軽減する方法であって、 i)薬学的に許容される担体; ii)Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeoniaを含む薬草調製物;および iii)化学療法化合物を含む化学療法用製剤を含む組成物を投与することを特徴とする前記方法。 前記哺乳動物がヒトであることを特徴とする、請求項30に記載の方法。 哺乳動物において化学療法用製剤の有効性を増加させる方法であって、 i)薬学的に許容される担体; ii)Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeoniaを含む薬草調製物;および iii)化学療法化合物を含む化学療法用製剤を含む組成物を投与することを特徴とする前記方法。 哺乳動物がヒトであることを特徴とする、請求項31に記載の方法。 哺乳動物において化学療法化合物の抗腫瘍活性を増加させる方法であって、 i)薬学的に許容される担体; ii)Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeoniaを含む薬草調製物;および iii)化学療法化合物を含む化学療法用製剤を含む組成物を投与することを特徴とする前記方法。 前記哺乳動物がヒトであることを特徴とする、請求項34に記載の方法。 化学療法剤を使用する方法であって、 i)薬学的に許容される担体; ii)Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeoniaを含む薬草調製物;および iii)化学療法化合物を含む化学療法用製剤を含む組成物を投与することを特徴とする前記方法。 化学療法治療計画を含む治療方法であって、該治療計画が化学療法化合物と、 i)薬学的に許容される担体;および ii)Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeoniaを含む薬草調製物; を含む組成物とを、含むことを特徴とする前記方法。 化学療法化合物と、 I)薬学的に許容される担体;および ii)Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeoniaを含む薬草調製物;を含む組成物とを、含むことを特徴とする治療計画。 組成物が3つの化学療法化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。 前記化学療法化合物がCPT−11、FUおよびLVであることを特徴とする、請求項39に記載の組成物。 化学療法用製剤が3つの化学療法化合物を含むことを特徴とする、請求項25に記載の組成物。 前記化学療法化合物がCPT−11、FUおよびLVであることを特徴とする、請求項41に記載の組成物。 方法が3つの化学療法化合物を投与することからなることを特徴とする、請求項11、13または23のいずれか1項に記載の方法。 前記3つの化学療法化合物がCPT−11、FUおよびLVであることを特徴とする、請求項43に記載の組成物。 方法が3つの化学療法化合物を含む化学療法用製剤を含む請求項29、30、32、34、36または37のいずれか1項に記載の方法。 前記3つの化学療法化合物がCPT−11、FUおよびLVであることを特徴とする、請求項45に記載の方法。 I)薬学的に許容される担体; ii)Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia属薬草の各々の植物種からの材料または化学物質;および iii)1つまたはそれ以上の抗ウイルス剤を含む組成物。 前記植物種がScutellaria baicalensis、Glycyrrhiza uralensis、Ziziphus jujubaおよびPaeonia lactifloraであることを特徴とする、請求項47に記載の組成物。 1つまたはそれ以上の抗ウイルス剤が抗レトロウイルス剤であることを特徴とする、請求項47に記載の組成物。 抗ウイルス剤がAZT、DDI、3TCおよびD4Tからなる群より選択されることを特徴とする、請求項47に記載の組成物。 組成物が3つの抗ウイルス剤を含むことを特徴とする、請求項47に記載の組成物。 3つの抗ウイルス剤が1)d4T、3TCおよびプロテアーゼ阻害剤;2)AZT、3TCおよびプロテアーゼ阻害剤;および3)AZT、DDIおよびプロテアーゼ阻害剤からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項51に記載の組成物。 前記プロテアーゼ阻害剤がネルフィナビル、インジナビル、サキナビルおよびリトナビルからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項52に記載の組成物。 治療を必要とする患者を治療する方法であって、 i)薬学的に許容される担体; ii)Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia属薬草の各々の植物種からの材料または化学物質;および iii)1つまたはそれ以上の抗ウイルス剤を含む組成物の治療的に有効な量を投与することを特徴とする前記方法。 抗ウイルス療法の治療的有効性を増加する方法であって、 i)薬学的に許容される担体; ii)Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia属薬草の各々の植物種からの材料または化学物質;および iii)1つまたはそれ以上の抗ウイルス剤を含む組成物の治療的に有効な量を投与することを特徴とする前記方法。 抗ウイルス療法の抗ウイルス活性を増加する方法であって、 i)薬学的に許容される担体; ii)Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia属薬草の各々の植物種からの材料または化学物質;および iii)1つまたはそれ以上の抗ウイルス剤を含む組成物の治療的に有効な量を投与することを特徴とする前記方法。 【課題】病気、特にウイルス感染や癌の新生物の治療に使用されるものを含む医薬の治療指数を増加させ、患者の生活の質を改善することに役立つ組成物の提供。【解決手段】Scutellariae baicalensis Georgi(コガネバナ)、Paeonia lactiflora pall(シャクヤク)、Glycyrrhizae uralensis Fisch(ウラルカンゾウ)およびFructus ziziphi(ナツメヤシ)をそれぞれ、乾燥重量で1.5:1.0:1.0:1.0の割合に混合した、配分を有する4つの薬草から成る薬草組成物PHY906。【選択図】図120120419A16333全文3 i)Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia、ならびに薬学的に許容される担体からなる薬草調製物と ii)化学療法化合物を含む化学療法用製剤との組合せを含む、癌治療用組合せ薬剤。 i)Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia、ならびに薬学的に許容される担体からなる薬草調製物と ii)化学療法化合物を含む化学療法用製剤との組合せを含む、化学療法化合物の副作用を軽減するための組合せ薬剤。 i)Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeonia、ならびに薬学的に許容される担体からなる薬草調製物と ii)化学療法化合物を含む化学療法用製剤との組合せを含む、化学療法用製剤の抗腫瘍活性を増加させるための組合せ薬剤。 前記薬草調製物がScutellaria baicalensis、Glycyrrhiza uralensis、Ziziphus jujuba、Paeonia lactiflora、及び1つまたはそれ以上の薬学的に許容される担体からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組合せ薬剤。 前記薬草調製物が経口経路によって投与され、前記化学療法用製剤が経口または非経口経路によって投与される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組合せ薬剤。 前記薬草調製物が経口経路によって投与され、前記化学療法用製剤が静脈内経路によって投与される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組合せ薬剤。 前記薬草調製物が、前記化学療法用製剤が投与される前に投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組合せ薬剤。 前記薬草調製物が、前記化学療法用製剤が投与された後に投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組合せ薬剤。 前記薬草調製物が、前記化学療法用製剤が投与されると同時に投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組合せ薬剤。 前記薬草調製物が、Scutellaria、Glycyrrhiza、ZiziphusおよびPaeoniaのそれぞれのエキス、ならびに薬学的に許容される担体からなる請求項1〜6のいずれか一項に記載の組合せ薬剤。 前記薬草調製物が、Scutellaria baicalensis、Glycyrrhiza uralensis、Ziziphus jujubaおよびPaeonia lactifloraのそれぞれのエキス、ならびに薬学的に許容される担体からなる請求項1〜6のいずれか一項に記載の組合せ薬剤。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る