生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_耳管開放症治療剤
出願番号:2012091083
年次:2012
IPC分類:A61K 31/5575,A61K 45/00,A61P 1/08,A61P 27/16,A61P 25/14,A61P 25/06,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

多田 直樹 坂田 喜代人 正山 彰子 JP 2012229209 公開特許公報(A) 20121122 2012091083 20120412 耳管開放症治療剤 小野薬品工業株式会社 000185983 特許業務法人三枝国際特許事務所 110000796 多田 直樹 坂田 喜代人 正山 彰子 JP 2011089239 20110413 A61K 31/5575 20060101AFI20121026BHJP A61K 45/00 20060101ALI20121026BHJP A61P 1/08 20060101ALI20121026BHJP A61P 27/16 20060101ALI20121026BHJP A61P 25/14 20060101ALI20121026BHJP A61P 25/06 20060101ALI20121026BHJP A61P 43/00 20060101ALI20121026BHJP JPA61K31/5575A61K45/00A61P1/08A61P27/16A61P25/14A61P25/06A61P43/00 121 7 OL 11 4C084 4C086 4C084AA17 4C084MA02 4C084MA35 4C084MA52 4C084NA14 4C084ZA08 4C084ZA12 4C084ZA34 4C084ZC75 4C086AA01 4C086AA02 4C086DA03 4C086MA01 4C086MA02 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA08 4C086ZA12 4C086ZA34 4C086ZA71 4C086ZC75 本発明は、耳管開放症の予防、治療および/または症状改善剤に関する。 耳は聴覚と平衡感覚をつかさどる器官で、外耳、中耳、および内耳に大別される。耳管は鼻咽腔と中耳腔をつないでいる粘膜の管で、外の空気を中耳の中に取り入れ、鼓膜の内外の空気圧を等しくする働きがある。 耳管開放症は、通常閉じている耳管が開いたままの状態となる疾患であり、自声強調、耳閉感、自己呼吸音聴取等の症状を惹き起こす。耳管開放症の原因としては、ストレスや血流障害、急激な体重減少等が考えられているが、そのメカニズムは不明であり、未だ解明されていない。症状や重症度に応じて、薬物療法、耳管への脂肪やシリコンの注入、また耳管開口部に薬液を噴霧して炎症を起こして狭窄させる等の保存療法や、シリコン製耳管ピンや軟骨片の耳管腔内挿入等の外科的手術が行われるが、有効な治療方法はまだ確立されていない。 薬物療法においては、加味帰脾湯等の漢方薬や、抗不安薬、ビタミン製剤、アデノシン三リン酸製剤(以下、ATP製剤と記載する。)等が用いられているが、有効性の確立した薬剤はない。 一方、リマプロスト アルファデクス錠は、末梢循環改善作用を有する経口PGE1製剤として既に臨床現場で用いられており、安全な医薬品として知られている。リマプロストを含有する製剤であるリマプロスト アルファデクス錠は、末梢循環障害の予防および/または治療剤として有用であり、閉塞性血栓血管炎や腰部脊柱管狭窄症等の症状を改善するために大変有用な薬剤である。また、リマプロスト アルファデクス錠の有効成分であるリマプロストは血管拡張作用、血小板凝集抑制作用等を有し、末梢循環を改善することが知られている。 リマプロスト等のPGEレセプター結合活性を有する化合物が内耳疾患に有効であり、内耳性めまいまたは内耳性難聴に有効であることが報告されている(特許文献1参照)。しかしながら、内耳と耳管は全く別の組織であり、これまでに、リマプロストが耳管開放症に有効であるという報告はない。特開2007−023028号公報 現状、耳管開放症に対しては、有効性の確立された治療薬はない。本発明は、有効かつ安全であり、しかも経口投与可能な、耳管開放症の予防、治療および/または症状改善剤を提供することを目的とする。 本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、リマプロストが耳管開放症の治療薬となり得ることを見出した。さらに、リマプロストは現在臨床現場で用いられている漢方薬やATP製剤が無効であった耳管開放症の患者に対しても有効であることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明は以下の通りである。1.リマプロスト類を含有してなる耳管開放症の予防、治療および/または症状改善剤、2.リマプロスト類が、リマプロスト アルファデクスである前記1に記載の剤、3.耳管開放症の症状が、自声強調、耳閉感、自己呼吸音聴取、ふらつき、めまい、聴力低下、難聴、耳鳴り、頚凝り、肩凝り、頭痛および鬱症状から選択される1種以上である前記1又は2に記載の剤、4.耳管開放症が、漢方薬、抗不安薬、ビタミン製剤および/またはATP製剤が無効な患者における耳管開放症である前記1〜3のいずれかに記載の剤、5.耳管開放症患者に、リマプロストに換算して1回あたり5μgから10μgの量が、1日3回、1日乃至52週間経口投与されることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の剤、6.耳管開放症患者が、漢方薬、抗不安薬、ビタミン製剤および/またはATP製剤が無効な患者である前記5に記載の剤、7.さらに、漢方薬、抗不安薬、ビタミン製剤およびATP製剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の薬剤を組み合わせてなる前記1〜6のいずれかに記載の剤、8.耳管開放症の予防、治療および/または症状改善剤を製造するためのリマプロスト類の使用、9.耳管開放症の予防、治療および/または症状改善するために使用するリマプロスト類、および10.耳管開放症の患者に対して、有効量のリマプロスト類を投与することを特徴とする耳管開放症を治療および/または症状改善する方法に関する。 リマプロスト類は、耳管開放症の予防および/または治療剤として有効である。また、耳管開放症の症状である自声強調、耳閉感、自己呼吸音聴取、ふらつき、めまい、聴力低下、難聴、耳痛、耳鳴り、頚凝り、肩凝り、頭痛、鬱症状等の種々の症状の改善剤としても有効である。 また、リマプロスト類は、臨床現場で用いられている漢方薬やATP製剤等が無効な患者に対しても有効である。 さらに、リマプロスト類は、耳管開放症の治療のために用いられている他の薬剤(例えば、漢方薬(加味帰脾湯、半夏百朮天麻湯、補中益気湯等)、抗不安薬、ビタミン製剤、ATP製剤等)と組み合わせて投与してもよい。 本発明において、「治療」とは、病態を完全に治癒させることの他、完全に治癒しなくても症状の進展・悪化を抑制し、病態の進行をとどめること、または病態の一部または全部を改善して治癒の方向へ導くことを、「予防」とは病態の発症を防ぐこと、抑制することまたは遅延させることを、「症状改善」とは症状を緩解することをそれぞれ意味するものとする。 リマプロスト類 本明細書において、「リマプロスト類」とは、リマプロスト、その塩およびリマプロストを含む包接化合物からなる群より選択される1種以上を意味する。 本発明の剤は、有効成分としてリマプロスト、その塩およびリマプロストを含む包接化合物からなる群より選択される1種以上を含有し、有効成分であるリマプロスト類を、耳管開放症の患者にリマプロストに換算して1日あたり5μgから50μg、好ましくは15μgから30μg、より好ましくは15μgまたは30μgの量、1日乃至52週間経口投与するための剤であれば特に限定されず、例えば、有効成分であるリマプロスト類としてリマプロストがそのままの形で、またはその塩若しくはそのシクロデキストリン包接化合物等の包接化合物の形で含まれていればよい。本発明の剤には、リマプロスト、その塩およびリマプロストを含む包接化合物のうち1種または2種以上が含まれていればよい。 本明細書において、リマプロストとは、下記式(I)で示される化合物であり、化学名は(E)−7−[(1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−[(3S,5S)−(E)−3−ヒドロキシ−5−メチル−1−ノネニル]−5−オキソシクロペンチル]−2−ヘプテン酸(Registry No.74397−12−9)である。 また、リマプロストのシクロデキストリン包接化合物としては、例えばリマプロストのα−シクロデキストリン包接化合物、β−シクロデキストリン包接化合物、及びγ−シクロデキストリン包接化合物などが挙げられるが、なかでも下記式(II)で示される、リマプロストをα−シクロデキストリンで包接した化合物が好ましい。この化合物の化学名は、(E)−7−[(1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−[(3S,5S)−(E)−3−ヒドロキシ−5−メチル−1−ノネニル]−5−オキソシクロペンチル]−2−ヘプテン酸 α−シクロデキストリン包接化合物(Registry No.100459−01−6)であり、一般に、リマプロスト アルファデクスとして知られている。これは第十五改正日本薬局方に収載されている「リマプロスト アルファデクス」と同義である。 本発明においては、特に断わらない限り、当業者にとって明らかなように記号は紙面の向こう側(すなわちα−配置)に結合していることを表わし、は紙面の手前側(すなわちβ−配置)に結合していることを表わす。 また、リマプロストの塩は、非毒性の塩、特に薬学的に許容される塩であり、このような塩としてナトリウム塩又はカリウム塩が挙げられる。 本発明においては、リマプロストを、上記式(II)で表わされるリマプロストのα−シクロデキストリン包接化合物、すなわちリマプロスト アルファデクスの形で用いるのが好ましい。 耳管開放症 耳管開放症は、通常閉じている耳管が開いたままの状態となる疾患であり、その症状としては、耳管開放症の種々の症状、例えば、自声強調、耳閉感、自己呼吸音聴取、ふらつき、めまい、聴力低下、難聴、耳痛、耳鳴り、頚凝り、肩凝り、頭痛、鬱症状等が挙げられる。 耳管開放症の評価方法は、一般に知られている方法であればどのような方法でもよいが、例えば、自覚症状の聴取や、耳管機能検査装置を用いて診断することが可能である。耳管機能検査装置を用いた診断としては、耳管鼓室気流動態法(TTAG)、音響耳管法、加圧減圧法、耳管カテーテル通気法、インピーダンス法等が挙げられる。 投与量および投与方法 本発明に用いられるリマプロスト類の投与量としては、耳管開放症およびその症状の改善に有効性を示す量であればよく、特に限定されないが、好ましくは、大人1日あたり、上記式(I)で表わされる化合物(リマプロスト)に換算した量として15μgまたは30μgを投与することが好ましい。また、リマプロスト類の1回あたりの投与量は、リマプロストに換算して5μgから10μg、特に5μgまたは10μgが好ましい。リマプロストを、リマプロストのシクロデキストリン包接化合物(例えば、リマプロスト アルファデクス)として投与する場合は、リマプロストのシクロデキストリン包接化合物中に含まれるリマプロストが1日あたり5μgから50μg、好ましくは15μgから30μg、より好ましくは15μgまたは30μg投与されるような量に換算して投与すればよい。 投与方法としては、1日1回乃至3回投与することが好ましく、特に1日3回、朝、昼、晩、好ましくは毎食後に投与することが好適である。また、投与期間は、有効性を示す期間であればどのような期間でもよく、また症状の種類および重症度によっても異なるが、例えば、1日乃至52週間が好ましく、3日乃至26週間がより好ましい。さらに好ましくは1週乃至12週間であり、特に好ましくは2週乃至8週間である。投与期間中、上記量のリマプロスト類を、毎日投与してもよく、間歇投与してもよいが、毎日投与することが好ましい。 本発明において、リマプロスト類の投与経路は経口投与であり、経口投与する場合の剤型としては、固形製剤(例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤等)であることが好ましい。該固形製剤において、リマプロストは、リマプロスト アルファデクスとして含有されていてもよい。さらに好ましくは錠剤(例えば、素錠、有核錠、コーティング錠、三層錠等)である。また錠剤は口腔内速崩錠等の徐放性製剤であってもよい。リマプロストを含有する錠剤としては、例えば、オパルモン錠(商品名)、プロレナール錠(商品名)、オパプロスモン錠(商品名)、オプチラン錠(商品名)、ゼフロプト錠(商品名)、リマルモン錠(商品名)、リマプロスト アルファデクス錠5μg「F」(商品名)等の、リマプロストをリマプロスト アルファデクスとして含有するリマプロスト アルファデクス錠が挙げられる。さらに、リマプロストを含有する錠剤としては、リマプロストを含有する錠剤であれば前記の錠剤以外でもよい。 該錠剤中のリマプロスト類の量は、1錠中、リマプロストに換算して5μgから10μg、特に5μgまたは10μgが好ましい。該錠剤において、リマプロストを、リマプロストのシクロデキストリン包接化合物(例えば、リマプロスト アルファデクス)として含有する場合、リマプロストのシクロデキストリン包接化合物中に含まれるリマプロストが、1錠中、5μgまたは10μgになるよう換算して含まれるものが好ましい。リマプロスト類を含有する錠剤としては、リマプロストをリマプロスト アルファデクスとして含有するリマプロスト アルファデクス錠が好ましい。 また、リマプロスト類を、耳管開放症の治療のために用いられている他の薬剤、例えば、漢方薬(加味帰脾湯、半夏百朮天麻湯、補中益気湯等)、抗不安薬、ビタミン製剤、ATP製剤等と組み合わせて投与してもよい。リマプロスト類と上記他の薬剤は、両者を含む単一製剤に製剤化して同時に投与してもよい。或いは、両者を別々に製剤化して個別又は同時に投与してもよい。 本発明に用いられる化合物の製造方法 本発明に用いられるリマプロストまたはリマプロスト アルファデクスは、公知の方法、例えば特開昭55−100360号公報に記載された方法等によって製造することができる。リマプロストの塩及び包接化合物は、リマプロストから周知の方法で得ることができる。また前述したように、リマプロストのα−シクロデキストリン包接化合物(リマプロスト アルファデクス)を含有する薬剤は市販されている。 毒性 本発明に用いられるリマプロスト類、特にリマプロストおよびそのシクロデキストリン包接化合物(リマプロスト アルファデクス等)の毒性は非常に低いものであり、医薬として使用するために十分安全である。 医薬品への適用 本発明に用いられるリマプロスト類は、耳管開放症の予防、治療および/または症状改善剤として有用である。具体的には、リマプロスト類をリマプロストに換算して1日あたり15μgまたは30μg、1日乃至52週間経口投与することで、耳管開放症に効果がある。さらに、リマプロスト類をリマプロストに換算して1日あたり15μgまたは30μg、1日乃至52週間経口投与することによって、耳管開放症の種々の症状、例えば、自声強調、耳閉感、自己呼吸音聴取、ふらつき、めまい、聴力低下、難聴、耳痛、耳鳴り、頚凝り、肩凝り、頭痛、鬱症状等も改善される。 投与対象 リマプロスト類を上記目的で用いるために、耳管開放症患者に対してリマプロスト類を経口投与する。リマプロスト類の投与は、前記の好ましい投与量、投与方法、投与期間、投与経路、剤型等を組み合わせて行うのが好ましい。 また、リマプロスト類は、耳管開放症の治療のために用いられている薬剤(例えば、漢方薬(加味帰脾湯、半夏百朮天麻湯、補中益気湯等)、抗不安薬、ビタミン製剤、ATP製剤等)が無効な患者に対しても有効である。 製剤 本発明において、リマプロスト類を含有する固形製剤は、リマプロスト類に、必要に応じて、医薬として許容される添加剤を加え、単独製剤または配合製剤として汎用されている技術を用いて製造することができる。製剤化する際、リマプロストをリマプロスト アルファデクスとして用いてもよい。 リマプロスト類を含有する固形製剤を製造する場合、リマプロスト類の他に、さらに添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、固形製剤を製造する際に一般的に使用されるものであればよく、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、矯味剤、矯臭剤、界面活性剤、香料、着色剤、抗酸化剤、隠蔽剤、静電気防止剤、流動化剤、湿潤剤等を1種または2種以上適宜配合して用いることができる。 賦形剤としては、例えば、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、乳糖、異性化乳糖、還元乳糖、ショ糖、D−マンニトール、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、パラチノース、トレハロース、ソルビトール、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、結晶セルロース、タルク、無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、デキストラン(例えば、デキストラン、デキストラン40、デキストラン70等)、プルラン、デキストリン、β−シクロデキストリン、アルファー化デンプン等が挙げられる。結合剤としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、アルギン酸ナトリウム、プルラン、アラビアゴム末、ゼラチン、デキストリン等が挙げられ、これらの1種または2種以上適宜配合して用いてもよい。滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール等が挙げられる。崩壊剤としては、例えば低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルスターチ、トウモロコシデンプン等が挙げられる。矯味剤としては、例えば白糖、D−ソルビトール、キシリトール、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、グルタミン酸ナトリウム、5’−イノシン酸ナトリウム、5’−グアニル酸ナトリウム等が挙げられる。矯臭剤としては、例えばトレハロース、リンゴ酸、マルトース、グルコン酸カリウム、アニス精油、バニラ精油、カルダモン精油等が挙げられる。界面活性剤としては、例えばポリソルベート(ポリソルベート80など)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合物、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。香料としては、例えばレモン油、オレンジ油、メントール、はっか油等が挙げられる。着色剤としては、例えば酸化チタン、食用黄色5号、食用青色2号、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄等が挙げられる。抗酸化剤としては、例えばアスコルビン酸ナトリウム、L−システイン、亜硫酸ナトリウム、ビタミンE等が挙げられる。隠蔽剤としては、例えば酸化チタン等が挙げられる。静電気防止剤としては、例えばタルク、酸化チタン等が挙げられる。流動化剤としては、例えば軽質無水ケイ酸、タルク、含水二酸化ケイ素等が挙げられる。湿潤剤としては、例えばポリソルベート80、ラウリル酸硫酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、マクロゴール、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等が挙げられる。これらの添加剤は、一般的に経口投与製剤に通常用いられる割合で配合される。また、上記以外にも、公知の文献、例えば、薬事日報社2000年刊「医薬品添加物事典」(日本医薬品添加剤協会編集)等に記載されているような添加剤を用いてもよい。 リマプロスト類を含有する固形製剤は公知の方法で製造することができ、例えば、転動造粒機、撹拌造粒機、流動造粒機、遠心転動造粒機、乾式造粒機等を用いて、造粒することにより顆粒を製造することができる。 該固形製剤は、例えば上記方法で得られる顆粒をそのまま顆粒剤として用いることができる。また、固形製剤には、上記顆粒を含有するカプセル剤も含まれる。カプセル剤は公知の方法で製造することができ、例えば前記顆粒、さらに必要に応じて添加剤を添加したものを硬カプセル(例えば、ゼラチンカプセル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセル、プルランカプセル、ポリビニルアルコール(PVA)カプセル等)にカプセル充填機を用いて充填することにより、行なうことができる。また、固形製剤には、上記顆粒を含有する錠剤も含まれる。錠剤は公知の方法で製造することができる。例えば上記顆粒および必要に応じて添加剤を均等に混合し、回転式打錠機等によって圧縮成型して素錠を得、該素錠をそのまま錠剤にして使用してもよく、必要に応じてさらにコーティング基剤を用いて被覆してもよい。また、造粒を行わずに薬物等を含有する混合末を調製し、それを回転式打錠機等によって錠剤化することもできる。さらに、上記顆粒の代わりに、リマプロストおよび賦形剤を溶媒(例えば水、有機溶媒(例えば、エタノール、アセトン等)、またはそれらの混合溶媒等)に溶解し、常法に従って凍結乾燥した凍結乾燥品を用いて錠剤を製造してもよい。すなわち、リマプロストを含有する凍結乾燥品を粉砕した後、必要に応じて添加剤を添加して混合し、打錠することによって錠剤にしてもよい。 以下、実施例によって本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 耳管開放症に対するリマプロストの作用<症例1>(1)患者背景 76歳女性。自声強調等の自覚症状および耳管機能検査装置による耳管鼓室気流動態法(TTAG)により耳管開放症と診断した。(2)リマプロスト投与の効果 患者に、ビタミンB12製剤であるメチコバール、ATP製剤と合わせて、オパルモン(1錠中にリマプロストを5μg含むリマプロスト アルファデクス錠)を、1回1錠、1日3回(即ち、リマプロストに換算して15μg/日)、28日間投与した。その結果、自覚症状が消失し、TTAGによる耳管開放所見の改善が認められた。<症例2>(1)患者背景 62歳男性。耳閉感等の自覚症状およびTTAGにより耳管開放症と診断した。(2)リマプロスト投与の効果 患者に、オパルモン(1錠中にリマプロストを5μg含むリマプロスト アルファデクス錠)を、1回2錠、1日3回(即ち、リマプロストに換算して30μg/日)、62日間投与した。その結果、20日間で自覚症状が改善、62日間で自覚症状が消失し、TTAGによる耳管開放所見が改善した。<症例3>(1)患者背景 46歳男性。耳閉感および耳痛等の自覚症状およびTTAGにより耳管開放症と診断した。(2)リマプロスト投与の効果 患者に、漢方薬(加味帰脾湯、半夏百朮天麻湯)および抗不安薬であるデパスを2週間投与したが症状が改善しなかった。そのため、オパルモン(1錠中にリマプロストを5μg含むリマプロスト アルファデクス錠)を、1回1錠、1日3回(即ち、リマプロストに換算して15μg/日)、1か月間追加投与した。その結果、自覚症状が消失し、TTAGによる耳管開放所見が改善した。<症例4>(1)患者背景 60歳男性。耳閉感等の自覚症状およびTTAGにより耳管開放症と診断した。(2)リマプロスト投与の効果 患者に、ステロイド製剤であるプレドニン、ビタミンB12製剤であるメチコバール、ATP製剤および加味帰脾湯を2週間投与したが症状が改善しなかった。そのため、プレドニンをオパルモン(リマプロストに換算して15μg/日)に切り替えて、メチコバール、ATP製剤および加味帰脾湯と併用したところ、投与後2週間で耳閉感等の自覚症状が改善し、45日間で自覚症状の消失、およびTTAGによる耳管開放所見の改善が認められた。 なお、ステロイド製剤は、併発が疑われたメニエール病等の内耳疾患への奏効を期待して処方したものである。<症例5>(1)患者背景 71歳男性。耳閉感等の自覚症状及びTTAGにより耳管開放症と診断した。(2)リマプロスト投与の効果 患者に、ビタミンB12製剤であるメチコバール、ATP製剤、加味帰脾湯およびオパルモン(リマプロストに換算して15μg/日)を投与したところ、投与後2週間で耳閉感等の自覚症状およびTTAGによる耳管開放所見の改善が認められ、投与後1カ月で自覚症状が消失した。 上記の通り、リマプロスト類は耳管開放症およびその症状に有効であることが確認された。また、臨床現場において、耳管開放症患者に用いられている漢方薬、抗不安薬、ビタミン製剤およびATP製剤が無効であった患者に対しても有効であることを確認した。[製剤例] 本発明に用いられる代表的な製剤例を以下に示す。 製剤例1 デキストラン40を350g秤量し、精製水1875gに溶解させた。これに50gのリマプロスト アルファデクスを溶解させた後、常法に従い凍結乾燥した。得られた粉末4gにデキストリンを26g、乳糖を252.9g、トウモロコシデンプンを15g、軽質無水ケイ酸を0.6g、およびステアリン酸を1.5g混合し、ロータリー式打錠機を用いて、打錠圧800kg/cm2で打錠および60℃、0.1キロパスカル以下、2時間の条件にて乾燥することにより1錠(100mg、6.5mmφ)当り上記式(I)で示される化合物を5μg含有する錠剤2000錠を得た。<錠剤(100mg)1錠中の組成>リマプロスト アルファデクス 0.167 mg(式(I)で示される化合物として5μg)デキストラン40 1.167 mgデキストリン 8.67 mg乳糖 84.3 mgトウモロコシデンプン 5.0 mg軽質無水ケイ酸 0.20 mgステアリン酸 0.50 mg計 100 mg リマプロスト類は、耳管開放症の予防および/または治療剤として有効である。また、耳管開放症の症状である自声強調、耳閉感、自己呼吸音聴取、ふらつき、めまい、聴力低下、難聴、耳痛、耳鳴り、頚凝り、肩凝り、頭痛、鬱症状等の種々の症状の改善剤としても有効である。 また、リマプロスト類は、臨床現場で用いられている漢方薬、抗不安薬、ビタミン製剤およびATP製剤が無効な患者に対しても有効である。 したがって、有効な治療方法が確立していない耳管開放症に対して、新たな予防、治療および/または症状改善剤を提供することができる。リマプロスト類を含有してなる耳管開放症の予防、治療および/または症状改善剤。リマプロスト類が、リマプロスト アルファデクスである請求項1に記載の剤。耳管開放症の症状が、自声強調、耳閉感、自己呼吸音聴取、ふらつき、めまい、聴力低下、難聴、耳痛、耳鳴り、頚凝り、肩凝り、頭痛および鬱症状から選択される1種以上である請求項1に記載の剤。耳管開放症が、漢方薬、抗不安薬、ビタミン製剤および/またはATP製剤が無効な患者における耳管開放症である請求項1に記載の剤。耳管開放症患者に、リマプロストに換算して1回あたり5μgから10μgの量が、1日3回、1日乃至52週間経口投与されることを特徴とする請求項1又は2に記載の剤。耳管開放症患者が、漢方薬、抗不安薬、ビタミン製剤および/またはATP製剤が無効な患者である請求項5に記載の剤。さらに、漢方薬、抗不安薬、ビタミン製剤およびATP製剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の薬剤を組み合わせてなる請求項1に記載の剤。 【課題】本発明は、有効性の確立されていない耳管開放症の予防、治療および/または症状改善剤を提供することを目的とする。【解決手段】リマプロスト類は、耳管開放症の予防および/または治療剤として有効である。また、耳管開放症の症状である自声強調、耳閉感、自己呼吸音聴取、ふらつき、めまい、聴力低下、難聴、耳痛、耳鳴り、頚凝り、肩凝り、頭痛、鬱症状等の種々の症状の改善剤としても有効である。さらに、リマプロスト類は、臨床現場で用いられている漢方薬、抗不安薬、ビタミン製剤および/またはATP製剤が無効な患者に対しても有効である。【選択図】なし


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