生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_ワクチンの開発のためのフェノール可溶性モジュリンの使用
出願番号:2011539059
年次:2012
IPC分類:C12N 15/09,C07K 19/00,C07K 14/31,C12N 1/15,C12N 1/19,C12N 1/21,C12N 5/10,C12N 15/117,C12N 5/0784,A61K 45/00,A61K 48/00,A61K 39/00,A61K 35/74,A61K 35/76,A61K 36/06,A61K 35/56,A61K 35/12


特許情報キャッシュ

ボラス クエスタ、フランシスコ カサレス ラガル、イネス ノエリア デュランテス デルガド、マリア デル カルメン ラサルテ サガスティベルサ、フアン ホセ ルクレール、クロード プリエト バルトゥエーニャ、ヘスス マリア サロベ ウガリサ、パブロ JP 2012510284 公表特許公報(A) 20120510 2011539059 20091202 ワクチンの開発のためのフェノール可溶性モジュリンの使用 プロイェクト、デ、ビオメディシナ、シーマ、ソシエダッド、リミターダ 506061716 PROYECTO DE BIOMEDICINA CIMA, S.L. インスティティ・パスツール 501474748 INSTITUT PASTEUR 紺野 昭男 100094640 ボラス クエスタ、フランシスコ カサレス ラガル、イネス ノエリア デュランテス デルガド、マリア デル カルメン ラサルテ サガスティベルサ、フアン ホセ ルクレール、クロード プリエト バルトゥエーニャ、ヘスス マリア サロベ ウガリサ、パブロ ES P200803441 20081203 C12N 15/09 20060101AFI20120406BHJP C07K 19/00 20060101ALI20120406BHJP C07K 14/31 20060101ALI20120406BHJP C12N 1/15 20060101ALI20120406BHJP C12N 1/19 20060101ALI20120406BHJP C12N 1/21 20060101ALI20120406BHJP C12N 5/10 20060101ALI20120406BHJP C12N 15/117 20100101ALI20120406BHJP C12N 5/0784 20100101ALI20120406BHJP A61K 45/00 20060101ALI20120406BHJP A61K 48/00 20060101ALI20120406BHJP A61K 39/00 20060101ALI20120406BHJP A61K 35/74 20060101ALI20120406BHJP A61K 35/76 20060101ALI20120406BHJP A61K 36/06 20060101ALI20120406BHJP A61K 35/56 20060101ALI20120406BHJP A61K 35/12 20060101ALI20120406BHJP JPC12N15/00 AC07K19/00C07K14/31C12N1/15C12N1/19C12N1/21C12N5/00 101C12N15/00 JC12N5/00 202MA61K45/00A61K48/00A61K39/00 HA61K35/74 AA61K35/76A61K35/72A61K35/56A61K35/12 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW ES2009070546 20091202 WO2010063865 20100610 71 20110802 4B024 4B065 4C084 4C085 4C087 4H045 4B024AA01 4B024BA31 4B024CA02 4B024CA07 4B024DA02 4B024HA01 4B065AA53Y 4B065AA90X 4B065AA90Y 4B065AB01 4B065AC14 4B065BA02 4B065CA24 4B065CA45 4C084AA13 4C084AA19 4C084MA02 4C084MA17 4C084MA22 4C084MA23 4C084MA35 4C084MA37 4C084MA41 4C084MA44 4C084MA52 4C084MA55 4C084MA60 4C084MA66 4C084NA14 4C084ZB08 4C084ZB09 4C084ZB13 4C084ZB26 4C084ZB27 4C084ZB32 4C084ZB33 4C084ZB35 4C085AA03 4C085BA07 4C085BA51 4C085BB01 4C085DD62 4C085EE01 4C085GG02 4C085GG03 4C085GG04 4C085GG05 4C085GG06 4C085GG08 4C085GG10 4C087AA01 4C087AA02 4C087BB21 4C087BB65 4C087BC11 4C087BC30 4C087BC83 4C087CA12 4C087MA02 4C087MA17 4C087MA22 4C087MA23 4C087MA35 4C087MA37 4C087MA41 4C087MA44 4C087MA52 4C087MA55 4C087MA60 4C087MA66 4C087NA14 4C087ZB08 4C087ZB09 4C087ZB13 4C087ZB26 4C087ZB27 4C087ZB32 4C087ZB33 4C087ZB35 4H045AA10 4H045AA11 4H045AA20 4H045AA30 4H045BA41 4H045CA11 4H045CA40 4H045DA86 4H045EA22 4H045EA29 4H045FA72 本発明は、概して免疫学の分野に関し、特にモジュリン由来ペプチド(PSM、フェノール可溶性モジュリン)への共有結合により、抗原ペプチドの免疫原性(抗原性)を増大させる方法に関する。特に、PSMα、PSMγおよびPSMδペプチドの抗原(病原体または腫瘍関連タンパク質由来)への結合は、当該抗原のインビボでの免疫応答活性化能力を増大させる。したがって、これらの抗原に結合しているPSMα、PSMγおよびPSMδペプチドは、感染症または癌を予防または治療するためのワクチンの開発において使用され得る。 病原体および癌は、依然世界中で死の主原因である。既に存在しているワクチンの有効性および安全性の改善だけでなく、エイズ、マラリア等の、それに対する接種ワクチンが無い疾患の予防のためのワクチン、あるいは慢性疾患または癌を治療するためのワクチンの開発も、今なお最重要事項である。ほとんどの場合、そのようなワクチンの開発には、CD8+(陽性)細胞傷害性Tリンパ球(CTLs)を特異的に刺激する方法が必要とされる。 CTLsは、MHCクラスI分子に結合した低分子ペプチドのT細胞受容体(TCRs)への提示によって活性化させられる。これらのペプチド−MHCクラスI複合体は、抗原提示細胞(APCs)の表面上に存在して、CTLsの最適活性化のための刺激シグナルを与える。 樹状細胞(DCs)は最も強力なAPCsであり、活性化されていないTリンパ球(T細胞)(ナイーブTリンパ球)と相互作用し、一次免疫応答を引き起こし、CD4+ヘルパーTリンパ球およびCD8+細胞傷害性Tリンパ球を活性化する独特な能力を有する。 炎症および免疫応答がない場合、樹状細胞は、血液、末梢組織、リンパ(液)および二次リンパ器官を経由して移動する。末梢組織では、樹状細胞は自己のおよび外来の抗原を捕獲する。捕獲された抗原は、プロセッシングされてタンパク分解ペプチドになり、(それぞれ、CD8+またはCD4+Tリンパ球を活性化させるために)MHCクラスIおよびII分子へ渡される。抗原獲得、分解およびローディングというこのプロセスは、抗原提示と呼ばれる。しかしながら、刺激がない場合、末梢の樹状細胞は抗原を非効率的に提示する。病原体由来の外因性の1以上のシグナルまたは内因性の1以上のシグナルは、樹状細胞をAPCsへ、そしてT細胞アクチベーターへトランスフォームさせる、成熟と呼ばれる発生プロセスを開始するよう樹状細胞を誘導する。 細菌のおよびウイルスの産物だけでなく、炎症性サイトカイン、その他自己の分子も、イナート樹状細胞の表面受容体との直接の相互作用による樹状細胞の成熟を誘導する。CD40依存性および非依存性経路を経たT細胞および内皮細胞は、直接的な細胞間の接触によって、およびサイトカインの分泌によって、樹状細胞の最終成熟に貢献する。ある危険なシグナルが生じると間もなく、抗原捕獲、細胞内輸送および分解、並びにMHC分子の細胞内輸送の効率が変更れる。ペプチドロードだけでなく半減期も、そしてMHC分子の細胞表面への移動も増大する。T細胞共刺激分子の発現もまた増大する。このようにして、樹状細胞は最も強力なAPCsへ変換され、これらだけが不活性T細胞を活性化させ、免疫応答を引き起こすことができる。それらの抗原提示能力の改変とともに、成熟は樹状細胞の末梢組織からの大規模な移動をも誘導する。ケモカイン受容体および接着分子の発現における改変だけでなく、細胞骨格の組織における重要な変化も、樹状細胞のリンパを経由してから二次リンパ器官までの移動に貢献する。 樹状細胞は、2種のシグナル、すなわち病原体の直接的な認識(特異的認識パターンを有する受容体による)、および感染の非直接的な認識(炎症性サイトカイン、細胞内化合物および特異的免疫応答による)に対して応答する。これらのシグナルに応答して、樹状細胞は活性化させられ、自己をT細胞促進剤へトランスフォームさせる成熟プロセスを開始する。DCsの成熟のために最も有効なシグナルのひとつは、Toll様受容体,TLRs(TLR1〜9)のそれら各自のリガンドとの相互作用によってメディエートされる(KaishoおよびAkira,Biochimica et Biophysica Acta,2002,1589:1−13によるレビュー)。 MHCクラスIおよび/またはII分子への標的抗原ペプチドの最初の試みは、APCsの表面上にあるこれらの分子に直接結合することができる選択されたエピトープを含む合成ペプチドワクチンに基づいてなされた。ある場合には、これらのペプチドはマウスモデルでの腫瘍予防またはウイルス除去を達成している一方で、他の場合には、それらは耐性を誘導している。ヒトの異なるタイプのペプチドを用いた研究は、癌患者において僅かな臨床的成果がえらただけである。この低い免疫原性は以下の事実に起因し、その事実とは、抗原提示が非免疫原性の環境下で望まれる抗原(アネルギー)に対する応答を引き起こさないように、ペプチドは一般的に樹状細胞の成熟を活性化しない、という事実である。 他に、抗原ペプチドをAPCの表面上の受容体に対して親和性を示す第二の化合物とともに含む組成物を用いて、ペプチドをAPCに対し標的とするような試みがいくつか報告されている。この意味では、APCに対し、免疫原性ペプチドを標的とするためにTLRリガンドを用いることは、これまで報告されている。 TLRsは、マクロファージ、樹状細胞、およびBリンパ球等の他の細胞において発現される。いくつかのTLRsに対するリガンドも同定されている。これらのリガンドのほとんどは病原体に由来し、宿主では発見されておらず、これは、TLRsが、侵入する微生物を検出するために不可欠であることを示している。TLRsによるリガンドの認識は、炎症誘発サイトカインの産生を誘導することに基づく先天性免疫の素早い活性化と、共刺激分子の過剰調節とを引き起こす。活性化させられた先天性免疫は有効な適応免疫を引き起こす。 様々なTLRリガンドが、抗原の能率を増大させるために使用されており、たとえばEDA(Lasarte et al.J Immunol,2007,スペイン特許ES200501412)、フラジェリン(Cuadros C et al.,Infect Immun.2004 May;72:2810−6)またはCpGs(Tighe,H.,et al.2000.Eur J Immunol.30:1939)が含まれる。 WO2005/025614は、TLRアゴニストをコードする核酸およびGM−CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)をコードする核酸を含んでなるアジュバンド組成物を記載するが、この文献にはGM−CSFがTLRアゴニストとの融合タンパク質として提供され得るという言及はされていない。 WO2004/063319は、抗原に対する免疫応答を増大させるためにTLRアゴニストとTNF(腫瘍壊死因子)受容体アゴニストの双方を含んでなるアジュバンド組成物を記載するが、この文献ではこれら両成分は共有結合されていない。 WO07/042583は、TLR3アゴニスト(poly I:C)、CD40アゴニストおよびNS3ポリペプチドを含んでなるC型肝炎ウイルスに対する免疫刺激組成物を記載する。それは上記組成物の任意の要素間での共有結合複合体を教示しない。 WO06/134190は、TLR4に対してアフィニティーを有するフィブロネクチンフラグメントを含んでなる免疫刺激化合物を記載する。この文献はフィブロネクチンフラグメントと抗原との共有結合の可能性を述べている。しかしながら、この文献はTLR2またはPSMを用いる類似化合物に言及していない。 WO2007/103322は、免疫原性ポリペプチドと、TLR5アゴニスト(フラジェリン)またはTLR2/6アゴニスト(Pam3Cysリポペプチド)のいずれかとを含む融合タンパク質、並びに免疫原性ペプチドに対する抗体反応を誘導するためのその使用を記載する。 WO2006/083706は、TLR2リガンドの同定のための、並びに一連の新しいTLR2リガンドだけでなく、これらのリガンドおよび防御免疫を生み出すために用いることができる抗原を含んでなる共有結合コンジュゲートの単離のための、スクリーニング方法を記載する。 しかしながら、依然、以下の能力を有する免疫原性組成物に対する希求が存在する:(i)抗原由来Tリンパ球エピトープをAPCs(またはDCs)へ輸送し、それにより、それらがMHCクラスIおよび/またはII分子にロードされるようにする、(ii)成熟シグナルが存在しない状態での、抗原のDCへの到達は、ヘルパーおよび細胞傷害性Tリンパ球の活性化ではなく耐性を引き起こすが故に、DCに、その活性化を誘導するための適切なシグナルを伝達できる、そして(iii)キャリア自体に対する先行する免疫に関係なく、有効な免疫原性を導くことができる。 第一の側面において、本発明は、(i)フェノール可溶性モジュリン(PSM)または機能的に同等なその変異体、および(ii)一またはそれ以上の抗原ペプチドを含んでなるコンジュゲート(複合体)であって、上記成分(i)と(ii)が共有結合し、当該コンジュゲートが、前記一またはそれ以上の抗原ペプチドに対する細胞傷害応答を促進するもの、に関する。 さらなる側面において、本発明は、本発明によるコンジュゲートをコードする核酸配列を含んでなるポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体、本発明のポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体を含んでなるベクター、および本発明のポリヌクレオチド、遺伝子構築体またはベクターを含んでなる宿主細胞に関する。 別の側面において、本発明は、以下の(a)、(b)を、ともにまたは独立して含んでなる組成物に関し、該組成物は: (a)本発明によるコンジュゲート、ポリヌクレオチド、遺伝子構築体、ベクター、または宿主細胞、および (b)以下の群から選ばれる第二成分; (i)一またはそれ以上のToll様受容体アゴニスト、 (ii)一またはそれ以上の共刺激分子のアゴニスト抗体、 (iii)一またはそれ以上のサイトカイン、および (iv)上記(i)〜(iii)の化合物の任意の組合せを含んでなる。 別の側面において、本発明は、以下の工程(i)、(ii)を含んでなる抗原に感作された抗原提示細胞を得るための方法に関し、該方法は: (i)抗原提示細胞を、本発明によるコンジュゲート、ポリヌクレオチド、遺伝子構築体、ベクター、宿主細胞、または組成物と接触させ、そして (ii)前記の抗原に感作された抗原提示細胞を単離することを含んでなる。 別の側面において、本発明は、本発明の方法によって得られる抗原に感作された抗原提示細胞に関する。 別の側面において、本発明は、コンジュゲート、ポリヌクレオチド、遺伝子構築体、ベクター、宿主細胞、組成物、または抗原に感作された抗原提示細胞を含んでなる医薬組成物またはワクチンに関する。 別の側面において、本発明は、治療において使用するための、本発明によるコンジュゲート、ポリヌクレオチド、遺伝子構築体、ベクター、宿主細胞、組成物、医薬組成物、ワクチンまたは抗原提示細胞に関する。 さらに別の側面において、本発明は、感染性疾患、アレルギー性疾患、または腫瘍性疾患に対する細胞傷害応答を誘導する方法において用いられる本発明によるコンジュゲート、ポリヌクレオチド、遺伝子構築体、ベクター、宿主細胞、組成物、本発明の医薬組成物、ワクチンまたは抗原提示細胞に関する。 さらに別の側面において、本発明は、抗原提示細胞によって抗原ペプチドの提示を促進するための、もしくは抗原提示細胞の成熟を促進するための、インビトロでの方法における、本発明によるコンジュゲート、ポリヌクレオチド、遺伝子構築体、ベクター、宿主細胞、組成物、医薬組成物、ワクチンまたは抗原提示細胞の使用に関する。 別の側面において、本発明は、 (i)フェノール可溶性モジュリン(PSM)または機能的に同等なその変異体、および (ii)生物活性化合物を含んでなるコンジュゲートであって、上記成分(i)と(ii)が共有結合されてなるもの、に関する。 別の側面において、本発明は、本発明の非免疫原性コンジュゲートをコードする核酸配列を含んでなるポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体、本発明のポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体を含んでなるベクター、本発明のポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体を含んでなる宿主細胞に関する。 別の側面において、本発明は、本発明の非免疫原性コンジュゲート、ポリヌクレオチド、遺伝子構築体、ベクター、または宿主細胞および薬学的に許容できる担体を含んでなる医薬製剤に関する。 さらに別の側面において、本発明は、薬学治療において使用するための、本発明によるコンジュゲート、ポリヌクレオチド、遺伝子構築体、ベクター、宿主細胞、または医薬組成物に関する。 さらに別の側面において、本発明は、CD4、CD8、CD19、CD11c、F4/8、もしくはCD117陽性細胞、またはこれらの組合せからなる群から選ばれる細胞の望ましくない増殖または望ましくない活性によって特徴づけられる疾患の治療において用いられる、本発明の非免疫原性コンジュゲート、ポリヌクレオチド、遺伝子構築体、ベクター、宿主細胞、または医薬組成物に関する。マウス脾細胞に結合するPSMペプチド マウス脾細胞(パネルA、B、DおよびE)または骨髄由来樹状細胞(パネルCおよびF)はグルタルアルデヒドで固定され、その後CFSE αMod−SIINFEKLペプチド(パネルA、BおよびC)で、またはCFSE γMod−SIINFEKLペプチド(パネルD、EおよびF)で、インキュベートした(それらは、SIINFEKLペプチドと共有結合したPSMαまたはPSMγペプチドを含み、アミノ末端をCFSEで標識された)。コントロールとして、複数の細胞も標識されたコントロールペプチドCFSE−OVA(235−264)(A、C、DおよびF)で染色された。結合の特異性を検討するため、我々は競争剤としてCFSEで標識していないαMod−SIINFEKL(B)またはγMod−SIINFEKL(D)ペプチドの存在下または非存在下でCFSE標識ペプチドのインキュベーションを行った。4℃で30分後、PBSで2回洗浄し、細胞をフローサイトメトリーにより解析した。(G)CFSE γMod−SIINFEKLペプチドを用いた、およびフィコエリトリンで標識された抗CD4、CD8、CD11c、CD19、F480またはGR1抗体を用いた、全脾細胞の二重染色法。パネルGの下側のヒストグラムはCFSE γMod−SIINFEKLペプチドで染色された表面マーカーについての陽性細胞のパーセンテージを示す。図1Bの続きである。PSMペプチドは骨髄由来樹状細胞の成熟を誘導し、抗原提示を向上させる。IL−12タンパク質(p40)(A)またはTNF−α(B)をコードするメッセンジャーRNAの発現。骨髄由来樹状細胞は50μMの濃度で所望のペプチドと培養された。14時間培養後、細胞のRNAが精製され、その逆転写が行われた。IL12−p40およびTNFαのmRNAの発現がリアルタイムPCRにより行われた。(C)樹状細胞の細胞表面上の成熟マーカーの発現。骨髄由来樹状細胞は所望のペプチドの存在下で(A)に記載されたように培養された。48時間培養後、所望のマーカーの発現が特異的抗体を用いたフローサイトメトリーにより解析された。(RFU:相対蛍光強度)(D)抗原発現のインビトロアッセイ。骨髄由来樹状細胞が10μMの所望のペプチドの存在下または非存在下で培養された。40時間後、細胞は洗浄され、異なる濃度で96ウェルプレートに分けられ、105T細胞/ウェル(トランスジェニック OT−1マウス(トリ卵白アルブミンのSIINFEKLペプチドに対する特異的T細胞受容体を発現する)から得られた)の存在下でインキュベートされた。72時間後、トリチウムチミジンが培養物に加えられ、6時間後、細胞が採取され、取り込まれたチミジンがシンチレーションカウンター(Topcount,Packard社)で分析された。SIINFEKLペプチドに対して特異的なインビボ細胞応答の活性化。C57BL/6は5nモルの所望のペプチドおよび50μgのpoly I:Cで免疫を与えられた。免疫付与後7日(AおよびB)または60日(CおよびD)、マウスを犠牲死させ、免疫付与されたマウスの各グループにおいて、SIINFEKLペプチドまたは相当するモジュリンペプチドに応答するIFNγ産生細胞の数を定量するため、ELISPOTアッセイ(AおよびC)が行われた。(BおよびD)異なるペプチドで免疫付与した7日(B)または60日(D)後のSIINFEKLペプチドに対する特異的細胞傷害活性の測定。インビボlysis(インビボkilling)アッセイがマウスに0.25μMのCFSEまたは2.5μMのCFSEおよびSIINFEKLペプチド(10μg/ml)で標識された脾細胞を静脈インジェクションすることによって行われた。16時間後、マウスを犠牲死し、SIINFEKLペプチドでパルスされた細胞溶解を定量するために脾細胞がフローサイトメトリーにより解析された。細胞応答のインビボ活性において異なるTLRリガンドを用いたモジュリンの相乗効果。C57BL/6マウスは5nモルの所望のペプチドで、および50μgの所望のTLRリガンド:PGN(ペプチドグリカン)、pIC(poly I:C)、LPS(リポ多糖)、EDA(フィブロネクチンの細胞外ドメイン)、またはCpGとの組合せで、免疫を与えられた。7日後、異なるペプチドで免疫付与後誘導されたSIINFEKLペプチドに対する特異的細胞傷害活性が測定された。インビボlysis(インビボkilling)アッセイがマウスに0.25μMのCFSEまたは2.5μMのCFSEおよびSIINFEKLペプチド(10μg/ml)で標識された脾細胞を静脈インジェクションすることによって行われた。16時間後、マウスを犠牲死し、SIINFEKLペプチドでパルスされた細胞溶解を定量するために脾細胞がフローサイトメトリーにより解析された。腫瘍の増殖に対する防御。(A)C57BL/6マウスは、5nモルのSIINFEKLペプチド、αMod plus SIINFEKL(共有結合していない)、αMod−SIINFEKL、またはSIINFEKL−αMod、これらのすべて、50μgのpoly I:Cとの組合せで、皮下に静脈に免疫された。poly I:Cのみを受け取ったマウスのグループおよび他のグループはPBS(腫瘍成長コントロールとして)をインジェクトされた。(B)C57BL/6マウスは、5nモルのSIINFEKLペプチドを、またはγMod−SIINFEKLペプチドをpoly I:Cと一緒に皮下に静脈免疫された。poly I:Cのみを受け取ったマウスのグループおよび他のグループはPBS(腫瘍成長コントロールとして)をインジェクトされた。免疫付与7日後、5×105(A)または7×105(B)EG7OVA腫瘍細胞が皮下インジェクションされた。腫瘍成長の経過観察がゲージを用いてモニターされた。各処理に対するマウス生存のカプラン−マイヤープロットが示される。腫瘍攻撃に対する防御へのαMod−SIINFEKL(A)およびγMod−SIINFEKL(B)の影響。αMod−SIINFEKLペプチドおよびpoly Iにより確立されたCEG7OVAを有するマウスの治療。C57BL/6マウスに、5×105EG7OVA腫瘍細胞を皮下注射した。腫瘍が直径5mmに達したとき、それらはPBSでまたは所望のペプチドおよびpoly I:Cで処理された。腫瘍成長の経過観察が、ゲージを用いてモニターされた。各処理に対するマウス生存のカプラン−マイヤープロットが示される。poly I:Cと組み合わされたαMod−E7(49−57)ペプチドによる免疫は、E7(49−57)ペプチドに対する特異的細胞傷害応答を誘導し、TC1皮下腫瘍を有するマウスを治療することができる。(A)C57B/6マウスは50μgのpoly I:Cと一緒に5nモルの所望のペプチドで免疫された。免疫7日後、細胞傷害性ペプチドE7(49−57)に対して誘導された応答がIFN−γを産生する細胞数を定量するためにELISPOTで測定された。(B)、(C)および(D)C57B/6マウスは5×105TC−1腫瘍細胞(HPV−16 E7タンパク質を発現する)を皮下インジェクションされた。25日後、腫瘍が直径8mmになったとき、マウスは静脈内をPBS(B)で、E7(49−57)ペプチド+50μg/mlのpoly I:C(C)で、またはαMod−E7(49−57)ペプチド+50μg/mlのpoly I:C(D)で、処理された。7日後、マウスは同じ免疫原を用いた二次免疫付与により再び免疫付与された。2つの直交する直径の平均として示される、腫瘍の大きさが通常に測定された。グループごとの全マウスの数に対する腫瘍のないマウスの数が治療ごとに含まれる。p1073に結合したα、γまたはδ−由来モジュリンペプチドを用いることによる、C型肝炎NS3ペプチドp1073に対するT細胞応答のインビボ誘導 C57B/6は、5nモルの所望のペプチドおよび50μgのpoly I:Cで免疫された。7日後、マウスは犠牲死され、C型肝炎NS3タンパク質由来のペプチドp1073(1073)に対して特異的なIFNγ産生細胞の存在を測定するために、ELISPOTアッセイ(A)が行われた。インビボキリングアッセイが、0.25μMのCFSEで、または2.5μMのCFSEおよびペプチドp1073(10μg/ml)で標識された脾臓細胞を用いて行われた。TLR2 KOマウスのモジュリン由来ペプチドによって誘導された細胞応答の活性化。C57B/6野生型マウスまたはTLR2 KOマウスが、5nモルの所望のペプチドにより、および50μgのpoly I:Cと組み合わせて免疫された。免疫7日後、上記動物は犠牲死され、SIINFEKLペプチドに応答するIFNγ産生細胞の数を定量するために、ELISPOTが行われた。(B)免疫後異なるペプチドで誘導されるSIINFEKLペプチドに対する特異的細胞傷害活性の測定。インビボ溶解(インビボキリング)アッセイが、0.25μMのCFSEで、または2.5μMのCFSEおよびSIINFEKLペプチド(10μg/ml)で標識された脾細胞をマウスに静脈インジェクションすることによって行われた。16時間後、マウスは犠牲死され、SIINFEKLペプチドでパルス細胞溶解を定量するために、脾細胞がフローサイトメトリーにより解析された。PSMペプチドはTLR2ノックアウトマウス由来のマウス脾細胞と結合する。TLR 2KOマウス由来のマウス脾細胞をグルタルアルデヒドで固定し、その後CFSE αMod−SIINFEKLペプチドで、またはCFSE γMod−SIINFEKLペプチドで、インキュベートした。コントロールとして、複数の細胞も標識されたコントロールペプチドCFSE−OVA(235−264)で染色されたか、または未処理(網掛けグレーのヒストグラム)とした。4℃、30分のインキュベーション、およびPBSで2回洗浄後、細胞はフローサイトメトリーにより解析された。 本発明の発明者らは、PSMペプチドが、抗原を抗原提示細胞へ運び、その成熟を活性化し、抗原提示を改善し、そしてその結果、抗原に対する免疫細胞応答の活性化を促進する能力を有することを示した。この戦略は、細胞傷害応答を誘導すること、およびC57BL/6マウスを腫瘍の増殖から守ることにおいて効果があることが立証された。しかし、モジュリン由来ペプチドの作用機序は、TLR2とは無関係であることが観察された。事実、抗原に結合したαまたはγモジュリンを含むペプチドでのマウスの免疫は、TLR2受容体ノックアウトマウスにおいてさえ強い細胞応答を誘導した。I.本発明によるコンジュゲート 本発明の発明者らは、フェノール可溶性モジュリンおよび抗原ペプチドを含んでなる共有結合コンジュゲートが、樹状細胞の成熟、および当該PSMsに共有結合しているペプチドの、樹状細胞によるペプチド提示を促進する能力を有するものであることを明らかにした。 本発明の実施例2が示すように、PSMおよびペプチドを含んでなる融合タンパク質は、樹状細胞の成熟および抗原提示を、抗原ペプチドのみで観察されるそれらより高い程度まで促進している。さらに、本発明の実施例3は、コンジュゲートの投与は強力で長期間の細胞傷害応答を導き、これはPSMと抗原ペプチドとの非共有結合混合物の組成物の投与によっては観察されないことを示している。 したがって、第一の側面において、本発明は、 (i)フェノール可溶性モジュリン(PSM)または機能的に同等なその変異体、および (ii)一またはそれ以上の抗原ペプチドを含んでなるコンジュゲートであって、上記成分(i)と(ii)が共有結合し、当該コンジュゲートが、前記一またはそれ以上の抗原ペプチドに対する細胞傷害応答を促進するものに関する。A.フェノール可溶性モジュリン 本発明によるコンジュゲートの第一の成分はフェノール可溶性モジュリンまたは機能的に同等なその変異体に相当する。本明細書において「フェノール可溶性モジュリン」および「PSM」という用語は、明確に区別しないで使用され、種々のブドウ球菌(Staphylococcus)属、特にStaphylococcus aureusおよびStaphylococcus epidermidis、によって分泌される細胞傷害性ペプチドファミリーの任意のメンバーに関連しており、並びにホットフェノールで抽出された場合有機相に分離させられる能力によって特徴づけられる。 PSMは、もともとはMehlin等(J.Exp.Med.,1999,189:907−917)によってStaphylococcus epidermidis細菌から得られた炎症活性を有するポリペプチド複合体として同定され、後にTLR2シグナル経路を活性化することができるものとして同定された(Hajjar AM et al.,2001,J Immunol,166:15−19)。Staphylococcus epidermidis細菌は他のブドウ球菌に比べると重症ではないが、この細菌による感染も敗血症を引き起こし得る。当該細菌は種々のペプチドを放出し、それらはそれらのフェノールへの溶解性のゆえ、一般にフェノール可溶性モジュリン(PSM)として知られている。PSMは、22乃至54の間のアミノ酸からなる低分子タンパク質であるPSMα、PSMβ、PSMδおよびPSMγという少なくとも4つのコンポーネントを有する。S. epidermidis PSMは、TNF−α、IL−1βおよびIL−6サイトカインの産生を誘導し、マクロファージにおけるNF−κβ転写因子を活性化するということが記載されている(Liles WC et al.,J.Leukoc.Biol.70:96−102)。 本発明によるコンジュゲートにおいて使用のための好ましいモジュリンは、表1に示される通りである。最も好ましくは、本発明によるコンジュゲートにおいて使用されるPSMは、それぞれSEQ ID NO:1、13および14に記載されたとおりのα−、γ−およびδ−モジュリンを含む。 PSMの「機能的に同等な変異体」という語句は、PSMと実質的に同一の生物学的活性を示す化合物をいう。任意の化合物が機能的に同等な当該PSMの変異体であるかどうかを決定するための適切な機能アッセイは、たとえば、PSMがTHP−1細胞のHIV−1 LTRを活性化する能力だけでなく、PSMがTHP−1細胞によるTNF−α分泌を促進する能力をも基礎とするアッセイであり、双方の能力はMehlin等(J.Exp.Med.,1999,189:907−917)により記載されており、Hajjar等(Journal of Immunology,2001,166:15−19)により記載されているような、TLR2を発現する細胞(一時的にTLR2をトランスフェクトされる細胞または構成的にTLR2を発現する細胞のいずれか)のNF−κB活性を促進する能力を基礎とするアッセイである。 本発明によるコンジュゲートの成分(i)として適切な関連分子は、前記のPSMと実質的に相同な配列の分子も含む。本明細書において「実質的に相同な」という語句は、上記した任意のヌクレオチド配列に関する。そのヌクレオチド配列が、本発明のヌクレオチド配列に関して少なくとも60%の、有利には少なくとも70%の、好ましくは少なくとも85%の、より好ましくは少なくとも95%の同一性の程度を有する。本発明のヌクレオチド配列と実質的に相同なヌクレオチド配列は、一般的には前記ヌクレオチド配列中に含まれている情報に基づく本発明のポリペプチドの生成生物から単離され得る。または、それはSEQ ID NO:1−14に示されるDNA配列に基づいて、たとえば、同類または非同類置換によって構成される。可能性がある改変の他の例としては、当該配列中への1以上のヌクレオチドの挿入、当該配列の任意の末端への1以上のヌクレオチドの付加、または当該配列の任意の末端もしくは内部における1以上のヌクレオチドの欠失が挙げられる。2つのポリヌクレオチド間の同一性の程度はコンピューターアルゴリズムおよび当業者に広く知られている方法を用いて決定される。2つのアミノ酸配列の間の同一性は好ましくはBLASTNアルゴリズム[BLAST Manual,Altschul,S.,et al.,NCBI NLM NIH Bethesda,Md.20894,Altschul,S.,et al.,J.Mol.Biol.215:403−410(1990)]を用いることにより決定される。 適切なペプチドは表2に示される。本発明で使用される好ましいPSMホモログは、Staphylococcus aureusから単離されるデルタ溶解素およびデルタ−溶血毒素を含む。 好ましい実施形態において、本発明によるコンジュゲートの成分(i)はSEQ ID NO:1乃至26の群から選ばれるPSMである。B.抗原ペプチド 本発明によるコンジュゲートの成分(ii)は一またはそれ以上の抗原ペプチドである。本明細書において「抗原ペプチド」という語句は、腫瘍または感染性疾患を抱える哺乳類の免疫系を刺激することにより、腫瘍を攻撃させ、およびその成長を阻害させ、または当該疾患を引き起こす病原体を破壊させるものとして理解される。それゆえ、本発明で使用される抗原は、治療される動物において発見される特異的疾患に適合するものとされる。 一般的に、ペプチド抗原はPSMに対して異種(非相同)である。すなわち、ある状況では、たとえばPSMタンパク質そのものに対する応答を誘導するために、同一のPSMの2つのコピーを含んでなる融合タンパク質を用いることが望ましいけれども、ペプチド抗原はPSMタンパク質そのものまたはそのフラグメント(断片)ではない。抗原はPSMとして同一の生物から得られうる。抗原がPSMを産生する種に由来する場合は、PSMそのものに対して引き起こされる任意の免疫応答が当該生物に対して与えられている防御に貢献するであろうから、当該種由来のPSMを使用することが望ましいであろう。たとえば、抗原がS.aureusに由来する場合は、PSMもS.aureusに由来することが好ましい。 一またはそれ以上の抗原は、完全なタンパク質、タンパク質の単離されたドメイン、タンパク質のペプチドフラグメント(断片)、または多数のエピトープ(たとえば、5から100までの異なるエピトープ)を含んでなるポリエピトピックな融合タンパク質であることが好ましいであろう。ポリペプチドは随意に付加的なセグメントを含むことができる。たとえば、少なくとも4、5、10、15、20、25、30、40、50、60、75、90、または実に100以上のセグメントを含むことができ、各セグメントは病原体の、および/または天然に存在する腫瘍抗原の、天然に存在する、他のセグメントが由来するタンパク質と同一もしくは異なることができるタンパク質の一部である。これらのセグメントの各々は少なくとも8アミノ酸長であることができ、他のセグメントのエピトープとは異なる少なくとも1つ(好ましくは2以上)のエピトープを含む。ハイブリッドポリペプチドにおけるセグメントの少なくとも1つ(好ましくは、少なくとも2つまたは3つ)は、たとえば3、4、5、6、7、または実に10以上のエピトープ、特にMHCクラスIまたはクラスII結合エピトープを含むことができる。当該セグメントの2、3以上はハイブリッドポリペプチドにおいて連続していることができる。すなわち、それらはそれらの間にスペーサーがない状態で、端と端で結合している。あるいは、任意の2つの隣接するセグメントはスペーサーアミノ酸またはスペーサーペプチドにより連結していることができる。 抗原は、たとえばウイルス抗原、細菌性抗原、真菌抗原、分化抗原、腫瘍抗原、胚抗原、癌遺伝子および突然変異した癌抑制遺伝子の抗原、染色体転座の結果として生ずるユニーク腫瘍抗原、および/またはその誘導体であり得るがこれらに限定されない。ウイルス抗原 ウイルスに対する免疫応答を引き出すことができるウイルス抗原は、HIV−1抗原(tat、nef、gp120もしくはgp160、gp40、p24、gag、env、vif、vpr、vpu、rev等)、ヒトヘルペスウイルス(gH、gL、gM、gB、gC、gK、gEもしくはgDまたはこれらの誘導体等)、HSV1もしくはHSV2由来のICP27、ICP47、ICP4、ICP36等の前初期タンパク質、特にヒトサイトメガロウイルス(gBまたはその誘導体等)、エプスタイン・バー・ウイルス(gp350またはその誘導体等)、水痘帯状疱疹ウイルス(gp1、II、I11およびIE63等)、B型肝炎ウイルス(たとえば、B型肝炎表面抗原または肝炎コア抗原)、C型肝炎ウイルス(たとえば、コア、E1、NS3またはNS5抗原)等の肝炎ウイルス由来、呼吸器合胞体ウイルス(FおよびGタンパク質またはそれらの誘導体等)等のパラミクソウイルス由来、パラインフルエンザウイルス由来、風疹ウイルス(タンパク質E1およびE2等)、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ヒトパピローマ(乳頭腫)ウイルス(たとえば、HPV6、11、16、18;たとえば、LI、L2、E1、E2、E3、E4、E5、E6、E7)、フラビウイルス(たとえば、黄熱病ウイルス、デングウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス)由来、またはインフルエンザウイルス細胞(HA、NP、NAもしくはMタンパク質またはこれらの組合せ等)、ロタウイルス抗原(VP7scおよび他のロタウイルス性成分等)などを含む(Fundamental Virology,Second Edition,eds.Fields,B.N. and Knipe,D.M.(Raven Press, New York,1991)for additional examples of viral antigens参照)。 好ましい実施形態において、抗原ペプチドはC型肝炎に由来し、より好ましい実施形態において、ペプチドはC型肝炎NS3タンパク質に由来する。より好ましい実施形態において、抗原ペプチドはHLA−A2拘束性NS3ペプチドのアミノ酸1073−1081に相当し、その配列はCVNGVCWTV(SEQ ID NO:50)である。 好ましい実施形態において、抗原ペプチドはヒトパピローマウイルスに由来し、より好ましい実施形態において、ヒトパピローマウイルス16に由来し、さらに好ましい実施形態において、ペプチドはヒトパピローマウイルスE7タンパク質に由来し、より好ましい実施形態において、上記ペプチドは配列RAHYNIVTE(SEQ ID NO:55)を含んでなる。細菌性抗原 本発明は細菌性抗原の使用を検討する。たとえば、Neisseria属のN.gonorrheaおよびN.meningitidisなど由来の抗原(トランスフェリン結合タンパク質、ラクトフェリン結合タンパク質、PiICおよびアドヒーシン);S.pyogenes由来の抗原(Mタンパク質またはそのフラグメントおよびC5Aプロテアーゼ等);S.agalactiae、S.mutans;H.ducreyi;Branhamella catarrhalisとしても知られているMoraxella属のM.catarrhalisなど由来の抗原(高および低分子量アドヒーシンおよびインベーシン等);Bordetella属のB.pertussis(たとえば、パラ百日咳菌)およびB.bronchisepticaなど由来の抗原(パータクチン、百日咳毒素またはその誘導体、線維状ヘマグルチニン、アデニレートシクラーゼ、線毛等);Mycobacterium属のM.tuberculosis、M.bovis、M.leprae、M.avium、M.paratuberculosis、M.smegmatisなど;Legionella属のL.pneumophilaなど由来の抗原(たとえば、ESAT6、抗原85A、−Bまたは−C、MPT44、MPT59、MPT45、HSPIO、HSP65、HSP70、HSP75、HSP90、PPD 19kDa[Rv3763]、PPD 38kDa[Rv0934]);Escherichia属のエンテロトキシン産生E.coliなど由来の抗原(たとえば、コロニー形成因子、易熱性毒素またはその誘導体、耐熱性毒素またはその誘導体);腸管出血性E.coliおよび病原性E.coli由来の抗原(たとえば、志賀毒素様毒素またはその誘導体);Vibrio属のV.choleraなど由来の抗原(たとえば、コレラ毒素またはその誘導体);Shigella属のS.sonnei、S.dysenteriae、S.flexneriiなど;Yersinia属のY.enterocoliticaなど由来の抗原(たとえば、Yopタンパク質);Y.pestis、Y.pseudotuberculosis;Campylobacter属のC.jejuniなど由来の抗原(たとえば、トキシン、アドヒーシンおよびインベーシン);Salmonella属のS.typhi、S.paratyphi、S.choleraesuis、S.enteritidisなど;Listeria属のL.monocytogenesなど;Helicobacter属のH.pyloriなど由来の抗原(たとえば、ウレアーゼ、カタラーゼ、空胞化毒素);Pseudomonas属のP.aeruginosaなど;Staphylococcus属のS.aureus、S.epidermidisなど;Enterococcus属のE.faecalis、E.faeciumなど;Clostridium属のC.tetaniなど由来の抗原(たとえば、破傷風毒素およびその誘導体);C.botulinum由来の抗原(たとえば、ボツリヌス毒素およびその誘導体);C.difficile由来の抗原(たとえば、クロストリジウム毒素AおよびB並びにその誘導体);Bacillus属のB.anthracisなど由来の抗原(たとえば、炭疽毒素およびその誘導体);Corynebacterium属のC.diphtheriaeなど由来の抗原(たとえば、ジフテリア毒素およびその誘導体);Borrelia属のB.burgdorferiなど由来の抗原(たとえば、OspA、OspC、DbpA、DbpB);B.garinii由来の抗原(たとえば、OspA、OspC、DbpA、DbpB)、B.afzelii由来の抗原(たとえば、OspA、OspC、DbpA、DbpB);B.andersonfi由来の抗原(たとえば、OspA、OspC、DbpA、DbpB);B.hermsii;Ehrlichia属のE.equiおよびヒト顆粒球エーリキア症の病原体;Rickettsia属のR.rickettsiiなど;Chlamydia属のC.trachomatisなど由来の抗原(たとえば、MOMP、ヘパリン結合タンパク質);Chlamydia pneumoniae由来の抗原(たとえば、MOMP、ヘパリン結合タンパク質);C.Psittaci;Leptospira属のL.interrogansなど;Treponema属のT.pallidumなど由来の抗原(たとえば、希少外膜タンパク質);T.denticola、T.hyodysenteriae由来の抗原;Plasmodium属のP.falciparumなど;Toxoplasma属およびT.gondii由来の抗原(たとえば、SAG2、SAGS、Tg34);Entamoeba属のE.histolyticaなど;Babesia属のB.microtiなど;Trypanosoma属のT.cruziなど;Giardia属のG.lambliaなど;Leishmania属のL.majorなど;Pneumocystis属のP.cariniiなど;Trichomonas属のT.vaginalisなど;Schisostoma属のS.mansoniなど、またはCandida属のC.albicansなど酵母由来の抗原;Cryptococcus属のC.neoformansなど;M.tuberculosis由来の抗原(Rv2557、Rv2558、RPFs:Rv0837c、Rv1884c、Rv2389c、Rv2450、Rv1009、aceA(Rv0467)、PstS1(Rv0932)、SodA(Rv3846)、Rv2031c 16kDal、Tb Ra12、Tb H9、Tb Ra35、Tb38−1、Erd14、DPV、MTI、MSL、mTTC2、およびhTCC1等);Chlamydia(たとえば、高分子量タンパク質(HWMP)、ORF3(EP 366412)、および推定膜タンパク質(Pmps)由来の抗原;Streptococcus属のS.pneumoniaeなど由来の抗原(PsaA、PspA、ストレプトリジン、コリン結合タンパク質、タンパク質抗原 肺炎球菌溶血素、および変異により無毒化されたその誘導体);Haemophilus属のH.influenzae type B由来の抗原(たとえば、PRPおよびそのコンジュゲート);分類できないH.influenzae由来の抗原(OMP26、高分子量アドヒーシン、P5、P6、タンパク質Dおよびリポタンパク質D、並びにフィンブリンおよびフィンブリン由来ペプチド、またはこれらのマルチコピー変異体もしくは融合タンパク質等);Plasmodium falciparum由来の抗原(RTS.S、TRAP、MSP1、AMA1、MSP3、EBA、GLURP、RAP1、RAP2、セクエストリン、PfEMP1、Pf332、LSA1、LSA3、STARP、SALSA、PfEXP1、Pfs25、Pfs28、PFS27/25、Pfs16、Pfs48/45、Pfs230およびこれらのPlasmodium属のアナログ等)である。真菌抗原 本発明によるコンジュゲートおよび方法とともに使用するための真菌抗原としては、たとえば、Candida(カンジダ)真菌抗原成分;ヒートショックタンパク質60(HSP60)および他のヒストプラスマ真菌抗原成分等のhistoplasma(ヒストプラスマ)真菌抗原;莢膜多糖類および他のクリプトコッカス真菌抗原等のcryptococcal(クリプトコッカス)真菌抗原;小球抗原および他のコクシディオイデス真菌抗原成分等のcoccidiodes(コクシディオイデス)真菌抗原;およびトリコフィトン(白癬菌)および他の白癬真菌抗原成分等のtinea(白癬)真菌抗原が挙げられるがこれらに限定されない。原生動物性および他の寄生性抗原 原虫抗原は、メロゾイト表面抗原等のPlasmodium falciparum抗原、スポロゾイト(種虫)表面抗原、スポロゾイト周囲抗原、生殖母細胞/配偶子表面抗原、血液期抗原pf、55/RESAおよび他のプラスモジウム抗原成分;SAG−I等のトキソプラズマ抗原、p30および他のトキソプラズマ抗原成分;グルタチオン−S−トランスフェラーゼ等のジストマ(吸虫)抗原、パラミオシンおよび他のジストマ抗原成分;森林型熱帯リーシュマニア、並びにgp63、リポホスホグリカンおよびその関連タンパク質等の他のリーシュマニア抗原成分、他のリーシュマニア抗原成分;75−77kDa抗原等のTrypanosoma cruzi抗原、56kDa抗原および他のトリパノソーマ抗原成分;を含むがこれらに限定されない。アレルゲンおよび環境抗原 抗原はアレルゲンまたは環境抗原であることができ、たとえば、花粉アレルゲン(樹木、ハーブ、雑草および草の花粉アレルゲン)、昆虫アレルゲン(吸入抗原、唾液および毒アレルゲン)、動物の毛髪およびふけのアレルゲン、および食物アレルゲン等の天然に存在するアレルゲン由来の抗原であることができるが、これらに限定されない。樹木、草およびハーブ由来の重要な花粉アレルゲンは、ブナ目、モクセイ目、ピノール(Pinoles)、スズカケノキ科という分類上の目を起源とし、樺(カバノキ属)、ハンの木(ハンノキ属)、ハシバミ(ハシバミ属)、シデ(シデ属)、オリーブ(オリーブ属)、ヒマラヤスギ(Cryptomeriaandビャクシン属)、スズカケノキ(プラタナス)、ドクムギ属の草、フレウム属、イチゴツナギ類、Cynodon、Dactylis、ホルクス属、クサヨシ属、ライムギ属、およびモロコシ属を含むイネ目の目、とりわけブタクサ属のハーブ、ヨモギ属、およびパリエタリア属を含むキク目、イラクサ目の目が含まれる。使用され得る他のアレルゲン抗原は、DermatophagoidesおよびEuroglyphus属のイエダニ、チリダニ由来のアレルゲン;倉庫ダニ(storage mite)、たとえば、レピトグリフィス(Lepidoglyphys)、グリシファガス(Glycyphagus)、及びペリプラネラ(Periplanera);ゴキブリ、蚊、ノミ由来のアレルゲン、たとえば、ブラテラ(Blatella)、ペリプラネタ(Periplaneta)、キロノムス(Chironomus)、及びクテノセッファィデス(Ctenocepphalides);ネコ、イヌ、ウマ、トリ等の哺乳類由来のアレルゲン抗原;ハナバチ(Apidae上科)、カリバチ、およびアリ(Formicoidae上科)等の膜翅目という分類学上の目に由来する昆虫に刺されたり噛まれたりすることに起因する毒アレルゲンを含む。使用され得るさらなる他のアレルゲン抗原は、たとえばアルタナリア(Alternaria)及びクラドスポリウム(Cladosporium)属由来の真菌類由来の吸入アレルゲンを含む。腫瘍抗原 腫瘍抗原の例としては、MAGE、MART−1/Melan−A、gp100、ジペプチジルペプチダーゼ IV(DPP IV)、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(ADAbp)、シクロフィリンb、結腸直腸関連抗原(CRC)−0017−1A/GA733、癌胎児性抗原(CEA)およびその抗原エピトープ CAP−1およびCAP−2、etv6、amll(急性混合型白血病)、前立腺特異抗原(PSA)およびその抗原エピトープ PSA−1、PSA−2およびPSA−3、、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、T細胞受容体/CD3−ζ鎖、MAGE−ファミリー腫瘍抗原(たとえば、MAGE−A1、MAGE−A2、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A5、MAGE−A6、MAGE−A7、MAGE−A8、MAGE−A9、MAGE−A10、MAGE−A11、MAGE−A12、MAGE−Xp2(MAGE−B2)、MAGE−Xp3(MAGE−B3)、MAGE−Xp4(MAGE−B4)、MAGE−C1、MAGE−C2、MAGE−C3、MAGE−C4、MAGE−C5)、腫瘍抗原のGAGE−ファミリー(たとえば、GAGE−1、GAGE−2、GAGE−3、GAGE−4、GAGE−5、GAGE−6、GAGE−7、GAGE−8、GAGE−9)、BAGE、RAGE、LAGE−1、NAG、GnT−V、MUM−1、CDK4、チロシナーゼ、p53、ムチン(MUC)ファミリー、HER2/neu、p21ras、RCAS1、α−フェトプロテイン、E−カドヘリン、α−カテニン、13−カテニン、γ−カテニン、p120ctn、gp100Pme1117、PRAME、NY−ESO−1、cdc27、大腸腺腫症タンパク質(APC)、フォドリン、コネキシン37、Ig−イディオタイプ、p15、gp75、GM2およびGD2ガングリオシド、ヒトパピローマウイルスタンパク等のウイルス産物、腫瘍抗原のSmadファミリー、1mp−1、P1A、EBVエンコード核抗原(EBNA)−1、脳グリコーゲンホスホリラーゼ、SSX−1、SSX−2(HOM−MEL40)、SSX−3、SSX−4、SSX−5、SCP−1およびCT−7、およびc-erbB−2、急性リンパ性白血病(etv6、amll、シクロフィリンb)、B細胞リンパ腫(Ig−イディオタイプ)、神経膠腫(E−カドヘリン、α−カテニン、13−カテニン、7−カテニン、p120ctn)、膀胱癌(p21ras)、胆道癌(p21ras)、乳癌(MUCファミリー、HER2/neu、c−erbB−2)、子宮頸癌(p53、p21ras)、結腸癌(p21ras,HER2/neu、c−erbB−2、MUCファミリー)、結腸直腸癌(結腸直腸関連抗原(CRC)−0017−1A/GA733、APC)、絨毛癌(CEA)、上皮細胞癌(シクロフィリンb)、胃癌(HER2/neu、c−erbB−2、ga733糖タンパク)、肝細胞癌、ホジキンリンパ腫(lmp−1, EBNA−1)、肺癌(CEA、MAGE−3、NY−ESO−1)、リンパ系細胞白血病(シクロフィリンb)、黒色腫(p15タンパク質、gp75、腫瘍胎児抗原、GM2およびGD2ガングリオシド、MelanA/MART−1、cdc27、MAGE−3、p21ras、gp100Pme1117)、骨髄腫(MUCファミリー、p21ras)、非小細胞肺癌(HER2/neu、c−erbB−2)、鼻咽腔癌(lmp−1、EBNA−1)、卵巣癌(MUCファミリー、HER2/neu、c−erbB−2)、前立腺癌(前立腺特異的抗原(PSA)並びにその抗原エピトープPSA−1、PSA−2およびPSA−3、PSMA、HER2/neu、c−erbB−2、ga733糖タンパク)、腎(臓)癌(HER2/neu、c−erbB−2)、頸部および食道扁平上皮細胞癌(ヒトパピローマウイルスタンパク等のウイルス産物)、精巣癌(NY−ES0−1)、およびT細胞白血病(HTLV−1エピトープ)が挙げられる。成分(i)および(ii)を連結させるリンカー 本発明によるコンジュゲートは、第一成分と第二成分を連結させるリンカーを含んでなることができる。本発明によれば、非天然中間アミノ酸配列はドメイン間のヒンジ領域として作用し、ドメインが個々のドメインの3次元構造を維持しつつも互いに独立に動くことを可能にする。この意味において、本発明の好ましい非天然中間アミノ酸配列は、当該動作を可能にする構造的柔軟性によって特徴づけられるヒンジ領域である。本発明の成分(i)および(ii)を連結するために使用することができる非制限的で典型的なリンカーには非天然フレキシブルリンカーが含まれる。好ましい実施形態において、上記フレキシブルリンカーは、20以下のアミノ酸長のふれきしる部リンカーペプチドである。さらに好ましい実施形態において、当該リンカーペプチドは、グリシン、セリン、アラニンおよびスレオニンからなる群から選ばれる2以上のアミノ酸を含んでなる。本発明の好ましい実施形態において、上記フレキシブルリンカーはポリグリシンリンカーである。リンカー/スペーサー配列の可能性のある例としては、SGGTSGSTSGTGST(SEQ ID NO:27)、AGSSTGSSTGPGSTT(SEQ ID NO:28)またはGGSGGAP(SEQ ID NO:29)が挙げられる。これらの配列はデザインコイルドヘリックスを他のタンパクドメインへ結合させるために使用されている(Muller, K.M., Arndt, K.M. and Alber,T.,Meth.Enzymology,2000,328:261−281)。上記リンカーはアミノ酸配列GGGVEGGG(SEQ ID NO:30)を含む/からなることが好ましい。 リンカー領域の効果は、成分(i)と成分(ii)との間にスペースを提供しており、その結果、成分(i)の第二の構造が成分(ii)の存在によって影響を受けることはなく、逆もまた同じである。スペーサーはペプチドの性質を有することが好ましい。リンカーペプチドは好ましくは少なくとも2アミノ酸、少なくとも3アミノ酸、少なくとも5アミノ酸、少なくとも10アミノ酸、少なくとも15アミノ酸、少なくとも20アミノ酸、少なくとも30アミノ酸、少なくとも40アミノ酸、少なくとも50アミノ酸、少なくとも60アミノ酸、少なくとも70アミノ酸、少なくとも80アミノ酸、少なくとも90アミノ酸、または約100アミノ酸を含んでなる。 リンカーは、共有結合および好ましくはスペーサーが実質的に非免疫原性であり、および/またはシステイン残基を含んでいないことによって、本発明によるコンジュゲートの2成分に隣接する成分に結合することができる。同様な方法で、スペーサーの3次元構造は直鎖状または実質的に直鎖状であることが好ましい。 スペーサーまたはリンカーペプチドの好ましい例としては、結合させられたタンパク質の機能を実質的に損なわせることなしに、または、少なくとも結合させられたタンパク質のひとつの機能を実質的に損なわせることなしに、タンパク質を結合させるために使用されているものが挙げられる。より好ましくは、スペーサーまたはリンカーはコイルドヘリックスを持つ構造を含んでなるタンパク質を結合させるために使用されている。 リンカーは、βシートを形成する53−56アミノ酸残基からなるテトラネクチン、およびターンを形成する57−59残基からなるテトラネクチンを含むことができる(Nielsen,B.B.et al.,FEBS Lett.412:388−396,1997)。そのセグメントの配列はGTKVHMK(SEQ ID NO:31)である。このリンカーは、それがネイティブテトラネクチン中に存在している場合、それがCRDドメイン(炭化水素認識ドメイン)を有する三量体ドメインに結合し、ゆえに概してそれが三量体ドメインを他のドメインに連結させるために適切であるという利点を有する。さらに、その結果として得られた構造体は、リンカーをもたない構造体ほど免疫原性を示さないことが期待されている。 あるいは、ヒトフィブロネクチン由来の連結ストランド3由来のサブ配列がアミノ酸1992−2102(SWISSPROT、登録番号P02751)に相当するリンカーとして選択され得る。アミノ酸番号2037−2049に相当するサブ配列PGTSGQQPSVGQQ(SEQ ID NO:32)が好ましく使用され、当該サブ配列の中のアミノ酸番号2038−2042に相当するサブ配列フラグメントGTSGQ(SEQ ID NO:33)がより好ましい。この構造体は、フィブロネクチンは血漿中高濃度で存在しているので、タンパクを分解的に切断する傾向がそれほど無く、免疫原性もそれほど強くないという利点を有している。 あるいは、適切なペプチドリンカーは、マウスIgG3の上流ヒンジ領域の10アミノ酸残基配列に基づくことができる。このペプチド(PKPSTPPGSS、SEQ ID NO: 34)はコイルドへリックスによって二量化された抗体を産生するために使用されており(Pack P. and Pluckthun,A.,1992,Biochemistry 31:1579−1584)、本発明によるスペーサーペプチドとして有益であり得る。ヒトIgG3の上流ヒンジ領域の相当する配列はさらにより好ましい。ヒトIgG3配列は人間において免疫原性を示さないと期待されている。 好ましい実施形態において、リンカーペプチドは配列APAETKAEPMT(SEQ ID NO:35)を有するペプチドおよび配列GAPを有するペプチドからなる群から選ばれる。 あるいは、本発明によるコンジュゲートの2つの成分は、その配列がプロテアーゼの切断標的を含むペプチドによって連結させることができ、それゆえ成分(i)を成分(ii)から分離することができる。本発明のポリペプチドへの組込みに適したプロテアーゼ切断サイトは、エンテロキナーゼ(切断サイトDDDDK,SEQ ID NO:36)、Xa因子(切断サイトIEDGR,SEQ ID NO:37)、トロンビン(切断サイトLVPRGS,SEQ ID NO:38)、TEVプロテアーゼ(切断サイトENLYFQG,SEQ ID NO:39)、PreScissionプロテアーゼ(切断サイトLEVLFQGP,SEQ ID NO:40)、インテイン等を含む。好ましい実施形態において、切断サイトは腫瘍組織で、炎症組織で、または肝臓で発現されるプロテアーゼ切断サイトである。コンジュゲートが肝臓に到達すると、アポAおよび成分(ii)の切り離しが起こる。好ましい実施形態において、リンカーはマトリクスメタロプロテアーゼ−9認識サイト(切断サイトLFPTS,SEQ ID NO:41)を含む。 本発明として、また、成分(ii)が一を超える抗原またはエピトープを含んでなるコンジュゲートであることも期待できる。この場合、抗原またはエピトープは同一でも異なっていてもよい。抗原ペプチドがPSMに結合している場合、異なるペプチドはPSMの異なるサイトに結合することができる。あるいは、抗原ペプチドはPSMのシングルサイトに結合することができる一本鎖ポリペプチド鎖を形成することができる。 好ましい実施形態において、本発明によるコンジュゲートは成分(ii)のC末端が成分(i)と一本鎖ポリペプチド鎖を形成するシングル抗原ペプチドである一本鎖ポリペプチド鎖によって形成されることができる。さらに好ましい実施形態において、本発明によるコンジュゲートは、成分(ii)のC末端が成分(i)のN末端に結合してなるか、または、成分(ii)のN末端が成分(i)のC末端に結合してなる一本鎖ポリペプチド鎖である。 好ましい実施形態において、本発明によるコンジュゲートは、LMSCLILRIFILIKEGVISMAQDIISTIGDLVKWIIDTVNKFTKK(SEQ ID NO:42)、およびMAQDIISTIGDLVKWIIDTVNKFTKKKKKKKKKKKK(SEQ ID NO:43)からなる群から選ばれるペプチドではない。C.本発明によるコンジュゲートの細胞傷害性効果 本発明によるコンジュゲートは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)によってコードされているタンパク質に関連して提示されたペプチド抗原を表面に発現する細胞に対して、特異性を有する細胞傷害性T細胞(CTL)応答を誘導することができる。CTLsは、細胞内の病原菌の細胞内破壊、またはそのような病原菌に感染した、もしくはその表面に腫瘍抗原を発現する細胞の溶解を誘導および促進する。 本発明に従って処理された動物においてCTL応答が得られたか否かを決定するために、CTL応答 血液または脾臓もしくはリンパ節等のリンパ器官に存在しているCD8+(陽性)細胞(すわなちCTL)のレベルを測定する。この決定は、本発明の方法を実施する前のCD8+細胞のレベルの最初の測定および処理中、たとえば、7、10、20、40日におけるレベルの測定によってなされる。CD8+(CTL)応答のレベルまたは強さはインビボまたはインビトロで評価され得る。 ヒトでは、今のところ、CD8+T細胞応答を測定するために唯一のインビボ試験があり、それは皮膚試験である。この皮膚試験では、HLAクラスI結合ペプチドが皮内注射される。CTL応答が存在する場合、これらの細胞は、サイトカイン放出または細胞傷害メカニズムのいずれかにより局所炎症反応を引き起こしながら、ペプチドパルス真皮細胞を認識し攻撃する。この炎症反応は当該局所皮膚発疹の直径を測定することによって、および/または、浸潤物の直径を測定することによって(すなわち、腫脹反応)、定量される。易溶性ペプチドの注射の代替として、HLAクラスI結合ペプチドは結合させられた、たとえば対外で樹状細胞と結合させられた形態でも、皮内注射され得る。他の哺乳動物では、実験的ではあるものの、CD8+T細胞応答を評価するためのさらなるインビボ試験が存在する。たとえば、マウスモデルでは、CD8+T細胞応答は、免疫付与のために使用されるペプチドを発現する組換えワクシニアウイルスを用いた攻撃感染によって測定され得る。再感染に対する免疫のレベルは、攻撃感染後マウス器官から回収させられたワクシニアウイルス力価の減少係数として定量され得る。 CD8+T細胞応答のレベルは、問題となっている抗原ペプチドに対して特異的なCD8+T細胞の数を測定することによってインビトロでも定量される。非投与哺乳動物において、いわゆる「頻度(frequency)」、すなわち非特異的白血球の数で除された特異的CD8+T細胞の数、は10−6未満である。所望の免疫付与の後、頻度は特異的T細胞の増殖によって増大する。たとえば急性ウイルス感染の期間に、特異的CD8+T細胞の頻度は10−2まで上昇し得る。ウイルスの除去後、特異的CD8+T細胞の頻度は通常約10−4の「メモリー」レベルまで低下する。したがって、特異的CD8+T細胞応答は特異的CD8+T細胞の頻度を測定することによって定量され得る。頻度が高くなればなるほど、応答はより強くなる。特異的CD8+T細胞の頻度の測定のために使用される古典的なアッセイは、Kundig,T.M.等(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,1996,93:9716−9723)によって詳細に記載されているように、限界希釈細胞培養法に基づく。特異的CD8+T細胞の頻度を評価するための新たなアプローチは、それらの溝に結合させられたペプチドを有する可溶性MHCクラスI(マウスで使用するための)またはHLA分子(ヒトで使用するための)を構築し、特異的T細胞受容体がこれらの複合体に結合できるようにすることである。これらの複合体は検出のために、たとえばフローサイトメトリーによる検出を可能にさせるべく、蛍光物質で、標識させられ得る。インビボでのCTL活性のレベルを定量するための別のアプローチは、本発明の図3、4および9に記載されているインビボキリングアッセイである。II.本発明によるコンジュゲートを得るための方法 本発明によるコンジュゲートは当業者に知られている任意の方法を用いて得ることができる。したがって、任意の標準的な方法によって、PSMまたは当該タンパク質の変異体を得ることは可能である。たとえば、PSMタンパク質は、Mehlin et al.(J.Exp.Med.,1999,189:907)に記載されているように、固定(stationary)S.epidermidisの上清のフェノール抽出によって精製され得る。あるいは、PSMタンパク質は、Otto,M. et al(J Infect Dis.2004,190:748−55)に記載されている方法など当技術分野で知られている方法を用いた、E.coli、S.cerevisiae、P.pastorisc、昆虫細胞等異種生物における発現によるcDNAから得ることができる。 十分な量の精製PSMタンパク質があるならば、それを目的の抗原化合物に結合させる。治療効果のある成分(ii)のPSMへの結合は、種々の方法で行われ得る。ひとつの可能性は、官能基の治療効果のある成分への、当該成分の活性を妨げない位置における、直接的な結合である。本発明では、当然のことながら、官能基はある分子における当該分子の特有の化学反応に関与する特定の原子団に関する。官能基の例としては、ヒドロキシ、アルデヒド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、カルボキサミド、第1級、2級、3級および4級アミン、アミノキシ、アジド、アゾ(ジイミド)、ベンジル、炭酸塩、エステル、エーテル、グリオキシリル、ハロアルキル、ハロホルミル、イミン、イミド、ケトン、マレイミド、イソシアニド、イソシアネート、カルボニル、硝酸エステル、亜硝酸エステル、ニトロ、ニトロソ、過酸化物、フェニル、ホスフィン、燐酸エステル、ホスホノ、ピリジル、スルフィド、スルホニル、スルフィニル、チオエステル、チオール、酸化3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)基が挙げられるが、これらに限定されない。PSM分子のチオール基と特異的に反応する上記官能基の例はマレイミドまたはグリオキシリル基であり、およびPSM分子の第1級アミン基と特異的に反応するのは、酸化3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)基である。 別の可能性は、ホモまたはヘテロ二官能性基の使用による、治療効果のある成分(ii)のPSM分子への結合である。二官能性基は最初に治療効果のある成分に結合させられ、その後PSMペプチドに結合させられるか、または、その替わりに、二官能性基をPSMタンパク質に結合させ、その後それを成分(ii)に結合させることが可能である。これらのタイプのコンジュゲートの説明に役立つ実例としては、ケトンオキシム(米国特許20050255042に記載されている)として知られているコンジュゲートが挙げられ、当該コンジュゲートの第一の成分はアミノオキシ基を含んでなり、当該アミノオキシ基はヘテロ二官能性基に存在するケトン基に結合させられ、当該ケトン基は当該コンジュゲートの第二の成分のアミノ基に順に結合させられている。 別の実施形態において、本発明によるコンジュゲートである成分(i)および(ii)のコンジュゲートに使用される薬剤は、光分解的に、化学的に、熱的に、または酵素的に処理され得る。細胞標的に存在している酵素により加水分解され得る連結剤を使用し、治療効果のある成分のみが当該細胞の内部に放出されるようにすることは特に興味深い。細胞内で処理され得る連結剤の例は、WO04054622、WO06107617、WO07046893およびWO07112193に記載されている。 好ましい実施形態において、本発明によるコンジュゲートの成分(ii)はオリゴペプチドおよびペプチドの双方を包含する天然ペプチドを有する化合物である。ポリペプチド鎖を化学的に改変する方法は当業者に広く知られており、システイン部分に存在するチオール基を介するコンジュゲートに基づく方法、リシン部分に存在する1級アミノ基を介するコンジュゲートに基づく方法(US6809186)、NおよびC末端部分を介するコンジュゲートに基づく方法を含む。ポリペプチドが他の化合物に結合することを可能にするためにポリペプチドを改変するための適切な試薬としては、グルタルアルデヒド(化合物がポリペプチドのN末端に結合することを可能にする)、カルボジイミド(化合物がポリペプチドのC末端に結合することを可能にする)、N末端およびシステイン部分を活性化できるようにするスクシンイミドエステル(たとえば、MBS、SMCC)、チロシン部分を活性化できるようにするベンジジン(BDB,ビスジアゾ化ベンジジン)、糖化されたタンパク質の炭水化物部分を活性化できるようにする過ヨウ素酸塩が挙げられる。 PSM成分および抗原ペプチドがシングルペプチド鎖を形成している特定の場合において、上記コンジュゲートをコードしている本発明の遺伝子構築体を使用して単一工程でコンジュゲートを発現させることが可能であり、そのため上記構築体は、転写および、随意に翻訳調節因子とともに、異種生物でのその発現のために適切なベクターに導入される。本発明の発現カセットに存在する転写および、随意の翻訳調節因子は、ヌクレオチド配列に作用可能に結合しヌクレオチド配列の転写を推進するプロモーター、並びに転写および転写の時間や場所の適切な制御のために必要または適切な他の配列、たとえば、開始および終止シグナル、切断サイト、ポリアデニル化シグナル、複製起点、転写エンハンサー、転写サイレンサー等、を含んでなる。発現カセットを構築するために使用される本発明のベクターおよび組換えベクターはもちろん上記因子も、一般に、使用される宿主細胞に応じて選択される。III.本発明によるポリヌクレオチド、遺伝子構築体、ベクターおよび宿主細胞 別の側面において、本発明は、本発明によるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。当業者は、相対配向にかかわらず、および両成分が直接連結しているまたはスペーサー領域によって離れているという事実にかかわらず、本発明のポリヌクレオチドは、成分(ii)がペプチドの性質を有し、さらに成分(i)とシングルペプチド鎖を形成するコンジュゲートをただコードするということを理解することができる。 別の側面において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含んでなる遺伝子構築体に関する。当該構築体は、好ましくは、本発明のポリヌクレオチドの発現を制御している機能調節配列の下流に位置する本発明のポリヌクレオチドを含んでなる。当業者は、本発明のポリヌクレオチドは、標的組織の核にアクセスしなければならいこと、および生物学的に活性な融合タンパク質を生じさせるために転写および翻訳されなければならないことを理解することができる。 原則として、プロモーターが、ポリヌクレオチドが発現され得る細胞と適合するならば、任意のプロモーターを本発明の遺伝子構築体に対して使用することができる。それゆえ、本発明の実施形態に適したプロモーターは、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、SV40、CMV、トリ肉腫ウイルス、B型肝炎ウイルスその他の真核生物ウイルスのゲノムの誘導体などの構成的プロモーター、メタロチオネイン遺伝子のプロモーター、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子のプロモーター、レトロウイルスLTR領域、免疫グロブリン遺伝子のプロモーター、アクチン遺伝子のプロモーター、EF−1α遺伝子のプロモーターを含むが、必ずしもこれらに限定されることはなく、さらにテトラサイクリンシステム、NFκB/UVライトシステム、Cre/Loxシステムなどタンパク質の発現が分子または外因性シグナルの添加に依存するプロモーター、およびヒートショック遺伝子のプロモーター、WO2006/135436に記載されているRNAポリメラーゼの調節可能プロモーター、くわえて組織特異的プロモーターをも含む。好ましい実施形態において、本発明の遺伝子構築体は、主に肝臓の発現遺伝子からなるプロモーター領域に存在する発現エンハンス領域を含み、たとえば、ヒト血清アルブミン遺伝子、プロトロンビン遺伝子、α1−ミクログロブリン遺伝子またはアルドラーゼ遺伝子、これらの単一コピーもしくは複数コピーの形態、単離された形態もしくは他のサイトメガロウイルス、α1−抗トリプシンまたはアルブミンプロモーターなどの肝臓特異的発現因子との組合せを含む。好ましくは、本発明のポリヌクレオチドを発現させるために使用されるプロモーターは、樹状細胞における機能的なプロモーター、たとえばBros等(J.Immunol.,2003,171:1825−1834)によって記載されているファシン遺伝子プロモーター、DC−CK1、DC−STAMPおよびDC−SIGN遺伝子プロモーター、Morita et al.,(Gene Ther.,2001,8:1729−37)に記載されているDectin−2プロモーター、(Masood,R.,et al.2001.Int J Mol Med 8:335−343 and Somia,N.V.,et al.1995.Proc Acad Sci USA 92:7570−7574)に記載されているCD11c遺伝子プロモーター、である。 組織特異的プロモーターの他の例としては、アルブミン遺伝子(Miyatake et al.,1997,J.Virol,71:5124−32)、肝炎ウイルスのコアプロモーター(Sandig et al,1996,Gene Ther.,3:1002−9)、α胎児型タンパク遺伝子のプロモーター(Arbuthnot et al.,1996,Hum.Gene Ther.,7:1503−14)、およびチロキシンに結合するグロブリン結合タンパク遺伝子のプロモーター(Wang,L.,et al.,1997,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:11563−11566)が挙げられる。 本発明のポリヌクレオチドまたはこれらを形成する遺伝子構築体はベクターの一部を形成することができる。それゆえ、別の側面において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体を含んでなるベクターに関する。当業者は、ベクターは、増殖のために、およびポリヌクレオチド、適切な遺伝子構築体またはコンジュゲートを精製するために適切な種々の異種生物における発現ベクターを得るために、適切なクローニングベクターであり得るので、使用し得るベクターのタイプに関しては制限がないということを理解することができる。したがって、本発明における適切なベクターとしては、原核生物における発現ベクター、たとえばpUC18、pUC19、pBluescriptおよびその誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、CoIE1、pCR1、pRP4、ファージ、pSA3およびpAT28等のシャトルベクター、2ミクロンプラスミドのタイプのベクター等の酵母における発現ベクター、組み込みプラスミド、YEPベクター、セントロメアプラスミドなど、pACシリーズ、pVLシリーズ等の昆虫細胞における発現ベクター、pIBI、pEarleyGate、pAVA、pCAMBIA、pGSA、pGWB、pMDC、pMY、pOREシリーズベクターなど植物において発現するベクター等の植物における発現ベクター、ウイルスベクター(アデノウイルス、アデノウイルス関連ウイルスはもちろんのこと、レトロウイルス、レンチウイルスも)だけでなく非ウイルスベクター、たとえばpSilencer 4.1−CMV(Ambion)、pcDNA3、pcDNA3.1/hyg、pHCMV/Zeo、pCR3.1、pEF1/His、pIND/GS、pRc/HCMV2、pSV40/Zeo2、pTRACER−HCMV、pUB6/V5−His、pVAX1、pZeoSV2、pCI、pSVL、およびpKSV−10、pBPV−1、pML2dおよびpTDT1、をも基礎とする高等真核細胞における発現ベクターを挙げることができる。 本発明のベクターは、当該ベクターによって形質転換され、トランスフェクトされ、または感染させられ得る細胞を、形質転換させ、トランスフェクトさせ、または感染させるために使用される。上記細胞は原核細胞または真核細胞であることができる。例として、上記DNA配列が導入されたベクターはプラスミドまたはベクターであることができ、これらは、これらが宿主細胞内に導入されたとき、当該細胞のゲノムに組み込まれ、これらが既に組み込まれた染色体と共に複製する。上記ベクターは当業者に知られている慣用の方法によって得ることができる(前掲Sambrok et al.,2001)。 したがって、別の側面において、本発明は、本発明のポリヌクレオチド、遺伝子構築体またはベクターを含んでなる細胞に関し、当該細胞は本発明によって提供される構築体またはベクターを用いてトランスフォームされ、トランスフェクトされ、または感染され得る。トランスフォームされ、トランスフェクトされ、または感染された細胞は、当業者に知られている慣用の方法によって得ることができる(前掲Sambrok et al.,2001)。特定の実施形態において、上記宿主細胞は、適切なベクターでトランスフェクトまたは感染された動物細胞である。 本発明によるコンジュゲートの発現のために適切な宿主細胞は、哺乳動物、植物、昆虫、真菌、細菌の細胞を含むが、これらに限定されない。細菌細胞としては、Bacillus、Streptomyces、およびStaphylococcus属などのグラム陽性細菌細胞、並びにEscherichiaおよびPseudomonas属の細胞などのグラム陰性細菌細胞が挙げられるが、これらに限定されない。真菌細胞は、好ましくは、Saccharomyces属、Pichia pastorisおよびHansenula polymorphaなどの酵母の細胞を含む。昆虫細胞は、Drosophila細胞およびSf9細胞を含むが、これらに限定されない。植物細胞は、とりわけ穀草類などの作物、薬効のある、観賞用の、球根状の植物の細胞を含む。本発明の適切な哺乳動物細胞は、上皮細胞株(ブタ等)、骨肉腫細胞株(ヒト等)、神経芽腫細胞株(ヒト等)、上皮性癌(ヒト等)、グリア細胞(マウス等)、肝細胞株(サル等由来)、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞、COS細胞、BHK細胞、HeLa細胞、911、AT1080、A549、293またはPER.C6、NTERA−2ヒトECC細胞、mESC株のD3細胞、等のヒト胚性幹細胞、例えばHS293、およびBGV01、SHEF1、SHEF2およびHS181、NIH3T3細胞、293T、REHおよびMCF−7およびhMSC細胞を含む。IV.本発明の医薬製剤 本発明の発明者らは、本発明によるコンジュゲートが、当該コンジュゲートの一部を形成する抗原に対するCTL応答を引き出すことができ、その結果当該抗原に対する免疫応答が要求される疾患の治療のための当該コンジュゲートの使用が可能であることを観察している。それゆえ、別の側面において、本発明は、本発明によるコンジュゲート、本発明のポリヌクレオチドもしくは遺伝子構築体、本発明のベクター、または本発明の宿主細胞、および薬学的に許容できる担体を含んでなる医薬製剤またはワクチン関する。 「薬学的に許容できる担体」という用語は、それが投与される被検体においてアレルギー反応または他の悪影響を引き起こさない担体をいう。適切な薬学的に許容できる担体は、たとえば水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびこれらの組合せの1以上を含む。さらに、所望ならば、ワクチンは、湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝剤、および/または当該ワクチンの効能を増進するアジュバンド等の少量の補助物質を含むことができる。効果的であり得るアジュバントの例としては、水酸化アルミニウム、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン、MTP−PE、並びに、細菌から抽出された3成分、モノホスホリルリピドA、トレハロースジミコール酸および細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)を2%のスクアレン/Tween 80エマルジョン中に含むRIBIが挙げられるが、これらに限定されない。アジュバントの他の例としては、DDA(ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド)、フロイント完全および不完全アジュバント、並びにQuilAが挙げられる。くわえて、リンホカイン(たとえば、IFN−γ、IL−2およびIL−12)等の免疫調節物質、またはポリI:C等の合成IFN−γ誘導因子は、本明細書に記載されたアジュバントとともに使用され得る。 さらに別の側面において、本発明は、治療において使用するための、本発明によるコンジュゲート、本発明のポリヌクレオチドもしくは遺伝子構築体、本発明のベクター、本発明の宿主細胞、医薬組成物もしくはワクチンに関する。 コンジュゲートは単独で使用されることができ、または、他の抗原もしくはCTL応答の免疫刺激を増進させることで知られている、GM−CSF、IL−12、IL−2、TNF、IFN、IL−18、IL−3、IL−4、IL−8、IL−9、IL−13、IL−10、IL−14、IL−15、G−SCF、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、TGF−α、TGF−βなどのサイトカイン等他の化合物とともに供与され得る。サイトカインは当技術分野において知られており、文献上または商業的に容易に入手される。 別の側面において、本発明は、抗原ペプチドに対する細胞傷害性応答を誘発する方法において使用するための、本発明によるコンジュゲート、本発明のポリヌクレオチドもしくは遺伝子構築体、本発明のベクター、本発明の宿主細胞、本発明による医薬組成物もくしはワクチンに関する。さらに、本発明は、その応答を必要としている被検体において免疫応答を誘発する、当該被検体への本発明によるコンジュゲート、本発明のポリヌクレオチドもしくは遺伝子構築体、本発明のベクター、本発明の宿主細胞、本発明による医薬組成物もくしはワクチン投与を含んでなる方法に関する。 本発明によるコンジュゲート、ポリヌクレオチド、遺伝子構築体、ベクター、宿主細胞および医薬組成物を、それに対してCTL応答の発生を導く抗原ペプチドが同定されている任意の疾患の治療のために用いることができることは明らかである。したがって、本発明の化合物は、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(たとえば、HSV−1、HSV−II,CMVまたはVZV)、ポックスウイルス(たとえば、天然痘もしくは牛痘等のオルトポックスウイルスまたは伝染性軟属腫)、ピコルナウイルス(たとえば、ライノウイルスまたはエンテロウイルス)、オルトミクソウイルス(たとえば、インフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス(たとえば、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルスおよび呼吸系発疹ウイルス)、コロナウイルス(たとえば、重症急性呼吸器症候群)、パボウイルス(たとえば、陰部疣贅、尋常性疣贅または足底疣贅を引き起こすようなパピローマウイルス)、ヘパドナウイルス(たとえば、B型肝炎ウイルス)、フラビウイルス(たとえば、C型肝炎ウイルスまたはデングウイルス)、またはレトロウイルス(たとえば、HIV−1等のレンチウイルス)などの感染の結果として生じる疾患等のウイルス疾患の治療のために適切である。 好ましい実施形態において、本発明によるコンジュゲート、ポリヌクレオチド、遺伝子構築体、ベクター、宿主細胞および医薬製剤は、C型肝炎ウイルスによって引き起こされる感染性疾患の治療のために使用することができる。これらの疾患としては慢性および急性C型肝炎が挙げられるが、これらに限定されない。 細菌性疾患としては、Escherichia属、Enterobacter属、Salmonella属、Staphylococcus属、Shigella属、Listeria属、Aerobacter属、Helicobacter属、Klebsiella属、Proteus属、Pseudomonas属、Streptococcus属、Chlamydia属、Mycoplasma属、Pneumococcus属、Neisseria属、Clostridium属、Bacillus属、Corynebacterium属、Mycobacterium属、Campylobacter属、Vibrio属、Serratia属、Providencia属、Chromobacterium属、Brucella属、Yersinia属、Heamophilus属またはBordetella属の細菌による感染の結果生じる疾患など。 真菌性疾患等の他の感染性疾患としては、カンジダ症、アスペルギルス症、ヒストプラズマ症、クリプトコックス髄膜炎、またはマラリア、ニューモシスティス・カリニ、肺炎、リーシュマニア症、クリプトスポリジア症、トキソプラズマ症、トリパノソーマ感染などを含むがこれらに限定されない寄生虫性疾患が挙げられるがこれらに限定されない。 本発明によるコンジュゲートは、これらに限定されないが、結腸、腹部、骨、乳房、消化器系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、副甲状腺、下垂体、睾丸、卵巣、胸腺、甲状腺)、目、頭部、頸部、神経(中枢および末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、軟組織、脾臓、胸部、泌尿生殖器系などに位置する腫瘍等の過剰増殖性疾患の治療のためにも適している。 同様に、本発明の化合物によって治療または検出され得る他の過剰増殖性疾患としては、小児急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、成人(原発性)肝細胞癌、成人(原発性)肝癌、成人急性リンパ性白血病、成人急性骨髄性白血病、成人ホジキン病、成人ホジキンリンパ腫、成人リンパ性白血病、成人非ホジキンリンパ腫、成人原発性肝癌、成人軟部組織肉腫、AIDS関連リンパ腫、AIDS関連悪性腫瘍、肛門癌、星状細胞腫、胆管癌、膀胱癌、骨肉種、脳幹グリオーマ、脳腫瘍、乳癌、腎盂および尿管の癌、中枢神経系(原発性)リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫、子宮頸癌、小児(原発性)肝細胞癌、小児(原発性)肝癌、小児急性リンパ芽球性白血病、小児急性骨髄性白血病、小児脳幹グリオーマ、小児小脳星細胞腫、小児大脳星細胞腫、小児頭蓋外胚細胞腫瘍、小児ホジキン病、小児ホジキンリンパ腫、小児視床下部および視経路膠腫、小児リンパ芽球性白血病、小児髄芽腫、小児非ホジキンリンパ腫、小児松果体およびテント上未分化(原始)神経外胚葉性腫瘍、小児原発性肝癌、小児横紋筋肉腫、小児軟部組織肉腫、小児視経路および視床下部膠腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸癌、皮膚T細胞白血病、膵島細胞癌、子宮内膜癌、上衣(細胞)腫、上皮性腫瘍、食道癌、ユーイング肉腫および関連腫瘍、膵外分泌癌、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼癌、女性乳癌、ゴーシェ病、胆嚢癌、胃癌、消化管カルチノイド腫瘍、胃腸腫瘍、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、ヘアリー(有毛)細胞白血病、頭頸部癌、肝細胞癌、ホジキン病、ホジキンリンパ腫、高γグロブリン血症、下咽頭癌、腸癌、眼内黒色腫、島細胞癌、膵島細胞癌、カポジ肉腫、腎(臓)癌、喉頭癌、口唇および口腔がん、肝(臓)癌、肺癌、リンパ(組織)増殖性疾患、マクログロブリン血症、男性乳癌、悪性中皮腫、悪性胸腺腫、髄芽(細胞)腫、メラノーマ(黒色腫)、中皮腫、原発不明転移性扁平上皮性頸部癌、原発性転移性扁平上皮性頸部癌、転移性扁平上皮性頸部癌、多発性骨髄腫、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、骨髄異形成症候群、骨髄性(Myelogenous)白血病、骨髄性(Myeloid)白血病、骨髄増殖性疾患、鼻腔および副鼻腔癌、鼻咽腔癌(上咽頭癌)、神経芽細胞腫、妊娠中の非ホジキンリンパ腫、非黒色腫皮膚癌、非小細胞肺癌、原発不明転移性扁平上皮性頸部癌、口腔咽頭癌、Osteo−Z悪性線維性肉腫、骨肉腫W悪性線維性組織球腫、骨肉腫/骨の悪性繊維性組織球腫、上皮性卵巣癌、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵(臓)癌、異常タンパク血症、紫斑病、副甲状腺癌(上皮小体癌)、陰茎癌、褐色細胞腫、下垂体部腫瘍、形質細胞腫/多発性骨髄腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性肝癌、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、腎盂および尿管の癌、網膜芽(細胞)腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、サルコイドーシス肉腫、セザリー症候群(皮膚T細胞リンパ腫)、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部組織肉腫、扁平上皮性頸部癌、胃癌、テント上未分化(原始)神経外胚葉性および松果体腫瘍、T細胞リンパ腫、睾丸癌(精巣癌)、胸腺腫、甲状腺癌、腎盂および尿管の移行上皮(細胞)癌、移行性腎盂および尿管癌、絨毛性腫瘍、尿管および腎盂細胞癌、尿道癌、子宮癌、子宮肉腫、膣癌、視経路および視床下部膠腫、外陰癌、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍、並びにその他任意の過剰増殖性疾患、くわえて上記した器官系に位置する腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。 さらに、本発明によるコンジュゲートは、前癌状態を予防および/または治療し、並びに上記した疾患を含むがそれらに限定されない腫瘍性もしくは悪性の状態への進行を予防するためにも適切であり得る。そのような使用は、腫瘍または癌への進行について知られ若しくは疑われている状態、特に、過形成、化生、またはとりわけ形成異常からなる非腫瘍性細胞増殖が引き起こされている状態、において指し示されている。 過形成(異常増殖)は、構造や機能における顕著な変化なしに、ある組織または器官における細胞数の増加を伴う、調節された細胞増殖の一形態である。本発明の化合物で予防および/または治療され得る過形成性疾患としては、血管胞状縦隔リンパ節過形成、好酸球増多随伴性血管リンパ球増殖症、異型メラノサイト(メラニン産生細胞)過成形、基底細胞過形成、良性巨大リンパ節過形成、セメント質過形成、先天性副腎(皮質)過形成、先天性脂腺過形成、嚢胞性過形成、胸部の嚢胞性過形成、義歯性線維症、乳管過形成、子宮内膜増殖症、線維筋性過形成、局所性上皮過形成、歯肉増殖症、炎症性線維性過形成、炎症性乳頭過形成、血管内乳頭状内皮過形成、前立腺結節性過形成、再生結節性過形成、偽上皮腫性過形成、老人性脂腺増殖症、およびいぼ状の過形成が挙げられるが、これらに限定されない。 化生は、ある種の成熟または完全に分化した細胞が別の成熟した細胞と置き換わるという調節された細胞増殖の一形態である。本発明の化合物で予防および/または治療され得る化生疾患としては、原発性骨髄線維症、アポクリン化生、異型化生、自己実質化生、結合組織化生、上皮化生、腸化生、化生性貧血、変形骨化、化生性ポリープ、骨髄化生、原発性骨髄化生、二次性骨髄化生、扁平上皮化生、羊膜の扁平上皮化生、および症候性骨髄化生が挙げられるが、これらに限定されない。 形成異常はしばしば癌の前兆であり、主に上皮(組織)において発見される;形成異常は、個々の細胞の同一性および複数の細胞の構造上の配向性における損失を伴う、非腫瘍性細胞増殖の中で最も無秩序な形態である。形成異常細胞は大抵、異常に大きく、核が強く染色され、多形性を示す。形成異常は慢性的な刺激または炎症が存在する箇所で特徴的に発生する。本発明の化合物で予防および/または治療され得る形成異常疾患としては、無汗性外胚葉性形成異常、前後形成異常、窒息性胸郭異形成、心房指状形成異常、気管支肺異形成、終脳形成異常、頸部形成異常、軟骨外胚葉性形成異常、鎖骨頭蓋骨形成不全、先天性外胚葉性形成異常、頭蓋骨幹形成異常、頭蓋骨手根骨足根骨形成不全、頭蓋骨幹端形成異常、象牙質異形成症、骨幹形成異常、外胚葉性形成異常、エナメル質形成異常、脳−眼異形成、骨端固定半肢症形成異常、多発性骨端固定形成異常、点状骨端固定形成異常、上皮形成異常、顔面指趾生殖器形成異常、顎の家族性線維性形成異常、家族性白色襞性形成異常、線維筋性形成異常,骨の線維筋性形成異常、開花性骨異形成症、遺伝性腎性−網膜形成異常、発汗性外胚葉性形成異常、無汗性外胚葉形成異常症、リンパ球減少性胸腺形成異常、乳房形成異常、顎顔面形成異常、骨幹端形成異常、モンディーニ型内耳形成異常、単発性線維性形成異常、粘膜上皮形成異常、多発性骨端形成異常、眼耳脊椎形成異常、眼歯指形成異常、眼脊椎形成異常、歯牙形成不全、眼下顎四肢形成不全、根尖性セメント質異形成症、多発性線維性骨形成異常、偽軟骨発育不全脊椎骨端形成異常、網膜形成異常、中隔−視覚異形成症、脊椎骨端形成異常、および心室橈骨形成異常が挙げられるが、これらに限定されない。 本発明による化合物で予防および/または治療され得るさらなる前癌性疾患としては、良性異常増殖疾患(たとえば、良性腫瘍、線維嚢胞性病変、組織肥大、腸ポリープ、大腸ポリープおよび食道異形成)、白板症、角化症、ボーエン病、農夫皮膚、日光口唇炎および日光性角化症が挙げられるが、これらに限定されない。 好ましい実施形態において、本発明によるコンジュゲート、ポリヌクレオチド、遺伝子構築体、ベクター、宿主細胞および医薬製剤は、いぼや腫瘍を含むヒトパピローマ(乳頭腫)ウイルスによって引き起こされる望ましくない細胞増殖によって引き起こされる疾患の治療のために使用される。本発明の組成物で治療され得るいぼのタイプとしては、尋常性疣贅、足底疣贅、陰部疣贅(生殖器疣)、爪下または爪周囲疣贅、および扁平疣贅が挙げられる。本発明の組成物で治療され得る腫瘍としては、子宮頸癌、外陰、女性の膣と肛門および男性の陰茎および肛門が挙げられる。V.本発明の組成物 本発明の発明者らは、本発明によるコンジュゲートの免疫学的効果は、当該コンジュゲートが他の免疫刺激性化合物とともに投与される場合、相乗的に増大することを見出している。本願の実施例3は、PSMコンジュゲート、およびTLR2リガンド(PGN)、TLR3リガンド(pIC)、TLR4リガンド(LPSまたはフィブロネクチンのEDAドメイン)またはTLR9リガンド(CpG)のいずれかとの組合せの、PSMに結合されたペプチドに対する細胞傷害応答を促進する能力を記載しており、それは、ペプチドが、追加のTLRリガンドがない状態で、PSMとのコンジュゲートとして投与された場合に得られる応答に比べて強い。 したがって、別の側面において、本発明は以下の(a)、(b)を、ともにまたは独立に、含んでなる組成物に関する: (a)本発明によるコンジュゲート、本発明によるポリヌクレオチドもしくは遺伝子構築体、本発明によるベクター、または本発明による宿主細胞、 (b)以下の群から選ばれる第二成分 (i)一またはそれ以上のToll様受容体アゴニスト、(ii)一またはそれ以上の共刺激分子のアゴニスト抗体、(iii)一またはそれ以上のサイトカイン、および(iv)一またはそれ以上の上記(i)〜(iii)に規定された化合物。 本明細書において「TLRアゴニスト」という用語は、直接的なリガンドとして、または、内因性もしくは外因性リガンドを介して間接的に、TLRシグナル経路を介したシグナル応答を引き起こすことができる成分をいう(Sabroe et al,JI 2003 p1630−5)。 本発明のひとつの実施形態において、TLRアゴニストはTLR−1を介したシグナル応答を引き起こすことができる。TLR−1アゴニストの非限定的な例としては、トリアシル化リポペプチド(LPs);フェノール可溶性モジュリン;ヒト型結核菌LP;S−(2,3−ビス(パルミトイルオキシ)−(2−RS)−プロピル)−n−パルミトイル−(R)−Cys−(S)−Ser−(S)−Lys(4)−OH、三塩酸塩(Pam3Cys)LPを挙げることができ、これは細菌リポタンパクのアセチル化アミノ末端およびBorrelia burgdorfei由来のOspA LPに類似する。 別の実施形態において、TLRアゴニストはTLR−2を介したシグナル応答を引き起こすことができる。TLR−2アゴニストの非限定的な例としては、表1および2に定義されるとおりのフェノール可溶性モジュリン(PSM)およびその変異体、M.tuberculosis、B.burgdorferi、T.Pallidum由来の1以上の細菌リポペプチド;Staphylococcus aureusを含む種由来のペプチドグリカン;リポタイコ酸、マンヌロン酸、ナイセリアポーリン、細菌線毛、エルシニア毒性因子、CMVビリオン、麻疹の赤血球凝集素および酵母由来のザイモサンが挙げられる。 別の実施形態において、2本鎖RNAまたはポリイノシン酸−ポリシチジル酸(poly I:C)などのTLRアゴニストは、TLR−3を介したシグナル応答を引き起こすことができる。 別の実施形態において、フィブロネクチンのEDAドメインの1以上、グラム陰性細菌由来のリポ多糖(LPS)またはそのフラグメント(断片)、熱ショックタンパク質(HSP)10、60、65、70、75または90;サーファクタントプロテインA、ヒアルロン酸オリゴ糖、ヘパラン硫酸フラグメント(断片)、フィブロネクチンフラグメント(断片)、フィブリノゲンペプチドおよびb−ディフェンシン−2などのTLRアゴニストは、TLR−4を介したシグナル応答を引き起こすことができる。ひとつの実施形態において、TLRアゴニストはHSP60、70または90である。別の実施形態において、TLR−4を介したシグナル応答を引き起こすことができるTLRアゴニストは、Ribi et al (1986, Immunology and Immunopharmacology of bacterial endotoxins,Plenum Publ.Corp.,NY,p407−419)により記載されているようなモノホスホリルリピドA(MPL)などの非毒性LPS誘導体および下記式で表される構造を有する化合物である。 より解毒された型のMPLは、二糖骨格の3位からアシル鎖を取り除くことから生じ、3−0−脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D−MPL)と呼ばれている。 本発明においてTLRアゴニストとして使用され得るLPSの非毒性誘導体または細菌リポ多糖は、細菌源から精製および処理され、またはその替わりに合成され得る。たとえば、精製されたモノホスホリルリピドAは、Ribi et al 1986(前掲)に記載され、Salmonella属由来の3−0−脱アシル化モノホスホリルもしくはジホスホリルリピドAは、GB2220211およびUS4912094に記載されている。他の精製および合成リポ多糖は、US6,005,099およびEP0729473B1;Hilgers et al.,1986,IntArch.Allergy.Immunol.,79(4):392−6;Hilgers et al.,1987,Immunology,60(1):141−6;およびEP0549074B1に記載されている。細菌リポ多糖アジュバントは、US6,005,099およびEP0729473B1に記載されている3D−MPLおよびf3(1−6)グルコサミンジサッカライドである。本発明においてTLRアゴニストとして使用され得る他のLPS誘導体は、LPS、MPLまたは3D−MPL誘導体と構造的に類似している免疫刺激剤である。本発明の別の側面において、LPS誘導体はアシル化された単糖であり、MPLの上記構造のサブポーションである。二糖のアゴニストは、精製または合成された下記式で表されるリピドAであることができる。式中、R2はHまたはPO3H2であり;R3はアシル鎖、8−ヒドロキシミリストイルまたは下記式を有する3−アシルオキシアシル残基であり、R4は−C(=O)−(CH2)X−CH3でありXおよびYは0乃至20の値を有する。 LPSと構造上の相同性をほとんど共有しない、純粋に合成された非毒性LPS誘導体は、WO00/00462に記載されたものであり、その内容は参照することにより本明細書の開示として全て組み込まれる。 別の実施形態において、細菌フラジェリンなどのTLRアゴニストは、TLR−5を介してシグナル応答を引き起こすことができる。 別の実施形態において、マイコバクテリアリポタンパク、ジアシル化LPおよびフェノール可溶性モジュリンなどのTLRアゴニストは、TLR−6を介してシグナル応答を引き起こすことができる。さらなるTLR6アゴニストはW02003/043572に記載されている。 別の実施形態において、ロキソリビン、N7位およびC8位でのグアノシンアナログ、イミダゾキノリン化合物またはその誘導体などのTLRアゴニストは、TLR−7を介してシグナル応答を引き起こすことができる。ひとつの実施形態において、TLRアゴニストはイミキモドである。さらなるTLR7アゴニストはW002085905に記載されている。 別の実施形態において、抗ウイルス活性を有するイミダゾキノリン分子、たとえばレシキモド(R848);レシキモドはTLR−7によっても認識される、などのTLRアゴニストは、TLR−8を介してシグナル応答を引き起こすことができる。使用できる他のTLR−8アゴニストとしてはWO2004/071459に記載されているが含まれる。 別の実施形態において、非メチル化CpGヌクレオチド、特にCpGモチーフとして知られる配列関係、を含むDNAなどのTLRアゴニストは、TLR−9を介してシグナル応答を引き起こすことができる。CpG含有オリゴヌクレオチドは主にTh1応答を誘導する。そのようなオリゴヌクレオチドはよく知られており、たとえばWO96/02555、WO99/33488並びにUS6,008,200およびUS5,856,462に記載されている。ひとつの実施形態において、CpGヌクレオチドはCpGオリゴヌクレオチドである。 別の実施形態において、成分(i)は、TLR−10を介してシグナル応答を引き起こすことができるTLRアゴニストである。また、このTLRアゴニストは、上述したTLRの2以上の任意の組合せを介してシグナル応答を引き起こすことができる 本明細書で使用される「共刺激分子のアゴニスト抗体」という用語は、高い親和性でT細胞の表面にあるタンパク質と結合することができ、さらにアゴニスト作用、すなわちそれらは受容体を介してシグナルを活性化し、リガンドが結合した場合と同一の効果をもたらすことができる作用を有する化合物に関する。アゴニスト抗体とともに標的にされ得る好ましい共刺激分子は、T細胞増殖に対して共刺激活性を有する分子であり、CD4およびCD137を含むがこれらに限定されない。それゆえ、本発明の組成物における使用のために適した好ましいアゴニスト抗体は、抗CD4および抗CD137特異的抗体を含む。本発明によれば、「抗体」という用語は、CD137またはCD4に結合することができ、その結果CD137またはCD4の機能に対してアゴニスト作用を発揮できる、完全な抗体分子だけでなくそのフラグメント(断片)も含む。CD137の活性化はTリンパ球の増殖を共刺激し(Goodwin et al.,1993;Pollock et al.,1993;Schwarz et al.,1996)、Bリンパ球により発現されたCD137リガンドはT細胞増殖をB7(DeBenedette et al.,1995)とともに相乗的に共刺激する。 本発明における使用のための抗体は、CD137またはCD4に対して向けられる。「抗体」という用語は、ポリクローナルだけでなくモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体も含み、結合された、または可溶な形態で存在し得る。さらに、本発明による「抗体」は上記した種のフラグメントまたは誘導体であり得る。そのような抗体または抗体フラグメントは組換え分子、たとえば他の(タンパク性)成分との融合タンパク質、として存在もし得る。抗体フラグメントは通常酵素消化、タンパク質合成を経て、または当業者に知られている組換え技術によって作製される。したがって、本発明における使用のための抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、ヒトもしくはヒト化、組換え抗体またはそれらのフラグメントだけでなく、1本鎖抗体、たとえばscFv構築体または合成抗体であることもできる。 ポリクローナル抗体は、抗原で免疫された動物の血清から作製される抗体分子の異種混合物である。本発明の対象は抗体混合物の精製により(たとえば、特異的エピトープを有するペプチドを担持したカラムを通過させるクロマトグラフィーを用いて)得られたポリクローナル単一特異的抗体でもある。モノクローナル抗体は抗原の単一エピトープに特異的な抗体の同種集団を表す。 モノクローナル抗体は先行技術(たとえば、Kohler und Milstein,Nature,256,495−397,(1975);US4,376,110;Harlow und Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring,Harbor Laboratory(1988);Ausubel et al.,(eds),1998,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley amp;Sons,New York)に記載されている方法によって調製され得る。 本発明における使用のための遺伝子工学により作製された抗体は、上記した参考文献に記載に従い調製されてよい。 本発明における使用のための抗体は、次のクラスの免疫グロブリン:IgG、IgM、IgE、IgA、GILDおよび、適切な場合は、上述したクラスのサブクラス、たとえばIgGクラスのサブクラスの任意のひとつに属する。IgGおよび第1サブクラス、たとえばIgG1、IgG2、IgG2a、IgG2b、IgG3またはIgGMが好ましい。IgGサブタイプであるIgG1/kまたはIgG2b/kは特に好ましい。本発明における使用のためのモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマクローンはインビボ、インサイチュ、インビトロで培養され得る。高力価のモノクローナル抗体は、好ましくはインビボまたはインサイチュで産生される。 キメラ抗体は異なる起源の成分を含む種である(たとえば、マウスモノクローナル抗体由来の様々な領域を含む抗体、およびヒト免疫グロブリン由来の定常領域)。キメラ抗体は患者に投与されたとき当該種の免疫原性を低減させるためおよび産生効率を改善するために使用される。たとえば、ハイブリドーマ細胞株と比較して、マウスモノクローナル抗体はより高い収率を与える。しかしながら、キメラ抗体はヒト患者においてより強い免疫原性をもたらす。それゆえ、ヒト/マウスキメラ抗体が好ましく使用される。マウスモノクローナル抗体の超可変相補性決定領域(CDR)がヒト抗体のさらなる抗体領域と結合させられたモノクローナル抗体がさらにより好ましい。そのような抗体はヒト化抗体と呼ばれている。キメラ抗体およびその作製方法は先行技術に記載されている(Cabilly et al.,Proc.Natl.Sci.USA 81:3273−3277 (1984);Morrison et al.Proc.Natl.Acad.Sci USA 81:6851−6855(1984);Boulianne et al.Nature 312 643−646(1984);Cabilly et al.,EP−A−125023;Neuberger et al.,Nature 314:268−270(1985);Taniguchi et al.,EP−A−171496;Morrion et al.,EP−A−173494;Neuberger et al.,WO86/01533;Kudo et al.,EP−A−184187;Sahagan et al.,J.Immunol.137:1066−1074(1986);Robinson et al.,WO87/02671;Liu et al.,Proc.Natl.Acad.Sci USA 84:3439−3443(1987);Sun et al.,Proc.Natl.Acad.Sci USA 84:214218(1987);Better et al.,Science 240:1041−1043 (1988) und Harlow und Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,前掲)。 抗体フラグメントは、抗原に対する1または2の結合部位(すなわち、CD137またはCD137リガンドの1以上のエピトープ)を有する、任意の欠失または誘導体化された抗体部分を含む。 そのような抗体フラグメントの具体例は、Fv、FabもしくはF(ab’)2フラグメント、またはscFv等の1本鎖フラグメントである。Fv、FabもしくはF(ab’)2などの2本鎖フラグメントが好ましい。FabおよびF(ab’)2フラグメントは完全なままの抗体におけるFcフラグメントを有していない。有益な結果として、そのようなフラグメントは循環系においてより速く輸送され、完全な抗体種と比較して、非特異的な組織結合を示し難い。そのようなフラグメントはパパイン(Fabフラグメントの産生のため)、ペプシン(F(ab’)2フラグメントの産生のため)等のプロテアーゼを用いたタンパク分解または化学的酸化によって完全なままの抗体から産生され得る。 好ましくは、抗体フラグメントまたは抗体構築体は、対応する抗体遺伝子の遺伝子操作により産生される。組換え抗体構築体は普通1本鎖Fv分子(scFvs、サイズ30kDa)を含み、そのVHおよびVLドメインは、発現および折りたたみ効率を改善するためポリペプチドリンカーを介して連結されている。機能的親和性を強めるため、およびサイズを増大させ血中クリアランス量を減少させるために、単量体scFvフラグメントは、接着タンパクドメインまたはペプチドリンカーを用いて複合され、二量体化、三量体化または大きな会合体にさせられ得る。そのような2価のscFv二量体の構築体の例は、各scFvのVHおよびVドメイン間の短い、たとえば5残基の、リンカーが、Vドメインが1本鎖Fvモジュールに入り込む配置を防止し、その代わりに2つのscFv分子が会合するようになる、60kDaの二重特異性抗体である。二重特異性抗体は2つの機能的な抗原結合部位を有する。リンカーは3残基未満まで減らされることもでき、二重特異性抗体の立体構造を妨げ、その代わりに3つのscFv分子が会合して3つの機能的な抗原結合部位を有する三量体(90kDa三重特異性抗体)になるように導く。4価の四重特異性抗体になる4つのscFv分子の会合もまた可能である。本発明における使用のためのさらに好ましい抗体構築体はscFv−CH3融合タンパク質の二量体(80kDa;いわゆる「ミニ抗体」)である。本発明における使用のための抗体は、好ましくはGenBank Acc.No.L12964 8(図8A参照)によるヌクレオチド配列を含む核酸、またはGenBank Acc.No.L12964によるヌクレオチド配列と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、特に好ましくは少なくとも97%の相同性を有する核酸によってコードされているペプチドまたはタンパク質を対象とする。 本明細書において「免疫刺激性サイトカイン」という用語は、免疫系の任意の成分、その一部を形成する成分または細胞(介在)性免疫応答、液性免疫応答および補体系に関与する成分を含む、の活性の増大を促進する任意の化合物として理解される。好ましくは、免疫刺激性サイトカインは、IL−12、IL−2、IL−15、IL−18、IL−24、GM−CSF,TNFα、CD40リガンド、IFNα、IFNβ、IFNγおよび機能的に同等なそれらの変異体からなる群から選ばれる。 好ましい実施形態において、本発明の組成物の成分(b)はTLRアゴニストを含む。さらにより好ましい実施形態において、当該アゴニストはTLRリガンド3、TLR4リガンドおよびTLR9リガンドからなる群から選ばれる。さらにより好ましい実施形態において、TLRリガンド3はpoly I:Cであり、TLR4リガンドはLPSまたはフィブロネクチンのEDAドメインであり、および/またはTLR9リガンドはCpGである。VI.本発明の組成物の医薬としての使用 本発明の組成物は、コンジュゲートの一部を形成する抗原ペプチドに対する免疫応答の促進に適する。それゆえ、別の側面において、本発明は、本発明の組成物と薬学的に許容できる担体とを含んでなる医薬製剤またはワクチンに関する。別の側面において、本発明は、医薬において使用するための、本発明の組成物または本発明の組成物を含んでなる医薬製剤またはワクチンに関する。 本発明の組成物は本発明によるコンジュゲートと同一の目的のために使用され得る。それゆえ、別の側面において、本発明は医薬において使用するための本発明の組成物に関する。 本発明の組成物は、抗原ペプチドに対する細胞傷害応答を誘導するためのワクチンとしてインビボで使用され得る。それゆえ、別の側面において、本発明は、細胞傷害応答を必要としている被検体に、本発明の組成物を投与することを含んでなる、抗原ペプチドに対する細胞傷害応答を誘導する方法に関する。別の側面において、本発明は、抗原ペプチドに対する細胞傷害応答を誘導する方法において使用するための、本発明の組成物および医薬組成物に関する。好ましい実施形態において、本発明は感染性疾患、アレルギー性疾患または腫瘍性疾患に対する細胞傷害応答を誘導するための方法に関する。 したがって、別の側面において、本発明は、感染性疾患、アレルギー性疾患または腫瘍性疾患の治療において使用するための本発明の組成物に関する。別の側面において、本発明は、その投与を必要としている患者に対する本発明の組成物の投与を含んでなる、感染性疾患、アレルギー性疾患または腫瘍性疾患を治療する方法に関する。VII.本発明によるコンジュゲートおよび組成物のインビトロでの使用 本発明の実施例2において示すように、本発明によるコンジュゲートは樹状細胞の成熟および抗原提示を促進することができる。それゆえ、本発明によるコンジュゲートは樹状細胞の成熟を促進するためにインビトロで使用することもできる。それゆえ、別の側面において、本発明は、抗原提示細胞による抗原ペプチドもしくは抗原の提示を促進するための、または抗原提示細胞の成熟を促進するための、本発明によるコンジュゲート、本発明のポリヌクレオチドもしくは遺伝子構築体、本発明のベクター、本発明の宿主細胞、または本発明の組成物の使用に関する。好ましい実施形態において、抗原提示細胞は樹状細胞である。 樹状細胞の成熟を促進する方法に関する異なる実施形態は以下の項目VIIIで詳細に述べる。VIII.抗原に感作された抗原提示細胞の作製方法および当該方法を用いて得られた抗原提示細胞本発明の発明者らは、本発明によるコンジュゲートが樹状細胞の成熟と、当該細胞による抗原提示とを促進し、その結果抗原に感作された樹状細胞へ導くことができることを確認している。それゆえ、別の側面において、本発明は抗原に感作された樹状細胞を得るための方法に関し、該方法は: (i)抗原提示細胞(APC)を、本発明によるコンジュゲート、ポリヌクレオチド、遺伝子構築体、ベクター、宿主細胞、または医薬組成物もしくは製剤と接触させ、そして (ii)抗原がロードされたAPCを単離することを含んでなる。 第一の工程において、抗原に感作されたAPCを得る方法は、APCを本発明によるコンジュゲートに接触(作用)させることを含んでなる。 本明細書において、「抗原提示細胞(APCs)」という用語は、1以上の抗原を免疫系の特異的エフェクター細胞によって認識されるペプチド−MHC複合体の形で提示することができ、さらにそのことによって、提示された1以上の抗原に対する効果的な細胞性免疫応答を誘発することができる細胞のクラスをいう。本発明における使用のために適したAPCは、プロフェッショナルなAPC、たとえば樹状細胞(DC)、マクロファージおよびB細胞、だけでなくノンプロフェッショナルなAPC、たとえば線維芽細胞、胸腺上皮細胞、甲状腺上皮細胞、グリア細胞、膵臓ベータ細胞および血管内皮細胞も含む。好ましい実施形態において、APCは樹状細胞である。好ましくは、本発明の方法において使用するAPCは樹状細胞であり、それは、これらが、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答のためにナイーブT細胞を活性化するため、有効量で、抗原を提示する能力を有する唯一のAPCであるからである。 「樹状細胞(DCs)」という用語は、様々なリンパおよび非リンパ組織で発見された形態学的に類似している細胞型の種々の集団をいう(Steinman(1991)Ann.Rev.Immunol.9:271−296)。樹状細胞は生体中で最も強力で好ましいAPCsである。樹状細胞は単球から分化させられ得るが、特異的な表現型を有する。たとえば、特定の分化マーカーであるCD14抗原は樹状細胞では発見されないが、単球によって所有されている。また、成熟樹状細胞は食細胞でないのに対し、単球は強力に食作用を有する細胞である。成熟DCsはT細胞の活性化および増殖のために必要なすべてのシグナルを提供することができるということが示されている。 樹状細胞は、当技術分野において知られている任意の方法によって、脾臓、リンパ節、扁桃腺、腸のパイアー斑および骨髄などこれらに限定されない、被検体の血液、骨髄または二次リンパ器官、から単離または作り出され得る。好ましくは、本発明の方法で使用されるDCsは(最終分化した)樹状細胞である。樹状細胞の起源はヒト血中単球である。 そのような起源から得られる免疫細胞は、通常、分化および成熟の様々な段階で再循環リンパ球およびマクロファージを主に含む。樹状細胞の調製は標準的な技術、たとえばT細胞および接着細胞の枯渇、引き続き密度勾配遠心分離、により改良され得る(たとえばCurrent Protocols in Immunology,7.32.1−7.32.16,John Wiley and Sons,Inc.,1997参照)。DCsは、場合によっては、さらに蛍光標識された細胞のソーティングにより、または抗CD83MAb電磁ビーズにより単離され得る。また、高収率の相対的に相同なDCs集団は、血液サンプルまたは骨髄中に存在するDC前駆細胞を顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)およびインターロイキン4(IL−4)などのサイトカインで処理することによって得られる。そのような条件下で、単球は細胞増殖しないで樹状細胞に分化する。TNFα等の試薬を用いたさらなる処理はDCsの最終分化を刺激する。 限定されない例として、樹状細胞は血中単球から次のとおり得ることができる:末梢血単球は標準的な方法(たとえば、Sallusto et al.,1994,J.Exp.Med.179:1109−1118参照)により得られる。健常な血液ドナー由来の白血球は、Ficoll−Paque密度勾配遠心分離を用いた白血球除去輸血パックまたは軟膜調製およびプラスチック吸着によって集められる。成熟DCsが望ましい場合は、DCsを培養するため、次のプロトコルを使用することができる。細胞は37℃で4時間プラスチック皿に接着させられる。非接着細胞は除去され、接着単球は0.1mu g/ml顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)および0.05mu g/mlインターロイキン4(IL−4)を含む培地で7日間培養される。成熟樹状細胞を調製するために、腫瘍壊死因子αが5日目に添加され、細胞は7日目に集められる。 未成熟樹状細胞を成熟させる方法は当技術分野において知られている。たとえば、完全なおよび不可逆的に成熟および安定したDCsは未成熟樹状細胞を自己または非自己単球を培養した培養液を加えた培地で培養することによって得ることができる(PBMC馴化培地またはSACs;Romani et al.(Immunol.Methods,1996,196:137)およびBender et al.(J.Immunol.Methods,1996,196:121)参照)。Jonuleit et al.(Eur.J.Immunol.,1997 12:3135−3142)は未成熟DCsのGM−CSFおよびIL−4、並びにTNF−I±、IL−1I2、IL−6およびPGE2を含む「サイトカインカクテル」を含む培地でのオーバーナイト培養による成熟を開示する。上記カクテル中のサイトカインの好ましい濃度は、10ng/ml TNF−I±、10ng/ml IL−1I2、100ng/ml IL−6および1 I1/4g/ml PGE2である。EP−A−0922758には、単球由来の未成熟樹状細胞からIFN−1を含む培地での培養によって成熟樹状細胞を作製することが記載されている。US2004/0152191には、RU 41740を用いた培養による樹状細胞の成熟が記載されている。DC成熟のための「CD40Lベースプロセス」および「成熟後エレクトロポレーション(PME)CD40Lプロセス」はWO2006/042177に記載されており、その内容は参照することにより本明細書に援用される。CD40Lベースプロセスにおいて、未成熟DCはCD40L mRNAおよび抗原をコードするmRNAでトランスフェクトされ、その後IFN−1(1000U/ml)もしくはTNF−I±(10ng/ml)またはIFN−I3およびPEG2(1 I1/4g/ml)で処理される。オーバーナイト培養後、DCsは採取され、抗原をコードするRNAおよびCD40L mRNAをエレクトロポレーションされ、800U/ml GM−CSFおよび500U/ml IL−4を含むX−VIVO 15培地で、分離される前に、4時間以上培養され、細胞またはウイルスの溶解物または抽出物でパルスするためにアリコートされる。また、マクロファージ、樹状細胞およびB細胞を含むがこれらに限定されない抗原提示細胞(APCs)は、Inaba et al,(1992)J Exp Med 176 1693−1702に記載されているように、ヒト末梢血または骨髄由来の幹細胞および前駆細胞からインビトロで産生することによって得ることができる。 この方法で得られる樹状細胞は、特徴として、細胞表面マーカーCD83を発現する。加えて、その細胞は、特徴的に、MHCクラスII分子だけでなく細胞表面マーカーCD1α、CD40、CD86、CD54およびCD80を高レベルで発現するが、CD14を発現しない。他の細胞表面マーカーとしては、特徴的に、T細胞マーカーCD2およびCD5、B細胞マーカーCD7、並びに骨髄細胞マーカーCD13、CD32(FcγRII)、CD33、CD36およびCD63、さらには多数の白血球関連抗原を挙げることができる。 場合によって、標準的技術、たとえば形態学的観察および免疫化学的染色、が樹状細胞の存在を確認するために使用され得る。たとえば、樹状細胞の純度は1以上の特徴的な細胞表面マーカー;たとえば上記したCD83、HLA−ABC、HLA−DR、CD1α、CD40、および/またはCD54;に対して向けられた蛍光標識された抗体を用いたフローサイトメトリーによって評価され得る。この技術は、未成熟DCsで発現するが成熟DCsでは発現しないCD14に対して向けられた蛍光標識された抗体を用いて、未成熟DCsと成熟DCsを識別するためにも使用され得る。 DC前駆体は、健常な被検体または特異的抗原の発現に関連する疾患に罹患していることが分かっている被検体から得ることができる。そのようなDC前駆体は同種異型であるかまたは自己移植的であり得る。 DC前駆体が得られたら、それらは適切な条件下で細胞集団を拡大するのに十分な時間培養され、DCsを最適な抗原の取り込み、プロセッシングおよび提示ができる状態で維持する。米国特許出願60/158, 618号に詳しいように、DC前駆体を培養するひとつの好ましいアプローチにおいて、DCは、血清またはタンパク質を含んでいない培地で40時間、外から加えられたサイトカインの非存在下で、エクスビボ培養によって、そのようなDC前駆体から生み出される。 DC単離および培養の好ましい態様は、外から供給されたサイトカインを欠く培養培地を用い、血清なしの条件下で、既にAgをプロセッシングし、免疫細胞にAgを提示する能力を有し、Ag特異的免疫応答、たとえば腫瘍抗原に対するCTL介在型T細胞応答を素早く生み出す、Agをロードした非常に活性化されたDCの発生をもたらすための効率的な方法での培養を含む。 樹状細胞は、本発明によるコンジュゲートに対する暴露の前後、冷温(冷凍)保存によって保存され得る。 本発明の抗原をロードした樹状細胞を得る方法の工程(i)において、APCは、樹状細胞と、本発明によるコンジュゲート、ポリヌクレオチド、遺伝子構築体、ベクター、宿主細胞または医薬組成物とを接触させながら接触させる。接触工程は、DCがコンジュゲートまたは当該コンジュゲートをコードする核酸のいずれに接触させられるかに依存して異なって行われ得る。 接触工程が、本発明によるコンジュゲートを用いて行われる場合、当該接触工程はDCを十分な時間コンジュゲートに接触させ/インキュベートすることを含む。ひとつの実施形態において、感作はAPCsをコンジュゲートに非共有結合したヒートショックプロテイン(hsp)に接触させることによって増大させ得る。抗原分子に非共有結合したhspは、APC感作を増大させることが実証されている。 あるいは、APCは、コンジュゲートをコードしているベクターでトランスフェクトされ、養子免疫治療およびワクチン治療のために使用され得る。インビボ、エクスビボおよびインビトロで核酸を細胞に導入するためのいくつかのアプローチ、たとえば脂質またはリポソームベースの遺伝子運搬および治療的なポリヌクレオチド配列をレトロウイルスゲノムの一部として含む複製欠損レトロウイルスベクターが使用されている。広く使用されているレトロウイルスベクターとしては、マウス白血病ウイルス(MuLV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、アルファウイルス、およびこれらの組合せに基づくものが挙げられる。ベクターは、ベクターに対応するレトロウイルスによって感染されない細胞に対するベクターのホスト領域程度まで任意に偽型である。たとえば、水疱性口内炎ウイルスエンベロープ糖タンパク(VSV−G)は、造血幹細胞に感染することができるVSV−G偽型HIVベクターを構築するために使用されている。アデノ関連ウイルス(AAV)ベースベクターも、たとえば、核酸およびペプチドのインビトロ産生、およびインビボオヨビエクスビボ遺伝子治療手段において、標的核酸を細胞にトランスデュースするために使用されている。他の適切なウイルスベクターは、ヘルペスウイルス、レンチウイルスおよびワクシニアウイルスを含む。 ウイルスベクターに加えて、いくつかの非ウイルストランスフェクション法が利用できる。そのような方法としては、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポソーム、カチオン性脂質複合体、油中水型エマルジョン、ポリエチレンイミン、およびデンドリマーを挙げることができるが、これらに限定されない。ここで、適切な2種以上のベクターがともに使用され得る。たとえば、プラスミドベクターはリポソームとの結合で使用され得る。非ウイルスベクターのケースでは、核酸が当技術分野で知られている任意の適切な方法により、非ウイルスベクターに組み込まれ得る。プラスミドとしては、適切な制限部位に構築体を連結することを含む。リポソーム、油中水型エマルジョン、ポリエチレンイミン、デンドリマーなどのベクターとしては、ベクターおよび構築体は当技術分野で知られている適切な条件下で混合することによって連結される。 RNAを用いてAPCをロードすることも可能である。これは通常エレクトロポレーション、パッシブ・アップテイク、リポフェクション、マイクロインジェクション、カチオン性試薬、ウイルストランスダクション、CaPO4などの技術を用いることで行われる。 DCの活性化は、DCをコンジュゲート中に存在する抗原ペプチドに特異的なT細胞受容体を発現するT細胞クローンに接触させること、T細胞の増殖を測定すること、大抵標識されたヌクレオチドアナログの取込みを測定することによって検出され得る。 APCが抗原で感作されたならば、その細胞は、抗原に感作されたAPCを得るために単離される。本発明の方法を実施するために必要な細胞を単離するために細胞表面マーカーが使用され得る。たとえば、DCsはMHC分子および共刺激分子(たとえば、B7−1およびb7−2)を発現する。表面マーカーの発現はこれらの細胞の同定および単離を促進する。同定および単離のこれらの方法はFACS、カラムクロマトグラフィーなどを含む。一般の免疫学的および免疫アッセイ手段の説明として、前掲Stites and Terr (eds.)1991 Basic and Clinical Immunology(7th ed.) and Paul を参照されたい。細胞精製の間の細胞の検出のための細胞単離または免疫アッセイは任意のいくつかの形態、たとえばMaggio(ed.)(1980)Enzyme Immunoassay,CRC Press,Boca Raton,FIa.;Tijan(1985)“Practice and Theory of Enzyme Immunoassays,”Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,Elsevier Science Publishers B.V.,Amsterdam;Harlow and Lane(前掲);Chan(ed.)(1987)Immunoassay:A Practical Guide Academic Press,Orlando,FIa.;Price and Newman(eds.)(1991)Principles and Practice of Immunoassays,Stockton Press, NY;and Ngo(ed.)(1988)Non−isotopic mmunoassays,Plenum Press,NYで説明されている形態で行われ得る。細胞はフローサイトメトリー法およびFACS解析によって単離され、特徴づけられる。様々な種類のフローサイトメトリー法が知られている。蛍光励起フローサイトメトリーの一般的概説として、たとえばAbbas et al.(1991)Cellular and Molecular immunology W.B.Saunders Company,特に第3章、およびKuby(1992)Immunology W.H.Freeman and Company、特に第6章を参照されたい。 細胞抗原を標識するために使用され得る標識物質としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、タンパク質、またはアフィニティーマトリクス、炭水化物もしくは脂質等のその他のポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。検出は任意の知られた方法、たとえばイムノブロッティング、ウェスタンブロット解析、放射性もしくは生物発光性マーカーのトラッキング、キャピラリー電気泳動、またはサイズ、電荷、アフィニティーに基づいて分子を追跡する他の方法、によって進められる。 それゆえ、別の側面において、本発明は先述した方法によって得られるAPCに関する。 本発明の方法を用いて得られた抗原がロードされたAPCは、インビトロでCD8陽性T細胞および/またはCD4陽性T細胞を活性化するために使用され、またはインビボでT細胞を活性化するために被検体に直接導入され得る。それゆえ、さらに別の側面において、本発明は、医薬において使用するための本発明の方法によって得ることができるAPCだけでなく、本発明の方法によって得ることができるAPCを含んでなるワクチンに関する。医薬的使用の目的のために、細胞は治療される同一の個(自己移植)または異なる個(同種移植)に由来することができるということが理解できる。同種移植では、ドナーおよびレシピアントは、ドナーおよびレシピアント細胞双方の互いに対する免疫応答を最小化するために、HLA抗原の類似性に基づいて適合させられる。 インビボで成長させられたCD8陽性T細胞は哺乳動物に導入され得る。動物細胞では、CD8陽性T細胞は、当該T細胞が活性化させられる、MHCクラスI分子上の抗原ペプチドに対応する抗原ペプチドを有する標的細胞に対して細胞傷害性である。これらの標的細胞は通常癌細胞、またはそのMHCクラスI表面上に固有の抗原ペプチドを発現する病原体感染細胞である。T細胞が活性化される 同様に、MHCクラスIIとの関連で抗原ペプチドを認識するCD4陽性ヘルパーT細胞も、MHCクラスIおよびクラスII双方との関係の抗原ペプチドを含む本発明のAPCsによって刺激されることができる。ヘルパーT細胞も標的細胞に対する免疫応答を刺激する。細胞傷害性T細胞と同様、ヘルパーT細胞は抗原がロードされたAPCにインビトロまたはインビボで刺激される。 それゆえ、別の側面において、本発明は、細胞傷害性抗原に対する細胞傷害性細胞応答を誘導する方法において使用するための、本発明による抗原提示細胞に関する。別の側面において、本発明は、感染性、アレルギー性または腫瘍性疾患に対する細胞傷害性細胞応答を誘導する方法において使用するための、本発明の抗原提示細胞に関する。 抗原提示細胞または本発明の方法により産生される教育T細胞の免疫原性は、よく知られた方法によって決定することができ、当該方法は以下のものを含むがこれらに限定されない。− CTL機能のための51Crリリース・リシス・アッセイ 細胞傷害性T細胞は、自己が特異的に認識する特異的なペプチド:MHCクラスI複合体を発現する細胞を殺すことができる。CTL機能は一般的に標的細胞(たとえば、抗原ロードAPC、腫瘍細胞、病原体細胞など)による放射性アイソタイプの放出を測定することによって決定される。− サイトカイン・リリース・アッセイ 改変APCsに接触するT細胞によって分泌されるサイトカインのタイプおよび量の分析は、機能活性の測定とすることができる。サイトカインは、サイトカイン産生の比率および全量を決定するために、ELISAまたはELISpotアッセイによって測定され得る(Fujihashi et a/.(1993) J.Immunol.Meth.160:181;TanquayおよびKillion(1994)Lymphokine Cytokine Res.13:259)。− インビトロT細胞感作 本発明の組成物を、健常ドナーまたは患者由来PBMCから反応性T細胞集団を引き出す能力についてアッセイすることができる。このシステムでは、取り出されたT細胞は、溶解作用、サイトカイン放出、ポリクローナリティー、および抗原エピトープに対する交差反応性をテストされ得る(Parkhurst et al.,1996,J.Immunol.1996,157:2539)。− トランスジェニック動物モデル 免疫原性は、HLAトランスジェニックマウスに本発明の組成物をワクチン接種し、誘導された免疫応答の性質および強さを決定することによってインビボでアッセイされ得る。また、hu−PBL−SCIDマウスモデルは、ヒトPBLの養子トランスファーによって、マウスにおけるヒト免疫システムの再構築を許容する。これらの動物は、前掲Shirai et al.(1995)J.Immunol.154:2733; Mosier et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci. USA 90:2443に記載されているように、当該組成物でワクチン接種され、免疫応答を解析される。− 増殖アッセイ T細胞は反応性組成物に応答して増殖し得る。増殖は、たとえばトリチウムチミジン取込みを測定することによって定量的にモニターすることができる。好ましい方法において、T細胞増殖は、カルボキシフルオレセインジアセテートサクシニミジルエステル(CFSE)を用いて測定される。CFSEは、フルサクシニミジルエステル官能基および2つのアセテート部分を含むオレセイン分子からなる。リンパ球は、最初、膜透過性で非蛍光のCFSEでインキュベートされ、当該CFSEは細胞中に受動的に拡散し、細胞内エステラーゼがアセテート基を開裂し、CFSEを膜非透過性の蛍光色素に変換する。過剰な色素は洗い流され、静止細胞はインビトロで細胞増殖または抗原性刺激によって増殖するよう誘導される。細胞は6日間培養、維持される。細胞分裂の各ラウンドの間、CFSE蛍光は半減し、連続する細胞発生の同定を許容する。CFSEは標準的なフルオレセインフィルター(励起=492nm、発光=517nm)を用いて検出される。細胞表面分子、たとえばCD4およびCD8および細胞内マーカー、に対する蛍光標識された抗体を用いた染色は、特異的リンパ球サブセットの増殖の試験だけでなく、フローサイトメトリーを用いて、増殖している細胞の表現型のおよび機能的な特性の特性評価も許容する。ヨウ化プロピジウム(PI)の併用は細胞の生存能力の評価を促進する。CFSEフローキットはRenovar,Inc.(Madison,WI)および他の供給元を通じて入手できる。− 霊長類モデル 非ヒト霊長類(チンパンジー)モデルシステムを、HLA拘束性リガンドのインビボ免疫原性をモニターするために使用することができる。チンパンジーは、ヒトMHC分子と重複するMHCリガンド特異性を共有しており、それゆえ相対的インビボ免疫原性につていのHLA拘束性リガンドがテストされる(Bertoni et al.,1998,Immunol.161:4447)。− TCRシグナル伝達事象のモニタリング いくつかの細胞内シグナル伝達事象(たとえば、リン酸化反応)は、MHCリガンド複合体によるTCR結合の成功と関係がある。これらの事象の定性および定量分析は、組成物のTCR結合を介してエフェクター細胞を活性化させる相対能力と相関性がある(Salazar et al.(2000)Tnt.J.Cancer 85829;lsakov et al.(1995)J.Exp.Med.181:375)。 APC細胞は、当該抗原提示細胞の感作のために使用されるコンジュゲートの一部を形成する抗原のタイプに依存する様々な疾患の治療のために使用される。感作のための適切な抗原は前記したとおりであり、したがって当該細胞は感染性疾患、アレルギー性疾患または腫瘍性疾患の治療のために適するものとなる。それゆえ、別の側面において、本発明は、感染性疾患、アレルギー性疾患または腫瘍性疾患の治療において使用するための、本発明の抗原提示細胞に関する。さらに別の側面において、本発明は、本発明の抗原提示細胞を患者へ投与することを含む、感染性疾患、アレルギー性疾患または腫瘍性疾患の治療のための方法に関する。別の側面において、本発明は、細胞傷害性抗原に対する細胞傷害性細胞応答を誘導するための方法において使用されるための、または、感染性、アレルギー性もしくは腫瘍性疾患に対する細胞傷害性細胞応答を誘導するための方法において使用されるための、本発明による抗原提示細胞の使用に関する。 好ましくは、本発明による治療方法は、いわゆる養子免疫療法を含む。「養子免疫療法」という用語は、免疫細胞が直接的または間接的に望ましくない細胞に対する特異的免疫を仲介する(すなわち、望ましくない細胞に対する免疫応答をマウントする)という目的で、免疫細胞が宿主に投与され、癌または感染性疾患を治療するための治療的アプローチをいう。好ましい実施形態において、免疫応答は腫瘍および/または転移性細胞の成長および/または増殖の阻害をもたらし、最も好ましくは、腫瘍性細胞の死および/または融食作用をもたらす。免疫細胞は、種々の生物/宿主(外因性免疫細胞)に由来することができ、または被検体生物(自己免疫細胞)に由来する細胞であることができる。 免疫細胞は、インビトロでのAPCの活性化のための上記した任意の技術を用いて、通常特異的抗原(この場合は、本発明によるコンジュゲートにおいて使用される抗原ペプチド)によってインビトロで活性化される。養子免疫療法を行う方法は当業者によく知られている(たとえば、US5,081,029、5,985,270、5,830,464、5,776,451、5,229,115、690,915など参照)。本発明から、養子免疫療法の多数の手法が期待される。ひとつの実施形態において、DC(たとえば、患者または自己樹状細胞から単離された)は、本発明によるコンジュゲートによって刺激され、その後、それらDCがインビボで存在し免疫細胞を活性化する当該被検体に注射して戻される。さらに、またはその替わりに、DCは、本発明によるコンジュゲートをコードしている核酸がトランスフェクトされ、その後患者に再導入され得る。さらに別の実施形態において、DCは、本発明によるコンジュゲートで刺激され、または、本発明によるコンジュゲートをコードしている核酸でトランスフェクトされ、その後末梢血リンパ球または培養TIL(腫瘍浸潤リンパ球)を刺激するために使用され、後に患者に注入される抗原ペプチドに対する標的にされたCTLsを活性化する。同様に、線維芽細胞および他の樹状細胞または腫瘍細胞は、本発明によるコンジュゲートをコードする核酸でトランスフェクトされ、後に患者に注入され得る抗原ペプチドに対するCTLsを作り出すために、エクスビボで腫瘍細胞またはPBLsを活性化するために使用される。 本明細書により提供される技術を用いて、本発明によるコンジュゲートまたは当該コンジュゲートをコードしている核酸を活用した他の治療様式が容易に開発される。上述したとおり、ひとつの実施形態において、免疫細胞は末梢血リンパ球またはTIL(たとえば、腫瘍/腫瘍サスペンション)に由来している。インビトロでの活性化のために使用されるリンパ球としては、Tリンパ球、様々な抗原提示細胞(たとえば、単球、樹状細胞、B細胞等)などが挙げられるが、これらに限定されない。活性化は、後に抗原(またはそのフラグメント)を、たとえばHLAクラスI分子および/またはHLAクラスII分子上に、提示する、抗原提示細胞を本発明によるコンジュゲートに接触させることを含むことができ、および/または細胞(たとえば、Tリンパ球)をそのキメラ分子に直接的に接触させることを含むことができる。免疫細胞の活性化は多数の態様をとることができ、コンジュゲートの末梢血リンパ球(PBLs)または培養腫瘍浸潤リンパ球(TILs)への直接添加、培養キメラ分子を用いた抗原提示細胞(たとえば、単球、樹状細胞等)のローディング、コンジュゲートをコードする核酸などを用いた、抗原提示細胞、PBLsのトランスフェクションを含むことができるが、これらに限定されない。 活性化された細胞のインキュベーションは、好ましくは、全身投与を介する。細胞は、中心静脈カテーテルを介して、または大きな末梢静脈中に、静脈内投与される。投与の他の方法(たとえば、動脈への直接注入)は本発明の範囲内である。 本発明による樹状細胞は患者への投与に適した処方で、たとえば静脈注射で、提供される。患者への投与に適した本発明によるDCsは、本明細書では、「ワクチン」または「DCワクチン」という。ワクチンまたはDCワクチンは、免疫応答を調節することを助ける添加化合物をさらに含むことができ、また患者への投与に適するために、さらにプロセッシングされてよい。樹状細胞を静脈内投与する方法は当技術分野において知られており、当業者は投与されるDCsの治療効果を最大限にするために、静脈内投与のパラメータを変更することができるであろう。 それゆえ、DCsは、しばしば少なくともひとつの薬学的に許容される担体とともに、任意の適切な方法で患者に投与される。薬学的に許容される担体の適性は、投与される特定の組成によってだけでなく、当該組成物を投与するために使用される特定の方法によってもある程度決定される。最も一般的には、品質管理試験(たとえば、微生物学的測定法、クローン形成法、生死判別試験)が行われ、細胞は、いくつかのケースではジフェンヒドラミンおよびヒドロコルチゾンの投与によって先行されて、患者に再注入して戻される。たとえば、Korbling et al.(1986)Blood 67:529−532およびHaas et al.(1990)Exp.Hematol.18:94−98を参照されたい。 非経口投与、たとえば静脈内投与に適した製剤は、酸化防止剤、緩衝液、静菌薬並びに当該製剤を対象レシピエントの血液で等張にする溶質だけでなく、懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および防腐剤を含むことができる水性および非水性滅菌サスペンションも含むことができる水性等張滅菌注射液を含む。一般的に、本発明のDCsは、様々な濃度での有効量、細胞型(たとえば、LD−50)の毒性、および細胞型の副作用によって決定される割合で、量および当業者によって決定された被検体の全体の健康に応じて適切に、被検体に投与され得る。投与は単回投与または分割投与により行われ得る。本発明のDCsは、疾患または病気のための他の治療、たとえば放射線治療、細胞毒性薬、ヌクレオチドアナログ、および生物学的反応修飾物質を補完することができる。 患者に投与される樹状細胞の投与量は、本発明に照らして、患者における有益な治療反応をもたらすのに、癌細胞の増殖を阻害するのに、または感染を阻害するのに十分でなければならない。それゆえ、細胞は、ウイルスまたは腫瘍抗原に対する有効なCTL応答を引き起こすために、および/または疾患もしくは感染による症状および/または合併症を緩和、軽減、治療または少なくとも部分的に停止させるために十分な量で患者に投与される。このことを達成するための十分な量は「治療的有効量」として定義される。投与量は、産生される樹状細胞の活性および患者の状態だけでなく、体重または患者の治療される表面積によっても決定される。使用量もまた、特定の患者における特定の細胞の投与に伴って起こる任意の不利な副作用の存在、性質および程度によって決定される。癌(たとえば、転移性黒色腫、前立腺癌など)等の疾患の治療または予防において、投与される細胞の有効量を決定する場合、医師は、循環血漿中濃度、CTL傷害性、疾患の進行、および任意の導入された細胞型に対する免疫応答の誘導を評価する必要がある。 注入前、血液サンプルが得られ、分析のために保存される。一般的に、少なくとも104〜106、特に108乃至1010細胞が、70kgの患者に大体60〜120分を超えて静脈内または腹腔内注入される。好ましくは、各ワクチン接種ポイントに対して少なくとも107の細胞数が使用された。注射は、たとえば2週間間隔で4回繰り返され、好ましくはリンパ節付近に皮内または皮下注射によって行われるべきである。4週間後、ブースター注射が行われ得る。パルス酸素濃度計により、バイタルサインおよび酸素飽和度が綿密にモニターされる。血液サンプルが注入後5分および1時間に得られ、分析のために保存される。細胞再注入は大体毎月、1年の期間で全10〜12処理が繰り返される。最初の処理の後、注入は臨床医の裁量で外来で行われ得る。再注入が外来で行われた場合、参加者は治療後少なくとも4時間モニターされる。投与のため、本発明の細胞は、細胞型のLD−50(または毒性の他の測定)および様々な濃度での細胞型の副作用によって決定された割合で、患者の体重および健康状態に適応して投与される。投与は単回または分割投与により達成され得る。いくつかのレジメンでは、患者は選択的に追加で適切な生物学的反応修飾物質、サイトカインIFNα、IFNγ、IL−2、IL−4、IL−6、TNFまたは他のサイトカイン成長因子、アンチセンスTGFβ、アンチセンスeIL−10などを含むがこれらに限定されない、を受け取ることができる。 活性化された細胞が腫瘍を治療のために用いられる場合、当該細胞は単独でまたは他の治療レジメン、IL−2の投与、他の化学療法(たとえば、ドキソルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン等)、放射線治療、手術などを含むがこれらに限定されない、と併用して使用され得る。上述したように、当該細胞は、選択的に、培養で拡張されてもよい。この拡張は、本発明によるコンジュゲートを用いた、IL−2を用いた若しくはIL−2を用いない、またはIL−2のみを含む培地での増殖による、T細胞の繰り返される刺激によって達成され得る。T細胞培養(たとえば、他のリンホカイン、増殖因子、または他の生物活性分子を用いて)の他の方法もまた本発明の範囲内である。IX.治療効果のある化合物をCD4、CD8、CD19、CD11c、F4/8、および/またはCD117マーカーを発現する細胞へ輸送するための方法 本発明の発明者らは、本発明によるPSMコンジュゲートは、多数のBリンパ球、マクロファージ、CD11c樹状細胞、CD4およびCD8Tリンパ球の表面または顆粒球の表面に効果的に結合することができること、並びに特にCD4、CD8,CD19,CD11c、F4/8、および/またはCD117マーカーを発現する細胞に結合することができることをまた観察している。 このような発見は、目的の化合物を1以上の上記マーカーを発現する細胞へ輸送できる新たな追加的な治療の扉を開ける。目的の化合物には、特定の細胞に向けられた薬学的に活性な化合物および異常に上昇した数の細胞または望ましくない活性を示す細胞が存在する場所で要求される細胞傷害性化合物が含まれる。 したがって、別の側面において、本発明は、(i)フェノール可溶性モジュリンまたは機能的に同等なその変異体、および(ii)生物活性化合物を含んでなるコンジュゲート(以下「非免疫原性コンジュゲート」という。)に関する。 本発明の非免疫原性コンジュゲートにおける使用のための適切なPSMは、免疫原性コンジュゲートとの関係で既に詳細に説明している。 「生物活性化合物」という用語は、疾患の症状を予防または除くことができる化合物として定義される。本発明にあっては、まず、実質的にその生物活性を損なうことなしに共有結合修飾を受け得る任意の治療化合物を用いることができ、その結果、当該化合物はPSMまたは機能的に同等なその変異体にコンジュゲートされ得る。それゆえ、本発明には、治療的に有効な成分として、低分子有機分子、ペプチド、ペプチド模倣薬、ペプトイド、タンパク質、ポリペプチド、糖タンパク、オリゴ糖、核酸などを使用することができる。 好ましい実施形態において、生物活性化合物はペプチド化合物である。さらにより好ましい実施形態において、生物活性ペプチド化合物はPSMとともに一本鎖ポリペプチド鎖を形成する。本発明はまた、非免疫原性コンジュゲートをコードしている配列を含んでなるポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体、上記ポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体を含んでなるベクターに関し、さらに、ポリヌクレオチド、遺伝子構築体またはベクターを含んでなる宿主細胞に関する。非免疫原性コンジュゲートを発現する適切なベクターおよび宿主細胞は、本質的に免疫原性コンジュゲートのために使用されるそれらと同一であり、さらに説明の必要はないであろう。 別の側面において、本発明は、本発明による非免疫原性コンジュゲートを含んでなる医薬組成物と、さらには上記コンジュゲートをコードしているポリヌクレオチド、上記ポリヌクレオチドを含んでなるベクターもしくは遺伝子構築体、または上記ポリヌクレオチド、ベクターもしくは遺伝子構築体を含んでなる宿主細胞を、薬学的に許容される担体、アジュバント、ビヒクルとともに含んでなる医薬組成物をも提供する。本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」という表現は、ある器官もしくは身体の一部から別の器官もしくは身体の一部に上記物質を輸送または運搬することに関与している、薬学的に許容できる材料、化合物、ビヒクル、たとえば液体、固体フィラー、希釈剤、賦形剤(添加剤)、溶媒、封入材料を意味する。各担体は、当該製剤の他の成分と相溶性があるという意味において「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体として役目を果たすことができる材料のいくつかの例としては、(1)糖、たとえばラクトース、グルコース、スクロース、(2)でんぷん、たとえばコーンスターチ、ポテトスターチ、(3)セルロースおよびその誘導体、たとえばカルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロース、(4)トラガント末、(5)モルト、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)賦形財、たとえばココアバターおよび坐薬ワックス、(9)オイル、たとえばピーナッツオイル、綿実油、サフラワー油、セサミオイル、オリーブオイル、コーンオイル、大豆油、(10)グリコール、たとえばプロピレングリコール、(11)ポリオール、たとえばグリセリン、ソルビトール、マンニトール、solutol(登録商標)、ポリエチレングリコール、(12)エステル、たとえばオレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、(13)寒天、(14)緩衝剤、たとえば水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、(15)アルギン酸、(16)発熱性物質除去蒸留水、(17)等張食塩水、(18)リンガー溶液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸緩衝液、および(21)他の医薬製剤において使用されている非毒性相溶性物質、たとえばDMSO(ジメチルスルホキシド)およびその誘導体を挙げることができる。 医薬組成物は、任意の適切な投与経路、たとえば、経口、局所、直腸、非経口経路(皮下、腹腔内、皮内、筋肉内、静脈内経路を含む)により投与することができる。 経口投与のための適切な医薬形態は、任意の固体組成物(錠剤、トローチ剤、カプセル剤、顆粒剤など)または液体組成物(液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤など)を含み、当技術分野に知られている慣用の添加剤、たとえば結合剤、たとえばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカントまたはポリビニルピロリドン;フィラー、たとえばラクトース、糖、コーンスターチ、リン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン;錠剤を調製するための滑剤、たとえばステアリン酸マグネシウム、錠剤分解物質(崩壊剤)、たとえばスターチ、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルスターチナトリウムまたは結晶セルロース;または薬学的に許容できる湿潤剤、たとえばラウリル硫酸ナトリウムを含むことができる。 固体経口組成物は、錠剤を混合、調合または調製するための慣用方法によって調製することができる。繰り返し混合する作業は、大量のフィラー剤を用い、活性成分を全組成物に分配することでなされる。そのような作業は当技術分野において慣習的である。錠剤は、たとえば、湿式または乾式造粒によって調製でき、場合によっては、通常の薬務においてよく知られている方法に従って、特に腸溶コーティングでコートされ得る。 医薬組成物は、また、適切な統一された医薬形態で、滅菌溶液、懸濁液または凍結乾燥製剤などの非経口投与のために適合されてよい。充填剤(膨張性薬剤、増量剤)、緩衝剤または界面活性剤などの適切な添加剤(賦形剤)が使用され得る。上述した製剤は、スペイン薬局方および合衆国薬局方並びに類似の文献、テキストに記載または参照された方法など普通の方法を用いて調製される。 本発明において使用される化合物または組成物の投与は、たとえば静脈内注入、経口投与、腹腔内および静脈内投与など任意の適切な方法によって得ることができる。それにもかかわらず、好ましい投与経路は患者の疾患に依存する。経口投与は患者および治療されるべき疾患の慢性的性質にとって楽であり好ましい。 治療用途にとって、本発明の組成物は医薬的に許容される、実質的に純粋な形態が好ましく、すなわち、本発明の組成物は、薬学的に許容される添加剤を除き、そして通常の剤形レベルで毒性であると考えられる物質を含まない、薬学的に許容される純度レベルを有する。 本発明による非免疫原性コンジュゲートの治療的な有効量は、一般的に、いくつかある要因の中で特に、治療されるべき個人、上記個人が罹る疾患の重症度、選択された投与形態などに依存する。この理由として、本発明で示した投与量は当業者にとってのガイドとして考慮されるべきであり、選択された投与形態に依存する有効量は既に記載されたすべてに従う投与量に適応させられるべきである。それにもかかわらず、コンジュゲートは1日につき1回以上、たとえば1日につき1、2、3または4回、通常の1日の全量が1乃至200mg/kg体重、好ましくは1乃至10mg/kg体重の間に含まれるように、投与され得る。同様に、コリンキナーゼ阻害剤は1日につき1回以上、たとえば1日につき1、2、3または4回、通常の1日の全量が1乃至200mg/kg体重、好ましくは1乃至10mg/kg体重の間に含まれるように、投与され得る。 非免疫原性コンジュゲートは薬剤として使用され得、従って、本発明は、非免疫原性コンジュゲート、上記コンジュゲートをコードするポリヌクレオチド、上記ポリヌクレオチドを含んでなるベクターもしくは遺伝子構築体、ポリヌクレオチド、遺伝子構築体もしくはベクターを含んでなる宿主細胞、または上記コンジュゲートを含んでなる医薬の、薬剤としての使用に関する。 本発明による非免疫原性コンジュゲートは、当該コンジュゲートがその細胞型に対してアフィニティーを示す細胞へ特に生物活性化合物を輸送するためのものとされる。実施例1に示されているように、当該コンジュゲートはCD4、CD8、CD11c、CD19、F480またはCD117を発現する細胞に結合することができる。化合物が細胞傷害性または増殖抑制遺伝子を阻害することができる場合において、当該化合物は上述した細胞の1以上の型が望ましくない増殖が起こる疾患の治療のために使用することができる。しかしながら、化合物はまた任意の上記した細胞型の特性を復元するために適切な化合物の輸送のために使用される。化合物は細胞に失った活性を供給し、または細胞の任意の特性の消失に関与する遺伝子を阻害するであろう。 それゆえ、別の側面において、本発明は、CD4、CD8、CD11c、CD19、F480もしくはCD117陽性細胞またはこれらの組合せからなる群から選ばれる細胞の望ましくない増殖または望ましくない活性によって特徴づけられる疾患を治療するための方法であって、患者に上記コンジュゲートをコードするポリヌクレオチド、上記ポリヌクレオチドを含んでなるベクターもしくは遺伝子構築体、ポリヌクレオチド、遺伝子構築体もしくはベクターを含んでなる宿主細胞、または上記コンジュゲートを含んでなる医薬を投与することを含んでなる方法に関する。好ましい実施形態において、非免疫原性コンジュゲートは細胞傷害性化合物を含んでなり、CD4、CD8、CD11c、CD19、F480またはCD117を発現する細胞の望ましくない増殖によって特徴づけられる疾患を治療するために使用されることができる。 サイトトキシン(細胞毒素)または細胞毒素薬は細胞に対して有害な(たとえば、細胞を殺す)あらゆる物質を含む。当技術分野において知られているこれらのクラスの薬およびこれらの作用機序の説明として、Goodman et al.,Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis Of Therapeutics, 8th Ed.,Macmillan Publishing Co.,1990を参照されたい。抗体抗毒素の調製に関連する追加的な技術は、たとえばVitetta,Immunol. Today 14,252(1993)およびUS5,194,594において提供される。本発明のために有用な免疫コンジュゲートを形成する適切な治療薬としては、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシテトラヒドロアントラセンジオン,ミトキサントロン、アクチノマイシンD、1−デヒドロ−テストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロールおよびピューロマイシン、代謝拮抗物質(たとえば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、フルダラビン、5−5-フルオロウラシル、ダカルバジン、ヒドロキシウレア、アスパラギナーゼ、ゲムシタビン、クラドリビン)、アルキル化剤(たとえば、メクロルエタミン、チオエパ、クロランブシル、メルファラン、カルマスティン(BSNU)、ロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、ダカルバジン(DTIC)、プロカルバジン、マイトマイシンC、シスプラチンおよび他のプラチナ誘導体、たとえばカルボプラチン)、抗体(たとえば、ダクチノマイシン(元はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ダウノルビシン(元はダウノマイシン)、ドキソルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、カリケアマイシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシン、アントラマイシン(AMC))、ジフテリア毒素および関連分子(たとえば、ジフテリアA鎖およびその活性フラグメントおよびハイブリッド分子)、リシン毒素(たとえば、リシンAまたは脱グリコシルリシンA鎖毒素)、コレラ毒素、志賀様毒素(SLT−I,SLT−II,SLT−IIV)、LT毒素、C3毒素、志賀毒素、百日咳毒素、破傷風毒素、大豆Bowman―Birkプロテアーゼ阻害剤、緑膿菌外毒素、アロリン、サポリン、モデシン、ガラニン、アブリンA鎖、モデシンA鎖、αアルシン、シナアブラギリタンパク、ジアンシンタンパク、ヨウシュヤマゴボウタンパク(PAPI,PAPIIおよびPAP−S)、苦瓜阻害剤、クルシン、クロチン、サポナリアオフィシナリス阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、およびエノマイシン毒素が挙げられる。本明細書の他の箇所に記載された抗体と一緒に投与され得る治療薬は、本発明で使用される抗体コンジュげーションのために有用な治療成分の候補でもあり得る。さらに、細胞傷害性化合物がポリペプチドの場合、これとしては、アブリン、リシンA、緑膿菌外毒素またはジフテリア毒素などの酵素的に活性な毒素もしくはその活性フラグメント;腫瘍壊死因子もしくはインターフェロンγなどのタンパク質、リンホカイン、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−6(IL−6)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、もしくは他の成長因子およびミトコンドリアから単離されたアポトーシス誘導タンパク質などの生物学的応答調節剤が挙げられるが、これらに限定されない。 CD4陽性細胞を破壊することが望ましいとされる疾患は、たとえば自己免疫疾患;たとえば、全身性エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)、関節リウマチ、変形性関節症(骨関節炎)、若年性慢性関節炎、脊椎関節症、全身性硬化症、突発性炎症性筋疾患、シェーグレン症候群、全身性血管炎、サルコイドーシス、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少症、甲状腺炎、糖尿病、免疫介在性腎疾患、中枢または末梢神経系の脱髄疾患、突発性脱髄性多発性神経障害、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発性神経障害、肝胆汁性疾患、感染性または自己免疫性慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変症、肉芽腫性肝炎、硬化性胆管炎、炎症性腸疾患(炎症性大腸炎)、グルテン過敏性腸疾患、ウィップル病、自己免疫性または免疫性介在性皮膚疾患、水疱性皮膚疾患、多形性紅斑、接触性皮膚炎、乾癬、アレルギー性疾患、ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食品に対する過敏性、蕁麻疹、肺の免疫疾患、好酸球性肺炎、特発性肺線維症、過敏性肺炎、移植関連疾患、移植片拒絶または移植片対宿主病;において起こるような自己ターゲットまたは器官に対するCD4細胞の増大する活性が存在する状況において、CD4発現細胞の増殖阻害を促進するためのHIV−1感染である。 CD8陽性細胞の望ましくない増殖または望ましくない活性によって特徴づけられる疾患は、自己抗原に対する免疫応答または無毒の外来抗原(すなわち、非細胞変性ウイルスまたは自己抗原を模倣したウイルスの感染)に対する不適切な免疫応答の結果として生じる免疫介在性疾患である。本明細書で、「自己免疫疾患」という言葉は、被検体のそれ自身の細胞、組織および/または器官(臓器)に対する免疫応答により引き起こされる細胞、組織および/または器官損傷によって特徴付けられる被検体における疾患をいうものとする。本発明の細胞集団で治療され得る自己免疫疾患の説明に役立つ、非制限的な実例としては、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎および精巣炎、自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアック病(セリアックスプルー皮膚炎)、慢性疲労免疫機能障害症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、クレスト症候群、寒冷凝集素症、円板状ループス(紅斑性狼瘡)、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛 線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA神経障害、若年性関節炎、扁平苔癬、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、I型または免疫介在性糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変症、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、サルコイドーシス、強皮症、全身性進行性硬化症、シェーグレン症候群、グッドパスチャー症候群、スティフマン症候群、全身性エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)、エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、疱疹状皮膚炎性血管炎等の血管炎、白斑、ウェゲナー肉芽腫症等が挙げられる。 無毒の外来抗原(すなわち、非細胞変性ウイルスまたは自己抗原を模倣したウイルスの感染)に対する不適切な応答の結果として生じる疾患は、HIV−1誘導性神経疾患、タイラーマウス脳脊髄炎ウイルス(TMEV)介在性多発性硬化症、HSV誘導性重症筋無力症、ロタウイルス誘導性膵島自己免疫などを含む。 CD11c陽性細胞の望ましくない増殖または望ましくない活性によって特徴づけられる疾患は、任意のB細胞系統悪性腫瘍、たとえばリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞白血病、T細胞前リンパ球性白血病、マントル(外套)細胞リンパ腫、バーキット型白血病、多発性骨髄腫、急性リンパ性白血病などを含む。 本発明は以下の実施例によって説明されるが、かかる実施例は本発明の範囲の単なる実例的なものであり、限定的ではないものとして構成されるべきものである。実施例1.モジュリンペプチドは脾細胞の細胞表面に結合することができる。モジュリン由来ペプチドに結合することができる亜集団の解析材料および方法本解析で使用したペプチドは表3に示されるとおりであった。 結合アッセイは脾細胞(図1、パネルA、B、D、EおよびG)または骨髄由来樹状細胞(図1、パネルCおよびF)のいずれかを用いて行われた。細胞は0.4%グルタルアルデヒド溶液を用いて4℃で15分間インキュベーションすることにより固定された。5×105の固定化された細胞は20μMのCFSEαMod−SIINFEKL(図1、パネルA、BおよびC)またはCFSEγMod−SIINFEKL(図1、パネルD、E、FおよびG)の存在下でインキュベートされた。いくつかのアッセイにおいて、CFSE標識ペプチド結合の特異性を調べるために、これらのインキュベーションは非標識ペプチド、αMod−SIINFEKL、γMod−SIINFEKLまたはSIINFEKL(100μM)の存在下または非存在下において行われた(パネルBおよびE)。また、我々はネガティブ・コントロールとしてCFSE標識ペプチド、CFSE−OVA(235−264)を用いて結合アッセイを行った(図1、パネルA、C、DおよびF)。4℃で30分インキュベーション後、PBSで2回洗浄が行われ、付された標識がフローサイトメトリーにより解析された。いくつかの実験において(図1G)、CFSE−γMod−SIINFEKLペプチドと一緒にフィコエリトリン(Pharmingen社)で標識された抗CD4、CD8、CD11c、CD19、F480またはGR1(CD117)抗体を用いて二重染色が行われた。これらの場合において、特異的抗体での標識は細胞をグルタルアルデヒドで固定する前に行われた。上述したとおり、いくつかの場合において、以下に示すように得られる骨髄由来樹状細胞について、CFSEγMod−SIINFEKLもしくはCFSEαMod−SIINFEKLまたはCFSE−OVA(235−264)コントロールペプチドにより標識実験が行われた(図1Cおよび1F)。結果および考察 効果的な免疫応答を誘導するために免疫原の活性を促進することができる特徴のひとつは、抗原提示細胞によって効果的に捕獲される免疫原の能力である。モジュリンペプチドはこの能力をもつことができた。なぜなら、モジュリンペプチドはTLR2シグナル経路を活性化することができ、抗原提示細胞は表面にこの分子(TLR2)を発現することができることが記載されているからである。しかしながら、モジュリンペプチドが抗原提示細胞の表面に結合するという実験的な証拠はない。このような理由により、フローサイトメトリーにより細胞表面に結合する能力を解析するために、オボアルブミンの細胞傷害T決定基SIINFEKLに結合したγモジュリン配列およびペプチドのアミノ末端に結合したCFSE(カルボキシフルオレセインジアセテートサクシニミジルエステル(CFSE))蛍光染料を含むCFSE−γMod−SIINFEKLペプチドが合成された。 それゆえ、図1に示されるように、CFSE−αMod−SIINFEKLペプチドが脾細胞に結合するということが分かった。実際、CFSE−αMod−SIINFEKLでインキュベートされた脾細胞は、CFSE標識された不適切なペプチドCFSE−OVAでインキュベートされた脾細胞に比べて高い蛍光強度を示した(図1A)。この陽性シグナルは、非標識ペプチドαMod−SIINFEKLの添加によって著しく阻害されたが、SIINFEKLペプチドでは阻害されず(図1B)、CFSE−αMod−SIINFEKLで得られるシグナルは特異的で、かつαモジュリンの存在に関係しているということを示唆している。CFSE−αMod−SIINFEKLのこの結合能力は、骨髄由来樹状細胞が使用された場合、明確に観察された(図1C)。CFSE−γMod−SIINFEKLペプチドを使用したとき、類似の結果が見られた(図1C,DおよびE)。この場合、2つの蛍光ピーク(一方は低蛍光発光で(low)、他方は高蛍光発光で(bright))が見られた。CFSE標識された不適切なペプチドCFSE−OVA(235−264)で得られた蛍光発光は、CFSE−γMod−SIINFEKL(図1D)で観察された低蛍光ピークに類似しており、このセカンドピークは非特異的結合によるものであったということを示唆している。CFSEを含んでおらず、それゆえその受容体に対してCFSE−γMod−SIINFEKLペプチドと競合する、γMod−SIINFEKLペプチドを用いたインキュベーションはbright蛍光発光を減少させた(図1E点線参照)。しかしながら、SIINFEKLペプチドを用いたインキュベーションはこのシグナルに影響を及ぼさず、細胞表面へのペプチドの結合がγモジュリン配列の作用によるものであることを示唆している。 CFSE−αMod−SIINFEKLペプチドの場合のように、CFSE−γMod−SIINFEKLペプチドも骨髄由来樹状細胞を染色することができた(図1F)。CFSE−γMod−SIINFEKLペプチドと一緒にフィコエリトリン(Pharmingen社)で標識された抗CD4、CD8、CD11c、CD19、F480またはGR1(CD117)抗体を用いて二重染色が行われた場合(図1G)、約24.4%のCD4陽性細胞、17.8%のCD8陽性細胞、62.1%のCD11c細胞、52.8%のCD19細胞、66.2%のF480細胞および27.3%のGR1陽性細胞がCFSE−γMod−SIINFEKLペプチドで染色されたということが発見され、γモジュリンがこれらの細胞に結合したことを示唆する。 このデータは、αモジュリンおよびγモジュリンは特定の細胞サブタイプに、特に抗原提示細胞に特異的に結合し、抗原に対する特異的細胞応答を活性化する時に、これらの細胞へ抗原を輸送するしながら、非常に有用な特性を有することを示唆している。実施例2.α−モジュリンおよびγ−モジュリンペプチドは樹状細胞の成熟および抗原提示を活性化させる材料および方法骨髄由来樹状細胞の産生 樹状細胞は骨髄細胞から成長させた。ACK溶解バッファーで赤血球を溶解した後、細胞を洗浄し、リンパ球および顆粒球は抗CD4(GK1;ATCC,Manassas,VA)、CD8(53.6.72;ATCC)、Ly−6G/Gr1(BD−Pharmingen;San Diego CA)およびCD45R/B220(BD−Pharmingen)抗体の混合物さらにウサギ補給剤を用いたインキュベーションによって取り除かれた。維持細胞は、20ng/mlのmGM−CSFおよび20ng/mlのmIL−4(双方、Peprotech;London,GBから入手)で補給された106細胞/mlの完全培地で、12培養プレートで増殖した。2日ごとに、培地はサイトカインを含む新しい培地で置換された。7日目に、非接着樹状細胞が集められ、50μMのモジュリンペプチドまたは1μg/mlのLPS(Sigma)の存在下または非存在下で培養され、37℃および5%CO2で48時間インキュベートされた。この期間後、細胞は単離され、抗IAb、CD54、CD86抗体(Pharmingen)を用いてインキュベートされた。並列実験として、樹状細胞は意図された刺激剤で16時間インキュベートされ、その後IL−12のp40分子およびTNF−αのためのメッセンジャーRNAの発現が解析された。IL−12 p40およびTNFαメッセンジャーRNAの発現の解析 上記した異なる刺激剤で16時間インキュベートされた樹状細胞の全RNAは、Nucleic Acid Purification Lysis Solution(Applied BioSystems,Foster City,CA)およびABI PRISM 6100 Nucleic Acid PrepStation(Applied BioSystems)semiautomatic systemを用いて抽出された。DNaseを用いた処理、逆転写、並びにIL12のp40サブユニットおよびTNFαのmRNAの発現が定量的リアルタイムPCRは、これらのサイトカインの特異的プライマーを用いて先述したとおりに行われた(Zabala,M.,et to the 2007.J Hepatol 47:807−815)。メッセンジャーRNA定量値は式:2ΔCt、ここでΔCtはコントロール遺伝子(βアクチン)と研究対象の遺伝子との間の閾値回路における差異を意味する、を用いて算出された。成熟マーカーのアップレギュレーション DC成熟マーカーの発現はフローサイトメトリーによって測定された。DCは採取され、一次抗体の非特異的結合をブロックするために、ラット抗CD16/32 mAb(2.4G2 clone, BD Pharmingen)を用いて15分間プレインキュベートされた。この最初のインキュベーション後、細胞は4℃で15分間一次抗体で染色され、洗浄され、FACSscan cytometer(BD Biosciences, San Diego, CA)で獲得され、およびCell Quest software(BD Biosciences)を用いて解析された。使用された抗体は、抗H−2Kb(AF6−88.5クローン)、抗CD54(3E2クローン)、抗CD86(GL1クローン)および抗CD11c(HL−3クローン)(すべてBD Pharmingen製)であった。抗原提示アッセイ 骨髄由来樹状細胞は10μMの所望のペプチドの存在下または非存在下で培養された(図3)。40時間後、細胞は洗浄され、96ウェルプレートに異なる濃度で分配され、OT−1トランスジェニックマウス(トリ卵白アルブミンのSIINFEKLペプチド特異的T細胞受容体を発現する)から得られた105T細胞/ウェルの存在下で培養された。42時間後、トリチウム化チミジンを培養物に加え、6時間後、細胞を集め、取り込まれたチミジンをシンチレーションカウンター(Topcount Packard)により分析した。結果および考察 樹状細胞(DC)の成熟樹状細胞(DC)の成熟はTリンパ球応答の最適な刺激を要求する。成熟が起こるとき、APCsはMHCクラスI(このモデルのH2Kb)およびMHCクラスII(このモデルのIAb)並びにCD40、CD80およびCD86分子等の細胞表面分子の発現を増大させる。それゆえ、α−モジュリンまたはγ−モジュリン由来のペプチドEDA−SIINFEKLが骨髄由来樹状細胞の成熟を誘導するかどうかが解析された。そのために、樹状細胞は材料および方法において示されたように培養され、これらの成熟マーカーの発現を観察するためにフローサイトメトリーにより解析された。図2Cから、α−モジュリンまたはγ−モジュリンの添加はこれらの中のいくつかのマーカーの過剰発現を誘導するかもしれないことが観察される。特に、α−モジュリンはCD54、CD86およびIAb分子の発現を活性化し、これに対して、γ−モジュリンはCD54およびIAb分子の発現を促進する。このようなデータは、モジュリンが樹状細胞の成熟を刺激することによって、抗原に対する免疫応答の活性化における促進効果を有することを示唆する。 IL−12およびTNF−αサイトカインのメッセンジャーRNAの発現を解析すると(それぞれ、図2Aおよび2B)、α−およびγ−モジュリンは、これらのmRNAsの発現をある程度増大させることができることが発見され(α−もしくはγ−モジュリンで、または培地のみで培養されたDCのmRNA発現を比較したとき、双方の場合においてp<0.05)、それらは、抗原に対する免疫応答の活性化を助ける、これら炎症誘発性のサイトカインの分泌を促進することができる、ということを示唆している。 モジュリンペプチドの樹状細胞の表面に結合する、および樹状細胞の成熟を活性化する能力が一旦解析されたら、それらが共有結合するSIINFEKLペプチドが抗原提示を促進するかどうかが研究された。そして、樹状細胞を10μMのペプチド:αMod−SIINFEKL、γMod−SIINFEKL、OVA(235−264)、αMod、γModまたはSIINFEKL単独で培養し、およびこれらの細胞がOT−1マウスのTリンパ球(SIINFEKLペプチドのための特異的T細胞受容体を有する)の増殖を活性化させるための提示細胞として使用されたとき、それが樹状細胞の表面のMHCクラスI分子に直接に結合するので、樹状細胞が抗原プロセッシングを必要としないSIINFEKL単独でインキュベートされたときに、Tリンパ球がより増殖することが見出された。しかしながら、抗原プロセッシングを必要とするあれらのペプチド(より長いペプチド)を比較すると、αMod−SIINFEKLまたはγMod−SIINFEKLで培養された樹状細胞は、OVA(235−264)ペプチド(p<0.05)(で培養された樹状細胞)に比べて、OT−1 T細胞増殖を非常によく刺激したということが見出された。したがって、図2Dから分かるように、α−モジュリンまたはγ−モジュリンの存在は、SIINFEKL特異的Tリンパ球が自己の増殖を改善するために、SIINFEKLのプロセッシングおよび樹状細胞によるその提示を助ける。実施例3A.細胞傷害性SIINFEKL抗原に結合するモジュリン由来ペプチドを用いた、およびいくつかのTLRリガンドを併用した、免疫は抗原に対する細胞傷害応答の活性を誘導する。この細胞傷害応答は長く続き、かつEG.7OVA腫瘍細胞を皮下注射したマウスを保護する材料および方法細胞傷害性Tリンパ球(CTL)のインビボ誘導の測定(インビボキリング)および免疫後IFN−γ産生細胞のインビボ誘導の測定(ELISPOT) C57BL6マウスは50μgのTLR3リガンドポリI:Cを併用して5nモルの所望のペプチドで静脈免疫された。いくつかの場合において、ペプチドはTLR2リガンド(ペプチドグリカン)、TLR4リガンド(LPSもしくはEDAタンパク質)またはTLR9(CpG)リガンドの存在下で免疫された。免疫後7日目、マウスは5×106脾細胞、その半分は0.25μMのCで予め標識され、残りの半分は2.5μMのCFSEで(予め標識され)、並びにSIINFEKLペプチド(10μg/ml)の混合物を静脈注射された。翌日、マウスを犠牲死し、低くCFSE標識された細胞に対する高くCFSE標識された細胞の数を定量するために、脾細胞がフローサイトメトリーにより解析された。それゆえ、細胞傷害性SIINFEKLペプチドを用いてインキュベートされた細胞中溶解した細胞のパーセンテージは、インビボキリングと呼ばれる実験において算出され得る。 SIINFEKLに対して特異的な、および免疫付与によりインビボ誘導されたIFNγ産生細胞の解析のために、ELISPOT実験がBD−pharmingen(San Diego,CA)キットを用いて、その製造会社の取扱説明書に従って行われた。簡単にいうと、抗IFNγ抗体を用いてオーバーナイトでインキュベートされたプレート(Multiscreen HTS,Millipore,Bedford,MA)は2時間10%ウマ血清を含むHL−1培地(Biowhittaker,Verviers,Belgium)でブロックされた。それゆえ、5×105の脾細胞は抗原の非存在下または存在下で37℃、5%CO2で3倍インキュベートされた。翌日、プレートはPBSで洗浄され、ビオチン化抗IFNγ抗体(2mg/ml)でインキュベートされた。2時間後、プレートは洗浄され、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼの1/100希釈液で培養された。1時間後、ウェルは洗浄され、AEC基質セット(BD−Pharmingen)を用いて成長させた。比色反応は蒸留水で止められ、スポットの数がELISPOT自動リーダー(CTL,Aalen,Germany)を用いて定量された。EG7腫瘍細胞発現OVAタンパク質を抗原投与することに対する防衛 C57BL6マウスは、5nモルの適合するペプチドでポリI:Cを併用して静脈免疫された。免疫後7日目、マウスは5×105または5×107EG7OVA細胞を静脈注射された。いくつかの実験では、マウスは最初5×105細胞を皮下注射で投与され、腫瘍が直径5mmに達したとき適合するペプチドで処理された。腫瘍成長はゲージで調節された。マウスを、腫瘍が4cm3を超える大きさに達したとき犠牲死させた。各免疫原に対するマウス生存のカプラン−マイヤープロットが示される。結果および考察 図3に示すとおり、C57BL6マウスのαMod−SIINFEKLまたはγMod−SIINFEKLペプチドを用いた免疫は、SIINFEKLペプチドを用いた刺激に応答して、強力な細胞傷害応答(図3B)およびIFNγの産生(図3A)を誘導する。しかしながら、SIINFEKL非含有ペプチドはこれらの応答を活性化することができない。α−モジュリンまたはγ−モジュリンペプチドとSIINFEKLとの組合せにおいて、後者が共有結合していない組合せも同様である。これらの免疫原の長期間続く応答を活性化する能力も研究された。誘導された応答が免疫後60日目に解析されたとき、SIINFEKLに結合したαまたはγ−モジュリン由来ペプチドは特異的細胞応答(図3C、ELISPOTによるIFNγ産生細胞、および図3D、インビボkillingにより測定された溶解能力を有する細胞)を誘導することができ、その応答はSIINFEKLペプチドとポリI:Cアジュバントの組合せでは誘導することができないということがわかった。これらの結果は、αまたはγ−モジュリンペプチドへの細胞傷害性決定基の共有結合が、それに細胞傷害性抗原に対する長続きする細胞傷害性細胞応答の誘導のために不可欠な特性を提供するということを示唆する。この特性は、および既述の図において観察された結果によれば、抗原を提示細胞へ輸送するモジュリンペプチドの能力によって測定することができる。提示細胞への抗原の結合は、当該細胞の成熟およびより効率的な方法での細胞障害性決定基の提示をさらに助長することができる。そして、このことは、ポリI:C、TLR3リガンドなどのアジュバントの援助とともに、細胞応答の活性化を極めて大きく促進することができるであろう。 他のTLRリガンドのモジュリン由来ペプチドとの結合のそれらのSIINFEKLペプチドに対する細胞傷害性応答の活性化を促進する能力に及ぼす効果も研究された。図4に示されるとおり、モジュリン由来ペプチド(αMod−SIINFEKLおよびγMod−SIINFEKL)のTLR3およびTLR9リガンドとの結合、およびTLR4リガンドとのより弱い程度の結合は、免疫応答の活性化に対して相乗的な効果を有する。このデータは、将来的なワクチン設計のために、モジュリンペプチドがこれらのリガンドと結合することができることを示唆している。 モジュリン由来ペプチドのSIINFEKL抗原に対する細胞傷害性応答を活性化する能力が実証されたので、これらの免疫原の、EG7OVA腫瘍細胞が注入されたマウスを守る能力を評価した。従って、マウスを、ポリI:Cアジュバントと一緒に図5Aおよび5Bに示されるように5nモルのペプチドで静脈免疫した。免疫後7日目、5×105(A)または5×107(B)EG7OVA細胞を静脈注射した。αMod−SIINFEKL(図5A)またはγMod−SIINFEKL(図5B)を用いた免疫は、マウスを腫瘍成長から防衛するということが観察された。SIINFEKLまたは生理食塩水で免疫された全てのマウスは腫瘍を成長させた。我々はまたモジュリン由来ペプチドの静脈内腫瘍を有するマウスを治療する能力をテストした。この場合、EG7OVA腫瘍を有するマウスは、γMod−SIINFEKLおよびポリI:C、γModおよびSIINFEKL(共有結合していない)並びにポリI:C、SIINFEKLおよびポリI:C、ポリI:Cのみ、またはポリI:Cおよび生理食塩水で治療され、腫瘍成長が評価された。γMod−SIINFEKLでのマウスの治療は、残りの治療で0%であったのに比べて(図6、p<0.05)、マウスの約38%において腫瘍を拒絶することができた。これらのデータは、αまたはγモジュリンペプチドが、病原体または癌に対するワクチン戦略の開発において担体またはアジュバントとして使用され得るということを示す。 次いで、SIINFEKLと異なる別の抗原を用いて、モジュリンペプチドの免疫刺激性能力がテストされ、その結果が再現されるかどうかを確認した。モジュリン由来ペプチドはC型肝炎ウイルス由来の非構成性タンパク質NS3(HLA−A2制限NS3ペプチド1073−1081,配列CVNGVCWTV(SEQ ID NO:50))由来のよく特徴づけられた細胞傷害性T細胞決定基と結合することができた。それゆえ、ペプチドαMod−1073、γMod−1073およびδMod−1073だけでなくペプチドp1073単独が合成された。HHDトランスジェニックマウス(ヒトHLA−A2分子を発現する)はポリI:Cの存在下で5nモルの相当するペプチドで免疫された。免疫後7日目、ELISPOTおよびインビボキリングアッセイが、上述したとおりペプチド1073でパルスされた標的細胞を用いて行われた。図7Aおよび7Bに示されるように、ペプチド1073に結合したαMod、γModおよびδModの存在は、マウスがペプチド1073およびポリI:Cで注射された場合には観察できなかった、強力な当該ペプチド特異的T細胞免疫応答の誘導を許容した。実際、αMod−1073、γMod−1073およびδMod−1073で免疫されたマウスはペプチド1073特異的IFNγ産生細胞の数が多く(図7A)、CTL活性のレベルも高い(図7B)。 まとめると、このデータは抗原へのα−モジュリン、γ−モジュリンおよびδ−モジュリンの結合は抗原提示細胞へ抗原を輸送すること、それらの成熟および抗原提示の促進を助けることを示す。この特性は、これらの免疫原がTLR3、4または9と結合して、抗原に対する強力な細胞傷害性細胞応答をインビボで誘導し、当該抗原を発現する腫瘍細胞またはウイルス抗原を発現する細胞の成長からマウスを守る。 それゆえ、モジュリン由来ペプチドは、目的の抗原に対する細胞応答の誘導のために非常に適切なベクターを形成することができる。これらのペプチドを基にする融合タンパク質の構築体には、腫瘍性疾患または感染因子によって引き起こされる疾患に対するワクチン接種プロトコルにおける適切な戦略が含まれる。実施例3B.ポリI:Cを併用したαMod−E7(49−57)を用いた免疫は、ペプチドE7(49−57)に対する特異的細胞傷害性応答を誘導し、TC1静脈内腫瘍をキャリーするマウスを治療することができる材料および方法 以下のペプチドがこのセクションで使用された。免疫後IFN−γのインビボ誘導の測定(ELISPOT) C57BL6マウスは、50μgのTLR3リガンドであるポリI:Cと併用して、5nモルの適合するペプチドで静脈免疫された。ペプチドE7(49−57)の存在下における、および免疫付与によってインビボ誘導されたIFN−γ産生細胞の解析のために、その動物を免疫後7日目に犠牲死し、ELISPOT実験が、上述したとおりBD−pharmingen(San Diego,CA)キットを用いて、抗原としてE7(49−57)を用いて行われた。TC1腫瘍細胞が発現するHPVウイルス(ヒトパピローマウイルス16)のE7タンパク質抗原投与に対する防衛 C57BL6マウスに、5×105TC−1腫瘍細胞(HPV−16ウイルスのE7タンパク質を発現する)を静脈注射した。25日後、腫瘍の直径が8mmに達したとき、マウスに、PBS(B)、ペプチドE7(49−57)および50μg/mlポリI:C(C)、またはペプチドαMod−E7(49−57)および50μg/mlポリI:C(D)を静注し、処理する。7日後、マウスは同一免疫原の二次免疫を受けた。腫瘍サイズは、2つの直交する直径の平均として示され、ゲージを用いて通常の間隔で測定された。グループごとの全マウスの数に対する腫瘍のないマウスの数が治療ごとに含まれる。結果および考察 先の実験では、モジュリン由来ペプチドは脾細胞の表面に結合すること、抗原提示細胞の成熟を活性化すること、および抗原を輸送するキャリアーとして作用することができ、その結果これらのモジュリン由来ペプチドと、TLRリガンドと結合したSIINFEKL等の細胞傷害性T決定基との融合タンパク質を用いた免疫が、強力なインビボでの細胞傷害性T細胞応答を誘導すること、およびEG7OVA腫瘍細胞発現抗原投与後のマウスを防衛できることが実証された。本発明が、EG7OVA腫瘍モデルで観察されるこの治療効果が他のモデルへ外挿され得るかどうかを理解できる。 子宮頸癌は世界中で女性において最も日常的な腫瘍のひとつであり、一般的にも5番目に頻繁に起こる腫瘍であり、推定患者数は1.4百万人である。様々なタイプのmucosatropicヒトパピローマウイルス(HPV)による慢性生殖管感染症が、子宮頸癌を引き起こすという一貫した証拠がある。それゆえ、HPVは子宮頸部発癌イニシエーターとして作用し、その悪性転換は他の因子との相互作用に依存すると仮定されている。 子宮癌に対し現在使用されている、ガーダシルと呼ばれている米国Merck社ワクチンは、全ての子宮癌ケースの約70%の起源であるHPV−16およびHPV−17ウイルス株による感染の予防のためと提示されている。このワクチンは、非常に若年時(11−12歳)の女性に投与されたとき、この疾患の予防において有効であることが証明されている。しかしながら、このワクチンは子宮癌が後年時に現れたときの治療のためには提示されていない。 HPV−E6およびE7の発癌性タンパク質の発現は、悪性転換の開始および維持のため、およびHPV誘発病変の臨床的および細胞学的な解決に関連するE7に対する細胞免疫のために必要である。したがって、腫瘍抗原としてHPV16 E7抗原を発現するTC1腫瘍モデルが使用されている。一旦、腫瘍細胞の静脈注射後、直径が8mmに達するまで、腫瘍が形成された場合、その動物は異なる選択肢をワクチン接種された。ペプチドαMod−E7(49−57)およびポリI:Cで免疫を受けたそれらの動物は腫瘍を完全に除去することが発見された。それゆえ、この免疫原で処理された11のマウスのうち11が治療されたのに対し、マウスがペプチドE7(49−57)で処理された場合、11のマウスのうち4のみが腫瘍の排除を達成できた。これらのデータは、融合ペプチドαMod−E7(49−57)またはモジュリン由来ペプチドおよびHPV抗原の間の融合に基づく類似ペプチドはヒト子宮頸癌に対する代替治療の開発のために考慮され得るということを示唆している。実施例4.モジュリン由来ペプチドの抗原に対する細胞応答を誘導する能力はTLR2経路の活性化と無関係である材料および方法細胞傷害性Tリンパ球(CTL)のインビボ誘導(インビボキリング)およびTLR2KOマウスにおける免疫後IFN−γ産生細胞のインビボ誘導(ELISPOT)の測定 C57BL6野生型マウスおよびノックアウトマウスを、モジュリン由来ペプチドの免疫刺激性能力におけるTLR2への依存性を研究する目的で、TLR2で免疫した。それゆえ、異なるマウスが5nモルの適合するペプチドまたはPBSで、50μgのTLR3リガンドであるポリI:Cと一緒に免疫された。免疫後7日目、マウスに、5×106脾細胞(その半分は0.25μMのCで、残りの半分は2.5μMのCFSEで予め標識された)およびSIINFEKLペプチド(10μg/ml)の混合物を静脈注射した。翌日、実施例3と同じ方法で、マウスを犠牲死し、低くCFSE標識された細胞に対する高くCFSE標識された細胞の数を定量するために、脾細胞がフローサイトメトリーにより解析された。 SIINFEKLの存在下で、免疫付与によりインビボ誘導されたIFNγ産生細胞の解析のために、ELISPOT実験を、BD−pharmingen(San Diego,CA)キットを用いて、その製造会社の取扱説明書に従って、実施例3と同じ方法で行った。バインディング・アッセイ マウス脾細胞を、脾臓をホモジナイズした後、C57BL6 TLR2 KOマウスから純化した。細胞は、4℃で15分間、0.4%のグルタルアルデヒド溶液を用いたインキュベーションによって固定した。5×105の固定された脾細胞は、その結合特異性を示すために、20μMのCFSE γMod−SIINFEKL、CFSE αMod−SIINFEKL、またはCFSE−OVA(235−264)コントロールペプチドの存在下でインキュベートされた。4℃でのインキュベーションの30分後、PBSで2回洗浄が行われ、付された標識がフローサイトメトリーによって解析された。結果および考察 予期したとおり、C57BL/6野生型マウスが免疫された場合、αMod−SIINFEKLペプチドまたはγMod−SIINFEKLペプチドでの免疫は、SIINFEKLペプチドでインキュベートされた標的細胞に対する細胞傷害性T細胞応答を誘導することができる。同様に、SIINFEKLペプチド(それぞれ、図8Aおよび8B)に対して特異的なIFN−γ産生細胞の活性化が誘導された。しかしながら、この応答は、驚くべきことに、TLR2分子を欠失したマウスが免疫された場合にも観察された。実際、観察された応答レベルは両ケースのマウスにおいて類似しており、TLR2分子は、使用されるモジュリン由来ペプチドのSIINFEKL T細胞決定基に対する細胞応答の誘導を助長する能力に関与していないことを示唆している(図8)。 したがって、CFSE標識ペプチドを用いた結合アッセイが行われた場合、CFSE αMod−SIINFEKLおよびCFSE γMod−SIINFEKLペプチド双方がまだ脾細胞の表面に結合する能力を保持することが発見され(図9)、この結合はTLR2分子と関係がないことを示している。 モジュリンペプチドがTLR2経路を活性化するということは文献に記載されていないが、これらの実験で、この特性は、もし正しければ、それらの免疫促進能力のために必要ではないということが結論づけられ得る。これらのペプチドのそれらが結合する抗原に対する細胞応答の誘導を助長するための作用機序は、今後明らかにされるであろう。(i)フェノール可溶性モジュリン(PSM)または機能的に同等なその変異体、および(ii)1またはそれ以上の抗原ペプチドを含んでなるコンジュゲートであって、成分(i)と(ii)が共有結合されてなり、該コンジュゲートが、前記1またはそれ以上の抗原ペプチドに対する細胞傷害応答を促進するものである、コンジュゲート。 前記PSMが、配列番号1〜10およびこれらの機能的に同等な変異体からなる群から選択されるものである、請求項1に記載のコンジュゲート。 成分(ii)が、成分(i)と一本鎖ポリペプチド鎖を形成してなるものである、請求項1または2に記載のコンジュゲート。 請求項3に規定されたコンジュゲートをコードする核酸配列を含んでなる、ポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体。請求項4に規定されたポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体を含んでなる、ベクター。請求項4に規定されたポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体、または請求項5に規定されたベクターを含んでなる、宿主細胞。 以下の(a)、(b)を、ともにまたは独立して含んでなる、組成物: (a)請求項1〜3のいずれか一項に規定されたコンジュゲート、請求項4に規定されたポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体、請求項5に規定されたベクター、または請求項6に規定された宿主細胞、および (b)以下の群から選ばれる第二成分: (i)1またはそれ以上のToll様受容体アゴニスト、 (ii)1またはそれ以上の共刺激分子のアゴニスト抗体、 (iii)1またはそれ以上のサイトカイン、および (iv)上記(i)〜(iii)の化合物の任意の組合せ。 前記第二成分のToll様受容体アゴニストが、TLR3リガンド、TLR4リガンドおよびTLR9リガンドからなる群から選ばれるものである、請求項7に記載の組成物。 前記TLR3リガンドが、poly I:Cであり、前記TLR4リガンドがLPSまたはEDAタンパク質であり、および/または前記TLR9リガンドがCpGである、請求項8に記載の組成物。 抗原に感作された抗原提示細胞を得るための方法であって、 (i)抗原提示細胞を、請求項1〜3のいずれか一項に規定されたコンジュゲート、請求項4に規定されたポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体、請求項5に規定されたベクター、請求項6に規定された宿主細胞、または請求項7〜9のいずれか一項に規定された組成物と接触させ、そして (ii)抗原に感作された抗原提示細胞を単離することを含んでなる、方法。 前記抗原提示細胞が樹状細胞である、請求項10に規定された方法。 請求項10または11に規定された方法によって得られた、抗原提示細胞。 請求項1〜3のいずれか一項に規定されたコンジュゲート、請求項4に規定されたポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体、請求項5に規定されたベクター、請求項6に規定された宿主細胞、請求項7〜9のいずれか一項に規定された組成物、または請求項12に規定された抗原提示細胞と、薬学的に許容される担体とを含んでなる、医薬製剤またはワクチン。 医薬として用いられる、請求項1〜3のいずれか一項に規定されたコンジュゲート、請求項4に規定されたポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体、請求項5に規定されたベクター、請求項6に規定された宿主細胞、請求項7〜9のいずれか一項に規定された組成物、請求項10に規定された医薬組成物またはワクチン、または請求項12に規定された抗原提示細胞。 抗原ペプチドに対する細胞傷害応答を誘導する方法において用いられる、請求項1〜3のいずれか一項に規定されたコンジュゲート、請求項4に規定されたポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体、請求項5に規定されたベクター、請求項6に規定された宿主細胞、請求項7〜9のいずれか一項に規定された組成物、請求項10に規定された医薬組成物またはワクチン、または請求項12に規定された抗原提示細胞。 感染性疾患、アレルギー性疾患または腫瘍性疾患に対する細胞傷害応答を誘導する方法において用いられる、請求項1〜3のいずれか一項に規定されたコンジュゲート、請求項4に規定されたポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体、請求項5に規定されたベクター、請求項6に規定された宿主細胞、請求項7〜9のいずれか一項に規定された組成物、請求項10に規定された医薬組成物またはワクチン、または請求項12に規定された抗原提示細胞。 抗原提示細胞によって1以上の抗原ペプチドの発現を促進するための、または抗原提示細胞の成熟を促進するための、インビトロでの方法における、請求項1〜3のいずれか一項に規定されたコンジュゲート、請求項4に規定されたポリヌクレオチドもしくは遺伝子構築体、請求項5に規定されたベクター、請求項6に規定された宿主細胞、請求項7〜9のいずれか一項に規定された組成物の使用。 (i)フェノール可溶性モジュリン(PSM)または機能的に同等なその変異体、および (ii)生物活性化合物を含んでなり、上記成分(i)と(ii)が共有結合されてなる、コンジュゲート。 前記PSMが、配列番号1〜10からなる群から選ばれる、または機能的に同等なその変異体である、請求項18に記載のコンジュゲート。 前記成分(ii)が、成分(i)と一本鎖ポリペプチド鎖を形成するペプチド性化合物である、請求項18または19に記載のコンジュゲート。 請求項20に規定されたコンジュゲートをコードする核酸配列を含んでなる、ポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体。請求項21に規定されたポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体を含んでなる、ベクター。請求項22に規定されたポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体を含んでなる、宿主細胞。 請求項18〜20のいずれか一項に規定されたコンジュゲート、請求項21に規定されたポリヌクレオチドもしくは遺伝子構築体、請求項22に規定されたベクター、または請求項23に規定された宿主細胞と、薬学的に許容されるい担体とを含んでなる、医薬製剤。 医薬として用いられる、請求項18〜20のいずれか一項に規定されたコンジュゲート、請求項21に規定されたポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体、請求項22に規定されたベクター、請求項23に規定された宿主細胞、または請求項24に規定された医薬製剤。 CD4、CD8、CD19、CD11c、F4/8、もしくはCD117陽性細胞、またはこれらの組合せからなる群から選ばれる細胞の望ましくない増殖または望ましくない活性によって特徴づけられる疾患の治療において用いられる、請求項18〜20のいずれか一項に規定されたコンジュゲート、請求項21に規定されたポリヌクレオチドまたは遺伝子構築体、請求項22に規定されたベクター、請求項23に規定された宿主細胞、または請求項24に規定された医薬製剤。 前記CD4、CD8、CD19、CD11c、F4/8、もしくはCD117陽性細胞、またはこれらの組合せからなる群から選ばれる細胞の望ましくない増殖または望ましくない活性によって特徴づけられる疾患が、自己免疫性疾患、CD4陽性細胞のレトロウイルス感染、無毒の外来物質およびB細胞系悪性腫瘍によって誘導された自己抗原に対する免疫応答の結果として生じた疾患である、請求項18〜20のいずれか一項に規定されたコンジュゲート、請求項21に規定されたポリヌクレオチドもしくは遺伝子構築体、請求項22に規定されたベクター、請求項23に規定された宿主細胞、または請求項24に規定された医薬製剤。 本発明は、モジュリン由来ペプチド(PSM、フェノール可溶性モジュリン)に対するその共有結合により、抗原ペプチドの免疫原性を増大させる方法に関する。特に、抗原(病原体または腫瘍関連タンパク質由来)に対するPSMα、PSMγおよびPSMδペプチドの結合は、当該抗原がインビボで免疫応答を活性化させる能力を増大させる。したがって、これらの抗原に結合したPSMα、PSMγおよびPSMδペプチドは感染性疾患または癌を予防または治療するためのワクチンの開発において使用され得る。 配列表


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る