生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_低糖質ビール風味アルコール飲料の製造方法
出願番号:2011020702
年次:2012
IPC分類:C12G 3/02


特許情報キャッシュ

神成 貴彦 福本 亮平 小林 秀樹 小林 勇輝 木村 真也 JP 2012157323 公開特許公報(A) 20120823 2011020702 20110202 低糖質ビール風味アルコール飲料の製造方法 群栄化学工業株式会社 000165000 神成 貴彦 福本 亮平 小林 秀樹 小林 勇輝 木村 真也 C12G 3/02 20060101AFI20120727BHJP JPC12G3/02 3 OL 11 4B015 4B015BA09 本発明は、低糖質ビール風味アルコール飲料の製造方法に関する。 近年、生活習慣病が広まってきている。その原因は、運動不足や睡眠不足等生活習慣の乱れに加えて、食生活の欧米化、高カロリー食品の氾濫によるカロリー摂取量の増大といわれている。このため、食品のカロリーや糖質に気を配る人々が増え続けており、低カロリー商品、低糖質商品への需要は高まりつつある。一般食品のみならず、嗜好品にもその影響は波及しており、アルコール飲料の傾向においても同様で、実際にアルコール飲料業界においては、ビール風味アルコール飲料についてカロリーや糖質を抑えた数多くの商品が市販されてきている。 近年、酒税法上の「発泡酒」や「その他の醸造酒(発泡性)(1)」、「リキュール(発泡性)(1)」に代表される「ビール風味アルコール飲料」が広く市販されている。ビール風味アルコール飲料に使用する主原料は、澱粉質原料と糖質原料に大別される。澱粉質原料とは、麦芽や米、トウモロコシ等主成分が澱粉からなる原料であり、酵母が利用するには、酵素や酸を用いて澱粉をぶどう糖やマルトース等低分子の糖類にする必要がある。一方、糖質原料とは単糖類、二糖類、三糖類を主成分とする糖類であり、分解することなく酵母がそのまま利用することができる。 麦芽等の穀物類、すなわち澱粉質原料を主原料として使用する場合、酵母の発酵工程の前に、主原料を分解する糖化工程、残渣を濾別する濾過工程、麦汁の煮沸工程等を行う必要がある。これは、穀物に含まれる酵母の栄養分は、澱粉やタンパク質といった高分子の状態で存在しており、このままでは酵母が利用できず、糖類やアミノ酸等酵母が利用できる低分子まで分解しなければならないためである。澱粉やタンパク質の分解反応は麦芽に含まれる酵素により行うが、酵素の至適温度が異なるため、段階的に温度をかえて反応させる必要がある。そのやり方は、インフュジョン法(浸出法)とデコクション法(煮沸法)に分けられるが、例えばインフュジョン法の場合、麦芽等穀物を仕込んでマイシェとし、これを50℃に保持してタンパク質を分解し、次に65℃まで昇温して澱粉を分解する。次に濾過槽を用いて濾過して残渣を取り除き、次に煮沸釜に移してホップを添加後、煮沸して不純物を凝集させ、これをワールプールに移してタンパク質等の熱凝固物を取り除く(例えば、非特許文献1参照。)。 これらの工程は、多くの時間と熱量がかかる工程である。一方、糖質原料を主原料として使用する場合、すでに酵母が利用できる程度まで低分子化されており、また濾別が必要な未分解物が含まれていないため、そのまま酵母が利用することができる。このため、糖質原料をビール風味アルコール飲料の原料として利用する場合は、前述の糖化工程、濾過工程、煮沸工程が不要である。この場合、糖化工程、濾過工程、煮沸工程にかかるコストを抑えることができる。このコスト削減は糖質原料を使用する割合が高いほど高い。このため、ビール風味アルコール飲料は、澱粉質原料を使用する割合が低く、糖質原料を使用する割合が高い。 ビール風味アルコール飲料は、酵母が主原料に含まれる糖類を資化して、エタノールとすることを利用して製造する。糖類には、ぶどう糖、果糖といった単糖類、マルトース、ショ糖といった二糖類、マルトトリオースといった三糖類があるが、酵母はいずれの糖類も利用してエタノールにすることができる。また、原料として麦や米といった穀物類を使用することがあるが、この場合は、前述に記載の方法により原料に含まれる澱粉を酵素により分解して糖類にすることにより利用することができる。糖類を仕込んだ後、酵母を加えて、糖類を発酵してエタノールにする。原理的には、1分子のぶどう糖からエタノール2分子と二酸化炭素が2分子ずつできる。二糖類、三糖類も同様にエタノールと二酸化炭素になる。発酵しきれず残ったエタノール以外の成分がエキスであり、その大部分が糖質である。「糖質オフ」や「糖質ゼロ」の低糖質アルコール飲料とするには、原料に含まれる糖質を酵母がほぼ完全に資化し、残らないようにする必要がある。そのためには、原料に使用する糖類を工夫する必要がある。 低糖質アルコール飲料を製造する糖質原料として、ショ糖が広く使用されている。これは、ショ糖には非資化性糖類が含まれておらず、酵母が完全に資化することができるためである。 ショ糖を主成分とする製品には、上白糖や三温糖等の結晶状の製品と上物液糖と呼ばれる液状の製品がある。結晶は、製品形態がフレコンバッグもしくは紙袋となるが、発酵タンクは、100m3以上の強大なタンクを使用することが多いため、フレコンバッグや紙袋を仕込むための専用の設備が必要となり、実際に原料として使用することは困難である。このためショ糖を使用する場合、広く上物液糖が原料として使用され、原料タンク中の液糖をポンプを用いて移送し、仕込むことが一般的である。しかし、本品は固形分が67〜68%(w/w)と低く、また浸透圧が低いので微生物汚染されるリスクが常に存在する。ビール風味アルコール飲料を製造する際に、微生物汚染対策を講じた設備とするコストも多大にかかることになり、設備を講じることなく微生物問題を解決できる技術の確立が課題となっていた。 そこで、ぶどう糖とショ糖の混合物を使用し、ビール風味アルコール飲料が製造されている(例えば、特許文献1参照。)。ぶどう糖は浸透圧がショ糖より高いため、微生物汚染のリスクを若干低減することができる。しかし、溶解度がショ糖より低いため、むしろ固形分濃度は低くなり、本方法では65%(w/w)以上が望まれているとあるが、実際には微生物リスクが低い濃度で流通させることが困難で、微生物汚染リスクを解決することはできない 液糖として、一般の清涼飲料に広く使用されている異性化液糖がある。異性化液糖の日本農林規格は固形分70%(w/w)以上だが、一般に固形分75%(w/w)以上で流通している。また、異性化液糖は浸透圧がショ糖の約2倍となり、さらに、微生物対策を十分施したサニタリー出荷が広く行われているため、微生物に対するリスクが上物液糖に比べて著しく低くなる。このため、ビール風味アルコール飲料にも広く使われるようになり、低糖質アルコール飲料への使用も期待されたが、実際には低糖質アルコール飲料にはほとんど使用されることがなかった。 その理由は、異性化液糖には資化性糖であるぶどう糖、果糖以外のオリゴ糖が含まれており、オリゴ糖の大部分が非資化性糖であるためである。異性化液糖に含まれるオリゴ糖には日本農林規格が定められており、ぶどう糖果糖液糖では8%(w/w)以下、果糖ぶどう糖液糖では6%(w/w)以下である。異性化液糖は下記の方法で製造するため、必然的にオリゴ糖が含まれるが、これは下記に述べる澱粉の構造と異性化液糖の製造方法に起因する。澱粉は、直鎖(α−1,4結合)を基本骨格とし分岐構造(α−1,6結合)を含有する高分子である。これは、水に不溶なため、まず水に可溶となるように低分子化した後、本液にグルコアミラーゼというエキソ型の酵素を作用させて分解してぶどう糖とする。この反応において、本酵素は澱粉分解物の分岐構造(α−1,6結合)を切断することはできない。分岐を切断するにはプルラナーゼ、イソアミラーゼといった枝切り酵素を作用させるが、これを用いても、分岐が1残基、2残基といった短い鎖長が残存し、枝切り酵素はこれを切断することができない。ぶどう糖まで分解せず、残ったものがオリゴ糖で、異性化液糖には必ずオリゴ糖が含まれる。オリゴ糖の量は5〜8%(w/w)程度である。このオリゴ糖の大部分が非発酵性の糖のため、異性化液糖をアルコール発酵飲料の原料に用いた場合、酵母は発酵によりぶどう糖・果糖を資化するがオリゴ糖は資化されずに残る。このため、異性化液糖を用いても糖質ゼロに代表される低糖質ビール風味アルコール飲料の原料とすることはできなかった。 以上述べたように、低糖質ビール風味アルコール飲料に広く使用されているショ糖は微生物汚染のリスクが高く、微生物汚染のリスクが低い異性化液糖はオリゴ糖に代表される非資化性糖が含まれており、低糖質とすることが困難であるため、微生物汚染のリスクが著しく低い方法で低糖質ビール風味アルコール飲料を製造することは困難であった。特許第4260207号公報渡淳二監修、「ビールの科学 麦とホップが生み出すおいしさの秘密」、第3刷、株式会社講談社発行、2009年5月7日、p.115〜123 以上の事実に鑑み、本発明は「糖質オフ」や「糖質ゼロ」の低糖質ビール風味アルコール飲料の製造において、微生物汚染のリスクが著しく低減された製造方法と、その方法により製造された低糖質ビール風味アルコール飲料を提供することを目的とする。 本発明者らは、「糖質オフ」や「糖質ゼロ」の低糖質ビール風味アルコール飲料の製造において、糖質原料中のオリゴ糖含有率が3.0%(w/w)以下、かつ糖質原料として、オリゴ糖含有率が3.0%(w/w)以下である異性化液糖を30〜100%(w/w)の範囲で使用することにより「糖質オフ」とすることができ、微生物リスクを低めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。 本発明により、糖質原料中のオリゴ糖含有率が3.0%(w/w)以下、かつ糖質原料として、オリゴ糖含有率が3.0%(w/w)以下である異性化液糖を30〜100%(w/w)の範囲で使用することにより、低糖質ビール風味アルコール飲料を微生物汚染リスクが著しく低い方法で製造することができる。 以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。 本発明の低糖質ビール風味アルコール飲料の製造方法は、糖質原料中のオリゴ糖含有率が3.0%(w/w)以下、かつ糖質原料として、オリゴ糖含有率が3.0%(w/w)以下である異性化液糖を30〜100%(w/w)の範囲で使用することを特徴とする。 本発明でいう「ビール風味アルコール飲料」とは、炭素源、窒素源、および水などを原料として酵母により発酵させて製造するビールの風味を持つアルコールを含む飲料をいう。その種類として、酒税法上「発泡酒」や「その他の醸造酒(発泡性)(1)」、「リキュール(発泡性)(1)」が挙げられる。本発明でいう「低糖質ビール風味アルコール飲料」とは、発酵後に残存する糖質が1.5g/100ml以下をいう。一般にビール風味アルコール飲料の糖質は3.0g/100ml以上であることが多く、事実上「糖質オフ飲料」は50%(w/w)以上糖質を減らさなければ糖質を減らした効果が低く、さらに消費者へのアピール度が低くなるため、糖質が1.5g/100ml以下である必要がある。さらに糖含有量を減らして、製品100ml当りに含まれる糖質が0.5g未満としたものが「糖質ゼロ飲料」である。本発明でいう低糖質アルコール飲料は「糖質オフ」、「糖質ゼロ」等の強調表示をした商品にも使用することができる。 ここで「糖質」とは、食品の栄養表示基準(平成15年厚生労働省告示第176号)に基づく糖質をいう。具体的には、食品から、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分、及び水分を除いたものを糖質とよぶ。すなわち、食品中の糖質の量は、当該食品の重量から、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分及び水分の量を控除することにより算定される。この場合に、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分及び水分の量は、栄養表示基準に掲げる方法により測定することができる。すなわち、タンパク質の量はマクロケルダール法、ミクロケルダール法、改良デュマ法等の窒素定量換算法で、脂質の量はエーテル抽出法、クロロホルム・メタノール混液抽出法、ゲルベル法、酸分解法、レーゼゴットリーブ法で、食物繊維の量は高速液体クロマトグラフ法、またはプロスキー変法で、灰分の量は酸化マグネシウム灰化法、直接灰化法、硫酸添加灰化法で、水分の量はカールフィッシャー法、乾燥助剤法、減圧加熱乾燥法、常圧加熱乾燥法、プラスチックフィルム法で測定することができる。 本発明でいう「異性化液糖」とは、本質的な意味において、農林水産省告示第752号において定義された液糖をさす。農林水産省告示第752号によると、「異性化液糖」とは「澱粉をアミラーゼ等の酵素又は酸により加水分解して得られた主としてぶどう糖からなる液糖を、グルコースイソメラーゼ又はアルカリにより異性化したぶどう糖又は果糖を主成分とする液状の糖であって、果糖含有率(糖のうちの果糖の割合をいう。以下同じ)が 50%未満もの(ぶどう糖果糖液糖)、50%以上 90%未満のもの(果糖ぶどう糖液糖)、および果糖含有率が90% 以上のもの(高果糖液糖)とある。ここで、本質的と述べたのは、農林水産省告示第752号において定義された「異性化液糖」にさらにぶどう糖、果糖等の糖類を添加して液糖とすることができるが、ぶどう糖、果糖も澱粉を原料にアミラーゼ等の酵素又は酸により加水分解して得られたものであり、本質的に同じものといえるからである。すなわち、農林水産省告示第752号において定義された液糖にぶどう糖、果糖等の糖類を添加したものも本発明に含まれる。 本発明でいう「オリゴ糖」とは、単糖類同士がグリコシド結合によって結合した、資化性糖を除く重合度2以上の糖類をさす。単糖類の種類は限定されることなく、ぶどう糖、果糖はもとより、六炭糖のみならず五炭糖、四炭糖でもよく、炭素数に限定されない。ここでいう六炭糖とは炭素数が6個の単糖であり、五炭糖、四炭糖は各々炭素数が5個、4個の単糖をさす。また、グリコシド結合の種類は特に限定されるものでなく、α−グリコシド結合、β−グリコシド結合でもよい。糖は環を形成するが、このとき上向きと下向きの二つの構造をとりうることとなり、上向きの結合をα−グリコシド結合、下向きの結合をβ−グリコシド結合という。糖は6つの水酸基を持ち、水酸基同士から水1分子が脱離して結合し、結合する水酸基の位置により結合の種類は多数存在するが、いずれの結合でもよい。例えばぶどう糖が1位と1位で結合したトレハロースや1位と2位で結合したコージビオース、1位と3位で結合したニゲロース、1位と4位で結合したマルトース、1位と6位で結合したイソマルトース、その他2位と2位等が考えられるが、これらはいずれでも構わない。 なお、オリゴ糖から除かれる重合度2以上の資化性糖としては、ショ糖、マルトース、マルトトリオース等が挙げられる。 糖質原料中のオリゴ糖の含有率が3.0%(w/w)以下であれば、得られるビール風味アルコール飲料は低糖質となる。そのため糖質原料としてオリゴ糖の含有率が3.0%(w/w)以下の異性化液糖以外に使用するものとして、糖質原料中のオリゴ糖含有率が3.0%(w/w)以下になれば特に制限はなく、ショ糖、マルトース、マルトトリオース、果糖、ぶどう糖、異性化液糖等を挙げられる。これらの中でショ糖を用いた場合、得られるビール風味アルコール飲料がより低糖質となり、微生物汚染リスクも低いため好ましい。 オリゴ糖が3.0%(w/w)以下の異性化液糖、および2.0%(w/w)以下の異性化液糖は次の方法で製造することができるが、特にこの方法に限定するものではない。澱粉を水に分散させて、耐熱性α−アミラーゼを反応させて澱粉を低分子化して液化した後、グルコアミラーゼにより完全に糖化する。次に、珪藻土を助剤とする濾過により、残渣を取り除き、活性炭を充填したカラムに通液してオリゴ糖を吸着除去する。異性化酵素によりぶどう糖の一部を果糖に異性化し、活性炭による脱色、イオン交換樹脂による脱塩、メンブレンフィルターによる異物除去後、エバポレーターにて固形分75%(w/w)に濃縮する。 本発明である低糖質ビール風味アルコール飲料の製造方法を下記に示すが、本方法はオリゴ糖3.0%(w/w)以下、好ましくはオリゴ糖2.0%(w/w)以下の異性化液糖を糖質原料として30〜100%(w/w)の範囲で使用することを特徴とするものであり、詳細な部分はこれに限るものではない。まず、オリゴ糖3.0%(w/w)以下の異性化液糖、またはオリゴ糖2.0%(w/w)以下の異性化液糖とその他必要な原料、すなわち炭素源を含有する糖化液又は液糖、窒素源を含有するアミノ酸含有材料、ホップなどの苦味料、カラメルなどの色素を湯に加えて溶液とする。本液を濾過した後、冷却する。これに、ビール酵母を加えて発酵させた後、貯酒する。なお、窒素源としては、大豆、エンドウなどのマメ類やコーンなどの穀類由来のタンパク質を加水分解したもの、酵母エキスなどを用いることが出来る。また、発酵に使用するビール酵母は、上面ビール酵母と下面ビール酵母いずれも使用することができる。 以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。 [調製例1] (サンプル1の調整) コーンスターチ300gを水700gに分散させ、苛性ソーダを加えてpH6とし、次に耐熱性α−アミラーゼを添加した。これを徐々に加熱して90℃以上で1時間反応して、液化させた。この後、60℃に冷却後、塩酸を加えてpH4.3に調整後、グルコアミラーゼを添加して24時間反応させた。珪藻土をプリコートしたNo5C濾紙でこの液を濾過して、残渣を除去した。これを、活性炭を充填したカラムに流速をSV5で通液してオリゴ糖を吸着除去し、さらに苛性ソーダを加えてpH8に調整し、硫酸マグネシウム、異性化酵素を順次添加して70℃で12時間反応させた。これに活性炭を加えて、80℃に加熱後、濾過し、次にこの液を強酸性陽イオン交換樹脂 IR120B、弱塩基性陰イオン交換樹脂 IRA96SB、強酸性陽イオン交換樹脂IR120Bと強塩基性陰イオン交換樹脂:IRA411をミックスしたカラムに順次通液して脱塩処理した。これを孔径0.45μmのメンブレンフィルターに通した後、エバポレーターで固形分75%(w/w)になるよう濃縮し、サンプル1を調製した。 [調製例2] (サンプル2の調整) 調製例1において、活性炭カラムに通液する流速をSV2に変更した以外は同様にして、サンプル2を調製した。 [調製例3] (サンプル3の調整) 調製例1において、活性炭カラムに通液する流速をSV0.5に変更した以外は同様にして、サンプル3を調製した。 [その他の醸造酒(発泡性)(1)の製造] 以下実施例及び比較例において、「その他の醸造酒(発泡性)(1)」の製造を行った。 [実施例1] 滅菌したファーメンターに、糖質原料としてサンプル1:160g(固形分120g)と、ホップエキス:5g、大豆ペプチド:10g、ビール酵母:6g、水を加えて全量を1000gにした。これを10〜18℃の温度に設定し、10日間下面発酵をし、フィルターで酵母を取り除いて、「その他の醸造酒(発泡性)(1)」Aを製造した。 [実施例2] 実施例1において、糖質原料としてサンプル1:160gの代わりにサンプル2:160gを使用した以外は同様にして「その他の醸造酒(発泡性)(1)」Bを製造した。 [実施例3] 実施例1において、糖質原料としてサンプル1:160gの代わりにサンプル3:160gを使用した以外は同様にして「その他の醸造酒(発泡性)(1)」Cを製造した。 [実施例4] 実施例1において、糖質原料としてサンプル1:160gの代わり、サンプル2:80g、ショ糖:60g、水:20gで固形分を120gに調製したものを使用した以外は同様にして「その他の醸造酒(発泡性)(1)」Dを製造した。 [実施例5] 実施例1において、糖質原料としてサンプル1:160gの代わり、サンプル2:48g、ショ糖:84g、水:28gで固形分を120gに調製したものを使用した以外は同様にして「その他の醸造酒(発泡性)(1)」Eを製造した。 [比較例1] 実施例1において、糖質原料としてサンプル1の代わり、ぶどう糖果糖液糖(製品名:スリーシュガー75FG 固形分濃度75%(w/w) 群栄化学工業株式会社製):160gを使用した以外は同様にして「その他の醸造酒(発泡性)(1)」Fを製造した。 [比較例2] 実施例1において、糖質原料としてサンプル1:160gの代わり、ショ糖:120gと水:40gで固形分を120gに調製したものを使用した以外は同様にして「その他の醸造酒(発泡性)(1)」Gを製造した。 実施例1〜5及び比較例1〜2で使用した固形分濃度75%(w/w)の糖質原料の糖組成%(w/w)及び、実施例1〜5及び比較例1〜2で得られた「その他の醸造酒(発泡性)(1)」A〜Gの残糖量を以下の方法で調べ、結果を表1に示した。[糖組成の測定方法] 糖質原料の糖組成%(w/w)は、HPLC法により求めた。 [発酵後の残糖量の算出方法] 残糖質は、固形分量からタンパク質量と食物繊維量を引いたものを数値とした。 なお、タンパク質量は、マクロケルダール法により、食物繊維量はプロスキー変法により求めた。 表1より、糖質原料としてオリゴ糖を5.9%(w/w)含むぶどう糖果糖液糖を使用した比較例2の場合は、発酵後の残糖量が1.72(g/100ml)と高く低糖質とはならない。 また、糖質原料としてサンプル1、すなわちオリゴ糖3.0%(w/w)以下の異性化液糖を使用した実施例1の場合、発酵後の残糖量が0.99(g/100ml)と1.5(g/100ml)以下となり「糖質オフ」とすることができる。また、糖質原料としてサンプル2、サンプル3、サンプル2/ショ糖=50/50、サンプル2/ショ糖=70/30、すなわちオリゴ糖2.0%(w/w)以下の異性化液糖を30%(w/w)以上使用した実施例2〜5の場合、発酵後の残糖量がショ糖に近い数値を示し、0.5(g/100ml)未満で糖質ゼロとすることができる。 [微生物に対する安定性の試験] [実施例6〜8、比較例3〜4] 表2記載の糖類に、細菌として、Bacillus subtilis、酵母として、Saccharomyces cerevisiae、カビとしてAspergillus nigerを各々100〜300個/mlとなるよう接種し、これを37℃恒温器で0、7、14日間培養した。なお、ここで用いたショ糖は、上物液糖すなわち固形分67%(w/w)のものを使用した。 培養後の生菌数の確認は、細菌用には標準寒天培地、酵母・カビ用にはクロラムフェニコール添加ポテトデキストロース寒天培地を用いた塗沫平板培養法により、37℃または25℃で3日間培養後のコロニー数を計数して実施した。 結果を表2に示した。 比較例3、4のようにショ糖、またはショ糖の10%(w/w)をオリゴ糖3.0%(w/w)以下の異性化液糖に置換した液糖に接種すると、細菌、酵母、カビとも死滅することなく菌数が持続する。 一方、実施例6〜8のようにショ糖に対し、オリゴ糖3.0%(w/w)以下の異性化液糖で100%(w/w)、50%(w/w)、30%(w/w)置き換えた液糖に接種すると14日目には細菌、酵母、カビいずれも死滅することが判明した。 以上の結果より、本発明によるビール風味アルコール飲料の製造方法を用いた場合、微生物汚染のリスクが低くなり、かつビール風味アルコール飲料を低糖質とすることができることが判明した。 糖質原料中のオリゴ糖含有率が3.0%(w/w)以下、かつ糖質原料として、オリゴ糖含有率が3.0%(w/w)以下である異性化液糖を30〜100%(w/w)使用することを特徴とする低糖質ビール風味アルコール飲料の製造方法。 請求項1記載の異性化液糖のオリゴ糖含有率が2.0%(w/w)以下であることを特徴とする低糖質ビール風味アルコール飲料の製造方法。 請求項1または2に記載された方法で製造された低糖質ビール風味アルコール飲料。 【課題】低糖質ビール風味アルコール飲料の製造において、微生物汚染のリスクが著しく低減された製造方法と、その方法により製造された低糖質ビール風味アルコール飲料を提供する。【解決手段】糖質原料中のオリゴ糖含有率が3.0%(w/w)以下、かつ糖質原料として、オリゴ糖比率が3.0%(w/w)以下である異性化液糖を30〜100%(w/w)使用することを特徴とする低糖質ビール風味アルコール飲料の製造方法、並びにその製造方法により製造された低糖質ビール風味アルコール飲料。【選択図】なし


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