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タイトル:特許公報(B2)_乳癌のリスクアセスメント、診断、予後診断および治療における使用のためのマーカーとしてのchr2およびchr16の遺伝的変異
出願番号:2010500445
年次:2015
IPC分類:C12Q 1/68,C12N 15/09,C12M 1/00,G01N 33/53,G01N 33/542


特許情報キャッシュ

ステイシー サイモン スレム パトリック マノレスク アンドレイ JP 5676245 特許公報(B2) 20150109 2010500445 20080326 乳癌のリスクアセスメント、診断、予後診断および治療における使用のためのマーカーとしてのchr2およびchr16の遺伝的変異 ディコーデ ジェネテクス イーエイチエフ 509268233 正林 真之 100106002 林 一好 100120891 ステイシー サイモン スレム パトリック マノレスク アンドレイ IS 8625 20070326 IS 8648 20070525 20150225 C12Q 1/68 20060101AFI20150205BHJP C12N 15/09 20060101ALI20150205BHJP C12M 1/00 20060101ALI20150205BHJP G01N 33/53 20060101ALI20150205BHJP G01N 33/542 20060101ALI20150205BHJP JPC12Q1/68 AC12N15/00 AC12M1/00 AG01N33/53 MG01N33/542 A C12N15/ C12Q1/ CAplus/MEDLINE/WPIDS/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 国際公開第2006/095985(WO,A1) 国際公開第2006/085733(WO,A1) Hum. Genet., 2005 Feb;116(3):p.208-221 Cancer Lett., 1999 Apr 26;138(1-2):p.209-215 Carcinogenesis, 2003 May;24(5):p.899-904 Cancer Epidemiol. Biomarkers Prev., 2007 Mar 1st;16(3):p.409-415 鎌谷直之編,これならわかる! データを活かす! ポストゲノム時代の遺伝統計学―実例から学ぶ疾患遺伝子同定の近道,2002年 3月10日,第2刷,p.183-201 6 IS2008000009 20080326 WO2008117314 20081002 2010522555 20100708 145 20110325 小暮 道明 本発明は、乳癌のリスクアセスメントの方法に関する。当該方法は、さらに本願明細書において記載されるように、乳癌に関連することが見出されたあるマーカーまたはハプロタイプを評価することによる、個体における乳癌に対する増加した感受性の判定方法、および乳癌に対して減少した感受性の判定方法、または個体における癌に対する保護作用の診断方法を含む。 乳癌は、世界中の女性において非常に最も一般的な癌である。現在の、全世界での発生は、各年で診断された新しい症例において1,151,000を超える(Parkinら、2005)。乳癌発生率は先進国で最も高く、特に、北欧種族的出身の集団で高く、かつ、増えている。米国における年間の年齢調整発生率は、人口100,000人あたり約131症例であり、世界の平均値の3倍以上多い。北欧諸国での割合は同様に高い。2006年には、214,650の湿潤性乳癌の新しい症例が米国において診断され、41,430の人々が当該疾病によって死亡することが推定される(非特許文献1)。この数字に、さらに、2006年に予測される61,980の生体内原位置での腺管癌および小葉癌の診断が加えられなければならない。個々の観点からは、乳癌の発生の生涯可能性は、米国の女性において13.2%である(すなわち、8人中1人の女性は、その生涯の間に乳癌を発生する)。大部分の癌については、早期検出および適切な治療は重要な因子である。全体的に、乳癌の5年生存率は88%である。しかし、局所的浸潤性または転移性疾患を呈する個体においては、割合は、それぞれ81%および26%に減少する(非特許文献1)。 次第に、原発性または再発性の乳癌について高いリスクのある個体の同定に重点が置かれている。このような個体は、より集中的なスクリーニング、予防的化学療法、ホルモン療法および、極度に高いリスクのある個体の場合は予防的手術によって管理され得る。集団検診プログラムは、予防的治療がリスクおよび生活の質の帰結に関連する一方で、公共医療に莫大な経済的負担となる。 (乳癌の遺伝的素因) 乳癌の公知の危険因子の2つの主要な分類は、内分泌因子および遺伝的特徴である。後者については、約12%の乳癌患者が、乳癌の1または複数の第一度近親者を有する(非特許文献2)。周知の、優性の乳癌素因遺伝子BRCA1およびBRCA2は、保有者に対して非常に増加した乳癌リスクをもたらし、生涯の浸透率は、40〜80%の範囲であると推定される。BRCA1変異およびBRCA2変異の存在は、6またはそれ以上の乳癌の症例の家族の大部分、および乳癌および卵巣癌または男性の乳癌を含む家族の大部分について説明できる。しかし、このような家族は、実際は非常にまれである。BRCA1変異およびBRCA2変異は、より少ない症例の家族、または乳癌の症例のみによって特徴付けられる家族では、かなり少ないことが見出される。合わせて、BRCA1およびBRCA2の変異は、15〜20%の家族性乳癌のリスクを説明できる。全ての共通のBRCA変異が検出できると仮定すると、非創始者集団では、2〜3%の間の偶発的な乳癌患者が変異を抱えるものと予想される(非特許文献3;非特許文献4)。この低い「見つける機会」の統計量は、明らかな遺伝性素因の家族の外側のBRCA変異試験の責任ある利用を妨げる(非特許文献5)。まれに、高い浸透率の変異がTP53およびPTEN遺伝子において生じることが知られる。しかし、これらはともに、乳癌の全遺伝的危険率のうち、わずか5%しか説明しない(非特許文献6)。連鎖研究は、乳癌について高いリスクを与える広範な変異の同定については、もはや大部分がうまくいっていない(非特許文献7)。 近年の疫学調査は、乳癌の症例の大部分が、集団のうち遺伝的な傾向があり、感受性のある少数において生じていることを示している(非特許文献8;非特許文献9)。一定の高い発生率の原発性乳癌で生存している患者の対側乳房における癌についての双生児研究および観察のデータは、未同定の乳癌のリスクの実質的な部分が、内在性要因に関連し、ほぼ確実に遺伝的に関連していることを示している(非特許文献10;非特許文献11)。この広範なリスクを支持する遺伝要因の知識は、非常に限られる。分離比分析は、乳癌の未同定の遺伝的危険率が、低〜中程度のリスクを与え、互いにおよびホルモンの危険因子と相互作用するかもしれないリスク対立遺伝子について、事実上多遺伝子性である可能性が最も高いことを予測する。それにもかかわらず、これらの研究は、これらの低〜中程度のリスク対立遺伝子を捕捉する遺伝的特性によって定義され得る分布の五分位数の最も高いものおよび最も低いものの間の相対的なリスクおいて、40倍もの量の相違があることを予測する(非特許文献8;非特許文献9)。全ての乳癌の症例の88%は、遺伝的な傾向がある50%の集団の間で生じることが予測され、12%の最も高いリスクの集団は、全ての乳癌の症例のうちの50%を説明する(非特許文献9;非特許文献12)。従って、このような遺伝的に傾向がある個体の同定、および彼らのために個別化された医学的管理戦略の開発に向けて多くの焦点が向けられる。 本発明者らおよび本発明者らの他も、アイスランドにおいて、少なくとも第5度近親者にまで及ぶ有意な乳癌の家族性リスクがあることを示してきた(非特許文献13;非特許文献14)。アイスランドにおける家族性リスクへのBRCA1変異の寄与は、最小であると考えられる(非特許文献15;非特許文献16)。BRCA2遺伝子(999del5)の単一の創始者変異は、0.6〜0.8%の保有頻度で、一般的なアイスランド人の集団において存在し、7.7〜8.6%の保有頻度で、女性の乳癌患者において存在する(非特許文献17;非特許文献18)。当該単一の変異は、約40%の第一〜三度近親者における遺伝する乳癌リスクを説明するものと推定される(非特許文献14)。当該推定は、非創始者集団に組み込まれた全てのBRCA1および2変異に起因する家族性リスクの15〜25%よりも高いが、約60%のアイスランド人の家族性乳癌リスクが依然として解明されていない。BRCA2 999del5に陰性と出た、患者の第一度近親者は、1.72倍の乳癌の集団リスクにとどまる(95% CI 1.49〜1.96)(非特許文献14)。 未解決の乳癌に対する遺伝的危険率に寄与する遺伝要因の理解は非常に限られる。2つの遺伝子における変異(CHEK2およびATM)は、低浸透率の乳癌リスク遺伝子として厳密に確かめられている(非特許文献19;非特許文献20)。多くの他の遺伝子が関連付けられているが、乳癌のリスクに対するこれらの遺伝子の寄与は、非常に大きいサンプル集合を用いた分析において確かめられていない(非特許文献21)。 遺伝的危険率は、集団内の個体の間の遺伝子におけるわずかな相違によって与えられる。個体間の遺伝子の違いは、他の変異もまた重要であるが、最も頻繁には、一塩基多型(SNP)が原因である。SNPは、ヒトゲノムにおいて、平均1000塩基対ごとに位置する。従って、250,000塩基対を含む典型的なヒト遺伝子は、250の異なるSNPを有するかも知れない。少数のSNPのみが、エクソンに位置し、当該遺伝子にコードされたタンパク質のアミノ酸配列を変化させる。他のSNPが、その遺伝子によってコードされたmRNAの転写、スプライシング、翻訳または安定性を変化させるかも知れない一方で、多くのSNPは、遺伝子機能に対してほとんど影響がないか、あるいは全く影響がないかも知れない。ヒトゲノムにおける、さらなる遺伝的多型性は、短いDNAの伸長または長いDNAの伸長のいずれかの挿入、欠損、転座または反転によってもたらされる。疾病リスクを与える遺伝的多型性は、従って、タンパク質のアミノ酸配列を直接に変化させるかも知れず、その遺伝子によって生じるタンパク質の量を増加させるかも知れず、または、その遺伝子によって生じるタンパク質の量を減少させるかも知れない。 一般的な疾病のリスクを与える遺伝的多型性は明らかであるため、このような危険因子の遺伝的試験は、臨床医学において重要となってきている。例としては、アルツハイマー病の鑑別診断のために認知症患者におけるapoE4多型性の遺伝的保有者を同定するアポリポタンパク質E試験、および深部静脈血栓症に対する素因を試験する第5因子ライデンの遺伝的保有者を同定するアポリポタンパク質E試験がある。さらに重要なことには、癌治療においては、腫瘍細胞における遺伝的変異の診断は、個々の患者のための最も適切な治療計画の選択に使用される。乳癌では、エストロゲン受容体の発現または2型ヘレグリン(Her2)受容体チロシンキナーゼ発現における遺伝的変異が、抗エストロゲン性薬剤(タモキシフェン)または抗Her2抗体(ハーセプチン)が治療計画に組み込まれるかどうかを決定する。フィラデルフィア染色体の慢性骨髄性白血病(CML)診断では、Bcr受容体およびAbl受容体チロシンキナーゼをコードする遺伝子と融合した遺伝的な転座は、Bcr−Ablキナーゼの特異的な阻害剤である、グリベック(STI571)が、当該癌の治療に使用されるべきであることを示す。このような遺伝的変化のあるCML患者においては、Bcr−Ablキナーゼの阻害は、腫瘍細胞の迅速な除去および白血病からの寛解を引き起こす。Jemalら、(2006)、CA Cancer J Clin、56、106〜30Lancet、(2001)、358、1389〜99Gorskiら、(2005)、Breast Cancer Res Treat、92、19〜24(2000)、Br J Cancer、83、1301〜8Anon((2003)、J Clin Oncol、21、2397〜406)Easton、(1999)、Breast Cancer Res、1、14〜7Smithら、(2006)、Chromosomes Cancer、45、646〜55Antoniouら、(2002)、Br J Cancer、86、76〜83Pharoahら、(2002)、Nat Genet、31、33〜6Lichtensteinら、(2000)、N Engl J Med、343、78〜85PetoおよびMack、(2000)、Nat Genet、26、411〜4Pharoah、(2003)、Recent Results Cancer Res、163、7〜18;discussion 264〜6Amundadottirら、(2004)、PLoS Med、1、e65Tuliniusら、(2002)、J Med Genet、39、457〜62Arasonら、(1998)、J Med Genet、35、446〜9Bergthorssonら、(1998)、Hum Mutat、Suppl 1、S195〜7Thorlaciusら、(1997)、Am J Hum Genet、60、1079〜84Gudmundssonら、(1996)、Am J Hum Genet、58、749〜56Renwickら、(2006)、Nat Genet、38、873〜5(2004)、Am J Hum Genet、74、1175〜82Breast Cancer Association、(2006)、J Natl Cancer Inst、98、1382〜96 乳癌の予防または治療について普遍的に成功した方法であって、現在利用できるものはない。乳癌の管理は、現在、一次予防、早期診断、適切な治療および再発予防の組み合わせに依存している。遺伝子検査をこれらの管理領域の全ての態様に統合させるための明確な臨床上の要請がある。癌感受性遺伝子の同定はまた、操作され得る重要な分子経路(例えば、小分子量または大分子量の薬剤の使用)および、より効果的な治療をもたらし得る重要な分子経路を明らかにするかも知れない。 本発明は、乳癌のリスクアセスメントの方法に関する。当該方法は、さらに本願明細書において記載されるように、乳癌に関連することが見出されたあるマーカーまたはハプロタイプを評価することによる、個体における乳癌に対する増加した感受性の判定方法、および乳癌に対して減少した感受性の判定方法、または個体における癌に対する保護作用の診断方法を含む。 第1の態様では、本発明は、個体から得られた核酸試料または個体由来の遺伝子型のデータセットにおける少なくとも1つの多型マーカーの、少なくとも1つの対立遺伝子の存在または不存在の判定を含み、当該少なくとも1つの多型マーカーは表10、表15および表19のいずれか1つに示された多型マーカー、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカーから選択され、少なくとも1つの対立遺伝子の存在が個体の乳癌に対する感受性を示す、ヒト個体の乳癌に対する感受性を判定する方法に関する。当該方法は、1つの実施態様では、当該個体から得られた核酸試料中の少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在または不存在の判定に関するものでもよい。もう1つの実施態様では、当該方法は、当該個体由来の遺伝子型のデータセットの少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在または不存在の判定に関する。当該遺伝子型のデータセットは、ある実施態様では、単一の個体からの核酸を含む、特定の核酸試料中の鋳型に関連する遺伝子型のデータセットに含まれる情報に基づいた特定の個体由来であってよい。 多型マーカーの特定の感受性対立遺伝子の存在の判定は、その対立遺伝子によって与えられる特定の感受性の存在について直接の指標を与える。そのような感受性対立遺伝子の不存在についての判定は、一方で、遺伝子型の試料または遺伝子型のデータセットの由来となる個体において特定の感受性が不存在であるという指標を与える。2つの可能性のある対立遺伝子を有する多型マーカーにおいて特定の場合(SNPまたは挿入/欠損多型性など)に、特定の対立遺伝子の不存在の判定は、個体における代わりの対立遺伝子の2つのコピーの存在を意味する(特定のゲノム領域がその個体において欠損または重複を含まない場合は、その個体のゲノムにおける特定のゲノム領域の、1のみの複製物または2より多くの複製物のいずれかが存在してよい)。 第2の態様では、本発明はヒト個体の乳癌に対する感受性の診断方法に関し、当該方法は、当該個体から得られた核酸試料における少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在または不存在を判定することを含み、当該少なくとも1つの多型マーカーは、rs4848543LDブロック、rs3803662LDブロック、およびrs13387042LDブロックに関連するマーカー群から選択され、当該少なくとも1つの対立遺伝子の存在は、乳癌に対する感受性を示す。1つの実施態様では、rs4848543LDブロック、rs3803662LDブロックおよび/またはrs13387042LDブロックに関連するマーカーは、1または複数のこれらのLDブロック内の少なくとも1つのマーカーに対する連鎖不平衡のマーカーである。 さらなる態様では、本発明はヒト個体の乳癌に対する感受性の診断方法に関し、当該方法は、当該個体から得られた核酸試料中の少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在または不存在の判定を含み、当該少なくとも1つの多型マーカーは表10、表15および表19に記載されたマーカー、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカーからなるマーカー群から選択される。1つの特定の実施態様では、表10、表15および表19に記載されたマーカーと連鎖不平衡のマーカーは、r2値が0.2よりも大きいマーカーである。もう1つの実施態様では、表10、表15および表19に記載されたマーカーと連鎖不平衡のマーカーは、コーカサス人の集団(HapMap CEPH集団など)において、r2値が0.2よりも大きいマーカーである。 別の態様では、本発明は乳癌に対する感受性を評価に使用するためのマーカーの同定方法に関し、当該方法は、 (a)配列番号4、配列番号5および配列番号6に示された配列を有するゲノム分節内のマーカーの少なくとも1つと少なくとも1つの多型連鎖不平衡にあるマーカーを同定する工程と; (b)乳癌と診断された個体または乳癌に感受性のある個体の試料中の遺伝子型の状態を判定する工程と;および (c)対照個体の試料中の遺伝子型の状態を判定する工程と; 対照試料中の少なくとも1つの対立遺伝子の頻度と比較した、乳癌と診断された個体または乳癌に感受性のある個体における少なくとも1つの多型性の少なくとも1つの対立遺伝子の頻度の有意差は、当該少なくとも1つの多型性が乳癌に対する感受性を評価するのに有用であることを示す。1つの実施態様では、対照試料中の少なくとも1つの対立遺伝子の頻度と比較した、乳癌と診断された個体または乳癌に感受性のある個体における少なくとも1つの多型性の少なくとも1つの対立遺伝子の頻度の増加は、当該少なくとも1つの多型性が乳癌に対する増加した感受性を評価するのに有用であることを示す。もう1つの実施態様では、対照試料中の少なくとも1つの対立遺伝子の頻度と比較した、乳癌と診断された個体または乳癌に感受性のある個体における少なくとも1つの多型性の少なくとも1つの対立遺伝子の頻度の減少は、少なくとも1つの多型性が乳癌に対する減少した感受性、または乳癌に対する保護を評価するのに有用であることを示す。1つの実施態様では、配列番号4、配列番号5および配列番号6に示された配列を有するゲノム分節内のマーカーの少なくとも1つと、当該少なくとも1つの多型連鎖不平衡にあるマーカーは、rs4848543(配列番号1)、rs3803662(配列番号3)およびrs13387042(配列番号2)から選択される。 本発明は、さらに、乳癌のリスクのあるヒト個体、または乳癌と診断されたヒト個体から得られた核酸試料中の遺伝子型を同定する方法に関し、当該試料中の少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在または不存在を判定することを含み、当該少なくとも1つのマーカーは、表10、表15および表19に示されたマーカーならびにそれらと連鎖不平衡のマーカーからなる群から選択され、当該少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在または不存在は、乳癌の感受性を示す。1つの実施態様では、当該少なくとも1つのマーカーは、rs4848543(配列番号1)、rs3803662(配列番号3)およびrs13387042(配列番号2)から選択される。もう1つの実施態様では、遺伝子型の同定は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、当該少なくとも1つの多型マーカーに隣接するヌクレオチドプライマー対を使用して、少なくとも1つの多型マーカーを含む核酸の分節を増幅することを含む。さらなる実施態様では、遺伝子型の同定は、対立遺伝子特異的なプローブハイブリダイゼーション、対立遺伝子特異的なプライマー伸長、対立遺伝子特異的な増幅、核酸配列決定、5’−エキソヌクレアーゼ消化、分子ビーコンアッセイ、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、サイズ分析、および一本鎖高次構造分析から選択される工程を使用して行われる。1つの好ましい実施態様では、当該工程は対立遺伝子特異的なプローブハイブリダイゼーションを含む。もう1つの好ましい実施態様では、当該工程は、DNA配列決定を含む。特に好ましい実施態様では、工程には、以下の工程を含む。 1)核酸のコピーを、検出オリゴヌクレオチドプローブを当該核酸と特異的にハイブリダイゼーションさせる条件下で当該検出オリゴヌクレオチドプローブおよびエンハンサーオリゴヌクレオチドプローブに接触させる工程であって、(a)当該検出オリゴヌクレオチドプローブは、長さ5〜100ヌクレオチドからなり、ヌクレオチド配列が配列番号4、配列番号5または配列番号6によって与えられる核酸の第1の分節に特異的にハイブリダイズし、 (b)当該検出オリゴヌクレオチドプローブは、その3’末端の検出可能な標識およびその5’末端の消光部分(quenching moiety)を含み、 (c)当該エンハンサーオリゴヌクレオチドは、長さ5〜100ヌクレオチドからなり、当該オリゴヌクレオチドプローブに対して5’のヌクレオチド配列の第2の分節に相補的であり、そのため、当該エンハンサーオリゴヌクレオチドは、両オリゴヌクレオチドが当該核酸にハイブリダイズすると、当該検出オリゴヌクレオチドプローブに対して3’に位置し、および (d)第1の分節と第2の分節との間に一塩基ギャップが存在し、そのため、当該オリゴヌクレオチドプローブおよび当該エンハンサーオリゴヌクレオチドプローブが、ともに当該核酸にハイブリダイズすると、一塩基ギャップは当該オリゴヌクレオチドの間に存在する工程、および 2)検出プローブが当該核酸にハイブリダイズされると、検出可能な標識を当該検出プローブの3’末端から切断してフリーの検出可能な標識を放出するエンドヌクレアーゼで当該核酸を処理する工程、および フリーの検出可能な標識を測定する工程であって、当該フリーの検出可能な標識の存在は、当該検出プローブが、当該核酸の第1の分節に特異的にハイブリダイズすることを示し、多形性部位の配列が当該検出プローブの補完物であることを示す工程。 本発明のさらなる態様は、乳癌の治療薬に対する反応可能性についての個体の評価方法に関し、当該個体から得られた核酸試料中の少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在または不存在の判定を含み、当該少なくとも1つの多型マーカーは、表10、表15および表19に示された多型マーカー、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカーからなる群から選択され、当該少なくとも1つのマーカーの当該少なくとも1つの対立遺伝子の存在は、当該治療薬に対する陽性反応の可能性を示す。1つの実施態様では、当該治療薬は化学治療薬またはホルモン療法薬である。1つの実施態様では、当該ホルモン療法薬は選択的エストロゲン受容体調節物質またはアロマターゼ阻害剤である。好ましい実施態様では、選択的エストロゲン受容体調節物質は、タモキシフェンおよびラロキシフェンから選択される。ある実施態様では、アロマターゼ阻害剤は、エキセメスタン、アナストロゾールおよびレトロゾールから選択される。他の実施態様では、選択的エストロゲン受容体調節物質は、アロマターゼ阻害剤と組み合わせて投与される。 さらに本発明の別の態様は、乳癌と診断された個体の予後診断の予測方法に関し、当該方法は当該個体から得られた核酸試料中の少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在または不存在の判定を含み、当該少なくとも1つの多型マーカーは、表10、表15および表19に示された多型マーカー、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカーからなる群から選択され、少なくとも1つの対立遺伝子の存在は、当該個体の乳癌の悪化した予後診断を示す。当該個体の予後診断は、原則として、疾病の進行の特徴的パターン(二次腫瘍の形成、腫瘍の迅速な広がり、腫瘍の段階(段階0〜段階IV)および腫瘍の再発を含むが、これらに限定されない)のいずれにも関してもよい。 本発明はまた、乳癌の治療を経験している個体の治療の進展をモニターする方法に関し、当該方法は、当該個体から得られた核酸試料中の少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在または不存在の判定を含み、当該少なくとも1つの多型マーカーは、表10、表15および表19に示されたマーカーならびにそれらと連鎖不平衡のマーカーから選択され、少なくとも1つの対立遺伝子の存在は、当該個体の治療成果を示す。治療は、外科的治療、化学療法、放射線療法、遺伝子療法または免疫療法のいずれか1つであり得る。これらの治療のいずれも、単独で、または併用して使用し得る。例えば、外科的治療に続いて、化学療法および/または放射線療法を行ってもよい。個体の治療成果は、治療が終了した時点での、その個体の腫瘍進行に関連する。このような成果の基準には、腫瘍の再発率または再発の可能性、腫瘍の広がり、および二次腫瘍の形成が含まれるが、これらに限定されない。 本発明の別の態様は、ヒト個体の乳癌に対する感受性を評価するキットに関し、当該キットは、当該個体のゲノムの少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子を選択的に検出ための試薬を含み、当該多型マーカーは、表10、表15および表19に示されたマーカー、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカーから選択され、少なくとも1つの対立遺伝子の存在は乳癌に対する感受性を示す。1つの実施態様では、少なくとも1つの多型マーカーは、rs4848543(配列番号1)、rs3803662(配列番号3)またはrs13387042(配列番号2)である。もう1つの実施態様では、当該試薬は、少なくとも1つの多型マーカーを含む個体のゲノム断片にハイブリダイズする少なくとも1つの近接するオリゴヌクレオチド、バッファーおよび検出可能な標識を含む。もう1つの実施態様では、当該試薬は、当該被験者から入手されたゲノム核酸分節の逆ストランドにハイブリダイズする少なくとも1対のオリゴヌクレオチドを含み、各オリゴヌクレオチドプライマー対は1つの多型マーカーを含む当該個体のゲノム断片を選択的に増幅するように設計され、当該断片はサイズが少なくとも30塩基対である。さらなる実施態様では、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、個体のゲノムに対して完全に相補的である。もう1つの実施態様では、オリゴヌクレオチドは、大きさが18〜50ヌクレオチドである。もう1つの実施態様では、オリゴヌクレオチドは、大きさが20〜30ヌクレオチドである。好ましい実施態様では、キットは、 (a)長さが5〜100ヌクレオチドである検出オリゴヌクレオチドプローブ; (b)長さが5〜100ヌクレオチドであるエンハンサーオリゴヌクレオチドプローブ;および (c)エンドヌクレアーゼ酵素、を含み 当該検出オリゴヌクレオチドプローブが、ヌクレオチド配列が配列番号4、配列番号5または配列番号6に示された核酸の第1の分節に特異的にハイブリダイズし、および 当該検出オリゴヌクレオチドプローブは、その3’末端に検出可能な標識およびその5’末端に消光部分を含み 当該エンハンサーオリゴヌクレオチドは、長さ5〜100ヌクレオチドからなり、オリゴヌクレオチドプローブに対して5’のヌクレオチド配列の第2の分節に相補的であり、そのため、当該エンハンサーオリゴヌクレオチドは、両オリゴヌクレオチドが当該核酸にハイブリダイズすると、検出オリゴヌクレオチドプローブに対して3’に位置し、 一塩基ギャップは、当該第1の分節と第2の分節との間に存在し、そのため、当該オリゴヌクレオチドプローブおよび当該エンハンサーオリゴヌクレオチドプローブが、ともに当該核酸にハイブリダイズすると、一塩基ギャップがオリゴヌクレオチドの間に存在し、および 当該核酸をエンドヌクレアーゼで処理すると、当該検出プローブが当該核酸にハイブリダイズすると、検出可能な標識を当該検出プローブの3’末端から切断して、フリーの検出可能な標識を放出する。 本発明のさらなる態様は、ヒト個体の乳癌の遺伝的指標を測定する装置に関し、 コンピューター可読媒体、および 当該コンピューター可読媒体に保存されたルーチンを含み、 当該ルーチンは、表10、表15および表19に示されたマーカーならびにそれらと連鎖不平衡のマーカーから選択された少なくとも1つの多型マーカーについての少なくとも1人のヒト個体のマーカーおよび/またはハプロタイプの情報を分析するためにプロセッサー上で実行されるように適合され、当該マーカーまたはハプロタイプの情報に基づいて結果をもたらし、当該結果は、当該ヒト個体の乳癌の遺伝的指標として少なくとも1つのマーカーまたはハプロタイプの個体のリスクの測定を含む。1つの実施態様では、当該ルーチンは、さらに、少なくとも1つのマーカー対立遺伝子および/またはハプロタイプに関連する乳癌のリスクの測定を含み、当該リスクの測定は、乳癌と診断された多数の個体の少なくとも1つの多型マーカーおよび/またはハプロタイプの少なくとも1つの対立遺伝子の頻度の比較、および多数の参考個体の少なくとも1つの多型マーカーおよび/またはハプロタイプの少なくとも1つの対立遺伝子の頻度の指標の比較に基づき、ヒト個体についての個体のリスクは、少なくとも1つのマーカー対立遺伝子および/またはハプロタイプの当該個体のキャリア状態の比較、および少なくとも1つのマーカー対立遺伝子および/またはハプロタイプのリスクの測定に基づく。1つの実施態様では、当該少なくとも1つの多型マーカーは、rs4848543(配列番号1)、rs3803662(配列番号3)またはrs13387042(配列番号2)、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカーから選択される。 本発明はまた、ヒト個体の乳癌に対する感受性の診断および/または評価のための試薬の製造におけるオリゴヌクレオチドプローブの使用に関し、当該プローブは、ヌクレオチド配列が、配列番号4、配列番号5または配列番号6に示された核酸の分節にハイブリダイズし、当該プローブは長さが15〜500ヌクレオチドである。 本発明は、さらに、 (a)少なくとも1つの多型マーカーの識別子、 (b)乳癌と診断された多数の個体の当該少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の頻度の指標、および (c)多数の参考個体の当該少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の頻度の指標が保存されたコンピューター可読媒体に関し、 当該少なくとも1つの多型マーカーは、表10、表15および表19に示された多型マーカー、ならびにそれらと連鎖不平衡の多型マーカーから選択される。 本発明のある実施態様では、個体における少なくとも1つのハプロタイプの頻度がさらに評価され、当該ハプロタイプは少なくとも2つのマーカーを含み、当該少なくとも1つのハプロタイプの存在は、乳癌に対する感受性を示す。当該ハプロタイプは、1つの実施態様では、乳癌のリスクのあるハプロタイプ、すなわち、乳癌の発生について増加したリスクを与えるハプロタイプである。当該ハプロタイプは、1つの実施態様では、表7、表8、表9、表13、表14および表18に記載されたハプロタイプの群から選択される。 本発明のもう1つの実施態様では、少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子は、表9および表13に記載されたハプロタイプによって定義されるハプロタイプの背景の群から選択されるハプロタイプの背景に存在する。もう1つの実施態様では、本発明の方法は、さらに、浸透度の高い乳癌の遺伝的因子をアッセイする工程を行うことに関する。このような浸透度の高い遺伝的因子は、1つの実施態様では、BRCA2 999del5である。近年のエビデンスは、BRCA1およびBRCA2変異に関連するリスクが、家族に密集する他の遺伝的または環境的な因子によって改変されたいくつかの症例にあることを示唆する(Antoniou A.C.ら、Am J Hum Genet 2008年3月18日(印刷物に先駆けた電子出版))。従って、ある実施態様では、他の浸透度の高い乳癌の変異(BRCA1およびBRCA2遺伝子において見出される変異など)であって、よく実証され、当業者に知られたもの(例えば、Breast Cancer Mutation Data Base(http://research.nhgri.nih.gov/bic/)参照、また、Fackenthal J.D.&Olopade O.I.、Nature Reviews Cancer 7:937〜48(2007)参照、およびその中で引用された参考文献)もまた、評価されてもよく、乳癌に関連する本願明細書記載の変異と組み合わせられてもよい。 本発明の1つの実施態様では、さらに、エストロゲン受容体の状態またはプロゲステロン受容体の状態について個体を評価する工程が行われる。そのような1つの実施態様では、エストロゲン陽性の状態またはプロゲステロン陽性の状態は、rs13387042対立遺伝子Aおよびrs3803662対立遺伝子Tならびにそれらと関連するマーカー(表15および表19に示されたマーカーなど)に関連する増加したリスクに関連する。 本発明は、別の態様では、以前に乳癌と診断された個体において少なくとも続発性原発腫瘍を生じるリスクの評価方法に関し、当該方法は、当該個体から得られた核酸試料中の少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在または不存在を判定することを含み、当該少なくとも1つの多型マーカーは、rs4848543LDブロック、rs13387042LDブロック、およびrs3803662LDブロックに関連するマーカー群から選択され、当該少なくとも1つの対立遺伝子の存在は、少なくとも続発性原発腫瘍の発生のリスクを示す。1つの実施態様では、少なくとも1つの多型マーカーは、表10、表15および表19のいずれかに示されたマーカーから選択される。もう1つの実施態様では、少なくとも1つのマーカーは、rs4848543LDブロックに関連する。1つの実施態様では、少なくとも1つの多型マーカーは、表10、表15、表19、表20、表21および表22に記載された多型マーカー、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカーからなる群から選択される。もう1つの実施態様では、少なくとも1つの多型マーカーは、r2値が0.2より大きいことによって定義される、マーカーrs4848543と関連する強い連鎖不平衡のマーカー群から選択される。さらに別の実施態様では、少なくとも1つの多型マーカーは、表7、表8および表10に記載されたマーカー群から選択される。もう1つの実施態様では、少なくとも1つの多型マーカーは、表10に示されたマーカーから選択される。さらなる実施態様では、少なくとも1つの多型マーカーは、STEAP3/TSAP6遺伝子に関連する。好ましい実施態様では、マーカーは、rs4848543である。他の実施態様では、個体における少なくとも1つのハプロタイプの頻度を評価するさらなる工程が行われる。当該少なくとも1つのハプロタイプは、1つの実施態様では、表7、表8および表9に記載されたハプロタイプ群から選択される。他の実施態様では、乳癌の浸透度の高い遺伝要因(BRCA2 999del5など)もまた評価される。 本願明細書記載の本発明における乳癌の表現型は、ある実施態様では、全ての乳癌、多発性原発性乳癌、早期発生の乳癌、または乳癌を決定する他の医学的に許容された診断方法から選択され得る。もう1つの実施態様では、合計家族歴(summed family history、FHS)は乳癌に関連する表現型である。 本願明細書記載の本発明の方法、使用、キット、または装置の特定の実施態様では、評価されるヒト個体は女性である。 乳癌に対する感受性を検出するのに有用な、本願明細書に開示されるマーカーは、全て、本願明細書記載の様々な方法、キット、装置および使用で利用され得る。従って、ある実施態様では、本発明を実行するのに有用な少なくとも1つの多型マーカーは、表20、表21および表22に記載された多型マーカー、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカーからなる群から選択され得る。もう1つの実施態様では、少なくとも1つの多型マーカーは、表10、表15および表19に記載されたマーカー、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカー群から選択される。ある実施態様では、少なくとも1つの多型マーカーは、配列番号4、配列番号5および配列番号6のいずれかに示された配列のゲノム分節内に位置する。1つの好ましい実施態様では、配列番号4内の少なくとも1つのマーカーは、表20に示されたマーカーから選択される。もう1つの好ましい実施態様では、配列番号5内の少なくとも1つのマーカーは、表21に示されたマーカーから選択される。さらにもう1つの好ましい実施態様では、配列番号6内の少なくとも1つのマーカーは、表22に示されたマーカーから選択される。もう1つの実施態様では、少なくとも1つの多型マーカーは、表7、表8、表10、表14、表15、表18および表19に記載されたマーカー群から選択される。もう1つの実施態様では、少なくとも1つの多型マーカーは、r2値が0.2より大きいことによって定義される、マーカーrs4848543(配列番号1)、rs3803662(配列番号3)またはrs13387042(配列番号2)と強い連鎖不平衡のマーカー群から選択される。好ましい実施態様では、少なくとも1つの多型マーカーは、rs4848543(配列番号1)、rs3803662(配列番号3)およびrs13387042(配列番号2)から選択される。もう1つの好ましい実施態様では、少なくとも1つの多型マーカーはrs4848543(配列番号1)である。もう1つの好ましい実施態様では、少なくとも1つの多型マーカーはrs3803662(配列番号3)である。さらにもう1つの好ましい実施態様では、少なくとも1つの多型マーカーは、rs13387042(配列番号2)である。さらなる実施態様では、少なくとも1つの多型マーカーは、STEAP3/TSAP6遺伝子、LOC643714遺伝子、および/またはTNRC9遺伝子と関連する(すなわち、連鎖不平衡である)。そのような1つの実施態様では、少なくとも1つの多型マーカーは、STEAP3/TSAP6遺伝子、LOC643714遺伝子および/またはTNRC9遺伝子内に位置する。もう1つの好ましい実施態様では、少なくとも1つの多型マーカーは、rs4848543、rs13387042、rs3803662、rs12922061、rs4784227およびrs17271951から選択される。 本発明のある方法、使用、キットまたは装置では、少なくとも1つの対立遺伝子またはハプロタイプの存在は、乳癌に対する増加した感受性を示す。本発明の他の方法では、少なくとも1つの対立遺伝子またはハプロタイプの存在は、減少した乳癌に対する感受性を示す。乳癌に対する増加した感受性は、1つの実施態様では、 (i)rs8955398対立遺伝子2、rs4848543対立遺伝子1、rs6759589対立遺伝子1、rs838066対立遺伝子2、rs838100対立遺伝子3、rs838086対立遺伝子1、rs12711924対立遺伝子1およびrs3731603対立遺伝子4; (ii)rs8955398対立遺伝子4、rs4848543対立遺伝子1、rs6759589対立遺伝子1、rs838066対立遺伝子2、rs838100対立遺伝子3、rs838086対立遺伝子1、rs12711924対立遺伝子1およびrs3731603対立遺伝子4; (iii)rs8955398対立遺伝子4、rs4848543対立遺伝子1、rs6759589対立遺伝子1、rs838066対立遺伝子2、rs838100対立遺伝子3、rs838086対立遺伝子2、rs12711924対立遺伝子1およびrs3731603対立遺伝子4; (iv)rs8955398対立遺伝子2、rs4848543対立遺伝子1、rs6759589対立遺伝子1、rs838066対立遺伝子2、rs838100対立遺伝子3、rs838086対立遺伝子2、rs12711924対立遺伝子1およびrs3731603対立遺伝子3; (v)rs8955398対立遺伝子4、rs4848543対立遺伝子1、rs6759589対立遺伝子1、rs838066対立遺伝子2、rs838100対立遺伝子3、rs838086対立遺伝子1、rs12711924対立遺伝子1およびrs3731603対立遺伝子3; (vi)rs8955398対立遺伝子2、rs4848543対立遺伝子1、rs6759589対立遺伝子1、rs838066対立遺伝子2、rs838100対立遺伝子3、rs838086対立遺伝子1、rs12711924対立遺伝子1およびrs3731603対立遺伝子4、からなるハプロタイプの背景の群から選択されるハプロタイプの背景に存在する。 もう1つの実施態様では、乳癌に対する増加した感受性は、 (i)rs10191184対立遺伝子3、rs6435957対立遺伝子4、rs10171745対立遺伝子3、rs6716542対立遺伝子1、rs4491709対立遺伝子4、rs12621130対立遺伝子1、rs6735174対立遺伝子1、rs6435959対立遺伝子2、rs2372943対立遺伝子3、rs13387042対立遺伝子1、rs10490444対立遺伝子1、rs13011060対立遺伝子3; (ii)rs10191184対立遺伝子3、rs6435957対立遺伝子4、rs10171745対立遺伝子3、rs6716542対立遺伝子3、rs4491709対立遺伝子4、rs12621130対立遺伝子1、rs6735174対立遺伝子2、rs6435959対立遺伝子4、rs2372943対立遺伝子3、rs13387042対立遺伝子1、rs10490444対立遺伝子3、rs13011060対立遺伝子3; (iii)rs10191184対立遺伝子3、rs6435957対立遺伝子2、rs10171745対立遺伝子3、rs6716542対立遺伝子3、rs4491709対立遺伝子4、rs12621130対立遺伝子1、rs6735174対立遺伝子2、rs6435959対立遺伝子4、rs2372943対立遺伝子3、rs13387042対立遺伝子1、rs10490444対立遺伝子3、rs13011060対立遺伝子3; (iv)rs10191184対立遺伝子3、rs6435957対立遺伝子4、rs10171745対立遺伝子3、rs6716542対立遺伝子3、rs4491709対立遺伝子4、rs12621130対立遺伝子1、rs6735174対立遺伝子1、rs6435959対立遺伝子2、rs2372943対立遺伝子3、rs13387042対立遺伝子1、rs10490444対立遺伝子3、rs13011060対立遺伝子3; (v)rs10191184対立遺伝子3、rs6435957対立遺伝子4、rs10171745対立遺伝子1、rs6716542対立遺伝子3、rs4491709対立遺伝子2、rs12621130対立遺伝子1、rs6735174対立遺伝子1、rs6435959対立遺伝子2、rs2372943対立遺伝子3、rs13387042対立遺伝子1、rs10490444対立遺伝子1、rs13011060対立遺伝子3; (vi)rs10191184対立遺伝子3、rs6435957対立遺伝子4、rs10171745対立遺伝子3、rs6716542対立遺伝子3、rs4491709対立遺伝子4、rs12621130対立遺伝子1、rs6735174対立遺伝子2、rs6435959対立遺伝子4、rs2372943対立遺伝子3、rs13387042対立遺伝子1、rs10490444対立遺伝子3、rs13011060対立遺伝子1; (vii)rs10191184対立遺伝子3、rs6435957対立遺伝子4、rs10171745対立遺伝子3、rs6716542対立遺伝子1、rs4491709対立遺伝子4、rs12621130対立遺伝子1、rs6735174対立遺伝子1、rs6435959対立遺伝子2、rs2372943対立遺伝子3、rs13387042対立遺伝子1、rs10490444対立遺伝子1、rs13011060対立遺伝子1; (viii)rs10191184対立遺伝子3、rs6435957対立遺伝子2、rs10171745対立遺伝子3、rs6716542対立遺伝子1、rs4491709対立遺伝子4、rs12621130対立遺伝子1、rs6735174対立遺伝子1、rs6435959対立遺伝子2、rs2372943対立遺伝子3、rs13387042対立遺伝子1、rs10490444対立遺伝子1、rs13011060対立遺伝子3; (ix)rs10191184対立遺伝子3、rs6435957対立遺伝子4、rs10171745対立遺伝子3、rs6716542対立遺伝子1、rs4491709対立遺伝子4、rs12621130対立遺伝子1、rs6735174対立遺伝子1、rs6435959対立遺伝子2、rs2372943対立遺伝子3、rs13387042対立遺伝子1、rs10490444対立遺伝子3、rs13011060対立遺伝子1; (x)rs10191184対立遺伝子3、rs6435957対立遺伝子2、rs10171745対立遺伝子3、rs6716542対立遺伝子3、rs4491709対立遺伝子4、rs12621130対立遺伝子1、rs6735174対立遺伝子1、rs6435959対立遺伝子2、rs2372943対立遺伝子3、rs13387042対立遺伝子1、rs10490444対立遺伝子1、rs13011060対立遺伝子3、からなるハプロタイプの背景の群から選択されるハプロタイプの背景に存在する。 好ましい実施態様では、乳癌について増加したリスクを与える少なくとも1つの対立遺伝子またはハプロタイプは、rs4848543対立遺伝子1である。さらなる実施態様では、増加したリスクは、少なくとも1.25のリスク、少なくとも1.3のリスク、少なくとも1.4のリスク、少なくとも1.5のリスク、少なくとも1.6のリスク、少なくとも1.7のリスク、および少なくとも2.0のリスクを含む、相対的なリスクまたは少なくとも1.2のオッズ比によって特徴付けられる。 本発明のある他の実施態様では、少なくとも1つの対立遺伝子またはハプロタイプの存在は、乳癌に対して減少した感受性(減少したリスク)を示す。少なくとも1つの対立遺伝子またはハプロタイプは、例えば、1未満の相対的なリスク(RR)またはオッズ比(OR)値を有する、表8、表9、表13、表14および表18に記載されたマーカー対立遺伝子およびハプロタイプ群から選択されてもよい。1つの実施態様では、減少した乳癌に対する感受性を示す少なくとも1つの対立遺伝子は、 (i)rs895398対立遺伝子2、rs4848543対立遺伝子2、rs6759589対立遺伝子3、rs838066対立遺伝子4、rs838100対立遺伝子1、rs838086対立遺伝子1、rs12711924対立遺伝子3およびrs3731603対立遺伝子3; (ii)rs895398対立遺伝子2、rs4848543対立遺伝子2、rs6759589対立遺伝子3、rs838066対立遺伝子2、rs838100対立遺伝子1、rs838086対立遺伝子1、rs12711924対立遺伝子3およびrs3731603対立遺伝子3; (iii)rs895398対立遺伝子2、rs4848543対立遺伝子2、rs6759589対立遺伝子1、rs838066対立遺伝子2、rs838100対立遺伝子3、rs838086対立遺伝子2、rs12711924対立遺伝子3およびrs3731603対立遺伝子3; (iv)rs895398対立遺伝子2、rs4848543対立遺伝子2、rs6759589対立遺伝子3、rs838066対立遺伝子4、rs838100対立遺伝子3、rs838086対立遺伝子2、rs12711924対立遺伝子3およびrs3731603対立遺伝子3; (v)rs895398対立遺伝子2、rs4848543対立遺伝子2、rs6759589対立遺伝子3、rs838066対立遺伝子2、rs838100対立遺伝子3、rs838086対立遺伝子2、rs12711924対立遺伝子3およびrs3731603対立遺伝子3; (vi)rs895398対立遺伝子2、rs4848543対立遺伝子2、rs6759589対立遺伝子1、rs838066対立遺伝子2、rs838100対立遺伝子3、rs838086対立遺伝子1、rs12711924対立遺伝子1およびrs3731603対立遺伝子4; (vii)rs895398対立遺伝子2、rs4848543対立遺伝子2、rs6759589対立遺伝子3、rs838066対立遺伝子4、rs838100対立遺伝子3、rs838086対立遺伝子1、rs12711924対立遺伝子1およびrs3731603対立遺伝子4; (viii)rs895398対立遺伝子2、rs4848543対立遺伝子2、rs6759589対立遺伝子1、rs838066対立遺伝子2、rs838100対立遺伝子3、rs838086対立遺伝子1、rs12711924対立遺伝子3およびrs3731603対立遺伝子3;および (ix)rs895398対立遺伝子2、rs4848543対立遺伝子2、rs6759589対立遺伝子3、rs838066対立遺伝子2、rs838100対立遺伝子1、rs838086対立遺伝子1、rs12711924対立遺伝子1およびrs3731603対立遺伝子4、からなるハプロタイプの背景の群から選択されるハプロタイプの背景に存在する。 もう1つの実施態様では、減少した乳癌に対する感受性は、 (i)rs10191184対立遺伝子3、rs6435957対立遺伝子2、rs10171745対立遺伝子3、rs6716542対立遺伝子3、rs4491709対立遺伝子2、rs12621130対立遺伝子3、rs6735174対立遺伝子1、rs6435959対立遺伝子2、rs2372943対立遺伝子3、rs13387042対立遺伝子3、rs10490444対立遺伝子1、rs13011060対立遺伝子3; (ii)rs10191184対立遺伝子3、rs6435957対立遺伝子4、rs10171745対立遺伝子3、rs6716542対立遺伝子3、rs4491709対立遺伝子4、rs12621130対立遺伝子1、rs6735174対立遺伝子1、rs6435959対立遺伝子4、rs2372943対立遺伝子1、rs13387042対立遺伝子3、rs10490444対立遺伝子3、rs13011060対立遺伝子1; (iii)rs10191184対立遺伝子1、rs6435957対立遺伝子4、rs10171745対立遺伝子3、rs6716542対立遺伝子3、rs4491709対立遺伝子4、rs12621130対立遺伝子1、rs6735174対立遺伝子1、rs6435959対立遺伝子4、rs2372943対立遺伝子1、rs13387042対立遺伝子3、rs10490444対立遺伝子3、rs13011060対立遺伝子1; (iv)rs10191184対立遺伝子3、rs6435957対立遺伝子2、rs10171745対立遺伝子3、rs6716542対立遺伝子3、rs4491709対立遺伝子2、rs12621130対立遺伝子3、rs6735174対立遺伝子1、rs6435959対立遺伝子2、rs2372943対立遺伝子3、rs13387042対立遺伝子3、rs10490444対立遺伝子1、rs13011060対立遺伝子1; (v)rs10191184対立遺伝子1、rs6435957対立遺伝子2、rs10171745対立遺伝子1、rs6716542対立遺伝子3、rs4491709対立遺伝子2、rs12621130対立遺伝子1、rs6735174対立遺伝子1、rs6435959対立遺伝子2、rs2372943対立遺伝子3、rs13387042対立遺伝子3、rs10490444対立遺伝子3、rs13011060対立遺伝子3; (vi)rs10191184対立遺伝子3、rs6435957対立遺伝子4、rs10171745対立遺伝子3、rs6716542対立遺伝子3、rs4491709対立遺伝子4、rs12621130対立遺伝子1、rs6735174対立遺伝子1、rs6435959対立遺伝子4、rs2372943対立遺伝子1、rs13387042対立遺伝子3、rs10490444対立遺伝子3、rs13011060対立遺伝子3; (vii)rs10191184対立遺伝子1、rs6435957対立遺伝子2、rs10171745対立遺伝子3、rs6716542対立遺伝子3、rs4491709対立遺伝子4、rs12621130対立遺伝子1、rs6735174対立遺伝子1、rs6435959対立遺伝子4、rs2372943対立遺伝子1、rs13387042対立遺伝子3、rs10490444対立遺伝子3、rs13011060対立遺伝子1; (viii)rs10191184対立遺伝子3、rs6435957対立遺伝子4、rs10171745対立遺伝子3、rs6716542対立遺伝子3、rs4491709対立遺伝子4、rs12621130対立遺伝子1、rs6735174対立遺伝子1、rs6435959対立遺伝子2、rs2372943対立遺伝子3、rs13387042対立遺伝子3、rs10490444対立遺伝子1、rs13011060対立遺伝子3; (ix)rs10191184対立遺伝子3、rs6435957対立遺伝子2、rs10171745対立遺伝子3、rs6716542対立遺伝子3、rs4491709対立遺伝子2、rs12621130対立遺伝子1、rs6735174対立遺伝子1、rs6435959対立遺伝子2、rs2372943対立遺伝子3、rs13387042対立遺伝子3、rs10490444対立遺伝子1、rs13011060対立遺伝子3; (x)rs10191184対立遺伝子1、rs6435957対立遺伝子2、rs10171745対立遺伝子3、rs6716542対立遺伝子3、rs4491709対立遺伝子2、rs12621130対立遺伝子3、rs6735174対立遺伝子1、rs6435959対立遺伝子2、rs2372943対立遺伝子3、rs13387042対立遺伝子3、rs10490444対立遺伝子1、rs13011060対立遺伝子3; (xi)rs10191184対立遺伝子3、rs6435957対立遺伝子4、rs10171745対立遺伝子3、rs6716542対立遺伝子3、rs4491709対立遺伝子4、rs12621130対立遺伝子1、rs6735174対立遺伝子1、rs6435959対立遺伝子4、rs2372943対立遺伝子3、rs13387042対立遺伝子3、rs10490444対立遺伝子3、rs13011060対立遺伝子1、からなるハプロタイプの背景の群から選択されるハプロタイプの背景に存在する。 ある実施態様では、減少した感受性は、0.8未満のリスク、0.7未満のリスク、0.6未満のリスク、および0.5未満のリスクを含む、0.9未満のリスク(相対的なリスクまたはオッズ比)によって特徴付けられる。 原則として、乳癌に関連すると本願明細書で示されたマーカーおよびハプロタイプの評価は、ヒト個体から得たゲノムDNAを含む試料中または、表10、表15および表19に示されたマーカーのいずれか1つの連鎖不平衡ではない、乳癌について少なくとも1つのリスクのある変異の、少なくとも1つのリスクのある対立遺伝子の存在または不存在についてのヒト個体由来の遺伝子型のデータセットの分析と組み合わせ得る。換言すれば、多数の危険因子に基づく、個体の全体的なリスクについての推定を得るため、本願明細書記載の危険因子のいずれにも連鎖していない遺伝的危険率因子は、本発明の危険因子と組み合わせ得る。さらに、全体的な複合リスクを得るために、乳癌に関連する1以上の本願明細書記載の危険因子の分析を組み合わせ得る。そのような1つの実施態様では、rs4848543(配列番号1)、rs3803662(配列番号3)およびrs13387042(配列番号2)の分析は、個体、または個体から得た試料、および行われた全体的なリスク分析について行われる。もう1つの実施態様では、rs3803662(配列番号3)およびrs13387042(配列番号2)の分析が行われる。 本発明の方法、使用、キットおよび装置は、ある実施態様では、さらに個体のリスクアセスメント、診断、または予後診断を行うための非遺伝的情報の分析を含み得る。このような非遺伝的情報は、ある実施態様では、年齢、性別、民族性、社会経済的状態、以前の疾病診断、被験者の病歴、乳癌の家族歴、生化学的測定、および/または臨床的測定を含み得る。遺伝的および非遺伝的危険率因子についての複合リスクは、当業者に知られた方法を使用して行い得る。 遺伝的分節(例えば、マーカー)間の連鎖不平衡(LD)は、本発明のある実施態様では、連鎖不平衡測定のある値によって特徴付けられる。さらに本願明細書記載のように、連鎖不平衡は、特定の数値のLD基準のr2および|D’|によって特徴付けられ得る。1つの好ましい実施態様では、連鎖不平衡は、r2値が0.1より大きいことによって特徴付けられる。もう1つの好ましい実施態様では、連鎖不平衡は、r2値が0.2より大きいことによって特徴付けられる。他のr2のカットオフ値もまた可能であり、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99を含むがこれらに限定されない。もう1つの好ましい実施態様では、連鎖不平衡が、|D’|値が0.5より大きいことによって特徴付けられる。もう1つの好ましい実施態様では、連鎖不平衡が、|D’|値が0.8より大きいことによって特徴付けられる。他の|D’|カットオフ値もまた可能であり、0.2、0.3、0.4、0.6、0.7、0.8、0.9、0.95、0.96、0.97、0.98および0.99を含むがこれらに限定されない。ある実施態様では、連鎖不平衡が、|D’|またはr2の数値的なカットオフ値によって特徴付けられる。1つのそのような実施態様では、連鎖不平衡は、0.8より大きい|D’|または0.2より大きいr2のいずれか、または両方である数値的なカットオフ値によって特徴付けられる。ある実施態様では、LDは、特定の集団で測定される。あるそのような実施態様では、集団は、コーカサス人、中国人、日本人、およびアフリカ人の集団から選択される。1つの実施態様では、集団は、コーカサスCEPH集団である。 本発明の方法、使用、装置またはキットのある実施態様では、個体は、特定のヒト祖先を有する。1つの実施態様では、祖先は、黒色アフリカ人の祖先、コーカサス人の祖先および中国人の祖先から選択される。もう1つの実施態様では、祖先は、黒色アフリカ人の祖先である。もう1つの実施態様では、祖先はアフリカ系アメリカ人の祖先である。もう1つの実施態様では、祖先はヨーロッパ人の祖先である。もう1つの実施態様では、祖先はコーカサス人の祖先である。ある実施態様では、祖先は、遺伝的分析または遺伝子型の同定を受ける個体によって自己申告された。他の実施態様では、祖先は、個体から得た核酸試料中の少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の検出を含む遺伝的判定によって判定され、対立遺伝子の存在または不存在は、当該個体の祖先を示す。 前述の目的および他の目的、本発明の特色および利点は、本発明の好ましい実施態様の下記のより詳細な説明から明らかとなるであろう。乳癌に関連するものと本願明細書で示されたマーカーrs4848543を含む染色体2上の領域のゲノム構造を示す。rs4848543と連鎖不平衡のマーカーはまた、当該領域内で見出され、これは本願明細書ではrs4848543LDブロックとも呼ばれる。当該領域は、広範な連鎖不平衡(高いLD)によって特徴付けられ、その境界は高い組み換え領域によって特徴付けられる。rs4848543と連鎖不平衡のマーカーは、コーカサスCEU HapMap集団において、LD測定におけるr2値が0.2より大きいことによって定義され、NCBIビルド(Build)34の染色体2上で、位置120,023,583〜120,117,062bpにまたがり、NCBIビルド36で、位置119,644,908〜119,738,387bpにまたがる。これらのビルド配列の両方で、これらのマーカーがまたがっている領域は93,479bpである。マーカーrs13387042を含む染色体2上の領域のゲノム構造を示す。rs13387042と連鎖不平衡のマーカーはまた、当該領域内で見出され、これは、本願明細書ではrs13387042LDブロックとも呼ばれる。当該領域は、広範な連鎖不平衡(高いLD)によって特徴付けられ、その境界は高い組み換え領域によって特徴付けられる。rs13387042と連鎖不平衡のマーカーは、コーカサスCEU HapMap集団で、LD測定でのr2値が0.2より大きいことによって定義され、NCBIビルド34の染色体2上で、位置218,059,508〜218,141,061bpにまたがり、NCBIビルド36で、位置217,565,211−217,646,764bpにまたがる。これらの配列ビルドの両方で、領域は81,553bpにまたがる。マーカーrs3803662を含む染色体16上の領域のゲノム構造を示す。rs3803662と連鎖不平衡のマーカーはまた、当該領域内で見出され、本願明細書ではrs3803662LDブロックとも呼ばれる。当該領域は、広範な連鎖不平衡(高いLD)によって特徴付けられ、その境界は高い組み換え領域によって特徴付けられる。rs3803662と連鎖不平衡のマーカーは、コーカサスCEU HapMap集団で、LD測定のr2値が0.2より大きいことによって定義され、NCBIビルド34の染色体16上で、位置52,314,403〜52,413,602bpにまたがり、NCBIビルド36で位置51,093,311〜51,192,501bpにまたがる。これらの配列ビルドの両方で、領域は、99,190bpにまたがる。 本発明の好ましい実施態様の記載は下記の通りである。本発明は、乳癌に関連すると見出された多型変異およびハプロタイプを開示する。ある多型マーカー(例えば、マーカーrs4848543、マーカーrs13387042およびマーカーrs3803662、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカー、rs4848543LDブロック、rs13387042LDブロック、およびrs3803662LDブロックに関連するマーカー、例えば、表10、表15、表19、表20、表21および表22のマーカー、例えば、表10、表15および表19に記載されたマーカー)の特定の対立遺伝子およびこのような対立遺伝子を有するハプロタイプは、乳癌に関連するものと見出された。このようなマーカーおよびハプロタイプは、さらに詳細に本願明細書に記載されたように、乳癌のリスクマネジメントに有用である。さらに本発明の応用例は、これらのマーカーの特定の対立遺伝子の存在または不存在を評価するキットを含む。 (定義) 別段の表示がない限り、核酸配列は、左から右に、5’から3’方向に書かれる。本願明細書で挙げられる数値的範囲は、範囲を定める数字を含み、定義された範囲内の各整数またはいずれの非整数有理数(fraction)を含む。別段の定義がない限り、本願明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が関与する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同義である。 下記の用語は、本願の構成では、下記に示される意味を有するものとする。「多型マーカー」は、「マーカー」と呼ばれることもあり、本願明細書記載のように、ゲノム多形性部位を意味する。各多型マーカーは、多形性部位の特定の対立遺伝子に特徴のある少なくとも2つの配列多様性を有する。従って、多型マーカーの遺伝的関連は、その特定の多型マーカーの少なくとも1つの特異的な対立遺伝子に関連があることを意味する。当該マーカーは、一塩基多型(SNP)、マイクロサテライト、挿入、欠損、重複および転座を含む、ゲノム中に見出されるいずれの変異型のいずれの対立遺伝子を含み得る。 「対立遺伝子」は、染色体の所定の遺伝子座(位置)のヌクレオチド配列を意味する。多型マーカー対立遺伝子は、従って、染色体上のマーカーの構成(すなわち、配列)を意味する。個体のゲノムDNAは、各染色体上のマーカーの各複製物を代表する、いずれの所定の多型マーカーの2つの対立遺伝子(例えば、対立遺伝子特異的な配列)を含む。本願明細書で使用されるヌクレオチドの配列コードは、A=1、C=2、G=3、T=4である。マイクロサテライト対立遺伝子のために、CEPH試料(ヒト多型研究センター、ゲノム貯蔵所、CEPH試料1347−02)を参照として使用し、当該試料中の各マイクロサテライトのより短い対立遺伝子を0と設定し、他の試料中の全ての他の対立遺伝子に、当該参照に関連して番号を付けた。従って、例えば、対立遺伝子1は、CEPH試料中のより短い対立遺伝子より1bp長く、対立遺伝子2は、CEPH試料中のより短い対立遺伝子より2bp長く、対立遺伝子3はCEPH試料中の下位の対立遺伝子より3bp長い、などであり、対立遺伝子−1は、CEPH試料中のより短い対立遺伝子よりも1bp短く、対立遺伝子−2は、CEPH試料中のより短い対立遺伝子より2bp短い、などである。 本願明細書記載の配列コヌクレオチド(conucleotide)の多義性は、IUPAC−IUBによって提唱される通りである。これらのコードは、EMBL、GenBank、およびPIRデータベースによって使用されるコードと両立する。 1より大きい配列が集団(自然の集団または合成の集団(例えば、合成分子のライブラリー)のいずれか)において可能性のあるヌクレオチドの位置は、本願明細書では「多形性部位」と呼ばれる。 「一塩基多型」または「SNP」は、ゲノムの特異的な部位の1つのヌクレオチドが種のメンバー間または個体の対の染色体間で異なる場合に生じる、DNA配列の多様性である。大部分のSNP多型は、2つの対立遺伝子を有する。当該例では、各個体は、多型の1つの対立遺伝子のホモ接合(すなわち、個体の染色体のコピーの両方が、SNP部位の同一のヌクレオチドを有する)であるか、または、個体はヘテロ接合(すなわち、異なるヌクレオチドを含む個体の2つの姉妹染色体)である。本願明細書で報告されたSNPの命名は、国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)によって各特有のSNPに指定された公式の参照SNP(rs)ID同定タグを意味する。 「変異」は、本願明細書記載のように、参照DNAと異なるDNAの分節を意味する。「マーカー」または「多型マーカー」は、本願明細書に定義されるように、変異である。参照と異なる対立遺伝子は、「変異」対立遺伝子と呼ばれる。 「マイクロサテライト」は、特定の部位の長さが2〜8ヌクレオチドの塩基の複数の小さい反復(CA反復など)を有する多型マーカーであり、反復長の数は一般的な集団において変化する。 「インデル」は、典型的にはわずか数ヌクレオチド長の小さな挿入または欠損を含む、多型性の一般的な形態である。 「ハプロタイプ」は、本願明細書記載のように、分節に沿って並んだ対立遺伝子の特定の組み合わせによって特徴付けられる一本鎖DNA内のゲノムDNAの分節を意味する。ヒトなどの2倍体の生物では、ハプロタイプは各多型マーカーまたは遺伝子座の対の対立遺伝子の1つのメンバーを含む。ある実施態様では、ハプロタイプは、2つ以上の対立遺伝子、3つ以上の対立遺伝子、4つ以上の対立遺伝子、または5つ以上の対立遺伝子を含み得る。ハプロタイプは、本願明細書では、マーカー名およびそのハプロタイプのマーカーの対立遺伝子に関連して記載され、例えば、「1 rs4848543」または「1−rs4848543」は、ハプロタイプに存在するマーカーrs4848543の1対立遺伝子(A対立遺伝子)を意味し、「rs4848543対立遺伝子1」または「rs4848543対立遺伝子A」に等しい。さらに、ハプロタイプにおける対立形質のコードは、個体マーカーについてのものと同じようであり、すなわち、1=A、2=C、3=Gおよび4=Tである。 用語「感受性」は、本願明細書記載のように、平均的な個体よりも、乳癌の発生について易発性の個体(または個体群)、または、乳癌の発生により抵抗できない個体を意味する。当該用語は、増加した感受性および減少した感受性の両方を包含する。従って、本発明の特定の多型マーカーおよび/またはハプロタイプは、1より大きい相対的なリスク(RR)、または1より大きいオッズ比(OR)によって特徴付けられるように、乳癌の増加した感受性(すなわち、増加したリスク)に特徴があってもよい。あるいは、本発明のマーカーおよび/またはハプロタイプは、1未満の相対的なリスクまたはオッズ比によって特徴付けられるように、乳癌の減少した感受性(すなわち、減少したリスク)に特徴があってもよい。 用語「および/または」は、本願の構成では、当該用語によって結合された項目のいずれかまたは両方が関連することを示すことが理解されるだろう。換言すれば、本願明細書における用語は、「いずれかまたは両方」を意味することが捉えられるだろう。 用語「関連する」は、遺伝因子(遺伝子および/またはマーカー)の連鎖についての本願の構成では、連鎖不平衡の因子を意味するものとする。好ましくは、当該用語は、当該因子は、連鎖不平衡測定のr2値が0.2より大きいと測定された連鎖不平衡であることを意味することが捉えられるだろう。 用語「検査表」は、本願明細書記載のように、データの一形態を別の形態と関連付ける表、または、1もしくは複数の形態のデータを、データが関連する予測される成果(表現型または形質など)と関連付ける表である。例えば、検査表は、少なくとも1つの多型マーカーの対立形質のデータと、特定の対立形質のデータを含む個体が示しやすいまたは特定の対立形質のデータを含まない個体よりも示しやすい特定の形質もしくは表現型(特定の疾病診断など)との間の相関を含み得る。検査表は、多次元的であり得、すなわち、単一のマーカーの複数の対立遺伝子についての情報を同時に含み得、または、複数のマーカーについての情報を含み得、他の因子(疾病診断の特徴、人種の情報、バイオマーカー、生化学的測定、治療方法または薬剤など)も含んでいてもよい。 「コンピューター可読媒体」は、市販または特注のインターフェースを使用した、コンピューターによって接続され得る情報記憶媒体である。典型的なコンピューター可読媒体は、メモリ(例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、など)、光学式記憶媒体(例えば、CD−ROM)、磁気記憶媒体(例えば、コンピューターのハードドライブ、フロッピー(登録商標)ディスク、など)、パンチカードまたは他の市販の媒体を含む。情報は、興味のあるシステムと媒体との間、コンピューター間、またはコンピューターと記憶した情報を保存または接続するコンピューター可読媒体との間で転送されてもよい。このような転送は、電気的であり得、または他の利用可能な方法(IRリンク、無線接続など)によってもよい。 「核酸試料」は、核酸(DNAまたはRNA)を含む個体から得られた試料である。ある実施態様、すなわち、特異的な多型マーカーの検出および/またはハプロタイプの検出では、核酸試料はゲノムDNAを含む。このような核酸試料は、ゲノムDNAを含むいずれの供給源(血液試料、羊水試料、脳脊髄液試料、または皮膚、筋肉、頬側粘膜もしくは結膜粘膜、胎盤、消化管もしくは他の器官から得た組織試料を含む)からも得られ得る。 用語「乳癌の治療薬」は、乳癌に関連する症候の寛解または予防に使用され得る薬剤を意味する。 用語「乳癌に関連した核酸」は、本願明細書記載のように、乳癌に関連することが見出された核酸を意味する。これは、本願明細書記載のマーカーおよびハプロタイプならびにそれらと強い連鎖不平衡(LD)のマーカーおよびハプロタイプを含むが、これらに限定されない。1つの実施態様では、乳癌に関連した核酸は、特定のゲノム領域内に位置する、または特定のゲノム領域に関連する(すなわち、連鎖不平衡の)少なくとも1つの多型マーカーを通じて乳癌に関連することが見出されたその特定のゲノム領域(LDブロックなど)を意味する。 用語「全乳癌」または「全BC」は、乳癌の特定の亜表現型と無関係に、乳癌と診断された全ての個体を意味する。 用語「媒体素因の」乳癌または「MedPreの」乳癌は、乳癌の亜表現型を意味する。当該表現型の定義は、発端者が少なくとも1つの下記の判断基準を満たすことを必要とする。1.発端者は、3減数分裂事象(meiotic events)(3M)の遺伝的距離内の、3人以上の罹患した近親者を含む乳癌の症例の集団の一員である。2.発端者は、3M以内で関連する、罹患したペアの一員であり、ペアの一人は50歳以下のときに診断された。3.発端者は、3M以内で関連する、罹患したペアの一員であり、ペアの一人はいずれかのタイプの続発性原発腫瘍であると診断された。4.発端者は、いずれかのタイプの続発性原発腫瘍であると診断された。 本願明細書で示された研究において分析された1600のアイスランド人の患者のうち、653人がMedPreの判断基準を満たした(40.8%)。 用語「多発性原発性乳癌」、または「MPBC」は、本願明細書記載のように、最初の乳癌の診断に加えて少なくとも1つの原発性腫瘍が診断され、2つの腫瘍が臨床的に、かつ組織学的検査によって、別個の原発性腫瘍であることが確かめられ、最初の乳癌と同時に、またはその後に生じており、対側乳房または同側乳房に生じている症例を意味する。 用語「家族歴スコア」または「FHS」は、本願明細書記載のように、疾病の発端者の乳癌に罹患した近親者の数に基づいて定義される。各発端者について、スコア1は各罹患した一等親近親者に割り当てられ、0.5は各罹患した第二度近親者に割り当てられ、0.25は各第三度近親者に割り当てられる。従って、全ての罹患した近親者にわたって得られた累計は、合計された家族歴スコアまたはFHSを表す。 用語「rs4848543LDブロック」、または「rs4848543連鎖不平衡ブロック」は、本願明細書記載のように、NCBI(国立バイオテクノロジー情報センター)ビルド34の位置119,987,002〜120,129,001の間、およびNCBIビルド36の位置119,608,327〜120,129,001の間の染色体2上のゲノム領域を意味する。rs4848543LDブロックは、サイズが141,999bpである。 用語「STEAP3遺伝子」、または「TSAP6遺伝子」は、本願明細書記載のように、前立腺の6回膜貫通の上皮抗原(STEAP3)遺伝子を意味し、腫瘍抑制活性化経路6(TSAP6)遺伝子とも呼ばれる。当該遺伝子は、染色体2q14.2上に位置し、位置120076561〜120118373(NCBIビルド34)にまたがる。 用語「rs13387042LDブロック」、または「rs13387042連鎖不平衡ブロック」は、本願明細書記載のように、NCBI(国立バイオテクノロジー情報センター)ビルド34の位置218,062,001〜218,141,002の間の染色体2上の連鎖不平衡(LD)ブロックを意味する。当該LDブロックは、79,001塩基対(ビルド34)にまたがる。 用語「rs3803662LDブロック」、または「rs3803662連鎖不平衡ブロック」は、本願明細書記載のように、NCBI(国立バイオテクノロジー情報センター)ビルド34の位置52,291,041〜52,436,127の間の染色体16上の連鎖不平衡(LD)ブロックを意味する。当該LDブロックは、145,086塩基対(ビルド34)にまたがる。 用語「ダリー(Daly)ハプロタイプ」は、本願明細書記載のように、HapMap計画において遺伝子型が同定されたさらなるSNPのセットの効率的な代替物(r2>0.8)として同定された所定のLDブロック(高いLDの領域)内の2つのマーカーハプロタイプを意味する。これらのさらなるSNPは、UTAH CEPH(CEU)HapMap試料において少ない対立遺伝子頻度(>5%)を有し、Hap300SNPチップに存在せず、また、チップ上のSNPによって効率的にタグが付けられない(Pe’erら、(2006)、Nat Genet、38、663〜7)。 用語「エストロゲン受容体陽性の乳癌」、または「ER陽性の乳癌」は、本願明細書で定義されるように、エストロゲン受容体の発現が陽性と判定された乳癌組織の試料を意味する。エストロゲン受容体の発現は、例えば、放射免疫アッセイまたは免疫組織化学的検査によって判定し得る。放射免疫(radioimmunometric)測定で≧10fmol/mg、または免疫組織化学的評価で陽性の核が≧10%であるときは、陽性とみなされる。 用語「プロゲステロン受容体陽性の乳癌」、または「PR陽性の乳癌」は、本願明細書で定義されるように、プロゲステロン受容体の発現が陽性と判定された乳癌組織の試料を意味する。プロゲステロン( )受容体の発現は、例えば、放射免疫アッセイまたは免疫組織化学的検査によって判定され得る。放射免疫測定で≧10fmol/mg、または免疫組織化学的評価で陽性の核が≧10%であるときは、陽性とみなされる。 乳癌と診断された個体の集団の関連分析を通じて、ある多型マーカーにおけるある対立遺伝子は、乳癌に関連することが発見された。ゲノム全体での癌に関連する変異の分析は、Chr2q14分節およびChr2q35内の染色体2の2つの異なる領域、ならびに染色体16(Chr16q12)上の領域内が、乳癌と関連することを明らかにした。特定のマーカーおよびハプロタイプは、これらの領域で乳癌について増加したリスクと関連することが見出された。 表1で示されたように、染色体2q14.2上のマーカーrs4848543のA対立遺伝子(rs4848543A対立遺伝子またはrs4848543 1対立遺伝子またはA−rs4848543とも呼ばれる)は、乳癌について増加したリスクと関連することが見出された。4477人の癌のない集団対照との関連で、1598人の患者中のMedPre乳癌の表現型を分析すると、推定される相対的なリスク(RR)値が1.42、p値が8.3×10−8であることが導かれた。この実験で使用されたゲノム全体でのチップの一部として試験された317,089SNPマーカーの補正後、p値は0.026であり、すなわち、ゲノム全体のレベルで関連が有意であった。より広範な全BC表現型との関連は、少し弱く、RR値は1.16であった(表1参照)。これらの結果は、別個のアイスランド人の乳癌コホートで再現された。 rs4848543マーカーは、本願明細書においてrs4848543LDブロックと呼ばれる領域内に位置する。当該SNPマーカー、および当該マーカーと関連するマーカー(例えば、表10に記載されたマーカー)は、本発明の方法において有用である。ヒトゲノムの局所的な連鎖不平衡様式により、癌と関連があると本願明細書で示されたrs4848543と強いLDにある多くの多型マーカーがある。これらの関連するマーカー(例えば、表10に記載されたマーカー)(マイクロサテライトもしくはインデル、および他の相関するSNPもしくは他の多型マーカーなどの、公知のSNPまたは他の多型マーカーを含む)は、従って、本願明細書記載の乳癌との関連を検出する代替のマーカーとして、単独または組み合わせて使用され得る。特に、rs4848543LDブロック内に位置する他の多型マーカーは、本発明の方法において代替のマーカーとして使用されてもよいことが想定される。 染色体2(2q35)上の第2の領域は、ゲノム全体での関連分析を通じて同定されてきた。マーカーrs13387042の対立遺伝子A(rs13387042A対立遺伝子またはrs13387042 1対立遺伝子またはA−rs13387042とも呼ばれる)は、乳癌について増加したリスクと関連することが見出された(表11参照)。当該SNPは、染色体2q35、STEAP3/TSAP6遺伝子座と異なる部位に位置する。乳癌である2,181個体(全BC)および12,441集団対照の分析は、rs13387042のA対立遺伝子が1.19のリスクと、4.0×10−5のp値を与えることを明らかにした。MedPre乳癌におけるリスク(RR)は、いずれのBCにおけるリスクとも匹敵することが見出された。rs13387042との関連を検出するのにも使用され得る代替のマーカーを表15に記載した。 当該結果は、アイスランド人の集団(583の症例および7966の対照)から得た第2の別個の試料において再現され、当該第2の群における「全BC」と関連があるrs13387042のA対立遺伝子のRRが1.20(P値corr=3.8×10−3)であるという推定を得た。従って、最初の発見は、別個のアイスランド人の試料において有意に再現され、まさに同様の点推定のRRであり、全体的なP値corrは2.0×10−7であり、317,089の試験されたSNPについてボンフェローニ補正後の有意性のレベルに近かった。rs13387042対立遺伝子Aの変異の認められた頻度および相対的なリスクは、アイスランド人の集団中15.6%という、推定される集団に起因するリスクと一致する。 スペイン人およびスウェーデン人の試料における追試は、これらの発見を裏付けた。スペイン人から得た446の乳癌の症例および977の対照試料の分析によれば、RRは1.21であった(P値1.8×10−2;表11)。A−rs13387042変異の頻度は、スペイン人の対照試料で高く、スペイン人の抽出集団において、変異がより蔓延しているかも知れず、従ってより高い乳癌負荷に寄与しているかも知れないことを示唆している。2つのスウェーデン人のコホート、「スウェーデン家族性」コホートおよび「スウェーデン連続的」コホートもまた分析された。「スウェーデン連続的」コホートは、乳癌について有意なRRが1.31(P値=2.0×10−4)であることを示し、一方、「スウェーデン家族性」コホートでは相対的なリスク推定値が1.11であり、統計的に有意ではなかった。しかし、全体的なスウェーデン人の複合コホートは、有意な相対的なリスク推定値が1.22(P値=8.1×10−4)に戻った。 アイスランド人、スペイン人およびスウェーデン人のコホートについての推定値は、マンテル−ヘンツェル(Mantel−Haenszel)モデルを使用して、共同解析に組み込んだ。結果は、推定される相対的なリスクが1.20、P値が3.8×10−11であった。これは、検討した317,089のSNPについて補正するために、ボンフェローニ法を使用したゲノム全体での有意性の閾値よりもかなり低い。本発明者らは、従って、rs13387042対立遺伝子Aは、ヨーロッパ人の家系のいくつかの集団の例において、有意な、かつ、再現性のある乳癌のリスクを与えることを結論付けた。全体的な集団に起因するリスクは、16.4%であると推定される。 1600人の乳癌患者および11563人の対照から得たデータを使用したさらなるゲノム全体でのSNP分析は、いずれのBCについても、推定される1.23倍の増加したリスクを与えるSNP rs3803662(T−rs3803662;rs3803662対立遺伝子T)のT対立遺伝子を同定した(表16)。当該結果は、第2の、別個のアイスランド人の乳癌患者594人および対照1433人のコホートで裏付けられた。これらの2つのアイスランド人の試料から得た総合データによれば、個体間の関連性を補正すると、相対的なリスク推定値が1.23であり、P値が2.8×10−7であった。このことは、推定される集団に起因するリスクが10.1%であることと一致する(表16)。rs3803662との関連の検出に使用され得る代替のマーカーを、表19に記載した。 上記記載の、スウェーデン人のコホートおよびスペイン人のコホートにおけるこの発見の反復解析(Replication analysis)および、オランダ、ナイミーヘンの558人の乳癌患者および1384人の対照の分析を行った。表16で示されるように、rs3803662対立遺伝子Tについて、有意に増加したリスクがこれらの反復コホート3つ全てにおいて認められた。これら3つのアイスランド人でない反復コホートの複合解析は、全体的な相対的なリスク推定値が1.35、かつP値が5.1×10−12であることを明らかにした。アイスランド人のコホートおよび反復コホートの共同解析は、複合した相対的なリスク推定値が1.28であり、P値が2.7×10−17であることを示した。これは、検討したSNPの数について補正した場合、ゲノム全体での有意性の閾値よりもかなり低い。対応する全体的な集団に起因するリスク推定値は、13.4%であった(表16)。 rs13387042対立遺伝子Aとrs3803662対立遺伝子Tとの関連、ならびにエストロゲン受容体(ER)およびプロゲステロン受容体(PR)の状態を検討した。rs13387042対立遺伝子Aおよびrs3803662対立遺伝子Tに関連する有意な乳癌のリスクは、ER陽性の腫瘍と診断された患者に明瞭に限定され、ER陽性の腫瘍およびER陰性の腫瘍についてのOR間の相違もまた有意である(表25)。同様に、PR陽性の腫瘍と診断された患者の間で優先的に乳癌のリスクについての傾向がある。 (STEAP3/TSAP6の生物学) 温度感受性のp53遺伝子を含む、STEAP3/TSAP6のcDNAが、マウス骨髄LTR6株化細胞におけるp53の活性化によって引き起こされた一連のmRNAsの1つから最初に単離された(Amsonら、(1996)、Proc Natl Acad Sci USA、93、3953〜7)。当該マウスの形態は、腫瘍抑制活性化経路6(TSAP6)と名付けられた。当該遺伝子は、LTR6細胞の活性化p53によって誘導できることが後に確かめられた(Passerら、(2003)、Proc Natl Acad Sci USA、100、2284〜9)。ラットにおいては、pHydeと名付けられ、異なる転移性の傾向を有する2つの株化細胞において発現が異なる遺伝子の検出のために計画された実験の間に前立腺癌株化細胞から単離された(RinaldyおよびSteiner、(1999)、DNA Cell Biol、18、829〜36)。pHyde cDNAは、ラットおよびヒトの前立腺株化細胞および異種移植片においてアポトーシスを誘導することが示された(Rinaldyら、(2000)、Gan To Kagaku Ryoho、27 Suppl 2、215〜22;Steinerら、(2000)、Cancer Res、60、4419〜25)。pHydeによるアポトーシス誘導は、カスパーゼ−3経路を介して作用することが後に示された(Zhangら、(2001)、Oncogene、20、5982〜90)。STEAP3/TSAP6の下方制御もまた、肝細胞癌の進行と関連がある(Coulouarnら、(2005)、J Hepatol、42、860〜9)。 Passerらは、ヒトにおけるSTEAP3/TSAP6のcDNAを単離し、mRNAが乳癌株化細胞MCF7におけるp53の活性化によって誘導できることを示した(Passerら、(2003)、Proc Natl Acad Sci USA、100、2284〜9)。p53による誘導は、転写レベルであると思われ、ヌクレオチド478とヌクレオチド357(配列は受入番号AY214461によって定義される)との間のSTEAP3/TSAP6プロモーターにおける保存されたp53反応因子によって媒介されている(Passerら、(2003)、Proc Natl Acad Sci USA、100、2284〜9)。タンパク質は、488アミノ酸、50〜55kDa、6回膜貫通のタンパク質として同定された(Passerら、(2003)、Proc Natl Acad Sci USA、100、2284〜9)。STEAP3/TSAP6上で標的となったアンチセンスRNAは、p53依存性アポトーシスを阻害し、さらに、STEAP3/TSAP6がアポトーシスのエフェクターとして作用するという見解を支持する(Passerら、(2003)、Proc Natl Acad Sci USA、100、2284〜9)。STEAP3/TSAP6は、細胞周期制御およびアポトーシスの関連する2つのタンパク質(NixおよびMyt1)と物理的に相互作用する(Passerら、(2003)、Proc Natl Acad Sci USA、100、2284〜9)。Nix(BNIP3Lとしても知られる)は、ミトコンドリアの、Bcl2に関連する、アポトーシス促進性タンパク質である。NixおよびSTEAP3/TSAP6は、互いのアポトーシス促進性効果を強める(Passerら、(2003)、Proc Natl Acad Sci USA、100、2284〜9)。Myt1は、細胞周期を、G2/Mチェックポイントで、リン酸化、その結果のサイクリン依存キナーゼp34cdc2の阻害によってブロックするように作用する二重の特異性(Ser/ThrおよびTyr)キナーゼである。Myt1とTSAP6との間の相互作用は、Myt1をその低リン酸化活性状態に維持することで、p34cdc2のMyt1依存性リン酸化を促進する(Passerら、(2003)、Proc Natl Acad Sci USA、100、2284〜9)。 いくらか逆説的に、STEAP3/TSAP6は、マウスのnm1054変異染色(mutant stain)の、小球性、低色素の貧血症に関与する遺伝子として近年同定された(Ohgamiら、(2005)、Nat Genet、37、1264〜9)。細胞外の鉄は、トランスフェリン(Tf)によって、腸、網内系および肝臓から、体内の全ての増殖細胞に運ばれる。Tf結合の鉄は、トランスフェリン−受容体(TfR1)を介したエンドサイトーシスによって細胞内に入る。鉄は、酸性化によって、エンドソームでTfから放出され、その後二価金属輸送体Dmt1によって、細胞質に運ばれる。TfおよびTfR1は、次いで、細胞外環境へ再利用される。環境的な、およびTf結合の鉄は、主に酸化Fe3+(三価鉄)状態で存在し、細胞質膜を通って伝達され得る前にFe2+(二価鉄)状態に還元されなければならない。その貧血症との関連を通じて、STEAP3/TSAP6は、赤血球系(erythroid lineage)細胞において当該反応を起こす、主要な三価鉄還元酵素として同定され、鉄吸収において非常に重要であることを示唆している(Ohgamiら、(2005)、Nat Genet、37、1264〜9)。STEAP3/TSAP6はまた、銅リダクターゼ(cupric reductase)活性を有し、これらのメタロリダクターゼ(metalloreductase)活性は、STEAPファミリーの他のメンバーであるSTEAP2およびSTEAP4によって共有される(Ohgamiら、(2006)、Blood、108、1388〜94)。 STEAP3/TSAP6はまた、非古典的な経路を経由したタンパク質の分泌の刺激に関連することが示された。古典的なタンパク質の分泌は、分泌することになっているタンパク質上のNH2末端のシグナル配列によって媒介されている。シグナル配列は、タンパク質を、小胞体/ゴルジ経路、次いで、分泌小胞の細胞膜の輸送に向かわせる。分泌小胞と細胞膜との融合によって、分泌されたタンパク質は細胞外空間内へ放出される。タンパク質分泌はまた、細胞内小胞が、いわゆる多胞体構造を形成するエンドソームの管腔内へ、芽を出すことができる非古典的な経路によっても行われ得る。多胞体構造と細胞膜との融合は、これらの膜被包性の小胞を、細胞外空間に放出させる。これらの小胞は、エキソソームとして知られる。STEAP3/TSAP6は、p53依存様式でエキソソーム生成を刺激することが示された(Amzallagら、(2004)、J Biol Chem、279、46104〜12;Yuら、(2006)、Cancer Res、66、4795〜801)。エキソソームは、重要な抗発癌反応に関連しているかも知れない。p53−STEAP3/TSAP6経路の刺激に反応して、エキソソームに分泌されるタンパク質の1つは、乳腺の腫瘍細胞における血管新生、腫瘍浸潤および転移に対する阻害効果が証明されている、マスピン(乳腺のセリンプロテアーゼ阻害剤)である(Shengら、(1996)、Proc Natl Acad Sci USA、93、11669〜74;Shiら、(2001)、癌 Res、61、6945〜51;Zhangら、(1997)、Mol Med、3、49〜59;Zouら、(1994)、Science、263、526〜9)。エキソソームは、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質(TCTP)/ヒスタミン遊離因子および腫瘍特異的な抗原(Her2/NeuおよびMart1など)などの炎症促進性因子を含み得る(Amzallagら、(2004)、J Biol Chem、279、46104〜12;Andreら、(2002)、Lancet、360、295〜305)。STEAP3/TSAP6を介したエンドソーム形成は、いわゆる「傍観者」効果に関連するかも知れず、p53の発現を誘導された細胞は、細胞周期停止、アポトーシス促進性反応および隣接する細胞の死を生じ得ることが示唆されている(Yuら、(2006)、Cancer Res、66、4795〜801)。 STEAP3/TSAP6についての可能性のある遺伝的変異と癌リスクとの間の関連性については、ほぼ何も知られていない。前立腺癌株化細胞における変異、異種移植片および腫瘍試料の選別により、計4の株化細胞、8の異種移植片および56の腫瘍試料(計68試料)からの異種移植片において、2つのミスセンス変異が発見された(Ala184ThrおよびIle305Thr)。本発明者らは、STEAP3/TSAP6は、前立腺癌の古典的な腫瘍抑制遺伝子ではないと結論付けている。他の型の癌におけるSTEAP3/TSAP6遺伝的変異の研究は、本発明者らが知る限りでは、報告されていない。 (乳癌の改善された治療の開発におけるSTEAP3/TSAP6経路の利用の可能性) 本発明者らの知見では、STEAP3/TSAP6LDブロックにおける遺伝的変異は、当該遺伝子を、乳癌の発生の共通因子として関連付ける。従って、STEAP3/TSAP6を標的とする治療では、その相同体、およびSTEAP3/TSAP6経路の他の構成要素は、乳癌の治療または予防の候補として考えられ得る。このような標的は、STEAP3/TSAP6それ自体(OMIM# 609671);相同体STEAP1(OMIM# 604415)、STEAP2/TIARP/STAMP1(OMIM# 605094)、およびSTEAP4(NM_024636);相互作用タンパク質Nix/BNIP3L(OMIM# 605368)、Myt1(OMIM# 602474)、TCTP/ヒスタミン遊離因子(OMIM# 600763);経路タンパク質p34cdc2(OMIM# 116940)、サイクリンB1(OMIM# 123836)、HER2/Neu(OMIM# 164870)、マスピン(OMIM# 154790);および未同定または関連するSTEP3/TSAP6経路の他のメンバーを含む。治療は、STEAP3/TSAP6、その相同体または経路の構成要素の小分子作動薬もしくは拮抗薬;STEAP3/TSAP6、その相同体または経路の構成要素の作動薬もしくは拮抗薬としての大分子薬剤;または、遺伝子療法もしくは免疫療法の手順における導入遺伝子としての、STEAP3/TSAP6、相同体もしくは経路の構成要素の使用を含み得る。STEAP3/TSAP6、その相同体もしくは経路の構成要素、および/またはそれらの活性に影響を及ぼす分子はまた、「傍観者効果」の増強を通して、細胞分裂阻害または細胞傷害性治療(化学療法、放射線療法、遺伝子療法または免疫療法)のアジュバントとして開発され得る。 (マーカーおよびハプロタイプの評価) 集団内のゲノム配列は、個体を比較すると同一ではない。ある程度、ゲノムは、ゲノム中の多くの部位で、個体間の配列変異性を呈する。このような配列の変異は、通常、多型性と呼ばれ、各ゲノム内に多くのこのような部位がある。例えば、ヒトゲノムは、平均500塩基対ごとに生じる配列多様性を呈する。最も一般的な配列変異は、ゲノム中の単一の塩基位置の塩基変異からなり、このような配列変異、または多型性は、通常、一塩基多型(「SNP」)と呼ばれる。これらのSNPは、単一の突然変異事象で生じると考えられ、従って、通常、各SNP部位において2つの可能性のある対立遺伝子が可能性を有する(本来の対立遺伝子および変異した対立遺伝子)。自然の遺伝的浮動、および、おそらくまた、選択圧によって、最初の変異は、いずれの所定の集団におけるその対立遺伝子の特定の頻度によって特徴付けられる多型性をもたらす。配列変異の多くの他の型は、ヒトゲノムにおいて見出され、マイクロサテライト、挿入、欠損、反転および複製数の変異を含む。多型のマイクロサテライトは、複数の小塩基反復(CA反復、相補鎖上のTGなど)を、反復長数が一般的な集団において異なる特定の部位に有する。一般的な表現では、多形性部位に関する配列の各バージョンは、多形性部位の特異的な対立遺伝子を表す。全ての配列変異は、問題になっている配列変異を特徴付ける特異的な多形性部位に生じる、多型性と呼ばれ得る。一般的な用語では、多型性は、あらゆる特定の対立遺伝子を含み得る。従って、本発明の1つの実施態様では、多型性は、いずれの所定の集団における2つ以上の対立遺伝子の存在によって特徴付けられる。もう1つの実施態様では、多型性は、3つ以上の対立遺伝子の存在によって特徴付けられる。他の実施態様では、多型性は、4つ以上の対立遺伝子、5つ以上の対立遺伝子、6つ以上の対立遺伝子、7つ以上の対立遺伝子、9つ以上の対立遺伝子、または10以上の対立遺伝子によって特徴付けられる。全てのこのような多型性は、本発明の方法およびキットに使用され得、従って、本発明の範囲内である。 いくつかの例では、参照対立遺伝子を選択することなく、多形性部位の異なる対立遺伝子が参照される。あるいは、参照配列は、特定の多形性部位を意味し得る。参照対立遺伝子は、「野生型」の対立遺伝子と呼ばれることもあり、それは、通常第1に配列決定された対立遺伝子、または「非罹患した」個体(例えば、形質または疾病の表現型を示さない個体)からの対立遺伝子のいずれかとして選択される。 本願明細書で述べられたSNPマーカーの対立遺伝子は、使用されたSNPアッセイにおける多形性部位に存在するため、塩基A、C、GまたはTを意味する。本願明細書で使用されるSNPについての対立遺伝子コードは、下記の通りである;1=A、2=C、3=G、4=T。しかし、当業者は、逆のDNA鎖のアッセイまたは解読によって、相補的な対立遺伝子が各症例において判定され得ることを理解するだろう。従って、A/G多型性によって特徴付けられる多形性部位(多型マーカー)について、使用されるアッセイは、可能性のある2つの塩基(すなわちAおよびG)のうち1つまたは両方の存在を特異的に検出するように設計されてもよい。あるいは、鋳型DNA上の逆ストランドを検出するように設計されたアッセイを設計することで、相補的塩基TおよびCの存在が判定され得る。(例えば、相対的なリスクに関して)量的に、同一の結果が、いずれかのDNA鎖(+鎖または−鎖)の判定から得られうる。 典型的には、参照配列は、特定の配列を意味する。当該参照と異なる対立遺伝子は、「変異」対立遺伝子と呼ばれることもある。変異配列は、本願明細書で使用されるように、参照配列と異なる配列を意味するが、その他の点では実質的に同様である。本願明細書記載の多型の遺伝的マーカーの対立遺伝子は変異である。さらなる変異は、ポリペプチドに影響する変化を含み得る。配列の相違は、参照ヌクレオチド配列と比較した場合、以下を含み得る;フレームシフトをもたらす、1つのヌクレオチドの挿入もしくは欠損、または1より多いヌクレオチドの挿入もしくは欠損;コードされたアミノ酸中の変化をもたらす、少なくとも1つのヌクレオチドの変化;中途終止コドンの産生をもたらす、少なくとも1つのヌクレオチドの変化;ヌクレオチドによってコードされた1または複数のアミノ酸の欠損をもたらす、いくつかのヌクレオチドの欠損;読み枠のコード配列の中断をもたらす、不等組み換えまたは遺伝子変換などによる1またはいくつかのヌクレオチドの挿入;全てまたは一部の配列の重複;転座;またはヌクレオチド配列の再編成。このような配列変化は、核酸によってコードされたポリペプチドを変化させ得る。例えば、核酸配列の変化がフレームシフトを引き起こすと、フレームシフトはコードされたアミノ酸の変化をもたらし得、および/または、切断されたポリペプチドの産生をもたらす、中途終止コドンの産生をもたらし得る。あるいは、疾病または形質に関連する多型性は、1または複数のヌクレオチドにおける同義の変化(すなわち、アミノ酸配列の変化をもたらさない変化)であり得る。このような多型性は、例えば、スプライス部位を変化させ得、mRNAの安定性または輸送に影響し得、またはそうでなければコードされたポリペプチドの転写または翻訳に影響し得る。このような多型性はまた、構造の変化(増幅または欠損など)が体細胞レベルで生じる可能性を増加させるようにDNAを変化させ得る。参照ヌクレオチド配列にコードされたポリペプチドは、特定の参照アミノ酸配列を有する「参照」ポリペプチドであり、変異対立遺伝子によってコードされたポリペプチドは、変異アミノ酸配列を有する「変異」ポリペプチドと呼ばれる。 ハプロタイプは、当該分節に沿って並んだ対立遺伝子の特定の組み合わせによって特徴付けられるDNAの分節を意味する。2倍体の生物(ヒトなど)では、ハプロタイプは、各多型マーカーまたは遺伝子座の対の対立遺伝子のうちの1のメンバーを含む。ある実施態様では、ハプロタイプは、2つ以上の対立遺伝子、3つ以上の対立遺伝子、4つ以上の対立遺伝子、または5つ以上の対立遺伝子(各対立遺伝子は分節に沿った特異的な多型マーカーに対応する)を含み得る。ハプロタイプは、多形性部位に特定の対立遺伝子を有する、様々な多型マーカーの組み合わせ(例えば、SNPとマイクロサテライト)を含み得る。従って、ハプロタイプは、様々な遺伝的マーカーの対立遺伝子の組み合わせを含む。 特異的な多型マーカーおよび/またはハプロタイプの検出は、多形性部位の配列の検出のための、当該技術分野で公知の方法によって達成され得る。例えば、SNPおよび/またはマイクロサテライトマーカーの存在についての遺伝子型の同定の標準的な技法(PCR、LCR、ネステッドPCRおよび核酸増幅のための他の技法を用いた、蛍光に基づいた技法(Chen X.ら、Genome Res.9(5):492〜98(1999))など)が使用され得る。SNP遺伝子型の同定について利用可能な特定の方法論は、TaqMan遺伝子型の同定アッセイおよびSNPlex プラットフォーム(アプライドバイオシステムズ社(Applied Biosystems))、質量分析(例えば、 MassARRAYシステム、シーケノム社(Sequenom))、ミニ配列分析法、リアルタイムPCR、Bio−Plexシステム(バイオラッド社(BioRad))、CEQおよびSNPstreamシステム(ベックマン社(Beckman))、分子反転プローブアレイ技術(例えば、 Affymetrix遺伝子チップ)、およびビーズアレイ技術(例えば、イルミナ社のGoldenGateアッセイおよびInfiniumアッセイ)を含むが、これらに限定されない。当業者に利用可能なこれらのまたは他の方法によって、多型マーカーの1または複数の対立遺伝子(マイクロサテライト、SNPまたは他のタイプの多型マーカーを含む)を同定し得る。 本願明細書記載のある方法では、検討中のいずれの特定の疾病または形質(例えば、乳癌)に対して増加した感受性(すなわち、増加したリスク)を有する個体は、疾病または形質について増加した感受性を与える1または複数の多型マーカーまたはハプロタイプの少なくとも1つの特異的な対立遺伝子が同定された(すなわち、リスクのあるマーカー対立遺伝子またはハプロタイプ)個体である。1つの態様では、リスクのあるマーカーまたはハプロタイプは、乳癌の有意に増加したリスク(または感受性)を与えるものである。1つの実施態様では、マーカーまたはハプロタイプに関連する有意性は、相対的なリスク(RR)によって判定される。もう1つの実施態様では、マーカーまたはハプロタイプに関連する有意性は、オッズ比(OR)によって判定される。さらなる実施態様では、有意性は、割合(%)によって判定される。1つの実施態様では、有意に増加したリスクは、少なくとも1.2のリスク(相対的なリスクおよび/またはオッズ比)(少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2.0、少なくとも2.5、少なくとも3.0、少なくとも4.0、および少なくとも5.0を含むがこれらに限定されない)として測定される。特定の実施態様では、少なくとも1.2のリスク(相対的なリスクおよび/またはオッズ比)が有意である。もう1つの特定の実施態様では、少なくとも1.3のリスクが有意である。さらにもう1つの実施態様では、少なくとも1.4のリスクが有意である。さらなる実施態様では、少なくとも約1.5の相対的なリスクが有意である。さらにもう1つの実施態様では、リスクの有意な増加は、少なくとも約1.7が有意である。しかし、他のカットオフもまた考えられ、例えば、少なくとも1.15、1.25、1.35、など、およびこのようなカットオフもまた本発明の範囲内である。他の実施態様では、リスクの有意な増加は、少なくとも約20%(約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、150%、200%、300%、および500%を含むがこれらに限定されない)である。1つの特定の実施態様では、リスクの有意な増加は、少なくとも20%である。他の実施態様では、リスクの有意な増加は、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%および少なくとも100%である。本発明を特徴付ける、当業者に適しているとみなされる他のカットオフまたは範囲も、しかしまた、考えられ、それらもまた本発明の範囲内である。ある実施態様では、リスクの有意な増加は、p値が0.05未満、0.01未満、0.001未満、0.0001未満、0.00001未満、0.000001未満、0.0000001未満、0.00000001未満、または0.000000001未満などの、p値によって特徴付けられる。 本発明のリスクのある多型マーカーまたはハプロタイプは、少なくとも1つのマーカーまたはハプロタイプの少なくとも1つの対立遺伝子が、比較群(対照)におけるその存在の頻度と比較して、乳癌のリスクのある(罹患した)個体においてより頻繁に存在するものであり、当該マーカーまたはハプロタイプの存在が疾病または形質に対する感受性を示す。対照群は、1つの実施態様では、集団の試料、すなわち一般的な集団から得た確率標本であってもよい。もう1つの実施態様では、対照群は、疾病フリーの個体群(例えば、乳癌と診断されていない個体)によって表される。このような疾病フリーの対照は、1つの実施態様では、1または複数の特定の疾病に関連する症候の不存在によって特徴付けられてもよい。もう1つの実施態様では、疾病フリーの対照群は、1または複数の疾病特異的な危険因子の不存在によって特徴付けられる。このような危険因子は、1つの実施態様では、少なくとも1つの環境的なリスク因子である。代表的な環境的因子は、特定の疾病または形質について発生のリスクの発生のリスクに影響することが知られる、または影響すると考えられる天然物、鉱物または他の化学薬品である。他の環境的な危険因子は、生活スタイルに関連する危険因子である(飲食の習慣、主な居住環境の地理的な場所、および職業性危険因子を含むが、これらに限定されない)。もう1つの実施態様では、危険因子は、少なくとも1つの遺伝的危険率因子である。 相関についての簡易な試験の例は、2×2の表のフィッシャーの正確確率検定であり得る。所定の染色体コホートについて、マーカーまたはハプロタイプの両方を含む染色体数、マーカーまたはハプロタイプのうち片方のみを含む染色体数、およびマーカーまたはハプロタイプのどちらも含まない染色体数から、2×2の表が作成される。当業者に知られた他の関連の統計検定もまた考えられ、これらもまた本発明の範囲内である。 本発明の他の実施態様では、疾病または形質について減少した感受性(すなわち、減少したリスク)を有する個体は、疾病または形質について減少した感受性を与える少なくとも1つの特異的な対立遺伝子1または複数の多型マーカーまたはハプロタイプが同定された個体である。減少したリスクを与えるマーカー対立遺伝子および/またはハプロタイプはまた、保護的であると言える。1つの態様では、保護マーカーまたはハプロタイプは、疾病または形質が有意に減少したリスク(または感受性)を与えるものである。1つの実施態様では、有意に減少したリスクは、0.9未満の相対的なリスク(0.9未満、0.8未満、0.7未満、0.6未満、0.5未満、0.4未満、0.3未満、0.2未満および0.1未満を含むが、これらに限定されない)として判定される。1つの特定の実施態様では、有意に減少したリスクは0.7未満である。もう1つの実施態様では、有意に減少したリスクは、0.5未満である。さらにもう1つの実施態様では、有意に減少したリスクは、0.3未満である。もう1つの実施態様では、リスク(または感受性)の減少は、少なくとも20%(少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%および少なくとも98%を含むが、これらに限定されない)である。1つの特定の実施態様では、リスクの有意な減少は、少なくとも約30%である。もう1つの実施態様では、リスクの有意な減少は、少なくとも約50%である。もう1つの実施態様では、リスクの減少は、少なくとも約70%である。本発明を特徴付ける、当業者によって適しているとみなされる他のカットオフまたは範囲もしかしまた、考えられ、それらもまた本発明の範囲内である。 当業者は、2つの対立遺伝子を有するマーカーが検討された集団に存在し、対照と比較して、1つの対立遺伝子が当該集団において形質または疾病について個体群中の増加した頻度が見出されると、もう1つのマーカーの対立遺伝子は、対照と比較して、形質または疾病について個体群中の減少した頻度で見出されることが理解されるだろう。このような場合は、マーカーの1つの対立遺伝子(形質または疾病について個体中の増加した頻度で見出されたもの)は、リスクのある対立遺伝子であり、一方、もう1つの対立遺伝子は保護的対立遺伝子となるだろう。 疾病または形質(例えば、乳癌)に関連する遺伝的変異は、所定の遺伝子型についての疾病のリスクを予測するために、単独で使用され得る。2対立形質のマーカー(SNPなど)については、可能性のある遺伝子型が3つある(リスク変異のホモ接合体、ヘテロ接合体、およびリスク変異の非保有者)。複数の座位の変異と関連するリスクは、全体的なリスク推定値に使用され得る。複数のSNP変異については、k個の可能性のある遺伝子型(k=3n´2p)がある。nは、常染色体の座位数であり、pは、ゴノソーマルな(gonosomal)(性染色体の)座位数である。全体的なリスクアセスメントの算出は、通常、異なる遺伝的変異の相対的なリスクが掛かる、すなわち、特定の遺伝子型の組み合わせと関連する全体的なリスク(例えば、RRまたはOR)が、各遺伝子座の遺伝子型のリスク値の積であることを想定している。性別および民族性をマッチさせた参照集団と比較して、示されたリスクが個人または個人の特異的な遺伝子型の相対的なリスクである場合は、複合リスクは遺伝子座特異的なリスク値の積であり、また、これは当該集団と比較した全体的なリスク推定値と一致する。個人のリスクが、リスク対立遺伝子の非保有者との比較に基づく場合、複合リスクは、全ての座位の遺伝子型の所定の組み合わせを有する個人を、これらの座位のいずれのリスク変異も有さない個体群と比較した推定値と一致する。いずれのリスク変異も有さない非保有者群は、最も低いリスク推定値を有し、自身(すなわち、非保有者)と比較した複合リスクが1.0であるが、集団と比較した全体的なリスクが1.0未満である。非保有者群は潜在的に、特に多数の座位について、非常に小さいものであり得ることに注意すべきであり、この場合、その関連性は同様に小さい。 複合モデルは、通常、複合形質のデータにまずまず適合する簡潔なモデルである。多重度からの偏差は、一般的な疾病の一般的な変異に関連してまれに記載され、報告されたとしても、座位間の統計的相互作用を示すことができるように、非常に大きなサンプルサイズが通常要求されることから、通常、示唆的であるのみである。 例えば、前立腺癌に関連すると記載されている計8の変異(Gudmundsson J.ら、Nat Genet 39:631〜7(2007)、Gudmundsson J.ら、Nat Genet 39:977〜83(2007);Yeager M.ら、Nat Genet 39:645〜49(2007)、Amundadottir L.ら、Nat Genet 38:652〜8(2006);Haiman C.A.ら、Nat Genet 39:638〜44(2007))について検討したい。これらの座位のうち7つは、常染色体上にあり、残る遺伝子座はX染色体上にある。理論上の遺伝子型の組み合わせの総数は、37´21=4374である。これらの遺伝子型のクラスのいくつかは非常にまれであるが、依然として可能性があり、全体的なリスクアセスメントとみなされるべきである。複数の遺伝的変異の場合に適用される複合モデルはまた、遺伝的変異が「環境的な」因子と明瞭に相関していないとすると、非遺伝的危険率変異と合わせることが妥当であろうと思われる。換言すれば、遺伝的および非遺伝的リスクのある変異は、非遺伝的および遺伝的危険率因子が相互作用していないとすると、複合リスクを推定するために複合モデル下で評価し得る。 同様の定量的アプローチを使用し、多数の乳癌に関連する変異に関連する複合または全体的なリスクを評価してもよい。そのような1つの実施態様では、マーカーrs4848543、rs13387042およびrs3803662、またはこれらのマーカーと代替の連鎖不平衡のマーカーは評価され、遺伝子型の組み合わせ(33=27の可能性のある組み合わせ)のリスクが算出される。もう1つの実施態様では、マーカー(例えば、マーカーrs13387042およびrs3803662)のうちの2つの遺伝子型は、全体的なリスクを与えるために併用される。他の実施態様では、乳癌にかかりやすいことが知られるさらなるマーカー(例えば、浸透度の高い危険因子(BRCA1、BRCA2、BARD1など))は、1または複数の本願明細書記載の危険因子と併用される。 (連鎖不平衡) 各減数分裂事象の間に各染色体対に平均1度生じる、組み換えの自然現象は、自然が配列変異(および、結果生じる生物学的機能)をもたらす1つの方法を表す。組み換えはゲノム中でランダムには生じないことが発見された。ある程度、組み換え率の頻度に大きな変異があり、高い組み換え頻度の小領域(組み換えホットスポットとも呼ばれる)、および、低い組み換え頻度のより大きな領域(通常、連鎖不平衡(LD)ブロックと呼ばれる)をもたらす(Myers S.ら、Biochem Soc Trans 34:526〜530(2006);Jeffreys A.J.ら、Nature Genet 29:217〜222(2001);May C.A.ら、Nature Genet 31:272〜275(2002))。 連鎖不平衡(LD)は、2つの遺伝因子の非ランダム分類を意味する。例えば、特定の遺伝因子(例えば、多型マーカーの「対立遺伝子」)が0.50(50%)の頻度で集団に生じ、別のものが0.50(50%)の頻度で生じると、当該因子のランダム分布を仮定すると、個人が両因子を有する予測される発生率は0.25(25%)である。しかし、2つの因子が0.25より高い頻度でともに生じることが発見されると、当該因子は、それらの別個の対立遺伝子の発生頻度(例えば、対立遺伝子またはハプロタイプの頻度)が予測することよりも高い割合でともに遺伝する傾向にあるため、連鎖不平衡であると言える。大まかに言うと、LDは、一般的に、2つの因子間の組み換え事象の頻度に関連する。対立遺伝子またはハプロタイプ頻度は、集団内の個体の遺伝子型の同定および集団の各対立遺伝子またはハプロタイプの発生率の測定によって、集団について判定し得る。二倍体の集団(例えば、ヒト集団)については、個体は、典型的に各遺伝因子について2つの対立遺伝子を有するだろう(例えば、マーカー、ハプロタイプまたは遺伝子)。 多くの異なる基準が、連鎖不平衡(LD)の強さの評価について提案されてきた。大部分は、対の2対立形質の部位間の関連の強さをとらえる。2つの重要な対のLDの基準は、r2(Δ2と表示されることもある)および|D’|である。両基準とも、0(不平衡がない)から1(「完全な」不平衡)の範囲であるが、それらの解釈は少し異なる。|D’|は、2つまたは3つの可能性のあるハプロタイプのみが存在する場合は1に等しく、全ての4つの可能性のあるハプロタイプが存在する場合は<1である、という方法で定義される。従って、<1の|D’|値は、背景の組み換えが、2つの部位間(再発性変異もまた、|D’|を<1にし得るが、一塩基多型(SNP)については、これは通常組み換えよりも可能性が少ないとみなされる)で起きたかも知れないことを示す。基準r2は、2つの部位間の統計的相関を表し、2つのハプロタイプのみが存在する場合は、値は1である。 r2基準は、r2と、感受性座位とSNPとの間の関連を検出するのに必要な試料サイズとの間に単純な逆の関連性があるため、関連マッピングについてのほぼ間違いなく最も関連する基準である。これらの基準は、対の部位について定義されるが、いくつかの適用については、どの位強いLDが多くの多形性部位を含む全体の領域をわたっているかについての判定が望ましいだろう(例えば、LDの強さが座位間もしくは集団にわたって有意に異なっているかについての試験、または特定のモデル下で予測されるよりも領域に多かれ少なかれLDがあるかについての試験)。領域に渡るLDの測定は、直接ではないが、1つのアプローチは、集団の遺伝的特徴において得られる、基準rを使用することである。大まかに言うと、rは、データに見られるLDを生じるため、特定の集団モデル下で、どの位の量の組み換えが必要とされるかを判定する。この型の方法は、また、潜在的に、LDデータが組み換えホットスポットの存在についてのエビデンスを提供するかどうかについての決定の問題の、統計的に厳密なアプローチを提供し得る。本願明細書記載の方法において、有意なr2値は、少なくとも0.1(少なくとも0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99または1.0など)であり得る。1つの好ましい実施態様では、有意なr2値は、少なくとも0.2であり得る。あるいは、連鎖不平衡は、本願明細書記載のように、少なくとも0.2の|D’|値(0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.85、0.9、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99など)によって特徴付けられる連鎖不平衡を意味する。従って、連鎖不平衡は、異なるマーカーの対立遺伝子の間の相関を表す。連鎖不平衡は、相関係数または|D’|値(r2値は1.0以下、および|D’|値は1.0以下)によって判定される。ある実施態様では、連鎖不平衡は、r2値および|D’|規準の両方の面から定義される。そのような1つの実施態様では、有意な連鎖不平衡は、r2>0.1および/または|D’|>0.8と定義される。もう1つの実施態様では、有意な連鎖不平衡は、r2>0.2および/または|D’|>0.8と定義される。もう1つの実施態様では、有意な連鎖不平衡は、r2>0.2および/または|D’|>0.9と定義される。連鎖不平衡を判定するr2値および|D’|の他の組み合わせおよび順列もまた考えられ、これらもまた、本発明の範囲内である。連鎖不平衡は、本願明細書で定義されたように、単一のヒト集団において判定し得、または1より多いヒト集団からの個体を含む試料の収集物において判定し得る。本発明の1つの実施態様では、LDは、(http://www.hapmap.org)で定義されたように、1または複数のHapMap集団(コーカサス人、アフリカ人、日本人、中国人)から得られた試料で判定される。そのような1つの実施態様では、LDは、HapMap試料のCEU集団で判定される。もう1つの実施態様では、LDは、YRI集団において判定される。さらに別の実施態様では、LDは、アイスランド人の集団から得た試料で判定される。 ゲノム中の全ての多型性が、集団レベルで同一の場合、それらのことごとくが、関連研究において検討されることが必要だろう。しかし、多型間の連鎖不平衡により、密接に連鎖した多型は強く関連し、有意な関連を観察するために関連研究において検討される必要がある多型の数は減る。LDの別の結果は、多くの多型が、これらの多型が強く関連する事実による関連シグナルを与えてもよい、ということである。 ゲノムLDマップは、ゲノムにわたって作成されてきており、このようなLDマップは、疾病遺伝子のマッピングのためのフレームワークとして役立つと提案されてきている(Risch N.&Merkiangas K、Science 273:1516〜1517(1996);Maniatis N.ら、Proc Natl Acad Sci USA 99:2228〜2233(2002);Reich DEら、Nature 411:199〜204(2001))。 今では、ヒトゲノムの多くの部分が、少数の共通ハプロタイプを含む一連の別々のハプロタイプブロックに切断され得ることが確立されている。これらのブロックについては、連鎖不平衡データは、組み換えを示すエビデンスをわずかに提供するにすぎない(例えば、Wall.、J.D.およびPritchard、J.K.、Nature Reviews Genetics 4:587〜597(2003);Daly M.ら、Nature Genet.29:229〜232(2001);Gabriel S.B.ら、Science 296:2225〜2229(2002);Patil N.ら、Science 294:1719〜1723(2001);Dawson E.ら、Nature 418:544〜548(2002);Phillips M.S.ら、Nature Genet.33:382〜387(2003)を参照)。 これらのハプロタイプブロックを定義する2つの主な方法がある。ブロックは、限られたハプロタイプの多様性を有するDNAの領域(例えば、Daly M.ら、Nature Genet.29:229〜232(2001);Patil N.ら、Science 294:1719〜1723(2001);Dawson E.ら、Nature 418:544〜548(2002);Zhang K.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:7335〜7339(2002)参照)、または、連鎖不平衡を使用して同定された、広範な背景の組み換えを有する転位ゾーン間の領域 (例えば、Gabriel S.B.ら、Science 296:2225〜2229(2002);Phillips M.S.ら、Nature Genet.33:382〜387(2003);Wang N.ら、Am.J.Hum.Genet.71:1227〜1234(2002);Stumpf M.P.およびGoldstein D.B.、Curr.Biol.13:1〜8(2003)参照)として定義され得る。つい最近では、ヒトゲノムにわたる組み換え率および対応するホットスポットの、詳細なスケールのマップが、作成されてきている(Myers S.ら、Science 310:321〜32324(2005);Myers S.ら、Biochem Soc Trans 34:526530(2006))。当該マップは、組み換え率が、ホットスポット中で10〜60cM/Mbほど高く、一方、介在性領域では0に近く、従って、これは限られたハプロタイプの多様性および高いLDの領域を表す、ゲノムにわたる組み換えにおける莫大な変異を明らかにした。当該マップは、従って、組み換えホットスポットに隣接した領域として、ハプロタイプブロック/LDブロックを定義することに使用され得る。本願明細書で使用されるように、用語「ハプロタイプブロック」または「LDブロック」は、上述の特性、またはこのような領域を定義するために当業者によって使用される他の別の方法のいずれかによって定義されるブロックを含む。 ハプロタイプブロックを同定するいくつかの代表的な方法は、例えば、米国特許出願公開第20030099964号明細書、米国特許出願公開第20030170665号明細書、米国特許出願公開第20040023237号明細書および米国特許出願公開第20040146870号明細書に示される。ハプロタイプブロックは、単一のマーカーまたは多数のマーカーを含むハプロタイプを使用して、表現型とハプロタイプの状態との間の関連をマッピングするために使用され得る。主なハプロタイプは、各ハプロタイプブロックで同定され得、次いで、「タグした(tagging)」SNPまたはマーカーのセット(ハプロタイプ間で区別される必要があるSNPまたはマーカーの最小のセット)が、次いで、同定され得る。これらのタグしたSNPまたはマーカーは、次いで、表現型とハプロタイプとの間の関連を同定するため、個体群から得た試料の評価に使用され得る。所望の場合は、隣接するハプロタイプブロックは、ハプロタイプブロック間に連鎖不平衡も存在するかも知れないため、同時に評価することができる。 様々な集団中の分類の異なる背景の割合によって、連鎖不平衡が集団間で異なるかも知れないことは周知である。本発明のある実施態様では、LDは、コーカサス人の試料において判定されたLDを意味する。特定の実施態様では、LDは、HapMapコンソーシアムから得たコーカサスCEPH試料について測定された(http://www.hapmap.orgに記載)。他の実施態様では、LDは、アフリカ人集団、アフリカ系アメリカ人の集団、スペイン系アメリカ人集団、日本人集団、中国人の集団について測定された。ある実施態様では、LDは、(http://www.hapmap.org)に記載のように、中国人、日本人、アフリカ人から得たHapMap試料で測定される。 従って、ゲノム中の多型マーカーへの、所定の認められた関連のいずれについても、ゲノム中のさらなるマーカーもまた関連を示す可能性があることが明らかになって来た。このことは、組み換え率の大きな変動によって認められたように、ゲノムにわたるLDの不均等な分布の当然の結果である。関連の検出のために使用されたマーカーは、従って、ある意味では、所定の疾病または形質と関連する、ゲノム領域(すなわち、ハプロタイプブロックまたはLDブロック)の「タグ」を表す。1または複数の原因である(機能的)変異体または変異は、疾病または形質に関連することが見出された領域内に属していてもよい。このような変異は、関連の検出のために使用されたタグしたマーカーについて認められたものより、高い相対的なリスク(RR)またはオッズ比(OR)を与えてもよい。従って、本発明は、本願明細書記載の疾病の関連の検出のために使用されたマーカー、および当該マーカーとの連鎖不平衡のマーカーを意味する。従って、本発明のある実施態様では、本願明細書記載のように、本発明のマーカーおよび/またはハプロタイプとLDのマーカーは、代替のマーカーとして使用されてもよい。代替のマーカーは、1つの実施態様では、相対的なリスク(RR)および/またはオッズ比(OR)の値が、本願明細書記載のように、疾病に関連することが最初に見出されたマーカーまたはハプロタイプのものより小さい。他の実施態様では、代替のマーカーは、RRまたはOR値が、本願明細書記載のように、疾病に関連することが最初に見出されたマーカーで最初に判定されたものより大きい。このような実施態様の例は、本願明細書記載の変異などの当該疾病と関連することが最初に見出された、より一般的な変異(>10%集団における頻度)とLDにある、まれ、または相対的にまれ(対立形質の集団における頻度が<10%)な変異であろう。本願明細書記載のように発明者らによって発見された関連の検出のために、このようなマーカーを同定および使用することは、当業者に周知のルーチンの方法によって行われ得、これらは従って本発明の範囲である。 (ハプロタイプ頻度の測定) 患者および対照群におけるハプロタイプの頻度は、期待値最大化アルゴリズムを使用して推定され得る(Dempster A.ら、J.R.Stat.Soc.B、39:1〜38(1977))。フェーズとともに、欠損した遺伝子型および不確定度を扱うことができる当該アルゴリズムの実行が使用され得る。帰無仮説下では、患者および対照は、同一の頻度を有すると想定される。可能性のあるアプローチを使用し、別の仮説が検討され、候補のリスクのあるハプロタイプ(本願明細書記載のマーカーを含み得る)は、対照よりも患者において高い頻度を有していてもよく、一方、他のハプロタイプの頻度の割合は、両群で同一であると想定される。可能性は、両仮説下で別々に最大化され、対応する1−dfの可能性の割合の統計量は、統計的有意性を評価するために使用される。 連鎖領域内のリスクのあるマーカーおよび保護マーカーならびにハプロタイプを探索するため、例えば、これらのマーカーが実際的な領域にまたがる場合、遺伝子型を同定されたマーカーの全ての可能性のある組み合わせの関連が検討される。合わされた患者および対照群は、本来の患者群および対照群とサイズが等しい、ランダムに2つのセットに分けられ得る。マーカーおよびハプロタイプ分析は、次いで、繰り返され、最も有意な記載されたp値が判定された。当該ランダム化スキームは、例えば、実験に基づいたp値の分布を作成するために、100回を超えて繰り返され得る。好ましい実施態様では、p値が<0.05であることは、有意なマーカーおよび/またはハプロタイプの関連性を示す。 (ハプロタイプ分析) ハプロタイプ分析の1つの一般的なアプローチは、ネステッド(NEsted)モデルに適用した可能性に基づいた推論の使用に関する(Gretarsdottir S.ら、Nat.Genet.35:131〜38(2003))。当該方法は、多くの多型マーカー、SNPおよびマイクロサテライトに適用してもよい、プログラムNEMOで行われる。当該方法およびソフトウェアは、異なるリスクを与えるハプロタイプ群を同定することを目的とする、症例と対照の研究のために特に設計される。これはまた、LD構造を研究するためのツールである。NEMOでは、EMアルゴリズムを活用して、最尤推定値、尤度比およびp値が直接的に算出され、観察されたデータについては欠損データの問題として扱う。 フェーズにおける不確定度および欠損遺伝子型による情報の損失をとらえる、観察されたデータについて直接的に算出される尤度に基づく尤度比試験は、所定の妥当なp値に依存し得るが、どの位の量の情報が情報が不完全であることで失われているのかについて知ることは依然として興味深い。ハプロタイプ分析のための情報測定は、NicolaeおよびKong(Technical Report 537、シカゴ大学、統計大学(University of Statistics)、統計学科;Biometrics、60(2):368〜75(2004))に、連鎖分析のために定義された情報の基準の自然な伸長として記載され、NEMOにおいて実行される。 疾病に関連する単一のマーカーについては、各個体の対立遺伝子の両側p値を算出するために、フィッシャーの直接確率検定が使用され得る。通常は、全てのp値は、特に示されない限り、多重比較について未調整で示される。(マイクロサテライト、SNPおよびハプロタイプについて)示された頻度は、保有者頻度とは対照的に対立形質の頻度である。連鎖分析について家族として補充された患者の関連性によるいずれの偏りも最小化するため、第一および第二度近親者は患者リストから除去され得る。さらに、当該検定は、Risch N.&Teng J.において記載された分散調整の手順を拡張することで、患者間の残存する関連性の関連補正のために繰返され得(Genome Res.、8:1273〜1288(1998))、一般的な家族性の関連に適用され得、比較のため、調整したp値および未調整のp値を両方示し得るように、同胞群に対してDNAプール(同書)される。相違は、予期されるように、一般的に非常に小さい。複数の検定について補正された単一の−マーカーの関連の有意性を評価するため、本発明者らは、同一の遺伝子型のデータを使用して、無作為化検定を行うことができる。患者および対照のコホートはランダム化され得、複数回の関連分析(例えば、最大500,000回)が再度行われ得、p値は、元来の患者および対照のコホートを使用して本発明者らが観測したp値よりも低いか等しい、いくつかのマーカー対立遺伝子のp値を生じる反復の一部である。 両方の単一の−マーカーおよびハプロタイプ分析について、相対的なリスク(RR)および集団に起因するリスク(PAR)は、複合モデル(ハプロタイプの相対的なリスクモデル)を仮定して算出され得る(Terwilliger J.D.&Ott J.、Hum.Hered.42:337〜46(1992)、ならびにFalk C.T.&Rubinstein P、Ann.Hum.Genet.51(Pt3):227〜33(1987))。すなわち、ヒトが保有する2つの対立遺伝子/ハプロタイプのリスクは増加する。例えば、RRが、aに関連するAのリスクである場合、ヒトホモ接合体AAのリスクは、ヘテロ接合体AaのリスクのRR倍となり、ホモ接合体aaのリスクのRR2倍となる。複合モデルは、分析および計算を単純化する良好な性質を有する。ハプロタイプは罹患した集団内で、対照集団内同様に別個であり、すなわち、ハーディ・ワインベルグ平衡にある。結果として、罹患者および対照のハプロタイプ数は、それぞれ多項分布を有するが、別の仮説下で異なるハプロタイプの頻度を有する。特に、2つのハプロタイプ(hiおよびhj)については、リスク(hi)/リスク(hj)=(fi/pi)/(fj/pj)であり、fおよびpは、それぞれ、罹患した集団および対照集団における頻度を表す。真のモデルが増殖性ではない場合、いくらかの検出力の損失がある一方で、当該損失は、極端な症例以外では、軽度である傾向がある。最も重要なのは、帰無仮説に関して算出されるため、p値が常に妥当であることである。 (NEMOを使用した連鎖不平衡) 対のマーカー間のLDは、D’およびr2の標準的な定義を使用して算出され得る(Lewontin R.、Genetics 49:49〜67(1964);Hill W.G.&Robertson A.Theor.Appl.Genet.22:226〜231(1968))。NEMOを使用し、2つのマーカー対立遺伝子の組み合わせの頻度が最大の可能性によって推定され、連鎖平衡からの偏差が尤度比試験によって評価された。D’およびr2の定義は、周辺の対立遺伝子の確率によって重み付けられた2つのマーカーの全ての可能性のある対立遺伝子の組み合わせの値の平均によるマイクロサテライトを含むまでに拡張される。特定の領域のLD構造を明らかにするために全てのマーカーの組み合わせをプロットした場合、本発明者らはD’を上方左の角に、p値を下方右の角にプロットした。LDプロットにおいて、マーカーは、所望であれば、その物理的な部位によるよりも、等距離にプロットされ得る。 (リスクアセスメントおよび診断) いずれの所定の集団内でも、疾病または形質が発生する絶対的なリスクがあり、特定の期間にわたってヒトが特定の疾病または形質を生じる可能性として定義される。例えば、乳癌についての女性の生涯の絶対的なリスクは9分の1である。つまり、9人のうち1人の女性は、その人生のある時点で乳癌を生じる。リスクは、典型的には、特定の個体を見るよりも、非常に多くの人々を見ることによって判定される。リスクはしばしば絶対的なリスク(AR)および相対的なリスク(RR)の観点から示される。相対的なリスクは、2つの変異に関連するリスクまたは2つの異なる群の人々のリスクを比較するために使用される。例えば、ある遺伝子型を有する人々の群を異なる遺伝子型を有する別の群と比較するために使用される。疾病について、2の相対的なリスクは、1つの群が他の群に対して疾病を生じる2倍の可能性を有することを意味する。示されたリスクは、通常、性別および民族性をマッチさせた集団と比較した、ヒト、または特定の遺伝子型のヒトについての相対的なリスクである。同一の性別および民族性の2つの個体のリスクは、簡潔な様式で比較され得る。例えば、集団と比較して、第1の個体の相対的なリスクが1.5であり、第2の個体の相対的なリスクが0.5である場合、第2の個体と比較した第1の個体のリスクは、1.5/0.5=3である。 本願明細書記載のように、このようなマーカーを含むある多型マーカーおよびハプロタイプは、乳癌のリスクアセスメントに有用であることが見出された。リスクアセスメントは、乳癌に対する感受性の診断のマーカーの使用に関連し得る。多型マーカーの特定の対立遺伝子は、乳癌と診断されていない個体と比較して、乳癌を有する個体において、より頻繁であることが見出された。従って、これらのマーカー対立遺伝子は、個体において、乳癌または乳癌に対する感受性の検出の予測値を有する。リスクのあるマーカー(本発明のマーカーなど)を含むハプロタイプブロックまたはLDブロック内のタグしたマーカーは、ハプロタイプブロックまたはLDブロック内の他のマーカーおよび/またはハプロタイプの代替物として使用され得る。r2値が1に等しいマーカーは、リスクのある変異の完全な代替物であり、すなわち、1つのマーカーの遺伝子型は、別の遺伝子型を完全に予測する。1より小さいr2値を有するマーカーはまた、リスクのある変異の代替物となり得、あるいは、リスクのある変異よりも高いかまたはさらに高い相対的なリスク値を有する変異を表す。同定されたリスクのある変異は、それ自体機能的変異ではないかも知れないが、当該例では、真の機能的変異と連鎖不平衡にある。本発明は、本願明細書で開示されたマーカーのこのような代替のマーカーの評価を包含する。このようなマーカーは、当業者に周知のように、注解され、マッピングされ、および公的なデータベースに記載され、または、個体群における本発明のマーカーによって同定された領域または領域の一部の配列決定によって、代わりにすぐに同定され得、そして得られた配列群の多型性を同定する。結果として、当業者は、すぐに、かつ過度の実験をすることなく、本願明細書記載の、マーカーおよび/またはハプロタイプと連鎖不平衡の代替のマーカーの遺伝子型を同定できる。ハプロタイプまたはLDブロック内の検出されたリスクのある変異とLDあるタグしたマーカーまたは代替のマーカーはまた、個体における乳癌、または乳癌に対する感受性の関連の検出についての予測値を有する。本発明のマーカーとLDにあるこれらのタグしたマーカーまたは代替のマーカーはまた、これらは同様に乳癌に対する感受性の検出の予測値を有するため、ハプロタイプを区別する他のマーカーを含み得る。 本発明は、ある実施態様では、乳癌に関連すると本願明細書に記載の変異の存在についての、個体から得られたゲノムDNAを含む試料の評価によって行われ得る。このような評価は、当業者に周知の方法およびさらに本願明細書記載の方法を使用し、少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在または不存在を検出する工程を含み、このような評価の成果に基づき、試料の由来である個体が、乳癌の増加したリスクまたは減少したリスク(増加した感受性または減少した感受性)にあるかを判定する。あるいは、本発明は、乳癌に関連すると本願明細書に記載の少なくとも1つの多型マーカー(または乳癌に関連すると本願明細書で示された少なくとも1つのマーカーと連鎖不平衡のマーカー)の遺伝子型の状態についての情報を含むデータセットを利用して行われ得る。換言すれば、このような遺伝的状態についての情報(例えば、ある多型マーカーまたは多数のマーカー(例えば、あるリスクのある対立遺伝子の存在または不存在の指標)における遺伝子型の数の形態にある)を含むデータセット、または1もしくは複数のマーカーの実際の遺伝子型は、乳癌に関連する本願発明者によって示されたある多型マーカーのあるリスクのある対立遺伝子の存在または不存在について質問され得る。乳癌に関連する変異(例えば、マーカー対立遺伝子)についての陽性の結果は、本願明細書で示されたように、データセットの由来である個体が乳癌の増加した感受性(増加したリスク)にあることを示す。 本発明のある実施態様では、多型マーカーは、多型マーカーの遺伝子型のデータを、多型性の少なくとも1つの対立遺伝子と乳癌との間の相関を含む検査表へ照会することによって、乳癌に関連付けられる。いくつかの実施態様では、その表は1つの多型性についての相関を含む。他の実施態様では、表は多数の多型性についての相関を含む。両方のシナリオで、マーカーと乳癌との間の相関の指標を与える検査表へ照会することによって、乳癌のリスク、または乳癌に対する感受性が試料の由来である個体において同定され得る。いくつかの実施態様では、相関は統計的測定として報告される。統計的測定はリスクの測定(相対的なリスク(RR)、絶対的なリスク(AR)またはオッズ比(OR)など)として報告されてもよい。 本発明のマーカーおよびハプロタイプ(例えば、染色体2q14.2、染色体2q35、および染色体16q12上の多型マーカーおよびハプロタイプ、例えば、表10、表15、表19、表20、表21および表22に示されたマーカー、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカー、例えば、マーカーrs4848543、rs13387042およびrs3803662)は、単独または併用のいずれかで、リスクアセスメントおよび診断の目的について有用であり得る。従って、個体マーカーによるリスクの増加が相対的に中程度、すなわち約10〜30%である症例においてさえも、その関連は重要な意味を有するかも知れない。従って、相対的に一般的な変異は、全体的なリスクに対して有意な寄与を有してもよく(集団に起因するリスクが高い)、またはマーカーの組み合わせは、マーカーの複合リスクに基づき、疾病の発生の有意な複合リスクを有する個体群の定義に使用され得る。 従って、本発明の1つの実施態様では、多数の変異(マーカーおよび/またはハプロタイプ)は、全体的なリスクアセスメントのために用いられる。これらの変異は、1つの実施態様では、本願明細書に開示された変異から選択される。他の実施態様は、乳癌に対する感受性の診断に有用であることが知られた他の変異と組み合わせた本発明の変異の使用を含む。このような実施態様では、多数のマーカーおよび/またはハプロタイプの遺伝子型の状態は、関連した変異の集団における頻度、または臨床的に健康な被験者(年齢をマッチさせた被験者および性別をマッチさせた被験者など)の変異の頻度と比較した、個体、および個体の状態について判定される。当該技術分野で公知の方法(多変量解析または共同リスク解析など)は、その後に、複数の部位の遺伝子型の状態に基づいて与えられた全体的なリスクの判定のために使用されてもよい。このような分析に基づくリスクアセスメントは、本願明細書記載のように、その後に、本発明の方法およびキットで使用されてもよい。 上述のように、ヒトゲノムのハプロタイプブロックの構造は、疾病または形質と元来関連した変異の連鎖不平衡にある数多くの変異(マーカーおよび/またはハプロタイプ)は、疾病または形質に対する関連の評価のための代替のマーカーとして使用されてもよいという効果を有する。このような代替のマーカーの数は、因子(領域内の背景の組み換え率、領域内の変異の頻度(すなわち、領域内の多形性部位またはマーカーの数)、および領域内のLDの程度(LDブロックのサイズ)など)に依存するだろう。これらのマーカーは、通常、本願明細書記載の方法または他の当業者に知られた方法を使用して定義されるように、問題となっているLDブロックまたはハプロタイプブロックの物理的な境界内に位置する。しかし、時折、マーカーおよびハプロタイプの関連は、定義されたハプロタイプブロックの物理的な境界を越えて拡張することが見出された。このようなマーカーおよび/またはハプロタイプはまた、これらの症例において、定義されたハプロタイプブロック内に物理的に属するマーカーおよび/またはハプロタイプの代替のマーカーおよび/またはハプロタイプとして使用されてもよい。結果として、本発明のマーカーおよびハプロタイプとLDにあるマーカーおよびハプロタイプ(典型的には、0.1より大きいr2によって特徴付けられ、0.2より大きいr2など、0.3より大きいr2を含み、0.4より大きいr2をまた含む)はまた、これらが定義されたハプロタイプブロックの境界を越えて物理的に位置している場合であっても、本発明の範囲内である。これは、本願明細書記載のマーカー(例えば、表10、表15および表19)を含むがまた、1または複数の表10、表15および表19に記載されたマーカーと強いLD(例えば、0.1より大きいr2、0.2より大きいr2および/または|D’|>0.8によって特徴付けられる)にある他のマーカーを含んでいてもよい。 本願明細書記載のSNPマーカーについて、患者において過剰であることが見出された対立遺伝子(リスクのある対立遺伝子)に対して逆の対立遺伝子は、乳癌において頻度が減少していることが見出された。このようなマーカーとLDにあり、かつ/またはこのようなマーカーを含む、マーカーおよびハプロタイプは、従って、乳癌に対して保護的であり、すなわち、これらは乳癌を発生させるこれらのマーカーおよび/またはハプロタイプを保有する個体において減少したリスクまたは感受性を与える。 あるハプロタイプを含めて、ある本発明の変異は、いくつかの症例では、様々な遺伝的マーカー(例えば、SNPおよびマイクロサテライト)の組み合わせを含む。従って、ハプロタイプの検出は、多形性部位の配列の検出のための当該技術分野で公知の方法および/または本願明細書記載の方法によって達成され得る。さらに、あるハプロタイプまたはマーカーのセットと、疾病の表現型との間の相関は、標準的な技法を使用して検証され得る。相関についての簡易試験の代表的な例は、2×2の表のフィッシャーの直接確率検定であるだろう。 特定の実施態様では、乳癌に関連することが見出されたマーカー対立遺伝子またはハプロタイプ(例えば、表10、表15、表19、表20、表21および表22に記載されたマーカー対立遺伝子、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカー)は、マーカー対立遺伝子またはハプロタイプが、健康な個体(対照)におけるその存在の頻度と比較して、乳癌のリスクのある(罹患した)個体により頻繁に存在するものであり、当該マーカー対立遺伝子またはハプロタイプの存在は、乳癌または乳癌に対する感受性を示す。他の実施態様では、乳癌に関連することが見出された1または複数のマーカー(例えば、表10、表15、表19、表20、表21および表22に記載されたマーカー、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカー)と連鎖不平衡にあるリスクのあるマーカーは、健康な個体(対照)におけるその存在の頻度と比較して、乳癌のリスクのある(罹患した)個体により頻繁に存在するタグしたマーカーであり、当該タグしたマーカーの存在は、乳癌に対する増加した感受性を示す。さらなる実施態様では、乳癌に関連することが見出された1または複数のマーカー(例えば、表10、表15、表19、表20、表21および表22に記載された対立遺伝子、ならびにそれらと連鎖不平衡にあるマーカー)と連鎖不平衡の、リスクのあるマーカー対立遺伝子(すなわち、増加した感受性を与える)は、健康な個体(対照)におけるその存在の頻度と比較して、乳癌のリスクのある個体により頻繁に存在する1または複数の対立遺伝子を含むマーカーであり、当該マーカーの存在は乳癌に対する増加した感受性を示す。 (集団の研究) 一般的な意味では、本発明の方法およびキットは、いずれの供給源(すなわちいずれの個体)からのゲノムDNAを含む試料を利用し得る。好ましい実施態様では、個体はヒト個体である。個体は、成人、子供、または胎児であり得る。本発明はまた、標的集団のメンバーである個体のマーカーおよび/またはハプロタイプの評価について提供する。このような標的集団は、1つの実施態様では、他の遺伝要因、バイオマーカー、生物物理的なパラメータ(例えば、体重、BMD、血圧)、または一般的な健康および/または生活スタイルのパラメータ(例えば、疾病歴または関連する疾病の履歴、疾病の以前の診断、疾病の家族歴)に基づく、疾病を発生させるリスクがある個体の集団または群である。 本発明は、特定の年齢亜群(40歳超、45歳超、または50、55、60、65、70、75、80、または85歳超など)からの個体を含む実施態様を提供する。本発明の他の実施態様は、他の年齢群(85歳未満の個体など、80歳未満、75歳未満、または70、65、60、55、50、45、40、35、または30歳未満など)に関する。他の実施態様は、疾病の発生時の年齢が上述の年齢幅のいずれかである個体に関する。年齢幅は、ある実施態様では、発生時の年齢が45歳以上だが60歳未満などであることに関連していてもよいことも考慮される。しかし、他の年齢幅もまた考慮され、上記の年齢の値によってひとまとめにされる全ての年齢幅を含む。本発明は、さらに、いずれかの性別(男性または女性)の個体に関する。1つの実施態様では、男性の被験者の評価に関する。別の実施態様では、女性の被験者の評価に関する。 アイスランド人の集団は、北欧の祖先を有するコーカサス人の集団である。アイスランド人の集団の遺伝的連鎖および関連の結果を報告する数多くの研究が、直近の数年間に発表されてきている。これらの研究の多くは、特定の疾病に関連しているとしてアイスランド人の集団で最初に同定された変異の複製を、他の集団でも示した(Stacey S.N.ら、Nat Genet.2007年5月27日(印刷物に先駆けた電子出版;Helgadottir A.ら、Science 316:1491〜93(2007);Steinthorsdottir V.ら、Nat Genet.39:770〜75(2007);Gudmundsson J.ら、Nat Genet.39:631〜37(2007);Amundadottir L.T.ら、Nat Genet.38:652〜58(2006);Grant S.F.ら、Nat Genet.38:320〜23(2006))。従って、アイスランド人の集団における遺伝的発見は、一般的に、他の集団(アフリカ人の集団およびアジア人の集団を含む)において再現されている。 乳癌に関連することが見出された本発明のマーカーは、他のヒト集団において同様の関連性を示すと考えられている。従って、ヒト個体集団を含む特定の実施態様もまた、考慮され、本発明の範囲内である。このような実施態様は、コーカサス人の集団、ヨーロッパ人の集団、アメリカ人の集団、ユーラシア人の集団、アジア人の集団、中央/南アジア人の集団、東アジア人の集団、中東人の集団、アフリカ人の集団、スペイン系アメリカ人の集団、およびオセアニア人の集団を含む(しかしこれらに限定されない)1または複数のヒト集団の出身であるヒト被験者に関する。ヨーロッパ人の集団は、スウェーデン人、ノルウェー人、フィンランド人、ロシア人、デンマーク人、アイスランド人、アイルランド人、ケルト人、英国人、スコットランド人、オランダ人、ベルギー人、フランス人、ドイツ人、スペイン人、ポルトガル人、イタリア人、ポーランド人、ブルガリア人、スラブ人、セルビア人、ボスニア人、チェコスロバキア(Chech)人、ギリシャ人およびトルコ人集団を含むが、これらに限定されない。さらに、本発明の他の実施態様では、バンツー人、マンデンク(Mandenk)人、ヨルバ族、サン(San)人、ムブティピグミー(Mbuti Pygmy)族、オークニー諸島民、アディゲル(Adygel)人、ロシア人、サルデーニャ人、トスカナ人、モザバイト(Mozabite)人、ベドウィン,ドゥルーズ(Druze)人、パレスチナ人,バロチ(Balochi)人、ブラーフーイ人、マクラーニー(Makrani)人、シンド族、パサン族、ブルショー(Burusho)族、ハザラ人、ウィグル人、カラシュ(Kalash)族、ハン族、ダイ族、ダフール族、ホジェン(Hezhen)族、ラフ族、ミャオ族、オロチョン(Oroqen)族、シー(She)族、トゥチャ(Tujia)族、トゥ(Tu)族、シボ(xibo)族、イ族、モンゴル(Mongolan)人、ナシ(Naxi)族、カンボジア人、日本人、ヤクート族、メラネシア人、パプア人、カーチアン(Karitianan)人、スルイ(Surui)人、コロンビア(Colmbian)人、マヤ人およびピマ族、を含む、特定のヒト集団において行われ得る。 1つの実施態様では、本発明は、黒色アフリカ人の祖先(アフリカ人の家系または系統のヒトを含む集団など)を含む集団に関する。黒色アフリカ人の祖先は、アフリカ系アメリカ人(African−Americans)、アフリカ系アメリカ人(Afro−Americans)、黒色アメリカ人、黒色人種の一員、または黒人人種の一員であるという自己申告によって判定されてもよい。例えば、アフリカ系アメリカ人または黒色アメリカ人は、南アフリカに住んでおり、かつアフリカの黒色人種の群のいずれかに起源を有するヒトである。別の例は、黒色アフリカ人祖先について自己申告したヒトのは、少なくとも1人の黒色アフリカ人の祖先の両親または少なくとも1人の黒色アフリカ人の祖先の祖父母を有していてもよい。 個々の被験者における人種の寄与はまた、遺伝的分析によって判定されてもよい。祖先の遺伝的分析は、非連鎖のマイクロサテライトマーカー(Smithら、Am J Hum Genet 74、1001〜13(2004)に提示されるものなど)を使用して行ってもよい。 ある実施態様では、本発明は、上述のように、特定の集団で同定されたマーカーおよび/またはハプロタイプに関する。当業者は、連鎖不平衡(LD)の測定は、異なる集団に適用した場合は異なる結果を与えてもよいことを理解するだろう。このことは、特定のゲノム領域におけるLDの相違を引き起こしたかも知れない、異なるヒト集団の異なる集団歴および異なる選択圧による。あるマーカー(例えば、SNPマーカー)は、1つの集団では多型だが、別の集団ではそうではないこともまた、当業者に周知である。しかし、当業者は、いずれかの所定のヒト集団で本発明を実行するために、利用可能な方法および本願明細書で考えられた方法を適用するだろう。このことは、特定の集団内で最も強い関連を与えるこれらのマーカーを同定するための、本発明のLD領域における多型マーカーの評価を含んでいてもよい。従って、本発明のリスクのある変異は、異なるハプロタイプの背景に、および様々なヒト集団における異なる頻度で属していてもよい。しかし、当該技術分野で公知の方法および本発明のマーカーを利用し、本発明は、所定のヒト集団いずれにおいても実行され得る。 (遺伝子検査の有用性) 当業者は、本願明細書記載の変異は、一般的には、それらだけでは、乳癌を生じるであろう個体の絶対的な同定を提供しないことを認め、理解するだろう。しかし、本願明細書記載の変異は、本発明のリスクのある変異または保護的変異を保有する個体が乳癌を生じる増加したおよび/または減少した可能性を示す。しかし、下記により詳細に概要を述べるように、疾病管理および適切な治療上の選択肢の選択に使用され得るため、当該情報はそれ自体極めて価値がある。 疾病の発生(例えば、乳癌)のリスクを与える遺伝的変異についての知識は、疾病を生じる増加したリスクを有する個体(すなわち、リスクのある変異の保有者)と、疾病を生じる減少したリスクを有する個体(すなわち、保護的変異の保有者)とを区別するための遺伝的試験に適用する機会を提供する。遺伝子検査の基本的価値は、上述の群の両方に属する個体について、早期の段階で疾病もしくは疾病に対する素因を診断でき、最も適切な治療を施すために臨床医に予後診断/疾病の病原力についての情報を与えられる可能性である。 (遺伝する乳癌のリスクを予測するモデル) 乳癌のリスクアセスメントの目的は、全ての女性に対して、高いリスクの女性においては生存期間および生活の質の増加、一方、低いリスクの女性においては費用、不要な介入および不安の最小化のための、個別化された医学的管理戦略の開発の合理的なフレームワークを提供することである。リスク予測モデルは、先天性リスク特性の所定のセット(例えば、家族歴、術前良性乳房病変、以前の乳腺腫瘍)を有する個体の乳癌のリスクを推定しようと試みる。診療において最も一般的に使用される乳癌のリスクアセスメントモデルは、家族歴を考慮して、遺伝する危険因子を推定する。リスク推定値は、以前に乳癌と診断された1または複数の近親者を有する個体の増加したリスクの観察に基づく。これらは、複雑な系統構造を考慮しない。これらのモデルは、乳癌になりやすい変異を有する遺伝子の保有者と非保有者とを区別できないというさらなる不利益を有する。 さらに洗練されたリスクモデルは、特定の家族歴を扱うためのより良い機構を有し、BRCA1変異およびBRCA2変異のキャリア状態を考慮する能力を有する。例えば、疾病発生率についての乳房分析および卵巣分析ならびに保有者推定アルゴリズム(BOADICEA)(Antoniouら、2004)は、系統分析プログラムMENDELによる個体系統構造に基づく家族歴を考慮している。分かっているBRCA1およびBRCA2の状態に関する情報もまた、考慮される。現在使用されているBOADICEAおよび全ての他の乳癌のリスクモデルの主な制限は、これらは他の素因遺伝子からの遺伝子型の情報を、取り込まないことである。現在のモデルは、リスクの非BRCA遺伝的決定要因についての知識の欠如を補うための代替物として作用する、家族歴に強く依存している。従って、利用可能なモデルは、疾病の家族歴が分かっている状況に制限される。より低い浸透率の乳癌素因遺伝子は、集団において相対的に一般的であるかも知れず、BRCA1およびBRCA2遺伝子のようには、家族性クラスター形成を促進するこのような強い傾向を示さないかも知れない。素因対立遺伝子について相対的に高い遺伝的負荷を有する患者は、ほとんど、または全く疾病の家族歴を示さないかも知れない。従って、遺伝子に基づいた試験を通じて、直接的に得られた遺伝する感受性データを取り込むモデルの構築についてニーズがある。モデルをより正確にすることに加えて、これは、家族歴パラメータへの依存性を減少させ、リスク特性を家族歴がそれほど鍵因子とならない、より幅広いリスクのある集団へ拡張することを支援するだろう。 (改善された遺伝的危険率モデルの乳癌一次予防の臨床的管理への統合) 臨床的一次予防の選択肢は、現在、化学予防(またはホルモン)治療および予防的手術に分類され得る。高いリスクと同定される患者は、長期コースの化学予防的治療を処方され得る。この構想は、循環器学の分野で広く受け入れられているが、臨床的腫瘍学では、今ようやく、影響を与え始めている。最も広く使用されている腫瘍学の化学予防は、タモキシフェン(選択的エストロゲン受容体調節物質(SERM))である。乳癌再発に対して向けられたアジュバント治療方法として最初に使用され、タモキシフェンは今、乳癌の予防的薬剤としての有効性が証明されている(Cuzickら、2003;Martinoら、2004)。FDAは、ある高いリスクの女性の化学予防薬剤として、タモキシフェンの使用を承認した。 残念ながら、長期間のタモキシフェンの使用は、子宮内膜癌のリスクを約2.5倍増加させ、静脈血栓症のリスクを約2.0倍の増加させる。肺塞栓症、脳卒中、および白内障のリスクもまた、増加する(Cuzickら、2003)。従って、乳癌発生率を減少させるタモキシフェン使用の利益は、全体的な死亡率における対応する減少に簡単に解釈されないかも知れない。ラロキシフェンと呼ばれる別のSERMは、予防的方法においてより効果的であるかも知れず、子宮内膜の癌についての同様のリスクはもたらさない。しかし、血栓症のリスクは、ラロキシフェンで長期間治療された患者において、依然として上昇する(Cuzickら、2003;Martinoら、2004)。さらに、タモキシフェンおよびラロキシフェンの両方が、それらに関連する生活の質の問題点を有する。化学予防的方法におけるSERM治療方法の合理的なリスク:利益分析を行うために、最も乳癌のリスクのある個体の同定について臨床的なニーズがある。実質的に一部の乳癌のリスクが遺伝的であるとすると、当該状況での個体のリスクを定量化するための遺伝的試験について明確な臨床的ニーズがある。利用可能になるかも知れない将来の癌の化学予防的治療(アロマターゼ阻害剤など)のいずれかから生じる同様の問題点について予測し得る。さらに、化学予防的治療が安全になるにつれ、遺伝的に傾向があるが、BRCA1および2の保有者に関連する、大量の上昇したリスクは有さない患者を同定するニーズが増加する。 乳癌について高いリスクを有すると同定された患者は、予防的手術(両側乳房切除術もしくは卵巣摘出術のいずれか、または両方)について考慮される。明らかにこのように強烈な治療は、極度に高いリスクが認知された患者に対してのみ推奨される。実際に、このようなリスクは、現在、BRCA1、BRCA2または、まれな乳癌素因の症候群に関連することが知られる遺伝子(リー・フラウメニ症候群におけるp53、カウデン症候群におけるPTENなど)の変異を有する個体のみ同定され得る。 BRCA1変異およびBRCA2変異の浸透率の推定は、集団に基づいた推定に由来している場合に比べて、複数の症例の家族に由来している場合に高い傾向にある。これは、異なる変異を有する家族は、乳癌に対して異なる浸透率を呈するからである(例えば、Thorlaciusら、1997参照)。当該変異に寄与する主な因子の1つは、BRCA1変異およびBRCA2変異の浸透率を修飾する効果を有する、今までのところ未知の素因遺伝子の作用である。従って、BRCA1またはBRCA2遺伝子の変異を有する個体の絶対的なリスクは、修飾遺伝子の存在および作用の知識がない場合では、正確に数量化されない。BRCA1およびBRCA2保有者の治療上の選択肢は、苛酷であり得るため、当該状況では、それぞれのBRCA保有者のリスクについて、できるだけ最大の正確性で定量化することが重要である。従って、BRCA1およびBRCA2保有者の乳癌の浸透率を修飾する効果を有する素因遺伝子を同定し、およびこれらの遺伝子に基づく改善されたリスクアセスメントモデルの開発についてニーズがある。 さらに、恐らく強い乳癌の家族歴が原因である、乳癌について非常に高いリスクが認知された個体がいるが、そのような個体においては、公知の素因遺伝子の変異は同定され得ない。遺伝する高い浸透率の素因遺伝子を有しているかいないかを発見するために個体を試験することはできないため、このような症例において予防的手術の考慮は困難である。従って、個体のリスクは、正確に評価され得ない。従って、発見されていないままのいずれかの高い浸透率の素因遺伝子の同定、および一次予防戦略で使用するための関連する遺伝的試験の開発について、明確な臨床的ニーズがある。 (早期診断) 大部分の西洋諸国における乳癌の臨床的スクリーニングは、定期的な臨床的な乳房の診察(CBE)およびX線マンモグラフィーからなる。CBEが、良好な乳房X線撮影によるスクリーニングプログラムに関連して使用されても、ほとんど利益が付加されないことを示す優れたエビデンスがある。イギリスでは、50〜70歳の女性は、3年ごとにスクリーニングマンモグラフィーを受けるように勧められる。米国における状況は医療提供者によって異なるが、しかし、アメリカ癌協会は、40歳からは年1回の乳房X線撮影によるスクリーニングを推奨している。乳房X線撮影によるスクリーニングは、50歳を超えたスクリーニングされた女性の間の死亡率の減少について証明された有効性を有する。 遺伝子検査が、既存の乳房X線撮影によるスクリーニングプログラムへのアクセスを減少させる手段として採用されることは、絶対にありそうにない。しかし、乳房X線撮影によるスクリーニングは、欠点がないわけではなく、遺伝子検査は、増強されたスクリーニングプログラムのための人々を選別するのに使用されるべきであると考えられる。乳房X線撮影によるスクリーニングの弱点の1つは、これまでは、50歳未満のスクリーニングされた女性の改善された生存について、著しい効果を示す可能性がないことである。 マンモグラフィーが50歳未満の女性において効果が少ない1つの理由は、乳房組織の密度は、より若い女性において高く、腫瘍の乳房X線撮影の検出をより困難にしていることかも知れない。しかし、遺伝的な傾向がある個体の乳癌は、若年齢群で生じる傾向があり、高い乳房密度と乳癌のリスクとの間の明確な関連がある。従って、最も高いリスク群において最適でなく行われる技法によって管理され得るため、高い素因を有する個体の乳房X線撮影によるスクリーニングの単純な増加に問題がある。近年の研究では、乳房X線撮影によるスクリーニングよりも、造影磁気共鳴画像(CE−MRI)がより感度が高く、当該高いリスク群において、より早期の段階で腫瘍を検出することが示された(Warnerら、2004;Leachら、2005)。CE−MRI戦略は、特に、ルーチンX線マンモグラフィーと組み合わせて使用される場合に、よく役立つ(L各ら、2005)。CE−MRIは、高い費用がかかる専門家のセンターを必要とするため、50歳未満のスクリーニングは、最も高いリスクを有する個体に制限されなければならない。現在のCE−MRI試験は、BRCA1、BRCA2もしくはp53変異ならびに疾病の非常に強い家族歴を有する個体にエントリーを制限している。当該スクリーニング様式をより幅広い範囲の高いリスクの患者に拡張することは、遺伝子に基づいたリスク特性の手段の供給によって、大いに補助される。 早期発生の乳癌および遺伝的に傾向がある女性に生じる癌は、より高齢の、遺伝的な傾向が強くない女性の癌よりも増殖が早いという概念を支持する優れたエビデンスがる。これは、より若い女性における高率の中間期癌の観察に由来し、つまり、よくスクリーニングされた集団においてスクリーニング来診間の間隔で生じた癌は、より若い女性の間で高い。従って、スクリーニング間隔は、どんな方法によるものであれ、より若い女性については減少されるべきであることの示唆がある。ここに、より高価な方法論を用いたより頻繁なスクリーニングは、乳癌の全体的な割合が比較的低い年齢群に対して必要とされると思われるという逆説がある。ここに、早期の疾病を生じる最も強い遺伝的な傾向がある若い個体を同定し、彼らをより高価かつ広範なスクリーニング管理に導く、明確な臨床的ニーズがある。 (治療) 現在、原発性乳癌は、手術、アジュバント化学療法、放射線療法、その後の長期間のホルモン療法によって治療される。しばしば、3つまたは4つの治療の組み合わせが使用される。 疾病の同様の段階の乳癌患者は、全体的な治療成果における広い変異をもたらす、アジュバント化学療法に対する非常に異なる反応を有し得る。総合指針(ザンクトガレン(St Galen)およびNIHの判断基準)が、アジュバント化学療法の治療に対する乳癌患者の適格性を決定するために開発された。しかし、転移の最も強い臨床的前兆および組織学的前兆さえも、正確に乳腺腫瘍の臨床的反応を予測するには至っていない(Goldhirschら、1998;Eifelら、2001)。化学療法またはホルモン療法は、転移のリスクを約1/3しか減少させず、しかし、70〜80%の当該治療を受けている患者は、それなくして生存している。従って、大部分の乳癌患者は、現在、無効または不要な治療のいずれかを提供されている。臨床医が、最善の利益を受ける者に対して治療をより適切に調整することができる予後の基準の開発の改善について、明確な臨床的ニーズがある。遺伝的素因についての個体の鑑定は、彼らの治療成果に関連する情報を明らかにし、それによって合理的な治療計画を助けるかも知れないと予期するのは合理的である。 いくつかの以前の研究は、当該概念を例証する。BRCA変異保有者の乳癌患者は、アジュバント化学治療で治療された場合、より良い臨床的反応の割合および生存を示すことが明らかとなった(Chappuisら、(2002)、J Med Genet、39、608〜10;Goffinら、(2003)、Cancer、97、527〜36)。BRCA変異保有者は、卵巣癌の白金化学療法に対して、非保有者よりも、改善された反応を示した(Cassら、(2003)、Cancer、97、2187〜95)。同様の考察は、関連する遺伝子が未知である遺伝的な傾向がある患者に対しても当てはまるかも知れない。例えば、浸潤性小葉乳癌(ILBC)は、強い家族性要素を有することが知られるが、関連する遺伝的変異は未だ同定されていない。ILBCを有する患者は、一般的な化学療法管理に対して乏しい反応を示す(Mathieuら、(2004)、Eur J Cancer、40、342〜51)。 遺伝的素因モデルは、治療戦略の個別化を補助するだけでなく、これらの戦略の設計において不可欠な役割を果たすかも知れない。例えば、BRCA1およびBRCA2変異の腫瘍細胞は、ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤に対し、その欠損したDNA修復経路の結果、深刻な感受性があることが見出された(Farmerら、(2005)、Nature、434、917〜21)。これは、BRCA保有者である患者特異的な使用を目的とした、PARPを標的にした小分子薬剤の開発を刺激した。この例から、遺伝的素因の知識が、遺伝的危険率特性と組み合わせて使用される個別化された化学療法管理の開発を導く薬剤標的を同定するかも知れないことは明らかである。 癌化学療法は、周知の、通常の組織(特に、高増殖性ヘモポエティック(hemopoetic)細胞および腸上皮細胞区画)に対する用量制限副作用を有する。遺伝に基づいた個体差が、細胞障害性薬剤に対する通常の組織の感受性に存在することが予測され得る。これらの因子についての理解は、合理的な治療計画および通常の組織を化学療法の副作用から保護するように設計された薬剤開発を助けるかも知れない。 遺伝的特性はまた、改善された放射線療法のアプローチに寄与するかも知れない。標準的な放射線療法管理を受けている乳癌患者群内で、患者の一部は、通常は許容的な放射線量に対する有害反応を経験するだろう。急性反応は、紅斑、湿性落屑、浮腫および放射線気腫(radiation pneumatitis)を含む。毛細血管拡張症、浮腫、肺線維症および乳腺線維症を含む、長期間の反応は、放射線療法後何年も生じるかも知れない。急性反応および長期間の反応は両方とも罹患率の大きな原因であり、致死的であり得る。1つの研究では、11%は深刻な有害反応を有する一方で、87%の患者は、放射線療法に対するいくつかの有害な副作用を有することが見出された(LENT/SOMA 段階3〜4)(Hoellerら、(2003)、Int J Radiat Oncol Biol Phys、55、1013〜8)。放射線療法に対する有害反応を経験する可能性は、主に通常の組織反応における恒常的な個体差によるものであり、これらは強い遺伝的要素を有するという疑いがある。いくつかの公知の乳癌素因遺伝子(例えば、BRCA1、BRCA2、ATM)は、DNA二本鎖の切断修復経路に影響する。DNA二本鎖の切断は、放射線療法によって引き起こされた原発性細胞障害性の障害である。これは、これらの経路に属する遺伝子の変異を有することを通じて乳癌に遺伝的な傾向がある個体はまた、放射線療法から過剰な通常組織の障害を受けるより高いリスクを有するかも知れないという懸念を導く。 集団における恒常的に放射線感受性な個体の存在は、有害反応の頻度を容認できるレベルに維持するため、大部分の患者集団に対する放射線療法の線量率は制限されなければならないことを意味する。従って、放射線療法に対する有害反応に対する上昇したリスクを有する個体を同定できる信頼できる試験について臨床的ニーズがある。このような試験は、相対的に放射線抵抗性な大部分の患者に対する放射線治療量の増大を許容する一方で、放射線感受性の個体に対する保守的なまたは別の治療を示すだろう。用量の増大は、乳癌患者を単純に放射線感受性分類、中間分類および放射線抵抗性分類へトリアージ方式に分類するための試験によって可能となり、これは、局所的な腫瘍管理について約35%の増加、および結果的な生存率の改善をもたらし得ることが推定される(Burnetら、1996)。 電離放射線への曝露は、乳房における発癌に寄与する証明された因子である。(DumitrescuおよびCotarla、2005)。公知の乳癌素因遺伝子は、放射線誘発のDNA損傷に対する細胞応答の経路の要素をコードする(NarodおよびFoulkes、2004)。従って、続発性原発性乳腺腫瘍のリスクが、放射線療法の領域内で通常の組織の照射によって増加するかも知れないという懸念がある。放射線療法によるBRCA保有者についての判定可能な増加したリスク明らかではないが、しかし、続発性原発腫瘍についてのそのリスクは、すでに例外的に高い。続発性原発腫瘍のリスクは、放射線療法で治療された、ATMおよびCHEK2遺伝子における乳癌になりやすい対立遺伝子の保有者で増加することを示唆するエビデンスがある(Bernsteinら、2004;Broeksら、2004)。放射線療法による(および、恐らく、集中的な乳房X線撮影によるスクリーニングによる)による続発性原発腫瘍のリスクは、治療計画段階に間の患者の正確な遺伝的危険率特性を得ることによって、より良く定められるだろうことが予期される。 (再発予防) 段階1または2の乳癌と診断された患者の約30%は、それらの原発腫瘍の局所領域転移性再発または遠隔転移性再発のいずれかを経験するだろう。原発性乳癌を有していた患者はまた、乳房保存手術が行われた場合、対側乳房または同側乳房において、続発性原発腫瘍と診断される非常に増加したリスクを有する。再発予防は、再発予防、または続発性原発腫瘍の発生の予防に使用される方法を意味する。現在使用される方法は、以下を含む。タモキシフェンもしくは別のSERM(単独またはアロマターゼ阻害剤と交互)による長期間の治療、リスクを減少する対側乳房の乳房切除術、ならびにリスクを減少する卵巣摘出術(家族性乳房癌および卵巣癌のリスクを有する患者)。タモキシフェンの使用に関する考察は上記で議論されている。リスクを減少する外科的選択肢について、できるだけ費用:利益分析を知らせるために、リスクが数量化される必要があることは明らかである。 乳癌についての公知の遺伝的素因を有する患者が、大部分の患者よりも悪化したことについていくつかの指標がある。CHEK2遺伝子1100delC変異を有する患者は、非保有者と比較して、推定2.8倍の遠隔転移についての増加したリスク、3.9倍の疾病再発の増加したリスクを有する(de Bockら、(2004)、J Med Genet、41、731〜5)。BRCA1リンパ節転移陰性の腫瘍を有する患者は、BRCA1変異を有さない同様の患者よりも、転移についてより大きなリスクを有する(Goffinら、(2003)、Cancer、97、527〜36;Mollerら、(2002)、Int J Cancer、101、555〜9;Eerolaら、(2001)、Int J Cancer、93、368〜72)。遺伝的特性は、従って、局所的な再発および転移のリスクを評価するのを助けるために使用され得、それによって二次予防的な治療の選択を導く。 通常は、原発性腫瘍と診断された患者は、一定の年間発生率(0.7%)の続発性原発腫瘍のリスクを有する(PetoおよびMack、2000)。BRCA変異を有する患者は、大部分の乳癌患者よりも、40〜60%の範囲の絶対的なリスクで、続発性原発腫瘍について著しく大きいリスクを有する(Easton、1999)。BRCA変異の保有者は、続発性原発腫瘍の非常に増加したリスクを有する(Staceyら、(2006)、PLoS Med、3、e217;Metcalfeら、(2004)、J Clin Oncol、22、2328〜35)。CHEK2遺伝子変異の患者は、対側乳癌について、推定5.7倍の増加したリスクを有する(de Bockら、(2004)、J Med Genet、41、731〜5)。BARD1 Cys557Ser変異の保有者は、続発性原発腫瘍と診断される傾向が2.7倍である(Staceyら、(2006)、PLoS Med、3、e217)。遺伝的危険率の特性は、患者における続発性原発腫瘍のリスクを評価するのに使用され得、予防措置がどの位激しいものであるべきかについての決定を知らせるだろう。 (方法) 乳癌のリスクアセスメントおよび診断の方法は、本願明細書に記載され、本発明に含まれる。本発明はまた、乳癌の治療薬に対する反応可能性についての個体の評価方法、および乳癌の治療薬の有効性の予測方法を包含する。乳癌に対する感受性を検出するために被験者から得られた試料をアッセイするためのキットはまた、本発明に含まれる。 (診断アッセイおよびスクリーニングアッセイ) ある実施態様では、本発明は、乳癌の被験者もしくは乳癌に感受性がある被験者においてより頻繁に表れる遺伝的マーカーの特定の対立遺伝子を検出することよる、乳癌もしくは乳癌に対する感受性の診断方法、または診断の補助方法に関する。特定の実施態様では、本発明は、少なくとも1つの多型マーカー(例えば、本願明細書記載のマーカー)の少なくとも1つの対立遺伝子を検出することによる、乳癌に対する感受性の診断方法である。本発明は、それによって特定のマーカーまたはハプロタイプの特定の対立遺伝子の検出が乳癌に対する感受性を示す方法について記載する。このような予後のアッセイまたは予測的なアッセイはまた、乳癌の症状の発生前の被験者の予防的な治療の判定に使用され得る。本発明は、いくつかの実施態様では、診断の臨床的適用の方法、例えば、医療専門家によって行われる診断に関する。他の実施態様では、本発明は、素人によって行われる感受性の診断方法または判定方法に関する。近年の遺伝子型の同定技術の技術的進歩(SNPマーカーの高処理の遺伝子型の同定(分子反転プローブアレイ技術(例えば、Affymetrix遺伝子チップ)など)、およびビーズアレイ技術(例えば、イルミナ(Illumina)GoldenGateアッセイおよびInfiniumアッセイ)を含む)は、個体が、彼ら自身のゲノムが最大100万のSNPについて同時に、相対的に低い費用で、評価されることを可能にする。得られた遺伝子型の情報は、当該個体について利用可能となり、様々なSNPに関連する疾病または形質リスクについての公的な文献から得た情報と比較され得る。本願明細書記載の疾病に関連する対立遺伝子の診断の適用は、従って、当該個体の遺伝子型のデータの分析を通じて当該個体、または臨床試験の結果に基づいて医療従事者のいずれかによって行われ得る。換言すれば、遺伝的危険率に基づく感受性の診断もしくは評価は、当該個体の遺伝子型についての情報および様々な危険因子についての出版物に基づいて、医療従事者、遺伝的カウンセラーもしくは素人によってされ得る。本願明細書の文脈では、用語「診断」、「感受性を診断する」および「感受性を判定する」とは、利用可能な診断方法(上記記載のものを含む)のいずれをも指すことを意味する。 さらに、ある他の実施態様では、本発明は、乳癌と診断されていない個体もしくは一般的な集団よりも、乳癌患者に頻繁に表れていない特定の遺伝的マーカー対立遺伝子またはハプロタイプを検出することによる、減少した乳癌に対する感受性についての診断方法、または診断の補助方法に関する。 本願明細書において記載され例証されるように、特定のマーカー対立遺伝子またはハプロタイプ(例えば、rs4848543LDブロック、rs13387042LDブロック、rs3803662LDブロックTEAP3/TSAP6遺伝子内に位置するマーカー、表10、表15、表19、表20、表21および表22に記載されたマーカーおよびハプロタイプならびにそれらと連鎖不平衡のマーカー)は、乳癌に関連する(例えば、全BCおよび/またはMedPre乳癌)。1つの実施態様では、マーカー対立遺伝子またはハプロタイプは、乳癌に対する有意なリスクまたは感受性を与えるものである。別の実施態様では、本発明はヒト個体の乳癌に対する感受性の診断方法に関し、当該方法は、当該個体から得られた核酸試料の、少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在または不存在の判定を含み、当該少なくとも1つの多型マーカーは、rs4848543LDブロック、rs13387042LDブロック、rs3803662LDブロックTEAP3/TSAP6遺伝子内に位置する多型マーカー、表10、表15、表19、表20、表21および表22に記載されたマーカーおよびハプロタイプ、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカー(例えば、r2>0.2と定義される)からなる群から選択される。別の実施態様では、本発明は、少なくとも1つのマーカー対立遺伝子またはハプロタイプ(例えば、rs4848543LDブロック、rs13387042LDブロック、rs3803662LDブロックTEAP3/TSAP6遺伝子内に位置するマーカー、表10、表15、表19、表20、表21および表22に記載されたマーカーおよびハプロタイプ、またはそれらと連鎖不平衡のマーカー)についてのスクリーニングによる、ヒト個体の乳癌に対する感受性の診断方法に関する。別の実施態様では、マーカー対立遺伝子またはハプロタイプは、乳癌を有する、または乳癌に感受性がある被験者(罹患した、例えば、全BCまたはMedPreの乳癌)において、健康な被験者(集団対照などの対照)におけるその存在の頻度に比較して、より頻繁に存在する。別の実施態様では、本発明は、ヒト個体の乳癌に対する感受性の診断方法に関し、当該方法は、当該個体から得られた核酸試料の少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在または不存在の判定を含み、当該少なくとも1つの多型マーカーは、マーカーrs4848543、マーカーrs13387042、マーカーrs3803662、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカーから選択される。ある実施態様では、少なくとも1つのマーカー対立遺伝子またはハプロタイプの関連の有意性は、p値<0.05によって特徴付けられる。他の実施態様では、関連の有意性は、より小さいp値(<0.01、<0.001、<0.0001、<0.00001、<0.000001、<0.0000001、<0.00000001または<0.000000001など)によって特徴付けられる。 これらの実施態様では、少なくとも1つのマーカー対立遺伝子またはハプロタイプの存在は、乳癌に対する感受性を示す。これらの診断の方法は、乳癌に関連する少なくとも1つのマーカー対立遺伝子またはハプロタイプの存在または不存在の判定に関する。本願明細書記載のハプロタイプは、様々な遺伝的マーカー(例えば、SNP、マイクロサテライト)の対立遺伝子の組み合わせを含む。特定のハプロタイプを構成する特定の遺伝的マーカー対立遺伝子の検出は、様々な本願明細書記載の方法および/または当該技術分野で知られた方法によって行われ得る。例えば、遺伝的マーカーは、核酸レベル(例えば、直接のヌクレオチド配列決定または他の当業者に知られた手段による)または、遺伝的マーカーが乳癌に関連する核酸にコードされたタンパク質のコード配列に影響する場合は、アミノ酸レベル(例えば、タンパク質配列決定またはこのようなタンパク質を認識する抗体を使用したイムノアッセイによる)で検出され得る。本発明のマーカー対立遺伝子またはハプロタイプは、乳癌に関連するゲノムDNA配列断片に対応する。このような断片は、問題となっている多型マーカーまたはハプロタイプのDNA配列を含むがまた、マーカーまたはハプロタイプ(例えば、r2値が0.2より大きいおよび/または|D’|値が>0.8と判定されたもの)と強いLD(連鎖不平衡)のDNA分節を含んでいてもよい。 1つの実施態様では、乳癌に対する感受性の診断は、ハイブリダイゼーション方法(サザン分析、ノーザン分析および/またはインサイツハイブリダイゼーションなど)を使用して達成され得る(Current Protocols in Molecular Biology、Ausubel F.ら、編集、John Wiley&Sons参照、全ての補遣を含む)。ゲノムDNA、RNA、もしくはcDNAの、試験の被験者もしくは個体から得られた生物学的試料(「試験試料」)は、乳癌を有する疑いのある被験者、乳癌に対する感受性がある疑いがある被験者、もしくは乳癌に遺伝的な傾向がある疑いがある被験者(「試験被験者」)から得られる。被験者は、成人、子供、または胎児であり得る。試験試料は、ゲノムDNA(血液試料、羊水試料、脳脊髄液試料、または皮膚、筋肉、頬側粘膜もしくは結膜粘膜、胎盤、消化管または他の器官などから得た組織試料)を含むいずれの供給源からでもあり得る。胎児の細胞または組織から得たDNAの試験試料は、適切な方法(羊水穿刺または絨毛採取などによる)によって得られうる。DNA、RNA、またはcDNA試料を次いで試験した。特異的なマーカー対立遺伝子の存在は、特定の対立遺伝子に特異的な核酸プローブの配列特異的なハイブリダイゼーションによって示され得る。より多くの特異的なマーカー対立遺伝子または特異的なハプロタイプの存在は、それぞれ特定の対立遺伝子に特異的ないくつかの配列特異的な核酸プローブを使用することによって示され得る。1つの実施態様では、ハプロタイプは、特異的なハプロタイプに特異的な単一の核酸プローブ(すなわち、当該ハプロタイプの特異的なマーカー対立遺伝子特性を含むDNA鎖に特異的にハイブリダイズする)によって示され得る。配列特異的なプローブは、ゲノムDNA、RNA、またはcDNAにハイブリダイズするように向けられ得る。「核酸プローブ」は、本願明細書で使用されるように、相補的配列にハイブリダイズするDNAプローブまたはRNAプローブであり得る。当業者であれば、配列特異的なハイブリダイゼーションが、特定の対立遺伝子が試験試料のゲノム配列に存在する場合のみに生じるように、このようなプローブを設計する方法を知っているだろう。 乳癌に対する感受性を診断するため、ハイブリダイゼーション試料は、乳癌に関連する核酸(ゲノムDNA試料など)を含む試験試料を、少なくとも1つの核酸プローブに接触させることで形成される。mRNAまたはゲノムDNAを検出するプローブの非限定的な例は、本願明細書記載のmRNAまたはゲノムDNA配列にハイブリダイズできる標識された核酸プローブである。核酸プローブは、例えば、全長の核酸分子、またはその部分(長さが少なくとも15、30、50、100、250または500ヌクレオチドのなどの、適切なmRNAまたはゲノムDNAにストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズするのに十分なオリゴヌクレオチド)であり得る。例えば、核酸プローブは、配列番号4、配列番号5もしくは配列番号6に示された全てもしくは一部のヌクレオチド配列、本願明細書記載のように本願明細書記載のマーカーの少なくとも1つの対立遺伝子を任意に含む、rs4848543LDブロック、rs13387042LDブロック、rs3803662LDブロックおよび/もしくはSTEAP3/TSAP遺伝子のヌクレオチド配列、または本願明細書記載の少なくとも1つのマーカーまたはハプロタイプ(例えば、表10、表15、表19、表20、表21および表22に記載されたマーカーおよびハプロタイプ、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカー)を含むことができ、または、当該プローブはこのような配列の相補的配列であり得る。特定の実施態様では、当該核酸プローブは、配列番号4、配列番号5、もしくは配列番号6に示されたヌクレオチド配列の一部、または本願明細書記載のように本願明細書記載のマーカー(例えば、表10、表15、表19、表20、表21および表22に記載されたマーカーおよびハプロタイプ、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカー)の少なくとも1つの対立遺伝子を任意に含む、rs4848543LDブロック、rs13387042LDブロック、rs3803662LDブロックおよび/もしくはSTEAP3/TSAP6遺伝子のヌクレオチド配列、または本願明細書記載のハプロタイプを含む少なくとも1つの対立遺伝子であり、またはプローブは、このような配列の相補的配列であり得る。本発明の診断のアッセイの使用のための他の適したプローブは、本願明細書に記載される。ハイブリダイゼーションは、当業者に周知の方法(例えば、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubel、F.ら、編集、John Wiley&Sonsを参照、全ての補遣を含む)によって行われ得る。1つの実施態様では、ハイブリダイゼーションは、特異的なハイブリダイゼーション、すなわち、ミスマッチのないハイブリダイゼーション(正確なハイブリダイゼーション)を意味する。1つの実施態様では、特異的なハイブリダイゼーションのハイブリダイゼーション条件は、高いストリンジェンシーである。 特異的なハイブリダイゼーションは、存在する場合は、次いで、標準的な方法を使用して検出される。特異的なハイブリダイゼーションが、試験試料中で核酸プローブと乳癌に関連した核酸との間で生じた場合は、当該試料は当該核酸プローブに存在する当該ヌクレオチドに相補的な対立遺伝子を含む。この工程は、他の本発明のマーカー、または本発明のハプロタイプを構成するマーカーについて繰り返すことができ、または複数のプローブは1以上のマーカー対立遺伝子を同時に検出するために、同時に使用され得る。特定のハプロタイプの1より多くのマーカー対立遺伝子を含む単一のプローブ(例えば、特定のハプロタイプを構成する2、3、4、5または全てのマーカーに相補的な対立遺伝子を含むプローブ)を設計することもまた、可能である。試料中の当該ハプロタイプの特定のマーカーの検出は、試料の供給源が特定のハプロタイプ(例えば、ハプロタイプ)を有し、従って、乳癌に感受性があることを示す。 1つの好ましい実施態様では、Kutyavinら(Nucleic Acid Res.34:e128(2006))によって記載されているように、その3’末端に蛍光部分または基、およびその5’末端に失活剤、およびエンハンサーオリゴヌクレオチドを含む、検出オリゴヌクレオチドプローブを利用する方法が使用される。蛍光部分は、Gig Harbor GreenまたはYakima Yellow、または他の適した蛍光部分であり得る。検出プローブは、検出されるSNP多型を含む短いヌクレオチド配列にハブリダイズするように設計される。好ましくは、SNPは、末端残基から、当該検出プローブの3’末端から−6残基のどこでもよい。エンハンサーは、当該検出プローブに対して3’の鋳型DNAにハイブリダイズする短いオリゴヌクレオチドプローブである。当該検出プローブと当該エンハンサーヌクレオチドプローブとが当該鋳型に結合すると、両方の間に単一のヌクレオチドのギャップが存在するように、当該プローブが設計される。ギャップは、エンドヌクレアーゼ(エンドヌクレアーゼIVなど)によって認識される合成の脱塩基の部位を作る。酵素は、色素を完全に相補的な検出プローブから切断するが、ミスマッチを含む検出プローブを切断することはできない。従って、放出された蛍光部分の蛍光を測定することで、検出プローブのヌクレオチド配列によって定義される特定の対立遺伝子の存在の評価を行い得る。 検出プローブは、いずれの適したサイズでもあり得るが、好ましくは当該プローブは相対的に短い。1つの実施態様では、当該プローブは長さが5〜100ヌクレオチドである。別の実施態様では、当該プローブは、長さが10〜50ヌクレオチドである。別の実施態様では、当該プローブは、長さが12〜30ヌクレオチドである。プローブの他の長さも可能であり、当業者の技能の範囲内である。 好ましい実施態様では、SNP多型を含む鋳型DNAは、検出の前にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅される。このような実施態様では、増幅したDNAは、当該検出プローブおよび当該エンハンサープローブの鋳型として役立つ。 検出プローブのある実施態様は、PCRによる鋳型の増幅に使用される当該エンハンサープローブおよび/または当該プライマーは、修飾塩基(修飾されたAおよび修飾されたGを含む)の使用を含む。修飾塩基の使用は、ヌクレオチド分子(プローブおよび/またはプライマー)の融解温度を鋳型DNAに調整することに対して有用であり得、例えば、3つの水素結合をその相補的Tに形成できる修飾されたAが使用され得る低い割合のGもしくはC塩基を含む領域の融解温度を高めるため、または、例えば、2つの水素結合のみを二本鎖DNA分子中のその相補的C塩基に形成する修飾されたG塩基を使用することによって、高い割合のGまたはC塩基を含む領域の融解温度を下げるため、有用であり得る。好ましい実施態様では、修飾塩基は、検出ヌクレオチドプローブの設計において使用される。当業者に知られたいずれの修飾塩基がこれらの方法において選択され得、適した塩基の選択は、本願明細書の教示および当業者に知られた市販の供給源からの公知の利用可能な塩基に基づき、当業者の範囲内である。 別のハイブリダイゼーション方法では、ノーザン分析(Current Protocols in Molecular Biology、Ausubel、F.ら、編集、John Wiley&Sons参照、上記参照)が乳癌に関連する多型性の存在を同定するために使用される。ノーザン分析について、RNAの試験試料は、適切な手段によって被験者から入手される。本願明細書記載のように、被験者から得られたRNAへの核酸プローブの特異的なハイブリダイゼーションは、当該プローブに相補的な特定の対立遺伝子を示す。核酸プローブの使用の代表的な例については、例えば、米国特許第5,288,611号明細書および米国特許第4,851,330号明細書を参照。 さらに、または、代わりに、ペプチド核酸(PNA)プローブは、本願明細書記載の方法のハイブリダイゼーションの核酸プローブに加えて、または本願明細書記載の方法のハイブリダイゼーションの核酸プローブの代わりに使用され得る。PNAは、ペプチド様の無機の主鎖を有するDNA模倣体である(有機の塩基(A、G、C、TまたはU)が、メチレンカルボニルリンカーを介してグリシンの窒素に結合しているN−(2−アミノエチル)グリシンユニットなど)(例えば、Nielsen、P.ら、Bioconjug.Chem.5:3〜7(1994)参照)。PNAプローブは、乳癌に関連する1または複数のマーカー対立遺伝子またはハプロタイプを含む疑いのある試料中の分子に特異的にハイブリダイズするように設計され得る。PNAプローブのハイブリダイゼーションは、従って、乳癌または乳癌に対する感受性を診断できる。 本発明の1つの実施態様では、被験者から入手されたゲノムDNAを含む試験試料は収集され、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が本発明の1または複数のマーカーまたはハプロタイプを含む断片を増幅するために使用される。本願明細書記載のように、乳癌に関連する特定のマーカー対立遺伝子またはハプロタイプの同定は、様々な方法(例えば、配列分析、制限消化による分析、特異的なハイブリダイゼーション、一本鎖高次構造多型分析(SSCP)、電気泳動分析、など)を使用して達成され得る。別の実施態様では、診断は、定量的PCR(動力学的熱サイクル)を使用した発現分析によって達成される。当該技法は、例えば、市販の技術(TaqMan(登録商標)(アプライドバイオシステムズ社(Applied Biosystems)、カリフォルニア州、フォスターシティーなど)を利用し得る。当該技法は、乳癌に関連する核酸にコードされた発現またはポリペプチドの構成またはスプライシングの変異(単数または複数)の変化の存在を評価できる。さらに、変異(単数または複数)の発現は、物理的に数量化され得るかまたは機能的に異なり得る。 別の本発明の方法では、制限消化による分析は、対立遺伝子が参照配列に関連する制限部位の創造または除去をもたらす場合、特定の対立遺伝子の検出に使用され得る。制限断片長多型(RFLP)分析は、例えば、Current Protocols in Molecular Biology(上記参照)に記載のように行うことができる。関連するDNA断片の消化様式は、試料中の特定の対立遺伝子の存在または不存在を示す。 配列分析はまた、乳癌に関連する多形性部位の特異的な対立遺伝子の検出に使用され得る(例えば、表10、表15、表19、表20、表21および/または表22の多型マーカーおよびハプロタイプ、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカー)。従って、1つの実施態様では、特定のマーカー対立遺伝子またはハプロタイプの存在または不存在の判定は、被験者または個体から得られたDNAまたはRNAの試験試料の配列分析を含む。PCRまたは他の適切な方法は、一部の乳癌に関連する核酸の増幅に使用され得、特異的な対立遺伝子の存在は、次いで、試料中のゲノムDNAの多形性部位(またはハプロタイプの複数の多形性部位)の配列決定によって直接的に検出され得る。 対立遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドはまた、対立遺伝子特異的なオリゴヌクレオチド(ASO)プローブと増幅したオリゴヌクレオチドのドットブロットハイブリダイゼーションを使用して、乳癌に関連した核酸(例えば、表10、表15、表19、表20、表21および表22の多型マーカーおよびハプロタイプならびにそれらと連鎖不平衡のマーカー)の特定の対立遺伝子の存在を検出するために使用され得る(例えば、Saiki R.ら、Nature、324:163〜166(1986)参照)。「対立遺伝子特異的なオリゴヌクレオチド」(本願明細書では「対立遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドプローブ」とも呼ばれる)は、約10〜50塩基対または約15〜30塩基対のオリゴヌクレオチドであり、乳癌に関連した核酸に特異的にハイブリダイズし、多形性部位に特異的な対立遺伝子を含む(例えば、本願明細書記載のマーカーまたはハプロタイプ)。1または複数の特定の乳癌に関連した核酸に特異的な対立遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドプローブは、標準的な方法(例えば、Current Protocols in Molecular Biology参照、上記参照)を使用して調製され得る。PCRは、所望の領域を増幅するために使用され得る。増幅した領域を含むDNAは、標準的な方法(例えば、Current Protocols in Molecular Biology参照、上記参照)を使用してドットブロットされ得、ブロットは、オリゴヌクレオチドプローブと接触され得る。増幅した領域へのプローブの特異的なハイブリダイゼーションの存在を、次いで、検出し得る。被験者から得たDNAへの対立遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドプローブの特異的なハイブリダイゼーションは、乳癌に関連する多形性部位の特異的な対立遺伝子を示す(例えば、Gibbs、R.ら、Nucleic Acids Res.、17:2437〜2448(1989)および国際公開第93/22456号パンフレット参照)。 ロックド核酸(LNA)のようなこのような類似体に加え、プライマーおよびプローブのサイズは、8塩基程度に減少され得る。LNAは、フラノース環中の2’および4’位が、O−メチレン(オキシLNA)、S−メチレン(チオLNA)、またはアミノメチレン(アミノLNA)部分を介して結合している、二環式DNA類似体の新規なクラスある。全てのこれらのLNA変異に共通していることは、DNA類似体について報告されているうち、これまでのところ最も高い、相補的核酸に対する親和性である。例えば、特定の全オキシLNA九量体は、対応するDNA九量体についてDNAおよびRNAの両方が28℃であるのと対照的に、相補的DNAまたはRNAとの複合体であるとき、それぞれ、64℃および74℃の融解温度(Tm)を有することが示された。Tmの実質的な上昇はまた、LNAモノマーが標準的なDNAまたはRNAモノマーと組み合わされて使用されるときに得られる。プライマーおよびプローブについては、LNAモノマーがどこに含まれているかに依存し(例えば、3’末端、5’末端、またはその中間)、Tmはかなり上昇され得る。 別の実施態様では、被験者から得た標的の核酸配列の分節に相補的なオリゴヌクレオチドプローブのアレイは、乳癌に関連する核酸(例えば、表10、表15、表19、表20、表21および表22の多型マーカーおよびハプロタイプならびにそれらと連鎖不平衡のマーカー)の多型性を同定するための使用され得る。例えば、オリゴヌクレオチドアレイが使用され得る。オリゴヌクレオチドアレイは、典型的には、異なる公知の部位の基質の表面に結合される多数の異なるオリゴヌクレオチドプローブを含む。これらのオリゴヌクレオチドアレイはまた、「Genechips(商標)」として記載され、一般的に、当該技術分野において記載される(例えば、米国特許第5,143,854号明細書、国際公開第90/15070号パンフレットおよび国際公開第92/10092号パンフレットを参照)。これらのアレイは、一般的に、フォトリソグラフィー法および固相オリゴヌクレオチド合成法の組み合わせを取り込んだ機械的合成方法の使用、または当業者に知られた他の方法(例えば、Fodor S.ら、Science、251:767−773(1991);Pirrungら、米国特許第5,143,854号明細書(国際公開第90/15070号パンフレットも参照);およびFodor.S.ら、国際公開第92/10092号パンフレットおよび米国特許第5,424,186号明細書(それぞれの全体の教示を参照によって本願明細書に援用する)を参照によって、作製され得る。機械的合成方法を使用したこれらのアレイの合成のための技法は、例えば、米国特許第5,384,261号明細書に記載され、その全体の教示を参照によって本願明細書に援用する。別の例では、リニアアレイを利用し得る。 一度オリゴヌクレオチドアレイが調製されると、興味ある核酸は、当該アレイとハイブリダイズされ得る。ハイブリダイゼーションの検出は、興味ある核酸中の特定の対立遺伝子の検出である。ハイブリダイゼーションおよび走査は、一般的に、本願明細書記載の方法または他の当業者に知られた方法(例えば、公開された国際公開第92/10092号パンフレットおよび国際公開第95/11995号パンフレット、および米国特許第5,424,186号明細書に記載されており、それぞれの全体の教示は参照によって本願明細書に援用される)によって行われる。手短に言えば、標的核酸配列は、1または複数の以前に同定された多型マーカーを含み、周知の増幅技法によって増幅される(例えば、PCR)。典型的には、これは、標的配列の2つの鎖(多形性部位から上流および下流の両方)に相補的なプライマー配列の使用に関連する。非対称PCR技法もまた使用され得る。増幅した標的は、一般的に標識を組み込み、次いで、配列特異的にハイブリダイゼーションさせる適切な条件下で、アレイとハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーションを完了させ、当該アレイを洗浄し、当該アレイは、標的配列がハイブリダイズしたアレイ上の位置を判定するため走査される。当該走査から得られたハイブリダイゼーションデータは、典型的には、当該アレイの部位の関数としての蛍光強度の形態にある。 主に、単一の検出ブロック(例えば、単一の多形性部位の検出のため)の観点から記載されるが、アレイは、複数の検出ブロックを含み、従って、複数の、特異的な多型性(例えば、特定のハプロタイプの複数の多型性)の分析が可能である。代わりの配置では、一般的に、検出ブロックは、単一のアレイまたは複数の別々のアレイ内に一団にされ、そのため異なる、至適条件走査が当該アレイへの標的のハイブリダイゼーションの間に使用され得ることが理解されるだろう。例えば、ゲノム配列のGCリッチの配列に含まれる多型性を、ATリッチの分節を含むものから分離して検出するように提供することがしばしば望ましいだろう。これにより、各状況についてのハイブリダイゼーション条件の別々の最適化が可能になる。 多型性の検出のためのオリゴヌクレオチドアレイの使用についてのさらなる記載は、例えば、米国特許第5,858,659号明細書および米国特許第5,837,832号明細書に見出され得、両文献の全体の教示は参照によって本願明細書に援用する。 当業者に利用可能な核酸分析の他の方法は、乳癌に関連する多形性部位の特定の対立遺伝子を検出するために使用され得る(例えば、表10、表15、表19、表20、表21および表22の多型マーカーおよびハプロタイプ、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカー)。代表的な方法は、例えば、直接のマニュアル配列決定(ChurchおよびGilbert、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:1991〜1995(1988);Sanger F.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、74:5463〜5467(1977);Beavisら、米国特許第5,288,644号明細書);自動化した蛍光配列決定;一本鎖高次構造多型性アッセイ(SSCP);クランプ変性ゲル電気泳動(clamped denaturing gel electrophoresis)(CDGE);変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)(Sheffield V.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86:232〜236(1989))、移動度シフトアッセイ(Orita M.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86:2766〜2770(1989))、制限酵素解析(Flavell R.ら、Cell、15:25〜41(1978);Geever R.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、78:5081〜5085(1981));ヘテロ二本鎖分析;化学的ミスマッチ切断(chemical mismatch cleavage)(CMC)(Cotton R.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85:4397〜4401(1985));リボヌクレアーゼプロテクションアッセイ(Myers R.ら、Science、230:1242〜1246(1985);ヌクレオチドのミスマッチを認識するポリペプチド(E.coli mutSタンパク質など)の使用;および対立遺伝子特異的なPCRを含む。 本発明の別の実施態様では、乳癌の診断または乳癌に対する感受性の診断は、本発明の遺伝的マーカー(単数または複数)もしくはハプロタイプ(単数または複数)がポリペプチドの構成もしくは発現の変化をもたらす例における乳癌に関連した核酸によってコードされたポリペプチドの発現および/または構成を試験することでなされ得る。従って、乳癌に対する感受性の診断は、これらのポリペプチドの1つ、または、当該ポリペプチドの構成または発現の変化をもたらす例における本発明の遺伝的マーカーもしくはハプロタイプの別の乳癌に関連した核酸にコードされたポリペプチドの発現および/または構成を試験することによってなされ得る。乳癌への関連を示すハプロタイプおよび本発明のマーカーは、1または複数のこれらの近くの遺伝子へのその影響を通じて役割を果たしているのかも知れない。これらの遺伝子に影響する可能性のある機構は、例えば、転写への効果、RNAスプライシングへの効果、mRNAの別のスプライシングの形態の相対的な量の変化、RNAの安定性への効果、核から細胞質への輸送への効果、ならびに翻訳の効率および正確性への効果を含む。 従って、別の実施態様では、乳癌への関連を示す本発明の変異(マーカーまたはハプロタイプ)は、近くの遺伝子の発現に影響する。遺伝子発現に影響する調節エレメントは、遺伝子のプロモーター領域から数十塩基または数百塩基でさえ離れて位置しているかも知れないことは周知である。本発明の少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在または不存在をアッセイすることによって、このような近くの遺伝子の発現レベルを評価できる。従って、本発明のマーカーまたはハプロタイプの検出は、1または複数のSTEAP3/TSAP6、LOC643714、およびTNRC9遺伝子の発現の評価に使用され得ると考えられる。 酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ウエスタンブロット、免疫沈降および免疫蛍光を含む、様々な方法がタンパク質発現レベルの検出に使用され得る。被験者から得た試験試料は、発現の変化および/または乳癌に関連した核酸にコードされたポリペプチドの構成の変化の存在について評価される。乳癌に関連した核酸にコードされたポリペプチドの発現の変化は、例えば、定量的ポリペプチドの発現の変化(すなわち、産生されたポリペプチドの量)であり得る。乳癌に関連した核酸によってコードされたポリペプチドの構成の変化は、定性的なポリペプチドの発現の変化(例えば、変異ポリペプチドの発現または異なるスプライシング変異の発現)である。1つの実施態様では、乳癌に対する感受性の診断は、乳癌に関連する核酸によってコードされた特定のスプライシング変異、またはスプライシング変異の特定の様式の検出によってなされる。 このような変化の両方(定量的かつ質的)もまた、存在し得る。ポリペプチドの発現または構成の「変化」は、本願明細書で使用されるように、対照試料の乳癌に関連した核酸にコードされたポリペプチドの発現または構成に比較した、試験試料の発現または構成の変化を意味する。対照試料は、試験試料に対応する試料(例えば、同様のタイプの細胞からもの)であり、乳癌に罹患していない被験者および/または乳癌に対する感受性を有さない被験者から得たものである。1つの実施態様では、対照試料は、本願明細書記載のマーカー対立遺伝子またはハプロタイプを有さない被験者から得たものである。同様に、対照試料と比較した、試験試料における1または複数の異なるスプライシング変異の存在、または試験試料における著しく異なる量の異なるスプライシング変異の存在は、乳癌に対する感受性を示し得る。対照試料と比較した、試験試料におけるポリペプチドの発現または構成の変化は、対立遺伝子が対照試料における参照に関連するスプライシングの部位を変化させる実施例における、特異的な対立遺伝子を示し得る。乳癌に関連した核酸によってコードされたポリペプチドの発現または構成を試験する様々な手段が使用され得、分光法、比色分析、電気泳動、等電点電気泳動、および、イムノブロッティング(例えば、Current Protocols in Molecular Biology、特に10章、上記参照)などの、イムノアッセイ(例えば、Davidら、米国特許第4,376,110号明細書)を含む。 例えば、1つの実施態様では、乳癌に関連した核酸にコードされたポリペプチドに結合できる抗体(例えば、検出可能な標識を有する抗体)が使用され得る。抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得る。インタクトな抗体、またはその断片(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2)が使用され得る。用語「標識された」は、プローブまたは抗体に関し、検出可能な物質をプローブまたは抗体に結合することによって(すなわち、物理的に連結することによって)プローブまたは抗体を直接的に標識すること、および直接的に標識された別の試薬との反応性によってプローブまたは抗体を間接的に標識することを含むことが意図される。間接的な標識の例は、標識された2次抗体(例えば、蛍光標識された2次抗体)を使用した1次抗体の検出、および蛍光標識されたストレプトアビジンによって検出され得るようにビオチンによるDNAプローブの末端標識を含む。 当該方法の1つの実施態様では、試験試料中の乳癌に関連する核酸(例えば、STEAP3/TSAP6、LOC643714またはTNRC9遺伝子をコードする核酸)にコードされたポリペプチドのレベルまたは量は、対照試料中のポリペプチドのレベルまたは量と比較される。対照試料中のポリペプチドのレベルまたは量よりもより高く、またはより低く、そのため、相違が統計的に有意な試験試料中のポリペプチドのレベルまたは量は、核酸によってコードされたポリペプチドの発現の変化を示し、これは発現の相違を引き起こす原因となる特定の対立遺伝子またはハプロタイプであると診断される。代わりに、試験試料中のポリペプチドの構成は、対照試料のポリペプチドの構成と比較される。別の実施態様では、ポリペプチドのレベルまたは量ならびに構成の両方は、試験試料および対照試料において評価され得る。 別の実施態様では、乳癌に対する感受性の診断は、少なくとも1つの本発明のマーカーまたはハプロタイプ(例えば、表10、表15、表19、表20、表21および表22のマーカーおよびハプロタイプならびにそれらと連鎖不平衡のマーカーの関連する対立遺伝子)を、さらに、タンパク質に基づいたアッセイ、RNAに基づいたアッセイまたはDNAに基づいたアッセイと組み合わせて検出することによってなされる。本発明の方法はまた、被験者の家族歴および危険因子(例えば、環境的な危険因子、生活スタイルの危険因子)の分析と組み合わせて使用され得る。 (キット) 本発明の方法において有用なキットは、本願明細書記載の方法のいずれにおいても有用な要素を含み、例えば、ハイブリダイゼーションプローブ、制限酵素(例えば、RFLP分析のため)、対立遺伝子特異的なオリゴヌクレオチド、本願明細書記載の本発明の核酸によってコードされた変化したポリペプチド(例えば、本発明の少なくとも1つの多型マーカーおよび/またはハプロタイプを含むゲノム分節)、または変化していない(ネイティブな)本願明細書記載の本発明の核酸によってコードされたポリペプチドに結合する抗体、乳癌に関連する核酸を増幅する手段、乳癌に関連する核酸の核酸配列を分析する手段、乳癌に関連する核酸によってコードされたポリペプチドのアミノ酸配列を分析する手段、などを含む。キットは、例えば、必要なバッファー、本発明の核酸を増幅する核酸プライマー(例えば、1または複数の本願明細書記載の多型マーカー)、ならびにこのようなプライマーおよび必要な酵素を使用して増幅した断片の対立遺伝子特異的な検出のための試薬(例えば、DNAポリメラーゼ)を含み得る。さらに、キットは、本発明の方法と組み合わせて使用されるアッセイのための試薬、例えば、乳癌の診断のアッセイと使用するための試薬を提供し得る。 1つの実施態様では、本発明は、被験者における乳癌または乳癌の感受性の存在を検出するために、被験者から得られた試料をアッセイするためのキットであり、当該キットは、当該個体のゲノムにおける少なくとも1つの本発明の多型の少なくとも1つの対立遺伝子を選択的に検出するために必要な試薬を含む。特定の実施態様では、当該試薬は、少なくとも1つの本発明の多型を含む当該個体のゲノムの断片にハイブリダイズする少なくとも1つの近接するオリゴヌクレオチドを含む。別の実施態様では、当該試薬は、被験者から得られたゲノム分節の逆ストランドにハイブリダイズする少なくとも1対のオリゴヌクレオチドを含み、各オリゴヌクレオチドプライマー対は少なくとも1つの多型を含む当該個体のゲノムの断片を選択的に増幅するように設計され、当該多型は表10、表15、表19、表20、表21および表22に記載された多型、ならびにそれらと連鎖不平衡の多型マーカーからなる群から選択される。さらに別の実施態様では、当該断片は、サイズが少なくとも20塩基対である。このようなオリゴヌクレオチドまたは核酸(例えば、オリゴヌクレオチドプライマー)は、乳癌を示す多型に隣接する核酸配列(例えば、SNPまたはマイクロサテライト)の部分を使用して設計され得る。別の実施態様では、当該キットは、乳癌に関連する1または複数の特異的な多型マーカーまたはハプロタイプを対立遺伝子特異的に検出できる1または複数の標識された核酸、および当該標識の検出のための試薬を含む。適した標識は、例えば、放射性同位元素、蛍光標識、酵素標識、酵素共因子標識、磁性標識、スピン標識、エピトープ標識を含む。 特定の実施態様では、当該キットの試薬によって検出される当該多型マーカーまたはハプロタイプは、表10、表15、表19、表20、表21および表22のマーカーからなる群から選択される1つ以上のマーカー、2つ以上のマーカー、3つ以上のマーカー、4つ以上のマーカーまたは5つ以上のマーカーを含む。1つの実施態様では、検出されるマーカーは表10、表15または表19のマーカーから選択される。1つの実施態様では、検出されるマーカーは表10のマーカーから選択される。別の実施態様では、検出されるマーカーは、表15のマーカーから選択され、別の実施態様では、検出されるマーカーは、表19のマーカーから選択される。好ましい実施態様では、検出されるマーカーは、rs4848543、rs13387042および/またはrs3803662である。他の好ましい実施態様は、マーカーrs4848543を検出するための試薬を含む態様、マーカーrs13387042を検出する試薬を含む態様、およびマーカーrs3803662を検出する試薬を含む態様を含む。別の実施態様では、検出されるマーカーまたはハプロタイプは、0.2より大きいr2値によって定義される、表10、表15、表19、表20、表21および表22に記載されたマーカーからなるマーカー群の少なくとも1つと強い連鎖不平衡のマーカー群のうちの少なくとも1つのマーカーを含む。さらに別の実施態様では、検出されるマーカーまたはハプロタイプは、マーカーrs4848543、rs13387042およびrs3803662、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカーからなるマーカー群から選択される少なくとも1つのマーカーを含む。 このような実施態様の1つは、当該マーカーまたはハプロタイプの存在は、乳癌に対する感受性(増加した感受性または減少した感受性)を示す。別の実施態様では、マーカーは、rs4848543対立遺伝子A、rs13387042対立遺伝子Aおよび/またはrs3803662対立遺伝子Tであり、その存在は乳癌について増加したリスクを示す(例えば、全BCおよび/またはMedPreの乳癌)。さらに別の実施態様では、当該マーカーまたはハプロタイプの存在は、乳癌の治療薬に対する反応を示す。別の実施態様では、マーカーまたはハプロタイプの存在は、乳癌予後診断を示す。さらに別の実施態様では、マーカーまたはハプロタイプの存在は、乳癌治療の進行を示す。このような治療は、手術、薬物療法、放射線療法または他の手段(例えば、生活スタイルの変化)による介入を含んでいてもよい。 (本発明の多型に関連する乳癌の診断) 診断方法は、一般的に、乳癌に対する感受性の診断の構成において記載されているが、当該方法はまた、本発明の多型マーカーに関連する乳癌を診断するために使用され得る。例えば、乳癌または乳癌に関連する危険因子を有する個体はまた、本発明の多型またはハプロタイプの個体における存在が、当該個体の乳癌の因子に寄与し得ていたかどうかの判定をするために評価し得る。1つの実施態様では、本発明のマーカーおよび/またはハプロタイプに関連する乳癌の同定は治療計画を促進する。例えば、個体の乳癌の発生を最小限にする予防的治療が管理され得る。このような予防的治療はまた、個体が本発明のリスクのある変異についてヘテロ接合またはホモ接合であるかどうかについての評価を含み得る。本発明の他の実施態様では、本発明の多型および/またはハプロタイプに関連する適切な遺伝子またはタンパク質を標的にするように、治療は設計され治療学が選択され得る。 他の実施態様では、本発明は、本願明細書に詳細に記載されているように、本発明の多型マーカーまたはハプロタイプの存在を同定することによって、被験者において本発明の多型に関連する乳癌の診断および同定の方法に関する。例えば、本願明細書記載の多型マーカーおよび/またはハプロタイプは、乳癌に罹患していない被験者よりも、より頻繁に乳癌の被験者において見出される。従って、これらのマーカーおよび/またはハプロタイプは、乳癌の診断の予測値を有する。1つの実施態様では、乳癌を検出する予測値を有するマーカーまたはハプロタイプは、表10、表15、表19、表20、表21および表22のマーカーからなる群から選択される1または複数のマーカーを含む。別の実施態様では、乳癌を診断する予測値を有するマーカーは、マーカーrs4848543、rs13387042およびrs3803662、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカーから選択される。 別の実施態様では、乳癌を診断する予測値を有するマーカー対立遺伝子は、rs4848543対立遺伝子A、rs13387042対立遺伝子A、およびrs3803662対立遺伝子T、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカーを含む。 本願明細書記載の方法は、従って、被験者から得た試料を、マーカー、またはハプロタイプの特異的な対立遺伝子の存在または不存在について評価するために使用され得る。マーカー、またはハプロタイプの特異的な対立遺伝子の存在または不存在は、乳癌に対する感受性を示す。 本発明の1つの実施態様では、本発明の多型および/またはハプロタイプに関連する乳癌の診断は、本発明の多型を検出することでなされる。特定の多型は本願明細書に記載されている(例えば、表10、表15、表19、表20、表21および表22、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカー参照)。ゲノムDNA、RNA、またはcDNAの試験試料は、疾病が本発明の1または複数の多型性に関連するかどうかを判定するために、乳癌を有する被験者から入手される。DNA、RNAまたはcDNA試料は、次いで、本発明の多型または特異的なハプロタイプの特異的な対立遺伝子が当該試料に存在することが見出されるかどうかについて判定するために試験される。核酸試料が、多型またはハプロタイプの特異的な対立遺伝子を含むことが見出された場合、対立遺伝子またはハプロタイプの存在は、多型および/またはハプロタイプに関連する乳癌を示す。 ハイブリダイゼーション法(サザン分析、ノーザン分析、定量的PCR、インサイツハイブリダイゼーション、制限消化または配列分析など)を含むがこれに制限されない、当業者に知られた方法が多型を検出するために使用され得る。本発明の多型に関連する乳癌の診断はまた、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ウエスタンブロット、免疫沈降および免疫蛍光、または他の当業者に周知の方法を含む様々な方法を使用して、本発明の多型に関連する核酸によってコードされたポリペプチドの発現および/または構成を試験することによってなされ得る。 (治療薬) 本発明の変異(例えば、本発明のマーカーおよび/またはハプロタイプ、例えば、表10、表15および表19のいずれか1つに記載されたマーカー)は、乳癌の新規な治療上の標的を同定するために使用され得る。例えば、乳癌に関連する変異(マーカーおよび/もしくはハプロタイプ)を含む遺伝子、もしくは当該変異と連鎖不平衡の遺伝子、またはこれらの生成物(例えば、1または複数のSTEAP3/TSAP6遺伝子、LOC643714遺伝子、および/またはTNRC9遺伝子)、ならびにこれらの変異遺伝子もしくはその産物によって直接もしくは間接的に制御され、または相互作用する遺伝子またはこれらの生成物は、乳癌を治療する治療薬の開発の標的にされ得る。治療薬は、1または複数の、例えば、小さい非タンパク質分子および非核酸分子、タンパク質、ペプチド、タンパク質断片、核酸(DNA、RNA)、PNA(ペプチド核酸)、または標的遺伝子もしくはこれらの遺伝子産物の機能および/もしくはレベルを調節できるこれらの誘導体もしくは模倣薬を含んでいてもよい。 本発明の核酸および/もしくは変異、またはこれらの相補的配列を含む核酸は、細胞、組織もしくは器官における遺伝子発現を制御するためのアンチセンス構築物として使用されてもよい。アンチセンス技法に関連する方法論は当業者に周知であり、AntisenseDrug Technology: Principles, Strategies, and Applications、Crooke、編集、Marcel Dekker Inc.、New York(2001)において記載され、概説されている。通常は、アンチセンス核酸分子は、遺伝子によって発現されたmRNAのある領域に相補的となるように設計され、そのため、アンチセンス分子はmRNAにハイブリダイズし、従って、mRNAがタンパク質に翻訳されるのをブロックする。アンチセンスオリゴヌクレオチドのいくつかのクラスは当業者に公知であり、切断するもの(cleavers)およびブロックするもの(blockers)を含む。前者は標的RNA部位に結合し、標的RNAを切断する細胞内ヌクレアーゼ(例えば、リボヌクレアーゼHまたはリボヌクレアーゼL)を活性化する。ブロックするものは、標的RNAに結合し、リボソームの立体的な障害によってタンパク質の翻訳を阻害する。ブロックするものの例は、核酸、モルフォリノ化合物、ロックド核酸およびメチルホスホン酸を含む(Thompson、Drug Discovery Today、7:912〜917(2002))。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、治療薬として直接的に有用であり、また、例えば、遺伝子ノックアウトまたは遺伝子ノックダウン実験によって、遺伝子機能を判定し、検証するのに有用である。アンチセンス技術は、さらに、Laveryら、Curr.Opin.Drug Discov.Devel.6:561〜569(2003)、Stephens ら、Curr.Opin.Mol.Ther.5:118〜122(2003)、Kurreck、Eur.J.Biochem.270:1628〜44(2003)、Diasら、Mol.Cancer Ter.1:347〜55(2002)、Chen、Methods Mol.Med.75:621〜636(2003)、Wangら、Curr.Cancer Drug Targets 1:177〜96(2001)、およびBennett、アンチセンス Nucleic Acid Drug.Dev.12:215〜24(2002)に記載される。 本願明細書記載の変異は、特定の変異に特異的なアンチセンス試薬の選択および設計に使用され得る。本願明細書記載の変異についての情報を使用し、本発明の1または複数の変異を含むmRNA分子を特異的に標的にするアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは他のアンチセンス分子が設計され得る。このようにして、1または複数の本発明の変異(マーカーおよび/またはハプロタイプ)を含むmRNA分子の発現は、阻害またはブロックされ得る。1つの実施態様では、アンチセンス分子は、特定の対立形質の形態(すなわち、標的の核酸の1またはのいくつかの変異(対立遺伝子および/またはハプロタイプ))であって、それによって当該特異的な対立遺伝子またはハプロタイプに起因する生成物の翻訳を阻害するが、標的核酸分子の特異的な多形性部位の他のまたは代わりの変異に結合しないものに特異的に結合するように設計される。 アンチセンス分子は、遺伝子発現、従ってタンパク質発現を阻害するために、mRNAを不活性化するために使用され得るため、当該分子は乳癌の治療に使用され得る。この方法論は、翻訳されるmRNAの能力を減弱するmRNAの1または複数の領域に相補的なヌクレオチド配列を含むリボザイムによる切断を含むことができる。このようなmRNA領域は、例えば、タンパク質をコードする領域、特に触媒活性、基質および/またはリガンド結合部位、またはタンパク質の他の機能的領域に対応するタンパク質をコードする領域を含む。 RNA干渉(RNAi)の現象は、C.elegans(Fireら、Nature 391:806〜11(1998))でのその最初の発見から過去10年間で活発に研究されており、近年、ヒト疾病の治療におけるその有望な使用が、活発に探究されている(Kim&Rossi、Nature Rev.Genet.8:173〜204における概説(2007))。RNA干渉(RNAi)はまた、遺伝子サイレンシングとも呼ばれ、特異的な遺伝子を遮断するための二本鎖RNA分子(dsRNA)の使用に基づく。細胞では、細胞質二本鎖RNA分子(dsRNA)は、細胞の複合体によって、小さい干渉RNA(siRNA)と処理される。siRNAは、標的mRNA上の特異的な部位へとタンパク質とRNAの複合体のターゲティングを導き、mRNAの切断を引き起こす(Thompson、Drug Discovery Today、912〜917(2002))。siRNA分子は、典型的には、長さが約20、21、22または23ヌクレオチドである。従って、本発明の1つの態様は、単離した核酸分子、およびRNA干渉のためのこれらの分子、すなわち小さい干渉するRNA分子(siRNA)としての使用に関する。1つの実施態様では、単離した核酸分子は長さが18〜26ヌクレオチド、好ましくは長さが19〜25ヌクレオチド、より好ましくは長さが20〜24ヌクレオチド、およびより好ましくは長さが21、22または23ヌクレオチドである。 RNAiを介した遺伝子サイレンシングの別の経路は、miRNA前駆物質(pre−miRNA)を生じるために細胞内で処理される、内因的にコードされた原発性マイクロRNA(pri−miRNA)転写物に始まる。これらのmiRNA分子は、核から細胞質に輸送され、そこでこれらは成熟したmiRNA分子(miRNA)を生じるための処理を経て、mRNAの3’の非翻訳領域の標的部位を認識することによって翻訳の阻害に方向付けられ、引き続いて、P体(P−bodies)の処理によってmRNAが分解する(Kim&Rossi、Nature Rev.Genet.8:173〜204(2007)における概説)。 RNAiの臨床的適用は、好ましくはサイズが約20〜23ヌクレオチド、および好ましくは2ヌクレオチドの3’重複を有する合成二本鎖siRNAのを組み入れることを含む。遺伝子発現のノックダウンは、標的mRNAの配列特異的な設計によって確立される。このような分子の至適な設計および合成のためのいくつかの市販の部位は、当業者に知られている。 他の適用例は、より長いsiRNA分子(典型的には長さが25〜30ヌクレオチド、好ましくは約27ヌクレオチド)、および小さいヘアピンRNA(shRNA;典型的には長さが約29ヌクレオチド)を提供する。後者は、Amarzguiouiら(FEBS Lett.579:5974〜81(2005))が記載しているように、自然に発現される。化学的に合成したsiRNAおよびshRNAは、in vivoでの処理のための基質であり、いくつかの場合では、より短い設計よりも、強力な遺伝子サイレンシングを提供する(Kimら、Nature Biotechnol.23:222〜226(2005);Siolasら、Nature Biotechnol.23:227〜231(2005))。一般的に、siRNAは、その細胞内濃度が、引き続く細胞分裂によって希釈されるため、一過性の遺伝子発現のサイレンシングを提供する。対照的に、発現されたshRNAは、shRNAの転写が起こっている限り、標的転写物の、長期間の安定したノックダウンを媒介する(Marquesら、Nature Biotechnol.23:559〜565(2006);Brummelkampら、Science 296:550〜553(2002))。 siRNA、miRNAおよびshRNAを含めてRNAi分子は、配列依存性様式で作用するため、本発明の変異(例えば、表10、表15および表19に示されたマーカーおよびハプロタイプ)は、特異的な対立遺伝子および/またはハプロタイプ(例えば、本発明の対立遺伝子および/またはハプロタイプ)を含む特異的な核酸分子を認識する一方、他の対立遺伝子またはハプロタイプを含む核酸分子を認識しないRNAi試薬を設計するために使用され得る。これらのRNAi試薬は、従って、標的核酸分子を認識し、破壊できる。アンチセンス試薬と同様に、RNAi試薬は治療薬として(すなわち、疾病に関連する遺伝子または疾病に関連する遺伝子変異を遮断するために)有用であり得るが、遺伝子機能を特徴付け、検証すること(例えば、遺伝子ノックアウトまたは遺伝子ノックダウン実験による)にもまた、有用であるかも知れない。 RNAiの送達は、当業者に知られた方法論の範囲によって行ってもよい。非ウイルスデリバリーを利用する方法は、コレステロール、安定した核酸脂質粒子(SNALP)、重鎖抗体の断片(Fab)、アプタマーおよびナノ粒子を含む。ウイルスデリバリー方法は、レンチウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスの使用を含む。siRNA分子は、いくつかの実施態様では、その安定性を増加するために化学的に修飾される。これは、2’−O−メチルプリンおよび2’−フルオロピリミジンを含む、リボースの2’位での修飾を含むことができ、リボヌクレアーゼ活性に対する抵抗性を提供する。他の化学的修飾も可能性があり、当業者に知られている。 下記の参考文献は、さらなるRNAiの概略、およびRNAiを用いた特異的な遺伝子のターゲティングの可能性を提供する:Kim&Rossi、Nat.Rev.Genet.8:173〜184(2007)、ChenおよびRajewsky、Nat.Rev.Genet.8:93〜103(2007)、Reynoldsら、Nat.Biotechnol.22:326〜330(2004)、Chiら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 100:6343〜6346(2003)、Vickersら、J.Biol.Chem.278:7108〜7118(2003)、Agami、Curr.Opin.Chem.Biol.6:829〜834(2002)、Laveryら、Curr.Opin.Drug Discov.Devel.6:561〜569(2003)、Shi、Trends Genet.19:9〜12(2003)、Shueyら、Drug Discov.Today 7:1040〜46(2002)、McManusら、Nat.Rev.Genet.3:737〜747(2002)、Xiaら、Nat.Biotechnol.20:1006〜10(2002)、Plasterkら、curr.Opin.Genet.Dev.10:562〜7(2000)、Bosherら、Nat.Cell Biol.2:E31〜6(2000)、およびHunter、Curr.Biol.9:R440〜442(1999)。 乳癌の発生について増加した素因またはリスクを引き起こす遺伝的欠陥、または乳癌の原因となる遺伝的欠陥は、欠損を有する被験者に、通常の/野生型ヌクレオチド(単数または複数)を遺伝的欠陥部位で提供する修復配列を取り込む核酸配列を投与することによって、持続的に矯正されるかも知れない。このような部位特異的な修復配列(repair sequence)は、被験者のゲノムDNAの内因性修復を促進するように作動するRNA/DNAオリゴヌクレオチドを含んで(concompass)もよい。修復配列の投与は、アニオン性リポソームに被包されたポリエチレンイミンとの複合体、ウイルスベクター(アデノウイルスベクターなど)、または投与した核酸の細胞内吸収を促進するのに適した他の医薬組成物などの、適切な媒体によって行ってもよい。遺伝的欠陥は、次いで、キメラのオリゴヌクレオチドが通常の配列の被験者のゲノムへの組み込みを引き起こし、通常の/野生型の遺伝子産物の発現を導くため、克服されるかも知れない。置換が伝播し、従って、持続性の修復および疾病に関連する症候もしくは状態の軽減を与える。 本発明は、乳癌の治療および/または予防に使用され得る化合物または薬剤を同定するための方法を提供する。従って、本発明の変異は、治療薬の同定および/または開発の標的として有用である。ある実施態様では、このような方法は、本発明の少なくとも1つの変異(マーカーおよび/またはハプロタイプ)、または核酸のコードされた生成物(例えば、STEAP3/TSAP6遺伝子、LOC643714遺伝子、および/またはTNRC9遺伝子のうちの1つ以上)を含む核酸の活性および/または発現を調節するための薬剤または化合物の能力のアッセイを含む。これは、次に、コードされた核酸生成物の所望でない活性もしくは発現を阻害もしくは変化する薬剤または化合物を同定するために使用され得る。このような実験を行うためのアッセイは、当業者に知られているように、細胞系または無細胞系で行われ得る。細胞系は、興味ある核酸分子を自然に発現している細胞、または、ある所望の核酸分子を発現するために、遺伝的に修飾された組み換え細胞を含む。 患者における変異遺伝子の発現は、変異を含む核酸配列(例えば、少なくとも1つの変異を含むRNAに転写されることができ、次にタンパク質に翻訳されることができる、少なくとも1つの本発明の変異を含む遺伝子)の発現、または通常の転写物の発現のレベルもしくは様式に影響する変異(例えば、遺伝子の制御または調節領域における変異)によって、通常の/野生型の核酸配列が変化した発現によって評価され得る。遺伝子発現のアッセイは、直接の核酸アッセイ(mRNA)、発現したタンパク質レベルのアッセイ、または経路(例えば、シグナル経路)に関連する付随化合物のアッセイを含む。さらに、シグナル経路に反応して上方制御または下方制御される遺伝子の発現もまた、アッセイされ得る。1つの実施態様は、興味ある遺伝子(単数または複数)の制御領域に、操作可能に結合しているレポーター遺伝子(ルシフェラーゼなど)を含む。 遺伝子発現の修飾因子は、1つの実施態様では、細胞が候補化合物または候補薬と接触された場合に同定されることができ、mRNAの発現が判定される。候補化合物または候補薬の存在下でのmRNAの発現レベルは、化合物または薬剤の不存在下での発現レベルと比較される。当該比較に基づき、乳癌の治療および/または予防のための候補化合物または薬剤は、変異遺伝子の遺伝子発現を調節するものとして同定され得る。候補化合物または候補薬の存在下で、その不存在下よりも、mRNAまたはコード化タンパク質の発現が統計的に有意に大きい場合、候補化合物または候補薬は、刺激剤または核酸の上方制御因子の発現として同定される。候補化合物または候補薬の存在下で、その不存在下よりも、核酸の発現またはタンパク質レベルが統計的に有意に低い場合、候補化合物は、核酸の発現の阻害剤または下方制御因子として同定される。 本発明は、さらに、遺伝子の修飾因子(すなわち、遺伝子発現の刺激剤および/または阻害剤)として薬剤(化合物および/または薬剤)スクリーニングを通じて同定される化合物を使用した治療方法を提供する。 (治療薬に対する反応の可能性の評価方法、治療の進展をモニターする方法および乳癌を治療する方法) 当該技術分野で公知のように、個体は、特定の治療方法(例えば、さらに本願明細書に記載のような治療薬または治療方法、)に対する反応差を有しうる。反応差の基盤は、部分的に遺伝的に測定されてもよい。薬理ゲノミクスは、変化した薬剤処分および/または薬剤の異常もしくは変化した作用によって、遺伝的変異(例えば、本発明の変異(マーカーおよび/またはハプロタイプ))がどのように薬剤反応に影響するか、という問題点について取り組んでいる。従って、反応差の基盤は部分的に遺伝的に測定されてもよい。薬剤反応に影響する遺伝的変異に起因する臨床的成果は、ある個体(例えば、本発明の遺伝的変異の保有者または非保有者)における薬剤毒性、または薬剤の治療不全をもたらすかも知れない。従って、本発明の変異は、治療薬および/または方法が身体に作用する様式、または身体が治療薬を代謝する方法を判定してもよい。 従って、1つの実施態様では、多形性部位またはハプロタイプの特定の対立遺伝子の存在は、特定の治療様式に対する異なる反応の速度を示す。これは、乳癌と診断され、本発明の多型またはハプロタイプ(例えば、リスクがありかつ保護的な、本発明の対立遺伝子および/またはハプロタイプ)のある対立遺伝子を有する患者は、疾病の治療に使用される特定の治療上の薬剤および/または他の治療方法に対して、より良好に、または悪化して反応することを意味する。従って、非マーカー対立遺伝子またはハプロタイプの存在または不存在は、患者に対して使用されるべき治療の決定の助けとなり得る。例えば、新規に診断された患者について、本発明のマーカーまたはハプロタイプの存在が(例えば、本願明細書記載のように、血液試料由来のDNAの試験を通じて)評価されてもよい。患者が、マーカー対立遺伝子またはハプロタイプに陽性である場合(つまり、マーカーの少なくとも1つの特異的な対立遺伝子、またはハプロタイプが存在している)、医師は、1つの特定の治療方法を推奨し、一方、患者がマーカーの少なくとも1つの対立遺伝子、またはハプロタイプに陰性である場合、異なるコースの治療方法が推奨されるかも知れない(疾病の進行の連続的なモニター以外は、緊急ではない治療方法を行うことを推奨することを含んでいてもよい)。 従って、患者のキャリア状態は、特定の治療様式が施されるべきかどうかを判定するのを補助するために使用され得る。その価値は、最も適切な治療を選択するため、早期の段階で疾病を診断でき、最も適切な治療を適用できるようにするために、予後診断/疾病の悪性度について臨床医に情報を提供できる可能性の範囲内にある。 さらに本願明細書に記載のように、現在の乳癌の臨床予防的選択肢は、主に化学予防(化学療法、またはホルモン治療方法)および予防的手術である。最も一般的な化学予防は、タモキシフェンおよびラロキシフェンである。他の選択肢としては、アロマターゼ阻害剤が挙げられる。治療上の選択肢はまた、一部の患者が有害な症候を経験する放射線療法を含む。本発明のマーカーは、本願明細書記載のように、これらの治療上の選択肢に対する反応を評価するため、または、これらの治療上の選択肢のいずれか1つを使用した治療方法の進行を予測するために使用されてもよい。従って、遺伝的鑑定は、個体の遺伝的状態に基づいた適切な治療戦略の選択に使用され得、または特定の治療の選択肢の成果の予測に使用されてもよく、従って、治療上の選択肢または利用可能な治療上の選択肢の組み合わせの戦略的選択について有用であり得る。 本発明はまた、乳癌の治療の進行または有効性をモニターする方法に関する。これは、本発明のマーカーおよびハプロタイプの遺伝子型および/またはハプロタイプの状態に基づき、すなわち、少なくとも1つの本願明細書で開示された多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の不存在または存在の評価、または本発明の変異(マーカーおよびハプロタイプ)に関連する遺伝子の発現のモニターによってなされ得る。リスク遺伝子のmRNAまたはコードされたポリペプチドは、組織試料(例えば、抹消血試料、または生検試料)において測定され得る。発現レベルおよび/またはmRNAレベルは、従って、治療の有効性をモニターするために、治療の前および治療の間に判定され得る。代わりに、または同時に、本願明細書に示された乳癌の少なくとも1つのリスク変異の遺伝子型および/またはハプロタイプの状態は、治療の有効性をモニターするために、治療の前および治療の間に判定される。 あるいは、本発明のマーカーおよびハプロタイプに関連する生物学的ネットワークまたは代謝経路は、mRNAおよび/またはポリペプチドレベルの測定によってモニターされ得る。これは、例えば、治療前および治療後に得られた試料の、ネットワークおよび/または経路に属するいくつかの遺伝子について、発現レベルまたはポリペプチドをモニターすることによってなされ得る。あるいは、生物学的ネットワークまたは代謝経路に属する代謝物を、治療前および治療後に判定してもよい。治療の有効性は、治療の間に、発現レベル/代謝物レベルで認められた変化を健康な被験者から得た対応するデータと比較することによって判定される。 さらなる態様では、本発明のマーカーは、臨床試験の効力および有効性を増加するために使用され得る。従って、本発明のリスクのある変異の保有者である個体、すなわち、乳癌について増加したリスクの発生を与える少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の保有者である個体は、特定の治療様式により反応する可能性があってもよい。1つの実施態様では、特定の治療(例えば、小分子薬剤)が標的にしている経路および/または代謝ネットワークの遺伝子(単数または複数)についてリスクのある変異を保有する個体は、当該治療に対してより反応者である可能性がある。もう1つの実施態様では、発現および/または機能が当該リスクのある変異によって変化された遺伝子についてリスクのある変異を保有する個体は、その遺伝子、その発現またはその遺伝子産物を標的とした治療様式に対してより反応者である可能性がある。 さらなる態様では、本発明のマーカーおよびハプロタイプは、特定の個体の医薬品の選択のターゲティングに使用され得る。個別化された治療様式の選択、生活スタイルの変化、またはこれら2つの組み合わせは、本発明のリスクのある変異の利用によって実現され得る。従って、特定の本発明のマーカーについての個体の状態の知識は、本発明のリスクのある変異によって影響される遺伝子または遺伝子産物を標的にする、治療上の選択肢の選択について有用であり得る。ある変異の組み合わせは、1つの治療上の選択肢の選択に適してもよく、一方で他の遺伝子変異の組み合わせは他の治療上の選択肢を標的としてよい。治療要素の選択を臨床的に信頼できる正確性をもって決定するため必要に応じて、このような変異の組み合わせは、1つの変異、2つの変異、3つの変異、または4つ以上の変異を含んでもよい。 (コンピューターで実施される態様) 本発明はまた、乳癌に関連すると本願明細書に記載の多型マーカーおよびハプロタイプのコンピューターで実施される適用例に関する。このような適用は、本願明細書記載のように、本発明の方法に有用な遺伝子型のデータの保存、操作またはその他の点での分析に有用であり得る。1つの実施例は、遺伝子型の情報を第三者(例えば、当該個体)に提供することができるようにするための、可読媒体上への個体由来の遺伝子型の情報の保存、遺伝子型のデータからの情報の抽出(例えば、遺伝子型のデータを、乳癌に対する増加した感受性に寄与している遺伝的危険率因子についての情報と比較することによる)およびこのような比較に基づいた結果の報告に関する。 このような1つの態様は、コンピューター可読媒体に関する。一般的な用語には、このような媒体は、(i)少なくとも1つの多型マーカーまたはハプロタイプの識別子の情報、(ii)乳癌の個体における、当該少なくとも1つのマーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の頻度もしくはハプロタイプの頻度の指標、および参照集団における、当該少なくとも1つのマーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の頻度もしくはハプロタイプの頻度の指標を保存する性能を有する。当該参照集団は、個体の疾病フリーの集団であり得る。あるいは、当該参照集団は、一般的な集団からの確率標本であり、従って、集団全体を代表する。頻度の指標は、算出された頻度、対立遺伝子および/またはハプロタイプのコピー数、または、特定の媒体に適した実際の頻度の規準化された値もしくは別の態様で操作された値であってもよい。 当該個体についてのさらなる情報(祖先の情報、性別についての情報、身体的な特質もしくは特徴(身長および体重を含む)、生化学的測定、治療投与、治療成果、処方、または特定の個体の遺伝子型の状態に関連して保存または操作することが望ましい他の有用な情報など)が、媒体上に保存され得る。 本発明は、さらに、ヒト個体の乳癌に対する感受性を判定するのに有用な遺伝的データの判定または操作に適した装置に関する。このような装置は、コンピューター可読メモリー、コンピューター可読メモリー上に保存された操作データのためのルーチン、および遺伝的データの判定を含む結果を生じるためのルーチンを含み得る。このような判定は、対立形質の頻度もしくはハプロタイプの頻度、遺伝子型数、性別、年齢、表現型の情報、オッズ比(OR)の値もしくは相対的なリスク(RR)の値、集団に起因するリスク(PAR)、または本来の遺伝子型のデータの直接の統計量もしくは遺伝的データに基づく算出に基づくもののいずれかの他の有用な情報、などの値を含み得る。 本願明細書で、乳癌の増加した感受性(例えば、増加したリスク)に関連すると示されたマーカーおよびハプロタイプは、ある実施態様では、遺伝子型のデータの解釈および/または分析に有用である。従って、ある実施態様では、本願明細書で示された、乳癌のリスクのある対立遺伝子もしくはリスクのあるハプロタイプ、または本願明細書で、乳癌に関連すると示されたマーカーおよび/またはハプロタイプのいずれか1つとLDである多型マーカーもしくはハプロタイプの対立遺伝子の同定は、遺伝子型のデータの由来である個体が乳癌について増加したリスクを有することを示す。そのような1つの実施態様では、遺伝子型のデータは、本願明細書で乳癌に関連すると示された少なくとも1つの多型マーカー、またはそれらと連鎖不平衡のマーカーについて生じる。遺伝子型のデータは、例えば、インターネットに接続可能なユーザーインターフェースを介して、当該遺伝子型のデータの解釈とともに、例えば、疾病(例えば、乳癌)についてのリスク測定(絶対的なリスク(AR)、リスク比(RR)またはオッズ比(OR)など)の形態で、その後に、データの由来である個体などの第三者に利用可能となる。もう1つの実施態様では、個体由来の遺伝子型のデータセットで同定されたリスクのあるマーカーが評価され、当該データセットにおけるこのようなリスクのある変異体の存在によって与えられるリスクアセスメントから得た結果は、例えば、安全なウェブインターフェースを介して、または他の伝達手段によって当該個体に利用可能となる。このようなリスクアセスメントの結果は、数値的な形態(例えば、絶対的なリスク、相対的なリスク、および/もしくはオッズ比などのリスク値、または参照と比較したリスクが増加した割合による)、図面による方法、または当該遺伝子型のデータの由来である個体のリスクを図解するのに適した他の手段で報告され得る。特定の実施態様では、リスクアセスメントの結果は、第三者(例えば、医師、他の医療従事者または遺伝的カウンセラー)に利用可能となる。 (本発明の様々な態様で有用なマーカー) 上述の方法および適用は、全て、乳癌に対する感受性を評価するのに有用であると、一般論として本願明細書により詳細に記載される、本発明のマーカーおよびハプロタイプを用いて行われ得る。従って、これらの適用は、一般的に、表10、表15、表19、表20、表21および表22のいずれかに示されたマーカー、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカーを使用して、実行に移し得る。ある実施態様では、当該マーカーまたはハプロタイプは、配列番号4、配列番号5または配列番号6に示された配列のゲノム分節内に存在する。ある実施態様では、マーカーは、rs4848543LDブロック、rs13387042LDブロックまたはrs3803662LDブロック内に存在する。特定の実施態様では、マーカーは、表10に示されたマーカーから選択される。他の実施態様では、マーカーは、表15に示されたマーカーから選択される。他の実施態様では、マーカーは、表19に示されたマーカーから選択される。いくつかの実施態様では、マーカーは、表7および表8に示されたマーカーから選択される。いくつかの他の実施態様では、マーカーは、表14に示されたマーカーから選択される。いくつかの他の実施態様では、マーカーは、表18に示されたマーカーから選択される。他の実施態様では、マーカーは、rs4848543(配列番号1)、rs13387042(配列番号2)、またはrs3803662(配列番号3)のうちの1つであり、任意にそれらと連鎖不均衡のマーカーを含む。1つの実施態様では、マーカーは、rs4848543(配列番号1)、rs13387042(配列番号2)、およびrs3803662(配列番号3)のうちの1つである。ある好ましい実施態様では、マーカーはrs4848543(配列番号1)である。他の好ましい実施態様では、マーカーはrs13387042(配列番号2)である。他の好ましい実施態様では、マーカーはrs3803662(配列番号3)である。特定の実施態様では、連鎖不平衡は、0.2よりも大きいr2値によって定義される。もう1つの実施態様では、マーカーまたはハプロタイプは、rs4848543対立遺伝子A、rs13387042対立遺伝子A、およびrs3803662対立遺伝子Tから選択される少なくとも1つのマーカーを含む。 (核酸およびポリペプチド) 本願明細書記載の核酸およびポリペプチドは、上記に記載のように、本発明の方法およびキットで使用され得る。「単離した」核酸分子は、本願明細書で使用されるように、(ゲノム配列における)遺伝子またはヌクレオチド配列に通常に隣接した核酸から分離されたもの、かつ/または、(例えば、RNAライブラリーにおける)他の転写された配列から完全にもしくは部分的に精製したものである。例えば、本発明の単離した核酸は、自然に生じる複雑な細胞環境、または組み換え技法によって産生された場合の培養培地、または化学的に合成された場合の化学的前駆体または他の化学物質に対して実質的に単離され得る。いくつかの実施例では、単離した物質は、組成物(例えば、他の物質を含む粗抽出物)、バッファーシステムまたは試薬混合物の一部を形成するだろう。他の環境では、物質は、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)またはカラムクロマトグラフィー(例えば、HPLC)によって判定されるように、基本的に均一に精製され得る。本発明の単離した核酸分子は、全ての存在する高分子の種のうち、少なくとも約50%、少なくとも約80%または少なくとも約90%(モルベースによる)を構成し得る。ゲノムDNAに関しては、用語「単離した」はまた、ゲノムDNAが本来関連する染色体から分離される核酸分子を意味し得る。例えば、単離した核酸分子は、約250kb、200kb、150kb、100kb、75kb、50kb、25kb、10kb、5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kbまたは0.1kb未満の、当該核酸分子が由来する細胞のゲノムDNAの核酸分子に隣接するヌクレオチドを含み得る。 当該核酸分子は、他のコード配列または制御配列に融合され得、依然として単離されたものとみなされ得る。従って、ベクターに包含された組み換えDNAは、本願明細書で使用される「単離した」の定義に含まれる。また、単離した核酸分子は、異種の宿主細胞もしくは異種生命体中の組み換えDNA分子、および部分的にもしくは実質的に精製された溶液中のDNA分子を含む。「単離した」核酸分子はまた、本発明のDNA分子の、in vivoおよびin vitroのRNA転写物を含む。単離した核酸分子またはヌクレオチド配列は、化学的に合成された、または組み換え手段によって合成された核酸分子またはヌクレオチド配列を含み得る。このような単離したヌクレオチド配列は、例えば、コードされたポリペプチドの製造、(例えば、他の哺乳類の種からの)相同配列の単離のため、遺伝子マッピング(例えば、染色体とのインサイツハイブリダイゼーションによる)のため、または組織(例えば、ヒト組織)中の遺伝子発現の検出(ノーザンブロット分析または他のハイブリダイゼーション技法などによる)のためのプローブとして有用である。 本発明はまた、高いストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下(選択的ハイブリダイゼーションなど)本願明細書記載のヌクレオチド配列(例えば、本願明細書記載のマーカーまたはハプロタイプに関連する多形性部位を含むヌクレオチド配列に特異的にハイブリダイズする核酸分子)にでハイブリダイズする核酸分子に関する。このような核酸分子は、(例えば、高いストリンジェンシー条件下での)対立遺伝子特異的なハイブリダイゼーションまたは配列特異的なハイブリダイゼーションによって検出および/または単離され得る。核酸ハイブリダイゼーションのストリンジェンシー条件および方法は、当業者に周知(例えば、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubel、F.ら、John Wiley&Sons、(1998)、およびKraus、M.およびAaronson、S.、Methods Enzymol.、200:546〜556(1991)を参照、全体の教示は参照によって本願明細書に援用する)である。 2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の同一性(%)は、至適な比較目的で配列を整列することによって判定され得る(例えば、ギャップは、第1の配列の配列に導入され得る)。対応する位置のヌクレオチドまたはアミノ酸は、次いで、比較され、2つの配列間の同一性は、当該配列によって共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、同一性(%)=同一の位置の数/位置の総数×100)。ある実施態様では、比較目的で整列させた配列の長さは、参照配列の長さのうち、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%である。2つの配列の実際の比較は、周知の方法、例えば、数学的アルゴリズムを使用することによって達成され得る。このような数学的アルゴリズムの非限定的な例は、Karlin、S.およびAltschul、S.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:5873〜5877(1993)に記載される。このようなアルゴリズムは、Altschul S.ら、Nucleic Acids Res.、25:3389〜3402(1997)に記載されるように、NBLASTプログラムおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)に取り込まれる。BLASTおよびギャップト(Gapped)BLAST プログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、NBLAST)の初期状態のパラメータが使用され得る。ワールドワイドウェブ(ncbi.nlm.nih.gov.)上のウェブサイトを参照。1つの実施態様では、配列比較のパラメータはスコア=100、語長=12に設定し得るし、または、異なり得る(例えば、W=5またはW=20)。 他の例は、MyersおよびMiller、CABIOS(1989)のアルゴリズム、Torellis A.およびRobotti C.、Comput.Appl.Biosci.10:3〜5(1994)に記載されたADVANCEおよびADAM、およびPearson W.およびLipman、D.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85:2444〜48(1988)に記載されたFASTAを含む。もう1つの実施態様では、2つのアミノ酸配列間の同一性は、GCGソフトウェアパッケージ(アクセルリス社(Accelrys)、英国、ケンブリッジ)におけるGAPプログラムを使用して達成され得る。 本発明はまた、高度にストリンジェントな条件下で、表10、表15、表19、表20、表21および表22に記載された多型マーカー、ならびにそれらと連鎖不平衡のマーカーを含むヌクレオチド配列ならびにSTEAP3/TSAP6、LOC643714およびTNRC9遺伝子のヌクレオチド配列、または、表10、表15、表19、表20、表21および表22に記載された多型マーカーならびにそれらと連鎖不平衡のマーカーを含むヌクレオチド配列のヌクレオチド配列の補完物を含む(またはこれらから構成される)ヌクレオチド配列、ならびにSTEAP3/TSAP6、LOC643714およびTNRC9遺伝子、またはその断片のヌクレオチド配列、を含む(またはこれらから構成される)核酸にハイブリダイズする断片または部分を含む、単離した核酸分子を提供し、当該ヌクレオチド配列は本願明細書記載のマーカーおよびハプロタイプに含まれる少なくとも1つの多型の対立遺伝子を含む。本発明の核酸断片は、少なくとも約15、少なくとも約18、20、23または25ヌクレオチドであり、30、40、50、100、200、500、1000、10,000またはより長いヌクレオチドであり得る。 本発明の核酸断片は、本願明細書記載のようなアッセイにおけるプローブまたはプライマーとして使用される。「プローブ」または「プライマー」は、塩基特異的様式で核酸分子の相補鎖にハイブリダイズする、オリゴヌクレオチドである。DNAおよびRNAに加えて、このようなプローブおよびプライマーは、Nielsen P.ら、Science 254:1497〜1500(1991)において記載されたように、ポリペプチド核酸(PNA)を含む。プローブまたはプライマーは、核酸分子の少なくとも約15、典型的には約20〜25、およびある実施態様では約40、50または75の、核酸分子の連続的ヌクレオチドにハイブリダイズするヌクレオチド配列領域を含む。1つの実施態様では、当該プローブまたはプライマーは、少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子もしくは本願明細書記載の少なくとも1つのハプロタイプ、またはその補完物を含む。特定の実施態様では、プローブまたはプライマーは、100またはより少ないヌクレオチド(例えば、ある実施態様では、6〜50ヌクレオチド、または、例えば、12〜30ヌクレオチド)を含み得る。他の実施態様では、当該プローブまたはプライマーは、近接するヌクレオチド配列もしくは当該近接するヌクレオチド配列の補完物と、少なくとも70%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、または少なくとも95%の同一性である。もう1つの実施態様では、当該プローブまたはプライマーは、近接するヌクレオチド配列または当該近接するヌクレオチド配列の補完物に、選択的にハイブリダイズできる。しばしば、当該プローブまたはプライマーは、さらに、標識(例えば、放射性同位元素、蛍光標識、酵素標識、 酵素共因子標識、磁性標識、スピン標識、エピトープ標識)を含む。 上記などの本発明の核酸分子は、当業者に周知の標準的な分子生物学技法を使用して同定され、単離され得る。増幅したDNAは、標識(例えば、放射標識)され得、ヒト細胞由来のcDNAライブラリーのスクリーニングのためのプローブとして使用され得る。cDNAは、mRNA由来であり得、適したベクター中に含まれ得る。対応するクローンが単離され得、DNAはin vivoでの切除の後に得ることができ、クローン化された挿入断片は、一方向または両方向で、当該技術分野で承認されている方法によって、適切な分子量のポリペプチドをコードする正しい読み枠を同定し、配列決定され得る。これらの方法または同様の方法を使用して、ポリペプチドおよびポリペプチドをコードするDNAは単離され、配列決定され、およびさらに特徴付けられ得る。 通常は、本発明の単離された核酸配列は、サザンゲル上の分子量マーカーとして、および関連する遺伝子の位置をマッピングするために標識された染色体マーカーとして使用され得る。当該核酸配列はまた、乳癌または乳癌に対する感受性を同定するため、患者の内在性DNA配列を比較するために使用され得、プローブとして、ハイブリダイズし、関連するDNA配列を発見するために使用され得、または試料から公知の配列を引くために使用され得る(例えば、サブトラクティブなハイブリダイゼーション)。当該核酸配列は、さらに、遺伝的フィンガープリントのためのプライマーを得るために使用され得、免疫技法を使用して抗ポリペプチド抗体を産生させるために使用され得、および/もしくは抗DNA抗体を産生させるためにまたは免疫反応を誘発するために抗原として使用され得、使用され得る。 (抗体) 遺伝子産物の形態の1つに特異的に結合するが、遺伝子産物の他の形態には特異的に結合しないポリクローナル抗体および/またはモノクローナル抗体もまた、提供される。抗体はまた、多形成部位(単数または複数)を含む、変異または参照遺伝子産物のいずれかの一部に結合するものが提供される。用語「抗体」は、本願明細書で使用されるように、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、特異的に抗原に結合する抗原結合部位を含む分子を意味する。特異的に本発明のポリペプチドに結合する分子は、そのポリペプチドまたはその断片に結合するが、試料中の他の分子、例えば、自然に当該ポリペプチドを含む生物学的試料には実質的に結合しない分子である。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分の例は、抗体をペプシンなどの酵素で処理することによって生じ得るF(ab)およびF(ab’)2断片を含む。本発明は、本発明のポリペプチドに結合するポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を提供する。用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体の組成物」は、本願明細書で使用されるように、本発明のポリペプチドの特定のエピトープと免疫反応できる1種のみの抗原結合部位を含む抗体分子の集団を意味する。モノクローナル抗体の組成物は従って、典型的には、免疫反応する特定の本発明のポリペプチドに対する単一の結合アフィニティーを示す。 ポリクローナル抗体は、適した被験者に、所望の免疫原(例えば、本発明のポリペプチドまたはその断片)で免疫することによって、上記のように、調製され得る。免疫された被験者における抗体力価は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)などの標準的な技法によって、固定化されたポリペプチドを使用して、経時的にモニターされ得る。所望であれば、ポリペプチドに対して作られた抗体分子は、哺乳類から(例えば、血液から)単離され得、さらに、IgG分画を得るために、プロテインAクロマトグラフィーなどの周知の技法によって精製され得る。免疫後の適切な時期に、例えば、抗体力価が最も高い場合に、抗体産生細胞が被験者から入手され、標準的な技法(KohlerおよびMilstein、Nature 256:495〜497(1975)に最初に記載された融合細胞法、ヒトB細胞の融合細胞法(Kozborら、Immunol.Today 4: 72(1983))、EBV融合細胞法(Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R.Liss、1985、Inc.、77〜96頁)またはトリオーマ(trioma)法、など)によってモノクローナル抗体を調製するために使用され得る。融合細胞を産生する技術は周知である(概括的に、Current Protocols in Immunology(1994参照)Coliganら、(編集)John Wiley&Sons、Inc.、New York、NY参照)。簡潔に言えば、不死の株化細胞(典型的にはミエロ−マ)は、上記の免疫原で免疫された哺乳類から得たリンパ球(典型的には脾細胞)と融合され、得られた融合細胞の培養上清は、本発明のポリペプチドに結合するモノクローナル抗体を産生する融合細胞を同定するためにスクリーニングされる。 リンパ球および不死化株化細胞を融合するために使用される多くの周知の手順のいずれも、本発明のポリペプチドに対するモノクローナル抗体を生じる目的で適用され得る(例えば、Current Protocols in Immunology、supra;Galfreら、Nature 266:55052(1977);R.H.Kenneth、in Monoclonal Antibodies:A New Dimension In Biological Analyses、Plenum Publishing Corp.、New York、New York(1980);およびLerner、Yale J.Biol.Med.54:387〜402(1981)参照)。さらに、当業者は、同様に有用であるこのような方法の多くのバリエーションがあることを理解するだろう。 モノクローナル抗体分泌融合細胞の調製の代わりに、本発明のポリペプチドに対するモノクローナル抗体が、当該ポリペプチドとの組み換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー)をスクリーニングし、それにより、当該ポリペプチドに結合する免疫グロブリンライブラリーメンバーを単離することによって、同定および単離され得る。ファージディスプレイライブラリーを生じ、かつスクリーニングするためのキットは、市販されている(例えば、ファルマシア社(Pharmacia)組み換えファージ抗体システム、カタログ番号27−9400−01;およびストラタジーン社(Stratagene)SurfZAP(商標)ファージディスプレイキット、カタログ番号240612)。その上、方法および試薬の例、特に、抗体のディスプレイライブラリーの生成およびスクリーニングにおける使用において受け入れられる例は、例えば、米国特許第5,223,409号明細書、国際公開第92/18619号パンフレット、国際公開第91/17271号パンフレット、国際公開第92/20791号パンフレット、国際公開第92/15679号パンフレット、国際公開第93/01288号パンフレット、国際公開第92/01047号パンフレット、国際公開第92/09690号パンフレット、国際公開第90/02809号パンフレット;Fuchsら、Bio/Technology9:1370〜1372(1991);Hayら、Hum.Antibod.Hybridomas 3:81〜85(1992);Huseら、Science 246:1275〜1281(1989);およびGriffithsら、EMBO J.12:725〜734(1993)において見出される。 その上、ヒト部分および非ヒト部分の両方を含み、標準的な組み換えDNA技法を使用して産生され得る組み換え抗体(キメラのモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体など)は、本発明の範囲内である。このようなキメラのモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体は、当該技術分野で公知の組み換えDNA技法によって産生され得る。 通常は、本発明の抗体(例えば、モノクローナル抗体)は、標準的な技法(アフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降など)によって本発明のポリペプチドを単離するのに使用され得る。ポリペプチド特異的な抗体は、細胞からの自然のポリペプチドの精製および宿主細胞で発現した組み換えによって産生されたポリペプチドの精製を促進できる。さらに、本発明のポリペプチドに特異的な抗体は、当該ポリペプチドの発現の存在量および様式を評価するために、(例えば、細胞溶解物、細胞上清、または組織試料中の)ポリペプチドを検出するのに使用され得る。抗体は、臨床試験過程の一部として、例えば、所定の治療計画の有効性の判定などのため、組織中のタンパク質レベルをモニターするために診断的に使用され得る。抗体は、その検出を促進するための検出可能な物質と結合され得る。検出可能な物質の例は、様々な酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、および放射性物質を含む。適した酵素の例は、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼを含む。適した補欠分子族複合体の例は、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを含む。適した蛍光物質の例は、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン(dichlorotriazinylamine fluorescein)、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンを含む。発光物質の例は、ルミノールを含む。生物発光物質の例は、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンを含み、ならびに、適した放射性物質の例は125I、131I、35Sまたは3Hを含む。 抗体はまた、薬理ゲノミクス分析において有用であってもよい。このような実施態様では、本発明に関する核酸によってコードされた変異タンパク質に対する抗体(本発明の少なくとも1つの多型マーカーを含む核酸によってコードされた変異タンパク質など)は、改変された治療様式を必要とする個体の同定のために使用され得る。 抗体は、さらに、疾病の活性段階などの疾病の状態、または特定の乳癌におけるタンパク質の機能に関連した疾病に対する素因のある個体における変異タンパク質の発現の評価のために有用であり得る。本願明細書記載の少なくとも1つの多型マーカーまたはハプロタイプを含む核酸によってコードされた本発明の変異タンパク質に特異的な抗体は、変異タンパク質の存在のスクリーニング、例えば、変異タンパク質の存在によって示された乳癌への素因についてのスクリーニング、に使用され得る。 抗体は他の方法で使用し得る。例えば、抗体は、電気泳動の移動度、等電点、トリプシンまたは他のプロテアーゼ消化による分析と組み合わせて、タンパク質(本発明の変異タンパク質など)を評価するための診断の手段として、または当業者に知られた他の物理的なアッセイにおける使用において有用である。抗体はまた、組織適合試験に使用してもよい。そのような1つの実施態様では、特異的な変異タンパク質は、特異的な組織型の発現に関連し、抗体特異的な変異タンパク質は、次いで、特異的な組織型の同定に使用され得る。 変異タンパク質を含むタンパク質の細胞内局在はまた、抗体を使用して判定され得、様々な組織の細胞のタンパク質の異常な細胞内局在を評価するために適用され得る。このような使用は遺伝子検査に適用され得るが、特定の治療様式をモニターすることにも適用され得る。治療が、変異タンパク質または変異タンパク質の異常な組織分布もしくは発生上の発現についての、発現レベルまたは存在を矯正することを目的にしている場合、当該変異タンパク質またはその断片に特異的な抗体は治療効果をモニターするために使用され得る。 抗体は、さらに、例えば、変異タンパク質の結合分子またはパートナーへの結合をブロックすることによる変異タンパク質の機能の阻害において有用である。このような使用はまた、治療が変異タンパク質の機能の阻害に関連する治療上の構成においても適用され得る。抗体は、例えば、ブロックまたは競合的に結合を阻害し、それによりタンパク質の活性を調節(すなわち、刺激または拮抗)するのに使用され得る。抗体は、特異的な機能に必要とされる部位を含む特定のタンパク質断片、または、細胞または細胞膜に関連するインタクトなタンパク質に対して調製され得る。in vivoにおける投与について、抗体はさらなる治療上の負荷量(放射性核種、酵素、免疫原性エピトープ、または細菌毒素(ジフテリアまたは、リシンなどの植物毒素)を含む細胞毒など)に関連してもよい。in vivoでの抗体またはその断片の半減期は、ポリエチレングリコールとの結合によるペグ化によって増加されてもよい。 本発明は、さらに、本願明細書記載の方法における抗体を使用するためのキットに関する。これは、試験試料における変異タンパク質の存在を検出するためのキットを含むが、これに限定されない。1つの好ましい実施態様は、抗体(標識された抗体または標識できる抗体など)および生物学的試料中の変異タンパク質を検出するための化合物もしくは薬剤、試料中の変異タンパク質の量もしくは存在および/もしくは不存在を判定する手段、ならびに試料中の変異タンパク質の量を標準物質と比較する手段、ならびに当該キットの使用についての説明書を含む。 本発明は、これから下記の非限定的な実施例によって例証される。 患者および対照の選択:本研究の承認は、アイスランド国立生命倫理委員会(the National Bioethics Committee of Iceland)およびアイスランドデータ保護機関(the Icelandic Data Protection Authority)から得た。乳癌の診断の記録は、アイスランド癌登録所(the Icelandic Cancer Registry、ICR)から得た。アイスランドで診断された、生体内原位置での湿潤性乳腺腫瘍および腺管癌または小葉癌の全ての症例を含んだ記録は、1955年1月1日〜2005年12月31日のものである。ICRには、当該期間に診断された4603の個体の記録が含まれていた。全ての生存している患者(約2840)を含む罹患率コホートは、本研究への動員について適格がある。本発明者らは、2210の患者(収率約78%)からインフォームドコンセント、血液試料、および臨床的な情報を得た。最初の対照群は、他の進行中のdeCODE Geneticsゲノム全体関連の研究からの全ての個体と、乳癌患者群が遺伝子型を同定されるまでに、イルミナSNPチップ上で遺伝子型を同定された個体が含まれる。2005年末までに乳癌、前立腺癌または結腸直腸癌についての診断が示されたアイスランド癌登録所における登録を有する個体は、対照群から除外し、4477の対照のセットがもたらされた。対照の独立した複製セットは、4477セットの後に分けられた非乳癌プロジェクトからのさらなる7406個体からなる。当該7406セットでは、本発明者らは注目しているSNPの頻度がこれらの患者の試料の対照と異なっていなかいことを示す暫定データを得たため、前立腺癌および結腸直腸癌の患者は除外しなかった。各対照セットでは、下記表8、表9、および表14に記載されたSNPの頻度において、性別間には相違がなかった。従って、これらの対照群は、調査したSNPの集団における頻度の合理的な代表例を提供する。 系統学のデータベース:deCODE Geneticsは、アイスランド人の系統学のコンピューター処理されたデータベースを維持している。当該記録は、過去2世紀にアイスランドで生まれたほぼ全ての個体を含み、その期間において、約95%の親の関係が分かっている(Sigurdardottirら、(2000)、Am J Hum Genet、66、1599〜609)。さらに、居住郡の識別子が、大部分の個体について、国勢調査および行政区の記録に基づき、記録されている。当該情報は、生物学的試料およびICR記録において使用されるものとマッチした、暗号化された個人的な識別子で、リレーショナルデータベースに保存され、研究の参加者と彼らの家系の遺伝子型および表現型の相互参照を可能にする。 試料中の処理:血液試料をEDTA中で−20℃で保存した。DNAを、全血から、キアゲン社(Qiagen、http://www.quiagen.com)抽出カラム法を使用して単離した。DNAを4℃で保存した。 遺伝子型の同定:1600の患者の試料のセットを、次いで、ランダムに選択し、国際HapMap計画の第I相に由来する317,511のSNPを含む、イルミナ Infinium Hap300 SNPビーズマイクロアレイ(イルミナ社、米国、カルフォルニア州、サンディエゴ)上で、その遺伝子型を同定した。4480の癌のない対照試料を、同様のプラットフォーム上で遺伝子型を同定した。チップ上のSNPの総数のうち、170は遺伝子型を全く生じず、さらなる24SNPの収率は80%未満であった。さらなる61のSNPは、対照において、ハーディ・ワインベルグ平衡からの非常に有意な歪みを示した(p<1×10−10)。104のSNPは、単形性であり、58のSNPは、ほぼ単形性であった(すなわち、患者および対照の合わせたコホートにおける少ない対立遺伝子の頻度は0.001未満であった)。最後に、5のマーカーが、いくつかの異なる進行中のゲノム全体にわたる関連の研究組織内で、特定の領域および可能性のあるシグナルについて調査後に、遺伝子型の同定における問題を有すると判定された。これらの問題のSNPの全ては、分析から除去した。従って、本文に示された最終分析は、317,089のSNPを利用している。98%未満のコールレート(call rate)のあるチップのいずれもまた、分析から除去した。 本研究において試験した3つの鍵となるSNPの配列の構成を下記に示す。 本発明者らは、rs4848543LDブロックのいくつかのSNPを検出するために、アッセイを設計し、試験した。これらのアッセイは、(Kutyavinら、(2006)、Nucleic Acids Res、34、e128)に記載されたケンタウルス(Centaurus)SNPアッセイ技術に基づく。アッセイおよびそのプライマーは下記の通りである。SG02S733 rs895398 (ビルド(Build)34)chr2:120,058,180 フォワードプライマー:TTGGAACCTCCCACTGCCACA リバースプライマー:ACAGCCCAGGTTTCAGGTTGGCAT VIC−プローブ:AGCGACACTG FAM−プローブ:GCGACACCG エンハンサー:CCTG*AGATCCAGGCA SG02S738 rs4848543 (ビルド34)chr2:120,061,096 フォワードプライマー:AGGGAGCCCTCGCTTTAAGCATTA リバースプライマー:TTTGGGCACATCTAGGAAGACCTC VIC−プローブ:GAT*CAATACCC FAM−プローブ:CGAT*CAATACCA エンハンサー:TTAATAATTACAGGACATG SG02S739 rs6759589 (ビルド34)chr2:120,064,976 フォワードプライマー:TCAGCAGCCTCTTGTCTCACTAAT リバースプライマー:CTTCTTGCCCAGGCAGGACAGA VIC−プローブ:TAGACTGAGCC FAM−プローブ:AAT*AGACTAAGCC エンハンサー:CCATCCCCAACTAA SG02S753 rs895397 (ビルド34)chr2:120,072,400 フォワードプライマー:CACTACTAGATCATGGGAGATGCCT リバースプライマー:GTTTCCTCAGTTGTAATGTAGACC VIC−プローブ:TT*T*A*ACCCTT FAM−プローブ:GTTTTAACCCCT エンハンサー:GCTGCTCGGAAG SG02S740 rs838102 (ビルド34)chr2:120,079,878 フォワードプライマー:GGTTTTGCATCCTTGCTCACTCACAT リバースプライマー:GTGCCCTCTGCGTACTTGCGAAT VIC−プローブ:TACTGCCACC FAM−プローブ:CTTACTGCCACT エンハンサー:TGTCTCCTCACTC SG02S741 rs838100 (ビルド34)chr2:120,083,710 フォワードプライマー:ACTTACCAACAGCAGGCTGGTG リバースプライマー:CCAGAAAGGGTGGCTCACCTCA VIC−プローブ:GTCTGAGGCT FAM−プローブ:GGTCTGAGGTT エンハンサー:TCAGGTCACTCG SG02S734 rs12711924 (ビルド34)chr2:120,107,316 フォワードプライマー:AACGCTTATCACAGAGCCAGGTAG リバースプライマー:GGAAAACCATGAACACTGTGGCAA VIC−プローブ:CCCGCCGT FAM−プローブ:GCCCGCCAT エンハンサー:TTGTCTTTCTTGTGTC SG02S742 rs3731603 (ビルド34)chr2:120,117,062 フォワードプライマー:AACA*CTCTAGGGAGTAAAGCTC リバースプライマー:GAGGA*CATTTGGAGTCCCCAAT VIC−プローブ:GACTGTCTTCAA FAM−プローブ:ACTGT*CT*TCAC エンハンサー:AAGTCAGTCCTGAG SG02S728 rs13387042 (ビルド34)chr2:218,108,374 フォワードプライマー:CCACTAGTGTGGTGA*AGGAAGATT リバースプライマー:GCTACATGA*AGAA*CAGCTAAACC VIC−プローブ:TTTCTGTAGCCT FAM−プローブ:TT*T*CTGTAGCT*T エンハンサー:CATTTGCCTTCTTTC 「*」は、Kutyavinら、(2006)、Nucleic Acids Res、34、e128で記載されたように、修飾塩基を示す。 BRCA2遺伝子(999del5)の単一の創始者変異は、一般的なアイスランド人の集団には、保有者頻度0.6%〜0.8%、および、女性の乳癌患者には7.7%〜8.6%存在している(Thorlaciusら、(1997)、Am J Hum Genet、60、1079〜84;Gudmundssonら、(1996)、Am J Hum Genet、58、749〜56)。BRCA2 999del5変異の存在の可能性は、1499の症例で、マイクロサテライト型PCRアッセイを使用して判定された(DG13S3727と命名)。用いたプライマーは下記の通りである。 フォワードプライマー:TGTGAAAAGCTATTTTTCCAATC リバースプライマー:ATCACGGGTGACAGAGCAA DG13S3727によって増幅した配列は下記の通りである。 DG13S3727の部位=chr13:30703058〜30703261 tgtgaaaagctatttttccaatcatgatgaaagtctgaagaaaaatgata gatttatcgcttctgtgacagacagtgaaaacacaaatcaaagagaagct gcaagtcatggtaagtcctctgtttagttgaactacaggtttttttgttg ttgttgttttgattttttttttttgaggtggagtcttgctctgtcacccg tgat 統計手法:複合モデルを仮定し、本発明者らは、SNP対立遺伝子の相対的なリスク(RR)を、RR=(p/(1−p))/(s/(1−s))として算出した(pおよびsは、それぞれ患者および対照における変異の頻度である)。RR値に関連するP値は、標準的な尤度比カイ二乗統計量に基づいて算出した。信頼区間は、RR推定値は正規分布を有すると仮定して算出した。 ハプロタイプの頻度は、最大尤度および、一般化された尤度比試験を使用して行った、症例と対照との間の相違の試験によって推定した。ネステッドモデルの略である、NEMOと呼ばれるハプロタイプ分析プログラムを、全てのハプロタイプの結果を算出するために使用した。相の不確定度および欠損した遺伝子型を扱うため、NEMOは、関連試験について共通する2工程のアプローチで使用せず、恐らくEMアルゴリズムを使用してハプロタイプ数が最初に推定され、次いで、時折問題があり得、適切に統計的有意性を評価するためのランダム化を必要とするかも知れない方法で、試験は推定された数を真の数値であるものとして処理して行われることを強調しておく。あるいは、NEMOによって、最尤推定値、尤度比およびp値が、認められたデータについて直接的に算出され、それ故、相の不確定度および欠損した遺伝子型による情報の損失は、自動的に尤度比によって捉えられる。 アイスランド人の患者および対照の一部は、群内および群間の両方で関連している。関連性についての関連結果を補正するため、本発明者らは、アイスランド人の系統学を通じて、対立遺伝子を増殖することによって、遺伝子型をシミュレートした。各シミュレーションについて、本発明者らは、実際の遺伝子型についての方法と同様に、すなわちカイ二乗尤度比試験で、症例と対照の関連試験を行った。本発明者らは、帰無仮説下での別個の個体は1であり、関連した個体ではわずかに大きいことが予測される、Nシミュレーション(対応するZスコアの分散と同一)によるカイ二乗統計量の平均値を算出した。次いで、関連性の補正を真の関連のカイ二乗統計量をシミュレーションから得られた平均値によって割ることによって、適用した。 複数の症例と対照の複製群の共同解析を、対立遺伝子、ハプロタイプおよび遺伝子型の異なる集団における頻度を有することが可能であるが、共通の相対的なリスクを有すると考えられる群のマンテル・ヘンツェルモデルを使用して行った。 全てのP値は、両側として報告した。 多発性原発性乳癌の分析:多発性原発性乳癌(MPBC)の診断の記録を、ICRから得た。最初の乳癌の診断に加えて診断された原発性腫瘍は、臨床的にかつ組織学的検査によって、最初の乳癌と同時にまたはその後に生じ、対側または同側乳房に発生した、別個の原発性腫瘍であることが確かめられた。臨床的にまたは組織学的検査によって、原発腫瘍または多巣性の単一の原発性腫瘍の再発と分類された腫瘍は除外した。2005年12月末までに登録データに現れている2以上の別個の原発性腫瘍と診断された患者は、MPBCであるとみなした。2005年12月31日までにICRにおいて続発性原発腫瘍であると診断されなかった患者は、単一の原発性乳癌(SPBC)症例と命名した。SPBCに対するMPBCのリスクは、ロジスティック回帰分析によって判定され、最初の乳癌の診断からの追跡時間の年数を共変動として考慮した。発生時の年齢の比較は、NEMOソフトウェアを使用して線形回帰によって評価した。 家族歴分析:各罹患した発端者について、系統学のデータベースおよびICR記録を使用して、家族歴スコアが割り当てられた。発端者の周りの第一〜第三度近親者の環は、系統学のデータベースの参照によって判定された。次いで、近親者の罹患状態がICR記録から判定された。発端者には、各罹患した第一度近親者については1、各罹患した第二度近親者については0.5、および各罹患した第三度近親者については0.25の家族歴スコアが割り当てられた。次いで、総スコアを各発端者について合計した。次いで、SNPマーカー遺伝子型と家族歴スコアとの間の潜在的関係を、JMP v4 ソフトウェア(S.A.S.インスティテュート社)を動かし、ウィルコクソン試験によって試験した. 関連分析の表現型:本発明者らは、関連分析のために、2つの関連した表現型を使用した。第1の表現型は、全ての1600の乳癌と診断された個体を含んでいた。当該表現型は、「全(All)乳癌」(全BC)と命名した。第2の表現型は、中間〜高い素因特性の個体を選択し、「媒体素因」(MedPre)と命名した。当該表現型の定義は、発端者が下記の判断基準の1つを満たすことを必要とする。 1.発端者は、3減数分裂事象(3M)の遺伝的距離内の3以上の罹患した近親者を含む乳癌の症例の集団の一員であった。2.発端者は、3M以内の関連の罹患した対の一員であり、そのうち1人は50歳以下の時点で診断された。3.発端者は、3M以内の関連の罹患した対の一員であり、そのうち1人はいずれかのタイプの続発性原発腫瘍であると診断された。4.発端者は、いずれかのタイプの続発性原発腫瘍であると診断されていた。イルミナ Hap300 チップ上で分類された1600の患者のうち、653がMedPre判断基準を満たした(40.8%)。 (結果) セクション1:染色体2q14.2上のrs4848543rs4848543対立遺伝子A対立遺伝子は、増加した乳癌のリスクに関連している。ゲノム全体の関連分析は、rs4848543対立遺伝子AはMedPre乳癌に関連していることを示した。当該SNPについてのイルミナチップのデータは、1598の患者(そのうち、653がMedPre表現型の判断基準を満たした)および4477の癌のない対照について得られた。症例中の個体と対照群との間の関連性について補正した場合、MedPre乳癌に関連するrs4848543対立遺伝子AについてのRR推定値は、1.42であり、P値は8.3×10−8であった(表1)。317,089のSNP試験についてのボンフェローニ補正後、全体的な補正されたP値は0.026であった。rs4848543のA対立遺伝子もまた、全BCの表現型と名目上有意な関連を示し、相対的なリスク推定値は1.16だった(表1)。当該結果をアイスランド人の集団から得た別個の試料において確かめるため、本発明者らはrs4848543SNPについて試験する、ケンタウルス SNPアッセイ、SG02S738を設計し、検証した。SG02S738アッセイを、さらなる573BC患者(そのうち198がMedPre表現型の定義を満たす)について実行した。これらの患者は、イルミナチップまたはSG02S738アッセイを使用してrs4848543について分類された7406の個体からなる別個の対照群に対して試験された。当該第2の群のMedPre乳癌と関連するrs4848543対立遺伝子AについてのRR推定値は1.26であった(p値=3.4×10−2)。従って、別個のアイスランド人の試料において名目上の有意性をもって、最初の発見が再現された。最初の1598の患者および573の複製患者セットを合わせ、11883の対照と比較した共同解析の結果を表1に示した。共同解析は、全BCの表現型についての名目上有意なリスク、およびMedPre乳癌の表現型についてのゲノム全体での有意なリスクを示した。MedPre乳癌についての全体的なボンフェローニ補正されたP値は、0.0095であった(317,089のSNPについて補正)。全BCおよびMedPreの2つの表現型の試験を考慮した場合であっても、当該値は、ゲノム全体で有意である。 ICRの記録が1955年まで遡るため、本発明者らが動員した一部の患者は、長期間の癌の生存者であった。rs4848543対立遺伝子Aの変異を有する患者が、非保有者よりも長期間生存する異なる確率を有する場合、蔓延している症例間の変異の頻度は影響されるかも知れない。これを検討するため、本発明者らは、2000年1月1日よりも後に診断され、診断から動員の期間が5年未満である833の個体からなる患者のサブセットを同定した。近年診断された患者の当該コホートでは、rs4848543対立遺伝子A対立遺伝子の頻度は、0.372945であった。本発明者らはまた、2000年1月1日よりも前に診断され、動員まで生存していた1338の患者の群を同定した。当該群の間のRs4848543対立遺伝子Aの頻度は、0.372749であり、近年診断された患者の間の頻度と有意な違いはなかった(P値=0.99)。従って、異なる生存率が表1に示されたリスク推定値に影響するという説得力のあるエビデンスはない。 本発明者らは、さらに、MedPre表現型を有さない乳癌患者は、rs4848543対立遺伝子Aについて増加した頻度は全く示さなかったことに注目した(表1)。当該知見の示唆は、さらに下記において議論する。本発明者らは、rs4848543対立遺伝子Aと様々なMedPre表現型の定義の構成要素との関連性の試験を続けた。rs4848543対立遺伝子Aは、早期発生の乳癌と有意な関連がなかった。診断時が若年齢であることは、MedPre表現型の定義に使用される判断基準の1つであったため、本発明者らは、診断時の年齢とrs4848543遺伝子型との間の関連を探索した。イルミナチップ上で分析された1598の患者の間では、rs4848543遺伝子型と診断時の年齢との間に有意な関連はなかった(表2)。 rs4848543対立遺伝子Aのリスクは、乳癌の家族歴と関連する。家族歴スコアを、本研究における各患者の発端者について算出した。系統学のデータベースを使用し、本発明者らは、各発端者の第一〜第三度近親者の環を同定した。次いで、ICR記録を参照することによって、本発明者らは、自身が乳癌と診断された全てのこれらの近親者を同定した。本発明者らは、次いで、各発端者についての合計した家族歴スコア(FHS)を作成し、各罹患した第一度近親者には1、各罹患した第二度近親者には0.5、および各第三度近親者には0.25のスコアを割り当てた。イルミナチップ上で分類された1598の発端者を、次いで、FHSとrs4848543遺伝子型との関連を探索するために評価した。表2に示すように、増加したFHSの傾向は、rs4848543のA対立遺伝子の保有に関連していた。当該結果は、rs4848543対立遺伝子Aの変異が、全BCの患者の間で、わずか1.16の相対的なリスクを有するという知見のみに基づいて予測されるものではない。当該相対的なリスク単独では、乳癌の症例の家族性クラスター化を生じることができない(Staceyら、(2006)、PLoS Med、3、e217)。しかし、rs4848543対立遺伝子Aは、その定義において家族歴の実質的な因子を有する、MedPre表現型を使用して発見された。これらの観察は、rs4848543対立遺伝子Aが、共通性が低く、より高い浸透率の変異と連鎖不平衡であるかも知れないことを示唆する。あるいは、rs4848543対立遺伝子Aは、その浸透率を増加させ、それにより乳癌の家族歴との関連を増加させる別の高い浸透率の素因決定要因との相互作用を示すかも知れない。 rs4848543対立遺伝子Aによるリスクと乳癌の家族歴との関連は、部分的に(しかし、完全にではない)BRCA2 999del5変異を有する家族によって説明される。rs4848543対立遺伝子Aと乳癌の家族歴との間の関連性をさらに検討するため、本発明者らは、よく特徴付けられるアイスランド人のBRCA2 999del5変異を有する家族が、rs4848543対立遺伝子Aを有する患者によって示された家族性クラスター化の原因となるかどうか検討した。本発明者らは、BRCA2 999del5変異についての1600のセットから、1499の患者を分類した。本発明者らは、FHSを上記のように再度算出し、今回はBRCA2 999del5変異を有することが示された全ての発端者を除外した。表2に示されるように、rs4848543対立遺伝子AとFHSとの間の関連は、999del5変異保有者を除外した後も依然として有意であり、当該関連は、BRCA999del5変異家族によっては、十分には説明することができないことを示した。しかし、P値は、999del5保有者が除外されない場合よりも実質的に高く、BRCA2 999del5は、rs4848543対立遺伝子Aによって示される家族性クラスター化の一部に関連しているかも知れないという考えが導かれる。 rs4848543対立遺伝子Aからのリスクは、BRCA2 999del5変異の保有者に及ぶ。BRCA2 999del5変異は、アイスランドにおける家族性乳癌に対してこのような実質的な影響を有するため、本発明者らは、rs4848543対立遺伝子Aの変異とのその関連性を考えた。1つの可能性のあるシナリオは、CHEK2とBRCA変異との間の相互作用について示唆されてきたように、rs4848543対立遺伝子Aの変異は、BRCA2 999del5保有者に対して、無視できるさらなるリスクしか与えないというものだろう。((2004)、Am J Hum Genet、74、1175〜82;Meijers−Heijboerら、(2002)、Nat Genet、31、55〜9)。これがその通りであるならば、罹患したBRCA2999del5保有者の間のrs4848543対立遺伝子Aの変異の頻度は、対照の頻度と近似するだろう。逆に、罹患したBRCA2 999del5保有者のrs4848543対立遺伝子Aの変異の頻度が、対照集団におけるものよりも大きい場合、rs4848543対立遺伝子Aは、BRCA2保有者に、999del5変異によって与えられるリスクを超えて、かつ高いリスクを与えることを示唆する。BRCA2 999del5保有者数を最大化するため、アイスランド人のイルミナおよび複製患者セットを合わせて、下記の分析を行った。データの検討により、rs4848543対立遺伝子Aの変異の頻度は、乳癌のBRCA2 999del5保有者において0.463であることが示され、対照の頻度よりも有意に大きく、RRは1.65に相当した(表3)。従って、BRCA2 999del5保有者(既に、乳癌の高いリスクを有する)は、保有する各rs4848543対立遺伝子A対立遺伝子について、1.65の推定された倍率によって倍増されたリスクを有する。複合モデルから得たrs4848543遺伝子型の逸脱についてのエビデンスはない。これらの観察は、rs4848543対立遺伝子Aの変異によって与えられた乳癌について増加したリスクは、BRCA2 999del5保有者にまで及ぶことを示す。BRCA2 999del5は、非機能的タンパク質を産生する無発現変異であるため、これらの結果は、rs4848543対立遺伝子Aによって与えられたリスクは、BRCA2変異(その変異は非機能的タンパク質を与える)の全ての保有者にまで及ぶことを示唆する。 rs4848543対立遺伝子Aは、BRCA2 999del5と相乗的に相互作用するかも知れない。rs4848543対立遺伝子AからのリスクがBRCA2 999del5保有者にまで及ぶという知見は、当該変異が999del5非保有者に対するように、999del5保有者に対して同様の相対的なリスクを与えるかどうかという疑問を生じさせる。本発明者らは、BRCA2 999del5保有者におけるrs4848543対立遺伝子Aについての相対的なリスク推定値(1.65)は、BRCA2変異の非保有者のrs4848543対立遺伝子Aについての相対的なリスク推定値(1.13、表3)よりもいくらか高かったことに注目した。本発明者らは、従って、rs4848543対立遺伝子Aによって与えられる相対的なリスクが、非999del5背景に対して、BRCA2 999del5背景において異なっているかどうかを試験した。表3に示すように、rs4848543対立遺伝子Aによって与えられる相対的なリスクは、999del5保有者において、非保有者よりも1.46倍高いと推定される。これらの観察は、rs4848543対立遺伝子Aは、BRCA2 999del5と相乗的に相互作用するという解釈と一致する。BRCA2 999del5は、非機能的タンパク質を産生する無発現変異であるため、これらの結果は、rs4848543対立遺伝子Aは、全てのBRCA2変異(その変異は非機能的タンパク質を与える)と相乗的に相互作用することを示唆する。 BRCA2 999del5との有望な相互作用をまた、患者間で、患者が有するrs4848543の変異対立遺伝子の数と患者が有する999del5の数との間の有意な相関があるかどうかを評価することによっても、検討した。表4に示すように、患者において、保有するrs4848543対立遺伝子A対立遺伝子の数と、BRCA2 999del5対立遺伝子の保有との間に、有意な相関があった。患者におけるrs4848543対立遺伝子AとBRCA2 999del5対立遺伝子との相関が、根底にある集団層別化によって生じたものかどうかを検討するため、本発明者らは対照集団に相関が存在しているかどうかを試験した。両方の変異について試験された5938の対照の間には相関がなかった。乳癌患者は、当該5938の対照の群から除外した。BRCA2 999del5は乳癌についての非常に強いリスク因子であるため、対照群の999del5保有者はわずかであると主張され得る(相対的に少ない女性の保有者が乳癌に罹患していないため)。本発明者らは、従って、両方の変異について試験した2925の男性の被験者から構成される対照群を使用して試験を繰り返した。当該群においては、rs4848543対立遺伝子Aと999del5の保有との間の相関についてのエビデンスはない。従って、本発明者らは、患者間のrs4848543対立遺伝子Aおよび999del5の共遺伝を説明し得る根底にある集団層別化についてのエビデンスはないと結論付けた。従って、最も可能性のある説明は、rs4848543対立遺伝子Aおよび999del5は、相乗的に相互作用することである。 次いで、本発明者らは、分かっているBRCA2 999del5患者が分析から除外される場合、rs4848543対立遺伝子Aが家族歴との関連を示すという本発明者らの知見に戻った(表2)。本発明者らは、BRCA2 999del5保有者ではないが、MedPre表現型の判断基準に適合する高いリスクの患者が、rs4848543対立遺伝子Aについての増加した頻度を示すかどうかについて検討した。当該頻度は、対照よりもこれらの患者において高く、相対的なリスクは1.35に相当していた(表3)。従って、rs4848543対立遺伝子Aに関連するリスクは、999del5保有者ではないが、それにも関らずMedPre特性を有する患者にまで及ぶ。 表1に示すように、MedPre表現型の定義に適合しない患者においてrs4848543対立遺伝子Aに関連する検出可能なリスクはなかった。このことは、rs4848543対立遺伝子Aは、MedPre表現型の背景の構成におけるリスクのみ与えることを示唆している。これは、相対的にまれな高い浸透率の変異がrs4848543対立遺伝子Aの変異の背景に存在する場合に起こり得る。あるいは、rs4848543対立遺伝子Aの変異は、BRCA2の浸透率および他の、未だ未同定の、家族性の関連を有する高い浸透率リスクの決定要因を修飾する、より一般的な対立遺伝子について示し得る。このような未同定のリスク決定要因は、他の遺伝子の高い浸透率の変異、多遺伝子性変異の組み合わせ、またはさらに、家族においてクラスター化する環境的な危険因子であるかも知れない。便宜上、本発明者らは、このような仮定上の高い浸透率のリスク決定要因をBRCAxと呼ぶ。rs4848543対立遺伝子Aが、修飾因子遺伝子として作用するかもしれないという概念をさらに検討するため、本発明者らは、rs4848543対立遺伝子Aが、MedPre罹患した非BRCA保有者のように、罹患したBRCA2 999del5保有者の間で、同様の頻度で生じるかどうか検討した。これは、事実上、rs4848543対立遺伝子Aの変異が、BRCAxを有する個体のように999del5の保有者に同様のリスクを与えるかどうかを問うものである。表3に示すように、これらの群間では、rs4848543対立遺伝子Aの変異の頻度に有意差はなかった。しかし、相対的なリスクの点推定は1.22であり、効果は999del5保有者においてより大きいかも知れないことを示唆している。 rs4848543対立遺伝子Aおよびrs4848543LDブロック内のいくつかの他のマーカー(rs4848543と連鎖不平衡)の保有者は、多発性原発性乳癌について増加したリスクを有する。多発性原発性乳癌の発生は、遺伝性の素因の指標であり、臨床的な関連性を有する。乳癌を有していた患者は、続発性原発腫瘍の発生について非常に増加したリスクを有する。遺伝的素因は、当該増加したリスクの実質的な構成要素を構成するかも知れない。本発明者らは、従って、多発性原発性乳癌(MPBC)が、非保有者よりも、rs4848543対立遺伝子A保有者において、予測される頻度よりも高く生じるかどうかについて検討した。イルミナチップ(Illumina chip)によるデータは、rs4848543LDブロックの他のマーカーは、少なくともrs4848543と同様にMPBCを予測し得ることを示した。本発明者らは、従って、このブロック内のマーカーについての一連の8アッセイを設計し、試験した。ロジスティック回帰分析および患者の追跡時間の長さの補正を使用する、MPBCについてのリスクアセスメントにおいては、単一の原発性乳癌(SPBC)診断のみを経験した患者と比較した場合、8分の7のSNPが、保有者においてMPBCの増加したリスクを示した(表5)。本発明者らは、これらの7のSNPアッセイは、患者がMPBCの増加したリスクを有するかどうかを判定できると結論付けた。 1つの連鎖不平衡ブロックの複数のSNPは、全BCおよびMedPre乳癌の表現型との関連を示す。SNP rs4848543対立遺伝子Aは、連鎖不平衡(LD)ブロック(その配列の区切りは、NCBIビルド34に基づき、表6に示される)に見出される。LDブロックは、(McVeanら、(2004)、Science、304、581〜4;Wincklerら、(2005)、Science、308、107〜11)に記載された尤度比検定を使用して、オックスフォード大学において、数学的遺伝的特徴群によって定義された組み換えホットスポット間の伸長として定義される。イルミナ Hap300チップからのデータは、rs4848543対立遺伝子Aと同様の連鎖不平衡ブロックにあり、試験した2つの乳癌素因と名目上有意な関連を示した、いくつかのSNPを明らかにした。表7および表8は、イルミナ Hap300チップ上に存在するLDブロックの全てのSNPの一覧表、および2つの表現型についてこれらから得られた関連値を示す。本発明者らはまた、HapMap計画において分類されたさらなるSNPのセットの効率の良い代替物(r2>0.8)として同定されたブロック内の2つのマーカーのハプロタイプを検討した(HapMapデータについての全ての参照は、リリース20に対する)。これらのさらなるSNPは、UTAH CEPH(CEU)HapMap試料において、少ない対立遺伝子頻度(>5%)を有し、Hap300 SNPチップ上にはなく、かつ、チップ上のSNPによって効率的にタグされない(Pe’erら、(2006)、Nat Genet、38、663〜7)。これらのいわゆる「ダリー」ハプロタイプについての結果もまた、表7および表8に示す。MedPre乳癌については、29個体のSNPまたは2点「ダリー」ハプロタイプは、名目上有意なp値を示した。 rs4848543対立遺伝子Aに関連するリスクは、複数のハプロタイプの背景に存在する。 rs4848543対立遺伝子Aが相対的にまれな、高い浸透率の変異をタグするか、または他の高い浸透率決定要因の一般的な修飾因子として挙動するかを区別しようとするために、本発明者らはrs4848543対立遺伝子Aが現れるハプロタイプの背景の多様性を検討した。rs4848543LDブロックは、相対的に高い組み換え領域を含み、その遠位末端は、ヌクレオチド120034174周辺に存在する。 名目上有意な乳癌のリスクを与えるSNPは、当該組み換え領域の遠位(右方)に位置する。本発明者らは、従って、本発明者らのハプロタイプ多様性の分析を、当該右側のサブブロック領域に限定した。本発明者らは、NEMOソフトウェアを、イルミナチップ上で分類したSNPおよび試料を使用して、定められた領域(nt 120034174〜nt 120129001)内のハプロタイプを同定するために使用した。ハプロタイプを区別するのに必要ではない重複性のSNPは除外され、次いで、相対的なリスクおよび頻度を、各得られたハプロタイプについて評価した。結果を表9に示す。rs4848543A対立遺伝子を有する全ての同定されたハプロタイプが、1より大きい相対的なリスク推定値を有し、大部分の症例でRR推定値が1よりも有意に大きいことは明らかである。逆に、rs4848543C対立遺伝子を有するハプロタイプは、1より大きいRR推定値を有するものはなく、全ての有意な推定値は、1未満である(すなわち、これらは保護的である)。従って、本発明者らは、rs4848543対立遺伝子Aを保有するハプロタイプからリスクを分離することはできなかった。これは、病原性変異(すなわち、機構的にリスクを与える変異)は、rs4848543対立遺伝子Aまたはrs4848543対立遺伝子Aと強い連鎖不平衡の変異であることを示唆している。複数のハプロタイプの背景の病原性変異の存在は、その頻度が、rs4848543対立遺伝子Aのものと密接に近似しているかも知れないことを示唆している(すなわち、rs4848543対立遺伝子Aと病原性変異との間のr2値は高い)。当該知見は、rs4848543対立遺伝子Aは、rs4848543LDブロック内のまれな高い浸透率の変異の存在を示さないが、むしろ、高い浸透率の決定要因(BRCA2および以前に定義されたBRCAxなど)のある程度一般的な修飾因子を特徴付けるという概念を支持する。 多数のマーカーは、rs4848543対立遺伝子Aとのその相関を通じてBCリスクの関連を示し得る。HapMap計画データ(リリース20)への参照は、CEU白色ヨーロッパ人の集団試料において、r2値が0.2より大きい、rs4848543と関連するいくつかの公知のSNPを明らかにした。これらのSNPは、rs4848543と有意に関連するため、rs4848543自体によって判定されるように、同様のBCリスクを判定するために使用され得る。これらのSNPは表10に記載されている。 STEAP3/TSAP6遺伝子は、認められた乳癌のリスクに関連する、最も可能性のある遺伝子である。3つの現在公知の遺伝子がrs4848543LDブロック領域にある。これらは、1.補完物の構成要素 1q 小成分様2遺伝子 C1Ql2(NM_182528)2.前立腺の6回膜貫通の上皮抗原3(STEAP3)遺伝子、別名、腫瘍抑制活性化経路6(TSAP6)、pHyde、およびデュデュリン(Dudulin)2として知られている。参照配列番号NM_018234(アイソフォームb)、NM_182915(アイソフォームa)、およびNM_001008410(AF262322とも命名される)によって同定された3つの主要な公知の当該遺伝子の選択的転写物がある。当該遺伝子の4番目の転写物については、記載し、識別子AK024163.3を割り当てた。3.転写物、AK127773は、STEAP3遺伝子と重複し、逆の(左方)鎖から転写される。当該遺伝子は、仮定上のタンパク質FLJ45874と命名されている。 rs4848543LDブロックは、相対的に高い組み換え領域を含み、その遠位末端はヌクレオチド120034174の周辺に存在する。名目上有意な乳癌のリスクを与える、大部分のSNPおよびダリー2点ハプロタイプは、当該組み換え領域に対して遠位(右方)に位置する。これは、C1Ql2中(または周辺)の変異は、関連シグナルの供給源ではないことを示唆している。リスクと強く関連している変異は、STEAP3/TSAP6遺伝子に対して5’かつその中に位置している。実際、名目上有意なSNPのうちの2つ、rs838100およびrs3731603は、遺伝子の転写された配列内にあり、および別の2つ、rs838102およびrs12711924は、STEAP3/TSAP6イントロン内に位置している。これらの2つのSNPの後者は、IVS4遺伝子の3’スプライシング部位の近くに位置している。これらの観察、およびSTEAP3/TSAP6遺伝子の公知の生物学(下記参照)によれば、乳癌について認められた増加したリスクに関連する、最も可能性のある遺伝子は、STEAP3/TSAP6である。 セクション2:染色体2q35上のrs13387042 rs13387042A対立遺伝子は、アイスランドにおける増加した乳癌のリスクに関連する。ゲノム全体での関連分析は、rs13387042対立遺伝子AがBC表現型のいずれにも関連することを示した(表11)。当該SNPは、染色体2q35(STEAP3/TSAP6遺伝子座と異なる部位)に位置する。当該SNPのイルミナチップのデータは、1598の患者および4475の癌のない対照について得られた。症例および対照群の個体間の関連性について補正した場合、A−rs13387042についてのRR推定値は1.19であり、P値は4.0×10−5であった。RRは、MedPre乳癌において同様でありP値は4.4×10−3であった。 それ自体は、、当該結果は、試験された317,089のSNPについてのボンフェローニ補正後、ゲノム全体で有意であるとみなされ得るレベルには達さなかった。本発明者らは、従って、rs4848543対立遺伝子Aについて行ったように、アイスランド人の集団から得た別個の試料において結果を確かめようとした。本発明者らは、ケンタウルス SNPアッセイ(SG02S728と命名した)を、rs13387042SNPについて試験するために設計し、試験した。SG02S728アッセイを、さらなる583の患者、およびrs13387042対立遺伝子Aについて分類された(イルミナチップまたはケンタウルス法のいずれかによる)7966の個体からなる別個の対照群について実施した。7966の対照群は、前立腺癌または結腸直腸癌と診断された個体を含むが、乳癌と診断された個体は含まなかった。これは、rs13387042対立遺伝子Aは、これらの癌について検出可能なリスクを与えなかったという本発明者らの暫定観察によって正当化される(データは示していない)。当該第2の群におけるいずれのBCと関連するrs13387042のA対立遺伝子についてのRR推定値は、1.20だった(P値corr=3.8×10−3)。従って、最初の発見は、まさに同様のRR点推定で、別個のアイスランド人の試料において有意に再現された。最初の1598および583の複製試料が合わせられ、12441の対照と比較された共同解析の結果を、表11に示す。共同解析は、試験された317,089のSNPについてのボンフェローニ補正後の有意性のレベルと近い、1.20の著しい相対的なリスク推定値(P値corr=2.0×10−7)を示した。rs13387042対立遺伝子Aの変異の認められた頻度および相対的なリスクは、アイスランド人の集団において、推定された集団に起因するリスクである15.6%と対応した。 ICR記録が1955年まで遡るため、本発明者らが動員した一部の患者は、長期間の癌の生存者である。rs13387042対立遺伝子Aの変異を有する患者が、非保有者よりも長期間の生存について異なる確率を有する場合、蔓延している症例の間の変異の頻度は影響され得る。このことを検討するため、本発明者らは、2000年1月1日よりも後に診断され、診断から動員までの時間が5年未満である837の個体からなる患者のサブセットを同定した。近年診断された患者の当該コホートでは、rs13387042対立遺伝子Aの頻度は、0.498であった。本発明者らはまた、2000年1月1日よりも前に診断され、動員まで生存していた1344の患者の群を同定した。当該群間のrs13387042対立遺伝子Aの頻度は0.492であり、近年診断された患者間の頻度(P値=0.71)と有意差はなかった。従って、異なる生存率が、表11に示したリスク推定値に影響するという説得力のあるエビデンスはなかった。 rs13387042A対立遺伝子は、スペイン人の症例において、増加した乳癌のリスクと関連していた:対照試料。乳癌のリスクにおけるrs13387042対立遺伝子Aの役割をさらに検討するため、本発明者らはスペインで収集したBC症例:対照試料の別個のセットを試験した。スペイン人の研究集団は、サラゴサ病院の癌科(スペイン、サラゴサ)から動員した446の乳癌の症例からなる。977の対照個体のセットは、スペイン、サラゴサの大学病院で入手し、これらを研究に含める前に、乳癌フリーであることを確認した。全ての被験者において、書面によるインフォームドコンセントが得られている。 スペイン人の症例および対照試料は、rs13387042について、SG02S728 ケンタウルスアッセイを使用して、遺伝子型を同定した。結果を表11に示す。rs13387042の対立遺伝子Aは、当該集団において、乳癌のリスクと有意な関連を示し、RR点推定は1.21であった(P値 1.8×10−2)。rs13387042対立遺伝子Aの変異の頻度は、スペイン人の対照試料においてより高く、スペイン人の抽出集団において、当該変異はより蔓延しており、従ってより高い乳癌の負荷に寄与しているかも知れないことを示唆している。 rs13387042A対立遺伝子は、スウェーデン人の症例/対照試料において、増加した乳癌のリスクと関連している。さらに、乳癌のリスクにおけるrs13387042変異のA対立遺伝子の役割の確認を求めるため、本発明者らはSNPを2つのスウェーデン人のコホートに分類した。「スウェーデン家族性」コホートは、乳癌の家族歴の調査について、カロリンスカ研究所(ストックホルム)の癌遺伝子のカウンセリングクリニックに紹介された346のBC患者を含んでいた。各患者は、異なる家族の生まれであった。「スウェーデン連続的」コホートは、カロリンスカ研究所の乳癌クリニックに通院した、482の連続して(consectively)動員したBC患者を含む。当該第2のコホートの選択において、家族歴は考慮しなかった。対照は、ストックホルム地方から得た1300の血液提供者および434の癌のない結腸直腸癌症例の配偶者である。対照におけるA−rs13387042の頻度の性別間の有意差はなく、また、血液提供者と癌のない対照セットとの間にも有意差はなかった。 表11に示すように、「スウェーデン連続的」コホートは、1.31の有意な相対的な乳癌のリスクを示した(P値=2.0×10−4)。恐らく、当該群はA−rs13387042の効果を覆う高い浸透率の遺伝子を有するかも知れないため、「スウェーデン家族性」コホートの相対的なリスク推定値(1.11)は有意でなかった。全体的な、合わせたスウェーデン人のコホートは、有意な相対的なリスク推定値が1.22(P値=8.1×10−4)に戻った。 マンテル・ヘンツェルモデルを使用して、アイスランド人、スペイン人およびスウェーデン人のコホートについての推定値を共同解析において合わせた。当該結果は、推定される相対的なリスクが1.20であり、P値は3.8×10−11であった。これは、ボンフェローニ法を使用して検討した317,089のSNPについて補正した、ゲノム全体での有意性についての閾値をかなり下回った。従って、本発明者らは、A−rs13387042は、ヨーロッパ人の家系のいくつかの集団試料において有意かつ再現性のある乳癌のリスクを与える、と結論付けた。全体的な集団に起因するリスクは、16.4%であると推定される。 rs13387042対立遺伝子Aに関連したリスクは、複数のハプロタイプの背景に存在する。rs13387042 SNPは、連鎖不平衡(LD)ブロック(その配列の区切りを、bNCBIビルド34に基づき、表12に示す)において見出された。LDブロックは、(McVeanら、(2004)、Science、304、581〜4;Wincklerら、(2005)、Science、308、107〜11)に記載された尤度比検定を使用して、オックスフォード大学で、数学的遺伝的特徴群によって定義される、組み換えホットスポット間の伸張として定義される。マーカーrs13387042のA対立遺伝子が、相対的にまれな高い浸透率の変異、またはより一般的な低い浸透率の変異をタグするかどうかを区別しようとするため、本発明者らはrs13387042対立遺伝子Aが現れるハプロタイプの背景の多様性を検討した。本発明者らは、イルミナチップ上で分類したNSPおよび試料を使用し、LDブロック内のハプロタイプを同定するため、NEMOソフトウェアを使用した。ハプロタイプを区別するのに必要ではない重複性SNPは除外し、次いで、相対的なリスクおよび頻度を各得られたハプロタイプについて評価した。結果を表13に示す。rs13387042対立遺伝子のA対立遺伝子を有するいくつかの同定されたハプロタイプは、1より大きい相対的なリスク推定値を与え、いくつかの症例では、RR推定値は1よりも有意に大きいことは明らかである。逆に、rs13387042対立遺伝子のC対立遺伝子を有する1のみのまれなハプロタイプは、1よりも大きいRR推定値を示し、rs13387042対立遺伝子Cを有するハプロタイプについての2つの名目上有意なRR推定値は、1未満(すなわち、これらは保護的である)であった。rs13387042のA対立遺伝子を有する2つのハプロタイプは、1よりも大きいRR推定値を生じず、これらの推定値の1つは名目上有意である。まとめると、これらの観察は、病原性変異(すなわち、機構的にリスクを与える変異)は、rs13387042対立遺伝子Aと強いLDにあるが、rs13387042対立遺伝子A自体ではないかも知れないことを示唆する。 rs13387042LDブロックにおける複数のSNPは、BCリスクとの関連を示す。イルミナHap300チップによるデータは、rs13387042と同一のLDブロックに存在するいくつかのSNPを明らかにした。表14は、イルミナ Hap300チップ上に存在するLDブロックの全てのSNPの一覧表ならびにこれらから得られる1点および2点の「ダリー」ハプロタイプ分析についての関連値を示す。被験者間の家族性関連性について補正された場合、21のSNPまたはダリーハプロタイプが名目上有意なP値を示すことが見出され得る。 多数のマーカーは、rs13387042対立遺伝子Aとのその相関を通じて、BCリスクとの関連を示し得る。HapMap計画データ(リリース20)への参照により、CEU白色ヨーロッパ人の集団試料において、r2値が0.2より大きいrs13387042と関連するいくつかの公知のSNPが明らかとなった。これらのSNPは、rs13387042と有意に関連するため、これらは、rs13387042自体によって判定されるのと同じBCリスクの判定に使用され得る。これらのSNPは表15に記載されている。 セクション3:染色体16q12上のrs3803662rs3803662のT対立遺伝子は乳癌に関連するリスクである。さらに、1600の乳癌患者および11563の対照から得たデータを使用したゲノム全体のSNP分析はSNP rs3803662のT対立遺伝子を、いずれのBCについて、付与および推定される1.23倍の増加したリスクとして同定した(表16)。当該結果は、594のアイスランド人の乳癌患者および1433の対照の第2の、別個のコホートにおいて確認した。これらの2つのアイスランド人の試料から得た総合データは、個体間の関連性について補正した場合、1.23の相対的なリスク推定値、および2.8×10−7のP値を与えた。これは、10.1%の推定される集団に起因するリスクに相当する(表16)。 rs3803662対立遺伝子Tと乳癌のリスクとの関連は、スウェーデン、スペイン、およびオランダからの別個の乳癌症例:対照のコホートにおいて再現された。rs3803662対立遺伝子Tと乳癌のリスクとの関連を確認するため、本発明者らは3つの別個の、外国のコホートにおいて当該発見を再現することを試みた。本発明者らは、スウェーデン人およびスペイン人の上記コホートからの個体について遺伝子型を同定した。本発明者らはまた、オランダ、ナイミーヘンからの558の乳癌の症例および1384の対照の遺伝子型を同定した。当該コホートは、オランダ東部の診断された乳癌患者の集団に基づいた登録確認(2005年〜2006年)から選ばれた。当該期間において70歳未満の乳癌と診断された全ての患者は、本研究に参加するよう、招かれた。対照群は、集団登録の確率標本に基づき、2002年〜2003年に行われた調査において収集された(ナイメーヘン(Nijmengen)生物医学研究)。表16に示したように、rs3803662対立遺伝子Tについて有意に増加したリスクは、全ての3つのこれらの複製コホートにおいて認められた。これらの3つの非アイスランド人の複製コホートの複合解析において、全体的な相対的なリスク推定値は1.35であり、P値は5.1×10−12であった。アイスランド人および複製コホート共同解析は、合わせた相対的なリスク推定値が1.28であり、P値が2.7×10−17であることを示した。これは、試験されたSNP数を補正した場合、ゲノム全体での有意性の閾値をかなり下回っている。対応する全体的な集団に起因するリスクの推定値は13.4%であった(表16)。 rs3803662を含むLDブロックの定義および有望な候補遺伝子の同定。rs3803662 SNPは、連鎖不平衡(LD)ブロック(その配列の区切りは、bNCBIビルド34に基づき、表17に示している)において見出された。LDブロックは、(McVeanら、(2004)、Science、304、581〜4;Wincklerら、(2005)、Science、308、107〜11)に記載された尤度比検定を使用してオックスフォード大学で、数学的遺伝的特徴群によって定義された組み換えホットスポット間の伸張として定義される。rs3803662は、LOC643714と命名された仮定上のタンパク質の転写物に存在する。当該仮定上のタンパク質は、従って、有望な癌素因遺伝子として意味付けられる。公知の遺伝子TNRC9の5’末端もまた、当該ブロックに存在する。TNRC9は、染色質に関連する高い移動度群(HMG)タンパク質ファミリー(転写因子および染色質の再構築剤を含むことが知られるタンパク質群)の一員である。TNRC9タンパク質の減少した発現は、原発性乳癌と比較して、転移性乳癌において認められる(Olendrowitz、C.2006、Bachelor of Science Bioinformatics Thesis、ベルリン医科大学病院)。当該遺伝子の5’末端に近いSNP変異の同定は、当該変異は、増加した乳癌のリスクを導くTNRC9タンパク質の機能の発現を変化させる遺伝要因と連鎖不平衡であるかも知れないことを示唆する。 rs3803662LDブロックの複数のSNPは、BCリスクとの関連を示す。イルミナHap300チップからのデータは、rs3803662と同様のLDブロックにおけるいくつかのSNPを明らかにした。表18は、イルミナ Hap300チップに存在するLDブロックの全てのSNPの一覧表ならびに1点および2点の「ダリー」ハプロタイプ分析についてこれらから得られる関連値を示す。80SNPまたはダリーハプロタイプが名目上有意なP値を示したことが見られる。 多数のマーカーは、rs3803662対立遺伝子Tとのその相関を通じて、BCリスクの関連を示すことができた。HapMap計画データ(リリース20)への参照は、CEU白色ヨーロッパ人の集団の試料においてr2値が0.2より大きいrs3803662と関連するいくつかの公知のSNPを明らかにした。これらのSNPは、rs3803662と有意に関連するため、これらは、rs3803662自体によって判定されるのと同じのBCリスクを判定するのに使用され得る。これらのSNPは、表19に記載されている。 rs3803662対立遺伝子Tおよび/または関連するSNPは、いくつかの異なる民族において乳癌のリスクを与える。異なる民族的背景からの患者におけるrs3803662対立遺伝子Tに関する発見の一般性を検討するために、本発明者らは、多民族的コホート研究(MEC)からの乳癌患者および対照の試料の関連についてSNPを試験した。MECは、ハワイおよびロサンゼルスにおける215,000を超える男性および女性からなり(カリフォルニア各地からのさらなるアフリカ系アメリカ人を含む)、他で詳細に記載されている(Kolonelら、(2000)、Am J Epidemiol、151、346〜57)。当該コホートは、食生活、人口統計因子、個人の行動、以前の医学的条件の履歴、一般的な癌の家族歴、ならびに女性については、出産歴および外因性ホルモンの使用についての詳細な情報について質問した、26頁の自己管理された質問表を完成させることによって、1993年〜1996年の間に研究に参加した、主にアフリカ系アメリカ人、ハワイ先住民、日系アメリカ人、ラテンアメリカ人、およびヨーロッパ系アメリカ人からなる。参加者は、登録時に45歳〜75歳の間である。MECにおける癌の発生は、ハワイおよびロサンゼルス郡を網羅した集団に基づいた癌の調査、疫学、および最終結果(SEER)登録簿、ならびに全てのカリフォルニアを網羅したカリフォルニア州の癌登録とのコホートの連鎖によって同定された。1994年に開始し、血液試料は、発生した乳癌の症例およびMEC参加者の確率標本から収集され、コホートにおける遺伝的分析のための対照プールとして供した。コホート内乳癌症例と対照の研究において適格がある症例は、2002年12月31日までのMECへの登録後に湿潤性癌の発生が診断された女性からなる。対照は、乳癌のない参加者であり、それぞれ、当該コホートに参加する前および2002年12月31日までの診断がない参加者である。対照は、人種/民族性および年齢(5年間隔)に基づく症例に頻度をマッチさせた。研究は、南カリフォルニア大学およびハワイ大学における機関審査委員会によって承認された。 本発明者らは、MECからのヨーロッパ系アメリカ人、ラテンアメリカ系女性、およびアフリカ系アメリカ人のrs3803662と関連のあるリスクを検討しようと試みた。rs13387042 SNPと他のSNPとの間の相関は、異なる民族において異なり得るため、本発明者らはこれらの試料において試験するため、SNPの群を選択した。ヨーロッパ系アメリカ人およびヨルバ人(アフリカ人)についてのHapMap計画データ(リリース20)に由来するSNP、そのr2値およびD’値を表23に示す。ケンタウルスアッセイは、これらのSNPについて生じ、遺伝子型の同定はMEC試料において行われた。SNP間の結果をより良く比較できるようにするため、本発明者らは、ハプロタイプ分析によって、欠損した遺伝子型を考慮した一般化された尤度比検定を使用した。これは、症例および異なるSNPについての対照の数を同等化する効果を有し、それらの間のより簡単な比較を可能にする。結果は表24に示されている。第1に、rs3803662対立遺伝子Tからのリスクは、ヨーロッパ系アメリカ人において有意に増幅されることが明らかである。関連したSNPのうちの2つ、rs4784227対立遺伝子Tおよびrs17271951対立遺伝子Cは、ヨーロッパ系アメリカ人におけるrs3803662対立遺伝子Tよりも名目上より高い相対的なリスク、およびより低いP値を示す。これは、最初に同定されたSNPがより高い相対的なリスクを有し、従って、優れた疾病リスクマーカーを提供し得るということに関する概念を例証する。 rs3803662対立遺伝子Tシグナルもまた、ラテンアメリカ系女性において著しく増殖された。マーカーrs3803662のT対立遺伝子は、アフリカ系アメリカ人においては有意に増殖せず、実際、T対立遺伝子は、アフリカ系アメリカ人の試料では、有意に保護的だった。これは、rs3803662対立遺伝子Tと仮想の病原性変異との間のLDの関連は、アフリカ系アメリカ人では全く異なることを示唆している。本発明者らは、3つの関連するSNP対立遺伝子(rs12922061対立遺伝子T、rs4784227対立遺伝子T、およびrs17271951対立遺伝子C)は、ヨーロッパ人ではrs3803662対立遺伝子Tと強く関連するが、当該相関はヨルバのアフリカ人では維持されないことに注目した(表24)。しかし、rs3803662対立遺伝子Tと異なり、関連するSNP対立遺伝子であるrs12922061対立遺伝子T、rs4784227対立遺伝子T、およびrs17271951対立遺伝子C全てが名目上乳癌に対して増加した相対的なリスクを示し、そのうち2つは片側レベルで統計的有意性を達成した(表24)。これは、関連するSNPのセットを使用することは、様々な民族における使用に適したリスクのマーカーを提供できることを示す。 rs13387042対立遺伝子Aおよびrs3803662対立遺伝子Tは、エストロゲン受容体陽性の乳癌について増加したリスクを与える。本研究における患者の診療記録は、利用可能である場合は再検討した。組み合わせたサンプルセットを使用し、本発明者らは、rs13387042対立遺伝子Aおよびrs3803662対立遺伝子T、診断時の年齢、エストロゲン受容体(ER)およびプロゲステロン受容体(PR)の状態の間の関連を探した。いずれの変異も診断時の年齢との関連を示さなかった。rs13387042対立遺伝子Aおよびrs3803662対立遺伝子Tに関連する有意な乳癌のリスクは、ER陽性の腫瘍と診断された患者に明瞭に限定されており、ER陽性の腫瘍のORと、ER陰性の腫瘍のORとの間の相違は有意であった(表24)。同様に、PR陽性のORと、PR陰性のORとの間の相違は有意ではなかったが、PR陽性の腫瘍と診断された患者の間で選択的に乳癌のリスクに対して傾向があった。このことは、ER陽性の腫瘍およびER陰性の腫瘍は、いくらか異なる遺伝的病因を有するかも知れないことを示唆する。 核酸試料またはデータセットの分析方法であって、ヒト個体から得られた核酸試料または前記個体に由来する遺伝子型のデータセットにおける少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在または不存在を判定する工程を含み、前記少なくとも1つの多型マーカーは、マーカーrs3803662であり、前記少なくとも1つの対立遺伝子の存在は前記個体の乳癌に対する感受性を示し、 マーカーrs3803662における対立遺伝子Tの存在が乳癌に対する増加した感受性を示す方法。 さらに、前記個体から得られた核酸試料または前記個体に由来する遺伝子型のデータセットにおける少なくとも1つの浸透度の高い乳癌の遺伝的因子の存在または不存在を判定する工程を含む請求項1記載の方法。 核酸試料またはデータセットの分析方法であって、前記方法は、ヒト個体から得られた核酸試料または前記個体に由来する遺伝子型のデータセットの少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在または不存在を判定する工程を含み、前記少なくとも1つの多型マーカーが、マーカーrs3803662であり、 rs3803662における対立遺伝子Tの存在が、少なくとも続発性原発腫瘍の発生のリスクを示す方法。 ヒト個体の乳癌の遺伝的指標を判定する装置であって、 コンピューター可読媒体、および 前記コンピューター可読媒体に保存されたルーチンを含み、 前記ルーチンが、マーカーrs3803662について少なくとも1人のヒト個体のマーカーおよび/またはハプロタイプの情報を分析し、かつ、前記マーカーの情報に基づいて結果をもたらすためにプロセッサ上で実行されるように適合し、前記結果は前記ヒト個体の乳癌の遺伝的指標として前記マーカーまたはハプロタイプの個体のリスクの測定を含む装置。 ヒト個体から得られた核酸試料中の遺伝子型を同定する方法であって、前記試料中の少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在または不存在を判定する工程を含み、前記少なくとも1つのマーカーが、マーカーrs3803662であり、rs3803662の対立遺伝子Tの存在または不存在が乳癌の感受性を示す方法。 乳癌の治療薬に対する反応可能性についての個体の評価方法であって、前記個体から得られた核酸試料中の少なくとも1つの多型マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在または不存在を判定する工程を含み、前記少なくとも1つの多型マーカーは、マーカーrs3803662であり、rs3803662の対立遺伝子Tの存在は、前記治療薬への陽性反応の可能性を示す方法。 配列表


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