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タイトル:公開特許公報(A)_アトピー性皮膚炎の予防または改善剤
出願番号:2010272954
年次:2011
IPC分類:A61K 8/49,A61K 31/401,A61P 17/00,A61Q 19/00,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

小林 麻子 高橋 知也 竹越 与一郎 JP 2011079856 公開特許公報(A) 20110421 2010272954 20101207 アトピー性皮膚炎の予防または改善剤 協和発酵バイオ株式会社 308032666 小林 麻子 高橋 知也 竹越 与一郎 JP 2000218184 20000719 JP 2000269349 20000905 A61K 8/49 20060101AFI20110325BHJP A61K 31/401 20060101ALI20110325BHJP A61P 17/00 20060101ALI20110325BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20110325BHJP A61P 43/00 20060101ALI20110325BHJP JPA61K8/49A61K31/401A61P17/00A61Q19/00A61P43/00 111 4 2002512131 20010719 OL 14 4C083 4C086 4C083AA082 4C083AA122 4C083AC012 4C083AC022 4C083AC072 4C083AC102 4C083AC122 4C083AC182 4C083AC302 4C083AC422 4C083AC432 4C083AC482 4C083AC542 4C083AC581 4C083AC582 4C083AC612 4C083AC782 4C083AD042 4C083AD092 4C083AD112 4C083AD202 4C083AD332 4C083AD342 4C083AD352 4C083AD432 4C083AD492 4C083AD512 4C083AD532 4C083BB51 4C083CC03 4C083CC04 4C083CC05 4C083CC07 4C083CC17 4C083DD12 4C083DD17 4C083DD23 4C083DD31 4C083EE12 4C083EE13 4C083FF01 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC07 4C086GA16 4C086GA17 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA89 4C086ZC41 本発明は、セラミド合成促進剤および該セラミド合成促進剤を配合した化粧料に関する。 皮膚は常に様々な外部環境からの刺激にさらされている。皮膚の角質層にはこれら外界からの刺激や異物の侵入を防いだり、体内の水分の蒸散を防ぐバリアー機能が備わっている。バリアー機能の低下している人や動物では、皮膚角質層中のセラミド量が低下していることが知られている(非特許文献1)。また、バリアー機能低下の認められるアトピー性皮膚炎患者もセラミド量が減少していることが報告されている(非特許文献2)。 従来、バリアー機能を改善する手段として、セラミドの外用が検討され、その有効性が確認されている(非特許文献3)。また、セラミドの大量入手が容易でないことから、最近では皮膚のセラミド産生を高める物質の探索が行われてきている。 皮膚セラミドには種々の種類があることが知られている(非特許文献4)。各セラミドは特定の生理作用を有していることが知られている。特にセラミド1は角質細胞間脂質を安定に保持することにより水分蒸散量を調節し、セラミド2は皮膚の水分保持機能に寄与していることが報告されている(非特許文献5)。 セラミドの生合成を促進するものとしては、ユーカリエキス(非特許文献6)、ニコチン酸(特許文献1)、N−アセチル−L−システイン(特許文献2)、酵母エキス(特許文献3)、乳酸(非特許文献7)等が報告されている。しかし、これまでに、ヒドロキシプロリンまたはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体による皮膚表皮セラミド合成促進作用については知られていない。特開平8−217658号公報特開平7−291851号公報特開平9−2952号公報ジャーナル・オブ・リピッド・リサーチ(Journal of Lipid Research),30,89(1989)アクタ・デルマト・ヴェネレオロジカ(Acta Dermato Venereologica),78,27(1998)フレグランスジャーナル,10,29(1999)ジャーナル・オブ・リピッド・リサーチ,24,559(1983)フレグランスジャーナル,10,65(1999)第24回日本研究皮膚科学会学術大会(1999)アーチベス・オブ・デルマトロジカル・リサーチ(Archives of Dermatological Research),383−390,288(1996) 本発明の目的は、皮膚表皮角質層におけるセラミド合成を促進し、皮膚バリアー機能を改善し、荒れ肌改善やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患の予防または改善に効果を有する安全なセラミド合成促進剤および該セラミド合成促進剤を含有する化粧料を提供することにある。本発明者らは、皮膚表皮角質層におけるセラミド合成を促進させることに関し、鋭意検討した結果、ヒドロキシプロリンまたはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体またはそれらの塩に皮膚表皮角質層におけるセラミド合成促進効果を見出し本発明を完成するに至った。 即ち、本発明は以下(1)〜(4)に関する。 (1)N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンまたはそれらの塩を有効成分として含有するアトピー性皮膚炎の予防または改善剤。 (2)N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンまたはそれらの塩を全重量に対し0.01〜20重量%含有することを特徴とする、前記(1)記載のアトピー性皮膚炎の予防または改善剤。 (3) トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンが、微生物により生産されたものである、前記(1)または(2)記載のアトピー性皮膚炎の予防または改善剤。 (4)微生物が、アミコラトプシス属、ダクチロスポランジウム属およびストレプトマイセス属から選ばれる属に属する微生物由来のプロリン4位水酸化酵素遺伝子を導入された微生物である、請求項3記載のアトピー性皮膚炎の予防または改善剤。 本発明に使用するヒドロキシプロリンは、プロリンがD体かL体か、また水酸基の位置が3位か4位か、およびその立体異性体がシスかトランスかによって、8種類の立体異性体があるが、いずれでも用いうる。 ヒドロキシプロリンとしてはの具体例としては、例えばシス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、シス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、シス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、シス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、トランス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、トランス−3−ヒドロキシ−L−プロリンおよびトランス−3−ヒドロキシ−D−プロリンがあげられる。 ヒドロキシプロリンは、コラーゲン中の主要構成アミノ酸成分として、また、エラスチンの構成アミノ酸として自然界に広く存在するアミノ酸の一種であり、例えばブタやウシ等の動物由来のコラーゲンを酸加水分解し、常法により精製することにより製造することができる。 トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンは、アミコラトプシス(Amycolatopsis)属またはダクチロスポランジウム(Dactylosporangium)属より単離したプロリン4位水酸化酵素(特開平7−313179号公報)を用い製造することができる。またシス−3−ヒドロキシ−L−プロリンは、ストレプトマイセス(Streptomyces)属より単離したプロリン3位水酸化酵素(特開平7−322885号公報)を用い製造することができる[バイオインダストリー,14,31(1997)]。 具体的には、上記微生物由来のプロリン3位水酸化酵素またはプロリン4位水酸化酵素をコードする遺伝子を適当なベクターに挿入して組換えベクターを作製し、当該組換えベクターを宿主とする微生物に導入し、当該微生物を培養することによりヒドロキシプロリンを製造することができる。 本発明においては、微生物を用いて製造したヒドロキシプロリンがより品質の優れたものが容易に得られる点で好ましい。 本発明で用いるヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体としては、上述の各種ヒドロキシプロリンの立体異性体のN−アシル誘導体があげられる。該N−アシル誘導体のアシル基としては、特に制限がないが、好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜6のアシル基があげられ、具体的には、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル等をあげることができ、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリルが好ましい。 ヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体の塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアミンの付加塩およびアルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸の付加塩などがあげられる。 ヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体は、公知の方法により調製することができる。例えば、ヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体は、直鎖または分岐状の炭素数1〜24の飽和または不飽和の脂肪酸を塩化チオニル、ホスゲン等のハロゲン化剤を用いてクロライド、ブロマイド等のハロゲン化物に変換した後、前述のヒドロキシプロリンと縮合させるか、または脂肪酸を酸無水物に変換した後、ヒドロキシプロリンと反応させることにより製造することができる。 脂肪酸としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸等の脂肪酸を単独もしくは組合せたものが用いられる。 酸ハロゲン化物を経由するヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体の製造方法を、以下に例示する。 脂肪酸を塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン等の溶媒中に分散し、これに1〜5倍当量のハロゲン化剤を添加して反応させ、脂肪酸ハライドを得る。次に、ヒドロキシプロリンを溶媒に溶解または分散させ、得られた溶液を5〜70℃に保ちながら、上記の脂肪酸ハライドをヒドロキシプロリン対して0.3〜3.0倍当量加え、アシル化反応を行うことによりヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体を製造することができる。 アシル化反応に用いられる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられ、これらは単独あるいは混合して用いてもよい。ヒドロキシプロリンを溶媒に溶解または分散する際、ヒドロキシプロリンに対して0.8〜2.0倍当量の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ物質を必要に応じて溶媒に溶解または分散させてもよい。 ヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体の塩を取得したいとき、ヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体が塩の形で得られる場合には、そのまま精製すればよく、遊離の形で得られる場合には、適当な溶媒に溶解または懸濁し、塩基を加えて塩を形成させればよい。 精製は、例えば結晶化、クロマトグラフィー等の通常の方法が用いられる。 具体的なヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体としては、例えば、N−アセチル−シス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−アセチル−シス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−アセチル−シス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−アセチル−シス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−アセチル−トランス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−アセチル−トランス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、N−プロピオニル−シス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−プロピオニル−シス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−プロピオニル−シス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−プロピオニル−シス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、N−プロピオニルトランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−プロピオニル−トランス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−プロピオニル−トランス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−プロピオニル−トランス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、N−ブチリル−シス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−ブチリル−シス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−ブチリル−シス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−ブチリル−シス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、N−ブチリル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−ブチリル−トランス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−ブチリル−トランス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−ブチリル−トランス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、N−イソブチリル−シス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−イソブチリル−シス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−イソブチリル−シス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−イソブチリル−シス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、N−イソブチリル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−イソブチリル−トランス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−イソブチリル−トランス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−イソブチリル−トランス−3−ヒドロキシ−D−プロリン等をあげることができる。 本発明の皮膚表皮セラミド合成促進剤において、ヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体またはそれらの塩は、シス/トランス−4−ヒドロキシ−L/D−プロリン、シス/トランス−3−ヒドロキシ−L/D−プロリン、もしくはこれらの種々のN−アシル誘導体またはその塩を、単独または混合して用いることができる。 皮膚表皮セラミド合成促進剤中のヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体またはそれらの塩の含有量は目的とする効果に応じて増減させることができ、例えば、0.001〜50重量%、好ましくは0.01〜20重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%である。 本発明において、セラミドとは、N−アシルスフィンゴシン誘導体を意味し、例えばジャーナル・オブ・リピッド・リサーチ,24,559(1983)の図2に記載された化合物等をあげることができる。 本発明を適用できる皮膚表皮としては、特に制限がないが例えばマウス、イヌ、ネコ、ウマ等の愛玩動物等及びヒトの皮膚表皮が例示でき、ヒト皮膚表皮が好ましい。 皮膚表皮のセラミドは、表皮脂質を例えば95%エタノールで抽出し、これをさらにヘキサン:メタノール(2:3)で抽出し乾固させて取得し、得られた表皮脂質をクロロホルムに溶解し、芋川ら[ジャーナル・オブ・インヴェスティゲイティブ・デルマトロジー(Journal of Investigative Dermatology),96,523(1991)]方法に準じて、シリカゲル薄層クロマトグラフィーにて分離後、フライングスポットスキャニングデンシトメーター(島津製作所社製、CS−9000)で測定することができる。 本発明の皮膚表皮セラミド合成促進剤は、上記必須成分に加え、適宜、各用途に適した添加剤、例えば、医薬担体や通常化粧料に配合される成分等を含有させることにより化粧品や医薬品等の用途に使用することができる。 本発明の皮膚表皮セラミド合成促進剤の化粧品および医薬品の形態の例としては、以下に例を挙げて説明するが、これに限定されるものではない。 本発明の化粧品の形態としては、液状製品、ゲル状製品、乳液状製品、クリーム等の固形状製品をあげることができ、例えば、化粧水、乳液、美容液、ジェル、パック、モイスチャークリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、アフターシェービングクリーム、ハンドクリーム、日焼け止めクリーム、クレンジングクリーム、ボディーローション、ボディシャンプー、ヘアシャンプー、洗顔クリーム、洗顔フォーム、クレンジングクリーム、クレンジングミルク、クレンジングローション、マッサージクリーム、日焼け止めクリーム、日焼け用オイル、ヘアリンス、ヘアートリートメント、養毛料、育毛料、チック、ヘアクリーム、ヘアリキツド、セットローション、ヘアスプレー、ヘアダイ、ヘアブリーチ、カラーリンス、カラースプレー、パーマネントウェーブ液、プレスパウダー、ルースパウダー、アイシャドー、ハンドクリーム等があげられる。 本発明の化粧品は、ヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体またはそれらの塩に、化粧品に使用される一般的な原料、例えば、固形油・半固形油、液体油、保湿剤、エモリエント剤、水溶性高分子、油溶性高分子、各種界面活性剤、シリコーンまたはフッ素化合物で処理されていてもよい無機および有機顔料、エタノール、紫外線吸収剤、防腐剤、pH調整剤、皮膚柔軟剤、水等を含有させることができ、本発明の目的、効果を損なわない質的、量的範囲内で含有可能である。 固形・半固形油としては、ワセリン、ラノリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ;椰子油脂肪酸、ラウリン酸、硬化牛脂脂肪酸等の高級脂肪酸;ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール等をあげることができる。 液体油としては、例えばアボガド油、オリーブ油、ホホバ油、小麦胚芽油等の植物油;オレイン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸;ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類;2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸−2−オクチルドデシル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセロール、オレイン酸−2−オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソステアリン酸グリセロール、2−エチルヘキサン酸ジグリセリド、長鎖アシルグルタミン酸オクチルドデシルエステル等のエステル油;ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のシリコン油等;流動パラフィン、スクワレン、スクワラン等の液状炭化水素油等をあげることができる。 保湿剤としては、脂溶性保湿剤、低分子保湿剤および高分子保湿剤をあげることができる。 脂溶性保湿剤としては、例えば、リゾレシチン、レシチン、コレステロール、コレステロールエステル、スフィンゴ脂質、セラミド等をあげることができる。 低分子保湿剤としては、セリン、グルタミン、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、ピロリドン−カルボン酸ナトリウム、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、乳酸、乳酸塩等をあげることができる。 高分子保湿剤としては、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、エラスチン、アルギン酸、ムコ多糖類、ポリエチレングリコール、ポリアスパラギン酸塩、水溶性キチン、アテロコラーゲン等をあげることができる。 エモリエント剤としては、例えば長鎖アシルグルタミン酸コレステリルエステル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸、ロジン酸、ラノリン脂肪酸コレステリルエステル等をあげることができる。 水溶性高分子としては、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ボリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、トランガントガム、カラギーナン、デキストリン、デキストリン脂肪酸エステル、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム等の化粧料に汎用される水溶性高分子をあげることができる。 油溶性高分子としてはポリピニルピロリドン・エイコセン共重合体、ポリビニルピロリドン・ヘキサデセン共重合体、ニトロセルロース、高分子シリコーン等の化粧料に汎用される油溶性高分子をあげることができる。 界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン(以下、POEと略記する)セチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリン酸エステル、POEソルビタンモノラウレート、モノグリセリルステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の非イオン界面活性剤;塩化ペンザルコニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等のカチオン界面活性剤;2−ココイル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アミド酢酸ベタイン等の両性界面活性剤;高級アルコール硫酸塩、高級アルコールエーテル硫酸塩、長鎖脂肪酸アルカリ金属塩、長鎖脂肪酸アルカリ土類金属塩、長鎖脂肪酸塩基性アミノ酸塩、N−長鎖アシルアミノ酸、N−長鎖アシルアミノ酸塩等のアニオン界面活性剤をあげることができる。 有機および無機顔料としては、例えばケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、ベンカラ、クレー、ベントナイト、チタン被膜雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、群青、酸化クロム、水酸化クロム、カラミンおよびカーボンブラックおよびこれらの複合体等の無機粉体;ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、セルロース、CIピグメントイエロー、CIピグメントオレンジ等の有機粉体;およびこれらの無機粉体と有機粉体の複合粉体等をあげることができる。 有機粉体としては、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸;セチルリン酸亜鉛ナトリウム、ラウリルリン酸亜鉛、ラウリルリン酸カルシウム等のアルキルリン酸多価金属塩;N−ラウロイル−β−アラニンカルシウム、N−ラウロイル−β−アラニン亜鉛、N−ラウロイルグリシンカルシウム等のアシルアミノ酸多価金属塩;N−ラウロイル−タウリンカルシウム、N−パルミトイル−タウリンカルシウム等のアミドスルホン酸多価金属塩;Nε−ラウロイル−L−リジン、Nε−パルミトイルリジン、Nα−パルミトイルオルニチン、Nα−ラウロイルアルギニン、Nα−硬化牛脂脂肪酸アシルアルギニン等のN−アシル塩基性アミノ酸;N−ラウロイルグリシルグリシン等のN−アシルポリベプチド;α−アミノカプリル酸、α−アミノラウリン酸等のα−アミノ脂肪酸;ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、四フッ化エチレン等の樹脂粉体等を用いることができる。 紫外線吸収剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸誘導体、パラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル等のパラアミノ安息香酸誘導体;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;パラメトキシ桂皮酸エチル、パラメトキシ桂皮酸オクチル等のメトキシ桂皮酸誘導体;サリチル酸オクチル、サリチル酸ホモメンチル等のサリチル酸誘導体;N−ベンソイル−o−メチル−α−デヒドロチロシン2−エチルヘキシルエステル等のα−デヒドロアミノ酸誘導体;4−(3,4−ジメトキシフェニル)メチレン−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル等のベンザールヒダントイン誘導体;ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等をあげることができる。 防腐剤としては、例えばメチルパラベン、プロピルパラベン等をあげることができる。皮膚柔軟剤としては、例えば流動パラフィン、ワセリン、白色ワセリン、オリーブ油、スクワラン、ラノリン、水添ラノリン、合成エステル油等をあげることができる。pH調整剤としては、例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム等をあげることができる。上記いずれの成分も、本発明の目的、効果を損なわない範囲内で配合可能であるが、好ましくは0.01〜5重量%であり、特に好ましくは0.01〜3重量%である。 本発明に係わる医薬製剤は、活性成分としてヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体またはそれらの塩を単独で、あるいは任意の他の治療のための有効成分との混合物として含有することができる。また、それら医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種もしくはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の剤型を取ることができる。本発明の医薬品の形態としては、例えば軟膏剤、クリーム剤、発布剤、テープ剤、外用剤等があげられる。 担体としては、例えば結合剤、滑沢剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、希釈剤、緩衝剤、抗酸化剤、細菌抑制剤等があげられる。 ヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体またはそれらの塩は、そのまま単独で投与することも可能であるが、通常各種の医薬製剤として提供するのが望ましい。 本発明のヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体またはそれらの塩からなるセラミド合成促進剤を含む化粧料または医薬品の使用方法は年齢、個人、使用する部位により異なるが、ヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体またはそれらの塩を有する化粧料または医薬品の濃度が0.001〜50重量%、好ましくは0.01〜20重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%であるものを0.1〜5μl、好ましくは1〜5μl、特に好ましくは2μlを1日1回〜数回、肌に塗布することが望ましいがこれに限定されるものではない。 次に、実施例および試験例を挙げ本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらになんら制約されるものではない。 実施例1 化粧水の調製(油相成分) 香料[dl−ローズオキサイト、木村産業社製] 0.05g ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油[日本エマルジョン社製]2.0g 1,3−ブチレングリコール[協和発酵工業株式会社製] 5.0g(水相成分)N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン[協和発酵工業株式 会社製] 3.0g グリセリン[協和発酵工業株式会社製] 5.0g メチルパラベン[上野製薬社製] 0.1g クエン酸[和光純薬工業社製] 0.1g クエン酸ナトリウム[和光純薬工業社製] 0.2g エタノール[日本アルコール社製] 8.0g 精製水 100.0g(調製法)油相成分および水相成分をそれぞれ均一に溶解し、油相を水相に攪拌しながら加え、化粧水を得た。 実施例2 乳液の調製(油相成分) スクワラン[岩瀬コスファ社製] 4.0g 小麦胚芽油[サミット製油社製] 2.0g モノグリセリルステアレート[日光ケミカルズ社製] 1.0g ポリオキシエチレンステアリルエーテル[日本エマルジョン社製]4.0g プロピルパラベン[上野製薬社製] 0.1g(水相成分)N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン[協和発酵工業株式 会社製] 3.0g メチルパラベン[上野製薬社製] 0.1g プロピレングリコール[和光純薬工業社製] 0.1g ポリエチレングリコール6000[日本油脂社製] 0.2g 精製水 80.5g 1%ヒアルロン酸ナトリウム[日光ケミカルズ社製] 5.0g(調製法) 油相成分および水相成分をそれぞれ80℃に熱して均一にし、水相を油相に攪拌しながら加え、乳液を得た。 実施例3 クリームの調製(油相成分) スクワラン[日光ケミカルズ社製] 5.0g オリーブ油[日光ケミカルズ社製] 3.0g 水添ラノリン[野田ワックス社製] 2.0g ミツロウ[野田ワックス社製] 2.5g モノグリセリルステアレート[日光ケミカルズ社製] 2.0g ポリオキシエチレンステアリルエーテル[中外貿易社製] 2.5g プロピルパラベン[上野製薬社製] 1.5g 1,3−ブチレングリコール[協和発酵工業株式会社製] 5.0g 香料[dl−ローズオキサイト、木村産業社製] 微量(水相成分)N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン[協和発酵工業株式 会社製] 5.0g メチルパラベン[上野製薬社製] 0.5g カーボポール940[グッドリッチ社製] 0.03g トリエタノールアミン[国産化学社製] 0.3g 精製水 70.97g(調製法)油相成分および水相成分をそれぞれ80℃に熱して均一にし、水相を油相に攪拌しながら加え、乳化後冷却しクリームを得た。 実施例4 美容液の調製(油相成分) コレステリルエーテル[日本エマルジョン社製] 0.2g ピログルタミン酸エーテル[日本エマルジョン社製] 1.0g ラノリン[野田ワックス社製] 0.3g 1,3−ブチレングリコール[協和発酵工業株式会社製] 5.0g 香料[ゲラニオール、木村産業社製] 微量(水相成分)N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン[協和発酵工業株式 会社製] 5.0g 1%カーボポール[中外貿易社製] 5.0g コンドロイチン硫酸ナトリウム[岩瀬コスファ社製] 0.02g エタノール[日本アルコール社製] 1.0g メチルパラベン[上野製薬社製] 0.1g 1%ヒアルロン酸[日光ケミカルズ社製] 8.0g 0.3%アテロコラーゲン[株式会社高研社製] 1.0g 精製水 73.38g(調製法)油相成分および水相成分をそれぞれ80℃に熱して均一にし、水相を油相に攪拌しながら、美容液を得た。 実施例5 整肌パウダーの調製 N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン[協和発酵工業株式 会社製] 5.0g メチルパラベン[上野製薬社製] 0.5g アラビアゴム[岩瀬コスファ社製] 0.03g クエン酸[和光純薬工業社製] 0.3g クエン酸ナトリウム[和光純薬工業社製] 0.2g マンニット[岩瀬コスファ社製] 適量(調製法) 各成分を均一にし、攪拌混合して、パウダーを得た。 実施例6 軟膏の調製(油相成分) 白色ワセリン[岩瀬コスファ社製] 0.2g ステアリルアルコール[日光ケミカルズ社製] 1.0g ラウリル硫酸ナトリウム[岩瀬コスファ社製] 0.3g(水相成分)N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン[協和発酵工業株式 会社製] 5.0g プロピレングリコール[和光純薬工業社製] 5.0g パラオキシ安息香酸エチル[上野製薬社製] 0.02g パラオキシ安息香酸ブチル[上野製薬社製] 1.0g 精製水 81.45g(調製法)相成分および水相成分をそれぞれ80℃に熱して均一にし、水相を油相に攪拌しながら、乳化後冷却し軟膏を得た。 実施例7 パックの調製(油相成分) エタノール[日本アルコール社製] 8.0g ポリオキシエチレンオレイルエーテル[日光ケミカルズ社製] 1.0g パラオキシ安息香酸メチル 0.2g(水相成分) N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン[協和発酵工業株式 会社製] 5.0g プロピレングリコール 4.0g グリセリン[協和醗酵工業社製] 5.0g ポリビニルアルコール[信越化学工業社製] 15.0g 精製水 61.6g 香料[ゲラニオール、木村産業社製] 0.2g(調製法)水相成分、油相成分およびそれぞれ80℃に熱して均一にし、水相を油相に攪拌しながら、パックを得た。 実施例8 テープ剤の調製(粘着剤溶剤) スチレン−イソプロピレン−スチレンブロック共重合体[シェル社製]7.0g エステルガム[大日本インキ化学社製] 25.0g イソプロピレンゴム[クラレ社製] 5.0g トルエン[岩瀬コスファ社製] 15.0g 酢酸エチル[キシダ化学社製] 14.2g ヘキサン[キシダ化学社製] 25.0g(薬効成分)N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン[協和発酵工業株式 会社製] 3.0g エタノール[日本アルコール社製] 5.0g(経皮吸収促進剤)オレイルアルコール[岩瀬コスファ社製] 0.8g(調製法)粘着剤溶剤、薬効成分をそれぞれ均一にし、薬効成分、経皮吸収促進剤を粘着剤溶剤に加え、室温で攪拌し組成物を得た。この組成物をシリコーン処理したポリエステルフィルム上に延展し、120℃で乾燥させ冷却後、ポリエチレンフィルムへ粘着剤層を転写させ、テープ剤を得た。 試験例1 ヘアレスマウスにおける表皮セラミド合成量の評価 N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンをそれぞれ0、1.0、3.0、5.0、10.0重量%含有する30重量%エタノール水溶液を調製し試験組成物1〜5を得た。本水溶液のpHは、水酸化ナトリウムでpH4.5に調整した。 ヘアレスマウス(SKH1:hr/hr:BR,雄,7週令、チャールスリバー社製)に、1日1回、1ヶ月間、被検部位である背部全面に上記試験組成物1〜5を200μlずつ塗布した。マウスは各群4匹ずつ用いた。 塗布を開始する前、および塗布を開始してから一ヶ月後に、各マウスの被検部位である背部全面より表皮脂質を抽出し、セラミド含量を測定し、N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンのセラミド合成能を評価した。 表皮脂質は95%エタノールで抽出し、これをさらにヘキサン:メタノール(2:3)で抽出し乾固させて取得した。得られた表皮脂質をクロロホルムに溶解し、芋川ら[ジャーナル・オブ・デルマトロジー(Journal of Investigative Dermatology),96,523(1991)]方法に準じて、シリカゲル薄層クロマトグラフィーにて分離後、フライングスポットスキャニングデンシトメーター(島津製作所社製、CS−9000)でセラミド含量を測定した。 セラミド含量は、無処理のマウスのセラミド合成量変化に対する相対値として、下記の式に従って算出した。 相対セラミド合成量(%)=[(A1×B2)/(A2×B1)]×100 A1:被検マウスの塗布後セラミド含量 A2:被検マウスの塗布前セラミド含量 B1:無処理マウスの塗布後セラミド含量 B2:無処理マウスの塗布前セラミド含量 セラミドには数種の異性体が存在することが知られており、総セラミド合成量および各種セラミド合成量に分別して算出した。標準品はシグマ社製のセラミドIII(ceramide III、セラミド1および2からなる。)およびセラミドIV(ceramide IV、セラミド4および5からなる。)を用いた。ここで総セラミドとはセラミド1、2、4および5の合計を意味し、セラミドIIIとはセラミド1および2の合計を意味する。なお、セラミド1、2、4および5は、それぞれジャーナル・オブ・リピッド・リサーチ,24,559(1983)の第2図に記載されている化合物1、2、4および5に対応する。結果を第1表および第2表に示す。 長期連用により、N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン濃度1〜3重量%で表皮角質層における総セラミド含量並びにN−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン濃度1〜10重量%でセラミドIIIの顕著な増加が認められた。 以上、本発明のセラミド合成促進剤は、表皮角質層中のセラミド合成を促進する機能を有することから、皮膚バリアー機能を改善することによって荒れ肌やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患の改善に有効である。 試験例2 アトピー性皮膚炎発症モデルマウス(I型アレルギーモデル)における耳介浮腫の抑制評価 N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンをそれぞれ0、1.0、3.0重量%含有する30重量%エタノール水溶液を調製し試験組成物6〜8を得た。本水溶液のpHは、水酸化ナトリウムでpH4.5に調製した。 NC/Ngaマウスを用いたアトピー性皮膚炎は、笹川らの方法[第16回日本疾患モデル学会(1999年)]に準じて実施した。NC/Ngaマウス(雄,8週令、チャールスリバー社製)に、試験開始から1日目、3日目および7日目から毎日、一定時間に抗原としてダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)抽出液を耳介に20μgずつ皮内投与し耳介の浮腫を誘発さた。上記試験組成物6〜8は、試験開始から7日目から1日1回、ダニ抽出液を投与後6時間後に被検部位である耳介両面に20μlずつ塗布した。マウスは各群6匹ずつ用いた。 耳介の厚みを試験開始日から28日目にダイアル・シックネス・ゲージ[dial thickness gauge,G−1A、ピーコック(PEACOCK)社製]を用いて測定し、相対耳介浮腫の増加量(%)を下記の式に従って算出した。 相対耳介浮腫の増加量(%)=[(A1×B2)/(A2×B1)]×100 A1:被検マウスの経過日数後の耳介の厚み A2:被検マウスの試験開始時の耳介の厚み B1:無処理マウスの経過日数後の耳介の厚み B2:無処理マウスの試験開始時の耳介の厚み 結果を第3表に示す。数値は相対耳介浮腫の増加量(%)の平均値±標準誤差(n=6)を示す。 長期連用により、N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンは濃度1〜3重量%で、I型アレルギーモデルによって生じる耳介の浮腫を顕著に抑制した。 試験例3 アトピー性皮膚炎発症モデルマウス(I型、IV型アレルギーモデル)による耳介浮腫の抑制評価 N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンをそれぞれ0、3.0重量%含有する30重量%エタノール水溶液を調製し試験組成物9および10を得た。本水溶液のpHは、水酸化ナトリウムでpH4.5に調製した。 NC/Ngaマウスを用いたアトピー性皮膚炎は、藤井らの方法[基礎と臨床、31(8),2693(1997)]に準じて実施した。NC/Ngaマウス(雄,8週令、チャールスリバー社)に、試験開始1日日、3日目および7日目に、一定時刻に1日1回、1.5%ジニトロクロロベンゼン(DNCB)を耳介両面に20μlずつ塗布し、耳介の浮腫を誘発させた。上記試験組成物9および10は、試験開始1日目から毎日1日1回、DNCB塗布6時間後に被検部位である耳介両面に20μlずつ塗布した。マウスは各群6匹ずつ用いた。 試験開始から11、12、14および17日目の試験組成物を耳介に塗布する直前に耳介の厚みをダイアル・シックネス・ゲージ[dial thickness gauge,G−1A、ピーコック(PEACOCK)社製]を用いて測定し、相対耳介浮腫の増加量(%)を下記の式に従って算出した。 相対耳介浮腫の増加量(%)=[(A1×B2)/(A2×B1)]×100 A1:被検マウスの経過日数後の耳介の厚み A2:被検マウスの試験開始時の耳介の厚み B1:無処理マウスの経過日数後の耳介の厚み B2:無処理マウスの試験開始時の耳介の厚み 結果を第4表に示す。数値は相対耳介浮腫の増加量(%)の平均値±標準誤差(n=6)を示す。 長期連用により、N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンは濃度3重量%で、I型、IV型アレルギーモデルによって生じる耳介の浮腫を顕著に抑制した。 本発明により、皮膚のセラミド生合成能を高め、荒れ肌やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患の改善に有効なヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体またはそれらの塩を有効成分として含有する皮膚表皮セラミド合成促進剤を提供することができる。 N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンまたはそれらの塩を有効成 分として含有するアトピー性皮膚炎の予防または改善剤。 N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンまたはそれらの塩を全重量 に対し0.01〜20重量%含有することを特徴とする、請求項1記載のアトピー性皮 膚炎の予防または改善剤。 トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンが、微生物により生産されたものである、 請求項1または2記載のアトピー性皮膚炎の予防または改善剤。 微生物が、アミコラトプシス属、ダクチロスポランジウム属およびストレプトマイセ ス属から選ばれる属に属する微生物由来のプロリン4位水酸化酵素遺伝子を導入された 微生物である、請求項3記載のアトピー性皮膚炎の予防または改善剤。 【課題】ヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を有効成分として含有する皮膚表皮セラミド合成促進剤、皮膚表皮バリアー機能改善剤およびアトピー性皮膚炎の予防または改善剤並びに該皮膚表皮セラミド合成促進剤を含有する皮膚バリアー機能改善またはアトピー性皮膚炎の改善のための化粧料を提供する。【解決手段】ヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を有効成分として含有する皮膚表皮セラミド合成促進剤、皮膚表皮バリアー機能改善剤およびアトピー性皮膚炎の予防または改善剤。【選択図】なし


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特許公報(B2)_アトピー性皮膚炎の予防または改善剤

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アトピー性皮膚炎の予防または改善剤
出願番号:2010272954
年次:2013
IPC分類:A61K 31/401,A61K 8/49,A61P 17/00,A61Q 19/00,A61P 37/08


特許情報キャッシュ

小林 麻子 高橋 知也 竹越 与一郎 JP 5271341 特許公報(B2) 20130517 2010272954 20101207 アトピー性皮膚炎の予防または改善剤 協和発酵バイオ株式会社 308032666 小林 麻子 高橋 知也 竹越 与一郎 JP 2000218184 20000719 JP 2000269349 20000905 20130821 A61K 31/401 20060101AFI20130801BHJP A61K 8/49 20060101ALI20130801BHJP A61P 17/00 20060101ALI20130801BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20130801BHJP A61P 37/08 20060101ALI20130801BHJP JPA61K31/401A61K8/49A61P17/00A61Q19/00A61P37/08 A61K 31/33−33/44 A61K 8/00−8/99 特開平11−139951(JP,A) 特開平10−287550(JP,A) 特開平10−045561(JP,A) 特開2000−143486(JP,A) 特開平07−313179(JP,A) Michael J. Parnham,Antirheumatic Agents and Leukocyte Recruitment,Biochemical Pharmacology,1999年,Vol.58,209-215頁 4 2002512131 20010719 2011079856 20110421 14 20101227 福井 悟 本発明は、セラミド合成促進剤および該セラミド合成促進剤を配合した化粧料に関する。 皮膚は常に様々な外部環境からの刺激にさらされている。皮膚の角質層にはこれら外界からの刺激や異物の侵入を防いだり、体内の水分の蒸散を防ぐバリアー機能が備わっている。バリアー機能の低下している人や動物では、皮膚角質層中のセラミド量が低下していることが知られている(非特許文献1)。また、バリアー機能低下の認められるアトピー性皮膚炎患者もセラミド量が減少していることが報告されている(非特許文献2)。 従来、バリアー機能を改善する手段として、セラミドの外用が検討され、その有効性が確認されている(非特許文献3)。また、セラミドの大量入手が容易でないことから、最近では皮膚のセラミド産生を高める物質の探索が行われてきている。 皮膚セラミドには種々の種類があることが知られている(非特許文献4)。各セラミドは特定の生理作用を有していることが知られている。特にセラミド1は角質細胞間脂質を安定に保持することにより水分蒸散量を調節し、セラミド2は皮膚の水分保持機能に寄与していることが報告されている(非特許文献5)。 セラミドの生合成を促進するものとしては、ユーカリエキス(非特許文献6)、ニコチン酸(特許文献1)、N−アセチル−L−システイン(特許文献2)、酵母エキス(特許文献3)、乳酸(非特許文献7)等が報告されている。しかし、これまでに、ヒドロキシプロリンまたはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体による皮膚表皮セラミド合成促進作用については知られていない。特開平8−217658号公報特開平7−291851号公報特開平9−2952号公報ジャーナル・オブ・リピッド・リサーチ(Journal of Lipid Research),30,89(1989)アクタ・デルマト・ヴェネレオロジカ(Acta Dermato Venereologica),78,27(1998)フレグランスジャーナル,10,29(1999)ジャーナル・オブ・リピッド・リサーチ,24,559(1983)フレグランスジャーナル,10,65(1999)第24回日本研究皮膚科学会学術大会(1999)アーチベス・オブ・デルマトロジカル・リサーチ(Archives of Dermatological Research),383−390,288(1996) 本発明の目的は、皮膚表皮角質層におけるセラミド合成を促進し、皮膚バリアー機能を改善し、荒れ肌改善やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患の予防または改善に効果を有する安全なセラミド合成促進剤および該セラミド合成促進剤を含有する化粧料を提供することにある。本発明者らは、皮膚表皮角質層におけるセラミド合成を促進させることに関し、鋭意検討した結果、ヒドロキシプロリンまたはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体またはそれらの塩に皮膚表皮角質層におけるセラミド合成促進効果を見出し本発明を完成するに至った。 即ち、本発明は以下(1)〜(4)に関する。 (1)N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンまたはそれらの塩を有効成分として含有するアトピー性皮膚炎の予防または改善剤。 (2)N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンまたはそれらの塩を全重量に対し0.01〜20重量%含有することを特徴とする、前記(1)記載のアトピー性皮膚炎の予防または改善剤。 (3) トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンが、微生物により生産されたものである、前記(1)または(2)記載のアトピー性皮膚炎の予防または改善剤。 (4)微生物が、アミコラトプシス属、ダクチロスポランジウム属およびストレプトマイセス属から選ばれる属に属する微生物由来のプロリン4位水酸化酵素遺伝子を導入された微生物である、請求項3記載のアトピー性皮膚炎の予防または改善剤。 本発明に使用するヒドロキシプロリンは、プロリンがD体かL体か、また水酸基の位置が3位か4位か、およびその立体異性体がシスかトランスかによって、8種類の立体異性体があるが、いずれでも用いうる。 ヒドロキシプロリンとしてはの具体例としては、例えばシス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、シス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、シス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、シス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、トランス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、トランス−3−ヒドロキシ−L−プロリンおよびトランス−3−ヒドロキシ−D−プロリンがあげられる。 ヒドロキシプロリンは、コラーゲン中の主要構成アミノ酸成分として、また、エラスチンの構成アミノ酸として自然界に広く存在するアミノ酸の一種であり、例えばブタやウシ等の動物由来のコラーゲンを酸加水分解し、常法により精製することにより製造することができる。 トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンは、アミコラトプシス(Amycolatopsis)属またはダクチロスポランジウム(Dactylosporangium)属より単離したプロリン4位水酸化酵素(特開平7−313179号公報)を用い製造することができる。またシス−3−ヒドロキシ−L−プロリンは、ストレプトマイセス(Streptomyces)属より単離したプロリン3位水酸化酵素(特開平7−322885号公報)を用い製造することができる[バイオインダストリー,14,31(1997)]。 具体的には、上記微生物由来のプロリン3位水酸化酵素またはプロリン4位水酸化酵素をコードする遺伝子を適当なベクターに挿入して組換えベクターを作製し、当該組換えベクターを宿主とする微生物に導入し、当該微生物を培養することによりヒドロキシプロリンを製造することができる。 本発明においては、微生物を用いて製造したヒドロキシプロリンがより品質の優れたものが容易に得られる点で好ましい。 本発明で用いるヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体としては、上述の各種ヒドロキシプロリンの立体異性体のN−アシル誘導体があげられる。該N−アシル誘導体のアシル基としては、特に制限がないが、好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜6のアシル基があげられ、具体的には、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル等をあげることができ、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリルが好ましい。 ヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体の塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアミンの付加塩およびアルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸の付加塩などがあげられる。 ヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体は、公知の方法により調製することができる。例えば、ヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体は、直鎖または分岐状の炭素数1〜24の飽和または不飽和の脂肪酸を塩化チオニル、ホスゲン等のハロゲン化剤を用いてクロライド、ブロマイド等のハロゲン化物に変換した後、前述のヒドロキシプロリンと縮合させるか、または脂肪酸を酸無水物に変換した後、ヒドロキシプロリンと反応させることにより製造することができる。 脂肪酸としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸等の脂肪酸を単独もしくは組合せたものが用いられる。 酸ハロゲン化物を経由するヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体の製造方法を、以下に例示する。 脂肪酸を塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン等の溶媒中に分散し、これに1〜5倍当量のハロゲン化剤を添加して反応させ、脂肪酸ハライドを得る。次に、ヒドロキシプロリンを溶媒に溶解または分散させ、得られた溶液を5〜70℃に保ちながら、上記の脂肪酸ハライドをヒドロキシプロリン対して0.3〜3.0倍当量加え、アシル化反応を行うことによりヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体を製造することができる。 アシル化反応に用いられる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられ、これらは単独あるいは混合して用いてもよい。ヒドロキシプロリンを溶媒に溶解または分散する際、ヒドロキシプロリンに対して0.8〜2.0倍当量の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ物質を必要に応じて溶媒に溶解または分散させてもよい。 ヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体の塩を取得したいとき、ヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体が塩の形で得られる場合には、そのまま精製すればよく、遊離の形で得られる場合には、適当な溶媒に溶解または懸濁し、塩基を加えて塩を形成させればよい。 精製は、例えば結晶化、クロマトグラフィー等の通常の方法が用いられる。 具体的なヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体としては、例えば、N−アセチル−シス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−アセチル−シス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−アセチル−シス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−アセチル−シス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−アセチル−トランス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−アセチル−トランス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、N−プロピオニル−シス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−プロピオニル−シス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−プロピオニル−シス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−プロピオニル−シス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、N−プロピオニルトランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−プロピオニル−トランス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−プロピオニル−トランス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−プロピオニル−トランス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、N−ブチリル−シス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−ブチリル−シス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−ブチリル−シス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−ブチリル−シス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、N−ブチリル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−ブチリル−トランス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−ブチリル−トランス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−ブチリル−トランス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、N−イソブチリル−シス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−イソブチリル−シス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−イソブチリル−シス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−イソブチリル−シス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、N−イソブチリル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−イソブチリル−トランス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−イソブチリル−トランス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−イソブチリル−トランス−3−ヒドロキシ−D−プロリン等をあげることができる。 本発明の皮膚表皮セラミド合成促進剤において、ヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体またはそれらの塩は、シス/トランス−4−ヒドロキシ−L/D−プロリン、シス/トランス−3−ヒドロキシ−L/D−プロリン、もしくはこれらの種々のN−アシル誘導体またはその塩を、単独または混合して用いることができる。 皮膚表皮セラミド合成促進剤中のヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体またはそれらの塩の含有量は目的とする効果に応じて増減させることができ、例えば、0.001〜50重量%、好ましくは0.01〜20重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%である。 本発明において、セラミドとは、N−アシルスフィンゴシン誘導体を意味し、例えばジャーナル・オブ・リピッド・リサーチ,24,559(1983)の図2に記載された化合物等をあげることができる。 本発明を適用できる皮膚表皮としては、特に制限がないが例えばマウス、イヌ、ネコ、ウマ等の愛玩動物等及びヒトの皮膚表皮が例示でき、ヒト皮膚表皮が好ましい。 皮膚表皮のセラミドは、表皮脂質を例えば95%エタノールで抽出し、これをさらにヘキサン:メタノール(2:3)で抽出し乾固させて取得し、得られた表皮脂質をクロロホルムに溶解し、芋川ら[ジャーナル・オブ・インヴェスティゲイティブ・デルマトロジー(Journal of Investigative Dermatology),96,523(1991)]方法に準じて、シリカゲル薄層クロマトグラフィーにて分離後、フライングスポットスキャニングデンシトメーター(島津製作所社製、CS−9000)で測定することができる。 本発明の皮膚表皮セラミド合成促進剤は、上記必須成分に加え、適宜、各用途に適した添加剤、例えば、医薬担体や通常化粧料に配合される成分等を含有させることにより化粧品や医薬品等の用途に使用することができる。 本発明の皮膚表皮セラミド合成促進剤の化粧品および医薬品の形態の例としては、以下に例を挙げて説明するが、これに限定されるものではない。 本発明の化粧品の形態としては、液状製品、ゲル状製品、乳液状製品、クリーム等の固形状製品をあげることができ、例えば、化粧水、乳液、美容液、ジェル、パック、モイスチャークリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、アフターシェービングクリーム、ハンドクリーム、日焼け止めクリーム、クレンジングクリーム、ボディーローション、ボディシャンプー、ヘアシャンプー、洗顔クリーム、洗顔フォーム、クレンジングクリーム、クレンジングミルク、クレンジングローション、マッサージクリーム、日焼け止めクリーム、日焼け用オイル、ヘアリンス、ヘアートリートメント、養毛料、育毛料、チック、ヘアクリーム、ヘアリキツド、セットローション、ヘアスプレー、ヘアダイ、ヘアブリーチ、カラーリンス、カラースプレー、パーマネントウェーブ液、プレスパウダー、ルースパウダー、アイシャドー、ハンドクリーム等があげられる。 本発明の化粧品は、ヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体またはそれらの塩に、化粧品に使用される一般的な原料、例えば、固形油・半固形油、液体油、保湿剤、エモリエント剤、水溶性高分子、油溶性高分子、各種界面活性剤、シリコーンまたはフッ素化合物で処理されていてもよい無機および有機顔料、エタノール、紫外線吸収剤、防腐剤、pH調整剤、皮膚柔軟剤、水等を含有させることができ、本発明の目的、効果を損なわない質的、量的範囲内で含有可能である。 固形・半固形油としては、ワセリン、ラノリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ;椰子油脂肪酸、ラウリン酸、硬化牛脂脂肪酸等の高級脂肪酸;ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール等をあげることができる。 液体油としては、例えばアボガド油、オリーブ油、ホホバ油、小麦胚芽油等の植物油;オレイン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸;ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類;2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸−2−オクチルドデシル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセロール、オレイン酸−2−オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソステアリン酸グリセロール、2−エチルヘキサン酸ジグリセリド、長鎖アシルグルタミン酸オクチルドデシルエステル等のエステル油;ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のシリコン油等;流動パラフィン、スクワレン、スクワラン等の液状炭化水素油等をあげることができる。 保湿剤としては、脂溶性保湿剤、低分子保湿剤および高分子保湿剤をあげることができる。 脂溶性保湿剤としては、例えば、リゾレシチン、レシチン、コレステロール、コレステロールエステル、スフィンゴ脂質、セラミド等をあげることができる。 低分子保湿剤としては、セリン、グルタミン、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、ピロリドン−カルボン酸ナトリウム、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、乳酸、乳酸塩等をあげることができる。 高分子保湿剤としては、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、エラスチン、アルギン酸、ムコ多糖類、ポリエチレングリコール、ポリアスパラギン酸塩、水溶性キチン、アテロコラーゲン等をあげることができる。 エモリエント剤としては、例えば長鎖アシルグルタミン酸コレステリルエステル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸、ロジン酸、ラノリン脂肪酸コレステリルエステル等をあげることができる。 水溶性高分子としては、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ボリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、トランガントガム、カラギーナン、デキストリン、デキストリン脂肪酸エステル、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム等の化粧料に汎用される水溶性高分子をあげることができる。 油溶性高分子としてはポリピニルピロリドン・エイコセン共重合体、ポリビニルピロリドン・ヘキサデセン共重合体、ニトロセルロース、高分子シリコーン等の化粧料に汎用される油溶性高分子をあげることができる。 界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン(以下、POEと略記する)セチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリン酸エステル、POEソルビタンモノラウレート、モノグリセリルステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の非イオン界面活性剤;塩化ペンザルコニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等のカチオン界面活性剤;2−ココイル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アミド酢酸ベタイン等の両性界面活性剤;高級アルコール硫酸塩、高級アルコールエーテル硫酸塩、長鎖脂肪酸アルカリ金属塩、長鎖脂肪酸アルカリ土類金属塩、長鎖脂肪酸塩基性アミノ酸塩、N−長鎖アシルアミノ酸、N−長鎖アシルアミノ酸塩等のアニオン界面活性剤をあげることができる。 有機および無機顔料としては、例えばケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、ベンカラ、クレー、ベントナイト、チタン被膜雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、群青、酸化クロム、水酸化クロム、カラミンおよびカーボンブラックおよびこれらの複合体等の無機粉体;ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、セルロース、CIピグメントイエロー、CIピグメントオレンジ等の有機粉体;およびこれらの無機粉体と有機粉体の複合粉体等をあげることができる。 有機粉体としては、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸;セチルリン酸亜鉛ナトリウム、ラウリルリン酸亜鉛、ラウリルリン酸カルシウム等のアルキルリン酸多価金属塩;N−ラウロイル−β−アラニンカルシウム、N−ラウロイル−β−アラニン亜鉛、N−ラウロイルグリシンカルシウム等のアシルアミノ酸多価金属塩;N−ラウロイル−タウリンカルシウム、N−パルミトイル−タウリンカルシウム等のアミドスルホン酸多価金属塩;Nε−ラウロイル−L−リジン、Nε−パルミトイルリジン、Nα−パルミトイルオルニチン、Nα−ラウロイルアルギニン、Nα−硬化牛脂脂肪酸アシルアルギニン等のN−アシル塩基性アミノ酸;N−ラウロイルグリシルグリシン等のN−アシルポリベプチド;α−アミノカプリル酸、α−アミノラウリン酸等のα−アミノ脂肪酸;ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、四フッ化エチレン等の樹脂粉体等を用いることができる。 紫外線吸収剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸誘導体、パラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル等のパラアミノ安息香酸誘導体;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;パラメトキシ桂皮酸エチル、パラメトキシ桂皮酸オクチル等のメトキシ桂皮酸誘導体;サリチル酸オクチル、サリチル酸ホモメンチル等のサリチル酸誘導体;N−ベンソイル−o−メチル−α−デヒドロチロシン2−エチルヘキシルエステル等のα−デヒドロアミノ酸誘導体;4−(3,4−ジメトキシフェニル)メチレン−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル等のベンザールヒダントイン誘導体;ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等をあげることができる。 防腐剤としては、例えばメチルパラベン、プロピルパラベン等をあげることができる。皮膚柔軟剤としては、例えば流動パラフィン、ワセリン、白色ワセリン、オリーブ油、スクワラン、ラノリン、水添ラノリン、合成エステル油等をあげることができる。pH調整剤としては、例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム等をあげることができる。上記いずれの成分も、本発明の目的、効果を損なわない範囲内で配合可能であるが、好ましくは0.01〜5重量%であり、特に好ましくは0.01〜3重量%である。 本発明に係わる医薬製剤は、活性成分としてヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体またはそれらの塩を単独で、あるいは任意の他の治療のための有効成分との混合物として含有することができる。また、それら医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種もしくはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の剤型を取ることができる。本発明の医薬品の形態としては、例えば軟膏剤、クリーム剤、発布剤、テープ剤、外用剤等があげられる。 担体としては、例えば結合剤、滑沢剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、希釈剤、緩衝剤、抗酸化剤、細菌抑制剤等があげられる。 ヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体またはそれらの塩は、そのまま単独で投与することも可能であるが、通常各種の医薬製剤として提供するのが望ましい。 本発明のヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体またはそれらの塩からなるセラミド合成促進剤を含む化粧料または医薬品の使用方法は年齢、個人、使用する部位により異なるが、ヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体またはそれらの塩を有する化粧料または医薬品の濃度が0.001〜50重量%、好ましくは0.01〜20重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%であるものを0.1〜5μl、好ましくは1〜5μl、特に好ましくは2μlを1日1回〜数回、肌に塗布することが望ましいがこれに限定されるものではない。 次に、実施例および試験例を挙げ本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらになんら制約されるものではない。 実施例1 化粧水の調製(油相成分) 香料[dl−ローズオキサイト、木村産業社製] 0.05g ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油[日本エマルジョン社製]2.0g 1,3−ブチレングリコール[協和発酵工業株式会社製] 5.0g(水相成分)N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン[協和発酵工業株式 会社製] 3.0g グリセリン[協和発酵工業株式会社製] 5.0g メチルパラベン[上野製薬社製] 0.1g クエン酸[和光純薬工業社製] 0.1g クエン酸ナトリウム[和光純薬工業社製] 0.2g エタノール[日本アルコール社製] 8.0g 精製水 100.0g(調製法)油相成分および水相成分をそれぞれ均一に溶解し、油相を水相に攪拌しながら加え、化粧水を得た。 実施例2 乳液の調製(油相成分) スクワラン[岩瀬コスファ社製] 4.0g 小麦胚芽油[サミット製油社製] 2.0g モノグリセリルステアレート[日光ケミカルズ社製] 1.0g ポリオキシエチレンステアリルエーテル[日本エマルジョン社製]4.0g プロピルパラベン[上野製薬社製] 0.1g(水相成分)N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン[協和発酵工業株式 会社製] 3.0g メチルパラベン[上野製薬社製] 0.1g プロピレングリコール[和光純薬工業社製] 0.1g ポリエチレングリコール6000[日本油脂社製] 0.2g 精製水 80.5g 1%ヒアルロン酸ナトリウム[日光ケミカルズ社製] 5.0g(調製法) 油相成分および水相成分をそれぞれ80℃に熱して均一にし、水相を油相に攪拌しながら加え、乳液を得た。 実施例3 クリームの調製(油相成分) スクワラン[日光ケミカルズ社製] 5.0g オリーブ油[日光ケミカルズ社製] 3.0g 水添ラノリン[野田ワックス社製] 2.0g ミツロウ[野田ワックス社製] 2.5g モノグリセリルステアレート[日光ケミカルズ社製] 2.0g ポリオキシエチレンステアリルエーテル[中外貿易社製] 2.5g プロピルパラベン[上野製薬社製] 1.5g 1,3−ブチレングリコール[協和発酵工業株式会社製] 5.0g 香料[dl−ローズオキサイト、木村産業社製] 微量(水相成分)N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン[協和発酵工業株式 会社製] 5.0g メチルパラベン[上野製薬社製] 0.5g カーボポール940[グッドリッチ社製] 0.03g トリエタノールアミン[国産化学社製] 0.3g 精製水 70.97g(調製法)油相成分および水相成分をそれぞれ80℃に熱して均一にし、水相を油相に攪拌しながら加え、乳化後冷却しクリームを得た。 実施例4 美容液の調製(油相成分) コレステリルエーテル[日本エマルジョン社製] 0.2g ピログルタミン酸エーテル[日本エマルジョン社製] 1.0g ラノリン[野田ワックス社製] 0.3g 1,3−ブチレングリコール[協和発酵工業株式会社製] 5.0g 香料[ゲラニオール、木村産業社製] 微量(水相成分)N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン[協和発酵工業株式 会社製] 5.0g 1%カーボポール[中外貿易社製] 5.0g コンドロイチン硫酸ナトリウム[岩瀬コスファ社製] 0.02g エタノール[日本アルコール社製] 1.0g メチルパラベン[上野製薬社製] 0.1g 1%ヒアルロン酸[日光ケミカルズ社製] 8.0g 0.3%アテロコラーゲン[株式会社高研社製] 1.0g 精製水 73.38g(調製法)油相成分および水相成分をそれぞれ80℃に熱して均一にし、水相を油相に攪拌しながら、美容液を得た。 実施例5 整肌パウダーの調製 N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン[協和発酵工業株式 会社製] 5.0g メチルパラベン[上野製薬社製] 0.5g アラビアゴム[岩瀬コスファ社製] 0.03g クエン酸[和光純薬工業社製] 0.3g クエン酸ナトリウム[和光純薬工業社製] 0.2g マンニット[岩瀬コスファ社製] 適量(調製法) 各成分を均一にし、攪拌混合して、パウダーを得た。 実施例6 軟膏の調製(油相成分) 白色ワセリン[岩瀬コスファ社製] 0.2g ステアリルアルコール[日光ケミカルズ社製] 1.0g ラウリル硫酸ナトリウム[岩瀬コスファ社製] 0.3g(水相成分)N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン[協和発酵工業株式 会社製] 5.0g プロピレングリコール[和光純薬工業社製] 5.0g パラオキシ安息香酸エチル[上野製薬社製] 0.02g パラオキシ安息香酸ブチル[上野製薬社製] 1.0g 精製水 81.45g(調製法)相成分および水相成分をそれぞれ80℃に熱して均一にし、水相を油相に攪拌しながら、乳化後冷却し軟膏を得た。 実施例7 パックの調製(油相成分) エタノール[日本アルコール社製] 8.0g ポリオキシエチレンオレイルエーテル[日光ケミカルズ社製] 1.0g パラオキシ安息香酸メチル 0.2g(水相成分) N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン[協和発酵工業株式 会社製] 5.0g プロピレングリコール 4.0g グリセリン[協和醗酵工業社製] 5.0g ポリビニルアルコール[信越化学工業社製] 15.0g 精製水 61.6g 香料[ゲラニオール、木村産業社製] 0.2g(調製法)水相成分、油相成分およびそれぞれ80℃に熱して均一にし、水相を油相に攪拌しながら、パックを得た。 実施例8 テープ剤の調製(粘着剤溶剤) スチレン−イソプロピレン−スチレンブロック共重合体[シェル社製]7.0g エステルガム[大日本インキ化学社製] 25.0g イソプロピレンゴム[クラレ社製] 5.0g トルエン[岩瀬コスファ社製] 15.0g 酢酸エチル[キシダ化学社製] 14.2g ヘキサン[キシダ化学社製] 25.0g(薬効成分)N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン[協和発酵工業株式 会社製] 3.0g エタノール[日本アルコール社製] 5.0g(経皮吸収促進剤)オレイルアルコール[岩瀬コスファ社製] 0.8g(調製法)粘着剤溶剤、薬効成分をそれぞれ均一にし、薬効成分、経皮吸収促進剤を粘着剤溶剤に加え、室温で攪拌し組成物を得た。この組成物をシリコーン処理したポリエステルフィルム上に延展し、120℃で乾燥させ冷却後、ポリエチレンフィルムへ粘着剤層を転写させ、テープ剤を得た。 試験例1 ヘアレスマウスにおける表皮セラミド合成量の評価 N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンをそれぞれ0、1.0、3.0、5.0、10.0重量%含有する30重量%エタノール水溶液を調製し試験組成物1〜5を得た。本水溶液のpHは、水酸化ナトリウムでpH4.5に調整した。 ヘアレスマウス(SKH1:hr/hr:BR,雄,7週令、チャールスリバー社製)に、1日1回、1ヶ月間、被検部位である背部全面に上記試験組成物1〜5を200μlずつ塗布した。マウスは各群4匹ずつ用いた。 塗布を開始する前、および塗布を開始してから一ヶ月後に、各マウスの被検部位である背部全面より表皮脂質を抽出し、セラミド含量を測定し、N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンのセラミド合成能を評価した。 表皮脂質は95%エタノールで抽出し、これをさらにヘキサン:メタノール(2:3)で抽出し乾固させて取得した。得られた表皮脂質をクロロホルムに溶解し、芋川ら[ジャーナル・オブ・デルマトロジー(Journal of Investigative Dermatology),96,523(1991)]方法に準じて、シリカゲル薄層クロマトグラフィーにて分離後、フライングスポットスキャニングデンシトメーター(島津製作所社製、CS−9000)でセラミド含量を測定した。 セラミド含量は、無処理のマウスのセラミド合成量変化に対する相対値として、下記の式に従って算出した。 相対セラミド合成量(%)=[(A1×B2)/(A2×B1)]×100 A1:被検マウスの塗布後セラミド含量 A2:被検マウスの塗布前セラミド含量 B1:無処理マウスの塗布後セラミド含量 B2:無処理マウスの塗布前セラミド含量 セラミドには数種の異性体が存在することが知られており、総セラミド合成量および各種セラミド合成量に分別して算出した。標準品はシグマ社製のセラミドIII(ceramide III、セラミド1および2からなる。)およびセラミドIV(ceramide IV、セラミド4および5からなる。)を用いた。ここで総セラミドとはセラミド1、2、4および5の合計を意味し、セラミドIIIとはセラミド1および2の合計を意味する。なお、セラミド1、2、4および5は、それぞれジャーナル・オブ・リピッド・リサーチ,24,559(1983)の第2図に記載されている化合物1、2、4および5に対応する。結果を第1表および第2表に示す。 長期連用により、N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン濃度1〜3重量%で表皮角質層における総セラミド含量並びにN−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン濃度1〜10重量%でセラミドIIIの顕著な増加が認められた。 以上、本発明のセラミド合成促進剤は、表皮角質層中のセラミド合成を促進する機能を有することから、皮膚バリアー機能を改善することによって荒れ肌やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患の改善に有効である。 試験例2 アトピー性皮膚炎発症モデルマウス(I型アレルギーモデル)における耳介浮腫の抑制評価 N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンをそれぞれ0、1.0、3.0重量%含有する30重量%エタノール水溶液を調製し試験組成物6〜8を得た。本水溶液のpHは、水酸化ナトリウムでpH4.5に調製した。 NC/Ngaマウスを用いたアトピー性皮膚炎は、笹川らの方法[第16回日本疾患モデル学会(1999年)]に準じて実施した。NC/Ngaマウス(雄,8週令、チャールスリバー社製)に、試験開始から1日目、3日目および7日目から毎日、一定時間に抗原としてダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)抽出液を耳介に20μgずつ皮内投与し耳介の浮腫を誘発さた。上記試験組成物6〜8は、試験開始から7日目から1日1回、ダニ抽出液を投与後6時間後に被検部位である耳介両面に20μlずつ塗布した。マウスは各群6匹ずつ用いた。 耳介の厚みを試験開始日から28日目にダイアル・シックネス・ゲージ[dial thickness gauge,G−1A、ピーコック(PEACOCK)社製]を用いて測定し、相対耳介浮腫の増加量(%)を下記の式に従って算出した。 相対耳介浮腫の増加量(%)=[(A1×B2)/(A2×B1)]×100 A1:被検マウスの経過日数後の耳介の厚み A2:被検マウスの試験開始時の耳介の厚み B1:無処理マウスの経過日数後の耳介の厚み B2:無処理マウスの試験開始時の耳介の厚み 結果を第3表に示す。数値は相対耳介浮腫の増加量(%)の平均値±標準誤差(n=6)を示す。 長期連用により、N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンは濃度1〜3重量%で、I型アレルギーモデルによって生じる耳介の浮腫を顕著に抑制した。 試験例3 アトピー性皮膚炎発症モデルマウス(I型、IV型アレルギーモデル)による耳介浮腫の抑制評価 N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンをそれぞれ0、3.0重量%含有する30重量%エタノール水溶液を調製し試験組成物9および10を得た。本水溶液のpHは、水酸化ナトリウムでpH4.5に調製した。 NC/Ngaマウスを用いたアトピー性皮膚炎は、藤井らの方法[基礎と臨床、31(8),2693(1997)]に準じて実施した。NC/Ngaマウス(雄,8週令、チャールスリバー社)に、試験開始1日日、3日目および7日目に、一定時刻に1日1回、1.5%ジニトロクロロベンゼン(DNCB)を耳介両面に20μlずつ塗布し、耳介の浮腫を誘発させた。上記試験組成物9および10は、試験開始1日目から毎日1日1回、DNCB塗布6時間後に被検部位である耳介両面に20μlずつ塗布した。マウスは各群6匹ずつ用いた。 試験開始から11、12、14および17日目の試験組成物を耳介に塗布する直前に耳介の厚みをダイアル・シックネス・ゲージ[dial thickness gauge,G−1A、ピーコック(PEACOCK)社製]を用いて測定し、相対耳介浮腫の増加量(%)を下記の式に従って算出した。 相対耳介浮腫の増加量(%)=[(A1×B2)/(A2×B1)]×100 A1:被検マウスの経過日数後の耳介の厚み A2:被検マウスの試験開始時の耳介の厚み B1:無処理マウスの経過日数後の耳介の厚み B2:無処理マウスの試験開始時の耳介の厚み 結果を第4表に示す。数値は相対耳介浮腫の増加量(%)の平均値±標準誤差(n=6)を示す。 長期連用により、N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンは濃度3重量%で、I型、IV型アレルギーモデルによって生じる耳介の浮腫を顕著に抑制した。 本発明により、皮膚のセラミド生合成能を高め、荒れ肌やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患の改善に有効なヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシプロリンのN−アシル誘導体またはそれらの塩を有効成分として含有する皮膚表皮セラミド合成促進剤を提供することができる。 N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンまたはそれらの塩を有効成 分として含有するアトピー性皮膚炎の予防または改善剤。 N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンまたはそれらの塩を全重量 に対し0.01〜20重量%含有することを特徴とする、請求項1記載のアトピー性皮 膚炎の予防または改善剤。 トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンが、微生物により生産されたものである、 請求項1または2記載のアトピー性皮膚炎の予防または改善剤。 微生物が、アミコラトプシス属、ダクチロスポランジウム属およびストレプトマイセ ス属から選ばれる属に属する微生物由来のプロリン4位水酸化酵素遺伝子を導入された 微生物である、請求項3記載のアトピー性皮膚炎の予防または改善剤。


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