生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_クロセチン組成物
出願番号:2010028419
年次:2011
IPC分類:A61K 31/202,A61P 17/18,A61P 27/02,A61P 27/12,A61P 39/06,C07C 57/13,A23L 1/30


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定野 晋 原田 浩一 高橋 正宏 海貝 尚史 JP 2011162493 公開特許公報(A) 20110825 2010028419 20100212 クロセチン組成物 理研ビタミン株式会社 390010674 岩谷 龍 100077012 定野 晋 原田 浩一 高橋 正宏 海貝 尚史 A61K 31/202 20060101AFI20110729BHJP A61P 17/18 20060101ALI20110729BHJP A61P 27/02 20060101ALI20110729BHJP A61P 27/12 20060101ALI20110729BHJP A61P 39/06 20060101ALI20110729BHJP C07C 57/13 20060101ALI20110729BHJP A23L 1/30 20060101ALN20110729BHJP JPA61K31/202A61P17/18A61P27/02A61P27/12A61P39/06C07C57/13A23L1/30 Z 2 OL 10 4B018 4C206 4H006 4B018MD08 4B018MD61 4B018ME10 4B018MF01 4B018MF10 4C206AA01 4C206AA02 4C206DA05 4C206MA01 4C206MA04 4C206MA36 4C206MA37 4C206MA42 4C206MA55 4C206MA57 4C206MA61 4C206MA63 4C206NA05 4C206ZA33 4C206ZA89 4C206ZC80 4H006AA03 4H006AB10 4H006BS10 本発明は、クロセチンを含有する組成物に関する。 近年、活性酸素の一種である一重項酸素(1O2)が老化や様々な疾患・障害に関与することが注目されている。例えば、目や皮膚のように太陽光に直接曝される部位では一重項酸素が発生し易く、こうして発生した一重項酸素が白内障や加齢黄斑変性、皮膚の老化などの原因になると考えられている。そこで、このような疾患等の予防を目的として、コエンザイムQ10、D−システノール酸、トコフェノールその他の一重項酸素の消去能を有する物質を利用することが従来検討されている。 一方、カロテノイドの一種であり、クチナシの果実やサフランの雌しべなどから抽出されたクロシンを加水分解して得られるクロセチンも一重項酸素の消去能を発揮することが知られている(特許文献1参照)。しかし、従来のクロセチンは、一重項酸素の消去能の程度において必ずしも満足できるものではなかった。特開平05−320036号公報 本発明は、一重項酸素の消去能がさらに改善されたクロセチンの組成物を提供することを課題とする。 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、13−シスクロセチンの含有量の割合が一定の範囲内に含まれるように調製したクロセチン組成物に顕著な一重項酸素消去能を見出し、本発明を完成した。 即ち、本発明は、[1].下記式(1) で表される13−シスクロセチン及び下記式(2) で表されるトランスクロセチンを含有する組成物であって、13−シスクロセチン及びトランスクロセチンの含有量の合計中、13−シスクロセチンの含有量の割合が3〜10%であるクロセチン組成物、及び[2].[1]に記載のクロセチン組成物を有効成分とする一重項酸素消去剤、を提供するものである。 本発明のクロセチン組成物は、優れた一重項酸素消去能を有する。 本発明のクロセチン組成物は、一重項酸素消去剤として、一重項酸素が関与する各種障害又は疾患の予防に利用し得る。 本発明でいうところのクロセチンとは、下記式(1)で表される13−シスクロセチン(分子量328.40)、下記式(2)で表されるトランスクロセチン(分子量328.40)及びこれらの異性体のすべてをいう。 このクロセチンは、通常、アカネ科クチナシ(Gardenia augusta MERRIL var. grandiflora HORT.,Gardenia jasminoides ELLIS)の果実などに含まれるカロテノイド系の黄色色素であるクロシン(クロセチンのジゲンチオビオースエステル)を加水分解することにより得られる。また、クロセチンは市販されており、市販品を使用することもできる。 本発明のクロセチン組成物は、上記13−シスクロセチン及びトランスクロセチンを含有する組成物であって、13−シスクロセチン及びトランスクロセチンの含有量の合計中、13−シスクロセチンの含有量の割合(以下「13−シスクロセチン量」という)が好ましくは約3〜10%、より好ましくは約4〜9.5%、更に好ましくは約5〜9%のものである。 このようなクロセチン組成物を製造する方法に特に制限はなく、例えば、常法により製造されたクロセチンを水で洗浄した後、エタノール水溶液で更に洗浄し、該エタノール水溶液に可溶の成分を除くことにより、13−シスクロセチン量が約3〜10%の範囲に含まれるように精製する方法、或いは常法により製造されたクロセチンから、13−シスクロセチン及びトランスクロセチンをそれぞれ分離した後に、13−シスクロセチン量が約3〜10%の範囲に含まれるようにこれらを配合した組成物を調製する方法などが挙げられる。この内、後者の方法において、クロセチンから13−シスクロセチン及びトランスクロセチンそれぞれを分離して調製するため、例えば以下の方法を用いることができる。[13−シスクロセチンの調製方法] 常法により製造されたクロセチンにジメチルホルムアミドを加え、約50〜90℃で加温・溶解する。得られた不溶物をろ過し、ろ液を約1〜30℃で3〜9日間静置する。次に生成したトランスクロセチンの結晶を含む母液をろ過し、得られたろ液を濃縮して静置する工程を1〜5回繰り返し行う(ろ過・濃縮・静置工程)。該工程では、濃縮は、ロータリーエバポレーターを用いて約70〜90℃、約0.5〜3kPaの条件で行うことが好ましく、静置は、約9〜11℃で3〜9日間行うことが好ましい。次に、ろ過・濃縮・静置工程により生成したトランスクロセチンの結晶を含む母液をろ過し、得られたろ液を濃縮する工程を1〜5回繰り返し行う(ろ過・濃縮工程)。該工程では、濃縮は、ロータリーエバポレーターを用いて約70〜90℃、約0.5〜3kPaの条件で行うことが好ましい。また、該工程では、濃縮により得られた濃縮液にメタノールを加え、超音波洗浄器により洗浄処理しても良い。続いて、ろ過・濃縮工程により得られた濃縮液をメタノールに溶解し、得られた溶解液を自体公知の分取HPLCシステムに供給して13−シスクロセチンを分取することにより、13−シスクロセチンが調製される。[トランスクロセチンの調製方法] 常法により製造されたクロセチンにジメチルホルムアミドを加え、約50〜90℃で加温・溶解する。得られた不溶物をろ過し、ろ液を約1〜30℃で3〜9日間静置する。次に生成したトランスクロセチンの結晶を含む母液をろ過器でろ過し、該ろ過器に残った結晶をメタノールで洗浄し、更に約30〜80℃で乾燥することによりトランスクロセチンが調製される。 本発明のクロセチン組成物における13−シスクロセチン量は、クロセチン組成物をHPLCで分析した場合の、HPLCクロマトグラムにおけるトランスクロセチンのピークの面積と、13−シスクロセチンのピークの面積とから求められる。 ここで、本発明のクロセチン組成物についての13−シスクロセチン量は、下記の方法により測定される。[13−シスクロセチン量測定法]1)試料約6mgを精密に量り、ジメチルスルホキシド(DMSO)5mLに溶かし、メタノールを加えて正確に50mLとする。2)その液を0.45μmのメンブレンフィルターでろ過した液を試験溶液とする。3)試験溶液10μLをHPLCに注入し、エンパワークロマトグラフィーマネージャーにより、トランスクロセチンに対応する保持時間7分付近のピーク及び13−シスクロセチンに対応する13分付近のピークの面積を各々測定し、次式により13−シスクロセチン量(%)を算出する。 上記HPLCの分析システム及び分析条件を以下に示す。<HPLC分析システム> 2695セパレーションモジュール(日本ウォーターズ社製) 2996フォトダイオードアレイ検出器(日本ウォーターズ社製) エンパワークロマトグラフィーマネージャー(日本ウォーターズ社製)<HPLC分析条件> カラム:Wakosil 5C18(内径4.6mm、長さ150mm)(和光純薬工業社製) 移動相:0.1%TFA水溶液−0.1%TFAメタノール(25:75) 流速:1mL/min 検出:430nm カラム温度:40℃ 本発明のクロセチン組成物は、該クロセチン組成物をそのまま、あるいは医薬品添加物、食品添加物及び食品素材などを適宜配合し、常法に従い、例えば液剤(例えばドリンク剤など)、散剤、顆粒剤、錠剤、マイクロカプセル、ソフトカプセル、ハードカプセル、油脂組成物、O/W型乳化液、W/O型乳化液または可溶化液などの形状の製剤として製造され得る。 上記製剤の製造に用いられる医薬品添加物、食品添加物及び食品素材としては、例えば賦形剤(乳糖、デキストリン、コーンスターチ、結晶セルロースなど)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなど)、崩壊剤(カルボキシメチルセルロースカルシウム、無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウムなど)、結合剤(デンプン糊液、ヒドロキシプロピルセルロース液、アラビアガム液など)、溶解補助剤(アラビアガム、ポリソルベート80など)、甘味料(砂糖、果糖ブドウ糖液糖、ハチミツ、アスパルテームなど)、着色料(β−カロテン、食用タール色素、リボフラビンなど)、保存料(ソルビン酸、パラオキシ安息香酸メチル、亜硫酸ナトリウムなど)、増粘剤(アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムなど)、酸化防止剤(BHT、BHA、アスコルビン酸、トコフェロールなど)、香料(ハッカ、ストロベリー香料など)、酸味料(クエン酸、乳酸、DL−リンゴ酸など)、調味料(DL−アラニン、5´−イノシン酸ナトリウム、L−グルタミン酸ナトリウムなど)、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなど)、pH調整剤(クエン酸、クエン酸三ナトリウムなど)、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類などが挙げられる。これらは1種のみ用いてもよく2種以上を使用してもよい。製剤中のクロセチン組成物の含有量は特に限定されないが、通常最終製剤に対して、約0.001〜99質量%である。 更に、本発明のクロセチン組成物は、飲食品の形態をとることが可能である。該飲食品としては、例えば清涼飲料、ドロップ、キャンディ、チューインガム、チョコレート、グミ、ヨーグルト、アイスクリーム、プリン、ゼリー菓子、クッキーなどが挙げられる。 本発明のクロセチン組成物は、一重項酸素消去能に優れているため、該クロセチン組成物を有効成分とする一重項酸素消去剤として利用し得る。該一重項酸素消去剤の摂取により、一重項酸素が関与する様々な障害又は疾患(例えば、白内障、加齢黄斑変性症、網膜血管閉塞症など)の予防効果が期待できる。 本発明の一重項酸素消去剤を経口摂取する場合、成人1日当たりの用量は、有効成分であるクロセチン組成物として、通常約0.1〜500mgの範囲である。この量を、1回〜3回に分けて摂取することが好ましい。但し、実際の用量は、目的や摂取者の状況(性別、年齢、健康状態など)を考慮して決められるべきである。 以下に本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。[製造例1][トランスクロセチンの調製] 市販のクロセチン(商品名:クロビットP;理研ビタミン社製)20gにジメチルホルムアミド840mLを加え、80℃で加温・溶解した。得られた不溶物を定量ろ紙(No.5C;アドバンテック東洋社製)でろ過し、ろ液を10℃で6日間静置した。 生成したトランスクロセチンの結晶を含む母液をガラスろ過器No.3でろ過し、該ろ過器に残った結晶をメタノール1300mLで洗浄し、更に50℃で真空乾燥してトランスクロセチン約10.5gを得た。このものの13−シスクロセチン量は0.2%であった。[製造例2][13−シスクロセチンの調製] 市販のクロセチン(商品名:クロビットP;理研ビタミン社製)20gにジメチルホルムアミド840mLを加え、80℃で加温・溶解した。得られた不溶物を定量ろ紙(No.5C;アドバンテック東洋社製)でろ過し、ろ液を10℃で6日間静置した。生成したトランスクロセチンの結晶を含む母液をガラスろ過器No.3でろ過し、得られたろ液の重量が150gになるまでロータリーエバポレーターを用いて約1kPa、約80℃の条件で該ろ液を濃縮し、得られた濃縮液を10℃で6日間静置した。静置後、生成したトランスクロセチンの結晶を含む母液をガラスろ過器No.3でろ過し、得られたろ液の重量が32gになるまでロータリーエバポレーターを用いて約1kPa、約80℃の条件で該ろ液を濃縮し、得られた濃縮液を10℃で6日間静置した。静置後、生成した13−シスクロセチンの結晶を含む母液をガラスろ過器No.3でろ過した。得られたろ液の重量が5.3gになるまでロータリーエバポレーターを用いて約1kPa、約80℃の条件で濃縮した。得られた濃縮液にメタノール40mLを加え、超音波洗浄器により懸濁した後、ガラスろ過器No.3でろ過し、得られたろ液の重量が3.4gになるまでロータリーエバポレーターを用いて約1kPa、約80℃の条件で濃縮した。得られた濃縮物0.256gをメタノール12.8mLに溶解し、下記の分取HPLCシステム及び条件により、保持時間20分付近のピークを分取した。分取した液はロータリーエバポレーターを用いて約40℃、約2kPaの条件で濃縮し、13−シスクロセチン20mgを得た。このものの13−シスクロセチン量は98.7%であった。<分取HPLCシステム> ポンプ:LC−6AD(島津製作所社製) 検出器:SPD−20A(島津製作所社製)<分取HPLC条件> カラム:μBONDASPHERE(内径19mm、長さ150mm)(日本ウォーターズ社製) カラム温度:室温 移動相:0.05%TFA水溶液−TFAメタノール(20:80) 流速:10mL/min 検出:430nm[クロセチン組成物の調製] 製造例1で得たトランスクロセチンを100%DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1mMのトランスクロセチン溶液を調製した。また、製造例2で得た13−シスクロセチンを100%DMSOに溶解し、1mMの13−シスクロセチン溶液を調製した。次にトランスクロセチン溶液及び13−シスクロセチン溶液を表1に示す割合で各々混合し、50.0μLのクロセチン組成物1〜7を調製した。この内、クロセチン組成物4〜6は、本発明に係る実施例であり、クロセチン組成物1〜3及び7はそれらに対する比較例である。[試験例][一重項酸素消去能の測定] 上述したクロセチン組成物1〜7をサンプル溶液として、以下に示す電子スピン共鳴(ESR)法により一重項酸素消去能を測定した。また、比較のため、一重項酸素消去能を有する物質として公知のα−トコフェロール(製品名:(±)α−トコフェロール;Sigma社製)を100%DMSOに溶解し、α−トコフェロール濃度1mMとした溶液についても同様に測定した。(1)評価検体の調製 以下の1)〜5)を混合して評価検体を調製した。1)リン酸緩衝液(pH7.2) 700μL2)ローズベンガル(50μM) 100μL3)4−OH−TEMP 100μL4)サンプル溶液 50μL5)超純水 50μL なお、ローズベンガルは、光照射により一重項酸素を発生させるために用いた。また、4−OH−TEMP(2,2,6,6-tetramethyl-4-hydroxyl-piperidine)は、一重項酸素の補足剤として用いた。(2)ESR装置による測定 (1)で得た評価検体をフラットセルに回収し、このフラットセル内の評価検体に対し光照射(18000lux、5分間)を行った。光照射の直後にこの評価検体をESR装置(型式:JES−RE1X;日本電子社製)に供して以下の条件でESRシグナル強度を測定した。<ESR測定条件> Center Field: 335.9mT Modulation Width: 79μT Sweep Width: 5.0mT Time constant: 0.03sec Seep Time: 1.0min Gain: 400(3)結果 (1)及び(2)を実施して得られたESRシグナル強度及び次式に基づいて一重項酸素消去率(%)を算出した。結果を表2に示す。 尚、上記式中、S1は、評価検体について測定されたESRシグナル強度であり、S2は、サンプル溶液に替えて5%DMSOを用いて調製した評価検体について測定したときのESRシグナル強度である。 表2の結果から、13−シスクロセチン量が3〜10%の範囲に含まれる本発明のクロセチン組成物4〜6は、この範囲に含まれないクロセチン組成物1〜3及び7並びにα−トコフェロールに比べて優れた一重項酸素消去能を発揮することが明らかである。また、この結果は、本発明のクロセチン組成物が優れた一重項酸素消去剤として利用可能であることを示すものである。 下記式(1)で表される13−シスクロセチン及び下記式(2)で表されるトランスクロセチンを含有する組成物であって、13−シスクロセチン及びトランスクロセチンの含有量の合計中、13−シスクロセチンの含有量の割合が3〜10%であるクロセチン組成物。 請求項1に記載のクロセチン組成物を有効成分とする一重項酸素消去剤。 【課題】老化や様々な疾患・障害に関与することが注目され、白内障や加齢黄斑変性、皮膚の老化などの原因になると考えられている一重項酸素の消去能が、さらに改善されたクロセチン組成物の提供。【解決手段】下記式(1)で表される13−シスクロセチン及びトランスクロセチンを含有する組成物であって、13−シスクロセチン及びトランスクロセチンの含有量の合計中、13−シスクロセチンの含有量の割合が3〜10%である顕著な一重項酸素消去能を有するクロセチン組成物。【選択図】なし


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特許公報(B2)_クロセチン組成物

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_クロセチン組成物
出願番号:2010028419
年次:2014
IPC分類:A61K 31/202,A61P 17/18,A61P 27/02,A61P 27/12,A61P 39/06,C07C 57/13,A23L 1/30


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定野 晋 原田 浩一 高橋 正宏 海貝 尚史 JP 5583422 特許公報(B2) 20140725 2010028419 20100212 クロセチン組成物 理研ビタミン株式会社 390010674 岩谷 龍 100077012 定野 晋 原田 浩一 高橋 正宏 海貝 尚史 20140903 A61K 31/202 20060101AFI20140814BHJP A61P 17/18 20060101ALI20140814BHJP A61P 27/02 20060101ALI20140814BHJP A61P 27/12 20060101ALI20140814BHJP A61P 39/06 20060101ALI20140814BHJP C07C 57/13 20060101ALI20140814BHJP A23L 1/30 20060101ALN20140814BHJP JPA61K31/202A61P17/18A61P27/02A61P27/12A61P39/06C07C57/13A23L1/30 Z A61K 31/202 A61P 17/18 A61P 27/02 A61P 27/12 A61P 39/06 C07C 57/13 A23L 1/30 特開平05−320036(JP,A) 特開2010−285364(JP,A) 英国特許出願公告第00831901(GB,A) 新版・食用天然色素,2001年 3月31日,69頁 Li Na et.al.,Separation of trans- and cis-crocins in saffron using HPLC and study on their pharmacological activities,Zhongguo Yaoke Daxue Xuebao,1999年,Vol.30、No.2,p.108-111 2 2011162493 20110825 10 20111108 原田 隆興 本発明は、クロセチンを含有する組成物に関する。 近年、活性酸素の一種である一重項酸素(1O2)が老化や様々な疾患・障害に関与することが注目されている。例えば、目や皮膚のように太陽光に直接曝される部位では一重項酸素が発生し易く、こうして発生した一重項酸素が白内障や加齢黄斑変性、皮膚の老化などの原因になると考えられている。そこで、このような疾患等の予防を目的として、コエンザイムQ10、D−システノール酸、トコフェノールその他の一重項酸素の消去能を有する物質を利用することが従来検討されている。 一方、カロテノイドの一種であり、クチナシの果実やサフランの雌しべなどから抽出されたクロシンを加水分解して得られるクロセチンも一重項酸素の消去能を発揮することが知られている(特許文献1参照)。しかし、従来のクロセチンは、一重項酸素の消去能の程度において必ずしも満足できるものではなかった。特開平05−320036号公報 本発明は、一重項酸素の消去能がさらに改善されたクロセチンの組成物を提供することを課題とする。 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、13−シスクロセチンの含有量の割合が一定の範囲内に含まれるように調製したクロセチン組成物に顕著な一重項酸素消去能を見出し、本発明を完成した。 即ち、本発明は、[1].下記式(1) で表される13−シスクロセチン及び下記式(2) で表されるトランスクロセチンを含有する組成物であって、13−シスクロセチン及びトランスクロセチンの含有量の合計中、13−シスクロセチンの含有量の割合が3〜10%であるクロセチン組成物、及び[2].[1]に記載のクロセチン組成物を有効成分とする一重項酸素消去剤、を提供するものである。 本発明のクロセチン組成物は、優れた一重項酸素消去能を有する。 本発明のクロセチン組成物は、一重項酸素消去剤として、一重項酸素が関与する各種障害又は疾患の予防に利用し得る。 本発明でいうところのクロセチンとは、下記式(1)で表される13−シスクロセチン(分子量328.40)、下記式(2)で表されるトランスクロセチン(分子量328.40)及びこれらの異性体のすべてをいう。 このクロセチンは、通常、アカネ科クチナシ(Gardenia augusta MERRIL var. grandiflora HORT.,Gardenia jasminoides ELLIS)の果実などに含まれるカロテノイド系の黄色色素であるクロシン(クロセチンのジゲンチオビオースエステル)を加水分解することにより得られる。また、クロセチンは市販されており、市販品を使用することもできる。 本発明のクロセチン組成物は、上記13−シスクロセチン及びトランスクロセチンを含有する組成物であって、13−シスクロセチン及びトランスクロセチンの含有量の合計中、13−シスクロセチンの含有量の割合(以下「13−シスクロセチン量」という)が好ましくは約3〜10%、より好ましくは約4〜9.5%、更に好ましくは約5〜9%のものである。 このようなクロセチン組成物を製造する方法に特に制限はなく、例えば、常法により製造されたクロセチンを水で洗浄した後、エタノール水溶液で更に洗浄し、該エタノール水溶液に可溶の成分を除くことにより、13−シスクロセチン量が約3〜10%の範囲に含まれるように精製する方法、或いは常法により製造されたクロセチンから、13−シスクロセチン及びトランスクロセチンをそれぞれ分離した後に、13−シスクロセチン量が約3〜10%の範囲に含まれるようにこれらを配合した組成物を調製する方法などが挙げられる。この内、後者の方法において、クロセチンから13−シスクロセチン及びトランスクロセチンそれぞれを分離して調製するため、例えば以下の方法を用いることができる。[13−シスクロセチンの調製方法] 常法により製造されたクロセチンにジメチルホルムアミドを加え、約50〜90℃で加温・溶解する。得られた不溶物をろ過し、ろ液を約1〜30℃で3〜9日間静置する。次に生成したトランスクロセチンの結晶を含む母液をろ過し、得られたろ液を濃縮して静置する工程を1〜5回繰り返し行う(ろ過・濃縮・静置工程)。該工程では、濃縮は、ロータリーエバポレーターを用いて約70〜90℃、約0.5〜3kPaの条件で行うことが好ましく、静置は、約9〜11℃で3〜9日間行うことが好ましい。次に、ろ過・濃縮・静置工程により生成したトランスクロセチンの結晶を含む母液をろ過し、得られたろ液を濃縮する工程を1〜5回繰り返し行う(ろ過・濃縮工程)。該工程では、濃縮は、ロータリーエバポレーターを用いて約70〜90℃、約0.5〜3kPaの条件で行うことが好ましい。また、該工程では、濃縮により得られた濃縮液にメタノールを加え、超音波洗浄器により洗浄処理しても良い。続いて、ろ過・濃縮工程により得られた濃縮液をメタノールに溶解し、得られた溶解液を自体公知の分取HPLCシステムに供給して13−シスクロセチンを分取することにより、13−シスクロセチンが調製される。[トランスクロセチンの調製方法] 常法により製造されたクロセチンにジメチルホルムアミドを加え、約50〜90℃で加温・溶解する。得られた不溶物をろ過し、ろ液を約1〜30℃で3〜9日間静置する。次に生成したトランスクロセチンの結晶を含む母液をろ過器でろ過し、該ろ過器に残った結晶をメタノールで洗浄し、更に約30〜80℃で乾燥することによりトランスクロセチンが調製される。 本発明のクロセチン組成物における13−シスクロセチン量は、クロセチン組成物をHPLCで分析した場合の、HPLCクロマトグラムにおけるトランスクロセチンのピークの面積と、13−シスクロセチンのピークの面積とから求められる。 ここで、本発明のクロセチン組成物についての13−シスクロセチン量は、下記の方法により測定される。[13−シスクロセチン量測定法]1)試料約6mgを精密に量り、ジメチルスルホキシド(DMSO)5mLに溶かし、メタノールを加えて正確に50mLとする。2)その液を0.45μmのメンブレンフィルターでろ過した液を試験溶液とする。3)試験溶液10μLをHPLCに注入し、エンパワークロマトグラフィーマネージャーにより、トランスクロセチンに対応する保持時間7分付近のピーク及び13−シスクロセチンに対応する13分付近のピークの面積を各々測定し、次式により13−シスクロセチン量(%)を算出する。 上記HPLCの分析システム及び分析条件を以下に示す。<HPLC分析システム> 2695セパレーションモジュール(日本ウォーターズ社製) 2996フォトダイオードアレイ検出器(日本ウォーターズ社製) エンパワークロマトグラフィーマネージャー(日本ウォーターズ社製)<HPLC分析条件> カラム:Wakosil 5C18(内径4.6mm、長さ150mm)(和光純薬工業社製) 移動相:0.1%TFA水溶液−0.1%TFAメタノール(25:75) 流速:1mL/min 検出:430nm カラム温度:40℃ 本発明のクロセチン組成物は、該クロセチン組成物をそのまま、あるいは医薬品添加物、食品添加物及び食品素材などを適宜配合し、常法に従い、例えば液剤(例えばドリンク剤など)、散剤、顆粒剤、錠剤、マイクロカプセル、ソフトカプセル、ハードカプセル、油脂組成物、O/W型乳化液、W/O型乳化液または可溶化液などの形状の製剤として製造され得る。 上記製剤の製造に用いられる医薬品添加物、食品添加物及び食品素材としては、例えば賦形剤(乳糖、デキストリン、コーンスターチ、結晶セルロースなど)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなど)、崩壊剤(カルボキシメチルセルロースカルシウム、無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウムなど)、結合剤(デンプン糊液、ヒドロキシプロピルセルロース液、アラビアガム液など)、溶解補助剤(アラビアガム、ポリソルベート80など)、甘味料(砂糖、果糖ブドウ糖液糖、ハチミツ、アスパルテームなど)、着色料(β−カロテン、食用タール色素、リボフラビンなど)、保存料(ソルビン酸、パラオキシ安息香酸メチル、亜硫酸ナトリウムなど)、増粘剤(アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムなど)、酸化防止剤(BHT、BHA、アスコルビン酸、トコフェロールなど)、香料(ハッカ、ストロベリー香料など)、酸味料(クエン酸、乳酸、DL−リンゴ酸など)、調味料(DL−アラニン、5´−イノシン酸ナトリウム、L−グルタミン酸ナトリウムなど)、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなど)、pH調整剤(クエン酸、クエン酸三ナトリウムなど)、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類などが挙げられる。これらは1種のみ用いてもよく2種以上を使用してもよい。製剤中のクロセチン組成物の含有量は特に限定されないが、通常最終製剤に対して、約0.001〜99質量%である。 更に、本発明のクロセチン組成物は、飲食品の形態をとることが可能である。該飲食品としては、例えば清涼飲料、ドロップ、キャンディ、チューインガム、チョコレート、グミ、ヨーグルト、アイスクリーム、プリン、ゼリー菓子、クッキーなどが挙げられる。 本発明のクロセチン組成物は、一重項酸素消去能に優れているため、該クロセチン組成物を有効成分とする一重項酸素消去剤として利用し得る。該一重項酸素消去剤の摂取により、一重項酸素が関与する様々な障害又は疾患(例えば、白内障、加齢黄斑変性症、網膜血管閉塞症など)の予防効果が期待できる。 本発明の一重項酸素消去剤を経口摂取する場合、成人1日当たりの用量は、有効成分であるクロセチン組成物として、通常約0.1〜500mgの範囲である。この量を、1回〜3回に分けて摂取することが好ましい。但し、実際の用量は、目的や摂取者の状況(性別、年齢、健康状態など)を考慮して決められるべきである。 以下に本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。[製造例1][トランスクロセチンの調製] 市販のクロセチン(商品名:クロビットP;理研ビタミン社製)20gにジメチルホルムアミド840mLを加え、80℃で加温・溶解した。得られた不溶物を定量ろ紙(No.5C;アドバンテック東洋社製)でろ過し、ろ液を10℃で6日間静置した。 生成したトランスクロセチンの結晶を含む母液をガラスろ過器No.3でろ過し、該ろ過器に残った結晶をメタノール1300mLで洗浄し、更に50℃で真空乾燥してトランスクロセチン約10.5gを得た。このものの13−シスクロセチン量は0.2%であった。[製造例2][13−シスクロセチンの調製] 市販のクロセチン(商品名:クロビットP;理研ビタミン社製)20gにジメチルホルムアミド840mLを加え、80℃で加温・溶解した。得られた不溶物を定量ろ紙(No.5C;アドバンテック東洋社製)でろ過し、ろ液を10℃で6日間静置した。生成したトランスクロセチンの結晶を含む母液をガラスろ過器No.3でろ過し、得られたろ液の重量が150gになるまでロータリーエバポレーターを用いて約1kPa、約80℃の条件で該ろ液を濃縮し、得られた濃縮液を10℃で6日間静置した。静置後、生成したトランスクロセチンの結晶を含む母液をガラスろ過器No.3でろ過し、得られたろ液の重量が32gになるまでロータリーエバポレーターを用いて約1kPa、約80℃の条件で該ろ液を濃縮し、得られた濃縮液を10℃で6日間静置した。静置後、生成した13−シスクロセチンの結晶を含む母液をガラスろ過器No.3でろ過した。得られたろ液の重量が5.3gになるまでロータリーエバポレーターを用いて約1kPa、約80℃の条件で濃縮した。得られた濃縮液にメタノール40mLを加え、超音波洗浄器により懸濁した後、ガラスろ過器No.3でろ過し、得られたろ液の重量が3.4gになるまでロータリーエバポレーターを用いて約1kPa、約80℃の条件で濃縮した。得られた濃縮物0.256gをメタノール12.8mLに溶解し、下記の分取HPLCシステム及び条件により、保持時間20分付近のピークを分取した。分取した液はロータリーエバポレーターを用いて約40℃、約2kPaの条件で濃縮し、13−シスクロセチン20mgを得た。このものの13−シスクロセチン量は98.7%であった。<分取HPLCシステム> ポンプ:LC−6AD(島津製作所社製) 検出器:SPD−20A(島津製作所社製)<分取HPLC条件> カラム:μBONDASPHERE(内径19mm、長さ150mm)(日本ウォーターズ社製) カラム温度:室温 移動相:0.05%TFA水溶液−TFAメタノール(20:80) 流速:10mL/min 検出:430nm[クロセチン組成物の調製] 製造例1で得たトランスクロセチンを100%DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1mMのトランスクロセチン溶液を調製した。また、製造例2で得た13−シスクロセチンを100%DMSOに溶解し、1mMの13−シスクロセチン溶液を調製した。次にトランスクロセチン溶液及び13−シスクロセチン溶液を表1に示す割合で各々混合し、50.0μLのクロセチン組成物1〜7を調製した。この内、クロセチン組成物4〜6は、本発明に係る実施例であり、クロセチン組成物1〜3及び7はそれらに対する比較例である。[試験例][一重項酸素消去能の測定] 上述したクロセチン組成物1〜7をサンプル溶液として、以下に示す電子スピン共鳴(ESR)法により一重項酸素消去能を測定した。また、比較のため、一重項酸素消去能を有する物質として公知のα−トコフェロール(製品名:(±)α−トコフェロール;Sigma社製)を100%DMSOに溶解し、α−トコフェロール濃度1mMとした溶液についても同様に測定した。(1)評価検体の調製 以下の1)〜5)を混合して評価検体を調製した。1)リン酸緩衝液(pH7.2) 700μL2)ローズベンガル(50μM) 100μL3)4−OH−TEMP 100μL4)サンプル溶液 50μL5)超純水 50μL なお、ローズベンガルは、光照射により一重項酸素を発生させるために用いた。また、4−OH−TEMP(2,2,6,6-tetramethyl-4-hydroxyl-piperidine)は、一重項酸素の補足剤として用いた。(2)ESR装置による測定 (1)で得た評価検体をフラットセルに回収し、このフラットセル内の評価検体に対し光照射(18000lux、5分間)を行った。光照射の直後にこの評価検体をESR装置(型式:JES−RE1X;日本電子社製)に供して以下の条件でESRシグナル強度を測定した。<ESR測定条件> Center Field: 335.9mT Modulation Width: 79μT Sweep Width: 5.0mT Time constant: 0.03sec Seep Time: 1.0min Gain: 400(3)結果 (1)及び(2)を実施して得られたESRシグナル強度及び次式に基づいて一重項酸素消去率(%)を算出した。結果を表2に示す。 尚、上記式中、S1は、評価検体について測定されたESRシグナル強度であり、S2は、サンプル溶液に替えて5%DMSOを用いて調製した評価検体について測定したときのESRシグナル強度である。 表2の結果から、13−シスクロセチン量が3〜10%の範囲に含まれる本発明のクロセチン組成物4〜6は、この範囲に含まれないクロセチン組成物1〜3及び7並びにα−トコフェロールに比べて優れた一重項酸素消去能を発揮することが明らかである。また、この結果は、本発明のクロセチン組成物が優れた一重項酸素消去剤として利用可能であることを示すものである。 下記式(1)で表される13−シスクロセチン及び下記式(2)で表されるトランスクロセチンを含有する組成物であって、13−シスクロセチン及びトランスクロセチンの含有量の合計中、13−シスクロセチンの含有量の割合が3〜9%であるクロセチン組成物を有効成分とする経口摂取される一重項酸素消去剤。 飲食品の形態ではない、請求項1に記載の一重項酸素消去剤。


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