生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_プラスミノーゲン活性化増強作用を有する乳酸菌及びその組成物
出願番号:2009294356
年次:2011
IPC分類:A61K 35/74,A61P 7/02,A61P 9/10,A61P 15/00,A61P 3/04,A61P 35/00,A61P 31/04,A23L 1/30


特許情報キャッシュ

大江 洋正 加藤 優 中嶋 桂子 JP 2011132188 公開特許公報(A) 20110707 2009294356 20091225 プラスミノーゲン活性化増強作用を有する乳酸菌及びその組成物 キリンホールディングス株式会社 000253503 平木 祐輔 100091096 石井 貞次 100096183 藤田 節 100118773 大江 洋正 加藤 優 中嶋 桂子 A61K 35/74 20060101AFI20110610BHJP A61P 7/02 20060101ALI20110610BHJP A61P 9/10 20060101ALI20110610BHJP A61P 15/00 20060101ALI20110610BHJP A61P 3/04 20060101ALI20110610BHJP A61P 35/00 20060101ALI20110610BHJP A61P 31/04 20060101ALI20110610BHJP A23L 1/30 20060101ALI20110610BHJP JPA61K35/74 AA61P7/02A61P9/10A61P15/00A61P3/04A61P35/00A61P31/04A23L1/30 Z 11 OL 20 4B018 4C087 4B018MD86 4B018ME04 4B018ME14 4C087AA01 4C087AA02 4C087BC56 4C087CA09 4C087CA11 4C087MA52 4C087NA14 4C087ZA36 4C087ZA54 4C087ZA70 4C087ZA81 4C087ZB26 4C087ZB35 本発明は、プラスミノーゲン活性化増強作用を有する乳酸菌又はその処理物を含むプラスミノーゲン活性化剤に関する。また本発明は、該プラスミノーゲン活性化剤を含む医薬組成物及び食品、具体的には、血栓性疾患の予防及び/又は治療のための医薬組成物及び食品に関する。 欧米はもとより、日本においては心疾患と脳血管疾患を併せた死因率は悪性新生物のそれを上回り第一位である。近年、壮年及び老年層において、この種の疾病、例えば一過性脳虚血発作、脳梗塞(脳血栓、脳塞栓)、虚血性狭心症、心筋梗塞、動脈血栓症、静脈血栓症、深部静脈血栓症、末梢動脈閉塞症、末梢静脈閉塞症、肺血栓症、肺塞栓症などの血栓に起因する種々の疾病患者が多発し、問題となっている。また、進行が緩慢な癌などと比べ血栓性疾患は、突発的に発症し、適切な処置が取られなければ死の転機をとる可能性が高く点で危険性が高い。このことから、発症予防の重要性が高まってきている。 血栓の形成には、血管の変化、血流の変化、及び血液成分の変化の3つが要因とされており、これら要因が相互に関連しあって血栓が形成されると考えられている。通常生体では、身体が傷つくと血栓を形成し、止血を行い(凝固系)、血栓が形成され過ぎた場合は血栓を除去する(線溶系)ように絶妙なバランスが維持されている。しかし、このバランスが、全身的あるいは局所的に崩れることで血栓が成長すると考えられている(池田康夫監修、血栓症−やさしく・くわしく・わかりやすく−、南江堂、2004年)。成長した血栓は、形成された部位で血液の流れを妨げることもあれば、分離して塞栓を形成し遠く離れた血管を閉塞する場合(例えば肺塞栓症、脳卒中など)もあり、いずれの場合にも血管を閉塞して血液を正常に流さなくなり、血栓症を引き起こす。 血栓の除去には、主としてプラスミノーゲンとプラスミン系を介する繊維素溶解系(線溶系)が関わっている。血栓が生じるとプラスミノーゲンはプラスミノーゲンアクチベーターと共に血栓の主成分であるフィブリンに結合し、血栓上でプラスミノーゲンアクチベーターに活性化されプラスミンになる。生じたプラスミンはフィブリンを分解して血栓を溶解する(野村武夫ら編、図解 血球-生理・病態・臨床 血小板、上血、凝固、線溶、中外医薬社、1994年)。 生体内での血栓溶解がこのような機構であることから、血栓を溶解するためにはプラスミノーゲンアクチベーターを増強する、又は内因性のプラスミノーゲンの活性化を増強することが効果的であると考えられる。実際、臨床において血栓溶解療法としてプラスミノーゲンアクチベーターが使用されている。これまでプラスミノーゲンアクチベーターとしては、ウロキナーゼ(u-PA)及び組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)の2種類が知られていたが、いずれも極めて微量しか存在しないため、また静注薬として完全に純化することが必要なため、極めて高価であった。その上、血中での半減期が3〜20分と非常に短いため、持続的な点滴静注が必須であり、患者に多大な苦痛を与える。間接的にプラスミノーゲンを活性化するストレプトキナーゼも、同様に点滴静注が必須であり、抗原性がある等の問題点がある。また、最近では、糸状菌由来のSMTP(Stachybotrys microspora triprenyl phenols)が、内因性のプラスミノーゲンの活性化を増強する化合物として開発されている。活性の面で優れ、医薬品としての利用が考えられるが、生産菌の食経験が知られていないこともあり健康食品としての利用には至っていない。 また、経口で摂取して血栓溶解効果のあるものとして実用されているものには、ルンブロキナーゼ(ミミズ抽出物)、ナットウキナーゼ(納豆抽出物)などがある(特許文献1及び非特許文献1)。 ルンブロキナーゼは分子量24〜43kDaの6種類からなるセリンプロテアーゼであり、これらは生体内で血栓を溶解しているセリンプロテアーゼの一種であるプラスミンに相同性がある。これら酵素にはフィブリン分解活性、プラスミノーゲンアクチベーター活性があることがin vitroの試験で明らかにされている(特許文献1)。ルンブロキナーゼ(混合物)をヒトが1日あたり300〜600mg摂取すると、有意な内因性のt-PA量の増大、有意なフィブリン分解産物の一過的増大、及び有意な血漿のフィブリン分解活性の上昇が確認されている(特許文献1)。 ナットウキナーゼは分子量27kDaのプラスミンに相同性があるセリンプロテアーゼを含む。フィブリン分解活性及びプロウロキナーゼ活性化能があることがin vitroの試験で明らかにされている(非特許文献1)。ナットウキナーゼをヒトが1日あたり納豆2パック相当食すると、有意な内因性t-PA量の増大、有意なフィブリン分解産物の一過的増大、及び有意な血漿のフィブリン分解活性の上昇が確認されている(非特許文献1)。 しかし、ミミズは漢方薬あるいは健康食品として中国や韓国での食経験があるものの、現代人にとってはそれを食するにはかなりの抵抗感がある点で問題がある。納豆もヒトによって好き嫌いがあるうえに、ビタミンKを多く含むことから、血液凝固阻害剤であるワルファリンを服用している患者は効果が競合する可能性もあり、そのような患者は摂取することができない。 一方、in vitro実験において血栓溶解効果がある素材として、一部の乳酸菌が内因性フィブリノーゲンの活性化を増強する効果を有するという報告がなされている(特許文献2及び非特許文献2)。しかし、これらの報告では、プラスミノーゲンと人工基質のみあるいはそれにプラスミノーゲンアクチベーターを添加した単純な反応系でしかその効果が評価されておらず、生体での効果は実証されていない。また、その乳酸菌に含まれる活性成分の候補としてグリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)等が挙げられているが、血液中には線溶阻害因子が存在するため、プラスミノーゲンと基質だけといった単純なin vitro系での評価では、実際血中でどれくらいの活性化を得られるかは不明である。また一方で、調査されている菌種は、主にラクトバチルス属とラクトコッカス属で、その他の菌種についての情報はわずかである。乳酸菌は、菌種によって醗酵に適した素材や生育条件が異なっており、これらの報告の菌種のみでは食品素材としての汎用性の面で課題が残る。 乳酸菌は、ヨーグルトやチーズといった乳製品や、日本の伝統食品である漬物や醤油などの製造でも重要な役割を果たしており、日本人にとっても馴染みの深い食品素材であり、食経験や安全性面で優れている。また摂取に対する抵抗感はないと考えられる。 このように、実用化されているものの中では、広く受け入れられやすく、安心して食することができるものはなく、食経験が豊富な乳酸菌については、一部の菌種についてin vitro系でしか評価されておらず、活性を保有する菌種の情報についても不十分である。したがって、内因性プラスミノーゲンの活性化を増強する効果が高く、生体において線溶活性を有する乳酸菌を単離・取得できれば、食品素材への適応範囲が広がり、有用性も高まると考えられる。日本特許第3037355号特開2009−242255号公報化学と生物 第29巻第119-123頁, 1991年Microbiology 第153巻第1112-1122頁, 2007年 本発明の目的は、内因性プラスミノーゲンを活性化する乳酸菌を見出し、大量生産可能で、かつ経口下で安全性の高い血栓溶解用薬理組成物を提供することである。 本発明者は、各種乳酸菌を広く調べた結果、ある種の乳酸菌の菌体又は菌体抽出液がin vitroの試験においてプラスミノーゲンの活性化を非常に高く増強すること、そしてこのようなプラスミノーゲン活性化増強作用が、動物の血液においても発揮されることを見出し、当該乳酸菌を利用して有効なプラスミノーゲン活性化剤を調製することができるという知見を得、本発明を完成するに至った。 従って、本発明は以下のとおりである。(1)プラスミノーゲン活性化増強作用を有する少なくとも1種の乳酸菌又はその処理物を有効成分として含むプラスミノーゲン活性化剤。(2)プラスミノーゲン活性化増強作用を有する乳酸菌が、ロイコノストック・メセンテロイデス、ロイコノストック・ラクチス(別名:ロイコノストック・ガーリカム)、ロイコノストック・オエニ、ラクトコッカス・ラクチス、ラクトコッカス・ガルビエ、ペディオコッカス・アシジラクチシ、ペディオコッカス・ペントサセウス、ラクトバチルス・パラカセイ、ラクトバチルス・ナムレンシス、ラクトバチルス・クラストラム、ラクトバチルス・フェルメンタム、ラクトバチルス・パラケフィリ、ラクトバチルス・ペントサス、及びラクトバチルス・プランタラムからなる群より選択される菌、又はその派生株である、(1)に記載のプラスミノーゲン活性化剤。(3)プラスミノーゲン活性化増強作用を有する乳酸菌が、ロイコノストック・メセンテロイデスNBRC100496、ロイコノストック・ラクチス(別名:ロイコノストック・ガーリカム)JCM1142、ロイコノストック・オエニJCM6125、NBRC100497、PV4及びElios 1、ラクトコッカス・ラクチス・ラクチス亜種NBRC12007、ラクトコッカス・ガルビエNBRC100934、ペディオコッカス・アシジラクチシNBRC3885、ペディオコッカス・ペントサセウスJCM20314及びNK-2、ラクトバチルス・パラカセイKW3110、ラクトバチルス・ナムレンシスJCM15612、ラクトバチルス・クラストラムJCM15951、ラクトバチルス・フェルメンタムNBRC3961、ラクトバチルス・パラケフィリJCM8574、ラクトバチルス・ペントサスJCM8333、JCM8334及びJCM8335、並びにラクトバチルス・プランタラムJCM20110、JCM1551、JCM6551及びKTからなる群より選択される菌、又はその派生株である、(1)又は(2)に記載のプラスミノーゲン活性化剤。(4)乳酸菌の処理物が、乳酸菌の懸濁物又は無細胞抽出物である、(1)〜(3)のいずれかに記載のプラスミノーゲン活性化剤。(5)乳酸菌の処理物が、80〜150℃にて10〜20分加熱処理したものである、(1)〜(4)のいずれかに記載のプラスミノーゲン活性化剤。(6)血栓溶解作用を有する、(1)〜(5)のいずれかに記載のプラスミノーゲン活性化剤。(7)(1)〜(6)のいずれかに記載のプラスミノーゲン活性化剤と医薬上許容される担体とを含む医薬組成物。(8)血栓性疾患の予防及び/又は治療のための、(7)に記載の医薬組成物。(9)血栓性疾患が、一過性脳虚血発作、脳梗塞、虚血性狭心症、心筋梗塞、動脈血栓症、静脈血栓症、深部静脈血栓症、末梢動脈閉塞症、末梢静脈閉塞症、肺血栓症、及び肺塞栓症からなる群より選択されるものである、(8)に記載の医薬組成物。(10)経口投与用である、(7)〜(9)のいずれかに記載の医薬組成物。(11)(1)〜(6)のいずれかに記載のプラスミノーゲン活性化剤が配合された食品。 本発明により、優れたプラスミノーゲン活性化増強作用を有するプラスミノーゲン活性化剤が提供される。本プラスミノーゲン活性化剤は、繊維素溶解系におけるプラスミノーゲンの活性化を増強することで、血栓を溶解する作用を有し、血栓性疾患に対して優れた予防、改善及び治療効果を示す。また、食経験のある乳酸菌を含むものであり、安全性が高く長期間の継続的摂取が容易である。さらに、高温処理後でもそのプラスミノーゲン活性化増強作用が保持される。そのため、本発明のプラスミノーゲン活性化剤は、血栓形成に対する予防及び改善のための食品及び飼料にも使用できる。種々の乳酸菌の無細胞抽出物のプラスミノーゲン活性化増強作用を調べた結果である。加熱処理後の乳酸菌懸濁液のプラスミノーゲン活性化増強作用を調べた結果である。Aは、プラスミノーゲン活性化増強作用を相対活性(%)として示し、BはGAPDH単位として示す。動物の血液中の血小板血栓形成に関して評価した閉塞時間及び溶解時間に対する乳酸菌(Lactobacillus gallinarum JCM 8782、陰性対照)の影響を調べた結果である。動物の血液中の血小板血栓形成に関して評価した閉塞時間及び溶解時間に対する乳酸菌(Lactobacillus paracasei KW3110)の影響を調べた結果である。図中、*印は、対応するコントロールに対する検定でp<0.05を表す。動物の血液中の血小板血栓形成に関して評価した閉塞時間及び溶解時間に対する乳酸菌(Leuconostoc oeni Elios 1)の影響を調べた結果である。図中、*印は、対応するコントロールに対する検定でp<0.05を表す。GTT評価を行った3種の乳酸菌のプラスミノーゲン活性化増強作用をまとめたグラフである。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明は、プラスミノーゲン活性化増強作用を有する乳酸菌又はその処理物を含むプラスミノーゲン活性化剤、並びにその医薬及び食品用途に関する。 本発明において使用する乳酸菌は、プラスミノーゲン活性化増強作用を有する乳酸菌である。乳酸菌とは、発酵によって糖類から乳酸を産生する細菌であり、例えばロイコノストック(Leuconostoc)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属などに属する細菌が含まれる。乳酸菌のより具体的な種としては、ロイコノストック・メセンテロイデス、ロイコノストック・ラクチス(別名:ロイコノストック・ガーリカム)、ロイコノストック・オエニ、ラクトコッカス・ラクチス、ラクトコッカス・ガルビエ、ペディオコッカス・アシジラクチシ、ペディオコッカス・ペントサセウス、ラクトバチルス・パラカセイ、ラクトバチルス・ナムレンシス、ラクトバチルス・クラストラム、ラクトバチルス・フェルメンタム、ラクトバチルス・パラケフィリ、ラクトバチルス・ペントサス、及びラクトバチルス・プランタラムなどがある。 本発明に関して、「プラスミノーゲン活性化増強作用」とは、繊維素溶解系における内因性のプラスミノーゲンの活性化を増強する能力を指す。プラスミノーゲンの活性化が増強されることで、フィブリンを分解して血栓を溶解するプラスミンの生成量が増大することになる。このプラスミノーゲン活性化増強作用は、当技術分野で公知の方法(Takayasu, R., Hasumi, K., Shinohara, C. and Endo, A. (1997) Enhancement of fibrin binding and activation of plasminogen by staplabin through induction of a conformational change in plasminogen. FEBS Lett. 418, 58-62;Hasumi, K., Ohyama, S., Kohyama, T., Ohsaki, Y., Takayasu, R. and Endo, A. (1998) Isolation of SMTP-3, -4, -5 and -6, novel analogs of staplabin, and their effects on plasminogen activation and fibrinolysis. J. Antibiotics 51, 1059-1068.)を基に改変した方法にて、in vitroで及び/又はex vivoで評価することができる。例えば、評価対象の乳酸菌サンプル(菌体若しくは処理物)又は組成物サンプルを、プラスミノーゲン(Glu-PLG)、組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)、対照タンパク質(例えばGAPDHなど)、及びプラスミン基質(例えばH-Val-Leu-Lys-pNA、Boc-Val-Leu-Lys-MCAなど)と反応させ、反応後のプラスミン生成量を測定し、対照タンパク質量と比較することによって、in vitroにおいてプラスミノーゲン活性化増強作用を評価することができる。本発明において乳酸菌が有する「プラスミノーゲン活性化増強作用」は、例えば乳酸菌の存在下における一定時間におけるプラスミンの生成量を、対照タンパク質量に対する増加の傾きを単位として、例えば0.1〜100単位、好ましくは0.39単位以上で増加させる能力に相当する。 また本発明において使用する乳酸菌は、プラスミノーゲンを活性化し、その結果として血栓溶解作用を有するものである。例えば、実験動物における、ずり惹起血小板血栓形成・血栓溶解能測定法(Global Thrombosis Test:GTT)は、麻酔下のラット腹大動脈から抗凝固剤を使用しないで採取した血液に、例えば評価対象の乳酸菌サンプル(菌体若しくは処理物)又は組成物サンプル(約37℃)を混合し、直ちにGTTの測定チューブに入れ測定を開始する。血小板血栓形成までの時間(閉塞時間、Occlusion time、OT)及び血栓溶解までの時間(溶解時間、Lysis time、LT)を測定することによって、プラスミノーゲン活性化増強作用に基づく血栓溶解活性を動物の血液で評価することができる。この場合、プラスミノーゲン活性化増強作用が高いほど、血栓溶解までの時間(LT)が短縮される。さらに、実験動物に経口投与した後、GTTを用いて抗血栓活性を評価し、プラスミノーゲン活性化増強作用に基づく抗血栓活性をex vivoで評価することができる。例えば、ラットに評価対象の乳酸菌サンプル(菌体若しくは処理物)又は組成物サンプルを1回又は複数回投与し、一定時間経過の後、上述のように採血し、GTTを用いて血液サンプルにおける血小板血栓形成までの時間(閉塞時間、OT)及び血栓溶解までの時間(溶解時間、LT)を測定することによって、ex vivoにおける抗血栓活性を評価することができる。この場合、プラスミノーゲン活性化増強作用が高いほど、溶解時間(LT)が短縮される。 従って、本発明においては、上述したような方法によりプラスミノーゲン活性化増強作用を有すると評価された乳酸菌であれば、任意の乳酸菌を用いることができる。そのようなプラスミノーゲン活性化増強作用を有する好ましい乳酸菌としては、ロイコノストック・メセンテロイデスNBRC100496、ロイコノストック・ラクチス(別名:ロイコノストック・ガーリカム)JCM1142、ロイコノストック・オエニJCM6125、NBRC100497、PV4及びElios 1、ラクトコッカス・ラクチス・ラクチス亜種NBRC12007、ラクトコッカス・ガルビエNBRC100934、ペディオコッカス・アシジラクチシNBRC3885、ペディオコッカス・ペントサセウスJCM20314及びNK-2、ラクトバチルス・パラカセイKW3110、ラクトバチルス・ナムレンシスJCM15612、ラクトバチルス・クラストラムJCM15951、ラクトバチルス・フェルメンタムNBRC3961、ラクトバチルス・パラケフィリJCM8574、ラクトバチルス・ペントサスJCM8333、JCM8334及びJCM8335、並びにラクトバチルス・プランタラムJCM20110、JCM1551、JCM6551及びKTが挙げられる。これらの菌株は、後述する実施例において、in vitro、及びGTTによる評価においてプラスミノーゲンの活性化を高く増強することが確認されている。またこれらの菌株は、高温(100℃又は121℃)で一定時間加熱処理をした後も、所望のプラスミノーゲン活性化増強作用を保持しており、後述する用途においても好適に用いることができる。 上記菌株の入手先を表1に示す。なお、表中、「入手先」の欄において、「NBRC」は独立行政法人製品評価技術基盤機構 生物遺伝資源部門(NBRC)を表し、「JCM」は独立行政法人理化学研究所 バイオリソースセンターを表す。 なお、本発明において、上記の乳酸菌の中のL. paracasei KW3110株は、特許文献(特開2005-137357号公報)に記載の通り、本出願人により、高抗アレルギー活性を有する乳酸菌として選抜された株であり、特許微生物の寄託のためのブダペスト条約に基づく国際寄託当局である独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、FERM BP-08634として寄託されている(寄託日:2004年2月20日)。 上述した具体的な菌株のうち、特に高いプラスミノーゲン活性化増強作用を有する乳酸菌は、ロイコノストック・ラクチス(別名:ロイコノストック・ガーリカム)JCM1142、ロイコノストック・オエニJCM6125、NBRC100497及びPV4、ペディオコッカス・ペントサセウスNK-2、ラクトバチルス・ナムレンシスJCM15612、ラクトバチルス・クラストラムJCM15951、ラクトバチルス・フェルメンタムNBRC3961、ラクトバチルス・ペントサスJCM8333、JCM8334及びJCM8335、並びにラクトバチルス・プランタラムJCM20110、JCM1551及びKTである。また、特にロイコノストック・ラクチスJCM1142、ラクトバチルス・ペントサスJCM8333、及びロイコノストック・オエニJCM6125は、以前に文献(非特許文献2)において最も高い作用を有すると報告されているLactobacillus gallinarum JCM 8782株(=Lactobacillus gallinarum T-50株)と比べて約60〜150倍も高いプラスミノーゲン活性化増強作用を有するものである(実施例2参照)。 また本発明においては、上述した具体的な菌株の変異株又は派生株も、プラスミノーゲン活性化増強作用を有する限り使用することができる。 乳酸菌は、乳酸菌の培養に通常用いられる培地を使用して、適当な条件下で培養することにより調製することができる。培養に用いる培地は、炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、乳酸菌の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよく、当業者であれば使用する菌株に適切な公知の培地を適宜選ぶことができる。炭素源としてはラクトース、グルコース、スクロース、フラクトース、ガラクトース、廃糖蜜などを使用することができ、窒素源としてはカゼインの加水分解物、ホエータンパク質加水分解物、大豆タンパク質加水分解物等の有機窒素含有物を使用することができる。また無機塩類としては、リン酸塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどを用いることができる。乳酸菌の培養に適した培地としては、例えばMRS液体培地、GAM培地、BL培地、Briggs Liver Broth、獣乳、脱脂乳、乳性ホエーなどが挙げられる。好ましくは、滅菌されたMRS培地(Difco社製)を使用することができる。天然培地としては、トマトジュース、ニンジンジュース、その他野菜ジュース、あるいはリンゴ、パイナップル、ブドウ果汁などを使用することができる。 また乳酸菌の培養は、20℃から50℃、好ましくは25℃から42℃、より好ましくは約37℃において、嫌気条件下で行う。温度条件は、恒温槽、マントルヒーター、ジャケットなどにより調整することができる。また、嫌気条件下とは、乳酸菌が増殖可能な程度の低酸素環境下のことであり、例えば嫌気チャンバー、嫌気ボックス又は脱酸素剤を入れた密閉容器若しくは袋などを使用することにより、あるいは単に培養容器を密閉することにより、嫌気条件とすることができる。培養の形式は、静置培養、振とう培養、タンク培養などである。また、培養時間は3時間から96時間とすることができる。培養開始時の培地のpHは4.0〜8.0に維持することが好ましい。 乳酸菌の具体的な調製例を簡単に説明する。例えば乳酸菌として表1に列挙した菌株を用いる場合には、前培養として、MRS液体培地において約37℃にて約24時間培養した後、本培養として、MRS液体培地に前培養した乳酸菌を1%程度で植菌し、約37℃で一晩(約18時間)かけて静置培養を行う。 培養後、得られる乳酸菌培養物をそのまま使用してもよいし、さらに必要に応じて遠心分離などによる粗精製及び/又は濾過等による固液分離や滅菌操作を行ってもよい。なお、本発明のプラスミノーゲン活性化剤に使用する乳酸菌は、生菌体であっても死菌体であってもよく、湿潤菌体であっても乾燥菌体であってもよい。また、所望により、乳酸菌にさらなる処理を行って、乳酸菌の処理物を得てもよい。そのような処理の例を以下に記載する。 乳酸菌又はその処理物を適当な溶媒に懸濁又は希釈することによって、懸濁物又は希釈物を調製することができる。使用することができる溶媒としては、例えば水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などが挙げられる。 乳酸菌又はその処理物を用いて生乳、脱脂粉乳又は豆乳を発酵することにより、発酵物を調製することができる。例えば、乳酸菌又は他の処理を行った乳酸菌を、生乳、脱脂粉乳又は豆乳などに接種し、当技術分野で公知の乳酸菌発酵条件(上述した乳酸菌培養の条件とほぼ同じである)にて発酵を行う。得られる発酵物は、そのまま使用してもよいし、又は濾過、滅菌、希釈、濃縮などの他の処理を行ってもよい。 また、乳酸菌又はその処理物を加熱処理することにより、加熱処理物を調製することができる。加熱処理物を調製するには、乳酸菌又はその処理物を、一定時間、例えば約10分〜1時間(例えば約10〜20分)にわたり、高温処理(例えば80〜150℃)する。 乳酸菌又はその処理物を滅菌処理によって、滅菌処理物を調製することができる。乳酸菌又はその処理物を滅菌処理するには、例えば、濾過滅菌、放射性殺菌、過熱式殺菌、加圧式殺菌などの公知の滅菌処理を行うことができる。 乳酸菌又はその処理物を破砕することによって、破砕物、無細胞抽出物を調製することができる。例えばそのような破砕は、超音波処理又はフィルター濾過により行うことができる。 乳酸菌又はその処理物を、適当な水性溶媒又は有機溶媒を用いて抽出することによって、抽出物を得ることができる。抽出方法としては、水性溶媒又は有機溶媒を抽出溶媒として用いる抽出方法であれば特に制限されないが、上記の乳酸菌又は乳酸菌に他の処理を行った処理物を、水性又は有機溶媒(例えば水、メタノール、エタノールなど)中に浸漬、攪拌又は還流する方法など公知の方法を挙げることができる。 また、乳酸菌又はその処理物を乾燥して粉状物又は粒状物とすることができる。具体的な乾燥方法としては、特に制限されないが、例えば、噴霧乾燥、ドラム乾燥、真空乾燥、凍結乾燥などが挙げられ、これらを単独で又は組み合わせて採用できる。その際、必要に応じて通常用いられる賦形剤を添加してもよい。 さらに、乳酸菌の菌体又はその処理物から、公知の分離・精製法を用いて、プラスミノーゲン活性化増強作用、すなわち血栓溶解作用を有する成分又は画分を精製してもよい。そのような分離・精製法としては、塩沈殿及び有機溶媒沈殿などの溶解性を利用する方法、透析、限外濾過、ゲル濾過などの分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーのような電荷の差を利用する方法、アフィニティクロマトグラフィーのような特異的結合を利用する方法、疎水クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーなどの疎水性を利用する方法などが挙げられ、これらの方法の1種を、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。 上述した処理は、単一の処理を行ってもよいし、あるいは複数を適宜組み合わせて行ってもよい。本発明においては、このような乳酸菌の処理物もプラスミノーゲン活性化剤に用いることができる。 本発明のプラスミノーゲン活性化剤に含まれる乳酸菌は、乳酸菌数又は処理前の乳酸菌数として、約1.5×107個/ml〜約1.5×1011個/ml程度である。 上記で得られた乳酸菌又はその処理物は、単独で又は他の成分を共に、プラスミノーゲン活性化剤として、又は食品、飼料、化粧料若しくは医薬組成物に配合して継続的に摂取すると、血栓性疾患の予防、改善及び治療効果が期待される。また、乳酸菌又はその処理物は、プラスミノーゲン活性化剤として、プラスミノーゲンを含む線維素溶解系の解明や、他の血栓溶解性物質の探索・スクリーニングなどのために試験又は研究において使用することも可能である。 本発明のプラスミノーゲン活性化剤は、有効成分として上述した乳酸菌又はその処理物を含むものであるが、1種の乳酸菌又はその処理物を含んでもよいし、複数の異なる乳酸菌又はその処理物、さらには異なる処理を行った複数の処理物を組み合わせて含んでもよい。 また本発明のプラスミノーゲン活性化剤には、有効成分である乳酸菌又はその処理物に加えて、目的とする作用を阻害しない限り、後述する添加剤、他の公知のプラスミノーゲン活性化剤、血栓溶解剤などを単独又は複数組み合わせて添加してもよい。 本発明のプラスミノーゲン活性化剤の形態は特に制限されないが、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、液剤、懸濁剤、吸入剤などの経口剤、坐剤などの経腸製剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤などの皮膚外用剤、点滴剤、注射剤などの剤型としてもよい。これらのうちでは、経口剤とするのが好ましい。なお、液剤、懸濁剤などの液体製剤は、服用直前に水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁する形であってもよく、また錠剤、顆粒剤の場合には周知の方法でその表面をコーティングしてもよい。さらに、本発明のプラスミノーゲン活性化剤は、当技術分野で公知の技術を使用して、徐放性製剤、遅延放出製剤又は即時放出製剤などの放出が制御された製剤としてもよい。 このような剤型のプラスミノーゲン活性化剤は、上述した成分に、通常用いられる賦形剤、崩壊剤、結合剤、湿潤剤、安定剤、緩衝剤、滑沢剤、保存剤、界面活性剤、甘味料、矯味剤、芳香剤、酸味料、着色剤などの添加剤を剤型に応じて配合し、常法に従って製造することができる。例えば、プラスミノーゲン活性化剤を医薬組成物とする場合には、医薬上許容される担体又は添加剤を配合することができる。そのような医薬上許容される担体及び添加物の例として、水、医薬上許容される有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、水溶性デキストリン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、医薬添加物として許容される界面活性剤などの他、リポゾームなどの人工細胞構造物などが挙げられる。 本発明のプラスミノーゲン活性化剤が、上記添加剤や他のプラスミノーゲン活性化剤、他の血栓溶解剤などを含む場合、有効成分である乳酸菌又はその処理物の含有量は、その剤型により異なるが、処理前の乳酸菌の量として、通常は、0.01〜99質量%、好ましくは0.1〜80質量%、より好ましくは1〜75質量%の範囲であり、乳酸菌の処理物(例えば濃縮物)としては、通常は、0.0001〜80質量%、好ましくは0.001〜50質量%、より好ましくは0.1〜40質量%の範囲であり、有効成分の望ましい摂取量を摂取できるように、1日当たりの投与量が管理できる形にするのが望ましい。 さらに、本発明のプラスミノーゲン活性化剤には、医薬、食品、飼料の製造に用いられる種々の添加剤やその他種々の物質を共存させてもよい。このような物質や添加剤としては、各種油脂(例えば、大豆油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油などの植物油、牛脂、イワシ油などの動物油脂)、生薬(例えばロイヤルゼリー、人参など)、アミノ酸(例えばグルタミン、システイン、ロイシン、アルギニンなど)、多価アルコール(例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、糖アルコール、例としてソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、マンニトールなど)、天然高分子(例えばアラビアガム、寒天、水溶性コーンファイバー、ゼラチン、キサンタンガム、カゼイン、グルテン又はグルテン加水分解物、レシチン、澱粉、デキストリンなど)、ビタミン(例えばビタミンC、ビタミンB群など)、ミネラル(例えばカルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄など)、食物繊維(例えばマンナン、ペクチン、ヘミセルロースなど)、界面活性剤(例えばグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなど)、精製水、賦形剤(例えばブドウ糖、コーンスターチ、乳糖、デキストリンなど)、安定剤、pH調製剤、酸化防止剤、甘味料、呈味成分、酸味料、着色料及び香料などが挙げられる。 また、他の公知のプラスミノーゲン活性化剤や血栓溶解剤の他にも、機能性成分若しくは添加剤として、上記以外に、例えば、タウリン、グルタチオン、カルニチン、クレアチン、コエンザイムQ、グルクロン酸、グルクロノラクトン、トウガラシエキス、ショウガエキス、カカオエキス、ガラナエキス、ガルシニアエキス、テアニン、γ-アミノ酪酸、カプサイシン、カプシエイト、各種有機酸、フラボノイド類、ポリフェノール類、カテキン類、キサンチン誘導体、フラクトオリゴ糖などの難消化性オリゴ糖、ポリビニルピロリドンなどを配合することができる。 これら添加剤の配合量は、添加剤の種類と所望すべき摂取量に応じて適宜決められるが、プラスミノーゲン活性化剤の総量に対して、一般的には0.01〜90質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜50質量%の範囲である。 本発明のプラスミノーゲン活性化剤を投与又は摂取する対象は、脊椎動物、具体的には、哺乳動物、例えばヒト、霊長類(サル、チンパンジーなど)、家畜動物(ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジなど)、ペット用動物(イヌ、ネコなど)、実験動物(マウス、ラットなど)、さらには爬虫類及び鳥類である。特に、遺伝的若しくは環境的要因により血栓を形成しやすいヒト、又は以前に血栓症の発症履歴のあるヒトが対象として好ましい。 本発明のプラスミノーゲン活性化剤の投与又は摂取量は、対象の年齢及び体重、投与・摂取経路、投与・摂取回数により異なり、当業者の裁量によって広範囲に変更することができる。例えば、経口的に投与又は摂取する場合には、プラスミノーゲン活性化剤に含まれる乳酸菌及び/又はその処理物の投与・摂取量は、処理前の乳酸菌の量として、通常0.1〜5000 mg/day、好ましくは1〜500 mg/dayである。乳酸菌の含有割合は特に限定されず、製造の容易性や好ましい一日投与量等に合わせて適宜調節すればよい。例えば剤型が液体の場合には、乳酸菌体濃度を1×105cells/ml〜1×1010cells/mlとすることが好ましく、固体の場合には、1×105cells/g〜1×1010cells/gとすることが好ましい。本発明のプラスミノーゲン活性化剤は安全性の高いものであるため、摂取量をさらに増やすこともできる。1日当たりの摂取量は、1回で摂取してもよいが、数回に分けて摂取してもよい。また、その投与又は摂取の頻度も、特に限定されず、投与・摂取経路、対象の年齢及び体重、血栓性疾患の症状、及び疾患の重篤度などの種々の条件に応じて適宜選択することが可能である。 本発明のプラスミノーゲン活性化剤の投与・摂取経路は特に限定されず、経口投与若しくは摂取、又は非経口投与(例えば気道内、直腸内、皮下、筋肉内、静脈内投与)などが挙げられる。本発明のプラスミノーゲン活性化剤は、特に経口的に投与又は摂取することが好ましい。 本発明のプラスミノーゲン活性化剤は、繊維素溶解系におけるプラスミノーゲンの活性化を増強することで、血栓を溶解する作用を有し、血栓性疾患に対して、優れた予防、改善及び治療効果を示す。また、安全性が高く長期間の継続的摂取が容易である。そのため、本発明のプラスミノーゲン活性化剤は、血栓形成に対する予防及び改善のための食品、飼料及び化粧料にも使用できる。さらに、本発明のプラスミノーゲン活性化剤、食品、化粧料又は飼料を、上述した摂取量を管理できる形態で摂取することにより、血栓性疾患に対する予防方法及び治療方法が提供される。 上述したように、本発明のプラスミノーゲン活性化剤は、医薬組成物又は機能性食品として、血栓性疾患の予防又は治療のために用いることができる。本発明において「血栓性疾患」とは、血液の塊、すなわち血栓が、血管(動脈及び静脈)を防ぐことにより又は血管壁の細胞(血管内皮細胞)を傷害することにより引き起こされる疾患を指す。血栓性疾患には、例えば限定されるものではないが、一過性脳虚血発作、脳梗塞(脳血栓、脳塞栓)、虚血性狭心症、心筋梗塞、動脈血栓症、静脈血栓症、深部静脈血栓症、末梢動脈閉塞症、末梢静脈閉塞症、肺血栓症及び肺塞栓症が含まれる。 また本発明において、血栓性疾患の「予防又は治療」とは、動物やヒトなどの対象において、血栓性疾患の発症の予防、血栓性疾患の発症後(病的状態)の治療を意味するが、血栓性疾患の発症を遅延又は抑制することも意味する。また、血栓性疾患に起因して発症する疾患又は障害の発症を防止することも含まれる。例えば、予防目的で本発明のプラスミノーゲン活性化剤を使用する場合、血栓性疾患の素因となる遺伝的要因、環境的要因若しくは他の異常を有する対象、又は以前に血栓症の発症履歴のある対象に投与又は摂取させることが好ましい。具体的には、静脈血栓塞栓症の傾向を増大させる遺伝的要因として、活性化プロテインC(APC)に対する抵抗性を生じる第V因子Leiden変異、プロトロンビン20210遺伝子変異、及びプロテインC、プロテインS、プロテインZ又はアンチトロンビン欠乏症が知られている。また、静脈及び動脈血栓症の素因となる後天性異常として、ヘパリン誘発性血小板減少症/血栓症、抗リン脂質抗体の存在、及び高ホモシステイン血症が知られている。また、静脈血栓のリスク要因として、手術又は麻痺などによる寝たきり状態に関連して起こるうっ血、心不全、妊娠、肥満、外傷又は手術による組織損傷、腫瘍、敗血症、アテローム性動脈硬化症が知られている。また、以前に血栓症の発症履歴がある場合には、その再発の防止のために本発明のプラスミノーゲン活性化剤を使用することができる。 本発明に係るプラスミノーゲン活性化剤により治療又は予防の対象となる血栓性疾患は、単独であっても、併発したものであっても、上記以外の他の疾病を併発したものであってもよい。 本発明のプラスミノーゲン活性化剤は、他の医薬、治療又は予防法等と併用してもよい。このような他の医薬は、本発明のプラスミノーゲン活性化剤と共に一製剤を成していてもよいし、また、別々の製剤であって同時に又は間隔を空けて投与してもよい。 上述したように、本発明のプラスミノーゲン活性化剤は、血栓溶解作用を有するうえ、食経験のある乳酸菌を含むものであり、安全性が高い。また、有効成分として含まれる乳酸菌又はその処理物は、高温処理後でもプラスミノーゲン活性化増強作用を保持することから、食品などの加工処理に適している。さらに、様々な食品に添加しても食品自体の風味を阻害しないため、種々の食品に添加して継続的に摂取することができ、血栓性疾患の予防及び改善が期待される。 本発明の食品は、上述したプラスミノーゲン活性化剤を含有する。本発明において、食品には飲料も包含される。本発明のプラスミノーゲン活性化剤を含有する食品には、血栓溶解作用により健康増進を図る健康食品、機能性食品、特定保健用食品などの他、上記プラスミノーゲン活性化剤を配合できる、全ての食品が含まれる。 本発明のプラスミノーゲン活性化剤を含有する食品として、機能性食品はとりわけ好ましい。本発明の「機能性食品」は、生体に対して一定の機能性を有する食品を意味し、例えば、特定保健用食品(条件付きトクホ[特定保健用食品]を含む)及び栄養機能食品を含む保健機能食品、特別用途食品、栄養補助食品、健康補助食品、サプリメント(例えば、錠剤、被覆錠、糖衣錠、カプセル及び液剤などの各種剤形のもの)及び美容食品(例えばダイエット食品)などのいわゆる健康食品全般を包含する。本発明の機能性食品はまた、コーデックス(FAO/WHO合同食品規格委員会)の食品規格に基づく健康強調表示(Health claim)が適用される健康食品を包含する。 食品の具体例としては、経管経腸栄養剤などの流動食、錠菓、錠剤、チュアブル錠、錠剤、粉剤、散剤、カプセル剤、顆粒剤及びドリンク剤などの製剤形態の健康食品及び栄養補助食品;緑茶、ウーロン茶及び紅茶などの茶飲料、清涼飲料、ゼリー飲料、スポーツ飲料、乳飲料、炭酸飲料、野菜飲料、果汁飲料、醗酵野菜飲料、醗酵果汁飲料、発酵乳飲料(ヨーグルトなど)、乳酸菌飲料、乳飲料(コーヒー牛乳、フルーツ牛乳など)、粉末飲料、ココア飲料、牛乳並びに精製水などの飲料;バター、ジャム、ふりかけ及びマーガリンなどのスプレッド類;マヨネーズ、ショートニング、カスタードクリーム、ドレッシング類、パン類、米飯類、麺類、パスタ、味噌汁、豆腐、ヨーグルト、スープ又はソース類、菓子(例えば、ビスケットやクッキー類、チョコレート、キャンディ、ケーキ、アイスクリーム、チューインガム、タブレット)などが挙げられる。 本発明の食品は、上記プラスミノーゲン活性化剤のほかに、その食品の製造に用いられる他の食品素材、各種栄養素、各種ビタミン、ミネラル、食物繊維、種々の添加剤(例えば呈味成分、甘味料、有機酸などの酸味料、安定剤、フレーバー)などを配合して、常法に従って製造することができる。 本発明の食品において、プラスミノーゲン活性化剤の配合量は、食品の形態や求められる食味又は食感を考慮して、当業者が適宜定めることができる。通常は、添加されるプラスミノーゲン活性化剤中の乳酸菌及び/又はその処理物の総量が、0.001〜100質量%、好ましくは0.01〜80質量%、より好ましくは0.01〜50質量%となるようなプラスミノーゲン活性化剤の配合量が適当である。本発明のプラスミノーゲン活性化剤は安全性の高いものであるため、食品におけるその配合量をさらに増やすこともできる。プラスミノーゲン活性化剤の望ましい摂取量を飲食できるよう、1日当たりの摂取量が管理できる形にするのが好ましい。 本発明のプラスミノーゲン活性化剤は、当業者が利用可能である任意の適切な方法によって、食品に含有させればよい。例えば、本発明のプラスミノーゲン活性化剤を、液体状、ゲル状、固体状、粉末状又は顆粒状に調製した後、それを食品に配合することができる。あるいは本発明のプラスミノーゲン活性化剤を、食品の原料中に直接混合又は溶解してもよい。本発明のプラスミノーゲン活性化剤は、食品に塗布、被覆、浸透又は吹き付けてもよい。本発明のプラスミノーゲン活性化剤は、食品中に均一に分散させてもよいし、偏在させてもよい。本発明のプラスミノーゲン活性化剤を入れたカプセルなどを調剤してもよい。本発明のプラスミノーゲン活性化剤を、可食フィルムや食用コーティング剤などで包み込んでもよい。また本発明のプラスミノーゲン活性化剤に適切な賦形剤等を加えた後、錠剤などの形状に成形してもよい。本発明のプラスミノーゲン活性化剤を含有させた食品はさらに加工してもよく、そのような加工品も本発明の範囲に包含される。 本発明の食品の製造においては、食品に慣用的に使用されるような各種添加物を使用してもよい。添加物としては、限定するものではないが、発色剤(亜硝酸ナトリウム等)、着色料(クチナシ色素、赤102等)、香料(オレンジ香料等)、甘味料(ステビア、アステルパーム等)、保存料(酢酸ナトリウム、ソルビン酸等)、乳化剤(コンドロイチン硫酸ナトリウム、プロピレングリコール脂肪酸エステル等)、酸化防止剤(EDTA二ナトリウム、ビタミンC等)、pH調整剤(クエン酸等)、化学調味料(イノシン酸ナトリウム等)、増粘剤(キサンタンガム等)、膨張剤(炭酸カルシウム等)、消泡剤(リン酸カルシウム)等、結着剤(ポリリン酸ナトリウム等)、栄養強化剤(カルシウム強化剤、ビタミンA等)、賦形剤(水溶性デキストリン等)等が挙げられる。さらに、オタネニンジンエキス、エゾウコギエキス、ユーカリエキス、杜仲茶エキス等の機能性素材をさらに添加してもよい。 本発明の食品は、上述したとおり、プラスミノーゲン活性化増強作用を有し、結果的に血栓溶解作用を有するため、血栓性疾患に対して優れた予防及び改善作用を奏する上に、安全性が高く副作用の心配がない。また、本発明のプラスミノーゲン活性化剤は風味がよく、様々な食品に添加してもその食品の風味を阻害しないため、得られる食品は長期間の継続的摂取が容易であり、血栓性疾患の優れた予防及び改善作用が期待される。なお、本発明の食品を、プラスミノーゲン活性化剤の望ましい摂取量を管理できる形態で飲食することにより、該食品を用いる、血栓性疾患に対する予防方法及び改善方法が提供される。 さらに本発明のプラスミノーゲン活性化剤は、ヒト用の食品のみならず、家畜、競走馬、ペットなどの飼料にも配合することができる。飼料は、対象がヒト以外であることを除き食品とほぼ等しいことから、上記の食品に関する記載は、飼料についても同様に当てはめることができる。 以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。[実施例1]<各種乳酸菌の培養とサンプルの調製> 表1に示す各種乳酸菌について、前培養として、M.R.S液体培地(Difco社製)にて、37℃、24時間培養を行った。次に本培養としてM.R.S液体培地に1%植菌し、37℃、一晩(約18時間)、静置培養を行った。 培養後、遠心分離により菌体を回収し、PBS(リン酸緩衝液)にて菌体を2回洗浄し、再度PBSに懸濁し、便宜上、OD600=0.5を2.0×10の8乗と換算して菌濃度を求めた。なお、コントロールとして、非特許文献2に記載されている中で、最も強くプラスミノーゲンの活性化を増強していた株であるLactobacillus gallinarum JCM 8782株(=Lactobacillus gallinarum T-50株)を同様に調製した。(1)CFE(無細胞抽出液)サンプル調製 3.0×109細胞/mlの菌液を、37℃、5時間インキュベートを行い、その後、4℃にて遠心分離を行い、得られた上清を遠心フィルターユニット(0.22μm)でろ過を行い、-80℃で保存した。これをCFE(セル・フリー・エクストラクト)とした。(2)菌体懸濁液サンプル調製 3.0×109細胞/mlの菌液をエッペンドルフ試験管にとり、遠心(11,000rpm、4℃、10分)し、上清除去して、-80℃で保存した。使用時にPBSにて元の菌体濃度に調整した。[実施例2]<プラスミノーゲン活性化増強作用の評価> 実施例1で調製したCFEサンプル及び菌体懸濁液サンプルについて、以下の条件にて反応を行い、吸光値をy軸、時間の二乗(h2)をx軸としてプロットし、直線部分の傾きを求めた。下記の濃度のGAPDHで測定した傾きを基準として、この傾きと同じ傾きとなった場合を1GAPDH単位と定義して、各乳酸菌サンプルの活性を算出した。なお、測定の際、各サンプルはPBSにて適宜希釈し、原液濃度に換算して活性を求めた。CFEサンプルの評価法 CFE(この反応系あたり、濁度ベースで1.5×108個からの無細胞抽出液)、又は 135 nM ウサギ筋肉由来GAPDH(SIGMA, D-0763)、220 nM ヒトプラスミノーゲン(Glu-plg;ヒト血漿より精製)、0.58 U/ml アルテプラーゼ(遺伝子組換えtPA、協和発酵工業)、0.1 mM H-Val-Leu-Lys-pNA(BACHEM, L-1450)を、PBS(pH 7.4)100μl中に調製した。37℃で2.5時間反応を行い、405 nmの吸光度を5分毎に測定した。 上記組成よりGlu-plgおよびアルテプラーゼを省いたものの吸光度をブランクとした。測定は3回行った。 その結果を表2及び図1に示す。 表2及び図1に示すとおり、文献記載の最も強くプラスミノーゲンの活性化を増強していた株であるLactobacillus gallinarum JCM 8782株よりも、さらに強く活性化する株が見出され、JCM8782株と比較して、活性の最も強いLeuconostoc oeni JCM6125株は約150倍、それに順ずるLeuconostoc garlicum(=Leuconostoc lactis) JCM1142株は約70倍、及びLactobacillus pentosus JCM8333株は約60倍の強さを示した。[実施例3]<耐熱性の評価> 実施例1で調製したLactobacillus paracasei KW3110、Leuconostoc garlicum(=Leuconostoc lactis) JCM1142株、及びLactococcus lactis subsp. lactis NBRC12007の菌体懸濁液サンプルについて、(i)加熱処理なし、(ii)100℃、10分処理、(iii)121℃、15分処理をそれぞれ行い、以下に示す菌体懸濁液サンプルの評価方法に従ってプラスミノーゲン活性化増強作用を測定した。菌体懸濁液サンプルの評価法 細菌細胞(この反応系あたり、濁度ベースで1.5×108個の細胞)、又は 135 nM ウサギ筋肉由来GAPDH(SIGMA, D-0763)、220 nM ヒトGlu-plg(ヒト血漿より精製)、0.58 U/ml アルテプラーゼ(遺伝子組換えtPA、協和発酵工業)、0.01 mM Boc-Val-Leu-Lys-MCA(Peptide Institute, Inc, 3104-v)を、PBS(pH 7.4)100μl中に調製した。37℃で1.5時間反応を行い、励起波長355 nm、蛍光波長460 nmの蛍光強度を5分毎に測定した。 上記組成よりGlu-plgおよびアルテプラーゼを省いたものの蛍光強度をブランクとした。実験は3回行った。 その結果を図2のA(相対活性)とB(GAPDH単位)に示す。図2に示すとおり、(ii)の処理(100℃、10分処理)でもプラスミノーゲン活性化増強作用が低下しないばかりか、(iii)の処理(121℃、15分処理)でさらに増強され、元に比較して150〜225%の活性になっていることが示された。また、活性の強さを表すGAPDH単位は、CFE、あるいは菌体で測定した場合のいずれも、ほぼ同等の値であった。[実施例4]<ずり惹起血小板血栓形成(ずり惹起血小板反応性)・血栓溶解能測定法:Global Thrombosis Test (GTT) による乳酸菌サンプルの抗血栓活性の評価> GTT法は山本らの報告に従い行った(Platelets, 17(8), 555-564, 2006)。Wistar/ST系ラット(13週齢以上、雄、日本SLC)をソムノペンチルで麻酔し(60mg/kg body weight, 筋注)、麻酔30分後に麻酔の効果を確認して開腹し、腹部大動脈から、37℃に予め温めた生理食塩水が含まれているシリンジに、生理食塩水と同量の血液を採取した(血液:生理食塩水=1:1、抗凝固剤無添加)。400μlの生理食塩水(コントロール)又は乳酸菌CFEサンプル溶液を含むシリンジを予め37℃で温めた後、シリンジに3.6mlの2倍希釈血液を吸引(血液:試料=9:1)、混和し、37℃に保たれたGTTチューブ内に流し込み、血小板血栓形成までの時間(閉塞時間、Occlusion time、OT)及び血栓溶解までの時間(溶解時間、Lysis time、LT)を測定した。それぞれにつき測定は4回行った。 なお、乳酸菌CFEサンプル溶液としては、Lactobacillus gallinarum JCM 8782株(陰性対照)、Leuconostoc oeni Elios1株、及びLactobacillus paracasei KW3110株を用いた。これらのサンプル溶液は、希釈せずに用いた。 測定の結果、図3〜6に示すとおり、プラスミノーゲン活性化増強作用の強さに応じてLeuconostoc oeni Elios1株、及びLactobacillusparacasei KW3110株の溶解時間LTはコントロールに比較して有意に短縮されていることがわかった(それぞれ63%及び49%)。また、閉塞時間OTに関しても、Leuconostoc oeni Elios1株については、コントロールよりも有意に延長(1.27倍)されていた。 本発明により、優れたプラスミノーゲン活性化増強作用を有するプラスミノーゲン活性化剤が提供される。本プラスミノーゲン活性化剤は、繊維素溶解系におけるプラスミノーゲンの活性化を増強することで、血栓を溶解する作用を有し、血栓性疾患に対して優れた予防、改善及び治療効果を示す。また、食経験のある乳酸菌を含むものであり、安全性が高く長期間の継続的摂取が容易である。さらに、高温処理後でもそのプラスミノーゲン活性化増強作用が保持される。そのため、本発明のプラスミノーゲン活性化剤は、血栓形成に対する予防及び改善のための食品及び飼料にも使用できる。 プラスミノーゲン活性化増強作用を有する少なくとも1種の乳酸菌又はその処理物を有効成分として含むプラスミノーゲン活性化剤。 プラスミノーゲン活性化増強作用を有する乳酸菌が、ロイコノストック・メセンテロイデス、ロイコノストック・ラクチス(別名:ロイコノストック・ガーリカム)、ロイコノストック・オエニ、ラクトコッカス・ラクチス、ラクトコッカス・ガルビエ、ペディオコッカス・アシジラクチシ、ペディオコッカス・ペントサセウス、ラクトバチルス・パラカセイ、ラクトバチルス・ナムレンシス、ラクトバチルス・クラストラム、ラクトバチルス・フェルメンタム、ラクトバチルス・パラケフィリ、ラクトバチルス・ペントサス、及びラクトバチルス・プランタラムからなる群より選択される菌、又はその派生株である、請求項1に記載のプラスミノーゲン活性化剤。 プラスミノーゲン活性化増強作用を有する乳酸菌が、ロイコノストック・メセンテロイデスNBRC100496、ロイコノストック・ラクチス(別名:ロイコノストック・ガーリカム)JCM1142、ロイコノストック・オエニJCM6125、NBRC100497、PV4及びElios 1、ラクトコッカス・ラクチス・ラクチス亜種NBRC12007、ラクトコッカス・ガルビエNBRC100934、ペディオコッカス・アシジラクチシNBRC3885、ペディオコッカス・ペントサセウスJCM20314及びNK-2、ラクトバチルス・パラカセイKW3110、ラクトバチルス・ナムレンシスJCM15612、ラクトバチルス・クラストラムJCM15951、ラクトバチルス・フェルメンタムNBRC3961、ラクトバチルス・パラケフィリJCM8574、ラクトバチルス・ペントサスJCM8333、JCM8334及びJCM8335、並びにラクトバチルス・プランタラムJCM20110、JCM1551、JCM6551及びKTからなる群より選択される菌、又はその派生株である、請求項1又は2に記載のプラスミノーゲン活性化剤。 乳酸菌の処理物が、乳酸菌の懸濁物又は無細胞抽出物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラスミノーゲン活性化剤。 乳酸菌の処理物が、80〜150℃にて10〜20分加熱処理したものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラスミノーゲン活性化剤。 血栓溶解作用を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラスミノーゲン活性化剤。 請求項1〜6のいずれか1項に記載のプラスミノーゲン活性化剤と医薬上許容される担体とを含む医薬組成物。 血栓性疾患の予防及び/又は治療のための、請求項7に記載の医薬組成物。 血栓性疾患が、一過性脳虚血発作、脳梗塞、虚血性狭心症、心筋梗塞、動脈血栓症、静脈血栓症、深部静脈血栓症、末梢動脈閉塞症、末梢静脈閉塞症、肺血栓症、及び肺塞栓症からなる群より選択されるものである、請求項8に記載の医薬組成物。 経口投与用である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の医薬組成物。 請求項1〜6のいずれか1項に記載のプラスミノーゲン活性化剤が配合された食品。 【課題】内因性プラスミノーゲンを活性化する乳酸菌を見出し、大量生産可能で、かつ経口下で安全性の高い血栓溶解用薬理組成物を提供すること。【解決手段】プラスミノーゲン活性化増強作用を有する少なくとも1種の乳酸菌又はその処理物を有効成分として含むプラスミノーゲン活性化剤。【選択図】なし


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