生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_抗肥満剤
出願番号:2009028578
年次:2010
IPC分類:A61K 36/28,A61P 3/04


特許情報キャッシュ

吉田 八束 JP 2010184875 公開特許公報(A) 20100826 2009028578 20090210 抗肥満剤 株式会社武蔵野免疫研究所 591035391 熊倉 禎男 100082005 小川 信夫 100084009 箱田 篤 100084663 浅井 賢治 100093300 山崎 一夫 100119013 市川 さつき 100123777 吉田 八束 A61K 36/28 20060101AFI20100730BHJP A61P 3/04 20060101ALI20100730BHJP JPA61K35/78 TA61P3/04 3 OL 7 4C088 4C088AB26 4C088NA14 4C088ZA70 本発明はセンダングサ属植物の乾燥物または抽出物を有効成分とする抗肥満剤に関する。 従来、肥満の予防または改善の方法として、グルコマンナンなど、食べると胃の中で水分とともに膨れ胃に満腹感を与えて、食事量を減らす方法が知られているが、長続きしない欠点があり十分な効果が得られないのが現状である。本発明は、安全性に優れ、肥満、脂肪肝、およびこれらに起因または関連して発症する種々の疾患の予防または改善に有効な医薬品または食品等に提供することに関する。 本発明は、安全性に優れ、肥満、脂肪肝、およびこれらに起因または関連して発症する種々の疾患の予防または改善に有効な医薬品または食品等に提供することを目的とする。 本発明者らはビデンスピローサの有用性に注目して研究した結果、肥満予防または改善において有効性を認め、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は下記のとおりである。(1) 有効成分として、センダングサ属植物の乾燥物または抽出物を含有することを特徴とする抗肥満剤。(3) 水溶液または固体形態であることを特徴とする上記(1)記載の抗肥満剤。(4)センダングサ属植物がビデンスピローサである、上記(1)または(2)に記載の抗肥満剤。 後述する実施例の結果に示されるように、センダングサ属植物の乾燥物または抽出物は、抗肥満剤、すなわち肥満の予防剤または改善剤として極めて有効である。肥満の予防作用または改善作用は、血中のアジポネクチン濃度を上昇させる作用、及びセンダングサ属植物に含まれる有機物と多量に含有されているミネラルなどの影響によるところが大きいと思われる。 本発明に用いられるセンダングサ属の植物、特にビデンスピローサの乾燥粉末の錠剤や煮出し方式のお茶または抽出エキスの飲用または抽出物の錠剤は人に服用され安全性は全く問題なく、肥満予防または改善剤として極めて有用である。 本発明に使用されるセンダングサ属植物は、学名でBidens属と言われる一群の植物である。種類も多岐にわたり互いに交配するので変種も多く、植物学上も混乱が見られ、学名、和名、漢名の対応も交錯していて同定することは極めて困難であるが、本発明で用いられるセンダングサ属植物は以下に掲げるこれらのものを包含する。Bidens pilosa L.(コセンダングサ、コシロノセンダングサ、咸豊草)Bidens pilosa L.var.minor(Blume)Sherff(シロバナセンダングサ、シロノセンダングサ、コシロノセンダングサ、コセンダングサ、咸豊草)Bidens pilosa L.var.bisetosa Ohsani et S.Suzuki(アワユキセンダングサ)Bidens pilosa L.f.decumbens Scherff(ハイアワユキセンダングサ)Bidens pilosa L.var.radiata Scherff(タチアワユキセンダングサ、ハイアワユキセンダングサを含むこともある)Bidens pilosa L.var.radiata Schultz Bipontinus(シロノセンダングサ、オオバナノセンダングサ)Bidens biternata Lour.Merrill et Sherff(センダングサ)Bidens bipinnata L.(コバノセンダングサ、センダングサ)Bidens cernua L.(ヤナギタウコギ)Bidens frndosa L.(アメリカセンダングサ、セイタカタウコギ)Bidens parviflora Willd(ホソバノセンダングサ)Bidens radiate Thuill.var.pinnatifida(Turcz.)Kitamura(エゾノタウコギ)Bidens tripartita L.(タウコギ) この植物は中国・台湾では主に咸豊草と呼ばれるが異名も多く、同冶草、鬼針草、三葉鬼針草、三葉刺針草、刺針草、婆婆針草、白花婆婆針、符因草、符因頭、赤査某、含風草、南風草、等の名があり、それぞれがどの学名に相当するのかは明らかでない。 花はキク科特有の形で、白または黄の丸みのある花弁状の舌状花が5ないし8個、中央には黄褐色の管状花が数十個集合している。茎は四角で薄紫に着色した節がある。3つまたは5つに羽状に分かれた葉には柄があり、縁はぎざぎざがあって対生している。日本では本州の暖地以南で見られ、台湾、中国ないし熱帯各地に分布する草丈25〜85cmの一年草である。温暖な気候条件に恵まれると花は年中次々と咲く。動物や人の衣服に付いて運ばれる黒褐色の種子の上部に逆棘のある針があり、中国では鬼針草属と呼ばれている。 本発明では、上記センダングサ属植物のうち、特にビデンス・ピローサと称される一群の植物を用いることが好ましい。より具体的には、Bidens pilosa L.、Bidens pilosa L.var.minor (Blume)Sherff、Bidens pilosa L.var.bisetosa Ohtani et S.Suzuki、Bidens pilosa L.f.decumbens Scherff、Bidens pilosa L.var.radiata Scherff、及びBidens pilosa L.var.radiata Schultz Bipontinus、を用いることが好ましい。 本発明のセンダングサ属植物の乾燥物及び抽出物は以下のように作製することができる。 上記センダングサ属植物の使用部位は、根、地上部(茎、葉、花等)又は全草何れの部位を用いてもよい。特に、葉及び茎の部分を使用することが効力の点において好ましい。 センダングサ属植物の乾燥は、天日乾燥あるいは通風乾燥が用いられる。後者の場合、温度は焦げない程度であればいいが安全のためには80℃以下が望ましい。天日乾燥の場合に、乾燥の途中で雨に塗れたりしない様にする必要がある。乾燥の目安としては水分10%以下になるまで乾燥することが望ましい。また、乾燥後、粉砕することにより乾燥粉末を作製してもよい。 抽出物としては、センダングサ属植物あるいはその乾燥物に常温又は加温下に水又は含水溶媒を添加して抽出したものを用いてもよい。抽出方法としては例えば、浸漬して静置、またはソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて抽出物を得ることもできる 抽出溶媒の種類によってはそのまま抽出物を用いてもよいし、搾汁または抽出物を乾燥して、固体とした後、用いてもよい。抽出溶媒としては、水、またはメタノール、エタノール、酢酸メチル、酢酸エチル、エチレングリコール、ブチレングリコールなどの有機溶剤、それらの混合溶剤などが挙げられるが、特に水(あるいは熱水)が好ましい 抽出時の温度は、通常、室温〜沸点程度で行うことができる。また、抽出時間は、温度や溶媒にもよるが、室温〜沸点程度で抽出を行う場合には、1〜300時間程度の範囲にわたって行うことができる。 搾汁または抽出物を乾燥して用いる場合には、噴霧乾燥、凍結乾燥などにより乾燥粉末として用いてもよい。また乾燥に当って貼着剤として糊成分を少量混合して用いてもよい。 本発明の抗肥満剤は、水溶液または固体形態であることができる。固体形態として、粉末であってもよく、また、タブレット、カプセル、ペレット、ロゼンジ、顆粒剤、丸薬など様々な形態をとることができる。 本発明の水溶液の形態の抗肥満剤は、センダングサ属植物を水で抽出した水溶液、あるいはセンダングサ属植物抽出物を水に溶解して調製することができる。水に加えて更に、エタノール、キシリトール水溶液等の溶媒を添加してもよい。また、分散液、乳液、シロップ剤等様々な液体形状であることもできる。 本発明の固形形態の抗肥満剤は、例えば、センダングサ属植物抽出物を、結晶セルロースと混合してプレスすることにより調製することができる。 本発明の抗肥満剤は、センダングサ属植物の乾燥物を投与する場合には、一日0.10〜1.0g/kg(体重)程度服用することが好ましく、0.09〜0.75g/kg(体重)程度服用することが更に好ましく、一日0.27〜0.45g/kg(体重)程度服用することがより好ましい。また、少なくとも30日間服用することにより効果が発揮されやすいため好ましく、更に90日間服用することが更に好ましい。 また、センダングサ属植物の抽出乾燥物を投与する場合には、一日0.01〜0.30g/kg(体重)程度服用することが好ましく、一日0.03〜0.25g/kg(体重)程度服用することが更に好ましく、一日0.09〜0.15g/kg(体重)程度服用することがより好ましい。また、少なくとも30日間服用することにより効果が発揮されやすいため好ましく、更に90日間服用することが更に好ましい。 アジポネクチンは脂肪細胞で産生され、単球接着・平滑筋細胞の増殖・遊走・マクロファージの脂肪蓄積を抑制し、抗動脈硬化作用があることが報告されている。また、インスリン感受性増進作用があり、この作用により、動脈硬化・心筋梗塞・肥満・脂肪蓄積が抑制されることが報告されている。 センダングサ属植物であるビデンスピローサの熱水抽出物を継続して服用すると、血中のアジポネクチン濃度が有意に上昇することがわかった。 従って、センダングサ属植物であるビデンスピローサの肥満予防または改善作用は、上記アジポネクチン濃度の上昇が一つの原因であると考えられる。ただし、アジポネクチン濃度を上昇させることと、肥満予防あるいは改善作用を奏することとは必ずしも相関関係には無い。ビデンスピローサには、多量のミネラルが含まれていることから、このミネラルの代謝促進作用により、あるいはミネラル分の代謝促進作用とアジポネクチン濃度を上昇させる作用との相乗効果により、かかる肥満予防あるいは改善作用が発揮されていることが推測される。 以下に実施例を示すが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。[製造例1]ビデンスピローサの乾燥粉末 ビデンスピローサの地上部全草を1〜5cmに切って乾燥させて、粉砕して粒度を10〜100μmにする。[製造例2]ビデンスピローサの熱水抽出物 ビデンスピローサの地上部全草の乾燥物50gを1,000gの水に加え、80〜100℃で5時間抽出したのち冷却、ろ過して熱水抽出物600g(純分3.1質量%)を得た。[製造例3]ビデンスピローサの熱水抽出乾燥物 製造例2で得られた熱水抽出物100gを凍結乾燥して乾燥粉末3gを得た。[実施例1] 製造例1で得られたビデンスピローサ(BP)乾燥粉末5gに水1,000gを混合して、15分間煮沸して煮出しお茶として飲用試験を行い体重の変化を測定した。尚、食事は通常通りでお茶は一日一人1,000g〜2,000g飲用した。5名試験した。3ヶ月後の結果を表1にまとめた。表1 BP乾燥粉末茶の飲用による体重変化 表1の通り、効果が出ている。[実施例2] 製造例1で得られたBP乾燥粉末を実施例1と同様にお茶として、1日1,000gの量で、14名に1ヶ月飲用してもらい血中のアジポネクチン(Adiponectin)等の量を飲料前と飲料1ヶ月後に測定した。その結果は表2の通りである。表2 BP乾燥粉末茶の飲用による血中のアジポネクチン等の変化n:14、M±SEM **:p<0.01(飲用前と比較) *:p<0.05(飲用前と比較) アジポネクチンは脂肪細胞で産生され、単球接着・平滑筋細胞の増殖・遊走・マクロファージの脂肪蓄積を抑制し、抗動脈硬化作用があることが報告されている。また、インスリン感受性増進作用があり、この作用により、動脈硬化・心筋梗塞・肥満・脂肪蓄積が抑制されることが報告されている。 TNF-α(Tumor Necrosis Factor)は腫瘍壊死因子の一つであり、主に単球マクロファージから分泌されるサイトカインで、血管壁の障害指標として用いられる。 BUN(Blood Urea Nitrogen)は血中尿素態窒素であり、腎機能低下で高くなる。 SCr(Serum Creatinin)は血中クレアチニンを意味する。腎機能低下で高くなる。 表2の結果は、BP乾燥粉末茶を1ヶ月飲用した被験者の血中のアジポネクチン濃度が有意に増加していることを示しており、腎機能については変化が無いことを示している。 実施例1における体重の減少は、このアジポネクチンの増加作用により肥満の改善がなされたことが一つの原因であると思われる。[実施例3] 製造例3で得られたビデンスピローサ(BP)抽出物粉末を0.25gの錠剤にして、一日21錠を3回に分けて食前に飲んでもらい5名1ヶ月の試験を行い、その結果を表3にまとめた。表3 BP抽出物錠21錠/日飲用による体重変化 表3から明らかなように、BP抽出物錠の飲用でも、明らかに体重の減少が見られ、効果は確認された。 有効成分として、センダングサ属植物の乾燥物または抽出物を含有することを特徴とする抗肥満剤。 水溶液または固体形態であることを特徴とする請求項1記載の抗肥満剤。 センダングサ属植物がビデンスピローサである、請求項1または2に記載の抗肥満剤。 【課題】本発明は、安全性に優れ、肥満、脂肪肝、およびこれらに起因または関連して発症する種々の疾患の予防または改善に有効な医薬品または食品等に提供することを目的とする。【解決手段】有効成分として、センダングサ属植物の乾燥粉末または抽出物または両方を含有することを特徴とする抗肥満剤。【選択図】なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る

特許公報(B2)_抗肥満剤

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_抗肥満剤
出願番号:2009028578
年次:2014
IPC分類:A61K 36/28,A61P 3/04


特許情報キャッシュ

吉田 八束 JP 5396895 特許公報(B2) 20131101 2009028578 20090210 抗肥満剤 株式会社武蔵野免疫研究所 591035391 熊倉 禎男 100082005 小川 信夫 100084009 箱田 篤 100084663 浅井 賢治 100093300 山崎 一夫 100119013 市川 さつき 100123777 吉田 八束 20140122 A61K 36/28 20060101AFI20131226BHJP A61P 3/04 20060101ALI20131226BHJP JPA61K35/78 TA61P3/04 A61K 36/28 A61P 3/04 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 特開2002−179586(JP,A) 特開2004−083463(JP,A) 2 2010184875 20100826 7 20120210 鶴見 秀紀 本発明はセンダングサ属植物の乾燥物または抽出物を有効成分とする抗肥満剤に関する。 従来、肥満の予防または改善の方法として、グルコマンナンなど、食べると胃の中で水分とともに膨れ胃に満腹感を与えて、食事量を減らす方法が知られているが、長続きしない欠点があり十分な効果が得られないのが現状である。本発明は、安全性に優れ、肥満、脂肪肝、およびこれらに起因または関連して発症する種々の疾患の予防または改善に有効な医薬品または食品等に提供することに関する。 本発明は、安全性に優れ、肥満、脂肪肝、およびこれらに起因または関連して発症する種々の疾患の予防または改善に有効な医薬品または食品等に提供することを目的とする。 本発明者らはビデンスピローサの有用性に注目して研究した結果、肥満予防または改善において有効性を認め、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は下記のとおりである。(1) 有効成分として、センダングサ属植物の乾燥物または抽出物を含有することを特徴とする抗肥満剤。(3) 水溶液または固体形態であることを特徴とする上記(1)記載の抗肥満剤。(4)センダングサ属植物がビデンスピローサである、上記(1)または(2)に記載の抗肥満剤。 後述する実施例の結果に示されるように、センダングサ属植物の乾燥物または抽出物は、抗肥満剤、すなわち肥満の予防剤または改善剤として極めて有効である。肥満の予防作用または改善作用は、血中のアジポネクチン濃度を上昇させる作用、及びセンダングサ属植物に含まれる有機物と多量に含有されているミネラルなどの影響によるところが大きいと思われる。 本発明に用いられるセンダングサ属の植物、特にビデンスピローサの乾燥粉末の錠剤や煮出し方式のお茶または抽出エキスの飲用または抽出物の錠剤は人に服用され安全性は全く問題なく、肥満予防または改善剤として極めて有用である。 本発明に使用されるセンダングサ属植物は、学名でBidens属と言われる一群の植物である。種類も多岐にわたり互いに交配するので変種も多く、植物学上も混乱が見られ、学名、和名、漢名の対応も交錯していて同定することは極めて困難であるが、本発明で用いられるセンダングサ属植物は以下に掲げるこれらのものを包含する。Bidens pilosa L.(コセンダングサ、コシロノセンダングサ、咸豊草)Bidens pilosa L.var.minor(Blume)Sherff(シロバナセンダングサ、シロノセンダングサ、コシロノセンダングサ、コセンダングサ、咸豊草)Bidens pilosa L.var.bisetosa Ohsani et S.Suzuki(アワユキセンダングサ)Bidens pilosa L.f.decumbens Scherff(ハイアワユキセンダングサ)Bidens pilosa L.var.radiata Scherff(タチアワユキセンダングサ、ハイアワユキセンダングサを含むこともある)Bidens pilosa L.var.radiata Schultz Bipontinus(シロノセンダングサ、オオバナノセンダングサ)Bidens biternata Lour.Merrill et Sherff(センダングサ)Bidens bipinnata L.(コバノセンダングサ、センダングサ)Bidens cernua L.(ヤナギタウコギ)Bidens frndosa L.(アメリカセンダングサ、セイタカタウコギ)Bidens parviflora Willd(ホソバノセンダングサ)Bidens radiate Thuill.var.pinnatifida(Turcz.)Kitamura(エゾノタウコギ)Bidens tripartita L.(タウコギ) この植物は中国・台湾では主に咸豊草と呼ばれるが異名も多く、同冶草、鬼針草、三葉鬼針草、三葉刺針草、刺針草、婆婆針草、白花婆婆針、符因草、符因頭、赤査某、含風草、南風草、等の名があり、それぞれがどの学名に相当するのかは明らかでない。 花はキク科特有の形で、白または黄の丸みのある花弁状の舌状花が5ないし8個、中央には黄褐色の管状花が数十個集合している。茎は四角で薄紫に着色した節がある。3つまたは5つに羽状に分かれた葉には柄があり、縁はぎざぎざがあって対生している。日本では本州の暖地以南で見られ、台湾、中国ないし熱帯各地に分布する草丈25〜85cmの一年草である。温暖な気候条件に恵まれると花は年中次々と咲く。動物や人の衣服に付いて運ばれる黒褐色の種子の上部に逆棘のある針があり、中国では鬼針草属と呼ばれている。 本発明では、上記センダングサ属植物のうち、特にビデンス・ピローサと称される一群の植物を用いることが好ましい。より具体的には、Bidens pilosa L.、Bidens pilosa L.var.minor (Blume)Sherff、Bidens pilosa L.var.bisetosa Ohtani et S.Suzuki、Bidens pilosa L.f.decumbens Scherff、Bidens pilosa L.var.radiata Scherff、及びBidens pilosa L.var.radiata Schultz Bipontinus、を用いることが好ましい。 本発明のセンダングサ属植物の乾燥物及び抽出物は以下のように作製することができる。 上記センダングサ属植物の使用部位は、根、地上部(茎、葉、花等)又は全草何れの部位を用いてもよい。特に、葉及び茎の部分を使用することが効力の点において好ましい。 センダングサ属植物の乾燥は、天日乾燥あるいは通風乾燥が用いられる。後者の場合、温度は焦げない程度であればいいが安全のためには80℃以下が望ましい。天日乾燥の場合に、乾燥の途中で雨に塗れたりしない様にする必要がある。乾燥の目安としては水分10%以下になるまで乾燥することが望ましい。また、乾燥後、粉砕することにより乾燥粉末を作製してもよい。 抽出物としては、センダングサ属植物あるいはその乾燥物に常温又は加温下に水又は含水溶媒を添加して抽出したものを用いてもよい。抽出方法としては例えば、浸漬して静置、またはソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて抽出物を得ることもできる 抽出溶媒の種類によってはそのまま抽出物を用いてもよいし、搾汁または抽出物を乾燥して、固体とした後、用いてもよい。抽出溶媒としては、水、またはメタノール、エタノール、酢酸メチル、酢酸エチル、エチレングリコール、ブチレングリコールなどの有機溶剤、それらの混合溶剤などが挙げられるが、特に水(あるいは熱水)が好ましい 抽出時の温度は、通常、室温〜沸点程度で行うことができる。また、抽出時間は、温度や溶媒にもよるが、室温〜沸点程度で抽出を行う場合には、1〜300時間程度の範囲にわたって行うことができる。 搾汁または抽出物を乾燥して用いる場合には、噴霧乾燥、凍結乾燥などにより乾燥粉末として用いてもよい。また乾燥に当って貼着剤として糊成分を少量混合して用いてもよい。 本発明の抗肥満剤は、水溶液または固体形態であることができる。固体形態として、粉末であってもよく、また、タブレット、カプセル、ペレット、ロゼンジ、顆粒剤、丸薬など様々な形態をとることができる。 本発明の水溶液の形態の抗肥満剤は、センダングサ属植物を水で抽出した水溶液、あるいはセンダングサ属植物抽出物を水に溶解して調製することができる。水に加えて更に、エタノール、キシリトール水溶液等の溶媒を添加してもよい。また、分散液、乳液、シロップ剤等様々な液体形状であることもできる。 本発明の固形形態の抗肥満剤は、例えば、センダングサ属植物抽出物を、結晶セルロースと混合してプレスすることにより調製することができる。 本発明の抗肥満剤は、センダングサ属植物の乾燥物を投与する場合には、一日0.10〜1.0g/kg(体重)程度服用することが好ましく、0.09〜0.75g/kg(体重)程度服用することが更に好ましく、一日0.27〜0.45g/kg(体重)程度服用することがより好ましい。また、少なくとも30日間服用することにより効果が発揮されやすいため好ましく、更に90日間服用することが更に好ましい。 また、センダングサ属植物の抽出乾燥物を投与する場合には、一日0.01〜0.30g/kg(体重)程度服用することが好ましく、一日0.03〜0.25g/kg(体重)程度服用することが更に好ましく、一日0.09〜0.15g/kg(体重)程度服用することがより好ましい。また、少なくとも30日間服用することにより効果が発揮されやすいため好ましく、更に90日間服用することが更に好ましい。 アジポネクチンは脂肪細胞で産生され、単球接着・平滑筋細胞の増殖・遊走・マクロファージの脂肪蓄積を抑制し、抗動脈硬化作用があることが報告されている。また、インスリン感受性増進作用があり、この作用により、動脈硬化・心筋梗塞・肥満・脂肪蓄積が抑制されることが報告されている。 センダングサ属植物であるビデンスピローサの熱水抽出物を継続して服用すると、血中のアジポネクチン濃度が有意に上昇することがわかった。 従って、センダングサ属植物であるビデンスピローサの肥満予防または改善作用は、上記アジポネクチン濃度の上昇が一つの原因であると考えられる。ただし、アジポネクチン濃度を上昇させることと、肥満予防あるいは改善作用を奏することとは必ずしも相関関係には無い。ビデンスピローサには、多量のミネラルが含まれていることから、このミネラルの代謝促進作用により、あるいはミネラル分の代謝促進作用とアジポネクチン濃度を上昇させる作用との相乗効果により、かかる肥満予防あるいは改善作用が発揮されていることが推測される。 以下に実施例を示すが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。[製造例1]ビデンスピローサの乾燥粉末 ビデンスピローサの地上部全草を1〜5cmに切って乾燥させて、粉砕して粒度を10〜100μmにする。[製造例2]ビデンスピローサの熱水抽出物 ビデンスピローサの地上部全草の乾燥物50gを1,000gの水に加え、80〜100℃で5時間抽出したのち冷却、ろ過して熱水抽出物600g(純分3.1質量%)を得た。[製造例3]ビデンスピローサの熱水抽出乾燥物 製造例2で得られた熱水抽出物100gを凍結乾燥して乾燥粉末3gを得た。[実施例1] 製造例1で得られたビデンスピローサ(BP)乾燥粉末5gに水1,000gを混合して、15分間煮沸して煮出しお茶として飲用試験を行い体重の変化を測定した。尚、食事は通常通りでお茶は一日一人1,000g〜2,000g飲用した。5名試験した。3ヶ月後の結果を表1にまとめた。表1 BP乾燥粉末茶の飲用による体重変化 表1の通り、効果が出ている。[実施例2] 製造例1で得られたBP乾燥粉末を実施例1と同様にお茶として、1日1,000gの量で、14名に1ヶ月飲用してもらい血中のアジポネクチン(Adiponectin)等の量を飲料前と飲料1ヶ月後に測定した。その結果は表2の通りである。表2 BP乾燥粉末茶の飲用による血中のアジポネクチン等の変化n:14、M±SEM **:p<0.01(飲用前と比較) *:p<0.05(飲用前と比較) アジポネクチンは脂肪細胞で産生され、単球接着・平滑筋細胞の増殖・遊走・マクロファージの脂肪蓄積を抑制し、抗動脈硬化作用があることが報告されている。また、インスリン感受性増進作用があり、この作用により、動脈硬化・心筋梗塞・肥満・脂肪蓄積が抑制されることが報告されている。 TNF-α(Tumor Necrosis Factor)は腫瘍壊死因子の一つであり、主に単球マクロファージから分泌されるサイトカインで、血管壁の障害指標として用いられる。 BUN(Blood Urea Nitrogen)は血中尿素態窒素であり、腎機能低下で高くなる。 SCr(Serum Creatinin)は血中クレアチニンを意味する。腎機能低下で高くなる。 表2の結果は、BP乾燥粉末茶を1ヶ月飲用した被験者の血中のアジポネクチン濃度が有意に増加していることを示しており、腎機能については変化が無いことを示している。 実施例1における体重の減少は、このアジポネクチンの増加作用により肥満の改善がなされたことが一つの原因であると思われる。[実施例3] 製造例3で得られたビデンスピローサ(BP)抽出物粉末を0.25gの錠剤にして、一日21錠を3回に分けて食前に飲んでもらい5名1ヶ月の試験を行い、その結果を表3にまとめた。表3 BP抽出物錠21錠/日飲用による体重変化 表3から明らかなように、BP抽出物錠の飲用でも、明らかに体重の減少が見られ、効果は確認された。 有効成分として、センダングサ属植物の乾燥物または抽出物を含有することを特徴とする抗肥満剤であって、センダングサ属植物がビデンスピローサである前記抗肥満剤。 水溶液または固体形態であることを特徴とする請求項1記載の抗肥満剤。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る